JP2006525339A - フルオロブテン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

フルオロブテン誘導体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規化合物2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンと(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを提供する。また本発明は、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,3−トリフルオロブタジエンを製造する次の新規な第1及び第2方法を提供する。第1方法は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃で加熱することにより2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを製造する方法である。第2方法は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを、塩基と接触させることにより(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを製造する方法である。第1及び第2方法によれば、それぞれ目的とするフルオロブテンが高選択率をもって得られる。第3から第5の方法では、触媒の存在下で、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することにより2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、 (E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン、さらには1,1,3−トリフルオロブタジエンを製造できる。この触媒は、第6の方法において、ハロゲン含有ガスに接触させることによって再生できる。

Description

関連書類の相互参照
この明細書は、2001年5月1日にアダム・シー・アルティー及びリチャード・エー・ドゥ・デュボアソンによって米国特許商標庁に提出された「HFCの熱的脱フッ化水素反応」という名称の開示資料番号第492915号と共通する内容を含んでおり、前記開示資料から法的に得られる全ての恩恵をここに主張する。さらに、引用することによって、前記開示資料の内容をここに組み込む。 本発明は、新規のフルオロブテンに関する。また、ポリフルオロブタンを原料とし脱フッ化水素反応によりポリフルオロブテンおよびフルオロブタジエンを製造する方法に関する。
フルオロブテンおよびフルオロブタジエンは、含フッ素重合体用のモノマー、含フッ素中間体製造のための合成中間体/ビルディングブロック、およびヒドロフルオロカーボン製造のための原料として有用である。
熱的な脱ハロゲン化水素はオレフィン類の合成のための良く知られた方法である。脱塩化水素法は、炭素−炭素多重結合の生成のために広く利用されている。また、フルオロオレフィン製造のために利用されている熱的な脱塩化水素プロセスのいくつかの例がある。しかし他方、一般通念として熱的な脱フッ化水素化は低い転化率、および低い選択性のために大部分は非実用的である。
その理論的背景としては、炭素−フッ素結合が非常に強固なため、C−F結合を切断するのに必要なエネルギーが炭素−炭素結合切断のために必要なそれに近いということがある。一般にフッ化水素(HF)を脱離するのに必要な温度は、脱フッ素される部位に塩素原子を代わりに含む、類似した物質の脱塩化水素のための温度よりもはるかに高い。脱フッ化水素を行うために必要とされる高温条件下では分子の分解反応、および転位反応が競争し、選択性が低下する。特許文献1は5つの異なるヒドロフルオロカーボンの非触媒的脱フッ化水素反応は、低い選択性でフルオロオレフィンを与える事を記載している。
本発明者等の本発明に関わる検討過程においても、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン(HFC−356mfc)を630℃にてニッケル反応管に添加したところ、56%の変換率で主にトリフルオロメタンと3,3,3−トリフルオロプロペンを与え、脱フッ化水素により生成すると考えられる1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンは得られなかった(比較例1)。また、2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロプロパンを660℃で同様に処理すると、主にトリフルオロメタンと3,3,3−トリフルオロプロペンを与え、脱フッ化水素により生成すると考えられる2−トリフルオロメチル−1,1−ジフルオロプロペンは得られなかった(比較例2)。
このような問題を克服し、効率よくフルオロオレフィン類を製造するために、触媒的脱フッ化水素の開発に多くの努力が費やされてきた。触媒的プロセスによれば、上記の副反応が顕著になる温度以下でフッ化水素の脱離が起こり得、選択性が向上する期待が持たれる。特許文献2は、1,1−ジフルオロエタンの脱フッ化水素によるフッ化ビニルの製造を熱的(非触媒的)、および触媒的プロセスの双方について記述しており、触媒的プロセスの方が有用であることを示している。しかし、触媒的脱フッ化水素プロセスの大きな問題の一つは、副生成物および重合生成物による触媒の迅速な失活である。
脱フッ化水素によりフルオロオレフィン類を製造する手段としては他に、塩基との接触による方法がある。しかし一般に、塩基を用いた脱フッ化水素は、熱的な脱フッ化水素プロセスにより得られる生成物とは異なった異性体を与える場合が多く、必要とされるフルオロオレフィン類の効率的な製造方法とは言い難いものであった。
米国特許第2,480,560号明細書 米国特許第2,599,631号明細書
本発明の目的は、新規なフルオロオレフィンである、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、ならびに(E)−および (Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを提供することである。本発明のもう1つの目的は、これらの化合物、ならびに誘導体である1,1,3−トリフルオロブタジエン(1,1,3−トリフルオロ−ブタ−1,3−ジエン)の工業的に実現可能な製造方法を提供することである。
本発明者等はかかる課題を解決すべく、熱的(非触媒的)脱フッ化水素反応に適応可能な反応系について鋭意検討を重ねた結果、驚くべき事に1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが熱的、非触媒的脱フッ化水素反応により、新規な含フッ素化合物で有用な含フッ素合成中間体の原料となる2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを高選択的、高転換率で与えることを見いだした。該反応の変換率、選択率が、加熱された反応管を通過させるなどの、特定の条件下において特に高まることも併せて見出した(「第1の方法」)。
本発明者らはさらに1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することによって、新規化合物である(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを与えることを見出し、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを塩基と接触させることにより、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの選択性が特に高まることを見出し(「第2の方法」)た。

本発明者らは、さらに検討を進めた結果、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを特定触媒の存在下で加熱すると、「第1の方法」よりも穏和な条件で「第1の方法」に対応する脱フッ化水素反応が起こり、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを高収率で与えることを見いだした(「第3の方法」)。見出された触媒は、触媒寿命も長く、大規模な工業的使用にも十分耐えるものであり、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを製造する上で特に好適な方法であることが分かった。またこの反応と並行して、 (E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンが得られ(「第4の方法」)、さらに、合成中間体等として有用な1,1,3−トリフルオロブタジエンも得られる(「第5の方法」)ことを見出した。それぞれの化合物は通常、系内に同時並行的に生成するが、反応終了後に蒸留等の精製操作を行うことで、各成分に単離できることも確認された。
上記の各触媒的脱フッ化水素反応は、触媒存在下で1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することで、競合して進行するが、触媒の種類、反応温度により、化合物の選択性は異なる。すなわち、何れの化合物を目的化合物とするかにより、好ましい触媒、反応温度に相違がある。そこで以下の説明では、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを目的物とする場合を「第3の方法」、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを目的物とする場合を「第4の方法」、1,1,3−トリフルオロブタジエンを目的物とする場合を「第5の方法」と呼ぶ。
本発明者らはさらに、上記の触媒的脱フッ化水素反応について鋭意検討を重ねた結果、「第3の方法」、「第4の方法」、もしくは「第5の方法」の実施時(反応工程終了後、もしくは反応工程の途中)において、フッ化水素、塩化水素、塩素等のハロゲン含有ガスで処理することにより、触媒を効果的に再生できることを見出した(「第6の方法」)。

すなわち、本発明は安価な1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを原料とし、熱的(非触媒的)脱フッ化水素反応、触媒的脱フッ化水素反応、もしくは塩基接触脱フッ化水素反応を用い、含フッ素中間体として有用な新規化合物2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを提供する。さらに本発明はこれら2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン、さらには1,1,3−トリフルオロブタジエンの工業的規模で実施可能な製造法を提供する。
本発明の「第1の方法」および「第3の方法」、「第2の方法」および「第4の方法」はそれぞれ、次の化1および化2に要約される。
化1:「第1の方法」、「第3の方法」
Figure 2006525339
化2:「第2の方法」、「第4の方法」
Figure 2006525339
また、「第5の方法」は、化3に要約される。
化3:「第5の方法」
Figure 2006525339
以下、本発明を詳細に説明する。最初に、本発明の第1の方法である、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの熱的、非触媒的脱フッ化水素反応による2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造について述べる。このブテンは新規物質であり、その製造は今日まで記載されておらず、医農薬分野に有用な含フッ素中間体の合成原料である。
この第1の方法は、工業的に365mfcとして入手できる、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃に加熱することによって達する。この脱フッ化水素反応の温度は、通常約200℃〜約700℃の範囲で実施可能であり、好ましくは300℃〜600℃である。最適な転化率、および選択率を得るには400℃〜550℃の範囲に反応温度を維持することが有効である。
第1の方法は、実質的に塩基が共存しない条件下(すなわち酸性もしくは中性条件下)で行うことが好ましい。ここで「塩基」とは、通常、塩基性物質として知られる物質を言い、例えば水に0.1mol dm-3の濃度で溶解させた時に、pHが8以上を示す化合物が該当する。このような塩基が共存しない条件下で反応を行う場合でも、炭素−炭素間結合の解裂が抑制され、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを高い選択率で得ることができる。
第1の方法の反応形態は、流通(連続)式、バッチ式のいずれでも良いが、本反応は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを比較的短時間で高温処理することによって好適な選択性が得られる場合が多く、流通式の方が好ましい。また、バッチ式の反応では通常、加圧が必要になるのに対し、流通式では常圧でも十分に反応が進行するので、操作性の観点からも流通式が有利である。
バッチ式の場合は、加圧条件に耐えられ、またフッ化水素との接触に耐え得る材料からなる反応器に1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを導入、密閉し、攪拌しながら、加熱するなどの方法が考えられる。この際、内部の試料を随時採取して、ガスクロマトグラフィー等の方法で分析し、原料が十分に消費され生成物に変換した時点を以って、反応工程を終了することが望ましい。
これに対し、流通式の反応は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱、気化し、熱反応管に流通させることによって達する。熱反応管は、高い反応温度でもフッ化水素との接触に耐えることができる材料から構築される必要がある。また、これにフッ化水素に耐性のある充填物を、混合効果および熱接触を改善するために充填する場合もあり、通常はその方が好ましい。例えば反応管はニッケル合金を用い、充填物にはモネル・プロパックを用いることができるがこれに限定されない。
以下、本明細書では「原料投入基準接触時間」という用語を次のように定義する。すなわち「反応管の内容積から、充填剤の占める固相容積を差し引いた値」を「カラム体積」と称し、以下、Aとも表記する。一方、「毎秒あたり、反応管に導入される原料気体の容積」を、Bと表記する。Bの値は、原料気体を理想気体と考え、毎秒あたりに導入される原料のモル数と圧力、温度から算出する。この時、AをBで割った値(=A/B)を「原料投入基準接触時間」とする。反応管中では、HFの副生や、他のガスの副生があり、モル数の変化が起こるが、これらは「接触時間」の計算に際しては考慮しないものとする。100%転化率で脱HFの選択率が100%の理想状態における反応ガスの接触時間は、ここで言う「原料投入基準接触時間」の半分となる。
このように計算される「原料投入基準接触時間」に特別な制限はないが、上述のように400℃〜550℃の範囲に反応温度を維持する場合には、毎時約60カラム体積から300カラム体積(原料投入接触時間約12秒から60秒)が好ましく、 毎時約90カラム体積から約200カラム体積(原料投入接触時間約18秒から40秒)で導入するのがさらに好ましい。一方、原料投入接触時間が200秒を超えると副反応が生じやすく、原料投入接触時間が1秒を下回ると転化率が低く好ましくない。
以上のことから、塩基を含有しない条件下において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを400℃〜550℃に加熱された反応管に、投入原料基準接触時間18〜40秒で通過させることは、本発明の第1の方法における、特に好ましい態様として挙げられる。
最適な接触時間は、反応管の温度(反応温度)、形状、充填材に依存するため、設定した温度、反応管の形状と充填材の種類ごとに、原料の供給速度(原料投入接触時間)適宜調節し、最適の値を決定することが望ましい。本発明の実施に当たっては、当業者のそのような最適化は妨げられない。通常は、25%以上の原料転化率が得られる接触時間の採用が、未反応原料の回収、再利用の観点から好ましく、更に好ましくは70%以上の転化率となるよう、調節する。
反応圧力は大気圧より低い場合、大気下、もしくは大気圧より高い場合でも良いが、一般に大気圧下が好ましい。反応はまた、窒素やアルゴンのような反応条件下で安定な不活性ガスの存在下、あるいは過剰なHFの存在下にも、行うことができる。
この発明の脱フッ化水素プロセスは、良く知られた化学工学装置を使用して気相中で実行することができる。反応管、関連する原料導入系、流出系および関連するユニットはフッ化水素に対して強い材料から造られる。材質として典型的なものには、特にオーステナイトタイプの様なステンレス鋼材、またはモネルニッケル−銅合金、ハステロイニッケル合金、およびインコネルニッケル‐クロム合金のような高ニッケル合金および銅クラッド鋼を例示できるが,これに限定されない。
第1の方法によって得られた反応混合物には通常、目的物の2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの他に、原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、副生物である(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンが共存する。しかし、本発明者らはこれらの化合物の沸点がお互い十分に異なり、共沸も起こさないことを見出した(2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの沸点:29〜30℃、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの沸点:40℃、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの沸点:18〜19℃、(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの沸点: 48〜49℃。何れも大気圧における沸点)。
したがって、第1の方法によって反応混合物を得た後で、この反応混合物を蒸留に付することによって、目的とする2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを高い純度で単離することが可能である。この蒸留の条件に特別な制限はないが、常圧で行うのが最も簡便である。本発明によれば、反応終了後に複雑な精製操作によらず、目的物2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを簡便に単離できるので、工業的に2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを製造するには特に有利である。
また、未反応の出発物質(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)は回収後、反応器に再度導入する事により再利用することができる。
次に、本発明の第2の方法である、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを脱フッ化水素化して、高選択的に(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを与える方法について詳述する。
(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンは、「第1の方法」に述べたように、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃で加熱処理することで、主生成物である2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンと共に得ることができる。
しかし(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンをより高い選択性、収率で得るためには、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを塩基と接触させ、脱フッ化水素化することが特に有効であることを発明者らは見出した。
以下、塩基を用いた1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの脱フッ化水素反応について詳述する。(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンは新規化合物であり、過去に合成された報告はない。また、これらは、先に記述した熱的脱フッ化水素反応から得られる1−ブテンの異性体である。先に述べた1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの熱的脱フッ化水素反応(第1の方法)と、塩基による1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの脱フッ化水素反応(第2の方法)は相補的であり、有用なテトラフルオロブテンの異なる位置異性体の製造が可能となる。
用いる塩基に特別な制限はないが、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミンなどの3級アミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンなどの1級アミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどの2級アミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、エチルピリジンなどの芳香族塩基、グアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]デク−7−エン(DBU)などの強塩基)、あるいは類似の反応に常用される他の強塩基(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドなど)などが挙げられ、中でも安価な水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどが特に好ましい。
反応は、原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを塩基に接触することで達成されるが、反応条件を穏やかに保つために、両者を徐々に混合することが望ましい。例えば、塩基を含有する液体を攪拌しながら、原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを徐々に添加するなどの方法が挙げられる。逆に、塩基を原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンに添加する事により反応を進行させることも可能である。塩基は水溶液としてあるいは単体で用いることもでき、相関移動触媒を添加する事ができる。例えば85%水酸化カリウムは100℃以上に加熱すると融解するので、この融解した状態の液体を攪拌し、そこに原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを滴下すると便利である。
塩基は溶媒に溶かし溶液として用いても良い。この場合の溶媒としては水、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アニソール、ベンジルエーテル、グライム(モノグライム、ジグライム、トリグライム等)など)、およびハロゲン系溶剤(塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなど)等が使用される場合がある。また別のケースでは一般に使用される相間移動触媒(18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、12−クラウン−4、15−クラウン−5、ジベンゾ−24−クラウン−8、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、エチルトリブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドなど)を反応に使用すると好ましい場合もある。
この塩基と接触させることによる(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法の反応温度に特別な制限はないが、0℃から300℃が好ましく、さらに好ましくは30℃から250℃の範囲である。
反応圧力は大気圧より低くとも、または大気圧以上でも良いが、一般に大気圧付近が簡便であり、好ましい。
反応時間に特別な制限はないが、加熱条件下では反応は速く、原料と塩基を混合すると直ちに反応が起こる場合が多い。よって下記の「実施例2」に示されるように、開放条件(大気圧)下で、原料と塩基の混合を行い、原料と生成物の混合ガスを冷却し、液体(反応混合物)として捕集するなどの方式が簡便である。
しかしこのような方式に限らず、「第2の方法」の脱フッ化水素反応プロセスは、既知の化学工学手法を用いてバッチ方式、もしくは連続反応装置内で行うことができる。装置およびその関連する原料導入ライン、流出液ラインおよび関連するユニットは強塩基に対して強い材料から造られるべきである。材質の典型的な例はステンレス鉄鋼、炭素鋼、もしくはモネル−ニッケル銅合金、ハステロイ−ニッケル合金およびインコネルニッケル‐クロム合金のような高ニッケル合金、さらに銅クラッド鋼などがあげられる。また、限られた場合においては、ガラスまたはガラスライニング鋼を用いることができる。
「第1の方法」と同様、この「第2の方法」によって得られた反応混合物も、蒸留操作によって各成分の分離が可能である。具体的には、未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(沸点=40℃)、(E)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(沸点=18〜19℃)、(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(沸点=48〜49℃)を各留分として単離できる。この蒸留の条件に特別な制限はないが、常圧で行うのが最も簡便である。なお、本反応で生じる副生物はブタジエンやブチンのような低沸点の化合物であるので、これらの分離は容易である。高純度の(E)−および(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンが容易に得られることは、ジアステレオ選択的反応を適用することにより高純度のジアステレオマーが得られるので,合成原料としての有用性が高い。
回収された原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンは、「第1の方法」や「第2の方法」の反応原料として再利用することができる。

次に本発明の「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」である1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの触媒的脱フッ化水素反応による2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンならびに1,1,3−トリフルオロブタジエンの製造方法について述べる。はじめに、「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」に共通する事項を述べる。
「第1の方法」と比較すると、「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」は、触媒を用いることが特徴である。ここで触媒として用いられるのは、(a)活性金属種、(b)一般に触媒担体として知られている比表面積の大きい材料(以下「触媒担体」ともいう)、もしくは(c)前記活性金属種を前記触媒担体に担持させた「担持触媒」である。これらの触媒(a)、(b)、(c)は活性化エネルギーを低下させる働きがあるので、「第1の方法」よりも有意に低い反応温度で、各目的化合物を得ることができる。さらに、「第5の方法」のように、「第1の方法」や「第2の方法」では殆ど得られない1,1,3−トリフルオロブタジエンを得ることが出来る。
まず(a)の活性金属種の例としては、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、アンチモンが挙げられる。特に、好適な例は、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タンタル、タングステンである。
次に(b)の触媒担体の好適な例は、椰子等の植物や石油の高沸点成分を加熱処理して作られる活性炭、およびアルミナ、チタニア、ニオビア、ジルコニア等の酸化物である。これらのうち、比表面積が特に大きいヤシガラ活性炭が特に好適である。特に比表面積が500〜2000m2/gの触媒が好ましい。
(a)の活性金属種、(b)の触媒担体は、それぞれ単独でも触媒活性を有するので、単独で使用可能である。しかし、触媒(a)と(b)を複合させた(c)の「担持触媒」を使用することによって、触媒活性の高い活性金属種が、比表面積が大きい状態で作用する。従って、(c)の「担持触媒」の使用は、反応に特に有利で、より穏和な条件での反応を可能にする。したがって、「第3の方法」〜「第5の方法」を実施するにあたっては、(c)の「担持触媒」を使用するのが特に好適である。(c)の「担持触媒」の好適な例は、各々が活性炭担体に担持された活性金属種(すなわち、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タンタル、タングステン)を含む。これらの内、特に好適な例は、Cr/C(クロム原子を活性炭に担したことを表す)、Ti/C、Fe/C、Ni/C、Nb/C、Ta/Cである。
(c)の「担持触媒」を用いる場合、触媒の担持量は活性炭100グラムに対して、金属原子換算で、1から20グラムの範囲が好適である。これによって、触媒活性も高く、反応が経済的である。1グラム以下では、収率が低すぎることになる場合もある。20グラム以上では、触媒の製造コストが高くなりすぎる場合もある。このことによって、反応が不経済になる。なお、担持触媒としては、市販のものでもよい。
また、これらの触媒に対して予め塩酸、弗酸等のハロゲン化水素ガスを流通させる処理を行うことが、高活性かつ長寿命な触媒を得るために特に有効である。処理温度は約50℃から、反応予定温度より約50℃高い温度まで、ゆっくりと昇温することが好適である。特に、処理直後は、吸着熱が発生するので、ハロゲン化水素ガスを窒素等の不活性ガスで希釈しながら、処理を行うことが望ましい。処理時間は特に限定されないが、3時間から24時間が望ましい。
なお、上述した触媒を用いると、「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」の脱フッ化水素化反応は通常、並行して進行するが、用いる触媒の種類によって、生成物の選択性には差が生じる(これについては、後述する)。
「第3の方法」、「第4の方法」および「第5の方法」各々は、流通式、バッチ式のいずれで行っても良いが、操作性が優れていると言う理由、および、後述する「第6の方法」を同じ反応管を用いて、触媒を取り出すことなく行えるという理由から、流通式の方が好ましい。
バッチ式操作の場合、加圧条件に耐えられ、またフッ化水素との接触に耐え得る材料からなる反応器に1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを導入、密閉し、攪拌しながら、加熱することによって、各々の方法を行うこともある。各々の方法において、ガスクロマトグラフィー等の適当な分析技術で反応の進行具合をチェックし、原料が十分に消費されたことを確認した後で、反応を終了することが望ましい。
これに対し、流通式の反応は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱、気化し、触媒を充填した反応管に流通させることによって達する。流通式操作は、固定床又は流動床を使用して行うことが可能である。反応管は、好適には、高い反応温度でもフッ化水素との接触に耐えることができる材料から構築される。この発明の脱フッ化水素プロセスは、周知の化学工学装置を使用して気相中で実行することができる。反応管、関連する原料導入系、生成物を流出させる系および関連するユニットの各々がフッ化水素に対して強い材料から造られることは好適である。材質として典型的なものには、特にオーステナイトタイプの様なステンレス鋼材、またはモネルニッケル−銅合金、ハステロイニッケル合金、およびインコネルニッケル‐クロム合金のような高ニッケル合金および銅クラッド鋼を例示できるが,これに限定されない。流通式操作の場合、上で定義した原料投入基準接触時間(この時間の間に、気化した1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを反応管の触媒に接触させる)は、2秒〜120秒が好ましく、5秒〜45秒が特に好ましい。1秒を下回ると転化率が低く、生産性が悪くなることもある。さらに、触媒の負荷が大きくなり、触媒の劣化が早くなることもある。逆に、原料投入接触時間が120秒を超えると、同一反応器のあたりの単位時間生産量が低くなりすぎることもある。
反応圧力は大気圧より低い場合、大気下、もしくは大気圧より高い場合でも良いが、大気圧下で反応を行うことが、操作の簡便性と、反応が円滑に進行することから、好ましい。反応はまた、窒素やアルゴンのような反応条件下で安定な不活性ガスの存在下、あるいは過剰なHFの存在化にも、行うことができる。
触媒を用いない第1の方法と比較して、「第3の方法」〜「第5の方法」の反応は、より穏和な反応条件、すなわちより低温でも行うことができ、高収率で、目的化合物を得ることができる。「第3の方法」〜「第5の方法」の反応の反応温度は、150〜700℃の範囲で実施できるが、第1の方法よりも穏和な条件で反応が進行するという長所を生かす上で、150℃〜500℃の範囲が好適である。ただし、各目的化合物の選択性は温度に依存する上、触媒の種類によって最適な反応温度は異なることもあるため、目的とする化合物、用いる触媒に応じて、「第3方法」〜「第5の方法」の好ましい反応温度は変動することもある(これについては、後述する)。
既に述べたように、「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」の各反応生成物は通常、混合物の形を取る。この混合物を、反応終了後に、蒸留等の精製操作を行うことで、各成分に単離することができる。これは、主たる成分が異なる沸点を有しているからである(未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが40℃、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンが、29〜30℃、(E)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンが18〜19℃、(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンが48〜49℃、1,1,3−トリフルオロブタジエンが16℃)。常圧(例えば、大気圧)下で蒸留を行うことは簡便であって、好ましい。
「第1の方法」、「第2の方法」と同様に、「第3の方法」〜「第5の方法」でも、未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)は回収して、次の反応に再利用することができる。

次に、「第3の方法」、「第4の方法」、「第5の方法」のそれぞれに固有の特徴を詳しく述べる。
2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを目的化合物として製造する「第3の方法」においては、触媒として、活性炭単独触媒の他、Cr/C,Ti/C触媒等が特に好ましい例として挙げられる。活性炭単独触媒の場合、反応温度は、反応温度が300℃近傍に達すると、目的化合物が生成し始めるので、300℃〜500℃が好ましく、350℃〜450℃がより好ましい。Cr/CまたはTi/C等の担持触媒の場合、反応温度が150℃近傍に達すると目的化合物が生成し始めるので、反応温度は150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃がより好ましい。上記の好適な範囲よりも高い温度でも目的化合物の生成が確認されるが、エネルギー効率、副生HFによる装置の腐食防止の点で、好ましくない。Ti/C触媒の存在下、250℃近傍すなわち200℃〜300℃で第3方法を行うことが、反応変換率、目的物選択率とも特に高いので、特に好適である。
(E)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンもしくは(Z)− 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを目的化合物として製造する「第4の方法」において、活性炭単独触媒または、Cr/Cが、特に好ましい触媒として挙げられる。活性炭単独触媒を使用する場合、反応温度が300℃近傍に達すると目的化合物が生成し始めることもあるので、反応温度は300℃から500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。Cr/C触媒を担持触媒として使用する場合は、反応温度が150℃近傍に達すると目的化合物が生成し始めることもあるので、150℃から350℃が好ましく、200℃から300℃がより好ましい。上記の好適な範囲よりも高い温度でも目的化合物の生成が確認されるが、エネルギー効率、副生HFによる装置の腐食防止の点で、好ましくない。Cr/C触媒の存在下で、250℃近傍すなわち200℃〜300℃の温度で第4反応を行うことが、変換率、選択率とも特に高いので、特に好ましい。
1,1,3−トリフルオロブタジエンを目的化合物として製造する「第5の方法」において、活性炭単独触媒とCr/C触媒が、特に好ましい触媒として挙げられる。「第5の方法」は、「第4の方法」に比べるとやや高い温度で行うことが、目的物の選択性を高めるので好ましい。活性炭単独触媒の場合、反応温度が350℃以上で、目的化合物の有意な生成が確認されるので、350〜600℃が好ましく、400〜500℃がより好ましい。
「第5の方法」においてCr/C触媒を使用する場合は、反応温度が250℃に達すると目的化合物が有意に生成し始めることもあるので、反応温度は250〜500℃が好ましく、300〜500℃がより好ましく、300〜450℃がさらにより好ましい。上記の好ましい範囲よりも高い温度でも目的生成物の生成が確認されるが、エネルギー効率、装置の負荷の点で、好ましくない。
また、「第3の方法」、「第4の方法」および「第5の方法」において、回収された1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(未反応の原料)は、「第1の方法」〜「第5の方法」を行うための反応原料として再利用することができる。1,1,3−トリフルオロブタジエンを得る「第5の方法」を行うための原料として、「第3の方法」、「第4の方法」又は「第5の方法」の反応生成物(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを含む混合物)を再利用することが可能である。
「第3の方法」、「第4の方法」もしくは「第5の方法」で使用される触媒は、耐久性は高いが、長期間の使用によって活性が低下した場合、「第6の方法」で触媒を再生できる。実際には、上記、「第1の方法」〜「第5の方法」の「流通法」の装置と同様の装置(例えば、反応管)に劣化した触媒を充填し、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの代わりに塩酸(塩化水素ガス)、弗酸(フッ化水素ガス)等のハロゲン化水素ガスもしくは塩素等のハロゲンガスを装置に流通させると、触媒を再生することが「第6の方法」において可能である。なお、「第3の方法」〜「第5の方法」を「流通式」で行う場合は、劣化した触媒を外部に取り出すことなく、そのまま「第6の方法」を実施することができる。
再生温度は、「第1の方法」〜「第5の方法」の反応温度より100℃低い温度である第1温度から、それよりも200℃高い温度である第2温度までが好ましい。操作性の点で、反応温度近傍の温度にて再生を行うことが簡便である。また、所望により、ハロゲン化水素ガス又はハロゲンガスを窒素等の不活性ガスで希釈することができる。また、所望により、反応と触媒再生を同時に行うことも可能である。この目的のために、原料の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと少量のハロゲン化水素ガス又はハロゲンガスを反応管に同時に導入することも可能である。しかしながら、例えば、弗酸を触媒再生ガスとして導入する場合、過剰量の弗酸が反応に悪影響を与えることもある。
触媒を再生するための処理時間は、触媒劣化の程度に依存するが、24時間程度であってもよい。この24時間処理によって、再生効果が十分ではない場合は、処理温度を50℃程度上げてさらに24時間程度処理する方法が可能である。これらの処理を繰り返しても、再生効果が十分では場合には、使用した触媒を新しい触媒に交換することが推奨される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
直径3/4インチ(1.905cm)×全長36インチ(91.4cm)のニッケル製反応管(0.24インチ(0.61cm)のニッケルプローパック(空隙率=96%)を200ml充填したもの)を、下表1の1−1〜1−4に示す温度に加熱した。これらの条件において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)を気化器にて気化し、70g/hrの速度で流通させた。反応管を通過した流出ガスはフッ化水素(HF)を除去するために水に通過させた後、硫酸カルシウムにより乾燥捕集し、ガスクロマトグラフィー(FID,以下同じ)により分析を行った。
本実施例における反応管の内容積は261cm3であり、充填剤の固相部分を除く容積(「カラム容積」)は253cm3である。原料投入基準接触時間は29秒(1−4)〜32秒(1−1)である。
結果は表1に示した。「GC%」はFIDで測定された、上記反応混合物の各成分の面積%である。
Figure 2006525339
生成物は、質量分析法およびNMR(1H, 19F および13C)によって同定されて、常圧における蒸留(沸点29−30℃)により97%の純度で単離した。以下にデータを記す。
(1) CF3CH2CF=CH2
無色透明液体
1H−NMR 溶媒: CDCl3, 基準物質: TMS
δ: 4.88 (dd, J=16.2Hz, 3.5Hz, 1H), 4.59 (dd, J=47.3Hz, 3.5Hz, 1H), 3.01(dq, J=16.7Hz, 9.9Hz, 2H)
19F−NMR 溶媒:CDCl3, 基準物質: CFCl3
δ: −66.2 (s, 3F), −95.5 〜 −96.5 (m, 1F)
13C−NMR 溶媒:CDCl3, 基準物質:TMS
δ: 156.54 (d, J=254Hz), 124.54 (q, J=277Hz), 96.40(d, J=18.0Hz), 37.63(dq, J=32Hz, 30Hz)
GLC−MS
m/z (相対強度), 128(M+, 75.2), 113(5.6), 109(9.2), 95(7.6), 89(23.2), 77(9.6), 75(3.2), 69(22.8), 64(100), 59(68.8), 51(13.6), 45(16.4)

(2) (E)−CF3CH=CFCH3
無色透明液体
1H−NMR 溶媒: CDCl3, 基準物質: TMS
δ: 5.44 (dq, J=16.9Hz, 7.6Hz, 1H), 2.14 (d, J=18.7Hz, 3H)
19F−NMR 溶媒:CDCl3, 基準物質: CFCl3
δ: − 57.2 (s, 3F), −79.5 (s, 1F)
GLC−MS
m/z (相対強度), 128(M+, 44.0), 113(70.4), 109(32.0), 89(29.2), 78(12.8), 77(23.6),69(22.4), 64(22.8), 59(29.6), 57(24.4), 51(18.8), 45(14.8), 39(100)

(3) (Z)−CF3CH=CFCH3
無色透明液体
1H−NMR 溶媒: CDCl3, 基準物質: TMS
δ: 5.00 (dq, J=32.7Hz, 7.6Hz, 1H), 1.99 (d, J=18.7Hz, 3H)
19F−NMR 溶媒:CDCl3, 基準物質: CFCl3
δ: − 58.9 (dd, J=17.1Hz, 6.4Hz, 3F), −83.2〜 −83.7 (m, 1F)
GLC−MS
m/z (相対強度), 128(M+, 44.0), 113(72.0), 109(37.2), 89(31.2), 78(11.6), 77(25.6), 69(25.6), 64(22.4), 59(29.6), 57(25.2), 51(20.0), 45(15.2), 39(100)

[実施例2]
250mlフラスコに、(ポリテトラフルオロエチレン)コーティング磁気攪拌棒、滴下漏斗(液面下)およびVigreuxカラムを取り付けた。カラムは出口をオイルバブラーに通し、さらに−78℃に冷却した捕集器につないだ。フラスコに「85%水酸化カリウム(フレーク状)」80gを加え、油浴を用いて210℃に加熱した後、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを徐々に滴下した。生成物および未反応の原料は捕集器に捕集した。得られた混合物は原料に加え、7種の生成物を含んでいた。反応終了時のガスクロマトグラフ面積は、原料が50%、(E−)体17.8%、(Z−)体17.8%、CF3CH2CF=CH2が8.0%、残り6.4%がブタジエンおよびブチンを含む混合物であった。また、(E)−CF3CH=CFCH3(沸点18−19℃)および(Z)−CF3CH=CFCH3(沸点48−49℃)は蒸留により容易に98%以上の純度で分離可能であった。これらの構造は質量分析法とNMRによって確認された。

[実施例3−1〜3−4]
実施例3−1〜3−4の各々において、触媒の前処理を次のとおりに行った。上述した触媒調製例1で得られた触媒15gを内径28.4mm、軸方向の長さ400mmのステンレススチール製反応管の中央部に充填し、窒素を50ml/minの速度で、反応管に流通させながら、徐々に500℃まで昇温した。この状態を5時間ホールド後、加熱を停止して50℃まで冷却した。その後、塩酸(塩化水素ガス)を反応管に導入した。HClの初期の流量は5 ml/minで、ゆっくりと50 ml/minまで流量を上げると同時に、窒素の流量を、50 ml/minから10ml/minまで低下させた。その後100℃/時の速度で400℃まで昇温し、3時間保持し、触媒の前処理を完了した。
その後、表2に示す反応温度で、表2に示す原料投入基準接触時間となる速度で、気化器で気化した1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)を反応管に導入した。なお、窒素ガスも10ml/minの速度で導入したが、原料投入基準接触時間算出時には窒素ガスフローを無視した。反応管を通過した流出ガスはフッ化水素(HF)を除去するために水に通過させた後、硫酸カルシウムにより乾燥捕集し、ガスクロマトグラフィー(FID,以下同じ)により分析を行った。その結果を表2に示した。

[実施例4−1〜4−4]
上述した触媒調製例2で得られた触媒を用いたこと、さらに、表2に示されるように反応条件を変更したこと以外、実施例3−1〜3−4を繰り返した。その結果も表2に示した。また、実施例4−4の生成物から蒸留(常圧、塔頂温度16℃)によって、1,1,3−トリフルオロブタジエン(純度95%)を単離した。

[実施例5−1〜5−2]
上述した触媒調製例3で得られた触媒を用いたこと、さらに、表2に示されるように反応条件を変更したこと以外、実施例3−1〜3−4を繰り返した。その結果も表2に示した。
Figure 2006525339
[実施例6−1〜6−4]
以下に記述するとおり、実施例6−1〜6−4は逐次的に行われた。まず、上述した触媒調製例2で得られた触媒15gを使用したこと以外、実施例3−1〜3−4の触媒前処理を繰り返した。反応温度250℃、原料投入基準接触時間21秒の条件で、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを反応管に導入することによって、反応を開始した。但し、反応時に窒素ガスを10ml/minで導入したが、原料投入基準接触時間算出時には窒素のフローを考慮していない。実施例6−1において、反応の初期段階での流出ガスをガスクロマトグラフィーによって分析した。実際には、実施例6−1〜6−4において、ガスクロマトグラフィーの前に、流出ガスを実施例3−1〜3−4のそれと同じ方法で処理した。上記と同じ条件で反応を150時間継続した。実施例6−2において、反応開始から150時間後の流出ガスをガスクロマトグラフィーによって分析した。転化率が反応の初期段階で72%であったのが、反応開始から150時間後には48%に低下したので、次のとおりに触媒再生を行った。まず、窒素導入速度を50ml/minに上げ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの導入を停止した。その後、塩化水素を50ml/minの速度で導入し、窒素の導入速度を10ml/minに低下させた。触媒層の温度を250℃に保ちながら、この状態を24時間保って触媒再生を行った。再生後、塩化水素導入を停止した。その後、反応開始時点と同じ条件で反応を再開した。実施例6−3において、触媒再生直後に得られた流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した。反応の再開後、上記と同じ条件で反応を継続した。実施例6−4において、反応の再開から150時間後の流出ガスをガスクロマトグラフィーによって分析した。実施例6−1〜6−4の結果を表3に示す。
Figure 2006525339

[触媒調製例1]
シグマ・アルドリッチ社製活性炭500gをバキュームオーブン(120℃、10Torr(1330Pa))にて、24時間乾燥した。その後、窒素で大気圧まで復圧し、室温まで冷却し、活性炭触媒を調製した。得られた触媒は密封可能なガラス容器に入れ、使用時までデシケーターで保管した。

[触媒調製例2]
イオン交換水(400g)へ、Cr(NO33(45.8g)を溶解させた。この溶液を、シグマ・アルドリッチ社製活性炭100gにゆっくりと添加した。添加終了直後および、その1時間後にゆっくりと攪拌し、48時間静置した。その後、ロータリーエバポレーターにて水分を除去し、さらに、バキュームオーブン(150℃、10Torr(1330Pa))で24時間乾燥して、Cr/C触媒を調製した。この触媒は密封可能な容器にいれ、使用時までデシケーターで保管した。

[触媒調製例3]
触媒調製例1で得られた活性炭触媒100gを再結晶皿に取った。その後、シグマ・アルドリッチ社製チタニウム(IV)イソプロポキシド[Ti(OCHMe24]59.2gをかき混ぜながらゆっくりと加えた。48時間静置後、霧吹きで、イオン交換水(100g)を噴霧した。その後、バキュームオーブン(150℃、10Torr(1330Pa))で48時間乾燥して、Ti/C触媒を調製した。この触媒は密封可能な容器に入れ、使用時までデシケーターで保管した。

[比較例1]
直径3/4インチ(1.91cm)×全長36インチ(91.4cm)のニッケル製反応管を630℃に加熱し、より高い混合効果と伝熱効果を得ることを目的として反応管に0.24インチ(0.61cm)のニッケルプロ−パック(空隙率=96%)を充填した。この状態で、実施例1と同じ方法で1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンをガス化し、原料投入基準接触時間が30秒となる流速で導入した。管を通過したガスはフッ化水素(HF)を除去するために水を通した後、硫酸カルシウムにより乾燥し、ガスクロマトグラフ分析を行った。
その結果、原料の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンのガスクロマトグラフ面積は43.2%であり、この他に3,3,3−トリフルオロプロペン30.6%、トリフルオロメタン17.1%が検出された。目的とした1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンは検出されなかった。

[比較例2]
比較例1と同じ装置を用い、660℃で2−(トリフルオロメチル)−1,1,1−トリフルオロプロパンを気体状態で導入した。流出ガスのGC分析を行った結果、原料は18.9%、3,3,3−トリフルオロプロペン24.5%、トリフルオロメタン43.5%であった。目的とした2−トリフルオロメチル−1,1−ジフルオロプロペンは検出されなかった。

Claims (42)

  1. 2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン。
  2. (E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン。
  3. (E)−又は(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン。
  4. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃に加熱することを特徴とする、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  5. 請求項4の加熱が、実質的に塩基を含有しない条件下で行われることを特徴とする、請求項4に記載の、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  6. 加熱が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃に加熱された反応管に通過させることにより行われることを特徴とする、請求項4に記載の、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  7. 加熱が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃に加熱された反応管に通過させることにより行われることを特徴とする、請求項5に記載の、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  8. 実質的に塩基を含有しない条件下において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを400℃〜550℃に加熱された反応管に通過させることを特徴とする、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  9. 請求項8における1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの反応管への通過が、18〜40秒の投入原料基準接触時間で行われることを特徴とする、請求項8に記載の、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  10. 請求項4の方法によって、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを含む混合物を得た後、該混合物を蒸留することを特徴とする、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造、単離方法。
  11. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを約200℃〜約700℃に加熱することを特徴とする、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  12. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを塩基と接触させることを特徴とする、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  13. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの塩基との接触が、0〜300℃で行われることを特徴とする、請求項12に記載の、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  14. 塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、3級アミンから選ばれる塩基であることを特徴とする、請求項12に記載の、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  15. 塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、3級アミンから選ばれる塩基であることを特徴とする、請求項12に記載の、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  16. 請求項12における1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの塩基との接触が、水、エーテル類、ハロゲン系溶媒、または相間移動触媒の共存下で行われることを特徴とする、請求項12に記載の、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  17. 請求項12における塩基との接触によって、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを含む反応混合物を得た後、該混合物を蒸留することを特徴とする、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造、単離方法。
  18. 請求項12における塩基との接触によって、(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを含む反応混合物を得た後、該混合物を蒸留することを特徴とする、(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造、単離方法。
  19. (a)活性金属種、(b)触媒担体として知られている比表面積の大きな材料、(c)活性金属種を触媒担体に担持させた「担持触媒」から選ばれる触媒の存在下、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することを特徴とする、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  20. 前記触媒が活性炭であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 前記触媒が、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タンタル、タングステンから選択される金属活性種を活性炭に担持した前記「担持触媒」であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  22. 前記活性金属種がクロム又はチタンであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  23. 前記加熱を200℃〜300℃の温度で行うことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. 2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンを単離するために、前記加熱の反応生成物を蒸留することをさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  25. (a)活性金属種、(b)触媒担体として知られている比表面積の大きな材料、(c)活性金属種を触媒担体に担持させた「担持触媒」から選ばれる触媒の存在下、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することを特徴とする、(E)−又は(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  26. 前記触媒が活性炭であることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
  27. 前記触媒が、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タンタル、タングステンから選択される金属活性種を活性炭担体に担持した前記「担持触媒」であることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
  28. 前記活性金属種がクロム又チタンであることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
  29. 加熱を、200℃から300℃の温度で行うことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
  30. (E)−又は(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンを単離するために、前記加熱の反応生成物を蒸留することをさらに含むことを特徴とする、請求項25記載の方法。
  31. (a)活性金属種、(b)触媒担体として知られている比表面積の大きな材料、(c)前記活性金属種を前記触媒担体に担持させた「担持触媒」から選ばれる触媒の存在下、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを加熱することを特徴とする、1,1,3−トリフルオロブタジエンの製造方法。
  32. 前記触媒が活性炭であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  33. 前記触媒が、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タンタル、タングステンから選択される金属活性種を活性炭担体に担持した前記「担持触媒」であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  34. 前記活性金属種がクロムであることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
  35. 前記加熱を、300〜450℃の温度で行うことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  36. 1,1,3−トリフルオロブタジエンを単離するために、前記加熱の反応生成物を蒸留することをさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  37. ハロゲン化水素ガスもしくはハロゲンガスを前記触媒に接触させることによって、前記触媒を再生することをさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  38. ハロゲン化水素ガスもしくはハロゲンガスを前記触媒に接触させることによって、前記触媒を再生することをさらに含むことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
  39. ハロゲン化水素ガスもしくはハロゲンガスを前記触媒に接触させることによって、前記触媒を再生することをさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  40. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを気相接触脱弗酸反応に付すことを特徴とする、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンの製造方法。
  41. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを気相接触脱弗酸反応に付すことを特徴とする、(E)−又は(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテンの製造方法。
  42. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを気相接触脱弗酸反応に付すことを特徴とする、1,1,3−トリフルオロブタジエン製造方法。
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