JP2006524260A - ドナー臓器の貯蔵用の改良された方法及び溶液 - Google Patents

ドナー臓器の貯蔵用の改良された方法及び溶液 Download PDF

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Abstract

哺乳類のドナー臓器を保存、貯蔵及び移植する方法である。この方法は、冷蔵保存、装填用の前冷凍保存、低温保存溶液及びポリビニルピロリドン、カルシウムチャンネル遮断薬、ヌクレオシド、塩化カリウム、ポリエチレングリコール、少なくとも1種のアミノ酸、ステロイドを少なくとも含む洗浄溶液を2℃〜4℃及び/又は0℃〜2℃に冷却する工程、ドナー臓器を採集する工程、それを1種以上の溶液で灌流する工程、1種以上の溶液にそれを浸漬する工程、それを0℃より上に又は0℃より下の温度で保存する工程を含む。低温保存溶液は、さらに低温保存剤を含む。保存された臓器を冷蔵貯蔵から又は冷凍から2℃〜4℃に洗浄冷蔵保存溶液を冷却する工程、臓器を洗浄溶液及びついで保存溶液で灌流する工程及びそれを移植する工程によって直接移植され得る。

Description

発明の詳細な説明
この出願は、2003年5月15日に出願された米国仮出願番号60/471,028、及び2003年4月23日に出願された米国仮出願番号60/465,114の利益を主張し、両方とも参考として取り込まれる。
(発明の分野)
本発明は、一般的に臓器保存系に関する。特に、本発明は、ドナー臓器の保存及び移植又は将来の他の使用の前の長期間の保存のための溶液及び方法に関する。
(発明の背景)
ドナー臓器移植における最大の問題の一つは、ドナーからの採集時間と移植者への移植時間の間の臓器の貯蔵及び保存である。この2つの出来事の間を経過し得る時間の量は、かなり制限され、それは、ドナー臓器の細胞及び組織は、冷凍温度で貯蔵されたとしても、ゆっくり時間をかけて変質するためである。一旦採集されると、細胞と組織は、内部代謝及び細胞体積統一性の維持に必要とされる酸素が欠乏する。低酸素の悪影響に対応するために、現代の臓器保存の標準技術は、0℃より低くない低温で保存溶液に採集した臓器を暴露する工程を含む。より低温度にすることが、ドナー臓器組織中酸素欠乏させるための解決法であるが、それらは、特有の問題を示す。低温条件又は低体温条件は、エネルギー生成、細胞体積統一性の維持、及びさらに膨張及び/又は細胞死のための減少した能力を含む細胞損傷を導き得る。
広く使用される保存溶液は、ウィスコンシン州大学(UW)溶液、即ち、ビアスパン(Viaspan)として一般に知られ、デュポン社によって製造されている。しかし、ビアスパンを使用するドナー臓器の保存は、臓器が変質し始める前、腎臓において一般的に36時間までに制限される。例えば、腎臓を、UW溶液で灌流し、氷に詰め込む場合、外科医は、採集後、24時間以内、しかし、36時間までに使用することを試みるだろう。しかし、重要な問題は、ドナー腎臓の生存度は、保存の時間経過とともに減少し、36時間までに、管状細胞に少なくともいくらかの損傷が存在することである。これによって、一般的に腎臓細胞の生存度が減少し、尿生成と適当な腎臓機能が、移植後が遅れる。その結果、人工腎臓機能又は透析が、移植後、移植者の完全な回復に一般的に必要である。
氷点下の温度での臓器の貯蔵は、臓器の組織及び水分が通常凍結するので、不可能であり、又は過度に困難である。これら相対的な低温範囲は、細胞及び組織に損傷又は変質を生じさせる。今日、臓器貯蔵目的に現在有効ないくつかの溶液、例えばビアスパンが存在するが、臓器を効果的に貯蔵する能力が一般的に制限される。長時間の有効な臓器保存のための改良された溶液及び方法の必要性がある。
(本発明の概要)
本発明は、将来的に、移植又は他の医薬目的において使用されるドナー臓器の保存溶液及び保存方法を記載する。本発明の1つの特徴によれば、異なる温度での種々の貯蔵方法が、提供される。本発明は、例えば、低温貯蔵又は冷凍温度(約0℃〜約6℃)での貯蔵の第一方法、及び約-20℃より低い氷点下の温度での第二の貯蔵方法であり、一般的に冷蔵庫冷凍温度、又は、約-80℃より下の低温保存温度を含む低温に等価である。本発明の他の特徴は、間質性水腫及び内皮腫脹の減少を含む低温臓器貯蔵の利益を提供するように設計された保存溶液を提供する。これらの溶液は、抗酸化剤及び抗タンパク質分解性保護を提供し得、適切な細胞内イオン濃度を維持し得、またクレブス回路を含む細胞機能を支持するエネルギー源を提供する。
本発明の他の目的及び有利点は、以下の詳細な説明及び付随の図面と関連して考えた場合、さらに評価され、理解されるだろう。以下の詳細な説明が、本発明の特別な態様を記載する特別な詳説を含み得る一方で、これは、本発明の範囲の制限としてでなく、むしろ好ましい態様の例示として解釈されるべきである。本発明のそれぞれの特徴に対し、当業者に既知の多くの変化が、ここに提案されるように可能である。種々の変化及び改良が、本発明の意図から離れずに本発明の範囲内でなされ得る。
本発明の新規な特徴は、添付のクレームに特に示される。本発明の特徴及び有利点は、例示的な態様を示す以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるだろう。
(本発明の詳細な説明)
現在の臓器保存、貯蔵及び移植手順は、臓器がドナーから取り出された後、非常に弱くて損傷するので制限される。一旦採集されると、細胞と組織では、内部代謝及び細胞体積統合性を維持するために必要とされる酸素が欠乏する。この低酸素状態は、虚血とよばれ、低酸素症を導き、臓器組織に酸素が運ばれるのを妨げる。酸素がないと、細胞組織は、細胞代謝として損傷を受け得、また個々の細胞は、腫脹又は炎症を受け得る。
虚血の悪影響を弱めるために、近代的な臓器保存のための標準技術は、0℃以下でない低温で採集した臓器の保存溶液への暴露を含む。この処理は、本質的に、代謝酸素への細胞の必要性を減少させる低体温条件を作る。この溶液の成分及び低温環境は組み合わさって、虚血性条件から細胞を保護し、それによって、損傷の開始を阻止する。この手順は、低温フラッシュ保存として既知であり、その保存溶液は、臓器を構成する細胞の細胞膜を超えた化学ポテンシャル勾配を除去するために設計される。そのようにすることによって、この溶液は、細胞内環境を模倣する傾向にあり、ドナー臓器細胞を代謝経路を活性化させることから予防する。低体温は、ドナー臓器組織中の酸素欠乏に対する解決策であるが、それは固有の問題を示す。低体温条件の下で保存される臓器の細胞は、ATP源の能力を失い、それによって、ナトリウム-カリウムポンプを調節するために必要とされるエネルギーを生成することは出来なく、内在的な細胞体積の最も重要な修飾因子の一つである。さらに、低酸素環境は、細胞内カルシウムの放出を誘導し、カルシウムの高濃度は、その後、多重代謝炎症性経路の活性を導き得る。結果として、細胞は、内皮細胞腫脹を示し、血管統合性の減少、血管痙攣と呼ばれる血管の内径の減少、さらに細管の細胞死を含む。
臓器保存及び貯蔵の溶液に最も広く使用されるものは、ウィスコンシン大学(UW)溶液、又はデュポン社により製造されるビアスパンとして既知である。しかし、ビアスパンを使用するドナー臓器の保存は、一般的に臓器が変質し始める前、腎臓において36時間の期間に制限される。
一般的に、ドナー臓器保存時間の現在の制限により、臓器移植手順の可能性を妨げる。腎臓に許容される36時間枠組みは、ドナーと移植者の正確なクロスマッチ試験に十分な時間を常に提供するわけでなく、成功した移植の機会を増加させる必要がある。さらに、この時間は、ドナー臓器及び移植者の国境を越えた及び国家間の輸送は、現在の手順の下では、保存された臓器の実行可能期間を超え得る。
保存、貯蔵及び移植の方法
本発明は、移植者への臓器移植のような将来的医薬用途の臓器保存のための改良された方法及び溶液を提供する。本発明の一つの特徴として、方法は、採集後、種々の保存溶液及び低温保存溶液を使用してドナー臓器を調製しまた貯蔵提供される。その後、保存された臓器は、36時間を超え得る延長した時間、適切な温度で貯蔵庫に置いてよい。本発明の別の態様に関して、保存された臓器が、移植に必要な時、保存溶液と洗浄溶液の組み合わせが利用され得、貯蔵庫から臓器を解凍し、移植者に移植する。
図1は、臓器の保存及び移植方法を提供する本発明の一つの態様の操作を説明する全体的なフローチャートである。工程101において、哺乳類の臓器は、ドナーから取り出され又は採集される。それは、肝臓、腎臓、膵臓、心臓又はいかなる他の哺乳類の臓器又は組織でよい。工程102は、採集したドナー臓器に対して、保存溶液の適用を示す。本発明の別の態様において、ドナー臓器を通して溶液を灌流することが好ましい。工程103において、ドナー臓器は、好適な温度で保存のために調製される。ドナー臓器は、さらに保存溶液中に維持されまた倉庫に置かれ得る。本発明のこの特徴は、好適な温度でのドナー臓器を貯蔵する前にドナー臓器の低温保存溶液への適用、灌流、注入又は浸漬を提供する。
ドナー臓器が利用可能な時点で、潜在的な移植者は、まだ特定され得ない。本発明の一つの態様は、以下のようにそのような問題に対処する。ドナー臓器は、上記工程101-103で調製され、その後、工程104で適切な温度で貯蔵される。後日、貯蔵されたドナー臓器の適切な移植者が利用可能になる時、工程105において解凍されまた移植され得る。本発明の一つの態様は、移植手順の調製において、保存溶液の後、洗浄溶液を利用し、保存した臓器を解凍することである。
図2は、ドナー臓器が、異なる温度で貯蔵され得る態様をそれぞれ説明する2つのフローチャートを提供する。図2Aのフローチャートは、ドナー臓器を約0℃〜6℃としてここで定義されている冷凍温度で保存するための本発明の特徴に従う一連の工程を説明する。工程201は、溶液#1の2℃〜4℃の冷却を含み、この溶液は、本発明の別の特徴に従って提供される冷凍保存溶液である。この混合物は、7.0〜7.5のpHを有し得、種々の成分、例えば親水性ポリマー、糖類、ビニルポリマー、カルシウムイオンフラックス阻害薬、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬、静菌剤、抗菌剤、ヌクレオシド、アミノ酸、塩、クエン酸回路用のエネルギー源、ステロイド誘導体、膜安定剤、及び利尿薬を含み得る。工程202は、ドナー臓器の採集を示す。冷却及び採集の後、臓器を工程203で示すように溶液#1で灌流する。灌流の後、この臓器を工程204に示されるように溶液#1に浸漬し、工程205に示されるように移植前36時間、2℃〜4℃で保存した。
図2Bのフローチャートは、約-1℃〜-80℃としてここで定義される冷凍温度でドナー臓器の貯蔵のための本発明の別の態様を示す。工程206は、即ち装填用の前冷凍保存溶液、溶液#2及び低温保存溶液、溶液#3の両方の冷却工程を示す。溶液#2は、親水性ポリマー、糖類、ビニルポリマー、カルシウムイオンフラックス阻害薬、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬、静菌剤、抗菌剤、ヌクレオシド、アミノ酸、塩、クエン酸回路に対するエネルギー源、ステロイド誘導体、膜安定剤、及び利尿薬を含み得る。溶液#3は、溶液#2と同一の成分を含むが、さらに多量のグリセロール、プロパンジオール、アルコール及び凍結防止剤を含む低温防腐剤を含む。一定量の溶液#2は、2℃〜4℃の温度に冷却される。さらに、一定量の溶液#2及び#3は、0℃〜2℃の温度にさらに冷却する。工程207によって示されるように、その後27g注射針のような注射針を、ドナーから取り出す前の単離した臓器の動脈系に挿入し、また2℃〜4℃で冷却される溶液#2を、約1分間、注射針を経由して、注入する。工程208において、臓器をドナーから取り出し、0℃〜2℃に冷却した溶液#2に浸漬し、30分間その温度で維持した。工程209において、この臓器を、0℃〜2℃に保ち、0℃〜2℃に冷却した特定量の溶液#3を徐々に注射針を経由して注入した。その後、ドナー臓器を0℃〜2℃に冷却した溶液#3に30分間浸漬する。このインキュベーションに従って、ドナー臓器を工程210のように0℃以下の温度で溶液#3に貯蔵する。
図2Bに示されるように、本発明の別の態様において、工程210に続く追加の工程が提供され得る。ドナー臓器は、その後、工程211に示されるような約-80℃以下に定義され得る低温冷凍温度に移され得る。しかし、ドナー臓器にとって、-80℃のような低温に移す前に少なくとも8時間、-20℃で貯蔵されるのが好ましい。
図3A-Bは、本発明の別の態様の方法及び操作を示すフローチャートを提供する。保存された臓器は、図3Aで示されるように、冷凍温度で取り出され移植され得る。図3Aにおいて、ドナー臓器を工程301の冷凍温度で貯蔵庫から直接取り出され、工程302で好適な移植者に移植される。上記とは別に、臓器を冷凍温度から解凍し、次いで図3Bで示されるように移植し得る。図3Bは、冷凍温度で貯蔵されたドナー臓器の移植の工程を提供する。工程303は、溶液#1及び溶液#4を2℃〜4℃に冷却する第一要件を説明する。臓器を、その後工程304の冷凍温度貯蔵庫から取り出し、工程305に示されるように冷溶液#4で灌流する。溶液#4は、親水性ポリマー、糖類、ビニルポリマー、カルシウムイオンフラックス阻害薬、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬、静菌剤、抗菌剤、ヌクレオシド、アミノ酸、塩、クエン酸回路に対するエネルギー源、ステロイド誘導体、膜安定剤、及び利尿薬を含み得る洗浄溶液である。工程305に続いて、臓器を工程306に従う冷却した溶液#1で灌流する。工程307は、好適な移植者に対する臓器の移植を示す。
本発明の別の態様は、低温冷凍温度での臓器貯蔵の好適な溶液及び方法を提供する。図3Bに記載される工程の前に、追加の工程があり得る。貯蔵されたドナー臓器は、低温冷凍温度で貯蔵庫から取り出し、8時間以上冷凍温度に置かれ得る。この期間の後、ドナー臓器は、図3Bの工程304-308の後移植され得る。
保存、貯蔵及び移植に使用される溶液
臓器保存及び貯蔵に最も広く使用される溶液の一つは、デュポン社製のウィスコンシン大学(UW)溶液又はビアスパンとして知られる。しかし、ビアスパンを使用するドナー臓器の保存は、臓器が変質し始める前に腎臓において36時間までと一般的に制限される。ここに記載される溶液は、有意により長い保存期間を可能にし得る。
種々の臓器保存及び貯蔵溶液は、本発明に従ってここに提供される。これらの貯蔵溶液は、1種以上の以下の成分:臓器の細胞保護に使用される大分子親水性ポリマー、間質性水腫又は細胞内補強液体を減少させる薬剤、細胞機能のエネルギー源、種々の塩を含む細胞イオン濃度を維持する薬剤、及びタンパク質分解を阻止し、抗酸化剤としてフリーラジカルを除去し得る一連の1種以上のアミノ酸を含み得る。他の溶液添加剤は、細胞膜安定剤及び抗炎症剤を含み得る。
図4の表は、本発明の別の特徴に従って提供される溶液、溶液#1、冷凍保存溶液を記載する。さらに、特定範囲の濃度は、溶液#1に使用され得るいくつかの他の態様を説明するために提供される。溶液#1は、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含み、これは、臓器細胞膜を通る細胞外溶質の通過を防ぐことによってドナー臓器の細胞を保護するために使用される大分子親水性ポリマーである。シグマ-アルドリッチ製の製品P2263は、好ましくは使用され得るが、いかなる匹敵する又は等価な化学物質は、PEGの代わりに使用され得る。ポリビニルピロリドン又はPVP-40は、大分子のビニルポリマーである。PVP-40は、PEGに類似する様式で使用され得る。PVP-40は、過剰の溶質のインフラックスからドナー臓器細胞を保護する。その大きいサイズは、一般的に溶質の流入を防ぐ役を果たす。シグマ-アルドリッチ社製のPVP-40の好ましい形態として、製品P0930、又はいかなる他の匹敵する化学物質が使用され得る。スクロースは、二糖類であり及び大分子として機能して、ドナー臓器の細胞への溶質の侵入を阻止する。それは、間質性水腫、又は流動性蓄積、細胞内部の量を減少させることをも助ける。溶液#1の別の成分は、ベラパミルであり、これは、ドナー臓器細胞へ細胞外カルシウムイオンの侵入を阻止するためのカルシウムイオンインフラックス阻害薬である。ベラパミルは、細胞内カルシウム濃度の上昇を阻止することによって、ドナー臓器細胞を保護し得る。ベラパミルは、細胞内カルシウム濃度の上昇を阻止することによってドナー臓器細胞を保護し、長期貯蔵保存期間の後、炎症経路の活性化を制限し得る。さらに、ベラパミルは、好中球の下方制御浸潤又は他の免疫性応答元素を提供し得ることが観察される。Lopez-Neblina F,et al. “Mechanism of protection of verapamil by preventing neutrophil infiltration in the ischemic rat kidney” J. Surg. Res. (March 1996) Volume 61 (2), page 469-72を参照されたい。トリメトプリム成分は、16mg/mlのトリメトプリムと80mg/mlのスルファメトキサゾールを含む溶液からなる。ともに、ドナー臓器の感染を阻止するために使用される抗菌剤である。アデノシンは、代謝エネルギー移動の役を果たすヌクレオシドである。それは、溶液#1において、別のエネルギー源として役を果たす。それぞれ記載される塩MgSO4、NaCl、KCl、MgClは、溶液#1に存在し得、また適切なイオンの細胞内濃度を維持するために使用される。ドナー臓器細胞膜を超えた適切なイオン勾配は、これらの塩の使用を通して維持される。アミノ酸、グリシン、アルギニン、セリン、プロリン、グルタミン及びN-アセチルシステインは、タンパク質分解を阻止するために、また抗酸化剤としてフリーラジカルを除去するために使用される。さらに、アセチルシステイン自体は、強力な抗酸化剤である酵素グルタチオンの生成を高める。ピルベートは、ドナー臓器細胞の第一エネルギー源として溶液#2に存在する。それは、クエン酸回路への主要な投入であり、細胞呼吸及びエネルギー発生のため細胞が酸素を利用できるようにする。リドカインは、細胞膜を安定化させ、ある程度、虚血性及び再灌流損傷、及びドナー臓器細胞の続く腫脹を阻止する局所麻酔剤である。デキサメタゾンは、抗炎症剤として機能するステロイドである。それは、内皮細胞腫脹の減少を助ける。エタクリン酸は、間質性水腫又は流動性ビルドアップの減少の役を果たす利尿薬である。
図5は、本発明の別の態様、溶液#2を説明する表を提供する。溶液#2は、特定の濃度範囲内で変化する示されたリストの成分を含む装填用の前冷却貯蔵溶液である。この溶液は、貯蔵条件が、0℃より低いので、溶液#1より高い濃度のポリエチレングリコール(PEG)を含む。さらなるPEGは、これらの温度で追加の凍結保護を提供し得る。さらに、大分子のサイズのPEG、スクロース、及びPVP-40は、ドナー臓器細胞に細胞外溶質のインフラックスに対する保護を提供し、より良い凍結保護を可能にするわずかな脱水を生成する。ベラパミルは、溶液#1でのように、カルシウムイオンインフラックス阻害薬として役を果たす。ベラパミルは、フェニルアルキルアミンカルシウムチャンネル遮断薬である。ベラパミルの代わりに使用され得るカルシウムチャンネル遮断薬の多数の分類が存在する。例えば、ジルチアゼム(ベンゾジアゼピン)、ニカルジピン、ニフェジピン、又はニモジピン(すべてのジヒドロピリジン)、ベプリジル(ジアリールアミノプロピルアミンエーテル)及びミベフラジル(ベンズイミダゾール-置換テトラリン)が、溶液#1-#4における同一機能をすべて果たし得る。トリメトプリムは、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤であり、バクテリア中の葉酸の生成を止めるために殺菌性として使用される。他の殺菌性は、以下の分類:ペニシリン、セファロスポリン、及びアミノグリコシド剤のようにその場所で使用され得る。スルファメトキサゾールは、溶液#1でのように抗菌剤の役を果たす。この薬剤は、スルホンアミドと呼ばれる薬物群の一つであり、体内で細菌増殖を阻止する。この群の他のメンバーは、スルファジアジンのような、溶液#1-4のスルファメトキサゾールと置き換えられ得る。アデノシンと塩、MgSO4、NaCl、KCl、MgClは、すべて溶液#1のように同一の機能を果たすが、NaClのより高い濃度は、細胞内の水の量を減少させ、それによって氷晶の形成を制限するので、自然状態で保護的な軽度の脱水を生じさせる。アミノ酸、グリシン、アルギニン、セリン、プロリン、グルタミン及びN-アセチルシステインは、抗タンパク質分解剤及び/又は抗酸化剤として作用する。ピルベートは、クエン酸回路に入り、リドカインは、ドナー臓器細胞膜を安定化させ、デキサメタゾンは、抗-炎症保護を提供し、またエタクリン酸は、間質性水腫を減少させるために助ける。
図6は、本発明の別の態様、低温保存溶液の溶液#3を記載する表である。特定範囲の濃度は、溶液#3のいくつかの他の変化を説明するために提供され本発明に従って使用され得る。溶液#2として、PEG濃度は、臓器が貯蔵される低温で対処するために、より高くなり得る。PEG、スクロース及びPVP-40は、類似の役割、低温保存剤の役を果たし、その大きい分子サイズは、細胞外溶質の侵入を阻止する。スクロースの他に、他の二糖類は、置換されてよく、例えば、ラクトース、マルトース、イソマルトース、又はセロビオースである。さらに、PVP-40は、代わりの高分子例えば、複雑なコロイドのデキストラン-40又はゼラチンで置換されてよい。トリメトプリムとスルファメトキサゾールは、抗菌剤として添加され、アデノシン及びピルベートは、エネルギー源として添加され、また塩は、ドナー臓器細胞膜を安全なイオン勾配を保存するために添加される。溶液#1及び#2として、アミノ酸、グリシン、アルギニン、セリン、プロリン、グルタミン及びN-アセチルシステインを添加して細胞タンパク質のタンパク質分解を妨げる。これらのアミノ酸、特にセリン及びプロリンは、類似の機能の他のアミノ酸、例えばアラニン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンで置換され得る。後者の群のメンバーは、すべて抗タンパク質分解活性を有する。溶液#1と#2として、リドカインは、細胞膜を安定化させるために役立ち、デキサメタゾンは、ドナー臓器の炎症を阻止し、エタクリン酸は、間質性水腫及び利尿又は尿排泄の初期誘導を減少させる。溶液#3は、低温保存溶液であり、溶液#1及び#2には見出されない成分を含み得る。例えば、種々の抗冷凍成分は、溶液#3の4種の異なる型のように含まれ得る。二つは、グリセロール及びエタノールでありともに、低凝固点のアルコールであり、冷凍前の温度で、臓器を冷凍から防ぐことが出来る。プロパンジオール、別の抗冷凍剤は、第三成分であり、ジメチルスルフォキシド(DMSO)は、第四成分である。溶液で全ての成分を保持する有機溶媒の他に、DMSOは、凝固点を下げ、遅い冷却速度を可能にする周知の凍結防止剤である。ドナー臓器細胞を氷点下の温度で冷凍することを防ぐときに有効である。NaCl濃度が、溶液#3及び#4より溶液#2で一般的に高いのは、臓器が、僅かに水分を失うためであることを知ることが重要である。細胞からの水の除去により、臓器の冷凍工程の間氷晶が形成される可能性が減る。溶液#3のDMSOは、細胞から残った水を置換することによって、役を果たす。DMSOは、より低い凝固点を有するので、細胞は、ほとんど氷晶を形成しない。
図7は、本発明の別の態様である、洗浄溶液、溶液#4を記載する表である。さらに、特定の範囲の濃度は、ここに提供されるいくつかの他の種類の溶液#4を説明するために提供される。この洗浄溶液は、同一の高分子、PEG、PVP-40及びスクロースを実質的に含み細胞外溶質のインフラックスの阻止を助ける。ベラパミルは、カルシウムイオンの侵入を阻止するために存在し、トリメトプリムとスルファメトキサゾールは、抗菌剤として存在し、ピルベート及びアデノシンは、エネルギー源として存在し、同一の塩は、適当なイオン勾配を維持し、またリドカインは、細胞膜を安定化させる。副腎皮質性ステロイドである、デキサメタゾンは、臓器の炎症を停止するために含まれる。しかし、他のそのようなステロイドは、デキサメタゾン、例えばヒドロコルチゾン、アルダクトン、又はアリストコートに置換され得る。エタクリン酸は、利尿薬として溶液#4に含まれ、間質性水腫を減少させる。
洗浄溶液である溶液#4は、NaClの濃度が、溶液#1より典型的に低いことを除いて、溶液#1及び#2に見られるように、同一の成分を一般的に含む。これによって、溶液#4は、低温溶液である溶液#3を洗い流し、細胞を再水和できるようにする。冷凍前の細胞に水を置きかえた溶液#3からDMSOを、洗い流し、貯蔵された臓器の温度を、正常に回復するまで、水を、添加する。
溶液#1-#4のそれぞれの成分の濃度及び濃度範囲は、ビアスパンのような現在有用な他の臓器保存/貯蔵溶液と比較して相対的に低いことに注意することが重要である。ビアスパンは、ここで記載される溶液より高濃度の成分を含む。しかしより高い成分濃度は、一般的に、ドナー臓器に対して溶液の毒性を増加させる。
臓器の保存、貯蔵及び移植のためのキット
本発明の別の特徴に従って、ここに記載される溶液#1、#2、#3及び#4は、単一包装又はキット内に分離された容器内に保存され得る。そのようなキットは、ドナー臓器の採集、貯蔵、保存、及び/又は移植の分野又は活動に関与した事業者に販売し得る。これらのキットは、ここの他のどこかで記載されるような臓器の調製及び貯蔵の方法に対する使用説明書を含み得る。本発明の特徴に従い、各種の哺乳類の臓器は、延長された期間、貯蔵に対して処理及び調製され得る。ラット腎臓で以下の実施例に従って実験を実施する一方で、ここの本発明は、ヒト被験者又は他の哺乳類及び他のそれぞれの臓器に適用され得る。
低温貯蔵又は冷凍温度での臓器貯蔵
例1
ドナーラット腎臓は、通常の方法によって採集され、及び下表に記載の成分からなる(下記の)溶液#1で灌流される。この溶液は、間質性水腫及び内皮腫脹を減少させるように設計された混合物であり、抗酸化剤及び抗タンパク質分解アミノ酸を含み、及びマグネシウム、ナトリウム、及びカリウムを含むイオンの適当な細胞内濃度を保持する。この溶液は、高分子、不浸透性分子、アミノ酸、クレブス回路を支持するエネルギー源、及び塩からなる。この溶液のpHは、約7.3+/-0.1である。
溶液#1に灌流された腎臓は、約2℃〜4℃で36時間、冷蔵庫に貯蔵し、その後、公開された方法を使用して無腎ラットに移植した。移植された腎臓は、鮮血ですぐにピンク色に変化することが観測され、直ぐに尿を生成し始めた。
対照的に、UW溶液によって灌流され、また36時間冷蔵庫で貯蔵されたドナー腎臓は、移植後、血液で明るくなったり、適当な量の尿を作ることが出来なかった。
溶液#1又は等価な溶液等の溶液で灌流され又は貯蔵された臓器は、長期間貯蔵され、移植後、迅速に回復及び機能し得る。特に、腎臓は、36時間、40時間、48時間、50時間またはそれ以上貯蔵され得、その後移植され、また生存でき、機能する。
氷点下の温度(0℃以下)での臓器貯蔵
2つの溶液を、氷点下保存で、順々に使用し、調製液中の臓器を灌流又は洗浄する(以下に記載の溶液#2及び溶液#3)。氷点下の温度での貯蔵後、溶液#3を溶液#4(下記)で洗浄し、その後溶液#1で洗浄し、そして臓器を移植する。これらの溶液#2、#3、及び#4は、低温保存(氷点下温度での貯蔵)の使用のためのいくらかの改良を伴って溶液#1に類似する。溶液#3(低温溶液)は、凍結防止剤を含む。すべての溶液は、臓器の灌流又は洗浄に使用される場合、約2℃〜4℃で冷される。
ドナーラット腎臓を、塩化ナトリウムが2.5%でPEGとスクロースの量が増加していることを除いては溶液#1と同一の溶液#2で2℃〜4℃で30分間灌流した。その後、ドナー腎臓を溶液#3(低温保存溶液)で2℃〜4℃で30分間灌流した。腎臓を約-20℃の冷蔵庫の冷凍室に置いた。腎臓を数日間貯蔵したが、より長期間又は数週間又は数ヶ月間貯蔵し得る。
先述のように利用された灌流溶液及び系の使用のため、腎臓を冷凍しなかった。
冷凍庫からこの腎臓を取り出した後、腎臓をNaClの量が10mMであることを除けば溶液#2と同一である洗浄溶液(溶液#4)で灌流した。最後に、腎臓を溶液#1で30分間、灌流し、移植した。移植された腎臓は、血液で再灌流されるとピンク色への変化が観測され、すぐに尿を生成した。
この実施例で使用される溶液は、下表に記載されるように構成される。
先述の方法に従って、記載された本発明の溶液又は本質的に等価な溶液を使用して、臓器は、本発明の述べられた方法に従う移植に使用されるまで、氷点下温度で、数日、数週間又は数ヶ月の延長された期間貯蔵され得る。
下記の溶液は、950mlの水、10ml、1Mの一塩基フォスフェート、及び40ml、1Mの二塩基フォスフェートから成るリン酸バッファーにおいてすべて約7.3+/-0.1のpHである。
以下は、約-80℃の温度で4種のラット腎臓の臓器貯蔵に対する本発明に従った手順の記載である。ここで記載される同一の溶液は、一般的にこの範囲の温度での貯蔵に適用され得る。
それぞれの腎臓は、腎臓流れ(renal flow)を絹によって単離する標準的な方法で分析され得る。腎臓血管を区分することによって通常達成される静脈ドレナージを開ける。27g注射針を、腎臓のフラッシングが、直ぐに開始され得るように単離した動脈系に挿入してよい。この方法の間、空気循環又は空気泡の系への導入を避けることが望ましい。1mlの体積の高張液(溶液#2)の装填は、2〜4℃で1分間実施され得る。その後、臓器を取り出し、直ぐに0〜2℃で同一溶液に浸漬し、30分間、装填溶液にこの温度で維持する。その後、10mlの氷点下溶液(抗-冷凍溶液#3)の注入を分当たり0.300mlで開始し、腎臓をこの注入の間、0℃〜2℃で維持する。続いて不凍液で浸漬された移植片を、12時間、-20℃で、冷凍庫に置き、その後、低温保存のため-80℃で低温冷凍庫に置く。
低温保存のための-80℃での貯蔵の後、この臓器を暖めるために、12時間、-20℃に最初に置く(標準的な冷凍庫)。その後、0℃〜2℃の環境に置き、その後10mlの洗浄溶液(溶液#4)を分当たり0.300mlで投入する。腎臓をこの注入の間、0〜2℃に維持する。その後、移植片を少なくとも1時間、2〜4℃で冷蔵庫に置く。その後、それぞれの腎臓を慣例の方法で移植し、その後、血液循環を可能にする。再灌流損傷指数(Reperfusion Damage Index)を最初の15分間測定した。移植片を再灌流の60分間で取り出し、10%の緩衝ホルマール(formal)に置き、組織画像(H&E)と写真を600xで撮った。ポジで得られた組織像は、無償の糸球体を有しており、腎臓の細胞構造をここで本発明に従って、-80℃で臓器保存の後に維持される。
先述の実施例に証明されるように、ここの方法及び溶液は、-20℃又は約-80℃より低い温度で臓器保存を提供する。これらの技術は、ヒト腎臓を含む他の哺乳類臓器に適用され得る。
本発明の好適な態様がここに示されまた記載される一方で、そのような実施例が実施例のみの目的で提供されることが当業者にとって自明であろう。多数の変化、変更、及び置換は、本発明から逸脱せずに当業者の頭に浮かぶだろう。ここで記載される本発明の態様の種々の代替は、本発明を実施する場合に使用されることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を明確にし、これらの特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内の方法及び構造が包含されることが企図される。
臓器の保存及び移植の方法を提供する本発明の態様の操作を説明する全体的なフローチャートである。 本発明の2種の態様の操作を説明するフローチャートであって、ドナー臓器が、図2Aのように冷凍温度で貯蔵され得又は図2Bのように冷凍温度で貯蔵され得る。 本発明の異なる態様の操作を説明するフローチャートであって、貯蔵されたドナー臓器が、図3Aのように低温貯蔵又は冷凍温度から取り出され移植され得るか又は図3Bのように冷凍温度から解凍されまた移植され得る。 本発明の別の特徴に従って提供される冷凍保存溶液、溶液#1の組成物を記載する表である。さらに、様々な濃度が、溶液#1で使用され得るいくつかの他の成分を説明するために提供される。 低温保存溶液での処理の前に使用され得る装填用の前冷凍保存溶液の成分を記載する表である。さらに、これらの成分の様々な濃度が、溶液#2のいくつかの他の代替物を説明するために提供される。 低温保存溶液、溶液#3を提供する本発明の別の態様を記載する表である。さらに、様々な濃度が、溶液#3に使用され得るいくつかの他の種類の溶液成分を説明するために提供される。 洗浄溶液、溶液#4の組成物を記載する表である。さらに、成分濃度の範囲は、本発明のこの特徴に従って使用され得る溶液#4のいくつかの他の変化を説明するために提供される。

Claims (23)

  1. 冷凍温度での哺乳類のドナー臓器又は組織の保存方法であって、以下の工程、
    (1)ポリビニルピロリドン(PVP-40)、カルシウムチャンネル遮断薬、ヌクレオシド、塩化カリウム、ポリエチレングリコール、少なくとも1種のアミノ酸及びステロイドを少なくとも含有する冷凍保存液を2℃〜4℃の温度に、冷却する工程、
    (2)ドナー臓器を採集する工程、
    (3)冷凍保存溶液でドナー臓器を灌流する工程、
    (4)冷凍保存溶液にドナー臓器を浸漬する工程、及び
    (5)0℃以上の冷凍温度で、冷凍保存溶液でドナー臓器を貯蔵する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記カルシウムイオンフラックス阻害薬が、ベラパミルである請求項1記載の方法。
  3. 前記ヌクレオシドが、アデノシンである請求項1記載の方法。
  4. 前記一又は複数のアミノ酸が、N-アセチルシステイン、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタメート、セリン、アラニン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンから成る群から選択される請求項1記載の方法。
  5. 前記ステロイドが、デキサメタゾンである請求項1記載の方法。
  6. 前記ドナー臓器が、哺乳類の心臓、肝臓、腎臓、膵臓又は他の臓器又は組織である請求項1記載の方法。
  7. 前記冷凍保存溶液が、7.0〜7.5のpHである請求項1記載の方法。
  8. 0℃以上の冷凍温度から、保存したドナー臓器を取り出し、そして、それを移植するさらなる工程を含む請求項1記載の方法。
  9. 冷凍温度での移植のための哺乳類ドナー臓器又は組織の保存方法であって、以下の工程、
    (1)ポリビニルピロリドン(PVP-40)、カルシウムチャンネル遮断薬、ヌクレオシド、塩化カリウム、ポリエチレングリコール、少なくとも1種のアミノ酸、及びステロイドを少なくとも含む装填用の前冷凍保存溶液を2℃〜4℃に冷却する工程、
    (2)特定量の装填用の前冷凍保存溶液を0℃〜2℃の温度に冷却する工程、
    (3)ポリビニルピロリドン(PVP-40)、カルシウムチャンネル遮断薬、ヌクレオシド、塩化カリウム、ポリエチレングリコール、少なくとも1種のアミノ酸、ステロイド、グリセロール、プロパンジオール、アルコール及びアルキルスルホキシドを少なくとも含む低温保存溶液を0℃〜2℃の温度まで冷却する工程、
    (4)前記ドナーから取り出す前にドナー臓器の単離された動脈系に注射針を挿入する工程、
    (5)前記ドナー臓器に注射針を通して2℃〜4℃に冷却された装填用の前冷凍保存溶液を注入する工程、
    (6)前記ドナー臓器を採集する工程、
    (7)0℃〜2℃の温度で維持された前記ドナー臓器を0℃〜2℃に冷却された装填用の前冷凍保存溶液に10分間以上浸漬する工程、
    (8)前記ドナー臓器に注射針で0℃〜2℃に冷却された冷凍保存溶液を徐々に注入する工程、
    (9)0℃〜2℃の温度で維持された前記ドナー臓器を10分以上、0℃〜2℃に冷却した低温保存に浸漬する工程、
    (10)0℃以下の温度で、低温保存溶液にドナー臓器を保存する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  10. (1)0℃以下の温度で8時間以上ドナー臓器を貯蔵する工程、及び
    (2)約-80℃の低温冷凍温度でドナー臓器を導入する工程、
    をさらに含む請求項9に記載の方法。
  11. 前記カルシウムイオンフラックス阻害薬が、ベラパミルである請求項9に記載の方法。
  12. 前記ヌクレオシドが、アデノシンである請求項9に記載の方法。
  13. 前記一又は複数のアミノ酸が、N-アセチルシステイン、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタメート、セリン、アラニン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
  14. 前記ステロイドが、デキサメタゾンである請求項9に記載の方法。
  15. 前記装填用の前冷凍保存溶液及び低温保存溶液が、それぞれ7.0〜7.5のpHである請求項9に記載の方法。
  16. 前記ドナー臓器が、哺乳類の心臓、肝臓、腎臓、膵臓又は他の臓器又は組織である請求項9に記載の方法。
  17. 請求項9に従って保存されるドナー臓器の移植方法であって、
    (1)ポリビニルピロリドン(PVP-40)、カルシウムチャンネル遮断薬、ヌクレオシド、塩化カリウム、ポリエチレングリコール、少なくとも1種のアミノ酸、ステロイド、グリセロール、プロパンジオール、アルコール及びアルキルスルホキシドを少なくとも含む洗浄溶液を2℃〜4℃の温度に冷却する工程、
    (2)冷却保存溶液を2℃〜4℃の温度に冷却する工程、
    (3)0℃以下の温度で貯蔵庫からドナー臓器を取り出す工程、
    (4)2℃〜4℃に冷却された洗浄溶液でドナー臓器を灌流する工程、
    (5)2℃〜4℃に冷却された冷却保存溶液でドナー臓器を灌流する工程、及び
    (6)前記ドナー臓器を移植する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  18. 洗浄溶液の冷却の第一工程が、低温冷凍温度で保存されたドナー臓器の移動に先行し、8時間以上の期間、冷凍温度で保存する請求項17に記載の方法。
  19. 前記カルシウムイオンフラックス阻害薬が、ベラパミルである請求項17に記載の方法。
  20. 前記ヌクレオシドが、アデノシンである請求項17に記載の方法。
  21. 前記一又は複数のアミノ酸が、N-アセチルシステイン、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタメート、セリン、アラニン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンから成る群から選択される請求項17に記載の方法。
  22. 前記ステロイドが、デキサメタゾンである請求項17に記載の方法。
  23. 前記洗浄溶液が、7.0〜7.5のpHである請求項17に記載の方法。
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