JP2006518244A - おむつかぶれと闘うための使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

本発明は、おむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつであって、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含むおむつを提供する。

Description

本発明は、おむつかぶれと闘うための使い捨ておむつに関する。より詳細には、本発明は、おむつかぶれと闘うための使い捨ておむつ及びその製造方法（ここで、該おむつは、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含む）に関する。

種々の形態の銅が組み込まれている紙製品が特許文献に記載されており、ひいては、例えば、１９３４年２月に公開された米国特許１，９４７，４５１では、所定量の銅オルトフェニルフェネート析出物を保持する殺真菌性及び殺菌性を有する紙シートが記載されている。
数十年前から同様の多くの特許（例えば、米国特許１，７４７，２３２；１，８４６，１８５；１，９４６，９５２；１，９８８，２３１；２，７４９，２５６；３，４９２，４６４及び３，７１３，９６３）は、異なる形態の銅を紙へと組み込むことを開示しているが、該特許の全て及び米国特許１，９４７，４５１は、他の目的のための可溶性形態の銅の組み込みを教示しており、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅の使用、又は、使い捨て紙おむつ製造のためのその使用を、教示も示唆もしていない。

上記特許によって教示される水溶性形態の銅は、そのような銅が排尿とともに洗い流され、おむつかぶれと闘う所望の効果を達成するために利用できないであろうから、本発明における用途に全面的に不適切であろうことに注意すべきである。
従って、紙中の殺生物剤としての銅の使用は完全に新規という訳ではないが、本出願で記載される形態の水不溶性カチオン種の添加は新規である。
従って、本発明によれば、おむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつであって、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含むおむつがここで提供される。
本発明の好適な実施態様では、上記繊維はセルロース系繊維である。
本発明の特に好適な実施態様では、上記被覆された繊維は、紙の層にランダムに散在する繊維として、上記おむつ中に配置されている。
好ましくは、上記被覆された繊維は、使用者の皮膚に接触するように、上記おむつに配置された層に、上記おむつ中で分散されている。

本発明の別の局面では、おむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつの製造方法であって、使い捨ておむつの内層に、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を組み込むことを含む方法が提供される。
本発明の更なる局面では、おむつかぶれと闘うための使い捨ておむつ裏地であって、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含むおむつ裏地が提供される。

ＷＯ９８／０６５０８及びＷＯ９８／０６５０９の両方では、その繊維に直接かつしっかりと結合された、完全な又は部分的な金属又は金属酸化物メッキを有する布地（ここで、金属及び金属酸化物（銅を含む）は繊維に結合されている）の種々の局面が教示されている。
より詳細には、ＷＯ９８／０６５０９では、（ａ）金属化布地を提供する工程（該金属化布地は、（ｉ）天然繊維、合成セルロース系繊維、再生繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらのブレンドからなる群から選択される繊維を含む布地、及び（ｉｉ）金属及び金属酸化物からなる群から選択される材料を含むメッキ（該金属化布地は、繊維にメッキが直接結合されていることを特徴とする）を含む）、及び（ｂ）製造品に該金属化布地を組み込む工程を含むプロセスが提供されている。

上記発明の文脈で、用語「布地」は、繊維（それらの繊維から紡がれた、天然糸（例えば、綿、絹、ウール、及びリネン）であろうと、又は合成糸であろうと）、及び、それらの糸から製造される、織られた、編まれた、及び不織の布を含む。上記発明の範囲は、全ての天然繊維；ならびに、合成セルロース系繊維（即ち、レーヨンなどの再生セルロース繊維、及びアセテート繊維などのセルロース誘導体繊維）、再生蛋白質繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、及びビニル繊維、ならびにそれらのブレンドを含むがそれらに限定されない（しかし、ナイロン及びポリエステル繊維を除く）布地用途で使用される全ての合成繊維を含む。

上記発明は、金属によるプラスチック（特に、プラスチックから製造される印刷回路基板）の電解メッキで使用される技術の適応の製品への適用を含んでいた。例えば、Ｅｎｃｙｃｌｏｐｅｄｉａ ｏｆ Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｓｃｉｅｎｃｅ ａｎｄ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ （Ｊａｃｑｕｅｌｉｎｅ Ｉ． Ｋｒｏｓｃｈｗｉｔｚ、編者）， Ｗｉｌｅｙ ａｎｄ Ｓｏｎｓ， １９８７， ｖｏｌ． ＩＸ， ｐｐ ５８０−５９８参照。布地に適用される場合、このプロセスは２つの工程を含んでいた。第１工程は、布地へ触媒的貴金属核生成部位を析出させることによる布地の活性化であった。これは、まず、低酸化状態の還元剤カチオンの溶液に布地を浸し、次いで、貴金属カチオンの溶液、好ましくはＰｄ^＋＋カチオンの溶液、最も好ましくは酸性ＰｄＣｌ_２溶液に布地を浸すことによってなされた。低酸化状態カチオンは、貴金属カチオンを貴金属それ自体に還元しつつ、高酸化状態に酸化される。好ましくは、還元剤カチオンは、最初の低酸化状態と最終の高酸化状態の両方に可溶なもの（例えば、Ｓｎ^＋＋（Ｓｎ^＋＋＋＋に酸化される）、又は、Ｔｉ^＋＋＋（Ｔｉ^＋＋＋＋に酸化される））である。

第２工程は、活性化布地のごく近傍での金属カチオンの還元であり、その還元は貴金属によって触媒された。カチオンを還元するために使用される還元剤は、典型的には分子種（例えば、Ｃｕ^＋＋の場合、ホルムアルデヒド）であった。還元剤は酸化されたので、金属カチオンは、ここでは「酸化剤カチオン」と命名されている。このように製造される金属化布地は、その金属メッキが布地繊維に直接結合されていることを特徴としていた。

ＷＯ９８／０６５０８では、
（ａ）天然繊維、合成セルロース系繊維、再生蛋白質繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらのブレンドからなる群から選択される繊維を含む布地；及び
（ｂ）金属及び金属酸化物からなる群から選択される材料を含むメッキ
を含む物質組成物であって、
該メッキが該繊維に直接結合されていることを特徴とする物質組成物が記載され、特許請求されている。
上記刊行物はまた、
（ａ）天然繊維、合成セルロース系繊維、再生蛋白質繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらのブレンドからなる群から選択される繊維を含む布地；及び
（ｂ）複数の核生成部位（該核生成部位の各々は、少なくとも１つの貴金属を含む）
を含む物質組成物であって、
少なくとも１つの金属カチオン種の還元金属への還元を触媒し、それによって、該還元金属により該繊維をメッキすることにより特徴付けられる物質組成物を特許請求している。

更に、上記刊行物は、上記製品の製造プロセスを教示し、特許請求している。
上記刊行物に従う金属化布地の製造の好適なプロセスは、以下の工程を含む：
ａ）糸及び布からなる群から選択される形態の布地を選択する工程（該布地は、天然繊維、合成セルロース系繊維、再生蛋白質繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらのブレンドからなる群から選択される繊維を含む）；
ｂ）少なくとも２つのポジティブな酸化状態を有する少なくとも１つの還元剤カチオン種を含む溶液に該布地を浸す工程（該少なくとも１つのカチオン種は、該少なくとも２つのポジティブな酸化状態の低い方にある）；
ｃ）少なくとも１つの貴金属カチオン種を含む溶液に該布地を浸し、それによって活性化布地を製造する工程；及び
ｄ）該活性化布地と接触した媒体中で、少なくとも１つの還元剤カチオン種を還元し、それによって、金属化布地を製造する工程。

上記刊行物に従い製造される金属化布は有効なダニ駆除剤であるが、それらはまた、ヒトの体の種々の部位をおかす細菌感染、真菌感染及び酵母感染の予防及び／又は治療に有効であること、従って、衣類への少なくとも１パネルの金属化布地材料の組み込みは、非常に利点のある効果を有し得ることが見出された。

例えば、米国特許６，１２４，２２１では、少なくとも１パネルの金属化布地を含む、抗菌性、抗真菌性、及び抗酵母性を有する衣類であって、該布地が、天然繊維、合成セルロース系繊維、再生蛋白質繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらのブレンドからなる群から選択される繊維を含み、かつ、銅の少なくとも１つの酸化剤カチオン種の、抗菌、抗真菌、及び抗酵母の有効量を含むメッキを有する衣類が記載され、特許請求されている。
上記明細書では、上記衣類が、Ｔｉｎｅａ Ｐｅｄｉｓに対して、Ｃａｎｄｉｄａ Ａｌｂｉｃａｎｓに対して、Ｔｈｒｕｓｈに対して、ならびに、ｂｒｅｖｕｂａｃｔｅｒｉｕｍ、ａｃｉｎｅｔｏｂａｃｔｅｒ、ｍｉｃｒｏｃｏｃｃｕｓ及びそれらの組合せからなる群から選択される足臭を引き起こす細菌に対して、有効であることが記載されていた。
従って、上記発明は、下着や靴下などの物品の製造のために特に設計されていた。

ＷＯ０１／８１６７１では、カチオン性形態の銅で被覆された繊維を組み込む織布もまた、細菌の抗生物質耐性株の不活化に有効であり、銅の該カチオン種は好ましくはＣｕ^＋＋イオンを含むことが記載されている。

しかし、布地の化学は紙の化学とは異なり、織布に関する上記出願及び特許の教示を紙の化学へ適用し、本発明のおむつを製造することは明白ではなかったことに注意すべきである。
より詳細には、通常の紙マルチは、８から１１まで変わり得るｐＨのアルカリ状態に通常あることに注意すべきである。この雰囲気は、カチオン性状態への銅の還元を酸化還元プロセスで発生させることを可能とするが、マルチの元素とｐＨは、完全な化学反応を阻害するであろう。還元プロセスは、マルチの展性を損ない、完全な反応の阻害は、順に、マルチの殺菌性及び殺真菌性に限界を引き起こすであろう。

殺菌及び殺真菌活性の有効なレベルを有するために、そして紙の適切な製造を損なわないために、本発明に従って、繊維上に銅のカチオン種のメッキを有して製造された繊維は、マルチの殺菌性及び殺真菌性の産生を撹乱すること無しに、製造の最終段階でマルチに加えられ得ることが見出された。繊維上の銅は、アルカリの溶液又は雰囲気に反応しないので、完全な殺菌性及び殺真菌性が保持されることが見出された。
従って、上記刊行物のいずれも本発明の主題を教示も示唆もしない。

更に、紙の製造で以降に記載されるように、紙の結合剤として作用するようにアクリル系接着剤が加えられる。アクリル系結合剤は、銅化合物を被包化し、抗菌及び抗真菌剤として銅イオンが有効であることを妨げる可能性があった。驚くべきことに、これは事実ではないことが判明し、この理由のためにまた、本発明のおむつ及びおむつかぶれと闘うその能力は、予期されず、従来技術によって教示も示唆もされない。

本発明の局面がより完全に理解され認識されうるように、ここで、本発明を以下の実施例における特定の好適な実施態様とともに、添付の図面を参照して説明するが、本発明をこれらの特定の実施態様に限定することは意図しない。逆に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれうる全ての代替物、改変物及び均等物を包含することが意図される。従って、好適な実施態様を含む以下の実施例は、本発明の実施を説明するのに役立ち、示される特定物は、例示であり、本発明の好適な実施態様の説明的考察の目的のみのためであり、製剤化手順ならびに本発明の原理及び概念的局面の最も有用で容易に理解される説明と考えられるものを提供するという理由で提示されることが理解される。

実施例１
ａ）繊維の製造
ｉ）繊維を二塩化スズ溶液に曝し、次いで、ただの水で濯いだ；
ｉｉ）繊維をパラジウム溶液に曝し、次いで、ただの水で濯いだ；
ｉｉｉ）繊維を硫酸銅キレート溶液に曝した；
ｉｖ）繊維を還元剤に曝した；そして
ｖ）２分以上又は全ての繊維が濃茶形態の銅によってメッキされるまで、繊維を滞在させた。

ｂ）上記繊維を組み込む紙の製造
軟質繊維カートン５０ｇ（乾燥重量）を、それを小片に切って製造した。切断したカートンを石鹸溶液に入れ、約８０℃まで加熱し、約１５分その状態に留め、スラリー中の結合剤の除去を促進した。
次いで、スラリーを冷水で濯ぎ、引っ張って過剰の液体を除去した。次いで、スラリーを、少量の水と共にブレンダーに入れ、非常に細かいスラリーが得られるまで、混合した。次いで、過剰の液体の除去後、湿った細かいスラリーを、各約９０ｇの重量で３つの小さなバッチに分けた。３つのバッチに、「Ａ」、「Ｂ」、及び「Ｃ」と印を付けた。サンプルＡに、細かく切断したＣｕ被覆セルロース繊維５ｇを加え、ブレンダーで混合した。サンプルＢに、酸化第一銅パワー５ｇを加え、またブレンダーで混合した。酸化第一銅パワー粒子サイズは４〜５ミクロンであった。サンプルＣを対照に指定し、これには銅製品を加えなかった。各々の細かいスラリーがそれ自身のブレンダーで得られたとき、アクリル系接着剤５ｇを、紙の結合剤として作用するように各々に加えた。
少量の各スラリーを、吸い取り紙の層の間に入れ、圧力約８ｂａｒでスクイーズロールを通した。これは、スラリー中の殆ど全ての液体を除去するのに十分な圧力であって、依然平らな紙を残すのに十分な圧力であると分かっていた。次いで、温風ドライヤーを用いてこの紙を乾燥した。

実施例２
製造した紙サンプルを、グラム＋とグラム−細菌、及び、一般的真菌Ｃａｎｄｉｄａ Ａｌｂｉｃａｎｓ（銅に耐性を有することが知られている）に対し試験した。効果を測定するために使用した試験方法は、ウエスト寒天システムと拡散システムであった。
各サンプル１ｇを、ペプトン水２０ｍｌを含む滅菌チューブに入れた。各チューブに、試験微生物の懸濁液を植菌した。対照サンプルは、ペプトン水２０ｍｌで調製した。植菌したチューブを３０℃（Ｃａｎｄｉｄａ Ａｌｂｉｃａｎｓ）又は３５℃（グラム＋、グラム−）で、２、４、及び２４時間インキュベートした。生存細菌数を、混釈平板法を用いて測定した。

公知のように、おむつかぶれは、尿由来のアンモニアに対する過敏性によって最初は引き起こされるが、その後、殺真菌感染によってならびに／又はグラム陰性及びグラム陽性細菌の両方によって悪化し、上記試験は、グラム陰性細菌であるＥ． ｃｏｌｉの濃度を有意に減少させ、グラム陽性細菌であるｓｔａｐｈｙｌｏｃｏｃｃｕｓ ａｕｒｅｕｓの濃度を減少させ、真菌Ｃａｎｄｉｄａ Ａｌｂｉｃａｎｓの濃度を減少させる、Ｃｕ^＋＋処理紙の有効性を示している。

従って、尿が着用者の皮膚へのイオンの伝達の媒体として作用し、新しいおむつの場合でさえ、おむつに接触する皮膚の水分層が該媒体として作用するから、本発明に従う汚れたおむつ及びきれいなおむつの両方が、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋イオンの放出に有効であろう。

上で使用した試験方法は、製品の効果のレベルを測定する定量的試験であり、どの位の細菌が殺されたかが分かるＡＡＴＣＣ試験法１００に従ったことに留意すべきである。試験法１００は、２時間のインキュベーションを必要とするので、試験結果は、２時間後のみの効果のレベルを示している。

経時的な細菌減少を更に測定するために、実施例１に従い製造した数シートの紙を、０分、１、分、５分、１０分、１５分、２０分、２５分、３０分、１時間及び２時間で試験した。結果を図１として示すグラフに記載する。分かるように、これらの試験で、Ｓｔａｐｈ Ａｕｒｅｕｓは、２時間後に完全な減少を示し、Ｃａｎｄｉｄａは、１時間後に減少を示し、Ｅ． ｃｏｌｉは、ほんの２０分後に完全な減少を示した。

思い出されるように、布おむつの時代、市販のおむつ裏地があった。本発明の技術は、本発明に従い製造されなかった使い捨ておむつと共に使用されるおむつ裏地の製造に適用できることが理解されよう。

本発明は、上記の例示的な実施例の詳細に限定されないこと、及び、本発明は、その必須の特性から離れずに、他の特定の形態で具体化されうることは当業者に明白であろう。そして、それ故、上記説明よりも添付の特許請求の範囲を参照して、本実施態様及び実施例は、全ての点で、例示的であり限定的ではないと考えられることが望まれ、それ故、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内の全ての改変は、それに包含されることが意図される。

図面において、図１は、本発明に基づく複数の繊維を含む紙のシートを用いる、経時的な細菌と真菌の減少の図示である。

Claims (7)

1. おむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつであって、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含むおむつ。
2. 繊維が、セルロース系繊維である、請求項１に記載のおむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつ。
3. 被覆された繊維が、紙の層にランダムに散在する繊維として、おむつ中に配置されている、請求項１に記載のおむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつ。
4. 被覆された繊維が、使用者の皮膚に接触するように、おむつに配置された紙の層に分散されている、請求項１に記載のおむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつ。
5. 使い捨ておむつの内層に、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を組み込むことを含む、おむつかぶれと闘うための使い捨て紙おむつの製造方法。
6. 繊維が、セルロース系繊維である、請求項５に記載の方法。
7. おむつかぶれと闘うための使い捨ておむつ裏地であって、抗菌性及び抗真菌性Ｃｕ^＋＋カチオン性水不溶性形態の銅で被覆された複数の繊維を含むおむつ裏地。

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