JP2006509501A - 酵母の処理 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの産業では、新しい、改良された酵母株に対する需要があり、そのような株は現在、特定の表現型に従って株を培養・選択すること、または組替えDNA技術を用いて細胞に1種以上の遺伝子を導入し、特定の表現型を提供することのいずれかによって提供されている。そのような方法は、酵母株の作成には有用であるが、この目的に対するこれらの方法の適確性には、ある種の制限があてはまる。例えば、特定の表現型に従って株を培養・選択することは、時間がかかり、高価であり、また所望の表現型を創作することはできない。組替えDNA技術では、表現型を創作することは可能になるが、これらの技術によって製造された酵母は、典型的には遺伝的に改変された生物として認識され、このことはしばしば、そのような生物が産生した産物に対して有害な重要性を持つ。
以上のことからして、酵母細胞(フレーバリング向上剤を提供するための酵母細胞を含む)における改善に対する必要性がある。
他の一実施形態において、本発明は、酵母細胞に外因性分子を導入する方法を提供する。本方法は、酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、外因性分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程を含む。典型的には、この方法に用いるリポソームは上記のものである。
他の一実施形態において、本発明は上記の方法により製造された酵母細胞を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、本発明の酵母細胞を用いて製造された食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、RNA分子を加水分解してリボヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を提供する。本酵母細胞は、上記の方法により製造されるものである。
他の一実施形態において、本発明は、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、上記の方法により製造されたフレーバリング向上剤を含む食品、食材、或いは食品または食材製造用原料を提供する。
他の一実施形態において、本発明は、上記リポソームを含む組成物を提供する。
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質であり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEである
ことを特徴とするリポソームを提供する。
本発明のリポソームにおいては、カチオン性両親媒性物質としてステリルアミンおよびDOTAPが特に有用である。
下記のリポソームは、酵母細胞との融合、および同リポソームに含まれる高分子の酵母細胞への移行に、特に有用である。
−リポソーム脂質二重層の約50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はDOPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
−リポソーム脂質二重層の約40モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はDOPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
−リポソーム脂質二重層の約50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
−リポソーム脂質二重層の約40モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEであり、
−リポソーム脂質二重層の約20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールである
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであり、
5’−ホスホジエステラーゼを含む
ことを特徴とするリポソームを提供する。
−リポソーム脂質二重層の約40〜50モル%はPCであり、
−リポソーム脂質二重層の約10〜20モル%はDOTAPであり、
−リポソーム脂質二重層の約10モル%はエルゴステロールであり、
−リポソーム脂質二重層の約30モル%はPEおよび/またはDOPEであり、
5’−アデニル酸デアミナーゼを含む
ことを特徴とするリポソームを提供する。
アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素を含む酵母細胞も提供される。本酵母細胞は、上記の方法で製造されるものである。
本発明は、上記リポソームを含む組成物を提供する。
ダイズホスファチジルコリン(PC)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ダイズホスファチジルエタノールアミン(PE)、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、エルゴステロール(ERGO)、カルセイン、フルオレセインイソチオシアネートデキストラン(FITC−FD250S)、デキストロース、Trisma塩基、フィコール−タイプ70、フルオリナート(Fluorinert)FC−77、融点測定槽用油、I−スクロース−ul−14C、シリコーンオイルAR−200、リチカーゼおよびβ−グルクロニダーゼ−タイプH2は、いずれもシグマ−アルドリッチ社(オーストラリア国Castle Hill)より入手した。セファロースCL−4Bは、アマーシャム・バイオサイエンス社(ニューサウスウェールズ州Castle Hill)より入手した。ソルビトールは、メドケム社(ビクトリア州Kew)より購入した。酵母抽出物および細菌性ペプトンは、オキソイド・ケミカルズ社(ビクトリア州ハイデルベルグ)より購入した。Saccharomyces cerevisiae(YNN 281)およびK. marxianus(FRR 1337)は、フード・サイエンス・オーストラリア社(ニューサウスウェールズ州North Ryde)の厚意により供与を受けた。その他の化学物質および溶媒は、いずれもHPLCグレードのものを用いた。
・ガラス器具
リン脂質の望ましくない酸化や、形成されたリポソームへの、何らかの外因性物質の可能性ある挿入(形成されたリポソームの電荷や充填密度(packing density)を変化させる)を避けるための努力において、全てのガラス器具は、一切の痕跡量の残存タンパク性物質、脂質または塩を除くため、試験に用いる前に、無リン洗剤で洗浄後、5M硝酸に浸漬し、Milli Q水ですすいだ。
PC、PE、DOPE、DOTAPおよびERGOに関し、20mg/mlの保存溶液を調製した。それらは、各脂質20mgを、1mlのクロロホルム−メタノール(2:1)溶媒(0.45μmMilliporeフィルターで濾過し、使用時まで4℃で保存)に溶解することによって調製した。
リン脂質の十分な分散を確保するため、洗浄した100mlのQuick fit丸底フラスコに、クロロホルム−メタノール(2:1)溶媒5mlを入れた。次いで、20mg/mlの保存溶液から、合計250μlの混合脂質を添加し、穏やかに1時間混合した。フラスコをアルミホイルに包んで、脂質をUV光による酸化から保護し、ヘッドスペースを窒素で5分間フラッシュして、ヘッドスペースから酸素を除去した後で、フラスコをビュッヒ・ロータリーエバポレーターに取り付けた。37℃(この温度は、ホスファチジルコリン成分の相転移温度(TM℃)より高い。これにより全ての脂質が液晶相にあることが確保され、均一な分散が可能になる。)に設定した水浴中、減圧下に60rpmで90分間溶媒を留去した。エバポレーターもまた黒いプラスチックフィルムで覆い、光の透過が最小となることをより確実にした。乾燥脂質から全ての溶媒を確実に除去するため、最後にフラスコを−52℃、圧力0.001Mbarで2時間凍結乾燥し、次いで窒素で再度フラッシュし、密封して、再度水の添加が必要になるまで−80℃で保存した。
荷電カチオン性脂質であるDOTAP(ミリモル濃度のポリアニオン(カルセイン、リン酸塩、EDTAなど)や、5ミリモルを超える濃度の1価または2価カチオンの存在に対して感受性である)の沈殿または凝集を避けるため、乾燥脂質膜に2段階の工程で水を添加した。本発明者らの試験中に調査・修正された、膜への水の添加を、初めMilli Q水中37℃で30分間行い、ミセル複合体の形成を開始させることによる方法に関し、本発明者らの研究中に、カチオン性脂質の分離現象が観測された。これに次いで、所望の被膜剤(encapsulent)を用いて、適宜の緩衝溶液(pH7.2)中、30分〜1時間水の添加を行い、リポソームにカチオン感受性を誘起した。本発明者らの初期の試験では、20mMカルセイン溶液(pH7.2に調節した10mM Trisma中)を用い、次いでフルオレセインイソチオシアネートデキストランFD250Sを用いて続行し、本発明者らの形成したプロトプラストの細胞膜を通過する小分子の受動的な移動の回避を確実にした。より低分子のカルセインだけを、形成したプロトプラストと共にインキュベートすると、本発明者らの細胞の細胞膜を通過するこの分子の受動的な移動が幾分起こり、偽陽性の結果が出ることが、初期の試験において確認された。カルセインをFITC250kDAデキストランで置換すると、この状況は排除され、誘発されたリポソームのエンドサイトーシスに関する正確なデータがもたらされた。次いで、FITC複合デキストランの脱落(break down)を回避しつつ、脂質二重膜中の蛍光色素の採捕体積を増加させるための努力において、水を添加した脂質を−80〜37℃で周期的に3回凍結・解凍した。槽内での簡単な超音波処理を10分間行い、ミセル間の何らかの過剰な凝集を減少させつつ、MLVの発達を完結させた。その後、Avestin Lipo−fast basic押出機(安定化装置付き)を用いて各溶液の押出しを行った。
Avestin Lipo−fast basic押出機は、容量1mlの手動式押出機で、ポリカーボネートフィルター(ステンレススチール製筐体内に取り付けられている)を内包する、一組のルアーロック付き(lour locked)膜支持体に取り付けられた両用(2 purpose built)ハミルトン気密シリンジを用いる。毎使用前に、押出機の部品を水中、次いでクロロホルム−メタノール(2:1)溶媒で洗浄して、残留脂質があれば除去し、再びMilli Q水ですすぎ、組み立て前に乾燥させる。本発明者らの実験では、400nmディスポーザブルフィルターを用いた(付随的な脂質の混入を避けるため、トングで膜支持体に取り付けた)。後の研究で、膜の外壁に接着する大きなリポソーム、およびプロトプラストの細胞質に入り込む小さなリポソームの透過型電子顕微鏡写真に基づき、本発明者らのリポソームの、細胞壁を通過するエンドサイトーシスによる流入の促進には、200nmフィルターがより適切でありうることが確認された。この仮定の弱点は、リポソームの捕捉体積もまた減少する点である。押出機を組み立てたら、シリンジを各々10mM Trisma緩衝液(pH7.2)で満たし、ポリカーボネートフィルターを通して対向するシリンジに押し出し、内容物を廃棄した。これを他のシリンジについても繰り返した。ただし、膜を通じた脂質溶液の通過をより容易にし、また残留色素または脂質(押出機の筐体内についていることがある)があれば除去するための、フィルターパッドの予備湿潤を意図して、逆方向に行った。
・培地の調製および酵母細胞のインキュベーション
酵母プロトプラスト製造のため、Saccharomyces cerevisiae(YNN 281)の凍結乾燥培養物を蘇生させ(recussitated)、120rpmに設定した温度調節振とう器中、30℃で20時間繁殖させた。その後、1.5%(w/v)酵母抽出物、2.0%(w/v)細菌性ペプトンおよび2.0%(w/v)デキストロースを含み、pH6.5に調節した滅菌YEPD培地中で増殖させた。インキュベーションの後、0.65M塩化カリウム、25mM Trisma塩基および100μM塩化マグネシウムを含み、pH6.5に調節した、浸透圧を安定化させた溶液で酵母細胞を2度洗浄した。この分散プロトコールのための濃度の要件は、氷点降下データを用いて定義された、Saccharomyces cerevisiae属の休眠酵母における細胞内浸透圧および濃度についての理解に基づくものである。収穫された細胞の遠心分離を、Beckman J2−H2遠心分離機により、4℃、10000rpmで15分間行った。
本発明者らの酵母の細胞壁を消化するため、0.65M塩化カリウム、25mM Trisma塩基および100μM塩化マグネシウムを含み、pH6.5に調節した溶液(この溶液は、収穫した酵母細胞の洗浄および再分散に用いたものと同じ)に、2mg/mlのリチカーゼおよび1mg/mlのカタツムリ腸液(gut juice)(Helix pomata由来β−グルクロニダーゼ)を含む、酵素消化剤(digest)を調製した。プロトプラストは、4mlの洗浄細胞分散液に、1mlの酵素調合物を添加したものから調製した。温度調整ロータリーシェイカー(120rpmに設定)上、密封コニカルフラスコ中において37℃で3時間インキュベーションして反応を行い、生存能力を有する本発明者らのプロトプラストを製造した。
形成したプロトプラストの、エンドサイトーシスを起こす受容能を確実にするため、酵母細胞によるスクロース−C14の吸収・輸送機構の促進を目的として、炭素源としての2.0%(w/v)デキストロースを4.0%(w/v)スクロースで置換した変法YEPD培地中で、酵母細胞を増殖させた。上記と同様にしてプロトプラストを形成し、再びソルビトールベースの密度勾配を用いて単離した。プロトプラストのシリコーンオイル分離は、糖勾配溶液から放射線ラベルした細胞を分離するための簡便な方法である。この手順では、本発明者らの試験で見られるように、1時間までの特定の期間、細胞を放射活性溶液中でインキュベートし、次いで特定密度のシリコーンオイルを通じて回転させ、シンチレーション計数によってそれらを分離する。プロトプラストをペレット化するため、7本のマイクロチューブ(400μl)を用意した。それらには各々、10μlのフルオリナートFC−77(採捕溶液として)および100μlのシリコーンオイルAR−200(密度1.05g/l)(スクロース−C14プロトプラストの分離に用いる媒体として)が入っている。実験においては、1Mスクロース(50mlメスフラスコ中に作成)40μlに、スクロース−C14保存溶液2μlを加えて用いた。次いで、1.5mlエッペンドルフチューブに1.2mlのプロトプラスト分散液を入れ、1Mスクロース−C14溶液12μlをキャップに入れた。エッペンドルフチューブをキャップで密閉したときを、インキュベーション時間の開始とした。次いで、10分ごとにプロトプラストの一部(aliquots)100μlを取り、予め用意した、シリコーンオイル勾配を含む一連の400μlチューブに連続して入れ、7000rpmで10秒間回転させた。各時間間隔ごとにチューブを取り出し、上部のシリコーンオイル画分を通過して、形成されたプロトプラストペレットを採捕し、3mlのシンチレーション流体の入ったシンチレーション管内で、Milli Q水100μlに再分散させた。標品として、体積100μlの1Mスクロース(スクロース−C14を含む)を取り、計数を行ったが、放射性同位元素のないプロトプラストにおいてそうした(ただし、プロトプラスト抽出物のクエンチング補正を避けるため、シリコーンオイルを通じて回転させた後に計数を行った)ように、シリコーンオイルを通じて回転させることはしなかった。
次いで、時間対計数(吸収されたスクロースのnmol数として記録)のグラフを作成し、コンピテントプロトプラストによる本発明者らの側のスクロースの同位体取り込みを確認した。
・形成されたプロトプラストと、色素結合リポソームのインキュベーション
大口径ピペットチップを通じて(脆弱なプロトプラストの障害を最小化することを確実にするため)プロトプラストの一部0.8mlを滅菌エッペンドルフチューブに取り、これにゲルろ過で得たリポソーム分散液0.8mlを添加した。プロトプラストの安定性を確実にするため、両溶液の密度は同等とし、インキュベーション前に穏やかに混合した。チューブは各々ホイルに包み、それらの側をスタイロフォームのシート(これもホイルに包み、チューブがしかるべき位置に保たれることを確実にした)に埋め込んで、37℃の水浴に浸漬し、90分間インキュベートした。
インキュベートした分散液の試料20μlを、顕微鏡用スライドに乗せ、試料の乾燥を避けるため、カバースリップの縁をアクリル樹脂で封じた。一旦作成したスライドは、FITC複合体の蛍光の減少の危険を低減するため暗所に保存し、共焦点顕微鏡を用い、位相差および蛍光下に直ちに観察した。
画像解析用の、ブロック状にマウントされた細胞の切片を調製する技術は、プロトプラスト−リポソーム分散液0.5mlを要し、これを、1.25%(v/v)グルタルアルデヒドおよび1.0%(w/v)パラホルムアルデヒドを含む0.2Mカコジル酸緩衝液(pH7.2)50μlで1時間固定した。次いで固定した分散液を、同量の5.0%アガロースと混合し、4℃で20分おいて硬化させた。混合物を小さな立方体(約2mm3)に切り出し、更に4℃で14時間固定した。次いで、試料を1.0%(w/v)四酸化オスミウムで後固定し(post fixed)、2.0%(w/v)酢酸ウラニルでまとめて(en bloc)染色し、段階的エタノール系列により脱水し、Epon/Araldite樹脂に埋め込んだ。
オオムギ細根をWaringブレンダーで柔らかくした(macerated)。得られた溶液を寒冷紗(cheese close)でろ過し、4℃、10000rpmで20分間回転させて、根の残さを除去した。上清を取り、60℃で1時間加熱した。溶液を再度4℃、10000rpmで20分間回転させ、上清を回収して、FPLC上、Hitrap 26/10脱塩カラムで脱塩した。脱塩溶液を、High Prep 16/10カラムを用いるアニオン交換に通して、活性画分を回収・脱塩し、次いでMono Qカラムに通した。次いで、単一の精製酵素を限外濾過膜(Amicon Ultra 4メンブラン、分子量カットオフ:30,000)上で遠心(4℃、7500×gで8分間)して濃縮した。
本発明者らは、リポソームの主マトリクスに、リン脂質であるPEおよびPCを組み入れた。荷電両親媒性物質DOTAPを組み込むのは、酵母細胞膜上にある表面タンパク質および安定化剤との初期的な融合を起こさせるためであった。エルゴステロールは、酵母細胞壁とリポソームの間での脂質の交換を容易にするために用いた。被膜物質の放出制御を容易にするため、リポソームの構造に付加的な化合物も組み入れた。これは、PEおよびその誘導体DOPEをベースとするもので、不飽和脂肪酸を高度に含むことが独特である。
マイクロフルイダイゼーション(micro fluidisation)を用いて、フレンチプレスでできるような小胞を調製することも行ったが、ここでも、せん断力による酵素の変性のため、この手順は許容し難いものとなる。
リポソームは、細胞内に取り込まれると、初期エンドソームに入る。細胞内の、pHが5.6〜5.9に低下した環境と、37℃に上昇したインキュベーション温度が組み合わされ、その作用により2枚の膜の交換が促進され、その結果リポソームとエンドソームの構造が弱められる。
共焦点画像を用いて、酵母プロトプラスト内への被膜蛍光色素の放出が制御された、能動的なエンドサイトーシスを起こしているそれらのリポソームを確認した。エンドサイトーシスの確認は、透過型電子顕微鏡で行った。これは、プロトプラスト−リポソーム融合、細胞壁に結合した大小両方のリポソームに加え、酵母細胞質内の初期エンドソーム内に見られる小さなリポソームの画像を提供した。
リポソームと酵母プロトプラストの融合を促進するDOTAPの作用が、細胞性融合促進に必須である一方、DOPEの添加は特に、ホスファチジルエタノールアミンを含むリポソームに比べて増大した、結合した複合デキストランの放出をもたらす(ただし、それらの作用の程度はいずれも種々変化する)ことが明らかになった。
従って、標的細胞の細胞質pHよりも高いpHで形成したカチオン性リポソームは、細胞質と融合し、侵入することができると結論付けることができる。
Claims (30)
- 酵母細胞と融合させるためのリポソームであって、
リポソーム脂質二重層の40〜50モル%はホスファチジルコリン(PC)であり、
リポソーム脂質二重層の10〜20モル%はカチオン性両親媒性物質であり、
リポソーム脂質二重層の10モル%はステロールであり、
リポソーム脂質二重層の30モル%はホスファチジルエタノールアミン(PE)および/またはジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である
ことを特徴とするリポソーム。 - 前記リポソーム脂質二重層の50モル%は、PCであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層の20モル%は、カチオン性両親媒性物質であることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層の30モル%は、PEであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層の30モル%は、DOPEであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記ステロールは、エルゴステロールであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記ステロールは、コレステロールであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記カチオン性両親媒性物質は、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)であることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層は、オレイン酸を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層の5モル%は、オレイン酸であることを特徴とする請求項9に記載のリポソーム。
- 酵母細胞に導入すべき分子を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記分子は、外因性分子であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
- 前記分子は、酵母細胞内においてRNA分子を加水分解し、リボヌクレオチドを形成する酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
- 前記酵素は、5’−ホスホジエステラーゼであることを特徴とする請求項13に記載のリポソーム。
- 前記5’−ホスホジエステラーゼは、ホスホジエステラーゼ1(オルトリン酸ジエステルホスホヒドロラーゼ、EC3.1.4.1)であることを特徴とする請求項14に記載のリポソーム。
- 前記分子は、アデニル酸を脱アミノ化してイノシン5’−リン酸ヌクレオチドを形成する酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
- 前記酵素は、5’−アデニル酸デアミナーゼであることを特徴とする請求項16に記載のリポソーム。
- 前記分子は、タンパク質、アミノ酸、核酸、糖、有機化合物、グルタミン酸モノナトリウム等の発酵産物の製造に有用な酵素であることを特徴とする請求項11に記載のリポソーム。
- 直径100〜400nmであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム脂質二重層は、pH5.0〜6.0で脱安定化することを特徴とする請求項1に記載のリポソーム。
- リポソームと融合させるための酵母細胞の調製方法であって、
酵母細胞を処理して酵母細胞スフェロプラストまたは酵母細胞プロトプラストを形成する工程
を含むことを特徴とする酵母細胞の調製方法。 - 酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストに、外因性分子を導入する方法であって、
酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと、前記スフェロプラストまたはプロトプラストが前記リポソームを受容する条件下で接触させる工程
を含むことを特徴とする外因性分子を導入する方法。 - 前記リポソームは、請求項1に記載のリポソームであることを特徴とする請求項22に記載の外因性分子を導入する方法。
- 外因性分子を含む酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法であって、
酵母細胞スフェロプラストまたはプロトプラストを、前記分子を含むリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程
を含むことを特徴とするスフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法。 - 前記リポソームは、請求項1に記載のリポソームであることを特徴とする請求項24に記載のスフェロプラストまたはプロトプラストを製造する方法。
- 請求項24に記載の方法により製造された酵母細胞、スフェロプラストまたはプロトプラスト。
- 請求項26に記載の酵母細胞の、食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料の製造を目的とする用途。
- 請求項26に記載の酵母細胞を用いて製造された食品、食材、添加物、或いは食品または食材製造用原料。
- 酵母細胞内においてフレーバリング向上剤を製造する方法であって、
酵母細胞を処理してスフェロプラストまたはプロトプラストを形成する工程;
前記スフェロプラストまたはプロトプラストを、請求項13または16に記載のリポソームと接触させて、前記スフェロプラストまたはプロトプラストに前記リポソームを受容させる工程;および
前記酵母細胞内の、前記リポソームの酵素が機能するための条件を提供して、フレーバリング向上剤を製造する工程
を含むことを特徴とするフレーバリング向上剤を製造する方法。 - 請求項29に記載の方法により製造されたフレーバリング向上剤。
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