JP2006508161A - 炭素−ヘテロ原子二重結合の接触水素化 - Google Patents
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Abstract
Description
水素化触媒及び塩基の存在下で、該基質を水素と反応させる工程を含み、
水素化触媒が、式(I):
[XYRu(PR1R2R3)(P−Z−N)] (I)
〔式中、
X、Yは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルコキシ若しくはC1〜8アシルオキシ基であるか、又は少なくとも1組の自由電子対を有するヘテロ原子(例えば、(シクロ)アルキル/アリールオキシ、シクロアルキルチオ又はシクロアルキルアミノ基の形態で)を少なくとも1つ含有する配位結合した有機溶媒分子であり、この場合に得られるカチオン性錯体の電荷は、アニオン、例えば、CN−、OCN−、PF6 −又はF3C−SO2O−によりバランスされており、
R1、R2、R3は、各々独立して、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ジシクロアルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ又はジアリールアミノ基であり、場合により、C1〜4アルキル基及びC1〜4アルコキシ基から各々独立して選択される1、2又は3個の基で置換されているか、あるいはR1、R2、R3基の1つが上に定義されたとおりであり、残りの2つの基が、酸素ブリッジを介して又は直接にリン原子と結合し、リン原子を含む4〜8員環の、場合により置換された環を形成しており、
P−Z−Nは、sp2混成した窒素原子を含有し、式(II):
R4、R5は、各々独立して、場合により置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜8アルキル若しくはC2〜8アルケニル基;場合により置換されている、C6〜18アリール、C3〜18ヘテロアリール、C3〜8シクロアルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−(ヘテロ)アリールであり、ここで、可能な置換基は、ハロゲン、有機ハロゲン基、O(C1〜8)アルキル、N(C1〜8アルキル)2であるか;あるいはR4及びR5は一緒になって、リン原子を含む5〜10原子で構成される飽和又は芳香族の環となり、
Ca、Cbは、各々、少なくとも6つのπ電子を有する芳香族化合物の一部分であるが、場合により置換された(ヘテロ)アリールであり、
R6は、水素原子、場合により置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜10アルキル若しくはC2〜10アルケニル基、場合により置換されている芳香族環、あるいは−OR6’若しくは−NR6R6”基であり、ここで、R6’及びR6”はR6について定義されたとおりであり、
R7は、水素原子、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜10アルキル若しくはC2〜10アルケニル基、あるいはR7’CO若しくはR7’SO2基であり、ここで、R7’はC1〜8アルキル若しくはアリール基であるか、
あるいは
R6及びR7は一緒になって、5〜10の、場合により置換された環原子で構成される不飽和(ヘテロ)環となり、R6及びR7が結合した炭素原子及び窒素原子を含み、場合により、更なるヘテロ原子を含む)二座配位子である〕
で示される遷移金属錯体であることを特徴とする方法を提供する。
[XYRu(PR1R2R3)(P−Z−N)] (I)
で示される遷移金属錯体であることを特徴とする。
n=1又は2、好ましくは1であり、
m(Mに依存する)は、中心原子M上の自由な配位部位(free coordination sites)の数であり、
M=Cr、Mo、Fe、Ru、Os、Mn又はRe、好ましくはReであり、
X=O、S又はN、好ましくはOであり、
Lは、各々独立して、中心原子M上の自由な配位部位を満たす一座又は多座配位子であり、例えば、P(C6〜18アリール)3、P(C6〜18アルキル)3、H2NCH2CH2NH2、(C6〜18アリール)2PCH2CH2P(C6〜18アリール)2、又は好ましくはCOであり、
R4、R5は、各々、式(II)のもとで与えられた定義に対応する基であり、
R11は、C2〜8アルコキシアルキル、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくは、C1〜8アルキル、C6〜18アリール基であり、そして上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、
R8、9、10は、各々独立して、C1〜8アルキル、C2〜8アルコキシアルキル、C6〜18アリール、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、C3〜8シクロアルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくはHであり、そして上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよい〕
で示される配位子である。
n=1又は2、好ましくは1であり、
M=Fe、Ru、Os、好ましくはFeであり、
X=O、S又はN、好ましくはOであり、
R4、R5は、各々、式(II)のもとで与えられた定義に対応する基であり、
R11は、C2〜8アルコキシアルキル、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくは、C1〜8アルキル、C6〜18アリール基、特にi−プロピルであり、そして
上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、
R8、9、10は、各々独立して、C1〜8アルキル、C2〜8アルコキシアルキル、C6〜18アリール、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、C3〜8シクロアルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくはHであり、そして上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、そして上記式における下方のシクロペンタジエニド配位子は、上方のシクロペンタジエニド配位子についての上述の可能な置換パターンを基準にして、可能なPR4、5及びR8、9、10基に関して同様に置換されてもよい〕
で示される配位子でもある。
n=1又は2、好ましくは1であり、
X=O、S又はN、好ましくはOであり、
R4、R5は、各々、式(II)のもとで与えられた定義に対応する基であり、
R11は、C2〜8アルコキシアルキル、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくは、C1〜8アルキル、C6〜18アリール基、特にi−プロピルであり、そして
上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、
R12、R13は、各々独立して、C1〜8アルキル、C1〜4アルコキシ基、又は好ましくはHであるか、あるいは一緒になって縮合シクロアルキル環又はアリール環になる〕
で示される配位子でもある。
n、X、R4、R5及びR11は、各々、式(IV)で定義されたとおりであり、R14及びR15は一緒になって、6π又は10π電子ヘテロ芳香族系になり、場合により、直鎖又は分枝鎖のC1〜8アルキル基により置換されており、そして可能なヘテロ原子は、N、O、又はSである〕
で示される配位子でもある。
一般式(IIIb)の特に好ましい配位子は、以下の配位子A〜Gに対応する:
C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基は、上に特定されたようなアルキル基を介して分子に結合する、上述のようなシクロアルキル基を表わす。
C6〜18アリール基は、6〜18個の炭素原子を有する芳香族基を指す。これらとしては、特に、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ビフェニル基のような化合物が挙げられる。
Halは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、好ましくは塩素である。有機ハロゲン化合物は、炭素に加えて、ハロゲン族(フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む)の元素を含有する化合物について使用される集合的な用語である。例はCF3基である。
水素化は、代表的には、式(I)の錯体、基質、塩基、及び場合により溶媒を含む組成物で行われる。次いで、水素を、所望の圧力及び所望の温度下でこの組成物に注入する。選択される水素化条件は、基本的に、従来技術で公知の、通常の条件及び必須の工程パラメータ(例えば、圧力、温度、基質及び触媒の濃度、溶媒、塩基)に従う。以下に列挙される工程条件は、単に代表的例の性格を有するのみである。
使用される塩基は、水素化において通常使用される任意の無機塩基又は有機塩基であってよい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド及び炭酸塩、並びに第四級アンモニウム塩にのみ言及する。好ましくは、KOH、KOMe、KOiPr、KOtBu、LiOH、LiOMe、LiOiPr、NaOH、NaOMe又はNaOiPrを用いることである。塩基は、固体形態でか、あるいはアルコール又は好ましくは水に溶解した形態、例えば、KOtBu/tBuOH(1モル濃度)又はNaOH/H2O(1モル濃度)で使用してもよい。更に、使用される塩基は、広い濃度範囲で使用してもよい。金属錯体に対して表した塩基のモル当量(B/M)において、この比は、約0.5〜50000、好ましくは2〜10000であってもよい。
使用した基質は以下のものである:
250mLの三ッ口フラスコに、上述の参考文献(3)に従って調製したフェロセン−オキサゾリン前駆体(2.0g、6.8mmol)、TMEDA(1.2mL、8.2mmol)及びジエチルエーテル70mLを仕込んだ。溶液を−70℃まで冷却すると、黄濁を生じた。シリンジを用いて、反応混合物の温度を−65℃未満に保ちながら、n−BuLi(1.6Mヘキサン、5.5mL、8.8mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。添加後、混合物を−70℃で2時間攪拌し、ドライアイス浴をはずし、反応溶液を0〜5℃で更に15分間攪拌した。次いで、シリンジを用いて、PCl(キシリル)2 3.5g(12.6mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。次いで、今は暗橙色に着色された溶液を室温で約15分間攪拌し、ジエチルエーテル50mLを続けて添加した。飽和NaHCO3溶液30mLを添加することで、反応を停止させた。EtOAc各50mLで3回抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、橙褐色に着色された油状物3.3gを得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(SiO2 240g、4:1ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、純粋な橙色の結晶生成物1.5gを得た。
収量:1.5g、理論量の46%。
250mLの三ッ口フラスコに、上述の参考文献(3)に従って調製したフェロセン−オキサゾリン前駆体(2.0g、6.8mmol)、TMEDA(1.2mL、8.2mmol)及びジエチルエーテル60mLを仕込んだ。溶液を−70℃まで冷却すると、黄色になった。シリンジを用いて、反応混合物の温度を−65℃未満に保ちながら、n−BuLi(1.6Mヘキサン、5.5mL、8.8mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。添加後、混合物を−70℃で3時間攪拌し、ドライアイス浴をはずし、反応溶液を0〜5℃でさらに15分間攪拌した。次いで、シリンジを用いて、PCl(p−CF3−アリール)2 1.8g(6mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。次いで、暗橙色に着色された溶液を室温で約60分間攪拌し、ジエチルエーテル50mLを続けて添加した。飽和NaHCO3溶液30mLを添加することで、反応を停止させた。EtOAc各50mLで3回抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、褐色の油状物を得た。少量の酢酸エチルを添加し、油状物を溶解させた。次いで、ヘプタンをゆっくり添加すると、橙色沈殿(1g)の沈殿を生じ、この沈殿をフリットにより除去した。ろ液の溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、褐色に着色された油状物を得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(SiO2 120g、4:1ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、純粋な橙色の結晶生成物1.4gを得た。
収量:2.4g、理論量の65%。
250mLの三ッ口フラスコに、上述の参考文献(3)に従って調製したフェロセン−オキサゾリン前駆体(2.97g、10mmol)、TMEDA(1.8mL、12.0mmol)及びジエチルエーテル60mLを仕込んだ。溶液を−70℃まで冷却すると、黄濁を生じた。シリンジを用いて、反応混合物の温度を−65℃未満に保ちながら、n−BuLi(1.6Mヘキサン、8.6mL、13.6mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。添加後、混合物を−70℃で2時間攪拌し、ドライアイス浴をはずし、反応溶液を0〜5℃でさらに15分間攪拌した。次いで、シリンジを用いて、PCl(3,5−CF3−アリール)2 6.0g(12.2mmol)をゆっくり(約10分かけて)添加した。次いで、暗橙色に着色された溶液を室温で約15分間攪拌し、ジエチルエーテル50mLを続けて添加した。飽和NaHCO3溶液30mLを添加することで、反応を停止させた。Et2O各50mLで3回抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、褐色に着色された油状物9.0gを得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(SiO2 380g、4:1ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、暗橙色の結晶生成物3.0gを得た。収量:3.0g、理論量の42%。
全ての反応をシュレンク(Schlenk)の技法を用いて、保護ガス雰囲気下で行った。
適切な前処理後、個々の触媒溶液を、不活性雰囲気にした50mLの小型オートクレーブ(アルゴンの注入と脱気3回)に移し、出発物質(基質)及び塩基を続けて添加した。その後、オートクレーブを密閉し、水素を所望の圧力まで注入した。磁気攪拌器の電源を入れることにより反応を開始した。水素化時間が経過した時、磁気攪拌器を止め、オートクレーブを排気した。GC分析のためのサンプルを採取し、収率及び転化率を求めた。
1回の分析工程で、前記基質について転化率及びee値を求めた。
カラム:Beta−Dex 110(30m);110℃の等温;キャリアガスとして100kPaのH2;
反応剤1=5.6分;E1=7.7分;E2=8.1分。
反応剤5=8.8分、E1=12.5分;E2=13.0分。
反応剤7=6.2分、E1=8.4分;E2=8.8分。
カラム:Beta−Dex 110(30m);110℃の等温;キャリアガスとして120kPaのH2;
反応剤4=23.4分;E1=25.7分;E2=26.7分。
反応剤6=7.3分;E1=13.6分;E2=14.3分。
カラム:Beta−Dex 110(30m);130℃の等温;キャリアガスとして100kPaのH2;
反応剤2=5.7分、E1=9.5分;E2=10.9分。
反応剤3=7.7分、E1=11.1分;E2=11.7分。
使用した反応剤、反応条件及び得られた結果に関する実験1〜64の詳細を以下の表1に列挙した。
代表的な移動水素化条件下で行った最初の2つの比較実験は、水素圧1.1barの適用は活性にほとんど影響を与えないが、より高いエナンチオ選択性を可能にすることを示している。この関心を引く、重要な結果は、水素を用いた水素化が、移動水素化の主要な欠点(すなわち、エナンチオ選択性の割合が時間と共に減少していく(平衡に近づく)こと)を防ぐことが可能であることを示している。また、20〜80barの高圧下で、イソプロパノールではなくトルエンのような有機溶媒の存在下での水素化については、50000までのターンオーバー数を達成することができることを示すことができた。また、水素化しにくいことが知られているイソブチロフェノン(基質6)のような基質を、同様の条件下で、高いエナンチオ選択性(ee=97.2%)で水素化することができたことは注目に値する。
イミンのような水素化困難な基質を用いた場合でさえ、ケトンで記載したのと同様の水素化条件に従って水素化が進行したということは非常に興味深いことである。90%eeより高い注目すべきエナンチオマー過剰率を達成することができた。
Claims (17)
- 炭素−ヘテロ原子二重結合を含有する基質を水素化するための方法であって、
水素化触媒及び塩基の存在下、該基質を水素と反応させる工程を含み、
水素化触媒が、式(I):
[XYRu(PR1R2R3)(P−Z−N)] (I)
〔式中、
X、Yは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルコキシ若しくはC1〜8アシルオキシ基であるか、又は少なくとも1組の自由電子対を有するヘテロ原子(例えば、(シクロ)アルキル/アリールオキシ、シクロアルキルチオ又はシクロアルキルアミノ基の形態で)を少なくとも1つ含有する配位結合した有機溶媒分子であり、この場合に得られるカチオン性錯体の電荷は、アニオン、例えば、CN−、OCN−、PF6 −又はF3C−SO2O−によりバランスされており、
R1、R2、及びR3は、各々独立して、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ジシクロアルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ又はジアリールアミノ基であり、場合により、C1〜4アルキル基及びC1〜4アルコキシ基から各々独立して選択される1、2又は3個の基で置換されているか、あるいはR1、R2、及びR3基の1つが上に定義されたとおりであり、残りの2つの基が、酸素ブリッジを介して又は直接にリン原子と結合し、リン原子を含む4〜8員環の、場合により置換された環を形成しており、
P−Z−Nは、sp2混成した窒素原子を含有し、式(II):
(式中、
R4、R5は、各々独立して、場合により置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜8アルキル若しくはC2〜8アルケニル基;場合により置換されている、C6〜18アリール、C3〜18ヘテロアリール、C3〜8シクロアルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−(ヘテロ)アリールであり、ここで、可能な置換基は、ハロゲン、有機ハロゲン基、O(C1〜8)アルキル、N(C1〜8アルキル)2であるか;あるいはR4及びR5は一緒になって、リン原子を含む5〜10原子で構成される飽和又は芳香族の環となり、
Ca、Cbは、各々、少なくとも6つのπ電子を有する芳香族化合物の一部分であるが、場合により置換された(ヘテロ)アリールであり、
R6は、水素原子、場合により置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜10アルキル若しくはC2〜10アルケニル基、場合により置換されている芳香族環、あるいは−OR6’若しくは−NR6R6”基であり、ここで、R6’及びR6”はR6について定義されたとおりであり、
R7は、水素原子、直鎖、分枝鎖又は環状鎖のC1〜10アルキル若しくはC2〜10アルケニル基、あるいはR7’CO若しくはR7’SO2基であり、ここで、R7’はC1〜8アルキル若しくはアリール基であるか、
あるいは
R6及びR7は一緒になって、5〜10の、場合により置換された環原子で構成される不飽和(ヘテロ)環となり、R6及びR7が結合した炭素原子及び窒素原子を含み、場合により、更なるヘテロ原子を含む〕を有する二座配位子である〕
で示される遷移金属錯体であることを特徴とする方法。 - 式(I)中のX、Yが、各々独立して、水素原子又はハロゲン原子であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 式(I)中のX、Yが、各々、ハロゲン原子、特に塩素であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 式(I)中のR1、R2、R3が、各々独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、o−若しくはp−トリル、p−イソプロピルフェニル又はメシチル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 式(I)中のR4、R5が、各々独立して、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、o−若しくはp−トリル、メシチル、α−若しくはβ−ナフチルから選択される基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 式(II)中のCa、Cbが、メタロセンの配位子として、場合により置換されたベンゼンの形態、又は場合により置換されたシクロペンタジエニドイオンの形態である純正6π電子系の一部分であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 式(II)中のC6及びC7が一緒になって、5〜10の、場合により置換された環原子で構成される不飽和ヘテロ環になり、R6及びR7が結合した炭素原子及び窒素原子を含み、場合により、更なるヘテロ原子を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 式(II)の配位子が、一般式(IIIb):
〔式中、
n=1又は2、好ましくは1であり、
M=Fe、Ru、Os、好ましくはFeであり、
X=O、S又はN、好ましくはOであり、
R4、R5は、各々、式(II)のもとで与えられた定義に対応する基であり、
R11は、C2〜8アルコキシアルキル、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくは、C1〜8アルキル、C6〜18アリール基、特にi−プロピルであり、そして
上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、
R8、9、10は、各々独立して、C1〜8アルキル、C2〜8アルコキシアルキル、C6〜18アリール、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、C3〜8シクロアルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくはHであり、上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよい〕
で示される配位子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 - 式(II)の配位子が、一般式(IV):
〔式中、
n=1又は2、好ましくは1であり、
X=O、S又はN、好ましくはOであり、
R4、R5は、各々、式(II)のもとで与えられた定義に対応する基であり、
R11は、C2〜8アルコキシアルキル、C7〜19アラルキル、C3〜18ヘテロアリール、C4〜19ヘテロアラルキル、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18(ヘテロ)アリール、(C1〜8アルキル)1〜3−C6〜18シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル−C1〜8アルキル基、又は好ましくは、C1〜8アルキル、C6〜18アリール基、特にi−プロピルであり、そして
上述の基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、Hal、Si、N、O、P、Sにより置換されていてもよく、あるいは上記基は、それらの炭素骨格中に1つ以上のヘテロ原子、例えば、Si、N、O、P、Sを有していてもよく、
R12、R13は、各々独立して、C1〜8アルキル、C2〜8アルコキシ基、又は好ましくはHであるか、あるいは一緒になって縮合シクロアルキル環又はアリール環となる〕
で示される配位であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 - 水素化される基質がプロキラルイミン又はプロキラルケトンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 水素化される基質が、プロキラルの単環式又は多環式アリールケトン若しくはヘテロアリールケトンであり、場合により、直鎖又は分枝鎖のC1〜8アルキル基、C1〜8アルコキシ基、又はハロゲン原子によって置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
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