JP2006504436A - 組み合わせた指数関数的および直線的増幅 - Google Patents

組み合わせた指数関数的および直線的増幅 Download PDF

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Abstract

核酸の感度良い検出および定量のための方法および組成物が提供される。さらに、遺伝子型決定のための方法および組成物が提供される。本発明のプローブにより、一本鎖、二本鎖ポリヌクレオチドおよびピロホスフェート(PPi)に関する標的開始増幅が可能になる。DNA酵素仲介検出法もまた、一本鎖最終産物の検出のために提供される。

Description

本発明は、核酸増幅および検出の分野に関する。特には、本発明は、核酸分子を増幅する(すなわち多数のコピーを作成する)ため、および増幅した配列を検出するための方法、組成物およびキットを提供し、標的開始核酸ポリメライゼーション、連鎖反応カスケードおよびDNA酵素仲介検出が含まれる。
多数の方法が、増幅に基づいた感度のよい核酸検出の実行を可能にするように開発されてきた。これらは2つのクラスに分けられ、標的またはシグナル増幅のいずれかが可能になる。標的増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自律性配列複製(3SR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、および鎖置換増幅(SDA)が含まれる。シグナル増幅技術には、分岐DNA(bDNA)、ハイブリッド捕獲、および開裂(インベーダーアッセイ)、およびサロゲートマーカーの増幅による核酸標的の測定が含まれる。ローリングサークル増幅(RCA)は、標的またはシグナル増幅のいずれかを実施する方法である(Birkenneyer and Mushahwar,J.Virological Methods,35:117−126(1991)、Landegren,Trends Genetics,9:199−202(1993)、Schweitzer and Kingsmore,Current opinion in Biotechnology,12 21−27(2001))。
PCR法は、未だに最も広く使用されるDNA増幅および定量法である。しかしながら、一般的に、PCRは、本技術分野で周知の、高価なサーマルサイクラーの必要性、汚染の起こりやすさ、定量の難しさ、異なるDNAに関する異なる効率での増幅、および多重化の制限のような多数の制限を受ける。
生物学的試料中の、mRNA/cDNAレベルの定量的プロファイリングに関する現在の技術には、cDNAアレイ(Schena et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:10614−10619(1994))、または高密度オリゴヌクレオチドアレイ(Lockhart et al.,Nature Biotechnology,14:1675−1680(1996))のいずれかの使用が含まれる。SchenaらによるcDNAアレイの場合、アレイの各要素における、単一分子種の検出には、少なくとも100,000結合標的分子の存在が必要である。Lockhartらによって使用されたDNAチップアレイの場合、ハイブリッド形成RNAに関する検出限界は、2000分子のオーダーである。
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、強力な複合体形質の基礎およびファーマコゲノミックス研究の基礎である。しかしながら、多数のSNPの解析は、相応の単純さ、信頼性、および拡張性の、高価ではないSNP遺伝子型特定法に対する必要性を強調してきた。一般的に、現在の方法は、ゲノムDNAの前増幅、続く、DNA開裂、ライゲーション、一塩基伸長またはハイブリダイゼーションのような対立遺伝子識別法でのSNP遺伝子型特定が必要である。現在の方法は、費用、間違い、試料DNAの消費、または拡張性の欠如によって制限される(Faruqi et al.BMC Genomics(2001)2:4)。したがって、感度良く、定量的である、核酸検出方法に対する必要性が存在する。
したがって、低濃度で核酸を検出する方法を提供することが、本開示発明の目的である。
測定したシグナルの数が、試料中の標的配列の量に比例し、異なる標的配列に関して測定したシグナルの比が、試料中に存在する異なる標的配列の量の比に実質的に一致する、試料中に存在する特定の標的核酸配列の量を決定する方法を提供することが、本開示発明の他の目的である。
標的遺伝子要素の個々の対立遺伝子を示している標的核酸配列の存在を検出する方法を提供することが、本開示発明の他の目的である。
ハイスループットSNP遺伝子型決定、ヌクレオチドメチル化の検出、および異なる遺伝子スプライシングのための方法を提供することが、本開示発明の他の目的である。
RNAまたはDNA−RNAキメラ基質の、DNA酵素仲介開裂による、最終産物検出の方法を提供することが、本開示発明の他の目的である。
核酸を増幅し、検出するための組成物および方法が開示されている。本発明の方法は、「増幅繰り返し鋳型(Amplification Repeat Templates)(ART)」プローブと呼ばれる、特別に設計されたオリゴヌクレオチドプローブを使用する。増幅は、多数のコピーの一本鎖最終産物(SSEP)、二本鎖最終産物およびピロホスフェート(PPi)の産生を可能にする、組み合わせた指数関数的および直線的増幅(CELA)を介して実施される。
ARTプローブ分子は、標的相補部分、鋳型部分、少なくとも1つの酵素作用部分、および3’末端ブロック部分ありまたはなし、を含む、一本鎖または部分的二本鎖直線または環状核酸である。ARTプローブは、プローブ二本鎖のいくつかの部分を作り出すヘルパープライマーを含みうる。ARTプローブは、アンチセンスDNA酵素またはアンチセンスRNA変酵素を含んでよい。ARTプローブは、全ての部分を含まなくてよく、さらなる部分を含んでも良い。
酵素作用部分は、RNAポリメラーゼプロモーターを含みうる。酵素作用部分は、RNase H作用配列を含みうる。酵素作用部分は、ヌクレアーゼ消化部位を含んで良く、これは、二本鎖の場合に、プローブの反対の鎖を消化することを支持する。ヌクレアーゼ消化部位には、修飾されたヌクレオチドが含まれて良く、それによって、プローブ上の消化部位が、ヌクレアーゼ開裂に対して抵抗性であり、反対の修飾されていない鎖が、開列に感受性である。修飾されたヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を含んでよい。
酵素作用部分は、RNase H作用配列およびRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、またはRNase H作用配列およびヌクレアーゼ消化部位の組み合わせ、またはヌクレアーゼ消化部位およびRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、または1つ以上のヌクレアーゼ消化部位の組み合わせを含んでよい。
ヌクレアーゼ消化部位は、制限酵素認識配列および開裂部位を持つ、制限部位を含んで良い。制限部位は、IIS型制限酵素部位を含んで良い。IIS型制限部位の酵素開裂部位は、標的相補部分上に位置することが好ましい。SNP遺伝子型決定、メチル化解析、およびスプライシング解析に関して、IIS型制限酵素開裂部位は、SNPまたは変異部位、メチル化ヌクレオチド、あるいは遺伝子スプライシング部位に相当することがさらに好ましい。IIS型制限部位は、FokI部位であってよい。
プローブは、ヘルパープライマーを含んで良く、そこで、ヘルパープライマーは、プローブの一部分に相補的、または本質的に相補的な少なくとも1つの部分を含む。ヘルパープライマーは、3’末端ブロッキング部分を含み得、それによって、ヘルパープライマーの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長可能ではない。ヘルパープライマーは、3’末端ブロッキング部分を含まなくて良く、それによって、ヘルパープライマーの3’末端は、DNAポリメラーゼによって伸長可能である。
ヘルパープライマーには、フランキング配列を有するかまたは有さない、酵素作用部分に相補的な配列、またはプローブの酵素作用部分の一部が含まれ得、そのため、ヘルパープライマーとプローブ間のハイブリッド形成によって、酵素作用部分二本鎖または部分的二本鎖が作られる。ヘルパープライマーは、伸長可能であり且つプローブの酵素作用部分の1つに対する配列3’に相補的である、3’末端配列を含みうる。ヘルパープライマーの3’末端配列は、長さ2〜15ヌクレオチド、または好ましくは3〜10ヌクレオチド、またはより好ましくは4〜8ヌクレオチドを含んで良い。
ヘルパープライマーは、さらに、標的相補部分を含んで良く、そこでは、ヘルパープライマーに対して相補的な標的領域が、プローブに対して相補的な標的領域に隣接するか、本質的に隣接する。ヘルパープライマーは、3’および5’標的相補部分を含み得、そこで、プローブに対して相補的な標的領域は、ヘルパープライマーに対して相補的な標的領域の中間に位置し、ヘルパープライマーに対して相補的な標的領域に隣接するか、または本質的に隣接する。
プローブの標的相補部分には、対象の標的領域に相補的か、または本質的に相補的な配列が含まれ得、そこで、プローブの標的相補部分は、対象の標的領域にハイブリダイゼーションし、二本鎖となり、それによって、1つまたは2つ以上の、プローブの酵素作用部分が、部分的または完全に機能的である。
酵素作用部分、標的相補部分およびプローブの鋳型部分は、互いに重なって良く、または他の部分内に1つの部分が埋め込まれて良い。
標的相補部分および/または酵素作用部分および/またはプローブの鋳型部分には、修飾されたヌクレオチドが含まれてよく、それによって、修飾されたヌクレオチドは、ヌクレアーゼ開裂に抵抗性である。いくつかの実施形態において、標的がRNAであり、および/または一本鎖最終産物(SSEP)がRNAであり、そしてRNaseHが反応中で使用される場合、標的相補部分および/または酵素作用部分および/または鋳型部分が、キメラRNAおよびDNAを含むことが好ましい。標的またはSSEP RNAの、ARTプローブとのアニーリングの後、標的またはSSEP RNAが完全に消化されないように、二本鎖RNA/RNA部分は、RNase H開裂に抵抗性であり、一方で、RNA/DNA部位上のRNAが消化され、この消化されたRNAの3’末端が、伸長開始部位として使用される。ARTプローブ上のRNA部分が、任意のヌクレアーゼによって消化されないように、修飾されることもまた好ましい。修飾されたヌクレオチドには、ホスホロチオエート結合が含まれてよい。
プローブの鋳型部分は、同じ方向で、2つの同一またはほぼ同一の配列を含んで良く、そこで、2つの同一またはほぼ同一の配列は、少なくとも1つの、RNAポリメラーゼプロモーターを含みうる酵素作用部分、または制限酵素部位によって分離されうる。環状プローブは、他の部分が組み込まれた、1つの鋳型部分を含みうる。
いくつかの実施形態において、DNA酵素仲介検出が使用される場合、鋳型部分に、D
NA酵素に対して相補的な、触媒的に不活性なアンチセンス配列が含まれることが好ましい。DNA酵素が、10〜23、または8〜17DNAzymeでありうることが好ましい。
プローブの3’末端ブロック部分は、化学的部分であってよく、DNAポリメラーゼによって伸長不可能なプローブの3’末端が作成される。プローブおよび/またはヘルパープライマーの任意の末端が、固体支持体に接着して良い。
試料中の、対象の標的核酸配列または多重標的核酸配列を検出する方法には、以下の、(a)プローブまたはプローブの組を、好適なハイブリッド形成条件下で、核酸試料と接触させるステップであって、そこで、プローブの標的相補部分、またはプローブの標的相補部分とヘルパープライマーが、標的配列にハイブリッド形成し、二本鎖になり、それによって、1つもしくは1つ以上または一部の、プローブの酵素作用部分を、部分的にまたは完全に機能的にするステップ;(b)プローブの全ての酵素作用部分を、二本鎖であり且つ完全に機能的にするステップ;(c)一本鎖最終産物(SSEP)を産生するように、二本鎖酵素作用部分を含むプローブを処理するステップ;(d)SSEPを遊離プローブにアニーリングさせ、プローブの全ての酵素作用部分を、二本鎖であり且つ完全に機能的にするステップ;(e)(c)と(d)を繰り返し、それによって、プローブを、二本鎖または部分的二本鎖形態に変換し、SSEPの多重コピーを繰り返し産生させるステップ;ならびに(f)そのようにして産生された最終産物である、二本鎖最終産物、SSEP、およびピロホスフェート(PPi)を、直接的または間接的に検出するステップ、が含まれる。本方法の全てのステップは、単一反応、または別々の反応で実施して良い。
いくつかの実施形態において、標的核酸がRNAであり、ステップ(a)が、酵素作用部分の1つであるRNaseH消化部位を、二本鎖および機能的にする場合、ステップ(b)には、RNaseHによってRNA鎖を消化し、部分的に消化された鎖の3’末端を、DNAポリメラーゼによって、鋳型としてプローブを使用して伸長させることが含まれ、それによって、プローブ上の全ての他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。プローブ上の他の酵素作用部分には、制限部位またはRNAポリメラーゼプロモーター、あるいは制限部位とRNAポリメラーゼプロモーターの両方が含まれて良い。
さらなる実施形態において、部分的に消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれてよい。
いくつかの実施形態において、酵素作用部分の1つが、制限部位であり、プローブの標的相補部分上に位置し、ステップ(a)によって、制限部位二本鎖および完全に機能的になる場合、ステップ(b)には、制限酵素によって、制限部位上で、プローブの反対の鎖を消化すること、およびDNAポリメラーゼによって、鋳型としてプローブを用いて、消化された鎖の3’末端を伸長すること、が含まれて良く、それによって、プローブ上の全ての他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。前記プローブ上の他の酵素作用部分には、他の制限部位、RNAポリメラーゼプロモーター、または制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方が含まれうる。あるいは、前記制限部位は、プローブ上の酵素作用部分のみでありうる。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれて良い。
いくつかの実施形態において、1つの酵素作用部分が、プローブの標的相補部分上に開裂部位、およびプローブの標的相補部分のいずれかの側上に認識部位を持つ、IIS型制限酵素部位であり、ステップ(a)が、プローブの標的相補部分を二本鎖にし、それによって、IIS型制限部位の機能的開裂部位が形成される場合、ステップ(b)に、ヘルパ
ープライマーをプローブにアニーリングさせること、およびIIS型制限部位の認識配列を二本鎖にすることが含まれる。1つの実施形態において、ヘルパープライマーをプローブにアニーリングし、IIS型制限部位の認識配列を二本鎖にすることに、ヘルパープライマーを、隣接配列を有するかまたは有さないIIS型制限酵素認識配列に直接アニーリングさせ、それによって、IIS型制限部位の二本鎖認識配列が形成されることが含まれる。他の実施形態において、ヘルパープライマーのプローブへのアニーリング、およびIIS型制限部位の認識配列を二本鎖にすることに、ヘルパープライマーの3’末端配列を、IIS型制限認識配列の3’配列にアニーリングさせ、鋳型としてプローブを用いて、DNAポリメラーゼによって、ヘルパープライマーの3’末端配列を伸長させ、それによって、IIS型制限部位の二本鎖認識配列が形成されることが含まれる。
いくつかの実施形態において、プローブの標的相補的部分が、標的配列の遊離3’末端にハイブリダイズする場合、ステップ(b)に、鋳型として、プローブを用いて、DNAポリメラーゼによって、標的配列の遊離3’末端を伸長させ、それによって、プローブ上の他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になることが含まれる。
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分に、制限部位が含まれる場合、ステップ(c)に、制限酵素によって、制限部位上のプローブの反対の鎖を消化すること、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長させること、および消化と伸長を繰りかえし、それによって、SSEP DNAの多重コピーが産生されること、が含まれる。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端を伸長させることにさらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれうる。
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分が、RNAポリメラーゼプロモーターを含む場合、ステップ(c)に、RNAポリメラーゼプロモーターに作用する、RNAポリメラーゼによる繰り返し転写で、それによってSSEP RNAの多重コピーが産生されることが含まれる。
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分が、制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含む場合、ステップ(c)には、制限酵素によって、制限部位上のプローブの反対鎖を消化すること、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長させること、消化と伸長を繰り返すこと、が含まれ、それによって、SSEP
DNAの多重コピーが産生され、またRNAポリメラーゼプロモーターに作用するRNAポリメラーゼによる繰り返し転写が含まれ、SSEP RNAの多重コピーが産生される。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端の伸長には、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による鎖置換が含まれうる。
いくつかの実施形態において、SSEPが、DNA分子またはRNA分子、またはDNAおよびRNA分子両方である場合に、ステップ(d)に、遊離プローブの配列部位へSSEPをアニーリングさせること、および鋳型として遊離プローブを用いて、SSEPの3’末端を伸長させること、が含まれ、それによって、プローブのすべての酵素作用部分が、二本鎖で機能的になる。
いくつかの実施形態において、SSEPがRNA分子である場合、ステップ(d)には、SSEPを遊離プローブの配列部分にアニールさせること、RNaseHによってSSEPを消化すること、および鋳型として遊離プローブを用いて、部分的に消化されたSSEPの3’末端を伸長させること、が含まれ、これによって、すべての酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。
いくつかの実施形態において、プローブが環状分子である場合、SSEP RNAまた
はDNAの配列に、プローブ対して相補的な、1つまたは2つ以上の配列ユニットが含まれ、ステップ(d)に、SSEPを、遊離プローブの全体または部分にアニールすることが含まれ、これによって、酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。
いくつかの実施形態において、鋳型部分が、アンチセンスDNA酵素を含む場合、本方法によって、一本鎖機能的センスDNA酵素の多重コピーが産生され、一本鎖最終産物の検出のステップ(f)に、RNAまたはDNA−RNAキメラレポーター基質を反応に加えること(ここで、RNAまたはDNA−RNAキメラレポーター基質は、DNAzyme開裂部位のいずれかの側上に組み込まれた蛍光共鳴エネルギー転移蛍光プローブを含む)およびセンスDNA酵素によってレポーター基質を開裂させることが含まれ、それによって、レポーター基質の開裂による蛍光シグナルの増加が現れる。
本発明はまた、対象の標的核酸配列または、多重標的核酸配列を検出するためのキットを提供し、該キットは、プローブの組、ヘルパープライマー、検出基質、制限酵素、RNAポリメラーゼ、RNaseH、DNAポリメラーゼ、バッファ、dNTP、NTP、他の試薬および取扱説明書を含む。
種々のプローブの例を、図1、3、5、7、11、13、14および15で示している。これらは制限として認識されるべきではなく、本発明の精神および目的から逸脱しない限り、任意の変化を実施して良い。
本発明の方法の例を、以下に概略する(図2)。
直線プローブを用いるCELA反応を、図2Aにて示しており、環状プローブを用いるCELA反応を図2Bにて示している。標的核酸が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズする。酵素作用部分は、標的相補部分上に位置する。酵素作用部分は、二本鎖である場合に、プローブの反対の鎖を消化することを支持する、任意のヌクレアーゼ消化部位でありうる。本実施例において、ヌクレアーゼ消化部位は、制限部位であり、修飾されていても良い。あるいは、ヌクレアーゼ消化部位は、プローブ上のヌクレオチド修飾が必要ない、ニッキング制限酵素部位である。ARTプローブ上の標的鎖が、制限酵素によって消化される。消化された鎖の3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、もしあれば、下流酵素作用部分が、二本鎖になる。消化および伸長が多数回繰り返され、本工程によって、一本鎖末端産物(SSEP)の多数のコピーが産生される。プローブが直線分子である、図2Aにて示している反応の例において、SSEPは、5’鋳型部分配列と、プローブの標的相補部分配列の部分を含む、プローブの制限部位に対する5’配列に対して相補的である。プローブの3’鋳型部分および5’鋳型部分は、同一またはほぼ同一の配列を含むので、SSEPの3’末端は、3’鋳型部分に対して相補的である。SSEPは、遊離プローブの3’鋳型部分にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが、繰り返しの消化および伸長を誘発するように形成される。プローブが環状分子である、図2Bで示している反応の例において、SSEPが、ARTプローブの全配列に対して相補的である。SSEPは、遊離ARTプローブに、完全にまたは部分的にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、二本鎖ARTプローブが、繰り返しの消化および伸長を誘発するように形成される。SSEPの3’末端、または消化された鎖の3’末端の伸長が、鎖置換活性を持つかまたは他の鎖置換因子を含む、DNAポリメラーゼによって達成されうることが好ましい。得られた最終産物である、二本鎖ポリヌクレオチド、SSRPおよびPPiをついで、検出に供す。
全ての試薬が単一のチューブ内であるので、全ての上記ステップは同時に生じ得、ステ
ップ間の明確な境界はない。SSEPにハイブリダイズしていない、遊離ARTが存在する限り、増幅は指数関数的なままである。一旦すべてのARTがSSEPにハイブリダイズしたならば、増幅は直線的になりうる。反応によって、標識および検出可能な、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPiが蓄積されうる。
本発明の方法の他の例を、以下に概略する(図4)。
直線プローブを用いるCELA反応を、図4Aにて示しており、環状プローブを用いるCELA反応を図4Bにて示している。標的RNA配列が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズする。本例において、プローブの標的相補部分がまた、酵素作用部分であるRNaseH消化部位である。標的相補部分の3’部分は、ホスホロチオエート結合を含みうるリボヌクレオチドによって作成される。二本鎖RNA/DNAハイブリッド上の標的RNA鎖が、RNaseHによって消化され、一方で、二本鎖RNA/RNAハイブリッド上の標的RNA鎖が、RNaseH消化に対して抵抗性である。部分的に消化された標的RNA鎖の3’末端がDNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、下流酵素作用部分が、もしあれば、二本鎖となる。本例において、前記下流酵素作用部分は、RNAポリメラーゼプロモーターまたは制限酵素部位を含みうる。下流酵素作用部分が制限酵素部位である場合、反応の次のステップは、最初の例(図2)で記述したのと同様である。下流酵素作用部分が、RNAポリメラーゼプロモーターである場合、反応の次のステップは、次の例(図6)で記述したのと同様である。
本発明の方法の他の例を、以下に概略する(図6)。
直線プローブを用いるCELA反応を、図6Aにて示しており、環状プローブを用いるCELA反応を図6Bにて示している。ARTプローブの酵素作用部分の1つが、RNAポリメラーゼプロモーターを含む。標的RNAまたはDNA配列が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズされる。ARTプローブの二本鎖RNA/DNAまたはDNA/DNAハイブリッド上の標的鎖が、制限酵素またはRNaseHでありうるヌクレアーゼによって消化される。消化された鎖または部分的に消化された鎖の3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、下流酵素作用部分、RNAポリメラーゼプロモーターが、二本鎖および完全に機能的になる。RNAポリメラーゼがプロモーターに作用し、多数のRNA転写物、すなわちSSEP RNA配列のコピーが産生される。図6Aにて、プローブは直線分子であり、SSEP RNAは、プローブの5’標的部位配列に対して相補的である。プローブの3’鋳型部分および5’鋳型部分が、同一またはほぼ同一の配列を含むので、SSEPの3’末端は、3’鋳型部分に対して相補的である。SSEPが、遊離プローブの3’鋳型部分にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが、SSEP RNAの繰り返しの転写を誘発するように形成される。図2Bでは、プローブが環状分子であり、SSEPが、それぞれがARTプローブの全配列に対して相補的である、1つまたはそれ以上の配列ユニットを含みうる。SSEP RNAは、遊離ARTプローブに完全、または部分的にアニールし、SSEPの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、二本鎖ARTプローブが、繰り返しの消化および伸長を誘発するように形成される。あるいは、SSEP RNAが、遊離ARTプローブに完全に、または部分的にアニールし、ついで、RNaseHによって部分的に消化され、この部分的に消化されたSSEPの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、二本鎖ARTプローブが、SSEP RNAの繰り返しの転写を誘発するように形成される。もし直線または環状ARTプローブが、制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含み、反応に、相当する制限酵素およびRNAポリメラーゼが含まれる場合、反応によって、SSEP RNAとSSEP DNAの両方が産生され得、ついでこれらが、繰り返し伸長および消化、および繰り返し転写を誘発し得る。SSEPの3’末端または消化された鎖の3’末端の伸長が
、鎖置換活性を持つか、または他の鎖置換因子を含む、DNAポリメラーゼによって達成されうることが好ましい。RNaseH活性部位と、RNAポリメラーゼプロモーター両方を含む環状ARTプローブで、反応が、相当するRNaseHとRNAポリメラーゼを含む場合、ARTプローブの全配列に対して相補的な1つまたはそれ以上の配列を含むSSEP RNAが、遊離ARTプローブに完全に、または部分的にアニールし、ついで、RNaseHによって部分的に消化され、その部分的に消化されたSSEPの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長する。DNAポリメラーゼが鎖置換活性を持つ場合、鋳型として環状プローブを用いる伸長および鎖置換によって、それぞれが、プローブの全配列に対して相補的である、多数の配列ユニットを含む、長い一本鎖最終産物が産生されうる。長い一本鎖最終産物が、遊離プローブにアニールし、したがって、二本鎖RNAポリメラーゼプロモーターが形成され、SSEP RNAの繰り返し転写をひき起こす。ついでSSEP RNAが、遊離ARTプローブにアニールし、さらなる鎖伸長、置換および転写を誘発する。得られた最終産物、すなわち二本鎖最終産物、一本鎖最終産物およびPPiをついで検出にかける。
本発明の方法の他の例を以下に概略する(図8)。
直線プローブを用いるCELA反応を、図8Aにて示しており、環状プローブを用いるCELA反応を図8Bにて示している。ARTプローブが、標的相補部分の3’側(図8A)または標的相補部分の5’側(図8B)上にその認識部位を持ち、標的相補部分上にその開裂部位を持つ、IIS型制限部位を含む。IIS型制限酵素の開裂部位は、標的鎖の3’SNPヌクレオチドに相当し、一方、プローブ上の開裂部位が修飾され、開裂に抵抗性である。左手側上のARTプローブは、対立遺伝子1の配列にマッチする、標的相補部分を含み、右手側上のARTプローブは、対立遺伝子2の配列にマッチする、標的相補部分を含む(図8A)。標的RNAまたはDNA配列は、ARTプローブの標的相補部分に、対立遺伝子特異的にハイブリダイズし、一方、ヘルパー−プライマーは、ARTプローブと標的配列両方にアニールする。ヘルパープライマーにハイブリダイズした標的領域は、ARTプローブにハイブリダイズする標的領域に連結するか、または本質的に連結する。IIS型制限部位に対する3’配列へハイブリダイズする、ヘルパープライマーの3’末端配列(図8A)は短く、2〜15ヌクレオチドを含み得、好ましくは3〜10ヌクレオチドを含み、より好ましくは4〜8ヌクレオチドを含む。図8Aにおいて、ヘルパー−プライマーの3’末端が、鋳型としてARTプローブを用いた、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、二本鎖機能的IIS型制限認識部位が作成される。図8Bにて、二本鎖機能的IIS型制限認識部位が、ヘルパープライマーとARTプローブ間のハイブリダイゼーションによって作成される。ARTプローブの二本鎖標的相補部分上の標的鎖が、IIS型制限酵素(たとえばFok I)によって消化され、一方でARTプローブ鎖は、修飾されたヌクレオチドのために、開裂に対して抵抗性である。消化された鎖の3’末端は、鋳型としてARTプローブを用いる、DNAポリメラーゼによって伸長される。消化と伸長を多数回繰り返し、したがって、多数の一本鎖最終産物(SSEP)のコピーが産生される。図8Aにおいて、プローブは直線分子であり、SSEPは、5’鋳型部分配列とプローブの標的相補部分配列の部分を含む、プローブの制限消化部位に対する5’配列に対して相補的である。プローブの3’鋳型部分および5’鋳型部分は、同一またはほぼ同一の配列を含むので、SSEPの3’末端は、3’鋳型部分に対して相補的である。SSEPは、遊離プローブの3’鋳型部位にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが形成され、繰り返し消化および伸長を誘発する。図8Bにおいて、プローブは環状分子であり、SSEPは、ARTプローブの全配列に対して相補的である。SSEPは、遊離ARTプローブに完全または部分的にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが形成され、繰り返し消化および伸長が誘発される。SSEPの3’末端、または消化された鎖の3’末端の伸長が、鎖置換活性を持つか、他の鎖置換因子を含む、DNAポリメ
ラーゼによって実施されうることが好ましい。対立遺伝子−特異的ARTプローブが、異なる鋳型部分を含むので、したがって、対立遺伝子−特異的ARTプローブによって産生されたSSEPは異なり、検出法によって区別可能である。好ましい検出法は、次の例で記述しているSSEP DNA酵素の使用である。
一本鎖最終産物−SSEPの、DNA酵素仲介検出に関する、本発明の方法の例を以下に概説する(図10)。
ARTプローブの鋳型部分は、DNAzymeの相補(アンチセンス)配列、たとえば10〜23DNAzymeを含む。CELA反応の間、SSEPが、DNAzymeの活性(センス)コピーを含んで産生される。DNA酵素は、RNAまたは、DNAzyme開裂部位のいずれかの側上に組み込まれた、蛍光共鳴エネルギー転移蛍光プローブを含む、DNA−RNAキメラレポーター基質に結合する。本レポーター基質の開裂により、SSEPの増幅が成功した指標である、蛍光の増加が産生される。
I.物質
A.標的配列
ARTプローブおよびヘルパープライマーへのハイブリダイゼーション、および増幅および検出の開始の対象である、標的配列は、任意の核酸であって良い。標的配列は、任意のRNA、cDNA、ゲノムDNA、疾患原因微生物DNA、任意のウイルスDNA、RNAポリメラーゼプロモーターなどであってよい。標的配列はまた、化学試薬、種々の酵素および物理的曝露によって処置したDNAおよびRNAでありうる。
B.増幅繰り返し鋳型(ART)プローブ
増幅繰り返し鋳型(ART)プローブは、一般的に20〜2000ヌクレオチド、好ましくは30〜300ヌクレオチド、もっとも好ましくは40〜150ヌクレオチドを含む、一本鎖、または部分的二本鎖の直線または環状核酸分子である。ARTプローブの部分は、ARTを組み合わせた指数関数的および直線的増幅(CELA)に対して有用にする特定の機能を持つ。ARTプローブは、3’末端ブロック部分を有するかまたは有さない、標的相補部分、鋳型部分、酵素作用部分を含んで良い。ARTプローブは、プローブのいくつかの部分を二本鎖にする、ヘルパープライマーを含んで良い。ARTプローブは、アンチセンスDNA酵素またはアンチセンスRNA酵素を含んで良い。ARTプローブは、全ての部分を含まなくてよく、さらなる部分を含んで良い。
1.標的相補部分
プローブの標的相補部分は、標的相補部分と標的配列間の特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを支持する、任意の長さでよい。本目的のために、標的相補部分に関して、9〜90ヌクレオチドの長さが好ましく、15〜40ヌクレオチド長がもっとも好ましい。
プローブの標的相補部分は、対象の標的領域に相補的であるか、または本質的に相補的である。選択した対象の標的領域は、任意の望ましい配列であり、SNP部位、変異配列、メチル化配列、スプライシング部位、制限部位、および対象の任意の特定の配列を含みうる。
プローブの標的相補部分は、標的とプローブ間の特定のハイブリダイゼーション後に二本鎖になる。プローブの標的相補部分は、対象の標的領域にハイブリダイズし、それによって、1つもしくは2つ以上、または一部分の、前記プローブの酵素作用部分は、部分的に、または完全に機能的である。いくつかの実施形態において、プローブの標的相補部分にハイブリダイズする標的領域が、プローブの酵素作用部分に作用する、消化試薬によって消化されるか、またはニック化される。他の実施形態において、プローブの標的相補部分は、標的配列の遊離3’末端にハイブリダイズし、鋳型として前記プローブを用いる、DNAポリメラーゼによって伸長され、それによって、プローブ上の他の酵素作用部分が
、二本鎖になり、機能的になる。
2.酵素作用部分
ARTプローブは、少なくとも1つの酵素作用部分を含む。酵素作用部分は、一般的に以下の特徴を持つ:(a)一本鎖の時に、通常非機能的であり、完全に二本鎖であるか、または部分的に二本鎖である場合、完全に、または部分的に機能的になる;(b)核酸二本鎖の1つの鎖の消化、たとえばRNaseH消化部位の消化を支持するか、または、繰り返し消化および伸長、たとえば制限酵素部位を支持するか、または、繰り返しポリメライゼーションポリメライゼーション、たとえばRNAポリメラーゼプロモーターを支持するかのいずれかである。ARTプローブは通常、繰り返し消化および伸長を支持する少なくとも1つの酵素作用部分を含むことを必要とし得るか、または消化を支持する1つの酵素作用部分、および繰り返しポリメライゼーションを支持する他の酵素作用部分を含むことを必要とし得る。酵素作用部分は、限定はしないが、制限酵素部位、RNaseH消化部位、他のヌクレアーゼ消化部位、およびRNAポリメラーゼプロモーター配列を含んで良い。酵素作用部分は、RNaseH作用配列とRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、またはRNaseH作用配列とヌクレアーゼ消化部位の組み合わせ、またはヌクレアーゼ消化部位とRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、または1つ以上のヌクレオチド消化部位の組み合わせを含みうる。酵素作用部分は、言及した酵素、または同様の活性を持つ他の酵素に関する配列の任意の他の組み合わせを含んで良い。
酵素作用部分は、プローブの任意の位置、たとえば、標的相補部分内、または標的相補部分のいずれかの側面上、または鋳型部分上に位置して良い。
酵素作用部分が、ヌクレアーゼ消化部位を含む場合、プローブのヌクレアーゼ消化部位上の前記ヌクレオチドを、プローブがヌクレアーゼ消化に抵抗性であり、一方でプローブの反対の鎖が、消化に感受性であるように、修飾されていてもよい。ヌクレオチドをヌクレアーゼ開裂に抵抗性にする、ヌクレオチドの修飾の任意の方法、たとえばヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、メチル化ヌクレオチドを使用可能である。ホスホロチオエート化ヌクレオチドが好ましい。あるいは、酵素作用部分が、制限酵素部位、たとえばN.Bpu10I部位、N.BstSE部位をニック化することを含む場合、プローブ配列上のヌクレオチド修飾は必要でない。
いくつかの実施形態において、酵素作用部分は、制限部位を含む(図1および2)。制限部位は、制限酵素認識配列および開裂部位を持つ。ARTプローブ上の制限開裂部位は、プローブが、ヌクレアーゼ消化に対して抵抗性であるような、修飾ヌクレオチドを含んで良い。ARTプローブは、標的相補部分内、または標的相補部分のいずれかの側上に位置しうる、1つまたは2つ以上の制限部位を含んで良い。
いくつかの実施形態において、ARTプローブは、1つの酵素作用部分として、IIS型制限酵素部位を含む(図1D、1E、1J、1K、1Lおよび図7)。IIS型酵素が、制限認識部位から離れたいくつかの塩基を切断するので、開裂部位は、プローブの標的相補部分上に位置可能であり、または位置するのが好ましい。プローブの標的相補部分の開裂部位上のヌクレオチドを、プローブの開裂を阻止するために修飾する。SNP遺伝子型決定のために、標的分子上の消化部位もまた、SNPまたは変異部位であることが好ましく、好ましくは、IIS型制限酵素が、SNPヌクレオチドまたは変位ヌクレオチドの3’で開裂する。ヌクレオチドメチル化の検出のために、標的分子上の消化部位もまたメチル化部位であることが好ましい。
機能的であるために、プローブのIIS型制限部位は、その認識および開裂部位両方に関して、二本鎖形態に変換されなければならない。CELA反応の開始の時、標的が、プローブへの特異的なハイブリダイゼーションを介して、増幅を開始する。このハイブリダ
イゼーションにより、IIS型制限酵素に対する二本鎖開裂部位が作成される。
この反応の同じステージで、IIS型制限認識部位は、以下の方式で二本鎖になる。まず、IIS型制限認識配列が、ヘルパープライマーにハイブリダイズし(図1D、1E、1J、1K、1L、図7A、7C、7D、7F、7G、7H、7I、7J)、それによって、二本鎖になる。第2に、ヘルパープライマーの標的相補配列が、ARTプローブのハイブリダイゼーション領域に隣接する、標的領域にハイブリダイズし(図7B、7E)、ヘルパープライマーの3’末端配列が、IIS型制限認識部位に対する3’配列にアニールする。ヘルパープライマーの3’末端が、鋳型としてプローブを用いる、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、機能的二本鎖IIS型制限認識部位が形成される。
いくつかの実施形態において、標的配列がRNAである場合、CELA反応の開始時に、標的RNAが、プローブへの特異的なハイブリダイゼーションを介して増幅を開始する(図3、4)。このハイブリダイゼーションにより、二本鎖特異的リボヌクレアーゼに対する、二本鎖機能的酵素作用部分配列がつくられる。たとえば、RNA/DNA二本鎖上の標的RNA配列が、種々の非特異的部位にて、RNaseHによって消化されうる。1つの実施形態において、標的相補部分の一部(好ましくは3’部分配列)が、RNAによってつくられうる(図3D、3E、3F)。標的RNA配列とARTプローブの標的相補部分間のハイブリダイゼーションによって、RNA/DNAハイブリッドを持つ一部分、およびRNA/RNAハイブリッドを持つ一部分が形成される。RNA/RNAハイブリッド上の標的RNAは、RNaseH開裂に抵抗性であり、したがって、標的RNAは、RNaseHにて完全には消化されない。このアプローチにより、RNA配列そのままの一部が残り、消化されたRNAの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長される。ARTプローブ上のRNA部分が、ヌクレアーゼによって消化されないように修飾されることがまた好ましい。修飾されたヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合を含んで良い。
いくつかの実施形態において、酵素作用部分の1つが、RNAポリメラーゼプロモーター配列である(図5、6)。RNAポリメラーゼプロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーターの配列と、鋳型部分とプロモーターの配列の間に位置する、転写開始領域を含む。プロモーターは、任意の好適なRNAポリメラーゼに対するプロモーターであってよい。RNAポリメラーゼの例は、大腸菌(E.coli)およびバクテリオファージT7、T3およびSP6からのポリメラーゼである。好ましくはRNAポリメラーゼは、バクテリオファージ由来RNAポリメラーゼであり、とりわけT7ポリメラーゼである。プロモーター配列が、一般的に特定のRNAポリメラーゼによって認識されるので、ARTプローブのプロモーター部位に対する同起源ポリメラーゼが、転写増幅のために使用されるべきである。プロモーター配列は、プローブ中の何処に位置してもよい。プローブが直線の場合、プロモーターは、標的相補部分にすぐに連結し、ARTプローブの5’末端に向かって転写を促進する方向となる。
3.鋳型部分
ARTプローブは、少なくとも1つの鋳型部分を含む。ARTプローブが直線分子の場合、同一、またはほぼ同一の配列を含む、2つの鋳型部分が好ましい。ARTが環状分子の場合、全ARTプローブが鋳型として働き、よって、ARTプローブが、その中に組み込まれた他の機能的部位を持つ、1つの鋳型を含むと認識可能である。鋳型部分は、任意の望ましい長さを持ちうる。鋳型部分は、SSEPの多数のコピーを産生するための鋳型として、およびSSEPアニーリングのための鋳型として、働く。この目的のために、鋳型部分に関して6〜300ヌクレオチドの長さが好ましく、鋳型部分15〜150ヌクレオチド長がもっとも好ましい。鋳型部分は、任意の望ましい配列を持ちうる。一般的に、鋳型部分の配列は、核酸試料中の任意の配列に有意に類似しない、または、CELA反応中の他のARTプローブの配列に有意に類似しないように、選択可能である。
いくつかの実施形態において、鋳型部分が、標的相補部分と重複してよい(図1F、図3C、3D、図5B、5C)。一般的に、2つの鋳型部分間の直線プローブに関して、少なくとも1つの酵素作用部分が存在し、RNAポリメラーゼプロモーターまたは制限部位を含みうる。ARTプローブの3’領域中の鋳型部位は、3’鋳型部分としてが好ましく、ARTプローブの5’末端における鋳型部分が、5’鋳型部分として好ましい。5’鋳型部分は通常、ARTプローブのもっとも5’末端に位置する。3’鋳型部分は、たとえば標的相補部分のいずれかの側(図1B、1C、1D、1E、1G)上、または標的相補部分内(図1F)の任意の位置に位置する。
いくつかの実施形態(図10、図11)において、DNA酵素を、一本鎖最終産物(SSEP)を検出するために使用する時、ARTプローブが、活性DNA酵素に相補的な、触媒的に不活性なアンチセンスDNA酵素配列、たとえば、10〜23DNAzyme、8〜17DNAzyme、または他のDNAzymeを含む。プローブが直線分子の場合、アンチセンスDNA酵素配列が、好ましくは、5’鋳型部分または、周辺部分配列を有するかまたは有しない鋳型部分内に位置する。プローブが環状分子の場合、アンチセンスDNA酵素配列は、プローブの任意の位置で存在しうる。いくつかの実施形態において、SSEPが、RNA酵素であると設計されたRNA分子である場合、ARTプローブは、プローブの鋳型部分中にアンチセンスRNA酵素を含みうる。
4.3’末端ブロック部分
ARTプローブが、ポリメラーゼによって伸長不可能であるように、その3’末端でブロッキング基によってブロックされるか、または環状分子であることが好ましい(図1H、1I、1J、1K、1L、図3F、図5E、図7E、7F、7G、7H、7I、7J)。ARTプローブの3’末端のブロックは、本技術分野で公知の任意の方法によって達成可能である。ブロッキング基は、核酸ポリメラーゼによって触媒される核酸ポリメライゼーションを阻害するために、核酸に加えることが可能な化学部位である。ブロッキング基は、一般的には、ヌクレオチドまたはその誘導体を構成するARTの3’末端に位置する。ブロッキング基を末端3’OHに連結することによって、3’OH基は、もはや、ポリメライゼーション反応においてヌクレオシド三リン酸を受容するのに有効ではない。
多数の異なる基を、プローブ配列の3’末端をブロックするために加えることが可能である。そのような基の例には、リン酸基、アルキル基、非ヌクレオチドリンカー、ホスホロチオエート、アルカン−ジオール残基、ペプチド核酸、および3’OHを欠くヌクレオチド誘導体(たとえばコルジセピン)が含まれる。
ARTプローブの3’末端はまた、CELA反応が、固体支持体上で実施可能なように、ガラススライド、ナイロン膜、プラスチック分子のような、固体支持体に接着しうる。5.ARTプローブの他の部位
特定の実施形態において、ARTプローブは、結合しない部位から、標識と結合した産物のアフィニティー分離を可能にする、プライマーの5’または3’末端または内部に組み込まれた1つまたはそれ以上の部位を含みうる。好ましい捕獲部分は、特異的に同起源リガンドと相互作用可能なものである。たとえば、捕獲部分には、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが含まれうる。捕獲基の他の例には、リガンド、レセプター、抗体、ハプテン、酵素、抗体またはアプタマーによって認識可能な化学基が含まれる。捕獲部分は、任意の望ましい基質上に固定化可能である。望ましい基質の例には、たとえば粒子、ビーズ、磁気ビーズ、光学的にトラップされたビーズ、マイクロタイタープレート、ガラススライド、紙、試験細片、ゲル、他のマトリックス、ニトロセルロース、ナイロンが含まれる。たとえば、捕獲部分がビオチンの場合、基質には、ストレプトアビジンが含まれうる。
いくつかの実施形態において、ARTプローブまたはARTプローブの組が、固体支持
体上に接着し、好ましくは、ARTプローブの3’末端が、固体支持体に接着する。固体支持体には、オリゴヌクレオチドが結合可能な、任意の固体物質が含まれうる。これには、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニル酢酸、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリケイ酸、ポリカルボン酸、テフロン(登録商標)、フルオロ炭素、ナイロン、シリコーンゴム、ポリ無水物、ポリグルコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフィルメラート、コラーゲン、グルコサミノグリカンおよびポリアミノ酸が含まれる。固体状態基質は、薄膜または膜、ビーズ、ボトル、皿、ファイバー、織り線維、成型ポリマー、粒子および微小粒子を含む、任意の有用な形態を持ちうる。固体支持体の好ましい形態は、ガラススライドである。
固体状態基質上に固定化されたARTプローブによって、特定の標的分子の捕獲および固体状態検出器上の増幅が可能になる。そのような捕獲によって、遺伝子発現プロファイリングおよび多重標的の検出に関する、便利な方法が提供される。たとえば、多重の異なる標的配列に特異的な、ARTプローブの3’末端を、それぞれ異なるスポットで、ガラススライド上に固定化可能である。標的配列に特異的な最終産物の増幅は、相当する標的配列が、試料中に存在した、ARTプローブに相当するスポット上でのみ発生する。
オリゴヌクレオチドの、固体状態基質への固定化に関する方法は、よく確立されている。ARTプローブを、確立された結合方法を用いて、基質に連結可能である。たとえば、好適な接着方法が、Peaseら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(11):5022−5026(1994)、およびKhrapkoら,Mol Biol(Mosk)(USSR)25:718−730(1991)にて記述されている。カゼインコートスライド上での、3’−アミンオリゴヌクレオチドの固定化の方法が、Stimpsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6379−6383(1995)によって記述されている。オリゴヌクレオチドの固体状態基質への接着の好ましい方法が、Guoら,Nucleic Acids Res.22:5456−5465(1994)によって記述されている。
6.ヘルパープライマー
ARTプローブは、ヘルパープライマーを含み得、これは、前記プローブの一部に対して相補的であるか、または本質的に相補的である、少なくとも1つの部分を含む(図1D、1E、1J、1K、1L、図7)。ヘルパープライマーは、3’末端ブロッキング部分を含み得、それによって、前記ヘルパープライマーの3’末端は、DNAポリメラーゼによって伸長可能ではない(図1J、1K、1L、7A、7G)。ヘルパープライマーは、3’末端ブロッキング部分を含まなくてよく、それによって、前記ヘルパープライマーの3’末端は、DNAポリメラーゼによって伸長可能である(図7B)。
ヘルパープライマーは、フランキング配列を有するかまたは有さない、プローブの酵素作用部分あるいは酵素作用部分の一部に対して相補的な配列を含んで良く、それによって、前記ヘルパープライマーと前記プローブ間のハイブリダイゼーションが、酵素作用部分を、二本鎖、または部分的に二本鎖にする(図1D、1E、1J、1K、1L、7A、7C、7D、7F、7G、7H、7I、7J)。プローブの酵素作用部分または酵素作用部分の一部に相補的なヘルパープライマー上の配列は、プローブとヘルパープライマー間のハイブリダイゼーションを支持し、酵素作用部分を機能的または部分的に機能的にする、任意の長さであり得る。
ヘルパープライマーは、伸長可能であり、プローブの酵素作用部分の1つに対する3’配列に相補的な、3’配列を含んで良い。ヘルパープライマーとプローブ間のハイブリダイゼーション、およびDNAポリメラーゼによる、前記ヘルパープライマーの3’末端の伸長によって、酵素作用部分を二本鎖、および完全に機能的、または部分的に機能的にす
る(図7B、7E)。プローブの1つの酵素作用部分の3’配列に対して相補的である、ヘルパープライマーの3’末端配列は、2〜15ヌクレオチド、好ましくは3〜10ヌクレオチド、より好ましくは4〜8ヌクレオチドの長さを持つ。
ヘルパープライマーは、さらに、少なくとも1つの標的相補部分を含んで良く、これは、前記プローブに対して相補的な標的領域に連結するか、または本質的に連結する標的領域にハイブリダイゼーションする(図1J、1K、7A〜G)。ヘルパープライマーの標的相補部分は、ヘルパープライマーと標的配列間の特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを支持する任意の長さでありうる。本目的のために、ヘルパープライマーの標的相補的部位に関して、9〜60ヌクレオチドの長さが好ましく、15〜40ヌクレオチド長がもっとも好ましい。
ヘルパープライマーは、3’および5’標的相補部分の両方を含んで良い。ARTプローブに対して相補的な標的領域は、ヘルパープライマーに対して相補的な標的領域の中間に位置し、ヘルパープライマーに対して相補的な標的領域に隣接または本質的に隣接する(図7H〜J)。
ヘルパープライマーは、ARTプローブの任意の部位に対して相補的な他の配列を含みうる(図1K、1L)。ヘルパープライマーは、ARTプローブの任意の部位に対して相補的でない可能性のある、他の配列を含んで良い(図7J)。
ヘルパープライマーは、ARTプローブおよび/または標的配列に対して効果的にハイブリダイズする限り、任意の長さをもってよい。ヘルパープライマーは、任意の所望のヌクレオチド修飾を含んで良い。
C.検出標識
CELAを用いて増幅した核酸の検出および定量を助けるために、検出標識を、増幅核酸に直接組み込むことが可能であり、または検出分子に結合可能である。本明細書で使用するところの、検出標識は、直接または間接的に、増幅核酸に連結可能であり、直接的または間接的いずれかで、測定可能、検出可能なシグナルとなる、任意の分子である。核酸へ挿入するか、または核酸もしくは抗体プローブへ結合するための、多くのそのような標識が、当業者に公知である。CELAでの使用に好適な検出標識の例は、放射活性同位体、蛍光分子、燐光性分子、酵素、抗体およびリガンドである。
好適な蛍光標識の例には、制限はしないが、フルオレセイン(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、ダンシルクロライド、ローダミン、4’−6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、およびシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が含まれる。好ましい蛍光標識は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセインN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)およびローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)である。コンビナトリアル多重色コーディングのための好ましい蛍光標識は、FITCとシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7である。これらの蛍光団のそれぞれ吸収および放射極大は、FITC(490nm、520nm)、Cy3(554nm、568nm)、Cy3.5(581nm、588nm)、Cy5(652nm、672nm)、Cy5.5(682nm、703nm)およびCy7(755nm、778nm)であり、したがって、同時の検出が可能である。蛍光標識は、Molcular Probes、Eugene、Oreg.およびResearch Organics、Cleveland,Ohioを含む、種々の市販の供給源から得られる。
標識ヌクレオチドは、合成の間に、SELAの産物内に直接組み込むことが可能である
ので、検出標識の好ましい形態である。増幅DNAまたはRNAポリメラーゼ内に組み込むことが可能である検出標識には、BrdUrd(Hoy and Schimke,Mutation Research 290:217−230(1993))のようなヌクレオチド類似体、BrUTP(Wansickら,J.Cell Biology 122:283−293(1993))、およびビオチン(Langerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6633(1981))またはジゴキシゲニンのような好適なハプテン(Kerkhof,Anal.Biochem.205:359−364(1992))で修飾したヌクレオチドが含まれる。好適な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアネート−dUTP、シアニン−3−dUTPおよびシアニン−5−dUTP(Yuら,Nucleic Acids Res.,22:3226−3232(1994))である。DNAのための、好ましいヌクレオチド類似体検出標識は、BrdUrd(BUDR三リン酸、Sigma)であり、RNAのための、好ましいヌクレオチド類似体検出標識は、ビオチン−16−ウリジン−5’−三リン酸(ビオチン−16−dUTP、Boebringher Mannheim)である。フルオレセイン、Cy3およびCy5は、直接標識のために、dUTPに連結可能である。Cy3.5およびCy7は、ビオチン−またはジゴキシゲニン標識プローブの二次検出のための、アビジンまたは抗−ジゴキシゲニン共役物として入手可能である。
ビオチンのような、増幅核酸に組み込むことが可能な検出標識は、つづいて、本技術分野で周知の感度の良い方法を用いて検出可能である。たとえば、ビオチンは、ビオチンに結合し、続いて、好適な基質(たとえば、化学発光基質CSPD:3−(4−メトキシスピロ−[1,2−ジオキセタン−3−2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.1.sup.3,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸、二ナトリウム、トロピックス社(Tropix,Inc.))の化学発光によって検出される、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ共役物(トロピックス社)を用いて検出出来る。
増幅RNAの検出での使用のための好ましい検出標識は、アクリジン−エステル標識DNAプローブ(GenProbe,Inc.、Arnoldら,Clinical Chemistry 35:1588−1594(1989)によって記述されたような)である。アクリジン−エステル標識検出プローブによって、ハイブリダイズしないプローブが、アルカリで破壊可能であるので、洗浄なしに、増幅RNAの検出が可能になる(Arnoldら(1989))。
これらの検出標識の2つまたはそれ以上を組み合わせる分子もまた、考慮される検出標識である。公知の検出標識のいくつかは、開示したプローブ、タグ、および、開示した方法を用いて増幅した核酸を標識し、検出するための方法と共に使用可能である。検出標識によって産生されたシグナルを検出および測定するための方法も、本技術分野で公知である。たとえば、放射活性同位体は、シンチレーション計数、または直接の視覚化によって検出可能であり、蛍光分子は、蛍光分光光度計によって検出可能であり、燐光性分子は、分光光度計、またはカメラでの直接の視覚化によって検出可能であり、酵素は、酵素によって触媒された反応の産物の検出または視覚化によって検出可能であり、抗体は、その抗体に連結する二次検出標識を検出することによって検出可能である。そのような方法は、増幅および検出の開示方法にて、直接的に使用可能である。本明細書で使用するところの、検出分子は、増幅核酸と相互作用し、1つまたはそれ以上の検出標識が結合する、分子である。
D.レポーター基質
レポーター基質分子は、DNAzyme開裂部位のいずれかの側に組み込まれた蛍光共鳴エネルギー転移蛍光団を含む、RNAまたはDNA−RNAキメラでありうる(Santoroら,Biochemstry 1998,37,13330−13342)。任意の蛍光団および任意のクエンチャーを、任意の望ましい場所で、レポーター基質に組み
込むことができる。1つの例は、レポーターである6−カルボキシフルオレセイン(RAM)が、5’末端に組み込まれ、クエンチャーである6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)または4−(4−ジメチルアミノフェニラゾ)安息香酸(DABCYL)が、内部に組み込まれる。3’リン酸基のような、任意のブロッキング部分を、反応の間のDNAポリメラーゼによる伸長を防止するために、3’末端に加えることができる。このレポーター基質の開裂によって、増幅の成功を示す、蛍光の増加が産生される。
E.DNAポリメラーゼ
組み合わせた指数関数的および直線的増幅(CELA)のために、DNAポリメラーゼは、鋳型鎖に対して相補的な鎖を置換する、すなわち鎖置換が可能であり、5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くことが好ましい。鎖置換は、100ヌクレオチド以上、または50ヌクレオチド以上であり得る、長い配列を持つSSEPの多数のコピーの合成をするために必要であり得る。しかしながら、3〜50ヌクレオチドの範囲内であり得る、短いSSEPの産生のために、鎖置換は必要ではない可能性がある。存在するならば、5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性は、結果として合成された鎖の分解となる。また、開示した方法での使用のためのDNAポリメラーゼは、非常に前進性であることが好ましい。好ましいDNAポリメラーゼは、バクテリオファージ.phi.29 DNAポリメラーゼ(Blancoらに付与された、米国特許第5,198,543号および第5,001,050号)、ファージM2 DNAポリメラーゼ(Matsumoto et al.,Gene 84:247(1989))、ファージ.phi.PRD1 DNAポリメラーゼ(Jung et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:8287(1987))、VENT.RTM.DNAポリメラーゼ(Kong et al.,J.Biol.Chem.268:1965−1975(1993))、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Jacobsen et al.,Eur.J.Biochem.45:623−627(1974))、T5 DNAポリメラーゼ(Chatterjee et al.,Gene 97:13−19(1991))、PRD1 DNAポリメラーゼ(Zhu and Ito,Biochim.Biophys.Acta.1219:267−276(1994)、修飾T7 DNAポリメラーゼ(Tabor and Richardson,J.Biol.Chem.262:15330−15333(1987)、Tabor and Richardson,J.Biol.Chem.264:6447−6458(1989)、Sequenase.TM(U.S.Biochemicals))、T4 DNAポリメラーゼ ホロ酵素(Kaboord and Benkovic,Curr.Biol.5:149−157(1995))、Bcaポリメラーゼ(Takara)およびBst ポリメラーゼ(NEB)である。.phi.29およびBst DNAポリメラーゼがもっとも好ましい。
鎖置換は、ヘリカーゼのような鎖置換因子の使用を介して促進可能である。DNAポリメラーゼが鎖置換因子の存在しない場合に、鎖置換を達成しない場合であっても、鎖置換因子の存在下、鎖置換を達成可能な任意のDNAポリメラーゼが、本開示方法での使用に好適であることが考えられる。CELAで有用な鎖置換因子には、限定はしないが、BMRF1ポリメラーゼアクセサリーサブユニット(Tsurumi et al.,J.Virology 67(12):7648−7653(1993))、アデノウイルスDNA−結合タンパク質(Zijderveld and van der Vliet,J.Virology 68(2):1158−1164(1994))、単純ヘルペスウイルスタンパク質ICP8(Boehmer and Lehman,J.Virology 67(2):711−715(1993)、Skaliter and Lehman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(22):10665−10669(1994))、一本鎖DNAポリメラーゼ結合タンパク質(SSB;Rigler and Romano,J.Biol.Chem.270:8910−8919(1995))、およびウシ甲状腺ヘリカーゼ(Siegel et al.,J.Biol.Chem.267:13629−13635(1992))が含まれる。
E.RNAポリメラーゼ
インビトロでの転写を実施可能であり、そのプロモーター配列が同定されてきている任意のRNAポリメラーゼが、本開示CELA法にて使用可能である。複合体要求なしの、安定RNAポリメラーゼが好ましい。もっとも好ましいのは、特定のプロモーター配列に非常に特異的である(Schenborn and Meiredorf,Nucleic Acids Research 13:6223−6236(1985))、T7 RNAポリメラーゼ(Davanloo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 81:2035−2039(1984))、およびSP6 RNAポリメラーゼ(Butler and Chamberlin,J.Biol.Chem.257:5772−5778(1982))である。この特徴を持つ他のRNAポリメラーゼもまた好ましい。プロモーター配列は、一般的に特定のRNAポリメラーゼによって認識されるので、ARTプローブは、使用するRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列を含むべきである。多くのプロモーター配列が公知であり、プロモーター配列が同定された任意の好適なRNAポリメラーゼを使用可能である。
F.制限酵素およびリボヌクレアーゼ
本開示方法は、二本鎖核酸の1つの鎖を開裂させるための、制限酵素(また、制限エンドヌクレアーゼとも言う)を使用してよい。他の核酸開裂試薬もまた、使用して良い。好ましい核酸開裂試薬は、核酸分子を、配列特異的様式で開裂するものである。多くの制限酵素が公知であり、本開示法とともに使用可能である。制限酵素は一般的に、認識配列と開裂部位を持つ。
いくつかの実施形態において、プローブにハイブリダイズした標的RNAの消化が、リボヌクレアーゼで実施される。そのようなリボヌクレアーゼは、二本鎖RNA/DNAハイブリッド上に見られるRNA鎖を消化する。本発明の実施に有用なそのようなリボヌクレアーゼの例は、RNaseHである。RNaseHは、RNA特異的消化酵素であり、非配列特異的様式にて、DNA/RNAハイブリッドに見られるRNAを開裂させる。ExoIIIおよび逆転写酵素のような、他のリボヌクレアーゼおよび酵素が、RNA/DNA鎖から、RNAをニックする、または部分的に消化するために好適であり得る。
以上で記述した物質は、本開示方法を実施するために有用なキットとして、好適な組み合わせで、一緒にパッケージ可能である。
II 方法
本発明は、組み合わせた指数関数的および直線的増幅を可能にする、特別に設計されたプローブを提供する。本プローブは、直線物質または環状物質である。
組み合わせた指数関数的および直線的増幅(CELA)の開始は、標的配列と、ヘルパープライマーを含むARTプローブ間の特異的ハイブリダイゼーションに依存する。標的配列を含むDNAまたはRNA分子の存在下、ARTプローブの標的相補部分が、標的配列にハイブリダイズし、二本鎖になり、機能的または部分的に機能的な酵素作用部分配列を形成し、標的配列に関して、DNAポリメラーゼによって伸長可能であるようにするか、消化試薬によって消化可能、または部分的に消化可能にし、ついで、消化された鎖の3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、他の機能的な酵素作用部分が作成される。続く繰り返しの重合化によって、多数の一本鎖最終産物(SSEP)のコピーが産生され、ついで遊離ARTプローブにアニールし、新規伸長を開始し、新規SSEPが産生される。
直線的増幅は、個々のARTプローブが、多数のSSEPのコピーを産生するときに達成される。指数関数的増幅は、遊離ARTプローブにアニールし、新規SSEP産生が開始する、SSEPの繰り返し複製の間に達成される。反応中に遊離ARTプローブが存在する場合、反応は、指数関数的および直線的増幅が混合し得、一方で全てのART分子が
SSEPにハイブリッド形成し、二本鎖になった後に、直線的増幅が主となる。
本開示法にて、核酸増幅に続き、増幅された二本鎖最終産物、一本鎖最終産物(SSEP)およびピロホスフェート(PPI)を、蛍光標識の検出、酵素連結検出システム、マイクロアレイハイブリダイゼーション、キャピラリーおよびゲル電気泳動、蛍光偏光、質量分析、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、時間分解蛍光検出、電気検出および発光検出のような、任意の従来の検出系を用いて検出および定量可能である。
本発明は、DNAzymeを用いる検出方法も提供する。ARTプローブは、DNAzymeの相補(アンチセンス)配列を含む。増幅の間、一本鎖最終産物が、反応混合液中に含まれるレポーター基質を開裂する、DNAzymeの活性(センス)コピーを含んで、産生される。
CELA反応の主要なステップを以下に記述している。全てのステップは、単一反応として、単一チューブ内で達成されてよく、または別々の反応として異なるチューブ中で実施され得る。単一反応形式が好ましい。
A.標的特異的ハイブリダイゼーション
ARTプローブまたはARTプローブの組、またはARTプローブの混合物、およびヘルパープライマーを、標的DNA、RNA、または両方を含む試料とともに、好適なハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、よって、ARTプローブまたはヘルパープライマーの標的相補部分中に二本鎖DNA/DNAまたはRNA/DNAハイブリッドが形成され、これによって、プローブの酵素作用部分の1つが、部分的または完全に機能的である。1つの酵素作用部分が、標的相補部分内に位置する、制限部位である場合、ハイブリダイゼーションによって、制限部位が二本鎖になり、したがって機能的になる。1つの酵素活性配列が、その開裂部位が、標的相補部分内に位置する、IIS型制限部位である場合、ハイブリダイゼーションにより、制限開裂部位が、二本鎖になり、したがって、IIS型制限部位が部分的に機能的になる。1つの酵素活性配列が、標的相補部分と重なるRNaseH作用配列である場合、ハイブリダイゼーションによって、RNaseH作用配列が二本鎖になり、したがって、完全に機能的になる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件により、続く増幅が、標的配列とARTプローブ間の完全なマッチに依存することが可能になり、対立遺伝子識別が達成され得る。
CELA反応中で使用する場合、ヘルパープライマーが、標的およびARTプローブ両方にハイブリダイズし得、したがって、標的とプローブ間の特異的ハイブリダイゼーションを促進する。
B.プローブの全ての活性部分を二本鎖および完全に機能的にする。
いくつかの実施形態において、標的核酸がRNAの場合、ステップ(A)にて、機能的酵素作用部分であるRNaseH消化部位が形成される(図3、4)。プローブの全ての他の酵素作用部分を、二本鎖および完全に機能的にするために、本ステップには、RNaseHによってRNA鎖を消化すること、およびDNAポリメラーゼによって、鋳型としてプローブを用いて、消化された鎖の3’末端を伸長させること、が含まれ、それによってプローブ上の全ての他の酵素作用部分が二本鎖および機能的になる。プローブ上の他の酵素作用部分が、制限部位またはRNAポリメラーゼプロモーター、または制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含んで良い。さらなる実施形態において、部分的に消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による鎖置換が含まれ得る。
RNaseHは、非配列特異的様式にて、DNA/RNAハイブリッド中でみられるRNAを開裂する、RNA特異的消化酵素である。RNA鎖の完全な消化を防止するために、ARTの標的相補部分の一部分が、RNAによって作成され(図3D)、したがって、RNA/RNAハイブリッドが、RNaseHによる消化に抵抗性である。
いくつかの実施形態において、1つの酵素作用部分が、制限部位であり、ARTプローブの標的相補部分内に位置する場合、ステップ(A)によって、前記制限部位が完全に機能的になる。全てのプローブの他の酵素作用部分を、二本鎖かつ完全に機能的にするために、本ステップに、前記プローブの反対鎖を消化すること、およびDNAポリメラーゼによって鋳型としてプローブを用いて、消化した鎖の3’末端を伸長させること、が含まれ、それによって、プローブ上の全ての他の酵素作用部分が、二本鎖かつ機能的になる。前記プローブ上の他の酵素作用部分が、他の酵素制限部位、RNAポリメラーゼプロモーター、または制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含みうる。あるいは、前記制限部位が、プローブ上のただ1つの酵素作用部分である。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらにDNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による鎖置換が含まれうる。
いくつかの実施形態において、酵素作用部分の1つが、プローブの標的相補部分上のIIS制限部位の開裂部位、およびプローブの標的相補部分のいずれかの側上の、IS型制限部位の認識部位を持つ、IIS型制限部位である場合で、ステップ(a)が、プローブの標的相補部分を二本鎖にし、それによって、IIS型制限部位の機能的開裂部位が形成される場合、ステップ(b)に、ヘルパープライマーを、プローブへアニールすること、およびIIS型制限部位の認識配列を、二本鎖にすること、が含まれる。1つの実施形態において、ヘルパープライマーを、プローブにアニーリングすること、およびIIS型制限部位の認識配列を二本鎖にすることに、ヘルパープライマーを、フランキング配列を有するかまたは有さないIIS型制限酵素認識配列に直接アニーリングさせ、それによってIIS型制限部位の二本鎖認識配列が形成される、ことが含まれる。他の実施形態において、ヘルパープライマーをプローブへアニーリングすること、およびIIS型制限部位の認識配列を二本鎖にすること、に、ヘルパープライマーの3’末端配列を、IIS型制限認識配列の3’配列にアニーリングさせること、および鋳型としてプローブを用いることにより、DNAポリメラーゼによってヘルパープライマーの3’末端配列を伸長させること、が含まれ、それによって、IIS型制限部位の二本鎖認識配列が形成される。
遺伝子型決定のため、とりわけSNPまたはヌクレオチドメチル化の遺伝子型決定のため、標的特異的ARTプローブ、ヘルパープライマー、およびIIS型制限酵素を、反応中に含める(図8および図13)。IIS型制限酵素を使用する利点は、解析のための標的配列が、任意の特定の配列、たとえば制限酵素部位を含むと制限される必要が無いことである。ユニバーサル制限酵素を、全ての検出反応で使用可能である。IIS型制限酵素部位は、通常、ARTプローブの標的相補部分のいずれかの側上に位置し(図1Dおよび1E、7A、7B、7Cおよび7D)、一方、IIS型制限開裂部位は、標的相補部分上に位置する。IIS型制限が、SNPヌクレオチド、変位ヌクレオチド、メチル化ヌクレオチド、スプライシング連結ヌクレオチドおよび他の対象の特異的ヌクレオチドの3’を開裂することが望ましい。IIS型制限酵素の1つが、FokIでありうる。FokI制限酵素は、ARTプローブとヘルパープライマーのアニーリング、またはARTプローブ鋳型上のヘルパープライマーの伸長によって形成される、オリゴデオキシヌクレオチドアダプター−プライマーとともに、先に決定された部位で、DNAを開裂する。ARTの標的相補部分が、標的変性DNAまたはRNA上の相補配列を選択し、それとハイブリッド形成し、二本鎖開裂部位を形成する。しかしながら、FokI酵素が、標的鎖を開裂可能である前に、ART上の一本鎖FokI認識部位は、機能的な二本鎖DNAに変換しなければならない。これは、ヘルパープライマーによって達成される。いくつかの実施形態に
おいて、ヘルパープライマーの標的相補部分とARTプローブが、隣接部位にて、標的とハイブリダイズし、ヘルパープライマーのいくつかの部位とARTプローブが互いにハイブリダイズする。いくつかのさらなる実施形態において、ヘルパープライマーとARTプローブが、特定の標的の存在下で、互いにアニールするのみであるように、設計される。ヘルパープライマーが、標的配列の存在下で、ARTプローブにアニールしたのに続いて、DNAポリメラーゼが、ARTプローブの鋳型部分を複写することによって、ヘルパープライマーの3’末端を伸長し、二本鎖機能的FokI認識部位を産生する(図8および13)。
本発明のいくつかの実施形態において、ARTの標的相補部分が、任意の供給源からであって良い、標的DNAまたはRNA分子の遊離3’末端にハイブリダイズし、標的の3’末端が、ARTプローブを鋳型として直接用いて、DNAポリメラーゼによって伸長されうる。したがって、すべての機能的酵素作用部分が、標的鎖の消化の必要なしに形成される。
いくつかのCELA反応において、高い特異性が、以下の因子によって達成されうる。第1に、ARTプローブの標的相補部分と、標的配列間の標的特異的ハイブリダイゼーションにより、第1レベルの特性が提供される。第2に、ヘルパープライマーのARTプローブへのアニーリング、および/または鋳型としてプローブを用いるヘルパープライマーの3’末端の伸長が、ARTプローブおよびヘルパープライマー両方を含む、標的配列の存在下でのみ実施されうる。第3に、時折、非標的特異的ハイブリダイゼーションがおこる場合、IIS型制限酵素(使用する場合)は、開裂部位のミスマッチを開裂しないか、非効率的に開裂し、連鎖反応は起こらない。最後に、非標的特異的ハイブリダイゼーション、およびIIS型制限酵素によるミスマッチ開裂が起こる場合、ミスマッチヌクレオチドのために、ニック部位の3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長可能ではない可能性がある。
C.一本鎖最終産物(SSEP)を産生するための、二本鎖酵素作用部分を含むプローブの処理
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分に、制限部位が含まれる場合、ステップ(c)に、制限酵素によって、制限部位上のプローブの反対の鎖を消化すること、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長すること、および消化と伸長を繰り返すこと、が含まれ、それによって多数のSSEP DNAのコピーが産生される。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれうる。好適なDNAポリメラーゼおよび制限酵素は、材料の項にて記述している。
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分に、RNAポリメラーゼプロモーターが含まれる場合、ステップ(c)に、RNAポリメラーゼプロモーターに作用する、RNAポリメラーゼによる繰り返し転写が含まれ、それによって多数のSSEP RNAのコピーが産生される。
いくつかの実施形態において、プローブの酵素作用部分が、制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含む場合、ステップ(c)には、制限酵素によって、制限部位上のプローブの反対の鎖を消化すること、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長させること、消化および伸長を繰り返すこと、が含まれ、それによって、SSEP DNAの多数のコピーが産生され、またRNAポリメラーゼプロモーターに作用するRNAポリメラーゼによる転写が繰り返され、それによって、多数のSSEP RNAのコピーが産生される。さらなる実施形態において、消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれう
る。
D.SSEPの遊離プローブへのアニーリング、および前記プローブの全ての酵素作用部分を二本鎖および完全に機能的にすること
いくつかの実施形態において、SSEPが、DNA分子またはRNA分子、あるいはDNAおよびRNA分子両方である場合、ステップ(d)に、SSEPを、遊離プローブの配列部分にアニーリングすること、および鋳型として遊離プローブを用いて、SSEPの3’末端を伸長することが含まれ、それによってプローブの全ての酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。プローブが直線分子である場合、SSEPは、5’鋳型部位配列を含む、プローブの酵素作用部分(たとえば制限部位)の1つに対する5’配列に相補的である。プローブの3’鋳型部分および5’鋳型部分が、同一またはほぼ同一の配列を含むので、SSEPの3’末端が、3’鋳型部分に対して相補的である。SSEPは、遊離プローブの3’鋳型部分にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが形成され、繰り返し消化および伸長が誘発される。プローブが環状分子である場合、SSEPは、ARTプローブの全配列に対して相補的である。SSEPは、遊離ARTプローブに完全に、または部分的にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長し、したがって、二本鎖ARTプローブが形成され、繰り返し消化および伸長が誘発される。SSEPの3’末端または消化された鎖の3’末端の伸長は、鎖置換活性を持つか、または他の鎖置換因子を含むDNAポリメラーゼによって達成されうる。
いくつかの実施形態において、SSEPがRNA分子である場合、ステップ(d)に、SSEPを遊離プローブの配列部位にアニーリングすること、RNaseHによってSSEPを消化すること、および鋳型として遊離プローブを用いて、部分的に消化されたSSEPの3’末端を伸長させること、が含まれ、それによって全ての酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。
いくつかの実施形態において、プローブが環状分子である場合、SSEPの配列に、プローブの全配列に対して相補的な、1つまたは2つ以上の配列ユニットが含まれ、ステップ(d)に、SSEPを、遊離プローブの全体または部分にアニーリングすることが含まれ、それによって、酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる。
プローブが直線分子の場合、SSEPが、プローブの3’鋳型部分にアニールし、したがって連鎖反応を誘発する。プローブの3’鋳型部分にアニーリングするSSEPの可能性は、異なるプローブの設計に依存して、変化する。SSEPが、5’鋳型部分領域から産生されるので、SSEPが、3’鋳型部分にアニールするよりも好ましく、遊離ARTプローブの5’鋳型部分にアニールし得る。しかしながら、3’および5’鋳型部分配列が同一である場合、SSEPは、両方の部位に等しくアニールし得る。いくつかの場合、3’鋳型部分にアニールする、小さな割合のSSEPは、連鎖反応カスケードを誘発するのに十分であり得る。
プローブが、ただ1つの鋳型部分のみを含む、環状分子である場合、SSEPは、全環状ARTプローブに対して相補的である、1つまたはそれ以上の全ユニットを含み得る。環状ARTプローブに対する、SSEPの完全な相補性のために、SSEPが、遊離環状ARTプローブに即座にアニールし得、効果的に連鎖反応を誘発し得る。
E.ステップ(C)および(D)の繰り返し。それによって、ARTプローブが、二本鎖または部分的二本鎖形態に変換され、多数のSSEPのコピーが繰り返し産生される。
全ての試薬が単一のチューブ内であるので、全ての上記ステップは、同時に起こり得、ステップ間の明確な境界はない。ステップCおよびDが、多数回繰り返される。遊離AR
Tプローブが存在する限り、反応が、組み合わせた指数関数的および直線的増幅として残り得る。いったんすべてのARTプローブがSSEPにハイブリッド形成されたなら、直線的増幅が主となり得る。反応により、標識および検出可能な、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPiが蓄積される。
F.検出
増幅二本鎖最終産物、一本鎖SSEPおよびPPiを、任意の従来の検出システムを用いて検出および定量可能である。たとえば、二本鎖ARTおよび一本鎖SSEPを、蛍光検出、蛍光偏光、蛍光共鳴エネルギー転移、質量分析、電気検出およびマイクロアレイによって検出可能である。とりわけ、二本鎖ARTを、二本鎖特異的蛍光色素SYBRグリーンに結合させることで検出可能である。本発明において、一本鎖SSEPを、以下に概略したように、DNAzyme仲介開裂によって検出する。産生されたPPiを、ATPに変換可能であり、得られたATP濃度を、ホタルルシフェラーゼにて、検出および定量する(図9)。
CELA産物を、蛍光ヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、ジゴキシゲニン−含有ヌクレオチドまたはブロモデオキシウリジンのような、標識部分を組み込むことによって検出しうる。
遺伝子発現プロファイリングに関する1つの実施形態において、マイクロアレイ検出システムが使用可能である。CELAを、異なる増幅繰り返し鋳型(ART)プローブの組を用いて多重化し、ここでそれぞれのARTプローブが、特異的標的遺伝子に対する結合のために設計された、異なる標的相補部分を持ち、それぞれのARTプローブがまた、マイクロアレイ上の特定のオリゴヌクレオチドに結合するSSEPのために設計された、異なる鋳型部分を含む。その標的にハイブリダイズ可能であるそのようなARTプローブのみが、その特異的SSEPを産生する。遺伝子発現プロファイリングに関する他の実施形態において、ARTプローブをマイクロアレイ上にスポットする。CELA反応の間、二本鎖ARTがつくられ、種々の検出システムを用いて、検出および定量可能である。検出システムの1つは、リアルタイムにモニタ可能な、SYBRグリーン染色を用いるものである。
G.一本鎖最終産物−SSEPのDNAzyme仲介検出
本発明はまた、最終産物−一本鎖SSEPの検出のための、DNAzymeの使用をする(図10)。ARTの鋳型部分には、DNA酵素の相補(アンチセンス)配列、たとえば10〜23 DNAzymeが含まれる。CELA反応の間、SSEPが、DNAzymeの活性(センス)コピーを含んで産生される。DNA酵素は、DNAzyme開裂部位のいずれかの側上に組み込まれた、蛍光共鳴エネルギー転移蛍光プローブを含む、RNAまたはDNA−RNAキメラレポーター基質に結合する。このレポーター基質の開裂によって、CELA増幅の成功を示す、蛍光の増加が起こる。
DNAおよびRNA単離。ゲノムDNAを、標準の方法を用いて生存マウスより単離した。全RNAを、供給業者によって推奨されたように、RNAzol B試薬(バイオジェネシス社(Biogenesis Ltd))を用いて、マウス胸腺および脾臓から単離した。ポリ(A)+RNAを、mRNA単離キット(キアゲン(Qiagen))を用いることによって、全RNAからさらに精製した。
オリゴヌクレオチドプローブ:ARTプローブおよびその標的配列β−アクチン遺伝子を、図11にて、マップ上で示している。ARTプローブは、5’−dCCGGAGACGTCGTTGTAGCTAGCCTGCGTCsAACAAGCCsGGCTTTGCACATGCCGGAGACGTCGTTGp−3’である。イタリック体ヌクレオチド
は、HincII(28〜33)およびNaeI(36〜41)認識部位であり、下線ヌクレオチド(3’および5’末端の15塩基)が、鋳型配列である。「s」は、ホスホロチオエート結合を示す。「p」は、3’リン酸を表している。基質プローブは、RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド、5’−dCCGGAGACGauGCGTCAp−3’であり、下の場合、RNA塩基である。6−カルボキシフルオレセイン(FAM)が、ヌクレオチド7にて組み込まれ、クエンチャー4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)が、5’末端からヌクレオチド13にて組み込まれる。
CELA反応条件は以下の通りである。50mM リン酸カリウム、pH7.6、7.5mM MgCl2、8%グリセロール、0.1mg/ml BSA、1000nM ARTプローブ、200nM 各dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、100ユニット HincII制限酵素(New England Biolabs)、1ユニット エキソ−Klenow(New England Biolabs)、0.1ユニット RNaseH(Gibco BRL)および示した量のマウスmRNA。各試料に関して、HincII、KlenowおよびRNaseH以外のすべての試薬を、微小遠心チューブ中で混合し、試料を、3分間、70℃にて熱し、ついで室温で平衡化した。ついで酵素を、単一量で加え、反応液を5分間、室温に放置した。ついで反応を、示した時間、37℃にてインキュベートした。産物をゲル電気泳動または蛍光検出にかけた。
CELA実験を、ゲノムDNAおよびmRNA両方からの、マウスβ−アクチン遺伝子を標的とする、同一のARTプローブを用いて実施した。5ngのマウスmRNA含む試料を、異なる時間点の間、CELA反応にかけた(図12A)。二本鎖最終産物が、20分内に検出可能であり、一本鎖最終産物が60分内にみられる。異なる量のmRNAを含む試料を、60分間、CELA反応にかけた(図12B)。二本鎖産物が、10pg mRNAを含む反応中で検出される。
最終産物の1つである一本鎖分子は、基質を触媒することによって検出された、DNAzymeである(図11)。DNAzyme酵素は、DNAzyme開裂部位のいずれかの側上に組み込まれた、蛍光共鳴エネルギー転移蛍光プローブを含む、DNA−RNAキメラレポーター基質に結合する。本レポーター基質の開裂によって、CELAの成功を示す、蛍光の増加となる。
オリゴヌクレオチドプローブ:ARTプローブ、ヘルパープライマーおよびその標的配列を、図13中のマップ上で示している。p450標的遺伝子のC対立遺伝子に相当する、ARTプローブSNP−Gは、5’CCGGAGACGTCGTTGTAGCTAGCCTGCGTCAGGATGCAGCAGCTTsTsCTTGAAGAGCAAACCGGAGACGTCGTTGp3’の配列を持つ。p450標的遺伝子のT対立遺伝子に相当する、ARTプローブSNP−Aは、5’CCGGAGACGTCGTTGTAGCTAGCCTGCGTCAGGATGCAGCAGCTTsTsCTTAAAGAGCAAACCGGAGACGTCGTTGp3’の配列を持つ。合成標的オリゴは以下である。TARGET−Cは、5’CCGGTTTGCTCTTCAAGAAAGCTGTGCCCCAGAACACCAGAGp3’の配列を持ち、TARGET−Gは、5’CCGGTTTGCTCTTTAAGAAAGCTGTGCCCCAGAACACCAGAGp3’の配列を持つ。ヘルパープライマーは、5’CTCTGGTGTTCTGGGGCACTGCA3’の配列を持つ。「s」は、ホスホロチオエート結合を意味する。「p」は、3’リン酸を示している。
CELA反応条件は、以下の通りである。50mM リン酸カリウム、pH7.6、7.5mM MgCl2、5%グリセロール、0.1mg/ml BSA、1000nM
ARTプローブ、200nM 各dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、50ユニット FokI制限酵素(New England Biolabs)、1ユニット エキソ−Klenow(New England Biolabs)、10〜100nM
ヘルパープライマー、および示した量のヒトDNAまたは標的オリゴ。各試料に関して、FokI、Klenowを除く全ての試薬を、微小遠心管内で混合し、試料を95℃または70℃にて、3分間、加熱し、ついで、室温で平衡化した。ついで酵素を加え、反応液を5分間、室温に放置した。ついで反応液を37℃にて示した時間、インキュベートした。産物を、ゲル電気泳動または蛍光検出にかけた。
他の方法によって先にSNP遺伝子型決定され、p450遺伝子座のC対立遺伝子にて同型である、ヒトDNA試料を、CELA実験で使用した。ゲル電気泳動によって、50ngのゲノムDNAを用いたときに、30分の時点で、二本鎖最終産物を検出可能であった。特異性試験によって、DNA鋳型またはヘルパープライマーまたはFokIまたはKlenowいずれかが反応中で欠けた場合に、CELA反応が起こらなかったことが示された。合成標的オリゴヌクレオチドを、感度試験のために使用し、CELAが、3時間反応中で、わずか0.1amol標的を検出可能であった。SNP遺伝子型決定反応によって、対立遺伝子特異的プローブが、その相当する標的とのみ反応することが示された。
オリゴヌクレオチドプローブ:ARTプローブおよびその標的配列を、図14にて示している。ART−T7は、5’GCCGTAACGGCCGTACCTATAGTGAGTCGTATTAAGCCGGCTTTGCACsAsUsGsCsCsGsGCAAUGCCGp3’の配列を持つ。3’末端の15ヌクレオチド(49〜63)は、RNAヌクレオチドである。16〜33の間の18ヌクレオチドは、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列である。3’および5’末端両方の15ヌクレオチドは、鋳型部分配列である。標的相補部分配列が、34〜55の間のヌクレオチドである。「s」は、ホスホロチオエート結合を意味する。「p」が、3’リン酸を示している。
CELA反応条件は以下の通りである。1×転写バッファ、1000mM ARTプローブ、5μM各dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、2mM各ATP、CTP、GTPおよびUTP、200ユニット T7 RNAポリメラーゼ、0.1ユニット RNaseH、1ユニット エキソ−Klenow(New England Biolabs)、および種々の量の標的RNA。各試料に関して、T7 RNAポリメラーゼ、KlenowおよびRNaseHを除く全ての試薬を、微小遠心管中で混合し、試料を70℃にて3分間熱し、ついで、室温にて平衡化した。ついで酵素を加え、反応液を5分間、室温にて放置した。ついで、反応液を、37℃にて、示唆した時間、インキュベートした。産物をゲル電気泳動または蛍光検出にかけた。
全マウスRNAを、CELA実験で、鋳型として使用した。結果によって、全ての成分が反応液中に含まれたときに、CELAが特異的に起こったこと、および1ng全RNA試料中で、標的RNAが検出されたことが示された。
オリゴヌクレオチドプローブ:環状ARTプローブは、配列5’pGGATGCAGCAGCTTsTsCTTGAAGAGCAAACCGGAGACGTCGTTGTAGCTAGCCTGCGTCA3’を持つ直線オリゴヌクレオチド、および配列5’CTCTGGTGTTCTGGGGCACTGCATCCTGACGCAGAAp3’の配列を持つヘルパープライマー間のハイブリダイゼーション、およびライゲーションによってつくられた。全ての他のオリゴヌクレオチドは、実施例2で示したのと同一のものである。
CELA反応条件は、実施例2で記述した通りであり、同様の実験を実施した。CELA反応がうまくいくことを、ゲル電気泳動、および蛍光のリアルタイム検出でモニタした。
他に定義しない限り、本明細書で使用するところの全ての技術用語および科学用語は、本開示発明が属する当業者に一般的に理解されるのと同様の意味を持つ。本明細書で記述したものと同様または等価の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験で使用可能であるけれども、好ましい方法、器具および材料は記述したようなものである。本明細書で引用された全ての発行物が、本明細書で参考として援用される。
本明細書で記述した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価なものが、当業者によって認識され得、または日常実験の域を出た実験を用いることなく確定可能である。
図1は、種々の増幅繰り返し鋳型(ART)プローブの例のダイアグラムである。標的配列を、表示されたように示す;プローブの種々の部分、修飾領域およびヘルパープライマーを、最初のいくつかのプローブのダイアグラムで示したように、種々の図で表しており、これらは、残りのプローブダイアグラムで同様の意味を持つと認識されるべきである。 図2は、CELA反応の例のダイアグラムである。直線プローブを用いるCELAを、図2Aに示し、環状プローブを用いるCELAを、図2Bに示している。標的核酸が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズする。ARTプローブ上の標的鎖がヌクレアーゼによって消化される。消化された鎖が、DNAポリメラーゼによって伸長され、それによって、下流酵素作用部分が存在する場合、二本鎖となる。続く繰り返しポリメライゼーションの後、多数のSSEPのコピーが産生され、ついで遊離ARTプローブにアニールし、新規ポリメライゼーションが開始され、新規SSEPが産生される。得られた最終産物である、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPIを、ついで検出に供す。 図3は、種々の増幅繰り返し鋳型(ART)プローブの例のダイアグラムである。標的RNA配列およびプローブの種々の部分を、表示されたように示す。 図4は、CELA反応の例のダイアグラムである。直線プローブを用いるCELAを図4Aに示し、環状プローブを用いるCELAを図4Bに示している。標的RNA配列が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズし、二本鎖RNA/DNAハイブリッド上のRNA鎖が、RNaseHによって部分的に消化される。部分的に消化された鎖が、DNAポリメラーゼによって伸長され、それによって、下流酵素作用部分が存在する場合、二本鎖になる。続く繰り返しポリメライゼーションの後に、多数のSSEPのコピーが産生され、ついで遊離ARTプローブにアニールし、新規ポリメライゼーションが始まり、新規SSEPが産生される。得られた最終産物である、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPIを、ついで検出に供す。 図5は、種々のARTプローブの例のダイアグラムである。ARTプローブは、RNAポリメラーゼプロモーター配列を含む。 図6は、CELA反応の例のダイアグラムである。直線プローブを用いるCELAを図6Aに示し、環状プローブを用いるCELAを図6Bに示している。標的RNAまたはDNA配列が、ARTプローブの標的相補部分にハイブリダイズし、ARTプローブに、RNAポリメラーゼプロモーター配列が含まれる。二本鎖RNA/DNAまたはDNA/DNAハイブリッド上の標的鎖が、酵素的消化によって消化される。DNAポリメラーゼによって、消化鎖の3’末端が伸長する。一旦プロモーター配列が二本鎖になったならば、RNAポリメラーゼがプロモーターに作用し、多数のRNA転写物、すなわちSSEP RNA配列のコピーが産生され、ついでARTプローブにアニールし、新規伸長が開始され、新規SSEPが産生される。得られた最終産物である、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPIをついで検出に供す。 図7は、ARTプローブの例のダイアグラムである。ARTプローブは、1つの酵素作用部分として、IIS型制限部位を含む。 図8は、SNP遺伝子型決定のための、CELA反応の例のダイアグラムである。直線プローブを用いるCELAを図8Aに示している。標的RNAまたはDNA配列は、ARTプローブの標的相補部分に、対立遺伝子特異的にハイブリダイズされ、一方で、ヘルパー−プライマーが、ARTプローブと、ARTプローブのハイブリダイゼーション領域に隣接する、標的領域両方にアニールする。図8Aにて、ヘルパー−プライマーの3’末端が、ARTプローブを鋳型として使用する、DNAポリメラーゼによって伸長され、したがって、二本鎖機能的IIS型制限認識部位が産生される。 図8は、SNP遺伝子型決定のための、CELA反応の例のダイアグラムである。環状プローブを用いるCELAを図8Bに示している。図8Bにて、二本鎖機能的IIS型制限認識部位が、ヘルパープライマーとARTプローブの間のハイブリダイゼーションによって作られる。ARTプローブの二本鎖標的相補部分上の標的鎖が、IIS型制限酵素(たとえば、FokI)によって消化され、一方で、ARTプローブ鎖が、修飾ヌクレオチドによって、開裂に抵抗性である。消化された鎖の3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長する。続く繰り返し消化および伸長を介して、多数のSSEPのコピーが産生され、ついでこれらが遊離ARTプローブにアニールし、新規伸長、消化が始まり、新規SSEPが産生される。得られる最終産物である、二本鎖ポリヌクレオチド、一本鎖SSEPおよびPPIを、ついで検出に供す。 図9は、検出方法の例を示す図である。 図10は、一本鎖最終産物(SSEP)のDNAzyme仲介検出の例のダイアグラムである。ARTプローブの鋳型部分には、DNAzymeの相補(アンチセンス)配列、たとえば10〜23DNAzymeが含まれる。CELA反応の間、SSEPが、DNAzymeの活性(センス)コピーを含んで産生される。DNA酵素が、DNAzyme開裂部位のいずれかの鎖上に組込まれた、蛍光共鳴エネルギー転移蛍光プローブを含む、RNAまたはDNA−RNAキメラレポーター基質に結合する。本レポーター基質の開裂によって、標的開始一本鎖SSEPの増幅が成功したことを示す、蛍光の増加が引き起こされる。 図11は、ARTプローブ配列、その標的配列ベータ−アクチン遺伝子、および反応最終産物の構造を示しているダイアグラムであり、詳細は実施例1にて記述している。イタリック体塩基は、HincIIおよびNaeI認識部位であり、下線塩基は、鋳型配列である。「s」は、ホスホロチオエート結合を示している。 図12は、実施例1の反応産物のゲル電気泳動の結果である。 図13は、FokI部位、ヘルパープライマー配列および標的配列を含む、ARTプローブ配列を示しているダイアグラムである。詳細は実施例2にて記述している。 図14は、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含む、ARTプローブ配列、およびその標的配列を示しているダイアグラムである。詳細は、実施例3にて記述している。 図15は、環状ARTプローブ配列、ヘルパープライマー配列および標的配列を示しているダイアグラムであり、詳細は、実施例4にて記述している。

Claims (57)

  1. 一本鎖または部分的に二本鎖の核酸を含むプローブ分子であって、前記プローブが、3’末端ブロック部分を含むかまたは含まない、標的相補部分、鋳型部分、少なくとも1つの酵素作用部分を含む、プローブ分子。
  2. 前記一本鎖または部分的二本鎖核酸が直線分子である、請求項1に記載のプローブ。
  3. 前記一本鎖または部分的二本鎖核酸が環状分子である、請求項1に記載のプローブ。
  4. 前記酵素作用部分が、RNAポリメラーゼプロモーターを含む、請求項1に記載のプローブ。
  5. 前記酵素作用部分が、RNaseH作用配列である、請求項1に記載のプローブ。
  6. 前記酵素作用部分が、ヌクレアーゼ消化部位を含み、前記ヌクレアーゼ消化部位が、二本鎖の場合に、前記プローブの反対の鎖を消化することを支持する、請求項1に記載のプローブ。
  7. 前記酵素作用部分が、RNaseH作用配列およびRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、またはRNaseH作用配列および前記ヌクレアーゼ消化部位の組み合わせ、あるいは前記ヌクレアーゼ消化部位およびRNAポリメラーゼプロモーターの組み合わせ、または1つ以上の前記ヌクレアーゼ消化部位の組み合わせを含む、請求項6に記載のプローブ。
  8. 前記ヌクレアーゼ消化部位に、修飾されたヌクレオチドが含まれ、それによってプローブ上の前記消化部位が、ヌクレアーゼ開裂に抵抗性であり、反対の修飾されていない鎖が開裂に感受性である、請求項6に記載のプローブ。
  9. 前記修飾されたヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合を含む、請求項8に記載のプローブ。
  10. 前記ヌクレアーゼ消化部位が、制限酵素認識配列および開裂部位を有する制限部位を含む、請求項6に記載のプローブ。
  11. 前記制限部位が、IIS型制限酵素部位を含む、請求項10に記載のプローブ。
  12. 前記IIS型制限部位の酵素開裂部位が、標的相補的部位上に位置する、請求項11に記載のプローブ。
  13. 前記IIS型制限酵素開裂部位が、SNP部位、変異ヌクレオチド、メチル化ヌクレオチドまたはスプライシング部位に相当する、請求項12に記載のプローブ。
  14. 前記IIS型制限部位が、FokI部位である、請求項11に記載のプローブ。
  15. ヘルパープライマーを含み、そこで前記ヘルパープライマーが、少なくとも1つの、前記プローブの一部分に相補的かまたは本質的に相補的な部分を含む、請求項1に記載のプローブ。
  16. 前記ヘルパープライマーが、3’末端ブロッキング部分を含み、それによって、前記ヘ
    ルパープライマーの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長可能ではない、請求項15に記載のプローブ。
  17. 前記ヘルパープライマーが、3’末端ブロッキング部分を含まず、それによって、前記ヘルパープライマーの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長可能である、請求項15に記載のプローブ。
  18. 前記ヘルパープライマーが、隣接配列を有するかまたは有さない酵素作用部分に対して、または前記プローブの酵素作用部分の部分に対して相補的な配列を含み、それによって、前記ヘルパープライマーと前記プローブ間のハイブリッド形成によって、酵素作用部分が、二本鎖または部分的二本鎖になる、請求項15に記載のプローブ。
  19. 前記ヘルパープライマーが、前記プローブの酵素作用部分の1つに対する3’配列に相補的な3’末端配列を含む、請求項15に記載のプローブ。
  20. 前記ヘルパープライマーがさらに、標的相補部分を含み、そこで、前記ヘルパープライマーに相補的な前記標的領域が、前記プローブに相補的な標的領域に、隣接するか、または本質的に隣接する、請求項15に記載のプローブ。
  21. 前記ヘルパープライマーが、3’および5’標的相補部分を含み、前記プローブに相補的な標的領域が、前記ヘルパープライマーに相補的な標的領域の中間に位置するか、または前記ヘルパープライマーに相補的な標的領域に隣接するかもしくは本質的に隣接する、請求項20に記載のプローブ。
  22. 前記標的相補部分が、対象の標的領域に相補的であるか、または本質的に相補的である配列を含み、それによって、前記プローブの前記標的相補部分が、対象の前記標的領域にハイブリッド形成し、二本鎖となり、それによって、1つまたは2つ以上の、前記プローブの酵素作用部分の部分が、部分的または完全に機能的である、請求項1に記載のプローブ。
  23. 前記プローブの前記酵素作用部分、前記標的相補部分および前記鋳型部分が、互いに重なり合うか、または1つの部位が、他の部位内に組み込まれる、請求項1に記載のプローブ。
  24. 前記プローブの前記標的相補部分、および/または前記酵素作用部分、および/または前記鋳型部分が、修飾されたヌクレオチドを含み、それによって修飾されたヌクレオチドが、ヌクレアーゼ開裂に抵抗性である、請求項1に記載のプローブ。
  25. 前記プローブの前記標的相補部分、および/または前記酵素作用部分および/または前記鋳型部分が、キメラRNAおよびDNAを含む、請求項1に記載のプローブ。
  26. 前記鋳型部分が、2つの同一の、またはほぼ同一の配列を含み、少なくとも1つの酵素作用部分で分離されている、請求項1に記載のプローブ。
  27. 前記少なくとも1つの酵素作用部分が、RNAポリメラーゼプロモーターを含む、請求項26に記載のプローブ。
  28. 前記少なくとも1つの酵素作用部分が、制限酵素部位を含む、請求項26に記載のプローブ。
  29. 前記プローブが環状プローブであって、前記環状プローブが、1つの鋳型部分を含む、請求項3に記載のプローブ。
  30. 前記プローブが、環状プローブの任意の位置で、または直線プローブの周辺部分配列を有するかまたは有さない5’鋳型部分内で、DNA酵素に相補的な、触媒的に不活性なアンチセンス配列を含む、請求項1に記載のプローブ。
  31. 前記DNA酵素が、10〜23DNAzymeである、請求項30に記載のプローブ。
  32. 前記DNA酵素が、8〜17DNAzymeである、請求項30に記載のプローブ。
  33. 前記3’末端ブロック部分が、化学的部分であり、それによって、プローブの3’末端が、DNAポリメラーゼによって伸長可能ではない、請求項1に記載のプローブ。
  34. 前記プローブおよび/またはヘルパープライマーの任意の末端が、固体支持体上に接着する、請求項1に記載のプローブ。
  35. 試料中の対象の標的核酸配列または多重標的核酸配列を検出する方法であって、以下のステップ:
    (a)好適なハイブリッド形成条件下で、以上の請求項の任意の1つにしたがった、プローブまたはプローブの組を、核酸試料と接触させることであって、そこで、前記プローブの標的相補部分、または前記プローブとヘルパープライマー両方の標的相補部分が、標的配列とハイブリッド形成し、二本鎖になり、それによって、1つまたは2つ以上または一部の、前記プローブの酵素作用部分が、部分的または完全に機能的になるステップ;
    (b)前記プローブの全ての酵素作用部分を、二本鎖かつ完全に機能的にするステップ;(c)一本鎖最終産物(SSEP)を産生するように、二本鎖酵素作用部分を含む前記プローブを処理するステップ;
    (d)前記SSEPを遊離プローブにアニールさせ、前記プローブの全ての酵素作用部分を、二本鎖にし、完全に機能的にするステップ;
    (e)ステップ(c)と(d)を繰り返すことであって、それによって、前記プローブが、二本鎖または部分的二本鎖形態に変換され、前記SSEPの多重コピーが、繰り返し産生されるステップ;および
    (f)そのようにして産生された最終産物である、二本鎖最終産物、SSEPおよびピロホスフェート(PPi)を直接的または間接的に検出するステップ
    を含む方法。
  36. 前記方法が、単一の反応または別々の反応で実施される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記標的核酸がRNAであり、前記ステップ(a)が、酵素作用部分の1つであるRNase H消化部位を、二本鎖および機能的にし、前記ステップ(b)に、RNase HによってRNA鎖を消化し、DNAポリメラーゼによって、鋳型として前記プローブを用いて、部分的に消化された鎖の3’末端を伸長することが含まれ、それによって、前記プローブ上の全ての他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  38. 前記部分的に消化された鎖の3’末端を伸長することに、さらに、前記DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子によって、鎖置換することが含まれる、請求項37に記載の方法。
  39. 前記プローブ上の前記他の酵素作用部分に、制限部位またはRNAポリメラーゼプロモ
    ーター、または制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方が含まれる、請求項37に記載の方法。
  40. 前記酵素作用部分の1つが制限部位であり、前記プローブの標的相補部分上に位置し、前記ステップ(a)が、前記制限部位を、二本鎖および完全に機能的にし、前記ステップ(b)が、制限酵素によって、前記制限部位上で、前記プローブの反対鎖を消化し、DNAポリメラーゼによって、鋳型として前記プローブを用い、消化された鎖の3’末端を伸長することを含み、それによって、前記プローブ上の全ての他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  41. 消化された鎖の3’末端の前記伸長がさらに、前記DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による鎖置換を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記プローブ上の前記他の酵素作用部分が、制限部位またはRNAポリメラーゼプロモーター、または制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含む、請求項40に記載の方法。
  43. 前記制限部位が、前記プローブ上の唯一の酵素作用部分である、請求項40に記載の方法。
  44. 前記酵素作用部分の1つが、IIS型制限部位であり、前記IIS型制限部位の開裂部位が、前記プローブの標的相補部分上に位置し、前記IIS型制限部位の認識部位が、前記プローブの標的相補部分の他の側上に存在し、ステップ(a)が、前記プローブの標的相補部分を二本鎖にし、それによって、前記IIS型制限部位の機能的開裂部位が形成され、前記ステップ(b)に、ヘルパープライマーを前記プローブへアニーリングし、前記IIS型制限部位の前記認識配列が、二本鎖になることが含まれる、請求項35に記載の方法。
  45. 前記ヘルパープライマーの前記プローブへのアニーリング、および前記IIS型制限部位の前記認識配列を二本鎖にすることが、前記ヘルパープライマーを、隣接配列を有するかまたは有さない前記IIS型制限酵素認識配列を直接的にアニーリングさせることを含み、それによって、前記IIS制限部位の二本鎖認識配列部位が形成される、請求項44に記載の方法。
  46. 前記ヘルパープライマーの前記プローブへのアニーリング、および前記IIS型制限部位の前記認識配列を二本鎖にすることが、前記ヘルパープライマーの3’末端配列を、前記IIS制限認識配列の3’配列に対してアニーリングすること、および、鋳型として前記プローブを用いて、DNAポリメラーゼによって、前記ヘルパープライマーの3’末端配列を伸長させること、を含み、それによって、前記IIS型制限部位の二本鎖認識配列が形成される、請求項44に記載の方法。
  47. 前記ステップ(a)にて、前記プローブの標的相補部分が、標的配列の遊離3’末端にハイブリダイズし、前記ステップ(b)が、鋳型として前記プローブを用い、DNAポリメラーゼによって、標的配列の前記遊離3’末端を伸長することを含み、それによって、前記プローブ上の他の酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  48. 前記プローブの前記酵素作用部分に、制限部位が含まれ、前記ステップ(c)に、制限酵素によって、前記制限部位上の前記プローブの反対の鎖を消化すること、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長し、前記消化と前記伸長を繰り返すこと
    が含まれ、それによって、多数のSSEP DNAのコピーが産生される、請求項35に記載の方法。
  49. 消化された鎖の3’末端の前記伸長に、さらに、前記DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれる、請求項48に記載の方法。
  50. 前記プローブの前記酵素作用部分に、RNAポリメラーゼプロモーターが含まれ、前記ステップ(c)に、前記RNAポリメラーゼプロモーターに作用する、RNAポリメラーゼによる繰り返し転写が含まれ、これによって、多数のSSEP RNAのコピーが産生される、請求項35に記載の方法。
  51. 前記プローブの前記酵素作用部分が、制限部位とRNAポリメラーゼプロモーター両方を含み、前記ステップ(c)が、制限酵素によって、前記制限部位上の前記プローブの反対の鎖を消化し、DNAポリメラーゼによって、消化された鎖の3’末端を伸長させる工程、前記消化と前記伸長を繰り返すことを含み、それによって、多数のSSEP DNA中のコピーが産生されること、また、前記RNAポリメラーゼプロモーターに作用するRNAポリメラーゼによる繰り返し転写を含み、これによって多数のSSEP RNAのコピーが産生される、請求項35に記載の方法。
  52. 消化された鎖の3’末端の前記伸長に、さらに、前記DNAポリメラーゼまたは他の鎖置換因子による、鎖置換が含まれる、請求項51に記載の方法。
  53. 前記SSEPが、DNA分子またはRNA分子、またはDNAおよびRNA分子両方であり、前記ステップ(d)が、前記SSEPを、遊離プローブの配列部位にアニーリングすること、および鋳型として前記遊離プローブを用いて、前記SSEPの3’末端を伸長することを含み、それによって、前記プローブのすべての酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  54. 前記SSEPがRNA分子であり、前記ステップ(d)が、前記SSEPを遊離プローブの配列部位にアニーリングすること、RNase Hによって前記SSEPを消化する工程、および鋳型として前記遊離プローブを用いて、部分的に消化されたSSEPの3’末端を伸長させることを含み、それによってすべての酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  55. 前記プローブが、環状分子であり、前記SSEPの配列が、前記プローブに相補的である、1つまたは2つ以上の配列ユニットを含み、ステップ(d)が、前記SSEPを、前記遊離プローブの全体または一部にアニーリングさせることを含み、それによって前記酵素作用部分が、二本鎖および機能的になる、請求項35に記載の方法。
  56. 前記鋳型部分が、アンチセンスDNA酵素を含み、前記方法が、多数の、一本鎖機能的センスDNA酵素酵素のコピーを産生し、一本鎖最終産物の検出の前記ステップ(f)が、反応中に、RNAまたはDNA−RANキメラレセプター基質を含めることで、そこで、前記RNAまたはDNA−RNAキメラレポーター基質が、DNAzyme開裂部位のいずれかの側上に組込まれた、蛍光共鳴エネルギー転移フルオロフォアを含むこと、およびセンスDNA酵素酵素によって、前記レポーター基質を開裂することを含み、それによって、前記レポーター基質の開裂により、蛍光シグナルの増加が産生される、請求項35に記載の方法。
  57. 試料中の対象の、1つの標的核酸配列または多数の標的核酸配列を検出するために使用するためのキットであって、前記プローブの組、前記ヘルパープライマー、前記検出基質
    、前記制限酵素、前記RNAポリメラーゼ、前記RNase H、前記DNAポリメラーゼ、バッファ、dNTP、NTPを含む、キット。
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