JP2006510730A - エピカテキンおよびカテキン由来のプロシアニジン類オリゴマーの合成法 - Google Patents

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Abstract

(4,8)フラバン間結合を有するプロシアニジンオリゴマー類を調製する様々な方法を開示する。改良法においては、ルイス酸の代わりに、酸性粘土を用い、テトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーまたはオリゴマーに、保護されたC−4アルコキシ−活性化−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーを結合させた。第2の方法としては、5,7,3’,4’−テトラ−O−保護、あるいは好ましくはペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーまたはオリゴマーに、C−4位にチオ活性化基を有するテトラ−O−保護、あるいは好ましくはペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーを反応させた。カップリングは銀テトラフルオロボレートの存在下で行った。第3の方法としては、銀テトラフルオロボレートの存在下、C−4位を2(ベンゾチアゾリル)チオ基で活性化した2分子のペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーを自己縮合させた。C−4アルコキシ活性化テトラ−O−ベンジル保護、8−ブロモブロック−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーを調製するための改良2工程法も提供されている。天然由来および合成のプロシアニジン−(4β,8)4−ペンタマーを用いて癌を治療することについても開示している。

Description

関連出願の相互参照:本出願は、2003年9月9日に受理された第10/658,241号の連続出願であり、該出願は、2002年10月2日に受理された仮出願第60/415,616号に基づく実用出願である。
縮合タンニン類(プロアントシアニジン類)は、植物界に広く分布しており、ヒトの食料の一部を担っており、健康への関与が顕著であるような多数の生物学的活性を発揮する。プロシアニジン類は、その顕著な生物学的活性が多岐にわたっていることから、栄養学、医学および健康の分野において、近年大いに注目を集めている。これらの化合物は、イン・ビトロ(in vitro)、イクス・ビボ(ex vivo)およびイン・ビボ(in vivo)において強力な抗酸化剤として作用し、従って、フリーラジカルの不均衡または摂動、および/もしくは多くの疾患において酸化によって進行する過程に関する病態生理学を変化させる可能性があり、あるいは、多くの細胞性過程を直接干渉することを示唆する事実が次々に確認されている。非特許文献1を参照。初期の実験観察において、脱脂カカオ豆から抽出したプロシアニジンに富んだフラクションが、数種のヒト癌細胞系においてイン・ビトロ(in vitro)増殖阻害を誘起したことも示されている。特許文献1(1996年9月10日、L.J.ロマンツィック(Romanczyk),Jr.らに付与)を参照。該特許文献を参照として本明細書中に取り入れておく。
イン・ビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(in vivo)における生物学的活性の比較評価を行うことを目的として、一連のプロシアニジンオリゴマー類を回収するための単離法、分離法、精製法および同定法が確立されており、さらに、現在では、いくつかのオリゴマー類は時間のかかる方法で合成することができる。例えば、水性溶媒中、触媒として鉱酸を使用し、遊離のフェノール体中においてモノマー(単体)を結合させようとする従前の試みは効率が良くなかった。収率は低く、反応の選択性は低く、オリゴマー類を単離することは困難であった。非特許文献2を参照。短所の概要を以下に述べる。
炭酸カリウム(K2CO3)とジメチルホルムアミド(DMF)とを組み合わせた中で臭化ベンジルを用い、遊離のモノマーからベンジル化モノマーを調製した。非特許文献3を参照。しかしながら、収率はわずか40%であった。さらに、競合して生じたC−ベンジル化が生成物の混在を招き、ベンジル保護された標的モノマーの単離がより困難になってしまった。また、C−2位およびC−3位において(+)−カテキンの部分的ラセミ化が観察された(非特許文献4を参照)。
文献には、酸化的機能化に関する2つの基本的方法が記載されている。非特許文献5および非特許文献6を参照。最も旧式の方法においては、ベンゼン中、保護されたた(+)−カテキンを四酢酸鉛(LTA)で処理することにより、4β−アセトキシ誘導体を生成し、次に、これを加水分解して3,4−ジオールにした。フラバン3,4−ジオールは、プロシアニジン類のバイオミメティック合成における最初の求電子基である。プロキラルベンジル位の酸化的機能化における最大の欠点は、四酢酸鉛(LTA)酸化反応のアセテートの収率が低い(30〜36%)ことである。C−4位を酸化的に機能化するためのより新しい方法においては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を使用する。この方法においては、メタノール中、DDQを用いて保護されたモノマーを処理した。この反応により、C−4位に立体選択的にメトキシ基を導入することができた。収率は約40〜50%であった。
水性酸中におけるモノマーとモノマーの3,4−ジオール類とのカップリング反応については多数の報告がなされている。これらの方法は、低収率、選択性の欠如、および水性溶媒からの精製困難という理由で不十分である。非特許文献7を参照。該文献においては、四塩化チタン(TiCl4)を触媒とし、4−ヒドロキシ−テトラ−O−ベンジル−(+)−カテキンと5等量のテトラ−O−ベンジル−(+)−カテキンとのカップリング反応を行うことにより、4α,8−および4β,8−カテキンダイマーの3:2混合物が生成したことが報告されている。このカップリングにより、4β,8−ダイマーならびにより高次のオリゴマーが得られ、このことにより、オリゴマーの分子量増加が縮小されている。
2,3−シス−3,4−トランス−フラバン−3,4−ジオール類を用いることにより、プロシアニジンB2およびB5誘導体を合成した。ジオールは、ベンゼン溶液中、四塩化鉛を触媒とし、(−)−エピカテキンテトラメチルエーテルのC−4ベンジル官能基をアシルオキシ化することによって調製した。メチル保護エピカテキンモノマーのC−4位におけるこのような酸化的機能化は、メタノール中、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を使用することによって改良され、C−4位にメトキシ基が導入された。保護されたC−4メトキシモノマーは、トリマー(三量体)までの4,8−結合直鎖プロシアニジンオリゴマー類の合成に使用された。非特許文献6を参照。
プロシアニジンオリゴマー類は、C−4置換基として、末端水酸基(例えば、2−ヒドロキシエトキシ基など)を有するC−Cアルコキシ基を有する保護されたエピカテキンモノマーまたはカテキンモノマーを用いて調製した。使用した保護基は、ベンジル保護基などのように、モノマーのA環を失活させないものであった。非特許文献8および特許文献2(2001年3月27日、L.J.ロマンツィック(Romanczyk),Jr.らに付与)を参照。C−4誘導体化保護モノマーに、保護されたカテキンモノマーまたは保護されたエピカテキンモノマーをカップリングさせることにより、保護された4,8−ダイマーが生成し、次に、これを脱保護するか、または、別のC−4誘導体化保護エピカテキンモノマーとさらにカップリングさせることにより、より高次の保護された4,8−オリゴマー類が生成した。4,6−結合を所望する場合には、保護されたカテキンモノマーまたはエピカテキンモノマーのC−8位をハロゲン基でブロックした後、C−4誘導体化保護エピカテキンモノマーまたはオリゴマーとカップリングさせた。4,8−および4,6−結合を有する高次オリゴマー類も調製した。保護されたダイマー類またはオリゴマー類を脱保護し、必要であれば脱ブロックした。カップリングは、プロトン酸またはルイス酸(四塩化チタン(TiCl4)など)の存在下で行った。フラバン間の結合の立体化学的性質は、特異的に保護された誘導体を合成し、その分解基準によって確認した。残念なことに、四塩化チタンを触媒としてさらにエピカテキンダイマーの結合伸長を行うと、位置異性体が生成した。このことは、収率の点のみならず、純度の点においても重大な欠点である。4β,8−トリマー類および4β,8−テトラマー(四量体)類は純粋な状態で単離されたにもかかわらず、高次オリゴマーには異性体が多数存在し、従って混在物が大量に生成することから、これらを自動的により大きなオリゴマー類に応用することは不可能であった。
この問題を解決することができるひとつの方法は、結合伸長された全てのオリゴマー類は、出発オリゴマーのうちの単一の異性体に少なくとも由来していることを確実にすることを目的として、各工程の反応後に伸長結合されたオリゴマーを注意深く精製することである。しかしながら、C−4誘導体化保護モノマーを用い、四塩化チタン触媒下、保護されたトリマー(2等量)の伸長結合を行うと、保護されたテトラマー(四量体)、ペンタマー(五量体)、および少量のより高次のオリゴマーが生成するのみならず、保護されたトリマーが分解してモノマーおよびダイマーになり、次にこれらが伸長結合に関与することにより、位置異性オリゴマー(保護された4β,6、4β,8−トリマーなど)が生じた。反応条件(塩化メチレン/テトラヒドロフラン(9:11)、0℃、15分、次に室温で140分)は最適ではなかったが、この有害な副反応が確認されたことは、よりよい合成法を追求するための正当な理由となった。
米国特許第5,554,645号明細書 米国特許第6,207,842号明細書 ニーヴェルト(Nijveldt),R.J.ら、Am.J.Clin. Nutr.2001, 74,418 ステインバーグ(Steynberg),P.J.ら、Tetrahedron, 1998, 54, 8153-8158 カワモト(Kawamoto),Hら、Mokuzai Gakkaishi, 1991,37,741-747 ピエール(Pierre),M.-C.ら、Tetrahedron Letters, 1997,38,5639-5642 ベッツ(Betts),M.J.ら、J.Chem.Soc.,C,1969,1178 スティーンカンプ(Steenkamp),J.A.ら、Tetrahedron Letters, 1985, 3045-3048 カワモト(Kawamoto),Hら、J.Wood Chem.Technol., 1989,9,35-52 コズィコウスキ(Kozikowski),A.P.ら、J.Org.Chem.2000,65,5371-5381
従って、エピカテキンオリゴマー類、特に、高次オリゴマー類を合成するための改良法、ならびに、保護されたより高次のエピカテキンオリゴマー類を伸長結合用の基礎的構成要素として使用してさらに高次のオリゴマー類を得る過程が必要とされている。
ひとつの実施態様においては、酸性粘土存在下、(5,7,3’,4’−テトラ−O−保護)−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーに5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−4−(アルコキシ)−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーをカップリングさせることにより、ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−保護)−エピカテキンもしくは−カテキンの(4,8)−ダイマーならびにより高次の(4,8)−オリゴマー類を調製した。使用した保護基は、保護されたモノマー類のA環または保護されたオリゴマー類の上部ユニット(すなわち、mer)のA環を失活させてはならない。好ましい保護基はベンジル基である。適切な4−アルコキシル基は、末端水酸基、好ましくは2−ヒドロキシエトキシ基を有するC−Cアルコキシル基である。モノマー類をベンジル保護した場合、保護されたエピカテキン(4β,8)−ダイマーは非常に高収率で生成された。同一条件下において、ひとつ低次の(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−エピカテキンおよび/もしくは−カテキンの(4,8)−オリゴマーから、ベンジル保護されたエピカテキンの(4,8)−トリマー、テトラマーならびにペンタマーが位置選択的に得られた。好ましい酸性粘土はモンモリロン石粘土である。保護されたモノマー類および保護されたオリゴマー類はカラムクロマトグラフィーで分離し、その後、保護基を水素で置換した。
チオールC−4活性化基を有するテトラ−O−ベンジル保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーを用い、テトラ−O−ベンジル保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマー類またはオリゴマー類を伸長させる方法も提供される。C−4活性化モノマーは、C−4活性化したテトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマー(例えば、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンなど)にチオール誘導体反応試薬を反応させることによって調製され、このとき、該チオール誘導体反応試薬は、2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその他の複素環チオール(例えば、2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオールまたは4−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオールなど)から生成された有機アルミニウムチオラートなどである。好ましくは、アセチル化により、求電子性反応対および求核性反応対を用いてC−3水酸基を保護することにより、C−3水酸基の所望しない干渉を避けた。4−チオ基を導入することによってテトラ−O−ベンジル保護モノマーを活性化した後にアセチル化を行った。伸長結合は、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボレート、または好ましくは銀テトラフルオロボレートの存在下で行った。好ましくは銀テトラフルオロボレートは、反応前に乾燥させた。より好ましくは、乾燥は反応直前に減圧乾燥することによって行った。得られた混合物は、保護されたトリマー類から保護されたオクタマー(八量体)類までを含んでいた。逆相高圧液体クロマトグラフィーによって保護されたオリゴマー類を単離した。もしアセチル保護基が存在していたならば、好ましくは水性テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシドを用いて除去した。ベンジル保護基は水素化分解によって除去したが、好ましくは、アセチル保護基が存在している場合にはこれを先に除去した。エピカテキンに関しては、収率はほぼ等量であった。オリゴマー類は、過酢酸塩(パーアセテート)として特性付けを行った。
別の実施態様においては、銀テトラフルオロボレートの存在下、C−4チオ活性化基(例えば、C−4−(2−ベンゾチアゾリル)チオ基など)をそれぞれ有する2個の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル保護−エピカテキンまたは−カテキンの(4β,8)−オリゴマー類を交差カップリングさせることによって伸長結合を行った。
5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−アルコキシ−8−ブロモ−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーを調製するための改良法も提供される。従来の技術においては、C−8ブロック、C−4アルコキシモノマー類を調製するための4工程法の収率は約51%であった。各工程は次のような反応を含む:(i)2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)の存在下、エチレングリコールと反応させることにより、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンのC−4位を活性化し(収率63%)、(ii)4−ジメチル−アミノピリジン(DMAP)の存在下、イミダゾール中でtert−ブチルジメチルシリルクロリドと反応させてtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を導入することによってC−4−(ヒドロキシエトキシ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンの3−水酸基を保護し(収率88%)、(iii)塩化メチレン中、−40℃においてN−ブロモスクシンイミドと反応させることにより、8−ブロモ基を導入し(100%)、さらに、(iv)テトラヒドロフラン中、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)と反応させることにより、TBDMS基を除去した(92%)。改良2工程法には次のような反応を含む:5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンもしくは−カテキンについて、(i)DDQの存在下、エチレングリコールと反応させることによって活性化し、さらに、(ii)N−ブロモスクシンイミドと反応させることにより、臭素化することによってブロックする、あるいは、(i)臭素化によって5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンもしくは−カテキンをブロックし、次に、(ii)活性化する。2工程法の全体収率は、モノマーがエピカテキンであって活性化を先に行った場合には約63%、モノマーがエピカテキンであってブロックを先に行った場合には約67%であった。
合成プロシアニジンオリゴマー類は、順相HPLCにより、カカオ豆抽出物から単離されたプロシアニジンオリゴマー類と同一であった。フラバン間の結合についての位置および立体化学については、部分チオリシスによって確定した(ホール(Hoer),Mら、Phytochemistry 1996,42,109を参照)。テトラマーに関しては、上部フラバン間結合は4β,8であり、分子の下部はトリマーと同一であり、トリマーについても部分チオリシスを行って両結合が4β,8であることが確認されている(ホール(Hoer),Mらを参照)。本発明の伸長結合過程においては、最初に形成した3個のフラバン間結合は4β,8結合であり、より高次のオリゴマー内に存在するさらなるフラバン間結合に関しても同様であると考えられる。
数種の乳癌細胞系において試験を行ったところ、合成および天然のプロシアニジンペンタマーは細胞増殖を阻害し、また、テトラマーも若干阻害した。MDA MB-231細胞系を使用することにより、上記の結果は、細胞サイクルがG0/G1期に留められることに基づくことが確認された。続いて起こった細胞死は、アポトーシス性のものではなく、壊死性のものと考えられた。対照実験では、過酸化水素ではなく、プロシアニジン自身が細胞死の原因物質であることが示された。
A.酸性粘土を触媒とする、保護されたエピカテキンダイマー類およびトリマー類の伸長結合
モンモリロン石粘土(例えば、ベントナイト(Bentonite)K-10など)のような酸性粘土を触媒とし、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンおよび5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−カテキンの伸長結合を行った結果、保護された(4β,8)−ダイマーがほぼ限定的に生成した。保護されたモノマーがエピカテキンの場合、単離収率は90%であり、同時に、保護された(4β,8)2−トリマーが少量生成し、4,6−結合オリゴマー類は生成しなかった。このような条件下においてモノマーとダイマーとの反応性が驚異的に異なることにより、大多数のダイマーが、それ以上の伸長結合に進行することなく残った。この伸長結合プロトコールを利用し、ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)ダイマーに、2−ヒドロキシエトキシ基を用いてC−4位を活性化した5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを反応させることにより、(4β,8)2−トリマーが40%の収率で得られ、同時に(4β,8)3−テトラマーが13%の収率で得られた。本反応がきれいであることにより、カラムクロマトグラフィーによって、ダイマーからモノマーを、さらに、トリマーからダイマーを初めて部分分離することができた。このことにより、HPLC精製に要する材料の量が大幅に削減された。
B.C−4位にチオ基を有する5,7,3’,4’−保護もしくは3,5,7,3’,4’−保護−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーの伸長結合
別異の伸長結合においては、2−(ベンゾチアゾリル)チオ基などのようなチオール基を用い、5,7,3’,4’−保護−エピカテキンまたは−カテキンのC−4位を活性化した。伸長結合は銀テトラフルオロボレートで触媒した。エピカテキンまたはカテキンのモノマーのC−4位に2−(ベンゾチアゾリル)チオ基を導入するために使用した反応試薬は、2−メルカプトベンゾチアゾールであり、これは、不揮発性、無臭の複素環チオールである。本伸長結合反応においては、保護されていないモノマー類よりも、C−4誘導体化−C−5,7,3’,4’−ベンジル保護モノマー類が好ましいが、その理由は、保護されていないC−4誘導体化モノマー類よりも保護されたモノマー類の方が扱いが容易であり、安定性が高く、入手しやすいからである。チオ基は、2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオール、1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオールを用いた反応によっても導入することができた。
2−(ベンゾチアゾリル)チオ活性化基を有するモノマーは、C−4位に2−ヒドロキシエトキシ基を有する保護されたエピカテキンまたはカテキンに有機アルミニウムチオレートを反応させることによって調製したが、このとき、有機アルミニウムチオレートは、2−メルカプトベンゾチアゾールとトリメチルアルミニウムとからイン・サイチュー( in situ )で調製した。ツェミレフ(Dzhemilev),U.M.ら、Izv. Akad. Nauk SSSR,Ser. Khim.,1988,2645を参照。得られた4−チオエーテルは2つの立体異性体の混合物であり、これらは、フラクション結晶化およびカラムクロマトグラフィーによって単離することができた。主要立体異性体のみを次のカップリング反応に使用したが、少量立体異性体も使用することができた。
伸長結合は、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンもしくは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルカテキンならびに主要立体異性体の溶液に銀テトラフルオリドボレート(AgBF4)を加えることによって行った。この結果、保護されたプロシアニジン(4β,8)−ダイマーおよび(4β,8)2−トリマーが形成された。順相HPLCによって分離した後、保護されたダイマー、トリマーおよびモノマーを回収した。さらに逆相HPLCをによる分離を行い、副生成物として保護された3−O−4ダイマーが得られた。本伸長結合の過程においては、3−水酸基の所望しない反応を回避することを目的として、ベンジル−保護モノマーおよびベンジル−保護ダイマーをアセチル化することによって3−水酸基を保護した。収率はほぼ定量的であった。アセチル−およびベンジル−保護ダイマー、ならびにアセチル−およびベンジル−保護モノマーの溶液に銀テトラフルオロボレート溶液を添加した場合には、期待されたアセチル−およびベンジル−保護トリマーならびにテトラマーが生成したが、収量はわずかであった。伸長結合が非常に遅かった理由としては、混入した水がフラバノイド求核剤と競合したことであり、カップリングによる主生成物は4−ヒドロキシモノマー3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキンであった。さらに、4−ヒドロキシダイマーである3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4β,8−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキンも少量単離されたことから、チオエーテルの自己縮合後に伸長結合または加水分解が起こったことが示唆された。
収量を上げる試みとして、保護されたダイマーおよび保護されたモノマーに粉末モレキュラーシーブを加えて撹拌することによって乾燥させた後、銀テトラフルオロボレートを加えた。しかしながら、収率に変化はなかった。モレキュラーシーブを用いて最初にAgBF4を乾燥させ、その後、残りの反応物質を加えた場合には、反応が起こらなかった。銀テトラフルオロボレートを減圧乾燥し、その直後にカップリング反応を行うことにより、問題が解決され、3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの加水分解が許容範囲にまで減少した。
乾燥した銀テトラフルオロボレートは、保護されたモノマーおよび保護されたダイマーと1:2.5のモル比で使用することにより、トリマーであるトリス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマーからオクタマーであるオクタキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)7−オクタマーに至る、一連の保護されたオリゴマー類が単離され、合計収率は91%であった。反応は非常にきれいであり、4,6−オリゴマー類は検出されなかった。
同様の結果は、C−4誘導体化、ベンジル−およびアセチル−保護モノマーにベンジル−およびアセチル−保護トリマーならびにテトラマーをカップリングさせた場合にも得られた。HPLC溶媒の濃度勾配の最終工程において酢酸エチル(非極性溶媒)をアセトニトリルと予め混合しておいた場合には、これらの反応から、保護されたアンデカマー(十一量体)までのオリゴマー類を逆相HPLCによって単離することができた。酢酸エチルを使用することにより、単体に強く保持されていた高次オリゴマー類を回収することができたが、次のHPLC工程において除去されるべきである多量の脂肪族不純物も溶出したことから、生成物の総回収率が低下した。
ノナマー(九量体)までの全ての保護されたオリゴマー類(すなわち、ベンジルエーテル−アセテート類)は、テトラヒドロフラン中、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシドの40%水溶液を用い、ほぼ定量的収率で脱アセチル化した。この塩基を使用した理由は、出発材料が親油性であるために必要とされる比較的低極性の反応溶媒に対して、良好な溶解性を示すからである。得られたベンジル−エーテル類の1H-NMRスペクトルは、2つの主要な回転体のシグナルと共に、微量の追加の回転体のシグナルを示しており、そのような回転体は、オリゴマー鎖が長くなるにつれて量が増えていた。これらの微量構成成分は、位置異性体ではなく、回転体であると考えられ、その理由は、前駆体アセタート類のスペクトルには同様のシグナルが存在しないからである。CDCl3中で調製したベンジルエーテル類のサンプルは、解析が良好であり、水酸基(OH)プロトンに対する特徴的なシグナルがδ1.8−1.1の領域に存在していた。
ベンジルエーテル類(トリマーからオクタマーまで)は、Pearlmanの触媒を用いて加水分解することによって脱保護し、保護されていないオリゴマー類を生成した。好ましくは、この脱保護反応は、重炭酸塩で洗浄したガラス器具を用いて行う。その理由は、このような予防措置を講じなかった場合には、低次オリゴマーへの部分分解が観察される場合があり、これは、反応フラスコのガラス表面の酸性度によるものと考えられているからである。溶解しやすいプロシアニジンを得るためには、他の研究者らによる報告と同様に、粗生成物のろ液を水で希釈し、有機溶媒の大部分を除去するために部分蒸留を行い、残留溶液を凍結乾燥した。粗溶液を直接蒸留して乾燥させた時に、部分的に不溶性材料が得られた場合には、分解が生じていることを示している。燃焼分析の結果、凍結乾燥生成物は、エピカテキン部位あたり1.3〜2等量の水を含有していることが示された。
エピカテキン(4β,8)2−トリマー、エピカテキン(4β,8)3−テトラマーおよびエピカテキン(4β,8)4−ペンタマーを順相HPLCによって分析し、カカオ(Theobroma cacao)から精製した天然のトリマー、テトラマーおよびペンタマーに対して比較を行った。合成プロシアニジン類の純度は94%〜96%であり、天然由来のオリゴマープロシアニジン類のそれよりも2〜4%高かった。合成プロシアニジン類のtR値は、天然のオリゴマー類のそれらと一致し、従って、天然ココアプロシアニジン類中のエピカテキン4β,8の位置および立体化学を確認した。ココアから精製した天然のプロシアニジン類は全て、主ピークの前後に不純物のピークが観察され、特に、テトラマーとペンタマーでは不純物ピークが多かった。これらの領域をHPLC/MSによってスキャンすると、[M]または[M+Na]イオンにおいて変化がないことが明らかになり、このことは、これらの微量不純物は主要オリゴマーの異性体であることを示している。文献によれば、これらの微量不純物は、イン・ビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(in vivo)活性に関与している可能性があり、天然のオリゴマー類のみに基づく構造−活性相関を混乱させる可能性がある。従って、以下の実施例に示すように、予防措置として、天然および合成のプロシアニジン類を生物学的アッセイに使用した。
不純物およびそれらを導く副反応の性質については明らかになっていないが、ひとつの主要不純物が存在しているというよりもむしろ複数の微量不純物が存在していた。これは良い傾向とはいえない。が、報告されている旋光度を比較すると、例えば、遊離の(4β,8)−ダイマーまたはテトラマーにおいては、大きなばらつきがあることが明らかになり、これは、単に水和度の差によるものではなく、これらのサンプルのうちのいくつかにおいて未知の不純物が存在していることを示唆しているものと考えられる。
遊離のポリフェノール類は、酸素および酸(酸は、HPLCのピークのテーリングを軽減するための溶媒添加剤として必要である)に対する感受性が高いことから、元来、精製には不向きであり、また、NMRスペクトルは、ラインのブロードニングがひどいために帰属不能であることから、これらの化合物は、パーアセタート(過酢酸物)として特性付けを行う。パーアセタートの1H-NMRスペクトルは、2個の回転異性体に対する鋭いシグナル(トリマーに関しては2:1、より高次のホモログに関しては全て3:2)を示し、さらに、アセタート領域は有効な「指紋領域」であることから、ヘプタマーからオクタマーに至るまでの化合物の同定には非常に適していた。オリゴマー鎖が長くなるに従い、鎖の内部に存在するエピカテキンユニットの類似プロトン間の化学シフトの差異が大きくなり、300MHzでは同定できなくなり、十分に分離した新規のシグナルを呈しない、帰属不能のシグナルクラスターが増加した。これらのスペクトルは、以後の参照として有用であった。13C-NMRスペクトルはヘキサマーまでのオリゴマーについて得られ、それより高次のオリゴマーでは測定に十分な量の材料が得られなかった。トリマーおよびテトラマーの1H-NMRスペクトルは文献のスペクトルと良く一致した。トリマーとテトラマーに関してはホール(Hoer),Mら、Phytochemistry 1996,42、トリマーに関してはスティッチャー(Sticher),O.F. Chromatogr.A.,1999,835,59を参照のこと。テトラマーの場合には、部分チオリシス(ホール(Hoer),Mらを参照)を行って「上部」フラバン間結合に関する(4β,8)−位置化学および−立体化学を確立し、一方、分子の「下部」はトリマーと一致した。続いて、この化合物を部分チオリシスし、フラバン間結合の両方が(4β,8)であることを確認した(ホール(Hoer),Mらを参照)。故に、伸長結合の過程において、最初に形成された3つのフラバン間結合がすべて4β,8型であったことから、より高次のオリゴマーにおけるさらなるフラバン間結合に関しても同様であると考えられた。
C.C−4位に(2−ベンジルチアゾリル)チオ基を有する3,5,7,3’,4’−保護モノマー類、ならびにC−4位に(2−ベンジルチアゾリル)チオ基を有する3,5,7,3’,4’−保護オリゴマーおよび3,5,7,3’,4’−保護オリゴマーの交差カップリング
C−4位に(2−ベンジルチアゾリル)チオ基を有する5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンモノマー類は、銀テトラフルオロボレートの存在下で自己縮合して非常に複雑な混合物を生成し、そのような混合物からベンジル保護4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−ダイマー、−トリマー、およびおそらく−テトラマーが少量ずつ単離された。再配列されたベンジル−保護モノマーおよびダイマーも単離され、これらのC−4位の基はチアゾリル環のイオウ原子よりも窒素原子に結合していた。この部位が硫黄から窒素へ移動していることは、モノマーにおいて、チオカルボニル基の炭素原子に帰属できる13C-NMRシグナルがδ190.3に観察されたことによって確認した。上述の反応混合物が複雑であった理由は、ひとつには、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン4−O−3−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキンと同様に4−O−3−結合オリゴマー類を形成しているからだと考えられる。AgBF4を触媒とする3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの自己縮合により、4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−置換オリゴマー類、すなわち、ダイマー、トリマーおよびテトラマーが低い収率で得られた。これらの生成物と共に、反応スケールが小さかったことから、かなりの量の4−ヒドロキシ副生成物も生成した。副生成物は、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキンおよび3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)]−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)であった。
銀テトラフルオロボレートの存在下で行った3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−(2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]のテトラキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマーとの反応により、期待されたヘキサマー、すなわちヘキサキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)5−ヘキサマーが12%の収率で得られ、同時に、副生成物としてオクタキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)7−オクタマー、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン、および3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)が得られた。
従って、伸長は、2個のフラバノールユニットを増やすことによって可能であった。この方法は、保護された高次のエピカテキンオリゴマー類の伸長結合に利用すべきであり、それらの化合物は、モノマー性5,7,3’,4’−保護、C−4誘導体化した基礎的構成要素よりも価値があるからである。
D.C−8位にブロモブロッキング基を有する5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンおよび−カテキンのモノマー類を調製するための改良法
5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーのC−4位は、アルコキシ基(例えば、2−ヒドロキシエトキシ基など)を導入することによって活性化し、さらに、C−8位をブロモ基でブロックした。活性化およびブロック工程は続けて行うことができ、収率は約63%から67%であった。活性化は、保護されたモノマーまたはブロックされ保護されたモノマーを反応させることによって行った。DDQの存在下、エチレングリコール中で行った。保護は、塩化メチレン中、−40℃において、保護されたモノマーまたは活性化され保護されたモノマーにN-ブロモスクシンイミドを反応させることによって行った。
E.プロシアニジン(4,8)−ダイマージガレート類の調製
エピカテキン−および/またはカテキン−(4,8)−ダイマージガレート類は、ヒドロキシ保護没食子酸、好ましくはヒドロキシ−塩化没食子酸を用いてオクタ−O−保護(4,8)−ダイマー類をエステル化することによって調製した。ダイマー、ならびに酸もしくは酸ハライドに対する好ましい保護基はベンジル基である。調製可能なダイマージガレート類としては、エピカテキン−(4β,8)−エピカテキンジガレート、エピカテキン−(4β,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4α,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4β,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4α,8)−エピカテキンジガレート、およびカテキン−(4β,8)−エピカテキンジガレートなどが挙げられる。
テトラ−O−保護(4,8)−エピカテキンおよび/または−カテキンのダイマー(例えば、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンなど)は、トリ−O−ベンジルガロイルハライドを用いてエステル化した。トリ−O−ベンジル没食子酸は、イン・サイチュー( in situ )においてハロゲン化物、例えば、塩化物などに変換させることができる。エステル化は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、ピリジン溶液中で行った。20%のPd(OH)2/Cを用いた水素化分解によって、脱保護ビスガレートが得られた。ダイマーがエピカテキン−(4β,8)−エピカテキンの場合、脱保護ビスガレートは水和物(ビスガレート1分子あたり水5.3等量)として収率90%で回収され、クロマトグラフィー精製は不要であった。
エピカテキン−(4β,8)−エピカテキンビスガレートの調製については、「ポリフェノールの化学および生物学的活性についての研究(Studies in Polyphenol Chemistry and Bioactivity)」、1.(+)−カテキンからの基礎的構成要素の調製(Preparation of Building Blocks from (+)-catechin)、プロシアニジンの形成(Procyanidin Formation)、癌細胞増殖阻害因子である3−O−ガロイル−(2R,3R)−エピカテキン−(4β,8)−[3−O−ガロイル−(2R, 3R)−エピカテキン]の合成(Synthesis of the Cancer Cell Growth Inhibitor, 3-O-Galloyl-(2R,3R)-epichatechin-(4β,8)−[3-O-galloyl-(2R,3R)-epichatechin])、(W.テュックマンテル(Tueckmantel)ら、J. Am. Chem.Soc.,1999,121,12073-12081)に開示されている。エピカテキン−(4α,8)−エピカテキンビスガレートの没食子酸エステルの調製については、「ポリフェノールの化学および生物学についての研究(Studies in Polyphenol Chemistry and Biology)」、3.β−型プロシアニジンの非天然型異性体であるエピカテキン−4α,8−エピカテキンの立体制御合成(Stereocontrolled Synthesis of Epichatechin-4α,8-epichatechin, an Unnatural isomer of the β-Type Procyanidin)(Alan P.コズィコウスキー(Kozikowski)ら、J. Org. Chem.,2001,66,1287-1295)に開示されている。
反応試薬、試験方法および分析方法
反応試薬
Pearlmanの触媒(20%Pd(OH)2/C)は、アルドリッヒ(Aldrich)社から購入し、50%以下の水を含有していた。ベントナイト(Bentonite)K-10は、アクロス(Acros)社から購入した。その他の化学物質については、テュックマンテル(Tueckmantel),W.ら、J. Am. Chem.Soc.,1999,121,12073-12081を参照のこと。
アセチル化
遊離のプロシアニジン類は、酸素および酸に対する感受性が強いために精製が困難であり、また、NMRのラインのブロードニングが激しいために帰属ができないことから、これらの化合物はパーアセタートとして特性付けを行った。パーアセタートの1H NMRスペクトルは2個の回転異性体(トリマーについては2:1、より高次のオリゴマー類については3:2)に対する鋭いシグナルを示した。オクタマーまでのスペクトルは、化合物の同定に非常に適していた。アセタート領域は有用な「指紋領域」である。13C NMRはヘキサマーまでのオリゴマーで測定可能であった。
トリマーおよびテトラマーの1H NMRスペクトルは、文献値と良く一致した。
スペクトル
特に記載していない限り、1H および13C NMRスペクトルは、CDCl3中、それぞれ300および75MHzで通常の振動数において測定した。1H NMRスペクトルは内部標準物質であるTMSと比較し、13C NMRスペクトルは、内部標準物質のTMSが非常にはっきりしている場合はTMSと比較し、そうでなければCDCl3のシグナル(δ77.00)と比較した。燃焼分析はミクロ−アナリシス(Micro-Analysis)社(デラウェア州ウィルミントン)で行った。
カラムクロマトグラフィー
カラムクロマトグラフィー(CC)は、メルク(Merck)社のシリカゲル60(No.7734-7)(粒子径63〜200μm)を用いて行った。TLCは、メルク(Merck)社のシリカゲル60 F254(No.7734-7)(厚さ250μm)を用いて行い、UV光またはアルカリKMnO4溶液を用いて可視化した。
プロシアニジン類の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
遊離のプロシアニジンオリゴマー類のクロマトグラフィー分析は、オートインジェクター、4個組(quaternary)HPLCポンプ、カラムヒーター、ダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、ならびにデータ収集およびサンプル操作のためのHP Chem Station を備えたHP1100 HPLCシステム(ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)社、カリフォルニア州パロアルト)を用いて行った。順相分離は、フェノメネックス(Phenomenex)社(カリフォルニア州トーランス)の250×4.6mm、5μmProdigyカラムを用いて行った。検出器は、蛍光検出器を用い、λex=276nmおよびλem=316nmで使用した。三成分移動相は、(A)ジクロロメタン、(B)メタノールおよび(C)酢酸:水(1:1v/v)を用いた。分離は、流速1ml/分で4%のCを含むAにBを次のように工程的に添加した:0〜30分はAにBを14.0%〜28.4%添加、30〜50分はAにBを28.4%〜38.0%、50〜51分はAにBを38.0%〜86.0%添加、51〜56分はAにBを86.0%〜等量。
その他のHPLCについては、次のようなカラムを使用した:カラムAは、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)社のRP-8、200×4.6mm、流速1.0ml/分;カラムBは、ウォーターズ(Waters)社のμBondapak C18、300×75mm、流速2.8ml/分;カラムCは、ウォーターズ(Waters)社のμBondapak C18、300×19mm;カラムDは、ウォーターズ(Waters)社のμBondapak C18、300×30mm、流速42ml/分、カラムEは、ワットマン(Whatman)社のPartisil 10、500×9.4mm、流速5.0ml/分、カラムFは、ワットマン(Whatman)社のPartisil 10、500×22mm、流速26ml/分。検出は280nmにおけるUV吸収によって行った。保持時間は、カラムの使用歴およびその他の微妙な状況によって実質的に変化した。HPLCは方向付けのために単独で引用されるものであり、絶対的な参照サンプルとの比較なしに生成物の同定に使用すべきでない。詳細については以下の実施例を参照のこと。
プロシアニジン類の高圧液体クロマトグラフィー/質量スペクトル(HPLC/MS)分析
天然および合成のプロシアニジン類のHPLC/MS分析は、上述のHPLCシステムを使用して行い、該システムは、API-ESイオン化チャンバーを備えたHP Series 1100質量選択検出器(モデルG1946A)に接続させた。イオン化試薬は質量スペクトロメーターの直前で溶媒流中にティー(tee)を介して添加した。正のイオンモードにおける分析条件としては、流速0.05ml/分において0.05Mの塩化ナトリウムを導入してイオン化を補助し、毛管電圧は3.5kV、フラグメント電圧は100V、噴霧圧は25psig、および乾燥気体温度は350℃であった。スキャンは、1.96秒/サイクルでm/z100〜3000の質量範囲について行った。
細胞系
ヒト乳癌細胞系MCF-7、SKBR-3、MDA 435およびMDA MB-231は、ジョージタウン大学医学部(Georgetown University Medical Center)のロンバルディがんセンター細胞培養中核部(Lombardi Cancer Center Cell Culture Core Facility)から入手した。MDA MB-231は、P53欠損、ER(−)および本質的にK-ras発現性である。細胞は、10%のFBS(ギブコBRLライフテクノロジーズ(Gibco BRL Life Technologies))添加IMEM培地(バイオフルーズ(BioFluids)社)中、T-75s内において、37℃、加湿した5%CO2条件下において培養した。
細胞毒性アッセイ
細胞毒性は、96穴のマイクロタイタープレート内において、被験化合物で処理した数種のヒト乳癌細胞系について行ったが、このとき、微量培養テトラゾリウムアッセイはMTTではなくクリスタルバイオレットに変更して実施した。方法を概説すると、1ウェルあたり1〜2×103個の細胞を加え、加湿、5%CO2下、約50%のコンフルエントに達するまでで培養した。滅菌ろ過した被験化合物を様々な濃度で添加し、さらに12〜36時間プレートを培養した。増殖培地を除去し、200μMのPBS(pH 7.4)を用いて各ウェルを2回ずつ洗浄した。洗浄後、ろ過した50μLのクリスタルバイオレット液(2.5g/125mlのメタノール+375mlの水)を添加した。5分後、クリスタルバイオレットを除去し、プレートを水で3回洗浄した。プレートを放置して乾燥させ、クリスタルバイオレットで染色された細胞は、0.1Mのクエン酸ナトリウム(エタノール/水=1:1(v/v))溶液100μLに再溶解させた。1時間経過後、モレキュラーデバイシーズコーポレーション(Molecular Devices Corporation)のマイクロタイタープレートリーダーを用いて570nm(ref. 405nm)においてプレートをスキャンし、データはSOFTMAXソフトウェアプログラムを用いて記録した。ブランク、対照、ビヒクルおよび試験濃度に関して3回読みとりを行って得られた平均値を統計的データ操作に使用した。
フローサイトメトリー
MDA MB-231細胞は、約50%のコンフルエントに達するまで、上述に従って培養した。次に、滅菌ろ過した被験化合物、または100U/ mlに調製したカタラーゼ(シグマ( Sigma )社、#C9322)、もしくは熱不活化カタラーゼ(沸騰水中に溶液を15分間浸漬した)、あるいは過酸化水素(H2O2)を加え、さらに24時間細胞を培養した。次に、細胞をトリプシン処理して計数し、1.5×106個の細胞を採取してヴィンデロヴ法(Vindelov method)による細胞周期分析を行った。ヴィンデロヴ(Vindelov),L.ら、「フローサイトメトリーによるDNA分析に使用する核の調製を行うための界面活性剤トリプシン法(A Detergent Trypsin Method for the Preparation of Nuclei for Flow Cytometoric DNA Analysis)」, Cytometry,1983,3,323-327を参照。分析は、ジョージタウン大学医学部(Georgetown University Medical Center)のロンバルディがんセンターフローサイトメトリー中核部(Lombardi Cancer Center Flow Cytometry Core Facility)において行った。
アネキシンV-FITC
アネキシンV-FITCアッセイは、TACS(商標)Annexin V-FITCキット(トレヴィジェン(Trevigen)社)を使用し、メーカーによって示された手順に従い、プロシアニジン処理したMDA MB-231細胞上で行った。
実施例1−テトラ−O−保護、C−4活性化モノマー類の調製
A部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンの調製
220mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に21.5g(33.0mmol)5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを溶解した溶液に、室温において11.0ml(198mmol)のエチレングリコールを加え、次に、十分撹拌しながら15.0g(66mmol)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を一度に加えた。室温において塩化カルシウム(CaCl2)管を付けて110分間激しく撹拌した後、50mlの無水塩化メチレンに8.5g(69.5mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を溶解した溶液を加えたところ、暗色の沈殿が多量に生成した。さらに室温で10分間撹拌した後、目の粗いガラスろうとで混合物をろ過し、50mlの塩化メチレンで沈殿物を洗浄し、ほぼ乾燥するまで溶液を留去した。残渣は、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)溶液を用いてシリカゲル(17×9cm)に通し、生成物を含む全てのフラクションを集めた。溶媒を留去して約75mlにしたところ、結晶が出始めた(核を入れる必要あり)。等容量のヘキサンを加え、室温で一晩結晶化を行わせた。吸引ろ過、25mlの酢酸エチル/ヘキサン(1:2)を用いた2回の洗浄、さらに減圧乾燥(始めは室温、次に40℃)により、灰白色固体の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンが10.6g(45%)得られた。HPLCで分析したところ、純度97%のAKAアセタニトリルであることがわかった(カラムB;0〜20分は50〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN;tR=17.9分)。母液をシリカ(SiO2)カラムクロマトグラフィー(33×5cm)にかけ、始めに酢酸エチル/ヘキサン(1:2)(前流)、次に酢酸エチル/ヘキサン(2:3)(生成物)を用いて溶出させることにより、さらに生成物を得た。溶媒留去後、得られた琥珀色のガラス状物質(1.0g、純度69%)を酢酸エチル/ヘキサンから2回再結晶することにより、さらに0.5g(20%)の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキン(純度98%)を得た。
B部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンの調製
上述の方法に従い、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンを調製した。
実施例2−酸性粘土を触媒とするテトラ−O−保護カテキンもしくはエピカテキンのモノマー類とテトラ−O−保護、C−4活性化カテキンもしくはエピカテキンのモノマー類との縮合
A部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンと5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンとの縮合
115mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に9.26g(14.2mmol、4等量)の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンおよび5.0gのベントナイト(Bentonite) K-10粘土を溶解/懸濁した溶液を氷冷、撹拌、除湿しながら、35mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に2.53g(3.56mmol)の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンを溶解した溶液を2.5時間かけて加えた。添加の最後には水浴の温はを6℃に上昇した。水浴中でさらに1時間撹拌を続け、その間、温度は12℃まで上昇した。吸引しながらセライト上で粘土をろ去し、50mlの塩化メチレンで固体を2回洗浄した。20mlのトルエンを加えて溶媒を留去して容量を減らした。残渣は、酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(1:14:14)を溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(60×5cm)にかけた。始めに、未反応の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキン(5.95g)が溶出し、続いて4.01gのモノマー/ダイマー混合フラクションが溶出し、最後に純粋な(HPLCによる純度98%)ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−エピカテキン(4β,8)−ダイマーが1.15g得られた。残りの少量のダイマーは、溶媒比1:7:7においてトリマーと共に混合フラクションとして溶出した(0.27g)。
混合フラクションは、それぞれメチルシアニド(CH3CN)に溶解し、分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)の水溶液、その後CH3CN;ダイマーおよびトリマーのtRはそれぞれ23.3分および30.1分)で分離した。適切なフラクション毎に集め、溶媒留去、減圧乾燥した後の収率は次の通り:5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキン6.89g(回収率74%);ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−エピカテキン(4β,8)−ダイマー4.26g(収率92%);トリス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマー74mg(収率2%)。ビス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−エピカテキン(4β,8)−ダイマー:13C NMR(CDCl3,TMS中)δ158.34,158.07,157.91,157.07,156.83,156.56,156.49,155.89,155.53,155.07,154.44,152.83,149.17,149.01,148.92,148.66,148.60,148.40,148.18,137.40,137.38,137.30,137.28,137.22,137.17,137.01,136.97,132.61,132.43,131.18,131.14,128.6-126.6,119.96,119.79,118.79,118.65,115.02,114.89,114.35,114.05,113.52,112.93,112.46,111.58,111.17,104.45,102.29,101.76,94.34,93.96,93.33,93.15,92.93,91.52,78.84,78.07,75.63,72.41,72.14,71.48,71.35,71.22,70.81,70.48,69.92,69.86,69.78,69.47,69.05,66.50,65.15,35.90,35.78,28.74,28.61。その他のデータについては文献に記載済み(テュックマンテル(Tueckmantel),W.ら、J. Am. Chem.Soc.,1999,121,12073-12081を参照)。
別の実験(3.17mmolの5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンを使用)においては、カラムクロマトグラフィーを行うことにより、モノマーとダイマー、ならびにダイマーとトリマーとは完全に分離し、トリマーおよびダイマーの非常に薄いテール部についてのみHPLCによる精製を要した。収率は次の通り:5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン6.20g(回収率75%);ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマー3.63g(88%);トリス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマー0.15g(5%)。
B部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンとの縮合
上述の方法に従い、エピカテキン−(4β,8)−カテキンダイマーを調製した、純度は89〜98%であった。
C部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルカテキンの5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンとの縮合
上述の方法に従い、カテキン−(4β,8)−カテキンダイマーを調製した。純度は93〜98%であった。
D部−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルカテキンの5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンとの縮合
上述の方法に従い、カテキン−(4α,8)−カテキンダイマーを調製した。純度は97〜98%であった。
E部−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンの縮合
上述の方法に従い、(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)カテキンと(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンとを反応させることにより、カテキン−(4β,8)−カテキンを調製することができた。
F部−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)カテキンの5,7,3’,4’−(テトラ−O−ベンジル)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンとの縮合
上述の方法に従い、(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)カテキンを(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンと縮合させることにより、カテキン−(4α,8)−エピカテキンを調製することができた。
実施例3−酸性粘土を触媒とする、ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーの5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンとの縮合
45mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に5.60g(4.31mmol、3等量)のビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーおよび2.04gのベントナイト(Bentonite)K-10粘土を溶解/懸濁した溶液を氷冷、撹拌、除湿しながら、15mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に1.02g(1.44mmol)の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンを溶解した溶液を110分かけて加えた。添加の最後には水浴の温度が6℃に上昇した。水浴中でさらに1時間撹拌を続け、その間、温度は12℃まで上昇した。吸引しながらセライト上で粘土をろ去し、25mlの酢酸エチルで固体を4回洗浄した。合わせた溶液を溶媒留去した。溶媒として酢酸エチル/ヘキサン/クロロホルム(1:10:10)を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(56×5cm)によってダイマーとトリマーとを分離しようとしたが、失敗に終わった。続いて、溶媒比を1:7:7にして溶出させたところ、微量のトリマーを含むテトラマーのフラクション0.5gが得られた。ダイマー/トリマーフラクションは、開始溶媒を酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(1:14:14)に変更し、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(55×5cm)にかけた。この混合溶媒を20ml流した後、溶媒比を1:12:12(5L)に変更し、次に1:10:10にしたところ、4.40gのダイマーを回収することができた。さらに、溶媒混合比を1:8:8にして溶出させることにより、1.04gの粗トリマー(HPLCによる純度90%)が得られた。
粗トリマーおよびトリマー/テトラマー混合物は、別異にメチルシアニド(CH3CN)に溶解し、分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のCH3CN水溶液、その後CH3CN)によって分離した;ダイマー、トリマーおよびテトラマーの保持時間は、それぞれ、22.5(22.7)分、30.1(30.8)分、および33.9分であった。適切なフラクションを合わせた後、溶媒留去、減圧乾燥したところ、収率は以下の通りであった:ビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマー4.43g(回収率79%);トリス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマー1.13g(40%);テトラキス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマー0.24g(13%)。
実施例4−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの調製
40mlの1,2−ジクロロエタン(HPLC等級、使用直前にアルミナ(活性I)でろ過)に6.5g(39mmol)の2−メルカプトベンゾチアゾールを溶解した溶液に、窒素雰囲気下、氷冷、撹拌しながら、19.5mlのトリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2.0M)を10分間かけて滴下した。得られた琥珀色の溶液を0℃で15分間撹拌し、次に、60mlの1,2−ジクロロエタン(上述と同様に前処理したもの)に5.56g(7.82mmol)の5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンを溶解した溶液を20分間かけて滴下した。橙色の反応混合物を室温で5時間撹拌した後、氷槽中で冷却し、90mlの水および2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液に22.6g(80mmol)の酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を溶解した溶液を滴下した(最初は気体が発生するため、要注意)。塩化メチレン(100ml)を加え、層分離を行った。有機層は、2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液100mlを用いて2回洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。溶媒を留去した後、残渣を短いシリカゲルカラムにかけ、生成物が溶出し始めるまで酢酸エチル/トルエン(1:19)を溶媒として流し、次に、溶媒比を1:9に変更した。溶出液を溶媒留去したところ、油状物質が得られたが、これは直ちに明黄色固体に変化した。この物質を30mlの熱酢酸エチルに溶解し、90mlの1−クロロブタンを加え、種付けをし、始めに室温、次に−20℃で放置することによって結晶化させた。吸引ろ過によって沈殿物を単離し、20mlの冷1−クロロブタンで2回洗浄し、減圧乾燥させたところ、ジアステレオ異性体を主として含む3.50gの生成物が得られた。母液をクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/塩化メチレン/ヘキサン=1:18:11〜2:18:11)にかけ、その後酢酸エチル/1−クロロブタンから結晶化させたところ、さらに、主要異性体0.78g(計4.28g、67%)および極性の低い微量異性体0.16g(2.5%)が得られた。
主要ジアステレオ異性体:融点160〜161℃(酢酸エチル/1−クロロブタン);[α]D+106°、[α]546+133°(EtOAc、c10.6g/L);1H NMR(CDCl3)δ7.89(ddd,1H,J=8,1.2,0.7Hz),7.78(ddd,1H,J=8,1.2,0.7Hz),7.47-7.20(m,19H),7.17(d,1H,J=2Hz),7.12-7.00(m,4H),6.95(ABqのB部,1H,J=8.5Hz),6.30,6.29(ABq,2H,J=2Hz),5.46(d,1H,J=2Hz),5.42(s,1H),5.17(s,2H),5.16(s,2H),5.10,5.05(ABq,2H,J=12Hz),5.03(s,2H),4.40(ddd,1H,J=6,2.5,1Hz),2.00(d,1H,J=5.5Hz);13C NMR(CDCl3 )δ165.00,160.67,158.76,155.95,153.16,148.96,148.88,137.17,137.07,136.53,136.47,135.29,130.76,128.61,128.45,128.37,128.16,128.09,127.75,127.56,127.49,127.46,127.21,126.57,126.06,124.41,121.83,120.97,119.65,114.91,113.58,98.34,94.48,75.13,71.32,71.22,70.78,70.13,69.86,44.43;IR(フィルム)3554(br)、1617,1591,1177,1152,1114,735,696cm-1。元素分析:C5041NO62に対する計算値C73.60,H5.06,N1.72;測定値C73.92,H4.75,N1.74。
微量ジアステレオ異性体:融点144〜146℃(酢酸エチル/1−クロロブタン);[α]D
−48.9°、[α]546−64.6°(EtOAc、c7.6g/L);1H NMR(CDCl3)δ7.79(ddd,1H,J=8,1.2,0.7Hz),7.66(ddd,1H,J=8,1.2,0.7Hz),7.47-7.25(m,14H),7.17-7.11(m,2H),7.08-6.89(m,5H),6.84-6.77(m,4H),6.27,6.25(ABq,2H,J=2Hz),5.45-5.40(m,2H),5.16(狭いABq,2H),5.11,5.07(ABq,2H,J=13Hz),5.07,5.03(ABq,2H,J=11.5Hz),4.94,4.87(ABq,2H,J=11.5Hz),4.78(q,1H,J=5Hz),4.39(d,1H,J=5Hz);1H NMR(C6D6)δ7.68(d,1H,J=8Hz),7.38(d,1H,J=2Hz),7.32-6.96(m,19H),6.90-6.68(m,6H),6.48(d,1H,J=2Hz),6.22(d,1H,J=2.5Hz),5.82(dd,1H,J=5,1.2Hz),5.57(d,1H,J=4.5Hz),4.95(s,2H),4.82(q,1H,J=4.5Hz),4.80(s,2H),4.71(s,2H),4.70(d,1H,一部隠れている),4.58,4.51(ABq,2H,J=12Hz);13C NMR(CDCl3 )δ169.70,160.84,158.13,155.45,152.30,148.53,148.14,137.14,137.02,136.41,135.88, 135.44,129.67,128.58,128.36,128.16,128.08,127.87,127.65,127.55,127.35,127.31,127.22,127.00, 126.70,125.89,124.15,121.23,120.85,119.74,114.41,114.31,100.87,93.80,93.76,76.46,71.01,70.73, 70.06,70.00,68.02,46.51;IR(フィルム)3440(br),1614,1584,1154,1122,752,732,696cm-1。元素分析:C5041NO62 に対する計算値C73.60,H5.06,N1.72;測定値C73.22,H4.64,N1.71。
上記の反応において、2−メルカプトベンゾチアゾールは無臭であるが、この反応中に、揮発性が非常に高いわけではないが悪臭を発する2−(ベンジルチオ)ベンゾチアゾールが少量生成することから、本反応は通気性の良い換気フード内で行わねばならない。
実施例5−3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの調製
12mlの無水ピリジン中に3.50g(4.29mmol)の4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン(実施例4の主要ジアステレオ異性体)および53mg(0.43mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを溶解した溶液に2.0ml(21.5mmol)の無水酢酸を一度に加えた。栓をしたフラスコ内で反応混合物を50時間室温に保った。氷および150mlの5%塩酸水溶液を加えた。100+20mlの塩化メチレンで生成物を抽出した。合わせた有機層は、100mlの水で1回、50mlの10%水酸化ナトリウム水溶液で2回洗浄したが、各洗浄毎に、水層を20mlの塩化メチレンで逆抽出した。合わせた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、溶媒留去し、残渣を少量のトルエンに溶解し、酢酸エチル/ヘキサン(1:3)を溶媒としてシリカゲルろ過した。溶媒留去し、減圧乾燥したところ、黄色泡状の3.58g(97〜?%)の3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンが得られた。[α]D+91.7°、[α]546+115°(EtOAc、c13.2g/L);1H NMR(CDCl3)δ7.90(d,1H,J=8Hz),7.77(d,1H,J=8Hz),7.46-7.22(m,19H),7.11(d,1H,J=2Hz),7.09-7.00(m, 3H),6.99,6.91(ABq,2H,J=8.5Hz,A部はd,J=2Hz),6.31,6.30(ABq,2H,J=2.5Hz),5.63(dd,1H,J=2.5,1.2Hz),5.55(s,1H),5.31(d,1H,J=2Hz),5.17,5.12(ABq,2H,J=12Hz),5.14(s,2H),5.10,5.05(ABq,2H,重複のためJは読み取り不可),5.07,5.02(ABq,2H,J=11.5Hz),1.84(s,3H);13C NMR(CDCl3、TMS)δ169.08,164.07,160.69,158.31,,156.03,153.22,148.92,148.89,137.18,
137.16,136.53,136.31,135.62,130.29,128.67,128.45,128.24,128.19,127.78,127.65,127.43,127.31,
126.87,126.10, 124.50,122.16,121.01,119.80,114.97,113.51,98.50,94.46,94.30,74.13,71.44,71.23,
70.74,70.19,70.13,42.59,20.84;IR 1750,1616,1591,1217,1152,1117,734,696cm-1。元素分析:C5243NO7S2 に対する計算値C72.79,H5.05,N1.63;測定値C73.01,H4.79,N1.61。
実施例6−ビス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーの調製
4mlの無水ピリジンに1.5ml(16mmol)の無水酢酸を溶解した溶液に3.69g(2.84mmol)のビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーを一度に加えた。全ての材料が溶解するまで時々振り混ぜた後、栓をしたフラスコに入れて室温で99時間放置した。30mlの酢酸エチルおよび2mlのメタノールを加えて反応を停止させ、そのまま室温で1.5時間放置した。さらに20mlの酢酸エチルを加えた。200mlの0.5Mリン酸(H3PO4)水溶液で反応液を洗浄した。水層は30mlの酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。溶媒留去後、残渣を少量のトルエンに溶解し、酢酸エチル/ヘキサン(1:9、次に1:3、最後に1:1)を溶媒として短いシリカゲルカラムにかけた。溶媒留去、減圧乾燥したところ、無色泡状の3.82g(97%)のビス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーが得られた。
実施例7−3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンのビス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーとの反応
遮光下、油圧ポンプで吸引しながら、100℃において、0.80g(4.1mmol)の銀テトラフルオロボレート(AgBF4)のサンプルを反応フラスコ内で乾燥させた。冷却後、窒素を加えて減圧状態を解除し、60mlの無水テトラヒドロフランに5.66g(4.09mmol)のビス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーを溶解した溶液を一度に加えた。薄明下でフラスコを氷槽に入れ、30mlの無水テトラヒドロフランに1.40g(1.64mmol)の3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを溶解した溶液を撹拌しながら70分間かけて滴下した。反応混合物は黄色に変わり、時々濁りが観察された。0℃で40分間撹拌を続けたところ、反応混合物は乳状の白色懸濁物に変わった。トリエチルアミン(1.1ml、8mmol)を加え、混合物がほぼ乾燥するまで溶媒を留去し、残渣は、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶媒として短いシリカゲルカラムでろ過した。溶出液の溶媒を留去し、粗生成物をHPLCで分析した(カラムA;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)。以下のピークが観察された(帰属/面積%):tR5.0分(4−OH−モノマー、0.15)、12.6分(4−OH−ダイマー、0.25)、15.6分(ダイマー、59.4)、24.8分(トリマー、23.4)、30.3分(テトラマー、12.5)、33.3分(ペンタマー、3.2)、35.4分(ヘキサマー、0.8)、37.3分(ヘプタマー、0.1)、39.1分(オクタマー、0.02)。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(38×9cm)によって部分分離を行った。25Lの酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(1:10:9)を用いた初期溶出では生成物は回収されなかった(しかしながら、この工程は分離に必須である)。さらに25Lの酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(1:11:8)を流すことにより、4.01gのダイマーが溶出した(回収率71%;HPLCにより純粋)。トリマー、テトラマーおよび少量のペンタマーを含むフラクション(1.72g)は、20Lの酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(1:12:7)を流すことによって溶出した。最後に、酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン(2:12:7)を用いてカラムを洗い流すことにより、より高次のオリゴマー類を主に含むフラクションが0.87g得られた。後の2つのフラクションをメチルシアニド(CH3CN)に加え、分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)によっていくつかの部分に分け、適切なフラクションを集めて減圧乾燥することにより、無色フィルム状または泡状のオリゴマー類を得た。3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンのトリマーからオクタマーの保持時間と収率はそれぞれ、31.9分(1.46g、43%)、36.0分(755mg、33%)、39.6分(204mg、11%)、45.0分(45mg、2.6%)、52.8分(13.8mg、0.9%)および64.1分(5.2mg、0.3%)であり、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)は22.2分(13.4mg、1.2%)であった。4−OHモノマー(すなわち、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル4−ヒドロキシエピカテキン)はシリカゲルカラムからは回収されなかったが、これはおそらく、極性が高いからだと考えられる。3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンに対する総質量割合は、92%であった。
実施例8−3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンのトリス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 2 −トリマーとのカップリング
本反応は、0.41g(2.1mmol)の銀テトラフルオロボレート(AgBF4)、4.40g(2.12mmol)のトリス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマー、および729mg(850μmol)の3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを用い、実施例7と同様に行った。酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を用いてシリカゲルろ過を行った後、粗生成物をメチルシアニド(CH3CN)に溶解し、上述に従って分取HPLCによっていくつかの部分に分け、次の生成物を得た:3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン(31mg、5%);3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン(34mg、6%);トリマー(3.07g、回収率70%);テトラマー(1.47g、62%);ペンタマー(221mg、15%);ヘキサマー(57mg、5%);ヘプタマー(25.2mg、2%);オクタマー(10.8mg、1%)。3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンに対する総質量割合は、96%であった。
実施例9−3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンのテトラキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 3 −テトラマーとのカップリング
本反応は、0.34g(1.75mmol)の銀テトラフルオロボレート(AgBF4)、4.77g(1.73mmol)のテトラキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマー、および592mg(690μmol)の3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを用い、実施例7および8と同様に行った。酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を用いてシリカゲルろ過を行った後、粗生成物を分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、30〜38分はCH3CN、38〜65分は10%酢酸エチルのCH3CN溶液)にかけていくつかの部分に分け、次の生成物を得た:3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン(tR=11.0分;19mg、4%);3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)3−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)−4−ヒドロキシエピカテキン(22.2分;47mg、10%);テトラマー(36.0分;3.56g、回収率74%);ペンタマー(39.4分;1.03g);ヘキサマー(43.6分260mg);ヘプタマー(46.0分;86mg);オクタマー(48.9分;41mg);ノナマー(52.2分;22mg);デカマー(56.2分;13.5mg);アンデカマー(61.4分;8.2mg)。ペンタマー以上の生成物についてはさらなる精製を要したが、その理由は、オリゴマー化が進むにつれ、低級オリゴマー類の混入によってピークがテーリングしたこと、ならびに、非極性溶媒および/またはカラムからの未確認脂肪族材料の混入が増加したからである。サンプルの調製に際しては、ヘプタマー以上のオリゴマー類は、CH3CN単独では溶解性が悪いため、CH3CNに少量のテトラヒドロフランを添加せねばならなかった。ペンタマーからノナマーについては、カラムD(0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)を用いてさらに精製を行った。デカマーとアンデカマーについては、同様の溶媒濃度勾配でカラムBを用いて行った。上記の処理後もノナマー、デカマーおよびアンデカマーは多量の脂肪族不純物を含んでいたため、同様の溶媒濃度勾配でカラムAを用いて3回目のHPLC精製を行った。純粋な生成物(HPLCによる純度97%以上)の収量は次の通りであった:ペンタマー987mg(41%);ヘキサマー226mg(16%);ヘプタマー68mg(6.1%);オクタマー26mg(2.7%);ノナマー11.5mg(1.3%);デカマー6.5mg(0.8%);アンデカマー2.5mg(0.3%)。3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンに対する総質量割合は、82%であった。
実施例10−アセチル−およびベンジル−保護オリゴマー類からのアセチル保護基の加水分解
A部−トリス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 2 −トリマー
30mlのテトラヒドロフランに1.54g(742μmol)のトリス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマーを溶解した溶液に5.8ml(8.9mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を一度に加えた。反応混合物は栓をしたフラスコに入れて室温で94時間放置した後、テトラヒドロフランを一部留去した。残渣を20mlの水で希釈し、生成物を20mlの酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を10mlのブラインで洗浄して溶媒留去した。この有機層は、酢酸エチルを溶媒として短いシリカゲルカラムにかけ、溶媒留去、減圧乾燥することにより、無色泡状のトリス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)2−トリマー1.44g(99%)を得た。
B部−テトラキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 3 −テトラマー
29mlのテトラヒドロフラン中、1.59g(573μmol)のテトラキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマーに5.6ml(8.6mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を96時間反応させる(トリマーの項と同様)ことにより、無色泡状のテトラキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマー1.45g(97%)を得た。
C部−ペンタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 4 −ペンタマー
トリマーの項に記載されているように、35mlのテトラヒドロフラン中、1.81g(524μmol)のペンタキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)4−ペンタマーに6.9ml(10.5mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を118時間反応させることにより、無色泡状のペンタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)4−ペンタマー1.45g(97%)を得た。分析用サンプルは、分取HPLC(カラムB、0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)によってさらに精製した。
D部−ヘキサキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 5 −ヘキサマー
8mlのテトラヒドロフラン中、486mg(117μmol)のヘキサキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)5−ヘキサマーに1.5ml(2.3mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を101時間反応させること(トリマーの項と同様)により、無色ガラス状のヘキサキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)5−ヘキサマー455mg(100%)を得た。
E部−ヘプタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 6 −ヘプタマー
1.8mlのテトラヒドロフラン中、126mg(26.1μmol)のヘプタキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)6−ヘプタマーに0.34ml(0.52mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を94時間反応させること(トリマーの項と同様)により、無色泡状のヘプタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)6−ヘプタマー118mg(100%)を得た。
F部−オクタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 7 −オクタマー
0.5mlのテトラヒドロフラン中、41.2mg(26.1μmol)のオクタキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)7−オクタマーに0.10ml(0.15mmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を126時間反応させること(トリマーの項と同様)により、無色泡状のオクタキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)7−オクタマー39.4mg(102%)を得た。
G部−ノナキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8) 8 −ノナマー
0.3mlのテトラヒドロフラン中、17.9mg(2.88μmol)のノナキス−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)8−ノナマーに47μl(72μmol)の40%テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を134時間反応させることにより、無色泡状のノナキス−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)8−ノナマー16.8mg(100%)を得た。
実施例11−ベンジル−保護オリゴマー類からのエピカテキン(4β,8)−オリゴマー類の調製
A.エピカテキン(4β,8) 2 −トリマーの調製
5mlのテトラヒドロフランに64.3mg(33.0μmol)のビス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)−ダイマーを溶解した溶液に5mlのメタノール、0.25mlの水および57mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を80分間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣は10mlのメタノールで2回洗浄した。合わせたろ液を溶媒留去し、残渣を10mlのHPLC等級の水に溶解した。溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)2−トリマー・6H2O 32.4mg(101%)を得た。[α]D+70.4°、[α]546+84.4°(MeOH、c2.2g/L);(参照値4c:[α]D+75.2°(アセトン、c8.7g/L);参照値4d:[α]578+90°(MeOH、c2g/L);参照値6:[α]D+76.4°(アセトン、c8.6g/L);参照値19b:[α]578+92°(H2O、c1.9g/L);参照値19k:[α]D+80°(MeOH、c1.6g/L);13C NMR(CD3OD、TMS;δ60−85領域のみ)δ79.73,77.08,73.47,72.94,66.84;MS(API/ES)m/z 865.0([M-H]-に対する計算値:865.2),577.0(6%),288.9(4%)。元素分析:C453818・6H2Oに対する計算値C55.44、H5.17;測定値C55.71、H5.07
B.エピカテキン(4β,8) 3 −テトラマーの調製
4mlのテトラヒドロフランに56mg(21.6μmol)のトリス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)3−テトラマーを溶解した溶液に4mlのメタノール、0.2mlの水および47mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を75分間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣は5mlのメタノールで2回洗浄した。合わせたろ液を溶媒留去し、残渣を5mlのHPLC等級の水に溶解した後、有機溶媒を留去した。残渣は、さらに10mlのHPLC等級の水を加えて希釈した後、溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)3−テトラマー・6H2O 24.4mg(89%)を得た。[α]D+93.3°、[α]546+114°(MeOH、c9.3g/L);(参照値4d:[α]578+73.2°(MeOH、c3.7g/L);参照値4j:[α]D+59.8°(アセトン、c12g/L);参照値6:[α]D+109.5°(アセトン、c12.3g/L);参照値19i:[α]D+89.2°(アセトン、c9g/L);参照値19l:[α]D+81°(MeOH、c1.1g/L);MS(API/ES)m/z 1153.3(55.3%;[M-H]-に対する計算値:1153.3),865.1(25%),576.9(100%),500.1(30%),288.9(4%)。元素分析:C605024・6H2Oに対する計算値C56.96、H5.10;測定値C56.98、H4.83
C.エピカテキン(4β,8) 4 −ペンタマー
4mlのテトラヒドロフランに76mg(23.4μmol)のペンタキス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)4−ペンタマーを溶解した溶液に4mlのメタノール、0.2mlの水および60mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を2時間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣をメタノールで洗浄し、合わせたろ液の有機溶媒を留去した。残渣に10mlのHPLC等級の水を加えて希釈した後、溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)4−ペンタマー34.8mgを得た。[α]D+116°、[α]546+140°(MeOH、c8.3g/L);(参照値4d:[α]578+96°(MeOH、c1g/L);参照値19i:[α]D+102.1°(アセトン、c10g/L);参照値19l:[α]D+102°(MeOH、c1.2g/L)。元素分析:C756230・7.5H2Oに対する計算値C57.07、H4.92;測定値C56.99、H4.79
D.エピカテキン(4β,8) 5 −ヘキサマーの調製
8mlのテトラヒドロフランに92.3mg(23.7μmol)のヘキサキス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)5−ヘキサマーを溶解した溶液に8mlのメタノール、0.4mlの水および169mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を50分間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣をメタノールで洗浄し、合わせたろ液に10mlのHPLC等級の水を加えた後、有機溶媒を留去した。残渣にさらに20mlのHPLC等級の水を加えて希釈した後、溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)5−ヘキサマー47.4mgを得た。[α]D+123°、[α]546+149°(MeOH、c8.6g/L)。元素分析:C907436・9.2H2Oに対する計算値C56.98、H4.91;測定値C56.89、H4.61
E.エピカテキン(4β,8) 6 −ヘプタマーの調製
8mlのテトラヒドロフランに87.5mg(19.3μmol)のヘプタキス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)6−ヘプタマーを溶解した溶液に8mlのメタノール、0.4mlの水および111mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を1時間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣をメタノールで洗浄し、合わせたろ液に10mlのHPLC等級の水を加えた後、有機溶媒を留去した。残渣にさらに10mlのHPLC等級の水を加えて希釈した後、溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)6−ヘプタマー39.3mgを得た。[α]D+134°、[α]546+164°(MeOH、c9.6g/L))。元素分析:C1058642・10H2Oに対する計算値C57.33、H4.86;測定値C57.49、H4.80
F.エピカテキン(4β,8) 7 −オクタマーの調製
3mlのテトラヒドロフランに35.7mg(6.88μmol)のオクタキス(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン(4β,8)7−オクタマーを溶解した溶液に3mlのメタノール、0.15mlの水および57mgの20%Pearlman触媒(Pd(OH)2/C)を加えた。1気圧の水素下において混合物を55分間撹拌し、綿花でろ過した。ろ過残渣をメタノールで洗浄し、合わせたろ液に10mlのHPLC等級の水を加えた後、有機溶媒を留去した。残渣にさらに10mlのHPLC等級の水を加えて希釈した後、溶液をろ過し、凍結乾燥することにより、綿状無晶形灰白色固体のエピカテキン(4β,8)7−オクタマー17.1mgを得た。[α]D+148°、[α]546+180°(MeOH、c5.2g/L))。元素分析:C1209848・10.7H2Oに対する計算値C57.66、H4.77;測定値C57.68、H4.79
精製した天然および合成オリゴマー類のHPLC分析を比較した。精製した天然のオリゴマー類には、全て、追加のピークが存在し、追加ピークの数は、オリゴマーの大きさが大きくなるにつれて増加した。
実施例12−銀テトラフルオロボレートによって誘導された4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの自己縮合
5mlの無水テトラヒドロフランに445mg(545μmol)の4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン(実施例4の主要ジアステレオ異性体)を溶解した溶液に、薄明下、磁気撹拌子(マグネチックスターラー)を用いて撹拌、氷冷しながら、48mg(247μmol)の銀テトラフルオロボレート(使用直前に、遮光下、油圧ポンプで減圧しながら100℃で110分間乾燥したもの)の溶液を30分間かけて滴下した。0℃でさらに5分間撹拌した後、0.2mlのトリエチルアミンを加えた。溶媒留去後、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶媒として短いシリカゲルカラムで残渣をろ過することによって前処理することにより、414mgの無色泡状の生成物を得た。分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)により、このコンプレックス混合物から少なくとも5つの極性主要構成成分が単離された。保持時間および収量は次の通り:2−メルカプトベンゾチアゾールtR=4.4分、19mg;5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−チオクソベンゾチアゾール−3−イル)エピカテキン15.4分、18mg(4%);出発物質モノマー21.4分、14mg(回収率3%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−チオクソベンゾチアゾール−3−イル)エピカテキン]23.5分、7mg(2%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]27.0分、15mg(4%)
実施例13−酸性粘土によって誘導された4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの自己縮合
1mlの無水塩化メチレン(CH2Cl2)に18.0mg(21.0μmol)の4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン(実施例4の主要ジアステレオ異性体)を溶解した溶液に、38mgのモンモリロン石粘土(市販名はベントナイト(Bentonite)K-10)を加えた。室温で160分間撹拌した後、ろ過し、溶媒留去した。残渣は分取HPLC(カラムB;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)によって分離した。保持時間および収量は次の通り:2−メルカプトベンゾチアゾールtR=4.6分、0.6mg;5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−チオクソベンゾチアゾール−3−イル)エピカテキン13.2分、2.0mg(11%);出発物質モノマー19.2分、2.7mg(回収率15%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−チオクソベンゾチアゾール−3−イル)エピカテキン]21.5分、0.6mg(4%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]25.9分、1.4mg(9%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−[4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−ビステトラ−O−ベンジルエピカテキン]30.8分、1.2mg(8%);5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス(4β,8)−(5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−[4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]34.2分、0.3mg(2%)
実施例14−銀テトラフルオロボレートによって誘導された3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンの自己縮合
4mlの無水テトラヒドロフランに355mg(414μmol)の3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンを溶解した溶液に、薄明下、磁気撹拌子を用いて撹拌、氷冷しながら、20mg(103μmol)の銀テトラフルオロボレート(使用直前に、遮光下、油圧ポンプで減圧しながら90℃で1時間乾燥したもの)の溶液を40分間かけて滴下した。0℃でさらに10分間撹拌した後、0.2mlのトリエチルアミンを加えた。溶媒留去後、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶媒として短いシリカゲルカラムで残渣をろ過することによって前処理し、331mgの無色泡状の生成物を得た。分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)により、この混合物を分離した。保持時間および収量は次の通り:2−メルカプトベンゾチアゾールtR=4.6分、6.4mg;3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン11.1分、13.2mg(4.5%);3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)16.9分、38.3mg(13%);出発物質22.4分、156mg(44%);3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]と3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)との混合物29.7分、54.3mg;3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]と3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン]−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)との混合物34.6分、11.9mg;3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン]−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]38.9分、6.3mg(2.1%)。3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]と3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)との混合物は、順相HPLC(カラムF;0〜40分は20〜50%の酢酸エチル(EtOAc)のヘキサン溶液、その後50%)で分離し、43mg(14%)の3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン](tR=22.1分)および6.4mg(2.2%)の3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)(tR=32.8分)を得た。3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]と3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン]−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)との混合物は、カラムEを用い、同じ溶媒濃度勾配によって分離し、5.4mg(1.8%)の3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−((2−ベンゾチアゾリル)チオ)−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン](tR=34.8分)および5.0mg(1.7%)の3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン]−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)(tR=42.8分)を得た。特性付けを行うため、順相HPLCで得られた生成物をカラムB(0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)で再精製した。
実施例15−3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]のテトラキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8) 3 −テトラマーとの反応
21mg(0.11mmol)の銀テトラフルオロボレートは、反応フラスコに入れ、遮光下、油圧ポンプで減圧しながら100℃で1時間乾燥させた。冷却後、窒素を流して減圧状態を解除し、1mlの無水テトラヒドロフランに190mg(68.8mmol)のテトラキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)−(4β,8)3−テトラマーを溶解した溶液を一度に加えた。薄明下、フラスコを氷槽に入れ、撹拌しながら、0.5mlのテトラヒドロフランに35.5mg(22.9mmol)の3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−[3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン]を溶解した溶液を12分間かけて滴下した。撹拌は、0℃で5分間、続いて室温で10分間行った。トリエチルアミン(0.1ml)を加え、混合物の溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶媒として短いシリカゲルカラムで残渣をろ過した。溶出液の溶媒を留去し、粗生成物混合物(230mg)を分取HPLC(カラムD;0〜30分は80〜100%のメチルシアニド(CH3CN)水溶液、その後CH3CN)で分離した。保持時間および収量は次の通り:3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)tR=22.7分、21.0mg(65%);3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−ビス[(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン)]−(4β,8)−(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−ヒドロキシエピカテキン)34.6分、0.8mg(2.5%);テトラキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン−(4β,8)3−テトラマー36.3分、176mg(回収率92.5%);ヘキサキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン−(4β,8)5−ヘキサマー45.6分、11.7mg(12%);オクタキス(3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル)エピカテキン−(4β,8)7−オクタマー1.4mg(2.2%)。
実施例16−抗癌活性
プロシアニジン処理したMDA MB-231ヒト乳癌細胞の細胞周期分析を行ったところ、ペンタマーではG0/G1期停滞が観察されたが、ダイマーおよびトリマーでは影響はなく、テトラマーはわずかに影響があったのみであった(表1参照)。
Figure 2006510730
G0/G1期の細胞が増加することに伴い、S期およびG2/M期の細胞数が減少した。
細胞死の様式(アポトーシスまたは壊死)は、トレヴィジェン(Trevigen)社のTACS(商標)アネキシンV-FITCキットを使用し、アネキシンV-蛍光イソチオシアナート(FITC)アッセイによって調べた。天然および合成のプロシアニジントリマー、テトラマーおよびペンタマーで処理したMDA MB-231細胞の細胞周期分析の結果を以下に示す。アネキシンV-FITCおよびプロピディウムヨウ素(propidium iodide)を用いて行ったプロシアニジン処理MDA MB-231ヒト乳癌細胞のフローサイトメトリー(対照vs200μg/mlのオリゴマーを用いて24時間処理したもの)の結果を以下に示す。Aはエピカテキン−(4β,8)2−トリマーである。Bはエピカテキン−(4β,8)3−テトラマーである。Cはエピカテキン−(4β,8)4−ペンタマーである。左下の区画は生細胞を示す。右下の区画は初期アポトーシスの発生を示す。右上の区画は後期アポトーシスの発生を示す。左上の区画は死んだ細胞を示す。
Figure 2006510730
天然および合成のプロシアニジン類で処理した細胞は、同様のプロファイルを示し、オリゴマーの大きさが大きくなるにつれて右上の区画の細胞集団が大きくなった。この区画は、アネキシンV陽性細胞を示しており、これらの細胞はプロピディウムヨウ素も取り込んでいることから、後期アポトーシスまたは壊死の状態であると考えられる。ペンタマーで処理した細胞の場合には、右下の区画(初期アポトーシス状態の細胞)に明瞭な細胞集団が存在しないことから、細胞死に至る壊死の経路は、細胞膜に直接的相互作用することによって細胞の損傷、危機状態および死へと進行するものと考えられる。
ペンタマーによるG0/G1期停滞は、処理後8時間以内であれば可逆性であったが、24時間後では不可逆性であった。天然および合成のプロシアニジントリマーの間では活性の差異は観察されなかった。天然のプロシアニジンテトラマーと比較して、合成のプロシアニジンテトラマーでは、G0/G1期停滞細胞が約15%増加していた。プロシアニジンペンタマーでは、天然のものに対して合成のものでは約30%の増加が観察された。以下の表2を参照。
Figure 2006510730
最近の報告において、過酸化水素(H2O2)は、イン・ビトロ(in vitro)において数種の別異のポリフェノール化合物から人工的に発生し、多様な生物学的活性を引き起こしていることが示されている。ロング(Long),L.H.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,2000,273,50を参照。表3の結果は、もし文献に報告されているレベルの過酸化水素が存在するのであれば、細胞周期がG2/M期に移行し、G0/G1期が減少することを示している。カタラーゼを添加することにより、このような効果は消失し、細胞周期のシフトは対照の値に戻った。ペンタマーで処理した細胞にカタラーゼのみを添加しても、過酸化水素が関与している細胞周期には変化がなく、すなわち、ペンタマーによって生じた典型的なG0/G1期停滞は基本的に変化しなかった。
エピカテキン−(4β,8)4−ペンタマーがカタラーゼ活性を阻害しているのではないかという可能性を排除することを目的として、カタラーゼの存在下および不在下において、ペンタマー処理細胞に過酸化水素を加えた。ペンタマー処理細胞に過酸化水素を加えることにより、S期の細胞が減少し、G0/G1期およびG2/M期の細胞が増加した。カタラーゼを加えることにより、ペンタマー処理細胞に典型的なG0/G1期停滞状態に戻り、熱不活化カタラーゼではこのような効果を発現しなかった。従って、G0/G1期停滞はペンタマーによって直接引き起こされるものであり、過酸化水素によるものではない。これらの差異は、合成プロシアニジン類がより高純度であることに関連しているものと考えられる。
Figure 2006510730
まとめると、上述の結果は、エピカテキンペンタマー(ココアポリフェノール抽出物から精製したもの、または合成のもののいずれも)によるヒト乳癌細胞系への細胞毒性を確認するものである。プロシアニジンペンタマーは、MDA MB-231細胞においてG0/G1期停滞を引き起こしたが、これは、過酸化水素によって引き起こされる如何なる効果とも無関係であった。アネキシンVおよびプロピディウムヨウ素陽性細胞が増加したことから、ペンタマー処理した細胞は、細胞死の壊死相に迅速に入っていくことが示唆された。
上述の実施例は説明のためのものであり、好ましい実施態様を制限するためのものではない。当業者であれば、本発明の意図および範ちゅうから外れることなく多数の変形を考えることができるはずである。

Claims (23)

  1. 5,7,3’,4’−テトラ−O−保護プロシアニジン(4,8)−ダイマーおよびその他の(4,8)−オリゴマー類の混合物を調製する方法であって、酸性粘土の存在下、5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーに5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−4−アルコキシ−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーをカップリングさせる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記プロシアニジンダイマーは、エピカテキン−(4β,8)−エピカテキン、エピカテキン−(4β,8)−カテキン、カテキン−(4α,8)−カテキン、カテキン−(4β,8)−カテキン、カテキン−(4α,8)−エピカテキン、およびカテキン−(4β,8)−エピカテキンより成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 5,7,3’,4’−テトラ−O−保護プロシアニジン(4,8)−オリゴマー類の混合物を調製する方法であって、酸性粘土の存在下、5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンの(4,8)−ダイマーまたはより高次のオリゴマーに5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−4−アルコキシ−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーをカップリングさせる工程を含むことを特徴とする調製法。
  4. 保護基は、保護されているモノマー、ダイマーまたはオリゴマーのA環を不活化しない基であり、4−アルコキシ基は、末端水酸基を有するC2−C6アルコキシ基であり、また、酸性粘土はモンモリロン石粘土であることを特徴とする請求項1または3記載の方法。
  5. 前記保護基はベンジル基であり、末端水酸基を有する前記C2−C6アルコキシ基は2−ヒドロキシエトキシ基であり、前記モンモリロン石粘土はベントナイト粘土であることを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 前記モノマーは、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンおよび5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンであり、前記混合物は、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−ダイマーおよび5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)2−トリマーを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記ダイマーは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)−ダイマーであり、前記モノマーは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンであり、さらに、前記混合物は5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキン−(4β,8)2−トリマーおよび−(4β,8)3−テトラマーを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
  8. 保護されたモノマー類、および保護されたダイマーもしくはより高次のオリゴマー類をカラムクロマトグラフィーによって分離し、さらに、ダイマーまたはオリゴマー上の保護基を水素で置換する工程を追有することを特徴とする請求項1または3記載の方法。
  9. 銀テトラフルオロボレートまたは酸性粘土の存在下、テトラ−O−保護またはペンタ−O−保護−(4β,8)−プロシアニジン類の混合物を調製する方法であって、テトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマー、ならびにペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーより成る群から選択される保護モノマーに、4−チオ−テトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマー、ならびに4−チオ−ペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーより成る群から選択されるC−4チオ活性化保護モノマーを反応させることを含むことを特徴とする方法。
  10. テトラ−O−保護−エピカテキンのモノマーは、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンもしくは−カテキンであり;ペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーは、3−O−アセチル−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンであり;4−チオ−テトラ−O−保護−エピカテキンまたは−カテキンのモノマーは、4−ベンジルチオ−または4−2−(ベンゾチアゾリル)チオ−エピカテキンもしくは−カテキンであり;4−チオ−ペンタ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーは、3−O−アセチル−4−ベンジルチオ−エピカテキンもしくは−カテキンまたは3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンもしくは−カテキンであることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 保護モノマーは3,5,7,3’,4’−ペンタ−O−ベンジル−エピカテキンであり、活性化保護モノマーは3−O−アセチル−4−(2−ベンゾチアゾリル)チオ−3,5,7,3’,4’−ペンタ−O−ベンジル−エピカテキンであることを特徴とする請求項9の方法。
  12. 逆相高圧液体クロマトグラフィーによって保護オリゴマー類を単離し、さらに、アセチルおよび/またはベンジル保護基を除去する工程を追有することを特徴とする請求項9記載の方法。
  13. 4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンまたは4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルカテキン。
  14. 請求項13の化合物を調製する方法であって、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンまたは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンに、2−メルカプトベンゾチアゾールとトリメチルアルミニウムとから生成した有機アルミニウムチオレートを反応させることを含むことを特徴とする方法。
  15. 3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルエピカテキンまたは3−O−アセチル−4−[(2−ベンゾチアゾリル)チオ]−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジルカテキン。
  16. 請求項15の化合物を調製する方法であって、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)エピカテキンまたは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)カテキンに、2−メルカプトベンゾチアゾールとトリメチルアルミニウムとから生成した有機アルミニウムチオレートを反応させることを含むことを特徴とする方法。
  17. プロシアニジン(4,8)ダイマージガレートを調製する方法であって、
    (a)酸性粘土の存在下、5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーに、活性化した5,7,3’,4’−テトラ−O−保護−4−アルコキシ−エピカテキンもしくは−カテキンのモノマーをカップリングさせ;
    (b)カラムクロマトグラフィーにより、その他の保護(4,8)プロシアニジンオリゴマー類から、保護された(4,8)プロシアニジンダイマーを分離し;さらに、
    (c)ヒドロキシ保護没食子酸または活性化没食子酸を用い、保護された(4,8)プロシアニジンダイマーをエステル化する;
    工程を含むことを特徴とする調製法。
  18. 前記保護されたモノマーは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンまたは−カテキンであり;前記活性化モノマーは5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−エピカテキンまたは−カテキンであり;前記酸性粘土はモンモリロン石粘土であり;前記ヒドロキシ保護活性化没食子酸はトリ−O−ガロイルクロリドであることを特徴とする請求項17記載の方法。
  19. 前記プロシアニジンダイマージガレートは、エピカテキン−(4β,8)−エピカテキンジガレート、エピカテキン−(4β,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4α,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4β,8)−カテキンジガレート、カテキン−(4α,8)−エピカテキンジガレートおよびカテキン−(4β,8)−エピカテキンジガレートであることを特徴とする請求項17記載の方法。
  20. C−4−アルコキシ−5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−8−ブロモ−エピカテキンまたは−カテキンを調製する方法であって、5,7,3’,4’−テトラ−O−ベンジル−エピカテキンまたは−カテキンのC−4位にアルコキシ基を導入することによってC−4位を活性化し、さらに、C−8位にブロモ基を導入することによってC−8位をブロックする工程を含むことを特徴とする調製法。
  21. 4−アルコキシ基は2−ヒドロキシエトキシ基であり、活性化工程はブロック工程より先に行い、さらに、ブロック工程は、塩化メチレン中、−40℃においてN−ブロモスクシンイミドを用いて行うことを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 4−アルコキシ基は2−ヒドロキシエトキシ基であり、ブロック工程は活性化工程より先に行い、さらに、ブロック工程は、塩化メチレン中、−40℃においてN−ブロモスクシンイミドを用いて行うことを特徴とする請求項20記載の方法。
  23. 哺乳類の乳癌を治療する方法であって、哺乳類にエピカテキン−(4β,8)4−ペンタマーを投与することを含み、該治療によって細胞周期がG0/G1期に停滞して癌細胞の増殖が阻害されることを特徴とする方法。
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