JP2006520600A - 酵素阻害剤およびプロテインキナーゼの同定方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、キナーゼを阻害する化合物を同定する方法を提供する。さらに、プロテインキナーゼをプロファイルする方法も提供される。さらに、キナーゼ阻害剤の作用様式を決定する方法も提供される。

Description

発明の詳細な説明
発明の背景
プロテインキナーゼは、真核生物における最も大きい蛋白質スーパーファミリーの1つを代表する。ヒト属の機能的分類に基づくと、ヒトゲノム中にコード化されるプロテインキナーゼの数は、概算で500を越えるが、1000未満であり、それは、ヒトの全遺伝子の約3%を構成する(Venter, et al., Science, 291:1304-1351(2001))。プロテインキナーゼは、シグナル変換経路および多くの細胞調節過程、例えば、細胞分裂および分化、発達、腫瘍形成、細胞生存およびアポトーシスにおいて重要な役割を果たす。さらに、多くのプロテインキナーゼをコードしている遺伝子は、疫学的関連遺伝子の多くの上流または下流に位置し、それらを治療的介入の標的として強調している。したがって、プロテインキナーゼが、多くの疾患の新規な治療剤の同定および開発のための魅力的な標的として明らかであることは、驚くべきことではない。
配列アラインメント研究は、ほとんどのプロテインキナーゼが約270個のアミノ酸からなる共通のコアを有することを明らかにした((Hank, S.K., and Hunter, T., The Protein Kinase Facts Book, Ed G. Kardie and S. Hanks, Academic Press, NY. (1995))。キナーゼの結晶構造を比較する研究は、全てのキナーゼのコア構造が共通の折り畳み構造をとることを示した(Hanks and Hunter, 1995)。最も注目すべきは、ATP結合に関与するN末端ドメイン中の領域および蛋白質基質認識に関与するC末端ドメイン中の領域が、その活性形態における結晶構造によって明らかにされるように、ほとんどのキナーゼにおいて類似の配座をとることである。ATP結合部位は、N末端ローブおよびC末端ローブの中間面に位置する。
構造研究は、これまでに研究された小型分子キナーゼ阻害剤のほとんどがMg−ATP複合体結合ポケットに結合することを示した(Garcia-Echeverria et al., Med. Res. Rev., 20:28-57 (2000))。結果として、化学的鋳型を調節し、微調整することによって、強力かつ選択的なATP部位に向けられたプロテインキナーゼ阻害剤の合成に向けて、相当な進歩がなされた(Garcia-Echeverria et al., 2000)。これらの研究は共に、ATP結合の溝(binding cleft)が強力で特異的な阻害剤の開発のための理想的な標的ではないという許容された考えに異議を唱えた。
p−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)は、種々のプロテインキナーゼにおけるヌクレオチド結合部位の共有結合修飾に効果的であるATP−アフィニティー試薬である(Kamps, et al., Nature 310:589-592 (1984); Scoggins, et al., Biochemistry 35:9197-9203 (1996); Young, et al., J. Biol. Chem. 272: 12116-12121 (1997); Fox, et al., FEBS Letts. 461:323-328 (1999))。構造的に、FSBAは、ATPの3個のホスフェートの代わりにフルオロスルホニルベンゾイル基が存在することを除き、ATPに類似している。FSBAは、多くのプロテインキナーゼを選択的に標識し、特徴付けるために使用された。プロテインキナーゼの一群において行われたペプチド・マス・フィンガープリンティング研究は、FSBAがATP結合部位において見出される決定的な保存されたリジンの側鎖に不可逆的に結合することを示した(Kamps, et al., 1984; Zoller et al., J. Biol. Chem. 256:10837-10842 (1981))。14C−標識FSBA(Fox, et al., 1999; Buhrow, et al., . Biol. Chem. 258:7824-7827 (1983))およびFSBA−特異的抗体(Parker, FEBS Letts. 334:347-350 (1993); T'Jampens, et al., FEBS Letts. 516:20-26 (2002))は、細胞ライゼート由来のプロテインキナーゼを同定し、特徴付けるために使用されたが、これらの試薬は、その制限のために、阻害剤スクリーニングには有効に使用されていない(T'Jampens, et al., 2002)。
液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)技術は、天然および組み換え発現された蛋白質の共有結合修飾をモニターするのに価値を有している(Feng, et al., Anal. Chem. 73:5691-5697(2001))。これらの技術は、また、薬物代謝および薬物動態学研究においてルーチンに使用されてきた(Feng, et al., 2001)が、スクリーニングツールとしてのその使用は、幅広く研究されていない。
したがって、キナーゼを阻害する化合物を同定する方法が大いに必要とされている。さらに、プロテインキナーゼをプロファイルする方法もまた、大いに必要とされている。
発明の概要
本発明の一の具体例は、ATP結合部位を有する酵素の組成物、該酵素のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、次いで、該試験化合物が該被検体の該酵素のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出することを特徴とする、ATP結合部位を有する酵素を阻害する化合物を同定する方法を提供することにある。
本発明のさらなる具体例は、ATP結合部位を有するキナーゼを含む組成物、および該キナーゼのATP結合部位に結合する被検体を接触させ;該被検体のATP結合部位への結合を検出し;該キナーゼを含む組成物、該被検体および試験化合物を接触させ、次いで、該試験化合物が該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する化合物を同定する方法を提供する。
本発明の別の具体例において、ATP結合部位を有するキナーゼを含む組成物、および試験化合物を接触させ;該キナーゼを含む該組成物および該試験化合物と被検体を接触させ;次いで、該試験化合物が該被検体の該キナーゼのATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する試験化合物を同定する方法が提供される。
また、本発明において、キナーゼに対する試験化合物の結合の検出が液体クロマトグラフィー/質量分析の使用からなる方法が提供される。
本発明の別の具体例において、ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを含む組成物と、該キナーゼに結合可能な被検体を接触させ、次いで、被検体が該キナーゼに結合するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを同定する方法が提供される。
別の具体例において、ビオチン−FSBAが提供される。
また、本発明において、(a)第1のATP結合部位を有する第1の酵素を含む組成物、該酵素の第1のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、ここに、被検体の試験化合物に対する濃度比率が少なくとも1:1であり、次いで、(b)該試験化合物が該被検体の該第1のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し、ここに、該第1のATP結合部位に結合している被検体の減少が該試験化合物による拮抗的阻害を示す工程を含む、第1のATP結合部位を有する第1の酵素を阻害する試験化合物の作用様式を同定する方法が提供される。本発明の別の態様において、(a)第2のATP結合部位を有する第2の酵素を含む組成物、該第2の酵素の第2のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ;(b)該試験化合物が該被検体の該第2のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し;次いで(c)該試験化合物が該酵素の選択的阻害剤であるかどうかを決定することを特徴とする、試験化合物の作用様式を同定する方法が提供される。各方法において使用される被検体は、同一または異なっていてもよい。また、本発明により、化合物の作用様式を同定する方法が提供され、ここに、被検体の第1の酵素への結合を減少させるが、被検体の第2の酵素への結合を減少させない試験化合物は、第1の酵素の選択的阻害剤である。
発明の詳細な記載
用語
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」なる語は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によって互いに結合した2以上のアミノ酸を含むいずれかのペプチドまたは蛋白質をいう。「ポリペプチド」なる語は、一般にペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーと称される短鎖、および一般に蛋白質と称される長鎖の両方をいう。ポリペプチドは、20種類の遺伝子コード化アミノ酸以外のアミノ酸を含んでいてもよい。「ポリペプチド」は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾などの天然過程によって修飾されたものだけでなく、化学的修飾技術によって修飾されたものも包含する。かかる修飾は、基本的な教本およびより詳細な研究論文、ならびに豊富な研究文献においてよく記載されており、それらは当業者によく知られている。同じ型の修飾が所定のポリペプチド中のいくつかの部位に同じ程度または種々の程度で存在しうることは明らかであろう。また、所定のポリペプチドは、多くの型の修飾を含みうる。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端を包含するポリペプチドのどこにでも起こることができる。修飾は、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム基の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白質分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP−リボシル化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸の蛋白質へのトランスファーRNA媒介性付加、例えば、アルギニル化、およびユビキチン化を包含する。例えば、PROTEINS - STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993) and Wold, F., Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs. 1-12 in POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York (1983); Seifter et al., Meth. Enzymol. 182:626-646 (1990) および Rattan et al., Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging, Ann. N.Y. Acad. Sci. 663: 48-62 (1992) を参照のこと。ポリペプチドは、分枝していてもよく、または分枝を有するか、または有さずに環化していてもよい。環化、分枝および分枝した環状ポリペプチドは、翻訳後の天然過程に由来していてもよく、また、完全に合成法によって作製されてもよい。
本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる語は、一般に、修飾されていないRNAまたはDNAあるいは修飾されたRNAまたはDNAであってもよいいずれかのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいう。「ポリヌクレオチド」なる語は、限定するものではないが、1本鎖および2本鎖DNA、1本鎖および2本鎖領域または1本鎖、2本鎖および3本鎖領域の混合物であるDNA、1本鎖および2本鎖RNA、ならびに1本鎖および2本鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖またはより典型的には、2本鎖、または3本鎖領域、または1本鎖および2本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAからなるハイブリッド分子を包含する。さらに、本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる語は、RNAまたはDNAあるいはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域をいう。かかる領域における鎖は、同じ分子から由来してもよく、または異なる分子から由来してもよい。該領域は、1以上の該分子の全てを含んでいてもよいが、典型的には、該分子のいくつかの領域だけを含む。3重らせん領域の分子の1つは、しばしば、オリゴヌクレオチドである。本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる語は、また、1以上の修飾された塩基を含む上記のDNAまたはRNAを包含する。かくして、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、本明細書中で意図されるとおりの「ポリヌクレオチド」である。さらに、異常な塩基、例えば、イノシン、または修飾された塩基、例えば、トリチル化塩基(2つだけ例を挙げるが)を含むDNAまたはRNAは、本明細書中で使用される用語のとおりのポリヌクレオチドである。多種多様な修飾が、当業者に既知の多くの有用な目的を提供するDNAおよびRNAになされることは、明らかであろう。本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる語は、かかる化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された形態のポリヌクレオチド、ならびに例えば、単純および複雑な細胞を包含するウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的な形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしば、オリゴヌクレオチドと称される短いポリヌクレオチドを包含する。
本明細書中で使用される場合、「キナーゼ」なる語は、リン酸化またはリン酸基を別の分子に付加することのできるいずれかのポリペプチドをいう。他の分子は、限定するものではないが、別のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはコファクターであってもよい。キナーゼは、触媒作用可能な酵素であってもよい。
本明細書中で使用される場合、「ビオチン−」または「ビオチン化された」なる語は、ビオチン基が結合しているいずれかの分子をいう。ビオチン基は、共有結合していてもよい。
本明細書中で使用される場合、「プロテアーゼアッセイ」なる語は、ポリペプチドのプロテアーゼ活性が測定されるアッセイをいう。プロテアーゼ活性は、限定するものではないが、ポリペプチドをペプチドフラグメントに切断することのできる酵素を包含しうる。
本明細書中で使用される場合、「キナーゼアッセイ」なる語は、キナーゼの活性が測定されるアッセイをいう。キナーゼ活性は、限定するものではないが、キナーゼによる基質のリン酸化の速度または量を包含しうる。
本明細書中で使用される場合、「拮抗阻害剤」なる語は、天然基質と同じ結合部位に対して競合することによって、基質に結合される酵素の割合を減少させることによって、酵素触媒作用速度を減少させるいずれかの化合物をいう。例えば、拮抗阻害剤は、酵素の活性部位に結合することによって、酵素の天然基質と競合しうる。
本明細書中で使用される場合、「非拮抗阻害剤」なる語は、酵素に結合する基質に影響をもたらさない化合物をいう。基質および阻害剤は可逆的、無作為かつ独立的に、酵素上の異なる部位に結合する。
本明細書中で使用される場合、「非拮抗阻害剤」なる語は、遊離の酵素に結合しないが、酵素−基質複合体に可逆的に結合し、それにより、不活性な酵素−基質−阻害剤複合体を生じる化合物をいう。
近年、フルオロホスホネート/フルオロホスフェート(FP)誘導体は、セリンヒドロラーゼをプロファイリングするのに使用された((Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:14694-14699(1999); Kidd et al., Biochemistry 40, 4005-4015 (2001))。FP阻害剤は、活性依存的に多くのセリンヒドロラーゼに対して反応性を示す。FSBAは、活性部位へ結合することによって、キナーゼの一団と反応し、その標識化は、キナーゼのコンホメーション/活性状態に依存的であるようである。したがって、FSBAは、キナーゼのATP拮抗阻害剤を選択するために、ABPとして使用された。
FSBAの放射性形態(市販されている)は、キナーゼ・プロファイリング研究に使用できるが、フルオログラフィーによるその検出は、数日ないし数週間を必要とする。さらに、放射性材料の取扱および処分もまた、それをスクリーニング研究の魅力のない試薬としている。キナーゼのFSBA修飾は、LC/MSに対して安定であると予想される共有結合であるので、LC/MSは、オートラジオグラフィーの別法として、本発明の一部として使用された。
FSBAはプロテインキナーゼのATP結合ポケットにおいて共有結合するので、LC/MSは、ATP拮抗プロテインキナーゼ阻害剤のスクリーニングにおいて有用性を有する。本発明は、精製した組み換えキナーゼおよびFSBAを活性に基づくプローブ(activity-baased probe: ABP)として用いると、LC/MSが、プロテインキナーゼのATP拮抗阻害剤をスクリーンするための一般的な迅速かつ再現性のある手段を提供することを明らかにする。
本発明において、オートラジオグラフィーおよびLC/MS技術は、FSBAをプロテインキナーゼの活性に基づくプローブとして評価するために使用される。本明細書中に提供される研究は、活性に基づくプローブとしてのFSBAの有用性およびATP拮抗プロテインキナーゼ阻害剤の選択のためのスクリーニングツールとしてのLC/MSの有用性を明らかにする。評価に数日ないし数週間かかるフルオログラフィーと比べると、LC/MSは、阻害剤スクリーニングの迅速な検出(例えば、数分以内)を可能にする。さらに、新たな一体化した10−ポンプで8チャンネルのパラレルLC/MS(Feng et al., 2001)の出現で、該方法は、ハイスループットモードにおいても使用される可能性を有する。
ビオチンは、可視マーカーと共に使用してもよい。可視シグナルを提供することのできる分子に結合したアビジンまたはストレプトアビジンを用いてビオチンを検出できることは、当該分野で理解されている。典型的には、アビジンまたはストレプトアビジン結合型西洋ワサビペルオキシダーゼをウェスタンブロットにおいて使用して、ビオチン化抗体を検出する。本発明の一部として、ビオチンをFSBAに共有結合させ、次いで、それをマーカーに結合したアビジンまたはストレプトアビジンによって検出してもよい。本明細書中で使用される場合、「ウェスタンブロット」なる語は、固体支持体に結合したポリペプチドを検出する方法を包含し、ここに、該ポリペプチドを、ビオチン基を有する分子と接触させる。該ビオチン基は、抗体またはFSBAに結合していてもよい。次いで、ビオチンは、可視シグナルを提供することのできる分子に結合したアビジンまたはストレプトアビジンを用いて可視化される。
かくして、本発明の1の具体例は、ATP結合部位を有する酵素の組成物、該酵素のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、次いで、該試験化合物が、該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出することを特徴とする、ATP結合部位を有する酵素を阻害する化合物を同定する方法を提供することにある。本発明の一の態様において、該酵素はキナーゼである。本発明の別の態様において、試験化合物は、被検体の拮抗阻害剤である。本発明のまた別の態様において、被検体は、p−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である。本発明のまた別の態様において、該酵素は、ATP結合部位において保存されたリジンを含む。本発明のまた別の態様において、被検体は、保存されたリジンに結合する。試験化合物が被検体の酵素への結合を阻害するかどうかの検出は、質量分析、プロテアーゼアッセイまたはキナーゼアッセイによって行うことができる。
本発明の別の具体例において、ATP結合部位を有するキナーゼを含む組成物、および該キナーゼのATP結合部位に結合する被検体を接触させ;被検体のATP結合部位への結合を検出し;該キナーゼを含む組成物、該被検体および試験化合物を接触させ、次いで、試験化合物が該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する化合物の同定方法が提供される。本発明の別の態様において、該酵素は、ATP結合部位において保存されたリジンを有する。本発明のまた別の態様において、被検体は保存されたリジンに結合する。本発明の別の態様において、被検体のATP結合部位への結合は、質量分析、プロテアーゼアッセイまたはキナーゼアッセイによって行うことができる。本発明の別の態様において、試験化合物は被検体の拮抗阻害剤である。被検体は、p−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)であってもよい。
本発明の別の具体例において、ATP結合部位を有するキナーゼを含む組成物および試験化合物を接触させ;該キナーゼを含む組成物および該試験化合物と被検体を接触させ;次いで、試験化合物が該被検体の該キナーゼのATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する試験化合物を同定する方法が提供される。本発明の別の態様において、該酵素は、ATP結合部位において保存されたリジンを有する。本発明の別の態様において、被検体は保存されたリジンに結合する。試験化合物が被検体のキナーゼのATP結合部位への結合を阻害するかどうかの検出は、質量分析、プロテアーゼアッセイまたはキナーゼアッセイを用いて行うことができる。本発明のまた別の態様において、試験化合物は、被検体の拮抗阻害剤である。被検体は、p−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)であってもよい。
また別の具体例において、ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを含む組成物と、該キナーゼに結合可能な被検体を接触させ、次いで、被検体が該キナーゼに結合するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを同定する方法が提供される。別の態様において、被検体は、p−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である。別の態様において、プロテインキナーゼをキナーゼ阻害剤と接触させる。別の態様において、ウェスタンブロットを用いてFSBA結合を検出する。別の態様において、LC/MSを用いてFSBA結合を検出する。
別の具体例において、ビオチン−FSBAが提供される。別の態様において、式I:
Figure 2006520600
[式中、
およびRは独立して、Hまたは式II:
Figure 2006520600
で示されるビオチンである]
で示される化合物が提供される。
ビオチン化されたFSBAは、溶液中で有用な遊離化合物として製造されてもよく、または固体支持体もしくは樹脂に結合していてもよい。別の具体例において、式Iの化合物の製法が提供される。
また、本発明において、(a)第1のATP結合部位を有する第1の酵素を含む組成物、該酵素の第1のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、ここに、被検体の試験化合物に対する濃度比率は、少なくとも1:1であり、次いで(b)該試験化合物が該被検体の該第1のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し、ここに、第1のATP結合部位に結合する被検体の減少が、該試験化合物による拮抗阻害を示す工程を含む、第1のATP結合部位を有する第1の酵素を阻害する試験化合物の作用様式を同定する方法が提供される。本発明の別の態様において、(a)第2のATP結合部位を有する第2の酵素を含む組成物、第2の酵素の第2のATP結合部位に結合可能な被検体、および該試験化合物を接触させ;(b)該試験化合物が該被検体の該第2のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し;ついで(c)該試験化合物が該酵素の選択的阻害剤であるかどうかを決定することを含む、試験化合物の作用様式を同定する方法が提供される。各方法において使用される被検体は、同じであっても、異なっていてもよい。また、本発明によって、被検体の第1の酵素への結合を減少させるが、被検体の第2の酵素への結合を減少させない試験化合物が第1の酵素の選択的阻害剤である、化合物の作用様式を同定する方法が提供される。
下記の実施例は、本発明の種々の態様を説明するものである。これらの実施例は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
精製プロテインキナーゼを下記の実施例において使用した。別記しないかぎり、蛋白質および化学物質は、Sigmaから入手した。14C−標識化FSBAは、Perkin Elmer Life Sciencesから入手した。14C−FSBA標識したプロテインキナーゼ上のオートラジオグラフィーは、記載のとおりに行った(Buhrow et al., 1983; Fox et al., 1997)。乾燥させたゲルを−80℃で2〜4週間、フィルムに曝露した。精製蛋白質およびFSBA−修飾したプロテインキナーゼのMS分析は、記載のとおりに行った(Feng, et al., 2001)。
FSBA標識の場合、別記しないかぎり、精製蛋白質(約0.2〜約0.5mg/mL)を10μM FSBA(2.5%DMSO中)と共に室温でインキュベートした。時間依存性修飾研究の場合、以前の記載のとおりに、10μlアリコートを指定時間で取り出し、50μlの0.1%TFAと混合し、LC/MSに注入した(Feng et al., 2001)。ATP保護実験の場合、精製キナーゼを10μM FSBAならびに種々の量のATPおよびMgClと共に、室温で1〜2時間共にインキュベートした。スタウロスポリン(staurosporine)保護実験の場合、精製プロテインキナーゼを10μM FSBAおよび種々の量のスタウロスポリン(0.1μM−10μM)と共に、室温で1〜2時間共にインキュベートした。
オートラジオグラフィーおよびLC/MSを用いて、プロテインキナーゼのための活性に基づくプローブとしてFSBAを評価した。本明細書に記載の研究は、活性に基づくプローブとしてのFSBAの有用性を明らかにし、ATP拮抗プロテインキナーゼ阻害剤の選択のためのスクリーニングツールとして、LC/MSを使用できることを明らかにする。
実施例1:オートラジオグラフィーによって検出されるFSBAのアフィニティー標識
ATP類似体であるFSBAは、ATPポケットへの結合によって、ほとんどのプロテインキナーゼを共有結合標識するアフィニティー標識である。最初のFSBA標識研究の場合、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−β I型受容体(アクチビン受容体様キナーゼ、ALK5;Laping et al., Mol. Pharmacol. 62:58-64 (2002))の組み換え発現され、精製されたキナーゼドメインを用いた。TGF−βは、ALK5を介して作用して、種々のメディエーターを活性化する。TGF−βは、細胞外マトリックス合成のための強力な刺激であるので、ALK5活性の阻害は、線維障害において有益であるかもしれない(Kanzler, et al., Am. J. Physiol. 39:G1059-G1068 (1999); Laping, et al. 2002)。
14C−標識したFSBAは、ALK5の精製調製物((Laping et al., 2002)と共に、室温で1時間インキュベートした。試料は、14C−FSBAの添加前に、95℃に加熱するか、または氷上で10分間維持した。試料をSDS−PAGEに付し、オートラジオグラフィーで処理するか、またはクーマシーブルー(Coomassie blue)で染色した。オートラジオグラフィーの結果は、FSBAは非加熱ALK5およびCDK2を標識したが、熱変性したALK5を標識しなかったことを示した。冷却拮抗実験において、冷FSBAは14C−FSBAのALK5キナーゼへの結合と拮抗した。非加熱試料および加熱試料のクーマシーブルー染色パターンによると、FSBAは、ALK5の天然様コンホメーションにのみ結合する。同様の結果が、他のキナーゼのパネルについて得られた。
より初期の研究は、ATPが多くのキナーゼのFSBA修飾と拮抗することを示している(Kamps et al., 1984; Fox et al., 1999; T'Jampens et al., 2002)。これらの研究をALK5にまで拡大するために、精製ALK5を1時間、〜20μM14C−FSBAおよび1mMまたは10mM ATPと共にインキュベートした。オートラジオグラフィーおよびゲルのクーマシーブルー染色は、標識のほとんどが1mM ATPによって阻害され、10mM ATPが14C−FSBAを阻害したので、オートラジオグラフは14C−FSBA結合を検出しなかったことを示した。これらの結果は、FSBAおよびATPがALK5における同じ結合ポケットについて拮抗することを示す。熱変性およびATP保護の結果は共に、FSBAがキナーゼ・プロファイリング研究のための活性に基づくプローブである可能性を有することを示した。
実施例2:FSBAによるアフィニティー標識後に行う代替技術としてのLC/MS
LC/MSによってキナーゼのFSBA修飾を評価するために、時間依存的反応を行った。精製ALK5をFSBAと共に室温でインキュベートし、所定の時間間隔で取り出した試料のアリコートをLC/MSに付した。デコンボリューション(deconvoluted)質量スペクトルプロファイルは、ALK5のFSBAでの時間依存的共有結合修飾を示した。精製ALK5は、ALK5蛋白質のバキュロウイルス発現性非リン酸化形態に期待される分子量34,974Daを有する単一の優勢な親ピークを与えた(Laping, et al., 2002)。FSBAの存在下でのインキュベーションは、時間依存的に、分子量の35,405Daへのシフトを引き起こした。60分までに、親ピークは、433Daの質量増加を伴う新しいピークに変わった。同様に、ALK4およびCDK2(2つの他の組み換え発現され、精製されたキナーゼ)の共有結合修飾もまた、約1時間で完了した。該修飾は、FSBA−処理したALK4およびCDK2蛋白質の分子量の増加(433Da)によって明らかにされた。
同条件下で、FSBAは、トリプシンおよびBSA(ATP結合部位を含有しないキナーゼ)を修飾しなかった。このことは、これらの研究下で試験されたATP−要求性キナーゼに対するFSBAの選択的活性を示す。試験された各々のキナーゼの非修飾形態とFSBA−修飾形態における差異は、フッ素原子の除去によって、共有結合したスルホニルベンゾイルアデノシン基の存在を明らかにする。これらの結果は、Fox et al. (1999)によって報告されたようなFSBAによるP38γのアフィニティー標識に類似する。彼らのLC/MS研究に基づくと、P38γの非リン酸化形態とリン酸化形態のどちらも、FSBA−処理蛋白質の433Daという質量増加によって示されるように、FSBAによって修飾された。
実施例3:ATPは、LC/MSによって測定した場合、FSBA修飾と拮抗する
オートラジオグラフィー研究は、ATPがALK5キナーゼのFSBA修飾と拮抗することを示した。LC/MSによるATP保護効果にしたがうために、およびALK5結果を他のキナーゼにまで拡大するために、精製ALK5、ALK4およびCDK2キナーゼを表1に示すように、FSBAおよび種々の量のATP(0.1μM−1mM)の存在下で共にインキュベートした。
Figure 2006520600
ATPは、ALK5およびALK4の両方のFSBAによる共有結合修飾を濃度依存的に防ぎ、該共有結合修飾のほとんどが0.5mM ATPの存在下で阻害された。同様に、ATPは、CDK2のFSBAによる標識を濃度依存的に防いだが、FSBA結合を阻害するのに5mMのATPが必要であった。同様の結果が、14C−FSBAを用いるオートラジオグラフィーによって得られた。これらの結果は、ATPのALK5およびALK4に対するアフィニティーがCDK2に対するそれよりも有意に高いことを示唆する。これらの結果は、また、FSBA修飾と組み合わせたLC/MSがキナーゼのATP結合ポケットに結合する能力について化合物を評価するための迅速な方法を提供することを示唆する。
実施例4:スタウロスポリンはFSBA標識と拮抗する
ATP拮抗性小型プロテインキナーゼ阻害剤(ATP結合ポケットをも含む)は、FSBAによるキナーゼの共有結合修飾を妨げることがわかった。微生物性アルカロイドであるスタウロスポリンは、強力であるが、非特異的なプロテインキナーゼ阻害剤である(Rueegg et al., Trends Pharmacol. Sci. 10:218 (1989); Garcia-Echeverria et al., 2000)。それは、CDK2(DeBondt, et al., Nature 363:595-602 (1993);Lawrie, et al., Nature Structural Biology 4:796-801 (1997);Zhao, et al., J. Biol. Chem. 277:46609-46615(2002))およびALK5(N. Laping, 発表されていない結果)を包含する多くのキナーゼ(Jacobson, et al., J. Cell Biol. 133:1041-1051 (1996); Schnier, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1041-1051(1996))を、ナノモル濃度範囲のIC50値で阻害する。スタウロスポリンと複合体形成したCDK2およびChk1キナーゼの結晶構造が報告されている(Lawrie, et al., 1997; Zhao, et al., 2002)。どちらの構造においても、スタウロスポリンは、ATP結合溝において、舟形配座のテトラヒドロピラン環を用いて結合することが示された。
スタウロスポリンの保護効果を評価するために、精製ALK5、ALK4、CDK2をFSBAおよび増加量のスタウロスポリンと共にインキュベートした。試料は、LC/MSによって分析した。FSBAおよびスタウロスポリンの存在下で試験した各キナーゼのLC/MSプロファイルは、スタウロスポリンがFSBA標識を濃度依存的に阻害したことを明らかにした。表2に示すように、試験した全ての酵素に対するFSBAの結合は、本質的に、10μMスタウロスポリンの添加によって阻害された。
Figure 2006520600
実施例5:ビオチン化FSBA(ビオチン−FSBA)
CHK4/FSBA複合体の結晶構造およびScoggins, et al. (1996)の発表された研究に基づいて、FSBAは、そのリボース基のRおよびR位でビオチン基を支持することがわかった。式I:
Figure 2006520600
[式中、
およびRは独立して、Hまたは式II:
Figure 2006520600
で示されるビオチンである]
で示される化合物が合成された。
3’および2’ヒドロキシ基の両方でビオチン化された化合物は、HPLCを用いて、1つのビオチン基を含むFSBAから分離された。3’および2’ビオチン化FSBAは、さらに、HPLCを用いて、互いに分離された。各々の単一にビオチン化されたFSBAは、約680Daの分子量を有する。
ビオチン化FSBAは、溶液中で有用な遊離化合物として製造されてもよく、または固体支持体もしくは樹脂に結合していてもよい。
実施例6:ビオチン−FSBAの合成
(+)−ビオチン(0.070g、0.29mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、1mL)中に加熱して溶解した。冷却時、ジ−イソプロピルカルボジイミド(25μL、0.16mmol)を加え、混合物を室温で1時間静置した。次いで、部分的にゲル化した溶液を5’−(4−フルオロスルホニルベンゾイル)アデノシン.1DMF(FSBA、0.0563g、0.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(17.4μL、0.1mmol)の乾燥DMF(800μL)中氷冷溶液に加えた。5分後、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.0122g)の乾燥DMF(200μL)中溶液を加え、混合物を室温にゆっくりと温めた。反応物を分析的HPLC(Spherisorb S5 ODS2, 45分にわたって40%〜60%B A=0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/水,B=0.1%TFA/90%アセトニトリル/10%水)に付した。反応の間に生じる異性体比は、一晩攪拌後、平衡に達する時間と共に変化した。
反応混合物を蒸発乾固し、最少容量の酢酸/水/アセトニトリル(容量で10/40/50)中に再溶解し、次いで、分取HPLC(Hypersil 5u BDS C8, 250x21.2mm,25%〜50%B 80分にわたる)によって精製した。2’(最初に溶出される)および3’異性体(1)を含有するフラクションをプールし、次いで、凍結乾燥した(各々、10.2mgおよび9.8mg回収された)。
実施例7:ビオチン−FSBAの合成
(+)−ビオチン(0.032g、0.143mmol)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(0.054g、0.143mmol)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール・HO(0.022g、0.143mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.0175g、0.143mmol)および5’−(4−フルオロスルホニルベンゾイル)アデノシン(FSBA、0.0563g、0.1mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中に溶解し、氷浴で冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.075mL、0.43mmol)を加え、混合物を室温に加温後、一晩攪拌した。反応物を分析的HPLC(Spherisorb S5 ODS2, 45分にわたる40%〜60%B A=0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/水,B=0.1%TFA/90%アセトニトリル/10%水)に付した。反応の間に生じた異性体比は、一晩攪拌後、平衡に達する時間と共に変化した。
反応混合物を蒸発乾固し、最少容量の酢酸/水/アセトニトリル(容量で10/40/50)中に再溶解し、次いで、分取HPLC(Hypersil 5u BDS C8, 250x21.2mm,80分にわたって25%〜50%B)によって精製した。2’(最初に溶出される)および3’異性体(1)を含有するフラクションをプールし、次いで、凍結乾燥した(各々、10.2mgおよび9.8mg回収された)。
実施例8:ビオチン−FSBAとALK5の結合
精製ALK5(10μg)を室温で、2μM、10μMおよび20μMの3’ビオチン−FSBAと共に、別々の容器中でインキュベートした。各溶液の内容物をLC/MSに付した。デコンボリューション質量スペクトルプロファイルは、ALK5の3’ビオチン−FSBAでの濃度依存的な共有結合修飾を示した。精製ALK5は、ALK5蛋白質のバキュロウイルス発現型非リン酸化形態に予想される34,971Daの分子量を有する単一の優勢ピークを与えた(Laping et al., 2002)。3’ビオチン−FSBAの存在下でのインキュベーションは、濃度依存的に、35,631Daへの分子量のシフトをもたらした。10μg ALK5を20μM 3’ビオチン−FSBAと共にインキュベートしたとき、該親ピークは、約660Daの増加質量を有する新規なピークに変化した。同様の結果が、CDK2を3’ビオチン−FSBAと共にインキュベートした場合に観察された。
これらの結果は、ビオチン化FSBAが非ビオチン化FSBAと同じくらい効果的にプロテインキナーゼを修飾することを示す。同様に、これらの結果は、LC/MSを用いてキナーゼとビオチン−FSBAの結合を検出しうることを示す。
実施例9:ATPはビオチン−FSBA修飾と拮抗する
ALK5を、ビオチン−FSBA(20μM)と共に、またはビオチン−FSBAを用いないでインキュベートした。ビオチン−FSBAを含有するALK5のアリコートをまた、下記の濃度:0.1mM、0.5mM、1.0mMおよび10mMのATPと共にインキュベートした。さらに、ALK5およびビオチン−FSBAのアリコートを下記の濃度:0.1μM、1.0μM、5.0μM、10.0μMおよび100.0μMのスタウロスポリンと共にインキュベートした。
ウェスタンブロットのための試料を下記のように調製した。各試料のアリコートをSDS−PAGEに付し、エレクトロブロッティングによってPVDF膜上に転移させた。転移後、膜を1%Tweenを含有するTris−緩衝化セーライン(TBS)(TBS−Tween)および3%(wt/vol)無脂肪ドライミルク中、室温で1時間ブロックした。次いで、ブロットを、3%無脂肪ドライミルクを含有するTBS−Tween中におけるアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(Bio-Rad, 1:1000希釈)で、室温で1時間処理した。ブロットをTBS−Tweenで3回洗浄し(各洗浄は5−10分)、次いで、Supersignal West Pico 化学ルミネセンス基質(Pierce)で1分間処理した。AlphaImager 2000 (Alpha Innotech) を用いることによって、ブロットを曝露し、顕出した。
クーマシー染色したSDS−PAGEおよびウェスタンブロットは、ATPおよびスタウロスポリンの両方がALK5結合について、ビオチン−FSBAと競合したことを示した。精製ALK5は、ビオチン−FSBAの存在下で、ALK5単独の場合と比べてSDS−ゲル上でシフトし、それにより、より高い分子量を示した。ATP(1.0mM)またはスタウロスポリン(5.0μM)の存在下、ビオチン−FSBA/ALK5バンドは、ウェスタンブロットによって測定した場合、もはや目に見えなかった。
実施例10:ALK5阻害剤は、ビオチン−FSBAのALK5への結合を阻害する
精製ALK5(5μg)、CDK2(10μg)およびBSA(5μg)を各々、ビオチン−FSBA(40μM)と共に、室温で約2時間、別々の容器中でインキュベートした。試料をビオチンFSBA単独と共に、および20μMの既知のALK5阻害剤(SB431542)と共にインキュベートした。SB431542は、ALK5阻害剤として、Gareth, et al., Mol Pharmacol (2002) 62: 65-7 and Laping, et al., Mol Pharmacol (2002) 62: 58-64中に記載されている。次いで、試料をSDS−PAGEゲルおよびクーマシーブルー染色に付し、実施例9に記載のように、ウェスタンブロットを行った。
ビオチン−FSBAは、ALK5阻害剤を用いる、または用いないCDK2の試料中で酵素に結合することがウェスタンブロットによって検出された。ウェスタンブロットは、BSAの試料についてバンドを示さず、このことは、ビオチン−FSBAがBSAに結合しなかったことを示した。ALK5およびビオチン−FSBAを含有する試料は、ウェスタンブロットによって検出されたが、阻害剤を含有するALK5試料についてバンドは検出されず、このことは、ビオチン−FSBAがALK5阻害剤の存在下でALK5に結合しなかったことを示した。
実施例11:ビオチン−FSBAを用いて複合体プロテオームからキナーゼをプロファイリングする
Triton抽出したHeLa細胞を溶解および透析してATPおよびADPを除去した。細胞ライゼートは、アビジンビーズを用いて事前に清浄化した。細胞抽出物をスタウロスポリン(500μM)と共に、またはスタウロスポリンを用いないで、室温で2時間インキュベートした。次いで、ライゼート試料をビオチン−FSBAと共にさらに4時間インキュベートした。試料をSDS−PAGEゲルに付し、クーマシーブルーで染色した。また、ウェスタンブロットを実施例9の記載のとおりに行った。クーマシー染色ゲルは、試料間でゲルバンドの差異をほとんど示さなかった。ウェスタンブロット分析は、スタウロスポリンが存在した試料において、選択されたバンドについてバンド強度の顕著な減少を示した。このことは、スタウロスポリンがビオチン−FSBAと、細胞ライゼート中のある特定の蛋白質について競合することを示す。
実施例12:ビオチン−FSBAおよび選択的阻害剤を用いて複合体プロテオームからキナーゼをプロファイリングする
HeLa細胞を実施例9に記載のように、溶解し、事前に清浄化した。細胞ライゼート(80μg)を別々の容器中、キナーゼ阻害剤を用いないで、または500μMスタウロスポリンと共に、またはRho結合型プロテインキナーゼ/ROCK(以下、「ROCK」という)の2つの選択的阻害剤のうち1つと共に、室温で2時間インキュベートした。ビオチン−FSBAを各容器に加え(20μM)、室温でさらに4時間インキュベートした。各混合物のアリコートを実施例9に記載のように、ウェスタンブロットにより分析した。ROCKおよびROCKの選択的阻害剤は、Uehata, et al., Nature (1997) 389:990-994に記載されている。
スタウロスポリンと共に、または2つのROCK阻害剤のうち1つと共にインキュベートした細胞抽出物は、阻害剤を用いないでインキュベートした細胞抽出物と比べて、選択的バンドにおける強度の減少を示した。これにより、キナーゼ阻害剤の存在下で、ビオチン−FSBAの選択的蛋白質への結合の減少が示された。該バンド強度の減少は、細胞ライゼートを用いて、可能性のあるキナーゼをさらに同定するのに使用できるかもしれない。
実施例13:ROCK1阻害剤はビオチン−FSBAのROCKへの結合を阻害するが、ALK5への結合を阻害しない
約10μgのヒトROCK1(hROCK1)(48kDa)またはALK5(34kDa)を別々に、10μM FSBAと共に、2つの既知hROCK1阻害剤(SB−742548およびY−27632)を用いて、または用いないで、室温で3時間、共にインキュベートした。0.1%TFAで反応を止めた。LC/MSにより、試料を分析した。試験した各阻害剤のLC/MSプロファイルにより、hROCK1阻害剤は、ROCK1のFSBA標識を阻害したが、ALK5のFSBA標識を阻害しなかったことが明らかになった。化合物SB−742548および類似化合物は、WO03/080610(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)に記載されている。Y−27632は、Uehata, et al., Nature (1997) 389:990-994において、ROCK1の選択的阻害剤として記載されている。
実施例14:ROCK阻害剤の作用様式
約10μgのヒトROCK1(hROCK1)(48kDa)を10μM FSBAと共に、Y−27632を用いて(FSBAに対し1:1の比率またはFSBAに対して1:5の濃度比で)、または用いないで、室温で3時間共にインキュベートした。0.1%TFAで反応を止めた。LC/MSにより、試料を分析した。LC/MSプロファイルは、1:1比のY−27632がhROCK1を阻害することを明らかにした。かくして、該阻害剤は、hROCK1の拮抗阻害剤として作用する。
実施例15:ALK5に対するROCK阻害剤の評価
精製ALK5(5μg)をFSBA(40μM)と共に、ROCK阻害剤(Y−27632)を用いて、または用いないで、約2時間インキュベートした。0.1%TFAで反応を止めた。LC/MSにより、試料を分析した。FSBAの存在下で試験されたLC/MSプロファイルは、Y−27632がALK5に対するFSBA結合に対し、影響を及ぼさなかったことを明らかにした。
上記の記載は、どのように本発明を実施し、使用するかを十分に開示する。しかしながら、本発明は、上記の特定の具体例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲の範囲内での全てのその修飾およびその等価物を包含する。当業者は、ルーチンな実験により、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修飾がなされることを理解するであろう。本明細書中に引用される定期刊行物、特許および他の特許出願に対する種々の言及は、出典明示により、あたかも完全に示されているかの如く本明細書の一部とされる。

Claims (42)

  1. (a)ATP結合部位を有する酵素を含む組成物、該酵素のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、次いで
    (b)該試験化合物が該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有する酵素を阻害する化合物を同定する方法。
  2. 酵素がキナーゼである請求項1記載の方法。
  3. 試験化合物が被検体の拮抗阻害剤である請求項1記載の方法。
  4. 被検体がp−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である請求項1記載の方法。
  5. FSBAがビオチン化されている請求項4記載の方法。
  6. 酵素がATP結合部位において保存されたリジンを含む請求項1記載の方法。
  7. さらに、保存されたリジンへの被検体の結合を含む請求項6記載の方法。
  8. 検出工程が質量分析を用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 検出工程がプロテアーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 検出工程がキナーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 検出工程がウェスタンブロットを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. (a)キナーゼを含む組成物および該キナーゼのATP結合部位に結合する被検体を接触させ、
    (b)該被検体の該ATP結合部位への結合を検出し、
    (c)該キナーゼを含む組成物、該被検体、および試験化合物を接触させ、次いで、
    (d)該試験化合物が工程(c)で、該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する化合物を同定する方法。
  13. キナーゼがATP結合部位において保存されたリジンを含む請求項12記載の方法。
  14. さらに、保存されたリジンへの被検体の結合を含む請求項13記載の方法。
  15. 検出工程が質量分析を用いることを特徴とする請求項12記載の方法。
  16. 検出工程がプロテアーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項12記載の方法。
  17. 検出工程がキナーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項12記載の方法。
  18. 検出工程がウェスタンブロットを用いることを特徴とする請求項12記載の方法。
  19. 試験化合物が被検体の拮抗阻害剤である請求項12記載の方法。
  20. 被検体がp−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である請求項12記載の方法。
  21. FSBAがビオチン化されている請求項20記載の方法。
  22. (a)ATP結合部位を有するキナーゼを含む組成物および試験化合物を接触させ、
    (b)該キナーゼを含む組成物および該試験化合物を被検体と接触させ、次いで、
    (c)該試験化合物が、工程(b)において、該被検体の該ATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するキナーゼを阻害する試験化合物を同定する方法。
  23. キナーゼがATP結合部位において保存されたリジンを含む請求項22記載の方法。
  24. さらに、保存されたリジンへの被検体の結合を含む請求項23記載の方法。
  25. 検出工程が質量分析を用いることを特徴とする請求項22記載の方法。
  26. 検出工程がプロテアーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項22記載の方法。
  27. 検出工程がキナーゼアッセイを用いることを特徴とする請求項22記載の方法。
  28. 試験化合物が被検体の拮抗阻害剤である請求項22記載の方法。
  29. 被検体がp−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である請求項22記載の方法。
  30. FSBAがビオチン化されている請求項29記載の方法。
  31. (a)ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを含む組成物と、該キナーゼに結合可能な被検体を接触させ、次いで、
    (b)被検体が該キナーゼに結合するかどうかを検出する工程を含む、ATP結合部位を有するプロテインキナーゼを同定する方法。
  32. 被検体がp−フルオロスルホニルベンゾイル5’−アデノシン(FSBA)である請求項31記載の方法。
  33. FSBAがビオチン化されている請求項32記載の方法。
  34. さらに、プロテインキナーゼとキナーゼ阻害剤と接触させることを含む請求項31記載の方法。
  35. 検出工程がウェスタンブロットを用いることを特徴とする請求項31記載の方法。
  36. 検出工程がLC/MSを用いることを特徴とする請求項31記載の方法。
  37. 式I:
    Figure 2006520600
    [式中、
    およびRは独立して、Hまたは式II:
    Figure 2006520600
    で示されるビオチンである]
    で示される化合物。
  38. a)(+)−ビオチン、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェートを乾燥N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、加熱し;
    b)工程a)の溶液を冷却し;
    c)ジ−イソプロピルカルボジイミドを工程b)の溶液に加え;次いで、
    d)工程c)の溶液を、5’−(4−フルオロスルホニルベンゾイル)アデノシン1DMFおよびジイソプロピルエチルアミンの氷冷した溶液に加え;次いで
    e)乾燥DMF中におけるN,N−ジメチルアミノピリジンを工程d)の溶液に加え、ゆっくりと加温する工程を含む、式Iの化合物の製法。
  39. a)(+)−ビオチン、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール・HO、N,N−ジメチルアミノピリジンおよび5’−(4−フルオロスルホニルベンゾイル)アデノシンを乾燥N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し;
    b)工程a)の溶液を冷却し;
    c)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを工程b)の溶液に加え;次いで、
    d)工程c)の溶液を室温まで温め、攪拌する工程を含む、式Iの化合物の製法。
  40. (a)第1のATP結合部位を有する第1の酵素を含む組成物、該酵素の第1のATP結合部位に結合可能な被検体、および試験化合物を接触させ、ここに、被検体の試験化合物に対する濃度比率は少なくとも1:1であり;次いで
    (b)該試験化合物が該被検体の該第1のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し、ここに、第1のATP結合部位に結合している被検体の減少が該試験化合物による拮抗的阻害を示す工程を含む、第1のATP結合部位を有する第1の酵素を阻害する試験化合物の作用様式を同定する方法。
  41. さらに、
    (a)第2のATP結合部位を有する第2の酵素を含む組成物、該第2の酵素の第2のATP結合部位に結合可能な被検体、および該試験化合物を接触させ;
    (b)該試験化合物が該被検体の該第2のATP結合部位への結合を阻害するかどうかを検出し;次いで
    (c)該試験化合物が該酵素の選択的阻害剤であるかどうかを決定する工程を含む、請求項40記載の方法。
  42. 被検体の第1の酵素への結合を減少させるが、被検体の第2の酵素への結合を減少させない試験化合物が第1の酵素の選択的阻害剤である請求項41記載の方法。

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