JP2006507831A - L−ラムノース誘導性発現系 - Google Patents

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Abstract

本発明は、原核宿主細胞において核酸配列を発現させる方法に関する。前記方法によれば、前記宿主細胞においてエピソーム複製が可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有する、少なくとも1つのDNA構築物を宿主細胞に導入し(ただし、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である)、その核酸配列の発現をL-ラムノースの添加によって誘導する。本発明の方法は、用いる原核宿主細胞が少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損していることにより特徴づけられる。

Description

本発明は、原核宿主細胞において核酸配列を発現させる方法に関し、ここでは、前記宿主細胞においてエピソーム複製が可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有する(ただし、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である)少なくとも1つのDNA構築物を前記宿主細胞に導入し、L-ラムノースの添加によって前記核酸配列の発現を誘導するが、原核宿主細胞は少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損がある。本発明は更に、少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損があり、かつ少なくとも1つのDNA構築物を含有する原核宿主細胞に関し、前記DNA構築物は、該宿主細胞内で複製可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸を含有する(ただし、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である)。
遺伝子の異種発現は、製薬上および工業上の目的のために酵素および他のタンパク質を製造する経済的な方法である。異種発現は依然として主に大腸菌(Escherichia coli)の菌株を用いて行われている。異なる宿主生物および遺伝子発現カセットに依存する多数の系が、組換えタンパク質の製造のために知られている。微生物学的系において組換えタンパク質を発現させるための系および方法が数多く記載されているが、大腸菌のようなグラム陰性細菌のための発現系は、非常に限られた範囲の細菌プロモーターに基づいている。最も広く使用されているものは、ラクトースプロモーター(lac)(Yanisch-Perronら(1985) Gene 33: 103-109)およびトリプトファンプロモーター(trp)(Goeddelら(1980) Nature (London) 287: 411-416)ならびに上記のハイブリッドプロモーター(lacおよびtrp)(Brosius (1984) Gene 27:161-172; AmannaおよびBrosius (1985) Gene 40: 183-190)である。更なる例としては、λファージのPLおよびPRプロモーター(Elvinら(1990) Gene 37:123-126)、ファージT7プロモーター(TaborおよびRichardson (1998) Proc Natl Acad Sci USA 82:1074-1078)、およびアルカリホスファターゼプロモーター(pho)(Changら(1986) Gene 44:121-125)がある。
異種発現は、例えば、遺伝子産物の毒性、著しく低い発現率、または不溶性のタンパク質凝集体(「封入体」)の形成などの様々な問題を抱えている。上述のプロモーターの多くは、発現されるべき組換えタンパク質が当該宿主に対して毒性作用を有する場合、利用に適さない。これらの場合には、最も厳格な発現調節が望ましい。このために使用され得るプロモーター系は誘導性プロモーター系として知られているもので、誘導物質または別の外因性の刺激(例えば熱など)を加えることによって誘導され得る。一般的に、前記誘導性プロモーター系はプロモーター/レギュレーターの組み合わせから成り、そこでレギュレーターは、例えば外因性の刺激とともに当該プロモーターからの転写開始を誘導するタンパク質である。例としては、プロモーターと、lacリプレッサー(Studier FWら(1990) Methods in Enzymol 185:60-89; Dubendorff JWおよびStudier FW (1991) J Mol Biol 219:45- 59)などのリプレッサーと、の組み合わせが挙げられる。このリプレッサーの抑制効果は、天然の誘導物質(例えばラクトース)または人工の誘導物質(例えばイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド; IPTG)の添加によって解除でき、従って発現が開始され得る。ラクトースとは異なり、IPTGは代謝されないので、長期間の誘導が保証される。これらの誘導性プロモーターの更なる例としては、アラビノース誘導性araBプロモーター(US 5,028,530; Guzman LMら(1995) J Bacteriol 177:4121-4130)がある。
IPTGや他の合成誘導物質は非常に高価であり、ある場合には、生物の増殖に悪影響をもたらし、工業規模での利用を非経済的にする。
一般的に、アミノ酸(例えばトリプトファン)および糖(アラビノース)などの生理的な誘導物質はより安価であるが、それらは生物によって代謝されるので、細胞が増殖している時、特に高密度の細胞発酵の場合には、相当量を添加および/または追加しなければならない。更に、例えば酢酸が糖から生成される場合のように、これらの化合物の代謝産物もまた、後に培養物にとって有害となりうる。
WO 01/73082は、誘導性araBプロモーターの制御下で、誘導物質アラビノースの能動輸送に欠陥を有するE. coli宿主生物において、組換えタンパク質を発現させる方法を記載している。ここでの利点は、能動輸送が起こらずに受動輸送(拡散による)のみが起こり得ることにある、とされている。これは、細胞内アラビノース濃度の、ひいてはまた発現誘導の、より良い制御を意味している。記載されるいくつかの実施例では、アラビノース代謝酵素リブロキナーゼ(AraB)およびL-リブロース-5-リン酸4-エピメラーゼ(AraD)に欠損を有するE. coli菌株(E104)が用いられる。しかし、発現データによると、この欠損は発現レベルに対して実質的影響を及ぼさない。アラビノース誘導系は以下のような様々な難点を有する。すなわち、
a) アラビノースはわずか0.1 mMまたはそれ以上の濃度から細菌培養物に対して増殖阻止効果を有し、WO 01/73082に記載された方法を用いた場合でも、ある程度までしか改善されない(WO 01/73082の表4参照)。
b) アラビノース誘導性プロモーターはアラビノースの非存在下でも完全に不活性というわけではなく、かなり高い基礎活性を有する(WO 01/73082の表5参照)。
c) 発現される組換えタンパク質の品質が細胞密度に依存し、細胞密度の増加に伴って低下する(De Lisa MPら(1999) Biotechnol Bioeng 65:54-64)。
トランスポゾン挿入「rha-14::Tn10」を有するE. coli菌株JB1204(CGSC6999, BulawaおよびRaetz (1984) J Biol Chem 259:11257-11264)が記載されているが、「rha-14」の配列または機能に関する詳細な情報は提供されていない。
E. coliのような細菌におけるL-ラムノースの取り込みおよび代謝が記載されている。L-ラムノースは能動輸送系(RhaT)を介して細胞内に取り込まれ、イソメラーゼ(RhaA)によってL-ラムヌロースに変換され、L-ラムヌロースはその後更にラムヌロース1-ホスファターゼ(RhaB)によってリン酸化され、アルドラーゼ(RhaD)によって加水分解されて、ジヒドロキシアセトンリン酸およびラクトアルデヒドを生じる。遺伝子rhaBADはオペロンを形成し、rhaPBADプロモーターとして知られているものによって転写される。他の系と比較して、ラムノース系は、調節のために2つの活性化因子RhaSおよびRhaRが必要とされるという事実によって区別される。これら2つは転写単位を形成し、rhaBADに対して反対方向に転写される。L-ラムノースが存在する時、RhaRはrhaPRSプロモーターに結合し、それ自身の発現ならびにRhaSの発現を開始する。RhaSは、その後L-ラムノースによって活性化されると、rhaPBADプロモーターおよび別のrhaT遺伝子のrhaPTプロモーターにエフェクターとして結合し、該構造遺伝子の転写を活性化する(Moralejo Pら(1993) J Bacteriol 175:5585-5594; Tobin JFら(1990) J Mol Biol 211:1-4; Chen YMら(1987) J Bacteriol 169:3712-3719; Egan SMら(1993) J Mol Biol 243:87-98)。2つの活性化因子の組み合わせはrhaPBADプロモーターによる非常に厳密な発現制御をもたらす。アラビノース誘導性araBプロモーターとラムノース誘導性rhaPBADプロモーターを比較すると、後者が実質的により厳密な調節を受け、誘導物質ラムノースの非存在下では、事実上表現型を示さないことがわかる(Haldimann Aら(1998) J Bacteriol 180(5):1277-1286)。
WO 01/32890は、大腸菌TG1 pDHE681または誘導菌株を用いたL-パントラクトン加水分解酵素の製造を記載しているが、そこでは、該酵素の遺伝子発現のための誘導物質としてL-ラムノースが用いられた。L-ラムノースは大腸菌によってよく代謝されるので、変換されたL-ラムノースを補給しなければならない。これは実験操作を相当煩雑にさせ、培地のコストを増加させる。
更に、L-ラムノース誘導性rhaBADプロモーターおよび部位特異的に導入されたL-ラムヌロースキナーゼ(RhaB)の欠損を有するE.coli菌株を用いた、高い細胞密度での発酵のための発現系が記載されている(Stumpp Tら(2000) Biospectrum 6(1):33-36; Wilms Bら(2001) Biotechnol Bioeng 73(2): 95-103)。ここではRhaBが意図的に選択されたが、その理由は、RhaBがL-ラムノースの代謝において最初の不可逆的ステップであるためである(Wilms Bら(2001) Biotechnol Bioeng 73(2) p.98、左欄、4〜8行目参照)。最適な誘導は、これらの系において2 g/LのL-ラムノース濃度を用いて達成され得る(Wilms Bら(2001) Biotechnol Bioeng 73(2) p.102、左欄、第二パラグラフの1〜4行目参照)。これらの濃度はまだ非常に高い。100ユーロ/kgのL-ラムノース平均価格では、10 m3の発酵槽はL-ラムノースのみで2000ユーロが費やされることを意味する。
更に、内在性rhaPBADプロモーターの後ろに位置するラムノースオペロン(BAD)が相同組換えによってPhoB遺伝子(転写活性化因子)に置換された、厳密に調節されるラムノース誘導性発現系が記載されている(Haldimann Aら(1998) J Bacteriol 180(5):1277-1286)。ここに記載される系は非常に厳密な調節を保証するので調節因子の研究に適しているが、染色体のラムノースオペロンの置換の結果、いずれの場合にもたった1コピーのrhaPBADプロモーター制御発現カセットしか導入できないため、それは、特に高密度の細胞培養条件下での過剰発現にはあまり適していない。更に、相同組換えによる遺伝子の置換は複雑であり、適切に改変された生物の面倒な選択および解析を必要とする。これにより、記載された方法は一般的な目的には適していない。
少量のL-ラムノースが高い発現レベルをもたらす、核酸、好ましくは組換えタンパク質を発現させる改良された方法を提供することが目的であった。この目的は本発明によって達成される。
本発明の第一の態様は、原核宿主細胞において核酸配列を発現させる方法に関し、ここでは、
a)前記宿主細胞においてエピソーム複製が可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有する(ただし、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である)少なくとも1つのDNA構築物を前記宿主細胞に導入すること、
b)前記DNA構築物をエピソームの形態で含有する原核宿主細胞を選択すること、
c)選択された宿主細胞の培養物にL-ラムノースを添加することによって前記核酸配列の発現を誘導すること、
を含んでなり、その際、原核宿主細胞は少なくともL-ラムノースイソメラーゼが欠損している。
好ましい実施形態では、本発明による方法が組換えタンパク質の製造のために使用できるように、発現されるべき核酸配列の発現は、前記核酸配列によってコードされるタンパク質の産生をもたらす。
更に好ましい実施形態では、1以上の更なるL-ラムノース代謝または輸送タンパク質に更なる欠損が存在しうる。
本発明の更なる態様は、少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損があり、かつ少なくとも1つのDNA構築物を含有する原核宿主細胞に関する。前記DNA構築物は、前記宿主細胞内で複製可能であり、L-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有するが、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である。
好ましい実施形態では、本発明に従った原核宿主細胞は、1以上の更なるL-ラムノース代謝または輸送タンパク質に更なる欠損があってもよい。
更に、本発明は、本発明に従った原核宿主細胞の1つまたはその調製物を用いて、組換えタンパク質、酵素および、例えばキラルなカルボン酸などの他のファインケミカルを製造する方法に関する。
本発明に従った方法は以下のような様々な利点を有する。すなわち、
1. 対象の発現菌株は、(Haldimann Aら(1998) J Bacteriol 180(5):1277-1286によるような)相同組換えを用いたゲノムへの挿入を行うことなく、また、必要とされる適正に改変された生物の厄介な選択を行うことなく、宿主菌株から出発して、単純な形質転換によって作製され得るため、使用するのが容易である。
2. 本発明の範囲内で提供される発現カセットおよび発現ベクターは取り扱いが容易である。一例として用いられるrhaPBADプロモーターはわずか123塩基対の長さしかない。
3. L-ラムノースは、特にC源が制限された発酵の場合に、E. coliによって代謝されるため、標準的な方法は高いL-ラムノース消費(供給)、ひいては高い培地コストをもたらす。本発明に従った方法は低いL-ラムノース要件(L-ラムノース代謝菌株と比較して<1%)を有するため、発酵培地のコスト、ひいては生体触媒の製造コストが実質的に減少する。本発明による方法を提供することによって、組換えタンパク質(例えばニトリラーゼ、L-パントラクトン加水分解酵素)は、恒常的にラムノースを供給しなくても、高密度細胞発酵(例えば提供されるE. coli TG10菌株の高密度細胞発酵)によって製造することができる。
4. 記載される系の調節は、非常に厳密で持続的であり、0.05 g/l以下の低濃度の誘導物質L-ラムノースでさえ最大の誘導をもたらすことを示した一方で、プロモーター活性は誘導物質の非存在下ではまったく検出されなかった。従って、この系はまた、潜在的に毒性のあるタンパク質の発現にきわめて適しており、低いL-ラムノース濃度しか必要としないため、特に工業的条件下での安価な製造を可能にする。
本発明において、「原核宿主細胞」または「原核宿主生物」とは、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌を指すが、特に天然で炭素源としてL-ラムノースを代謝できるグラム陽性細菌またはグラム陰性細菌を指す。L-ラムノースはほとんどの原核生物により炭素源として利用され得る。
好ましくは、原核宿主細胞または原核宿主生物とは、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)ならびに放線菌目(Actinomycetales)のすべての属および種を指し、特に好ましくは腸内細菌科のEscherichia、Serratia、Proteus、Enterobacter、Klebsiella、Salmonella、Shigella、Edwardsielle、Citrobacter、Morganella、ProvidenciaおよびYersiniaの種を指す。
更に、Pseudomonas、Burkholderia、Nocardia、Acetobacter、Gluconobacter、Corynebacterium、Brevibacterium、Bacillus、Clostridium、Cyanobacter、Staphylococcus、Aerobacter、Alcaligenes、RhodococcusおよびPenicilliumの種が好ましい。
Escherichia種が最も好ましく、特に大腸菌(Escherichia coli)が好ましい。
「L-ラムノース誘導性プロモーター」とは通常、L-ラムノースの存在下でL-ラムノースの非存在下より高い発現活性を有するすべてのプロモーターを指す。L-ラムノースの存在下での発現は、L-ラムノースの非存在下の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも10倍、最も好ましくは少なくとも100倍高い。発現レベルの測定のために好んで用いられる核酸配列は、検査されるべきプロモーターに機能しうる形で連結された、容易に定量可能なタンパク質をコードする核酸配列である。このような状況において、「緑色蛍光タンパク質」(GFP)(Chui WLら(1996) Curr Biol 6:325-330; Leffel SMら(1997) Biotechniques 23(5):912-8)、クロラムフェニコール・トランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ(Millarら(1992) Plant Mol Biol Rep 10:324-414)、β-グルクロニダーゼ、またはβ-ガラクトシダーゼなどのレポータータンパク質(Schenborn E, Groskreutz D (1999) Mol Biotechnol 13(1): 29-44)は極めて好ましい。
このような状況において、培地中のL-ラムノース濃度は通常、約0.0001 g/l〜約50 g/l、好ましくは0.001 g/l〜5 g/l、特に好ましくは0.01 g/l〜0.5 g/lの範囲であり得る。
大腸菌のL-ラムノースオペロンrhaBAD由来のrhaPBADプロモーター(EganおよびSchleif (1994) J Mol Biol 243:821-829)、ならびに他の原核生物、特に腸内細菌科の生物由来のその機能的同等物は特に好ましい。
極めて好ましいプロモーターは、配列番号5に示される少なくとも1つのRhaS結合エレメントを含むもの、およびその機能的同等物であり、また機能的に同等な上記の断片でもある。
特に好ましいプロモーターは、配列番号2、3または4に示される配列を含むもの、およびその機能的同等物であり、また機能的に同等な上記の断片でもある。
配列番号2、3、4または5に示される配列を含むプロモーターの機能的同等物は、好ましくは、以下のプロモーターを含む:
a)配列番号2、3、4または5に示される配列を含むプロモーターと基本的に同じプロモーター活性を有し、かつ
b)前記プロモーターの配列に対して少なくとも50%、好ましくは70%、できれば少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、極めて好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の相同性を有する(ここで、相同性は少なくとも30塩基対、好ましくは少なくとも50塩基対、特に好ましくは少なくとも100塩基対の長さにわたっている)。
配列番号2、3、4または5に示される配列を含むプロモーターの機能的同等物とは、前記プロモーターと基本的に同じプロモーター活性を有する、前記プロモーターの特に天然のまたは人工の突然変異体、および相同性配列、ならびに他の生物由来の、好ましくは他の原核生物、特に腸内細菌科の生物由来の機能的に同等な配列を指す。
「基本的に同じプロモーター活性」とは、上述のL-ラムノース誘導性プロモーターの一般的な定義に従った、L-ラムノースによる発現活性の誘導能を意味する。
上述のように、RhaRタンパク質はL-ラムノースの存在下でrhaPRSプロモーターに結合し、それ自身の発現ならびにRhaSの発現を開始する。続いてRhaSは、L-ラムノースによりエフェクターとしてrhaPBADプロモーターに結合し、直ちにrhaPBADプロモーターを活性化し、ひいては前記プロモーターによって調節される核酸配列の転写を活性化する。RhaR、RhaSおよびrhaPRSプロモーターから成る、この上流の調節ユニットは、原核宿主生物によって天然に提供され、組換え法により後者のゲノム内に挿入され得るか、または他に、本発明の範囲内で用いられるDNA構築物によって提供され得る。このような状況に適した1つのプロモーターカセットは、配列番号1に記載される配列である。
もし、誘導に必要とされる細胞でのL-ラムノース取り込みが不足しているようならば、例えば、生来L-ラムノース輸送体を発現していない生物において、L-ラムノース輸送体を遺伝子導入により発現させることは有利でありうる。しかし、今日までの経験は、能動的なラムノース輸送が本発明による発現系の効率に対する限定要因に相当しないことを示している。
「L-ラムノースイソメラーゼ」は通常、L-ラムノースを別のヘキソースに変換できるすべてのタンパク質を意味する。好ましくは、L-ラムノースイソメラーゼはL-ラムノースをL-ラムヌロースに変換できるタンパク質(EC 5.3.1.14)を指す。腸内細菌科の生物、特にE. coli由来のRhaA遺伝子は特に好ましい。最も好ましくは、L-ラムノースイソメラーゼとは、配列番号9に示されるタンパク質および他の生物(好ましくは他の原核生物)由来の相同配列に示されるタンパク質を指す。
配列番号9に示されるL-ラムノースイソメラーゼの機能的均等物は、好ましくは、以下の配列を含む:
a)配列番号9に示されるL-ラムノースイソメラーゼと基本的に同じ酵素活性を持ち、かつ
b)配列番号9に示されるL-ラムノースイソメラーゼの配列に対して少なくとも50%、好ましくは70%、できれば少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、さらに特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の相同性を有する(ここで、相同性は、少なくとも30アミノ酸、好ましくは少なくとも50アミノ酸、特に好ましくは少なくとも100アミノ酸、さらに特に好ましくは少なくとも200アミノ酸の長さ、最も好ましくは該タンパク質の全長にわたっている)。
L-ラムノースイソメラーゼに加えて、L-ラムノースの代謝において機能を有する遺伝子に関する更なる欠損もまた存在しうる。特にこのような状況において言及されうる欠損は、ラムヌロース1-ホスファターゼ/キナーゼの欠損(例えばRhaB; 例えば配列番号11に記載される)、ラムヌロースリン酸アルドラーゼの欠損(例えばRhaD; 例えば配列番号13に記載される)または上述のタンパク質の発現を制御する少なくとも1つの調節エレメント(例えば、プロモーター、調節因子または同様のもの)の欠損である。
特定の状況下では、能動的なラムノース輸送系(例えばRhaT; 例えば配列番号19に記載される)に欠損を生じさせることが、更に有利であり得る。
L-ラムノースイソメラーゼまたは別のL-ラムノース取り込み/代謝の酵素に関する「欠損」は、対象の標的遺伝子、もしくはそれに由来するmRNA、および/またはそれによってコードされるタンパク質産物の発現の実質的に完全な阻害または遮断、あるいは、L-ラムノースが基本的にもはや変換されないように、その機能および/または活性が本質的に阻害または改変されるような方法での遺伝子産物のタンパク質配列の改変を意味する。前記阻害または遮断はさまざまな細胞生物学的機構に基づく。
本発明のための阻害または遮断は、特に標的遺伝子によって発現されるmRNAおよび/またはそれによってコードされるタンパク質産物の、実質的に完全にそれが存在しなくなるまでの、量的な減少を含む。このような状況において、細胞または生物での特定のmRNAおよび/またはそれにより含まれるタンパク質産物の発現は、その方法に供されなかった同一の細胞または生物と比較して、好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上、極めて好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上減少する。極めて好ましくは、減少とは、内在性遺伝子の完全な不活性化(ノックアウト突然変異)を意味する。
阻害または遮断は異なる機構に基づいていてもよい。好ましくは、阻害または遮断は対象の標的遺伝子の突然変異に基づき、突然変異は1個以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加からなることが可能である。トランスポゾンによる突然変異誘発または部位特異的ノックアウトによる阻害または遮断が特に好ましい。
減少は、当業者が精通している方法によって測定することができる。従って、タンパク質量の減少は、例えばタンパク質の免疫学的検出によって測定され得る。更に、ノーザンハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、逆転写(定量RT-PCR)、ELISA(酵素免疫測定法)、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または他の免疫測定法、および蛍光活性化細胞分析(FACS)などの生化学的技術を用いることが可能である。産生されるタンパク質産物の種類によって、後者の活性、または生物もしくは細胞の表現型の影響もまた測定されうる。
「タンパク質量」は、生物、組織、細胞または細胞コンパートメントにおける特定のポリペプチドの量を意味する。
タンパク質量の「減少」は、その他の点では同一の枠組み条件下(例えば、培養条件、齢、栄養供給量等)で、この方法が適用されなかった同一の属および種の野生型と比較した、生物、組織、細胞または細胞コンパートメントにおける特定のポリペプチドの量の減少を意味する。このような状況において、減少は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%、極めて好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%に達する。タンパク質量を測定する方法は当業者に知られている。例を挙げると、マイクロ・ビウレット法(Goa J (1953) Scand J Clin Lab Invest 5:218-222)、フォリン・チオカルト法(Lowry OHら(1951) J Biol Chem 193:265-275)またはCBB G-250の吸光度の測定(Bradford MM(1976) Analyt Biochem 72:248-254)がある。
L-ラムノースイソメラーゼ活性の減少は特に酵素アッセイ系を用いて測定することができる。適切なアッセイ系は当業者に知られている(Bhuiyan SHら(1997) J Ferment Bioeng 84(4):319-323)。
「原核宿主細胞においてエピソーム複製が可能なDNA構築物」とは、前記宿主細胞の染色体DNAとは異なり、前記宿主細胞において前者と並行して存在し、同種の複製機構または他の複製機構(例えばDNA構築物自体によってコードされる複製機構)を用いて前記宿主細胞中で複製できる、すべてのDNA構築物を指す。DNA構築物は一本鎖または二本鎖DNA構造を構成することができる。好ましくは、DNA構築物は少なくともある時点では(例えばその複製周期のある時点で)二本鎖DNA構造を有する。
好ましくは、エピソーム複製が可能な前記DNA構築物は、宿主細胞中に少なくとも1、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは少なくとも10のコピー数で存在する。
「前記DNA構築物をエピソームの形態で含有する原核宿主細胞の選択」は、前記DNA構築物をエピソームの形態で含んでいる宿主細胞を選択することを意味する。それらは例えば本明細書の下記に記載される選択マーカーを用いて選択され得る。好ましくは、DNA構築物は宿主細胞の染色体DNA内に挿入されない。これは、例えば、十分な領域にわたって宿主細胞の染色体配列と同一な配列を欠如しているDNA構築物によって予防することができる。
好ましくは、エピソーム複製が可能な前記DNA構築物は、100 000塩基または塩基対以下の、特に好ましくは50 000塩基または塩基対以下の、極めて好ましくは10 000塩基または塩基対以下のサイズ/長さを有する(塩基または塩基対の数は、DNA構築物が一本鎖であるか、二本鎖DNA構造であるかに左右される)。
DNA構築物は好ましくはベクターである。例として、ベクターはプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、レトロウイルスまたは他にはアグロバクテリアであり得る。ベクターは、好ましくは組換え型で発現されるべき核酸配列を含み、原核宿主細胞において自律複製できる環状プラスミドである。本発明の範囲内で、ベクターは組換えベクターまたは組換え発現ベクターとも呼ばれる。当業者は、原核生物内でDNAの複製を可能にする様々な配列に精通している。例を挙げると、ORI(DNAの複製起点)、pBR322 oriまたはP15A oriがある(Sambrookら: Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 第2版 Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)。
低コピー数を保証する適切な複製起点は、BACs (細菌人工染色体)、Fプラスミド、例えばpWE15などのコスミドから単離することができる。中程度のコピー数を保証する適切な複製起点は、例えばpBR322(Lin-Chao S, Bremer H, Mol Gen Genet 1986 203(1): 143-149)および誘導体、例えばpJOE系列、pKK223-3、pQE30、pQE40、またはR1起点を有するプラスミド、例えばpRSF1010および誘導体、例えばpML122、p15A、pSC101から単離することができる。高コピー数を保証する適切な複製起点は、例えばpBluescript II SK/KS+/-、pGEM等のファージミドから単離することができる。それぞれの場合において細胞内に存在するコピー数は、一つには複製起点(レプリコンとも呼ばれる)として知られるものによって決定される。pBR322系列のプラスミドはpMB1由来のColE1複製起点を含む。この複製起点は比較的厳密に調節されており、細胞当たり約25のコピー数を生じる。pUCプラスミドはColE1の突然変異型を含み、細胞当たり200〜700のプラスミドコピーとして存在できる。いくつかのプラスミドは、低コピー数をもたらすp15A複製起点を含む。
ベクターの例として以下を挙げることができる:
a)E. coliでは以下のベクターが好ましい:すなわちpQE70、pQE60およびpQE-9(QIAGEN, Inc.); pBluescriptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene Cloning Systems, Inc.); ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia Biotech, Inc.); pLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11もしくはpBdCI;
b)Streptomycesでは以下のベクターが好ましい:すなわちpIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361;
c)Bacillusでは以下のベクターが好ましい:すなわちpUB110、pC194もしくはpBD214;
d)Corynebacteriumでは以下のベクターが好ましい:すなわちpSA77もしくはpAJ667;
または上述のプラスミドの誘導体。上記のプラスミドは可能性のあるプラスミドから小規模に選択したものである。更なるプラスミドは当業者によく知られており、例えばCloning Vektors(Pouwels P. H.ら編、Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)という書籍などで見いだすことができる。
「形質転換」または「形質転換された」とは、例えばベクター(例えばプラスミド)などの遺伝物質を原核宿主細胞内に導入することを指す。当業者はこのために下記に詳述される様々な方法を利用することができる。前記遺伝物質が導入された原核宿主細胞、ならびに、またこの細胞から生じ、前記遺伝物質を含む「子孫」およびコロニーは、「形質転換体」と呼ばれる。
「形質導入」または「形質導入された」とは、バクテリオファージの遺伝物質から出発して、遺伝物質を原核宿主細胞内に導入することを指す。前記遺伝物質が導入された原核宿主細胞、ならびに、またこの細胞から生じ、前記遺伝物質を含む「子孫」およびコロニーは、「形質導入体」と呼ばれる。
「組換えタンパク質」は、発現されるべき核酸配列から、L-ラムノース誘導性プロモーターの機能的制御下で発現され得る任意のタンパク質産物を意味し、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、オリゴタンパク質および/または融合タンパク質を含む。「組換えタンパク質」は、好ましくは微生物、細菌、動物または植物由来のタンパク質を意味する。
「融合タンパク質」は、目的タンパク質とリーダー配列との融合物を意味し、リーダー配列は、宿主細胞の特定のコンパートメント(例えばペリプラズムもしくは細胞質)での発現、または周囲の培地への発現を可能にする。一例はpelBリーダー配列(米国特許第5,576,195号; 米国特許第5,846,818号)である。
「発現カセット」とは、それぞれの場合において、プロモーターと、前者の制御下で転写され得る少なくとも1つの核酸配列と、の組合せを指す。
L-ラムノース誘導性プロモーターと前記プロモーターの制御下で発現される核酸配列の比率または発現カセットもしくは発現ベクターに関しての「異種」とは、
a)少なくとも1つの発現されるべき核酸配列、または
b)発現されるべき前記核酸配列の発現を制御する少なくとも1つのL-ラムノース誘導性プロモーターのいずれか、あるいは
c)(a)および(b)が、
それらの天然の遺伝環境(例えばそれらの天然の染色体座)には存在しないか、または、組換え法によって改変され、それが例えば、1個以上のヌクレオチド残基の置換、付加、欠失、逆位、または挿入を含むように改変されている、組換え法によって作製されたすべての構築物を指す。
本発明に従った方法では、本発明による原核宿主細胞は、それらの生物の増殖を可能にする培地中で培養される。この培地は合成培地または天然培地でありうる。生物に応じて、当業者にとって公知の培地を使用する。微生物の増殖を可能にするために用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類、ならびに、適切な場合には、少量のビタミンおよび微量元素を含む。
都合の良い炭素源は、例えば、グリセロールのようなポリオール、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンもしくはセルロースなどの単糖、二糖または多糖類のような糖質、糖蜜のような複合糖質源、フルクトース-1,6-二リン酸のような糖リン酸、マンニトールのような糖アルコール、メタノールまたはエタノールのようなアルコール、クエン酸、乳酸または酢酸のようなカルボン酸、大豆油または菜種油のような脂質、例えばいわゆるカザミノ酸(Difco)などのアミノ酸混合物のようなアミノ酸、あるいはグリシンもしくはアスパラギン酸のような個々のアミノ酸、または同時に窒素源としても使用されうるアミノ糖である。特に好ましいのはポリオール、特にグリセロールである。
基礎培地として用いる培地は、最も厳密な発現調節を保証するために、好ましくはL-ラムノースを含むべきではない。必要に応じて、L-ラムノースはその後、望ましい時点または細胞密度で、いずれの場合にも望ましい濃度で添加される。
都合の良い窒素源は、有機もしくは無機窒素化合物、またはこれらの化合物を含む物質である。例としては、NH4Clもしくは(NH4)2SO4のようなアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、または、コーンスティープリカー、醸造用酵母自己消化物、大豆粉、小麦グルテン、酵母エキス、肉エキス、カゼイン加水分解物、酵母もしくはジャガイモタンパク質のような複合窒素源であり、そのすべてはしばしば窒素源としても機能しうる。
無機塩類の例は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、マンガン、カリウム、亜鉛、銅および鉄の塩である。これらの塩の陰イオンの例は、特に塩化物イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオンである。本発明による方法において生産性を増加させるために重要な要因は、生産培地中のFe2+またはFe3+イオン濃度の制御である。
適切な場合は、他の増殖因子が栄養培地に添加されるが、それらには以下のものが含まれる:ビオチン、2-KLG、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸もしくはピリドキシンなどのビタミンまたは成長促進因子;アラニン、システイン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン、セリン、フェニルアラニン、オルニチンまたはバリンなどのアミノ酸;クエン酸、ギ酸、ピメリン酸または乳酸などのカルボン酸;あるいはジチオスレイトールなどの物質。
前記栄養素の混合比は発酵の種類に依存し、個々の場合に対して決定される。すべての培地成分は、適宜に、個別にまたは一緒に滅菌した後に、発酵の初めに発酵容器に導入してもよく、あるいは、それらは必要に応じて、発酵中に継続的にまたは回分式に供給してもよい。
培養条件は、生物の増殖が最適であり、かつ最良の収率が達成されるように定められる(これは、例えば発現される組換えタンパク質の活性レベルに基づいて決定され得る)。好ましい培養温度は15℃〜40℃である。25℃〜37℃の温度が特に有利である。pHは、好ましくは3〜9の範囲で維持される。5〜8のpH値が特に有利である。一般的に、数時間から数日、好ましくは8時間から最大21日まで、特に好ましくは4時間〜14日の培養時間で十分であろう。最大量の産物がこの期間内に培地中に蓄積する。
都合の良い培地の最適化は、例えば教科書Applied Microbiol. Physiology, "A Practical Approach(PM Rhodes, PF Stanbury編、IRL-Press, 1997, pages 53 - 73, ISBN 0 19 963577 3)中に見いだすことができる。
本発明による方法は、連続的または断続的に、回分式または流加(fed-batch)式で行うことができる。
「突然変異」は、1個以上のアミノ酸残基または塩基/塩基対の置換、付加、欠失、逆位または挿入を意味する。
2つの核酸配列間での「相同性」とは、各々の場合において示された配列長にわたる核酸配列の同一性を指し、それはプログラムアルゴリズムGAP(Wisconsin Package Version 10.0, University of Wisconsin, Genetics Computer Group (GCG), Madison, USA; Altschulら(1997) Nucleic Acids Res. 25:3389ff)を用いた比較によって、以下のパラメータ、すなわちGap Weight: 50、Length Weight: 3、Average Match: 10、Average Mismatch: 0を設定して、計算される。
例えば、核酸レベルで配列番号2の配列に対して少なくとも50%の相同性を有する配列は、上記のプログラムアルゴリズムを上記のパラメータ設定と共に用いて配列番号2の配列とアライメントした際に、少なくとも50%の相同性を有する配列を意味するものとして理解される。
2つのポリペプチド間での「相同性」とは、各々の場合において示された配列長にわたるアミノ酸配列の同一性を指し、それはプログラムアルゴリズムGAP(Wisconsin Package Version 10.0, University of Wisconsin, Genetics Computer Group (GCG), Madison, USA)を用いた比較によって、以下のパラメータ、すなわちGap Weight: 8、Length Weight: 2、Average Match: 2912、Average Mismatch: -2003を設定して、計算される。
例えば、タンパク質レベルで配列番号9の配列に対して少なくとも50%の相同性を有する配列は、上記のプログラムアルゴリズムを上記のパラメータ設定と共に用いて配列番号9の配列とアライメントした際に、少なくとも50%の相同性を有する配列を意味するものとして理解される。
生物での異種遺伝子の最適な発現のために、その生物に特有のコドン使用頻度に従って核酸配列を改変することは有利であろう。コドン使用頻度は、対象の生物の他の既知の遺伝子のコンピュータ解析に基づいて容易に確立することができる。
L-ラムノース誘導性プロモーターおよびその制御下で発現される核酸配列を含むDNA構築物は、前記プロモーターおよび前記核酸配列の機能的な連結の結果として、前記核酸配列の転写および/または翻訳を確実にする。
機能的な連結は、一般的に、遺伝子制御配列が発現されるべき核酸配列に対してその機能を発揮できる配置を意味するものとして理解される。これに関して機能とは、例えば、発現制御、すなわち核酸配列の転写および/または翻訳を意味し得る。これに関して制御とは、例えば、発現(すなわち転写および適切な場合には翻訳)の開始、増強、調節または抑制を含む。機能的な連結は、例えば、核酸配列が発現される時、各々の調節エレメントがその機能を果たすことができるような、プロモーター、発現されるべき核酸配列および、適切な場合、例えばターミネーターのような更なる調節エレメントの連続的な配置を意味するものとして理解される。当業者は、本発明に従ったDNA構築物の1つに到達する様々な方法に精通している。その構築は、例えばT Maniatis, EF FritschおよびJ Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989) ならびに、TJ Silhavy, ML BermanおよびLW Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)ならびに、Ausubel, FMら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載されるような、通常の組換えおよびクローニング技術を用いて実施することができる。
前記DNA構築物は更なる機能エレメントを含んでいてもよい。機能エレメントの概念は広義に解釈されるべきであり、本発明に従ったDNA構築物もしくは生物の作製、増殖または機能に影響を与えるすべての配列を意味する。機能エレメントは、対応する宿主生物において、例えば転写および適切な場合には翻訳を確実にし、増強し、調節し、または改変する。
機能エレメントは、例えば「Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)」または「GruberおよびCrosby, : Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnolgy, CRC Press, Boca Raton, Florida中、GlickおよびThompson編、7章、89-108」ならびにその中に引用される参考文献に記載されている。発現カセットもしくはベクターの導入によって遺伝子改変生物またはトランスジェニック生物に変換される、以下で更に詳しく説明する宿主生物あるいは出発生物に応じて、異なる制御配列が適している。
「遺伝子制御配列」は、例えば遺伝子の5'非翻訳領域または3'非コード領域を含む。「遺伝子制御配列」は更に、シグナルペプチド配列から成る融合タンパク質をコードする配列を意味する。以下は例として挙げたもので、限定するものではない。
a)選択マーカー
一般的に、選択マーカーは、形質転換に成功した細胞を選択し、時間の経過および細胞分裂の際の、宿主細胞からのDNA構築物の喪失を防ぐために必要である。このような喪失は、特に、発現されるべき核酸配列によってコードされる組換えタンパク質が原核生物にとって毒性作用を有する場合に起こり得る。発現構築物とともに導入される選択マーカーは、形質転換に成功した細胞に殺生物剤(例えば、アンピシリン、カナマイシンまたはハイグロマイシンなどの抗生物質)への耐性を賦与する。選択マーカーの例を挙げると、以下の通りである。すなわち、
- Amp(アンピシリン耐性; β-ラクタマーゼ)
- Cab(カルベニシリン耐性)
- Cam(クロラムフェニコール耐性)
- Kan(カナマイシン耐性)
- Rif(リファンピシン耐性)
- Tet(テトラサイクリン耐性)
- Zeo(ゼオシン耐性)
- Spec(スペクチノマイシン)
選択圧は適切な量の抗生物質によって維持される。例を挙げると、アンピシリン100 mg/l、カルベニシリン100 mg/l、クロラムフェニコール35 mg/l、カナマイシン30 mg/l、リファンピシン200 mg/l、テトラサイクリン12.5 mg/l、スペクチノマイシン50 mg/lである。
選択マーカーは更に、例えばアミノ酸またはヌクレオチド合成における遺伝的欠損を補完することによって、適切に形質転換された宿主細胞の選択を可能にする遺伝子および遺伝子産物を含む。通常、この目的のために、前記アミノ酸またはヌクレオチド単位を含まない培地が使用される。当業者は様々なこのような系に精通している。例を挙げると、それらは例えば、E. coli菌株KC8(Clontech)に存在するような、トリプトファン(例えばtrpC)、ロイシン(例えばleuB)、ヒスチジン(例えばhisB)の生合成の欠損である。これらの欠損は、なかでも、選択マーカーTRP1、Leu2およびHIS3によって補完され得る。
b)転写ターミネーター
転写ターミネーターは望ましくない転写を減少させ、プラスミドおよびmRNAの安定性を増加させる。
c)Shine-Dalgarno配列
Shine-Dalgarno(SD)配列は翻訳を開始するために必要であり、16SリボゾームRNAの3'末端に相補的である。開始コドンでの翻訳開始の効率は、実際の配列に依存する。E. coliのための適切なコンセンサス配列は、例えば、5'-TAAGGAGG-3'である。それは開始コドンの約4〜14ヌクレオチド上流に位置し、最適条件は8ヌクレオチドである。二次構造の形成(発現を減少させうる)を避けるため、この領域は好ましくはA/Tヌクレオチドに富むべきである。
d)開始コドン
開始コドンは翻訳が開始される箇所である。E. coliでは、ATGが最も広く用いられる開始コドンであるが、代替的なGTGも使用されうる。
e)「タグ」および融合タンパク質
発現されるべき組換えタンパク質とより短いペプチド(「タグ」)または他のタンパク質(融合パートナー)との間のNまたはC末端融合物は有利でありうる。例えば、それらは改良された発現、安定性、検出能および精製を可能にする。好ましくは、このような融合物は(例えばトロンビンまたは第X因子に対する)プロテアーゼ切断配列と組み合わされるが、それは、発現および精製を行った後で「タグ」または融合パートナーを切り離すのに役立つ。
f)多重クローニング領域(多重クローニング部位; MCS)は、1以上の核酸配列の挿入を可能にし、容易にする。
g)終止コドン/翻訳ターミネーター
3つの可能性のある終止コドンのうち、TAG およびTGA はある状況下では翻訳を終止させずに読み進み(read-through)を起こすことがあるので、TAAが好ましい。信頼性のある終止を確実にするために、配列中に複数の終止コドンを用いることもまた可能である。
h)レポーター遺伝子
レポーター遺伝子は、それらに固有の色もしくは酵素活性により形質転換効率、発現レベルおよび発現の位置または時間の評価を確実にする、容易に定量化できるタンパク質をコードする。レポーター遺伝子は、例えば以下のタンパク質、すなわち、加水分解酵素、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、グルコシダーゼまたはペルオキシダーゼをコードし得る。ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質、アセチルトランスフェラーゼ、ホスホトランスフェラーゼまたはアデニルトランスフェラーゼが好ましい(Schenborn E, Groskreutz D (1999) Mol Biotechnol 13(1):29-44も参照されたい)。
選択マーカーまたはレポータータンパク質の場合、前記タンパク質をコードする核酸配列は、好ましくは、発現カセットを与えるために、宿主原核生物において機能的なプロモーター、および適切な場合には更なる制御配列、に機能しうる形で連結される。都合の良いプロモーターおよび制御配列は一般的に当業者に知られている。例を挙げると、cos、tac、trp、tet、lpp、lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ-PRまたはλ-PL プローモーターなどのプロモーターがある。
形質転換された宿主細胞または形質転換された宿主生物の作製は、DNA(例えば本発明に従った発現カセットまたはベクターの1つ)を宿主細胞内に導入することを必要とする。形質転換と呼ばれるこのプロセスのために多数の方法が利用可能である(Keownら(1990) Methods in Enzymology 185:527-537も参照せよ)。こうして、DNAは例えば直接的にマイクロインジェクション、エレクトロポレーションを用いて、またはDNAで被覆した微粒子を用いた砲撃(遺伝子銃によるバイオリスティック法;パーティクルガン)によって導入される。また、細胞を、例えばポリエチレングリコールを用いて、DNAが拡散によって細胞に入ることができるように、化学的に透過可能にしてもよい。DNAはまた、ミニセル、セル、リソソームまたはリポソームなどの他のDNA含有ユニットとの融合によっても導入され得る。エレクトロポレーションは、DNA導入のための別の適切な方法であり、この方法では細胞が電気パルスにより可逆的に透過性にされる。好ましい一般的な方法の例は、リン酸カルシウムを介した形質転換、DEAE-デキストランを介した形質転換、陽イオン性脂質を介した形質転換、エレクトロポレーション、形質導入、感染である。このような方法は当業者に知られており、例により説明される(Davisら(1986) Basic Methods In Molecular Biology; Sambrook Jら(1989) Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel FMら(1994) Current protocols in molecular biology, John Wiley and Sons; Glover DMら(1995) DNA Cloning Vol.1, IRL Press ISBN 019-963476-9)。
形質転換細胞、すなわち、導入されたDNAを含む細胞は、選択マーカーが導入されたDNAの一部である場合、非形質転換細胞から選択され得る。様々な選択マーカーが上述されている。
本発明に従った方法は、発現されるべき核酸配列の、またはそれに基づいて発現される組換えタンパク質の、性質および配列に関して限定されない。L-ラムノース誘導性プロモーターの制御下で発現される核酸配列は多岐にわたる。これに関して、発現とは、転写および適宜に翻訳を意味する。組換えタンパク質をコードする核酸配列の発現に加えて、例えばアンチセンスRNAの転写を引き起こし、ひいては原核宿主細胞の内在性遺伝子の発現を減少させる核酸配列を発現させることもまた可能である。原核生物の配列以外に真核生物起源の配列も発現させることが可能である。大量に産生されうる組換えタンパク質をコードする配列を発現させることが好ましい。以下は例として挙げられるが、限定ではない。
a)酵素、例えば、キモシン、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、糖質分解酵素、デヒドロゲナーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-アミラーゼ、酸化還元酵素(ペルオキシダーゼまたはラッカーゼなど)、キシラナーゼ、フィターゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、ヘミセルラーゼおよびリパーゼ。特に好ましいものは、以下のものである:
-洗濯洗剤または他の洗剤に使用されるような酵素、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、エステラーゼもしくはセルラーゼ、
-食品産業において使用されるような酵素、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、ラクターゼ、β-グルカナーゼ、セルラーゼまたはペクチナーゼ、
-産業プロセスに用いられるような酵素、例えば、リパーゼ、α-アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、
-化学物質およびファインケミカルの製造のための産業プロセスに用いられるような酵素、例えば、リパーゼ、アミダーゼ、ニトリルヒドラターゼ、エステラーゼまたはニトリラーゼ、
-動物栄養に用いられるような酵素、例えば、β-グルカナーゼ、
-製紙または皮革産業に用いられるような酵素、例えば、アミラーゼ、コラゲナーゼ、セルラーゼまたはキシラナーゼ。
b)哺乳類タンパク質、例えば、血液タンパク質(例えば血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、組織プラスミノーゲン因子、プロテインC、フォンビルブラント因子、アンチトロンビン111もしくはエリトロポエチン)、コロニー刺激因子(CFS)(例えば顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)もしくは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、サイトカイン(例えばインターロイキン)、インテグリン、アドレシン、セレクチン、抗体または抗体フラグメント、構造タンパク質(例えばコラーゲン、フィブロイン、エラスチン、チューブリン、アクチンもしくはミオシン)、増殖因子、細胞周期タンパク質、ワクチン、フィブリノゲン、トロンビン、インスリン。
発現されるべき核酸配列は、特に好ましくは、以下からなる群より選択される組換えタンパク質をコードする:すなわち、キモシン、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、糖質分解酵素、デヒドロゲナーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-アミラーゼ、酸化還元酵素、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、ラクターゼ、ペクチナーゼ、アミログルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、ニトリラーゼ、エステラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、オキシゲナーゼ、オキシニトリラーゼ、リアーゼ、ラクトナーゼ、カルボキシラーゼ、コラゲナーゼ、セルラーゼ、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、組織プラスミノーゲン因子、プロテインC、フォンビルブラント因子、アンチトロンビン、エリトロポエチン、コロニー刺激因子、サイトカイン、インターロイキン、インスリン、インテグリン、アドレシン、セレクチン、抗体、抗体フラグメント、構造タンパク質、コラーゲン、フィブロイン、エラスチン、チューブリン、アクチン、ミオシン、増殖因子、細胞周期タンパク質、ワクチン、フィブリノゲンおよびトロンビン。
好ましい実施形態では、組換えタンパク質はニトリラーゼ、好ましくは以下からなる群より選択される核酸配列によりコードされるアミノ酸配列によって記載されるニトリラーゼである。すなわち、
a)配列番号6に示される配列を有する核酸配列、
b)遺伝子コードの縮重により、配列番号6に示される核酸配列から誘導される核酸配列、
c)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、かつ該ポリペプチドの酵素活性の実質的な低下を伴わずにアミノ酸配列レベルで少なくとも35%の相同性を有する、配列番号6に示される核酸配列の誘導体。
本発明の更なる態様は、食品、飼料、医薬品またはファインケミカルの製造のための本発明に従った上述の宿主細胞または宿主生物の使用に関する。ファインケミカルは、好ましくは、タンパク質、酵素、ビタミン、アミノ酸、糖、脂肪酸、天然および合成香味料、芳香化学物質ならびに着色料を意味する。
本発明は更に、本発明に従った原核宿主細胞の1つまたはその調製物を用いて、組換えタンパク質、酵素および他のファインケミカル、例えば、アルデヒド、ケトンまたはカルボン酸(好ましくはキラルなカルボン酸)などを製造する方法に関する。好ましいタンパク質および酵素は本明細書にすでに詳述されている。
これに関連して、原核宿主細胞は増殖状態、休止状態、固定化状態または破砕状態で存在し得る。破砕された細胞は、例えば溶媒を用いた処理によって透過性にされた細胞、あるいは酵素処理、機械的処理(例えばフレンチプレスもしくは超音波処理)または他の任意の方法によって破砕された細胞を意味するものとして理解される。結果として生じる粗抽出物は、本発明による方法に適している。部分精製された酵素調製物もまた本方法に使用しうる。反応に有利に使用しうる固定化された微生物または酵素も同様に適している。
本発明の更なる態様は、キラルなカルボン酸を製造する方法に関し、この方法では、原核宿主細胞を用いた処理によって、ラセミ体ニトリル(または、代用として、その前駆体アルデヒドおよびシアン化水素酸/シアン化物塩)がキラルなカルボン酸に変換される。その原核宿主細胞は、少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損があり、該宿主細胞内で複製することができ、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下にニトリラーゼをコードする核酸配列を含有する(前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である)少なくとも1つのDNA構築物を含む。
ニトリラーゼをコードする核酸配列は、好ましくはニトリラーゼをコードする上記に示された配列の群より選択される。
キラルなカルボン酸は有機合成化学のために需要の多い化合物である。それらは多様な製薬上の有効成分または作物保護のための有効成分の出発物質である。キラルなカルボン酸はジアステレオマー塩による従来のラセミ分割のために使用することができる。従って、例えば、R-(-)-またはS-(-)-マンデル酸はラセミ体アミンのラセミ分割のために用いられる。R-(-)-マンデル酸は更に合成の中間体としても使用される。
好ましい実施形態では、一般式Iのキラルなカルボン酸は、一般式IIのラセミ体ニトリルから出発して調製される。
Figure 2006507831
[式中、
*は、光学活性中心であり、
R1、R2、R3は、互いに独立して、水素、置換または非置換の、分枝または非分枝C1-C10-アルキル-、C2-C10-アルケニル-、置換または非置換アリール-、ヘタリール-、OR4またはNR4R5であり、ここでR1、R2、R3は常に異なっており、
R4は、水素、置換または非置換の、分枝または非分枝C1-C10-アルキル-、C2-C10-アルケニル-、C1-C10-アルキルカルボニル-、C2-C10-アルケニルカルボニル-、アリール-、ヘタリール-またはヘタリールカルボニル-であり、
R5は、水素、置換または非置換の、分枝または非分枝C1-C10-アルキル-、C2-C10-アルケニル-、アリール-、ヘタリール-である。]
ニトリルとして最も好ましいのは、マンデロニトリル、o-クロロマンデロニトリル、p-クロロマンデロニトリルまたはm-クロロマンデロニトリルである。キラルなカルボン酸として最も好ましいのは、R-マンデル酸、S-マンデル酸、R-p-クロロマンデル酸、S-p-クロロマンデル酸、R-m-クロロマンデル酸、S-m-クロロマンデル酸、R-o-クロロマンデル酸またはS-o-クロロマンデル酸である。
これらの変換反応を実施するための、またはその生成物等を精製するための詳細は、例えばWO 00/23577に詳述される。特に、そこに記載される出発物質、生成物およびプロセス・パラメータが参照される。
クローニング、制限酵素切断、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の連結、微生物の形質転換、細菌の培養および組換えDNAの塩基配列解析などの一般的な核酸の方法は、特に断らない限り、Sambrookら(1989) (Cold Spring Harbor Laboratory Press: ISBN 0-87969-309-6)に記載されるように実施した。組換えDNA分子は、ABI レーザー蛍光DNA 配列決定装置を用いて、サンガー法(Sangerら(1977) Proc Natl Acad Sci USA 74:5463-5467)に従って配列決定を行った。発現される構築物におけるポリメラーゼのエラーを避けるため、ポリメラーゼ連鎖反応から生じた断片は配列決定を行って確認した。
実施例1
E. coli菌株JB1204の特性決定
文献によれば、E. coli JB1204(CGSC6999, Bulawa CEおよびRaetz CRH (1984) J Biol Chem 259:11257-11264)は、トランスポゾンの挿入「rha-14::Tn10」を有するが、「rha-14」の配列または機能に関するより詳細な情報はない。JB1204(K12誘導菌株)は、多数の他の突然変異の結果として、増殖に関してはTG1およびW3110のような菌株に及ばず、そのためこの菌株自体は工業規模でのタンパク質の製造に使用されない。
E. coli菌株JB1204がまだラムノースを代謝するか、およびE. coli JB1204でのラムノース依存性発現系の誘導が悪影響を受けるかを検査するために、コンピテントJB1204細胞を調製し、pJOE誘導体でありかつラムノースプロモーターの制御下にニトリラーゼの遺伝子を保有するプラスミドpDHE1650(DE 19848129ではpDHE19.2に相当するプラスミド)で形質転換した。ラムノース含有および不含のLB-アンピシリン-テトラサイクリン中で37℃にて15時間培養した後、培養物の光学密度を測定し、細胞を洗浄した後、静止細胞アッセイとして知られている方法でニトリラーゼ活性を検査した(表1参照)。L-ラムノースの存在下で増殖させた場合、ニトリラーゼの発現はJB1204および比較菌株TG1において起こるが、この発現はL-ラムノースの不在下では起こらない。
Figure 2006507831
1は、LB Amp Tet中の E. coli JB1204 pDHE1650であり、
2は、LB Amp中のE. coli TG1 pDHE1650 (陽性対照)である。
アッセイ条件: 10 mM Tris-HCl、6 mMマンデロニトリル、40℃
解析: 40μlの1M HCl/mlによってサンプルを停止させ、細胞を除去し、その後DE 19848129に記載されたようにHPLCによって解析する。
実施例2
組換えタンパク質の製造のためのラムノース欠損宿主菌株TG10の調製
組換え生体触媒の製造のために利用される菌株TG1は、それがもはやラムノースを代謝しなくなると同時に、ラムノース誘導に基づくpJOEおよびpDHEベクターの発現系が悪影響を受けずに機能し続けるように、P1形質導入によって改変した(この新しい誘導菌株の名前はTG10である)。
安価な方法で高収率の発酵法を実施できるようにするためには、E. coli菌株の選択が重要である。この理由のために、生産性の高い高密度細胞発酵について知られているE. coli TG1(Korzら(1995) J Biotechnol 39:59-65)が宿主菌株として選択された。JB1204由来のラムノース欠損は、P1形質導入によってTG1 pDHE1650に転移され、15μg/mlテトラサイクリンで選択された(= TG10 pDHE1650 = Lu10569)。
2.1 JB1204(rha14::Tn10)からTG1にラムノース欠損を転移するためのP1形質導入プロトコル
a)供与菌の溶解液の調製
- 供与菌、すなわちJB1204を3 mlのLB-Tet(15μg/ml)中で15時間、37℃で増殖させる(前培養物)。
- 3 ml LB-Tet + 5 mM CaCl2 + 60μl前培養物(=1:50)をOD600 = 0.3〜0.5となるまで37℃で(約45分間)培養する。
- ファージP1の(新鮮な)100μl溶菌液を加え、細胞溶解が起こるまで10〜120分間(清澄化、古い溶菌液では5時間まで)十分に振とうし続ける。
- 60μlのクロロホルムを加え、残りの細胞を破壊するために30秒間ボルテックスし、4℃で保存する。
b)受容菌の感染
- 受容菌、すなわちTG1 pDHE1650(=Lu9682)を3 mlのLB-Amp中で15時間、37℃で増殖させる(前培養物)。
- 5 ml LB-Amp + 5 mM CaCl2 + 10 mM MgCl2 + 10 mM MgSO4 + 100μl前培養物(=1:50)をOD600 = 0.3〜0.5となるまで37℃で(約30分間)培養する(前培養物を氷上に静置しておく)。
- 前培養物および本培養物を集菌し、2.5 mlのLB-Amp-Ca-Mgに再懸濁する。
- 各々の場合において、2x 100μlの受容菌を0、5、30、100μlの供与菌溶解液で処理し、100μlの供与菌溶解液を加えた受容菌なしの対照とともにそれぞれ8分および24分間、振とうせずに30℃で培養する(感染)。
- 100μlの1 Mクエン酸ナトリウムpH 7.0を加え、2分間7000 rpmで遠心分離し、1 mlの0.1 Mクエン酸バッファーpH 7.0で2〜3回洗浄し、1時間37℃で振とうせずに再懸濁する。
- 集菌し、100μlの0.02 Mクエン酸ナトリウムpH 7.0に再懸濁する。
- 各々の場合において、80μlをLB-Amp-Tet上に、供与菌溶解液の添加なしの混合物の場合は10μlをLB-Amp上に播種し、一晩37℃で培養する。
- LB-Ampは細菌叢を生じる(対照)。LB-Amp-Tetからコロニーを採取し、耐性、ラムノース欠損、ラムノース誘導能および活性を確認する。
また、シャペロンの共発現(GroESL)を含むTG1 pDHE1650同等物であるTG1 pDHE1650 pAgro4 pHSG575も並行して形質導入された(培地にスペクチノマイシン50μg/mlおよびクロラムフェニコール10μg/mlを加える; TG10 pDHE1650 pAgro4 pHSG575 = Lu10571と命名)。
得られたクローンを一晩3 mlのLB/アンピシリン/ラムノース(約2 g/l)培地(±テトラサイクリン10μg/ml)中で培養した後、培養物の光学密度(λ= 600 nm)を測定した。培養上清のHPLC分析は、結果として生じたE. coli菌株TG10 pDHE1650がラムノースを代謝できないことを示した。その後、細胞をバッファーで洗浄し、それらのニトリラーゼ活性について静止細胞アッセイで測定した(表2)。
ラムノース欠損クローンは、対応する比較菌株(TG1pDHE1650)と同様のニトリル加水分解活性を示した。ラムノース濃度はそれらのクローンではほとんど減少しなかった。
Figure 2006507831
アッセイ条件: 10 mM Tris-HCl、6 mMマンデロニトリル、40℃
解析: 40μlの1M HCl/mlによってサンプルを停止させ、細胞を除去し、その後DE 19848129に記載されたようにHPLCによって解析する(1U = 1μmolマンデル酸/分)。
実施例3
ラムノース欠損宿主菌株TG10 pDHE1650の回復
E. coli TG1 pDHE1650を用いた形質導入は、アンピシリンによって元の菌株JB1204から選択されるという利点を有した。しかし、次の作業はプラスミドを含まない宿主菌株を必要とし、すなわち、プラスミドpDHE1650がTG10 pDHE1650から除去されなければならなかった(TG10 pDHE1650の回復)。このために、E. coli TG10 pDHE1650を氷から3 mlのアンピシリン不含LB-Tetに植菌し、37℃で一晩培養した。この培養物を3 mlのLB-Tet中の本培養物1:100に植菌し、これを熱ショック処理(2.5分間、42℃)に供した。37℃で16時間振とうした後、培養物のOD600は1.3であった(約1.3×109細胞/mlに相当する)。各々の場合、10-4〜10-7の希釈段階を100μlづつLB-Tet上に播種し、その結果生じたコロニー(560+140+15+0)をレプリカ法によってアンピシリン含有LB-Tetに移した。この培地上で弱い増殖を示したクローンを再度LB-Amp-Tet上に播種した。それはLB-Amp-Tet上で増殖せず、また(LB-Tet培養物からの)ミニ調製後、少しもプラスミドDNAを示さなかった。このアンピシリン感受性クローンはTG10(=Lu10568)と命名され、新しい過剰発現菌株のための出発菌株として使用される。
実施例4
ラムノース欠損宿主菌株E. coli TG10 を用いた組換えL-パントラクトン加水分解酵素の製造
コンピテントE. coli TG10細胞を調製し、プラスミドpDHE681、pAgro4 およびpHSG575で形質転換した(表3のサンプル1)。37℃で一晩培養後、細胞は、対照菌株(TG1 pDHE681 pAgro4 pHSG575 = 表3のサンプル2)と比較して、高いL-パントラクトン加水分解活性を示した。概して培養6〜7時間後にその最大活性に達し(約1500 U/L)、より長時間の培養で活性は急激に低下した。ラムノース(0.5 g/L)はTG10 pDHE681 pAgro4 pHSG575によって代謝されなかった。
Figure 2006507831
1, TG10 pDHE681 pAgro4 pHSG575; アンピシリン(Amp; 100μg/ml)、テトラサイクリン(Tet 10μg/ml)、L-ラムノース(Rha 0.5 g/l)およびイソプロピルチオガラクトシド(IPTG 0.15 mM)を含むLB。
2, TG1 pDHE681 pAgro4 pHSG575; アンピシリン(Amp; 100μg/ml)、L-ラムノース(Rha 0.5 g/l)およびイソプロピルチオガラクトシド(IPTG 0.15 mM)を含むLB。
アッセイをより詳細に行って繰り返した。テトラサイクリン(15μg/ml)の培地への添加はラムノース欠損を維持するために必要とされない。
実施例5
L-ラムノース濃度に対する誘導の依存性の測定
菌株E. coli TG10(pDHE1650、pAgro4、pHSG575)を、実施例1と同様に、様々なラムノース濃度(0〜2 g/lラムノース)の存在下で、LBアンピシリン(100 mg/l)、クロラムフェニコール10 mg/l、スペクチノマイシン(50 mg/l)、IPTG 0.15 mMで増殖させ、その特異的なニトリラーゼ活性について(2回反復で)解析した。平均して、わずか0.01 g/l のL-ラムノース濃度で有意な発現誘導が引き起こされたが、ラムノースの不在下では有意な発現は(酵素活性により)測定されなかった。
図1も参照のこと。
A: L-ラムノース濃度(濃度g/l)の関数としての相対活性(Rel. Act.%)の図
B: L-ラムノース濃度(濃度g/l)の関数としての相対比活性(Rel. Spec. Act.%)の図
Figure 2006507831
実施例6
L-ラムノースイソメラーゼ欠損株E. coli TG10におけるトランスポゾンの組込み部位の解析
更に詳細にトランスポゾンTn10の組込み部位を解析するために、ラムノース遺伝子rhaT、rhaB、rhaAおよびrhaDを、PCR(Pfuポリメラーゼ)によってTG1(pDHE681)とTG10(pDHE681)との比較により研究した。rhaA(L-ラムノースイソメラーゼ)またはrhaA-rhaD領域をそれぞれプライマーMKe 259/260およびMKe 258/259で増幅した時、野生型株TG1とは対照的に、突然変異株TG10は特異的な増幅産物をまったく与えなかった。
MKe258 5'-CCCAAGCTTGGATCATGTTTGCTCCTTACAG(rhaD 3'末端 + HindIII)
MKe259 5'-GCGAATTCGCATGACCACTCAACTGGAACA (rhaA 5'末端+ EcoRI)
MKe260 5'-CCCAAGCTTACCCGCGGCGACTCAAAATTT (rhaA 3'末端 + HindIII)
実施例7
部位特異的ノックアウトを用いたL-ラムノースイソメラーゼ欠損E. coli菌株の作製
L-ラムノースイソメラーゼ(rhaA)を不活性化するために、rhaA遺伝子を最初にプライマーMKe001およびMKe002で増幅し、pBluescriptSK+にクローニング(XbaI/HindIII消化およびライゲーション)する。その後、BamHIによる制限消化およびクレノー断片による埋め込みによってフレーム・シフトを導入し、続いてライゲーションし、対応するrha*断片を遺伝子置換ベクターpKO3(Linkら(1997) J Bacteriol 179:6228-6237)に再度クローニングする。rha*構築物を用いた相同組換えによるTG1pDHE1650中のrhaA遺伝子のノックアウトは次のように実施する。すなわち、Linkら(Linkら(1997) J Bacteriol 179:6228-6237)によって記載されたように、43℃でクロラムフェニコールにより選択し、30℃でスクロース上にレプリカプレーティングを行い、続いて1 g/Lラムノースを補給したMcConkey寒天上で検定する。
MKe001: 5'-ATAAGAATGCGGCCGCATGACCACTCAACTGGAACA-3'
MKe002: 5'-CTAGCTCTAGATTACCCGCGGCGACTCAA-3
実施例8
ラムノース欠損宿主菌株TG10による組換えニトリラーゼの製造
TG10 pDHE1650 pAgro4 pHSG575のようなTG10誘導菌株の流加発酵は、目的タンパク質(この場合はニトリラーゼ)の過剰発現のために、炭素源としてのグリセロールおよび誘導物質としてのラムノースを含む改変Riesenberg培地で実施する。この菌株を用いて、比較的高いまたはより高い細胞密度および酵素活性が達成された。
8.1 E. coli TG1の発酵
E. coli(TG1 pDHE1650 pAgro4 pHSG575)の発酵は20 Lのバイオリアクターで行った。10 Lの処理容量を持つリアクターに振とうフラスコからの200 mlの前培養物を植菌した。前培養培地は本培養培地と一致する。
培地:
40 g グリセロール99.5%
15 g トリプトン
13.3 g リン酸二水素カリウム
5 g 酵母エキス
4 g リン酸水素二アンモニウム
1.7 g クエン酸
1.1 g 硫酸マグネシウム七水和物
1 mL 微量元素溶液SL Korz 1000 C
0.1 mL Tego KS 911消泡剤
0.062 g 硫酸鉄(II)七水和物
10 mg チアミン塩酸塩
を完全脱塩水で1 Lとする。
この培地を121℃で30分間滅菌する。その後、0.1 gのアンピシリンを無菌状態のもとで添加する。
微量元素溶液
クエン酸*H2O 20 g
塩化コバルト(II)六水和物(CoCl2 * 6H2O) 2.5 g
塩化マンガン(II)四水和物(MnCl2 * 4H2O) 3.0 g
塩化銅(II)二水和物(CuCl2 * 2H2O) 0.3 g
ホウ酸(H3BO3) 0.6 g
モリブデン酸ナトリウム二水和物(Na2MoO4 * 2H2O) 0.5 g
酢酸亜鉛二水和物(Zn(CH3COO)2 * 2H2O) 2.6 g
を完全脱塩水で1 Lとする。
グリセロール補給溶液
2 L 完全脱塩水
211 g 硫酸ナトリウム
13.6 g 硫酸鉄(II)七水和物
8.8 kg グリセロール99.5%
220 mL 微量元素溶液
ラムノース補給溶液
703 g 完全脱塩水
297 g ラムノース一水和物
発酵は37℃の温度で行う。pO2が20%以下に低下するのを避けるために、通気を8〜30 L/minに調整し、撹拌速度を400〜1500 l/minに調整する。1時間の発酵の後、培養物をIPTG(0.15 mM)によって誘導する。その後、76 mlのラムノース補給溶液を添加する。発酵槽中のラムノース濃度が1.0 g/L以下に低下した時、ラムノース補給溶液を計量して加える。初めに導入したグリセロール量が消費された後、グリセロールを継続的に補給する。
結果:
Figure 2006507831
8.2 E. coli TG10の発酵
E. coli TG10(pDHE1650 pAgro4 pHSG575)の発酵は、18.5 gのラムノース補給溶液によって誘導を行ったこと以外、実施例1と同様の手順に従って行った。その後はラムノースを補給しなかった。
結果:
Figure 2006507831
8.3 活性測定
50μlの細胞懸濁液を880μlのリン酸ナトリウム/カリウムバッファー(10 mM)にピペットで分注し、この混合物を30℃に加温する。20μlのメタノール性マンデロニトリル溶液(12%)の添加によって反応を開始させる。10分後、50μlの1M HClの添加によって酵素反応を停止させる。細胞バイオマスを遠心分離し、上清中のマンデル酸濃度をHPLC(ODS Hypersil 100*2.0 mm、移動相: 75%H3PO4(14.8 mM)/25%メタノール; 流速: 0.5 ml/min; 注入量: 2μl; カラム温度: 40℃; 検出: 210 nm; マンデル酸の保持時間: 0.9分)によって測定する。
8.4 ラムノース濃度の測定
発酵槽の稼働中のサンプル採取のために、セラミックフィルターおよび連続作動ローラーポンプを使用する。HPLCシステムは、各分析が完了した後に新たなサンプルが注入されるようにプログラムする。その合間に、ろ過液を発酵槽から廃液容器にポンプ輸送する。
クロマトグラフィー条件:
カラム: HPX 87 H, 7.8 x 300 mm
溶出液: 0.005 M H2SO4
流速: 0.5 mL/min
注入量: 1μL
カラム温度: 55℃
検出: RI
A: L-ラムノース濃度(濃度g/l)の関数としてのニトリラーゼの相対活性(Rel. Act.%)を示した図であり、B: L-ラムノース濃度(濃度g/l)の関数としてのニトリラーゼの相対比活性(Rel. Spec. Act.%)を示した図である。
【配列表】
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
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Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831
Figure 2006507831

Claims (15)

  1. 原核宿主細胞において核酸配列を発現させる方法であって、
    a)前記宿主細胞においてエピソーム複製が可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有する、少なくとも1つのDNA構築物を前記宿主細胞に導入すること、ただし、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種であること、
    b)前記DNA構築物をエピソームの形態で含有する原核宿主細胞を選択すること、
    c)選択された宿主細胞の培養物にL-ラムノースを添加することによって前記核酸配列の発現を誘導すること、
    を含んでなり、その際、原核宿主細胞は少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損している、上記方法。
  2. 原核宿主細胞が腸内細菌科または放線菌目の種より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 原核宿主細胞が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項1または2に記載の方法。
  4. L-ラムノース誘導性プロモーターが、大腸菌由来のrhaPBADプロモーター、またはその機能的同等物もしくは機能的に同等な前記プロモーターの断片である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. L-ラムノース誘導性プロモーターが、配列番号5に示される少なくとも1つのRhaS結合エレメント、またはその機能的同等物もしくは機能的に同等な前記エレメントの断片を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. L-ラムノース誘導性プロモーターが、配列番号1、2、3または4に示される少なくとも1つの配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. L-ラムノースイソメラーゼが、配列番号9に示されるアミノ酸配列またはその機能的同等物によって記載される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. エピソーム複製が可能なDNA構築物が、100 000塩基または塩基対以下のサイズを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. エピソーム複製が可能なDNA構築物が、環状プラスミドベクター、ファージミドおよびコスミドからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 原核宿主細胞が、ラムノースの代謝において機能する遺伝子に関して少なくとも1つの更なる欠損を有し、前記遺伝子が、ラムヌロース1-ホスファターゼ(RhaB)およびラムヌロースリン酸アルドラーゼ(RhaD)からなる群より選択されるタンパク質をコードする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 発現されるべき核酸配列の発現が、前記核酸配列によってコードされるタンパク質の産生をもたらす、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 発現されるべき核酸配列が、キモシン、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、糖質分解酵素、デヒドロゲナーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-アミラーゼ、酸化還元酵素、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、ラクターゼ、ペクチナーゼ、アミログルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、ニトリラーゼ、エステラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、オキシゲナーゼ、オキシニトリラーゼ、リアーゼ、ラクトナーゼ、カルボキシラーゼ、コラゲナーゼ、セルラーゼ、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、組織プラスミノーゲン因子、プロテインC、フォンビルブラント因子、アンチトロンビン、エリトロポエチン、コロニー刺激因子、サイトカイン、インターロイキン、インスリン、インテグリン、アドレシン、セレクチン、抗体、抗体フラグメント、構造タンパク質、コラーゲン、フィブロイン、エラスチン、チューブリン、アクチン、ミオシン、増殖因子、細胞周期タンパク質、ワクチン、フィブリノゲンおよびトロンビンからなる群より選択される組換えタンパク質をコードする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 少なくともL-ラムノースイソメラーゼに関して欠損しており、かつ少なくとも1つのDNA構築物を含む原核宿主細胞であって、前記DNA構築物は、前記宿主細胞において複製可能であり、かつL-ラムノース誘導性プロモーターの転写制御下で発現される核酸配列を含有し、前記プロモーターは前記核酸配列に対して異種である、上記原核宿主細胞。
  14. 食品、飼料、酵素、化学薬品、医薬品またはファインケミカルの製造のための、請求項13に記載の原核宿主細胞の使用。
  15. 請求項13に記載の原核宿主細胞またはその調製物を用いた、組換えタンパク質、酵素およびファインケミカルの製造方法。

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