JP2006510680A - チオトロピウムを含有するhfc溶液調合物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、噴霧投与に好適な、チオトロピウムを含有する安定な医薬溶液調合物に関する。より詳細には、本発明は噴霧投与に好適な、チオトロピウムを含有する安定な医薬溶液調合物に関し、無機酸又は有機酸のどちらかが、推進剤である環境保護上安全なヒドロフルオロカーボン(HFC)と、共溶媒である有機化合物と共に、チオトロピウムの塩、好ましくはチオトロピウムブロマイドを含む噴霧溶液調合物の溶液中に加えられている調合物に関する。前記酸は、主として、前記薬剤と、前記溶液調合物中にある前記共溶媒及び/又は水との相互作用に起因する前記薬剤の劣化又は変性に対する安定性を与える。
Description
本発明は、噴霧投与に好適な、チオトロピウムを含有する安定な医薬溶液調合物に関する。より詳細には、本発明は噴霧投与に好適な、チオトロピウムを含有する安定な医薬溶液調合物であって、無機酸又は有機酸のどちらかが、推進剤としての環境保護上安全なヒドロフルオロカーボン(HFC)と、共溶媒としての有機化合物と共に、チオトロピウムの塩、好ましくはチオトロピウムブロマイドを含む噴霧溶液調合物の溶液中に加えられている調合物に関する。前記酸は、主として、前記薬剤と、前記溶液調合物中にある前記共溶媒及び/又は水との相互作用に起因する前記薬剤の劣化又は変性に対する安定性を与える。
チオトロピウムブロマイドは、ヨーロッパ特許出願、EP 418 716 A1に開示されており、下記の化学構造を有する。
チオトロピウムブロマイドは高い効果的な抗コリン作用性と共に、呼吸器疾患、特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、及び喘息の処置に用いることができる、長時間効果のある活性を有する。チオトロピウムという用語は、遊離アンモニウムカチオンを指す。
上記疾患の処置には、この活性物質を吸入によって投与するのが有用である。活性物質を含む吸入可能な粉末形状での気管支細胞溶解(broncholytically)の活性化合物の投与に加え、チオトロピウムブロマイドの投与も、ヒドロフルオロカーボンを含む噴霧溶液調合物の形状で行うこともできる。
加圧定量吸入器(MDIs)による薬剤の噴霧調合物投与が、閉塞性気道疾患及び喘息の処置のような治療に広く用いられている。経口投与に比べて、吸入は全身性の副作用を最小限にする一方で、効果の開始が早い。噴霧調合物は、経口吸入又は鼻の粘膜への局所的適用によって投与することができる。
MDIsによる噴霧投与用の調合物は、溶液又は懸濁液でよい。溶液調合物は、推進媒体中に完全に溶解している薬剤及び賦形剤と共に、本質的に均一になるという利点がある。溶液調合物は、懸濁液調合物に伴う物理的安定性の問題も未然に防ぐので、界面活性剤の必要性も除去する一方で、より一貫した一定量の投与を確実にする。
加圧定量吸入器(MDIs)による薬剤の噴霧調合物投与が、閉塞性気道疾患及び喘息の処置のような治療に広く用いられている。経口投与に比べて、吸入は全身性の副作用を最小限にする一方で、効果の開始が早い。噴霧調合物は、経口吸入又は鼻の粘膜への局所的適用によって投与することができる。
MDIsによる噴霧投与用の調合物は、溶液又は懸濁液でよい。溶液調合物は、推進媒体中に完全に溶解している薬剤及び賦形剤と共に、本質的に均一になるという利点がある。溶液調合物は、懸濁液調合物に伴う物理的安定性の問題も未然に防ぐので、界面活性剤の必要性も除去する一方で、より一貫した一定量の投与を確実にする。
MDIsによる噴霧溶液調合物の投与は、その製造に用いられる推進剤システムの推進力に依存する。伝統的に、この推進剤は、クロロフルオロカーボン(CFCs)の混合物を含み、望みの溶解度、蒸気圧、及び調合物の安定性を供給する。しかしながら、CFCsは近年、地球のオゾン層の消耗に寄与するために、環境保護上有害であることが確認されているので、噴霧吸入調合物において、環境保護上安全なヒドロフルオロカーボン(HFC)推進剤又は他の非塩素化推進剤が、環境保護上有害なCFC推進剤の代わりとなるのが望ましい。例えば、米国特許No. 4,174,295は、ヘアスプレー、制汗剤、香水、脱臭剤、塗料、殺虫剤、及びその類のものなどの家庭製品の分野に応用できるHFCsの組み合せ(飽和炭化水素成分を含んでいてもよい)からなる推進剤システムの使用を開示している。この技術において、ある種のHFCsは、薬剤の噴霧投与に推進剤として好適な特性を有することが知られている。例えば、公開されたヨーロッパ特許出願No. 0372777(EPO89312270.5)は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134(a))を少なくとも1つの“補助剤”(HFC-134(a)よりも高い極性を有する化合物)及び界面活性剤と組み合せて用いて、噴霧経路による投与に適した薬剤の懸濁液及び溶液調合物の調製について記載している。また、PCT公開出願No. W091/11496(PCT/EP91/00178)は、任意で他の推進成分が混合されていてもよい、1,1,1,2,3,3,3,-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227)を用いて、薬剤の懸濁液噴霧調合物を調製することを開示している。US-A-2 868 641及びUS-A-3 282 781は、薬剤(エピネフリン又はイソプロテレノールHCl)、共溶媒、推進剤、及び抗酸化剤としてのアスコルビン酸を含む噴霧組成物を開示している。ヨーロッパ特許EP 673 240 B1は、医薬品噴霧調合物に酸を加えることによる、薬剤の安定化の供給を提案している。
“噴霧溶液調合物”という用語は、薬剤と賦形剤が完全に溶解している噴霧投与に適した薬剤の医薬調合物を意味する。
“安定化噴霧溶液調合物”という用語は、実質的な化学的安定性を長時間示す噴霧溶液調合物を意味する。
本発明は、チオトロピウムの塩、HFC推進剤、共溶媒、及び無機又は有機酸を含み、水溶液中でpH2.5〜4.5に対応する範囲の酸の濃度によって特徴づけられる、安定化噴霧溶液調合物を供給する。
本発明による好ましい噴霧溶液調合物では、酸の濃度は、水溶液中でpH3.0〜4.3、さらに好ましくは3.5〜4.0に対応する範囲にある。
少量の水(重量で約5%まで、好ましくは約3%まで)が、推進剤/共溶媒システム中に存在してもよい。
“安定化噴霧溶液調合物”という用語は、実質的な化学的安定性を長時間示す噴霧溶液調合物を意味する。
本発明は、チオトロピウムの塩、HFC推進剤、共溶媒、及び無機又は有機酸を含み、水溶液中でpH2.5〜4.5に対応する範囲の酸の濃度によって特徴づけられる、安定化噴霧溶液調合物を供給する。
本発明による好ましい噴霧溶液調合物では、酸の濃度は、水溶液中でpH3.0〜4.3、さらに好ましくは3.5〜4.0に対応する範囲にある。
少量の水(重量で約5%まで、好ましくは約3%まで)が、推進剤/共溶媒システム中に存在してもよい。
本発明による噴霧溶液調合物は、0.00008〜0.4%、好ましくは0.0004〜0.16%、さらに好ましくは0.0008〜0.08%のチオトロピウムを含むのが好ましい。チオトロピウムとは、遊離アンモニウムカチオンを意味する。本発明の調合物に存在するチオトロピウムの塩において、対イオン(アニオン)は、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、メタンスルホネート、又はパラ−トルエンスルホネートとすることができる。これらのアニオンの中ではブロマイドが好ましい。
好ましいチオトロピウムの塩であるチオトロピウムブロマイドを用いる場合、前述の量は、0.000096〜0.48%、好ましくは0.00048〜0.192%、さらに好ましくは0.00096〜0.096%のチオトロピウムブロマイドに相当する。
チオトロピウムブロマイドは、反応条件及び溶媒を選択することにより、異なった結晶形態で得られる。本発明において最も好ましいのは、WO 02/30928に記載されているように、チオトロピウムブロマイドモノハイドレートの形状のチオトロピウムを含む調合物である。このチオトロピウムブロマイドモノハイドレートは、DSCによって測定される230±5℃の吸熱ピークを有する特徴がある。
従って、本発明による噴霧溶液調合物は、0.0001〜0.5%、好ましくは0.0005〜0.2%、さらに好ましくは0.001〜0.1%のチオトロピウムブロマイドモノハイドレートを含むのが好ましい。
好ましいチオトロピウムの塩であるチオトロピウムブロマイドを用いる場合、前述の量は、0.000096〜0.48%、好ましくは0.00048〜0.192%、さらに好ましくは0.00096〜0.096%のチオトロピウムブロマイドに相当する。
チオトロピウムブロマイドは、反応条件及び溶媒を選択することにより、異なった結晶形態で得られる。本発明において最も好ましいのは、WO 02/30928に記載されているように、チオトロピウムブロマイドモノハイドレートの形状のチオトロピウムを含む調合物である。このチオトロピウムブロマイドモノハイドレートは、DSCによって測定される230±5℃の吸熱ピークを有する特徴がある。
従って、本発明による噴霧溶液調合物は、0.0001〜0.5%、好ましくは0.0005〜0.2%、さらに好ましくは0.001〜0.1%のチオトロピウムブロマイドモノハイドレートを含むのが好ましい。
好適なHFC推進剤は、共溶媒と共に混合したとき、薬剤の治療上効果的な量が溶解することのできる均一な推進剤システムを形成する。このHFC推進剤は、毒物学上安全でなければならず、加圧MDIによって薬剤が投与可能となるのに適した蒸気圧を有していなければならない。さらに、このHFC推進剤は、薬剤を投与するのに用いられるMDI装置の部品(例えば容器、バルブ、及び密閉ガスケットなど)と、適合するものでなくてはならない。好ましいHFC推進剤は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134(a))及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227)である。HFC-134(a)は特に好ましい。HFC推進剤の他の例は、HFC-32(ジフルオロメタン)、HFC-143(a)(1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、及びHFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)である。
本技術分野の当業者にとって、本発明において非ハロゲン化炭化水素推進剤がHFC推進剤の代わりに用いることができるのは明らかであろう。非ハロゲン化炭化水素の例は、プロパン、n-ブタン、及びイソブタンを含む飽和炭化水素、及びジエチルエーテルを含むエーテルである。
本技術分野の当業者にとって、単独のHFC推進剤の使用が好ましいが、2種以上のHFC推進剤の混合物、又は少なくとも1つのHFC推進剤と1つ以上の非CFC推進剤の混合物を、本発明の噴霧溶液調合物に用いることができるのは明らかであろう。
本質的に、非水性HFC推進剤/共溶媒システムが好ましい。水は、不純物としてHFC推進剤/共溶媒システムにおいて少量存在してもよく、製造過程中に導入されてもよく、又はこのシステム内にバルブ又はバルブ/容器シール又はガスケットを通って浸透してもよい。必要ならば、少量の水(重量で約5%まで、好ましくは約2%まで)を、例えば製造の補助のために、HFC/推進剤システムに加えてもよい。
本技術分野の当業者にとって、本発明において非ハロゲン化炭化水素推進剤がHFC推進剤の代わりに用いることができるのは明らかであろう。非ハロゲン化炭化水素の例は、プロパン、n-ブタン、及びイソブタンを含む飽和炭化水素、及びジエチルエーテルを含むエーテルである。
本技術分野の当業者にとって、単独のHFC推進剤の使用が好ましいが、2種以上のHFC推進剤の混合物、又は少なくとも1つのHFC推進剤と1つ以上の非CFC推進剤の混合物を、本発明の噴霧溶液調合物に用いることができるのは明らかであろう。
本質的に、非水性HFC推進剤/共溶媒システムが好ましい。水は、不純物としてHFC推進剤/共溶媒システムにおいて少量存在してもよく、製造過程中に導入されてもよく、又はこのシステム内にバルブ又はバルブ/容器シール又はガスケットを通って浸透してもよい。必要ならば、少量の水(重量で約5%まで、好ましくは約2%まで)を、例えば製造の補助のために、HFC/推進剤システムに加えてもよい。
本発明による調合物の酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸、又はリン酸、又はその類のものであるどのような無機又は鉱酸とすることができる。前述の酸のうち、塩酸が特に有益である。この酸は、本技術分野の当業者に有機酸として既知の酸の群から選択されてもよく、この酸は大抵の場合無機酸に比べて弱い酸であると考えられている。本発明において、この群の代表的なもの及び好ましいものは、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、安息香酸、及び酒石酸である。本発明において、クエン酸及びアスコルビン酸が、最も好ましい有機酸である。
本発明による調合物は、本技術分野で既知の方法と同様に調製することができる。
必要ならば、医薬的に容認される賦形剤を、本発明の噴霧溶液調合物に含めることができる。例えば、溶解性界面活性剤を加えることで、調合物の噴霧投与に用いられるMDI装置に使用されるバルブシステムの性能を改良することができる。好ましい界面活性剤の例は、ソルビタントリオレエート、レシチン、及びイソプロピルミリステートである。他の好適な潤滑剤は、本技術分野でよく知られたものである(例えば、ヨーロッパ公開特許出願No. 0372777(EPO 893122705)を参照)。他の賦形剤は、(a)抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、及びトコフェロール、(b)風味遮蔽剤、例えばメンソール、甘味料、及び人工又は天然香味料、及び(c)圧力変更剤、例えばn-ペンタン、イソ-ペンタン、ネオ-ペンタン、及びn-ヘキサンである。
必要ならば、医薬的に容認される賦形剤を、本発明の噴霧溶液調合物に含めることができる。例えば、溶解性界面活性剤を加えることで、調合物の噴霧投与に用いられるMDI装置に使用されるバルブシステムの性能を改良することができる。好ましい界面活性剤の例は、ソルビタントリオレエート、レシチン、及びイソプロピルミリステートである。他の好適な潤滑剤は、本技術分野でよく知られたものである(例えば、ヨーロッパ公開特許出願No. 0372777(EPO 893122705)を参照)。他の賦形剤は、(a)抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、及びトコフェロール、(b)風味遮蔽剤、例えばメンソール、甘味料、及び人工又は天然香味料、及び(c)圧力変更剤、例えばn-ペンタン、イソ-ペンタン、ネオ-ペンタン、及びn-ヘキサンである。
本発明による調合物に適用可能な共溶媒の例は、アルコール(例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びベンジルアルコール)、グリコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、及びオキシエチレンとオキシプロピレンのブロック共重合体)、及び他の物質(例えばグリセロール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及び例えばグリコフロール75であるグリコフロール)である。
薬剤との相互作用に対して不活性な共溶媒の例は、炭化水素(例えばn-プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソ-ペンタン、ネオ-ペンタン、及びn-ヘキサン)、及びエーテル(例えばジエチルエーテル)である。
本発明による好ましい共溶媒はエチルアルコール(エタノール)である。
共溶媒の量は、好ましくは全組成物の5〜50%(w/w)である。さらに好ましくは、本発明による調合物中の共溶媒の量は10〜40%(w/w)、好ましくは15〜30%である。
薬剤との相互作用に対して不活性な共溶媒の例は、炭化水素(例えばn-プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソ-ペンタン、ネオ-ペンタン、及びn-ヘキサン)、及びエーテル(例えばジエチルエーテル)である。
本発明による好ましい共溶媒はエチルアルコール(エタノール)である。
共溶媒の量は、好ましくは全組成物の5〜50%(w/w)である。さらに好ましくは、本発明による調合物中の共溶媒の量は10〜40%(w/w)、好ましくは15〜30%である。
前述したように、本発明による調合物は、少量の水を含んでいてもよい。本発明の1つの好ましい実施形態は、水を5%(w/w)まで、好ましくは3%(w/w)までの量で含む調合物に関する。本発明の別の好ましい実施形態は、水をまったく含まない調合物を指す。これらの無水調合物において、共溶媒の量は、好ましくは約20〜50%(w/w)、さらに好ましくは約30〜40%(w/w)である。
特にこれらの無水調合物において、前述したチオトロピウムブロマイドモノハイドレートから得られる無水形状のチオトロピウムブロマイドを用いることができる。この無水形状物は、WO 02/30928に開示されているように、結晶性のチオトロピウムブロマイドモノハイドレートを、50℃よりも高温、好ましくは60〜100℃、最も好ましくは70〜100℃で、減圧下、好ましくは高真空下、15分〜24時間、好ましくは20分〜12時間、最も好ましくは30分〜6時間注意深く乾燥することにより得られる。“減圧”という用語は、最も好ましくは5×10-2bar、好ましくは1×10-2bar、最も好ましくは5×10-3barまでの圧力を指す。最も好ましくは、この無水物を形成する前述の脱水は、約1×10-3bar以下で行われる。
上記の高温減圧下における乾燥工程の代わりに、無水形状物は、結晶性のチオトロピウムブロマイドモノハイドレートを乾燥剤上、好ましくは乾燥シリカゲル上に、室温下で、12〜96時間、好ましくは18〜72時間、最も好ましくは少なくとも24時間、保持させることによって調製されてもよい。このようにして得られる無水形状物は、その粒径に応じて、多少の乾燥を保持することで、その無水形状を保つ。上記の例において調製され得る粗い結晶の無水チオトロピウムブロマイドの場合は、<75%r.h.(相対湿度)に保持すれば無水状態を保つには十分である。微粉にされた状態のとき、すなわち物質が非常に多くの表面積を有するときは、水はより低い湿度水準でさえ吸収され得る。そのため、微粉にされた状態において無水形状を保つためには、チオトロピウムブロマイドの無水形状物を乾燥シリカゲル上に保持するのが望ましい。
チオトロピウムブロマイドの無水形状物をX線解析にかけたところ、結晶性の無水チオトロピウムブロマイドは、a=10.4336(2)Å、b=11.3297(3)Å、c=17.6332(4)Å、及びα=90°、β=105.158(2)°、及びγ=90°(格子体積=2011.89(8)Å3)の単位格子を有する特徴があることが明らかになった。チオトロピウムブロマイドの無水形状物の結晶性構造は、層状構造であると言える。ブロマイドイオンはチオトロピウムの層間に位置する。前記無水形状物の結晶性構造の決定に関するさらなる詳細を、本特許出願の実験項に略述する。
従って、本発明のさらに好ましい実施形態は、上記のパラメーター、HFC推進剤、共溶媒、及び無機又は有機酸によって特徴づけられ、酸の濃度が水溶液中でpH2.5〜4.5に対応する特徴があり、及び調合物が水を含まないというさらなる特徴を有する、無水チオトロピウムブロマイドを含む安定化された噴霧溶液調合物である。
本発明による調合物は、本技術分野で既知の吸入器によって投与することができる(定量吸入器=MDIs)。
別の局面では、本発明は、呼吸器疾患、特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、及び喘息の処置における薬剤の製造のための、上記噴霧溶液調合物の使用に関する。
さらに別の局面では、本発明は、特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、又は喘息のような呼吸器疾患を、上記噴霧溶液調合物を投与することによって処置するという特徴を有する方法に関する。
下記の例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明は下記の例の方法によって供給される実施形態の範囲に制限されない。
II 結晶性無水チオトロピウムブロマイドの調製
無水形状物は、結晶性チオトロピウムブロマイドモノハイドレート(WO 02/30928記載によよって得られる)を、80〜100℃の減圧下、好ましくは高真空下(約1×10-3bar以下)で少なくとも30分以上、慎重に乾燥することによって製造される。80〜100℃の真空中における乾燥工程の代わりに、無水形状物は、乾燥シリカゲル上に室温下で少なくとも24時間、保持することによって調製されてもよい。
無水形状物は、結晶性チオトロピウムブロマイドモノハイドレート(WO 02/30928記載によよって得られる)を、80〜100℃の減圧下、好ましくは高真空下(約1×10-3bar以下)で少なくとも30分以上、慎重に乾燥することによって製造される。80〜100℃の真空中における乾燥工程の代わりに、無水形状物は、乾燥シリカゲル上に室温下で少なくとも24時間、保持することによって調製されてもよい。
III 結晶性無水チオトロピウムブロマイドのキャラクタリゼーション
上記のように、本発明による結晶性無水チオトロピウムブロマイドは、結晶性チオトロピウムブロマイドモノハイドレートから得られる。無水チオトロピウムブロマイドの結晶性構造は、いわゆる擬似焼き鈍し法による実空間近似を用いた、高分解能粉末X線データ(シンクロトロン放射)から決定した。最後にリートベルト法分析を行って構造変数の精密化を行った。表1は結晶性無水チオトロピウムブロマイドから得られた実験データを含んでいる。
上記のように、本発明による結晶性無水チオトロピウムブロマイドは、結晶性チオトロピウムブロマイドモノハイドレートから得られる。無水チオトロピウムブロマイドの結晶性構造は、いわゆる擬似焼き鈍し法による実空間近似を用いた、高分解能粉末X線データ(シンクロトロン放射)から決定した。最後にリートベルト法分析を行って構造変数の精密化を行った。表1は結晶性無水チオトロピウムブロマイドから得られた実験データを含んでいる。
≪表1≫
チオトロピウムブロマイド(無水物)の結晶性構造分析に関する実験データ。
チオトロピウムブロマイドの無水形状の結晶性構造は、層状構造であると言える。ブロマイドイオンはチオトロピウムの層間に位置している。
チオトロピウムブロマイド(無水物)の結晶性構造分析に関する実験データ。
チオトロピウムブロマイドの無水形状の結晶性構造は、層状構造であると言える。ブロマイドイオンはチオトロピウムの層間に位置している。
結晶性無水チオトロピウムブロマイドの構造を明らかにするために、高分解能粉末X線図を、室温下でNational Synchrotron Source(Brookhaven国際研究所、USA)の測定場X3B1(λ=0.700Å)において取得した。この実験のために、結晶性チオトロピウムブロマイドモノハイドレートのサンプルを直径0.7mmの石英ガラスキャピラリー中に置いた。水は減圧下においてオーブンで80℃まで熱することによって除去した。
構造分解は、いわゆる擬似焼き鈍し法によって得られた。Cambridge Crystallographic Data Center(CCDC、ケンブリッジ、英国)によって製造されたDASHプログラムパッケージをここに用いた。
表2に、結晶性無水チオトロピウムブロマイドから得られた原子座標を示す。
≪表2≫
座標。
上記表において、“Uiso”の値は、等方性温度因子を意味する。例えば、単結晶X線構造解析において、これはu(eq)値に対応する。
≪表2≫
座標。
上記表において、“Uiso”の値は、等方性温度因子を意味する。例えば、単結晶X線構造解析において、これはu(eq)値に対応する。
Claims (11)
- チオトロピウムの塩、HFC推進剤、共溶媒、及び無機又は有機酸を含み、水溶液中でpH2.5〜4.5に対応する範囲の前記酸の濃度によって特徴づけられる、噴霧溶液調合物。
- 0.00008〜0.4%のチオトロピウムを含むことを特徴とする、請求項1記載の噴霧溶液調合物。
- チオトロピウムと共に前記チオトロピウムの塩を形成する対イオン(アニオン)が、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、メタンスルホネート、又はパラ−トルエンスルホネートであることを特徴とする、請求項1又は2記載の噴霧溶液調合物。
- 前記HFC推進剤が、HFC-134(a)、HFC-227、HFC-32、HFC-143(a)、HFC-134、HFC-152a、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1、2、又は3記載の噴霧溶液調合物。
- 前記酸が、無機酸である、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸から選択されることを特徴とする、請求項1、2、3、又は4記載の噴霧溶液調合物。
- 前記酸が、有機酸である、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、安息香酸、及び酒石酸から選択されることを特徴とする、請求項1、2、3、又は4記載の噴霧溶液調合物。
- 約5%までの量の水を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の噴霧溶液調合物。
- 共溶媒として、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、オキシエチレンとオキシプロピレンのブロック共重合体、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、又はグリコフロールを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の噴霧溶液調合物。
- 前記共溶媒が、5〜50%(w/w)の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の噴霧溶液調合物。
- 水を含まないことを特徴とする、請求項1〜6、8、又は9のいずれか1項に記載の噴霧溶液調合物。
- 呼吸器疾患処置用の薬剤の製造のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の噴霧溶液調合物の、使用。
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