JP2006511513A - キングコブラ毒液からの抗不整脈化合物およびその精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の蛇毒から得られるKCV−CAFと命名した新規生物活性化合物を含んでなる抗不整脈性医薬組成物を提供すること。
【解決手段】
本発明はインド産蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名した化合物の有効量と、選択肢としての医薬的に許容し得る成分とを含有してなる抗不整脈剤、および当該インド産蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液からの当該化合物KCV−CAFの単離方法に関する。

Description

本発明はインド産の蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られ、KCV−CAFと命名した生物活性化合物からなる抗不整脈薬に関する。本発明はまた当該インド産の蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液からの、薬理学的治療用途に有効な新規低分子量の強力な抗不整脈薬の単離方法にも関する。
心血管系疾患、取分け冠状動脈疾患は世界的にも主要な死亡原因の一つである。遺伝学的に決定されたアジア系インド人の人種的傾向、都会化への発展、ライフスタイルの変化、そして個々人のストレスレベルの上昇は、それらが早期の冠状動脈疾患に寄与するのみならず、亜大陸における冠状動脈疾患の総体的な発生率をも加速している。心臓はバルブに守られた複数の部屋をもつ筋肉の機械的なポンプシステムであると考えることができ、電気的脱分極波を伝導経路に拡散することによりバランスよく機能している。心臓のポンプ機能は主として好気的である心臓自体の代謝エネルギー誘導工程を維持する能力に依存し、冠状系循環に大きく左右される;この循環は冠状動脈疾患の場合に危険な状態となり、血栓溶解剤など緊急の血管再生手段を必要とする。この異常な心臓リズム(不整脈)の背景がある場合、不同調性と損なわれた心筋収縮能が心不全に至らしめる。左心室は組織灌流を維持するために適切にポンプ機能を果たさなくなり、また脳、腎臓などの生命器官の代謝要求に合致しなくなり、心不全がそれに続いて起こる。心不全での拍出量低下は最少容量を維持しようとして心拍数の上昇に反映されることとなり、ひるがえってそれが心筋細胞の代謝要求を再び上昇させ、さらに状況を悪化させる。不全はゆっくりと進行することもあり、また急性で生命の危機ともなり得る。“突発性心臓死”は重要な予知をともなう臨床的実体であり、定義によると、死はその兆候の発生から1時間以内に起こる(Braunwald E, Mock MB and Watson J. Eds. 1982. Congestive heart failure(うっ血性心不全). Current Research and Clinical Applications. Grune and Stratton)。
蛇毒の様々なフラクションの医療応用については、アーユルヴェーダ(Ayurveda)(ホメオパシー(同毒療法)とユナニ(西洋流療法))の文献に取り上げられているように、人類にあまねく知られている。蛇毒から単離される数々の生体分子については、血栓溶解作用、抗腫瘍作用および鎮痛作用も報告されている。本研究室では、新しい線維溶解性ペプチド(ハンナペプ(Hannahpep))がキングコブラの毒液から単離された(特許出願No.2384/Del/98;98年8月13日付)。しかし、抗不整脈、強心成分が蛇毒から単離されることはそれまでは報告されていない。しかし、そこにはある種の他の動物毒成分があり、それらは強心性/抗不整脈性を有する。
DPI−201−206(Romey G, Quart U, Pauron D, Frelin C, Renand J and Lazdunski M. 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 896-900)を参照すると、イソギンチャクの毒素はポジティブの変力効果とネガティブの周期変動効果を併せもち、その作用は潜在的な延長性と冠状血管拡張作用である。
カルジオペプ(Cardiopep)(Vick J, Shipman W and Brooks R. 1974. カルジオペプのベータ−アドレナリン効果および抗不整脈効果、全ハチ毒から新たに単離した物質。Toxicon, 12, 39-144)は心臓活性抗不整脈性物質であり、ハチ毒に見出された。このものは心臓の拍動数と収縮力を増大させることが示されている。
本発明はキングコブラ毒液から抗不整脈成分を単離する方法に関する。
すでに使用されている抗不整脈剤の主な欠点は、相当数の利用可能なポジティブ変力剤が治療レベルと毒性レベルの間に非常に狭い余裕しかないか、あるいはその副作用に拮抗するために補助的な薬理活性剤を考慮する必要のあることである。例えば、強心性グリコシドは非常に強い全身毒性を有し、心拍リズムの異常を誘発する可能性がある。引用し得る文献:Goodman and Gilman’s The Pharmacological basis of therapeutics(治療の薬理学的基礎), 8th Edition, 1990. Editors Nies AS, Rall TW, Taylor P, Goodman Gilman A, Pg. 854-857, 861, 863, 870。
心拍数を上げずに心筋の収縮能を改善し、毒性を示さないかまたは最少であり、かつ凝固を妨げないが心拍リズムを再正常化する薬物は、心臓の病態生理学的状態の処置に選択すべき有効な薬剤となり得る。
本発明の主目的は、インド産の蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の蛇毒から得られるKCV−CAFと命名した新規生物活性化合物を含んでなる抗不整脈性医薬組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、インド産のキングコブラの毒液から、薬理学的目的に有用な新規抗不整脈化合物の単離方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、心臓血管系異常の際に治療適用に有用な、かつ生物医学研究の消息子/手段として有用な新規抗不整脈剤の単離方法を提供することにある。
さらなる本発明のもう一つの目的は、蛇キングコブラなどの容易に入手可能な資源、インド原産の天然物から、新規抗不整脈剤の単離方法を提供することにある。
従って、本発明は蛇毒からのKCV−CAFと命名した生物活性分子の有効量を含有してなる医薬組成物を提供する。また、本発明は薬理学的目的に有用なKCV−CAFと命名した新規抗不整脈生体分子の単離方法を提供する。
従って、本発明はインド産の蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名した抗不整脈化合物を提供する。当該化合物は以下の特性を有する:
i)該化合物の分子量は256ダルトンである;
ii)性質上、非タンパク性;
iii)メタノール溶媒中での紫外線スペクトルは225.4nmに鋭いピークを生じる;
iv)当該化合物はRP−HPLC上に鋭いピークを生じ、その保持時間は7.85分である;そして
v)250nmでの励起により、360nmに発光最大値(Emax)を示し、
本発明の一態様では、インド産蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名した化合物の有効量と、選択肢として1種以上の医薬的に許容し得る成分とを混合して含有する抗不整脈性医薬組成物が提供される。
本出願人は蛇キングコブラの毒液から、初めて、抗不整脈性を有する新規の低分子量生体分子を単離し、同定した。この新規化合物はλmax225.4nmを有し、250nmで励起したとき360nmにEmaxを示し、256ダルトンの分子量を有する。新規抗不整脈化合物は収縮力を増大し、活力低下(hypodynamic)した心臓と心耳を成功裏に回復させるが、心拍数の変化は殆どなかった。
本発明の主要な利点は以下のとおりである:
(1)新規抗不整脈化合物(KCV−CAF)は、インド(サンダーバンズ、北東丘陵地帯)、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、カンボジア、ヴェトナムに分布する蛇、キングコブラの毒液から精製した。(エンドグリフス(Endoglyphs)および世界の他の主要な毒蛇。チェックリスト、Golay P, Smith HM, Boodley DG, Dixon FR, McCarthy C, Page JC, Schatti B, Toriba IM, Azemiops, 1993)。
(2)新規抗不整脈化合物(KCV−CAF)は、簡単かつ安価な常套方法により精製した。
(3)新規抗不整脈化合物(KCV−CAF)は、活力低下した心臓と心耳を正常に戻し得る。
(4)新規抗不整脈化合物(KCV−CAF)は、性質的に非出血性かつ非溶血性であった。
(5)得られる収率は0.25±0.02%程度であった。
本発明の一態様において、蛇毒から得られる当該化合物は以下の特性を有する:λmax225.4nm;250nmで励起したとき360nmにEmax。本発明のもう一つの態様において、当該生体分子は256ダルトンの分子量をもつ。
もう一つの態様において、該医薬的に許容し得る成分は、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン−ゼラチンペーストなどの栄養素および/または担体、賦形剤、希釈剤または溶媒からなる群より選択される。
さらにもう一つの態様において、当該組成物は吸入、経口、静脈内、筋肉内、皮下経路または他の適切な経路で投与する。
さらにもう一つの態様において、該経口投与経路ではカプセル、シロップ、濃縮液、粉末または顆粒剤の形状で実施される。
なおもう一つの態様において、静脈内経路により投与する量は経口経路におけるよりも少ない。
なおもう一つの態様において、本発明は活力低下心臓と心耳を正常な状態に戻す当該組成物を提供する。
なおもう一つの態様において、当該組成物は性質上、非出血性かつ非溶血性である。
さらなる一態様においては、蛇毒から、薬理学的目的に有用なKCV−CAFと命名した新規抗不整脈生体分子の単離方法であって以下の工程:
i.蛇キングコブラの毒液を得る工程;および
ii.KCV−CAFと命名した新規抗不整脈化合物を得るために、工程(i)の毒液を既知のクロマトグラフ法を繰り返すことにより精製する工程;
を含むなることを特徴とする方法が提供される。
本発明のもう一つの態様において、使用する毒液はインド産蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)などの蛇キングコブラから選択される。
さらにもう一つの態様においては、シリカゲル上の薄層クロマトグラフィー、次いで逆相高速液体クロマトグラフィーなどの既知クロマトグラフ法を用いて精製を実施する。
なおもう一つの態様において、KCV−CAFと命名した新規抗不整脈生体分子は蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)から得られる。当該生体分子は256ダルトンの分子量を有する。当該分子は225.4nmに最大紫外部吸収、250nmで励起したときに360nmの蛍光発光最大値(Emax)を有する。
本発明方法により、新規かつ強力な抗不整脈性化合物はインド産蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液から、薄層クロマトグラフィーと引続く逆相高速液体クロマトグラフィーを介して精製される。そのようにして得た化合物は出血性、溶血性および脱繊維素活性を有しない。
以下の実施例は説明のために示すものであり、本発明の範囲を限定するために構成されるものではない。
実施例1
蛇毒からの新規抗不整脈性化合物の精製
キングコブラ毒液の薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルGF254を被覆し、事前活性化したガラスプレート(20×10cm)にて、溶媒系イソプロパノール:0.1(N)HCl(7:3v/v)を用いて実施した。スポットは(1)UV(254nm)チャンバーまたは(2)ヨウ素蒸気中で可視化し、R値を計算した。再クロマトグラフィーはシリカゲルG(タイプ60)と同じ溶媒系を用いて実施し、スポットは(1)ヨウ素蒸気中で可視化するか、(2)0.1%ニンヒドリン/アセトンで可視化し、Rを計算した。
1個のスポットは(1)254nmで白色蛍光、(2)ヨウ素中で黄褐色を示し、そのR値は0.5であった。このスポットを再度クロマトグラフィーに付すと、R0.5の単一スポットを生じ、このスポットはニンヒドリンでピンクに現れた。精製工程により活性化合物を0.25±0.02%の収率で得た。
TLCで精製した活性化合物はミリポアフィルター(0.4μ)を通過させ、次いでさらに逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)にて、ウオーターズ486システム、C18カラム(60Å、4μm、3.9×150mm)および溶媒としてイソプロパノール(100%)を使用して精製した。
活性化合物はRP−HPLC上に単一の鋭いピークを生じ、その保持時間は7.85分であり、該活性化合物が本質的に均一であることを示していた。
構造/分光学的分析および部分的キャラクタリゼーション
島津UV-vis分光光度計において、溶媒としてスペクトル用メタノールを用いて測定した該化合物の紫外部スペクトルは、225.5nmに鋭いピークを生じた。該化合物の蛍光スペクトルは、溶媒としてpH7.4の0.9%食塩水を用い、パーキンエルマーMPF448蛍光分光光度計にて測定した。250nmで励起し、260nmないし800nmで走査した発光は360nmに発光最大値(Emax)を示した。
該化合物のLCMSはm/z256においてM+を示した。
実施例1に示したように、キングコブラ毒液から単離精製した活性化合物は、分子量256ダルトンをもつ本質的に非タンパク質として純粋な状態で得られた。
以下の実施例では、新規化合物の生物活性を決定した。
実施例2
分離した心耳に対する作用
分離したモルモットの心耳に対する該新規化合物の効果をバーン(Burn J H (1952), Practical Pharmacology. Blackwell Scientific Publications, Oxford, 22-25)の方法に従ってインビトロで分析した。酸素化リンゲル溶液を29±1℃の温度で使用した。該化合物(2.5ng/ml)は6時間まで観察した(30±5.6)分後に、20±0.2%収縮の振幅を増大させた。しかし、心耳率は変化しなかった。
実施例3
分離した心臓に対する作用
分離したヒキガエルの心臓に対する本化合物の効果は、室温(28±2℃)の両生類リンゲル溶液を用い、肝臓血管のカニューレ挿入を介してインビトロで分析した。該化合物(20ng)は(15±5.5)分後に、18±2%収縮の振幅を増大させた。分離したモルモットの心臓に対する作用は、ランゲンドルフ(Langendorff, O (1895). Untersuchungen an uberlebenden sangetierheizen. Pfluger Archges Physiol. 61, 291-293)に従ってインビトロで分析した。分離した心臓は37±1℃の酸素化タイロード液で灌流した。該化合物(10ng)は(20±3.5)分後に、分離したモルモット心臓の収縮の振幅を(12±1.4)%増大させた。
実施例4
活力低下心耳に対する作用
分離したモルモットの心耳はバーン(Burn J H (1952))に従い調製した。アコニチン(15ng/ml)を加え、(40±5)分以内に不整脈を起こさせた。本新規化合物(5ng/ml)は(45±4.2)分以内に不整脈を正常に戻し得た。6時間まで観測し、正常な機能状態が維持された。再び、2.25mM CaClにより分離した心耳に不整脈を起こさせた。該新規化合物(5ng/ml)は観察の(30±3.36)分以内に不整脈を正常に戻した。
実施例5
活力低下心臓に対する作用
分離したヒキガエルの心臓調製物をアコチニン(40ng)で処理し、不整脈を生じさせた。この新規化合物(10ng)は活力低下した心臓を(24±7.32)分以内に正常に戻した。正常心拍数は3±0.5時間まで観察したとおりに維持された。
ランゲンドルフ(Langendorff, O (1895))に従って調製した分離モルモット心臓をアコチニン(30ng)により不整脈とした。該新規化合物(10ng)の添加により、不整脈は(42±3.2)分以内に正常に戻った。正常な心拍数は4±0.5時間まで観察したとおりに維持された。
実施例6
心電図の検討(正常心臓)
心電図の検討はウレタン(1.75g/kg、腹腔内)麻酔されたオスの白色種ウイスターラット(150±10g)で実施した。皮下針電極を用いてECG波を記録した。記録は標準誘導IIにてBPL心臓安定装置で得た(ペーパー速度25mm/sec;電圧1mVで検定)。該新規化合物(1μg/100g)を頚静脈経由で注入したとき、E.C.G.記録はそのパターンが化合物の注入前と同じであることを示した。
実施例7
心電図の検討(活力低下心臓)
心電図の検討はウレタン(1.75g/kg、腹腔内)麻酔オスのウイスター白色種ラット(150±10g)で実施した。記録は誘導IIで得た。アコニチン(50μg/100g)を頚静脈経由で注入し、不整脈は30±5分以内に誘導された。次いで、新規化合物(1μg/100g)を頚静脈経由で注入した;不整脈は10±5分以内に回復し始め、120±10分後には活力低下心臓が正常化した。該化合物(0.5μg/100g×3回)を繰返し投与すると、活力低下心臓が(90±10)分以内に正常に戻った。
実施例8
毛細血管透過性
毛細血管透過性は青色素血管外遊出法によりマウスで試験した(Kellet D N, 1965, On the anti-inflammatory activity of protamine sulphate and of hexadimethrine bromide, inhibitors of plasma kinin formation(血漿キニン形成阻害剤である硫酸プロタミンおよび臭化ヘキサジメトリンの抗炎症活性について) Br. J. Pharmac., 24, 703)。該新規化合物(10ng)/対照としての正常食塩水をオスの白色種スイスマウス(20g)に皮内注射した。半時間後、エバンズブルー(60mg/kg)を静脈内注射した。30分後に動物を殺し、皮膚を取り出して、皮膚内面の色素血管外遊出面積の径(注射部位に相当する)を測定した。本化合物は正常に比較して、毛細血管透過性を上昇させなかった。
実施例9
ラット後肢灌流の検討
ラット後肢灌流はバーンの方法(Burn J H, 1952. Practical Pharmacology, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 22-25)により検討した。新たに犠牲としたラットの直腸、下部および上部腸間膜動脈を結紮により分離し、その後に腸管を取り出した。ポリエチレンカニューレを下腹部大動脈に挿入し、体幹をカニューレ挿入点の上で2つの部分に横行切断した。末端部分をリングに付着した円形ガーゼ片に置き、リングはポリエチレン漏斗上に載せた。37±1℃のリンゲル液を一定圧で下腹部大動脈に灌流させた;灌流は灌流液に血液がなくなるまで行った。単位時間あたりの灌流液量を測定した。新規化合物(50ng)は単位時間あたりの灌流液量に何らの変化も生じなかった(対照1.5±0.3ml/3分;実験1.5±0.3ml/3分)。
実施例10
脱繊維素活性
新規抗不整脈化合物の脱繊維素活性はスィークストンらの方法(Theakston R D G and Reid H A, 1983. Development of simple standard assay procedure for the characterization of snake venom(蛇毒キャラクタリゼーション用の簡単な標準分析法の開発) Bulletine of the World Health Organization, Geneva, Vol. 61, 949-956)に従いインビボで分析した。0.9%食塩水中、新規化合物(1μg)をオス白色種スイスマウス(18〜20g)の尾部血管に静脈内注射した。1時間後、後眼窩叢から血液を採取し、脱繊維素活性を記録した。処置した動物の血液は対照動物(0.9%食塩水を静脈内注射)と同じ時間内に、すなわち、2±0.2分以内に凝固した。従って、本化合物は脱繊維素活性を有しない。
実施例11
出血性活性
新規抗不整脈化合物の皮膚出血活性は、近藤らの方法(Kondo H, Kondo S, Ikezawa H, Murata R and Ohsaka A, 1969. Studies on the quantitative method of determination of haemorrhagic activity of Habu Snake Venom(ハブ蛇毒出血活性の定量方法に関する研究)Japanese Journal of Medical Science and Biology, Volume 13, 43-51)に従いオス白色種スイスマウス(20g)でインビトロで分析した。最少出血用量(MHD)は試験化合物を皮内注射したときに、観察の24時間以内に直径10mmの出血斑を生じる該化合物の量と定義した。食塩水(0.9%)を陰性対照として使用し、ラッセルクサリヘビ毒(5μg)を陽性対照として使用した。新規抗不整脈化合物(1μg)は陽性対照(直径10mm)のラッセルクサリヘビ毒と比較して、観察した24時間以内に出血斑を生じなかった。従って、新規抗不整脈化合物は性質上非出血性であることが判明した。
実施例12
溶血活性
新規抗不整脈化合物(1μg)の溶血活性は、1mlの1%ヒトRBC、モルモットRBC、ラットRBC−懸濁液と37℃で30分間インキュベートすることにより、インビトロで分析した。RBC懸濁液は900gで30分間遠沈し、陰性対照(0.9%食塩水)および陽性対照(100%蒸留水)に対する溶血度を540nmで測定した。該抗不整脈化合物はRBCを溶血しなかった。従って、新規抗不整脈化合物は性質上非溶血性であった。
実施例13
新規抗不整脈化合物は仮にKCV−CAFと命名した
上記から結論し得ることは、新規抗不整脈化合物KCV−CAFはインド産の蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液から精製されたということである。該化合物は分子量256ダルトンを有する。この新規抗不整脈化合物は活力低下した心臓と心耳の機能を正常化することができる。新規抗不整脈化合物は出血性、溶血性および脱繊維素活性をもたない。

Claims (13)

  1. インド蛇キングコブラ(Ophiophagus hannah;オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名される抗不整脈化合物。
  2. 以下の特性を有する請求項1記載の化合物:
    i)該化合物の分子量は256ダルトンである;
    ii)性質上、非タンパク性;
    iii)メタノール溶媒中での紫外線スペクトルは225.4nmに鋭いピークを生じる;
    iv)当該化合物はRP−HPLC上に鋭いピークを生じ、その保持時間は7.85分である;そして
    v)250nmでの励起により、360nmに発光最大値(Emax)を示した。
  3. インド蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名される化合物の有効量と、任意に1種以上の医薬的に許容し得る成分とを混合して含有する抗不整脈性医薬組成物。
  4. 該医薬的に許容し得る成分が、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン−ゼラチンペーストなどの栄養素および/または担体、賦形剤、希釈剤または溶媒からなる群より選択される請求項3記載の組成物。
  5. 吸入、経口、静脈内、筋肉内、皮下経路またはいずれか他の適切な経路で投与する請求項3記載の組成物。
  6. 経口投与経路がカプセル、シロップ、濃縮液、粉末または顆粒剤の形状で実施される請求項3記載の組成物。
  7. 静脈内経路により投与する量が経口経路におけるよりも少ない請求項3記載の組成物。
  8. 活力低下(hypodynamic)心臓と心耳を正常な状態に戻す請求項3記載の組成物。
  9. 性質上、非出血性かつ非溶血性である請求項3記載の組成物。
  10. 薬理学的目的に有用なKCV−CAFと命名される抗不整脈化合物の単離方法であって以下の工程:
    i.蛇キングコブラの毒液を得る工程;および
    ii.新規抗不整脈化合物KCV−CAFを得るために、工程(a)の毒液を既知のクロマトグラフ法を繰り返すことにより精製する工程;
    を含むことを特徴とする方法。
  11. 使用する毒液がインドのキングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)などの蛇キングコブラのものである請求項10記載の方法。
  12. シリカゲル上の薄層クロマトグラフィー、次いで逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの既知クロマトグラフ法を用いて精製を実施する請求項10記載の方法。
  13. 蛇キングコブラ(オフィオファガス・ハンナ)の毒液から得られるKCV−CAFと命名した新規抗不整脈化合物が、分子量256ダルトン、225.4nmに最大紫外部吸収、250nmで励起したときに360nmの蛍光発光最大値(Emax)を有する請求項10記載の方法。
JP2004556571A 2002-12-02 2002-12-02 キングコブラ毒液からの抗不整脈化合物およびその精製方法 Withdrawn JP2006511513A (ja)

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