JP2006511312A - 生体組織の細胞治療と電気治療の方法と装置 - Google Patents

生体組織の細胞治療と電気治療の方法と装置 Download PDF

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Abstract

損傷を受けた組織の領域への外因性細胞の投与と電気的エネルギーの適用を含む、生体組織の細胞治療と電気治療のための方法。1適用において、この外因性細胞は組織への投与の前に条件付けされる。1適用において、組み合わされた細胞治療と電気治療は、損傷を受けた心臓組織にin vivoで加えられる。このような適用において、最小に侵襲性の手順が細胞治療を適用するために使用され、電気治療は埋め込み可能なパルス発生器を介して提供される。1適用において、埋め込み可能なペースメーカーが、房室遅延を固有の房室遅延と比較して相対的に短く維持したVDDモード又はDDDモードにおいて使用される。

Description

本発明は、生体組織の組み合わされた細胞治療と電気治療に一般に関し、限定ではなく、特に心臓リズム管理システムを用いた細胞治療と電気治療を使用して生体組織を条件付けするための方法と装置に関する。
心臓は、身体の残りの部分のみならず心臓自体にも血液をポンピングする唯一の器官である。「心臓発作」又は心筋梗塞は、心臓への適切な血流の喪失が存在する場合に発生する。心臓組織が充分な酸素を得ていない場合、心筋細胞が死亡する確率が高い。心筋梗塞の重篤度は、心臓損傷の量と重篤度さらに機能喪失によって測定される。
心疾患は主要な死亡原因である。心筋梗塞の処置における進歩にもかかわらず、患者は、心臓発作によって引き起こされた損傷に起因する生活の質の低下を被っている。1つのこのような損傷は、心筋梗塞から生じる慢性心不全である。心筋細胞は、いくつかの状況において心筋梗塞の間に死亡し、心臓によって天然に再生されず、また梗塞後の損傷を修復するのに充分な量で再生されない。心筋に対する損傷の重篤度に依存して、心臓拍出量、心臓弁機能、血圧発生能力が大きく低下する。これらの結果は、患者に対する心臓発作の長期にわたる破壊的影響のいくつかを例示するに過ぎない。
損傷を受けた心筋細胞を処置するための1つの方法は、心機能を回復する試みにおいて薬剤治療を与えることである。このような治療は、心臓に対する損傷があまりに重篤な場合には特に有効でない可能性があり、薬剤治療は心筋細胞を再生しないと考えられているが、その代わりに心疾患の心不全への進行に関連すると考えられる特定の分子機構を遮断又は促進するように作用する。
損傷を受けた心筋のための別の処置は、いわゆる「細胞治療」である。細胞治療は、内因性細胞、自家細胞及び/又は非自家細胞の患者への投与を含む。例えば、損傷を受けた心筋を置換する意図又は損傷を受けた領域の機械的特性を改善する意図で、損傷を受けた心臓組織へ筋原性細胞が注射される。しかし、筋原性細胞の投与は、これらの細胞が植え付くこと又は生存することを確実にせず、機能がかなり低く、細胞治療の有効性を増大させることが当該分野において必要である。
本文書はとりわけ、生体組織の細胞治療と電気治療間での相乗作用のための方法と装置を開示する。種々の実施態様において、本開示は、細胞治療において外因性細胞を処置した心臓の心臓組織、その心臓組織の少なくとも一部分の電気治療のためのシステムを含み、このシステムは、電極を備えた1つ又は複数のカテーテル・リード線とパルス発生器を含み、このパルス発生器は、1つ又は複数のカテーテル・リード線への接続のためのインターフェース、複数のパルス伝達モードについてプログラム可能なコントローラ、1つ又は複数のカテーテル・リード線からの電気信号を感知するための感度増幅器を含み、かつ心臓組織の細胞治療を増強するために治療用電気刺激を与えるための選択可能なペーシング・モードを含む。
種々の実施態様において、この治療用電気刺激は、心臓の固有の房室遅延と比較して短い房室遅延を有するVDD(又はDDD)ペーシング・モードを含む。
この治療用電気刺激がさらなるペーシングと除細動治療との間の時点で提供される実施態様、この治療用電気刺激が一日の決まった時刻(例えば、睡眠の間)に対してプログラム可能である実施態様もまた記載される。
この治療用電気刺激が特定のレベルの応力又は特定のレベルの活動についてプログラム可能である実施態様もまた記載される。
いくつか例を挙げれば、この治療がプログラマーによって起動される実施態様、加速度計のデータが治療用電気刺激を何時加えるかを決定するために使用される実施態様、リードの位置が治療用電気刺激のタイプを決定するために使用される実施態様といった種々の実施態様が提供される。
心臓組織の細胞治療を増強するための方法もまた開示され、この方法は、埋め込み可能なパルス発生器を使用して、ドナー細胞を含む外因性細胞治療が施された心臓組織に電気治療を適用するステップを含み、この電気治療は、ドナー細胞の埋め込み、生存、増殖、分化又は機能の1つ又は複数を増強する。in vivoとin vitroの処置を含む異なる方法が議論される。種々のペーシング治療もまた議論される。1実施態様において、これらの方法は、外因性細胞の埋め込み、生存、増殖、分化又は機能を増強する薬剤を投与するステップを含む。心機能と血管新生の増強もまた議論される。
本記載は、細胞治療のための流体の注射のための針手段を含む、細胞治療のための種々のカテーテルもまた与える。
この概要は、本願の教示のいくつかの概略であり、本発明の対象の排他的又は網羅的な扱いであることが意図されない。本発明の対象についてのさらなる詳細は、詳細な説明と添付の特許請求の範囲中に見出される。本発明の他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、かつその一部を構成する図面を見ると当業者に明らかとなり、その各々は限定的意味にとるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とその等価物によって規定される。
図面中、同等の数字はいくつかの図面を通じて類似の構成要素を記述する。異なる文字の接尾詞を有する同等の数字は、それらの構成要素の異なる例を示す。
以下の詳細な説明において、本発明の一部を構成しかつ本発明が実施される例示的な特定の実施形態として示される添付の図面に対して言及がなされる。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように充分詳細に記載され、これらの実施形態が組み合わされるか又は他の実施形態が利用できること、ならびに構造的変化、論理的変化、電気的変化が、本発明の精神と範囲から逸脱することなしになされることは理解できるであろうべきである。以下の詳細な説明は実施形態を提供し、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲とその等価物によって規定される。
本開示中の「1つの(an)」、「1つの(one)」又は「種々の」実施形態に対する言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、このような言及が1つより多い実施形態を意図することに留意すべきである。
定義
「筋肉細胞」又は「筋肉組織」とは、筋肉由来の細胞又は細胞の群を意味し、これには骨格筋や心筋由来の細胞と組織が含まれるがこれらに限定されず、いくつかの実施形態においては平滑筋細胞も含まれる。この用語は、in vitroとin vivoの両方の筋肉細胞を含む。従って例えば、単離された心筋細胞は、本発明の目的のための「筋肉細胞」を構成するが、in vivoで被験体中に存在する筋組織中に存在しても筋肉細胞を構成する。この用語はまた、分化した筋肉細胞と分化していない筋肉細胞の両方(例えば、筋細胞、筋管、筋芽細胞、分裂中か分化したものの両方の心筋細胞と心筋芽細胞)を包含する。
「心臓細胞」は、分化した心臓細胞(例えば、心筋細胞)又は心臓細胞に分化することになっている細胞(例えば、心筋芽細胞又は心筋原性細胞)を意味する。
「筋細胞」は、ミオシンを含む筋肉細胞である。
「心筋細胞」は、心筋細胞の少なくとも1つの表現型特徴を示す心臓筋細胞系統中の任意の細胞である。このような表現型特徴には、心臓タンパク質(例えば、心臓のサルコメア・タンパク質もしくは筋原繊維タンパク質又は心房ナトリウム利尿因子(ANP))の発現、あるいは電気生理学的特徴が含まれる。心臓のサルコメア・タンパク質又は筋原繊維タンパク質には、例えば、心房ミオシン重鎖、心臓特異的心室ミオシン重鎖、デスミン、N−カドヘリン、サルコメア・アクチン、心臓トロポニンI、ミオシン重鎖、Na/K ATPaseが含まれる。心筋細胞の電気生理学的特徴には、例えば、Naチャンネル電流又はKチャンネル電流が含まれる。同様に、「骨格筋細胞」とは、骨格筋細胞の少なくとも1つの表現型特徴を示す骨格筋細胞系統中の任意の細胞を意味する。このような表現型特徴には、骨格筋タンパク質(例えば、骨格筋特異的転写因子MyoDもしくは骨格筋特異的ミオシン)の発現又は電気生理学的特徴と形態学的特徴(例えば、多核横紋筋繊維への融合)が含まれる。
「心筋」とは、心臓の筋肉部分を意味する。心筋には、以下の3つの主要なタイプの筋繊維が含まれる:心房筋繊維、心室筋繊維、特殊化した興奮伝導筋繊維。
「ベクター」又は「コンストラクト(construct)」(しばしば遺伝子デリバリ(gene delivery)又は遺伝子転移「媒体」(gene transfer "vehicle")と称される)は、in vitro又はin vivoのいずれかで宿主細胞にデリバリすべきポリヌクレオチドを含む高分子又は分子の複合体をいう。デリバリすべきポリヌクレオチドは、遺伝子治療のための目的のコード配列を含む。ベクターには例えば、ウイルス・ベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス)、リポソームと他の脂質含有複合体、宿主細胞へのポリヌクレオチドのデリバリを媒介する他の高分子複合体が含まれる。ベクターは、遺伝子デリバリ及び/又は遺伝子発現をさらに調節するかあるいは標的化された細胞に有益な特性を他の方法で与える他の成分又は機能性もまた含む。このような他の成分には例えば、細胞への結合もしくは標的化に影響を与える成分(細胞型特異的又は組織特異的な結合を媒介する成分を含む)、細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を与える成分、取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を与える成分(例えば、核局在化を媒介する薬剤)、ポリヌクレオチドの発現に影響を与える成分が含まれる。このような成分には、ベクターによってデリバリされた核酸を取り込んだ細胞とその核酸を発現している細胞について検出又は選択するために使用できる、検出マーカー及び/又は選択マーカーのようなマーカーもまた含まれる。このような成分は、ベクターの天然の特徴として提供されるか(例えば、結合と取り込みを媒介する成分又は機能性を有する特定のウイルス・ベクターの使用)、あるいはベクターは、このような機能性を与えるように改変される。多数の種々のこのようなベクターが当該分野で公知であり、一般に入手可能である。ベクターが宿主細胞中に維持される場合、このベクターは、自律的構造体として有糸分裂の間に細胞によって安定に複製されるか、宿主細胞のゲノム内に組み込まれるか、又は宿主細胞の核もしくは細胞質中に維持されるかのいずれかである。
「組換えウイルス・ベクター」とは、1つ又は複数の異種の遺伝子又は配列を含むウイルス・ベクターをいう。多数のウイルス・ベクターがパッケージングに関連するサイズ制限を示すので、この異種の遺伝子又は配列は、ウイルス・ゲノムの1つ又は複数の部分を置換することによって典型的に導入される。このようなウイルスは複製欠損になっている可能性があるので、ウイルスの複製とエンキャプシデーション(encapsidation)の間に、欠失された機能が(例えば、複製及び/又はエンキャプシデーションに必要な遺伝子を保有するヘルペスウイルス又はパッケージング細胞株を使用することによって)トランスで提供されることを必要とする。デリバリすべきポリヌクレオチドがウイルス粒子の外側に保有される改変されたウイルス・ベクターもまた記載されている(例えば、Curielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:8850(1991)を参照のこと)。
「遺伝子デリバリ」、「遺伝子転移」などは、本明細書中で使用する場合、導入のために使用される方法にかかわらず、宿主細胞中への外因性ポリヌクレオチド(しばしば「導入遺伝子」と称される)の導入をいう用語である。このような方法には、ベクター媒介性の遺伝子転移(例えば、ウイルス感染/トランスフェクション又は種々のタンパク質ベースの遺伝子デリバリ複合体もしくは脂質ベースの遺伝子デリバリ複合体による)ならびに「裸の」ポリヌクレオチドのデリバリを促進する技術(例えば、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」デリバリとポリヌクレオチドの導入のために使用される他の技術)のような種々の周知技術が含まれる。導入されたポリヌクレオチドは、宿主細胞中で安定に又は一時的に維持される。安定な維持は、導入されたポリヌクレオチドが宿主細胞と適合する複製起点を含むか、又は宿主細胞のレプリコン(例えば、染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)又は核染色体もしくはミトコンドリア染色体)中に組み込まれることを典型的に必要とする。多数のベクターが、哺乳動物細胞への遺伝子の移入を媒介することが知られており、当該分野で公知である。
「導入遺伝子」とは、一時的もしくは永続的のいずれかで細胞中に技術によって挿入されて、ゲノム中に組み込まれた場合又は染色体外に維持された場合に生物の一部となる核酸分子(例えば、DNA)の任意の断片を意味する。このような導入遺伝子は、トランスジェニック生物に対して部分的又は全体的に異種(すなわち外来)である遺伝子を含むか、あるいはその生物の内因性遺伝子に対して同種の遺伝子を示する。
「トランスジェニック細胞」とは、導入遺伝子を含む細胞を意味する。例えば、発現カセットを含むベクターで形質転換された幹細胞は、変更された表現型特徴を有する細胞の集団を生成するために使用できる。
用語「野生型」とは、天然に存在する供給源から単離された場合の遺伝子又は遺伝子産物の特徴を有する遺伝子又は遺伝子産物をいう。野生型遺伝子は、ある集団においてもっとも頻繁に観察される遺伝子であり、従って、自由裁量で遺伝子の「正常」形態又は「野生型」形態と称される。対称的に、用語「改変された」又は「変異体」とは、野生型の遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に配列及び/又は機能的特性中に改変(すなわち変更された特徴)を示す遺伝子又は遺伝子産物をいう。天然に存在する変異体が単離されることが留意される。これらは、野生型の遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に変更された特徴を有するという事実によって同定される。
用語「形質導入」とは、ウイルス・ベクターと好ましくは複製欠損ウイルス・ベクター(例えば、組換えAAV)を介した、in vivo又はin vitroのいずれかでの受入れ細胞へのポリヌクレオチドのデリバリを意味する。
用語「異種」は、遺伝子配列と制御配列のような核酸配列に関する場合、通常は一緒に連結されず、かつ/又は特定の細胞と通常は関連しない配列を意味する。従って、核酸コンストラクト又はベクターの「異種」領域は、天然に他の分子と関連して見出されない別の核酸分子内にあるか又はそのような核酸分子に結合された核酸のセグメントである。例えば、核酸コンストラクトの異種領域は、天然にはそのコード配列と関連して見出されない配列(すなわち、異種プロモーター)によって隣接されたコード配列を含む。異種コード配列の別の例は、そのコード配列自体が天然に見出されない(例えば、天然遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)コンストラクトである。同様に、その細胞中に通常は存在しないコンストラクトで形質転換された細胞は、本発明の目的について異種とみなされる。
「DNA」とは、とりわけ線状DNA分子(例えば制限断片)、ウイルス、プラスミド、染色体において見出される二本鎖又は一本鎖の形態のデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン又はシトシン)のポリマー形態を意味する。特定のDNA分子の構造の議論において、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに対して相補的な配列を有する鎖)に沿って5’から3’の方向で配列だけを与える通常の慣行に従って本明細書中で記載される。この用語は、4種の塩基アデニン、グアニン、チミン又はシトシンを含む分子、および当該分野で公知の塩基アナログを含む分子を包含する。
本明細書中で使用する場合、用語「相補的」又は「相補性」は、塩基対合規則によって関係付けられるポリヌクレオチド(すなわちヌクレオチドの配列)に対する言及において使用される。例えば、配列「A−G−T」は、配列「T−C−A」に対して相補的である。相補性は、核酸の塩基のいくつかのみが塩基対合規則に従って一致する「部分的」なものである。あるいは、核酸間に「完全」又は「全体的な」相補性が存在する。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に対して有意な影響を与える。これは、増幅反応や核酸間の結合に依存する検出方法において特に重要なものである。
DNA分子は、1つのモノヌクレオチドのペントース環がホスホジエステル結合を介して一方向でその隣接モノヌクレオチドのペントース環の3’酸素に結合されるような様式でモノヌクレオチドが反応して、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを形成するので、「5’末端」と「3’末端」を有すると言われる。従って、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの末端は、その5’リン酸がモノヌクレオチドのペントース環の3’酸素に連結されていない場合には「5’末端」と称され、かつその3’酸素が引き続くモノヌクレオチドのペントース環の5’リン酸に連結されていない場合には「3’末端」と称される。本明細書中で使用する場合、核酸配列はまた、より大きいオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドに対して内部である場合でさえ、5’末端と3’末端を有すると言われる。線状又は環状のいずれかのDNA分子において、別個のエレメントが、「下流」すなわち3’側エレメントの「上流」すなわち5’側であるといわれる。この用語は、転写がDNA鎖に沿って5’から3’への様式で進行するという事実を反映する。連結された遺伝子の転写を指向するプロモーター・エレメントとエンハンサー・エレメントは、コード領域の5’側すなわち上流に一般に位置する。しかし、エンハンサー・エレメントは、プロモーター・エレメントとコード領域の3’側に位置する場合でさえその効果を発揮する。転写終結シグナルとポリアデニル化シグナルは、コード領域の3’側すなわち下流に位置する。
特定のタンパク質を「コード化する」「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「コード領域」又は「配列」は、適切な調節配列の制御下に配置された場合にin vitro又はin vivoで転写されて遺伝子産物(すなわちポリペプチド)へと任意選択で翻訳もされる核酸分子である。コード領域は、cDNA形態、ゲノムDNA形態又はRNA形態のいずれかで存在する。DNA形態で存在する場合、この核酸分子は、一本鎖(すなわちセンス鎖)又は二本鎖である。コード領域の境界は、5’(アミノ)末端で開始コドンと3’(カルボキシ)末端で翻訳停止コドンによって決定される。遺伝子には、原核生物又は真核生物のmRNA由来のcDNA、原核生物又は真核生物のDNA由来のゲノムDNA配列、合成DNA配列が含まれるがこれらに限定されない。転写終結配列は、遺伝子配列の3’側に通常位置する。
用語「制御エレメント」とは、受入れ細胞中のコード配列の複製、転写、転写後プロセシングと翻訳を集合的に与える、プロモーター領域、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製起点、内部リボソーム進入部位(「IRES」)、エンハンサー、スプライス連結部などを集合的にいう。選択されたコード配列が適切な宿主細胞中で複製され、転写されて翻訳される限り、これらの制御エレメントの全てが常に存在する必要があるわけではない。
用語「プロモーター領域」は、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域をいうために本明細書中でその本来の意味で使用され、この調節配列は、RNAポリメラーゼを結合して下流(3’方向)のコード配列の転写を開始する遺伝子由来である。
「エンハンサー・エレメント」とは、エンハンサー・ドメインの非存在下でプロモーターから生じる転写活性と比較して、プロモーターに対して近位に位置決められる場合に増大した転写活性を付与する核酸配列を意味する。
「心臓特異的エンハンサー・エレメント」とは、プロモーターに作動可能に連結された場合に心臓細胞において遺伝子発現を指向するが全ての組織又は全ての細胞型において遺伝子発現を指向するわけではないエレメントを意味する。本発明の心臓特異的エンハンサーは、天然に存在するものであっても天然に存在しないものであってもよい。当業者は、天然に存在しないエンハンサーの合成が標準的なオリゴヌクレオチド合成技術を使用して実施されることを認識している。
核酸分子に関して「作動可能に連結される」とは、2つ以上の核酸分子(例えば、転写されるべき核酸分子、プロモーター、エンハンサー・エレメント)が、核酸分子の転写を可能にするような方法で接続されることを意味する。ペプチド分子及び/又はポリペプチド分子に関して「作動可能に連結される」とは、2つ以上のペプチド分子及び/又はポリペプチド分子が、融合物のペプチド成分及び/又はポリペプチド成分の各々の少なくとも1つの特性を有する単一のポリペプチド鎖(すなわち融合ポリペプチド)を生じるような方法で接続されることを意味する。この融合ポリペプチドは、好ましくはキメラであり、すなわち異種分子からなる。
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド間の同一性の%をいう。1つの配列と別の配列との間の対応は、当該分野で公知の技術によって決定される。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、容易に入手可能なコンピュータ・プログラムを使用することにより、2つのポリペプチド分子間の配列情報の直接的な比較によって決定される。あるいは、相同性は、相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、その後の一本鎖特異的ヌクレアーゼによる消化と消化された断片のサイズ決定によって決定される。2つのDNA配列又は2つのポリペプチド配列は、上記の方法を使用して決定される場合に、これらの分子の規定された長さにわたって、それぞれヌクレオチド又はアミノ酸の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%が一致する場合に、互いに「実質的に相同」である。
「哺乳動物」とは哺乳綱の任意の所属動物を意味し、これにはヒトと非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーならびに他の類人猿とサル種)、農場の動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギとウマ)、家畜(例えばイヌとネコ)、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモットのようなげっ歯類を含む)などが含まれるが、これらに限定されない。
「〜に由来する(〜由来の)」とは、核酸分子が親核酸分子から作製又は設計されたかのいずれかであることを意味し、その誘導体は、親核酸分子の同じ機能的特徴を実質的に保持する(例えば、その誘導体が作製又は設計された親核酸分子によってコードされる遺伝子産物と実質的に同じ活性を有する遺伝子産物をコード化する)。
「発現コンストラクト」又は「発現カセット」とは、転写を誘導する核酸分子を意味する。発現コンストラクトは少なくともプロモーターを含む。エンハンサー及び/又は転写終結シグナルのようなさらなるエレメントもまた含まれる。
用語「外因性」は、細胞又は生物中のタンパク質、遺伝子、核酸又はポリヌクレオチドに関して使用する場合、人工又は天然の手段によってその細胞又は生物中に導入されたタンパク質、遺伝子、核酸又はポリヌクレオチドをいい、あるいは細胞に関して使用する場合、人工又は天然の手段によって単離されて他の細胞又は生物に引き続いて導入された細胞をいう。外因性核酸は、異なる生物又は細胞由来であっても、その生物又は細胞内に天然に存在する核酸の1つ又は複数のさらなるコピーであってもよい。外因性細胞は、異なる生物由来でもよく、同じ生物由来でもよい。非限定的な例として、外因性核酸は、天然の細胞の染色体位置とは異なる染色体位置に存在するか、又はさもなければ天然に見出された核酸配列とは異なる核酸配列により隣接される。
用語「単離された」は、核酸、ペプチド又はポリペプチドに関して使用する場合、その天然の供給源において本来関連する少なくとも1つの混入した核酸、ポリペプチド又は他の生物学的成分から同定及び分離される核酸配列、ペプチド又はポリペプチドをいう。単離された核酸、ペプチド又はポリペプチドは、天然に見出される形態又は設定とは異なる形態又は設定で存在する。例えば、所定のDNA配列(例えば遺伝子)は、隣接遺伝子に対して近位で宿主細胞染色体上で見出され、RNA配列(例えば、特定のタンパク質をコード化する特定のmRNA配列)は、多数のタンパク質をコード化する他の多数の他のmRNAとの混合物として細胞中で見出される。単離された核酸分子は、一本鎖形態又は二本鎖形態で存在する。単離された核酸分子がタンパク質を発現するために利用されるべきものである場合、この分子は最小でセンス鎖すなわちコード鎖を含む(すなわち、この分子は一本鎖である)が、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を含んでもよい(すなわち、この分子は二本鎖である)。
用語「組換えDNA分子」とは、本明細書中で使用する場合、分子生物学的技術によって一緒に連結されたDNAのセグメントからなるDNA分子をいう。
用語「組換えタンパク質」又は「組換えポリペプチド」とは、本明細書中で使用する場合、組換えDNA分子から発現されたタンパク質分子をいう。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」は、他のように区別されない限りは本明細書中で相互交換可能に使用される。
「増殖因子」とは、少なくとも細胞増殖を促進するか又は表現型変化を誘導する薬剤をいう。
用語「血管新生増殖因子」とは、単独又は他の薬剤と組み合わせて血管新生を誘導する薬剤を意味し、これには、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子、アンギオゲニン、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、組織壊死因子(TNF、例えばTNF−α)、血小板由来増殖因子(PDGF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、胎盤GF、IL−8、プロリフェリン(proliferin)、アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1とアンジオポエチン−2)、トロンボスポンジン、エフリン−A1、E−セレクチン、レプチン、ヘパリン親和性調節ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
一般概論
本文書は、とりわけ、生体組織の細胞治療と電気的条件付けのための方法と装置を記載する。1実施形態において、細胞治療は、損傷を受けた組織を突き止めて、損傷を受けた組織中に及び/又は損傷を受けた組織に適切な細胞性材料(「ドナー細胞」)を投与する(例えば、挿入又は加える)ことによって、in vivoで組織に適用される。1実施形態において、損傷を受けた組織とドナー細胞を含む範囲は次いで、適切に位置決められた電極を有するパルス発生器を使用して、電気的条件付け(例えば、ペーシング・レベル電気刺激)に供される。いくつかの実施形態が、異なる治療装置と方法の実施形態を与えるために以下に示される。他の装置と方法が、添付の特許請求の範囲とその等価物によって提供されるように可能であることが理解されであろう。
本発明は、細胞ベースの治療のために所望される表現型を有する細胞(本明細書中で以降「ドナー細胞」)を好ましくは生じる、細胞をin vitroで1つ又は複数の刺激を与えること(「in vitro条件付け」)を含む。例えば、in vitro条件付けに供された細胞は、心筋を増強及び/又は置換するため、例えば心筋梗塞を処置するため、ならびに遺伝性(例えば変性)と後天性(例えば、心不全)の心臓障害を処置するために、細胞ベースの治療において使用できる。1実施形態において、レシピエントと適合性でありかつin vitro条件付けに供されたドナー細胞は、レシピエントにおいて心筋を増強及び/又は置換するための細胞ベースの治療において使用される場合、in vitro条件付け及び/又はin vivoペーシングの結果として、細胞の埋め込み、生存、増殖、分化、心機能及び/又は血管新生の増強を生じる。
図1Aは、本発明の1実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を与えるためのフロー・チャートを示す。処置すべき組織の領域が100で同定される。細胞治療が同定された領域に110で施される。電気治療が同定された領域に120で適用される。1つの手法では、細胞(「ドナー細胞」)は電気治療と同時に投与さるが、他の手法では、電気治療は細胞投与の後に続く。別の手法では、電気治療は細胞投与の前に適用される。さらに、複数の細胞治療が、同定された組織領域への電気治療の適用の前に実施されることは理解できるであろう。また例えば、この細胞治療の後に複数の電気治療が実施される。異なる順列の細胞治療と電気治療が種々の実施形態において実施されることは理解できるであろうであろう。例えば、電気的条件付けは、細胞治療の前、細胞治療の間又は細胞治療の後に適用される。1つの手法では、レシピエント中のドナー細胞の細胞埋め込み、細胞増殖、細胞分化、細胞の生存及び/又は細胞機能(例えば、収縮機能)は、この電気治療からの電気刺激によってさらに増強される。
図1Bは、本発明の別の実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を与えるためのフロー・チャートを示す。この実施形態は、細胞治療を投与する前にドナー細胞を調製するさらなるステップを含む。ドナー細胞が、これらの細胞に1つ又は複数の所望の遺伝子産物(導入遺伝子)を導入するために105でin vitroで条件付けされる。好ましくは、トランスジェニック・ドナー細胞は、レシピエント中のドナー細胞の細胞増殖、細胞埋め込み、細胞生存、細胞分化及び/又は細胞機能を増強する導入遺伝子を含む。例えば、ドナー細胞が自家細胞でありかつそのドナーが心臓細胞における内因性遺伝子の異常な発現に関連する遺伝性疾患又は後天性疾患を有する場合、1つ又は複数の導入遺伝子の発現は、ドナー細胞における内因性遺伝子の発現を低下、置換又は補充(増大)するために使用できる。1つ又は複数の導入遺伝子の発現は、ドナー細胞において導入遺伝子によってコードされる遺伝子産物のレベルを補正する。1実施形態において、導入遺伝子の発現は、調節プロモーター又は組織特異的(例えば、心筋細胞特異的)プロモーターによって制御される。この導入遺伝子は、リポソーム、エレクトロポレーション、裸のDNA又はウイルス媒介性形質導入(例えば、アデノウイルス・ベクター、アデノ随伴ウイルス・ベクター、レトロウイルス・ベクター又はレンチウイルス・ベクターを介する)が含まれるがこれらに限定されない任意の手段によって、ドナー細胞に導入される。
1実施形態において、進歩した患者管理デバイスが、適用された細胞治療に関する入力、患者の健康に関する入力、環境条件に関する入力と組み合わせて、適用された電気治療を制御するために使用される。他の入力が企図され、本明細書中で提供される入力は、細胞治療と電気治療が進歩した患者管理システムによって管理される場合にユーザーに与えられる柔軟性とプログラム可能性を実証することを意図する。このようなシステムは、譲受人により種々の出願において議論されており、これには、本明細書によりその全体が参考により援用される米国特許出願第10/093353号(2002年3月6日出願)が含まれるがこれに限定されない。
心臓組織の細胞治療の実施形態
本発明の教示は多数の治療において有用である。1実施形態において、心不全の処置が可能である。このような治療は、虚血性心不全と非虚血性心不全の両方の病因のために使用できる。
図1Cは、本発明の1実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を使用して心臓組織を処置するための特定の治療を示す流れ図である。損傷を受けた組織の心臓組織領域が130で同定され、次いで細胞治療が損傷を受けた組織の1つ又は複数の範囲に140で適用される。ペーシング治療が、同定された心臓組織領域に150で適用される。心筋梗塞又は心臓発作から生じる組織損傷は、これらの装置と方法によって処置可能な組織の1つの型である。
損傷を受けた組織を突き止める異なる方法が使用できる。例えば、心電図のような電気生理学が、損傷を受けた心臓組織を付き止めるために使用できる。他の突き止め方法には以下が含まれるがこれらに限定されない。心臓の一部分の心エコー法とカテーテル・ベースの電圧マッピング、カテーテル・ベースのひずみマッピング、侵襲性又は最小に侵襲性の手術(損傷を受けた組織の可視化)、その他の画像化技術(例えば、MRI、灌流画像化、蛍光顕微鏡、血管造影法)。
損傷を受けた組織が一旦突き止められると、突き止められた領域は、ドナー細胞(例えば、静脈内、経静脈、心筋内又は任意の他の簡便な経路によって投与される細胞、及び針、カテーテル(例えば、注射針又は注入ポートを含むカテーテル)又は他の適切なデバイスによってデリバリされる細胞)を挿入又は適用することによって処置される。いくつかの例示的なデリバリ装置と方法には、表題「Drug Delivery Catheter with Retractable Needle」の米国特許出願第09/746498号(2000年12月21日出願)と表題「Intra−Ventricular Substance Delivery Catheter System」の米国特許出願第10/038788号(2001年12月31日出願)において提供された教示が含まれるがこれらに限定されない。これら両開示は、その全体が参考により援用される。
図1Dは、本発明の別の実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を使用して心臓組織を処置するための特定の治療を示す流れ図である。この実施形態は、細胞治療を適用する前にドナー細胞を調製するさらなるステップを含む。このドナー細胞は、電気的条件付け、機械的条件付け及び/又は生物学的条件付けによって135でin vitroで調製される。
1実施形態において、外因性細胞性材料の注射のためになされたカテーテル先端を有するカテーテルが、細胞治療のために使用される。図2Aは、損傷を受けた心筋組織を有する心筋202の近傍に位置決められたカテーテル先端200の側面図を示す。カテーテル先端200は、心膜内、静脈内、経静脈、経動脈、心筋内又は別の方法によって位置決められる。吸引ポート208は、図2B中にカテーテルの遠位末端で上面図から示される。カテーテル先端200は、チャンネル206を介して吸引ポート208で減圧を生成し、それによってこのカテーテル先端200を心筋202に対して保持するために、このカテーテルの近位末端で適用される減圧によって、処置されるべき領域の近傍に固定される。次いで中空針204が、細胞治療のための位置へと外因性細胞性材料を注射するためにカテーテル先端で組織中に進められる。注射の完了後、この中空針204はカテーテル先端200中に格納され、カテーテル先端200を異なる位置で治療のために再位置決めできるように減圧が除去される。
1実施形態において、この針はチャンネルを通り、かつカテーテルの近位末端でアクチュエータを使用して展開される。減圧と針との間で一般的なチャンネルが使用される実施形態において、減圧チャンネルが密封され、このチャンネルに適用された任意の減圧を維持するために針は近位末端でカテーテルを出る。この実施形態における中空針は、カテーテルの近位末端から遠位末端まで導管を使用する。1実施形態において、流体の注射は、近位末端でルアーフィッティングと針を使用して達成される。針の操作は、カテーテルの近位末端でアクチュエータを使用して達成される。
図2A中に示される実施形態は、減圧の適用と、中空針204を誘導して中空針204が格納された場合にそれを保管するための手段の両方のためにチャンネル206を使用する。吸引ポートと針が別個のチャンネルを使用する他の実施形態が本明細書中で提供される。例えば、図2Dは、チャンネル220を有する吸引ポート218とチャンネル224を有する中空針222を有するカテーテル先端216を示す。この実施形態の例において、チャンネル220とチャンネル224は別個のチャンネルである。本発明の教示の範囲から逸脱することなく他の構成が可能である。
別個のチャンネルを用いる実施形態において、それぞれ減圧用と針用の別個のフィッティングが、真空を加えて流体を注射するために使用される。1実施形態において、標準的なルアーフィッティングが使用され、その針は流体を注射するために使用される。
図2Cは、カテーテル先端210が、湾曲した心筋の一部分に適合する表面を与えるために湾曲の角度を与える実施形態の1実施形態を示す。1実施形態において、湾曲の角度は約30°である。種々の実施形態において、この先端は、処置すべき位置の近傍に吸引ポートを調節可能に位置決めするために、異なる程度のたわみを実施するように調節される。1実施形態において、この調節は、予め曲げられたカテーテル先端部分中に挿入されたスタイレットを使用して実施される。図2Cは、スタイレットが除去されるとこの先端の角度が変化すること、従って調節可能であることを示すために、種々の位置でスタイレットを適応させるスタイレット・チャンネル212を含むことによってこれを実証する。他の調節技術が、本発明の教示の範囲から逸脱することなく使用できる。
図2Eは、遠位末端にカテーテル先端226を有するカテーテルの1実施形態を示す。このカテーテル先端226は、近位末端に接続された1つ又は複数の接触電極228とイオン泳動を実施するための溶出手段を有する薬物貯留部を含む。可能な電極位置の種々の場所が図2Eに示される。このカテーテルは、カテーテル先端226で吸引ポート227において終結する減圧チャンネル229を含む。このカテーテル先端226は、チャンネル229を介して吸引ポート227で真空を生成するために、カテーテルの近位末端に加えられる真空によって薬物がデリバリされる領域の近傍に固定される。1実施形態において、化学物質貯留部が、隣接組織へのイオン泳動移入のためにカテーテル先端226に含められる。1実施形態において、多孔性電極が、カテーテル先端から流体を移入するために使用される。
種々の実施形態において、このカテーテルは、カソード先端の経静脈的位置決めを容易にするために異なるサイズとされている。1実施形態において、このカテーテルは、10フレンチから24フレンチまでの直径とすることが可能である。本発明の教示から逸脱することなく他のサイズが可能である。
外因性細胞の注射のためのカテーテル先端の別の実施形態が図2Fに示される。この実施形態において、カテーテル先端232は、組織234中への注射のための複数の針先を与える針アレイ236を含む。この針アレイは、材料のデリバリのための複数の経路とより低いデリバリ抵抗性を与える。カテーテル先端232はまた、組織234を処置するために領域を可視化してカテーテル先端232を位置決めするために、光ファイバー238を含む。
1実施形態において、針アレイ236は、経静脈デリバリと経動脈デリバリの容易さのために格納式である。1実施形態において、この針アレイ236は、約0.5cmの長さの針先を含む。種々の実施形態において、この針アレイは、先端点の輪郭を与えるために種々の長さの針を含む。種々の実施形態において、この針アレイは、組織中へ約2〜3mmの侵入する。他の実施形態が本発明の教示の範囲から逸脱することなく可能である。
図2Gによって示される1つの適用は、材料の複数の円柱244が、カテーテル先端240によって組織242中に挿入される(カテーテル先端240は、図2G中で格納された形態で示される)。円柱246は、細胞性材料及び/又は薬物などであり、組織242において受動的な分子工場として作用する。
先端刃の数と配置を変えることができることは理解できるであろう。本明細書中に提供される直径と距離は、非排他的な実施形態を与えることが意図され、排他的な意味も限定的な意味も意図しない。
カテーテル・ベースのデリバリ・システムの別の実施形態は、バルーンとデリバリ・カテーテルの使用を含む。図2Hは、血管又は器官への細胞性材料のデリバリのために経静脈的及び経動脈的に挿入可能なカテーテル先端250の1実施形態を示す。カテーテル先端250は、管腔248を閉塞し、材料254がある期間にわたって空間256中に残るように一時的に遮断するためのバルーン252を含む。空間256は細胞性材料で処置され、次いでカテーテル先端250の引き揚げのためにバルーン252が収縮される。
上に提供された実施形態の種々の組み合わせが可能であることは理解できるであろう。例えば、カテーテル先端を配置するために光ファイバーを使用でき、減圧のためや針及び/又は針アレイのための共通のチャンネル及び独立したチャンネルを有するカテーテル先端と組み合わされる。他の組み合わせが、本発明の教示の範囲から逸脱することなしに可能である。
組み合わされた細胞治療と電気治療にも、薬物の投与が付随する。
要素の設計と配置における変法が、本明細書中に提供される教示から逸脱することなしに実行され得、これらの実施形態は、限定的な意味も排他的な意味も意図しない。
in vitro条件付けとそれに続く細胞治療のための細胞供給源
細胞ベースの治療におけるドナー細胞のための供給源には、骨格筋由来の細胞、例えば、骨格筋細胞、骨格筋芽細胞;心臓由来の細胞である筋細胞、例えば、心室筋細胞、心房筋細胞、SA結節筋細胞、AV結節筋細胞、プルキンエ細胞;骨髄由来の細胞、例えば、間葉細胞、間質細胞;平滑筋細胞;線維芽細胞;又は多能細胞か全能細胞、例えば、奇形腫細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血由来の細胞と単離されたCD34細胞)、多能成体前駆細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞)が含まれる。1実施形態において、このドナー細胞は、xenolougous細胞を含む自家細胞である。別の実施形態において、このドナー細胞は非自家細胞を含む。このドナー細胞は、レシピエントへの投与のためのドナー細胞の増殖した集団を与えるために、in vitroで増殖される。さらに、ドナー細胞は、特定の表現型特徴を誘導するため、例えば、増殖又は分化を誘導するため、1つもしくは複数の導入遺伝子又はそれらの組み合わせを導入するために、in vitroで処理される。ドナー細胞の供給源とドナー細胞を培養する方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第5130141号とJainら(Circulation、103、1920(2001))を参照のこと。これらの文献において、脚の骨格筋からの筋芽細胞の単離と増殖が議論されている(Suzukiら、Circulation、104、I−207(2001)、Douzら、Circulation、III−210(2000)及びZimmermanら、Circulation Res.、90、223(2002)もまた参照のこと)。公開された米国出願第20020110910号は、心筋細胞の単離と長期の生存のための培地を議論している。米国特許第5580779号は、ヒトの心房と心室からの心筋細胞の単離とこれらの心筋細胞の増殖の誘導を議論している。米国特許第5103821号は、SA結節細胞の単離と培養を議論している。SA結節細胞について、これらの細胞は、幹細胞又は他の未分化の細胞と同時培養される。米国特許第5543318号は、ヒト心房筋細胞の単離と培養を議論している。米国特許第6090622号と同第6245566号は、胚性幹細胞の調製を議論しており、一方で米国特許第5486359号は、間葉細胞の調製を議論している。
ドナー細胞を単離する例示的な方法
A.ドナー筋芽細胞と筋細胞
i.心臓組織
心筋細胞は、確立された方法の改変によって調製される。特に、初代心筋細胞の単離は、NagとChen、Tissue Cell、13、515(1981)ならびにDlugazら、J.Cell Biol.、99、2268(1984)によって確立されたプロトコルを改変することによって実施される。簡潔には、例えば、器官ドナー由来の心臓が解剖され、培地で洗浄される。消化培地は、10mM HEPES、10mMピルベート、5mM L−グルタミン、1mM ニコチンアミド、0.4mM L−アスコルベート、1mM アデノシン、1mm D−リボース、1mM MgCl2、1mM タウリン、2mM DL−カルニチン、2mM KHCO3を含む改変型Jolicks MEMを含む。心臓を、0.5mg/ml コラゲナーゼ(Worthington)と100mM CaCl2を含む消化培地中で切り刻む。この組織を37℃で15分間にわたって連続的な消化で処理する。第一の消化由来の細胞を廃棄し、次の6回の消化反応をプールする。細胞を1時間予め培養して線維芽細胞を除去し、次いでPC−1(Ventrex)/DME−Hams F12培地中に培養する。
あるいは、心筋を左心室の遊離壁から解剖し、かみそりの刃のアレイを使用して約1mm3の細片へと迅速に切断する。1〜2μM カルシウム(LC)120mM NaCl、5.4mM KCl、5mM MgSO4、5mM ピルベート、20mM グルコース、20mM タウリン、10mM HEPES、5mM ニトリロ三酢酸を含む溶液(pH6.96)25ml中で37℃でシェークしながら、これらの細片を12分間インキュベートする。この培地を、12分間に数回(約3回)交換する。これらの細片を、100% O2でバブリングすることによって攪拌する。300μmのガーゼで濾すことによるLC培地の除去後、これらの細片を、ニトリロ三酢酸を含まないLC中で45分間37℃でインキュベートし、4U/mlのXXIV型プロテアーゼと30μMのカルシウムを添加し、その後に、プロテアーゼを省き400IU/mlのコラゲナーゼを添加した45分間の期間2回が続く。培地を100% O2雰囲気下でシェークする。第二と第三の45分間の期間の終了時に、分散された細胞を含む溶液を、300μmのガーゼを通して濾過し、40×gで1〜2分間遠心分離する。
あるいは、初代心室筋細胞と心臓線維芽細胞は、Iwakiら、J.Biol Chem.、265、13809(1990)によって記載されたPercoll勾配法を使用して調製される。心臓線維芽細胞を、Percoll勾配の上のバンドから単離し、引き続いて、10%ウシ胎仔血清を補充した高グルコース・ダルベッコ改変イーグル培地中に培養する。筋細胞をPercoll勾配の下のバンドから単離し、4:1のダルベッコ改変イーグル培地、199培地、10%ウマ血清と5%ウシ胎仔血清中に引き続いて培養する。
単離後、これらの細胞を、カルシウム(例えば、30μM カルシウム)を含む培地中で洗浄し、培養培地中再懸濁する。このような培養培地は、DMEM、BSA、アスコルビン酸、タウリン、カルニチン、クレアチニン、インスリン、ペニシリンGナトリウム、抗生物質を含む(例えば、0.2g BSA、0.1mM アスコルビン酸、50mM タウリン、16mM カルニチン、50mM クレアチン、0.1μM インスリン、50U/ml ペニシリンGナトリウム、50mg/ml 硫酸ストレプトマイシンの添加を含むDMEM)。培養培地は、塩化カルシウム無水物とD−パントテン酸カルシウムを含まないDMEMもまた含む。
ω3脂肪酸は、KangとLeaf(Circulation、94、1774(1996))によって、カルシウム過負荷とカルシウム・パラドックスに対して保護することが示されている。従って、この培養培地は、ω3脂肪酸(例えば、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、エイコサテトラエン酸(eicosatetraynoic acid)又はポリ不飽和脂肪酸)もまた含む。
マグネシウム(Mg)もまた、カルシウム過負荷に対して保護的であることが公知であり、ヒト心筋の不全において有益であることが示されている(Schwingerら、Am.Heart J.、126、1018(1993)、Schwingerら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、263、1352(1992))。従って、この培養培地は、例えば0.1mMから16mMまでの種々の濃度のMg2+を含む。
1実施形態において、心筋細胞は、被験体(例えば脊椎動物被験体)由来の組織サンプルから得られ、引き続いて漸減量のCaCl2を含む第一の溶液に曝露される。この第一の溶液は、約7.4のpHで、NaCl、HEPES、MgCl2、KCl、糖をさらに含む(例えば、約7.4のpHで、140mM NaCl、10mM HEPES、1mM MgCl2、5.4mM KCl、10mM 糖をさらに含む)。この組織を、酵素溶液で解離させ、漸増量のCaCl2を含む第二の溶液中に反復して再懸濁する。この第二の溶液は、Earle’s改変塩、L−グルタミン、重炭酸ナトリウム、パントテン酸ナトリウム、クレアチン、タウリン、アスコルビン酸、HEPES、ウシ胎仔血清、抗生物質、脂肪酸を約7.4のpHでさらに含む(例えば、1250mg/lの重炭酸ナトリウム、328mg/500mlのクレアチン、312mg/500mlのタウリン、8.8mgのアスコルビン酸、2.383g/500mlのHEPES、10% v/vのウシ胎仔血清、5% v/vの抗生物質、1μMの脂肪酸を約7.4のpHでさらに含む)。
なお別の実施形態において、この第二の溶液は、単離された細胞(例えば、心筋細胞)を培養するために使用され、これは、この第二の溶液中で約24時間毎に単離された細胞を再懸濁するステップを含む。なお別の実施形態において、この第二の溶液は、細胞(例えば、心筋細胞)のための維持培地又は培養培地として使用できる。
別の実施形態において、心筋細胞は、組織をより小さい細片に切断して第一の溶液中でその組織をインキュベートすることによって、被験体(例えば脊椎動物被験体)由来の組織サンプルから得られる。この第一の溶液は、カルシウム、塩、硫酸マグネシウム、ピルベート、グルコース、タウリン、HEPES、ニトリロ三酢酸(例えば、1〜2μM CaCl2、120mM NaCl、5.4mM KCl、5mM MgSO4、5mM ピルベート、20mM グルコース、20mM タウリン、10mM HEPES、5mM ニトリロ三酢酸)を、約6.96のpHで含む。この第一の溶液への酵素(例えばコラゲナーゼ)の添加後、この組織をこの溶液中でさらにインキュベートし、その後遠心分離に供して単離された細胞を得る。37℃で12分間この組織をシェークし、この溶液中に100% CO2をバブリングした後、この組織を、1〜2μM CaCl2、30μM NaCl、5.4mM KCl、5mM MgSO4、5mM ピルベート、20mM グルコース、20mM タウリン、10mM HEPES、4U/mlの消化酵素を含む第二の溶液中でインキュベートし、約1〜2μM、30μM NaCl、5.4mM KCl、5mM MgSO4、5mM ピルベート、20mM グルコース、20mM タウリン、10mM HEPES、4U/mlの消化酵素を含む第三の溶液中で引き続いてインキュベートする。好ましくは、400U/mlの消化酵素(例えば、XXIV型プロテアーゼ(例えば、マトリックス・メタロプロテイナーゼ2又は4)とコラゲナーゼ(例えば、マトリックス・メタロプロテイナーゼ1、3又は9))をこの第三の溶液に添加し、この組織を遠心分離に供して単離された細胞を得る。
単離された心筋細胞の収率と長期生存率を増強するための他の溶液には、公開された米国出願第20020110910号中の溶液が含まれる。
ii.新生児骨格組織
新生児組織から細胞を収集するために、筋肉組織を肢から収集して、8mlのカルシウムを含まないPBSと共に培養皿(直径65mm)中に配置する。筋肉を滅菌条件下で取り出す。全ての収集した組織を、12mlの組織解離溶液(TDS)(5重量%のディスパーゼと0.5重量%のコラゲナーゼIVを含むDMEM)を含む50mlのコニカル・チューブに移して、組織を解離するために約1時間攪拌する。次いでこのチューブを1200×gで約15分間遠心分離する。上清の除去後、細胞を、20mgのIV型コラゲナーゼを含む20mlのHam’s F12中に再懸濁し、37℃で1時間インキュベートして組織を解離させる。このチューブを再度1200gで15分間遠心分離し、その後上清を除去し、細胞を増殖培地(GM)(400ml F12、100ml FBS、100U/ml ペニシリンG)中に再懸濁する。この細胞懸濁物内には、筋原性前駆細胞に加えて線維芽細胞がおそらく存在する。
iii.成体又は加齢した骨格組織
骨格筋は、成体組織からも収集し、ストリップに切断することができる。新生児組織とは異なり、成体又は加齢した動物由来の筋肉組織は、完全な組織解離の前に最初に予めインキュベートされると、より多くのサテライト細胞を生じる。サテライト細胞の活性化の増大は、プレインキュベーション培地(PI)中のNaN3(0.9%の生理食塩水中の90mlのDMと、10mlの0.05% NaN3、ここでDMは、465ml DMEM、35ml ウマ血清、100U/ml ペニシリンGである)の使用から生じる。
筋肉組織を予めインキュベートするために、これらのストリップを、SYLGARD(商標)で被覆した培養皿(直径35mm)中にピンで留め、2.5mlのPIで覆い、約40分間にわたる紫外線光への曝露によって滅菌する。次いでこれらの皿を、5% CO2を含む水飽和雰囲気中で37℃で24時間〜72時間維持し、ここで最適なプレインキュベーション時間は、異なる筋肉について変動する。
プレインキュベーション後、各筋肉ストリップを15mlのTDS溶液を含む50mlのコニカル・チューブ中に配置し、完全な解離が観察されるまで約3時間にわたって37℃でシェーカー・バス中でインキュベートする。完全な組織解離の直後に、これらのチューブを1200gで15分間遠心分離する。引き続いて上清を吸引し、細胞を5ml GMで再構成する。新生児組織由来の細胞を用いる場合、線維芽細胞は細胞上清中に含まれる。
あるいは、筋原性細胞は、連続的な酵素処理により骨格筋断片から放出される。600U/mlのコラゲナーゼ(Sigma、St.Louis、Mo.、USA)での1時間の消化の後、0.1% w/v トリプシン(Gibco Lab、Grand Island、N.Y.、USA)を含むHank’s平衡塩溶液(HBSS)中での30分間のインキュベーションを行う。サテライト細胞を、増殖培地(例えば、15% ウシ胎仔血清(Gibco)、1% ペニシリン(10,000U/ml)、1% ストレプトマイシン(10,000U/ml)を含む199培地(Gibco Lab.))中で75cm2の培養フラスコ(Coster、Cambridge、Mass.、USA)中に配置する。
特にヒト筋芽細胞について、これらの細胞をドナー・ヒト筋肉から増殖させ、継代した細胞を、7.5% v/vから20% v/vまでのFCSを含むHam F12培地中に、96ウェルのクラスター・プレート中に1ウェル当たり2〜3,000細胞で播く。この培地は、種々の濃度のLIFを含む。細胞数を12日まで時々計数する。例えば30U/mlのLIFによる筋芽細胞の増殖の顕著な刺激が存在する。FGFとHBGFもまた、サテライト細胞の増殖を刺激する(DiMarioら、Differentiation、39、42(1988))。TGF−αもまた、10ng/mlまでの範囲の濃度でヒト細胞を刺激する。
1実施形態において、骨格筋細胞を増殖させるために、骨格筋細胞を、例えば、5ng/ml〜10ng/mlの単離されたPDGF、TGF−β及び/又はFGFと共にインキュベートする。
B.非筋肉ドナー細胞
非筋肉ドナー細胞を単離及び/又は培養するための方法と、これらの細胞に筋肉細胞特異的な表現型(例えば、分化)を誘導するための方法が当該分野で公知である。例えば、間葉幹細胞は、接着性の骨髄細胞又は骨膜細胞を培養することによって得ることができる。心臓細胞特異的な表現型を誘導するために、MSC細胞は、任意選択でフジゲン(fusigen)、哺乳動物心臓の抽出物、1つ又は複数の増殖因子、1つ又は複数の分化因子の存在下で胎児、新生児又は成体の心臓細胞と同時培養され、あるいは機械刺激又は電気的刺激に供される。
骨髄は、心筋細胞に分化する能力を有するドナー細胞の供給源である。骨髄細胞を得るために、骨髄穿刺を、胸骨穿刺又は腸骨穿刺によって実施する。穿刺のための部分の皮膚の消毒後、ドナーを局所麻酔する。特に骨膜下を完全に麻酔する。骨髄穿刺針の内側チューブを引き抜き、5000Uのヘパリンを含む10mlの注射器を針に取り付ける。通常10〜20mlの骨髄液を吸引によって迅速に採取し、穿刺針を除去し、その後約10分間にわたって圧迫止血する。得られた骨髄液を1000×gで遠心分離して骨髄細胞を回収し、これを次いでPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で洗浄する。この遠心分離ステップを2回反復した後、得られた骨髄細胞を細胞培養培地(例えば、各々10% FBS(ウシ胎仔血清)を含むA−MEM(MEMのa−改変)、DMEM(ダルベッコ改変MEM)又はIMDM(Isocove’s改変ダルベッコ培地))に懸濁して、骨髄細胞懸濁物を調製する。
心筋細胞へと分化する能力を有する骨髄細胞の、得られた骨髄細胞懸濁物からの単離のために、この細胞懸濁物中に存在する他の細胞(例えば、血球、造血幹細胞、血管幹細胞、線維芽細胞)を除去する際に有効である限り任意の方法が使用できる。例えば、Pittengerら、Science、284、143(1999)に記載される方法に基づいて、所望の細胞が、1.073g/mlの密度を有するPercoll上に層状化した細胞懸濁物を30分間にわたる1100×gで遠心分離することによって単離でき、界面上の細胞が回収される。さらに、心筋細胞に分化する能力を有する細胞を含む骨髄細胞混合物は、10XPBSで9/10に希釈された等量のPercoll溶液と上記細胞懸濁物を混合し、その後20000×gで30分間遠心分離し、1.075〜1.060の密度を有する分画を回収することによって得ることができる。骨髄細胞混合物を、96ウェルの培養プレートを使用して単一の細胞にまで希釈して、それぞれが単一の細胞に由来する多数のクローンを調製する。心筋細胞に分化する能力を有するクローンは、処理によって発生した自発的に拍動する細胞の観察によって選択できる。
臍帯血はドナー細胞の別の供給源である。ドナー細胞を調製するために、臍帯血を臍帯から分離し、その後ヘパリンを添加して500U/mlの最終濃度にする。完全に混合した後、細胞を遠心分離によって臍帯血から分離し、細胞培養培地(例えば、各々が10% FBSを含むα−MEM、DMEM又はIMDM)中に再懸濁する。こうして得られた細胞懸濁物から、心筋細胞に分化する能力を有する細胞が、例えば抗体を使用して分離できる。
線維芽細胞もまた、本発明のドナー細胞の供給源である。
in vitro条件付け
種々の外因性刺激(「条件付け」)が、本発明の方法において使用できる。例えば、ドナー細胞は、これらの細胞を機械的条件付け、電気的条件付けもしくは生物学的条件付け、又はこれらを任意の組み合わせることによってin vitroで処理される。この条件付けは、外因性刺激への連続的な曝露又は断続的な曝露を含む。好ましい外因性薬剤には、移植後のドナー細胞の生存、埋め込み、分化、増殖及び/又は機能を増強する薬剤が含まれる。このようなin vitro条件付けのための細胞処理デバイスの1実施形態が本文書中に後に記載される。
A.機械的条件付け
機械的条件付けには、心臓体積と血圧における周期的な変化に起因して心筋中の心筋細胞に加えられる機械的力をシミュレートする機械的応力にドナー細胞をさらすことが含まれる。1実施形態において、周期的な機械的応力がドナー細胞に加えられる。1実施形態において、ドナー細胞に加えられる周期的な機械適応力は、in vivoでの心筋細胞の周期的な変形(収縮)と類似した、これらの細胞の周期的な変形を生じる。この機械適応力には、1つ又は複数のドナー細胞、好ましくはドナー細胞の集団を、1次元かつ1方向、あるいは1次元かつ2つ以上の反対方向で機械的力にさらすこと、例えば、ドナー細胞を所定の持続時間にわたって所定の周波数で伸長させ弛緩させることが含まれる。機械的条件付けは、活動電位による興奮の際に収縮するドナー細胞を生じる。
機械的条件付けは好ましくは、遺伝子発現、タンパク質合成及び/又はドナー細胞中の1つもしくは複数の細胞性キナーゼの活性を変更し、1実施形態において、ドナー細胞の増殖及び/又は分化を生じる。1実施形態において、ドナー細胞の機械的条件付けは、ドナー細胞における変更された発現プロフィール(例えば、BMP、VEGF、アンジオテンシンIIなどをコード化する遺伝子についての変更された発現プロフィール)を生じる。1実施形態において、ドナー細胞の機械的条件付けは、アクチン・フィラメントとミオシン・フィラメント(これらは、筋肉の収縮の間に互いに相互作用するタンパク質構造である)を含む収縮性エレメントの数及び/又は活性の増大を生じる。従って、機械的条件付けに供されたドナー細胞は、筋肉細胞の特徴である収縮性を生じる。
1実施形態において、この機械的条件付けには、ドナー細胞を機械的力にさらして、これらのドナー細胞がその長さの約5%〜20%分少なくとも1方向で、0.25Hz〜2Hzの周波数で物理的に引き伸ばされるようにすることが含まれる。言い換えれば、少なくとも1つのドナー細胞が、1秒当たり0.25回〜2回で、5%〜20%だけその長さを増大させられる。これは、心筋細胞がin vivoの生理学的条件下で従う機械的張力をシミュレートする。1実施形態において、ドナー細胞は、培養培地の存在下で、制御可能に変形可能な培養基材上に培養される。この基材は、心筋の機械的変移をシミュレートするために周期的に変形される。1つの特定の実施形態において、この基材には、医療用等級のシリコン製の伸長性のストリップが含まれる。ドナー細胞がこの伸長性のストリップ上に培養される。伸長性のストリップが伸長され、また弛緩され、その結果ストリップ上のドナー細胞は、in vivoで心筋細胞をシミュレートする様式で伸長性のストリップと共にその長さを変化させる。培養物中の細胞に機械適応力を加えるためのこのような装置の1例は、Terracioら、In Vitro Cellular & Developmental Biology、24(1)、53−58、1988中に与えられる。この文献中で、シリコン・ストリップは、変速モータを用いて生成された較正された機械的張力にさらされる。
1実施形態において、この機械的条件付けは、所定期間の時間にわたって連続的に加えられる。1つの特定の実施形態において、この所定の期間は1日間〜14日間の範囲である。別の実施形態において、この機械的条件付けは、1つ又は複数の休止(非刺激)期間によって中断された所定期間の時間にわたって断続的に加えられる。1つの特定の実施形態において、この機械的条件付けは、1日間〜14日間の範囲の所定の期間にわたって5%〜75%の範囲の使用率で行われる。
B.電気的条件付け
電気的条件付けには、心臓の収縮を生じる心筋中の電気的条件をシミュレートする電気的条件にドナー細胞をさらすことが含まれる。心臓において、収縮は心房と心室の筋繊維の収縮から主に生じる。心房と心室の筋繊維の収縮は、骨格筋の収縮よりもゆっくりであり、かつ持続時間はより長い。しかし、心筋と骨格筋は、多数の共通の解剖学的特徴を共有する。骨格筋と同じ様式で、心筋は、横行する暗帯と明帯を有する細長い線維からなる。暗帯は細胞間の境界に対応する。各線維は、互いに連続して接続された個々の細胞からなる。心筋は、骨格筋とほぼ同一のアクチン・フィラメントとミオシン・フィラメントからなる長手方向に平行な収縮性エレメントである筋原線維を含む。アクチン・フィラメントとミオシン・フィラメントは互いにかみ合い、収縮の間に互いに沿ってスライドする。収縮は、筋線維に沿って伝播するか又は筋線維にわたって広がる活動電位によって引き起こされる。活動電位の伝播は、膜電位と称される筋肉細胞膜を横切る電位の変化から生じる。膜電位の変化は次に、細胞膜中にタンパク質分子によって形成されるイオン・チャンネルを介した筋肉細胞膜を横切るナトリウム・イオン、カリウム・イオン及び/又はカルシウム・イオンの流れによって引き起こされる。いくつかのタイプの筋肉は、1つの筋肉細胞から別の筋肉細胞へとイオンが流れるギャップ結合と称されるタンパク質構造体を含む。ギャップ結合はイオンの流れを可能にし、従って、1つの細胞から別の細胞への直接的な活動電位の伝播を可能にする。心筋は、少なくとも2つの独自の解剖学的特徴、高密度のカルシウム−ナトリウム・チャンネルと高密度のギャップ結合、を有する。これらの特徴は、骨格筋や他のタイプの筋肉から心筋を区別する。
活動電位は、速いナトリウム・チャンネルの突然の開口を主に介して骨格筋において伝播する。その開口は筋肉細胞にナトリウム・イオンが入るのを可能にする。速いナトリウム・チャンネルの各開口は、1000分の数十秒のみ持続する。対称的に、心筋は、速いナトリウム・チャンネルと、筋肉細胞にカルシウムとナトリウムの両方が入るのを可能にする遅いカリウム−ナトリウム・チャンネルの両方を含む。遅いカルシウム−ナトリウム・チャンネルの各開口は、10分の数秒間にわたって持続する。これにより、心筋を特徴付ける長い持続時間の収縮が生じる。
心臓の筋繊維中のギャップ結合は、繊維の軸に沿った細胞膜を横切るイオンの比較的自由な流れを可能にする。従って、活動電位は、ほとんど抵抗なく1つの細胞から別の細胞へと移動する。心筋は、線維が分岐し、合流し、再度分岐する格子に整列した筋繊維を有するシンシチウム(融合した細胞の塊)である。シンシチウム中の1つの細胞が興奮すると、活動電位は細胞から細胞へと伝播し、格子の相互接続中に広がる。心臓は、2つのシンシチウム(心房シンシチウムと心室シンシチウム)を含む。正常な心臓において、活動電位は、伝導系であるA−V束を介して心房シンシチウムから心室シンシチウムへと伝導され、心房シンシチウムは心室シンシチウムの前に収縮する。
1実施形態において、電気的条件付けには、培養物中のドナー細胞に心臓ペーシング・パルスのような電気刺激を提供してドナー細胞を収縮させることが含まれる。別の実施形態において、この電気的条件付けには、培養物中のドナー細胞に静電場を与えることが含まれる。電気的条件付けは、増殖して心筋細胞へと分化するドナー細胞を生じ得、好ましくは心筋細胞として機能する細胞を生じる。
1実施形態において、ドナー細胞の電気的条件付けは、心筋細胞の1つ又は複数の特徴(高密度のカルシウム−ナトリウム・チャンネルと高密度のギャップ結合を含む)を有する細胞を生じる。このような電気的条件付けは、in vitro及び/又はin vivoで生じる。さらに、一旦ドナー細胞が心筋中に移植されると、ドナー細胞は心筋中の収縮のパターンに従い、ドナー細胞が心筋細胞でない場合には心筋細胞へと分化する。1実施形態において、これらのドナー細胞は、心筋中への移植の前に電気的に条件付けされる。1実施形態において、この電気的条件付けには、in vivoでの心筋細胞の生理学的収縮をシミュレートする人工的に誘導された収縮パターンにドナー細胞を従わせることが含まれる。この収縮パターンは、心臓ペーシングのような電気刺激によって誘導される。さらなる実施形態において、これらのドナー細胞はまた、心筋中の環境をシミュレートする電場刺激にさらされる。ドナー細胞の電気的条件付け(心臓ペーシング及び/又は電場刺激を含む)は、ドナー細胞の発現プロフィールの変更(カルシウム−ナトリウム・チャンネルの発現の増大及び/又はギャップ結合の発現及び/又は形成の増大を含む)を生じる。例えば、電気的条件付けによって、アンギオテンシンII又はVEGFの発現が増大し、これが次にギャップ結合の形成を増大させる。
1実施形態において、ペーシング・パルスは、ペースメーカー又はペーシング・パルスを発生させる任意のパルス発生器によって生成される。これらのドナー細胞は、心筋の細胞外流体をシミュレートする流体を含む培養培地中に配置される。これらのペーシング・パルスは、培養物中に配置された2つの電極を介してドナー細胞に伝達される。心臓ペーシング・パルスの伝達を制御するパラメータには、心筋内の電気的活動をシミュレートするために生理学的範囲から各々が選択されるぺーシング・レート、ペーシング電位、ペーシング・パルス幅が含まれる。1つの特定の実施形態において、このぺーシング・レートは、1分当たり15拍〜120拍の範囲内であり、ペーシング電位は0.1ボルト〜10ボルトの範囲内であり、ペーシング・パルス幅は0.1ミリ秒〜10ミリ秒の範囲内である。1実施形態において、心臓ペーシングは、所定の期間の時間にわたってドナー細胞に連続的に加えられる。1つの特定の実施形態において、この所定の期間の時間は、1日間〜14日間の範囲内である。別の実施形態において、心臓ペーシングは、1つ又は複数の休止(非ペーシング)期間によって中断された所定の期間にわたってドナー細胞に断続的に加えられる。1つの特定の実施形態において、心臓ペーシングは、1日間〜14日間の範囲内の所定の期間にわたって、5%〜75%の範囲内の使用率でドナー細胞に加えられる。
1実施形態において、ドナー細胞培養物に静電場を加える。1つの特定の実施形態において、この場の強度は、1メートル当たり1ボルト〜100ボルトの範囲内である。1実施形態において、この電場は、所定の期間にわたって連続的に加えられる。1つの特定の実施形態において、この所定の期間は、1日間〜14日間の範囲内である。別の実施形態において、この電場は、1つ又は複数の休止(非刺激)期間によって中断された所定の期間にわたって加えられる。1つの特定の実施形態において、この電場は、1日間〜14日間の範囲内の所定の期間にわたって、5%〜75%の使用率で加えられる。
C.生物学的条件付け
生物学的条件付けには、外因性薬剤(例えば、分化因子、増殖因子、血管新生タンパク質、生存因子、サイトカイン)にドナー細胞をさらすことや、遺伝子産物(血管新生タンパク質、増殖因子、分化因子、生存因子、サイトカイン、心臓細胞特異的構造遺伝子産物、心臓細胞特異的転写因子又は膜タンパク質を含むがこれらに限定されない遺伝子産物をコード化する、又はアンチセンス配列(例えば、リボザイム)あるいはこれらの任意の組み合わせを含む発現カセット(導入遺伝子)にドナー細胞をさらすことが含まれる。この発現カセットは、少なくとも1つの制御エレメント(例えば、プロモーター、任意選択で調節可能なプロモーター(例えば、誘導性プロモーター又は抑制可能なプロモーター)、エンハンサー又は転写終結配列)を任意選択で含む。好ましくは、プロモーター及び/又はエンハンサーは、細胞特異的又は組織特異的なもの、例えば心臓細胞特異的なものである。例えば、このエンハンサーは、筋肉クレアチン・キナーゼ(mck)エンハンサーであり、このプロモーターはα−ミオシン重鎖(MyHC)プロモーター又はβ−MyHCプロモーターである(Palermoら、Circ.Res.、78、504(1996)を参照のこと)。
i.導入遺伝子
1実施形態において、この導入遺伝子は、以下が含まれるがこれらに限定されない遺伝子産物をコード化する:血管新生タンパク質、例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)(例えば、酸性FGF、塩基性FGF、FGF−5)、血管内皮増殖因子(VEGF)(例えば、VEGF145、VEGFl21、VEGF120、VEGF164、VEGF165、VEGF189、VEGF206)、IGF−1、TGF−β(例えば、TGF−β1)、単独又は他のサイトカインと組み合わせた白血病阻害因子(LIF)、筋原性因子(例えばmyoD)、RyRZ(心臓リアノジン・レセプター)、Del I、ミオゲニン、パルブアルブミン、Myf5とMRF、転写因子(GATA−4のようなGATAとdHAND/eHAND)、サイトカイン、例えば、カルジオトロフィン−1、カルセケストリン、ニューレグリン(例えば、ニューレグリン1、2又は3)とホメオボックス遺伝子産物(例えば、Csx、ティンマン(tinman)とNKxファミリー(例えば、NKx 2.5))、トランスフェリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、アドレノコルチコトロピン、マクロファージ・コロニー刺激因子、プロテイン・キナーゼCアクチベータ、内皮増殖因子、β2アドレナリン・レセプター(1又は2)、変異体Gタンパク質レセプター・キナーゼ(GRK)、アデニリル・シクラーゼ(AC)(例えば、心臓AC(例えば、ヒトII型、V型又はVI型アデニル・シクラーゼ(米国特許第6436672号)))、V2バソプレシン・レセプター、筋小胞体Ca2 ATPase(SERCA2a)、ホスホランバン(phospholambam)、β−アドレナリン・レセプター・キナーゼ、N−カドヘリン、コネクチン−40、コネクチン−42、コネクチン−43、収縮性タンパク質(例えば、ミオシン重鎖(MyHC)、ミオシン軽鎖(MyLC)、ミオシン結合タンパク質C、アクチン、トロポミオシン、トロポニン(例えば、トロポニンT)、Mタンパク質、トロポモジュリン、筋原繊維タンパク質)、応力関連タンパク質(例えば、HSP70i、HSP27、HSP40又はHSP60のような熱ショックタンパク質(HSP))、α−1アンチトリプシン、HF1−a、HF−1b、MEF2、肝細胞増殖因子(HGF)、BMP−2、BMP−4、BMP−17、BMP−18、Pax7、オキシトシン、オキシトシン・レセプター、筋細胞核因子、Frzb(例えば、公開された米国出願第20020147329号を参照のこと)、Rb−相互作用ジンク・フィンガー・タンパク質(米国特許第6468985号)、eNOS、iNOS、セリン/スレオニン・プロテイン・ホスファターゼ、心肥大因子、CT−1、αサルコグリカン、βサルコグリカン、γサルコグリカン又はδサルコグリカン、低酸素誘導性因子1α、bcl−2、FasL、サイトカインgp130レセプター、gpl30、Akt、アデノシンA3レセプター、アンギオゲニン(例えば、アンギオゲニン−1又はアンギオゲニン−2)、TNFα、ジストロフィン、タファジン(tafazzin)、デスミン、ラミン、トロポニンC、カスパーゼ・阻害剤、ERK型のMAPキナーゼ(p42とp44、抗アポトーシス)、IL−1B、血清放出因子とILGF(IとII)、NGF、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)又はアンギオテンシン(例えば、アンギオテンシンII)。
別の実施形態において、例えば遺伝性又は後天性の障害(例えば、特定の内因性遺伝子の過剰発現により特徴付けられる障害)を有する哺乳動物由来の細胞について、この導入遺伝子は、その内因性遺伝子の少なくとも一部分の逆相補体に実質的に対応し、宿主細胞において発現されるとその内因性遺伝子の発現の減少を生じるアンチセンス配列又はリボザイム配列を含む。あるいは、この導入遺伝子は、内因性遺伝子との相同組換え後にその内因性遺伝子の発現の減少を生じる配列を含む。例えば、以下の遺伝子産物の発現の減少を生じるアンチセンス・ベクターの使用は、自家細胞治療において有益である。この遺伝子産物には、以下が含まれるがこれらに限定されない:アポトーシスを誘導するもの(例えば、Fas、BaxlとApoI)、又はNa/Ca交換体、又はMAP(mitogen−activated protein)キナーゼ、Janusキナーゼ(JAK)/シグナル伝達因子もしくは転写アクチベータ、カルシウム/カルモジュリン依存的プロテイン・ホスファターゼ、カルシニューリン、カルニチン・パルモイル・トランスフェラーゼI、マトリックス・メタロプロテイナーゼ、eNOS、iNOS、セリン/スレオニン・プロテイン・ホスファターゼ、又は応力応答MAPキナーゼ(例えば、Junkとp38−MAPK)。
本発明の目的について、制御エレメント(例えば、筋肉特異的プロモーターと誘導性プロモーター、エンハンサーなど)が特に使用される。このような制御エレメントには、以下が含まれるがこれらに限定されない:アクチン遺伝子ファミリーとミオシン遺伝子ファミリー由来のもの(例えば、MyoD遺伝子ファミリー(Weintraubら、Science、251、761(1991))由来のもの);筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF−2(CserjesiとOlson、Mol.Cell Biol.、11、4854(1991));ヒト骨格アクチン遺伝子と心臓アクチン遺伝子由来の制御エレメント(Muscatら、Mol.Cell Bio.、7、4089(1987));筋肉クレアチン・キナーゼ配列エレメント(Johnsonら、Mol.Cell Biol.、9、3393(1989))とマウス・クレアチン・キナーゼ・エンハンサー(mCK)エレメント;骨格速筋トロポニンC遺伝子、遅筋心臓トロポニンC遺伝子、遅筋トロポニンI遺伝子由来の制御エレメント、低酸素誘導性核因子(Semenzaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、5680(1991)、Semenzaら、J.Biol.Chem.、269、23757);ステロイド誘導性エレメントとプロモーター(例えば、グルココルチコイド応答エレメント(GRE)(MaderとWhite、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、5603(1993)));RU486誘導のための融合コンセンサス・エレメント;さらにテトラサイクリンにより調節される遺伝子発現を与えるエレメント(Dhawanら、Somat.Cell.Mol.Genet.、21、233(1995);Shockettら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92、6522(1995))。
心臓細胞限定的なプロモーターには、以下の遺伝子由来のプロモーターが含まれるがこれらに限定されない:α−ミオシン重鎖遺伝子(例えば、心室α−ミオシン重鎖遺伝子)、β−ミオシン重鎖遺伝子(例えば、心室β−ミオシン重鎖遺伝子)、ミオシン軽鎖2v遺伝子(例えば、心室ミオシン軽鎖2遺伝子)、ミオシン軽鎖2a遺伝子(例えば、心室ミオシン軽鎖2遺伝子)、心筋細胞限定的な心臓アンキリン・リピートタンパク質(CARP)遺伝子、心臓α−アクチン遺伝子、心臓m2ムスカリン性アセチルコリン遺伝子、ANP遺伝子、BNP遺伝子、心臓トロポニンC遺伝子、心臓トロポニンI遺伝子、心臓トロポニンT遺伝子、心臓筋小胞体Ca−ATPase遺伝子、骨格α−アクチン遺伝子、ならびに人工の心臓細胞特異的プロモーター。
さらに、房又は室(chamber)特異的プロモーターもまた使用できる。例えば、心房特異的発現について、ウズラ遅ミオシン鎖タイプ3(MyHC3)又はANPプロモーターが使用できる。心室特異的発現について、イロコイ(iroquois)・ホメオボックス遺伝子が使用できる。それにもかかわらず、心臓細胞又は筋肉細胞に特異的でない他のプロモーター及び/又はエンハンサー(例えば、RSVプロモーター)が、本発明の発現カセットと方法において使用できる。
プロモーター及び/又はエンハンサーの他の供給源は、Csx/NKX 2.5遺伝子、タイチン(titin)遺伝子、α−アクチニン遺伝子、ミオメシン(myomesin)遺伝子、Mタンパク質遺伝子、心臓トロポニンT遺伝子、RyR2遺伝子、Cx40遺伝子、Cx43遺伝子、さらにMef2、dHAND、GATA、CarG、E−box、Csx/NKX 2.5又はTGF−βを結合する遺伝子由来のプロモーターとエンハンサー又はこれらの組み合わせである。
好ましくは、トランスジェニック・ドナー細胞は、ドナー細胞の増殖、埋め込み、生存、分化及び/又は機能を増強する導入遺伝子、及び/又はドナー細胞中の内因性遺伝子の発現を減少、置換又は補充(増大)する導入遺伝子を含む。1実施形態において、この導入遺伝子の発現は、調節可能なプロモーター又は組織特異的なプロモーター(例えば、心筋細胞特異的なプロモーター)によって制御される。任意選択で、各々が異なる導入遺伝子を有するベクターの組み合わせが使用できる。
外因性導入遺伝子のデリバリは、任意の手段(例えば、裸のDNA(例えば、導入遺伝子を含むベクター)、リポソーム、カルシウム媒介性形質転換、エレクトロポレーション又は形質導入(例えば、組換えウイルスを使用する)を用いたトランスフェクション)によって達成される。多数のトランスフェクション技術が当該分野で一般に公知である。例えば、Grahamら、Virology、52、456(1973)、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories、New York(1989)、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier(1986)及びChuら、Gene、13、197(1981)を参照のこと。特に適切なトランスフェクション方法には、リン酸カルシウム共沈殿(Grahamら、Virol.、52、456(1973))、培養細胞への直接的マイクロインジェクション(Capecchi、Cell、22、479(1980))、エレクトロポレーション(Shigekawaら、BioTechniques、6、742(1988))、リポソーム媒介性遺伝子転移(Manninoら、BioTechniques、6、682(1988))、脂質媒介性形質導入(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、7413(1987))及び高速マイクロプロジェクタイルを使用した核酸デリバリ(Kleinら、Nature、327、70(1987))が含まれる。細胞に外因性導入遺伝子をデリバリするために好ましい組換えウイルスには、組換えのレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、サイトメガロウイルスを含むヘルペスウイルスが含まれる。
1実施形態において、組換えAAV(rAAV)がドナー細胞に導入遺伝子をデリバリするために使用される。筋芽細胞は、活性に分裂しながら形質導入されるか、又は分化した細胞培養物として形質導入されるかのいずれかである。分化は、2% ウマ血清と標準濃度のグルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを含むDMEM中に、形質導入の前に4日間集密化未満の筋芽細胞を入れることによって誘導される。分化の確認は、培養物中の多核化した筋管の存在を決定するための顕微鏡分析による。筋管(分化した細胞)又は筋芽細胞(分裂中の細胞)は、培養物中で形質導入される。
ii.他の外因性の生物学的薬剤
別の実施形態において、外因性の生物学的薬剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない:血管新生タンパク質、例えば、酸性FGF、塩基性FGFとFGF−5のようなFGF、VEGF(例えば、VEGF145、VEGF121、VEGF120、VEGF164、VEGF165、VEGF189、VEGF206)、IGF−1、TGF−β(例えば、TGF−β1)、単独又は他のサイトカインと組み合わせたLIF、筋原性因子(例えばmyoD)、RyRZ(心臓リアノジン・レセプター)、Del I、ミオゲニン、パルブアルブミン、Myf5とMRF、GATA−4のようなGATAとdHAND/eHAND、サイトカイン、例えば、カルジオトロフィン−1、カルセケストリン、ニューレグリン(例えば、ニューレグリン1、2又は3)とホメオボックス遺伝子産物(例えば、Csx、ティンマンとNKxファミリー(例えば、NKx2.5))、トランスフェリン、PDGF、EGF、アドレノコルチコトロピン、マクロファージ・コロニー刺激因子、プロテイン・キナーゼCアクチベータ、内皮増殖因子、β2アドレナリン・レセプター(1又は2)、変異体Gタンパク質レセプター・キナーゼ(GRK)、AC(例えば、心臓AC(例えば、ヒトII型、V型又はVI型アデニル・シクラーゼ(米国特許第6436672号)))、V2バソプレシン・レセプター、SERCA2a、ホスホランバン、β−アドレナリン・レセプター・キナーゼ、N−カドヘリン、コネクチン−40、コネクチン−42、コネクチン−43、MyHC、MyLC、ミオシン結合タンパク質C、アクチン、トロポミオシン、トロポニン(例えば、トロポニンT)、Mタンパク質、トロポモジュリン、筋原繊維タンパク質)、応力関連タンパク質(例えば、HSP70i、HSP27、HSP40又はHSP60のようなHSP)、α−1アンチトリプシン、HF1−a、HF−1b、MEF2、HGF、BMP−2、BMP−4、BMP−17、BMP−18、Pax7、オキシトシン、オキシトシン・レセプター、筋細胞核因子、Frzb(例えば、公開された米国出願第20020147329号を参照のこと)、Rb−相互作用ジンク・フィンガー・タンパク質(米国特許第6468985号)、eNOS、iNOS、セリン/スレオニン・プロテイン・ホスファターゼ、心肥大因子、CT−1、αサルコグリカン、βサルコグリカン、γサルコグリカン又はδサルコグリカン、低酸素誘導性因子1α、bcl−2、FasL、サイトカインgp130レセプター、gpl30、Akt、アデノシンA3レセプター、アンギオゲニン(例えば、アンギオゲニン−1又はアンギオゲニン−2)、TNFα、ジストロフィン、タファジン、デスミン、ラミン、トロポニンC、カスパーゼ・阻害剤、ERK型のMAPキナーゼ(p42とp44、抗アポトーシス)、IL−1B、血清放出因子とILGF(IとII)、NGF、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)、アンギオテンシン(例えば、アンギオテンシンII)、イノトロープ(inotrope)、ノルエピネフリン、レチノイン酸、デキサメタゾン、5アザシチジン、又は例えば複数の増殖因子を含むES細胞由来の予め条件付けた培地。このような薬剤はまた、細胞治療の前、細胞治療の間又は細胞治療の後に、あるいはこれらの任意の組み合わせで、哺乳動物に投与される。
iii.分化を誘導するための方法
非心筋細胞におけるその発現がその細胞の心筋細胞への分化を生じる導入遺伝子を非心筋細胞に導入することを含む、非心筋細胞を外因性薬剤と接触させるステップを含む任意の方法が、非心筋細胞の心筋細胞への分化を誘導するために使用できる。例えば、心筋細胞への分化は、DNA脱メチル化剤、胎児の心臓発生領域で発現される因子、胎児の心臓発生段階において心筋細胞への分化を制御する因子、心筋細胞へと分化する能力を有する細胞の培養物上清、又はこれらの細胞から分化した心筋細胞の培養物上清での処理によって誘導される。例えば、MSCは、胎児、新生児と成体のラットの心臓細胞と共にMCSを同時培養し、化学的フジゲン(例えば、ポリエチレングリコール又はセンダイ・ウイルス)を使用して、胎児、新生児と成体の心筋細胞とMSCとのヘテロカリオンを生成し、MCSを哺乳動物の心臓の抽出物と共にインキュベートし、心臓組織において見出される細胞外マトリックスと関連分子を含め、MCSを増殖因子と分化薬剤で処理し、MCSの機械刺激及び/又は電気刺激を使用し、MSCを心筋細胞と機械的及び/又は電気的に結合することによって、心臓特異的な遺伝子を発現するように誘導される。同様に、内皮細胞は、新生児心筋細胞と同時培養される場合に心筋細胞へと分化するように誘導される(Condorelliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、98、10733(2001))。心筋細胞へと進むMCSは、胎児心臓組織中に見出されるタンパク質を最初に発現し、次いで成体形態へと進む。
ES細胞について、これらの細胞を肝細胞増殖因子、EGF、塩基性FGF、TGF−β、BMP−2、DMSO、オキシトシン、レチノイン酸と共に培養することにより、心筋細胞に富んだ培養物が得ることができる(Bohelerら、Circ.Res.、91、189(2002))(Xuら、Circ.Res.、91、501(2002)もまた参照のこと)。例えば、ヒト未分化ES細胞は、Thomson、Science、282、1145(1998)に記載されるような培養培地中の有糸分裂的に不活化された(マイトマイシンC)MEFフィーダー層上で増殖される。この培養培地は、20% FBS(HyClone、Logan、Utah、USA)、1mM L−グルタミン、0.1mM メルカプトエタノール、1% 非必須アミノ酸ストック(全てLife Technologies Inc.から)を補充した80% ノックアウトDMEM(ピルベートなしの高グルコース処方、Life Technologies Inc.、Rockville、Maryland、USA)を含む。分化を誘導するために、ES細胞を、コラゲナーゼIV(Life Technologies Inc.、20分間にわたって1mg/ml)を使用して小さい塊(3個〜20個の細胞)に分散させる。次いで、これらの細胞をプラスチックのペトリ皿(Miniplast、Ein Shemer、Israel)に、58mmの皿中約5X106細胞の細胞密度で移し、この皿でこれらの細胞を7日〜10日間懸濁物中で培養する。この段階の間、これらの細胞は凝集して胚様体(EB)を形成し、これを次いで0.1%ゼラチンで被覆した培養皿上に、1.91cm2のウェル中1個〜5個のEBの密度で培養し、自発的収縮の出現について顕微鏡で観察する。DMSO(Sigma Chemical Co.、St.Louis、Missouri、USA)が、0.75%(体積/体積)の濃度で、懸濁物中での10日間の増殖の間に、分化を増強するためにこの培養培地に添加される。
骨髄細胞は、DNA脱メチル化剤、胎児の心臓発生領域で発現される因子、胎児の心臓発生段階において心筋細胞への分化を制御する因子、心筋細胞へと分化する能力を有する細胞の培養物上清、又はこれらの細胞から分化した心筋細胞の培養物上清での処理によって誘導される。DNAの脱メチル化を引き起こす化合物である限り任意のDNA脱メチル化剤が使用できる。適切なDNA脱メチル化剤には、染色体DNA中のGpC配列中のシトシン残基のメチル化を特異的に除去する酵素であるデメチラーゼ、5−アザシチジン(本明細書中で「5−アザ−C」と称する)、DMSO(ジメチルスルホキシド)が含まれる。デメチラーゼ酵素の例には、Bhattacharyaら、Nature、397、579(1999)中に開示されたデメチラーゼが含まれる。従って、心筋細胞へと分化する能力を有する細胞は、3μmol/L〜10μmol/Lの5−アザ−Cの存在下で24時間培養される。新たな培地で培養物上清を置換することによって5−アザ−Cを除去した後、これらの細胞をさらに2〜3週間培養して心筋細胞を得る。2〜3週間培養することによって生成された心筋細胞は主に洞結節細胞であるが、4週間より長く培養することにより、心室心筋細胞への分化が誘導される。1実施形態において、骨髄細胞は、分化を誘導するために5−アザ−C、BMP−2又はBMP−4で処理される。
胎児の心臓発生領域で発現される因子や胎児の心臓発生段階で心筋細胞への分化に対して作用する因子の例には、サイトカイン、レチノイン酸、接着分子、転写因子が含まれる。例示的なサイトカインには、PDGF、FGF−8、エンドセリン1(ET1)、ミドカイン、BMP−4が含まれ、PDGFの好ましい例には、PDGF A、PDGF B、PDGF Cなどが含まれる。1実施形態において、このサイトカインは、10ng/ml〜40ng/mlの濃度で使用できる。心筋原性分化を抑制するサイトカインの阻害剤(例えば、線維芽細胞増殖因子−2の阻害剤)、抑制性サイトカインのシグナル伝達を阻害する分子(例えば、サイトカイン活性を中和する抗体、低分子量化合物)を使用して心筋原性分化を刺激することも可能である。接着分子の例には、細胞外マトリックス(例えば、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンなど)が含まれ、転写因子の例には以下が含まれる:ホメオボックス型転写因子(例えば、Nkx2.5/Csx、GATAファミリーに属するジンク・フィンガー型転写因子(例えば、GATA4)、筋細胞増強因子−2(MEF−2)ファミリーに属する転写因子であるMEF−2A、MEF−2B、MEF−2C、MEF−2D、塩基性ヘリクス・ループ・ヘリックス型転写因子に属する転写因子(例えば、dHANDとeHAND)、ならびにTEA−DNA結合型転写因子ファミリーに属する転写因子(例えば、TEF−1、TEF−3、TEF−5)。
心筋原性分化はまた、自発的に拍動する心筋細胞から得られた細胞外マトリックスで被覆された培養皿において細胞を培養するか、細胞を自発的に拍動する心筋細胞と共に同時培養するか、又は自発的に拍動する心筋細胞の培養物上清を細胞に添加することによっても誘導される。
心筋細胞へと分化する能力を有する骨髄細胞には、CD117とCD140である細胞が含まれる。CD117とCD140である細胞には、以下が含まれる:CD34、CD117、CD140である細胞、CD34、CD117、CD140である細胞、ならびにCD144、CD34、CD117、CD140である細胞、CD144、CD34、CD117、CD140である細胞、CD144、CD34、CD117、CD140である細胞、CD144、CD34、CD117、CD140である細胞、CD34、CD117、CD14、CD45、CD90、Flk−1、CD31、CD105、CD144、CD140、CD49b、CD49d、CD29、CD54、CD102、CD106、CD44である細胞、CD34、CD117、CD14、CD45、CD90、Flk−1、CD31、CD105、CD144、CD140、CD49b、CD49d、CD29、CD54、CD102、CD106、CD44である細胞、CD34、CD117、CD14、CD45、CD90、Flk−1、CD31、CD105、CD144、CD140、CD49b、CD49d、CD29、CD54、CD102、CD106、CD44である細胞、さらにCD34、CD117、CD14、CD45、CD90、Flk−1、CD31、CD105、CD144、CD140、CD49b、CD49d、CD29、CD54、CD102、CD106、CD44である細胞。
造血幹細胞について、造血幹細胞を心筋細胞へと分化するように誘導する増殖因子には以下が含まれるがこれらに限定されない:レチノイン酸、幹細胞因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、内皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子−4、エンドセリン−1、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−10とIL−15を含む)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、GM−CSF、IGF−1、血小板由来増殖因子(PDGF)、骨形成因子−4、Wnt(例えばWnt11を含む、例えばWnt5aクラスのメンバー)と任意選択でデキサメタゾン、ヒアルロン酸、3,3’,5−トリヨード−L−チロニン、cAMP、アンギオテンシンII、マンノース、β−メルカプトエタノール及び/又はプロテイン・キナーゼC(PKC)阻害剤(例えばスフィンゴシンを含む)。
線維芽細胞について、EGFがこれらの細胞の分化を誘導するために好ましい薬剤である。
iv.生物学的条件付けに供されたドナー細胞の表現型を特徴付けるための例示的な方法
ドナー細胞中の導入遺伝子の発現を検出するための方法には、導入遺伝子特異的RNA指向性の方法(例えば、RT−PCR)又は導入遺伝子によってコードされる遺伝子産物を検出する方法(例えば、ELISAを介する)が含まれる。遺伝子特異的アッセイの例には、例えば、ACについてのもの(Salomonら、Anal.Biochem.、58、541(1974)、Hammondら、Circulation、85、269(1992)、Hammondら、Circulation、8、666(1992)を参照のこと)、β−アドレナリン・レセプターの結合又は含量についてのもの(Hammondら、Circulation、8、666(1992)、Rothら、FEBS Lett.、29、46(1992))、GRK2とGRK5の含量についてのもの(例えば、Pingら、J.Clin.Invest.、95、1271(1995)、及びRothら、FEBS Lett、29、46(1992)を参照のこと)、ならびにGタンパク質レセプター・キナーゼ活性についてのもの(Benovic、Methods Enzymology、200、351(1991)、Pingら、J.Clin.Invest.、95、1271(1995)、Pingら、J.Clin.Invest.、95、1271(1995)、Ungererら、Circulation、87、454、(1993)を参照のこと)が含まれる。
1実施形態において、好ましいドナー細胞は、例えば心臓組織又は非心臓組織から調製された心筋細胞である。心筋細胞特異的なタンパク質の発現の検出は、例えば、ミオシン重鎖モノクローナル抗体に対する抗体(例えば、MF20(MF20))、筋小胞体カルシウムATPase(SERCA1)に対する抗体(例えば、mnAb 10D1)又はギャップ結合に対する抗体を使用して、例えば、コネクチン43やホスホランバンに対する抗体を使用することによって、又は以下の遺伝子の発現を検出することによって達成される:タイチン(Z帯)、α−アクチニン、ミオメシン、サルコメア・ミオシン重鎖、サルコメアα−アクチン、心臓トロポニンT、Mタンパク質、RyR2、Cx40、Cx43。心筋細胞へのES細胞の分化について、以下の遺伝子の発現がモニタリングされる:Nkx 2.5、MEF2c、GATA4/5/6、デスミン、M−カドヘリン、βl−インテグリン、オキシトシン、オキシトシン・レセプター、心臓ミオシン重鎖、ミオシン軽鎖2A又は2C、心臓トロポニンI、トロポニンCとANP。骨髄由来のMSCの分化について、以下の遺伝子の発現がモニタリングされる:β1アドレナリン・レセプターとβ2アドレナリン・レセプター(例えば、イソプロテレノールへの細胞の応答を介する)又はムスカリン性レセプター(例えば、カルバコールへの細胞の応答を介する)。
心房様細胞は、ムスカリン性アセチルコリン活性化K+チャンネルと内向き整流性K+チャンネルに関連するが過分極活性化ペースメーカー・チャンネルに関連しないイオン電流を有する細胞として同定され、一方心室様細胞は、内向き整流性K+チャンネルとSRリアノジン感受性のカルシウム放出チャンネルに関連するが、ムスカリン性アセチルコリン活性化K+チャンネルにも過分極活性化ペースメーカー・チャンネルにも関連しないイオン電流を有する細胞として同定される。洞結節様細胞は、ムスカリン性アセチルコリン活性化K+チャンネルとSRリアノジン感受性のカルシウム放出チャンネル、ならびに過分極活性化ペースメーカー・チャンネルに関連するが、内向き整流性K+チャンネルには関連しないイオン電流を有する細胞として同定できる。
1実施形態において、in vitroの生物学的条件付けに供されたドナー細胞は、自発的に収縮又は拍動する。
ドナー細胞の組成物、投薬量、投与経路
本発明の組成物は、異なる供給源由来の細胞を含むドナー細胞を含み、かつドナー細胞の埋め込み、生存、増殖及び/又は分化を増強するか、心機能を増強するか又は血管新生を刺激する薬剤を任意選択で含む。投与すべき細胞は、個々の細胞又は2次元もしくは3次元の構造を形成するように培養物中で増殖した細胞の集団である。投与すべき細胞の数は、レシピエントに対して有益な効果を生じる量である。例えば、102〜1010、例えば、103〜109、104〜108又は105〜107の細胞が、目的の領域(例えば、梗塞した組織と梗塞した組織の周囲の組織)に投与(例えば注射)される。心機能を増強するか又は血管新生を刺激する薬剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない:ピルベート、カテコールアミン刺激剤、線維芽細胞増殖因子(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子−4、線維芽細胞増殖因子−5)、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(例えば、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189又はVEGF206)、組織増殖因子など。このような薬剤は本発明の組成物中に任意選択で存在するか又は別々に投与される。
これらの細胞は、予防的、診断的又は治療的な血管手順又は侵襲性もしくは最小に侵襲性の外科的手順の間に投与される。1実施形態において、これらの細胞は、心筋梗塞の後、数時間(例えば、1時間〜12時間)以内から数日(例えば、1日〜2日)まで、そして心筋梗塞後1又は複数の週間までに投与される。好ましくは、ドナー細胞の投与は瘢痕形成の前である。これらの細胞は、静脈内、経静脈、心筋内又は任意の他の従来の経路により投与され、針、カテーテル(例えば、注射針又は注入ポートを含むカテーテル)又は他の適切なデバイスによりデリバリされる。いくつかの例示的なデリバリ装置と方法には、本明細書中に提供される教示が含まれるがこれらに限定されない。
1実施形態において、一旦投与されると、これらのドナー細胞は、隣接細胞との機能的接続である隣接細胞(レシピエント中の生存細胞を含む)との膜チャンネルを生じ、まだ分化していない場合には心筋細胞に分化する。
心臓組織の電気治療の実施形態
細胞治療の後、処置すべきと同定された組織領域は、150で電気治療に供される。心臓組織の例において、電流は、損傷を受けた組織にわたってか又は損傷を受けた組織に隣接して課される。1実施形態において、埋め込まれたカテーテル・リード線を有するペースメーカーが、組織の同定された領域に適切なペーシング刺激を与えるために使用される。種々の実施形態において、1つ又は複数の電極が、同定された組織領域の部分にわたって電場を印加するために働く。埋め込まれたペースメーカーの適用において、ペースメーカー・ハウジングが電極として働き得る。
1実施形態において、このペースメーカーは、固有の房室間隔と比較して相対的に短い房室遅延を使用したVDDペーシングを実施するためにプログラムされる。このような実施形態において、電気的ペース波面は、ペーシング刺激を用いて同定された領域を電気生理学的に捕捉して機械的に負荷をかけないようにするために、心臓周期中の非常に初期に梗塞した領域の近傍にある。VDDモードのペースメーカーは、正常な洞リズムの速度に近い速度を心臓に維持させ、活性化パターンのよりよい制御を与える。心室は、不必要にぺーシング・レートを速めることなく予め興奮される。この方法において、脱分極波面はペーシングされた複合波面と融合して、心室の最も固有の活性化を生じ、損傷を受けた組織領域の予めの興奮をなお与える。別の実施形態において、このペースメーカーは、固有の房室間隔(少なくとも心室拍動が固有である場合に測定した)と比較して相対的に短い房室遅延を使用したDDDペーシングを実施するためにプログラムされる。DDDモードのペースメーカーは、心臓が正常な洞リズムを維持できない場合に正常速度又は所望の速度で心臓を拍動させる。VDDモードとDDDモードが各々、右心室(RV)と左心室(LV)の両方が同じか又は異なる房室遅延でペーシングされる、二心室性変形モードを含む。他のペーシング・モードが可能であり、本明細書中に提供されるペーシング・モードは、網羅的意味も排他的意味も意図しない。
種々の実施形態と組み合わせにおいて、この電気治療は、特定の細胞治療との使用のための異なるプログラミング・モードを含む。1実施形態において、電気治療は、心臓組織を条件付けて細胞の埋め込みを改善するために、比較的活動的でない期間の間に呼び出される。例えば夜間の睡眠の間が一般的である。1実施形態において、電気治療は、その間に心臓壁の応力が電気的な予めの興奮を介して低下される患者の肉体的活動に基づいて起動される。このような肉体的活動は、加速度計のデータの検出によって測定される。1実施形態において、この電気治療は、一日の決まった時刻について又は特にプログラムされたM:Nのある比率での固有の拍動(M拍)とペーシングされた拍動(N拍)の繰り返しパターンの間に起動される。プログラム可能なマイクロプロセッサを特徴とする実施形態において、一日の時間は、プログラミングの際にこのマイクロプロセッサにダウンロードされ、治療はプログラム可能に選択可能である。種々の実施形態と組み合わせにおいて、電気治療は、予め選択されたセンサ入力の際に伝達される。例えば、電気治療は、検出された患者の活動に対して起動される(連続パターン又はM:Nパターン)。1実施形態において、電気治療は、患者の応力の検出の際に起動される。1実施形態において、電気治療は、例えば睡眠中の心臓において、心室が膨張してより充填されている場合の患者の高い代謝応力の検出の際に起動される。1実施形態において、局所的応力を決定するために内部圧力が測定される。異なるセンサが、電気治療の伝達のための条件を決定するために使用できる。
さらなるプログラミング・モードが本発明の記載によって企図される。例えば、1実施形態において、可変性のプログラミング・モードは、特化した細胞治療のペーシング・サイクルが散在した伝統的な電気的ペーシングを組み込む。1実施形態において、このようなペーシングは、複数の利益を与えるために患者の心臓に相補的なペーシング治療を施すために使用される。1実施形態において、種々のペーシングが、使用率を使用して加えられる。例えば、第二の型のペーシングに対する第一の型のペーシングの比率は、患者に複数のペーシング治療を与えるために埋め込み可能なデバイス中にプログラムされる。これは、使用率のプログラム可能性が少なくとも1つの他のペーシング治療の時点で補う電気治療と処置された細胞治療を生じる新たなペーシング・モードを与える。
別のペーシング変法は、劇的に変化する房室遅延を与える。1つの例示的な実施形態において、房室遅延は、所定の時間期間にわたって増大される。1実施形態として、房室遅延は、所定の時間(例えば、3ヶ月間)にわたって各日に約1ミリ秒伸ばされる。1実施形態において、この房室遅延は、所定量の時間(例えば、2ヶ月間)にわたって10ミリ秒伸ばされる。このような実施形態において、房室遅延における増加する増大は、電極の位置に基づいて心臓領域への漸進的な負荷を生じる。類似であるが反対の効果が、房室遅延を漸進的に短縮することによって得ることができる。特定の範囲の心筋が漸進的に負荷を解かれて、房/室、組織と細胞のレベルで所望の表現型的変化を生じる。
他の実施形態と組み合わせが、本発明の治療システムの範囲から逸脱せずに可能である。上記の実施形態は、本発明の治療システムのいくつかの種々の実施形態を実証することが意図され、排他的意味も網羅的意味も意図しない。
1実施形態において、ペーシング・リードは、埋め込みの部位に可能な限り近くに位置決められる。位置決めは、心臓の電気生理学(例えば、ECG)、心エコー法マッピング又はカテーテル・ベースの電圧マッピングを使用して実施される。他の位置決め方法が、本発明の教示の範囲から逸脱せずに可能である。
リード配置は、最小の開胸術で埋め込まれた心外膜リード及び/又はカテーテル・リード線を使用して可能である。左心室領域の処置は、冠状動脈構造中に位置決められたリードを使用して可能である。
複数の梗塞した組織領域が複数の細胞治療処置と電気治療処置を使用して処置されることは理解できるであろう。
非ヒト動物モデル(例えば、げっ歯類、ウサギ、イヌ又はブタのモデル)は、特定の兆候又は状態を阻害し又は処置するのに有用なペーシング・パラメータと細胞パラメータを決定するために使用できる。例えば、Jainら、前出、Suzukiら、前出、Pouleurら、Eur.J.Clin.Investig.、13、331(1983)、Hammond、J.Clin.Res.、92、2644(1993)、Taylorら、Proc.Assoc.Am.Phys.、109、245(1997)、及びRothら、J.Clin.Res.、91、939(1993))を参照のこと。心筋梗塞の動物モデルについて、有効なペーシングと細胞治療は、心機能の改善(例えば、増大した最大運動能力、収縮性能と伝播速度、減少した有害な再構築、減少した瘢痕後の拡張、減少したアポトーシス、増大した血管新生、さらに増大したドナー細胞の埋め込み、生存、増殖、機能)を生じる。ドナー細胞の機能は、生化学的マーカー(例えば、埋め込まれたドナー細胞における筋管形成、α−アクチニン、タイチン、ミオメシン、サルコメア・ミオシン重鎖、α−アクチンなどの存在及び/又はレベル、ギャップ結合タンパク質)を使用して(Pimentelら、CirculationRes、90、671(2002)を参照のこと)、及びドナー細胞のレシピエントにおける全体的と局所的な心機能の改善によって決定される。ex vivoモデルにおいて、収縮期と拡張期の圧力−体積関係が、特定の治療の有効性を決定するために使用できる。
心機能管理デバイスの実施形態
図3は、本明細書中に記載される電気治療を実施するペースメーカーを示す。本明細書中で使用する場合、用語ペースメーカーは、心臓をペーシングするための任意の心臓リズム管理デバイスを意味し、これには、埋め込み可能なペースメーカー、外部ペースメーカー、ペーシング機能性を有する埋め込み可能な心臓除細動器/コンバータが含まれる。2つの心室ペーシング・チャンネルを有する心臓ペースメーカーのブロック図が図3に示される。マイクロプロセッサ310は、二方向性データ・バスを介してメモリ312と連絡する。種々の実施形態において、メモリ312は、プログラムの記憶のためのROM又はRAMとデータ記憶のためのRAMを含む。1実施形態において、この制御ユニットは、デバイスの作動を制御するためにプログラムされたマイクロプロセッサの代わりにか又はそれに加えてのいずれかで、専用回路を含む。1実施形態において、このペースメーカーは、指定されたペーシング・モードとペーシング・パラメータに従ってペースメーカーを操作するため、さらにはデータ獲得機能を実施するための論理機能とタイミング機能を実行するためにプログラム可能なマイクロプロセッサを使用する。遠隔測定インターフェース340もまた、外部プログラマーと連絡するために設けられている。このような外部プログラマーは、ペーシング・モードを変化させ、操作パラメータを調整し、デバイスによって記憶されたデータを受信し、ペースメーカーの作動に影響を与えるコマンドを発行するために使用できる。このようなインターフェースはまた、本明細書中に記載され、本明細書中で援用される文書により提供されるような進歩した患者管理デバイス(例えば、携帯用コンピュータ、PDA、他のワイヤレス・デバイス)との連絡を与える。
治療の適用について肉体的動作の検出を組み込む実施形態において、このペースメーカーは、運動を検出するためのセンサを含む。例えば、加速度計と微小な換気センサが、これらの目的のために組み込まれる。いくつかの実施形態は、治療の適用のための一日の時間を組み込む。このような実施形態は、タイミング・モジュールを含み、プログラマー又は他のワイヤレス・デバイスからの情報を使用してそれらをアップデートする。
このペースメーカーは、電極334、リード333、感度増幅器/フィルタ331、パルス発生器332を含み、さらにマイクロプロセッサ10のポートと二方向で連絡する心房チャンネル・インターフェース330を含む心房センシング/刺激チャンネルを有する。このデバイスはまた、電極324A〜B、リード323A〜B、感度増幅器321A〜B、パルス発生器322A〜B、心室チャンネル・インターフェース320A〜Bを含む2つの心室センシング/刺激チャンネルを有する(ここで「A」は一方の心室チャンネルを示し、「B」は他方の心室チャンネルを示す)。各チャンネルについて、同じリードと電極がセンシング(すなわちP波とR波の検出)と刺激の両方のために使用される。心室電極は、二心室性のペーシングのために各心室中に、又は心室の複数部位でのペーシングのために一方のみの心室中に配置される。チャンネル・インターフェース320A〜B、330は、感度増幅器からのセンシング信号入力をデジタル化するためのアナログ・デジタル・コンバータと、刺激パルスを出力し、刺激パルスの振幅を変化させ、感度増幅器についての利得値と閾値を調整するためにマイクロプロセッサによって書き込まれるレジスターを含む。チャンネル・インターフェースによる感知された信号のデジタル化後、この信号サンプルは、さらなるフィルタリングを実施するためにマイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムによって、デジタル・ドメインにおいて処理される。タイミング目的のためのR波とP波のピークの検出もまた、デジタル的に実施される。あるいは、標準的なピーク検出回路が使用できる。
1実施形態において、このリード・システムは心内膜リードを含むが、他のタイプのリード(例えば、心外膜リード)もまた、本発明の教示の範囲内で使用できる。1実施形態において、第一の心室リード・システムが、心臓の第一の心臓領域に配置されるようになっている。1実施形態において、心臓の第一の心臓領域は、冠状洞及び/又は左心室に隣接する心臓の大心静脈内にある。1実施形態において、第一のリード・システムは、多数の電極と電気的接触を含む。先端電極は、第一のリード・システムの遠位末端又はその近傍に位置決めされ、第一のリード・システム内に備えた導体を介して終端まで電気的に接続する。第一のリード・システムはまた、先端電極に対して近位に間隔をおいた近位電極を含む。1実施形態において、この近位電極は、心臓の左心室に隣接した配置のために先端電極に対して近位に間隔がおかれる。この近位電極は、第一のリード・システム内の内部導体を介して終端まで電気的に接続される。この近位電極は、第一のリード・システムの周辺表面を取り囲むか又は半分取り囲む、環状又は半環状の構成のいずれかである。
このペースメーカーは第二の心室リード・システムをさらに含む。1実施形態において、この第二のリード・システムは、心内膜リードであるが、他のタイプのリード(例えば、心外膜リード)が、本発明の教示の範囲内で使用できる。第二の心室リード・システムは、心臓の第二の心臓領域内に配置されるようになっている。1実施形態において、心臓の第二の心臓領域は、心臓の右心室である。1実施形態において、第二のリード・システムは、多数の電極と電気的接触を含む。例えば、1実施形態において、先端電極は、第二のリード・システムの遠位末端又はその近傍に位置決めされ、終端への接続のために、このリード中に備えた導体を介して電気的に接続する。この第二のリード・システムは、右心室における配置のためにその遠位末端に対して近位に間隔をおいた第一の除細動コイル電極を任意選択でさらに含む。この第一の除細動コイル電極は、第二のリード・システムの本体内の内部導体を介して、両方の終端に電気的に接続される。この第二のリード・システムはまた、第二の除細動コイル電極が心臓の右心房又は右心房に通じる主要な静脈内に位置決められるように、第二のリード・システムの遠位末端から離れて近位に間隔をおいた第二の除細動コイル電極を任意選択で含む。この第二の除細動コイル電極は、第二のリード・システムの本体内の内部導体を介して終端まで電気的に接続される。
種々の実施形態において、このシステムは、複数の心房電極を含み、除細動構成要素を任意選択で含む。電極の構成と配置は、本発明の教示の範囲から逸脱せずに変動する。
1実施形態において、このペースメーカーは、種々のペーシング・モードとセンシング・モードのためのパラメータを含む、マイクロプロセッサとメモリを有するプログラム可能なマイクロプロセッサ・ベースのシステムである。ペーシング・モードには、正常なペーシング、オーバードライブ・ペーシング又はバースト・ペーシングと心室頻脈性不整脈の予防のためのペーシングが含まれるがこれらに限定されない。このシステムはまた、房室遅延を調整するための手段を含む。このマイクロプロセッサは、RFレシーバー/トランスミッターの形態で、内部コントローラと連絡するための手段をさらに含む。これはアンテナを含み、それにより外部コントローラへの信号を受信し、外部コントローラへと信号を伝達する。この様式において、プログラミング・コマンド又はプログラミング命令を、移植後にマイクロプロセッサに転送できる。1実施形態において、作動データが作動の間にメモリ中に記憶される。このデータは、医学的分析のために外部コントローラに転送できる。
1実施形態において、ペーシング・パルスは、2つの心室ペーシング位置で調和されたペーシング・スキームを実施するためにマイクロプロセッサによって制御される。ペーシング・モードには、正常な洞リズム・ペーシング・モード、心室頻脈性不整脈を処置するためのオーバードライブ・ペーシング・モードもしくはバースト・ペーシング・モード、及び/又は心室頻脈性不整脈の発症を予防するためのペーシング措置が含まれるがこれらに限定されない。2つの心室ペーシング位置からペーシングを与えることのさらなる利点には、1つのペーシング・システムが仮に失敗した場合に、2つのペーシング・システムのいずれか1つの代わりにバックアップ・ペーシング・システムと他方の代わりの位置として働く能力が含まれる。
心房センシング回路は、電気的な心房心臓信号を受信、感知及び/又は検出するために、心房リードにより心臓へと結合される。このような心房心臓信号には、心房の収縮に対応する心房の活性化(心房の脱分極又はP波とも称される)が含まれる。このような心房心臓信号には、正常な心房リズムと心房の頻脈性不整脈(例えば心房細動)を含む異常な心房リズムと他の心房活動が含まれる。心房センシング回路は、とりわけ感知された固有の心房心臓収縮の存在を示すために、1つ又は複数の信号をコントローラに与える。
心房治療回路は、生じた誘発された心房脱分極を得るために、適切な場合、心臓の心房の1つ又はその近傍に配置された電極に心房ペーシング治療を施す。1実施形態において、この心房治療回路はまた、適切な場合、心房細動及び/又は他の心房頻脈性不整脈を終結させるために、心臓の心房の1つ又はその近傍に位置決めされた電極で心臓除細動/除細動治療を施す。
図3は埋め込まれた心臓リズム管理デバイスを示すが、これらの教示は、心臓リズム管理デバイス以外のデバイスで使用できることは理解できるであろう。これらの教示は、非哺乳動物の心臓治療にも適用可能である。当業者であれば、本説明を読んで理解すると、本発明の教示の範囲内の他の使用と変法を認識されよう。
図4は、心筋梗塞に従う心臓組織の領域への細胞治療の管理と電気治療の1実施形態を示す。心臓402は、罹患した領域400中の心筋梗塞によって損傷を受けた組織を有する左心室404を含む。罹患した領域400は、本明細書中に記載される方法を含む方法によって決定される。細胞治療406は、例えば、経静脈、経動脈、心筋内で罹患した領域400に密に近位に、又は隣接する非梗塞組織中に、及び/又は罹患した領域400に直接的に好ましくは行われ、電気治療は、プログラム可能なパルス発生器408とリード410を使用して実施される。
この電気治療は、梗塞した心筋又は不活発化した心筋の好ましくは近傍で、細胞の埋め込み、生存、増殖及び/又は機能、さらには任意選択で分化を増強するための細胞治療に対する標的化された部位を含むin vivoのペーシングを含む。このペーシングは、ドナー細胞と非梗塞レシピエント心筋細胞との間のギャップ結合の首尾よい形成を含むドナー細胞の首尾よい埋め込みをさもなくば阻害する、病変の局所的な応力と拘束に加えられる。従ってこのような治療は、ネイティブの心筋の隣接細胞への機械的接続と電気的接続の両方に影響を与える。特に、このような部位又はその近傍でのペーシングは、ネイティブの心筋の機能とドナー細胞の機能とを調和させるために必要とされる新たなギャップ結合の発生を増強する。この治療はまた、標的化された細胞治療の部位での代謝的要求を制御するように働いて、ドナー細胞の生存率を増大させる。筋細胞の電気刺激が血管新生を促進する因子の放出を促進するという別の利益がある。1実施形態において、電気治療は、例えば、ポンプ効率、酸素消費及び/又は機械的同期性を改善し、代謝負荷及び/又は代謝応力を低下させ、かつ/あるいは応力−拘束パターンを再度方向付けることによって、損傷を受けた心臓組織において局所的環境を改善する。1実施形態において、in vitroで培養された細胞の予めの条件付け(例えば、薬物又は他の化学的薬剤及び/又は導入遺伝子の発現及び/又は電気刺激及び/又は機械刺激での)は、これらの細胞のin vivoでの埋め込み、生存、増殖、分化及び/又は機能を利する可能性がある。
in vivoの左心室ペーシングは、房室遅延、RV−LVオフセット(例えば、RVペーシング・パルス伝達とLVペーシング・パルス伝達との間の心室間遅延、又はRVペーシング・パルス伝達とLVペーシング・パルス伝達について2つの独立した房室遅延を適用することによる)、刺激部位の交替、心拍数、ペーシング波形パラメータを管理することによって、局所的応力を制御する。LV刺激はまた、in vivoでドナー細胞の埋め込み、生存、増殖、分化及び/又は機能を促進し、ペーシングの波形、速度、部位に基づいて制御可能である。
1実施形態において、このペースメーカーは、固有の房室遅延と比較して相対的に短い房室遅延を使用したVDDペーシングを実施するためにプログラムされる。別の実施形態において、このペースメーカーは、固有の房室間隔(少なくとも心室拍動が固有である場合に測定した)と比較して相対的に短い房室遅延を使用したDDDペーシングを実施するためにプログラムされる。他の電気治療が、本明細書中の教示を考慮して可能である。例えば、罹患した領域が、細胞治療の注射の前にこの領域を強化するために予め処理されることが可能である。本明細書中に提供される教示を読んで理解すると、当業者は、本発明の教示の範囲から逸脱することなく他の電気治療が可能であることを理解する。
図5Aは、心臓リズム管理システム500の部分の1実施形態とこれが使用される環境を、限定としてではなく例として示す模式図である。システム500は、血管内心膜内リード510又は他のリードによって患者520の心臓515へと結合された、電子装置とも称される埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505を含む。埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505にはペースメーカーが含まれる。システム500は、遠隔測定デバイス530を使用して埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505とのワイヤレス連絡を与える外部プログラマー525もまた含む。リード510は、埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505に結合された近位末端535と心臓515の1つ又は複数の部分に結合された遠位末端540を含む。図5Aは埋め込まれた心臓リズム管理デバイスを有するヒトを示すが、これらの教示が心臓リズム管理デバイス以外のデバイスで使用できることは理解できるであろう。これらの教示は、非哺乳動物の心臓治療にも適用可能である。当業者であれば、本説明を読んで理解すると、本発明の教示の範囲内の他の使用と変法を認識されよう。
図5Bは、本発明の1実施形態に従う埋め込まれたデバイスと治療の管理のために埋め込まれたデバイスと連絡したワイヤレス・デバイスを示す図である。1実施形態において、ワイヤレス・デバイス555は、埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505との連絡を伝導するために使用される。1つの適用において、ワイヤレス・デバイス555は携帯情報端末(PAD)である。1実施形態において、ワイヤレス・デバイス555はワイヤレス・インターフェースを有するコンピュータである。1実施形態において、ワイヤレス・デバイス555は携帯電話である。埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505とワイヤレス・デバイス555との間の連絡は、ペースメーカーの作動と治療を調和させるため、及び/又はデバイスの作動と生理学的データをワイヤレス・デバイス555と連絡した別の部位に連絡するために使用できる。図5Cは、ネットワーク565がワイヤレス・デバイス555と接触する連絡の1実施形態を示す。ワイヤレス・デバイス555とネットワーク565との間の接続は、ワイヤード又はワイヤレスのいずれかである。1実施形態において、ネットワーク565はインターネットである。遠隔設備575は、医師又は健康管理提供者が埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505からのデータにアクセスする医療設備又は場所である。あるいは、データ及び/又は命令は、遠隔設備575からワイヤレス・デバイス555及び/又は埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505へと伝達される。あるいは、命令とデータは、遠隔設備、ワイヤレス・デバイス及び/又は埋め込み可能な心臓リズム管理デバイス505間で二方向で転送できる。
このネットワークは、多数のコンピュータ処理ユニットが互いに離れているが、同じ隣接プロパティ内にある場合に、これらのユニットを相互接続して、私設通信機能をインストールできるようにする連絡システムである。このネットワークはまた、複数のコンピュータ・プロセッサのいくつか又は全てが同じ筐体内にありかつ共通の背面によって接続される場合に、これらのプロセッサが互いに連絡するのを可能にする機能を含む。
遠隔設備とワイヤレス・デバイスとの接続は、進歩した患者管理に有用である。患者管理のためのいくつかの例示的な装置と方法には、その全体が参考により援用される表題「Method and Apparatus for Establishing Context Among Events and Optimizing Implanted Medical Device Performance」の米国特許出願第10/093353号(2002年3月6日出願)中に提供される教示が含まれるがこれらに限定されない。
in vitro細胞処理デバイスの実施形態
図6Aは、上記のin vitro条件付け(刺激)を実施する細胞処理デバイス600のブロック図を示す。細胞処理デバイス600は、電気刺激、機械刺激、生物刺激の1つ又は複数を適用することによってin vitroでドナー細胞を処理する機能的モジュールを含む。ドナー細胞は、培養培地を含む培養モジュール610中に配置される。心臓電気刺激子620、心筋応力シミュレータ630、生物学的処理剤投与モジュール640は培養モジュール610に接続されて、ドナー細胞への刺激の伝達を可能にする。モニタ650は、培養モジュール610中のドナー細胞を観察するための手段である。コントローラ660は、心臓電気刺激子620、心筋応力シミュレータ630、生物学的処理剤投与モジュール640に接続されて、電気刺激、機械刺激及び/又は生物刺激の伝達についてのタイミングと大きさを制御する。コントローラ660に接続されたメモリ回路670は、ドナー細胞のin vitro条件付けの自動化プロセスのための命令を記憶するための媒体である。ユーザー・インターフェース680により、ユーザーはin vitro条件付けの進行を制御し、モニタリングすることが可能である。図6Bは、細胞処理デバイス600の部分のさらなる詳細を示す。
培養モジュール610は、ドナー細胞と培養培地を受け入れるための容器を含む。1実施形態において、ドナー細胞611は、培養モジュール610中の培養基材615上に配置される。培養基材615は、2つ以上の方向で変形可能であり、周期的に伸長し弛緩できる。1実施形態において、培養基材はシリコン製のストリップである。培養基材615が2つ以上の方向で伸長し弛緩する場合、ドナー細胞は、それと共に伸長され弛緩される。1実施形態において、培養モジュール610は、均質な培養培地を生成して維持するためのミキサー616を含む。1実施形態において、この培養培地は、生物学的条件付けの間に生物刺激として導入される化学的薬剤及び/又は生化学的薬剤を含む。オンにすると、ミキサー616は、培養培地をシェーク及び/又は攪拌する。
心臓電気刺激子620は、本文書中に記載されるようなドナー細胞のin vitroでの電気的な条件付けを提供する。心臓電気刺激子620は、培養培地中に心臓の電気的条件を生成し、従って、このような条件にドナー細胞611を曝露させる。心臓の電気的条件は、心臓の収縮を生じる心筋中の電気的条件をシミュレートする。1実施形態において、心臓電気刺激子620は、電気パルス発生器622と電場発生器624を含む。パルス発生器622に接続された2つの電極623A、623Bが、電流と電圧パルスの形態での電気的エネルギーのドナー細胞611への伝達を可能にするために、培養培地中に配置される。電場発生器624に接続された2つの電極625A、625Bが、ドナー細胞611を横切る電場を生成するために培養培地中に配置される。1実施形態において、電極623A、625Aは物理的に統合され、電極623B、625Bは物理的に統合される。電気的エネルギーの伝達はドナー細胞611を活性化して、心筋中の心筋細胞のようにドナー細胞を収縮させる。1実施形態において、パルス発生器622はペースメーカーである。電場発生器624は、電極625A、625Bの間の既知の距離にわたって電圧を印加することによって電場を生成するdc電圧発生器を含む。
心筋応力シミュレータ630は、本文書中で上記されるようなドナー細胞のin vitroの機械的条件付けを与える。心筋応力シミュレータ630は、ドナー細胞611に対する機械的応力を生成する。この機械的応力は、心筋中の心筋細胞に加えられる張力をシミュレートする。この張力は、心臓体積と心臓内血圧の周期的な変化によって生成される機械的力から生じる。1実施形態において、機械適応力シミュレータ630は、変速モータ632と機械的連結部634を含む。機械的連結部634は、モータ632と培養基材615との間の界面を提供して、モータ632の制御された動作が培養基材615に対して較正された周期的な機械的張力を生成することを可能にする。1実施形態において、機械的連結部634は、この培養基材615が、振動も躊躇もなく2つ以上の方向で周期的に伸長し弛緩するのを可能にする。上記のように、このような機械刺激子の1例は、Terracioら、In Vitro Cellular & Developmental Biology、24(1)、53−58、1988中に与えられる。
生物学的処理剤投与モジュール640は、本文書中に上記されるように、ドナー細胞のin vitroでの生物学的条件付けを与える。生物学的処理剤投与モジュール640は、外因性薬剤を培養培地に導入して、ドナー細胞において1つ又は複数の生物学的反応を引き起こし、従って、ドナー細胞の生物学的特性における1つ又は複数の変化を引き起こす。1実施形態において、生物学的処理剤投与モジュール640は、培養培地中への1つ又は複数の化学的薬剤又は生化学的薬剤の制御された放出を可能にするために、1つ又は複数の化学物質ディスペンサー642を含む。1実施形態において、生物学的処理剤投与モジュール640は、1つ又は複数の所定の時間で培養培地中に所定量の化学的薬剤又は生化学的薬剤を放出するために各々が制御されたディスペンサーのアレイを含む。
ユーザー・インターフェース680は、ユーザーからのコマンドを受容するためのユーザー入力デバイスと、in vitro条件付けの状態と進行をユーザーに知らせるための提示デバイスを含む。1実施形態において、このユーザー入力デバイスはキーボードを含む。この提示デバイスはディスプレイ・スクリーンを含む。別の実施形態において、この提示デバイスはプリンターを含む。なお別の実施形態において、ユーザー入力デバイスと提示デバイスの少なくとも部分は、インタラクティブ・スクリーンとして統合される。
1実施形態において、モニタ650は、基材615上のドナー細胞611に向けられかつコントローラ660に接続された顕微鏡を含む。コントローラ660は、ドナー細胞又はその一部分の画像を処理し、ユーザー・インターフェース680を介してその画像を提示する。1実施形態において、ドナー細胞の画像は、ユーザー・インターフェース680のディスプレイ・スクリーン上に表示される。
コントローラ660は、電気刺激、機械刺激、生物刺激の各々の大きさ(又は強度)を制御し、これらの刺激を伝達するためのタイミングを調和させる。電気刺激の大きさにはペーシング電圧とペプチド・パルス幅が含まれるがこれらに限定されない。機械刺激の大きさには、ドナー細胞の変形(例えば、元の細胞の長さの所定の百分率分の細胞の長さの伸長)の周波数と程度が含まれるがこれらに限定されない。生物刺激の大きさには、各化学的薬剤及び/又は生化学的薬剤の体積と濃度が含まれるがこれらに限定されない。タイミングには、所定の刺激の配列での電気刺激、機械刺激及び/又は生物刺激全て(すなわち、完全なin vitro条件付け)の伝達を制御する開始時間と持続時間が含まれるがこれらに限定されない。1実施形態において、ユーザーは、各刺激の大きさとタイミングを規定するパラメータを書き入れ、ユーザー・インターフェース680を介して1つの刺激又は1つの刺激の配列を伝達するためのコマンドを与えることによって、完全なin vitro条件付けプロセス又はこのプロセスの部分を制御する。別の実施形態において、所定の配列の電気刺激、機械刺激及び/又は生物刺激を規定し、必要な大きさとタイミングを含む命令セットが、メモリ回路670中に記憶される。コントローラ660は、心臓電気刺激子620、機械的応力シミュレータ630、生物学的処理剤投与モジュール640を、この命令セットを自動的に実行することによって制御する。さらなる実施形態において、コントローラ660は、モニタ650を介して観察された細胞反応に応答してin vitro条件付けの間にこの命令セット中のパラメータをユーザーが調整することを可能にする。
細胞治療と電気治療の併用実施形態
1実施形態において、骨格筋細胞は、心筋梗塞に最近(例えば、1日〜7日前以内に)罹患した患者から得られる。骨格筋細胞は、(例えば集団を増殖させるために)in vitroで培養と条件付けされるか、又は培養するステップと条件付けするステップなしに使用できる。細胞治療の前に、患者の損傷を受けた組織は、従来の手段(例えば、心電図又はMRI)によって突き止められる。損傷を受けた組織への投与の前に、自家ドナー骨格筋細胞は、非細胞性成分(すなわち、組織培養培地中の成分を含む無傷の細胞以外の成分)を除去するために任意選択で洗浄され、生理学的に適合性の担体(媒体)(例えば、水性媒体、半固体媒体又は固体媒体)中で損傷を受けた組織に導入される。1実施形態において、約102〜1010のドナー骨格筋細胞が、損傷を受けた組織又はその近傍に位置決められた、注射針、複数の針又は注入ポートを含むカテーテルを介して投与される。生体適合性(例えば生体分解性)のマーカーが、ドナー細胞の投与の部位をモニタリングし、処置された領域を任意選択で後に同定するために、これらの骨格筋細胞と共に投与される。一旦投与されると、これらのドナー細胞は、隣接する生存細胞との機能的接続と隣接する生存細胞との膜チャンネルを生じる。
1実施形態において、患者中の損傷を受けた組織とドナー細胞を含む範囲は次いで、患者中の全体的と局所的な心機能の改善を生じる細胞治療と組み合わせた、適切に位置決められた電極を有するパルス発生器を使用した電気的条件付け(例えば、ペーシング・レベル電気刺激)に供される。固有の房室間隔と比較して相対的に短い房室遅延を使用したVDDペーシングを実施するために、ペースメーカーがプログラムされたペーシング措置が提供される。
概説
本発明の治療は心臓治療の実施形態で記載されているが、多数の他の適用が可能であることは理解できるであろう。このような教示は、他の器官と血管増殖のin vitroとin vivoでの処置に加えられる。
上記の記載は例示的であって限定的ではないことを意図していることは理解できるであろうべきである。上記の記載を再検討して理解すると、他の実施形態が当業者に明らかとなる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が権利付与される全範囲の等価物と共に、このような特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
本発明の1実施形態に従う細胞治療と電気治療を使用した全体的治療を示す流れ図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療と電気治療を使用した全体的治療を示す流れ図である。 本発明の1実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を使用した、心臓組織を処置するための特定の治療を示す流れ図である。 本発明の別の実施形態に従う組み合わされた細胞治療と電気治療を使用した、心臓組織を処置するための特定の治療を示す流れ図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療を与えるためのカテーテル先端の側面図を示す図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療を与えるためのカテーテル先端の上面図を示す図である。 本発明の1実施形態に従う調節可能な湾曲を有するカテーテル先端の1実施形態の側面図を示す図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療を与えるための減圧と針のための別個のチャンネルを有するカテーテル先端の側面図を示す図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療を与えるための薬物貯留部と電極を有するカテーテル先端の側面図を示す図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療を与えるための針アレイを有するカテーテル先端を示す図である。 本発明の1適用に従う細胞治療後の、格納された針アレイと組織と共に図2Fのカテーテル先端を示す図である。 本発明の1実施形態に従う細胞治療のための膨張可能なバルーンを有するカテーテル先端を示す図である。 本発明の1実施形態に従うペースメーカーを示すブロック図である。 本発明の1実施形態に従う心筋梗塞に従う心臓組織の領域への細胞治療と電気治療の適用の1実施形態を示す図である。 本発明の1実施形態に従う埋め込まれた心臓リズム管理デバイスとの使用のためのプログラマーを示す図である。 本発明の1実施形態に従う埋め込まれたデバイスと治療の管理のための、埋め込まれたデバイスと連絡したワイヤレス・デバイスを示す図である。 本発明の1実施形態に従う埋め込まれたデバイスと治療の管理のための、埋め込まれたデバイスと連絡しかつ遠隔設備との連絡のためにネットワークに接続されたワイヤレス・デバイスを示す図である。 本発明の1実施形態に従うin vitro細胞処理デバイスを示すブロック図である。 本発明の1実施形態に従うin vitro細胞処理デバイスの部分のさらなる詳細を示すブロック図である。

Claims (88)

  1. 細胞治療における心臓組織の少なくとも一部分に外因性細胞を投与された心臓の心臓組織の電気治療システムであって、
    電極を備えた1つ又は複数のカテーテル・リード線と、
    パルス発生器を備え、
    前記パルス発生器が、前記1つ又は複数のカテーテル・リード線へ接続するためのインターフェース、複数のパルス伝達モードについてプログラム可能なコントローラ、前記1つ又は複数のカテーテル・リード線からの電気信号を感知するための感度増幅器を含み、かつ前記細胞治療における外因性細胞を投与した前記心臓組織の少なくとも一部分を予め興奮させるために、治療用電気刺激を与える選択可能なペーシング・モードを含む、
    システム。
  2. 前記治療用電気刺激が、前記心臓の固有の房室遅延と比較して短い房室遅延を有するVDDペーシング・モードを含む請求項1に記載のシステム。
  3. 前記治療用電気刺激が、前記心臓の固有の房室遅延と比較して短い房室遅延を有するDDDペーシング・モードを含む請求項1に記載のシステム。
  4. 前記房室遅延が経時的に漸次変動する請求項2、3のいずれかに記載のシステム。
  5. 前記治療用電気刺激が、追加のペーシング・除細動治療の間に、ときどき与えられる先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
  6. 前記治療用電気刺激が、一日のある時間に対してプログラム可能である先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
  7. 前記治療用電気刺激が、比較的活動的でない期間に対してプログラム可能である請求項6に記載のシステム。
  8. 前記治療用電気刺激が、睡眠時間に対してプログラム可能である請求項7に記載のシステム。
  9. 前記治療用電気刺激が、決まったレベルの応力についてプログラム可能である請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
  10. 前記治療用電気刺激が、決まったレベルの活動についてプログラム可能である請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
  11. 加速度計をさらに含み、前記加速度計のデータが、治療用電気刺激を何時適用すべきかを決定するために使用される請求項11に記載のシステム。
  12. 前記治療用電気刺激がプログラマーによって起動される先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
  13. リード線の配置が、治療用電気刺激のタイプを決定するために使用される先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
  14. 前記1つ又は複数のカテーテル・リード線が、前記治療用電気刺激を加えること、心臓の電気的活動を感知することの一方又は複数のために、各々が1つ又は複数の電極を含む心房リード、第一の心室リード、第二の心室リードを含む先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
  15. 前記治療用電気刺激が、第一の房室遅延と第二の房室遅延を有する二心室性ペーシング・モードを含む請求項14に記載のシステム。
  16. 前記治療用電気刺激が、房室遅延と心室間遅延を有する二心室性ペーシング・モードを含む請求項14に記載のシステム。
  17. 心臓組織の細胞治療を増強する方法であって、
    埋め込み可能なパルス発生器を使用して、ドナー細胞を含む外因性細胞治療剤を投与された心臓組織に電気治療を施すステップを含み、
    前記電気治療は、前記ドナー細胞の埋め込み、生存、増殖、分化又は機能の1つ又は複数を増強する方法。
  18. 前記電気治療がペーシング治療である請求項17に記載の方法。
  19. 前記ペーシング治療が、固有の房室遅延と比較して相対的に短い房室遅延を有するVDDモード・ペーシングを含む請求項18に記載の方法。
  20. 前記ペーシング治療が、固有の房室遅延と比較して相対的に短い房室遅延を有するDDDモード・ペーシングを含む請求項18に記載の方法。
  21. 前記房室遅延が経時的に漸次変動する請求項19、20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記ペーシング治療が、第一の房室遅延と第二の房室遅延を有する二心室性ペーシングを含む請求項18から21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記ペーシング治療が、房室遅延と心室間遅延を有する二心室性ペーシングを含む請求項18から21のいずれかに記載の方法。
  24. 前記ドナー細胞が自家細胞を含む請求項17から23のいずれかに記載の方法。
  25. 前記ドナー細胞が骨格筋芽細胞を含む請求項17から24のいずれかに記載の方法。
  26. 前記ドナー細胞がin vitroで条件付けされる請求項17から23のいずれかに記載の方法。
  27. 前記ドナー細胞が培養培地中に配置される請求項26に記載の方法。
  28. 前記ドナー細胞が電気的に刺激される請求項27に記載の方法。
  29. 前記ドナー細胞が、前記ドナー細胞にペーシング・パルスを伝達することによって電気的に刺激される請求項28に記載の方法。
  30. 前記ドナー細胞が、前記ドナー細胞に電場を印加することによって電気的に刺激される請求項28、29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記ドナー細胞が機械的に刺激される請求項27から30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記ドナー細胞が、前記ドナー細胞を周期的に変形させることによって機械的に刺激される請求項27から31のいずれかに記載の方法。
  33. 前記ドナー細胞が、所定の周波数で前記ドナー細胞を伸長させ弛緩させることによって機械的に刺激される請求項32に記載の方法。
  34. 前記ドナー細胞が生物学的に刺激される請求項27から33のいずれかに記載の方法。
  35. 前記ドナー細胞が、前記培養培地に化学的薬剤又は生化学的薬剤を放出することによって生物学的に刺激される請求項34に記載の方法。
  36. 前記電気治療が、活動のレベルに基づいて加えられる請求項17から35のいずれかに記載の方法。
  37. 前記電気治療が、一日のある時間に基づいて施される請求項17から35のいずれかに記載の方法。
  38. 前記電気治療が、比較的活動的でない期間の間に施される請求項37に記載の方法。
  39. 前記電気治療が睡眠の間に施される請求項38に記載の方法。
  40. 前記電気治療が、応力のレベルに基づいて施される請求項17から35のいずれかに記載の方法。
  41. 外因性細胞の埋め込み、生存、増殖、分化又は機能を増強する薬剤を投与するステップをさらに含む請求項17から40のいずれかに記載の方法。
  42. 心機能を増強する薬剤を投与するステップをさらに含む請求項17から41のいずれかに記載の方法。
  43. 血管新生を増強する薬剤を投与するステップをさらに含む請求項17から42のいずれかに記載の方法。
  44. 適用するステップが、前記細胞治療に供された哺乳動物に前記電気治療を適用することを含む請求項17から43のいずれかに記載の方法。
  45. 光ファイバーを含むカテーテルと、
    前記カテーテルの遠位末端にある減圧ポートを終端とする減圧チャンネルと、
    1つ又は複数の中空針を含む格納式針手段と、
    前記格納式針手段を介して材料を注射するための手段と
    を含む装置。
  46. 共通チャンネルが、前記減圧チャンネルと前記格納式針手段のためのチャンネルとして使用される請求項45に記載の装置。
  47. 第一のチャンネルが前記減圧チャンネルとして使用され、第二のチャンネルが前記格納式針手段のためのチャンネルとして使用される請求項45に記載の装置。
  48. 前記格納式針手段が針アレイを含む請求項45から47のいずれかに記載の装置。
  49. 前記カテーテルがスタイレットを位置決めするためのスタイレット・チャンネルを含み、前記カテーテルが前記スタイレットの位置の関数としてある角度をなするように、その遠位末端で予め曲げられている請求項45から48のいずれかに記載の装置。
  50. 遠位末端を有するカテーテルと、
    前記カテーテルの前記遠位末端にある減圧吸引ポートを終端とする減圧チャンネルと、
    前記カテーテルの前記遠位末端にある1つ又は複数のイオン泳動電極と
    を含む装置。
  51. 前記カテーテルの前記遠位末端に薬物貯留部をさらに含む請求項50に記載の装置。
  52. 前記カテーテルの寸法が、前記カテーテルの前記遠位末端の経静脈的位置決めに対して決められる請求項50、51のいずれかに記載の装置。
  53. 前記カテーテルの直径が、10フレンチから24フレンチの間である請求項52に記載の装置。
  54. 細胞治療における組織への細胞の投与の前に、前記細胞をin vitroで条件付けする装置であって、
    前記細胞と培養培地を受け入れる培養モジュールと、
    前記培養モジュールに結合された心臓電気刺激子と、
    前記培養モジュールに結合された心筋応力シミュレータと、
    前記培養モジュールに結合された生物学的処理剤投与モジュールと、
    前記心臓電気刺激子、前記心筋応力シミュレータ、前記生物学的処理剤投与モジュールに結合されたコントローラと
    を含み、前記コントローラは、前記心臓電気刺激子、前記心筋応力シミュレータ、前記生物学的処理剤投与モジュールの1つ又は複数からの1つ又は複数の刺激の伝達を制御する装置。
  55. 前記細胞への少なくとも1つの電気刺激の伝達を可能とするように、前記電気刺激子に接続されかつ前記培養培地中に配置された2つ以上の電極をさらに含む請求項54に記載の装置。
  56. 前記心臓電気刺激子がペースメーカーを含む請求項54、55のいずれかに記載の装置。
  57. 前記心臓電気刺激子が電場発生器を含む請求項54から56のいずれかに記載の装置。
  58. 前記培養モジュールが変形可能な、細胞を培養する培養基材を含む請求項54から57のいずれかに記載の装置。
  59. 前記変形可能な培養基材がシリコン製である請求項58に記載の装置。
  60. 前記心筋応力シミュレータが、変速モータと、その変速モータと前記変形可能な培養基材との間で結合された機械的連結部とを含み、前記変速モータと前記機械的連結部が、前記変形可能な培養基材上に較正された周期的な機械的張力を発生させるようになされた請求項54から59のいずれかに記載の装置。
  61. 前記生物学的処理剤投与モジュールが、1つ又は複数の生物刺激剤を前記培養培地中に放出するようになされた1つ又は複数の化学物質ディスペンサーを含む請求項54から60のいずれかに記載の装置。
  62. 前記培養モジュールが、均質な培養培地を生成し、維持するようになされたミキサーを含む請求項54から61のいずれかに記載の装置。
  63. 前記コントローラに結合されたユーザー・インターフェースをさらに含み、前記ユーザー・インターフェースが、コマンドを受容する使用入力を含む請求項54から62のいずれかに記載の装置。
  64. 前記コントローラが、電気刺激、機械刺激、生物刺激の1つ又は複数の系列を自動伝達するための命令を保存するメモリ回路を含む請求項54から63のいずれかに記載の装置。
  65. 前記ユーザー・インターフェースがディスプレイ・スクリーンを含む請求項63、64のいずれかに記載の装置。
  66. 前記培養モジュールに結合されたモニタをさらに含み、前記モニタが前記培養モジュール中の前記細胞を観察するようになされた請求項54から65のいずれかに記載の装置。
  67. 前記モニタが、前記コントローラと前記ユーザー・インターフェースに結合された顕微鏡を含み、前記ディスプレイ・スクリーン上での前記細胞の観察を可能にする請求項66に記載の装置。
  68. 細胞治療のためのドナー細胞を調製する方法であって、
    培養培地中に前記ドナー細胞を配置するステップと、
    心筋の電気的条件をシミュレートする心臓の電気的条件を前記培養培地中に生成するステップと、
    前記心筋中の心筋細胞にかかる機械的力をシミュレートする機械的応力を前記ドナー細胞に対して生成するステップと、
    前記培養培地に1つ又は複数の外因性薬剤を導入して、前記ドナー細胞の1つ又は複数の生物学的特性を変化させるステップと
    を含む方法。
  69. 前記心臓の電気的条件を生成するステップが、前記ドナー細胞にペーシング・パルスを伝達することを含む請求項68に記載の方法。
  70. 前記ペーシング・パルスを伝達するステップが、0.1ボルトから10ボルトのペーシング電圧と、0.1ミリ秒から10ミリ秒のペーシング・パルス幅を有するペーシング・パルスを伝達することを含む請求項69に記載の方法。
  71. 前記ペーシング・パルスを伝達するステップが、所定の持続時間にわたって連続的に前記ペーシング・パルスを伝達することを含む請求項69、70のいずれかに記載の方法。
  72. 前記ペーシング・パルスを伝達するステップが、1日間から14日間にわたって連続的に前記ペーシング・パルスを伝達することを含む請求項71に記載の方法。
  73. 前記ペーシング・パルスを伝達するステップが、1つ又は複数の非ペーシング期間によって中断される所定の持続時間にわたって、前記ペーシング・パルスを伝達することを含む請求項69、70のいずれかに記載の方法。
  74. 前記ペーシング・パルスを伝達するステップが、1日間から14日間にわたって、5%から75%の使用率で前記ペーシング・パルスを伝達することを含む請求項73に記載の方法。
  75. 前記心臓の電気的条件を生成するステップが、前記培養培地に電場を印加することを含む請求項68から74のいずれかに記載の方法。
  76. 前記電場を印加するステップが、1メートル当たり1ボルトから100ボルトの強度を有する電場を印加することを含む請求項75に記載の方法。
  77. 前記電場を印加するステップが、所定の持続時間にわたって連続的に前記電場を印加することを含む請求項75、76のいずれかに記載の方法。
  78. 前記電場を印加するステップが、1日間から14日間にわたって連続的に前記電場を印加することを含む請求項77に記載の方法。
  79. 前記電場を印加するステップが、1つ又は複数の非刺激期間によって中断される所定の持続時間にわたって、前記電場を印加することを含む請求項75、76のいずれかに記載の方法。
  80. 前記電場を印加するステップが、1日間から14日間にわたって、5%から75%の使用率で前記電場を印加することを含む請求項79に記載の方法。
  81. 前記機械的応力を生成するステップが、前記ドナー細胞が周期的に伸長され弛緩されるように、前記ドナー細胞に周期的な機械的力をかけることを含む請求項68から80のいずれかに記載の方法。
  82. 前記機械的応力を生成するステップが、0.25ヘルツから2ヘルツの所定の周波数で、前記ドナー細胞を、その長さの約5%から20%、少なくとも1方向に延ばすことを含む請求項68から81のいずれかに記載の方法。
  83. 前記機械的応力を生成するステップが、所定の持続時間にわたって連続的に前記機械的応力を加えることを含む請求項68から82のいずれかに記載の方法。
  84. 前記機械的応力を生成するステップが、1日間から14日間にわたって連続的に前記機械適応力を加えることを含む請求項83に記載の方法。
  85. 前記機械適応力を生成するステップが、1つ又は複数の非刺激期間によって中断される所定の持続時間にわたって、前記機械的応力を適用することを含む請求項68から82のいずれかに記載の方法。
  86. 前記機械適応力を生成するステップが、1日間から14日間にわたって、5%から75%の使用率で前記機械適応力を加えることを含む請求項85に記載の方法。
  87. 前記1つ又は複数の外因性薬剤を導入するステップが、
    分化因子と、
    増殖因子と、
    血管新生タンパク質と、
    生存因子と、
    サイトカインと、
    血管新生タンパク質、増殖因子、分化因子、生存因子、サイトカイン、心臓細胞特異的な構造遺伝子産物、心臓細胞特異的な転写因子、膜タンパク質とアンチセンス配列の1つ又は複数を含む遺伝子産物をコード化する発現カセット(導入遺伝子)との1つ又は複数を導入することを含む請求項68から86のいずれかに記載の方法。
  88. 前記培養モジュール中の前記ドナー細胞の画像を提供し、ユーザーによる観察を可能にするステップをさらに含む請求項68から87のいずれかに記載の方法。
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