JP2006509501A - 酵母の処理 - Google Patents

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Abstract

酵母細胞と融合させるためのリポソームであって、リポソーム脂質二重層の40〜50モル%はホスファチジルコリン(PC)であり、リポソーム脂質二重層の10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質であり、リポソーム脂質二重層の10モル%はステロールであり、リポソーム脂質二重層の30モル%はホスファチジルエタノールアミン(PE)および/またはジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)であることを特徴とするリポソームが開示される。

Description

本発明は、細胞に分子を導入するためのリポソーム、前記リポソームの製造および利用方法、酵母細胞(食品(foods)および食材(foodstuffs)用フレーバリング剤およびフレーバリング向上剤(flavouring agents and enhancers)を提供するための酵母細胞を含む)、および前記酵母細胞の製造および利用方法に関する。
酵母種(例えば、Kluyveromyces属およびSaccharomyces属のもの)は、食品および飲料産業において、発酵産物の提供や、フレーバリング向上剤の提供など、多くの用途がある。
これらの産業では、新しい、改良された酵母株に対する需要があり、そのような株は現在、特定の表現型に従って株を培養・選択すること、または組替えDNA技術を用いて細胞に1種以上の遺伝子を導入し、特定の表現型を提供することのいずれかによって提供されている。そのような方法は、酵母株の作成には有用であるが、この目的に対するこれらの方法の適確性には、ある種の制限があてはまる。例えば、特定の表現型に従って株を培養・選択することは、時間がかかり、高価であり、また所望の表現型を創作することはできない。組替えDNA技術では、表現型を創作することは可能になるが、これらの技術によって製造された酵母は、典型的には遺伝的に改変された生物として認識され、このことはしばしば、そのような生物が産生した産物に対して有害な重要性を持つ。
所望のエフェクター(effector)機能(従って、新たな酵母株における有用な表現型)の提供に対する臨界的な要素はしばしば、1種以上の高分子(タンパク質など)の作用である。従って、酵母細胞に高分子(タンパク質など)をトランスフェクション(つまり導入)して、所望の表現型を提供することができれば有利である。このことで、培養・選択技法や、組替えDNA技術に基づく技法についての制限を回避することになるためである。
細胞に高分子(タンパク質など)をトランスフェクションするための一法は、リポソームを用いることである。リポソームとは、水性区画(compartment)が封入された、脂質二重層の同心円状の球体1つ以上よりなる構造体である。今日まで、酵母細胞に高分子(活性酵素など)をトランスフェクションすることのできるリポソームを創作することは不可能であった。
フレーバリング剤またはフレーバリング向上剤、具体的にはリボヌクレオチドおよびグルタミン酸モノナトリウムは、酵母細胞から典型的には以下の方法で製造される。まず、酵母細胞を溶解して、RNAを含む画分1つ以上を放出させる。次に、前記RNAを含む画分を5’−ホスホジエステラーゼと接触させて、リボヌクレオチドを生成させる。最後に、前記画分を加熱して、リボヌクレオチドの更なる分解を防止する。これらの方法はしばしば高価であり、時間がかかり、技術的専門知識を要する上、市場価値の低い産物を産生することで悪評がある。
また、リボヌクレオチドは従来、食品または食材を調製するための混合物に成分として添加することにより、フレーバリング向上剤として用いられる。このことの不利な点は、ある状況においては、食品製品のラベルに、そのリボヌクレオチドを添加物として開示しなければならないことである。このことは、食品製品の市場価値に対して重要性を持つ。
以上のことからして、酵母細胞(フレーバリング向上剤を提供するための酵母細胞を含む)における改善に対する必要性がある。
本発明は、酵母細胞、特にフレーバリング向上剤を提供するための酵母細胞における、1つ以上の上記の問題や制限を少なくとも最小化し、および/または改善をもたらそうとするものである。
一実施形態において、本発明は、酵母細胞と融合させるためのリポソームを提供する。本リポソームは、リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はホスファチジルコリン(PC)であり、リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質(amphiphile)であり、リポソーム脂質二重層の約10モル%はステロールであり、リポソーム脂質二重層の約30モル%はホスファチジルエタノールアミン(PE)および/またはジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)であることを特徴とする。
他の一実施形態において、本発明は、リポソームと融合させるための酵母細胞の調製方法を提供する。本方法は、酵母細胞を処理して酵母細胞スフェロプラストまたは酵母細胞プロトプラストを形成する工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞に外因性分子を導入する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、外因性分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程を含む。典型的には、この方法に用いるリポソームは上記のものである。
他の一実施形態において、本発明は、外因性分子を含む酵母細胞を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、外因性分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程を含む。典型的には、この方法に用いるリポソームは上記のものである。
他の一実施形態において、本発明は上記の方法により製造された酵母細胞を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、上記酵母細胞の、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料の製造を目的とする用途を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、本発明の酵母細胞を用いて製造された食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞と融合しうるリポソームを提供する。本リポソームは、リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%は1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)であり、リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであることを特徴とする。前記リポソームは更に、酵母細胞内においてRNA分子を加水分解し、リボヌクレオチドを形成する酵素を含む。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞と融合しうるリポソームを提供する。本リポソームは、リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はDOTAPであり、リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであることを特徴とする。前記リポソームは更に、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む。
他の一実施形態において、本発明は、上記の酵素を含むリポソームを製造する方法を提供する。本方法は、PC、DOPEおよび/またはPE、エルゴステロールおよびDOTAPを有機溶媒中に含む分散液を形成する工程;前記分散液を乾燥して、乾燥脂質を形成する工程;および前記乾燥脂質を、前記酵素を含む水性媒体に再分散して、リポソームを形成する工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、RNA分子を加水分解してリボヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記酵素を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、RNA分子を加水分解してリボヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を提供する。本酵母細胞は、上記の方法により製造されるものである。
他の一実施形態において、本発明は、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記酵素を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞内においてフレーバリング向上剤を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞を処理してスフェロプラストまたはプロトプラストを形成する工程;前記スフェロプラストまたはプロトプラストを、RNA分子を加水分解してリボヌクレオチドを形成する酵素を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程;および前記酵母細胞内において、前記リポソームの酵素により、RNA分子の加水分解が行われるための条件を提供して、フレーバリング向上剤を製造する工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞内においてフレーバリング向上剤を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞を処理してスフェロプラストまたはプロトプラストを形成する工程;前記スフェロプラストまたはプロトプラストを、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程;および前記酵母細胞内において、前記リポソームの酵素により、アデニル酸の脱アミノ化が行われるための条件を提供して、フレーバリング向上剤を製造する工程を含む。
他の一実施形態において、本発明は、上記の方法により製造されたフレーバリング向上剤を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、上記の方法により製造されたフレーバリング向上剤を含む食品、食材、或いは食品または食材製造用原料を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、上記リポソームを含む組成物を提供する。
本明細書に記載するように、本発明者らは、酵母細胞と融合しうるリポソームを製造した。重要なことは、同リポソームは、それに含まれる分子を、酵母細胞の細胞質に移行させて、酵母細胞で所望の機能を発揮させることができることである。従って本発明は、
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質であり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEである
ことを特徴とするリポソームを提供する。
一実施形態において、リポソーム脂質二重層の約50モル%はPCである。他の一実施形態において、リポソーム脂質二重層の約20モル%はカチオン性両親媒性物質である。他の一実施形態において、リポソーム脂質二重層の約30モル%はDOPEである。他の一実施形態において、リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEである。
典型的には、前記ステロールはエルゴステロール、または類似構造を有する分子、例えばコレステロールである。
本発明のリポソームにおいては、カチオン性両親媒性物質としてステリルアミンおよびDOTAPが特に有用である。
リポソーム脂質二重層は、オレイン酸を更に含んでいてもよい。一実施形態において、リポソーム脂質二重層の約5モル%はオレイン酸である。典型的には、リポソーム脂質二重層がオレイン酸を更に含む場合、リポソーム脂質二重層の30モル%未満がPEおよび/またはDOPEである。
下記のリポソームは、酵母細胞との融合、および同リポソームに含まれる高分子の酵母細胞への移行に、特に有用である。
(a)以下を特徴とするリポソーム
−リポソーム脂質二重層の約50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はDOPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
(b)以下を特徴とするリポソーム
−リポソーム脂質二重層の約40モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はDOPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
(c)以下を特徴とするリポソーム
−リポソーム脂質二重層の約50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
(d)以下を特徴とするリポソーム
−リポソーム脂質二重層の約40モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
典型的には、本発明のリポソームは、酵母細胞に導入すべき分子を更に含む。前記分子は、リポソームに封入されていてもよい、即ち、リポソーム脂質二重層により規定される水性区画内に閉じ込められていてもよいという意味において、リポソームに含まれる。或いは、前記分子は、脂質二重層に埋め込まれていてもよく、二重層により規定される水性区画内に突き出していてもよく、および/または、酵母細胞に接触するよう、リポソーム脂質二重層の表面から突き出していてもよい。
リポソームに更に含まれる分子は、分子を移行させる酵母細胞が産生した、それに由来する、またはそれから得られる分子ではないという意味において「外因性分子」である。従って、合成的または人工的に製造された分子(自然にないものを含む)や、酵母細胞以外の細胞が産生した分子は、外因性分子である。
ただし、外因性分子は、酵母細胞が産生する分子と同一であってもよいと理解される。例えば、ある酵母細胞から得られる5’−ホスホジエステラーゼは、同酵素を移行させる酵母細胞にとって、同酵素が後者の酵母細胞が産生した、またはそれから得られたものではないという状況においては、外因性分子である。
リポソームに更に含まれる分子は、リポソームに含まれうる、酵母細胞に所望の効果を付与するあらゆる分子であってよいと理解される。そのような分子の例は、発酵産物(タンパク質(特に酵素)、アミノ酸、核酸、糖、有機化合物、グルタミン酸モノナトリウムなど)の産生に有用な分子である。
更に、ある特定の状況においては、上記リポソームは、酵母細胞に導入すべき分子を含んでいなくてもよいと理解される。より具体的には、ある状況において、リポソームは、1種以上の基質の反応のための表面としての、特定の効用を有すると認識されている。そのような状況においては、本発明のリポソームが、酵母細胞に導入すべき更なる分子と共に提供されることはない。
本明細書に記載する通り、本発明のリポソームは、それに含まれる分子を、エンドサイトーシスによって酵母細胞に移行させる(換言すれば、導入する)と考えられる。従って典型的には、リポソームは、酵母細胞がリポソームのエンドサイトーシスを許容する直径を有する。リポソームについての適切な直径は、100〜400nmであり、特に有用なリポソームは、直径200〜400nmのものである。
リポソーム脂質二重層の脱安定化は、リポソームが酵母細胞のエンドソーム二重層と融合するプロセス(これが、リポソームに含まれていてもよい分子の酵母細胞への移行を導く)において、重要な工程であると考えられる。リポソーム脂質二重層の脱安定化を起こさせるためのアプローチの1つは、リポソームを改変して、脂質二重層がpHの変動に対し感受性であるようにすることである。典型的には、本発明のリポソームは、酵母エンドソームのpHにおいてリポソーム脂質二重層が脱安定化されるように改変されている。pH5.0〜6.0で脱安定化を起こすよう改変された脂質二重層を含むリポソームは、特に有用である。
本発明につながる実験において、本発明者は、酵母細胞に対しある種の操作を行うことが、リポソームと酵母細胞の融合(例えば、リポソームに含まれる分子を酵母細胞に移行させるための)を可能にする上で特に有用でありうることを認識した。より具体的には、本発明者は、α(1−6)および(1−3)マンナン(酵母ガム)−タンパク質複合体や、キチンをバックボーンとするβ(1−6)および(1−3)グルカン(酵母セルロース)−タンパク質複合体を初めとする、ある種の分子を酵母細胞から少なくとも部分的に除去して、酵母細胞スフェロプラストを形成する、または、それを本質的に除去して、酵母細胞プロトプラストを形成することが必要であることを認識した。本明細書に記載する通り、酵母細胞プロトプラストの外部脂質膜(または、形質膜(plasmalemma or plasma membrane)としても知られる)は、主としてタンパク質、ステロール、スフィンゴ脂質およびリン脂質を含んでいる。形質膜は、酵母細胞内への、または酵母細胞外への分子種の輸送を規制するための障壁を提供するのに十分なものである。驚くべきことに、本発明者は、本明細書に記載の処理が、酵母ガムおよび酵母セルロースの少なくとも一部を除去するのに十分なものであり、また更に、本発明のリポソームのエンドサイトーシスが可能な、生存能力のある酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを提供するのに十分な感受性を有することを見出した。
従って本発明は、リポソームと融合させるための酵母細胞の調製方法であって、酵母細胞を処理して酵母細胞スフェロプラストまたは酵母細胞プロトプラストを形成する工程を含むことを特徴とする酵母細胞の調製方法を提供する。
典型的には、酵母細胞を1種以上の酵素と接触させて、酵母ガムおよび酵母セルロースの少なくとも一部消化することにより、酵母細胞を処理して酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを形成する。リチカーゼ(lyticase)およびβ−グルクロニダーゼが、この目的に特に適する酵素である。一実施形態において、本方法は、スフェロプラストまたはプロトプラストを単離する工程を更に含む。この目的には、密度勾配が特に有用である。典型的には、本方法において処理を施し、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを製造するための酵母細胞は、指数増殖期にある細胞である。一実施形態において、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを形成するために酵母細胞を処理する前に、酵母細胞を洗浄して酵母細胞から培養培地を除去する。
本発明は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストに、外因性分子を導入する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程を含む。典型的には、この方法に用いるリポソームは上記のものである。
本明細書に記載する通り、本発明者は、本発明のリポソームは、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストに、エンドサイトーシスにより受容されることを観測した。典型的には、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストとリポソームを約37℃において接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる(換言すれば、エンドサイトーシスさせる)。本明細書に記載する通り、スフェロプラストまたはプロトプラストとリポソームを、酵母細胞に適合する容量オスモル濃度(osmolarity)を有する緩衝液中で接触させ、エンドサイトーシスさせてもよい。
本発明は、外因性分子を含む酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程を含む。典型的には、この方法に用いるリポソームは上記のものである。
酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストとリポソームを上記の条件に従って接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させてもよい。一実施形態において、本方法は、外因性分子を含む酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを培養して、酵母細胞を提供する工程を更に含む。
本発明は、上記の方法により製造された酵母細胞、スフェロプラストまたはプロトプラストを提供する。上記の方法で用いるのに特に有用な細胞、スフェロプラストまたはプロトプラストは、Kluyveromyces属およびSaccharomyces属のものである。
本発明はまた、上記酵母細胞の、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料の製造を目的とする用途を提供する。一実施形態において、上記酵母細胞の用途は、上記酵母細胞を、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料を製造するための組成物と接触させる工程を含む方法である。
本発明の酵母細胞を用いて製造された食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料も提供される。典型的には、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料は、発酵またはメイラード(Malliard)反応により産生された産物である。その例には、加水分解した植物タンパク質を含む産物が含まれる。
本発明の特に有用なリポソームは、酵母細胞内においてRNA分子を加水分解して5’−リボヌクレオチドを産生する酵素を含む。従って本発明は、
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであり、
5’−ホスホジエステラーゼを含む
ことを特徴とするリポソームを提供する。
本明細書に更に記載されている通り、そのようなリポソームは、酵母細胞に5’−ホスホジエステラーゼをトランスフェクションし、細胞質内で5’−ホスホジエステラーゼにRNA分子を加水分解させて、リボヌクレオチドを製造することができるので、このリポソームは特に有用である。従って、そのようなリポソームの特定の利点は、フレーバリング向上剤として用いるリボヌクレオチドを、酵母細胞溶解物からRNAを精製する工程、RNAを酵素により消化する工程およびリボヌクレオチド産物を単離する工程という予備的な工程なしに提供することができることにある。食品または食材に味付けをする化合物、或いは食品または食材製造用原料に味付けをする化合物を形成することができる他の酵素または化合物が、リポソームに含まれていてもよい。そのような酵素の一例は、5’−アデニル酸デアミナーゼである。
本発明の特に有用な更なるリポソームは、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを産生する酵素を含む。従って本発明は、
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであり、
5’−アデニル酸デアミナーゼを含む
ことを特徴とするリポソームを提供する。
本発明は、上記の酵素を含むリポソームを製造する方法を提供する。本方法は、PC、DOPEおよび/またはPE、エルゴステロールおよびDOTAPを有機溶媒中に含む分散液を形成する工程;前記分散液を乾燥して、乾燥脂質を形成する工程;および前記乾燥脂質を、前記酵素を含む水性媒体に再分散して、リポソームを形成する工程を含む。本明細書に記載する通り、脂質の分散液を形成するための有機溶媒としては、クロロホルム−メタノール(2:1)溶媒が特に有用である。典型的には、本方法は、直径約400nmのリポソームを単離する工程を更に含む。
本発明はまた、上記の酵素を含む酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞プロトプラストを、前記酵素を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程を含む。本明細書に記載する通り、本発明者は、本発明のリポソームは、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストに、エンドサイトーシスにより受容されることを観測した。典型的には、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストとリポソームを約37℃において接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる(換言すれば、エンドサイトーシスさせる)。本明細書に記載する通り、スフェロプラストまたはプロトプラストとリポソームを、酵母細胞に適合する容量オスモル濃度を有する緩衝液中で接触させて、エンドサイトーシスさせる。
本発明は、RNA分子を加水分解してリボヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を提供する。本酵母細胞は、上記の方法で製造されるものである。
アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞も提供される。本酵母細胞は、上記の方法で製造されるものである。
本発明は更に、酵母細胞内においてフレーバリング向上剤を製造する方法を提供する。本方法は、酵母細胞を処理してスフェロプラストまたはプロトプラストを形成する工程;前記スフェロプラストまたはプロトプラストを、上記の酵素を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程;および前記酵母細胞内において、前記リポソームの酵素が機能を発揮するための条件を提供して、フレーバリング向上剤を製造する工程を含む。
上記の方法により製造されたフレーバリング向上剤も提供される。本発明の方法により製造されたフレーバリング向上剤は、典型的にはグアノシン5’−モノリン酸、シトシン5’−モノリン酸、アデノシン5’−モノリン酸、ウラシル5’−モノリン酸等のリボヌクレオチドである。好ましくは、リボヌクレオチドはグアノシン5’−モノリン酸またはイノシン5’−モノリン酸である。フレーバリング向上剤はまた、グルタミン酸モノナトリウムなどの化合物であってもよい。
本発明は、上記の方法で製造されたフレーバリング剤またはフレーバリング向上剤を含む食品、食材、或いは食品または食材製造用原料を提供する。本発明の方法により製造された食品、食材、原料、或いは食品または食材製造添加物用は、典型的には、発酵またはメイラード(Malliard)反応により製造した、またはこれらの反応による生成物を含む発酵(leavened)製品、辛味(savoury)製品または飲料である。
本発明は、上記リポソームを含む組成物を提供する。
実施例1:材料および装置
ダイズホスファチジルコリン(PC)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ダイズホスファチジルエタノールアミン(PE)、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、エルゴステロール(ERGO)、カルセイン、フルオレセインイソチオシアネートデキストラン(FITC−FD250S)、デキストロース、Trisma塩基、フィコール−タイプ70、フルオリナート(Fluorinert)FC−77、融点測定槽用油、I−スクロース−ul−14C、シリコーンオイルAR−200、リチカーゼおよびβ−グルクロニダーゼ−タイプH2は、いずれもシグマ−アルドリッチ社(オーストラリア国Castle Hill)より入手した。セファロースCL−4Bは、アマーシャム・バイオサイエンス社(ニューサウスウェールズ州Castle Hill)より入手した。ソルビトールは、メドケム社(ビクトリア州Kew)より購入した。酵母抽出物および細菌性ペプトンは、オキソイド・ケミカルズ社(ビクトリア州ハイデルベルグ)より購入した。Saccharomyces cerevisiae(YNN 281)およびK. marxianus(FRR 1337)は、フード・サイエンス・オーストラリア社(ニューサウスウェールズ州North Ryde)の厚意により供与を受けた。その他の化学物質および溶媒は、いずれもHPLCグレードのものを用いた。
ビュッヒ・ロータリーエバポレーターと、Heto FD−3凍結乾燥機を用いて、初期の乾燥を行い、次いで調製したリン脂質の膜から一切の痕跡量の有機溶媒を除去し、Braun Certomat WT温度調節振とう水浴中で再度水を加えた。まず、Braun 1200槽型超音波洗浄機中、2mmのガラスビーズを添加して(フラスコ壁からの乾燥脂質の除去を助けるため)、多重膜(multilamellar)小胞(MLV)を形成させた。実験室用フリーザーと加熱水浴を用いて、−80〜40℃での一連の周期的凍結−解凍工程の後、400nmポリカーボネートメンブランフィルターを組み込んだAvestin Lipo−fast basic押出機(extruder)(安定化装置付き)において、MLVから大きな単膜(unilamellar)小胞(LUV)への、リポソームのサイズ縮小を行った。この工程は、形成されたリポソームについての採捕体積(capture volume)の増加を目的としたものである。900−modelモニター、ランプおよび検出器(280nmに設定)、並びに920−modelポンプを完備し、Compaq Desk Pro Pentium(登録商標) IIIコンピューター(Unicorn分析ソフトウェアをサポート)に接続されたFrac 950フラクションコネクターを組み込んだアマーシャム・ファルマシア AKAT Gradient Processing FPLC Systemを用いたゲルろ過によって、あらゆる無被膜(unencapsulated)物質からLUVを分離した。このクロマトグラフで用いたカラムは、セファロースCL−4Bビーズ(45〜165μm)を充填し、25μm支持フィルター2枚を取り付けたK9−30カラムであった。カラムは、RK16/26パッキングリザーバーを用いて充填し、可変速ペリスタリックポンプを用いて満たした。形成されたLUVリポソームの粒子サイズは、ACO Pentium(登録商標) IIコンピューター(Mastersizer Version 2.18分析ソフトウェアをサポート)に接続されたMalvern Mastersizer−X 長床型粒子分析器により推定した。細胞のインキュベーションは、Biolineオービタルシェイカーを用いて行い、細胞およびプロトプラストの洗浄、ペレット化および密度分離は、固定ヘッドJA20ローターおよびJS−13スイングバケットヘッドローター(後者はプロトプラストの分離に特異的に)を用いるBeckman J2−H2遠心分離機により行った。プロトプラストの生存能力の確認は、Beckman 152 Microfugeでシリコンオイル勾配を通じてプロトプラストをペレット化した後、Packard 1600TR液体シンチレーター分析器によって測定したC−14の取り込みによって行った。
蛍光エンドサイトーシスの確認は、Dell Pentium(登録商標) 2コンピューター(Leica Scan−ware イメージングソフトウェアをサポート)に接続されたクリプトン−アルゴン混合レーザー(励起波長488nmに設定)を装着した、Leica TCS−4D共焦点顕微鏡で行った。細胞質および細胞膜内のリポソームの位置を確認するための、詳細な細胞のイメージングは、Gatan Dual Visionデジタルカメラで取り込んだ画像について、Philips CM 100透過型電子顕微鏡で行った。
実施例2:リポソームの創作
・ガラス器具
リン脂質の望ましくない酸化や、形成されたリポソームへの、何らかの外因性物質の可能性ある挿入(形成されたリポソームの電荷や充填密度(packing density)を変化させる)を避けるための努力において、全てのガラス器具は、一切の痕跡量の残存タンパク性物質、脂質または塩を除くため、試験に用いる前に、無リン洗剤で洗浄後、5M硝酸に浸漬し、Milli Q水ですすいだ。
・標準リン脂質溶液の調製
PC、PE、DOPE、DOTAPおよびERGOに関し、20mg/mlの保存溶液を調製した。それらは、各脂質20mgを、1mlのクロロホルム−メタノール(2:1)溶媒(0.45μmMilliporeフィルターで濾過し、使用時まで4℃で保存)に溶解することによって調製した。
分配用ピペットチップやフィルターからの可能性あるプラスチックモノマーの移行(混入してリン脂質ミセルの充填形状を変化させる恐れがあり、このことは、リポソーム分散液の保存中に、捕捉物質(entrapped materials)の早すぎる(premature)漏洩をもたらす恐れがある)を避けるため、これらの混合物の調製には、ガラス製のフラスコ、ビーカーおよびシリンジ、並びにステンレススチール製の針のみを用いた。
・乾燥脂質膜の調製
リン脂質の十分な分散を確保するため、洗浄した100mlのQuick fit丸底フラスコに、クロロホルム−メタノール(2:1)溶媒5mlを入れた。次いで、20mg/mlの保存溶液から、合計250μlの混合脂質を添加し、穏やかに1時間混合した。フラスコをアルミホイルに包んで、脂質をUV光による酸化から保護し、ヘッドスペースを窒素で5分間フラッシュして、ヘッドスペースから酸素を除去した後で、フラスコをビュッヒ・ロータリーエバポレーターに取り付けた。37℃(この温度は、ホスファチジルコリン成分の相転移温度(TM℃)より高い。これにより全ての脂質が液晶相にあることが確保され、均一な分散が可能になる。)に設定した水浴中、減圧下に60rpmで90分間溶媒を留去した。エバポレーターもまた黒いプラスチックフィルムで覆い、光の透過が最小となることをより確実にした。乾燥脂質から全ての溶媒を確実に除去するため、最後にフラスコを−52℃、圧力0.001Mbarで2時間凍結乾燥し、次いで窒素で再度フラッシュし、密封して、再度水の添加が必要になるまで−80℃で保存した。
・乾燥脂質膜への水の添加と蛍光色素の被膜
荷電カチオン性脂質であるDOTAP(ミリモル濃度のポリアニオン(カルセイン、リン酸塩、EDTAなど)や、5ミリモルを超える濃度の1価または2価カチオンの存在に対して感受性である)の沈殿または凝集を避けるため、乾燥脂質膜に2段階の工程で水を添加した。本発明者らの試験中に調査・修正された、膜への水の添加を、初めMilli Q水中37℃で30分間行い、ミセル複合体の形成を開始させることによる方法に関し、本発明者らの研究中に、カチオン性脂質の分離現象が観測された。これに次いで、所望の被膜剤(encapsulent)を用いて、適宜の緩衝溶液(pH7.2)中、30分〜1時間水の添加を行い、リポソームにカチオン感受性を誘起した。本発明者らの初期の試験では、20mMカルセイン溶液(pH7.2に調節した10mM Trisma中)を用い、次いでフルオレセインイソチオシアネートデキストランFD250Sを用いて続行し、本発明者らの形成したプロトプラストの細胞膜を通過する小分子の受動的な移動の回避を確実にした。より低分子のカルセインだけを、形成したプロトプラストと共にインキュベートすると、本発明者らの細胞の細胞膜を通過するこの分子の受動的な移動が幾分起こり、偽陽性の結果が出ることが、初期の試験において確認された。カルセインをFITC250kDAデキストランで置換すると、この状況は排除され、誘発されたリポソームのエンドサイトーシスに関する正確なデータがもたらされた。次いで、FITC複合デキストランの脱落(break down)を回避しつつ、脂質二重膜中の蛍光色素の採捕体積を増加させるための努力において、水を添加した脂質を−80〜37℃で周期的に3回凍結・解凍した。槽内での簡単な超音波処理を10分間行い、ミセル間の何らかの過剰な凝集を減少させつつ、MLVの発達を完結させた。その後、Avestin Lipo−fast basic押出機(安定化装置付き)を用いて各溶液の押出しを行った。
・押出しおよびゲルろ過による大きな単膜小胞の単離
Avestin Lipo−fast basic押出機は、容量1mlの手動式押出機で、ポリカーボネートフィルター(ステンレススチール製筐体内に取り付けられている)を内包する、一組のルアーロック付き(lour locked)膜支持体に取り付けられた両用(2 purpose built)ハミルトン気密シリンジを用いる。毎使用前に、押出機の部品を水中、次いでクロロホルム−メタノール(2:1)溶媒で洗浄して、残留脂質があれば除去し、再びMilli Q水ですすぎ、組み立て前に乾燥させる。本発明者らの実験では、400nmディスポーザブルフィルターを用いた(付随的な脂質の混入を避けるため、トングで膜支持体に取り付けた)。後の研究で、膜の外壁に接着する大きなリポソーム、およびプロトプラストの細胞質に入り込む小さなリポソームの透過型電子顕微鏡写真に基づき、本発明者らのリポソームの、細胞壁を通過するエンドサイトーシスによる流入の促進には、200nmフィルターがより適切でありうることが確認された。この仮定の弱点は、リポソームの捕捉体積もまた減少する点である。押出機を組み立てたら、シリンジを各々10mM Trisma緩衝液(pH7.2)で満たし、ポリカーボネートフィルターを通して対向するシリンジに押し出し、内容物を廃棄した。これを他のシリンジについても繰り返した。ただし、膜を通じた脂質溶液の通過をより容易にし、また残留色素または脂質(押出機の筐体内についていることがある)があれば除去するための、フィルターパッドの予備湿潤を意図して、逆方向に行った。
押出機と、MLVを含むフラスコを、37℃の水浴に浸漬して、装置を予熱し、脂質が液晶状態にあることを確実にした。これは、押出機の容易な通過を確実にした。溶液を、前後方向に23回押出機を通過させて、LUVの均一な分散を達成した。各押出しについて、初回通過の際にフィルター上に存在する可能性のある何らかの採捕された物質が再分散されることを避けて、対向するシリンジにおける手順を完了することが重要であった。繰り返しの押出しでより澄明になった溶液を、事前に滅菌した2mlエッペンドルフチューブに満たし、これをアルミホイルで覆ってゲルろ過前に4℃で保存した。
ゲル濾過用の緩衝液は、1Mソルビトール、100mM塩化カリウム、25mM Trisma塩基および100μM塩化マグネシウムよりなるもの(pH7.2に調製)であった。緩衝液は、使用前に濾過して減圧下に10分間脱気し、またMilli Q水で調製した。濾過の後、緩衝液もまた沸騰させて気体が残っていれば除去し、濾過の間に脂質が確実に液相であるよう、37℃のジャケット付きの槽に保持した。使用前の緩衝液から採捕された空気を除去することを要するのは、柔らかいセファロース充填ビーズの圧縮を避けることによって、リポソームと遊離色素の分離度を向上させるためであった。使用前に、FPLCラインおよびセファロース充填カラム内の保存剤として用いたエタノールまたはナトリウムアジドが残留していれば除去するため、3倍の体積の緩衝液でカラムを平衡化し、使用していない間は、カラムを冷蔵庫内に4℃で保存した。使用した分離プロトコールは、流速0.5ml/分で、リポソーム分散液2mlをカラムに注入し、溶出効率95%というものであった。使用した処理容積は79mlであり、処理時間は197分であった。
実施例3:コンピテント酵母プロトプラストの創作および確認
・培地の調製および酵母細胞のインキュベーション
酵母プロトプラスト製造のため、Saccharomyces cerevisiae(YNN 281)の凍結乾燥培養物を蘇生させ(recussitated)、120rpmに設定した温度調節振とう器中、30℃で20時間繁殖させた。その後、1.5%(w/v)酵母抽出物、2.0%(w/v)細菌性ペプトンおよび2.0%(w/v)デキストロースを含み、pH6.5に調節した滅菌YEPD培地中で増殖させた。インキュベーションの後、0.65M塩化カリウム、25mM Trisma塩基および100μM塩化マグネシウムを含み、pH6.5に調節した、浸透圧を安定化させた溶液で酵母細胞を2度洗浄した。この分散プロトコールのための濃度の要件は、氷点降下データを用いて定義された、Saccharomyces cerevisiae属の休眠酵母における細胞内浸透圧および濃度についての理解に基づくものである。収穫された細胞の遠心分離を、Beckman J2−H2遠心分離機により、4℃、10000rpmで15分間行った。
時間、温度またはpHの条件を操作するか、支持媒体の溶質を修正し、脂質膜の成長を促進すれば、高分子量化合物のエンドサイトーシスによる輸送を容易にすることを目的として、酵母細胞膜の多孔性および脂質含量を変化させることができることが確認された。
・酵母プロトプラスト単離のための、酵素溶液の調製および密度勾配
本発明者らの酵母の細胞壁を消化するため、0.65M塩化カリウム、25mM Trisma塩基および100μM塩化マグネシウムを含み、pH6.5に調節した溶液(この溶液は、収穫した酵母細胞の洗浄および再分散に用いたものと同じ)に、2mg/mlのリチカーゼおよび1mg/mlのカタツムリ腸液(gut juice)(Helix pomata由来β−グルクロニダーゼ)を含む、酵素消化剤(digest)を調製した。プロトプラストは、4mlの洗浄細胞分散液に、1mlの酵素調合物を添加したものから調製した。温度調整ロータリーシェイカー(120rpmに設定)上、密封コニカルフラスコ中において37℃で3時間インキュベーションして反応を行い、生存能力を有する本発明者らのプロトプラストを製造した。
次いで、不変(intact)の細胞および細胞壁残物からプロトプラストを単離するため、ファルコンチューブ内に1.04〜1.10g/lの5層の密度勾配を構築した。各溶液は、濃度0.65〜1Mのソルビトール、25mM Trisma塩基、100μM塩化マグネシウムおよび5または10%のいずれかのフィコール(最高密度の画分)により構成されるものとした。各溶液は、pH7.2に安定化させ、ファルコンチューブ内に各溶液を合計5mlずつ積層し、最高密度の画分から始めて酵母−酵素消化剤で終了した。その後チューブに蓋をしてBeckman遠心分離機に入れ、4℃、1000rpmで15分間回転させて、プロトプラストを単離した。
・C14−スクロースの吸収による、酵母細胞の生存能力の確認
形成したプロトプラストの、エンドサイトーシスを起こす受容能を確実にするため、酵母細胞によるスクロース−C14の吸収・輸送機構の促進を目的として、炭素源としての2.0%(w/v)デキストロースを4.0%(w/v)スクロースで置換した変法YEPD培地中で、酵母細胞を増殖させた。上記と同様にしてプロトプラストを形成し、再びソルビトールベースの密度勾配を用いて単離した。プロトプラストのシリコーンオイル分離は、糖勾配溶液から放射線ラベルした細胞を分離するための簡便な方法である。この手順では、本発明者らの試験で見られるように、1時間までの特定の期間、細胞を放射活性溶液中でインキュベートし、次いで特定密度のシリコーンオイルを通じて回転させ、シンチレーション計数によってそれらを分離する。プロトプラストをペレット化するため、7本のマイクロチューブ(400μl)を用意した。それらには各々、10μlのフルオリナートFC−77(採捕溶液として)および100μlのシリコーンオイルAR−200(密度1.05g/l)(スクロース−C14プロトプラストの分離に用いる媒体として)が入っている。実験においては、1Mスクロース(50mlメスフラスコ中に作成)40μlに、スクロース−C14保存溶液2μlを加えて用いた。次いで、1.5mlエッペンドルフチューブに1.2mlのプロトプラスト分散液を入れ、1Mスクロース−C14溶液12μlをキャップに入れた。エッペンドルフチューブをキャップで密閉したときを、インキュベーション時間の開始とした。次いで、10分ごとにプロトプラストの一部(aliquots)100μlを取り、予め用意した、シリコーンオイル勾配を含む一連の400μlチューブに連続して入れ、7000rpmで10秒間回転させた。各時間間隔ごとにチューブを取り出し、上部のシリコーンオイル画分を通過して、形成されたプロトプラストペレットを採捕し、3mlのシンチレーション流体の入ったシンチレーション管内で、Milli Q水100μlに再分散させた。標品として、体積100μlの1Mスクロース(スクロース−C14を含む)を取り、計数を行ったが、放射性同位元素のないプロトプラストにおいてそうした(ただし、プロトプラスト抽出物のクエンチング補正を避けるため、シリコーンオイルを通じて回転させた後に計数を行った)ように、シリコーンオイルを通じて回転させることはしなかった。
次いで、時間対計数(吸収されたスクロースのnmol数として記録)のグラフを作成し、コンピテントプロトプラストによる本発明者らの側のスクロースの同位体取り込みを確認した。
実施例4:エンドサイトーシスの検討
・形成されたプロトプラストと、色素結合リポソームのインキュベーション
大口径ピペットチップを通じて(脆弱なプロトプラストの障害を最小化することを確実にするため)プロトプラストの一部0.8mlを滅菌エッペンドルフチューブに取り、これにゲルろ過で得たリポソーム分散液0.8mlを添加した。プロトプラストの安定性を確実にするため、両溶液の密度は同等とし、インキュベーション前に穏やかに混合した。チューブは各々ホイルに包み、それらの側をスタイロフォームのシート(これもホイルに包み、チューブがしかるべき位置に保たれることを確実にした)に埋め込んで、37℃の水浴に浸漬し、90分間インキュベートした。
・リポソームの融合と蛍光エンドサイトーシスを確認する、共焦点顕微鏡による検討
インキュベートした分散液の試料20μlを、顕微鏡用スライドに乗せ、試料の乾燥を避けるため、カバースリップの縁をアクリル樹脂で封じた。一旦作成したスライドは、FITC複合体の蛍光の減少の危険を低減するため暗所に保存し、共焦点顕微鏡を用い、位相差および蛍光下に直ちに観察した。
・リポソームの融合と細胞エンドサイトーシスを確認する、透過型電子顕微鏡による検討
画像解析用の、ブロック状にマウントされた細胞の切片を調製する技術は、プロトプラスト−リポソーム分散液0.5mlを要し、これを、1.25%(v/v)グルタルアルデヒドおよび1.0%(w/v)パラホルムアルデヒドを含む0.2Mカコジル酸緩衝液(pH7.2)50μlで1時間固定した。次いで固定した分散液を、同量の5.0%アガロースと混合し、4℃で20分おいて硬化させた。混合物を小さな立方体(約2mm)に切り出し、更に4℃で14時間固定した。次いで、試料を1.0%(w/v)四酸化オスミウムで後固定し(post fixed)、2.0%(w/v)酢酸ウラニルでまとめて(en bloc)染色し、段階的エタノール系列により脱水し、Epon/Araldite樹脂に埋め込んだ。
Leicaウルトラミクロトームで超薄切片を切り出し、銅/パラジウムグリッド上に回収した。切片を4.0%(w/v)酢酸ウラニルおよびRaynolds酢酸鉛で染色し、Philips CM 100透過型電子顕微鏡で観察し、Gatan Dual Visionデジタルカメラで画像を取り込んだ。
実施例5:5’−ホスホジエステラーゼを含むリポソームの製造および利用
オオムギ細根をWaringブレンダーで柔らかくした(macerated)。得られた溶液を寒冷紗(cheese close)でろ過し、4℃、10000rpmで20分間回転させて、根の残さを除去した。上清を取り、60℃で1時間加熱した。溶液を再度4℃、10000rpmで20分間回転させ、上清を回収して、FPLC上、Hitrap 26/10脱塩カラムで脱塩した。脱塩溶液を、High Prep 16/10カラムを用いるアニオン交換に通して、活性画分を回収・脱塩し、次いでMono Qカラムに通した。次いで、単一の精製酵素を限外濾過膜(Amicon Ultra 4メンブラン、分子量カットオフ:30,000)上で遠心(4℃、7500×gで8分間)して濃縮した。
次いで、溶媒留去・凍結乾燥によりリン脂質の薄膜(所望の濃度であるPC50モル%、DOPE30モル%、DOTAP10モル%およびエルゴステロール10モル%を有する)を製造する方法により、リポソームを形成した。凍結・解凍により5’−ホスホジエステラーゼが失活しないことを確実にするため、初めはMilli Q水、次いで脱塩酵素溶液(0.65Mソルビトールの、浸透圧を安定化させた緩衝液)を用いて、薄膜に水を添加した。形成された多重膜小胞を、槽型超音波処理器で2分間手短かに超音波処理して、凝集を減少すると共に大きなリポソームの形成を持続させ、次いで凍結・解凍を3回行って、リポソームの採捕能を向上した。次いで、解凍したリポソーム溶液を、細孔径400nmのフィルターを用いるAvestin押出機で押し出し、酵素を含む大きな単膜小胞を、セファロースCL−4Bを充填した30cm×1cmのカラムを用いるFPLCにおけるゲルろ過によって単離した。次いで、酵素と結合したリポソームを、ここでもAmicon Ultra 4遠心管で濃縮し、必要時まで4℃で保存した。
上記のようにして、プロトプラストおよびスフェロプラストを調製した。次いで、遠心分離を助けるため、密度1.03g/lの勾配緩衝液中で1:4に希釈した後、ミリポアUltra Free CL 5μmメンブランチューブで、50分間室温で遠心して、プロトプラストを濃縮した。次いで、濃縮したプロトプラストを、酵素と結合したリポソームとエッペンドルフチューブ中で50:50で合わせ、振とう水浴中37℃で90分間インキュベートしてリポソームのトランスフェクションを起こさせ、また結合した酵素の放出を促進した。次いで、細胞の混合物をフレンチプレス上で溶解し、4℃、10000rpmで20分間回転させて細胞壁材を沈降させ、上清を回収して凍結し、放出された酵素によるそれ以上の一切の反応を阻止した。次いで、溶液中の5’−リボヌクレオチドを逆相(RP)HPLCで測定し(酵素と結合したリポソームを添加せずにインキュベートした酵母プロトプラスト分散液に対して)、数値を比較した。
実施例6:結果および考察
本発明者らは、リポソームの主マトリクスに、リン脂質であるPEおよびPCを組み入れた。荷電両親媒性物質DOTAPを組み込むのは、酵母細胞膜上にある表面タンパク質および安定化剤との初期的な融合を起こさせるためであった。エルゴステロールは、酵母細胞壁とリポソームの間での脂質の交換を容易にするために用いた。被膜物質の放出制御を容易にするため、リポソームの構造に付加的な化合物も組み入れた。これは、PEおよびその誘導体DOPEをベースとするもので、不飽和脂肪酸を高度に含むことが独特である。
本発明者らのリポソームについての放出機構には、DOPEと共にPEを用いた。これはPCに比べ頭部の基(head group)が小さく、本来的に円錐形で、また溶液中(特に低pHの)では、六角形の逆ミセルを形成する傾向にある。PE、特に不飽和のオレイル基を2つ有するDOPEの存在が、リポソーム内での高度の膜の湾曲をもたらす。このことが、被膜物質の放出をより速く、容易にすることにつながる。そしてそれ自体は、処方中において、放出の引金となる化合物(trigger release compound)として作用するように組み込まれた。
行った試験は、以下のリン脂質の組み合わせを含んでいた。
Figure 2006509501
いずれの試験も、被膜されていないFITC複合デキストランを陰性対照として用い(被膜されていない複合物ではエンドサイトーシスによらない輸送が起こることを確認するため)、2度ずつ行った。
リポソームには主要な3つのカテゴリーがある。タマネギの皮のような形態に配置された2枚以上の同心円状の膜を含み、1μm以上、100μm未満のサイズでありうる多重膜小胞、単一の二重層を有し、サイズ分布が200nm〜1μmである大きな単膜小胞、およびサイズが200nm未満である小さな単膜小胞である。本発明者らの研究では、大きな単膜小胞(LUV)を選択した。これは、多重膜小胞は大きすぎて酵母細胞膜を通らず、小さな単膜小胞は小さすぎて、本発明者らのFITCデキストランや5’−ホスホジエステラーゼを、有意な量採捕できないためである。
大きな単膜小胞は、初期に脂質膜に水を添加してMLVを形成した後、種々の方法で製造することができる。プローブや槽による超音波処理は、時間のかかる方法であり、製造されるリポソームのサイズや採捕能が均一でなく、またプローブによる超音波処理では少量の分散液しか製造できず、またそれを氷水で冷却して、プローブのチップから生じた熱を除去する必要がある。この方法はスケーラブル(scalable)でなく、また酵素の被膜に適合させることもできない。これは、発生する熱や、リポソーム分散液からチタン破砕物(fragments)を除去するための要件が、被膜すべき酵素の失活につながる恐れがあることによる。
脱水−水再添加の手順は、100リットルの体積に適合させることができるスケーラブルなもので、その上採捕能が可変である。逆相溶媒留去、エタノール注入、界面活性剤透析を適用することもできるが、これら各プロトコール(現在多くの研究者が用いてはいるが)の欠点は、本発明者らの酵素を有機溶媒または界面活性剤のいずれかに暴露することで、このことがその活性を有意に低下させる。界面活性剤除去の手順は特に、界面活性剤除去のための徹底的な透析を要し、食品産業にとってはひどく高価なものとなる。
マイクロフルイダイゼーション(micro fluidisation)を用いて、フレンチプレスでできるような小胞を調製することも行ったが、ここでも、せん断力による酵素の変性のため、この手順は許容し難いものとなる。
本発明者らは、脂質に対して溶媒留去、LUV製造に対しては、短時間の凍結−解凍、次いで押し出しというプロトコールを用いた。これは、蛍光色素および5’−ホスホジエステラーゼの高い採捕容量が可能となり、またカチオン性脂質の組み込みが容易となったことによる。
押し出しの前に、予備的な凍結−解凍工程を含めることが、形成されたLUVのコア内における採捕容積の増加をもたらす(これは、本発明者らのTEM観察によっても確認された)。凍結および解凍の原理が、リポソームの破裂・再融合を起こさせ、その間に、リポソームのコアのより深部の空隙で被膜溶質が平衡化する。凍結−解凍を行うと、リポソームが凝集することもあるが、押し出しの前の短い超音波処理工程で、クラスターを分離させ、LUVの形成を助けることができることがわかった。
カルセインを用いた実験においては、採捕容積の増加のために6回までの凍結−解凍サイクルを用いたが、FITC複合デキストランの実験においては、フルオレセイン化合物(遊離であると、カルセインを用いたエンドサイトーシス研究で見られたような、偽陽性の結果をもたらす恐れがある)の脱落(breaking off)を回避するための努力において、3サイクルだけ行った。
形成されるリポソームのサイズを、押出し機の作用で400nm未満に調節し、酵素や複合体の変性や、膜の汚染(fouling)の危険性を低減した。使用したフィルターは400nmフィルターであったが、後に、200nmフィルターが小さなLUVの比率を高め、細胞の脂質膜を介した移行を容易にすると評価された。押し出しに用いたポリカーボネート膜は、レーザーと化学エッチングの組み合わせで製造したもので、これは正確な直径の、垂直な面を持つ(straight−sided)孔を作ることを目的とするものである。
押し出し中にポリカーボネートフィルターパッドが裂けるのを回避するため、本発明者らの上記脂質への水の添加および押し出しは、最も高温の脂質の相転移温度よりも高温で行う必要があることも、本発明者らの試験中に見出された。
押し出しの手順により、均一な、定められたサイズ(Malvern Mastersizer−Sにより測定、透過型電子顕微鏡により確認)のLUVが製造された。平均サイズは0.36μmであった。
ゲル濾過法を用いて、形成されたリポソームを、未被膜色素を含む溶液から分画した。カチオン性リポソームを成功裡に分離するには、物質のサイズ差に基づく分離の原理の理解と、有効なゲル濾過カラムの充填能力が必要であった。分離のための充填材にはセファロースCL−4Bを用いた。これはビーズ状に成形されたアガロース(寒天由来で、アルカリ条件下、2,3−ジブロモプロパノールとの反応により架橋されている)である。この物質の架橋効果は、架橋デンプンの場合にもそうであるように、アガロースに対し、広範囲のpHにおける、より高い熱および化学的安定性をもたらす。
セファロースCL−4Bを選択したのは、それがセファロースの分離範囲の中間に位置し、またビーズのサイズ(最も小さい側の範囲で)がより小さいので、高分子量の化合物をより速く移動させるのが容易なことによる。このものは、最適な分離範囲が70×10〜20×10であり、ビーズサイズが45〜165μmである。
カラム内のよりサイズの小さいビーズが保持されるように、またリポソームが分離されてカラムフィルター上に留まり(lodged)、流れを制限したり分離を妨害したりすること(本発明者らの試験で初期のカラムを用いた時に見られたような)がないように、カラム用のフィルターは、25μmであるよう特異的に選択した。従来のフィルターはサイズが2μmとされていたが、汚染が起こったり、大きなリポソームのカラムへの流入を制限し、その分離を妨げたりした。
エンドサイトーシス研究のため後のリポソームと合わせた際に、形成されたリポソームを浸透圧の面から保護しうるものであるため、試験に用いる分離用緩衝液はよく選択されたものとし(chosen)、形成されたプロトプラストのグラジエント分離の際に同定した。ゲル濾過でのリポソームの分離は、クロマトグラム上の2つの溶出ピークで確認した。そのうち、先にカラムから出た(その分子量の関数として)乳状の分散液がリポソームを含んでいた。また、カーボン被覆グリッド上、pH7.0に調整した2.0%(w/v)リンタングステン酸ナトリウム溶液で染色されなかった(TEM画像で確認)。
プロトプラストの調製は、標準的な方法により行った。3時間のインキュベーションの後、4℃、1000rpmで15分間遠心分離を行い、プロトプラストを単離した。プロトプラストは主として、ファルコンチューブ内第3番目の、密度1.07g/lの溶液の層に見られた。その後、全てのゲルろ過実験において、この緩衝液濃度を分離溶液として用いた。プロトプラストは、細胞壁の残さが存在し、採捕されていることと共に、位相差およびTEM検鏡により確認した。共焦点およびTEM検鏡の際、負に荷電した細胞壁の残さが、特に濃度20mol%において、DOTAPリポソームとクラスターを形成することも観測された。
リチカーゼおよびカタツムリ腸液(Helix pomata由来β−グルクロニダーゼ)を用いる2成分酵素系の添加は、β(1−3)グルカンの加水分解と、細胞壁タンパク質中のシステイン結合を標的としており、プロトプラストを製造する炭水化物とタンパク質の両者を効果的に加水分解するためのものである。インキュベーション試験は、37℃の一定温度下、pH7.2で行った。これは、pHは臨界的なパラメータではなく、また事前の水の添加や精製工程を全てこの温度で行ったことによる。見直しを行った唯一の変数はインキュベーション時間で、30分間から90分間に変えた。トランスフェクションされるプロトプラストのレベルを最高にすることを達成するためには、90分間が最も適切な時間であると決定した。
本発明者らのリポソームのエンドサイトーシスによる取り込みを確実にするため、生存能力のあるプロトプラストを明らかにする必要があり、スクロースの放射能ラベルした同位体を利用することを採択し、この代謝物の取り込みを1時間にわたって記録した。所望の細胞性輸送機構を促進するため、細胞をスクロース培地中で増殖させた。
同位体を添加しない標品を調製してバックグラウンドシンチレーションを測定し、また同位体を含む(continuing)1Mスクロース標品100μlを測定して、スクロースの1μmol溶液についての計数値を得た。シンチレーションの結果は、1μmolのスクロースが7000カウントをもたらすことを示した。従って、1カウントは1×10−5/7000または144×10−12と計算された。同位体なしのスクロース溶液におけるバックグラウンド計数は9カウントであった。この実験の結果から、下記表2に示す如く、直線的且つ累進的なスクロース同位体の取り込みが示された。これは形成されたプロトプラストの、コンピテント性および生存能力のある性質を強調するものである。
Figure 2006509501
膜を通過する溶質の移動は、溶質のサイズや電荷に応じて、拡散または吸収のいずれかの工程による、多くの方法で起こりうる。融合、膜間輸送および脂質交換(リポソームと細胞膜の間での)は、細胞による高分子化合物の取り込み(それらを初期エンドソームに送達することを伴う)の促進をもたらす。取り込み工程は、ファゴサイトーシスの場合もあるが、通常はエンドサイトーシスの作用で起こり、表面電荷が細胞のそれとは逆になったミセルによる、溶質の被膜を必要とする。
エンドサイトーシスの際、負に荷電した細胞の表面タンパク質または酵素が、リポソーム(細胞表面に結合した機能的に活性な酵素の、保護および正しい方向付け(orientation)を確実にするための、安定化カチオン、抗体またはプロピレングリコールの更なる付加の可能性あり)に適用された正電荷と結合すると、リポソームと細胞膜の初期の融合が起こる。
リポソームは、細胞の表面に固定されると、細胞膜に覆われる。
リポソームは、細胞内に取り込まれると、初期エンドソームに入る。細胞内の、pHが5.6〜5.9に低下した環境と、37℃に上昇したインキュベーション温度が組み合わされ、その作用により2枚の膜の交換が促進され、その結果リポソームとエンドソームの構造が弱められる。
高温では、LUVの流動性と、エルゴステロールにより引き起こされる充填密度の変化が、細胞質への複合デキストランの放出促進を助けた。本発明者らの研究において確認された主たる放出機構は、細胞内に見える蛍光で確認したように、成分PEおよびオレイン酸を含むDOPE(処方4、5、11および12で使用)であった。
Figure 2006509501
・細胞融合とエンドサイトーシスの、共焦点および電子顕微鏡観察による測定
共焦点画像を用いて、酵母プロトプラスト内への被膜蛍光色素の放出が制御された、能動的なエンドサイトーシスを起こしているそれらのリポソームを確認した。エンドサイトーシスの確認は、透過型電子顕微鏡で行った。これは、プロトプラスト−リポソーム融合、細胞壁に結合した大小両方のリポソームに加え、酵母細胞質内の初期エンドソーム内に見られる小さなリポソームの画像を提供した。
・結論
リポソームと酵母プロトプラストの融合を促進するDOTAPの作用が、細胞性融合促進に必須である一方、DOPEの添加は特に、ホスファチジルエタノールアミンを含むリポソームに比べて増大した、結合した複合デキストランの放出をもたらす(ただし、それらの作用の程度はいずれも種々変化する)ことが明らかになった。
従って、標的細胞の細胞質pHよりも高いpHで形成したカチオン性リポソームは、細胞質と融合し、侵入することができると結論付けることができる。
ホスファチジルエタノールアミンを取り込んだ、放出の引き金となる機構は、リポソーム内に結合した成分の放出に重要である。しかし、インキュベーションの温度と時間を増せば、PEは単独でもなお、リポソーム成分の制御された放出を提供しうる。

Claims (30)

  1. 酵母細胞と融合させるためのリポソームであって、
    リポソーム脂質二重層の40〜50モル%はホスファチジルコリン(PC)であり、
    リポソーム脂質二重層の10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質であり、
    リポソーム脂質二重層の10モル%はステロールであり、
    リポソーム脂質二重層の30モル%はホスファチジルエタノールアミン(PE)および/またはジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である
    ことを特徴とするリポソーム。
  2. 前記リポソーム脂質二重層の50モル%は、PCであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  3. 前記リポソーム脂質二重層の20モル%は、カチオン性両親媒性物質であることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  4. 前記リポソーム脂質二重層の30モル%は、PEであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  5. 前記リポソーム脂質二重層の30モル%は、DOPEであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  6. 前記ステロールは、エルゴステロールであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  7. 前記ステロールは、コレステロールであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  8. 前記カチオン性両親媒性物質は、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)であることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  9. 前記リポソーム脂質二重層は、オレイン酸を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  10. 前記リポソーム脂質二重層の5モル%は、オレイン酸であることを特徴とする請求項9に記載のリポソーム。
  11. 酵母細胞に導入すべき分子を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  12. 前記分子は、外因性分子であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
  13. 前記分子は、酵母細胞内においてRNA分子を加水分解し、リボヌクレオチドを形成する酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
  14. 前記酵素は、5’−ホスホジエステラーゼであることを特徴とする請求項13に記載のリポソーム。
  15. 前記5’−ホスホジエステラーゼは、ホスホジエステラーゼ1(オルトリン酸ジエステルホスホヒドロラーゼ、EC3.1.4.1)であることを特徴とする請求項14に記載のリポソーム。
  16. 前記分子は、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
  17. 前記酵素は、5’−アデニル酸デアミナーゼであることを特徴とする請求項16に記載のリポソーム。
  18. 前記分子は、タンパク質、アミノ酸、核酸、糖、有機化合物、グルタミン酸モノナトリウム等の発酵産物の製造に有用な酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
  19. 直径100〜400nmであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  20. 前記リポソーム脂質二重層は、pH5.0〜6.0で脱安定化することを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
  21. リポソームと融合させるための酵母細胞の調製方法であって、
    酵母細胞を処理して酵母細胞スフェロプラストまたは酵母細胞プロトプラストを形成する工程
    を含むことを特徴とする酵母細胞の調製方法。
  22. 酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストに、外因性分子を導入する方法であって、
    酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程
    を含むことを特徴とする外因性分子を導入する方法。
  23. 前記リポソームは、請求項1に記載のリポソームであることを特徴とする請求項22に記載の外因性分子を導入する方法。
  24. 外因性分子を含む酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法であって、
    酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程
    を含むことを特徴とするスフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法。
  25. 前記リポソームは、請求項1に記載のリポソームであることを特徴とする請求項24に記載のスフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法。
  26. 請求項24に記載の方法により製造された酵母細胞、スフェロプラストまたはプロトプラスト。
  27. 請求項26に記載の酵母細胞の、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料の製造を目的とする用途。
  28. 請求項26に記載の酵母細胞を用いて製造された食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料。
  29. 酵母細胞内においてフレーバリング向上剤を製造する方法であって、
    酵母細胞を処理してスフェロプラストまたはプロトプラストを形成する工程;
    前記スフェロプラストまたはプロトプラストを、請求項13または16に記載のリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程;および
    前記酵母細胞内の、前記リポソームの酵素が機能するための条件を提供して、フレーバリング向上剤を製造する工程
    を含むことを特徴とするフレーバリング向上剤を製造する方法。
  30. 請求項29に記載の方法により製造されたフレーバリング向上剤。
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