JP2006505272A5 - - Google Patents

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Description

【書類名】明細書
【発明の名称】βアミロイド前駆体タンパク質の構造およびプロセシングを調節する因子の同定のための方法
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願はその全体が本明細書において参考により援用される、2002年11月4日出願の米国出願60/424,031号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アルツハイマー病の神経病理学的特徴は、脳内の細胞外タンパク質付着物の蓄積である。これらの付着物にはアミロイド含有プラークおよび血管壁内のアミロイドが挙げられる。アミロイドプラークの主要成分はβ−アミロイド(Aβ)と称される39〜42アミノ酸残基の自己凝集性ペプチドである。特にアルツハイマー病の家族型におけるアミロイド前駆体タンパク質(APP)およびプレセニリン(PS)遺伝子突然変異の同定の後、疾患を誘発する機序の理解がかなり進歩した。これらの突然変異は脳内のAβタンパク質のレベルの昇をもたらす(Selkoe,Physiological Rev 81:741−766,2001)。
【0003】
Aβタンパク質は身体の大部分の組織にわたって発現される膜貫通タンパク質であるAPPのタンパク質分解フラグメントである。図2はAPPの構造、形成されるタンパク質分解フラグメントおよびこれらのフラグメントを生成することがわかっているそれぞれのプロセシング酵素を示す。APPタンパク質はα−セクレターゼ、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼを含む少なくとも3種の異なるプロテアーゼによりプロセシングされる。アミノ末端切断に関与するβ−セクレターゼは最近同定され、クローニングされた(Sinha et al.,Nature 402:537−540,1999)。このBACEプロテアーゼはAsp−1およびGlu−11で開始するAβを優先的に放出する。APPのカルボキシ末端を放出するγ−セクレターゼ切断はAPPの予測される膜貫通ドメインにおいて起こるようである。γ−セクレターゼはタンパク質の複合体最も重要なものはプレセニリン1であるよりなる(Steiner,Rev.Mol.Cell.Biol.1:217−224,2000)。
【0004】
β−およびγ−セクレターゼの切断により分泌された可溶性Aβペプチドが生じる。ニューロンにおいては、僅か5%のAPP分子のみがAβ発生経路を経由するのに対し、95%のAPP分子はAβの形成を抑制する非アミロイド原性経路を通じてα−セクレターゼによりプロセシングされる(Lammish et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:3922−927,1999)。より量が少なくより疎水性であるAβであるAβ1−42は最近になってアルツハイマー病において観察される早期の病理学的変化に関連付けられた。アルツハイマー病の家族型に関連する突然変異はAβの細胞産生を増大させることがされた。即ちAβペプチドは、Aβがプロトフィブリル、フィブリルおよびその後のアミロイドプラークを形成するアルツハイマー病をもたらす病理学的過程における中枢的な分子である。即ち、Aβの増大した産生または低減したクリアランスはアミロイドプラークの形成とその後のニューロン変性をもたらす過程を開始させる。最近の研究によれば、プロトフィブリルと称されるAβの凝集物ニューロン死に寄与する毒性の実体であり得ることが示唆されている(Gotz et al.,Science 293:1491−1495,2001)。従って、アルツハイマー病患者の脳におけるAβペプチドを低下させる何かの治療法は大きな臨床的価値を有する。図1はアミロイドカスケードと称される過程における疾患の現在の知見をまとめる
【0005】
タンパク質の構造、そして、結果としてタンパク質の活性またはそれが基質として機能する能力を改変する分子(エフェクター)の同定は、タンパク質の内因的構造の性質および生体系における他の構造とどのように相互作用するかに依存する。タンパク質機能はタンパク質のアミノ酸組成およびアミノ酸配列により決定される3次元構造に依存している。タンパク質はその構造に基づいて生体系中の他のタンパク質および構造により、そして他の相互作用分子の構造により影響を受ける。タンパク質の構造は、タンパク質の活性または他のタンパク質による影響の受け易さを増大または低減し得る他の分子との相互作用(アロステリック相互作用)により変化し得る。例えばβ−セクレターゼの切断部位の近傍に位置するAPP突然変異の研究より、局所的なα−へリックス性は、恐らくはエンドプロテアーゼとその構造との直接の相互作用により切断効力に寄与していることが示唆されている(Sisodia,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6075−6079,1992)。同様に、Swedish突然変異(Mullan et al.,Nature Genetics 1:345−347)として同定されたAPPのアミノ酸配列の変化、APPの構造を変化させ、そして、α切断部位におけるAPPのプロセシングを増大させる。
【0006】
ペプチドはタンパク質と相互作用してその構造、そして結果としてタンパク質の活性または他のタンパク質による影響の受け易さを変化させることができる構造である。構造的エフェクターとしてのペプチドは、極めて大きい構造的多様性を有するライブラリが組み換え法により容易に作製でき、そして好ましい表現型の挙動を同定する操作法を用いて容易にスクリーニングできることから、注目に値するものである。これらのペプチドエフェクターはある構造が所望の構造的変化を誘発する有効性を検証するために使用できる。ペプチド構造は例えば生物学的に安定で、血管脳関門を容易に通過し、そして経口製剤に適しているペプチドミメティック構造を設計し、開発するためのモデル化合物構造として使用できる。
【0007】
タンパク質への特異的結合を介して細胞の処理に影響するペプチド(本明細書においては「ペプチドエフェクター」とも称する)を同定するためのスクリーニング方法が開発されている。ランダムペプチドライブラリの有用性構造的に多様なペプチドの大きいライブラリを作製してスクリーニングするために開発された多くの方法により明らかにされている。化学的戦略のほかに、このような方法には生物学的発生に依存した系を含んでいる(例えばScott and Smith,Scinence 249:386−390,1990(ファージディスプレイ);Kawasaki,米国特許5,658,754号(インビトロリボソームディスプレイ);Cull et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869,1992(lacリプレッサーC末端上に発現されたランダムペプチド配列);Murray et al.,Biotechnology 13:366−372,1995(E.coliのフラゲリン上に発現されたチオレドキシンランダムペプチドライブラリ);Brown,Nat.Biotechnol.15:269−272,1997(細菌の表面上に発現された反復ポリペプチド);Gilchrist and Hamm,Methods Enzymol.315:388−404,2001(peptides−on−plasmids);Wilson et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 98:3750−3755,2001(mRNAディスプレイ);Kjaergaard et al.,Appl.Environ.Microbiol.67:5467−5473,2001(采ディスプレイペプチドライブラリ)を参照)。最も最近では、Rigel Inc.が哺乳類細胞において表現型の変化を改変するペプチドを同定するためのランダムペプチドライブラリのインビボの導入の有用性を明らかにしている(例えばKinsella et al.,J.Biol.CHem.277:37512−37518,2002参照)。
【0008】
しかしながら、現在の方法は細胞分泌経路において標的分子と相互作用するペプチドエフェクターの同定を可能にしておらず、従って、分泌経路を経由する移行の間のAPPのプロセシングに影響するこのようなペプチドの同定には適していない。APPと同様、APPプロセシング酵素、例えばα−、β−およびγ−セクレターゼは分泌経路を通過し、そして細胞表面上にも存在する。一部の方法は原形質内において細胞内で小型のペプチドおよびポリペプチドをスクリーニングするために開発されているが(例えばFields and Song,Nature 340:245−46,1989;Cull et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1865−69,1992;Lu et al.,Biotechnology(NY)13:366−72,1995;国際特許出願WO99/24617;Norman et al.,Science 285:591−95,1999);国際特許出願WO98/39483)参照)、APPおよびAPPプロセシング酵素のような分泌分子は大部分の他のサイトゾル分子またはオルガネラと混合されないコンパートメント内に封鎖されている。このため、現在の方法はAPPのネイティブの分泌環境を維持していない。
【0009】
更にまた、現在の方法は細胞外の空間の内部で作用するペプチドを含む治療上有望な因子の効率的な同定を制約する種々の難点を有している。その結果、現在の方法はまた細胞表面上のAPPのプロセシングに影響するペプチドの効率的な同定には適していない。従来のペプチドライブラリ(例えばファージディスプレイライブラリ、コンビナトリアルライブラリ、ペプチドミメティックライブラリおよび1ビーズ1構造のコンビナトリアルライブラリ)を使用するスクリーニング方法の大部分はインビトロ標的への結合を示すのみである。正常な構造、活性、および何れかの必要な調節分子は、細胞外のタンパク質が精製されたりそのネイティブな細胞外環境から取り出されると、消失し得る。即ち、これらの方法は、対応するインビボの生学的作用を有する細胞外標的に結合するペプチドを同定できない場合が多い。
【0010】
APPプロセシング酵素の切断活性に一般的に影響する因子同定するよりはむしろ、APPに特異的に結合してそのプロセシングを改変しAβの量を低減する分子エフェクターを同定するスクリーニング方法が望まれている。酵素的経路の混乱に関する現在の方法は、典型的には酵素系のスクリーニングに着目している。しかしながら、APPプロセシング酵素は他の重要な生物学的処理に関与している。一般的にアルツハイマー病の危険性を低減するとしてもこれらの酵素の活性を改変することは、他の有害な生物学的作用を誘発し得る。例えば、α−セクレターゼの活性を増大させるとAβのが低下する。しかしながら、α−セクレターゼはアンジオテンシン変換酵素(ACE)即ち血圧の調節物質の形成にも関与している(Parvathy et al.,Biochemistry 37:1680−1685,1998)。α−セクレターゼの活性を増大させることは、血圧を上昇させ、心臓疾患の危険性を増大させる。
【0011】
更にまた、細胞内経路のネイティブのサイトゾル性の構成要素を温存しながら原形質において細胞内で小型ペプチドおよびポリペプチドをスクリーニングするために開発された方法は、該当する生理学的条件下細胞外でAPPプロセシングに影響するペプチドのスクリーニングを、可能としない。真核細胞(哺乳動物細胞および他の動物の細胞を含む)上において細胞外でペプチドライブラリ配列を発現させる他の方法も報告されているが(例えば米国特許6,153,380号;国際特許出願WO98/39483)、これらの方法はやはり、未希釈の血液、血漿、血清または他の複合生物学的体の存在下のような生理学的条件下ではAPPとのペプチドの相互作用スクリーニングを可能としない。例えば1つの方法は、ランダム化されたペプチドを宿主細胞内に挿入し、そして、使用する融合構築物に応じて、細胞外または細胞内の細胞表面に局在化させるか、または、可溶性形態で分泌させる(米国特許6,153,380参照)。次にペプチドを、宿主細胞または他の細胞集団の表現型を改変するその能力について試験することにより、選択することができる。この方法は、細胞外の相互作用に影響するペプチドの同定を可能にするがAPPプロセシングに対してネイティブである生理学的条件を再現する試験条件の必要性に対処していない。分子のコンホーメーション、安定性、結合速度動態等を含むこのような条件はα−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼのようなAPPプロセシング酵素を含む他の細胞外巨大分子とのAPPの正常な相互作用を維持するために重要であり得る。
【0012】
従って、APP分泌経路の分子および細胞の構成成分を温存し、そして、細胞外環境の複雑な生理学的条件を複製する条件下でAPPプロセシングの分子エフェクターを同定するスクリーニング方法が必要とされている。APPプロセシングに対してネイティブである複雑な条件を維持することは非特異的な結合の事象を低減し、ネイティブの分子構造および反応動態を保持し、そして、調節分子の存在を維持することから、開示した生理学的かつ分泌ベースのスクリーニングはAβの産生を改変する因子を含むAPPプロセシングを改変する因子をより同定しやすいといえる。
【0013】
APPプロセシングにおいて重要である分泌および細胞外の条件を温存するスクリーニング方法、ならびにAPPに特異的に結合するエフェクターを同定する方法の開発は、生理学的に該当する条件下、適特異性でAβの量を低減する因子同定を容易にすることにより、アルツハイマー病の治療のためのより効果的な因子および治療方法の同定を容易にするために必要とされている。本発明はこのような方法を提供し、それは本明細書に記載される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は一般的にβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変する因子同定する方法に関する。1つの特徴において、この方法は、APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する動物宿主細胞にこの因子を接触させること、および、宿主細胞表面上の改変されたAPPプロセシングを検出してAPPのプロセシングを改変する因子同定することを包含する。宿主細胞により発現されるAPPプロセシング酵素は例えばα−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼを包含する。検出されるAPPプロセシングの改変例えば、アミロイドβ−タンパク質(Aβ)の産生の低減をもたらすプロセシングである。更に改変されたAPPプロセシングの結果として低減した産生を示すアミロイドβ−タンパク質はアルツハイマー病の増大した危険性に関連するAβタンパク質、例えばAβ1−39、Aβ1−40および/またはAβ1−42であり得る
【0015】
APPおよびAPPプロセシング酵素を発現する動物宿主細胞は例えば哺乳類宿主細胞であり得る。動物宿主細胞は内因性APPおよびAPPプロセシング酵素を発現する組み換え宿主細胞、または単離された宿主細胞であり得る
【0016】
特定の実施形態においては、改変されたAPPプロセシングを検出することは宿主細胞の表上のAPPフラグメントの少なくとも1つのの相対的な存在または非存在を評価することを含む。評価されるAPPフラグメントの例えばAPPs−α、APPs−βまたはAPPs−γを包含し得る。APPフラグメントの少なくとも1つのの相対的な存在または非存在を評価すること、例えば、APPフラグメントに特異的に結合する少なくとも1つの検出可能に標識されたマーカーに宿主細胞を接触させること、および、結合した標識されたマーカーを検出することを含む。APPフラグメントの存在または非存在を検出するためのマーカーは、例えばAPPまたはAPPフラグメントの所定のエピトープに結合する抗体であり得る。特定の実施形態においては、APPフラグメントの相対的な存在または非存在を評価すること、APPまたはAPPフラグメントの少なくとも2つの異なるエピトープに対して特異的な少なくとも2つの標識された抗体の検出シグナルの比を測定することを含む。宿主細胞の表面上の改変されたAPPプロセシングの検出は、例えばフローサイトメーターまたはセルソーターの使用を含み得る
【0017】
宿主細胞に接触させる因子例えば小分子または生体分子であり得る。特定の実施形態においては、宿主細胞と接触させる生体分子はペプチドである。因子化合物ライブラリ、例えばコンビナトリアルケミストリライブラリ、天然産物ライブラリまたはペプチドライブラリより得ることができる。因子はAPPのアロステリックエフェクターであり得る
【0018】
特定の実施形態においては、因子は実質的に生理学的な条件下宿主細胞に接触る。実質的に生理学的な条件は、複合生物学的液体、例えば血液、血清、血漿または脳脊髄液(CSF)の存在を包含することができる。
【0019】
宿主細胞をペプチドと接触させる実施形態においては、ペプチドは例えばペプチドをコードするオリゴヌクレオチドの転写および翻訳により産生することができる。ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドの長さは例えば約18〜約120ヌクレオチド、21〜約60ヌクレオチドまたは約36〜約60ヌクレオチドであり得る。1つの実施形態においては、宿主細胞とのペプチドの接触は、宿主細胞内にペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを含む発現ベクターを導入することを包含する。発現ベクターが導入された宿主細胞は分泌経路内および細胞表面上においてペプチドを発現し提示する。
【0020】
宿主細胞内に導入されるオリゴヌクレオチドは例えばオリゴヌクレオチドの大多数が異なるペプチドをコードする異なる配列を有するオリゴヌクレオチドインサートを含む発現ライブラリに由来し得る。特定の実施形態においては、オリゴヌクレオチドの配列はランダム化される。発現ライブラリはAPPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する動物宿主細胞に導入される。発現ライブラリを導入された宿主細胞は分泌経路内および細胞表面上において異なるペプチドを発現し提示する。特定の実施形態においては、異なるペプチドは実質的に生理学的な条件下で宿主細胞により提示される。
【0021】
別の実施形態においては、改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞のサブセットを宿主細胞から選択する。この宿主細胞サブセットより、発現ライブラリのサブライブラリを同定する。このサブライブラリにはAPPのプロセシングを改変するペプチドをコードするオリゴヌクレオチド少なくとも1つが含まれる。
【0022】
特定の実施形態においては、発現ライブラリが導入された宿主細胞は、異なるペプチドを提示する宿主細胞として富化することができる。宿主細胞は発現構築物中に選択可能なマーカーを含ませることにより富化することができる。発現構築物は例えばV5、FLAG、プロテインAまたはチオレドキシンであり得る。マーカーの選択には例えば磁気ビーズ選択蛍光活性化細胞ソーティングが包含される。特定の実施形態においては、ペプチドを提示する細胞として富化された宿主細胞は高コピー数の異なるペプチドを発現できる。
【0023】
1つの実施形態においては、ペプチドは提示分子との融合タンパク質としてされる。提示分子は例えばCD24、IL−3受容体、プロテインAまたはチオレドキシン等であり得る。融合タンパク質は更にマーカーエピトープ、例えばポリヒスチジン、V5、FLAGまたはmyc等を含むことができる。融合タンパク質はまたグリコホスファチジルイノシトール(GPI)固定のためのシグナルを含むことができる。
【0024】
別の実施形態において、発現ライブラリは宿主細胞へのライブラリの導入よりも前に、APPに特異的に結合するペプチドをコードするオリゴヌクレオチドについて予備富化(プレエンリッチ)され得る。予備富化はファージの表面上のオリゴヌクレオチド配列によりコードされるペプチドを発現できるファージディスプレイベクター内に発現ライブラリを導入すること;ファージの表面上に異なるペプチドを発現すること;APPに特異的に結合するペプチドを発現するファージ粒子のサブセットを選択すること;および、選択されたファージ粒子からオリゴヌクレオチド配列を回収すること;を包含することができる。予備富化された発現ライブラリはAPPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する動物宿主細胞内に導入することができる。予備富化されたライブラリが導入された宿主細胞は分泌経路内および細胞外細胞表面上においてAPP結合ペプチドを発現し提示する。改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞のサブセットは予備富化ライブラリを発現する宿主細胞から選択する。この宿主細胞サブセットより、予備富化された発現ライブラリのサブライブラリを同定する。このサブライブラリにはAPPのプロセシングを改変するAPP結合ペプチドをコードする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0025】
本発明の性質および利点のさらなる理解については明細書の以下の部分を参照することにより明らかになる。
【0026】
(特定の実施形態の記述)
本発明はβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変し、これによりβ−アミロイド(Aβ)の産生を改変する分子および因子(ペプチドおよび他の小分子を含む)の同定のためのスクリーニング方法を提供する。提供されるスクリーニング法はAβの産生に相関するプロセシング酵素切断部位における細胞内APPの切断を増大または低減することができるエフェクター因子同定を可能にする。これらのスクリーニング方法はアルツハイマー病(AD)の原因として示唆されているα−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼのようなAPPプロセシング酵素の活性化における不均衡を是正または部分的に是正するADの処置のための治療用分子の開発を促進し得る
【0027】
本発明をより詳細に説明する前に、本明細書において以下に使用する特定の用語の定義を説明することが本発明を更に理解するために有用であろう
【0028】
(定義)
「APPプロセシング酵素」という用語は細胞内(例えばトランスゴルジネットワークおよび分泌ベシクル)または細胞外の細胞表面上の分泌経路を介する間にアミロイド前駆体タンパク質(APP)の翻訳後の改変に関与するタンパク質分解酵素を指す。APPのタンパク質分解プロセシングは細胞により産生されるAβの相対的量に影響する。APPプロセシング酵素は例えばα−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼを包含する。
【0029】
「改変されたAPPプロセシング」という用語は細胞により産生される1種以上のAPPフラグメントの量の変化を指す。APPフラグメントには例えばAPPs−α、APPs−βおよびAPPs−γが包含される(図2参照)。1種以上のAPPフラグメントの相対量は産生されるAβの量と相関しているため、「改変されたAPPプロセシング」は本明細書においてはまた一般的に細胞により産生されたAβの量の変化をもたらすAPPプロセシングにおける変化指している。
【0030】
因子」、「分子」および「化合物」という用語は、本明細書においては、同義語であり、そして一般的に、非共有結合相互作用、例えば水素結合、イオン結合、ファンデルワールス引力または疎水性相互作用を介して細胞の構成成分と構造的な相互作用をすることが潜在的に可能である分子を指す。例えば因子最も典型的にはタンパク質、糖タンパク質および/または他の巨大分子との構造的相互作用のために必要な官能基、特に水素結合に関与する基を有する分子を包含する。
【0031】
因子、小有機分子、例えば脂肪族炭素または環状炭素(例えば複素環または炭素環構および/または芳香族またはポリ芳香族構造等)を包含し得るこれらの構造は1つ以上の官能基、例えばアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基で置換され得る。更にまた、これらの構造は他の置換基、例えば炭化水素(例えば脂肪族、脂環族、芳香族等)、非炭化水素基(例えばハロ、アルコキシ、アセチル、カルボニル、メルカプト、スルホキシ、ニトロ、アミド等)またはヘテロ置換基(例えば非炭素原子、例えばイオウ、酸素または窒素を含むもの)を包含し得る
【0032】
因子は生体分子も包含する。「生体分子」とは生体系の中に存在する分子、および/またはこれにより産生されることができる分子、ならびにそのような分子に由来する構造のクラスを指す。生体分子は典型的には例えばタンパク質、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン類、ピリミジン類およびそれらの誘導体、構造的類縁体またはその組み合わせを包含する。生体分子は1つ以上の官能基、例えばアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を包含し得る
【0033】
因子合成により、または生物学的に産生されるものを包含し、そして、組み換えにより産生された構造、例えばペプチド提示融合タンパク質を包含し得る。「融合タンパク質」という用語は2つ以上の配列モチーフの組み換え組み合わせにより産生されるアミノ酸の重合体を指し、特定の長さの産物を指すものではな;即ち、融合タンパク質はアフィニティー標識、例えば6−ヒスチジンに連結したペプチド配列を包含し得る
【0034】
「エフェクター因子」または「分子エフェクター」という用語は、本明細書においては、他の巨大分子とのタンパク質の相互作用に影響する分子を指す。即ち「APPプロセシングの分子エフェクター」とは、例えばAPPまたはAPPプロセシング酵素との相互作用を介してAPPプロセシングを改変する分子を指す。
【0035】
「特異的結合」という用語はある因子とAPPの間の直接の相互作用を指す。因子とAPPの間の相互作用は直接または間接分析により検出できる。
【0036】
「アロステリックエフェクター」という用語は、タンパク質に特異的に結合してそのコンホーメーションを変化させることにより、特定のタンパク質の活性または相互作用を活性化または阻害するエフェクター因子を指す。即ち「APPのアロステリックエフェクター」とはAPPに特異的に結合し、1つ以上のAPPプロセシング酵素によるプロセシングが改変されるようにそのコンホーメーションを変化させる因子を指す。アロステリックエフェクターの特異的結合部位は本明細書においては「アロステリック部位」と称する。
【0037】
「N末端短縮APP」という用語は本明細書においては、α−および/またはβ−セクレターゼ切断部位に対してN末端側の部位におけるN末端において短縮されているAPPポリペプチドの形態を指す。これらのN末端短縮型は、例えばKunitzプロテアーゼ阻害ドメインに対してすぐの3’側のヌクレオチド457から始まり、もう一方がヌクレオチド550にあるAPPコード配列の領域によりコードされるポリペプチド、および、N末端官能基を除外するが、膜の外部のアミノ酸残基までのβ切断部位近傍のランダムコイル配列を含む、種々のより短い形態を包含する。
【0038】
「宿主細胞」という用語は幾つかの手段により導入することができるエフェクター因子を試験するためのビヒクルとして機能できる細胞を指す。本発明に適する宿主細胞はAPPおよび1つ以上のAPPプロセシング酵素、例えばα−、β−および/またはγ−セクレターゼを発現するものである。更にまた、本発明における使用に適する宿主細胞は典型的には動物細胞、特に哺乳類細胞である。宿主細胞はまた「組み換え宿主細胞」であることもできる。「組み換え宿主細胞」という用語は本明細書においては1つ以上の組み換えタンパク質、例えば組み換えAPPおよび/または1つ以上のAPPプロセシング酵素を発現する宿主細胞を意味する。適当な宿主細胞の例ヒト胚腎(HEK)細胞、ヒト神経芽細胞Ba/F3、AC2(例えばGarland and Kinnaird,Lymphokine Rs.5:S145−S150(1986)参照)、B9、HepG2、MES−SAおよびMES−SA/Dx5細胞を包含する。宿主細胞は幾つかの操作法の何れか1つにより導入される遺伝子ライブラリに対するレシピエントとして機能することができる。遺伝子ライブラリのレシピエントとして機能する宿主細胞は、多くの場合ライブラリインサートを含有するベクターの複製および分離を可能にす。しかしながら、特定の実施形態においては、複製および分離は意義を有さず;ライブラリインサートの発現のみが必要である。
【0039】
「遺伝子ライブラリ」という用語は個々が数塩基対〜約100万塩基対の範囲の大きさを有する核酸フラグメントの集合体を指す。典型的には、本発明の範囲において使用する場合は、遺伝子ライブラリはペプチドまたはポリペプチドをコードするランダムまたは半ランダムのオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは例えば約10塩基〜約60塩基の平均長を有し得る。特定の実施形態においては、ライブラリは細菌および/または哺乳類細胞のような特定の宿主細胞において増殖することができるベクター中のインサートとして含まれる。
【0040】
「化合物ライブラリ」という用語は本明細書においては、複数の分子構造を含む因子の何れかの集合体を指す。化合物ライブラリは例えば後に詳述するコンビナトリアルケミストリライブラリ、天然産物ライブラリおよびペプチドライブラリを包含し得る。特定の実施形態においては、ペプチドライブラリは、遺伝子ライブラリ内に含まれる核酸配列から転写および翻訳により生成することができる。
【0041】
「サブライブラリ」という用語は本発明による方法により単離されている化合物ライブラリまたは遺伝子ライブラリの部分を指す。
【0042】
遺伝子ライブラリの範囲内における「インサート」という用語は、典型的には、単一のベクター(例えば発現ベクター)または発現構築物内に挿入される個々の核酸フラグメントを指す。
【0043】
遺伝子ライブラリの範囲内における「カバレッジ(coverage)」という用語は遺伝子ライブラリの重複の量を指す。当業者の知るとおり、遺伝子ライブラリの重複はそのライブラリの核酸配列内に特定の配列が実際に存在する確率に一般的には関連している。カバレッジはライブラリインサート例えばペプチドコードオリゴヌクレオチドの数を平均のインサートサイズと掛け合わせ、ライブラリが示す核酸配列の総コンプレキシティーで割った比である。
【0044】
「ベクター」という用語は非相同核酸のインサートを収容できる特定の宿主細胞において増殖することが可能な核酸配列を指す。典型的にはベクターはクローニング部位内に非相同核酸を挿入するようにインビトロで操作される。ベクターは、形質転換、トランスフェクションまたはウィルスベクターによる感染等により、安定または一過性の態様で宿主細胞に導入され得る。
【0045】
「発現ベクター」という用語は挿入された核酸を発現するように設計されたベクターである。このようなベクターは例えば1つ以上の以下に示す作動可能に関連したエレメントを含み得る:核酸の挿入部位(例えばクローニング部位)の上流に位置するプロモーター、転写停止シグナル、翻訳停止シグナルおよび/またはポリアデニル化シグナル。発現ベクターはまた、薬物耐性遺伝子(例えばハイグロマイシンまたはネオマイシン耐性)のような選択可能なマーカーも含むことができる(例えばSanterre et al.,Gene 30:147−156(1984)参照)。発現ベクターはまたウィルス粒子内へのパッケージングのための配列も含み得る
【0046】
「高コピー数」という用語はライブラリインサートによりコードされる少なくとも数百〜数千の分子の宿主細胞の細胞外表面上の発現を指す。
【0047】
核酸の範囲における「発現」という用語はmRNAおよび/またはタンパク質内への核酸の転写および/または翻訳を指す。
【0048】
「発現ライブラリ」という用語は、複数コピーの発現構築物またはベクターを指し、この構築物またはベクターのコピーの大多数は遺伝子ライブラリに由来する核酸フラグメントのインサートを含有する。
【0049】
「提示分子」という用語は融合タンパク質の一部としてペプチドまたはポリペプチドを提示するために使用できるポリペプチドを指す。
【0050】
「安定な発現」という用語は本発明の方法を実施するために必要な程度長期にわたる期間の、宿主細胞における核酸配列の持続的存在および発現を指す。安定な発現は、宿主細胞染色体内への核酸の組み込みによるか、または、核酸を宿主内でのその持続的複製および分裂を確保するエレメントをそれが保有するようにする(例えば発現ベクターまたは人工の染色体)かあるいは、選択条件下(例えば薬物含有培地)で宿主細胞を生育することにより核酸の安定な発現が確保されるように核酸が選択可能なマーカー(例えば薬物耐性遺伝子)を含有し得るように、あるいはそれが宿主ゲノム内に組み込まれることになるウィルスゲノムとして導入できるように、操作することにより、達成できる。
【0051】
「特異的結合」という用語はある因子とAPPとの間の直接の相互作用を指す。因子とAPPとの間の相互作用は直接または間接分析のいずれかにより検出できる。
【0052】
「生理学的条件」および「実質的に生理学的な条件」という用語は、細胞外空間内、細胞外表面上(例えば細胞膜上)、ゴルジネットワーク、分泌小内、および/または複合生物学的体内において通常存在するか、または、通常に存在するものに実質的に近似している条件を指す。例えば「実質的に生理学的な条件」は細胞外の標的が活性であるかその活性(例えば酵素活性、受容体、基質、スカホールド分子または他の結合パートナーへの結合等)を発現する場合に存在し得る
【0053】
「複合生物学的体」という用語は生体の体、例えば自系(即ち同じ動物に由来)、相同(即ち同じ種の動物に由来)または非相同(即ち異なる種に由来)の血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)等を指す。複合生物学的体は未希釈であっても実質的に希釈されていてもよい。「実質的に未希釈の複合生物学的液体」という用語は未希釈であるか、または、典型的には約50%濃度を下回らずに生理学的緩衝液中に希釈されている複合生物学的体を指す。実質的に未希釈の複合生物学的体、即ち未希釈の流体の約50%濃度以上のものは、未希釈の流体とほぼ同じ絶対濃度の溶液中に、実質的に同じイオンの組成および濃度、ならびに、実質的に同じ巨大分子の構造を有する。
【0054】
「形質転換」または「トランスフェクション」という用語は、レシピエント(例えば宿主)の細胞内に核酸を導入する処理を指す。これは典型的にはレシピエント細胞の表現型の変化により検出される。「形質転換」という用語は一般的には微生物に適用され、「トランスフェクション」は多細胞生物に由来する細胞におけるこの処理を指すために使用される。
【0055】
「感染する」または「感染された」という用語はウィルスベクターを用いることによりレシピエント(例えば宿主)細胞内に核酸を導入する処理を指す。
【0056】
「フローソーター」という用語は細胞または他のオブジェクトから生じる光放射強度を分析し、そして、光放射強度のようなパラメーターに従ってこれらの細胞またはオブジェクトを分離する装置を指す。適当なフローソーターは例えば蛍光活性化細胞ソーター(FACS)、分光光度計、マイクロタイタープレートリーダー、電荷結合デバイスカメラおよびリーダー、蛍光顕微鏡または同様の装置を包含する。
【0057】
フローソーターの範囲における「高輝度(bright)」および「低輝度(dim)」という用語は特定の細胞により示される蛍光(または光放射の他の様式)の強度の水準を指し;高輝度の細胞は細胞の集団に対して相対的に高い強度の放射、そして推定では高い水準のレポーターを有し;低輝度の細胞は細胞の集団に対して相対的に低い強度の放射、そして推定では低い水準のレポーターを有する。
【0058】
「ビーズ選択」という用語は細胞の混合物から細胞を選択的に除去するためのビーズの使用を指す。ビーズは抗体または他の結合パートナーのような巨大分子を包含し得る。特定の実施形態においては、ビーズ選択は誘導体化された磁気ビーズを使用する。例えば、細胞表面上にFLAGエピトープを発現する細胞は、抗FLAG抗体でコーティングされた磁気ビーズ上で予選択できる。次に磁気ビーズを強磁場を用いて収集することができる。
【0059】
(宿主細胞の選択/樹立)
本発明のスクリーニング法で使用する宿主細胞は、APPと、α−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼのようなAPPプロセシング酵素1つ以上の両方を発現する。宿主細胞はAPPおよび/または少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を内因的に発現する単離された細胞であり得る。更に、宿主細胞はAPPの組み換え型例えばN末端短縮APPおよび/または1つのタンパク質酵素の少なくとも1つの組み換え型を発現する組み換え宿主細胞であり得る。従って宿主細胞は1つのこのようなAPPまたは酵素分子に関して内因性の発現を示す一方で、別のこのような分子に関して「組み換え宿主細胞」であり得る
【0060】
本発明の1つの例示的実施形態においては、宿主細胞はAPPに関して組み換え体であり、そして内因性のα−セクレターゼ、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼを含有する。DNAコードAPPは例えばAmerican Type Culture Collection(ATCC)またはInnovative Molecular Analysis Technologies Progdam of the National Cancer Institute,National Institute of Health(IMAT)より入手できるか、或は、当該分野で公知の方法、例えばPCR増幅およびDNA配列分析評価により得ることができる。cDNAは例えば哺乳類発現ベクター内に挿入され、そして、知られた方法、例えばエレクトロポレーションを用いて親哺乳類細胞(例えば神経芽細胞またはヒト胚腎細胞(HEK))にトランスフェクトされ得るこれらの細胞のAPP発現は、当該分野で公知の方法、例えば蛍光顕微鏡観察または抗APP抗体を用いたFACS分析、により評価することができる。例えば、種々のAPPフラグメントに対する抗体が知られており、これらの抗体としては、APPs−β(例えばAPP中央領域に特異的なA3または1G7、Koo et al.,J.Biol.Chem.269:17386−17389,1994)、APPs−α(例えば6E10、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002、APPs−αのカルボキシ末端またはβおよびα切断部位の間のAPP領域に特異的)およびp3(例えば4G8、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002)が挙げられる。
【0061】
別の実施形態においては、これらの細胞を次に、各発現ベクターがAPPプロセシング酵素1つ以上をコードする1つ以上の発現ベクタートランスフェクトし得る。例えば1つがα−セクレターゼをコードし、もう一方がβ−またはγ−セクレターゼをコードする2種の個別の発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることができる。セクレターゼをコードするDNAは、例えばATCCまたはIMATから入手できるか、或は、当該分野で公知の方法、例えばPCR増幅およびDNA配列分析評価により得ることができる。
【0062】
(化合物ライブラリ)
本発明の1つの実施形態において、APPプロセシングを改変するエフェクター因子をスクリーニングするために化合物ライブラリを宿主細胞に接触させる。化合部ライブラリは例えば薬学的研究の過程において合成された化合物のこれまでの収集物;推論的設計(一般的にはCho et al.,Pac.Symp.Biocompat.305−316,1998;Sun et al.,J.Comput.Aided Mol.Des.12:597−604,1998参照;各々、その全体が本明細書において参考により援用されるにより調製された化合物誘導体のライブラリ、例えばコンビナトリアルケミストリーコンビナトリアルケミストリライブラリの説明は下記参照);天然産物ライブラリ(例えば細菌、藻類、真菌、コウボ、カビ、種々の植物または植物の部分、動物の体液、分泌物等に由来する複合的抽出物を含むライブラリ等;このようなライブラリは例えば薬学的研究の過程において形成されたものを含み得る);ペプチドライブラリ(ペプチドライブラリの考察は下記参照)等から調製することができる。
【0063】
コンビナトリアルケミストリライブラリ:別の実施形態においては、化合物ライブラリは、コンビナトリアルケミストリライブラリの合成により調製できる(一般的にはDeWitt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6909−6913,1993;国際特許公開WO94/08051;Baum,Chem.&Eng.News,72:20−25,1994;Burbaum et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6027−6031,1995;Baldwin et al.,J.Am.Chem.Soc.117:5588−5589,1995;Nestler et
al.,J.Org.Chem.59:4723−4724,1994;Borehardt et al.,J.Am.Chem.Soc.116:373−374,1994;Ohlmeyer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:10992−10926;およびLongman,Windhover’s In
Vivo The Business&Medicine Report 12:23−31,1994参照;これら全ては、その全体が本明細書において参考により援用される)。
【0064】
以下の文献Martin et al.,J.Med.Chem.38:1431−1436,1995;Domine et al.,J.Med.Chem.,37:973−980,1994;Abraham et al.,J.Pharm.Sci.83:1085−1100,1994は出発分子の選択の方法および/またはその選択において使用する基準を記載しており、各々、その全体が本明細書において参考により援用される。コンビナトリアルライブラリの作製方法は当該分野で公知であり、以下の文献米国特許5,958,792;5,807,638;6,004,617;6,077,954号(その全体が本明細書において参考により援用される)を包含する
【0065】
「コンビナトリアルライブラリ」は集合体の化合物が1つ以上の型のサブユニットより構成されるような化合物の集合体である。サブユニットは天然および非天然の部分、例えばジエン、芳香族またはポリ芳香族化合物、アルカン、シクロアルカン、ラクトン、ジラクトン、アミノ酸等から選択できる。コンビナトリアルライブラリの化合物は化合物を含むサブユニットの数、順序、型またはその1つ以上に対して行われた改変の種類に関して1つ以上の態様において異なっている。或は、コンビナトリアルライブラリは「コア分子」の集合体ということもでき、これらは、れらが含むR基の数、型または位置および/またはコア分子を構成する分子自体において異なる。化合物の集合体典型的には系統的な方法で生成される。上記した態様の1つ以上において相互に異なる化合物の集合体生成させる方法はコンビナトリアルライブラリであり得る
【0066】
コンビナトリアルライブラリは1つ以上の固相結合樹脂原料から固相上で合成できる。ライブラリは相互に異なる有機性分子10個以上、典型的には50個以上を含み得る(即ち10種の異なる分子であり、同じ分子の10コピーではない)。異なる分子(異なる基本構造および/または異なる置換基)の各々はその存在が何らかの手段で測定できる(例えば結合パートナーまたは適当なプローブを用いて単離、分析、検出できる)ような量で存在する。その存在が測定できるために必要な各々の異なる分子の実際の量は使用する操作法により様々であり、そして単離、検出および分析の技術が進歩するに従い変化し得る。分子が実質的に等モル量で存在する場合は、例えば100ピコモル以上の量を検出できる。典型的なライブラリは実質的に等モル量の各々の望ましい反応産物を含み、典型的には何れかの所定の分子を比較的に大量または少量含むことはなく、これにより、何れかの試験において、そのような分子の存在が優勢になるか、または完全に抑制されるようにする。
【0067】
コンビナトリアルライブラリは一般的には固相支持体(例えばビーズ)上に出発化合物を誘導することにより調製される。一般的に、固体支持体はRinkまたはMerrifield Resinのような市販の樹脂結合物される。出発化合物の結合の後、置換基を出発化合物に結合させる。例えば芳香族(例えばベンゼン)化合物はRink樹脂を介して支持体に結合できる。芳香族環は置換基(例えばアミド)と同時に反応させる。置換基を出発化合物に添加されこれは置換基を添加するための反応体の混合物を準備することにより変動し得る。適当な置換基の例は、例えば以下のものである。
【0068】
(1)炭化水素置換基、即ち、脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環族(例えばシクロアルキルまたはシクロアルケニル等)置換基、芳香族、脂肪族および脂環族置換芳香族核等、ならびに環状置換基;
(2)置換された炭化水素置換基、即ち、主に炭化水素の置換基を改変しない非炭化水素基を含む置換基;当業者は、そのような公知の基(例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ,スルホキシ等)を理解する
(3)ヘテロ置換基、即ち主に炭化水素特性を有しながら炭素原子以外を含む置換基。適当なヘテロ原子は当業者に明らかであり、例えばイオウ、酸素、窒素が挙げられ、そしてこのような置換基には、ピリジル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル等が挙げられる
【0069】
天然産物ライブラリ:本発明の別の実施形態においては、化合物ライブラリは天然産物ライブラリである。天然産物ライブラリは例えば多様な天然産物原料に由来する天然産物のライブラリ(例えば薬学的研究の過程において蓄積された天然産物)、或は、単一の天然産物原料に由来する化合物の集合体(例えば微生物、植物、動物の体液または他の生物学的材料、例えば土壌または泥炭に由来する1つ以上の溶解物、ホモジネートまたは化学抽出液)であり得る
【0070】
1つの実施形態において、天然産物ライブラリを生成するための原料は泥炭材料である。これらの材料は一般的には極めて多数の種類の化合物を含有する。1つの特定の実施形態において、天然産物ライブラリは米国ワシントン州のボナパルト湖近傍の泥炭地であるボナパルト低地から得られる泥炭材料に由来する(米国特許6,257,962号参照)。特定の用途のための泥炭材料の使用とスクリーニングに関する操作法は当該分野で一般的に公知である(例えば米国特許6,267,962号および6,365,634号(その全体が本明細書において参考により援用される)に記載されている。例えば材料の抽出および分画の一般的な方法の1つでは、まずエタノールに曝露して非極性〜極性の広範な種類の特性を有する分子を抽出する。その後の画分には、例えば酸性化またはアルカリ性され例えばクロロホルムを用いた相分離に付されたものが包含される。得られた画分を例えばシリカゲルクロマトグラフィーおよび/または逆相HPLCにより更に分画でる。所望の画分が得られた後、これを例えば標準的な操作法を用いて緩衝液交換し、使用する特定のスクリーニング法によるその使用を容易にすることができる。
【0071】
ペプチドライブラリ:1つの実施形態において、化合物ライブラリはペプチドライブラリである。一般的に約4アミノ酸〜約100アミノ酸の大きさの範囲のペプチドを使用することができ、約6または7〜約40のペプチドが典型的であり、約7〜約20がより典型的である。
【0072】
特定の実施形態においては、ライブラリは合成ペプチドを含み得る。例えば長さN(Nは正の整数)の全ての可能なアミノ酸配または全ての可能な配列のサブセットを提示する合成ペプチドの集団ペプチドライブラリを構成することができる。このようなペプチドは当該分野で公知の標準的な学的方法(例えばHunkapiller
et al.,Nature 310:105−111,1984;Stewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd Ed.,Pierce Chemical Co.,Rockfoed,IL,(1984)参照)、例えば自動ペプチド合成器により合成できる。更に所望により非伝統的なアミノ酸または化学アミノ酸類縁体もまた伝統的なアミノ酸の代替として、またはそれに加えて使用することができる。非伝統的アミノ酸は例えば一般的なアミノ酸のD異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、セレノシステイン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸および一般的にアミノ酸類縁体である。更にまた、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る
【0073】
他の実施形態においては、ペプチドライブラリ核酸配列のライブラリから転写および翻訳により産生できる。1つの例示的実施形態において、ライブラリペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリを宿主細胞内に導入する(後記のGenetic Libraries,Expression Cassettes and Vectors and Nucleic Acid Transfer参照)。
【0074】
(遺伝子ライブラリ)
本発明の1つの特徴において、スクリーニング法はAPPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する宿主細胞内に発現ライブラリを導入することを包含する。
【0075】
本発明の遺伝子ライブラリは少なくとも部分的に異種核酸フラグメントの集合体を含む。このような核酸フラグメントは例えば合成DNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、cRNA、異種RNA等を包含し得る。核酸フラグメントは例えばゲノムのような核酸の集団、mRNAの集団、または目的の核酸配列を含有する核酸の何らかの他のセットの全部または一部を表し得る。遺伝子ライブラリは操作することができる形態の配列を含有する。
【0076】
本発明は典型的には合成DNA、または、特定の生物のゲノムDNAおよび/またはcDNAのフラグメントに由来する遺伝子ライブラリを使用する。このようなライブラリ配列は典型的には約10塩基〜約10キロ塩基の範囲である。ライブラリ配列は場合により例えば平均長約10塩基〜約60塩基のオリゴヌクレオチドであり得る
【0077】
合成DNAの作製方法は当該分野で公知である(例えばGlick and Pasternak,Molecular Biotechnoloy:Principals
and Applications of Recombinant DNA,ASM
Press,Washington,D.C.(1998)参照)。ランダムにせん断されているゲノムDNAおよび/またはcDNAの作製およびこのようなDNAの操作の方法は当該分野で公知である(例えばSambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Publish.,Cold Spring
Harbor,NY(2001;Ausbel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,4th ed.,John Wiley and Sons,New York (1999);これらはその全体が本明細書において参考により援用される)。ライブラリの構築、操作および維持に関する詳細も当該分野で公知である例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。
【0078】
一部の特徴において、ライブラリは合成核酸フラグメントより作製する。例えば長さN(Nは正の整数)の全ての可能な配列を提示する合成ペプチドの集団、または全ての可能な配列のサブセットがライブラリのための核酸であり得る。長さNの全ての可能なアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドの集団、または、全ての可能な配列のサブセットもまたライブラリのための核酸であり得る。或は、半ランダムライブラリも使用できる。例えば半ランダムライブラリは宿主細胞のコドン使用の優先に従って、または、コードされたアミノ酸配列における翻訳停止コドンの含有を最小限にするように設計することができる。後者の例として、各コドンの1位において、等モル量のC、AおよびGおよび半モル量のTを使用する。2位においては、Aを半モル量で使用し、C、TおよびGを等モル量で使用する。3位においては、等モル量のGおよびCのみを使用する。
【0079】
合成オリゴヌクレオチドは場合により何れかの適当なシス調節配列、例えばプロモーター、翻訳開始コドン、翻訳停止シグナル、転写停止シグナル、ポリアデニル化シグナル、クローニング部位(例えば制限酵素部位または付着末端)、エピトープをコードする配列および/またはプライミングセグメントを含むことができる。例えばライブラリはATG開始コドン、Nヌクレオチドのランダムまたは半ランダム配列、翻訳停止コドン、プライマー結合部位、および端において制限酵素部位を有するDNAフラグメントを含み得る。このようなフラグメントの集合体発現構築物内、ベクター内、発現ベクター内等に直接ライゲーションすることができる。フラグメントは1本鎖または2本鎖のDNAとして、そしてセンスまたはアンチセンス鎖の何れかとして導入できる。当業者の知るとおり2本鎖核酸は例えば相補1本鎖核酸を共にアニーリングすることにより、または、相補プライマーを核酸にアニーリング、次にポリメラーゼおよびヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドトリホスフェート)を添加して2本鎖核酸を形成することにより、形成することができる。2本鎖核酸はまた5’および3’オーバーハンギング末端を有する部位内に1本鎖核酸(例えばDNA)をライゲーションし、次にポリメラーゼおよびヌクレオチドトリホスフェートで部分的に1本鎖の核酸を充填することにより形成することもできる。オリゴヌクレオチドの操作およびクローニングの詳細は当該分野で公知である(例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。
【0080】
ライブラリは最も典型的にはライブラリ配列の核酸の可能な順列を超過するカバレッジを有する核酸を含む。例えば、ライブラリは、核酸配列の可能な順列を約5倍超過する核酸の数を含むことができるが、より大量または少量のランダム性も本発明の範囲内である。ライブラリの構築、操作および維持に関する操作は当該分野で公知である(例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。
【0081】
例示的実施形態において、ライブラリは当該分野で公知の方法を用いて以下の操作法に従って作製される。2本鎖DNAフラグメントをランダムまたは半ランダムな合成オリゴヌクレオチド、ランダムに切断されたゲノムDNAおよび/またはランダムに切断されたcDNAから調製する。これらのフラグメントを必要に応じて酵素で処理することにより、その末端の修復、および/または発現ベクター内のクローニング部位に適合する末端の形成を行う。次いで、DNAフラグメントが発現ベクターのクローニング部位にライゲーションされ、発現ライブラリを形成する。発現ライブラリを適当な宿主系統、例えばE.coli系統に導入し、そしてクローンを選択する。個々のクローンの数は典型的には出発物質の可能な順列の合理的なカバレッジを達成するために十分なものである。クローンをあわせ、大量培養またはプール中に生育させ、レジデントベクターおよびそのインサートの単離に付す。この工程により大量の発現ライブラリを本明細書に記載するその後の操作法のための調製物中に得ることができるようになる。
【0082】
(発現カセットおよびベクター)
別の特徴において、発現カセットおよび/またはベクターを用いて発現ライブラリの配列によりコードされるペプチドおよび/または融合タンパク質を発現させる。多くの発現カセットおよびベクターが当該分野で公知であり、それらは容易に入手できる(例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。これらのカセットおよびベクターの一部は特定の細胞型における使用のために専用となっており、は広範な種類の細胞型に使用できる。哺乳類細胞においては、ウィルス転写調節エレメントはライブラリ配列のような外因性コード配列の発現を駆動するための典型的な選択肢となっている。発現カセットまたはベクターは発現ベクターおよび/または発現ライブラリを含有する宿主細胞を同定するための選択可能なマーカー1つ以上を含むこともできる。
【0083】
ペプチドの発現を行うためには、発現カセットは例えば転写の方向に関して5’から3’の方向に、ライブラリ配列の挿入のためのクローニング部位に作動可能に会合しているプロモーター領域および場合により転写停止領域(これは場合によりポリアデニル化(ポリA)配列を有する)含み得る。発現カセットは合によりリボソーム結合配列、翻訳開始コドンおよび/または翻訳停止コドンを含み得る。分泌シグナルおよび/または細胞表面に発現ペプチドを固定るためのドメインは典型的には隣接するクローニング部位に含まれる
【0084】
適当な分泌シグナルは例えばCD24由来のものである。適当な細胞表面固定ドメインは例えばグリコホスファチジルイノシトール(GPI)固定のためのシグナルまたは膜貫通ドメイン(例えばCD24、IL−3受容体の膜貫通ドメイン等)を包含する。
【0085】
特定の型の宿主細胞内のライブラリ配列の発現を行うためには、ライブラリインサートの頑健で高度または中高度の発現を与えることができるプロモーターが好ましい。適当なプロモーター配列は例えばエンハンサーおよび/またはRNAポリメラーゼ(例えばRNAポリメラーゼII)に結合できるTATAボックス配列を包含し得る。プロモーターは構成的に活性である(例えばウィルスプロモーター)か、または誘導できるものである。誘導プロモーターは、ライブラリ配列系の制御された発現が望まれる場合、および/またはペプチド配列および/または融合タンパク質の発現または過剰発現に関連する毒性の副反応を回避するために使用できる。適当な誘導プロモーターは例えばインターフェロン誘導プロモーター系、3’−5’ポリ(A)シンターゼまたはMxタンパク質に対するプロモーター(例えばShumacher et al.,Virology 203:144−148,1994)、HLV−LTR、メタロチオイネンプロモーター(例えばHaslinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8572−8576,1985)、SV40早期プロモーター領域(Bernoist and Chambon,Nature 290:304−310,1981)、ラウス肉腫ウィルスの3’LTRに含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,Cell 22:787−797,1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445,1981)等を包含する。
【0086】
他の適当なプロモーターは高度または合理的に高度な水準で発現されるハウスキーピング遺伝子に由来し得る。例えばβ−アクチンのプロモーターは高発現に有用である(例えばQin et al.,J.Exp.Med.178:355−360,1993)。同様に、サイトメガロウィルスプロモーターおよび翻訳伸長因子EF−1αプロモーターは発現に有用な他の強力なプロモーターである。一般的に、適当なプロモーター、例えばハウスキーピングまたはウィルス遺伝子プロモーターは、周知の分子遺伝子的方法を用いて同定できる。
【0087】
特定の実施形態においては、クローニング部位は翻訳停止配列の1つ以上に隣接しており、これにより何れかの得られる発現されたペプチドの長さがライブラリ配列のコード領域と実質的に同様になる。本明細書においては「実質的に同じ長さ」という表現は、発現されたペプチドの長さがライブラリ配列内のコード領域の長さに相当し、そして、更に例えば開始コドンに相当するメチオニン残基、コード領域内のリンカー核酸から生じる何れかのさらなるアミノ酸、翻訳または翻訳後の改変、エピトープ1つ以上などを更にコードすることができることを意味する。
【0088】
一部の実施形態においては、クローニング部位はマーカーエピトープに隣接する。適当なマーカーエピトープは例えばXpress(商標)リーダーペプチド(Asp−Leu−Tyr−Asp−Asp−Ap−Asp−Lys、配列番号1:Invitrogen)、mycエピトープ(Glu−Glu−Lys−Leu−Ile−Ser−Glu−Glu−Asp−Leu−Asn、配列番号2:Invitrogen)、V5エピトープ(Gly−Lys−Pro−Ile−Pro−Asn−Pro−Leu−Leu−Gly−Leu−Asp−Ser−Thr;配列番号3)、FLAGタグ(Asp−Tyr−Lys−ASp−Asp−Asp−ASp−Lys、配列番号4;(例えばHopp et al.,Biotechnology 6:1205−1210,1988参照)、lexAタンパク質、チオレドキシン、FLAG、ポリヒスチジン等を包含し得る
【0089】
例示的実施形態において、発現されたペプチド配列に別の構造を付与するために、発現されたペプチドが末端にシステイン残基を含むようにシステインをコードする配列クローニング部位に隣接することができる。
【0090】
特定の実施形態においては、クローニング部位はペプチドの細胞外提示のための融合タンパク質のコード領域に会合している(「提示分子」とも称する)。このような融合タンパク質は例えば(1)宿主細胞内または宿主細胞表面上に見出される相同タンパク質ドメイン、タンパク質フラグメントまたはタンパク質、および/または(2)別の型の細胞に由来する非相同のタンパク質ドメイン、タンパク質フラグメントまたはタンパク質を包含し得る。融合タンパク質の選択は宿主細胞の型、融合タンパク質の安定、発現されるペプチドの所望のコンホーメーション(例えば制約または非制約型)に依存する。提示分子は典型的にはシグナル配列および膜貫通ドメインを含む
【0091】
提示分子はN末端またはその近傍、C末端またはその近傍、あるいは提示分子の内部においてペプチドを提示することができる。例示的実施形態においては、提示分子はN末端のペプチドを提示し、そして提示分子のC末端部分は膜貫通ドメインまたはGPI固定により細胞膜に固定される。提示分子はペプチドとAPPとの間の特異的結合のための適切な立体的方向を達成する可能性を向上させるために宿主細胞表面から種々の距離にペプチドを位置づけるように改変され得る。更にまた、スペーサー(例えばグリシンスペーサー)を提示分子とペプチドとの間に含めることにより柔軟性を付与し、そして、APPまたはAPPプロセシング酵素のペプチドの相互作用を含む細胞外空内まは分泌経路内におけるペプチドの相互作用による提示分子による立体障害を最小限にすることができる。このようなスペーサーまた細胞表面に柔軟性を付与するために、提示分子と細胞表面固定ドメインとの間に含めることができる。
【0092】
適当な提示分子は例えばリンパ球抗原CD20、改変IL−3受容体、CD24(例えばPoncet et al.,Acta Neuropathol(Berl)91:400−40,1996)、プロテインA等を包含し得る。図6に示すとおり、pIcoDualベクターは例示発現カセットを含んでいる。例えば1つの発現カセットはCD24−V5融合タンパク質をコードし、そしてライブラリ配列のインサートに対する1つ以上の独特の制限部位を含む。別の適当な融合タンパク質はE.coliチオレドキシンおよびFLAGエピトープを含む。チオレドキシンとFLAGコード配列の間の接合部において、独特のXbaI制限部位により、融合タンパク質コード領域内へのライブラリ配列の挿入が可能となる。
【0093】
発現カセットは場合により発現ベクターの部分であり得る。適当な発現ベクターは当該分野で公知である(例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。特定の実施形態においては、制御されたプラスミド増幅系を哺乳類細胞における発現のために使用する。このような系は種々の細胞における制御されたプラスミド増幅を可能にする。増大したプラスミドコピー数はまたコードされたペプチドの上昇した発現をもたらし得る。ペプチドの高水準の発現は細胞外表面上に提示されるペプチドの数を増大させる。このような制御された増幅系はまた哺乳類細胞における持続的な一過性発現を可能にする。持続的な一過性発現は、安定なトランスフェクションと比較して典型的には10倍多い細胞が一過性の発現を示し、より多数のペプチドを効率的にスクリーニングすることを可能にすることから、好都合なものである。プラスミド増幅はまた目的のペプチドをコードするプラスミドまたは配列の回収を容易にする。
【0094】
例示的実施形態においては、制御されたプラスミド増幅系はSV40複製系を利用する。発現ベクターはSV40の早期プロモーターおよびLargeT抗原のコード領域の融合を含み、これによりLargeT抗原の転写はSV40の早期プロモーターの制御下になる。ベクターはまた複製のSV40起点も含有する。このベクターが細胞内に進入すると、SV40早期プロモーターはLargeT抗原RNAの転写を促進する。RNAはLargeT抗原へと翻訳される。LargeT抗原はSV40起点に結合し、プラスミドの増幅を誘発する。LargeT抗原の濃度が細胞内で上昇するに従って、LargeT抗原のSV40早期プロモーターへの結合がSV40早期プロモーターを、そしてその結果としてLargeT抗原RNA合成シャットダウンする。従ってシステムは自己調節性である。プラスミドコピー数が増加する場合、細胞死の時点までプラスミド増幅をエスカレートさせ続けるLargeT抗原の産生の増大がなくなる。細胞内のLargeT抗原の量はLargeT抗原RNAの量、LargeT抗原RNAの安定性、LargeT抗原タンパク質の安定性、複製起点とSV40早期プロモーターの相対的親和性、および、細胞分裂によるベクター、LargeT抗原RNAおよびLargeT抗原の量の低下の関数である。増幅系はベクター上に含有されるため、プラスミドの増幅は典型的にはCOS7宿主細胞の使用に限定されず、むしろプラスミドの増幅は殆どの哺乳類細胞型に対して使用できる。
【0095】
他の複製系に関しては、発現ベクターは、それがウィルス起源である場合は、細菌宿主中の増殖を必要としなくともよい。しかしながらより典型的には、ベクターは細菌宿主中で増殖さ、E.coliの複製と選択に必要な配列、例えばcolEIレプリコンおよび抗生物質耐性遺伝子を含有する。
【0096】
発現ベクターは場合により選択可能なマーカー1つ以上を含有できる。例えば真核細胞のトランスフェクションのための適当な選択可能なマーカーはハイグロマイシン耐性、ネオマイシン耐性、ブラスチシジン耐性、ゼオシン耐性、ドキソルビシン耐性等のための遺伝子を包含する。他の細胞のための適当な選択可能なマーカーは、他の抗生物質耐性遺伝子および栄養要求性(例えばアミノ酸栄養要求性)を補うものを包含する。発現ベクターはまた場合により宿主細胞が発現ベクターを含有するようにシグナリングするための選択可能なマーカーを含み得る。適当な選択可能なマーカーは緑蛍光タンパク質またはマーカーエピトープ、例えばポリヒスチジン、Xpress(商標)リーダーペプチド(Asp−Leu−Tyr−Asp−Asp−Ap−Asp−Lys、配列番号1:Invitrogen)、mycエピトープ(Glu−Glu−Lys−Leu−Ile−Ser−Glu−Glu−Asp−Leu−Asn、配列番号2:Invitrogen)、V5エピトープ(Gly−Lys−Pro−Ile−Pro−Asn−Pro−Leu−Leu−Gly−Leu−Asp−Ser−Thr、配列番号3)、FLAGタグ(Asp−Tyr−Lys−Ap−Asp−Asp−Ap−Lys、配列番号4;(例えばHopp et al.,Biotechnology 6:1205−1210,1988参照)、lexAタンパク質または細菌チオレドキシンを包含する。マーカーは例えば酵素試験により、フローソーターまたは同様の装置を用いて蛍光により、抗体(例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体)を用い、ビーズ選択を用いる等して検出することができる。マーカーが細胞表面上に存在する場合は、それらを、マーカーを発現する細胞を単離するかこれらを富化させるために使用できる。
【0097】
(核酸転移)
種々の方法を用いて宿主細胞内にライブラリ配列を転移できる(一般的にAusbel
et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。一部の方法は宿主細胞内の一過性の発現を主にもたらす(即ち、発現は細胞集団から徐々に消失する)。他の方法はライブラリ配列を安定に発現する細胞を生成できるが、安定な発現体の比率は典型的には一過性の発現体よりも低である。このような方法は核酸転移のためのウィルスおよび非ウィルスの機序を包含する。
【0098】
適当な哺乳類細胞は例えば、ヒト胚腎(HEK)細胞、ヒト神経芽細胞、K562、COS7、Ba/F3、AC2(例えばGarland and Kinnaird,Lymphokine Res.5:S145−S150,1986)、B9、HepG2、MES−SA、MES−SA/Dx5細胞等を包含する。動物宿主細胞は例えば癌組織および腫瘍、例えば黒色腫、結腸、前立腺、白血球、肝、腎、子宮等から単離した細胞を包含するが、これらに限定されない。特定の細胞および細胞は例えばAmerican Type Culture Collectionから市販されている。
【0099】
ウィルスベクターに関しては、ライブラリ配列は典型的にはウィルスパッケージの一部として宿主細胞に運搬される。ウィルスの型に応じて、核酸は染色体外エレメントとして残存し得る(例えばアデノウィルス(例えばAmalfitano et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:3352−3356,1996)またはアデノ随伴ウィルス)か、または、それは宿主染色体内に取り込まれ得る(例えばレトロウィルス(Iida et al.,J.Virol.70:6054−6059,1996))。
【0100】
非ウィルス発現ベクターの転移のためには、多くの方法が用いられる(例えばAusbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照)。核酸転移のための1つの方法は核酸のリン酸カルシウム同時沈殿である。この方法は核酸がカルシウムおよびホスフェートイオンと同時沈殿して比較的不溶性のリン酸カルシウム複合体となり、これが培養皿底部上の付着細胞の表面上に沈着するという能力に依存している。他の方法は脂質ミセルを形成しながら電荷相互作用により核酸に結合する親油性カチオンを使用する。これらのミセルは細胞膜と融合し、核酸を宿主細胞に導入し、ここで発現させる。別の核酸転移方法はエレクロトポレーションであり、これでは、核酸および宿主細胞を含有する緩衝液を介するコンデンサーのプレートからの放電を包含する。この工程は緩衝液に含有される核酸がこれらの膜を貫通できる程度に十分に細胞膜を撹乱させる。別の方法は核酸の進入および培養細胞中での発現を媒介するカチオン性重合体、例えばDEAEデキストランの使用を含む。別の方法は細胞内への核酸の弾道的送達を使用する。最後に核酸のマイクロインジェクションも用いることができる。
【0101】
マルチコピーベクターを保有する細菌のスフェロプラストに動物細胞を融合させることにより、多数の同一のベクター(例えばライブラリ配列を含有する発現ベクター)を各動物細胞内に導入することができる。融合は平均して1つの動物細胞との1つのスフェロプラストの融合を可能にする態様において行う。例えば、pUCプラスミドの誘導体のように高コピー数のプラスミドを使用する場合は、多くの同一のプラスミドが典型的には各動物細胞に導入される。この方法は動物宿主細胞でのベクターの増幅の必要性をなくし、そして宿主細胞内の高コピー数およびその結果としてのライブラリ配列の高水準発現を可能にする。この操作法はまた動物宿主細胞内でベクターを増幅する必要なく、より長い期間の一過性の発現を可能にする。ベクターの高コピー数はまたレポーター発現の変化を示す動物宿主細胞からライブラリ配列の回収をより容易にする。
【0102】
一部の方法においては、標的分子と相互作用し得るポリペプチドをコードし得る複数の核酸を個々の細胞に導入する。複数のフラグメントの転移を最小限にする方法は当該分野で公知である。例えば「キャリア」核酸(例えばサケまたはニシン精子DNAのようなDNA、tRNA等)を用いることにより、または、宿主細胞に適用する核酸の総量を低減することにより、複数フラグメント進入の問題を低減できる。更に、各レシピエント細胞は複数の核酸フラグメントを受け取ることができる。宿主細胞を介するライブラリの複数の継代は、当初は擬陽性として存在し得る他の配列から目的の配列を最終的に分離可能とする。
【0103】
好ましい実施形態においては、レトロウィルスベクターは1つのペプチドを配列を各細胞に導入する。これは頑健なシグナルを供給し、何れかの所定の細胞内の複数の発現ベクターからのシグナルに対する希釈作用を低減する。
【0104】
(宿主細胞提示ペプチド)
例示的実施形態において、発現ライブラリを含むオリゴヌクレオチドにコードされるペプチドは発現ライブラリが導入されてい宿主細胞の分泌経路および細胞外表面において提示される。発現ライブラリ配列によりトランスフェクトされている宿主細胞は、ペプチド分子と共にAPPを同時発現するエフェクターペプチドと共に分泌経路を同時に通過しそしてAPPと共に細胞表面に結合される。即ち発現されるペプチドはAPPプロセシングの間APP分子と共に存在し、従って、これらのペプチドはAAP、APPプロセシング酵素またはAPPプロセシングに関与する他の巨大分子と相互作用するために使用できる。更にまた、分泌経路を通過する際に、ライブラリペプチドはAPPプロセシングにとってネイティブである生理学的条件下に発現される。同様に、宿主細胞の細胞外環境が実質的に生理学的な条件下に維持されている場合、細胞外表面上のライブラリペプチドはまた、細胞外環境におけるAPPプロセシングにとってネイティブである条件を温存するかこれに近似している条件下に発現される。
【0105】
ペプチドは典型的には哺乳類細胞のような宿主細胞の表上の実質的に生理学的な条件下に提示される。各宿主細胞はその表面上に1つ以上のライブラリペプチドの数百、そして恐らくは数千のコピーを発現し、その大多数は典型的には細胞外APP標的分子への結合のために使用される。ペプチドは典型的には持続的な期間にわたり細胞の表面上に存在する。
【0106】
特定の実施形態においては、ペプチドライブラリを発現する宿主細胞は新しく調製されるか、生存細胞である。別の実施形態においては、ペプチドライブラリ発現細胞はパラホルムアルデヒドかまたは他の適当な固定剤中に固定することができる。このような固定されたペプチドライブラリ発現細胞は場合により使用時まで適当な温度(例えば4℃)で保存できる。ペプチドは典型的には延長された期間にわたり細胞の表面上に存在する。
【0107】
一部の実施形態においては、発現ライブラリでトランスフェクトされた宿主細胞は、発現ベクターを含有し場合によりライブラリペプチドを発現する細胞について富化される。このような選択は典型的には、ライブラリ発現ベクター内に含有される選択可能なマーカーに基づく(例えば発現カセットおよびベクターを参照)。選択可能なマーカーを用いた選択の方法は当該分野で公知である。例えばFACSを用いて、発現ベクターにコードされるエピトープ(例えばV5、FLAG、チオレドキシン等)または提示分子そのもの(例えばCD24)に対する蛍光標識抗体を検出できる。更にまた、磁気ビーズ選択を公知の方法で使用できる。
【0108】
(APPに特異的に結合する因子を得るための因子の予備スクリーニング)
特定の実施形態においては、化合物ライブラリおよび発現ライブラリはAPPに特異的に結合する因子同定するために予備スクリーニングされ得る。予備スクリーニングは例えば実質的に生理学的な条件下に実施できる。APPに特異的に結合するものとして同定された因子を用いてAPP結合因子に関して富化された化合物または発現ライブラリを作製することができる(「予備富化化合物ライブラリ」または「予備富化発現ライブラリ」)。
【0109】
例えば、これはHisタグのようなアフィニティータグを有するAPPの外部ドメイン(edAPP)を発現させ、edAPPをカラムに結合させ、カラムに化合物ライブラリを通し、そして、富化された化合物を溶出することにより達成できる。次に富化された化合物を本発明の細胞系試験において試験することができる
【0110】
更に、特定の実施形態においては、APPのN末端短縮型を用いてAPPに対する特異的結合に関し、因子を予備スクリーニングする。これらの短縮型はペプチド富化のためのより特異的な標的であるという利点を有する。より短い型を用いることの有用性は、αおよびβ切断部位がAPPのN末端配列の大部分の除去により有意な影響を受けないという事実で強調されてきた(例えばDeStoper et al.,J.Biol.Chem.270:30310−30314,1995;Lammich et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:3922−3927,1999)。より短い型は例えばチオレドキシン、セイヨウワサビパーオキシダーゼ(HRP)、プロテインAまたは他の提示タンパク質のNまたはC末端融合タンパク質として発現することができる。APP695の分泌型もまた可溶性組み換えタンパク質として市販されている(Sigma−Aldrich)。
【0111】
本発明の例示的実施形態においては、ペプチド発現ライブラリはAPPに特異的に結合するペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを同定するために予備スクリーニングされる。APP結合ペプチドをコードするものとして同定されたこれらのクローンを回収し、そして当該分野で公知の方法を用いて増幅することにより、予備富化された発現ライブラリを作製できる。この予備富化発現ライブラリはAPPに結合するペプチドをコードするものについて富化されたオリゴヌクレオチド配列の集団を含む。次にオリゴヌクレオチド配列の富化されたライブラリを本発明の方法に従って宿主細胞に導入し、APPプロセシングを改変するAPP結合ペプチドを同定することができる。
【0112】
例えば、当該分野で公知の方法を用いて、発現ライブラリを発現のための動物宿主細胞に導入し得るか、または、例えばファージディスプレイのような非動物系を用いて発現させる。次に発現されたペプチドを標識されたAPPおよび/またはAPPのN末端短縮型の可溶性型(例えばAPPの細胞外ドメインまたはN末端短縮型)または動物宿主細胞の表面上に発現されたものと接触させる。適当な標識は例えば、放射性標識(例えば H、 14 C、 32 P、 35 S、 125 I、 131 I等)、蛍光分子(例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、フィコエリスリン(PE)、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレカミン、ペリジニン−クロロフィル(PerCP)、Cy3(インドカルボシアニン)、Cy5(インドジカルボシアニン)、ランタニドホスファー等)、酵素(例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、ビオチニル基、前述したタグエピトープ等を包含する。一部の実施形態においては、検出可能な標識は種々の長さのスペーサーアームにより連結され、これにより潜在的な立体障害を低減する。或は、標識された結合パートナー、例えば標的分子に結合する抗体を使用できる。1つの例示的実施形態においては、APP分子はHisタグエピトープ標識により標識される。
【0113】
次に、APPまたは種々の細胞外ドメインを含有するAPPの短縮された形態の1つに結合する発現ペプチドを当該分野で公知の標識および方法を用いて同定する。例えばペプチドを発現し、Hisタグ細胞外ドメインAPPに曝露されたファージまたは細胞をHisタグアフィニティーカラムに通してAPP結合ペプチドを発現するこれらのファージまたは細胞を富化することができる。或は、例えばペプチド発現動物細胞を蛍光タグ付けされた細胞外APPまたは短縮されたAPPに曝露し、そしてAPP結合細胞をFACSで同定して分類することにより、APPに特異的に結合するペプチドを発現する細胞を得ることができる。このような富化の複数のラウンドを実施することができる。
【0114】
APP結合ペプチドを発現する細胞またはファージの富化の後、ペプチドコード配列を、予備富化に用いられた発現ベクターから切り出し、そして知られた方法を用いてAPPプロセシングを改変するAPP結合ペプチドに関するスクリーニングのための適切なベクター(後述する発現カセットおよびベクターを参照)に転移させることができる。動物宿主細胞予備富化に用いる本発明の一部の実施形態においては、APPプロセシングを改変するペプチドのスクリーニングに使用する発現ベクターは予備スクリーニング中のペプチド発現のために使用したものと同じであり得る
【0115】
(APPプロセシングを改変する因子の検出)
別の特徴において、APPプロセシングに対する化合物または発現ライブラリ内の因子の作用を試験する。APPを発現する宿主細胞および少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を因子と接触させ、次に宿主細胞により発現されたAPPのプロセシングに対する作用について宿主細胞を試験する。一部の実施形態においては宿主細胞実質的に生理学的な条件下で因子と接触させる。例示的実施形態においては、ペプチド発現ライブラリを含むペプチドのAPPプロセシングに対する作用を試験し、ここでは発現ライブラリは宿主細胞に導入されている(例えば上述した遺伝子ライブラリ、発現カセットおよびベクター、核酸転移および宿主細胞提示ペプチドを参照)。別の実施形態においては、本発明の因子を含有する例えば植物から得た抽出物、例えば泥炭抽出物を作用を検出するために十分な時間、宿主細胞と混合する。
【0116】
APPプロセシングに対するライブラリ内の因子の作用は、何れかの適当な検出手段、例えば特定のAPPフラグメント、例えばAPPs−α、APPs−βまたはAPPs−γに特異的に結合するマーカーの使用により検出できる。このようなマーカーを用いれば、因子と接触させていない、または、ライブラリペプチド配列を発現しない宿主細胞と比較した場合の、Aβの産生に相関する特定のAPPフラグメントの相対的な存在または非存在を測定できる。例えば、APP特異的結合マーカーを蛍光タグで標識し、例えばFACS分析のような公知の方法でこのようなマーカーの相対的存在または非存在について宿主細胞を試験することができる。例示的実施形態において、マーカーはAPPまたはAPPフラグメントの特定のエピトープに特異的な抗体である。特定のAPPフラグメントに対する抗体としては、例えばAPPs−β(例えばAPP中央領域に特異的なA3または1G7、Koo et al.,J.Biol.Chem.269:17386−17389,1994)、APPs−α(例えば6E10、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002、APPs−αのカルボキシ末端またはβおよびα切断部位の間のAPP領域に特異的)およびp3(例えば4G8、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002)が挙げられる。
【0117】
宿主細胞が1つ以上のAPPプロセシング酵素を発現する例示実施形態においては、少なくとも2つのなるAPPフラグメントに特異的な少なくとも2つの標識マーカーの検出シグナルの比を測定し得る。次に、ライブラリ配列を発現する宿主細胞中のこの比の変化を検出することにより改変されたAPPプロセシングを測定できる。例えばα−およびβ−セクレターゼの両方を発現する宿主細胞において、APPs−αおよびAPPs−βに特異的な抗体を2種の蛍光タグ(例えばFITCおよびPE)で標識し、結合した標識抗体の存在をFACSで測定することができる。次にライブラリペプチドを発現する宿主細胞をβ−セクレターゼプロセシングの低下を示すAPPs−β:APPs−αのシグナル比の増大に従って選択し得る。
【0118】
一部の実施形態においては、APPプロセシングに対する作用を有するものとして同定された因子を用いてAPPプロセシングに影響する因子について富化されたサブライブラリを構築することができる。次にこのサブライブラリをスクリーニングのその後のラウンドにおいて宿主細胞に接触させることにより所望の特性を有する因子同定できる(後述するライブラリ構成成分の特徴付けを参照)。
【0119】
例示的な実施形態においては、本明細書に記載した方法のいずれかにより単離または収集されたペプチドライブラリを発現する宿主細胞を用いて遺伝子ライブラリ配列を再単離することにより、APPプロセシングに影響するものについて富化された配列のサブライブラリを構築できる。当業者の知るとおり、このような配列は、特に、選択されたクローンから発現ベクター核酸を回収し、そしてそれらを適当な細菌宿主系統に形質転換することによるか、オリゴヌクレオチドインサートに隣接する何れかの適当なプライミング部位を用いたPCRによるライブラリオリゴヌクレオチドのクローニングによるか、別のベクター内への元の発現ベクター由来のオリゴヌクレオチドのサブクローニングによるなどして、単離することができる。オリゴヌクレオチドのサブライブラリを、場合により発現カセットまたはベクターに必要に応じて再クローニングし、そして、場合により宿主細胞内に再導入してスクリーニングのその後のラウンドに付すことができる。スクリーニング/選択のサイクルは必要に応じて何回も反復できる。
【0120】
特定の実施形態においては、十分な回数のサイクルの後、試験シグナルまたはその比においてかなりの相違が観察され、ペプチド配列の富化されたサブライブラリと元のペプチドライブラリとの間にAPPフラグメントの存在における(例えば強度分布における)相違が示される。発現ライブラリまたはその部分の逐次的な導入、フローソーターまたは類似の装置における分類および所望の試験結果を示す宿主細胞からの核酸の単離の過程により、所望のペプチドをコードするライブラリオリゴヌクレオチドのある集団が同定できる。次にオリゴヌクレオチドを単離し、分子クローニングおよび核酸配列分析により個別に試験し得る。十分な回数のサイクルを実施した後には、多くの、そして典型的には殆どの個々のオリゴヌクレオチドは宿主細胞上で発現された場合とほぼ同様の作用の結合事象をもたらすペプチドをコードするはずである。
【0121】
(アロステリックエフェクターの同定
特定の実施形態においては、エフェクター因子を試験することによりAPPのアロステリックエフェクターを同定することができる。アロステリックエフェクターの同定はAPPプロセシングのエフェクターとして同定された因子に対する二次的スクリーニングとして実施できる。或は、化合物ライブラリまたはペプチド発現ライブラリを予備スクリーニングしてAPP上の潜在的アロステリック部位に結合する因子同定することができる。アロステリックエフェクターの同定細胞系試験を用い、その後APPに結合する因子同定し、そして公知の方法でAPPの構造における何らかの変化を測定することにより直接行うことができる。予備スクリーニング工程を含む方法においては、系はAPPアロステリックエフェクターの同定に適合されている。
【0122】
(ライブラリ構成成分の特徴付け)
本明細書に記載した操作法のいずれかを用いて同定されたエフェクター因子を更に特徴付けすることができる。宿主細胞の分泌経路および細胞外表面においてペプチドを提示するために発現ライブラリを用いる場合は、ライブラリ配列は何れかの適当な方法、例えばHIRT細胞溶解および細菌宿主細胞中のベクターの回収、ポリメラーゼ連鎖反応等により宿主細胞から単離することができる(例えばHirt,J.Mol.Biol.26:365−369,1967;米国特許4,683,202号、4,683,195号および4,800,159号;Innis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,Inc.,San Diego,CA(1989);Innis et al.,PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press,Inc.,San Diego,CA(1999);White(ed),PCR Cloning Protocols:From Molecular Cloning to Genetic Engineering,Humana Press,(1996);EP320308;Ausbel et al.,上出;Sambrook et al.,上出を参照れらは、その全体が本明細書において参考により援用される)。
【0123】
スクリーニングのその後のラウンドは場合によりAPPプロセシングを改変する因子について富化するために実施することができる。化合物のサブライブラリまたは発現ライブラリを別のスクリーニングおよび/または選択に付すことによりより望ましい性質を有する因子またはオリゴヌクレオチド配列について富化することができる。より望ましい性質を有するエフェクター因子を富化するためには、例えばAPPに対する向上した特異性または親和力を有するか、APPプロセシングに対する増大した作用を有する因子について富化するための別のスクリーニングにサブライブラリ(上記した方法のいずれかにより単離されている)を通すことが望ましい。例えば、望ましくない分泌または細胞外の相互作用に対する僅かな作用を適切な二次スクリーニングにより排除することができる。所望により、別の標識を用いて分泌または細胞外の分子の相互作用に影響するライブラリペプチド配列を同定することができる。更に、分泌または細胞外の分子の相互作用に対して一般化された非特異的な作用を有するエフェクター因子も、APPまたはAPPプロセシング酵素発現を欠損した異なる宿主細胞に化合物のサブライブラリまたは個々のエフェクター因子を接触させる(または発現サブライブラリまたはここのライブラリペプチド配列を通過させる)こと、および、次にプロセシングの改変または他の非APP分泌または細胞表面分子に対する別の作用について試験するこれらの細胞に対するスクリーニングを実施することにより、同定できる。
【0124】
一部の場合において、本発明により同定されたエフェクター因子を用いてAPPプロセシングを改変する他の因子同定できる。例えばAPPプロセシングの分子エフェクターとして同定された有機分子を例えば低下した毒性または増大した薬効を含む向上した特性を有する因子同定するための指向性スクリーニング法において使用できる。例えば、エフェクター因子を含むサブユニット1つ以上に対し修飾を行うことができる。修飾はR基の型、数または位置に関する変動を包含し得る。次に修飾された小分子のエフェクター因子は、向上した特性を有する因子について、本明細書に記載した方法を用いてスクリーニングに付される。
【0125】
更にまた、ペプチド発現ライブラリを含むペプチドライブラリを用いる場合、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドの配列を改変できる。一部の場合において、元のライブラリは長さNのアミノ酸配列の全ての可能な順列を含有しない場合がある(例えばもとのライブラリが半ランダムライブラリの場合)。このような場合は、同定されたペプチドを出発物質(「リード化合物」)として単離して使用することにより、元のペプチドと比較して増強された機能(例えばより高い親和力または親和性)を有するさらなるペプチドを同定することができる。ライブラリ配列の改変体を単離するためには、核酸の増幅(例えばポリメラーゼ連鎖反応による)を用いて複製過程の間に配列の変化を導入することができる(例えばCline et al.,Nucleic Acids Res.24:3546−3551,1996参照)。このような突然変異はより効果的な性質を有する配列改変体をもたらすことができる。或は、例えばインビトロ突然変異誘発、易エラー製PCRおよび/または組み換えPCRによるなどして核酸の突然変異および/または組み換えを増強する条件に増幅工程を故意に付すことにより既存の配列の改善された改変体を探索することが望ましい場合がある(例えばAusbel et al.,上出;Stemmer,Nature 370:389−391,1994参照)。このような条件は当該分野で公知であり、そして、元のライブラリにより発現される配列と比較して、より低濃度で活性であり、そして/または増大した特異性および/または活性を示す配列を検索するための手段を提供する。
【0126】
(APPプロセシングの分子エフェクターの適用)
本発明の方法は特に生理学的条件下でAPPに結合してそのプロセシングを改変する生理学的に関連のあるエフェクター因子同定する能力を提供する。
【0127】
本明細書に記載した方法を用いて同定されたエフェクター因子を例えば動物モデルにおいてインビボで試験できる。同定された因子は例えばα−セクレターゼによるAPPプロセシングを刺激するものとして(「EMα」)か、または、β−セクレターゼによるAPPプロセシングを抑制する(「EMβ」)ものとして同定されるエフェクター分子(「EM」)であり得る。好ましい実施形態においては、動物は典型的にはアルツハイマー病、特にAβの上昇した水準に関連する病理学的条件を示すものである。例えば、動物は例えばTg(HuAPP695.K670N/M671L)(Hasio et al.,Science 274:99−102,1996)またはPDAPP(V171F)(Games et al.,Nature 373:523−527,1995)のようなアルツハイマー病に関連する病理学的突然変異を有するトランスジェニックマウスであり得る
【0128】
特定の実施形態においては、同定された因子例えば直接の注射または経口投与により、動物に直接投与できる。更に、エフェクター因子がペプチドである場合は、同定されたペプチドは動物モデルにおいてペプチドを発現させることにより試験することもできる。例えば、1つの実施形態においては、ペプチドをコードする構築物を例えば直接の注射により動物の特定の標的組織(例えばCSFまたは脳)に導入することができる。別の実施形態においては、エフェクターペプチドをコードする構築物はトランスジェニックマウスモデル中で発現されたトランスジーンである。エフェクターペプチドトランスジーンを発現するトランスジェニックマウスはまた、例えば病原性アルツハイマー病突然変異を有するトランスジェニックマウス(例えばSwedishおよび/またはArctic突然変異を有するAPP遺伝子を有するトランスジェニックマウス)と交配することができる。同定されたエフェクターペプチドは膜結合提示分子として細胞外に発現され提示されるか、または膜固定を伴うことなく細胞外の空間に分泌される。更にまたエフェクターペプチドの発現は例えば組織特異的プロモーター(例えば神経組織中の発現のためのThy1プロモーター)を用いて特定の組織にターゲティングすることができる。
【0129】
因子を動物に導入した後、改変されたAPPプロセシングに関連する生理学的状態または症状、例えばCSF、脳細胞および/または血清中のAβ濃度を低下させる能力;プラーク阻害;またはアルツハイマー病に関連する他の病理学的状態または適応症の低減に対する作用について動物をモニタリングする。
【0130】
(ペプチドエフェクターの機能を増強するさらなる改変
前述した通りAPPの別的プロセシングに影響するペプチド配列は種々の態様でその作用を発揮できる。当業者の知るとおり、ペプチドの改変体または類縁体を合成することによりペプチドの有効性を向上させることができる。例えば、ペプチドの有効性はペプチド自体(即ち如何なる付属の配列も伴わない)を投与することにより向上する。
【0131】
当業者の知るとおり、ペプチドの構造的類縁体および誘導体(例えば保存的なアミノ酸の挿入、欠失または置換を有するペプチド、ペプチドミメティック、ジスルフィド架橋結合、人工の架橋結合等)もまた治療薬として有用である。例えば、天然のアミノ酸を含むことができる上記したペプチドに加えて、テンプレートペプチドと類似している性質を有する非ペプチド因子としてペプチド類縁体を使用することができる。これらの型の非ペプチド化合物は、例えばコンピュータ化された分子モデリングを用いて開発することができる(例えばFauchere,Adv.Drug.Res.15:29,1986;Veber and Freidinger,TINS392,1985;Evans et al.,J.Med.Chem.30:1229,1987参照)。このような類縁体、またはペプチドミメティックティは構造的には治療上または予防上有用なペプチドと同様であり、等価な治療上または予防上の作用をもたらすために使用できる。一部の場合においては、ペプチドミメティックは例えばより経済的な生産、より大きい化学的安定性、増強された薬理学的性質(例えば半減期、吸収、力価、薬効等)、改変された特異性(例えばより広い生物活性スペクトル)、増大した、低減した抗原性、増大した血液脳関門を越える通過性、および他の所望の性質を含めて、他のペプチドに対して顕著な利点を有している。
【0132】
ペプチドミメティックは当該分野で公知であり、そして以下の参考文献、即ち、Spatola,Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins(Weinstein,ed)267,1983;Spatola,Vega Data,vol.1,Issue 3,“Peptide Backbone Modifications”(March 1983);Morley,Trend Pharm Sci.,pp.463−468,1980;Hudosn et al.,Int.J.Pept.Prot.Res.14:177−185,1979;Spatola et al.,Life Sci.38:1243−1249,1986;Hann,J.Chem.Soc.Perkin
Trans.I.pp.307−314,1982;Alnquist et al.,J.Med.Chem.23:1392−1398,1980;Jennings−White et al.,Tetrahedron Lett.23:2355,1982;欧州特許出願EP45665、1982;Chemical Abstract 97:39405,1982;Holladay et al.,Tetrahedron
Lett.24:4401−4404,1983;およびHruby,Life Sci.31:189−199,1982に更に記載された方法により作製できる。
【0133】
1つの特徴において、ペプチド(または類縁体またはミメティック)の薬学的に許容される塩は従来の方法で容易に調製できる。例えばそのような塩は薬学的に許容される所望の金属水酸化物または金属塩基の水溶液でペプチドを処理すること、そして、得られた溶液を典型的には窒素雰囲気中減圧下で乾固させることにより調製できる。或は、ペプチドの溶液を所望の金属のアルコキシドと混合し、その後溶液を蒸発乾固させる。薬学的に許容される水酸化物、塩基およびアルコキシドはこの目的のためのカチオン(カリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない)とのものを包含する。他の代表的な薬学的に許容される塩は塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩等を包含する。
【0134】
ペプチドまたはその類縁体または誘導体を安定化させることによりそのシェルフライフおよび薬物動態半減期を増大させることが望ましい。シェルフライフ安定性は賦形剤、例えばa)疎水性物質(例えばグリセロール);b)糖類(例えばスクロース、マンノース、ソルビトール、ラムノースまたはキシロース);c)複合炭水化物(例えば乳糖);および/またはd)殺菌剤を添加することにより向上され得る。ペプチドの薬物動態半減期は、化学的誘導化を用いて担体ペプチド、ポリペプチドおよび炭水化物にカップリングすることにより(例えば側鎖またはNまたはC末端残基をカップリングすることにより)、または、対象ペプチドのアミノ酸を化学的に改変することにより修飾できる。これらのペプチドの薬物動態半減期および薬力学的特徴はまたa)カプセル化(例えばリポソーム中);b)水和の程度の制御(例えばペプチドのグリコシル化の程度と種類の制御による);c)ペプチドの静電的荷電および疎水性の制御;およびd)ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体等のような薬学的に許容されるデポ剤中の製剤により変更することもできる。
【0135】
治療上の投与のためには因子および本発明のミメティックを薬学的に許容される担体中に製剤できる。本明細書においては、「薬学的に許容される担体」には全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張性付与剤および吸収増強または遅延剤、および、生理学的に適合する他の賦形剤または添加剤が包含される。特定の実施形態においては、担体は静脈内、筋肉内、皮下、非経腸、経口、または経皮投与に適している。投与経路に応じて、活性因子は酸およびその因子を不活性化する可能性のある他の天然の条件の作用からその因子を保護するための物質でコーティングされ得る
【0136】
本発明の医薬組成物を調製する際には、因子改変するか、因子またはミメティック化合物を他の因子と組み合わせるか結合体化することにより、選択された因子の薬物動態および生体分布を改変することが望ましい場合がある。薬物動態および生体分布を改変するための多くの方法は当業者の知るとおりである。このような方法の例は種々の因子、ペプチドまたはその複合体を、他のタンパク質、脂質、炭水化物または合成重合体よりなるベシクル中で保護することを包含する。例えば本発明の因子をリポソームに取り込ませることにより薬物動態および生体分布の特性を増強することができる。リポソームを調製するための種々の方法が利用可能であり、これらは例えばSzoka et al(Ann.Rev.Biophys,Bioeng.9:467,1980;米国特許4,235,871号;4,501,728号;その全体が本明細書において参考により援用される)に記載されている。リポソーム送達と共に使用するためには、因子は典型的にはリポソームまたは脂質ベシクル内部に捕獲されるか、または、ベシクルの外面に結合さる。特定の組織および特定の細胞型にリポソームをターゲティングすることによりリポソーム媒介送達の効率を上昇させるための数種の手法が考案されている。リポソーム製剤、例えばカチオン性脂質を含有するものは、ヒト患者において安全であり十分耐容性があることが示されている(Treat et al.,J.Natl.Cancer Instit.82:1706−1710,1990)。
【0137】
或は、本発明の組成物は薬学的に許容される担体、適切な生理学的条件のために必要な物質、例えばpH調節剤および緩衝剤、浸透圧調節剤、浸潤剤等、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含有することができる。
【0138】
固体組成物の場合は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体を使用でき、これに、例えば、薬品用等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が包含される。経口投与のためには、薬学的に許容される非毒性の組成物は、前述の担体のような通常用いられる賦形剤の何れか、および、一般的には約10〜95%、より典型的には約25%〜75%の活性成分を配合することにより形成される。
【0139】
因子を投与するための治療用組成物はまた、溶液、マイクロエマルジョンまたは高濃度の活性成分に適する他の秩序のある構造物として製剤され得る。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび脂質ポリエチレングリコール等)およびこれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒あり得る。溶液の適切な流性は例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散製剤の場合は所望の粒径を維持することにより、そして界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合において、等張性付与剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物中に含有させることが望ましい。注射用組成物の吸の延長は、吸収を遅延させる因子、例えばモノステアレート塩およびゼラチンを組成物中に含有させることにより達成できる。
【0140】
本発明の特定の実施形態においては、因子は除放性製剤中、例えば遅延放出重合体を含む組成物中で、または、デポ注射により投与される。活性剤またはミメティックは急速な放出から保護する担体、例えば制御放出ベシクル、例えばインプラント、経皮パッチまたはマイクロカプセル化送達システムと共に調製できる。本発明の種々の組成物中の因子またはその生物学的に活性類縁体またはミメティックの送達の延長吸収を遅延させる因子、例えばモノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチンを組成物中に含有させることにより達成できる。因子の制御放出製剤が望まれる場合は、本発明に従って使用するために適する制御放出バインダーは活性成分に対して不活性であり、選択された因子の取り込みが可能な何れかの生体適合性の制御放出物質を包含する。このような物質は多くのものが公知である。有用な制御放出バインダーは哺乳類において皮下注射または筋肉内注射の後に生理学的条件下で(即ちそこに存在する体液の存在下において)緩徐に代謝される物質である。適切なバインダーは除放性製剤の技術分野において以前より使用されている生体適合性重合体および共重合体を包含するが、これらに限定されない。このような生体適合性の化合物は例えば皮下注射または筋肉内注射の後周囲の組織に対して非毒性および不活性であり、そして免疫応答、炎症等のような顕著に有害な作用を誘発しない。それらは生体適合性であり身体から容易に排出される代謝産物に代謝される。
【0141】
例えば加水分解可能なエステル結合を有する共重合体およびホモ重合体であるポリエステルから誘導された重合体マトリックスを使用してよい。これらの多くのものは生体分解性であり、そして毒性が全く無いか低い分解物をもたらすことが当該分野において公知である。例示される重合体はポリグリコール酸(PGA)およびポリ乳酸(PLA)、ポリ(DL−乳酸グリコール酸共重合体)(DLPLGA)、ポリ(D−乳酸グリコール酸共重合体)(DPLGA)およびポリ(L−乳酸グリコール酸共重合体)(LPLGA)を包含する。他の有用な生体分解性または生体侵食性の重合体はポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ(イプシロン−カプロラクトン乳酸共重合体)、ポリ(イプシロン−カプロラクトングリコール酸共重合体)、ポリ(ベータ−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル−2−シアノアクリレート)、ヒドロゲル、例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)(即ちL−ロイシン、グルタミン酸、L−アスパラギン酸等)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(2−ヒドロキシエチルDL−アスパルタミド)、ポリアセタール重合体、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリマレアミド、多糖類およびそれらの共重合体を包含するが、これらに限定されない。このような製剤を調製するための多くの方法は当該分野で一般的に知られている(例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc,New York,1978参照)。有用な製剤は制御放出組成物、例えばマイクロカプセル(米国特許4,652,441号および4,917,893号、各々は本明細書において参考により援用される)、注射用製剤(米国特許4,849,228号、本明細書において参考により援用される)、マイクロカプセルまたは注射用製剤の生成において有用である乳酸グリコール酸共重合体(米国特許4,677,191号および4,728,721号、各々は、本明細書において参考により援用される)および水溶性ペプチド用の除放性組成物(米国特許4,675,189号、本明細書において参考により援用される)を包含する。長期持続性放出インプラントもまた使用できる。これらは少なくとも10〜20日間、多くの場合、少なくとも30日間、そして60日間より長期にわたり選択された因子の治療濃度を供給するように容易に構築され得る。長期持続性放出インプラントは当該分野で周知であり、そして上記した吸収遅延成分の一部を配合できる。このようなインプラントは、インプラントを標的組織または細胞集団の近傍に、または直接内部に留置することにより目的の部位1つ以上において因子の局在的に高用量でもたらすため、特に有用なものであり得る。
【0142】
本発明の選択された因子はハードシェルまたはソフトシェルのゼラチンカプセルに封入するか、圧縮成型して錠剤とするか、または、被験体の食餌に直接配合できる。経口治療投与のためには、因子を賦形剤とともに配合し、摂取可能な錠剤、口内用錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース等の形態で使用できる。当然ながら、味覚改善物質を経口剤型の場合には添加することができる。これらの組成物および調製物中の選択された因子の比率(例えば重量または体積による)もまた当然ながら変動し得る。上記したとおり、治療上有用な組成物中の選択された因子の量は一般的には治療有効用量が供給される量である
【0143】
経口投与のためには、選択された因子は、恐らくは更にステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、「カーボワックス」またはポリエチレングリコールのような潤滑剤を添加することにより、固体担体物質、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムまたはリン酸2カルシウム、および、バインダー、例えばポリビニルピロリドン、ゼラチンまたはセルロース誘導体と共に混合することにより、錠剤または他の固体形態とされる。固体送達ビヒクルは目的の因子、例えばペプチドを、充填剤、例えば乳糖、サッカロース、マンニトール、デンプン例えばバレイショ澱粉またはアミロペクチン、セルロース誘導体または高分散ケイ酸混合物中に含有できる。ソフトゼラチンカプセルにおいては、活性物質を植物油または液体ポリエチレングリコールのような適当な液体中に溶解または懸濁する。更に別の形態として、例えばハードゼラチンのプラグカプセル、ならびに軟化剤または可塑剤、例えばグリセリンを含有する投薬用ソフトゼラチンカプセルを使用することもできる。
【0144】
或は、選択された因子を供給するための液体剤型は、水、薬学的に許容される脂肪または油脂、アルコールまたは他の有機溶媒(例えばエステル中の溶液または懸濁液、乳液、シロップまたはエリキシル、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成した溶液および/または懸濁液、および、発泡性顆粒から再構成した発泡性調製物を包含する。このような液体剤型は、例えば適当な溶媒、保存料、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、濃厚化剤および溶融剤を含有できる。経口剤型は場合によりフレーバー剤および着色剤を含有する。非経腸および静脈内の剤型もまたミネラル類や選択された送達システムの型に適合するための他の物質を含有する
【0145】
本発明の治療用組成物は典型的には製造、保存および使用の全ての条件下において滅菌され安定でなければならない。滅菌注射用溶液は上記した成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要量の選択された因子を配合し、必要に応じてその後濾過滅菌することにより調製できる。一般的に、分散液は、塩基性分散媒および上記した他の必要成分を含有する滅菌ビヒクル中に、因子を配合することにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、調製方法は、活性成分+何れかの付加的な所望の成分の粉末を、それらの予備濾過滅菌された溶液からもたらすような、真空乾燥および凍結乾燥を含む。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌および抗カビ剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等により達成できる。
【0146】
本発明のより詳細な特徴において、選択された因子被験体送達された後のその有効な半減期を延長するために、特に生理学的環境内(例えば血流、脳脊髄液中、または、結合組織コンパートメントまたは体液充填体腔内部)における活性状態の代謝的持続性を延長するために、安定化させる。この目的のためには、選択された結合剤は化学的手段、例えば化学的結合体化、N末端キャッピング、PEG化または組み換え手段、例えば部位指向性突然変異誘発または融合タンパク質の構築により改変してもよく、または、種々の安定化剤または担体と共に製剤してよい。このように安定化すれば、上記したとおり投与された選択された因子非安定化形態と比較して生理学的条件下で延長された期間にわたり活性を保持する(例えば2〜3から5〜10倍の大きい安定性)。例えば本発明の因子は、特に因子がペプチドまたはその類縁体である場合は、他の知られた保護または安定化化合物に結合体化することにより、または免疫グロブリン鎖1つ以上のような担体タンパク質1つ以上に連結したペプチドまたは類縁体との融合タンパク質の生成により、因子を遮蔽することにより循環半減期が長くなるように改変できる(例えば米国特許5,750,375;5,843,725;5,567,584および6,018,026号参照;各々は、本明細書において参考により援用される)。これら改変、因子の分解、封鎖またはクリアランスを低減し、そして生理学的環境中(例えば循環系または脳脊髄液中)でのより長い半減期をもたらす。従って安定化方法により改変された因子本発明の方法において増強された薬効を持って有用となる。特にこのように改変された因子改変のペプチドまたは類縁体と比較して送達の標的部位においてより長い期間、活性を維持する。
【0147】
本発明はまた、アルツハイマー病の治療において使用するための上記した医薬組成物、活性成分および/またはその投与手段を含むキット、パッケージおよびマルチコンテナ単位を包含する。慨すれば、これらのキットは典型的には生物学的に適当である担体と共に薬学的調製物中に製剤された因子を含有するコンテナまたは処方を包含する。因子は場合により大量供給用コンテナまたは複数単位投与形態に含有される。パッケージ材料は場合によりそこにパッケージされた医薬品がアルツハイマー病の治療に使用できることを示したラベルまたは取扱説明書を含む。キットはまた適当な緩衝液、保存料、例えばプロテアーゼ阻害剤も含有してよい。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は本発明の種々の特徴を説明しているのみであり、本発明を如何なる点においても制約するものではない。
【0149】
(実施例1:宿主細胞における遺伝子ライブラリの調製)
遺伝子ライブラリを発現ベクターのクローニング部位内にランダムオリゴヌクレオチドを挿入することにより調製する。発現ベクターは、転写の方向に対して相対的に5’の方向に、プロモーター、シグナル配列をコードする核酸、提示分子をコードする核酸、提示分子をコードする核酸の5’末端に位置するクローニング部位、膜貫通ドメインをコードする核酸および転写ターミネーターを含む発現カセットを有する。発現ベクターは複製起点(ColE1)およびE.coli内での選択のための抗生物質耐性マーカーを含む。ランダムオリゴヌクレオチドは約7〜約20アミノ酸残基のペプチドをコードする。オリゴヌクレオチドを含有するベクターを宿主細菌に形質転換し、そして、選択可能な条件下に生育させることにより約10百万〜数10億個の独立した単離のライブラリを樹立する。ベクターDNAをこのライブラリから調製する。このベクターDNAを動物細胞、例えばヒト細胞、哺乳類細胞または他の動物細胞に導入する。
【0150】
(実施例2:APPエフェクターの発現のためのランダムペプチドベクターの操作)
APPエフェクターの発現のための好ましいランダムペプチドは図3に示すカセットインサートを有するレトロウィルスベクターである。カセットはプロモーター;分泌経路にタンパク質を進入させるための分泌配列;ランダムアミノ酸配列に構造を付与するジスルフィド架橋の形成を誘発するためのランダム配列の末端においてシステインをコードするランダムペプチド配列;グリシンスペーサー;提示タンパク質;細胞表面に可撓性を与えるための第2のグリシンスペーサー;および融合タンパク質を細胞表面に束縛させるためのGPIリンカー配列をコードする。提示タンパク質はランダムペプチド配列が束縛され提示される球状の不活性タンパク質である。この配置によりランダムアミノ酸のペプチド環が可撓性を与えるグリシンのストリングの端部に束縛される。細胞と提示タンパク質との間のグリシンスペーサーもまた束縛分子全体の可撓性をもたらす。ペプチド環に対する可撓性はAPへのランダムアミノ酸配列の結合による提示タンパク質からの立体障害を最小限にする。
【0151】
(実施例3:発現ベクターの構築)
宿主細胞の表面上のライブラリペプチドの高い発現水準を達成するために、発現ベクターを使用する。発現ベクターは細菌内における増殖および選択のために必要なマーカー、哺乳類細胞転写プロモーター(例えばサイトメガロウィルスまたはEF−1αプロモーター等)を含む発現カセット、提示分子をコードする核酸および転写ターミネーターを包含する。ランダムライブラリ配列は提示分子をコードする核酸のN末端、C末端または内部に挿入でき、そして、提示分子の線状アレイまたは束縛されたループアレイ中か露出ループ中にあり得る
【0152】
提示分子を宿主細胞の表面に結合させるためには、提示分子をコードする核酸は分泌シグナル配列をコードする配列および細胞表面に融合タンパク質を束縛するエレメント(例えばグリコホスファチジルイノシトール(GPI)固定のためのシグナルまたは膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン)を包含する。適当な提示分子は例えばIL−3受容体、プロテインA、チオレドキシン、CD4、CD20またはCD24を包含する。提示分子はまた1つ以上のエピトープ、例えばFLAG、V5またはポリヒスチジンも包含し得る。転写ターミネーターは、例えばヒト成長ホルモン由来のものであり得る
【0153】
COS7およびK562細胞のような哺乳類細胞の細胞表面のペプチドライブラリを提示するために2つの異なる発現ベクターを構築した。1つの構築物は線状構造のN末端に約7〜約12アミノ酸残基を有するペプチドを置き、もう一方の構築物はN末端における束縛されたループを形成するためにペプチド配列の各末端においてシステイン残基を含む。各構築物はプロテインA、チオレドキシン、V5またはFLAGエピトープを含む提示分子、分泌のためのCD24由来の分泌シグナル配列、および、宿主細胞の表面への結合のためのCD24由来のGPI連結用配列コードしている。かなり大きい多様性のライブラリを作製できるが、完成したペプチド発現ベクターの各々の概ねの多様性は約1x10独自のペプチドである。
【0154】
(実施例4:APPエフェクターの同定のための試験細胞の樹立)
APPのエフェクターを同定するための試験細胞には以下の4つの主要な条件が存在し、即ち、1)細胞はAPPプロセシング酵素の天然の補体を保有する必要があり、2)細胞はAPPを構成的に産生する必要があり、3)細胞はこれらの実験の高スループットの条件を促進するため懸濁細胞であり、そして4)スクリーニング系はAPPの発現とプロセシングに関連する天然の生理学的条件を模倣する必要がある。
【0155】
APP発現細胞は、APPをコードする哺乳類発現ベクターを構築すること、および、この発現ベクターを親細胞に導入することにより調製される。2種の細胞、即ち神経芽細胞およびヒト胚腎細胞(HEK)がこれらの試験のために典型的に使用されている。これらの細胞の両方ともAPP実験において使用されている(Cedazo−Minguez et al.,Neurochem.Int.35:307−315,1999;Lopez−Perez et al.,J.Neurochem.73:2056−2062,1999)。HEK細胞は成育が容易であり、そして神経芽細胞よりも問題点が少なく、従ってこれらの実験のために好適である。神経芽細胞は代替としての細胞である。
【0156】
これらの実験を容易にするために、HEK細胞をスピナー培養条件に適合させる。適合は、細胞が血清非含有培地中で生育可能となるまで、静置培養において培地中の血清の量を徐々に減少させることにより達成される。次に細胞をスピナー培養容器に移して生育させる。これらの操作法の両方でかなりの細胞死があるが、一部の細胞は生存し、生育する。これらの条件下で最も良好に生育した細胞は、良好度がより低い細胞よりも早く成育、血清非含有スピナー培養条件下で良好に生育するように適合された細胞をもたらす。これらの操作法は当業者の理解する通りである。
【0157】
APPをコードするcDNAはATCCまたはIMATから入手され得るか、または、PCR増幅により得られ、そしてDNA配列分析により確認され得る。APPコードcDNAを哺乳類発現ベクター内に挿入し、親哺乳類細胞にエレクトロポレーションする。エレクトロポレーションされた細胞をネオマイシン選択下でウェルの50%において細胞生育が可能となる密度でマイクロプレート中にプレーティングし、クローン単離が可能な条件を得る。これらの細胞のAPP発現は下記に示す通り、抗APP抗体を用いた蛍光顕微鏡観察およびFACS分析により評価する。
【0158】
本出願に記載したスクリーニング手法を良好に実施するためには、多数の細胞およびペプチド配列を操作してスクリーニングできることが重要である。懸濁培養細胞およびスピナー培養容器を使用することにより、一日当たり何十億もの細胞を生育、取り扱いおよび利用する方法が実施可能となり得る。
【0159】
(実施例5:APPのインビトロ発現および産物の分析)
野生型のAPPおよびSwedish、Arcticおよび/またはDutch突然変異を含むAPPのクローンをHEK−293細胞において発現させた。突然変異体クローンの発現はAPPプロセシングのエフェクターに関するインビトロのスクリーニング試験におけるプロセシングの相違を示すための対照として有用である。
【0160】
発現プラスミドを構築するために、完全長の野生型695アミノ酸ヒトAPPをコードするクローン(Kang et al.,Nature,325:733−736,1987)を入手した。エクソン1のNruI部位〜3’UTRのSmaIの3kbのフラグメントをpcDNA3.1ベクターにサブクローニングした。このベクターはCMVプロモーターおよびSV40ポリアデニル化配列を含有する。同様にAPPSweおよびAPPArcをコードするクローンをCMV−APPSweおよびCMV−APPArcの構築のための原料として使用した。
【0161】
これらの構築物をHEK−293細胞に導入した。内因性セクレターゼによる切断によりAPPタンパク質は数個のフラグメントにプロセシングされ。APPタンパク質発現およびプロセシングは、擬似トランスフェクトされた(即ちAPP配列を有さないプラスミドでトランスフェクトされた)およびAPP Swe トランスフェクトされた溶解物および細胞の条件培地のウエスタンブロット分析により評価した。完全長APPおよびC末端フラグメントC99、Aβ、APPs−αおよびAPPs−βはAβ配列のアミノ酸1〜16を認識する6E10抗体を用いて検出した。完全長APP、C99およびAβはAPPSweトランスフェクト体由来の細胞溶解物中に存在した。細胞溶解物中のAβの同定は分泌経路内のプロセシングの結果であると考えられる。APPs−αおよびAβはAPPSweトランスフェクト体由来の条件培地中にも検出された。APPs−αおよびAPPs−βはそれぞれ6E10抗体およびSw192抗体を用いたSwedishまたはSwedish/Arctic突然変異をトランスフェクトした細胞のコンディショニング培地中にも同定された。抗体Sw192(Elan Pharmaceuticals)はβ−セクレターゼにより切断された場合にのみAPPSweのアミノ酸590〜596を認識する。
【0162】
(実施例6:レトロウィルス感染)
レトロウィルス発現ベクターはパッキング細胞(Miller et al.,Methods Enzymol.217:581−599,1993)中にパッケージされ、セクレターゼプロセシング酵素およびAPPを含有する試験細胞を感染するために利用される。融合タンパク質は分泌シグナルの影響下に分泌経路を介して進入して通過し、細胞表面上の提示する結果となる。細胞表面において、提示タンパク質、グリシンスペーサーおよびランダムアミノ酸配列を含む融合タンパク質(提示複合体)はGPI連結部を介して細胞に結合する。セクレターゼの一部によるAPPのプロセシングは分泌経路の通過中、ならびに、細胞表面において起こると考えられる(Selkoe,Physiological Rev.81:741−767,2001)。提示複合体およびAPPは同様に分泌経路を通過し、そして共通の過程において細胞の表面上に提示される。従って、ランダムアミノ酸配列が存在し、そして、有効なペプチドは分泌経路内ならびに細胞表面上でその構造を改変するAPPに結合する機会を有する。図4は提示複合体の立体配置を示す。
【0163】
(実施例7:トランスフェクトされた細胞の富化)
細胞はDNAを取り込んでそれを発現する効率が異なる。発現可能なDNAの導入がそれほど効率的でない場合は、場合により、発現ベクター(例えばプラスミド)を含有し、そしてDNAを至適発現する細胞を富化することができる。遺伝子ライブラリを含有する細胞の富化を行うためには、マーカーをコードする配列のような標識を発現ベクターに包含させる。このようなマーカーは典型的には細胞に結合したまま残存する。マーカーをコードするこの配列は例えば転写プロモーターおよびターミネーター、分泌シグナル配列(例えばCD24)をコードする配列、1つ以上の細胞外ドメイン(例えばV5、FLAG等)およびマーカーを細胞表面に束縛する配列(例えばグリコホスファチジルイノシトール(GPI)固定のためのシグナル)であり得る。2つの異なるマーカー(例えばV5とFLAG)の間にペプチドライブラリを置くことは提示分子中両方のマーカーを含有する細胞のみを選択することによりペプチドライブラリの完全性、そしてそれらが宿主細胞の表面上で発現されることを確実にする。
【0164】
実施例3に記載した発現ベクターを使用することにより、平均で細胞当り1個または数個のみのベクターが導入されるような条件を用いたエレクトロポレーションによりCOS7細胞をトランスフェクトした。細胞をトランスフェクト後に培地に入れ、そして種々の時点において、FACSで分析することにより細胞表面または内部におけるチオレドキシンまたはFLAGの発現を検出した。各場合において、比較的高い比率の細胞がトランスフェクト1日後に提示分子(例えばチオレドキシン−抗チオレドキシン抗体を用いて検出)を発現し、分子は次の週にわたって持続していた。これらの結果は提示分子が数日間比較的高い水準で発現されることを示している。
【0165】
ペプチドライブラリを発現するトランスフェクトされた宿主細胞またFACS分析または磁気ビーズ上の選択を行う前に、パラホルムアルデヒドに固定した。結果、マーカーエピトープは固定後もなお抗体に接触可能であり、ライブラリペプチドが標的分子への結合のために使用できたことを示していた。
【0166】
同様の実験によれば、ペプチドライブラリをコードするプラスミドベクターでエレクトロポレーションによりトランスフェクトしたK562細胞は80%細胞生存率で約50%の効率でトランスフェクトされた。至適発現期間はトランスフェクトした後1日〜2日であった。K562細胞上で発現された提示分子の水準は、K562細胞はCOS7細胞と同様にプラスミドベクターを増幅しないため、COS7細胞より低値であった。しかしながら、標識抗FLAG抗体の局在により示されるとおり、十分な提示分子がK562細胞表面上に発現された。
【0167】
結果、哺乳類細胞の表面上のペプチドライブラリの提示のための頑健な系であることを示した。細胞へのGPI連結を介した提示分子の束縛およびチオレドキシンドメインおよびCD24由来のドメインの使用により、ペプチドライブラリの持続的で安定な発現がもたらされる。更にまた、提示分子のN末端におけるペプチドの置は、細胞表面から比較的遠隔であり、そして高度に望ましい親水的な環境にある潜在的標的分子へのペプチドの妨害されない接触を確保するものである。
【0168】
(実施例8:APPに結合するペプチドの予備スクリーニング)
APPに結合してその構造を改変するペプチドの構造への興味のため、そしてAPPに結合するペプチドの全てがタンパク質のタンパク質分解プロセシングをモジュレートしないがプロセシングに影響するペプチドの全てがAPPに対する高親和性の結合を有することが期待されるため、APPに単純に結合するペプチドの予備富化が行われる。本方法により作製されスクリーニングされる構造は多数であるため、この富化過程のためにはファージディスプレイを使用する。更にまた、ファージディスプレイ選択法は高親和性結合ペプチドの同定のための更にストリンジェントなスクリーニング条件を可能にする。ファージディスプレイペプチドライブラリは市販品(即ちNew England Biolabs)を用いるか構築することができる。ペプチド配列は線状の可撓性の構造として、または、相対的に剛性の構造を示す束縛されたループとして整列させることができる。エフェクターペプチドは3または4アミノ酸残基長の小さなもの、5、6、7〜20アミノ酸またはより多いアミノ酸残基長のものであり得る
【0169】
APP細胞外ドメインおよびN末端短縮型は、精製を容易にするためのHisタグを使用しながら細菌およびCHO−DG44細胞または他の哺乳類宿主細胞中で発現さる。これらの形態はKunitzプロテアーゼ阻害剤ドメイン配列のすぐ3’側のヌクレオチド457から始まり、他端がヌクレオチド550にある分子、およびN末端官能基は除外されるが膜外のアミノ酸残基にβ切断部位近傍でランダムコイル配列を含む分子を包含する。これらのアフィニティー分子の産生、安定性および精製容易さにより選択される分子が決定される。
【0170】
ランダムペプチド配列を発現するファージをHisタグ細胞外ドメインAPPに曝露し、そしてHisアフィニティーカラムに通すか、または、表面Ni2+を含有する磁気ビーズに予め結合させたHisタグAPP分子の特定の形態に曝露する。2または3ラウンドの富化の後、ランダムペプチドをコードするヌクレオチド配列を富化されたファージのDNAから切り出し、そしてレトロウィルスベクターに転移させる。この富化工程により、プロセシング酵素の活性を改変したり何らかの他の態様でプロセシングの変化をもたらすよりはむしろ、APPに結合することによりAPPプロセシングを改変するペプチドの同定の確率が高くなる。ランダムに選択されたペプチドはまたコンセンサス結合モチーフの存在を評価するために配列決定される。
【0171】
(実施例9:エフェクターペプチドのスクリーニング)
試験細胞を約数十億以上の多数で成育させる。細胞をペプチドライブラリをコードするレトロウィルスに感染させる。生育2日の後、ビオチニル化抗提示タンパク質抗体およびストレプトアビジンコーティングビーズ(Miltenyi Biotec,Germany)を用いて提示複合体を発現している細胞を得るための磁気ビーズ選択法により細胞を選択する。選択により細胞表面上に提示複合体を発現している細胞が富化される。これにより感染していない細胞およびランダムDNA配列内の終止コドンにより早期に停止している配列を発現する細胞が排除される。ランダムペプチド配列をコードする半ランダムDNAを用いて終止コドンを最小限にできるが、完全には排除されない(LaBean and Kauffman,Protein Sci.2:1249−1254,1993)。終止コドンの頻度はランダムペプチド配列の長さに関係する。約7、または約12、または約16アミノ酸残基のアミノ酸長典型的には使用される。
【0172】
磁気ビーズ選択法はまた、感染しており、完全長の束縛された提示複合体を合成する能力を有するが、例えば染色体内のサイレントな発現部位への組み込みのため提示複合体の十分な量を発現しない細胞も排除する。従って選択はAPPの構造を改変するために有効な提示タンパク質の十分な水準を発現する細胞を与える。この立体配置の有効性はトロンボポエチン受容体を発現する生育依存性Ba−F3細胞中で束縛されたエフェクターペプチド配列を発現することにより明らかにされている。束縛されたエフェクターペプチドは以前の生育依存性の細胞に成育非依存性を付与する。これは受容体の活性化および細胞の生存をもたらす細胞表面受容体の構造を束縛ペプチドが改変できることを示している。
【0173】
ビーズ富化細胞は、APPの異なるフラグメントを認識する別的に標識された抗体を利用した蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)により分類する。増大したα−セクレターゼプロセシングをもたらすペプチドを富化したい場合は、ソーティングは、APP−αのC末端に相当するAβ内のアミノ酸3〜10を認識するPE標識抗体(6E10、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002)とp3のN末端に相当するAβのアミノ酸16〜24を認識するFITC標識抗p3抗体(4G8、Pirttila et al.,Neurol.Sci.127:90−95,1994,McLaurin et al.,Nature Med.8:1263−1269,2002)との間の蛍光の比の変化に基づいて行われる(図5参照)。ランダムペプチド配列を有さない発現ベクターを感染させた対照細胞は対照PE/FITC比を与える。低下したPE/FITC蛍光比を有する細胞を収集する。
【0174】
同様に、FITC標識抗APPs−β(APP中央領域に特異的なA3またはI7、Koo et al.,J.Biol.Cem.269:17386−17389,1994)のPE標識抗体(6E10)抗APPS−α蛍光に対する増大した比を有する細胞を収集することによりβ−セクレターゼのプロセシングの低減をもたらすペプチドを得るために細胞を分類する(図5参照)。
【0175】
APPエフェクター試験系をセットアップして試験するために、αおよびβ部位における切断の量に影響する試薬および条件を使用して試験の感度および有効性を明らかにする。例えば、試験細胞をα−またはβ−セクレターゼをコードする発現ベクターでトランスフェクトする。これにより、これらの部位におけるプロセシングが増大し、細胞試験により明らかにされる。FACSで富化細胞が得られた後、ランダムペプチドをコードするDNAをPCR増幅により細胞から回収し、そしてペプチドライブラリ発現ベクター内に再クローニングする。当業者に公知の操作法を用いる。単離されたクローンは細菌中で増幅し、レトロウィルスパッキング細胞に再パッケージし、ナイーブの試験細胞を感染させるために使用し、そして、真のエフェクターペプチドをコードするクローンが得られるまで工程を反復する。ランダムペプチド配列をコードするクローンのDNA配列分析によりエフェクターペプチドの配列が明らかになる。
【0176】
1つ以上のエフェクターペプチドが同定された後、エフェクターペプチドがAPPの構造に影響する能力について試験できる。エフェクターペプチドの結合のための方法は周知であり、そして、ペプチドライブラリを予備スクリーニングするための上記した方法を包含する。
【0177】
(実施例10:エフェクターペプチドの特徴付け)
エフェクターペプチドを特徴付けすることにより可溶性Aβがエフェクターペプチドの影響下の培養において低減することを示す。エフェクターペプチドの発現の存在下および非存在下における試験細胞由来の培地のELISAおよびウエスタンブロットを用いて所望の作用を確認する。
【0178】
1つの試験においては、APPのα−セクレターゼプロセシングを増大させるエフェクターペプチド(本明細書においては「EMαペプチド」)をHEK293細胞またはSH−SY5Y細胞中でヒトAPPと同時発現する。完全長APPの発現水準はウエスタンブロット分析(抗体6E10または22C11)によりエフェクターペプチドの存在下または非存在下において測定する。更にまた、エフェクターペプチドを試験する効率は、それがペプチド発現後の培地でプロトフィブリルおよび単量体可溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の水準を低減する能力を評価する。AβプロトフィブリルおよびAβ1−40/42の水準は種々の異なる抗体を用いてELISAにより測定される。市販の抗体(即ちBiosource/QCB cat#44−348および44−344)を用いてそれぞれAβ40およびAβ42を特異的に定量する。
【0179】
同様に、APPおよびAβ40およびAβ42の発現水準に対するAPPのβ−セクレターゼプロセシングを低減するペプチド(本明細書においては「EMβペプチド」)の作用を同様の態様で特徴付けする。
【0180】
近傍のプロセシング活性に対するEMαおよびEMβペプチドの作用もまた特徴付けされる。EMαペプチドを発現する細胞においては、APPsβ、APPsγならびにC末端フラグメントCT99の放出を、EMαペプチドが発現されない場合のこれらのフラグメントの放出と比較する。異なるフラグメントパターンは干渉作用を示している。同様にして、APPsα、APPsγ、p3およびCT57/59の放出をEMβペプチドの発現の存在下または非存在下において測定する。
【0181】
EMαまたはEMβペプチドの特異性または薬効が家族性AD突然変異において改変されているかどうかも調べる。以下のAPP突然変異をこの試験において使用する。
(a)Swedish(Lys670Asn;Met671Leu)、β−切断部位に対しN末端の2アミノ酸;
(b)Flemish(Ala692Gly)、α−切断部位に対しC末端の5アミノ酸;
(c)Dutch(Glu693Gln)、α−切断部位に対しC末端の6アミノ酸;
(d)Arctic(Glu693Gly)、α−切断部位に対しC末端の6アミノ酸;および、
(e)Iowa(Asp694Asn)、α−切断部位に対しC末端の7アミノ酸。
【0182】
更にまたAPPタンパク質およびAPPプロセシング比に対するEMαまたはEMβペプチドの親和性または会合の速度動態にAPP突然変異が影響するかどうかも調べる。結合試験は野生型APPおよび突然変異形態のAPPを発現するHEK293細胞とともに放射標識EMαまたはEMβをインキュベートすることにより実施する。
【0183】
β−部位のプロセシングはAPPがSwedish突然変異を含んでいる場合に有意に増大する(Mullan et al.,Nat.Genet.1:345−347,1992参照)。例えば、Swedish突然変異を含んでいるヒトAPPを発現するトランスジェニックマウス(ハムスタープリオンプロモーター−hAPPSwe)において、SDS可溶性Aβ40およびAβ42ペプチドは5箇月齢の21および6pmol/gから21ヶ月の11,100および2,000pmol/gにそれぞれ増大する(Kawarabayashi et al.,J.Neurosci.15:372−381,2001)。APPSweとのEMβペプチドの同時トランスフェクションは、Swedish突然変異がβ−部位切断に対するEMβペプチドの阻害作用に影響するかどうかを示す。同様に、EMαペプチド刺激α−切断に対する上記したα−部位近傍のAPP突然変異(b)−(e)の作用も評価する。
【0184】
Aβの量の低減におけるエフェクターペプチド(EP)の効力もまたAβを過剰発現する適当なトランスジェニック動物モデル、例えばTg(HuAPP695.K670N/<671L)2567またはPDAPPにおいて評価できる(例えば後述する実施例11および12参照)。
【0185】
更に別の特徴付けではペプチドの標的の同定を行う。これらの実験は、提示複合体(束縛されたペプチドを有する提示タンパク質)ならびにペプチド単独をアフィニティー標識として利用する。APPへのペプチドの結合はペプチドを標識すること、および、APPの細胞外ドメインへの結合を評価することにより調べられる。蛍光標識されたペプチドもまた、APPを発現しない対照試験細胞と比較しながら、APPを発現する試験細胞への結合を評価するために使用される。
【0186】
プロセシング酵素への結合を評価するために、標識されたペプチドを用いて親試験細胞へのペプチドの結合を測定され、そしてプロセシング酵素を発現しないことがわかっている細胞へのペプチドの結合と比較される。更に別の特徴付けは、標識ペプチドを、可溶化細胞溶解液と混合、そしてイオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィー、2−D電気泳動およびタンパク質スポットの質量スペクトル分析により分画し、他の細胞成分への結合を測定することを含む。エフェクターペプチドは、APPへの結合を伴うことなく、または他の重要な生体分子のプロセシングを改変することなく、Aβの減少をもたらす別の細胞分子に結合して機能を改変することもありえる。
【0187】
(実施例11:トランスジェニックマウスにおけるAPPプロセシングのエフェクターのインビボの薬効の試験−直接ペプチド投与)
EMαペプチドのインビボの薬効試験は、APPα−セクレターゼの切断速度を刺激するその能力、および、脳におけるAβプロトフィブリルおよびAβ40/42の水準を低下させることを測定する。プロトフィブリルの濃度および脳分布はELISAおよび免疫組織化学法によりプロトフィブリル特異的モノクローナル抗体を用いて試験する。プラーク負荷は4%パラホルムアルデヒド中の脳組織の灌流と固定化、および、Aβ抗体による免疫染色を含む標準的な操作法を用いて測定する(例えば前述した6E10を用いる(Nilsson et al.,J.Neurosci.21:1444−1451,2001参照))。
【0188】
EMαおよびEMβペプチドの初期の試験は血液脳関門通過特性を測定するための、Tgマウスへの皮下または腹腔内注射によるペプチドの直接投与を含んでいる。通過は、それぞれ、抗EMαまたは抗EMβペプチドELISA法を用いてCSFおよび脳灌流後の脳ホモジネート中のEMαまたはEMβを測定することにより評価する。異なる用量を試験し、脳およびCSF中で得られるペプチドの水準に相関付ける。インビボ実験はそれぞれ有意なα−セクレターゼの刺激またはβ−セクレターゼの阻害を得るために必要とされるEMαまたはEMβペプチドの濃度に関する情報を与える。代替となる更に高感度の方法は、ペプチドを放射標識(ヨウ素化)してCSFおよび脳ホモジネート中の放射能を測定することである。この方法はより高感度であるが、ペプチドの改変のために誤差のある結果が得られる場合がある。更にまた、EMαまたはEMβペプチドの半減期は、動物薬効試験における用量頻度に関する指針として、標準的な方法を用いてCSF、脳および血清中で測定する。経時的にEMαまたはEMβペプチドのCSF/脳濃度が一定であることが典型的には望ましい。EMαまたはEMβペプチドが満足できる通過特性を示す場合、次に薬効試験を実施する。しかしながら、EMαまたはEMβペプチドの通過特性が満足できない場合は、ペプチドの直接のscまたはip投与による薬効試験は実施しない。代替法は浸透圧ポンプ(Alzet)を用いたicvによりペプチドを供給することか、または、Tgマウスの脳内のペプチドの直接の発現(後述参照)による。
【0189】
1つの試験において、EMαまたはEMβペプチドの薬効試験は直接ペプチド投与による。直接投与による薬効試験ではTgマウスに4〜6ヶ月EMαまたはEMβを投与し、エンドポイントとしてAβ40/42およびAβプロトフィブリルの水準を低下させる。Aβ水準の低下は、プロトフィブリルの形成はAβ1−40およびAβ1−42の濃度に依存していることから、Aβプロトフィブリルの低下をもたらすと考えられる。適当なマウス系統はmThy1−hAPPSweであり、これは本発明者の研究室で進行中であり、十分樹立されたADモデルと同様であるSwedish突然変異を含有するヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)の695アミノ酸のアイソフォームに対するトランスジーンコーディングを担持している(Hisao et al.,Science 274:99−102,1996参照)。即ち、mThy1−hAPPSweAβ1−40およびAβ1−42の有意な時間依存性の増大、大量のアミロイドの付着、加齢相関性の脳コレステロールおよびApoEの上昇、ならびに、改変されたシナプス有効性を示すと考えられる(Kawarabayashi et al.,J.Neurosci.15:372−381,2001)参照。この「Hisao−APPマウス」モデルはまた挙動不全を発症することがわかっている(Westerman et al.,J.Neurosci.22:1858−1867,2002参照)。
【0190】
薬効試験はまたSwedishおよびArctic突然変異の両方を含有する二重トランスジェニックモデル(mThy1−hAPPSweArc)においても実施される。このモデルは脳におけるAβArcプロトフィブリルの高水準をもたらすモデルを樹立するために開発された。Aβプロトフィブリルは神経毒性(Hartley et al.,J.Neurosci.19:8876−8884,1999参照)であり、そして早期シナプス機能に影響する(Selkoe,Science 298:789−791,2002参照)。Nilsberth(Nat.Neurosci.4:887−893,2001)はArctic突然変異がより高いプロトフィブリル安定性および形成速度を与え、これによりADの早期の発症をもたらすことを示した
【0191】
アミロイド付着前の早年期における、そして、Aβ水準が殆ど加齢依存性を示さない時期におけるEMαまたはEMβペプチドの短期の投与(2〜3週間)はインビボのAPPプロセシングを改変するそれらの機械的能力を評価するものである。更にまた、EMαまたはEMβペプチドの予防上の作用はアミロイド付着の発症前に開始し、トランスジェニックマウスモデルが頑健なアミロイド付着を示すことがわかっている時期まで継続する長期の投与により、若年Tgマウスにおいて評価される。最後に、EMαまたはEMβペプチドの治療上の作用はアミロイド付着の発症後の加齢マウスへの長期の投与により検討される。アミロイドの病理の種々の尺度を測定することにより薬効および安全性が評価される(例えばAβおよびチオフラビンSプラーク負荷、抽出可能なAβ1−40およびAβ1−42、Aβプロトフィブリル、逐次抽出により評価(トリス緩衝食塩水、トリトンX−100、SDSおよびギ酸)およびELISA)。神経変性変化のような二次的な組織の損傷(ニューライトの萎縮、シナプス消失、酸化的損傷)もまた主に免疫組織化学的検査および定量的な画像分析により分析される。脳炎の伝統的なマーカー、例えばGFAP(大グリア細胞腫)およびMAC−1/CD11およびIL−1(小神経膠細胞症)ならびに他の炎症誘発性サイトカイン、例えばγ−IFN、IL−2およびIL−6および抗炎症サイトカイン、例えばTGF−α、IL−4およびIL−10が測定される。認知機能不全の予防は伝統的なMorrisの水迷路よりも「エピソード様」の記憶に対してより感受性が高いラジアルアームの水迷路において試験される。
【0192】
(実施例12:トランスジェニックマウスにおけるAPPプロセシングのエフェクターのインビボの薬効試験−インビボペプチド発現)
EMαまたはEMβペプチドの血液脳関門通過特性が満足できない場合は、薬効試験の代替の手法をトランスジェニックマウスの脳におけるエフェクターペプチドの直接インビボ発現により行う。ともにEMαまたはEMβペプチドのコード配列が例えばThy−1プロモーターを用いてニューロン内で発現される2種の異なる発現ベクター構築物を作製する。1つのDNA構築物(本明細書においてはThy1−Emα/EMβ)はエフェクターペプチドが脳内で分泌(S)された形態において発現されるように操作され;他方のDNA構築物(本明細書においてはThy1−Emα/EMβ)はGPIリンカーを含有し、これにより発現されたペプチドをニューロン膜(M)にターゲティングさせる(図8参照)。次にThy1−Emα/EMβおよびThy1−Emα/EMβトランスジェニックマウスを標準的な操作法を用いて作製する。
【0193】
Thy1−Emα/EMβおよびThy1−Emα/EMβトランスジェニックマウスをThy1−hAPPSweおよびmThy−hAPPSweArcトランスジェニックマウスと交配させ、インビボのEMαまたはEMβペプチドの薬効を測定する。これらの複数のトランスジェニックモデルはまたAPPプロセシングのコンパートメント化に対するペプチドの作用を特徴付けするためにも使用される。分泌型または膜結合型(例えばER−、ゴルジ−、原形質膜−結合型)EMαペプチドのAPPα−セクレターゼ分解速度に対する作用を測定する。同様に、分泌型または膜結合型およびEMβペプチドのβ−セクレターゼ分解速度に対する作用を測定する。これらの研究は重要なインビボのデータ、例えば増大したα部位プロセシングまたは低減したβ部位プロセシングがAβプロトフィブリルおよびAβ40/42の水準の低下、より低いアミロイド付着、低い炎症および/または改善された認機能に変換されるかどうかを与える。
【0194】
上記実施、本願発明の範囲を説明するためのものでありこれを限定するものではない。本発明の他の変形は、当業者には明らかであり、添付の請求項に包含される。本明細書において引用した全ての出版物、特許、特許出願および他の参考文献は本明細書において参考により援用される
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】図1はアルツハイマー病をもたらすアミロイドカスケードを示す。
【図2】図2はβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)およびその主な代謝誘導体の模式的ダイアグラムである。上のダイアグラムは770アミノ酸を含む既知のAPP選択的スプライシング形態の最大のものを示す。アミノ酸770〜723における単一の膜貫通ドメインは垂直の破線で示す。β−アミロイド(Aβ)フラグメントは膜外側の28アミノ酸およびTMドメインの最初の12〜14残基を含む。矢印はプロセシング酵素によるタンパク質切断の部位を示す。種々のタンパク質分解フラグメントを標識する(Selkoe,Physiological Rev.81:741−767,2001)。
【図3】図3はAPPのエフェクターペプチドの同定のためのレトロウィルス構築物用のランダムペプチドおよび提示タンパク質の発現のための発現カセットの代表的なものを示す。
【図4】図4はシステインループの立体配置におけるランダムペプチド配列を有する細胞の表面上に発現された提示タンパク質の代表的なものを示す。
【図5】図5は細胞表面上のAPP標識されたフラグメント、切断部位、APPの抗体認識フラグメント、および、APPの改変されたプロセシングを検出するための蛍光の比を使用した手法とともに示す。
【図6】図6は本発明で使用するために適切な、CD24 V5融合タンパク質およびチオレドキシン−FLAG融合タンパク質をコードするpIcoDualと命名された発現ベクターの一例を示す。
【図7】図7はCD24 V5融合タンパク質およびチオレドキシン−FLAG融合タンパク質をコードするpIcoFLAGXaと命名された発現ベクターを示し、ここでXa因子アミノ酸基質配列Ile−Glu−Gly−Arg−X(配列番号5)をコードするDNAがランダムペプチド配列をコードする部位に挿入されている。
【図8】図8はトランスジェニックマウスにおけるエフェクターペプチドのインビボの発現のための、代表的な、Thy1−EMα/EMβ(S)およびThy1−EMα/EMβ(M)発現構築物を示す。「EMα/EMβ配列」とはEMαペプチド(即ちα−セクレターゼによるAPPプロセシングを刺激するエフェクターペプチド)またはEMβペプチド(即ちβ−セクレターゼによるAPPプロセシングを抑制するエフェクターペプチド)の何れかのヌクレオチドコード配列を示す。
【配列表】
SEQUENCE LISTING



<110> BIOARCTIC NEUROSCIENCE AB
ICOGENEX CORPORATION



<120> METHODS FOR THE IDENTIFICATION OF AGENTS THAT MODULATE THE STRUCTURE AND PROCESSING OF BETA-AMYLOID PRECURSOR PROTEIN



<130> F105984A1O


<140> JP 2004-550519

<141> 2003-11-04



<150> US 60/424,031

<151> 2002-11-04



<160> 5



<170> PatentIn version 3.1



<210> 1

<211> 8

<212> PRT

<213> Artificial Sequence



<220>

<223> Leader Sequence

<400> 1

Asp Leu Tyr Asp Asp Asp Asp Lys
1 5


<210> 2

<211> 11

<212> PRT

<213> Artificial Sequence



<220>

<223> myc epitope

<400> 2

Glu Gln Lys Leu Ile Ser Glu Glu Asp Leu Asn
1 5 10


<210> 3

<211> 14

<212> PRT

<213> Artificial Sequence



<220>

<223> v5 Epitope

<400> 3

Gly Lys Pro Ile Pro Asn Pro Leu Leu Gly Leu Asp Ser Thr
1 5 10


<210> 4

<211> 8

<212> PRT

<213> Artificial Sequence



<220>

<223> the FLAG tag

<400> 4

Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys
1 5


<210> 5

<211> 5

<212> PRT

<213> Artificial Sequence



<220>

<223> Factor Xa amino acid substrate sequence

<220>

<221> MISC_FEATURE

<222> (5)..(5)

<223> X=any amino acid



<400> 5

Ile Glu Gly Arg Xaa
1 5

Claims (63)

  1. β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変する因子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
    APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する動物宿主細胞に該因子を接触させる工程、および、
    改変されたAPPプロセシングを検出してAPPのプロセシングを改変する該因子を同定する工程、
    を包含する、方法。
  2. 改変されたAPPプロセシングを検出する工程が、前記宿主細胞の表面上のAPPフラグメントの少なくとも一種の相対的な存在または非存在を評価する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記APPフラグメントの少なくとも一種が、APPs−α、APPs−βまたはAPPs−γである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも一つのAPPプロセシング酵素が、α−セクレターゼ、β−セクレターゼまたはγ−セクレターゼである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記改変されたAPPプロセシングが、アミロイドβ−タンパク質(Aβ)の低下した産生を生じる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アミロイドβ−タンパク質が、アルツハイマー病の危険性の増加と関連する、請求項5に記載の方法。
  7. アルツハイマー病の危険性の増大と関連する前記アミロイドβタンパク質が、Aβ1−39、Aβ1−40またはAβ1−42である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記因子が、化合物ライブラリ由来である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記化合物ライブラリが、コンビナトリアルケミストリライブラリである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記化合物ライブラリが、天然産物ライブラリである、請求項8に記載の方法。
  11. 前記化合物ライブラリが、ペプチドライブラリである、請求項8に記載の方法。
  12. 前記因子が、分子である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記因子が、生体分子である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記生体分子が、ペプチドである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ペプチドが、該ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドから転写および翻訳により産生される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記オリゴヌクレオチドが、約18〜約120ヌクレオチドの長さを有する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記オリゴヌクレオチドが、約36〜約60ヌクレオチドの長さを有する、請求項15に記載の方法。
  18. 前記ペプチドの宿主細胞との接触工程が、宿主細胞に発現ベクターを導入する工程を包含し、該発現ベクターは、該ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを含み、これにより該宿主細胞は、分泌経路内において、そして細胞外の細胞表面上で該ペプチドを発現し、提示する、請求項15に記載の方法。
  19. 前記オリゴヌクレオチドが、複数のオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリ由来であり、少なくとも大多数のオリゴヌクレオチドが、異なるペプチドをコードする異なる配列を有する、請求項15に記載の方法。
  20. 前記複数のオリゴヌクレオチドの配列が、無作為化される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記発現ライブラリが、APPに特異的に結合するペプチドをコードするオリゴヌクレオチドについてあらかじめ富化されている、請求項19に記載の方法。
  22. 前記ペプチドの宿主細胞との接触工程が、APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する複数の動物宿主細胞の第1に前記発現ライブラリを導入する工程を包含し、該宿主細胞は、それによって、分泌経路内において、そして細胞外の細胞表面上で異なるペプチドを発現し、提示する、請求項19に記載の方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、さらに以下:
    前記異なるペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1から改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞の第1の部分を選択する工程;および、
    宿主細胞の該第1の部分から該APPのプロセシングを改変するペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを、少なくとも1つ含む発現ライブラリの第1の部分ライブラリを同定する工程、
    を包含する、方法。
  24. 前記異なるペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1が、選択可能なマーカーを用いて富化されている、請求項22に記載の方法。
  25. 前記選択可能なマーカーが、V5、FLAGまたはチオレドキシンである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記富化工程が、磁気ビーズ選択を包含する、請求項24に記載の方法。
  27. 前記富化工程が、蛍光活性化細胞分離による選択を包含する、請求項24に記載の方法。
  28. 細胞外の細胞表面上で異なるペプチドを発現し、提示する前記宿主細胞が、高コピー数の前記異なるペプチドを発現する、請求項24に記載の方法。
  29. 前記ペプチドが、提示分子との融合タンパク質として提示される、請求項15に記載の方法。
  30. 前記提示分子が、CD24である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記提示分子が、IL−3レセプターである、請求項29に記載の方法。
  32. 前記提示分子が、チオレドキシンである、請求項29に記載の方法。
  33. 前記融合タンパク質がさらに、マーカーエピトープを含む、請求項29に記載の方法。
  34. 前記マーカーエピトープが、ポリヒスチジン、V5、FLAGまたはmycである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記融合タンパク質がさらに、グリコホスファチジルイノシトール(GPI)固定のためのシグナルを含む、請求項29に記載の方法。
  36. 前記動物宿主細胞が、哺乳動物宿主細胞である、請求項1に記載の方法。
  37. 前記動物宿主細胞が、組換え宿主細胞である、請求項1に記載の方法。
  38. 前記動物宿主細胞が、単離された細胞である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記因子が、実質的に生理学的な条件下で宿主細胞に接触する、請求項1に記載の方法。
  40. 前記実質的に生理学的な条件が、複合生物学的液体の存在を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記複合生物学的液体が、血液、血清、血漿または脳脊髄液(CSF)である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記細胞表面上のAPPフラグメントの少なくとも一種の相対的な存在または非存在を評価する工程が、APPフラグメントの少なくとも一種に特異的に結合する少なくとも1つの検出可能に標識されたマーカーに宿主細胞を接触させる工程、および、結合した標識されたマーカーを検出する工程を包含する、請求項2に記載の方法。
  43. 前記少なくとも1つのマーカーが、APPまたはAPPフラグメントの所定のエピトープに結合する抗体である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記細胞表面上のAPPフラグメントの少なくとも一種の相対的な存在または非存在を評価する工程が、さらに、APPまたはAPPフラグメントの少なくとも2つの異なるエピトープに対して特異的な少なくとも2つの標識された抗体の検出シグナルの比を測定する工程を包含する、請求項43に記載の方法。
  45. 前記因子が、APPのアロステリックエフェクターである、請求項1に記載の方法。
  46. 前記宿主細胞の表面上の改変されたAPPプロセシングを検出する工程が、フローソーターの使用を包含する、請求項1に記載の方法。
  47. 請求項1に記載の方法であって、動物に前記因子を投与する工程、および改変されたAPPプロセシングに関連する生理学的条件に対する作用について、該動物をモニタリングする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  48. 前記投与が、直接注射または経口投与によるものである、請求項47に記載の方法。
  49. 前記因子がペプチドであり、前記動物がペプチドをコードする発現構築物を含むトランスジェニックマウスであり、ここで、該発現構築物が、作動可能な組み合わせにおいて、(a)プロモーター、(b)分泌配列、(c)ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および(d)転写終結配列を含み;そして、該トランスジェニックマウスがインビボで検出可能なレベルのペプチドを発現する、請求項47に記載の方法。
  50. 前記発現構築物が、細胞膜に固定される提示分子をコードし、該発現構築物がさらに、以下:
    (e)提示タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、該提示タンパク質コード配列は、ペプチドコード配列に対して3’に位置するヌクレオチド配列、および、
    (f)膜貫通ドメインまたはGPIリンカーをコードするヌクレオチド配列であって、該膜貫通ドメインまたはGPIリンカー配列は、該提示タンパク質コード配列に対して3’に位置し、そして、転写終結配列に対して5’に位置するヌクレオチド配列、
    を含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記改変されたAPPプロセシングに関連する生理学的条件に対する作用が、AβプロトフィブリルまたはAβ40/42のレベルの低下である、請求項47に記載の方法。
  52. 前記改変されたAPPプロセシングに関連する生理学的条件に対する作用が、プラーク阻害である、請求項47に記載の方法。
  53. β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変するペプチドを同定するための方法であって、以下:
    複数のオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリを、APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する複数の動物宿主細胞の第1に導入する工程であって、該オリゴヌクレオチドの少なくとも大部分は、異なるペプチドをコードする異なる配列を有し、該宿主細胞が、それによって分泌経路内において、および細胞外の細胞表面上で異なるペプチドを発現し、提示する、工程;
    該異なるペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1から、改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞の第1の部分を選択する工程;および、
    宿主細胞の第1の部分からAPPのプロセシングを改変するペプチドをコードする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリの第1の部分ライブラリを同定する工程;
    を包含する、方法。
  54. 前記動物宿主細胞が、哺乳動物宿主細胞である、請求項53に記載の方法。
  55. 前記動物宿主細胞が、組換え宿主細胞である、請求項53に載の方法。
  56. 前記動物宿主細胞が、単離された細胞である、請求項53に記載の方法。
  57. 複数の宿主細胞の第1が、実質的に生理学的な条件下で異なるペプチドを提示する、請求項53に記載の方法。
  58. β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変するペプチドを同定するための方法であって、以下:
    (1)複数のオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリをあらかじめ富化する工程であって、少なくとも多数のオリゴヌクレオチドが、異なるペプチドをコードする異なる配列を有し、APPに特異的に結合するペプチドをコードする少なくとも一つのオリゴヌクレオチドについて、富化する工程であって、該あらかじめ富化する工程は、以下の工程:
    (a)ファージの表面上のオリゴヌクレオチド配列によりコードされるペプチドを発現し得るファージディスプレイベクター内に発現ライブラリを導入する工程;
    (b)該ファージの表面上に異なるペプチドを発現する工程;
    (c)APPまたはN末端短縮APPに特異的に結合するペプチドを発現するファージ粒子の部分を選択する工程であって、ここで該N末端短縮APPは、α−またはβ−セクレターゼ切断部位を有する、工程;および、
    (d)該選択されたファージ粒子からオリゴヌクレオチド配列を回収してあらかじめ富化した発現ライブラリを形成する工程;
    を包含する、工程;
    (2)APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する複数の動物宿主細胞の第1にあらかじめ富化された発現ライブラリを導入する工程であって、該宿主細胞に分泌経路内において、および細胞外の細胞表面上で少なくとも1つのAPP結合ペプチドを発現し、提示させる工程;
    (3)少なくとも1つのAPP結合ペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1から、改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞の第1の部分を選択する工程;ならびに、
    (4)宿主細胞の該第1の部分から、APPのプロセシングを改変するペプチドをコードする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むあらかじめ富化された発現ライブラリの第1の部分ライブラリを同定する工程;
    を包含する、方法。
  59. β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変するペプチドを同定するための方法であって、以下:
    複数のオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリを、APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する複数の動物宿主細胞の第1に、導入する工程であって、該オリゴヌクレオチドの少なくとも大部分は、異なるペプチドをコードする異なる配列を有し、該宿主細胞が、それによって分泌経路内において、および細胞外の細胞表面上で異なるペプチドを発現し、提示する、工程;
    該異なるペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1から、改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞の第1の部分を選択する工程;ここで改変されたAPPプロセシングは、異なるペプチドを提示する該宿主細胞の表面上のAPPフラグメントの少なくとも一種の相対的な存在または非存在を、APPフラグメントの少なくとも一種に特異的に結合する少なくとも1つの検出可能に標識されたマーカーと、該宿主細胞を接触させる工程、および該結合した標識されたマーカーを検出する工程によって、評価する工程によって測定される工程;ならびに、
    宿主細胞の該第1のサブセットからAPPのプロセシングを改変するペプチドをコードする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む該発現ライブラリの第1の部分ライブラリを同定する工程;
    を包含する、方法。
  60. β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングを改変するペプチドを同定するための方法であって、以下:
    複数のオリゴヌクレオチドを含む発現ライブラリを、APPおよび少なくとも1つのAPPプロセシング酵素を発現する複数の動物宿主細胞の第1に、導入する工程であって、該オリゴヌクレオチドの少なくとも大部分は、異なるペプチドをコードする異なる配列を有し、それによって、該宿主細胞が、実質的に生理学的条件下で、分泌経路内において、および細胞外の細胞表面上で異なるペプチドを発現し、提示する、工程;
    該異なるペプチドを提示する複数の宿主細胞の第1から、改変されたAPPプロセシングを示す宿主細胞の第1の部分を選択する工程;ここで改変されたAPPプロセシングは、異なるペプチドを提示する該宿主細胞の表面上のAPPフラグメントの少なくとも一種の相対的な存在または非存在を、APPフラグメントの少なくとも一種に特異的に結合する少なくとも1つの検出可能に標識されたマーカーと、該宿主細胞を接触させる工程、および該結合した標識されたマーカーを検出する工程によって、評価する工程によって測定される工程;および、
    宿主細胞の該第1のサブセットからAPPのプロセシングを改変するペプチドをコードする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む該発現ライブラリの第1の部分ライブラリを同定する工程;
    を包含する、方法。
  61. 前記因子がペプチドメティック、等配電子置換化合物、D−アミノ酸類縁体、または、非ペプチジル化合物に変換される、請求項14に記載の方法により同定される、因子
  62. 前記因子が、血管脳関門の通過を促進するように改変される、請求項1に記載の方法により同定される、因子
  63. 前記因子が、非経口、経口、除放性、局所、鼻内または吸入の用途のために処方される、請求項1に記載の方法により同定される、因子
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