JP2002355057A - Fgfタンパク質の製造方法 - Google Patents

Fgfタンパク質の製造方法

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JP2002355057A
JP2002355057A JP2001285774A JP2001285774A JP2002355057A JP 2002355057 A JP2002355057 A JP 2002355057A JP 2001285774 A JP2001285774 A JP 2001285774A JP 2001285774 A JP2001285774 A JP 2001285774A JP 2002355057 A JP2002355057 A JP 2002355057A
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Koji Yoshimura
浩二 吉村
Reiko Sasada
玲子 佐々田
Michiyasu Takeyama
道康 竹山
Eiji Sunahara
英次 砂原
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 FGFタンパク質の製造方法などの提供。 【解決手段】特定のアミノ酸配列と同一もしくは実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその
部分ペプチドをコードするDNAを含有するベクターで
得られた形質転換体を培養し、上記アミノ酸配列と同一
もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質またはその部分ペプチドを採取することを特徴とす
る上記アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその塩、または
その部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス
テルまたはその塩の製造方法。 【効果】 本発明のタンパク質およびそれをコードする
DNAは、本発明のタンパク質の活性を促進もしくは阻
害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試
薬として有用である。さらに、本発明のタンパク質に対
する抗体は、被検液中の本発明のタンパク質の検出、定
量、中和等に使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト胎児肝臓由来
のタンパク質(FGFタンパク質)またはその塩の製造
方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】FGF(fibloblast growth factor)は
線維芽細胞増殖因子とも呼ばれ、はじめはその名の通
り、線維芽細胞の増殖を促進する因子として脳下垂体か
ら見出された(Gospodarowicz, D、 Nature, 249:123-1
29,1974)。このFGFには等電点が酸性のacidic FGF
(FGF-1)と塩基性のbasic FGF(FGF-2)の2種類があり、
両者とも血管新生作用を有している。その後、ヘパリン
の親和性を利用し精製・純化され、さらに塩基配列が決
定された(Jaye, M. et al., Science, 33:541-545,19
86、Abraham, J. A. et al., EMBO J.:2523-2528、198
6)。その後、がん遺伝子産物としてint-2(FGF-3、Dic
kson, C. and Peters, G., Nature,326:833,1987)、hs
t-1(FGF-4, Yoshida et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 8
4: 7305-7309, 1997)、FGF-5 (Zhan, X.et al., Mol.
Cel. Biol., 8:3487-3495,1988), hst-2(FGF-6, Maric
s, I., Oncogene,4:335-340, 1989)が見出された。int-
2はマウス乳がんウイルスの挿入標的遺伝子として知ら
れている。FGF-4,5,6はNIH3T3細胞に対してトランスフ
ォーミング活性を有する。FGF-7(Finch, P.W. et al.,
Science 245:752-755,1989)はケラチノサイト、FGF-8
(Tanaka, A. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 89: 8928
-8932, 1992) は乳がん細胞、FGF-9 (Miyamoto,M. et a
l., Mol. Cel. Biol., 13:4251-4259, 1993) はアスト
ロサイトに対して増殖促進活性を有することで最初は報
告された。FGF-10(Emoto, H. et al., J. Biol. Chem.
272: 23191-23194, 1997)はrat keratinizing epiderma
l cellに対して増殖促進活性が示された。FGF-11からFG
F-14(FHF-1からFHF-4とも呼ばれる)及びFGF-15はいず
れも神経系に発現しており、神経系の形成に必要と考え
られている(Smallwood, P. M. et. al., Proc. Nat. A
cad. Sci. 93: 9850-9857,1996; McWhirter, J. R. et
al., Development 124: 3221-3232, 1997)。FGF-16は
褐色脂肪組織の形成に関与していると考えられている(M
iyake, A. et al.,Biochem. Biophys. Res. Commun. 24
3:148-152, 1998)。FGF-17は胎児脳で発現しており、脳
のパターン形成に関与すると考えられている(Hoshikaw
a, M., etal., Biochemical and Biophysical Researc
h Communications 244: 187-191,1998)。FGF-18は肝臓
と小腸の細胞に対して増殖促進を示した(Hu, M.C.T. e
tal., Molecular and Cellular Biology 18: 6063-607
4, 1998);ESTからホモロジーで分離されたFGF-19
は脳の形成に関与すると考えられている(Nishimura,
T. et al., Biochim. Biophys. Acta 1444: 148-151, 1
999)。FGF-20はSW480がん細胞や胎児組織で発現が観察
されている(Kirikoshi, H. et al., Biochem.Biophy
s. Res. Commun., 274(2):337-43, 2000)。Degenerate
PCR法によってクローニングされたFGF-21は肝臓で発現
が認めれられる(Nishimura T. et al.,Biochim Biophy
s Acta 1492:203-206、2000)。このように、現在では
約20種類のFGFファミリーに属するタンパク質が報
告されている。FGF-3の欠損マウスは尾と耳の形成異常
が認められた(Mansour, S. L., Mol Reprod Dev 39:
62-68,1994)。FGF-5の欠損マウスは体毛に異常が観察
された(Guo, L. et al.,Genes and Development 10: 1
65-75, 1996)。FGF-8とFGF-10は肢芽形成因子であり
(Ohuchi, H., et al., Development, 124:2235-2244,1
997)、FGF-10の欠損マウスは四肢と肺が欠損していた
(Sekine, K. et al., Nat. Genet.,21:138-141,199
9)。このように、FGFファミリーのタンパク質は間
葉系細胞、上皮系細胞、及び神経外胚葉系細胞などの増
殖と分化を制御する因子であり、発生時における、四肢
の形態形成や神経系、呼吸器系、循環器系などの多くの
器官形成に重要な因子として働くことが知られている。
また、組織修復、炎症、血管新生、腫瘍の増殖と浸潤に
関与することが知られている。近年、生体内で発現して
いる遺伝子を解析する手段として、cDNAの配列をラ
ンダムに解析する研究が活発に行なわれており、このよ
うにして得られたcDNAの断片配列がExpressed Sequ
ence Tag(EST)としてデータベースに登録され、公
開されている。しかし、多くのESTは配列情報のみで
あり、その機能を推定することは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、FGFは発生時
における四肢の形態形成や神経系、呼吸器系、循環器系
などの多くの器官形成に重要な因子であり、組織修復に
関係することから再生医療への応用が期待される。ま
た、血管新生、腫瘍の増殖と浸潤に関与することことか
ら、その受容体との結合を阻害することにより、抗腫瘍
活性が期待できる。本発明は、上記のように有用なFG
Fタンパク質の製造方法などを提供するものである。す
なわち、FGFタンパク質またはその塩の製造法、該新
規FGFタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはそ
の塩に対する抗体、該FGFタンパク質の発現量を変化
させる化合物、該FGFに対する受容体の決定方法、該
FGFタンパク質とその受容体の結合性を変化させる化
合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩のス
クリーニング方法、該スクリーニング用キット、該スク
リーニング方法もしくはスクリーニング用キットを用い
て得られうる該FGFタンパク質と受容体との結合性を
変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)また
はその塩、もしくは該FGFタンパク質の発現量を変化
させる化合物またはその塩を含有してなる医薬などを提
供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、ヒト胎児肝臓由来のFGFタンパク質を
コードするcDNAを単離し研究を重ねた結果、本発明
を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(2)上記(1)記載のタンパク質の部分ペプチドもし
くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(3)上記(1)記載のタンパク質または上記(2)記
載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌ
クレオチドを含有するポリヌクレオチド、(4)DNA
である上記(3)記載のポリヌクレオチド、(5)配列
番号:2で表わされる塩基配列を有する上記(3)記載
のポリヌクレオチド、(6)上記(3)記載のポリヌク
レオチドを含有する組換えベクター、(7)上記(6)
記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(8)上記(7)記載の形質転換体を培養し、上記
(1)記載のタンパク質または上記(2)記載の部分ペ
プチドを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴
とする上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、ま
たは上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミド
もしくはそのエステルまたはその塩の製造方法、(9)
上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、または上
記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしく
はそのエステルまたはその塩に対する抗体、(10)上
記(1)記載のタンパク質の中和抗体である上記(9)
記載の抗体、(11)上記(9)記載の抗体を含有して
なる診断薬、(12)上記(1)記載のタンパク質もし
くはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチドもし
くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用
いることにより得られうる上記(1)記載のタンパク質
またはその塩に対する受容体タンパク質またはその塩、
(13)上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、
または上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミ
ドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる医
薬、(14)上記(3)記載のポリヌクレオチドを含有
してなる医薬、(15)細胞の分化・増殖、細胞の維
持、組織の形成・増強・新生・分化作用を有する上記(1
3)または(14)記載の医薬、(16)上記(1)記
載のタンパク質もしくはその塩、または上記(2)記載
の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ
ルまたはその塩を用いることを特徴とする上記(1)記
載のタンパク質またはその塩に対する受容体の決定方
法、(17)上記(1)記載のタンパク質もしくはその
塩、または上記(2)記載の部分ペプチドもしくはその
アミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いること
を特徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニス
トのスクリーニング方法、(18)上記(1)記載のタ
ンパク質もしくはその塩、または上記(2)記載の部分
ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまた
はその塩を含有することを特徴とするレセプターアゴニ
ストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット、
(19)上記(17)記載のスクリーニング方法または
上記(18)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうるレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、
(20)上記(17)記載のスクリーニング方法または
上記(18)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうるレセプターアゴニストまたはアンタゴニストを
含有してなる医薬、(21)細胞の分化・増殖、細胞の
維持、組織の形成・増強・新生・分化作用を有する上記
(20)記載の医薬、(22)上記(3)記載のポリヌ
クレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズするポリヌクレオチド、(23)上記(3)記載
のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部
を含有してなるアンチセンスポリヌクレオチド、(2
4)上記(3)記載のポリヌクレオチドまたはその一部
を用いることを特徴とする上記(1)記載のタンパク質
のmRNAの定量方法、(25)上記(9)記載の抗体
を用いることを特徴とする上記(1)記載のタンパク質
の定量方法、(26)上記(24)または(25)記載
の定量方法を用いることを特徴とする上記(1)記載の
タンパク質の機能が関連する疾患の診断方法、(27)
上記(24)または(25)記載の定量方法を用いるこ
とを特徴とする上記(1)記載のタンパク質の発現量を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(28)上記(27)記載のスクリーニング方法を用い
て得られうる上記(1)記載のタンパク質の発現量を変
化させる化合物またはその塩等を提供する。
【0006】さらには、本発明は、(29)(i)レセ
プターまたはその部分ペプチドに、上記(1)記載のタ
ンパク質もしくはその塩、または上記(2)記載の部分
ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまた
はその塩を接触させた場合と、(ii)レセプターまたは
その部分ペプチドに、上記(1)記載のタンパク質もし
くはその塩、または上記(2)項記載の部分ペプチドも
しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩お
よび試験化合物を接触させた場合において、該レセプタ
ーまたはその部分ペプチドと上記(1)項記載のタンパ
ク質もしくはその塩、または上記(2)項記載の部分ペ
プチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたは
その塩との結合量を測定し、比較することを特徴とする
上記(17)記載のスクリーニング方法、(30)
(i)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、また
は上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドも
しくはそのエステルまたはその塩を接触させた場合と、
(ii)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、また
は上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドも
しくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を接
触させた場合において、該レセプターを含有する細胞ま
たはその細胞膜画分と上記(1)記載のタンパク質もし
くはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチドもし
くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩との
結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(1
7)項記載のスクリーニング方法、(31)(i)レセ
プターを含有する細胞に、上記(1)記載のタンパク質
もしくはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチド
もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
を接触させた場合と、(ii)レセプターを含有する細胞
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、また
は上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドも
しくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を接
触させた場合において、該レセプターを含有する細胞に
おけるレセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タン
パク質のリン酸化、pHの低下など)などの活性を測定
して、比較することを特徴とする上記(17)記載のス
クリーニング方法、
【0007】(32)上記(17)および上記(29)
〜(31)のいずれかに記載のスクリーニング方法また
は上記(18)記載のスクリーニング用キットを用いて
得られるレセプターアゴニストを含有してなる医薬、
(33)創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵
臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関節疾患などの予
防・治療剤である上記(32)記載の医薬、(34)上
記(17)および上記(29)〜(31)のいずれかに
記載のスクリーニング方法または上記(18)項記載の
スクリーニング用キットを用いて得られるレセプターア
ンタゴニストを含有してなる医薬、(35)胃癌、大腸
癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺
癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、
悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵
臓癌などの予防・治療剤である上記(34)記載の医
薬、(36)上記(1)記載のタンパク質もしくはその
塩、または上記(2)記載の部分ペプチドもしくはその
アミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いること
を特徴とする上記(1)記載のタンパク質もしくはその
塩、または上記(2)項記載の部分ペプチドもしくはそ
のアミドもしくはそのエステルまたはその塩とレセプタ
ーとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩のスクリーニング方法、(37)
(i)レセプターを含有する細胞に、上記(1)記載の
タンパク質もしくはその塩、または上記(2)項記載の
部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステル
またはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプターを
含有する細胞に、上記(1)記載のタンパク質もしくは
その塩、または上記(2)項記載の部分ペプチドもしく
はそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および
試験化合物を接触させた場合において、上記(1)記載
のタンパク質もしくはその塩、または上記(2)記載の
部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステル
またはその塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル
伝達を測定し、比較することを特徴とする上記(36)
記載のスクリーニング方法、(38)上記(1)記載の
タンパク質もしくはその塩、または上記(2)記載の部
分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま
たはその塩を含有する上記(1)項記載のタンパク質も
しくはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチドも
しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩と
レセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進また
は阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キッ
ト、(39)上記(36)〜(37)記載のスクリーニ
ング方法または上記(38)記載のスクリーニング用キ
ットを用いて得られる上記(1)記載のタンパク質もし
くはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチドもし
くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩とレ
セプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または
阻害する化合物またはその塩、(40)上記(9)記載
の抗体を含有してなる医薬、(41)上記(23)記載
のアンチセンスポリヌクレオチドを含有してなる医薬等
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のタンパク質としては、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質であっ
て、FGF(Fibroblast Growth Factor ; 線維芽細胞
増殖因子)様タンパク質があげられる。本発明のタンパ
ク質は、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモッ
ト、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツ
ジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、
脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細
胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存
在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅
球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳
皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、
肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋
肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指腸)、血管、
心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵
巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するタン
パク質であってもよく、また合成タンパク質であっても
よい。
【0009】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列と約80%以上、好ましくは約90%以上、より
好ましくは約95%以上、さらに好ましくは約95%以
上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
【0010】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列を含有する本発明のタンパク質としては、上記のとお
り配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同
一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性
を有するタンパク質などが好ましい。以下、本明細書に
おいて、「配列番号:1で表されるアミノ酸と同一もし
くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質」または「配列番号:1で表されるアミノ酸と同一も
しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質またはその塩」を単に「本発明のタンパク質」と略称
する場合がある。実質的に同質の活性としては、例え
ば、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度
の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イ
ノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパ
ク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞増殖・遊走・分化活性(作用)などがあげら
れる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質
であることを示す。したがって、レセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca 濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低
下など)、血管新生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分
化活性(作用)などが同等(例、約0.5〜2倍程度)
であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパ
ク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。ま
た、本発明のタンパク質には、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜2
0個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは
数個(1または2個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸
配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1ま
たは2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜
9個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))の
アミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1
〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好まし
くは数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されたアミノ酸配列を含有するタンパク質などの
いわゆるムテインも含まれる。上記のようにアミノ酸配
列が欠失または置換されている場合、その欠失または置
換の位置は、特に限定されない。
【0011】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端がカルボキシル
基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、ア
ミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の
何れであってもよい。ここでエステル基のRとしては、
例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル
もしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8
クロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなど
のC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチ
ルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナ
フチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基
などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステル
として汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用い
られる。本発明のタンパク質がC末端以外にカルボキシ
ル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カ
ルボキシル基がアミド化またはエステル化されているも
のも本発明のタンパク質に含まれる。この場合のエステ
ルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用
いられる。さらに、本発明のタンパク質には、上記した
タンパク質において、N末端のメチオニン残基のアミノ
基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC
−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が
生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミ
ン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基
(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール
基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1− アシ
ル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合
したいわゆる糖タンパク質、例えば配列番号:8または
配列番号:11で表されるアミノ酸配列を有するFLA
GペプチドをTag(またはHis−Tag)としてN
末端側またはC末端側に付加したタンパク質などの複合
タンパク質なども含まれる。
【0012】本発明のタンパク質の部分ペプチド(以
下、例えば配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末
端から第42番目ないし第132番目のアミノ酸配列を
含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一も
しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質の部分ペプチド等のみならず、それらのアミドもしく
はそれらのエステルまたはそれらの塩を総称して、本発
明のタンパク質の部分ペプチドと称する場合がある)と
しては、前記した本発明のタンパク質と同質の活性、例
えば、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タン
パク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性
(作用)、細胞増殖・遊走・分化活性(作用)などを有
するペプチドであれば何れのものであってもよい。具体
的には、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第42番目〜
第132番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第42番目〜
第169番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第100番目
〜第129番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第100番目
〜第124番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第19番目〜
第251番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、 配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第74番目〜
第251番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドなど
が好ましく用いられる。
【0013】さらに、本発明の部分ペプチドとしては、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有
する部分ペプチドが好ましい。実質的に同質の活性とし
ては、例えば、レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新
生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分化活性(作用)な
どがあげられる。実質的に同質とは、それらの活性が性
質的に同質であることを示す。したがって、レセプター
を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、ア
セチルコリン遊離、細胞内Ca 濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖・遊走・分化活性(作用)が同等(例、約0.5〜2
倍程度)であることが好ましいが、これらの活性の程度
やペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよ
い。
【0014】さらに、本発明の部分ペプチドには、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列と約80%以上、好
ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、
さらに好ましくは約98%以上の相同性を有するタンパ
ク質の部分ペプチドが用いられ、より具体的には、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以
上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、
さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が
欠失したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜20個程度、
好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1ま
たは2個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以
上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、
さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が
他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するタン
パク質の部分ペプチドなども含まれる。
【0015】また、本発明の部分ペプチドのC末端はカ
ルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−C
OO)、アミド(−CONH)またはエステル(−
COOR)(Rは前記と同意義を示す)の何れであって
もよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、上記した
部分ペプチドにおいて、N末端のメチオニン残基のアミ
ノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などの
1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側
が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタ
ミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基
(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール
基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC 1−6アシ
ル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合
したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含ま
れる。本発明で用いられる部分ペプチドは抗体作成のた
めの抗原としても用いることができる。抗体作成のため
の抗原として好ましい部分ペプチドとしては本発明のタ
ンパク質のN末端付近の部分ペプチドやC末端付近の部
分ペプチドであって数個(5〜6個)〜約30個(好ま
しくは約10〜約20個)のアミノ酸からなるペプチド
が好ましく用いられる。中でも配列番号:6または配列
番号:7で表されるアミノ酸配列を有するペプチドなど
が好ましい。本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドの塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加
塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸
(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、
あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、
フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、
リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸)との塩などが用いられる。本発明のタン
パク質またはその塩は、前述したヒトや温血動物の細
胞、組織または血漿から公知のタンパク質の精製方法に
よって製造することもできるし、後述するタンパク質を
コードするDNAを含有する形質転換体を培養すること
によっても製造することができる。また、後述のタンパ
ク質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトや温血動物の細胞、組織または血漿から製造する場
合、ヒトや温血動物の細胞または組織のホモジナイズ上
清および血漿を硫安沈澱、エタノール沈澱、酸抽出、イ
オン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィ
ー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、逆相ク
ロマトグラフィー、レクチンカラムクロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどのクロマトグラフ
ィーを組み合わせることにより精製単離することができ
る。
【0016】本発明のタンパク質、その部分ペプチドも
しくはそれらの塩またはそれらのアミド体の合成には、
通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができ
る。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹
脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセ
トアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合
させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと
同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子
内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク
質、その部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得す
る。
【0017】上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピル
カルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプ
ロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによ
る活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt,
HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加す
るかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸
の活性化を行なったのちに樹脂に添加することができ
る。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる
溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しうることが
知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ク
ロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホ
キシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ク
ロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロ
フラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロ
リドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられ
る。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得る
ことが知られている範囲から適宜選択され、通常約−2
0℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化された
アミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。
ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分
な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り
返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応
を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水
酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ
酸をアセチル化することができる。原料のアミノ基の保
護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーアミ
ルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、
4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、B
r−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロ
アセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルス
ルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmoc
などが用いられる。カルボキシル基の保護基としては、
例えばアルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチ
ル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエ
ステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベ
ンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズ
ヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキ
シカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボ
ニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが用いられ
る。
【0018】セリンの水酸基は、例えば、エステル化ま
たはエーテル化によって保護することができる。このエ
ステル化に適する基としては、例えば、アセチル基など
の低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基などの炭素から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例え
ば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、B
r−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。ヒスチ
ジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、To
s、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、
Trt、Fmocなどが用いられる。原料のカルボキシ
ル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸
無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、
ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノー
ル、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコー
ル、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシ
スクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)
とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活
性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミ
ドが用いられる。保護基の除去(脱離)方法としては、
例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在
下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水
素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによ
る酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチル
アミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、
また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用い
られる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20
℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例
えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタ
クレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェ
ニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプト
ファンのインドール保護基として用いられるホルミル基
は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール
などの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナ
トリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理に
よっても除去される。
【0019】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手
段から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別
の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−
カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側
にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした
後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみ
を除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基
のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク
質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応
の詳細については上記と同様である。縮合により得られ
た保護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべて
の保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることがで
きる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使し
て精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパ
ク質のアミド体を得ることができる。タンパク質のエス
テル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カル
ボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エス
テルとした後、タンパク質のアミド体と同様にして、所
望のタンパク質のエステル体を得ることができる。
【0020】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、公知のペプチドの合成法に従って、あるいは
本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断するこ
とによって製造することができる。ペプチドの合成法と
しては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっ
ても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し得る
部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合さ
せ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離するこ
とにより目的のペプチドを製造することができる。公知
の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の
〜に記載された方法があげられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明のタンパク質を精
製単離することができる。上記方法で得られるタンパク
質が遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩
に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、
公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0021】本発明のタンパク質をコードするポリヌク
レオチドとしては、上記した本発明のタンパク質をコー
ドする塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDN
A)を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。該ポリヌクレオチドとしては、本発明のタンパク質
をコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本
鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合
は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNA
のハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖
(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖
(すなわち、非コード鎖)であってもよい。本発明のタ
ンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて、例え
ば、公知の実験医学増刊「新PCRとその応用」15
(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方法により、
本発明のタンパク質のmRNAを定量することができ
る。本発明のタンパク質をコードするDNAとしては、
ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細
胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のc
DNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ラ
イブラリーに使用するベクターは、バクテリオファー
ジ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれで
あってもよい。また、上記した細胞・組織よりtotalR
NAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Re
verse Transcriptase Polymerase ChainReaction(以
下、RT−PCR法と略称する)によって増幅すること
もできる。具体的には、本発明のタンパク質をコードす
るDNAとしては、例えば、配列番号:2で表わされる
塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2で表わ
される塩基配列を有するDNAとハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズするDNAを有し、本発明の
タンパク質と実質的に同質の活性、例えば、レセプター
を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、ア
セチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖・遊走・分化活性(作用)などを有するタンパク質を
コードするDNAなどが用いられる。配列番号:2で表
わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例え
ば、配列番号:2で表わされる塩基配列と約70%以
上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%
以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0022】ハイブリダイゼーションは、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の
方法などに従って行なうことができる。また、市販のラ
イブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の
方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハ
イストリンジェントな条件に従って行なうことができ
る。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナト
リウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜2
0mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜
65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19m
Mで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体的
には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有す
るタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:
2で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いら
れる。本発明のタンパク質をコードするDNAの塩基配
列の一部、または該DNAと相補的な塩基配列の一部を
含有してなるポリヌクレオチドとは、下記の本発明の部
分ペプチドをコードするDNAを包含するだけではな
く、RNAをも包含する意味で用いられる。本発明に従
えば、タンパク遺伝子の複製または発現を阻害すること
のできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、
クローン化した、あるいは決定されたタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しう
る。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、タンパク遺
伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RN
Aの合成または機能を阻害することができるか、あるい
はタンパク質関連RNAとの相互作用を介してタンパク
遺伝子の発現を調節・制御することができる。タンパク
質関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオ
チド、およびタンパク質関連RNAと特異的にハイブリ
ダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内お
よび生体外でタンパク遺伝子の発現を調節・制御するの
に有用であり、また病気などの治療または診断に有用で
ある。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオ
チド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有す
るあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチ
ド、塩基配列または核酸とペプチド(タンパク質)との
間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列ま
たはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(タ
ンパク質)のアミノ酸を通常指している。タンパク遺伝
子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リ
ピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コド
ン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止コドン、
3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および
3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択し
うるが、タンパク遺伝子内の如何なる領域も対象として
選択しうる。
【0023】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なポリヌクレオチドとの関係、対象物とハイブリ
ダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、
「アンチセンス」であるということができる。アンチセ
ンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボー
スを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D−リボ
ースを含有しているポリヌクレオチド、プリンまたはピ
リミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプの
ポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有す
るその他のポリマー(例えば、市販のタンパク質核酸お
よび合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合
を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDN
AやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩
基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有す
る)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本
鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDN
A:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修
飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または
硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロ
ジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌ
クレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、
抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖
(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有し
ているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリ
ジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物
(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性
の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有する
もの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー
型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシ
ド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンお
よびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾された
その他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良
い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピ
リミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あ
るいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾さ
れたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた
糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸
基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、
あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されてい
てよい。
【0024】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られてお
り、例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
挙げられるが、それに限定されるものではない。アンチ
センス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明
の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはタンパク質
の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができ
る。該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0025】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、上記した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse
TranscriptasePolymerase Chain Reaction(以下、RT
−PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするD
NAとしては、例えば、(1)配列番号:2で表わされ
る塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有するDN
A、または(2)配列番号:2で表わされる塩基配列を
有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズするDNAを有し、本発明のタンパク質と実質
的に同質の活性、例えば、レセプターを介する細胞刺激
活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分化活
性(作用)などを有するタンパク質をコードするDNA
の部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列
番号:2で表わされる塩基配列を有するDNAとハイス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAと
しては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列と
約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましく
は約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性
を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0026】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ド(以下、本発明のタンパク質およびその部分ペプチド
を単に本発明のタンパク質と称する場合がある)をコー
ドするDNAのクローニングの手段としては、本発明の
タンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有する
合成DNAプライマーを用いて、PCR法によって前記
DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅する
か、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明
のタンパク質の一部あるいは全領域を有するDNA断片
もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリ
ダイゼーションによって選別することができる。ハイブ
リダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook e
t al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載
の方法などに従って行なうことができる。また、市販の
ライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載
の方法に従って行なうことができる。クローン化された
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAは、目的によりそのまま、または所望により制
限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用す
ることができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始
コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳
終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有し
ていてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コド
ンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加するこ
ともできる。本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドをコードするDNAの発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のタンパク質をコードするDNA(例え
ば、cDNA)から目的とするDNA断片を切り出し、
(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモー
ターの下流に連結することにより製造することができ
る。
【0027】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13, pET−3c, pIVEX)、枯草菌由来の
プラスミド(例、pUB110,pTP5,pC19
4)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH1
5)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウ
イルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの
動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pR
c/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoな
どが用いられる。本発明で用いられるプロモーターとし
ては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロ
モーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物
細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、
SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプ
ロモーター、HSV-TKプロモーター、ヒトelongatio
nfactor 1α(EF−1α)などがあげられる。これら
のうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなど
を用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、r
ecAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロ
モーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、S
PO1プロモーター、SPO2プロモーター、penP
プロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5
プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモータ
ー、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細
胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プ
ロモーターなどが好ましい。
【0028】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
と略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐
性)等があげられる。特に、CHO(dhfr)細胞
を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する
場合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タ
ンパク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属
菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・
シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合
は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シ
グナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・
シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動
物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル
配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子
・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このように
して構築された本発明のタンパク質をコードするDNA
を含有するベクターを細胞に導入することによって形質
転換体を製造することができる。
【0029】宿主としては、例えばエシェリヒア属菌、
バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが
用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1
〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えばバチルス・サ
チルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,2
4巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistr
y),95巻,87(1984)〕などが用いられる。酵
母としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R,N
A87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサ
ッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pomb
e)NCYC1913,NCYC2036、ピキア・パ
ストチス(Pichia pastoris)などが用いられる。昆虫
細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合
は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperd
a cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のM
G1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM
胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena ac
rea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNP
Vの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN
細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例え
ば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以
上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13,
213-217,(1977))などが用いられる。昆虫としては、
例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチ
ャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
【0030】動物細胞としては、例えば、サル細胞CO
S−1、COS−7、Vero細胞、チャイニーズハム
スター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhf
r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO(dhfr)細胞と略記)、L細胞、ミエ
ローマ細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細
胞、BALB3T3細胞、Sp-2/O細胞などが用い
られる。これらの中でもCHO細胞、CHO(dhfr
)細胞、293細胞などが好ましい。エシェリヒア属
菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイ
ズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に従
って行なうことができる。バチルス属菌を形質転換する
には、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジ
ェネティックス(Molecular & General Genetics),
168巻,111(1979)などに記載の方法に従って
行なわれる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッ
ズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)に記載の方
法に従って行なわれる。昆虫細胞や昆虫を形質転換する
には、例えばバイオ/テクノロジー(Bio/Technolog
y),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なう
ことができる。動物細胞を形質転換するには、例えば、
細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール,26
3−267(1995)(秀潤社発行)に記載の方法に従
って行なうことができる。
【0031】発現ベクターの細胞への導入方法として
は、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham F. L. and v
an der Eb A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-46
7(1973)〕、DEAE−dextran法〔Sompayrac
L.M. and Danna K.J. プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)7
8, 7575-7578, 1981〕、リポフェクション法〔Malone
R.W. et al. プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc.Natl. Acad. Sci. USA)86, 6077-608
1, 1989〕、電気穿孔法〔Nuemann E. et al. エンボ・
ジャーナル(EMBO J.) 1, 841-845(1982)〕等があげ
られる。このようにして、本発明のタンパク質をコード
するDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形
質転換体を得ることができる。なお、動物細胞を用い
て、本発明のタンパク質を安定に発現させる方法として
は、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体
に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方
法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にし
て形質転換体を選択することができる。さらに、このよ
うに選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、
繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のタン
パク質の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ること
ができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして
用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株
を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発
明のタンパク質をコードするDNAを細胞内で増幅させ
て、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。上
記の形質転換体を本発明のタンパク質またはその部分ペ
プチドをコードするDNAが発現可能な条件下で培養
し、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを生
成、蓄積せしめることによって、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩を製造することがで
きる。
【0032】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられ
る。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子など
を添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー
(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イ
ン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Exp
eriments in Molecular Genetics),431−433,
Cold Spring Harbor Laboratory, New York1972〕
が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば3β−インドリルアクリル酸の
ような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア
属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時
間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜4
0℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を
加えることもできる。
【0033】宿主が酵母である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkho
lder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージング
ズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5
%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、
プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(19
84)〕があげられる。培地のpHは約5〜8に調整す
るのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24
〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地と
しては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイ
チャー(Nature),195,788(1962))に非働化した10%
ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられ
る。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ま
しい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に
応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜2
0%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Scie
nce),122巻,501(1952)〕,DMEM培地
〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(195
9)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ
・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jo
urnal of the American Medical Association)199
巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング
・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカ
ル・メディスン(Proceeding ofthe Society for the B
iological Medicine),73巻,1(1950)〕などが
用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養
は通常約30℃〜40℃で約15〜72時間行ない、必
要に応じて通気や撹拌を加える。特に、CHO(dhf
)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして
用いる場合、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児
血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
【0034】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
本発明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用
い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタン
パク変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、
TMと略称する場合がある)などの界面活性剤が含まれ
ていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合
には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上
清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた
培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のタンパ
ク質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせ
て行なうことができる。これらの公知の分離、精製法と
しては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方
法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子
量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー
などの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマ
トグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、疎水
クロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフ
ィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動
法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
このようにして得られる本発明のタンパク質が遊離体で
得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方
法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた
場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、
遊離体または他の塩に変換することができる。なお、組
換え体が産生する本発明のタンパク質を、精製前または
精製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させることに
より、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に
除去することもできる。タンパク質修飾酵素としては、
例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエン
ドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼ
などが用いられる。このようにして生成する本発明のタ
ンパク質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノ
アッセイなどにより測定することができる。
【0035】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタ
ンパク質と略記する場合がある)を認識し得る抗体であ
れば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れ
であってもよい。本発明のタンパク質に対する抗体(以
下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明の
タンパク質を抗原として用い、公知の抗体または抗血清
の製造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行なうことができる。用い
られる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワ
トリがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用
いられる。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際して
は、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗
体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に
脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産
生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができ
る。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化
タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合し
た標識剤の活性を測定することにより行なうことができ
る。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルス
タインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (197
5)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、
ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス
などがあげられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、S
P2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1が好
ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細
胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜2
0:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000
〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加さ
れ、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10
分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を
実施できる。
【0036】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着さ
せた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培
養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した
抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマ
ウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられ
る)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノク
ローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体ま
たはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培
養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタン
パク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検
出する方法などが用いられる。モノクローナル抗体の選
別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうこ
とができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテ
リン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうこ
とができる。選別および育種用培地としては、ハイブリ
ドーマが生育できるものならばどのような培地を用いて
も良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%
の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10
%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業
(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(S
FM−101、日水製薬(株))などを用いることがで
きる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約3
7℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましく
は1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下
で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体
価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。 (b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例え
ば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコ
ール沈澱法、等電点沈澱法、電気泳動法、イオン交換体
(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過
法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテ
インGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合
を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なう
ことができる。
【0037】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
したがって製造することができる。例えば、免疫抗原
(タンパク質抗原)とキャリアータンパク質との複合体
をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に
温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のポリ
クローナル抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行
なうことにより製造することができる。温血動物を免疫
するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質
との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類および
キャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋
させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれ
ば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよい
が、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリ
ン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約
0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で結合させる
方法が用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカプ
リングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グ
ルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エ
ステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性
エステル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物
に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担
体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生
能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全
フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通
常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なう
ことができる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免
疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液か
ら採取することができる。抗血清中のポリクローナル抗
体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にし
て測定できる。抗体の分離精製は、上記のモノクローナ
ル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法
に従って行なうことができる。
【0038】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNAまたはmRNAに相補的な塩基配列を
有するアンチセンスDNAとしては、本発明のタンパク
質または部分ペプチドをコードするDNAまたはmRN
Aの塩基配列またはその一部の塩基配列に相補的な塩基
配列を有し、該タンパク質または部分ペプチドの発現を
抑制し得る作用を有するオリゴヌクレオチドまたはその
誘導体であれば、いずれのアンチセンスDNAであって
もよい。相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のタン
パク質または部分ペプチドをコードするDNAまたはm
RNAの全塩基配列または部分塩基配列と約40%以
上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%
以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有する
塩基配列などがあげられる。特に、本発明のDNAまた
はmRNAの全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN
末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コ
ドン付近の塩基配列など)と約40%以上、好ましくは
約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好
ましくは約90%以上の相同性を有するアンチセンスD
NAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公
知のDNA合成装置などを用いて製造することができ
る。
【0039】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩は、例えば、レセプターを介する細胞刺
激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞
の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用などの作用を
有している。したがって、本発明のタンパク質、その部
分ペプチドまたはそれらの塩はさまざまな用途に用いる
ことができる。以下に、本発明のタンパク質、その部分
ペプチドまたはそれらの塩(本発明のタンパク質と略記
する場合がある)、本発明のタンパク質をコードするD
NA(本発明のDNAと略記する場合がある)、本発明
のタンパク質に対する抗体(本発明の抗体と略記する場
合がある)およびアンチセンスDNAの用途を説明す
る。
【0040】(1)各種疾病の治療・予防剤などの医薬 本発明のタンパク質は、細胞の分化・増殖、細胞の維
持、組織の形成・増強・新生・分化作用などを有している
ので、本発明のタンパク質および本発明のDNAは、例
えば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓
病、糖尿病、肥満症、腎臓病、心臓病、骨・関節疾患な
どの予防・治療剤などの医薬として有用である。本発明
のタンパク質または本発明のDNAを上記の医薬として
使用する場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤な
どとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学
的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤など
の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明
のタンパク質あるいはDNAを生理学的に認められる担
体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合
剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される
単位用量形態で混和することによって製造することがで
きる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲
の適当な用量が得られるようにするものである。本発明
のDNAを用いる場合は、該DNAを単独あるいはレト
ロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ
ウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当
なベクターに挿入した後、常套手段に従って投与するこ
とができる。錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、
ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例
えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)な
どと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸
ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウ
ム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニ
ウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血
清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、
通常、適当なアンプルに充填される。
【0041】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該タンパク質またはDNAの
投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に通常成人の肝硬変患者(60kgとして)
においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常成人の肝硬変患者(体重60kgとして)において
は、一日につき有効成分を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0042】(2)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モ
ルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、
イヌ、サルなど)における本発明のタンパク質またはそ
の部分ペプチドをコードするDNAの異常(遺伝子異
常)を検出することができる。したがって、本発明のD
NAは、本発明のタンパク質が関与する各種疾病の遺伝
子診断剤として有用である。例えば、本発明のタンパク
質またはその部分ペプチドをコードするDNAまたはm
RNAが損傷し、欠損し、あるいはタンパク質の発現が
減少していることが検出された場合は、例えば、創傷、
火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、糖尿病、
腎臓病、心臓病、骨・関節疾患などの疾病である可能性
があると診断することができる。一方、本発明のタンパ
ク質またはその部分ペプチドをコードするDNAまたは
mRNAが増加し、あるいはタンパク質の発現が増加し
ていることが検出された場合は、例えば、胃癌、大腸
癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺
癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、
悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵
臓癌などの疾患である可能性ありと診断することができ
る。また、発明のタンパク質またはその部分ペプチドを
コードするDNAまたはmRNAが増加または減少し、
あるいはタンパク質の発現が増加または減少しているこ
とが検出された場合は、上記の疾患の他、肥満症などの
疾患である可能性ありと診断することができる。本発明
のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知の
ノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法
(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879
頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユ
ーエスエー(Proceedings of theNational Academy of
Sciences of the United States of America),第86
巻,2766〜2770頁(1989年))などにより
実施することができる。
【0043】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明の抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識す
ることができるので、被検液中の本発明のタンパク質の
定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使
用することができる。すなわち、本発明は、(i)本発
明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパ
ク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ
れた本発明のタンパク質の割合を測定することを特徴と
する被検液中の本発明のタンパク質の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および
標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反
応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する
ことを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法を提供する。上記(ii)の定量法においては、一方の
抗体が本発明のタンパク質のN端部を認識する抗体で、
他方の抗体が本発明のタンパク質のC端部に反応する抗
体であることが望ましい。
【0044】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、モノクローナル抗体と称する場合
がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を行なえる
ほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。こ
れらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、ま
た、抗体分子のF(ab')、Fab'、あるいはFab
画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明のタ
ンパク質の定量法は、特に制限されるべきものではな
く、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)に対
応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学
的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原
を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測
定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例え
ば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およ
びサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性
の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ま
しい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤とし
ては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光
物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例え
ば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、
14C〕などが、上記酵素としては、安定で比活性の
大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダー
ゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、
パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが、蛍光物
質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセ
ンイソチオシアネートなどが、発光物質としては、例え
ば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ル
シゲニンなどがそれぞれ用いられる。さらに、抗体ある
いは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用
いることもできる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラスなどが用いられる。サンドイッチ法
においては不溶化したモノクローナル抗体に被検液を反
応させ(1次反応)、さらに標識化したモノクローナル
抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標
識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタ
ンパク質量等を定量することができる。1次反応と2次
反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよ
いし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不
溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。ま
た、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用
抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1
種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的
で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明の
サンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定法にお
いては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノ
クローナル抗体は、本発明のタンパク質の結合する部位
が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次
反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次
反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質のC端部
を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好まし
くはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いら
れる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液
中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶
性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、
前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量
を測定する。被検液中の抗原量僅かであり、少量の沈降
物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレ
ーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、同書 Vol. 73(Immunochemi
calTechniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemica
l Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical
Techniques(Part D : Selected Immunoassays))、同書
Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E : Monocl
onal Antibodiesand General Immunoassay Methods))、
同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I : H
ybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以
上、アカデミックプレス社発行)などを参照することが
できる。以上のようにして、本発明の抗体を用いること
によって、本発明のタンパク質を感度良く定量すること
ができる。
【0048】さらには、本発明の抗体を用いて本発明の
タンパク質の濃度を定量することによって、本発明のタ
ンパク質が関与する各種疾病の診断を行なうことができ
る。例えば、本発明のタンパク質の濃度が減少している
場合は、例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝
臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関節疾患
などの疾患である可能性ありと診断できる。一方、本発
明のタンパク質の濃度が増加している場合は、例えば、
胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚
癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄
性白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、
肝臓癌、膵臓癌などの疾患である可能性ありと診断でき
る。また、本発明の抗体のうち、本発明のタンパク質の
活性を中和することができる抗体は、例えば胃癌、大腸
癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺
癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、
悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵
臓癌などの疾患の予防・治療剤などの医薬として使用す
ることができる。また、発明のタンパク質の濃度が増加
または減少している場合は、本発明の抗体は、上記の疾
患の他、肥満症の予防・治療剤などの医薬として使用す
ることができる。さらに、本発明の抗体は、体液や組織
などの被検体中に存在する本発明のタンパク質を検出す
るために使用することができる。さらに、本発明のタン
パク質を精製するために使用する抗体カラムの作製、精
製時の各分画中の本発明のタンパク質を検出するために
使用することができる。
【0049】(4)本発明のタンパク質に対する受容体
の決定 本発明のタンパク質もしくはその塩、または本発明の部
分ペプチドもしくはそのアミドもしくはエステルまたは
その塩は、本発明のタンパク質またはその塩に対する受
容体を探索し、または決定するための試薬として有用で
ある。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質もしく
はその塩または本発明の部分ペプチドもしくはそのアミ
ドもしくはエステルまたはその塩と、試験物質とを接触
させることを特徴とする本発明のタンパク質に対する受
容体の決定方法を提供する。試験物質としては、ヒトあ
るいは温血動物のFGFファミリー受容体(FGFR
1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)の他に、公
知の受容体(リガンドが不明ないわゆるオーファンレセ
プターを含む)、およびこれら受容体を発現した、ヒト
や温血動物の各種臓器由来の細胞または細胞膜画分など
が好適である。組換え体を用いて大量発現させた上記F
GFファミリー受容体、公知の受容体や各種細胞または
膜画分などを本発明のタンパク質に添加し、細胞刺激活
性などを測定しながら分画し、最終的に単一の受容体を
得ることができる。
【0050】具体的には、本発明の受容体決定方法は、
本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドもしくは
その塩等を用いるか、または組換え型タンパク質の発現
系を構築し、該発現系を用いた結合アッセイ系を用いる
ことによって、本発明のタンパク質に結合して細胞刺激
活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内c
GMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fos活性化、
pHの低下などを促進する活性または抑制する活性)を
有する受容体タンパク質またはその塩を決定する方法で
ある。本発明の受容体決定方法においては、本発明のタ
ンパク質またはその部分ペプチドと試験物質とを接触さ
せた場合の、例えば、該タンパク質または該部分ペプチ
ドに対する試験物質の結合量や、細胞刺激活性などを測
定することを特徴とする。
【0051】より具体的には、本発明は、 標識した試験物質を、本発明のタンパク質もしくはそ
の塩または本発明の部分ペプチドもしくはそのアミドも
しくはエステルまたはその塩に接触させた場合におけ
る、標識した試験物質の該タンパク質もしくはその塩、
または該部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはエス
テルまたはその塩に対する結合量を測定することを特徴
とする本発明のタンパク質またはその塩に対する受容体
の決定方法、 試験物質を、標識した本発明のタンパク質もしくはそ
の塩または本発明の部分ペプチドもしくはそのアミドも
しくはエステルまたはその塩に接触させた場合におけ
る、試験化合物の該タンパク質もしくはその塩、または
該部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはエステルま
たはその塩に対する結合量を測定することを特徴とする
本発明のタンパク質またはその塩に対する受容体の決定
方法、
【0052】試験物質を、本発明のタンパク質に接触
させた場合における、レセプタータンパク質を介した細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞
内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位
変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性
化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性
など)を測定することを特徴とする本発明のタンパク質
またはその塩に対する受容体の決定方法、 試験物質を、本発明のタンパク質を含有する細胞に接
触させた場合における、レセプタータンパク質を介した
細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコ
リン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細
胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電
位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活
性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活
性など)を測定することを特徴とする本発明のタンパク
質またはその塩に対する受容体の決定方法、および 試験物質を、本発明のタンパク質をコードするDNA
を含有する形質転換体を培養することによって細胞内、
細胞外もしくは細胞膜上に発現したタンパク質に接触さ
せた場合における、レセプタータンパク質を介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性
化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性
など)を測定することを特徴とする本発明のタンパク質
またはその塩に対する受容体の決定方法を提供する。 特に、上記〜の試験を行ない、試験物質が本発明の
タンパク質に結合することを確認した後に、上記〜
の試験を行なうことが好ましい。
【0053】まず、受容体決定方法に用いるタンパク質
としては、上記した本発明のタンパク質または本発明の
部分ペプチドを含有するものであれば何れのものであっ
てもよいが、動物細胞を用いて大量発現させたタンパク
質が適している。本発明のタンパク質を製造するには、
上記の発現方法が用いられるが、該タンパク質をコード
するDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現することに
より行なうことが好ましい。目的とするタンパク質部分
をコードするDNA断片には、通常、相補DNAが用い
られるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例
えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発明
のタンパク質をコードするDNA断片を宿主動物細胞に
導入し、それらを効率よく発現させるためには、該DN
A断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核
多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;NP
V)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプロ
モーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオ
ネインプロモーター、ヒトヒートショックプロモータ
ー、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモ
ーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現したタ
ンパク質の量と質の検査は公知の方法で行うことができ
る。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Che
m.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従
って行うことができる。
【0054】したがって、本発明の受容体決定方法にお
いて、本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩等を含有するものとしては、公知の方法に従
って精製したタンパク質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩等であってもよいし、該タンパク質を含有する
細胞またはその細胞膜画分を用いてもよい。本発明の受
容体決定方法において、本発明のタンパク質を含有する
細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホル
マリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方
法に従って行なうことができる。本発明のタンパク質を
含有する細胞としては、本発明のタンパク質を発現した
宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞
膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得ら
れる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破
砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで
細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロ
ン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、
フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルか
ら噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜
の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法など
の遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、
細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で
短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに
高速(15000rpm〜30000rpm)で通常3
0分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該
膜画分中には、発現したタンパク質と細胞由来のリン脂
質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
【0055】該タンパク質を含有する細胞やその膜画分
中のタンパク質の量は、1細胞当たり103〜108分子
であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適
である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりの受容体
結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニン
グ系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大
量の試料を測定できるようになる。本発明のタンパク質
またはその塩に対する受容体を決定する上記の〜の
方法を実施するためには、適当な試験物質または本発明
のタンパク質画分と、標識した試験物質または標識した
本発明のタンパク質が必要である。試験物質としてはヒ
トあるいは温血動物のFGFファミリー受容体(FGF
R1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)の他に、
公知の受容体(リガンドが不明ないわゆるオーファンレ
セプターを含む)、およびこれら受容体を発現した、ヒ
トや温血動物の各種臓器由来の細胞または細胞膜画分な
どが好適である。組換え体を用いて大量発現させた上記
FGFファミリー受容体、公知の受容体や各種細胞また
は膜画分などがより好ましい。本発明のタンパク質画分
としては、天然型のタンパク質画分か、またはそれと同
等の活性を有する組換え型タンパク質画分などが望まし
い。ここで、同等の活性とは、同等の受容体結合活性、
シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験物質と
しては、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕など
で標識したヒトあるいは温血動物のFGFファミリー受
容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR
4)の他に、公知の受容体などが好適である。標識した
本発明のタンパク質としては、〔3H〕、〔125I〕、〔
14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のタンパク質な
どが好適である。
【0056】具体的には、本発明のタンパク質またはそ
の塩に対する受容体の決定方法を行なうには、以下の方
法に従えばよい。 (A)本発明のタンパク質または該タンパク質を含有す
る細胞もしくは細胞の膜画分を、決定方法に適したバッ
ファーに懸濁することにより(FGF)タンパク質標品を
調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくは
pH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッフ
ァーなどのリガンド(本発明のタンパク質)とレセプタ
ータンパク質との結合を阻害しないバッファーであれば
いずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的
で、CHAPS、Tween−80 TM(花王−アトラス
社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤
やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種タンパク質
をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテア
ーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的で
PMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。0.01ml〜10mlの該タンパク質
溶液に、一定量(5000cpm〜500000cp
m)の〔3H〕、〔1 25I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した試験物質を共存させる。非特異的結合量(NS
B)を知るために大過剰の未標識の試験物質を加えた反
応チューブも用意する。 (B)ヒトあるいは温血動物のFGFファミリー受容体
(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)
または公知の各種受容体を含有する細胞もしくは細胞の
膜画分を、決定方法に適したバッファーに懸濁すること
によりレセプター標品を調製する。バッファーには、p
H4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファ
ー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンド(本発明の
タンパク質)とレセプタータンパク質との結合を阻害し
ないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異
的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−
80 TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコ
レートなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチ
ンなどの各種タンパク質をバッファーに加えることもで
きる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガン
ドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−
64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテ
アーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜
10mlの該タンパク質溶液に、一定量(5000cp
m〜500000cpm)の〔3H〕、〔1 25I〕、〔14
C〕、〔35S〕などで標識した本発明のタンパク質を共
存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過
剰の未標識の本発明のタンパク質を加えた反応チューブ
も用意する。上記(A)または(B)の調製後、反応は
約0℃〜50℃、望ましくは約4℃〜37℃で、約20
分〜24時間、望ましくは約30分〜3時間行なう。反
応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファー
で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液
体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンター
で計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NS
B)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越え
る試験物質を本発明のタンパク質またはその塩に対する
受容体として選択することができる。
【0057】本発明のタンパク質またはその塩に対する
受容体を決定する上記の〜の方法を実施するために
は、試験物質に含まれる各種レセプタータンパク質を介
する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチ
ルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fo
sの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制
する活性など)を公知の方法または市販の測定用キット
を用いて測定することができる。具体的には、まず、各
種レセプタータンパク質を含有する細胞をマルチウェル
プレート等に培養する。受容体決定を行なうにあたって
は前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適
当なバッファーに交換し、本発明のタンパク質などを添
加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出ある
いは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法
に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例
えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分
解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する
阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、c
AMP産生抑制などの活性については、フォルスコリン
などで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対
する産生抑制作用として検出することができる。
【0058】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に結合する受容体決定用キットは、本発明のタンパク
質もしくはその塩、本発明の部分ペプチドもしくはその
アミド、エステルまたはその塩、本発明のタンパク質を
含有する細胞などを含有するものである。本発明の受容
体決定用キットの例としては、次のものが挙げられる。 1.受容体決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 各種レセプタータンパク質標品(試験物質) 各種レセプタータンパク質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識した本発明のタンパク質 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した本発明のタンパク質、または適当な方法で標識
化したもの水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃
にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈す
る。水に難溶性を示す場合は、ジメチルホルムアミド、
DMSO、メタノール等に溶解する。 標識していない本発明のタンパク質 標識した本発明のタンパク質と同じものを100〜10
00倍濃い濃度に調製する。
【0059】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した各種レセプタ
ータンパク質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 標識した本発明のタンパク質を5μl加え、室温にて
1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには標識
していない本発明のタンパク質を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識した本発明のタンパク質を0.
2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シ
ンチレーターA(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。
【0060】本発明のタンパク質またはその塩に結合す
ることができる受容体としては、本発明のタンパク質を
リガンドとして認識するものであれば何れのものであっ
てもよいが、例えば、ヒトあるいは温血動物の各種臓
器、例えば脳、下垂体、心臓、膵臓、脂肪組織、乳腺、
精巣などの膜画分に特異的に存在するFGFファミリー
受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGF
R4)などが挙げられる。しかし、特にヒト由来の臓器
は入手が極めて困難なことから、組換え体を用いて発現
させた本発明のタンパク質の受容体などが適している。
本発明のタンパク質に対する受容体タンパク質は、前述
の本発明のタンパク質の製造方法に準じて製造すること
ができる。本発明のタンパク質に対する受容体タンパク
質の部分ペプチドは前述の本発明のタンパク質の部分ペ
プチドの製造方法に準じて製造することができる。本発
明のタンパク質に対する受容体タンパク質の塩としては
前記した本発明のタンパク質の塩と同様のものが挙げら
れる。
【0061】(5)医薬候補化合物のスクリーニング (A)レセプターアゴニストまたはアンタゴニストのス
クリーニング方法 本発明のタンパク質とその受容体(以下、レセプターと
称する場合がある)を用いたリガンド・レセプター結合
アッセイ系を構築することによって、本発明のタンパク
質と同様の作用を有する医薬候補化合物のスクリーニン
グや、本発明のタンパク質の作用を阻害する医薬候補化
合物のスクリーニングを行なうことができる。すなわ
ち、本発明は、本発明のタンパク質を用いるレセプター
アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法
を提供する。より具体的には、本発明は、(1)(i)
レセプターまたはその部分ペプチドに、本発明のタンパ
ク質を接触させた場合と(ii)レセプターまたはその部
分ペプチドに、本発明のタンパク質および試験化合物を
接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニン
グ方法、および(2)(i)レセプターを含有する細胞
またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質を接触さ
せた場合と(ii)レセプターを含有する細胞またはその
細胞膜画分に、本発明のタンパク質および試験化合物を
接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニン
グ方法を提供する。
【0062】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、
レセプターまたはレセプターを含有する細胞等に対する
本発明のタンパク質の結合量、レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低
下など)、血管新生活性(作用)、細胞の分化・増殖、
細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用などを測
定して、比較することを特徴とするものである。より具
体的には、本発明は、(1a)(i)標識した本発明の
タンパク質を、レセプターまたはその部分ペプチドに接
触させた場合と、(ii)標識した本発明のタンパク質お
よび試験化合物を、レセプターまたはその部分ペプチド
に接触させた場合における、標識した本発明のタンパク
質の該レセプターまたはその部分ペプチドまたはそれら
の塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とす
るレセプターアゴニストまたはアンタゴニストのスクリ
ーニング方法、(2a)(i)標識した本発明のタンパ
ク質を、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画
分に接触させた場合と、(ii)標識した本発明のタンパ
ク質および試験化合物を、レセプターを含有する細胞ま
たはその細胞膜画分に接触させた場合における、標識し
た本発明のタンパク質の該細胞またはその細胞膜画分に
対する結合量を測定し、比較することを特徴とするレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニン
グ方法、および(2b)(i)本発明のタンパク質を、
レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)
本発明のタンパク質および試験化合物を、レセプターを
含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを
介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセ
チルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内c
AMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸
産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、
pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞の分化
・増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用
などを測定し、比較することを特徴とするレセプターア
ゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法を
提供する。
【0063】上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法において、レセプターに結合して、本発明の
タンパク質とレセプターとの結合を阻害する化合物がレ
セプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択で
きる。上記(2b)のスクリーニング方法において、レ
セプターに結合し、該レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)を
促進する活性、血管新生活性(作用)、細胞の分化・増
殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用など
を有する化合物をレセプターアゴニストとして選択する
ことができ、一方、該細胞刺激活性を抑制する活性、血
管新生活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、
組織の形成・増強・新生・分化作用などの作用を抑制する
化合物をレセプターアンタゴニストとして選択すること
ができる。また、上記の(1a)または(2a)のスク
リーニング方法において、本発明のタンパク質とレセプ
ターとの結合を阻害する活性が認められた試験化合物の
中で、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タン
パク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性
(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成
・増強・新生・分化作用などの活性を有する化合物をレセ
プターアゴニストとして選択することができ、これらの
活性を抑制する化合物をレセプターアンタゴニストとし
て選択することができる。
【0064】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしては、本発明のタンパク質をリガンドと
して認識するものであれば何れのものであってもよい
が、例えば上記(4)項に記された受容体の決定方法に
したがって決定された受容体が挙げられ、ヒトあるいは
温血動物の各種臓器、例えば脳、下垂体、心臓、膵臓、
脂肪組織、乳腺、精巣などに特異的に存在するFGFフ
ァミリー受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR
3、FGFR4)などが好ましい。これらのレセプター
および本発明のタンパク質に対するレセプターは、公知
のタンパク質の精製方法に従って入手することができ、
また、公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターを
コードするDNAをクローニングした後、前記した本発
明のタンパク質の発現方法に従って目的とするレセプタ
ーを入手することもできる。該レセプターの部分ペプチ
ドとしては、全長レセプターを適当に切断して得られる
部分ペプチドを用いることができる。標識した本発明の
タンパク質としては、例えば、〔H〕、
125I〕、〔 14C〕、〔35S〕などで標識した
本発明のタンパク質などを用いることができる。
【0065】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質
の発現方法などに従って製造することができる。また、
上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞株
(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞株
(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(AM
ERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227, 198
7)などの株化細胞を用いることもできる。本発明のス
クリーニング方法において、レセプターを含有する細胞
を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリ
ンなどで固定化することができる。固定化方法は、公知
の方法に従って行うことができる。
【0066】上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる
細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方
法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞
を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン
(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フ
レンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから
噴出させることによる破砕などがあげられる。細胞膜の
分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの
遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細
胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短
時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高
速(15000rpm〜30000rpm)で通常30
分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜
画分中には、発現したレセプターまたは本発明のタンパ
ク質と、細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成
分が多く含まれる。該レセプターを含有する細胞やその
細胞膜画分中のレセプターの量は、1細胞当たり10
〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子
であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分
当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感
度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでな
く、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0067】試験化合物としては、例えばタンパク質、
タンパク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生
産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが
あげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。本発明のスクリーニ
ング方法において、本発明のタンパク質とレセプターと
の反応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。
具体的には、上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法を実施するには、まず、本発明のレセプター
を含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプ
ターまたはその部分ペプチドを、スクリーニングに適し
たバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調
製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましく
は、pH約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸
バッファーなどの、本発明のタンパク質とレセプターと
の結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよ
い。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギ
トニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファ
ーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによる
レセプターやリガンドの分解を抑える目的で、PMS
F、ロイペプチン、バシトラシン、アプロチニン、E−
64(タンパク質研究所製)、ペプスタチンなどのプロ
テアーゼ阻害剤を添加することもできる。一方、細胞が
固定化細胞の場合、培養器に固定化させたまま、つまり
細胞を生育させた状態で、あるいはグルタルアルデヒド
やパラホルムアルデヒドで固定した細胞を用いて、本発
明のタンパク質とレセプターを結合させることができ
る。
【0068】この場合、該緩衝液は培地やハンクス液な
どが用いられる。そして、0.01ml〜10mlの該
レセプター溶液に、一定量(例えば、2000Ci/m
molの場合、約10000cpm〜1000000c
pm)の標識した本発明のタンパク質(例えば、〔
125I〕で標識した本発明のタンパク質)を添加し、
同時に10−4M〜10−10Mの試験化合物を共存さ
せる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の
未標識の本発明のタンパク質を加えた反応チューブも用
意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から3
7℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時
間行なう。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の
同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する
放射活性(例えば、〔125I〕の量)を液体シンチレ
ーションカウンターまたはγ−カウンターで測定する。
濾過には、マニホールドやセルハーベスターを用いるこ
とができるが、セルハーベスターを用いることが効率を
上げるために望ましい。拮抗する物質がない場合のカウ
ント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカ
ウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結
合量(B−NSB)が、例えばカウント(B−NS
B)の50%以下になる試験化合物をアゴニストまたは
アンタゴニスト候補化合物として選択することができ
る。
【0069】また、上記(2b)のスクリーニング方法
を実施するためには、レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)、
血管新生活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維
持、組織の形成・増強・新生・分化作用などの活性を公知
の方法あるいはそれに準じる方法に従って測定すること
ができる。具体的には、まず、レセプターを含有する細
胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニン
グを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細
胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化
合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細
胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそ
れぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標と
する物質((例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低
下など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検
定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加して
アッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制な
どの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎
的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用
として検出することができる。
【0070】血管新生活性(作用)、細胞の分化・増
殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用の測
定は公知の方法に準じて測定することができる。上記
(2b)のスクリーニング方法において、試験化合物を
添加した際にレセプターを含有する細胞が、該レセプタ
ーを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞
内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリ
ン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞の
分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化
作用の上昇などを示した場合、該試験化合物をレセプタ
ーアゴニスト候補化合物として選択することができる。
一方、試験化合物を添加した際にレセプターを含有する
細胞が、該レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、
アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生
活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の
形成・増強・新生・分化作用の低下などを示した場合、該
試験化合物をレセプターアンタゴニスト候補化合物とし
て選択することができる。
【0071】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞もしくはその細胞膜画分等を含有するものであ
る。本発明のスクリーニング用キットの例としては、次
のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継
代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養
したもの。 標識した本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を〔H〕、〔12 I〕、〔14C〕、〔35S〕
などで標識したもの。 本発明のタンパク質標準液 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む
PBSで0.1mMとなるように溶解し、−20℃で保
存したもの。
【0072】〔測定法〕 12穴組織培養用プレートにて培養した組換え型レセ
プターを含有するCHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加
えた後、5nMの標識した本発明のタンパク質を5μl
加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知
るためには試験化合物のかわりに10−4Mの本発明の
タンパク質を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識した本発明のタンパク質を0.
5mlの0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4
mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合す
る。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。なお、〔 125
I〕で標識されている場合は、液体シンチレーターと混
合することなしに直接ガンマーカウンターで測定でき
る。
【0073】〔数1〕 PMB=100×(B−NSB)/(B−NSB) PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の結合量 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B :最大結合量
【0074】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニン
グするための試薬として有用である。本発明のスクリー
ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のタンパク質とレセ
プターとの結合を阻害する化合物であり、具体的には、
該レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の
変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク
質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用などの作用を有する化合物またはその
塩(いわゆる、レセプターアゴニスト)、あるいは該レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質
のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用を抑制する化合物またはその塩(いわ
ゆる、レセプターアンタゴニスト)である。
【0075】レセプターアゴニストは、本発明のタンパ
ク質が有する生理活性の全部または一部を有しているの
で、該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用
である。例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝
臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関節疾患
などの疾病の予防・治療剤などの医薬として有用であ
る。一方、レセプターアンタゴニストは、本発明のタン
パク質が有する生理活性の全部または一部を抑制するこ
とができるので、該生理活性を抑制する安全で低毒性な
医薬として有用である。例えば、胃癌、大腸癌、直腸
癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣
癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性黒色
腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵臓癌など
の疾患の予防・治療剤などの医薬として有用である。ま
た、レセプターアゴニストまたはアンタゴニストは、上
記の疾患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤などの
医薬として有用である。上記レセプターアンタゴニスト
またはレセプターアゴニストを上記の医薬として使用す
る場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カ
プセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとし
て経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許
容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射
剤の形で非経口的に使用できる。例えば、上記レセプタ
ーアンタゴニストまたはレセプターアゴニストを生理学
的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐
剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤
実施に要求される単位用量形態で混和することによって
製造することができる。これら製剤における有効成分量
は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするも
のである。錠剤、カプセル剤などに混和することができ
る添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、
ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例
えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)な
どと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸
ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウ
ム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニ
ウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血
清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、
通常、適当なアンプルに充填される。
【0076】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該レセプターアゴニストの投
与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に通常成人の肝硬変患者(60kgとして)
においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常成人の肝硬変患者(体重60kgとして)において
は、一日につき有効成分を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。該レセプターアンタゴ
ニストの投与量は、症状などにより差異はあるが、経口
投与の場合、一般的に通常成人の癌患者(60kgとし
て)においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常成人の癌患者(体重60kgとして)において
は、一日につき有効成分を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0077】(B)本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼ阻害剤のスクリーニング方法およびスクリー
ニング用キット 本発明のタンパク質またはその塩は生体内に存在するプ
ロテイナーゼによって切断され、失活すると考えられ
る。したがって、本発明のタンパク質および本発明のタ
ンパク質を分解するプロテイナーゼを用いることによっ
て、本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻
害する活性を有する化合物を選択することができる。該
プロテイナーゼを阻害する活性を有する化合物は、生体
内における本発明のタンパク質の失活を防ぐことによ
り、細胞間接触に依存しない発明のタンパク質の活性を
促進することができるので、例えば、創傷、火傷、血栓
症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心
臓病、骨・関節疾患などの疾患の予防・治療剤などの医
薬として期待できる。すなわち、本発明は、本発明のタ
ンパク質を用いることを特徴とする本発明のタンパク質
を分解するプロテイナーゼを阻害する活性を有する化合
物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。より
具体的には、本発明は、(1)(i)本発明のタンパク
質を分解するプロテイナーゼと本発明のタンパク質とを
インキュベートした後、レセプターを含有する細胞に接
触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質を分解する
プロテイナーゼおよび試験化合物と本発明のタンパク質
とをインキュベートした後、レセプターを含有する細胞
に接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本
発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する
活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法
を提供する。具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、
レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン
酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質
のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用などの活性を測定して、比較すること
を特徴とするものである。
【0078】より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと
本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レセプ
ターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明
のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび試験化合
物と本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レ
セプターを含有する細胞に接触させた場合における、レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質
のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用などの活性を測定し、比較することを
特徴とする本発明のタンパク質を分解するプロテイナー
ゼを阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリ
ーニング方法を提供する。
【0079】上記のスクリーニング方法において、該レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質
のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用などの活性を促進する試験化合物を本
発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する
活性を有する化合物またはその塩として選択することが
できる。本発明のスクリーニング方法に用いられるレセ
プターとしては、本発明のタンパク質をリガンドとして
認識するものであれば何れのものであってもよいが、例
えば上記(4)項に記された受容体の決定方法にしたが
って決定された受容体が挙げられ、ヒトあるいは温血動
物の各種臓器、例えば脳、下垂体、心臓、膵臓、脂肪組
織、乳腺、精巣などに特異的に存在するFGFファミリ
ー受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FG
FR4)などが好ましい。本発明のタンパク質に対する
レセプターは、公知のタンパク質の精製方法に従って入
手することができ、また、公知の遺伝子工学的手法に従
って該レセプターをコードするDNAをクローニングし
た後、前記した本発明のタンパク質の発現方法に従って
目的とするレセプターを入手することもできる。
【0080】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質
の発現方法などに従って製造することができる。また、
上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞株
(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞株
(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(AM
ERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227, 198
7)などの株化細胞を用いることもできる。
【0081】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、公知の方法に従って行うことができ
る。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画分として
は、前記したものと同様のものを用いることができる。
試験化合物としては、例えばタンパク質、タンパク、非
タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽
出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられ、こ
れら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化
合物であってもよい。本発明のスクリーニング方法にお
いて、プロテイナーゼと本発明のタンパク質とのインキ
ュベートは、通常数時間、約37℃で行なうことができ
る。また、この反応混合物とレセプターを含有する細胞
との反応は、通常数時間、約37℃で行なうことができ
る。レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度
の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イ
ノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパ
ク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織の形成・増
強・新生・分化作用などの測定は前記と同様にして行なう
ことができる。
【0082】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質および本発明のタンパク質を分解するプ
ロテイナーゼを、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニン
グ用キットの例としては、次のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継
代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養
したもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質または本発明の部分ペプチドもしく
はそのアミド、エステルまたはその塩 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ標品 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ
【0083】〔測定法〕 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと本発
明のタンパク質とを約37℃で数時間インキュベートす
る。 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび
試験化合物と本発明のタンパク質とを約37℃で数時間
インキュベートする。 上記およびで得られる反応混合物を、それぞれ本
発明のタンパク質に対するレセプターを含有する細胞と
約37℃で数時間培養する。 次いで、該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新
生活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織
の形成・増強・新生・分化作用などを前記の方法に従って
測定する。
【0084】以上のとおり、本発明のタンパク質は本発
明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する活
性を有する化合物またはその塩をスクリーニングするた
めの試薬として有用である。本発明のスクリーニング方
法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合
物またはその塩は、本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼを阻害し、該プロテイナーゼによる本発明の
タンパク質の失活を抑制する化合物である。したがっ
て、該化合物は、細胞間接触に依存しない本発明のタン
パク質による該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)、血管新
生活性(作用)、細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織
の形成・増強・新生・分化作用などの活性を促進すること
ができ、例えば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓
病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関節疾患な
ど疾患の予防・治療のための安全で低毒性な医薬として
有用である。また、該化合物は上記の疾患の他、肥満症
などの疾患の予防・治療剤としても有用である。本発明
のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを
用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用
する場合、前記したレセプターアゴニスト/アンタゴニ
ストと同様にして実施することができる。
【0085】(C)本発明のタンパク質とレセプターと
の結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法 本発明のタンパク質は、前記したヒトあるいはその他の
温血動物のFGFファミリー受容体(FGFR1、FG
FR2、FGFR3、FGFR4)などのレセプター
(以下、レセプターと略記する)に特異的に結合するこ
とができるので、本発明のタンパク質と該レセプターを
用いたリガンド・レセプター結合アッセイ系を構築する
ことによって、本発明のタンパク質が該レセプターに結
合した後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニングを行なうことができ
る。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質を用いる
ことを特徴とする本発明のタンパク質とレセプターとの
結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。より
具体的には、本発明は、(1)(i)レセプターを含有
する細胞に、本発明のタンパク質を接触させた場合と
(ii)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク
質および試験化合物を接触させた場合との比較を行なう
ことを特徴とする本発明のタンパク質とレセプターとの
結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合
物またはその塩のクリーニング方法を提供する。
【0086】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば本
発明のタンパク質とレセプターが結合した後の細胞内シ
グナル伝達などを測定して、比較することを特徴とする
ものである。より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を、レセプターを含有する細
胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質およ
び試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させ
た場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cG
MP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、
細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)を測定
し、比較することを特徴とする本発明のタンパク質とレ
セプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または
阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提
供する。
【0087】上記(1a)のスクリーニング方法におい
て、本発明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せ
ず、本発明のタンパク質による該レセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低
下など)を促進する化合物を、本発明のタンパク質とレ
セプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化
合物またはその塩として選択することができる。一方、
本発明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せず、
本発明のタンパク質による該レセプターを介する細胞刺
激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下な
ど)を阻害する作用を有する化合物を、本発明のタンパ
ク質とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を阻
害する化合物またはその塩として選択することができ
る。すなわち、本スクリーニング方法は、本発明のタン
パク質とレセプターとの結合に影響を与えず、レセプタ
ー結合後の細胞内シグナル伝達を調節(促進または抑
制)する化合物を選択する方法であるので、本スクリー
ニング方法に用いる試験化合物としては、前記したレセ
プターアゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方
法において、レセプターアゴニストまたはアンタゴニス
トとして選択されなかった化合物を用いるのが望まし
い。
【0088】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしては、本発明のタンパク質をリガンドと
して認識するものであれば何れのものであってもよい
が、例えば上記(4)項に記された受容体の決定方法に
したがって決定された受容体が挙げられ、ヒトあるいは
温血動物の各種臓器、例えば脳、下垂体、心臓、膵臓、
脂肪組織、乳腺、精巣などに特異的に存在するFGFフ
ァミリー受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR
3、FGFR4)などが好ましい。本発明のタンパク質
に対するレセプターは、公知のタンパク質の精製方法に
従って入手することができ、また、公知の遺伝子工学的
手法に従って該レセプターをコードするDNAをクロー
ニングした後、前記した本発明のタンパク質の発現方法
に従って目的とするレセプターを入手することもでき
る。該レセプターの部分ペプチドとしては、全長レセプ
ターを適当に切断して得られる部分ペプチドを用いるこ
とができる。本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質
の発現方法などに従って製造することができる。また、
上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞株
(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞株
(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(AM
ERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227, 198
7)などの株化細胞を用いることもできる。
【0089】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、公知の方法に従って行うことができ
る。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画分として
は、前記と同様のものが用いられる。試験化合物として
は、例えば、タンパク質、タンパク、非タンパク質性化
合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液などがあげられ、これら化合物は新
規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっても
よい。本発明のスクリーニング方法において、本発明の
タンパク質とレセプターを含有する細胞との反応は、通
常約37℃で数時間行なうことができる。上記(1a)
のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質に
よる該レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タン
パク質のリン酸化、pHの低下など)の測定は前記と同
様にして行なうことができる。上記(1a)のスクリー
ニング方法において、試験化合物を添加した際に、本発
明のタンパク質によるレセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低下など)が
促進された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細
胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩として
選択することができる。一方、試験化合物を添加した際
に、本発明のタンパク質によるレセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、pHの低
下など)が阻害された場合、該試験化合物をレセプター
結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはそ
の塩化合物として選択することができる。
【0090】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質を、好ましくはさらに、レセプターを含
有する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニ
ング用キットの例としては、次のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターを含有するCH
O細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継代
し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養し
たもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩 〔測定法〕細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca 2+濃度の変動、細胞
内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリ
ン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、pHの低下など)を前記の方法に従って測定する。
【0091】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プター結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬
として有用である。本発明のスクリーニング方法または
スクリーニング用キットを用いて得られる化合物または
その塩は、本発明のタンパク質とレセプターが結合した
後のレセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度
の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イ
ノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパ
ク質のリン酸化、pHの低下など)を促進する化合物ま
たはその塩、あるいは該細胞刺激活性を阻害する化合物
またはその塩である。本発明のタンパク質とレセプター
が結合した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物ま
たはその塩は、例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化
症、肝臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関
節疾患などの疾病の予防・治療剤などの安全で低毒性な
医薬として有用である。
【0092】本発明のタンパク質とレセプターが結合し
た後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその
塩は、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、
乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血
病、慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エ
イズ感染症、肝臓癌、膵臓癌などの疾患の予防・治療剤
などの安全で低毒性な医薬として有用である。本発明の
スクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用
いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用す
る場合、前記したレセプターアゴニスト/アンタゴニス
トと同様にして実施することができる。また、該細胞内
シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩
は、上記の疾患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤
などの安全で低毒性な医薬として有用である。
【0093】(6)本発明のレセプタータンパク質また
はその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスク
リーニング方法 (A)本発明のDNAは、プローブとして用いることに
より、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの発
現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いること
ができる。すなわち、本発明は、例えば、(i)非ヒト
哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離した
組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれ
る本発明のタンパク質またはその部分ペプチドのmRN
A量を測定することによる、本発明のタンパク質または
その部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリ
ーニング方法を提供する。
【0094】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドのmRNA量の測定は具体的には以下のようにして行
なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脂肪組織、乳腺、精巣など)、または臓器から単離
した組織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれ
る本発明のタンパク質またはその部分ペプチドのmRN
Aは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを
抽出し、例えば、TaqManPCRなどの手法を用いることに
より定量することができ、公知の手段によりノザンブロ
ットを行うことにより解析することもできる。 (ii)本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドを
発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、該形質
転換体に含まれる本発明のタンパク質またはその部分ペ
プチドのmRNAを同様にして定量、解析することがで
きる。
【0095】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドの発現量を変化させる化合物のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対し
て、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間
前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12
時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは
一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜
2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、また
は薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投
与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ま
しくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜2
4時間後)、細胞に含まれる本発明のタンパク質または
その部分ペプチドのmRNA量を定量、解析することに
より行なうことができ、(ii)形質転換体を常法に従い
培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間
培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、
より好ましくは2日後〜3日後)、該形質転換体に含ま
れる本発明のタンパク質またはその部分ペプチドのmR
NA量を定量、解析することにより行なうことができ
る。
【0096】(B)本発明のタンパク質に対する抗体
は、プローブとして用いることにより、本発明のタンパ
ク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合
物のスクリーニングに用いることができる。 本発明のタンパク質に対する抗体を用いる本発明のタン
パク質またはその部分ペプチドの定量方法は上記(3)
項に示した方法に準じて行なえばよい。本発明のタンパ
ク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合
物のスクリーニングは、(i)正常あるいは疾患モデル
非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレス
などを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ま
しくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前
〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、
好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後
〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと
同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(3
0分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好
ましくは1時間後〜24時間後)、細胞に含まれる本発
明のタンパク質またはその部分ペプチドの量を本発明の
タンパク質に対する抗体を用いて定量、解析することに
より行なうことができ、(ii)形質転換体を常法に従い
培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間
培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、
より好ましくは2日後〜3日後)、該形質転換体に含ま
れる本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの量を
本発明のタンパク質に対する抗体を用いて定量、解析す
ることにより行なうことができる。
【0097】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のタンパク質または
その部分ペプチドの発現量を変化させる作用を有する化
合物であり、具体的には、(イ)本発明のタンパク質ま
たはその部分ペプチドの発現量を増加させることによ
り、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリ
ン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進す
る活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、
(ロ)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの発
現量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱さ
せる化合物である。該化合物としては、ペプチド、蛋
白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など
が挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよ
いし、公知の化合物であってもよい。該細胞刺激活性を
増強させる化合物は、本発明のタンパク質等の生理活性
を増強するための安全で低毒性な医薬として有用であ
る。したがって、例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬
化症、肝臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・
関節疾患などの疾病の予防・治療剤などの医薬として有
用である。一方、該細胞刺激活性を減弱させる化合物
は、本発明のタンパク質等の生理活性を減少させるため
の安全で低毒性な医薬として有用である。したがって、
例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、
子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢
性骨髄性白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感
染症、肝臓癌、膵臓癌などの疾患の予防・治療剤などの
医薬として有用である。また、該細胞刺激活性を増強ま
たは減弱させる化合物は、上記の疾患の他、肥満症など
の疾患の予防・治療剤などの医薬として有用である。本
発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物また
はその塩は、前記したレセプターアゴニスト/アンタゴ
ニストと同様にして実施することができる。
【0098】(7)アンチセンスDNA 本発明のタンパク質をコードするDNAまたはmRNA
に相補的に結合し、該DNAもしくはmRNAや本発明
のタンパク質の発現を抑制することができるアンチセン
スDNAは、生体内において上記の作用を発揮する本発
明のタンパク質またはそれをコードするDNAの機能を
抑制することができる。したがって、該アンチセンスD
NAは、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺
癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性
白血病、慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄
腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵臓癌などの疾患の予防・
治療剤として使用することができる。また、該アンチセ
ンスDNAは、上記の疾患の他、肥満症などの疾患の予
防・治療剤として使用することができる。該アンチセン
スDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合、前
記した本発明のタンパク質またはDNAを含有する各種
疾病の治療・予防剤と同様にして実施することができ
る。さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞にお
ける本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるため
の診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用するこ
ともできる。本発明は、さらに 本発明のタンパク質をコードするRNAの一部とそれ
に相補的なRNAとを含有する二重鎖RNA、 前記二重鎖RNAを含有してなる医薬、 本発明のタンパク質をコードするRNAの一部を含有
するリボザイム、 前記リボザイムを含有してなる医薬を提供する。 これらの二重鎖RNA(RNAi;RNA interference法)、
リボザイムなどは、上記アンチセンスポリヌクレオチド
と同様に、本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)の
発現を抑制することができ、生体内における本発明のタ
ンパク質または本発明のポリヌクレオチド(例、DN
A)の機能を抑制することができるので、例えば、本発
明のタンパク質の過剰発現に起因する疾患の予防・治療
剤として用いることができる。二重鎖RNAは、公知の
方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、
本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造す
ることができる。リボザイムは、公知の方法(例、TREN
DS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準
じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して
製造することができる。例えば、本発明のタンパク質を
コードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結する
ことによって製造することができる。本発明のタンパク
質をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイ
ムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に
近接した部分(RNA断片)が挙げられる。上記の二重
鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使
用する場合、アンチセンスDNAと同様にして製剤化
し、投与することができる。
【0099】(8)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質等の活性を中和する作用を有する本
発明の抗体(中和抗体)は、例えば、 胃癌、大腸癌、
直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵
巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性黒
色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、肝臓癌、膵臓癌な
どの疾病の治療・予防剤などの医薬として使用すること
ができる。また、該抗体は、上記の疾患の他、肥満症な
どの疾患の予防・治療剤として使用することができる。
本発明のタンパク質等に対するヒト化抗体は、例えば、
胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚
癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄
性白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感染症、
肝臓癌、膵臓癌などの疾病の治療・予防剤などの医薬と
して使用することができる。また、該抗体は、上記の疾
患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤として使用す
ることができる。該ヒト化抗体は、Nat Biotechnol,1
4,845‐851.(1996) 、Nat Genet.15,146‐156.(1
997)、PNAS,97(2),722−727 (2000)等に記載の方
法に準じて作製することができる。以下、「(8)本発
明の抗体を含有する医薬」において、本発明の中和抗体
およびヒト化抗体を本発明の抗体と総称する。本発明の
抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液
剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒト
または哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、
ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非
経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、
対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、
例えば、成人の癌患者の治療・予防のために使用する場
合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜
20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg
/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/k
g体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜
3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。
他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量
を投与することができる。症状が特に重い場合には、そ
の症状に応じて増量してもよい。本発明の抗体は、それ
自体または適当な医薬組成物として投与することができ
る。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはそ
の塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦
形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または
非経口投与に適する剤形として提供される。すなわち、
例えば、経口投与のための組成物としては、固体または
液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーテ
ィング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤
(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁
剤などがあげられる。かかる組成物は公知の方法によっ
て製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希
釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠
剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、
ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0100】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に
従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に
用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁また
は乳化することによって調製する。注射用の水性液とし
ては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬
を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール
(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenatedcastor oil)〕などと併用してもよい。油
性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお上記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0101】(9)DNA転移動物の作製 さらに本発明は、本発明のタンパク質をコードするDN
A(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはそ
の変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場
合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。すなわ
ち、本発明は、[1]本発明の外来性DNAまたはその変
異DNAを有する非ヒト哺乳動物、[2]非ヒト哺乳動物
がゲッ歯動物である第[1]項記載の動物、 [3]ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第[2]項記
載の動物、および[4]本発明の外来性DNAまたはその
変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換
えベクター、および[5]第[4]項記載の組換えベクター
を含有してなる遺伝子治療用医薬などを提供するもので
ある。
【0102】本発明の外来性DNAまたはその変異DN
Aを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移
動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびそ
の始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、
非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好
ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に
8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス
法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェク
ション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラ
ン法などにより目的とする本発明の外来性DNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融合
させることにより本発明のDNA転移動物を作出するこ
ともできる。
【0103】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BA
LB/c系統,ICR系統など)またはラット(例え
ば、Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動
物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動
物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが
あげられる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動
物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん
哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩
基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、
具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換など
が生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含
まれる。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパ
ク質を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発
明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させ
るDNAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、
対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物
由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物
に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現
させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンスト
ラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本
発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高
い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモータ
ーの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコン
ストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精
卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクション
することによって本発明のDNAを高発現するDNA転
移哺乳動物を作出することができる。
【0104】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウ
ィルス(例、シミアンウィルス、サイトメガロウィル
ス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィ
ルス、ポリオウィルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モ
ルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および鳥
類(ニワトリなど)由来のものとしては、アルブミン、
インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エ
リスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナー
ゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−ト
ランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK
1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII
型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサ
ブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフ
ォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセ
プターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略され
る)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素
(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽
鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティ
ナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−
2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵
素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド
鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよび
βミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基
礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロ
ブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコン
ポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αア
クチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなど
のプロモーターなどが用いられるが、好ましくは全身で
高発現することが可能なサイトメガロウィルスプロモー
ター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)
のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモ
ーターなどを用いることができる。
【0105】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物お
よび鳥類由来の各DNAの配列を用いることができ、好
ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターな
どが用いられる。その他、目的DNAをさらに高発現さ
せる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハ
ンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロ
モーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻訳領域
間あるいは翻訳領域の3´下流に連結することも目的に
より可能である。正常な本発明のタンパク質の翻訳領域
は、各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モル
モット、ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来
のDNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよ
りゲノムDNAの全てあるいは一部として、または各種
哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、
ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来のRNA
より公知の方法により調製された相補DNAを原料とし
て取得することが出来る。また、外来性の異常DNA
は、上記の細胞または組織より得られた正常なタンパク
質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領
域を作製することができる。該翻訳領域は転移動物にお
いて発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプ
ロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流
に連結させる通常のDNA工学的手法により作製するこ
とができる。受精卵細胞段階における本発明のDNAの
転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべて
に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物
の胚芽細胞において、本発明のDNAが存在すること
は、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細
胞のすべてに本発明のDNAを保持することを意味す
る。DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞のすべてに本発明のDNAを有する。
【0106】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持するこ
とを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階における
本発明のDNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞およ
び体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。D
NA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明のDN
Aが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその
胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のDNAを過剰に
有することを意味する。DNAを受け継いだこの種の動
物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の
DNAを過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方
に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を
交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有
するように繁殖継代することができる。本発明の正常D
NAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが
高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促
進することにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢
進症を発症することがあり、その病態モデル動物として
利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転
移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、
本発明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明お
よびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能
である。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた
哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を
有することから、本発明のタンパク質に関連する疾患に
対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能であ
る。
【0107】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持する
ことを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。さらに、目的DNAを前
述のプラスミドに組み込んで原科として用いることがで
きる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常
のDNA工学的手法によって作製することができる。受
精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対
象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するよ
うに確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞に
おいて本発明の異常DNAが存在することは、作出動物
の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明
の異常DNAを有することを意味する。DNAを受け継
いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞
の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相
同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、こ
の雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該D
NAを有するように繁殖継代することができる。本発明
の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常
DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの
機能を阻害することにより最終的に本発明のタンパク質
の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデ
ル動物として利用することができる。例えば、本発明の
異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機
能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治
療方法の検討を行なうことが可能である。また、具体的
な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物
は、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症における
本発明の異常タンパク質による正常タンパク質の機能阻
害(dominant negative作用)を解明するモデルとな
る。また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動
物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有する
ことから、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症に
対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
【0108】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移哺乳動物の組織中のDNAもしく
はRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現さ
れたタンパク質組織を分析することによる、本発明のタ
ンパク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパ
ク質との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症を含む、本発明のタンパ
ク質に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、ま
た、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器
におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療
方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究
および治療に貢献することができる。また、本発明のD
NA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシ
ンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA転
移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を
行なうことが可能である。さらに、本発明のタンパク質
産生細胞の特定化、またはそれらにおけるシグナル伝達
機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本
発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研
究材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用い
て、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、
本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行
なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、
有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供す
ることが可能となる。また、本発明のDNA転移動物ま
たは本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発
明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検討、
開発することが可能である。
【0109】(10)ノックアウト動物の作製 さらに、本発明は、本発明のDNAが不活性化された非
ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非
ヒト哺乳動物を提供する。すなわち、本発明は、[1]本
発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細
胞、[2]大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を有
する細胞である第[1]項記載の胚幹細胞、[3]ネオマイ
シン耐性である第[1]項記載の胚幹細胞、[4]非ヒト哺
乳動物がゲッ歯動物である第[1]項記載の胚幹細胞、
[5]ゲッ歯動物がマウスである第[4]項記載の胚幹細
胞、[6]本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物、[7]
レポーター遺伝子が本発明のタンパク質のプロモーター
の制御下で発現しうる第[6]項記載の動物、[8]レポー
ター遺伝子が大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子で
ある第[7]項記載の動物、[9]非ヒト哺乳動物がゲッ歯
動物である第[6]項記載の動物、[10]ゲッ歯動物がマ
ウスである第[9]項記載の動物、および[11]第[7]項
記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子
の発現を検出することを特徴とする本発明のタンパク質
のプロモーター活性を促進する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。
【0110】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0111】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立
したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、
現在、一般的には129系のES細胞が使用されている
が、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代
わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を
取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスや
C57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑
により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDB
A/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用
いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が
丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウス
を背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病
態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウス
とバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL
/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得
る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後
3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期
胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よ
く多数の初期胚を取得することができる。また、雌雄い
ずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の
方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、
煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌
雄の判別を行なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判
定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の
性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例
としてあげることができる。この方法を使用すれば、従
来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要してい
たのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50
個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セ
レクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早
期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手
間は大幅に削減できる。
【0112】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0113】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0114】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のタン
パク質発現不全マウスは、本発明のタンパク質により誘
導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のタ
ンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデ
ルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法
の検討に有用である。
【0115】また、本発明のタンパク質の構造遺伝子を
レポーター遺伝子で置換された本発明のタンパク質発現
動物では、レポーター遺伝子が本発明のタンパク質のプ
ロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子
がコードする物質の発現をトレースすることにより、本
発明のタンパク質のプロモーターの活性を検出すること
ができる。例えば、本発明のタンパク質をコードするD
NA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明の
タンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の代
わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例え
ば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガ
ラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクト
シダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた
後、組織標本を1mMEDTA/PBS溶液で洗浄する
ことによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、
呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZを
コードするmRNAを検出してもよい。このような本発
明のタンパク質発現不全動物は、本発明のタンパク質の
プロモーターを活性化または不活化する物質をスクリー
ニングする上で極めて有用であり、本発明のタンパク質
発現不全に起因する各種疾患の原因究明または治療薬の
開発に大きく貢献することができる。
【0116】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0117】Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基
【0118】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル ClBzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0119】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕後述の実施例1で取得された本発明の
ヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕後述の実施例1で取得された本発明の
ヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列を示
す。 〔配列番号:3〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ー1の塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ー2の塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕後述の実施例1で取得されたFGFタ
ンパク質をコードするcDNA配列を示す。 〔配列番号:6〕後述の実施例2で用いられたペプチド
1のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:7〕後述の実施例2で用いられたペプチド
2のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:8〕後述の実施例3で用いられたFLAG
ペプチドのアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:9〕後述の実施例3で用いられたプライマ
ー3の塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕後述の実施例3で用いられたプライ
マー4の塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕pTB2172がコードするタンパ
ク質のC末端のアミノ酸配列を示す(実施例3)。 〔配列番号:12〕後述の実施例4で用いられたプライ
マー5の塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕後述の実施例4で用いられたプライ
マー6の塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕後述の実施例4で用いられたプライ
マー7の塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕後述の実施例4で用いられたM13
Rvプライマーの塩基配列を示す。
【0120】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。 実施例1 ヒト胎児肝臓由来FGFをコードするcDN
Aのクローニングと塩基配列の決定 ヒト胎児肝臓cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個
のプライマー、プライマー1(配列番号3:5'-TCCTCACAC
CAGCTACTTGCAAGG-3')およびプライマー2(配列番号4:
5'-CGACCCTAGATGAACTTGGCGAAG-3')を用いてPCR反応
を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA
1μlを鋳型として使用し、PfuTurboDNA Polymerase (S
TRATAGENE社) 0.1μl、プライマー1(配列番号:3)お
よびプライマー2(配列番号:4)を各0.4μM、dNTPsを2
00μM、および酵素に添付のバッファーを1μl加え、10
μlの液量とした。PCR反応は、94℃・1分の後、95℃
・10秒、63℃・30秒、72℃・1.5分のサイクルを30回繰
り返し、最後に72℃・7分の伸長反応を行った。該PC
R反応産物をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット
(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-
Blunt II-TOPO (Invitrogen社)へサブクローニングし
た。これを大腸菌TOP10に導入し、cDNAを持つクロ
ーンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個
々のクローンの配列を解析した結果、FGFタンパク質
をコードするcDNA配列(配列番号:5)を得た。該
FGFタンパク質のアミノ酸配列とその塩基配列は配列
番号:1及び配列番号:2にそれぞれ記載した。本cDN
A配列(配列番号:5)を含有するプラスミドをpTB216
1、また形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)TOP10
/pTB2161と命名した。このFGFタンパク質と既知ヒト
FGFタンパク質の比較を図1〜3にしめした。
【0121】実施例2 ペプチド抗体の作製と精製 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に基づき、15
アミノ酸からなる部分ペプチドを2種類合成した。即
ち、ペプチド1:Pro-Ile-Pro-Arg-Arg-His-Thr-Arg-Se
r-Ala-Glu-Asp-Asp-Ser-Cys〔配列番号:6〕、ペプチ
ド2:Gly-Arg-Val-Asn-Thr-His-Ala-Gly-Gly-Thr-Gly-
Pro-Glu-Gly-Cys〔配列番号:7〕。各々のペプチドに
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)をキャリア
タンパク質として結合させ、抗原0.5mgを完全フロイン
ドアジュバンド(Difco社)懸濁液としてウサギポリク
ローナル抗体を作製した。免疫動物は雄性ウサギKBL:JW
(11週令、オリエンタル酵母)2羽を用い、背部皮下注
射により感作したのち、14日毎にさらに3回感作を繰
り返した。各ペプチド10μg/mlをプレートに固相化し、
感作ウサギの部分血(初回感作後0,24,35日)を抗原と
反応させて力価測定を行ない、抗体価の上昇を確認した
後、52日目に全採血を行った。各抗血清(ペプチド1に
対する抗体As-2028, ペプチド2に対する抗体As-2030)
はプロテインGセファロースカラム(Amersham-Pharmacia
社)によって精製しIgG画分を調製して用いた。
【0122】実施例3 動物細胞用発現ベクターの構築 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパ
ク質に、TagとしてFLAGペプチド(Asp-Tyr-Lys-
Asp-Asp-Asp-Asp-Lys)(配列番号:8)を付加したタ
ンパク質を動物細胞で発現させるための発現ベクターの
構築を行った。まず、実施例1で得たpTB2161をテンプレ
ートとして以下のプライマーを用いてPCR反応を行っ
た。 プライマー3:5'-GCCGAGGACGACTCGGAGC-3'〔配列番号:
9〕 プライマー4:5'-GTGCCCTTCCAGCGACTCGAGATGAACTTGGCGA
AG-3'〔配列番号:10〕 反応液の組成は上記プラスミド0.2ngを鋳型として使用
し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE社) 0.1μ
l、プライマー3およびプライマー4を各0.4μM、dNTPsを
200μM、および酵素に添付のバッファーを1μl加え、10
μlの液量とした。PCR反応は、94℃1分の後、94℃1
0秒、60℃30秒、72℃ 1分のサイクルを25回繰り返した
後に72℃7分の伸長反応を行った。このPCR産物(約0.
23kb)をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット(Invi
trogen社)の方法に従ってプラスミドベクターpCR-Blun
t II-TOPO (Invitrogen社)にサブクローニングした。
この0.23kb DNA断片を組み込んだプラスミドを制限酵素
SacIおよびXhoIで切断し、0.13kb のDNA断片を調製し
た。 一方、プラスミドpTB2161を制限酵素EcoRIおよび
SacIで切断して0.7kb DNA断片を調製した。これら2種
のDNA断片を共に、EcoRI およびSalIで2重切断した
FLAG付き発現ベクターpCMV-Tag4B(STRATAGENE社)と
T4-DNAリガーゼ反応により連結して、発現プラスミドpT
B2172を構築した。pTB2172がコードする発現タンパク質
は配列番号:1で示したアミノ酸配列のC末端にさらに
Ser-Thr-Leu-Glu-Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (5
番目から最後までがFLAGペプチド)〔配列番号:1
1〕が付加したものであり、CMVプロモーターの支配
下に発現する。さらに、プラスミドpTB2172をKpnIで切
断し、T4 ポリメラーゼ反応によって平滑化してBglIIリ
ンカー(pCAGATCTG)を付加し、EcoRI-BglIIで切断して
1.0kbのDNA断片を調製した。この断片を、プラスミドpT
B1515 (J.Biol.Chem. 269,9969(1994))から調製した2.5
kb SalI-BamHI DNA断片、およびヒトelongation facto
r 1α( EF-1 α)プロモーター領域を含む1.2kb EcoRI-S
alI DNA断片 (プラスミドpEF-BOS (Nucleic Acids Res.
18, 5322(1990))のHindIII切断部位をSalIに変換し、
プロモーター領域1.2kbをEcoRI-SalIで切り出したもの)
とT4 DNAリガーゼ反応により連結して、発現プラ
スミドpTB2189を構築した。pTB2189は EF-1 αプロモー
ターの支配下に上記タンパク質を発現する。また、プラ
スミドpTB2189をSalI-HindIIIで切断して単離した2.5kb
DNA断片(EF-1 αプロモーター、上記タンパク質コード
配列、SV40由来ポリA付加配列を含む)をハムスターDHF
R遺伝子の発現プラスミドpTB348 (Cell Struct.Funct.
12, 205(1987) )のSalI-HindIII部位に挿入して、CH
O細胞導入用発現プラスミドpTB2205を構築した。FL
AGペプチドを付加しない、配列番号1のタンパク質発
現プラスミドの構築には、プラスミドpTB2161のコード
領域0.83kbを上記EF-1 αプロモーターの下流に組み込
んでpTB2206を作製した。
【0123】実施例4 大腸菌発現ベクターの構築 実施例1で得たpTB2161をテンプレートとし、以下のプ
ライマーを用いてPCR反応を行った。 プライマー5:5'-CGCATATGTTGGGGGCCCGCC-3'〔配列番
号:12〕 プライマー6:5'-CGCATATGAGCGTCCTCAGAGCCTATCC-3'
〔配列番号:13〕 プライマー7:5'-CGCATATGATCAGATCAGAGGATGCTGG-3'
〔配列番号:14〕 M13 Rvプライマー:5'-AGCGGATAACAATTTCACACAGGAAAC -
3'〔配列番号:15〕 反応液の組成は上記プラスミド0.2ngを鋳型として使用
し、Pfu Turbo DNA Polymerase (STRATAGENE社)
0.2μl、プライマー5およびM13Rvプライマーを各
0.4μM、dNTPsを200μM、および酵素に添付のバッファ
ーを2μl加え、20μlの液量とした。 PCR反応は、9
4℃1分の後、94℃10秒、60℃30秒、72℃1分のサイクル
を25回繰り返した後に72℃7分の伸長反応を行った。こ
のPCR産物を制限酵素NdeI-BamHIで処理し、0.8kbDNA
断片を精製単離して大腸菌発現用ベクターpET-3c(Ge
ne、56、125(1987))のNdeI-BamHI部位に
挿入してプラスミドpTB2191を構築した。また、プライ
マー6とRvプライマー、さらにプライマー7とRvプラ
イマーのそれぞれの組み合わせで、上記と同様のPCR
反応、制限酵素消化をおこなって0.75kbおよび0.58kb断
片を取得し、pET-3cベクターに挿入して、プラスミドpT
B2201およびpTB2202を構築した。pTB2191は配列番号:
1のタンパク質のアミノ酸残基1から251まで、pTB2201
は19から251まで、pTB2202は74から251までを発現する
構築である。さらに、これら3種のプラスミドをそれぞ
れNdeI-BamHI消化して、0.8kb、0.75kb、および0.58kb
断片を調製し、N末端にHis-Tagを付加する配列を持っ
た大腸菌発現用プラスミドpIVEX 2.4b Nde (Rosch社)の
NdeI-BamHI部位に挿入して、プラスミドpTB2204、pTB22
15、pTB2213を構築した。また、実施例3に記載のプラ
スミドpTB2172をKpnIで切断し、T4ポリメラーゼ反応
によって平滑化してBglIIリンカー(pCAGATCTG)を付加
し、SacI-BglIIで切断して0.17kbのDNA断片を調製し
た。この断片はC末端側にFLAGペプチドがコードさ
れている領域である。この0.17kb SacI-BglII断片を、
上記pTB2191のSacI-BglIIで切断される相当領域と置き
換えることによって、C末端にFLAGペプチドの付加
したタンパク質を発現させるプラスミドpTB2218を構築
した。同様にしてpTB2201からpTB2219を、pTB2202からp
TB2220を構築した。
【0124】実施例5 in vitroトランスレーション系
および大腸菌での組み換えタンパク質の産生 実施例4で得られた大腸菌発現用プラスミドpTB2191、2
201、2202、pTB2218、2219、2220、pTB2204、2213、221
5について、Rapid Translation System 500 (Roche社)
を用いてタンパク質の産生について検討した。添付マニ
ュアルに従って操作し、30℃10時間インキュベートした
後、反応混液に等量のLaemli's サンプルバッファーを
加えて95℃5分処理し、SDS-PAGEをマルチゲル10/20(第
一化学薬品)を用いて行なった。泳動分離したタンパク
質は定法に従いPVDF膜(BioRad社)に転写した後、ブロ
ックエース(雪印)中で1時間室温で振とうしてブロッキ
ングした。1次抗体による反応は実施例2で作製したペプ
チド抗体を10μg/mlの濃度となるよう加えたTBST
(20mM Tris-HCl(pH7.5), 150mM NaCl, 0.05% Tween2
0)にて室温で1時間インキュベートした。続いて2次抗
体としては抗ウサギIgG(Fc)-APコンジュゲート(Promeg
a社)を用い、TBSTで10,000倍に希釈した溶液中で1時
間室温インキュベートした。検出はWestern Blue(Prom
ega社)により添付のマニュアルに従って行った。pTB22
19を用いた場合の産物はペプチド抗体AS-2028、2030共
に、Prestained SDS-PAGE Standards, Broad Range(Bi
o-Rad社)をマーカーとして、分子量約35kD付近に本発
明のタンパク質に由来する特異的なバンドが認められ
た。そのバンドは抗FLAGモノクローナル抗体M2 (Up
stateBiotech社)を一次抗体として用いたWestern blot
実験でも検出された。実施例4で作製した大腸菌発現用
プラスミドについて上記の方法でin vitroトランスレー
ションを行い、一次抗体としてAS-2030を用いてWestern
blotを行った結果、期待される分子量に応じたバンド
がメインバンドとして検出された。また、Tagなし、
およびFLAG−Tagの前6種については、それぞれ
のプラスミドで大腸菌BL21(DE3)を形質転換して産生用
大腸菌組換え体を取得し培養を行った。0.8mMのイソプ
ロピルチオガラクトピラノシド添加後4時間の菌体を集
めて、PBSに懸濁して超音波処理により菌体を破砕しラ
イゼートを調製した。上記と同様の方法でWestern blot
により検出を行なった結果、in vitroトランスレーショ
ン系とほぼ同様の傾向のパターンが検出された。
【0125】実施例6 動物培養細胞での組換えタンパ
ク質の産生 サル腎由来COS7細胞を直径6 cmのディッシュあたり
3x105個を播種し、10%牛胎児血清(FCS)を含むDMEM (GIB
CO社)で培養した。4 μgの発現プラスミド pTB2189、pT
B2205、およびpTB2206(実施例3)をそれぞれトランス
フェクション用試薬FuGENE 6(Roche社) 12μlと共に添
付マニュアルに記載の方法に従って導入した。翌日0.1%
FCSを含むDMEMで培地交換し、さらに2日間培養を行っ
て遺伝子導入後3日目に培養上清と細胞を集めた。この
培養上清と細胞(PBS中で超音波処理により破砕したラ
イセート)にLaemliのサンプルバッファーを加え、実施
例5に記載した方法に準じてWestern blot解析を行っ
た。実施例2に記載したペプチド抗体を用いることによ
り、いずれのサンプルでも特異的に反応するバンドが35
kDa付近に2本検出された。また、抗FLAGモノクロ
ーナル抗体M2によってもpTB2189およびpTB2205を導入し
た場合に同様のパターンが検出された。ハムスターCHO/
DHFR-細胞を10%牛胎児血清を含むα-MEM培地(with rib
onucleosides and deoxyribonucleosides 、GIBCO、 Ca
t No.12571 )でファルコンディッシュ(径6cm)に3x10
5 個播種し、発現プラスミドpTB2205 DNA 4μg、ま
たはpTB2206 DNA 4μgとpTB384 0.5μgの混合物を、上
記と同様の方法でトランスフェクトし、18時間培養後
新鮮な増殖培地に交換した。さらに10時間培養を続け
たのち、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTA
処理により集め、選択培地:10% 透析牛胎児血清を含む
α-MEM培地(without ribonucleosides and deoxyribon
ucleosides 、GIBCO、 Cat No.12561)を用いて平底96
穴プレート10枚に播種した。3−4日ごとに選択培地を
交換しながら培養を続け、2−3週間後にコロニー状に
増殖してきたDHFR+ 細胞クローンを取得した。各クロー
ンの培養上清を上記Western blot法(一次抗体としてAS
-2030)で解析し、本発明のタンパク質を安定して培養
上清中に産生している細胞株(CHO2205-131930、CHO220
5-131928、CHO2206-634など)を取得した。これらの遺
伝子を導入発現した細胞を4ウェルのLab-Tekチャンバ
ー(Nunc社)に播種し、エタノール・アセトン混液で固
定してペプチド抗体AS-2030とFITC(Fluorescein-5-isot
hiocyanate)標識ヤギ抗ウサギIgG(Cappel社)を
用いて免疫蛍光染色をおこなうと、細胞質が瀰漫性に染
色されることが観察された。
【0126】実施例7 動物培養細胞で産生された組換
えタンパク質の精製 COS7細胞を径10cmのディッシュあたり1 x106 個を
播種し、プラスミドpTB2189 10μgを実施例6に記載し
た方法に従ってトランスフェクトした。翌日0.5%FCSを
添加した無血清培地ASF104(AJINOMOTO社)12 mlで培地
交換した後、2日間培養を行って培養上清を集めた。こ
の培養上清を、抗FLAG M2アフィニティーゲル(Sigma
社)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより
精製した。アフィニティーゲル4mlをTBS (50mM Tris-HC
l/150mM NaCl(pH7.4))で懸濁してカラムに充填し、0.1M
Glycin-HCl(pH3.5)で洗浄した後TBS で平衡化した。上
記COS7培養上清300mlをアプライして吸着させ、TBS
で洗浄後、100μg/mlのFLAGペプチド(Sigma社)で
溶出した。分取した各溶出液画分をペプチド抗体AS-203
0を用いたWestern blotにて解析し、主要溶出画分4mlを
25mM NaPB(pH7.4)/150mM NaClに透析した。透析後ミリ
ポアウルトラフリー(MWCO=10K)で限外濃縮して、約100
μgの標品320μlを取得した。この標品を用いて、静止
状態のBALB/c3T3-A31細胞の3H-チミジンの取り込みによ
りDNA合成誘起活性を測定した(Mol.Cell.Biol.8,588(1
988))。bFGFは0.1ng/mlでバックグランドの10倍以上の
取り込み値を示したのに対して、本標品は20ng/mlで約
2倍に取り込みが上昇した。サル腎由来CV-1細胞を用い
て同様の3H-チミジンの取り込み実験を行ったところ、b
FGFは2 ng/mlでバックグランドの約3倍の取り込み値を
示したのに対して、本標品も4 ng/mlで約3倍の取り込み
上昇を示したことから、本標品は生物活性を保持してい
るものと考えられる。また、同様の方法を用いて、FL
AG−TagをC末端に付加した組み換えタンパク質を
培養上清中に分泌する細胞株CHO2205-131930、CHO2205-
131928培養上清から組換えタンパク質を精製できた。ま
た、FLAG−Tagのない組換えタンパク質を分泌す
るCHO2206-634細胞株からは、イオン交換樹脂、ヘパリ
ンアフィニティーカラムなどを用いて培養上清から精製
することができる。
【0127】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化
症、肝臓病、膵臓病、糖尿病、腎臓病、心臓病、骨・関
節疾患などの予防・治療剤などの医薬として有用であ
る。加えて、本発明のタンパク質および本発明のDNA
は、肥満症などの予防・治療薬などの医薬として有用で
ある。また、本発明のタンパク質およびそれをコードす
るDNAは、本発明のタンパク質の活性を促進もしくは
阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのための
試薬として有用である。さらに、本発明のタンパク質に
対する抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識する
ことができるので、被検液中の本発明のタンパク質の検
出、定量、中和等に使用することができる。
【0128】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Method for producing of FGF protein <130> P2000-125A <150> JP 2000-291956 <151> 2000-09-21 <160> 15 <210> 1 <211> 251 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Leu Gly Ala Arg Leu Arg Leu Trp Val Cys Ala Leu Cys Ser Val 5 10 15 Cys Ser Met Ser Val Leu Arg Ala Tyr Pro Asn Ala Ser Pro Leu Leu 20 25 30 Gly Ser Ser Trp Gly Gly Leu Ile His Leu Tyr Thr Ala Thr Ala Arg 35 40 45 Asn Ser Tyr His Leu Gln Ile His Lys Asn Gly His Val Asp Gly Ala 50 55 60 Pro His Gln Thr Ile Tyr Ser Ala Leu Met Ile Arg Ser Glu Asp Ala 65 70 75 80 Gly Phe Val Val Ile Thr Gly Val Met Ser Arg Arg Tyr Leu Cys Met 85 90 95 Asp Phe Arg Gly Asn Ile Phe Gly Ser His Tyr Phe Asp Pro Glu Asn 100 105 110 Cys Arg Phe Gln His Gln Thr Leu Glu Asn Gly Tyr Asp Val Tyr His 115 120 125 Ser Pro Gln Tyr His Phe Leu Val Ser Leu Gly Arg Ala Lys Arg Ala 130 135 140 Phe Leu Pro Gly Met Asn Pro Pro Pro Tyr Ser Gln Phe Leu Ser Arg 145 150 155 160 Arg Asn Glu Ile Pro Leu Ile His Phe Asn Thr Pro Ile Pro Arg Arg 165 170 175 His Thr Arg Ser Ala Glu Asp Asp Ser Glu Arg Asp Pro Leu Asn Val 180 185 190 Leu Lys Pro Arg Ala Arg Met Thr Pro Ala Pro Ala Ser Cys Ser Gln 195 200 205 Glu Leu Pro Ser Ala Glu Asp Asn Ser Pro Met Ala Ser Asp Pro Leu 210 215 220 Gly Val Val Arg Gly Gly Arg Val Asn Thr His Ala Gly Gly Thr Gly 225 230 235 240 Pro Glu Gly Cys Arg Pro Phe Ala Lys Phe Ile 245 250 <210> 2 <211> 753 <212> DNA <213> Human <400> 2 ATGTTGGGGG CCCGCCTCAG GCTCTGGGTC TGTGCCTTGT GCAGCGTCTG CAGCATGAGC 60 GTCCTCAGAG CCTATCCCAA TGCCTCCCCA CTGCTCGGCT CCAGCTGGGG TGGCCTGATC 120 CACCTGTACA CAGCCACAGC CAGGAACAGC TACCACCTGC AGATCCACAA GAATGGCCAT 180 GTGGATGGCG CACCCCATCA GACCATCTAC AGTGCCCTGA TGATCAGATC AGAGGATGCT 240 GGCTTTGTGG TGATTACAGG TGTGATGAGC AGAAGATACC TCTGCATGGA TTTCAGAGGC 300 AACATTTTTG GATCACACTA TTTCGACCCG GAGAACTGCA GGTTCCAACA CCAGACGCTG 360 GAAAACGGGT ACGACGTCTA CCACTCTCCT CAGTATCACT TCCTGGTCAG TCTGGGCCGG 420 GCGAAGAGAG CCTTCCTGCC AGGCATGAAC CCACCCCCGT ACTCCCAGTT CCTGTCCCGG 480 AGGAACGAGA TCCCCCTAAT TCACTTCAAC ACCCCCATAC CACGGCGGCA CACCCGGAGC 540 GCCGAGGACG ACTCGGAGCG GGACCCCCTG AACGTGCTGA AGCCCCGGGC CCGGATGACC 600 CCGGCCCCGG CCTCCTGTTC ACAGGAGCTC CCGAGCGCCG AGGACAACAG CCCGATGGCC 660 AGTGACCCAT TAGGGGTGGT CAGGGGCGGT CGAGTGAACA CGCACGCTGG GGGAACGGGC 720 CCGGAAGGCT GCCGCCCCTT CGCCAAGTTC ATC 753 <210> 3 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA encoding novel FGF <400> 3 TCCTCACACC AGCTACTTGC AAGG 24 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA encoding novel FGF <400> 4 CGACCCTAGA TGAACTTGGC GAAG 24 <210> 5 <211> 878 <212> DNA <213> Human <400> 5 TCCTCACACC AGCTACTTGC AAGGGAGAAG GAAAAGGCCA GTAAGGCCTG GGCCAGGAGA 60 GTCCCGACAG GAGTGTCAGG TTTCAATCTC AGCACCAGCC ACTCAGAGCA GGGCACGATG 120 TTGGGGGCCC GCCTCAGGCT CTGGGTCTGT GCCTTGTGCA GCGTCTGCAG CATGAGCGTC 180 CTCAGAGCCT ATCCCAATGC CTCCCCACTG CTCGGCTCCA GCTGGGGTGG CCTGATCCAC 240 CTGTACACAG CCACAGCCAG GAACAGCTAC CACCTGCAGA TCCACAAGAA TGGCCATGTG 300 GATGGCGCAC CCCATCAGAC CATCTACAGT GCCCTGATGA TCAGATCAGA GGATGCTGGC 360 TTTGTGGTGA TTACAGGTGT GATGAGCAGA AGATACCTCT GCATGGATTT CAGAGGCAAC 420 ATTTTTGGAT CACACTATTT CGACCCGGAG AACTGCAGGT TCCAACACCA GACGCTGGAA 480 AACGGGTACG ACGTCTACCA CTCTCCTCAG TATCACTTCC TGGTCAGTCT GGGCCGGGCG 540 AAGAGAGCCT TCCTGCCAGG CATGAACCCA CCCCCGTACT CCCAGTTCCT GTCCCGGAGG 600 AACGAGATCC CCCTAATTCA CTTCAACACC CCCATACCAC GGCGGCACAC CCGGAGCGCC 660 GAGGACGACT CGGAGCGGGA CCCCCTGAAC GTGCTGAAGC CCCGGGCCCG GATGACCCCG 720 GCCCCGGCCT CCTGTTCACA GGAGCTCCCG AGCGCCGAGG ACAACAGCCC GATGGCCAGT 780 GACCCATTAG GGGTGGTCAG GGGCGGTCGA GTGAACACGC ACGCTGGGGG AACGGGCCCG 840 GAAGGCTGCC GCCCCTTCGC CAAGTTCATC TAGGGTCG 878 <210> 6 <211> 15 <212> PRT <213> Human <400> 6 Pro Ile Pro Arg Arg His Thr Arg Ser Ala Glu Asp Asp Ser Cys 5 10 15 <210> 7 <211> 15 <212> PRT <213> Human <400> 7 Gly Arg Val Asn Thr His Ala Gly Gly Thr Gly Pro Glu Gly Cys 5 10 15 <210> 8 <211> 8 <212> PRT <213> Human <400> 8 Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys 5 <210> 9 <211> 19 <212> DNA <213> Human <400> 9 GCCGAGGACG ACTCGGAGC 19 <210> 10 <211> 36 <212> DNA <213> Human <400> 10 GTGCCCTTCC AGCGACTCGA GATGAACTTG GCGAAG 36 <210> 11 <211> 12 <212> PRT <213> Human <400> 11 Ser Thr Leu Glu Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys 5 10 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Human <400> 12 CGCATATGTT GGGGGCCCGC C 21 <210> 13 <211> 28 <212> DNA <213> Human <400> 13 CGCATATGAG CGTCCTCAGA GCCTATCC 28 <210> 14 <211> 28 <212> DNA <213> Human <400> 14 CGCATATGAT CAGATCAGAG GATGCTGG 28 <210> 15 <211> 27 <212> DNA <213> Human <400> 15 AGCGGATAAC AATTTCACAC AGGAAAC 27
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFGF(New FGF)と既知FGFの配列
比較。
【図2】本発明のFGF(New FGF)と既知FGFの配列
比較(図1の続き)。
【図3】本発明のFGF(New FGF)と既知FGFの配列
比較(図2の続き)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 1/16 4C085 A61P 1/16 1/18 4C086 1/18 3/10 4H045 3/10 7/02 7/02 9/10 101 9/10 101 13/12 13/12 17/02 17/02 19/02 19/02 35/00 35/00 35/02 35/02 C07K 14/71 C07K 14/71 16/22 16/22 C12P 21/02 H C12P 21/02 C12Q 1/02 C12Q 1/02 1/68 Z 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 砂原 英次 茨城県稲敷郡阿見町大字阿見5351−5 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB02 4B024 AA01 BA21 CA04 CA12 DA02 4B063 QA01 QQ08 QQ53 QQ79 QR36 QR48 QR77 4B064 AG13 CA19 CE12 DA01 4C084 AA06 AA07 AA17 BA01 BA35 CA53 CA56 CA59 MA52 MA55 MA66 NA14 ZA451 ZA541 ZA751 ZA811 ZA891 ZA961 ZB261 ZB271 ZC781 4C085 AA13 AA14 BB11 BB31 CC04 CC05 DD22 DD23 DD34 DD43 EE01 GG01 GG08 4C086 AA01 AA04 EA16 MA01 MA52 MA55 NA14 ZA45 ZA54 ZA66 ZA75 ZA81 ZA89 ZA96 ZB26 ZB27 ZC78 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA01 DA75 EA20 FA74

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質またはその部分ペプチドをコードする塩基配
    列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチ
    ドを含有する組換えベクターで形質転換された形質転換
    体を培養し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
    ンパク質またはその部分ペプチドを生成、蓄積せしめ、
    これを採取することを特徴とする配列番号:1で表わさ
    れるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ
    酸配列を含有するタンパク質もしくはその塩、またはそ
    の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質もしくはその塩、またはその部分ペプチドも
    しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩に
    対する抗体。
  3. 【請求項3】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質の中和抗体である請求項2記載の抗体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の抗体を含有してなる診断
    薬。
  5. 【請求項5】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質もしくはその塩、またはその部分ペプチドも
    しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を
    用いることにより得られうる配列番号:1で表わされる
    アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
    列を含有するタンパク質またはその塩に対する受容体タ
    ンパク質またはその塩。
  6. 【請求項6】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質もしくはその塩、またはその部分ペプチドも
    しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を
    用いることを特徴とする配列番号:1で表わされるアミ
    ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を
    含有するタンパク質またはその塩に対する受容体の決定
    方法。
  7. 【請求項7】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質もしくはその塩、またはその部分ペプチドも
    しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を
    用いることを特徴とするレセプターアゴニストまたはア
    ンタゴニストのスクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質もしくはその塩、またはその部分ペプチドも
    しくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を
    含有することを特徴とするレセプターアゴニストまたは
    アンタゴニストのスクリーニング用キット。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のスクリーニング方法また
    は請求項8記載のスクリーニング用キットを用いて得ら
    れうるレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト。
  10. 【請求項10】 請求項7記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項8記載のスクリーニング用キットを用いて得
    られうるレセプターアゴニストまたはアンタゴニストを
    含有してなる医薬。
  11. 【請求項11】 細胞の分化・増殖、細胞の維持、組織
    の形成・増強・新生・分化作用を有する請求項10記載の
    医薬。
  12. 【請求項12】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配
    列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    るタンパク質またはその部分ペプチドをコードする塩基
    配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオ
    チドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなる
    アンチセンスポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配
    列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    るタンパク質またはその部分ペプチドをコードする塩基
    配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオ
    チドまたはその一部を用いることを特徴とする配列番
    号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的
    に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質のmRNA
    の定量方法。
  14. 【請求項14】 請求項2記載の抗体を用いることを特
    徴とする請求項1記載のタンパク質の定量方法。
  15. 【請求項15】 請求項13または14記載の定量方法
    を用いることを特徴とする配列番号:1で表わされるア
    ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列
    を含有するタンパク質の機能が関連する疾患の診断方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項13または14記載の定量方法
    を用いることを特徴とする配列番号:1で表わされるア
    ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列
    を含有するタンパク質の発現量を変化させる化合物また
    はその塩のスクリーニング方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載のスクリーニング方法
    を用いて得られうる配列番号:1で表わされるアミノ酸
    配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有
    するタンパク質の発現量を変化させる化合物またはその
    塩。
  18. 【請求項18】 請求項3記載の抗体を含有してなる医
    薬。
  19. 【請求項19】 請求項12記載のアンチセンスポリヌ
    クレオチドを含有してなる医薬。
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