JP2024519506A - トレハロースを使用し、他の凍結保護剤を凍結保存プロトコルに他の凍結保護剤を含まない保存方法 - Google Patents

トレハロースを使用し、他の凍結保護剤を凍結保存プロトコルに他の凍結保護剤を含まない保存方法 Download PDF

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Abstract

生細胞を含有する細胞材料は、凍結保存プロトコルの間、有効量のトレハロース(DMSO及び/又は任意の他の添加された凍結保護剤の非存在下)を含有する凍結保護剤配合/媒体/溶液と細胞材料を組み合わせることによって保存される。すなわち、凍結保存プロトコルは、トレハロース以外の凍結保護剤を含まず、凍結保存プロトコルは有効量のトレハロースを含有する凍結保護剤配合に細胞材料を曝露して凍結保護剤として作用させること、-3℃/分~-50℃/分の範囲の冷却速度で細胞材料を-20℃未満の所定の温度まで冷却すること、及び温められた凍結保存細胞材料を得ることを含む。

Description

(連邦支援研究に関する表明)
本発明は、米国国立衛生研究所のNational Heart、Lung and Blood InstituteからのGrant HL142371の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
(関連出願の相互参照)
この非仮特許出願は、米国仮出願第63/183,678号の利益を主張する。先行出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
本開示は細胞及び組織保存の分野に関し、特に、本発明はトレハロースを用いるが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン/グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の他の添加された凍結保護剤を含まない、例えば、幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)及び膵島等の細胞材料の凍結保存の方法に関する。
(背景)
研究に使用されるほとんどの細胞は5~10%DMSOをクライオバイアル中の懸濁液中の細胞に添加した後、約-1℃/分で低速冷却し、高いサブゼロ温度(通常-10℃を超える)で核形成を誘発するか、又は誘発しないで、-80℃又は-135℃未満で保存した後、凍結保存される。
しかしながら、保存することが困難な細胞型及び組織、並びに細胞療法用途等の細胞収率が重要である状況が存在する。細胞の生存率及び収率を改善し、保存することが伝統的に困難である細胞型の保存を可能にする代替のプロトコル及び溶液が必要とされている。新しい細胞療法が開発され、薬物開発のための細胞及び組織ベースのスクリーニングアッセイがより普及することにつれて、効果的な保存溶液及びプロトコルが必要とされ、その結果、幹細胞移植及びアッセイ等の新興療法の潜在的な使用及び利益を実現することができる。
医薬品をより迅速かつより安価に市場に出すことに対する需要の増加に伴い、より良好かつより費用効率の高いハイスループットスクリーニング技術及びサービスが必要とされている。発見と検証のリードタイムの短縮は開発の重要な分野であり、製薬会社は、潜在的な薬物がどのように毒性を有するかを定義することに焦点を移している。細胞及び組織に基づくアッセイは、そのようなスクリーニングの傾向である。1997年の20年以上前、製薬会社とバイオテクノロジー企業はすでに研究開発に420億ドルを費やしており、スクリーニング費用は約59億ドルであった。環境関連会社は、浄化・浄化活動から監視・品質管理に移行している。さらに、会社は、製品及びサービスのスクリーニングのために外部の供給源を使用することがますます多くなっている。これら全ての分野において、費用効果が高く、信頼性があり、定量的な結果を提供する細胞及び組織アッセイシステムが望まれている。したがって、細胞産物の利用可能性を増加させ、そのような産物の使用効率を増加させる保存方法論が非常に望まれている。
DMSOは、発見され、最も広く使用されている最も効果的な凍結保護剤である。細胞凍結保存は通常、培養培地中でDMSOを用いてゆっくりとした冷却速度で凍結し、後の使用のために-135℃未満で保存することを含む。細胞収率及び生存率が非常に重要であり得る実施例としては、バイオリアクタータンパク質製造ランのための培養を開始する際の高価な遅延の最小化、及び癌等の様々な疾患の治療のために患者に細胞を投与することを伴う細胞療法が挙げられる。いくつかの細胞、例えば、線維芽細胞はケラチノサイト、肝細胞、及び心筋細胞のような他の細胞型を容易に凍結保存するが、十分に凍結せず、細胞収率はしばしば50%を十分に下回る。
現在の意見は、細胞を患者に注入する前にDMSOを除去すべきであるというものである(Caselli et al., Respiratory depression and somnolence in children receiving dimethylsulfoxide and morphine during hematopoietic stem cell transplantation. Haematologica, 94:152-3, 2009; Junior et al., Neurotoxicity associated with dimethyl sulfoxide-preserved hematopoietic progenitor cell infusion. Bone Marrow Transplant, 41:95-6, 2008; Mueller et al., Neurotoxicity upon infusion of dimethylsulfoxide-cryopreserved peripheral blood stem cells in patients with and without pre-existing cerebral disease. Eur J Haematol, 78:527-31, 2007; Otrock et al., Transient global amnesia associated with the infusion of DMSO-cryopreserved autologous blood stem cells. Haematologica, 93:36-7, 2008; and Schlegel et al., Transient loss of consciousness in pediatric recipients of dimethylsulfoxide (DMSO)-cryopreserved peripheral blood stem cells independent of morphine co-medication. Haematologica, 94:1473-5, 2009)。したがって、そのような細胞を効果的に使用するのに要する時間が増加する。
DMSO細胞毒性のメカニズムは明らかにされていないが、膜流動性を改変し、細胞分化を誘導し、細胞質微小管変化及び金属錯体を引き起こすと考えられている(Barnett, The effects of dimethylsulfoxide and glycerol on Na+, K+-ATPase and membrane structure. Cryobiology. 1978;15(2):227-9; Katsuda et al., The influence of dimethyl sulfoxide on cell growth and ultrastructural features of cultured smooth muscle cells. J Electron Microsc (Tokyo). 1984;33(3):239-41; Katsuda et al., Dimethyl sulfoxide induces microtubule formation in cultured arterial smooth muscle cells. Cell Biol Int Rep. 1987;11(2):103-10; Miranda et al., Alteration of myoblast phenotype by dimethyl sulfoxide. Proc Natl Acad Sci U S A. 1978;75(8):3826-30)。DMSOはまた、コラーゲンmRNAの発現を用量依存的に減少させる(Zeng et al., Dimethyl Sulfoxide Decrease Type-I and -III Collagen Synthesis in Human Hepatic Stellate Cells and Human Foreskin Fibroblasts. Advanced Science Letters, 3:496-499, 2010)。最近ではDMSOは細胞周期進行及び減数分裂紡錘体組織に影響を及ぼす(Li et al., Dimethyl Sulfoxide Perturbs Cell Cycle Progression and Spindle Organization in Porcine Meiotic Oocytes. PLoS One. 2016 Jun 27;11(6):e0158074)、蛋白質凝集(Giugliarelli et al., Evidence of DMSO-Induced Protein Aggregation in Cells. J Phys Chem A. 2016 Jul 14;120(27):5065-70)、及び様々な細胞プロセスに干渉する可能性を有する肉眼的分子変化(Tuncer et al., Low dose dimethyl sulfoxide driven gross molecular changes have the potential to interfere with various cellular processes. Sci Rep. 2018;8(1):14828)が報告されている。
したがって、凍結保護剤としてDMSOを使用する転帰を回避又は改善する細胞凍結保存方法が必要とされている。この点に関して、トレハロース等の二糖類は、凍結保護剤として広く研究されている。トレハロースが有効な凍結保護剤であるという主な仮説は、トレハロースが細胞膜の両側に存在すべきであるということである。トレハロースは、哺乳動物細胞によって代謝されず、トレハロースの取り込みのための活性な哺乳動物トランスポートメカニズムはない。したがって、本開示の方法論の発明の前に、トレハロース(単独)の使用は、(特にDMSOの非存在下で)非常に低い生存率及び代謝機能値を有することが予想された。
本開示の方法論は上記の必要性に対処し、多種多様な潜在的用途のための細胞材料のためのより効率的で、費用効果的で、より安全な貯蔵及び輸送方法を提供することによって、既存の細胞及び組織療法に対する改善を提供する。図1参照。
本開示の方法論はまた、例えば、幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞(例えば、ヒト間葉系幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)及び膵島)等の細胞材料の利用可能性を増加させることを目的とし、これらの寿命を変える細胞材料の使用の増加を可能にする(いくつかの場合、細胞はいかなる介在工程もなしに、解凍後に患者に直接使用及び/又は注入され得る)。本開示の方法論の適用はまた、細胞及び組織研究、細胞及び組織ベースの工学的再生医療製品、並びに移植及び毒物学スクリーニングのための細胞及び組織銀行を含む。
(発明の要旨)
本開示は凍結保存プロトコルにおいて、他の添加された従来の凍結保護剤(例えば、DMSO、グリセリン/グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等、特にDMSO)の非存在下でトレハロースを使用する改善された保存方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示が従来の凍結保護物質(例えば、DMSO等の毒性であることが知られているもの、及び/又は細胞もしくは組織が-80℃以下で凍結保存され、再準備された後に除去されるように設計されたもの)を置き換えることによって、細胞又は組織に対する保護効果及び低毒性を達成する凍結保存方法論を提供することを対象とする。本開示の方法論は高度に毒性の凍結保護剤(例えば、細胞が凍結保存液に浸漬され、次いで-80℃以下で凍結保存される場合に使用されるDMSO又は他の従来の凍結保存剤)を使用することなく、安価で安全な凍結保存のための方法を提供する。DMSO等の従来の凍結保護剤は使用されないので、細胞が経験する毒性(保存プロセス中、保存中、復温中、及び復温後)は低く保たれ、細胞は、いかなる介在する工程もなく、解凍後に患者に直接使用及び/又は注入することができる。いくつかの実施形態では、解凍された細胞又は組織が培養培地中に懸濁されて、培養プロセスを直ちに(すなわち、復温プロセスの直後に)開始してもよい(例えば、細胞又は組織の解凍後に洗浄せずに)。
いくつかの実施形態では、本開示の方法論が全ての細胞機能(例えば、幹細胞、膵島、間葉系幹細胞等を含む細胞の)を維持する様式での培養細胞の凍結保存を対象とする。したがって、これらの細胞の使用及び/又は移植における効率が改善される。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の方法論が貯蔵からの復温後のさらなる処理/洗浄を必要とせずに、治療的使用の準備が整ったオンデマンドの既製の骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)を提供することを対象とする。いくつかの実施形態では本開示の方法論がトレハロースを使用するPan T細胞の凍結保存を対象とし、この方法論は細胞が凍結保存液に浸漬され、次いで-80℃以下で凍結保存される場合に使用されるDMSO又は他の従来の凍結保存剤(グリセリン/グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)等の他の添加された凍結保護剤を含まない。
図1は、細胞及び組織療法から最終的に恩恵を受ける可能性のある患者集団の説明である(全米国患者集団は1億2200万人である)。 図2は、実験に関して得られたデータの説明図であり、示されたトレハロースの非存在下及びDMSO対DMSOのみの対照の濃度における凍結保存後のhMSC生存率に対する冷却速度の効果を示しており、データは平均±1標準誤差として示されている。 図3A及び3BはDMSO及びトレハロースの組み合わせを用いた-15℃/分での凍結保存後の細胞生存に関して得られたデータの図である(細胞を凍結保存し、様々な濃度のDMSO及びトレハロースを用いて再準備した。5%DMSOを含有するCryostor-5を対照として用いた。細胞数、生死(図3A)並びに代謝活性(図3B)を測定した。値は、0.2~0.6Mトレハロースでの3回の実験からの9回の反復の平均(±SEM)及び0.8Mトレハロースでの1回の実験からの3回の反復によるCryostor-5制御である。
(詳細な説明)
(用語と定義)
以下の説明では、本開示の理解を提供するために多数の詳細が記載される。しかしながら、本開示の方法はこれらの詳細なしに実施されてもよく、記載された実施形態からの多数の変形又は修正が可能であり得ることが、当業者によって理解され得る。
最初に、任意のそのような実際の実施形態の開発において、システム関連の制約及びビジネス関連の制約の遵守等、現像液の特定の目標を達成するために、実装ごとに異なる多数の実装固有の決定が行われ得ることに留意されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な作業であることが理解されるのであろう。加えて、本明細書で使用/開示される組成物は引用されたもの以外のいくつかの成分(すなわち、他の凍結保護物質を除く)も含むことができる。要約及びこの詳細な説明において、各数値は用語「約」によって修飾されたものとして一度読まれるべきであり(既に明示的に修飾されていない限り)、文脈において別段の指示がない限り、修飾されていないものとして再度読まれるべきである。
本明細書で使用される場合、量に関連して使用される「約」という用語は記載された値を含み、文脈によって指示される意味を有する。例えば、それは、特定の量の測定に関連する誤差の程度を少なくとも含む。範囲の文脈において使用される場合、修飾語「約」はまた、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲を開示するものとみなされるべきである。例えば、範囲「約2~約4」は、範囲「2~4」も開示する。
本明細書で特に明記しない限り、温度(℃)に関する修飾語「約」は、記載された温度又は温度の範囲、並びに記載された温度又は温度の範囲+/1~4%(記載された温度又は温度の範囲の終点)を指す。細胞生存率及び細胞保持率(%)に関して、本明細書に別段の明示的記載がない限り、細胞生存率及び細胞保持率(%)に関する修飾語「約」は、記載された値又は値の範囲、並びに記載された値又は値の範囲+/1~3%を指す。例えば、百万分率(ppm)又は10億分率(ppb)のいずれかの単位を有するような式含有量に関して、本明細書において別段の明示的記載がない限り、調整剤「約」は、細胞生存率及び細胞保持率(%)に関して、記載された値又は値の範囲、並びに記載された値又は値の範囲±1~3%を指す。単位μg/mLでの含有量の表現に関して、本明細書で特に明記しない限り、μg/mLでの値に関する修飾語「約」は、記載された値又は値の範囲、並びに記載された値又は値の範囲+/1~4%を指す。モル濃度(M)に関して、本明細書で特に明記しない限り、モル濃度(M)に関する修飾語「約」は、記載された値又は値の範囲、並びに記載された値又は値の範囲+/1~2%を指す。冷却速度(℃/分)に関して、本明細書において別段の明示的な記載がない限り、冷却速度(℃/分)に関する修飾語「約」は、記載された値又は値の範囲、並びに記載された値又は値の範囲+/1~3%を指す。
また、概要及びこの詳細な説明において、有用で適切で等として列挙又は記載された範囲は、少なくとも、終点を含む範囲内のすべての点が記載されていると見なされるため、その範囲内の任意の考えられるサブ範囲に対する支持を含むことが意図されることを理解されたい。例えば、「1~10の範囲」は、約1~約10の連続体に沿った各可能な数を示すものとして読み取られるべきである。加えて、例えば、+/1~4%は、1~4の連続体に沿った各可能な数を示すものとして読み取られるべきである。さらに、本実施例における1つ又は複数のデータ点は、一緒に結合されてもよく、又は範囲を作成するために明細書におけるデータ点のうちの1つと結合されてもよく、したがって、この範囲内のそれぞれの可能な値又は数を含む。したがって、(1)範囲内の多数の特定のデータ点が明示的に識別されたとしても、(2)範囲内の少数の特定のデータ点が参照されたとしても、又は(3)範囲内のデータ点が明示的に識別されなかったとしても、(i)本発明者らは範囲内の任意の考えられるデータ点が特定されたと見なされることを認識し、理解すべきであり、(ii)本発明者らは、全範囲、範囲内の各考えられるサブ範囲、及び範囲内の各考えられる点についての知識を有したことを理解すべきである。さらに、本明細書に例示的に開示される本出願の主題は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素が存在しない状態で適切に実施され得る。
そわないと明示的に記載されない限り、「又は」は包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれかによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真であり(又は存在し)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)。
加えて、「a」又は「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本開示による概念の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は1つ又は少なくとも1つを含むものと読まれるべきであり、特に明記しない限り、単数形は複数形も含む。
本明細書で使用される用語及び表現は説明を目的とするものであり、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、又は「関与する(involving)」等の言語、及びそれらの変形は、広義であることが意図され、その後に列挙される主題、等価物、及び列挙される。
また、本明細書で使用される場合、「一実施形態」又は「実施形態」への任意の言及は、実施形態に関連して説明される特定の要素、特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
本明細書で使用するとき、用語「室温」は、約18℃~約25℃(標準圧力)の温度を指す。様々な例において、室温は、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、又は約25℃であり得る。
本明細書で使用される場合、「細胞材料」又は「細胞試料」は、材料が天然であるか人工であるかにかかわらず、細胞成分を含有する生体物質、天然であるか人工であるかにかかわらず、細胞、組織及び器官を含む。このような用語はまた、細胞、組織及び器官等、凍結保存される任意の種類の生存物質を意味する。いくつかの実施形態では細胞、組織及び器官は哺乳動物器官(ヒト器官等)、哺乳動物細胞(ヒト細胞等)及び哺乳動物組織(ヒト組織等)であり得る。
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は例えば、幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)、膵島、体細胞(組織又は器官中のすべての種類の細胞を含む)、線維芽細胞、ケラチノサイト、肝細胞、心筋細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、前駆細胞、卵母細胞、及び生殖細胞等の任意の種類の細胞を含む。そのような細胞は、組織又は器官の形成であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞が上記のヒト組織又は器官等の哺乳動物組織又は器官由来である。
本明細書で使用される場合、「保存プロトコル」又は「凍結保存プロトコル」は、生きている生体物質を含有する細胞への貯蔵寿命の保存のためのプロセスを指す。保存プロトコルには、凍結による凍結保存、ガラス化、及び/又は凍結乾燥もしくは乾燥のいずれかによる無水生物保存が含まれ得る。
本明細書で使用するとき、用語「凍結」は、氷の形成が促進される保存方法を指す。物理的変化、水形成氷上だけでなく、化学的変化も、温度が低下することにつれて起こり、凍結が起こり、その後、解凍時の細胞及び組織の生存率及び生存に影響を及ぼす。温度が低下することにつれて、熱が除去され、分子プロセスが遅くなり、凍結前でさえ細胞内の様々な構造的及び機能的変化をもたらす。結果として、細胞はさらなる傷害に対して細胞を感受性にし、不可逆的な損傷をもたらし得る、生化学的及び生物物理学的変化のカスケードを経験する。
細胞が凍結によって凍結保存される場合、氷は、最初に細胞外空間に形成される。純水は氷晶として分離し、残留溶質は残留液相中で濃縮される。結果として、水は細胞外空間内の浸透圧平衡を再確立するために、原形質膜を横切って細胞外に移動する。細胞が急速に冷却されすぎると、水が細胞から移動する時間が短くなり、細胞内氷が形成され、細胞に回復不能な損傷を引き起こす。細胞があまりにもゆっくりと冷却される場合、より多くの水が細胞から出て、細胞内の溶質濃度を増加させる。細胞の内部及び外部の両方における溶質濃度のこの増加は、タンパク質及び膜を変性させ得る塩濃度の増加、緩衝液の沈殿、pH変化、断面の可能性を可能にするタンパク質濃度の増加、又は構造的に重要な水の単純な除去を含む多くの変化を包含するため、「溶液効果」損傷と呼ばれている。細胞はまた、形成する氷によって一緒に押されるにつれて、より遅い冷却速度で濃縮されるようになる。最終的に、細胞は、氷を含まないガラス化チャネル中で単離され、極低温貯蔵温度で貯蔵され得る。最大細胞生存率は、通常、浸透圧脱水と細胞内氷形成のリスクとのバランスをとる中間冷却速度で達成される。急速冷却は細胞内氷形成を可能にする。
復温中、プロセスは逆になり、氷は水と置き換えられ、凍結保護剤(CPA)がシステムから除去される。しかしながら、細胞を生理的温度に戻すための物理的及び化学的変化は、依然として損傷を引き起こし得る。試料が温められるにつれて、再結晶化が起こり得る。再結晶化は、凍結中に形成された準安定な氷結晶が復温中により大きな結晶を再形成する機会を与えられる場合である。これらの氷結晶は凍結中に形成された結晶と同様に、細胞に損傷を与える可能性がある。復温中の別の懸念は、凍結保護剤の除去である。CPAは凍結前に試料に添加され、DMSOのような化合物については細胞から除去された水に取って代わる。DMSOは、水のように容易に細胞膜を横切って移動しないので、不均衡が生じ得、その結果、細胞はDMSOが除去されるよりも速く水を取り込み、膨潤を引き起こす傾向がある。膨潤が多すぎると、細胞に不可逆的な損傷を引き起こす可能性があるので、凍結プロトコルが機能したとしても、巻き戻しが適切に制御されない場合、細胞生存は依然として非常に良好ではない。これらの因子はすべて、凍結保存中の細胞の全生存に影響を及ぼす。したがって、所与の細胞型についての最適化が必要とされ得る(Baust JM, Campbell LH, Harbell JW. (2017) Best practices for cryopreserving, thawing, recovering and assessing cells. In Vitro Cell Dev Biol Anim. 53(10): 855-871)。
本明細書で使用される場合、用語「ガラス化」は氷結晶形成を伴わないか、又は実質的な氷結晶形成を伴わない凝固を指すが、凍結による凍結保存において、細胞はそわなければ凍結された試料内のガラス化チャネル中で保存される。いくつかの実施形態では保存される試料(例えば、組織又は細胞材料等)はガラス化及び/又はガラス状凍結保存(その全体において、初期冷却から復温の終了まで)が氷晶の形成なしに達成され得るように、ガラス化され得る。いくつかの実施形態では、保存される試料(例えば、組織又は細胞材料等)は保存される試料(例えば、組織又は細胞材料等)の凝固が実質的な氷晶形成なしに起こり得る場合、ガラス化及び/又はガラス状凍結保存が達成され得るようにガラス化され得る(すなわち、ガラス化及び/又はガラス状凍結保存(その全体において、初期冷却から復温の終了まで)は組織に損傷を引き起こす量よりも少ない、少量又は制限された量の氷の存在下でさえも達成され得る)。
本明細書で使用される場合、保存される試料(例えば、器官、組織又は細胞材料等)は、ガラス転移温度(Tg)に達するとガラス化される。ガラス化のプロセスは、氷上の核形成及び成長が阻害されるように温度が低下することにつれて、凍結防止剤溶液の粘度の著しい増加を伴う。一般に、溶液が凍結することなく過冷却することができる最低温度は氷結晶が核生成して成長する均一な核生成温度Tであり、溶液から結晶性固形物が形成される。ガラス化溶液はガラス転移温度Tを有し、この温度で溶質はガラス化するか、又は非晶質固形物になる。
本明細書で使用するとき、「ガラス転移温度」は試料がより液相から固相にシフトし、全ての分子運動が停止し、ガラス化試料及び凍結試料の両方においてガラス転移が観察される条件下での溶液又は配合物のガラス転移温度を指す。一般に、本開示の方法論は、生理学的圧力で行われる。しかしながら、保存される試料(例えば、組織又は細胞材料等)がそれによって著しく損傷されない限り、より高い圧力を使用することができる。
本明細書で使用される場合、「生理学的圧力」は、正常な機能の間に組織が受ける圧力を指す。したがって、用語「生理学的圧力」は、通常の大気条件、並びに血管新生組織等の様々な組織が拡張期及び収縮期条件下で受けるより高い圧力を含む。
本明細書で使用される場合、「糖」という用語は、任意の糖を指し得る。いくつかの実施形態では、糖は多糖類である。本明細書で使用される場合、「多糖類」という用語は、2つ以上の単糖単位を含有する糖を指す。すなわち、多糖類という用語は二糖類及び三糖類等のオリゴ糖を含むが、単糖類を含まない。糖はまた、糖の少なくとも1つが多糖類である場合等の糖の混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、糖(トレハロースを除く)が二糖及び三糖からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーであってもよい。いくつかの実施形態では、糖(トレハロースを除く)がスクロース等の二糖である。いくつかの実施形態では、糖(トレハロースを除く)がラフィノース等の三糖である。(トレハロースとは別に)糖は、スクロース及び/又はラフィノース及び/又は他の二糖類又は三糖類の組合せであってもよい。
本明細書で使用するとき、凍結保存材料に関する「凍結保存後に機能的」という用語は、凍結保存後の器官又は組織又は細胞等の凍結保存材料が凍結保存後に許容可能な及び/又は所期の機能を保持することを意味する。いくつかの実施形態では、凍結保存後の細胞材料がその所期の機能の全てを保持する。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって保存される細胞凍結保存材料が所期の機能の少なくとも50%、例えば、所期の機能の少なくとも60%、例えば、所期の機能の少なくとも70%、例えば、所期の機能の少なくとも80%、例えば、所期の機能の少なくとも90%、例えば、所期の機能の少なくとも95%、例えば、所期の機能の100%を保持する。例えば、細胞の生存能力を保存することに加えて、細胞の生理学的機能及び/又は組織/細胞(例えば、移植されるべきもの)が周囲の組織と一体化する能力を維持/保存することも重要であり得る。
本明細書で使用するとき、用語「無菌」は、生きている細菌、微生物、及び増殖することができる他の生物を含まないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「トレハロース以外の凍結保護物質を実質的に含まない」という用語は、0.01w/w%未満の量の凍結保護物質(トレハロース以外)を意味する。いくつかの実施形態では、本開示の方法がDMSOを実質的に含まない(すなわち、DMSOが0.01w/w%未満の量である)細胞材料等の、凍結保護剤(トレハロース以外)を実質的に含まない媒体/溶液及び/又は細胞材料を使用及び/又は達成することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法がトレハロース以外の任意の添加された凍結保護剤を実質的に含まない媒体/溶液及び/又は細胞材料を使用及び/又は達成し得る。この点で除外され得るトレハロース以外の凍結保護物質は細胞が凍結保存液に浸漬され、次いで-80℃以下で凍結保存される場合に従来使用される1つ以上の凍結保護物質(通常その機能のために添加される):DMSO、グリセリン、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール(2,3-ブタンジオール等)、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(n-ジメチルホルムアミド等)、ジメチルスルホキシド、エリスリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセロール、グリセロリン酸、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルスターチ、イノシトール、乳糖、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、麦芽糖、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール(等)1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオール)、ピリジンN-オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリン及びキシロースであり得る。
(実施形態)
本開示は凍結保存プロトコルに由来する、DMSO、グリセリン/グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の任意の他の従来の凍結保護剤の非存在下でトレハロースを含有する方法論(例えば、有核哺乳動物細胞に使用される1℃/分の速度近傍での従来の低速冷却よりも速い冷却速度である急冷速度を含む)及び組成物、又はトレハロース以外の凍結保護剤を含まない及び/又は実質的に含まない方法論及び組成物を記載する。
本明細書に記載の凍結保存方法は、トレハロースを使用する。保存される試料は、DMSO等の従来の凍結保護剤の非存在下で、トレハロースを含む凍結保護剤配合中に浸漬されるか、もしくはそれと潅流されてもよく、又はトレハロース以外の凍結保護剤を含まないか、もしくは実質的に含まない方法論及び組成物であってもよく、又はトレハロース以外の添加された凍結保護剤を含まないか、もしくは実質的に含まない凍結保護剤配合中に浸漬されるか、もしくはそれと潅流されてもよい。トレハロースの使用は急速冷却速度と関連しており、急速冷却速度は1℃/分超~約80.0℃/分(例えば、約37℃~0.0℃~約-80℃以下の範囲の温度、又は約37℃~0.0℃~約-135℃以下の範囲の温度からの冷却中)、又は約3℃/分~約50.0℃/分(例えば、約37℃~0.0℃~約-80℃以下の範囲の温度、又は約37℃~0.0℃~約-135℃以下の範囲の温度からの冷却中)、又は約10℃/分~約30.0の範囲の温度である(例えば、約37℃~0.0℃~約-80℃以下の範囲の温度から、又は約37℃~0.0℃~約-135℃以下の範囲の温度から、又は約15℃/分~約25.0℃/分の範囲の温度(例えば、約37℃~約-80℃以下、又は約37℃~約-135℃以下の冷却の間)からの冷却中)。
いくつかの実施形態では、急速/急速冷却が細胞がそれらの最終貯蔵温度冷凍庫に移される前に、液体窒素中へのプランジ凍結によって実施されてもよい。
本開示の方法において、保存されている細胞材料の代謝活性は再準備されている6時間以内、再準備されている24時間以内、又は再準備されている48時間以内、又は再準備されている96時間以内に、対照値(すなわち、解凍後の中間洗浄ステップなし;したがって、処理時間及び変動性を低減する)まで完全に回収され得る。対照値は、保存される特定の組織に適した増殖培地中でトレハロース製剤に曝露された細胞材料と同一の細胞型の新鮮な細胞材料で評価/設定される。回復した代謝活性は本開示の方法によって保存された凍結保存細胞材料が例えば、研究又は治療的使用(例えば、移植)を含むその意図された使用に供されるまで、(例えば、数時間、数日間、又は少なくとも3日間、又は少なくとも5日間、又は少なくとも7日間の期間等)維持される。
実施形態では、本開示が従来の凍結保護剤(DMSO等)の非存在下でトレハロースを含む凍結保護組成物、トレハロース以外の添加された凍結保護剤を含まないか、又は実質的に含まない凍結保護組成物であって、組織/細胞材料に対する最小限の損傷を有する組織/細胞材料を含む凍結保存試料を解凍するのに有効な凍結保護組成物を記載する。凍結保護剤/製剤は、生体材料の凍結保存に適した任意の他の材料(追加の凍結保護剤以外、追加の糖以外)を含むことができる。
本開示の方法は細胞材料(例えば、幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)及び膵島等)を、従来の凍結保護剤(DMSO等)の非存在下で、有効量のトレハロースを含有する凍結保護剤溶液と接触させることを含む。いくつかの特定の実施形態では、冷却及び復温中に、細胞材料の細胞(例えば、幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)及び膵島等)の生存により有益な環境を提供するのに有効な量で、二糖(例えば、スクロース)等の少なくとも1つの他の糖も凍結保護剤配合/溶液中に存在し得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって保存される細胞凍結保存材料(例えば、幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)及び膵島等)は所期の機能の少なくとも50%、例えば、所期の機能の少なくとも60%、例えば、所期の機能の少なくとも70%、例えば、所期の機能の少なくとも80%、例えば、所期の機能の少なくとも90%、例えば、所期の機能の少なくとも95%、例えば、所期の機能の100%を保持する。
実施形態において、トレハロースを含む製剤/溶液/培地は所望の投与量(有効用量等)のトレハロースが細胞又は組織上/中に存在して、生存率の改善(凍結保存後)をもたらし、かつ/又は加温時の組織損傷を防止/保護するまで等、任意の所望の期間保存される試料と接触させることができる。
いくつかの実施形態では、凍結保存される細胞が例えば、少なくとも塩基性塩溶液、エネルギー源(例えば、グルコース)、及び中性pHを冷却温度に維持することができる緩衝液からなる凍結両立pH緩衝液と接触していてもよい。周知のこのような材料としては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)が挙げられる。この材料はまた、凍結保存組成物の一部として含まれてもよい。例えば、Campbell et al., ”Cryopreservation of Adherent Smooth Muscle and Endothelial Cells with Disaccharides,” In: Katkov I. (ed.) Current Frontiers in Cryopreservation. Croatia: In Tech (2012);及びCampbell et al., ”Development of Pancreas Storage Solutions: Initial Screening of Cytoprotective Supplements for β-cell Survival and Metabolic Status after Hypothermic Storage,” Biopreservation and Biobanking 11(1): 12-18 (2013)を参照。これらの開示は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、トレハロースおよび/または任意の他の糖(存在する場合、トレハロースおよび他の糖を含む合計)は、凍結保存組成物中に任意の有効量(すなわち、従来の凍結保護剤(DMSO等)の非存在下で)、例えば、約100mM~約900mM、約150mM~約800mM、約200mM~約700mM、約250mM~約600mM、約275mM~約500M、約300mM~約450mMで存在してもよい。
凍結保存組成物はまた、細胞、組織及び器官の貯蔵によく適した溶液を含んでもよい(又はそれに基づいていてもよい)。溶液は、周知のpH緩衝液を含むことができる。いくつかの実施形態では、溶液が例えば、デキストロース、リン酸一塩基性及び二塩基性リン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、及び塩化カリウムから構成されるユーロコリン溶液であってもよく、Taylor et al., ”Comparison of Unisol with Euro-Collins Solution as a Vehicle Solution for Cryoprotectants,” Transplantation Proceedings 33: 677-679 (2001)に記載されている。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、凍結保護剤溶液がUnisol、Hypothermosol(BioLife Solutions)、及びLifor(Detraxi、Inc)等の代替溶液中に製剤化されてもよい。
本開示の方法において使用され得る細胞材料中の細胞は、任意の適切な細胞組成物であり得る。いくつかの実施形態では、細胞が幹細胞、造血幹細胞、リンパ球、白血球、T細胞(及びT細胞サブセット及びCAR T細胞)、皮膚細胞、ケラチノサイト、骨格筋細胞、心筋細胞、肺細胞、腸間膜細胞、脂肪細胞、幹細胞、肝細胞、上皮細胞、クッパー細胞、線維芽細胞、ニューロン、心筋細胞、筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島、骨細胞、筋芽細胞、サテライト細胞、内皮細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、胆管上皮細胞、及び前駆細胞、又はこれらの細胞型のいずれかの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法において使用されるそのような細胞/組織が任意の適切な動物種、例えば、ヒト、イヌ(例えば、イヌ)、ネコ(例えば、ネコ)、ウマ(例えば、ウマ)、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又はウシ哺乳動物等の哺乳動物由来であり得る。
凍結保存組成物が調製されると(及び、任意の他の添加された従来の凍結保護剤(例えば、DMSO、グリセリン/グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)の非存在下でのトレハロースが保存される細胞材料と会合すると)、凍結保存のための冷却は上記の急冷速度で行われ得(例えば、DMSOと共に従来使用されるものよりも速い冷却速度が使用される場合、トレハロース単独が細胞内にそれを配置することなく(すなわち、細胞外トレハロース)、保存される細胞材料の周囲の培地中で使用される場合)、上記のものに対する任意の追加の材料を使用し得る。以下に記載されている細胞材料を保存するためのプロトコルで議論されているような追加の材料 以下の特許及び刊行物:Fahyらの米国特許第6,395,467号;Wowkらの米国特許第6,194,137号;Fahyらの米国特許第6,187,529号;Tonerらの米国特許第6,127,177号;Fahyらの米国特許第5,962,214号;Calacoらの米国特許第5,955,448号;Beattieらの米国特許第5,827,741号;Goodrichらの米国特許第5,648,206Khirabadiらの米国特許出願第09/691,197号に対応する225A2。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
保存プロトコルの凍結保存部は典型的には細胞/組織を、水中の凝固点を十分下回る、例えば、約-80℃以下、より典型的には約-135℃以下の温度まで冷却することを含む。当業者に公知の(すなわち、所望の急速/急速冷却速度を達成することができる)凍結保存の任意の方法を使用することができる。例えば、凍結保存のための冷却プロトコルは凍結保存温度が約-20℃より低い(すなわち、低温度)、例えば、約-80℃もしくはそれより低い(すなわち、低温度)、又は約-135℃もしくはそれより低い(すなわち、低温度)であり得る任意の好適な種類であり得る。
いくつかの実施形態では保存プロトコルが温度制御開始点(+4~-30℃)から-80℃、又は上記に開示された冷却温度のいずれかへの連続制御速度冷却を含んでもよく、急速冷却速度は凍結保存される細胞/組織の特性に応じて設定される。例えば、凍結保存のための冷却プロトコルは約-1.0℃/分より大きい、約-4.0℃/分より大きい、又は約-6.0℃/分より大きい、又は約-8.0℃/分より大きい、又は約-10.0℃/分より大きい、又は約-14.0℃/分より大きい、又は約-25.0℃/分より大きい、又は-30℃/分より大きい、例えば-35℃/分より大きい速度(及び/又は平均冷却速度)であってもよく、又は液体窒素中で急速凍結されることによってであってもよい。
冷却速度(及び/又は平均冷却速度)、例えば連続速度冷却(又は他のタイプの冷却)は例えば、毎分約-1~約-80℃、毎分約-3~約-50℃、毎分約-5~約-35℃、毎分約-7~約-30℃、又は毎分約-10~約-25℃、又は毎分約-4~約-10℃、毎分約-4℃~約-8℃、毎分約-4~約-6℃、毎分約-6~約-10℃、毎分約-6~約-9℃、毎分約-6~約-8℃、毎分約-6~約-7℃、又は毎分約-7~約-10℃、毎分約-であってもよい。毎分7~約-9℃、毎分約-7~約-8℃、毎分約-8~約-9℃、毎分約-9~約-10℃であってもよい。
保存されるべき試料(例えば、細胞物質及び/又は組織)が継続的な冷却によって約-40℃~-80℃以下に冷却されると、それらは、典型的には凍結液のガラス転移温度未満である凍結保存温度までさらに冷却するために、液体窒素又は液体窒素の気相に移され得る。保存される試料(例えば、細胞材料及び/又は組織)は凍結保存温度までさらに冷却する前に、約-40℃~約-75℃、約-45℃~約-70℃、約-50℃~約-60℃、約-55℃~約-60℃、約-70℃~約-80℃、約-75℃~約-80℃、約-40℃~約-45℃、約-40℃~約-50℃、約-40℃~約-60℃、約-50℃~約-70℃、又は約-50℃~約-80℃に冷却されてもよい。あるいは、試料が所望の凍結保存温度までさらに冷却する前に、-120℃に冷却されてもよい。
実施形態において、加熱方法は、試料を加温するために使用され得る。そのような方法は例えば、対流、電磁気、及びマイクロ波加熱を含むことができる。
実施形態において、本開示の方法によって保存される凍結保存細胞材料は例えば、研究もしくは治療的使用、及び/又は医学的対策及び/もしくは再生医療としてのオンデマンド使用のための凍結保存細胞材料(hMSC等)の大量供給を創出することを含む、任意の適切な使用に供され得る。治療的使用に関して、凍結保存された細胞材料は疾患又は状態を治療又は予防するために、ヒト又は動物患者に投与され得る。例えば、凍結保存された細胞材料がhMSCである場合、凍結保存された細胞材料は同種異系hMSC移植における重度の健康格差を改善するのであろう。特に、小児(Donnenberg AD, Gorantla VS, Schneeberger S, Moore LR, Brandacher G, Stanczak HM, Koch EK, Lee WA. Clinical implementation of a procedure to prepare bone marrow cells from cadaveric vertebral bodies. Regen Med. 2011;6(6):701-6; Gragert L, Eapen M, Williams E, Freeman J, Spellman S, Baitty R, Hartzman R, Rizzo JD, Horowitz M, Confer D, Maiers M. HLA match likelihoods for hematopoietic stem-cell grafts in the U.S. registry. N Engl J Med. 2014;371(4):339-48; Ustun C, Bachanova V, Shanley R, MacMillan ML, Majhail NS, Arora M, Brunstein C, Wagner JE, Weisdorf DJ. Importance of donor ethnicity/race matching in unrelated adult and cord blood allogeneic hematopoietic cell transplant. Leuk Lymphoma. 55(2):358-64, 2014)-人種的及び民族的マイノリティについてhMSCの骨髄登録においてマッチングを見出す可能性が著しく低い(Gragert, 2014を参照されたい)。
凍結保存された細胞材料は、任意の適切な様式で患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、凍結保存された細胞材料が患者に局所的に(例えば、火傷、創傷、又は皮膚障害の治療において)送達され得る。いくつかの実施形態では、凍結保存された細胞材料が患者内の局所インプラント部位に、又は静脈内注入によって送達され得る。これらの投与様式のいずれか、又はこれらの投与様式のいずれかの組み合わせを、患者の治療に使用することができる。
種々の市販供給源からの骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)を用いて、ヒト骨髄由来間葉系幹/間質細胞(hBM-MSC)を、正常な健康な成人ドナーから単離した(市販供給源(Rooster-Bio等)から適切な増殖培地と共に購入した)。細胞を、製造業者の指示に従って増殖させた。
多くの研究が凍結保護剤(CPA)としてトレハロースを使用して行われてきたが、ほとんどの場合、トレハロースは一次CPAとして使用されていないが、通常、凍結保護剤カクテルの一部として使用されている。一次CPAとしてトレハロースを使用する努力はトレハロースが膜の両側に存在するように、トレハロースを様々な方法で細胞に導入することを主に含んでおり(Stewart et al., Intracellular Delivery of Trehalose for Cell Banking, Langmuir, 2019, 35(23): 7414-7422)(Table 1)、本発明者らの以前の研究は、保存前に細胞にトレハロースを導入する方法を開発することを含んでいた(Brockbank et al., Lessons from nature for preservation of mammalian cells, tissues, and organs, In Vitro Cell. Dev. Biol., 2011;米国特許第8,017,311号; Campbell et al., Cryopreservation of Adherent Smooth Muscle and Endothelial Cells with Disaccharides, Current Frontiers in Cryopreservation, 2012; Campbell et al., Comparison of electroporation and Chariot(商標) for delivery of β-galactosidase into mammalian cells: strategies to use trehalose in cell preservation, In Vitro Cell. Dev. Biol., 2010; Campbell et al., Culturing with trehalose produces viable endothelial cells after cryopreservation, Cryobiology 64 (2012) 240-244)。二糖の細胞内送達をもたらす可能性があると同定されている文献中の様々な他の方法については、表II(下記)を参照されたい。
本開示の方法論の開発の前に、細胞膜の両側にトレハロースを有する必要性は、凍結保存中のトレハロースによる最大保護のための最良の戦略であると長い間考えられてきた(Stewart et al., Intracellular Delivery of Trehalose for Cell Banking, Langmuir, 2019, 35(23): 7414-7422)。トレハロースを細胞に導入するためのいくつかの方法の開発にもかかわらず、各プロトコルには欠点があり、これらの方法が細胞を一貫して保護することができるかどうかについての結果が混合されている。高速冷却速度(>50℃/分)を有するトレハロースを利用する研究も行われている(Heo et al., “Universal” vitrification of cells by ultra-fast cooling, Technology (Singap World Sci), 2015, 3(1), 64-71; Liebermann et al., Potential Importance of Vitrification in Reproductive Medicine, Biology of Reproduction, Volume 67, Issue 6, 2002, pages 1671-1680)。しかしながら、より速い冷却速度は、少量(≦300μL)と併せて使用され、その結果、これらのサンプルはガラス化される(氷の形成なし)。これらのタイプのプロトコルは、主に生殖組織プロセスに使用され、通常、トレハロースを含有する凍結保護剤カクテルの使用を伴う。やや遅い冷却速度(-5~-60℃/分)も使用されているが、これらの研究はDMSOとのカクテル中の補足的凍結保護剤としてトレハロースを使用することを含んでおり(Barbas et al., Cryopreservation of domestic animal sperm cells, Cell and Tissue Banking, 2008, 10(1), 49-62)、一方、本開示で使用されるアプローチはソール凍結保護剤として細胞外トレハロースを使用する。
本発明の方法論の開発に先立って、本出願の発明者らはXiaoming Heメリーランド大学教授(Zhang et al., Cold-Responsive Nanoparticle Enables Intracellular Delivery and Rapid Release of Trehalose for Organic-Solvent-Free Cryopreservation, Nano Lett. 2019, 19, 9051-9061; Rao et al., Nanoparticle-Mediated Intracellular Delivery Enables Cryopreservation of Human Adipose-Derived Stem Cells Using Trehalose as the Sole Cryoprotectant, ACS Appl Mater Interfaces, 2015, 7(8), 5017-5028)によって開発された細胞内トレハロース送達のためのナノテクノロジーを以前に評価し、骨髄由来MSC。残念ながら、トレハロースナノテクノロジーはおそらくメリーランド大学からCharleston、SCへの貯蔵及び輸送中のトレハロースナノ粒子の不安定性のために、これらの研究中に失敗した。これらの研究の間、MSCはトレハロースが細胞外にのみ存在し、それが陰性対照として使用されている場合に、凍結保存にかなり良好に生存することが観察された。これらの予期せぬ結果により、使用した外因性のトレハロースの範囲は0.2~0.8Mに拡大し、-1、-5及び-15℃/分の冷却速度と比較した。
-5及び-15℃/分の冷却速度での0.2Mトレハロース基は、各冷却速度でDMSO対照群と同じか又はより高い生存率を有した。図2は2つの実験のプールされた結果を示し、示されたトレハロースの非存在下及びDMSO対DMSOのみの対照の濃度における凍結保存後のhMSC生存率に対する冷却速度の効果を示し、データは平均±1標準誤差として示される。
予備実験ではDMSO制御が1℃/分の冷却速度で明らかに最良であったが(未処理制御の65.3±2.7%)、最良の全体的結果は-15℃/分の冷却速度での0.2Mトレハロース群であった(未処理制御の78.9±3.5%)。-1℃/分のDMSO群と-15℃/分のトレハロース群との間には統計学的に有意な差が認められた(T試験によるp<0.05、図2)。これらの結果は、予想外の細胞外トレハロース利益がDMSOによる凍結による細胞凍結保存に通常使用される±1℃/分よりも急冷速度で良好であることを実証した。
上記と同様の結果が、汎T細胞についての-15℃/分間の冷却速度での外因性のトレハロースを用いて得られ、この方法論が本開示において論じられる他の細胞材料(例えば、T細胞サブセット及びCAR T細胞を含むが、発明に限定されない)に拡張可能であることが予想されることを反映している。
いくつかの濃度の0~5%DMSOと組み合わせた細胞外トレハロースの0.2~0.8M濃度を評価するために実験を行い、5%DMSOを含有する陽性対照であるCryostor-5と比較した。
汎T細胞を増殖させ、増殖させた。次いで、T細胞を回収し、計数した。およそ10×10個の細胞をそれぞれの試料に使用した。細胞を、1mL中のDMSO及びトレハロースの様々な組合せに再懸濁し、氷上で20分間平衡化させた。試料をCRF中、-15℃/分~-80℃で冷却し、次いで液体窒素気相貯蔵に約10日間移動させた。保存後、試料を37℃の水浴中で急速に解凍し、15mLの遠心チューブに移し、10mLの培地で希釈した。細胞計数のためにアリコートを採取した。次いで、細胞をペレット化し、3mLの培養培地に再懸濁し、12ウェルプレート、1試料/ウェルに入れた。レサズリン色素(300μl)を用いて生存率を測定する前に、細胞を37℃のインキュベーター中で60分間回復させた。細胞を37℃で3時間放置した後、励起波長544nm、発光波長590nmの蛍光マイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取った。細胞計数は、20μlの一定分量の細胞を20μlのトリパンブルーと混合することによって行った。生細胞及び死細胞の両方のカウントを得た。この実験を2~3回行い、結果を合わせた。結果を図3A及び3Bに示す。
図3A及び3Bにおいて、DMSO及びトレハロースの組み合わせを用いて-15℃/分で凍結保存した後の細胞生存。細胞を凍結保存し、種々の濃度のDMSO及びトレハロースを用いて再準備した。5%のDMSOを含有するクライオストア-5を対照として使用した。細胞数、生死、(A)、並びに代謝活性(B)を測定した。値は、0.2~0.6Mトレハロースでの3回の実験からの9回の反復の平均(±SEM)及び0.8Mトレハロースでの1回の実験からの3回の反復によるCryostor-5制御である。
これらの実験は、DMSOの存在が必要とされないことを実証した。
すなわち、トレハロース単独は、対照であるCryostor-5と同様の十分な保護を提供した。細胞数の統計分析は、2つの場合を除いて、対照群と実験群との間で有意差を示さなかった。生細胞数(図3A)については制御と0.2Mトレハロースを含む5%DMSO(p<0.05)の間で、死細胞数(図3A)については制御と0.2Mトレハロースを含む0%DMSO(p<0.05)の間で有意差が認められた。細胞代謝活性の分析では、0.2Mトレハロースを含む0.2Mトレハロース(p>0.05)を除いて、すべてのDMSOを含む群で統計学的有意差は認められなかった(図3B)。制御と様々な濃度のDMSOを含む群との間の比較は、0.2Mトレハロースを含む0%DMSO、0.2M及び0.6Mトレハロースを含む1%DMSO、及び0.2Mトレハロースを含む5%DMSO(p>0.05)を除いて、有意差を示さなかった。最も興味深く予期されない結果は、DMSOを含まないトレハロースのみを用いて保存された群であった。文献において必要と考えられる細胞にトレハロースを導入する試みは行われなかった。トレハロースは、最低外因性の濃度を除いて、陽性対照と同様の細胞数、生存率、及び代謝活性を示した。
これらの実験は、外因性のトレハロース単独が凍結保存中に細胞を保護することができ、DMSOに対する適切な代替凍結保護剤を作製することを実証した。トレハロースは、DMSOと比較して患者の副作用がより少なく、細胞はいかなる介在工程もなしに、解凍後に患者に直接注入され得ることが予想される。
本開示全体を通して引用される全ての文献及び特許文献は、その全体が参照により組み込まれる。前述の説明は特定の手段、材料、及び実施形態を参照して本明細書に記載されているが、本明細書に開示される詳細に限定されることは意図されておらず、むしろ、添付の特許請求の範囲内にあるような、すべての機能的に等価な構造、方法、及び使用に及ぶ。さらに、少数の例示的な実施形態のみが上記で詳細に記載されているが、当業者は凍結保存プロトコルによらず、トレハロースを使用する保存方法の開示から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの改変が可能であることを容易に理解するのであろう。したがって、すべてのそのような修正は、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内に含まれることが意図される。請求項において、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、列挙された機能を実行するものとして本明細書に記載された構造、並びに構造的等価物だけでなく、等価な構造もカバーすることが意図されている。したがって、釘とネジは木製部品同士を固定するために円筒面を採用する点で構造的等価物ではないが、ネジは螺旋面を採用するが、木製部品を確保する環境では釘とネジは同等の構造であってもよい。特許請求の範囲が関連する機能と共に「手段」という語を明示的に使用するものを除き、本明細書における特許請求の範囲のいずれかの限定について35 U.S.C§112(f)を援用しないことは、出願人の明示的な意図である。

Claims (15)

  1. 細胞材料を保存する方法であって、以下:
    生細胞を含有する細胞材料を凍結保存プロトコルに供する工程であって、
    前記凍結保存プロトコルは、トレハロース以外の添加された凍結保護剤を含まず、かつ
    前記凍結保存プロトコルは、以下:
    前記細胞材料を、凍結保護剤として作用するために有効量の前記トレハロースを含有する凍結保護剤製剤に曝露すること、
    前記細胞材料を、-3℃/分~-50℃/分の範囲の冷却速度で-20℃未満の所定の温度へ冷却すること、及び
    温められた凍結保存細胞材料を得ること
    を含む、
    工程;
    を含み、
    前記凍結保存細胞材料が温められた後の前記凍結保存細胞材料の細胞生存率パーセントは、50%より大きい;
    方法。
  2. 前記トレハロースの有効量が、200~800mMの範囲である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記冷却速度が、5℃/分~-30℃/分の範囲である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記凍結保存プロトコルが、前記細胞材料を、-80℃以下で1時間より長い所定の持続時間の間保存することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記凍結保存プロトコルが、前記細胞材料を、-135℃以下で1時間より長い所定の持続時間の間保存することを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記細胞材料が、T細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記細胞材料が、間葉系幹細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記凍結保存された細胞材料が加温された後の前記凍結保存された細胞材料の細胞生存率パーセントが、少なくとも60%である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記凍結保存された細胞材料が加温された後の前記凍結保存された細胞材料の細胞生存率パーセントが、少なくとも70%である、請求項1に記載の方法。
  11. 細胞材料を保存する方法であって、以下:
    生細胞を含有する細胞材料を凍結保存プロトコルに供する工程であって、前記凍結保存プロトコルは、以下:
    前記細胞材料を、有効量のトレハロースを含有する凍結保護剤製剤に曝露して、凍結保護剤として作用させること、
    前記細胞材料を、-3℃/分~-50℃/分の範囲の冷却速度で-20℃未満の所定の温度へ冷却すること、及び
    温められた凍結保存細胞材料を得ること
    を含む、
    工程;
    を含み、
    前記凍結保存された細胞材料が加温された後の前記凍結保存された細胞材料の細胞生存率(細胞生存率(%))は、50%より大きく、
    凍結保存プロトコルは、DMSO、グリセリン、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エリスリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グリセリン、グリセロリン酸、一酢酸グリセリル、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルスターチ、イノシトール、乳糖、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオール、ピリジンN-オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリン及びキシロースのいずれの添加も含まない、
    方法。
  12. 前記トレハロースの有効量が、200~800mMの範囲であり、前記凍結保存プロトコルが、前記細胞材料を、-5℃/分~-30℃/分の範囲の冷却速度で冷却することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記凍結保存プロトコルが、前記細胞材料を、-135℃以下で1時間より長い所定の持続時間の間保存することを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記細胞材料が、T細胞を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記細胞材料が、間葉系幹細胞を含み、前記間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である、請求項11に記載の方法。
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