JP2006501856A - 組換え触媒ポリペプチドおよびその使用 - Google Patents

組換え触媒ポリペプチドおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチド、該組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸、該組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の宿主である細胞、およびタンパク質分解活性を持つ異種抗体を産生することができる非ヒト・トランスジェニック哺乳動物を提供する。本発明は、生体外および生体内で組換え触媒ポリペプチドを用いて、標的タンパク質を切断する方法も提供する。さらに、本発明は、酵素活性が変化した組換え触媒ポリペプチドのライブラリと、組換え触媒ポリペプチドの活性を変える方法とを提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
この出願は、仮米国特許出願第60/417,979号(2002年10月10日出願)の優先権を主張する。
(発明の背景)
本発明は、一般に分子生物学および免疫学の分野に関し、また具体的には標的タンパク質を特異的に切断するために実行可能に結合した2本の異種ヒト抗体鎖を含む組換え触媒ポリペプチドのほかに、該組換え型ポリペプチドを調製するための方法ならびにその用途に関する。
本発明は、触媒抗体に関する。抗体が触媒活性を呈する可能性があるという推測が最も早くなされたのは、かなり長い時間にわたって抗原にさらされると免疫系が触媒抗体を発生する可能性があることが示唆された半世紀前にさかのぼる(Woolley, A Study of Antimetabolites, p82. Wiley, New York, 1952)。特定の抗体軽鎖とセリンプロテアーゼとのあいだの配列相同性がその後に明らかになり、いくつかの免疫グロブリンがタンパク質分解活性を有する可能性についての調査が迅速になされた(Erhan and Greller,Nature,251:353−355 (1974))。数年後、エステラーゼ活性を有する抗体が報告された(Kohen et al.,FEBS Letter,111:427−431 (1980))。さらなる研究によって、ペプチドまたはタンパク質を加水分解することが可能な抗体(例えば、Paul et al.,Science,244:1158−1162 (1989); Li et al.,J. Immunol., 154:3328−3332 (1995)を参照せよ)、DNAを加水分解することが可能な抗体(Shuster et al., Science,256:665−667 (1992); Gololobov et al., Proc. Natl. Acad. Sd. USA,92:254−257 (1995))、さらにペルオキシダーゼ活性を有する抗体(Paul,Mol.Biotechnol.,5:197−207 (1996))が発見された。
触媒抗体は、天然の免疫レパートリーから単離することができる。しかし、それは種々の自己免疫疾患状態の度合いを高めるように思われる(Paul、上掲)。触媒抗体成分の分析によって、酵素活性がしばしば軽鎖にあること、また多発性骨髄腫患者から単離された抗体軽鎖がタンパク質分解活性を示すことが明らかにされている(Paul、上掲)。
研究によって、タンパク質分解抗体とセリンプロテアーゼとを連結する証拠が得られた。セリンプロテアーゼは、消化酵素であるトリプシンおよびキモトリプシン、補体カスケードおよび血液凝固カスケードの構成要素、ならびに細胞外マトリックスの巨大分子の分解および代謝回転を制御する酵素を含むタンパク質分解酵素の大きなファミリーである。それらは、タンパク質切断のための活性触媒部位にセリン残基が存在することから、そのように名付けられた。セリンプロテアーゼは、広範囲にわたる基質特異性と多様な生体機能とを有する。そのような多様性としばしば無関係なアミノ酸配列とにもかかわらず、セリン、ヒスチジン、およびアスパラギン酸が三つ組み(トライアド)となった高度に保存的な触媒によって支えられる非常に類似した三次構造を介して、共通の触媒機構がセリンプロテアーゼのいくつかのサブファミリー間で共有されている。1つのセリンプロテアーゼ(スブチリシン)の活性部位構造は、最も研究され、最もよく理解されたものの1つである。
タンパク質分解抗体とセリンプロテーゼとのあいだの触媒部位で、高い構造類似性が見られる。例えば、ジイソプロピルフルオロリン酸(セリンプロテアーゼ阻害剤)が、いくつかのタンパク質分解抗体の触媒活性を強く阻害するのに対し、メタロプロテーゼ、酸性プロテアーゼ、およびシステインプロテアーゼの阻害剤の効果は最低であることが示された。そのことは、そのようなタンパク質分解酵素がセリンプロテアーゼの触媒機構に類似の触媒機構を有することを示唆している (Paul et al., J.Bio.Chem.,256:16128−16134,(1991))。さらに血管作用性腸ポリペプチド(VIP、28−アミノ酸神経ペプチド)を加水分解することができる抗体の軽鎖の分子モデリングによって、セリンプロテアーゼのサブファミリーの触媒三つ組配置に類似したSer27a、His93、およびAsp1の配置がさらに明らかになった(Gao et al., J.Bio.Chem., 269:32389−32393 (1994))。さらに、3つのアミノ酸残基のいずれか1つに対するアラニンによる置換によって、VIPを加水分解する抗体の能力が急激に減少した(Gao et al., J. Bio. Chem., 253:658−664 (1995))。まとめると、いくつかのタンパク質分解抗体が該抗体の触媒活性に関するセリンプロテアーゼ様機構を利用するように見える。
最近の研究によって触媒抗体の機構および調節についての理解が改善されてはいるが(例えば、米国特許第5,658,753号および第6,235,714号を参照せよ)、本発明は、天然には存在しない基質特異性を持つプロテアーゼを作り出すために新規のアプローチを採用する。体細胞再配列を介して、哺乳動物免疫系は、1010を上回る数の異なる抗原特異性を生ずることが可能である(Kuby、上掲)。その一方で、既知のプロテアーゼまたはペプチダーゼのほとんどが特定のペプチド結合を標的にするが、個々の基質に対して高度の特異性を持つことなく、比較的広範囲のポリペプチドを切断することができる。タンパク質分解活性を持つヒト抗体軽鎖とポリペプチド結合特性を与える異種ヒト抗体重鎖とを結合させることで、本発明は、非標的ポリペプチドに対して不必要な影響を及ぼすことなく、事前に選択した標的タンパク質の特異的加水分解を可能にするプロテアーゼを設計する新規戦略を提供する。生体外(in vitro)DNA技術が生成することができる実質的に無限の抗原特異性と同様に、免疫系が産生しうる膨大な数の抗原特異性があれば、カスタマイズされたプロテアーゼによって、潜在的に、あらゆるタンパク質を加水分解することができる。この戦略は、不適当に増大したタンパク質発現または外来性タンパク質の存在がそのような疾患または状態の原因にかかわることが知られている多くの疾患の処置および予防とに深い関連性がある。
(発明の要約)
一態様では、本発明は標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドを提供する。組換え触媒ポリペプチドの各々は、実行可能に異種抗体重鎖に結合したヒト抗体軽鎖を含む。このヒト抗体軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有し、また上記抗体重鎖は標的タンパク質に対して所定の特異性を有する。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面マーカー、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。好ましい実施形態では、標的タンパク質が血管内皮成長因子である。別の好ましい実施形態では、標的タンパク質がインターフェロンγである。別の好ましい実施形態では、標的タンパク質がTNFαである。別の好ましい実施形態では、標的タンパク質が免疫グロブリンEファミリーのメンバーである。別の好ましい実施形態では、標的タンパク質がEGFレセプター・ファミリーのメンバーである。さらに別の好ましい実施形態では、標的タンパク質がCD20である。他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する。他の実施形態では、組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は標的タンパク質を切断するための方法を規定する。該方法は、一般に、標的タンパク質を切断するのに好適な条件下で、その標的タンパク質を組換え触媒ポリペプチドと接触させる工程を含む。上記組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。抗体軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組とエンドペプチダーゼ活性とを有し、また重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。別の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する。別の実施形態では、組換え触媒ポリペプチドがヒト抗体軽鎖および抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は、標的タンパク質を切断する組換え触媒ポリペプチドの酵素活性を変える方法を規定する。この方法は、概して、抗体重鎖の少なくとも1つのCDRを突然変異させる工程と、ポリペプチドの酵素活性が変化した突然変異体を決定する工程とを含む。組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。抗体軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組とエンドペプチダーゼ活性とを有し、また重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、エクソヌクレアーゼが抗体重鎖のCDRを突然変異させる工程で用いられる。他の実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する。他の実施形態では、上記組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は標的タンパク質を切断するための複数の組換え触媒ポリペプチド・メンバーからなる複数のライブラリーを規定する。ライブラリーを構成するメンバーは、概ね組換え触媒ポリペプチドから構成され、異なるCDRを各々の重鎖に有する。各組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。抗体の軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有し、さらにその重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する. 他の実施形態では、上記組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、上記ライブラリーはファージ提示ライブラリーである。.他の実施形態では、上記ライブラリーはリボソーム提示ライブラリーである。
別の態様では、本発明は哺乳動物で標的タンパク質を切断するための方法を規定する。この方法は、概ね、哺乳動物の標的タンパク質濃度を低下させるのに十分な量で組換え触媒ポリペプチドを投与する工程を含む。この組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。この抗体軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有し、さらにその重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する. 他の実施形態では、上記組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を規定する。上記組換え触媒ポリペプチドの各々は、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。抗体軽鎖はセリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有し、その重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、上記標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する。他の実施形態では、上記組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の宿主である細胞を規定する。この組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む。この抗体軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性、さらにその重鎖は標的タンパク質に対する所定の活性を有する。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質が成長因子、細胞表面レセプター、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群から選択される。. 他の実施形態では、ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する. 他の実施形態では、上記組換え触媒ポリペプチドが、ヒト抗体軽鎖と抗体重鎖とを含む単一のポリペプチド鎖である。好ましい実施形態では、上記ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明はセリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性とを有する単離ポリペプチドを規定する。ポリペプチドの各々は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸と95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。さらに別の好ましい実施形態では、ポリペプチドはセリンプロテアーゼ三つ組を有する。
別の態様では、本発明はセリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を規定する。このポリペプチドの各々は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28と95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む. 他の好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、核酸が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27の核酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、ポリペプチドはセリンプロテアーゼ三つ組を有する。
別の態様では、本発明はセリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸の宿主である細胞を規定する。該ポリペプチドの各々は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28と95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、他の好ましい実施形態では、核酸が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27の核酸酸配列を含む。さらに別の好ましい実施形態では、ポリペプチドはセリンプロテアーゼ三つ組を有する。
別の態様では、本発明はトランスジェニック非ヒト哺乳動物を規定する。トランス遺伝子は、セリンプロテアーゼ二つ組およびエンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を含む。該ポリペプチドの各々は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28と95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、上記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、核酸が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27の核酸酸配列を含む。さらに別の好ましい実施形態では、ポリペプチドはセリンプロテアーゼ三つ組を有する。
(定義)
本発明の「組換え触媒ポリペプチド(recombinant catalytic polypeptide)」は、ペプチド結合の加水分解を触媒することができる抗体軽鎖と異種抗体重鎖とを含む。実行可能に結合したこれら2本の鎖によって、組換え触媒ポリペプチドが標的タンパク質を特異的に切断する(データは不図示)。
「単離した(isolated)」という用語は、核酸またはタンパク質に適用した場合、該核酸またはタンパク質が他の細胞構成要素(天然の状態では結合している)を本質的に含んでいないことを意味する。乾燥または水性溶液のいずれかの状態となりうるにもかかわらず、好ましくは均質な状態にある。純度および均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高性能液体クロマトグラフィー等の分析化学技術を用いて、決定される。試料に存在する主な化学種であるタンパク質を実施的に生成する。特に、単離遺伝子を、その遺伝子をフランキングして目的とする遺伝子以外のタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームから分離する。「精製された(purified)」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルで本質的に1本のバンドを生ずることを意味する。特に、核酸またはタンパク質が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも96%純粋、さらに最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味している。
「核酸(nucleic acid)」または「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」という用語は、一本鎖または日本鎖の形態をしたデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)ならびにそれらのポリマーを意味する。特に限定しない限り、その用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、かつ天然に生ずるヌクレオチドと同様にして代謝される既知の天然ヌクレオチド類似体を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列もまた、それらの保存的修飾変異体(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、相同分子種、SNP、および明確に示した配列と同様に相補配列も暗に包含する。具体的には、縮合コドン置換は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成される(Batzer et al., Nucleic Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605−2608 (1985); およびRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91−98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされたmRNAと同義で用いられる。
「遺伝子(gene)」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNA部分を意味するもので、コード領域(リーダーおよびトレーラー)に先行する領域およびそれに続く領域ならびに個々のコード部分(エクソン)間の介在配列(イントロン)が含まれる。
「ポリペプチド(polypeptide)」および「ペプチド(peptide)」という用語は、本明細書では同義であり、複数のアミノ酸残基からなるポリマーを意味する。一方、「タンパク質(protein)」は1本または複数のポリペプチド鎖を含むことができる。これら3つの用語すべてが、一種類以上のアミノ酸残基が対応天然アミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、同様に天然アミノ酸ポリマー、ならびに非天然アミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で用いられるように、上記用語は任意の長さのアミノ酸鎖を包含するもので、完全長タンパク質を含み、アミノ酸残基がペプチド共有結合によって連結されている。
「アミノ酸(amino acid)」という用語は、天然および合成アミノ酸、同様に天然アミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体のことを意味する。天然アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされたものであり、同様に後で修飾されたアミノ酸である(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリン)。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同一の基本的化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン・スルホキシド、メチオニン・メチル・スルホニウム)に結合するα炭素を持つ化合物のことを意味する。そのような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド主鎖を有する一方で、天然アミノ酸と同一の基本的化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体(amino acid mimetics)」とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を持つが、天然アミノ酸と同様の方法で機能する化合物のことを意味する。
アミノ酸は、一般に知られている3文字またはIUPAC−IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨する1文字のいずれかによって、本明細書中で表される場合もある。同様に、ヌクレオチドを一般に許容された1文字コードで表してもよい。
「保存的修飾変異体(conservatively modified variants)」は、アミノ酸配列と核酸配列との両方に適用される。特定の核酸配列に対して、「保存的修飾変異体(conservatively modified variants)」は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸配列のことを意味し、あるいは核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列のことを意味する。遺伝暗号が縮退することから、数多くの機能的に同一の核酸が何らかのタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG,およびGCUすべては、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される位置毎に、コードされたポリペプチドを変えることなく記述された対応コドンのいずれかに変えることができる。そのような核酸の変異は、「サイレント変異(silent variations)」であり、保存的に修飾された変異の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列もまた、あらゆる予測される核酸のサイレント変異体を記述する。当業者は、核酸の各々のコドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUGと、通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して機能的に同一の分子を産生することができる。したがって、ポリペプチドをコードする各サイレント変異体は、各々の記述された配列に内在する。
アミノ酸配列に関しては、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加(単一のアミノ酸またはコードされた配列内の僅かな割合のアミノ酸を変更、追加、または欠失させる)は、変更によって化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換がもたらされる「保存的に修飾された変異体(conservatively modified variant)」である。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換テーブルは、当技術分野において周知である。保存的改良変異体は、本発明の多形性変異体、種間相同体、および対立遺伝子のほかに存在し、かつそれらを除外していない。
以下の8つの群は、互いに保存的に置換されているアミノ酸を各々が含む。
(1)アラニン(A),グリシン(G),
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(D)
(4)アルギニン(R)、リジン(K)、
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、
(7)セリン(S)、スレオニン(T)、および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照せよ)。
「配列同一性の割合(percentage of sequence identity)」は、比較ウィンドウ上で最適にアラインメントされた2本の配列を比較することによって、決定されるもので、その比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は、2本の配列の最適アラインメントに対する参照配列(付加または欠失を含まない)と比較すると、付加または欠失(すなわちギャップ)を含むものであってもよい。割合は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に生ずる位置の数を測定することによって、一致した位置の数を生成し、一致した位置の数を比較ウィンドウ内の全位置数によって割り、その結果を100で掛けて配列同一性を割合を生成することによって、計算される。
「同一(identical)」または%「同一性(identity)」という用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈の中では、比較ウィンドウまたは設計された領域上で最大一致させるために、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、またはお手製のアラインメントおよび目視検査によって、比較およびアラインメントさせた場合、同一である2種類以上の配列もしくは準配列または同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定の割合を有する2種類以上の配列もしくは準配列を意味する(すなわち、特定の領域に対して60%同一性、任意に65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性)。したがって、そのような配列は、「実質的に同一(substantially identical)」と言われる。この定義は試験配列を補うものも意味する。任意に、同一性は長さが少なくとも約50ヌクレオチドにわたって、より好ましくは長さが100ないし500または1,000以上のヌクレオチドにわたって存在する。
配列を比較するために、概ね1つの配列が参照配列として振る舞い、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、準配列座標を設計し、必要に応じて、さらに配列アルゴリズム・プログラムのパラメーターを設計する。デフォルト・プログラム・パラメーターを用いることができ、あるいはそれに取って代わるパラメーターを設計することができる。つぎに、配列比較アルゴリズムは、プログラム・パラメーターにもとづいて、参照配列に関係する試験配列のためのパーセント配列同一性を計算する。
「比較ウィンドウ(comparison window)」は、本明細書で用いられるように、20ないし600、通常は約50ないし約200、より一般的には約100ないし約150からなる群から選択される連続する位置の数のいずれか1つのセグメントに対する参照が含まれ、2本の配列を最適にアラインメントした後に連続する位置と同一数の参照配列と配列を比較してもよい。比較のために配列をアラインメントする方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適アラインメントを、例えばSmith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1970)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443−453 (1970)の相同性アラインメント・アルゴリズムによって、Pearson and Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)の類似性検索法によって、それらのアルゴリズムのコンピュータ化インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Packge, Genetics Computer Group. 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、)によって、または手動アラインメントおよび目視検査(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)を参照せよ)によって、実施することができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに最適なアルゴリズムの一例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはAltschul et al. Nuc. Acids Res. 25:3389−3402 (1977)および Altschul et al. J. Mol. Biol. 215:403−410 (1990)にそれぞれ記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通して公的に入手する。このアルゴリズムは、第一に、照会配列で長さWの短いワードを同定することによって、データベース配列内で同一の長さのワードとアラインメントした時、いくつかの正値閾値スコアTと一致または満足させる高スコアリング配列対(HSP)を同定することを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値として言及されている(Altschul et al., 上掲)。これらの最初の近接ワードのヒットがシードとして作用するもので、該シードはそれを含有するより長いHSPを見つけるための検索を開始させる。累積的な配列スコアが増加する限り、ワードのヒットは各々の配列に沿って両方の方向に延びていく。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメーターM(一対の一致残基のスコア;常時>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティ・スコア;常時<0)。アミノ酸配列に関して、スコアリング・マトリックスを用いて累積スコアの計算をおこなう。各方向のワードのヒットの拡大中止は、累積アラインメント・スコアがその最大達成値からの量Xで、落ちる場合、累積スコアがゼロ以下となること。1つ以上のネガティブ・スコアリング残基アラインメント、またはいずれかの配列の終わりに到達する場合に、起こる。BLASTアルゴリズム・パラメーターW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)または10、M=5、N=4、および両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムを用い、デフォルトとしてワード長3、および期待値(E)10、さらにBLOSUM62ではスコアリング・マトリックス(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照せよ)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性を統計学的に分析することもおこなう(例えば、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−5787 (1993)を参照せよ)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの基準は、最小総確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標である。例えば、核酸は、参照核酸に対して試験核酸を比較した場合の最小総確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であるならば、参照配列に対して核酸が類似している考えられる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることの1つの指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に説明するように、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して生じた抗体と免疫学的交叉反応することである。したがって、ポリペプチドは典型的には第2のポリペプチドと実施的に同一であり、例えば2つのペプチドの違いは保存的置換のみである。2つの核酸配列が実質的に同一であることを示す別の指標は、以下に説明するように、2つの分子またはそれらの相補体がストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらに別の指標は、配列の増幅に同一のプライマーを用いることができるということである。
本明細書で用いられる「切断(cleaving)」という用語は、ポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸鎖内の少なくとも1つのペプチド結合を加水分解することを意味する。
「標的タンパク質(target protein)」という用語は、組換え触媒ポリペプチドによって特異的に結合および加水分解されるポリペプチドまたはタンパク質をいう。また、以下の「特異性(specificity)」の定義も参照せよ。
「抗体(antibody)」は、非共有的に、可逆的に、かつ特異的なかたちで対応の抗体に結合することができる免疫グロブリン・ファミリーのタンパク質または免疫グロブリンのフラグメントから構成されるポリペプチドを意味する。典型的な抗体の構造単位は、テトラマーから構成される。各テトラマーは、同一のポリペプチド鎖対2つから構成され、各々の対は1つの「軽(light)」鎖(約25kD)および1つの「重(heavy)」鎖(約50〜70kD)を有し、これらの鎖はジスルフィド結合を介して結合している。認知された免疫グロブリン遺伝子として、κ、λ、α、γ、σ、ε、およびμ定常領域遺伝子が挙げられ、同様に無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子も挙げられる。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、σ、またはεのいずれかとして分類され、言い換えればそれぞれが免疫グロブリン・クラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定める。各鎖のN末端は、主に抗体認識に関与する約100ないし110以上のアミノ酸からなる可変領域を定める。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語は、それぞれ軽鎖および重鎖のそれらの領域を意味する。
「相補性決定ドメイン(Complementarity−determining domain)」または「CDR)」は、VおよびVにある超可変領域を意味する。CDRは、抗体鎖の標的タンパク質結合部位であり、該標的タンパク質結合部位は標的タンパク質に対する特異性を持っている。可変部の約15〜20%を構成する各々のヒトVまたはVに、3つのCDR(N末端側から順番に番号付けされたCDR1〜3)が存在する。CDRは、標的タンパク質のエピトープに対して構造的相補性を持つことから、結合特異性に直接関与する。VまたはVの残りの延びた部分は、いわゆるフレームワーク領域は、アミノ酸配列内の変異が少ない(Kuby, Immunology, 4th ed., Chapter 4. W.H. Freeman & Co., New York, 2000)。さらに、本発明の文脈では、VまたはVの第1のアミノ酸は、構造的に抗原結合部位のなかにあることから、CDRであると考えられる。このCDRの定義には、VまたはVのN末端に対するいっさいのアミノ酸付加が含まれる。
CDRおよびフレームワーク領域の位置は、当技術分野で周知の種々の定義(Kabat, Chothia, international ImMunoGeneTics database (IMGT)、およびAbMを用いて、決定することができる(例えば、Johnson et al., Nucleic Acids Res., 29:205−206 (2001); Chothia and Lesk, J. Mol. Biol., 196:901−917 (1987); Chothia et al., Nature, 342:877−883 (1989); Chothia et al., J. Mol. Biol., 227:799−817 (1992); Al−Lazikani et al., J. Mol. Biol., 273:927−748 (1997))。抗体結合部位は以下のものにも記載されている。すなわち、Ruiz et al., Nucleic acid Res., 28:219−221 (2000); およびLefranc, M.P., Nucleic acid Res., 29:207−209 (2001); MacCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732−745(1996)、および Martin et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9268−9272 (1989); Martin et al., Methods Enzymol., 203:121−153 (1991); およびRees et al., In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction, Oxford University Press, Oxford, 141−172 (1996)。
本明細書で用いられるように、「抗体軽鎖(antibody light chain)」または「抗体重鎖(antibody heavy chain)」は、それぞれVまたはVを含むポリペプチドを意味する。 Vは、遺伝子セグメントV(可変的)およびJ(機能的)によってコードされ、VはV、D(多様性)、およびJによってコードされる。VまたはVの各々は、CDRとフレームワーク領域とを含む。この出願では、抗体軽鎖および/または抗体重鎖は、時々、集合的に「抗体鎖」を意味する場合がある。これらの用語は、当業者が容易に認識するように、VまたはVの基本構造を妨げることのない突然変異体を含む抗体鎖を包含する。
抗体は、完全な免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼによる消化によって作られ、かつ十分に特徴づけられた多数のフラグメントとして、存在する。したがって、例えば、ペプシンはヒンジ領域にあるジスルフィド結合の下で抗体を消化し、F(ab)′(それ自身がジスフィルド結合によってV−C1に結合している軽鎖であるFab′の二量体)を生ずる。F(ab)′を穏やかな条件下で還元することで、ヒンジ領域にあるジスフィルド結合が切断され、F(ab)′二量体がFab′単量体に変換される。Fab′単量体は、本質的にヒンジ領域の一部を持つFabである。Paul, Fundamental Immunology 3d ed. (1993)。種々の抗体フラグメントは、完全抗体を消化するという観点から定義されており、当業者はそのようなフラグメントが化学的または組換えDNA方法論を用いることで、新たに(de novo)合成される。したがって、本明細書で用いられるように、抗体という用語は、抗体全体の修飾によって作られた抗体フラグメント、または組換えDNA方法論(例えば、単一鎖Fv)を用いて新たに(de novo)合成された抗体フラグメント、またはファージ提示ライブラリーを用いて同定された骨愛フラグメントも含む(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552−554 (1990)を参照せよ)。
モノクローナルまたはポリクローナル抗体を調製するために、当技術分野で公知の任意の技術を用いることができる(例えば、Kohler & Milstein, Nature, 256:495−497 (1975); Kozbor et al., Immunology Today, 4:72 (1983); Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer 77terapy, pp. 77−96. Alan R. Liss, Inc. (1985)を参照せよ)。単一鎖抗体を製造するための技術(米国特許第4,946,778号)を、この発明のポリペプチドに対する抗体の生産に適用することができる。また、トランスジェニック・マウスまたは他の生物(例えば、他の哺乳動物)を用いて、ヒト化抗体を発現させることも可能である。あるいは、ファージ提示技術を用いて抗体およびヘテロメリックFabフラグメント、または選択された抗原に対して特異的に結合するscFvフラグメントを同定することも可能である(例えば、McCafferty et al. 上掲; Marks et al., Biotechnology, 10:779−783, (1992)を参照せよ)。
「異種(heterologous)」という用語は、組換え触媒ポリペプチドの2つの抗体鎖を記述する文脈の中で用いられるように、「抗体軽鎖」と「抗体重鎖」とのあいだの相互関係(それらの発生源に関して)を意味する。互いに「異種」である「抗体軽鎖」と「抗体重鎖」とでは、抗体軽鎖および重鎖の厳密な組み合わせが、ゲノムが遺伝的修飾を含まない哺乳動物によって産生される抗体では見いだすことができないものであるにちがいない。
「エンドペプチダーゼ活性(endopeptide activity)」という用語は、本明細書で用いられるように、任意の長さのポリペプチドに含まれる2つのアミノ酸残基間の非末端ペプチド結合の少なくとも1つの加水分解を触媒する酵素の能力を意味する。
標的タンパク質に対する「特異性(specificity)」は、指定された条件下での標的タンパク質と抗体重鎖とのあいだの結合が固有の相当な程度にあるように、構造的な違いに基づいて、その標的タンパク質と任意の他のポリペプチドとを区別する組換え触媒ポリペプチドの抗体重鎖の能力を意味する。例えば、抗体と標的タンパク質との結合は、結合アッセイにおいてバックグラウンドよりも少なくとも2倍高いシグナルが検出される場合、特異的であるとみなされる。標的タンパク質に対する「所定の特異性(predetermined specificity)」は、事前に選択された標的タンパク質に対する既知の抗体の重鎖を単離することによって、またはその特定の標的タンパク質に対して特異的に結合するための生体内(in vivo)発生抗体産物のレパートリーをスクリーニングすることによって、達成される。これらの重鎖をさらに修飾して、特異性を高めることも可能である。
ファミリーの個々のメンバー間の一次アミノ酸配列における多様性にかかわらず、セリンプロテアーゼ活性、高度に保存されあた三次構造によって支持され、該三次構造はセリン−ヒスチジン−アスパラギン酸トリアドから構成される。研究によって、アスパラギン酸残基は必ずしも触媒活性に必須であるわけではないことが示されている。本明細書で用いられるように、「セリンプロテアーゼ二つ組(serine protease dyad)」は、組換え触媒ポリペプチドのタンパク質分解活性の少なくとも一部を保つ該組換え触媒ポリペプチドの触媒部位の最小構造である。この構造は、抗体軽鎖の任意のCDRに位置したヒスチジン残基とセリン残基とを含む。これらの残基はセリンプロテアーゼ三つ組でのそれらの空間的アラインメントに類似して、互いに空間的な関係にある。そのため、ヒスチジンがセリン・ヒドロキシル基からプロトンを取り出すことができるようになっており、それによってセリンが求核試薬として作用し、かつタンパク質基質内のアミド結合のカルボニル基を攻撃することが可能となる。
本明細書で用いられるように、組換え触媒ポリペプチドの「酵素活性(enzyamatic activity)」は、ポリペプチドの特徴の2つの別々の態様を意味するもので、該態様の第一は、指定された条件下で特異性を持って標的タンパク質に結合するポリペプチドの能力であり、第二は、標的タンパク質内で少なくとも1つの非末端ペプチド結合を加水分解するポリペプチドの能力である。
2つの異種ヒト抗体鎖が互いに機能的な相互関係に置かれている場合、2つの異種ヒト抗体鎖は「実行可能に結合(operably joined)」しており、これらの結合様式が、各々の鎖が特異性を持って標的タンパク質に適当に結合し、かつ標的タンパク質の加水分解を触媒する際に適当に機能するようになっている。実行可能に2つの抗体鎖を結合させる方法として、限定されるものではないが、リンカー・ペプチドによる組換え融合、共有結合、ジスフィルド結合、イオン結合、水素結合、および静電結合が挙げられる。
組換え触媒ポリペプチドの酵素活性を変える文脈で用いられるように、「突然変異する(mutating)」または「突然変異(mutation)」は、組換え型触媒ポリオペプチドをコードする核酸内で、結果として生ずるポリペプチドのアミノ酸配列が一種類以上のアミノ酸残基で変えられるようにした化学的、酵素的、または任意の他の手段による任意のヌクレオチドの欠失、挿入、または置換を意味する。
組換え触媒ポリペプチド・メンバーの「ライブラリー(library)」は、ポリペプチド内の非末端ペプチド結合の加水分解を触媒することができる組換え型ポリペプチドのレパートリーを意味する。組換え型ポリペプチド・ライブラリーは、異なる基質特異性を有するメンバーから構成され、該メンバーの抗体重鎖のCDRによって決定される。
「組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸配列(a nulceic acid sequence encoding a recombinant catalytic polypeptide)」というフレーズは、組換え型触媒ポリオペプチドのアミノ酸配列に関する配列情報を含む核酸を意味する。このフレーズは、特異的な宿主細胞でのコドン選択(codon preferance)に一致させるために導入可能である天然の一配列または複数の配列の縮重コドン(すなわち、単一のアミノ酸をコードする複数の異なるコドン)を包含する。このフレーズで用いられるように、「核酸(nucleic acid)は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドと、単鎖または二重鎖の形態をそれらのポリマーとを意味する。この用語は、既知のヌクレオチド類似体または修飾主鎖残基またはリンケージを含み、参照核酸と類似の結合特性を有し、また参照ヌクレオチドと類似の方法で代謝される。そのような類似体の例として、限定されるものではないが、ホスホロチオネート、ホスホルアミダイト、メチルホスホネート、キラル・メチルホスホネート、2−O−メチル・リボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられる。
本明細書で用いられるように、「成長因子(growth factor)」という用語は、指定された条件下で、任意の特定の細胞種の増殖を誘導することができる任意のペプチドを意味する。この用語は、野生型遺伝子および突然変異を持つ遺伝子によってコードされる全てのポリペプチドを包含する。
「サイトカイン(cytokine)」は、種々の細胞によって産生される小さな生物活性ポリペプチドを意味する。これらのポリペプチドは、複数の潜在的標的と複数の潜在的機能(例えば、シグナル細胞増殖、分化、またはアポトーシスに対して)とを有する細胞内媒介物質として徐々に作用する。サイトカインの例として、リンホカイン、インターロイキン、およびインターフェロンが挙げられる。本明細書で用いられるように、「サイトカイン(cytokine)」は、野生型遺伝子および突然変異を持つ遺伝子によってコードされる全てのポリペプチドを包含する。
本明細書で用いられるように、「EGFRファミリー(EGFR family)」は、上皮成長因子受容体ファミリーの4メンバー、すなわちEGFR、HER2/neu、ErbB−3、およびErbB−4を意味する。この用語は、野生型遺伝子および突然変異を持つ遺伝子によってコードされる全てのポリペプチドを包含する。
(発明の詳細な説明)
(I.序論)
多くのタンパク質は、種々のヒト疾患および状態の原因および進行において重要な役割を果たすものと同定されている。例えば血管内皮増殖因子(VEGF)が固形腫瘍増殖の必要条件である血管形成を促進させることが臨床および実験的な研究で示されている(例えば、Plate et al., Nature, 359:845−848 (1992); Smith, Hum Reprod. Update; 4:509−519 (1998)を参照せよ)。別の例は、上皮成長因子受容体ファミリーの4メンバー、すなわちEGFR、HER2/neu、ErbB−3、およびrbB−4であり、それらが細胞の増殖、分化、および生存に関係している。特に、EGFRおよびHER2/neuの過剰発現は、それぞれ、例えば肺癌および乳癌で、しばしば見つけられる(例えば、Franklin et al., Semin. Oncot, 29:3−14 (2002)を参照せよ)。第3の例はIgEであり、その過剰生産は喘息等、多数の免疫疾患に長い間、結びつけて考えられていた(例えば、Romagnani, Immunol. Today, 11:316−321 (1990))。これらのタンパク質のレベルの減少がこれらの疾患および状態を処置するために決定的であると思われるにもかかわらず、これらのタンパク質を特異的に加水分解することができる既知のプロテアーゼが存在しないことから、天然のプロテアーゼを処置の手段として使うことができない。これらのタンパク質を標的としている数多くの治療的アプローチが、例えばそれらの発現を抑制する阻害剤またはアンチセンス・ヌクレオチド配列を用いて、あるいはそれらの機能を打ち消す抗体を用いて、開発されてきた(例えば、米国特許第5,760,041号、第 6,150,092号、および第6,416,758号、Babu and Holgate, Indian J. Chest Dis. Allied Sci., 44:107−115 (2002))。しかし、これらの一般的方法が治療に用いられる場合に変化する効果の度合い(標的タンパク質に対するこれらの治療薬の特異性のレベルが不十分であることに、ある程度基づいている現象)を観察することは珍しくない。
本発明は、この問題に対する革新的な解決を提供するもので、以前はヒト免疫系だけに関連したメカニズムを利用し、それは実質的にいかなる抗原に対しても高レベルの特異性を生成することができる。2つの異種ヒト抗体鎖(そのうちの一方が、ポリペプチドを加水分解するために触媒活性を提供し、他方が標的タンパク質に対する結合特異性を提供する)を実行可能に結合することで、本発明は、潜在的に無制限の数のカスタマイズされたタンパク質基質特異性を持つプロテアーゼのレパートリーの構造を教示することで、同定されたタンパク質の存在または過剰発現に起因するいっさいの症状の有効な処置および/または予防が可能となる。
(II.組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖の構造)
(A.得られる核酸配列)
((1)概要)
この発明は、組換え体遺伝学の分野でのルーチン手技に依存する。この発明で使用される一般的方法を開示している基本教科書として、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d ed. (2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990); およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1994)が挙げられる。
核酸に関しては、大きさはキロ塩基(Kb)または塩基対(bp)のいずれかであたえられる。これらは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動法から、配列された核酸から、または公表されたDNA配列から由来する推定値である。タンパク質に関して、サイズはキロ・ダルトン(kD)またはアミノ酸残基番号で与えられる。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、派生アミノ酸配列から、または公表されたタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドを、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters, 22:1859−1862 (1981)が最初に記載した固相ホスホラミダイト・トリエステル法にもとづいて、Van Devanter et al., Nucleic acid Res., 12:6159−6168 (1984)に記載されるように自動合成装置を用いて、化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製を、Pearson & Reanier, J. Chrom., 255:137−149 (1983)に記載されるように、天然ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはアニオン交換クロマトグラフィのいずれかによって、おこなう。クローン化遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えばWallace et al., Gene, 16:21−26 (1981)の二重鎖テンプレートを用いてクローニングした後に、確認することができる。
((2)タンパク質分解活性を持つ抗体軽鎖をコードするヌクレオチド配列)
一般に、ヒト起源のタンパク質分解活性を持つ抗体軽鎖のV領域をコードする核酸配列(配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または 27)は、別の種から既にクローニングされているタンパク質分解抗体軽鎖Vをコードする核酸に対する予想配列相同性に基づいて、得られる。ヒトκおよびλ軽鎖の定常領域をコードする遺伝子が知られており、引き続いて所望のタンパク質分解活性を有するVLをコードする遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または 27)に融合して、完全長の抗体軽鎖のコード配列を生成する。
ヒトゲノムの研究における急速な進歩は、既知のヌクレオチド配列(例えばネズミのタンパク分解抗体軽鎖をコードしているもの)に対して特定の割合の配列相同性を持つ任意の遺伝子セグメントについてヒトDNA配列データベースを検索することができるクローニング・アプローチを可能とした。そのように同定される任意のDNA配列は、その後、実質的に化学合成および/またはポリメラーゼ鎖反応(PCR)(例えばオーバーラップ・エクステンション法)によって、得られる。短い配列については、完全に新しく(de novo)合成することで十分であると思われるが、合成プローブを用いてヒトcDNAまたはゲノム・ライブラリーから完全長コード配列をさらに単離することは、より大きな遺伝子を得るために必要であると思われる。そのような目的に最も一般的に用いられる技術が、例えばSambrook and Russell(上掲)およびWhite et al.(上掲)に記載されている。
あるいは、タンパク質分解活性を持つ抗体軽鎖V領域をコードする核酸配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を標準的クローニング技術(例えばPCR)を用いてヒトcDNAまたはゲノムcDNAライブラリーから単離することができる。プライマーを、別の種のタンパク質分解活性を持つ抗体軽鎖V領域(例えば、ネズミのタンパク質分解軽鎖V領域配列)をコードする既知の核酸配列由来のものとすることができる。
タンパク質分解抗体軽鎖V領域のコード配列を得るために適当なヒトcDNAライブラリーを、商業的に入手可能であり、あるいは構築することができる。タンパク質分解抗体が、しばしば種々の自己免疫疾患で苦しんでいる患者で見つかることから (例えば、Paul et al., Science, 244:1158−1162 (1989); Thiagarajan et al., Biochemistry, 39:6459−6465 (2000)、そのようなDNAライブラリーは、そのようなcDNAライブラリーを、タンパク分解自己抗体(例えば自己免疫疾患患者からのB細胞)をコードしている高レベルのmRNAを含む可能性がある供給源を用いて、構築することができる。mRNAを単離し、逆転写によってcDNAを作り、cDNAを組換えベクターに連結し、さらに増殖、スクリーニング、およびクローニングのための組換え体宿主に形質移入する一般的方法が周知である(例えば、Gubler and Hoffman, Gene, 25:263−269 (1983); Ausubel et al.,上掲)。PCRによってヌクレオチド配列の増幅セグメントを得ると、即座に、該セグメントがプローブとして用いられ、cDNAライブラリーからタンパク質分解活性で抗体鎖をコードしている完全長核酸を単離することができる。 手順の一般的説明は、Sambrook and Russell (上掲)に見いだすことができる。
類似の手順を、ヒト・ゲノム・ライブラリー由来のタンパク分解抗体軽鎖V領域(例えば配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)をコードしている完全長配列を得るために適用することができる。ヒト・ゲノム・ライブラリーは、市販されているものであってもよく、または科学文献に記載された方法に基づいて構成することもできる。一般に、ゲノム・ライブラリーを構築するために、タンパク質分解抗体が見つかる可能性のある生物体から最初にDNAを抽出し、機械的剪断または酵素的消化のいずれかによって長さが約12〜20kbのフラグメントを生成する。該フラグメントを次に不要なサイズから勾配遠心によって分離し、バクテリオファージλベクターに組み込む。これらのベクターおよびファージを生体外(in vitro)でパッケージングする。組換え型ファージの分析を、Benton and Davis, Science, 196:180−182 (1977)に記載されたようなプラーク・ハイブリダイゼーションによっておこなう。コロニー・ハイブリダイゼーションをGrunstein et al., Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 72:3961−3965 (1975)によって述べられているように実施する。
配列相同性に基づいて、縮重オリゴヌクレオチドをプライマー・セットとして設計し、ヒトcDNAまたはゲノム・ライブラリー由来のヌクレオチド配列のセグメントを増幅するためにPCRを適当な条件下で実施することができる(例えば、White et al., PCR Protocols: Current Methods and Applications, 1993; Griffin and Griffin, PCR Technology, CRC Press Inc. 1994を参照せよ)。上記セグメントをプローブとして用いて、完全なタンパク質分解抗体軽鎖をコードする完全長核酸を続いて得ることができる。
タンパク質分解抗体軽鎖V領域をコードする核酸配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を得ると即座に、該配列に対するさらなる修飾をおこなうことで、,種々の特性、特に組換え型ポリペプチドの酵素活性が得られる。当業者は、種々の変異体を生成する多くのそのような方法(以下のセクションで詳細に説明される)を知ることだろう。
コード化核酸配列から、タンパク質分解抗体軽鎖V領域のアミノ酸配列(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28)を導きだし、セリンプロテーゼ・二つ組の存在を確認することができる。完全長タンパク質分解抗体軽鎖に対するアミノ酸配列を同様に決定することができる。セリンプロテーゼ・二つ組は、触媒活性に必要であるセリンおよびヒスチジン残基を含む。そのような触媒活性の検出は、後のセクションで述べられるアッセイでおこなうことができる。機能的に、セリンプロテアーゼ二つ組を部位特異的突然変異によって同定することが可能である。換言すれば、2つの残基のどちらでも別のアミノ酸によって置換される場合、軽鎖の触媒活性はほとんど完全に捨てられなければならない。構造的に、例えば、セリンプロテアーゼ二つ組を、X線結晶学とコンピュータ・ベースのプログラムとによって、同定することができる。二つ組のセリンおよびヒスチジン残基は、抗体軽鎖の結晶構造における三次元並置に関して容易に同定可能である。さらに、抗体軽鎖/遷移状態基質複合体の結晶構造によって、基質の切れやすい結合への近接に基づいて残基の同定を可能とする。触媒酵素軽鎖のアミノ酸残基の空間的配列もまた、当業者に公知のコンピュータ・ベースの方法(例えば、分子モデリング)を用いて、生成することができ、また既知のセリンプロテアーゼ(例えば、サブチリシン)の触媒部位の高度に保存された三次構造上に重ね合わせることができ、セリンプロテアーゼをその後同定することができる(例えば、Gao et al., J. Bio. Chem., 269:32389−32393 (1994)にある方法および装置に関する記述を参照せよ)。
((3) 標的タンパク質に対する特異性を有する抗体重鎖をコードするヌクレオチド配列)
(i. ヌクレオチド配列のクローニング)
本発明の組換え触媒ポリペプチドの構造では、特定の標的タンパク質を結合するために特異性を付与する抗体重鎖を、標的タンパク質に対する既知の特異性を持つ複数の天然抗体から選択することができる。特に、最も好ましい抗体重鎖は、抗原特性が主に軽鎖よりも重鎖に依存する抗体から得られる。種々のアッセイが当業者に知られており、それによって抗体軽鎖から抗体重鎖を分けたり、該重鎖が抗原に対してよりいっそう高い親和性を持つかどうか、それが抗原特異性に主に関与しているかどうかを判断する(例えば、Edelman et al, Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 50:753−761 (1963); Utsumi et al, Biochemistry, 9:1329−1342 (1964); Sun et al, J. Biol. Chem., 269:734−738 (1994)を参照せよ)。
場合によっては、適当な抗体重鎖をコードしているヌクレオチド配列は以前の研究ですでに決定されている可能性があり、該配列を本発明の組換え触媒ポリペプチドの産生に直接用いることができる。コードしている配列が前もってクローニングされていない抗体重鎖のために、上記したものと同様のクローニング方法も、抗体重鎖をコードする遺伝子の単離にとって適当である。特定の抗原に対する抗体の重鎖を、親和性クロマトグラフィーおよび電気泳動を用いて単離することができる。次にその部分的なアミノ酸配列を決定し、完全長のヌクレオチド配列を、標準的なクローニング技術に依存して、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーから単離することができる。ヌクレオチド配列もまた、別の種にある目的とする抗体の配列相同性に基づいて得ることもできる。
(ii. 抗体重鎖遺伝子の生体外(in vitro)生成)
本発明の組換え触媒ポリペプチドのための抗体重鎖をコードする核酸を得る別の手段は、遺伝子セグメントの生体外(in vitro)組換えを介するものである。この方法は、より高い標的タンパク質特異性を生成し、天然の抗体が特定の標的タンパク質に対する所望の特性を持たない適当な重鎖を提供することができない場合に、特に有用である。
重鎖の定常領域は、定常領域遺伝子(C)によってコードされ、重鎖の可変領域のゲノム構造は、3つの遺伝子セグメント・ファミリーから構成される。これらのセグメントは、可変性(V)、多様性(D)、および結合性(J)と呼ばれる。抗体重鎖遺伝子は、多様性のアレイを生成して可変領域レパートリーが実質的に任意の三次元抗原構造と結合するのを可能にする。3つの異なる遺伝子メカニズムは、そのような多様性、すなわち(1)遺伝子セグメント間のV(D)J組換え、(2)V−D、D−J、またはV−J結合配列で生成された結合多様性、および(3)体細胞超変異を生成する際に用いられる。
重鎖可変領域の多様性は、結合抗体遺伝子セグメントによって、生体外(in vitro)で発生することができ、それらの種類はV、D、J、またはCであってもよい。遺伝子セグメントは、生殖系の配列であると考えられ、または生殖系の配列に関連した配列であると考えてもよい。遺伝子セグメントは、任意の生物体由来のものであってもよく、異なる生物体由来の遺伝子セグメントは任意の順番で互いに結合する可能性がある。カップリング反応は、化学、酵素、または任意の他の手段に結合した少なくとも1つのホスホジエステル結合を生成する。遺伝子セグメントの組換えの際に用いることができる十分に確立された多数の技術として、例えば、DNアーゼ消化および合成組換え方法に続く核酸のリゲーションおよび/またはPCRアセンブリーを含む。
遺伝子セグメントのカップリングは、カップリングした結合部でのヌクレオチドの損失または増加によって生ずる。そのような残残基の損失または増加は、抗原と接触し、改善された抗体機能を得ることができる。結合部でのヌクレオチドの喪失は、酵素手段(例えば遺伝しセグメントの末端からヌクレオチドを削除するエクソヌクレアーゼを用いる)によって達成される。エクソヌクレアーゼIIIを用いた核酸の末端での欠失を生成する方法は、特許出願PCT/US 01/25788に述べられている。ヌクレオチドもまた、酵素的手段によって付け加えられ、例えば末端デオキシヌクレオチジル・トランスフェラーゼ用いてヌクレオチドを遺伝子セグメントの3’末端に酵素を加えることもできる。あるいは、ヌクレオチドを化学的手段によって付加または除去してもよい。例えば、ヌクレオチドを、オリゴヌクレオチド合成の間、遺伝子セグメントの末端に対して、または特定の遺伝子セグメントを増幅させるために用いられるPCRプライマーの末端に対して、カップリングする2つのセグメントに対して同時にハイブリダイズすることができるPCRプライマーの内部に、付加することができる。同様に、ヌクレオチドもまた、遺伝子合成の間、または遺伝子セグメントのためのPCR増幅用の合成短縮プライマーによって、欠失させることができる。増強された特異性を持つ抗体重鎖遺伝子を生成する方法は、特許出願第60/337,718号に述べられており、これをそっくりそのまま本明細書で援用する。
新たに形成された抗体遺伝子セグメントを、種々の手順によってさらに多様化することができ、該手段は体細胞性過剰変異の生体内(in vivo)メカニズムに類似している。これらの手順についての説明は、以下のセクションでおこなわれる。
(B.多様性のためのヌクレオチド配列の修飾)
増強酵素活性とより高い多様性標的タンパク質活性とを達成するために、本発明の組換え触媒ポリペプチドの抗体をコードするヌクレオチド配列に対して、そのような配列が天然に生じたものまたは生体外(in vitro)で生成されたものかどうか、修飾をさらにおこなうことができる。
種々の多様性生成プロトコルは、当技術分野で確立され、かつ記載されている(例えば、Zhang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:4504−4509 (1997); およびStemmer, Nature, 370:389−391 (1994))。手順は、一組の核酸の変異体を生成するために単独で、または組み合わせて用いられ、それによってコードされたポリペプチドの変異体が生成される。突然変異誘発のためのキット、ライブラリー構造、および他の多様性生成方法が商業的に入手可能である。
多様性生成の突然変異方法として、例えば部位特異的突然変異(Botstein and Shortle, Science, 229:1193−1201 (1985))、ウラシル含有テンプレートを用いた突然変異有誘起(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:488−492 (1985))、オリゴヌクレオチド定方向突然変異誘発(Zoller and Smith, Nucl. Acids Res., 10:6487−6500 (1982))、ホスホロチオネート修飾DNA突然変異誘起(Taylor et al., Nucl. Acids Res., 13:8749−8764 and 8765−8787 (1985))、およびギャップ形成二重鎖DNAを用いた突然変異誘起(Kramer et al., Nucl. Acids Res., 12:9441−9456 (1984))が挙げられる。
他の適当な方法として、ポイント・ミスマッチ修復(Kramer et al., Cell, 38:879−887 (1984))、修復欠損宿主株(Carter et al., Nucl. Acids Res., 13:4431−4443 (1985))、欠失突然変異(Eghtedarzadeh and Henikoff, Nucl. Acids Res., 14:5115 (1986))、制限−選択および制限−精製(Wells et al., Phil. Trans. R. Soc. Lond. A, 317:415−423 (1986)))総遺伝子合成による突然変異誘起(Nambiar et al., Science, 223:1299−1301 (1984))、二重鎖切断修復(Mandecki, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177−7181 (1986))、ポリヌクレオチド鎖停止方法による突然変異誘起(米国特許第5,965,408号)、およびエラーを生じやすいPCR(Leung et al., Biotechniques, 1:11−15 (1989))が挙げられる。
多様性もまた、Ostermeier et al., Nature Biotech., 17:1205 (1999)に記載された「ハイブリッド酵素の生成のためのインクリメンタル・トランケーション」(“ITCHY”)と呼ばれる組換え手順を用いて、核酸または核酸の集団で発生させることができる。このアプローチを、1種類以上の生体外(in vitro)または生体内(in vivo)組換え方法のための基質として任意に用いられる変異体の初期ライブラリーを生成するために、用いることができる。例えば、Ostermeier et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:3562−67 (1999); Ostermeier et al., Bio. Me. Chem., 7:2139−44 (1999)も参照せよ。
上述の方法を用いて、多数の核酸変異体は、組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖をコードする野生型配列または生体外(in vitro)発生配列sに由来することができる。全ての多様性が機能的であるというわけではないので、組換え型ポリペプチド異型は後のセクションで記載されるアッセイで標的タンパク質に結合して加水分解する能力についてスクリーニングされなければならない。
あるいは、多様化の前に機能的産物をコードする核酸に対して基質をあらかじめ選択するか、またはバイアスをかけることが望ましいと思われる。抗体重鎖を操作する場合、例えば、上記した方法のいずれかによって操作する前に生体内(in vivo)組み替え型イベントを利用することで、機能的抗原結合部位を持った重鎖に対する多様性生成プロセスをバイアスすることが可能である。そのような実施例の1つは、B細胞cDNAライブラリーから誘導された組換え型cDNRを増幅させた後、それらをフレームワーク領域に集合させる(例えば、Jirholt et al., Gene, 215:471−476 (1998))。核酸ライブラリーもまた、所望の酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸に対して、バイアスすることができる(例えば、米国特許第5,939,250号を参照せよ)。
(C.生物体での好ましいコドンの選択性に対する核酸の修飾)
特定の組換え型の触媒ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列を変更して、特定の宿主の好ましいコドンの選択性と一致させることができる。例えば、1つの細菌株の好ましいコドン選択性を用いて、本発明の組換え触媒ポリペプチドをコードし、かつこの株にとって好ましいコドンを含むポリヌクレオチドを誘導するのに用いることできる。宿主細胞によって示される好ましいコドンの選択性の頻度は、該宿主細胞が発現する多数の遺伝子の頻度を平均化することによって計算することができる(例えば、http://www.kazusa.or.jp/codon/を算用せよ)。この分析は、宿主細胞によって非常に発現される遺伝子に、好ましくは限定される。米国特許番号第5,824,864は、例えば、双子葉植物および単子葉植物によって示される高発現された遺伝子によって、コドンの選択性の頻度を提供する。
(III. 原核生物および真核生物での発現)
(A.組換え型ポリペプチド発現のための細胞)
種々の細胞型(原核生物および真核生物の両方)は、組換え触媒ポリペプチドの発現または本発明のタンパク質分解抗体軽鎖(例えば配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチド)にとって好適である。これらの細胞型として、限定されるものではないが、例えば大腸菌(E. coli)、バシラス種(Bacillus sp.)、およびサルモネラ菌(Salmonella), 同様に酵母、昆虫細胞、および哺乳動物細胞等の真核細胞型が挙げられる。遺伝子発現のための適当な細胞は、当業者に周知であり、SambrookおよびRussel(上掲)等の数多くの刊行物に記載されている。
(B. 発現ベクター)
本発明の核酸コード化組換え型ポリペプチドは、複製および/または発現のために原核生物または真核細胞への形質転換に先だって、中間のベクターに典型的にクローン化される。この中間のベクターは、概して原核生物ベクター(例えばプラスミドまたはシャトルベクター)である。
クローン化遺伝子(例えば配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27を含むタンパク分解抗体鎖をコードしているcDNA)の高レベル発現を得るために、cDNAのサブクローニング化は、転写、転写/翻訳ターミネーター、および翻訳開始のためのリボソーム結合部位に向けられた強力なプロモーターを含む発現ベクターに対して、おこなわれる。適当な細菌プロモーターは、当技術分野では周知であり、科学文献(例えばSambrookおよびRussell、上掲、およびAusubel、公知)に完全記載されている。組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖を発現するための細菌発現系が得られる。組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖を発現するための細菌発現系は、例えば大腸菌(E.coli)、バシラス菌(Bacillus sp.)、およびサルモネラ菌(Salmonella)が利用可能である(Palva et al., Gene, 22:229−235 (1983); Mosbach et al., Nature, 302:543−545 (1983))。そのような発現系のためのキットは、商業的に入手可能である。哺乳動物細胞、酵母、および昆虫細胞に対する真核生物発現系もまた、商業的に入手可能である。
プロモータの選択は、特定用途上で異種核酸を直接発現させることに用いられる。プロモータは、異種転写開始部位からおおよそ同一距離に好ましくは位置しており、実際にはその自然のままのセッティングにある転写開始部位からおおよそ同一距離である。当技術分野で公知なように、この距離での若干の変化は、プロモーター機能の喪失なく受け入れられる。
プロモータに加えて、発現ベクターが概して転写単位または発現カセットを含み、それらは宿主細胞でタンパク分解抗体鎖の発現のために必要な全ての追加の構成要素を含む。したがって、典型的な発現カセットは、タンパク質分解抗体鎖をコードする核酸配列に実行可能に結合するプロモーター、転写の効率的なポリアデニル化に必要なシグナル、リボソーム結合部位、および翻訳停止を含む。上記カセットの追加の追加の構成要素として、エンハンサー、さらにゲノムDNAが構造遺伝子として用いられる場合は、機能的スプライス・ドナーおよびアクセプター部位を持つイントロンが挙げられる。
プロモータ配列に加えて、発現カセットは、効率的な終止を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終止部位を含むものでなければならない。終止領域は、プロモーター配列が異なる遺伝子から得ることが可能であることから、同一遺伝子から得られるものであってもよい。
細胞に遺伝情報を送るために用いられる特定の発現ベクターは、特にクリティカルなものではない。真核細胞または原核細胞での発現に用いられる従来のベクターのいずれも用いることが可能である。標準的な細菌発現ベクターとして、プラスミド、例えばpBR322系プラスミド、pSKF、pET23D、ならびに融合発現系、例えばMBP、GST、およびLacZが挙げられる。エピトープ・タグ、例えばc−mycまたはヒスチジン・タグも組換え型タンパク質に加えることができ、それによって単離の簡便な方法が提供される。
真核生物ウイルス由来の調節因子を含む発現ベクターは、概ね真核生物発現ベクター、例えばSV40ベクター、パピローマ・ウイルス・ベクター、およびエプスタイン−バー(EB)ウイルスで用いられる。他の典型的な真核生物ベクターとして、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネイン・プロモーター、ネズミ乳癌ウイルス・プロモーター、ニワトリ肉腫ウイルス・プロモーター、ポリヘドリン・プロモーター、または真核細胞での発現に有効性を示す他のプロモーターの指示のもとでタンパク質の発現を可能にするその他のベクターが挙げられる。
いくつかの発現系は、チミジン・キナーゼおよびジヒドロ葉酸還元酵素当の遺伝子増幅をもたらすマーカーを持っている。あるいは、遺伝子増幅を伴わない高収率発現系も適当であり、例えば、ポリヘドリン・プロモーターまたは他の強力なバキュロウイルス・プロモーターの指示下で、タンパク質分解抗体鎖をコードする核酸配列を持つ昆虫細胞内のバキュロウイルス・ベクターが用いられる。
発現ベクターにも典型的に含まれる要素として、大腸菌(E.coli)で機能するレプリコン、組換えプラスミドの宿主となる細菌の選択を可能にする抗生物質耐性をコードする遺伝子、ならびに真核生物配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域にあるユニーク制限部位が挙げられる。選択される特定の抗生物質抵抗性遺伝子は決定的(クリティカル)ではなく、当技術分野で公知の多くの耐性遺伝子のいずれかが適当である。必要に応じて、原核生物の配列が、真核細胞でのDNAの複製を妨害しないようにして、好ましくは選択される。
(C. 形質移入(トランスフェクション)方法)
標準のトランスフェクション方法は、標準的技術を持ちいて精製される組換え触媒ポリペプチドの過剰量の抗体鎖を発現する細菌(哺乳動物の)酵母、または昆虫細胞系統を発生させ、つづいて標準的な技術を用いて、精製される(例えば、Colley et al. J. Biol. Chem., 264:17619−17622 (1989); Guide to Protein Purification, in Methods in Enzymology, vol. 182 (Deutscher, ed., 1990を参照せよ)。真核および原核生物細胞の形質転換は、標準的な技術にもとづいて実行される(例えば、Morrison, J Bact., 132:349−351 (1977); Clark−Curtiss and Curtiss, Methods in Enzynnology, 101:347−362 (Wu et al., edsを見よ)。
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入する周知の手順のいずれかが用いられる。これら例として、リン酸カルシウム・トランスフェクション、ポリブレン、原形質体融合、電気穿孔法、微粒子銃、リポソーム、顕微注射、血漿ベクター、ウィルス・ベクター、ならびにクローニングしたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来遺伝物質を宿主細胞に導入するための他の周知の方法のいずれか(例えば、Sambrook and Russell、上掲)が挙げられる。少なくとも両方の遺伝子を組換え触媒ポリペプチドを発現することが可能な宿主細胞に、少なくとも両方の遺伝子を首尾よく導入する特定の遺伝子工学的手法のみが必要なだけである。
発現ベクターが細胞に導入された後、トランスフェクション細胞はタンパク分解抗体鎖の発現に好ましい条件下で培養され、以下に特定される標準的技術を用いて、培地から回収される。
(D.組換え型ポリペプチドの細胞発現組換え体)
トランスフェクション手法の後、組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖の発現について、細胞をスクリーニングする。
遺伝子発現をスクリーニングするためのいくつかの一般的方法が当業者の間では周知である。第1に、遺伝子発現は核酸レベルで検出される。核酸ハイブリダイゼーション技術を用いた特異的DNAおよびRNA測定の多様な方法が一般に用いられる(例えば、Sambrook and Russell、上掲)。いくつかの方法は、電気泳動による分離(例えば、DNAを検出するためのサザン・ブロットおよびRNAを検出するためのノーザン・ブロット)を含む。しかし、DNAまたはRNAの検出は、電気泳動なしでも実行することができる(例えば、ドット・ブロット)。トランスフェクション細胞での組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の存在は、配列特異的プライマーを用いたPCRまたはRT−PCRで検出することもできる。
第2に、遺伝子発現を、上記ポリペプチド・レベルで検出することができる。種々の免疫学的アッセイが当業者によって日常的に用いられ、特に本発明の組換え型ポリペプチドと特異的に反応するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いて、遺伝子産物のレベルの測定がなされる(例えば抗体軽鎖は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸から構成される抗体軽鎖)(例えば、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor, 1988; Kohler and Milstein, Nature, 256:495−497 (1975))。そのような技術は、組換え型ポリペプチドまたはその抗原部分に対して特異性が高い抗体を選択することで、抗体試料を必要とする。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生ずる方法を、文献に見いだすことができる(例えば、Harlow and Lane、上掲、Kohler and Milstein, Eur., J. bnmunol., 6:511−519 (1976))。
また、例えば 配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を有する組換え型触媒ポリオペプチドまたはタンパク質分解軽鎖の検出をおこなう機能的アッセイを、トランスフェクション細胞でおこなうことも可能である。所定の標的タンパク質に対する結合特異性を検出するアッセイと組換え触媒ポリペプチドのタンパク質分解活性のアッセイを一般に後のセクションで説明する。
(IV. 組換え型ポリペプチドの精製)
本発明の組換え触媒ポリペプチドの天然組換え型の抗体鎖を、機能的なアッセイでの使用を目的として精製することができる。天然タンパク質分解抗体軽鎖の精製は、例えば、タンパク分解自己抗体を発生するために同定されたヒト患者のB細胞または血清からおこなうことができる。組換え型抗体鎖(例えば、抗体軽鎖)は、アミノ酸配列の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28 からなり、既に説明した任意の適当な発現系から精製することができる。
本発明の組換え触媒ポリペプチドは、標準的な技術によって相当な純度に精製され、硫酸アンモニウムのような物質による選択的沈殿、カラム・クロマトグラフィー、ゲル濾過、免疫精製法、およびその他が挙げられる(米国特許第4,673,641号、Scopes, Protein Purifcation: Principles and Practice, 1982; Sambrook and Russell, 上掲; およびAusubel et al.,上掲)。
組換え触媒ポリペプチドが精製される場合、多数の手法を用いることができる。例えば、確立された分子粘着性を持つタンパク質を、本発明のポリオペプチドに可逆的に融合することができる。適当なリガンドを用いて、上記ポリペプチドを選択的に精製用カラムに吸着させ、つぎに相対的に純粋なかたちでカラムから放出させる。融合タンパク質を次に酵素による切断で取り除く。最後に、ポリオペプチドを親和性カラムで精製することができる。
(A. 細菌由来組換え型ポリオペプチドの精製)
組換え型ポリペプチドが大量に形質転換細菌で発現される場合、概してプロモーター誘導の後、発現が恒常的であるにもかかわらず、ポリペプチドが不溶性の凝集体を形成する可能性がある。ポリペプチド含有体の精製に好適なプロトコルがいくつか存在する。例えば、凝集体ポリペプチド(以下、封入体と呼ぶ)の精製は、一般に、限定されるものではないが、約100〜150μg/mlリゾチームおよび0.1%ノニデット(Nonident)P40、非イオン性界面活性剤の緩衝液でインキュベーションすることによって、細菌細胞を破壊することで、封入体の抽出、分離、および/または精製をともなう。細胞懸濁液を、ポリトロン(Polytron)グラインダー(Brinkman Instruments, Westbury, NY)を用いて粉砕することができる。あるいは、細胞を氷上で超音波処理してもよい。細胞を溶解する別の方法は、多数の科学的刊行物(例えば、Sambroolc and Russell, 上掲, およびAusubel et al., 上掲)に詳細に記載されており、当業者にとって明らかである。
細胞懸濁液を通常は遠心し、封入体を含有するペレットを該封入体を溶解はしないが洗浄する緩衝液(例えば、20mM Tris−HCl(pH7.2)、1mMEDTA、150mMNaCl、および2%Triton−X100、非イオン系界面活性剤)中に再懸濁した。できるだけ多くの壊死細胞片を除くために、洗浄工程を繰り返すことが必要であると思われる。封入体の残留するペレットを、適当な緩衝液(例えば20mMの燐酸ナトリウム、pH 6.8、150mM NaCl)中に再懸濁してもよい。他の適当な緩衝液は、当業者にとって明らかである。
洗浄工程後、強水素受容体と強水素供与体(との両方である溶媒または各々これらの性質のうちの1つを持っている溶媒の組合せ)を添加することで、封入体を可溶化する。封入体を形成した組換え型ポリペプチドを次に互換性を持つ緩衝液で希釈または透析をおこなうことで再生することが可能である。適当な溶媒として、限定されるものではないが、尿素(約4Mないし約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、体積/体積基準)、および塩酸グアニジン(約4Mないし約8M)が挙げられる。凝集体形成ポリペプチドを可溶化することができるいくつかの溶媒(例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および70%ギ酸)は、結合特性および/または触媒活性が欠けることで、ポリペプチドの不可逆的な変性が生ずる可能性があることから、この手法で用いることは不適当である。塩酸グアニジンと類似の薬剤が変性剤であるにもかかわらず、この変性は不可逆的ではないので、除去こと(例えば、透析によって)または変性剤による希釈によって再生が生ずる可能性があり、生物活性のある組換え触媒ポリペプチドの再形成が可能となる。可溶化後、ポリペプチドを標準的な分離技術を用いて、細菌タンパク質から分離することができる。
あるいは、細菌ペリプラズムから組換え触媒ポリペプチドまたはタンパク質分解抗体軽鎖(例えば配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含んでいるもの)を精製することは、可能である。ポリペプチドが細菌ペリプラズムに送られる場合、当業者(例えば、Ausubel et al.,上掲)に知られている他の方法に加え、冷浸透圧衝撃によって、細菌のペリプラズム分画を単離することができる。ペリプラズムから組換え型ポリペプチドを単離するために、細菌細胞を遠心にかけてペレットを形成する。このペレットを、20%スクロース含有緩衝液に再懸濁する。細胞を溶解するために、細菌を遠心にかけ、ペレットを氷冷5mM MgSOに再懸濁し、約10分間氷浴に放置する。細胞懸濁液を遠心し、上清を捨てて保存する。上清に存在する組換え型ポリペプチドを、当業者に周知の標準的分離技術によって宿主タンパク質から分離することができる。
(B. タンパク質を精製するための標準的タンパク質分離技術)
((1)可溶性分画)
しばしば最初の工程として、またタンパク質混合物が複雑な場合、最初の塩分別によって、多くの不必要な宿主細胞タンパク質(または細胞培養基由来のタンパク質)を本発明の組換え型ポリペプチドから分離することができる。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水分量を効果的に減らすことでタンパク質を沈殿させる。そのため、タンパク質が該タンパク質の溶解性に基づいて沈殿する。典型的なプロトコルは、飽和硫酸アンモニウム塩をタンパク質溶液に加えることで、その際、結果として生ずる硫酸アンモニウム濃度を20〜30%とする。このことによって、最も疎水性の高いタンパク質が沈殿する。沈殿物を捨て(組換え触媒ポリペプチドが疎水性でない限り)、硫酸アンモニウムを上清に添加して組換え型ポリペプチドを沈降させることが知られている濃度にする。これによって、cいんでんぶつが緩衝液に可溶化し、必要に応じて過剰な塩を透析またはダイアフィルトレーションのいずれかで取り除く。タンパク質の可溶性に依存した他の方法(例えば冷エタノール沈殿)は、当業者に周知であり、複合タンパク質混合物の分画化に用いることができる。
((2)サイズ差濾過)
算出分量に基づいて、サイズがより大きいまたはより小さいポリペプチドを、異なる細孔径の膜(例えば、AmiconまたはMillipore膜)を介した限外濾過を用いて、単離することができる。最初の工程として、タンパク質混合物を、組換え触媒ポリペプチドまたはタンパク質分解抗体軽鎖の分子量より低い分子量分離をする細孔径を持つ膜を通して、限外濾過する。次に、限外濾過の残留物を、組換え触媒ポリペプチドまたはタンパク質分解抗体軽鎖の分子量より大きな分子カットオフで、膜で限外濾過する。ポリペプチドは、膜を貫通して濾過液に入る。さらに、濾過液を次にカラム・クロマトグラフィーにより処理する。
((3)カラム・クロマトグラフィー)
本発明の組換え触媒ポリペプチドまたはタンパク質分解抗体軽鎖は、それらのサイズ、正味表面電荷量、疎水性、およびリガンドに対する親和性に基づいて、他のタンパク質から分離することもできる。加えて、組換え型ポリペプチドまたはタンパク分解軽鎖(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含んでいるもの)に対して生じた抗体をカラム・マトリックスに共役させることで、ポリペプチドを固定化することができる。これらの方法全ては、当技術分野で周知である。
いかなる規模であっても、また多くの異なる製造業者(例えばPharmacia Biotech)の器材を使用していても、クロマトグラフィーの技術を実施することができることは、当業者に明らかである。
(V.抗体軽鎖および抗体重鎖を作用可能な形で結合)
組換え触媒ポリペプチドの抗体軽鎖と重鎖とを結合させる方法がいくつかある。例えば、当業者は、2つの抗体鎖をコードしている遺伝子が同時にトランスフェクション細胞で発現される場合、そのプロセスの間、それらが結合することを理解する。2つの抗体鎖は、該抗体鎖の発現前後に核酸レベルまたはポリペプチド・レベルで結合している可能性もある。
(A.組換え方法)
抗体軽鎖および抗体重鎖を、それらが発現する前に、組換えDNA技術によって結合することができる(例えば、Chaudhary et al, Nature, 339:394−397 (1989); Pantoliano et al., Biochemistry, 30:10117−10125 (1991); Kim et al., MoL Immunol, 34:891−906 (1997)を参照せよ)。当業者に既知であるように、酵素消化/ライゲーションおよび/またはPCR等の種々のツールおよび技術を用いることによって、ポリヌクレオチド配列を導入して抗体軽鎖および重鎖に対するコーディング配列を連結することができる。挿入物より下流にあるコーディング配列のオープン・リーディング・フレームを破壊すべきでないという点で、挿入物の正確な長さが重要となる。トランスフェクションおよび発現に際して、抗体軽鎖および重鎖両方とそれらを結合するのに適当な長さのペプチド・リンカーとを含有する1つの単一ポリペプチドを生成する。
抗体軽鎖および重鎖を結合する第2のアプローチでは、組換えDNA技術も利用するが、2つの抗体鎖は、発現する際2つの別個のポリペプチドのままである。このアプローチでは、適当なタグをコードするヌクレオチド配列を、抗体鎖をコードする遺伝子の3′末端に融合する。タグ付き抗体のトランスフェクションおよび発現の際に、該タグ付き抗体を、適当なタグ結合剤がすでに固定されている通常の固体支持体に連結することができる。したがって、抗体鎖は、物理的に近接しているおかげで、固体支持体を介して結合される。融合タンパク質を作製する一般的な方法論は、当業者に周知であり、手順については、SambrookおよびRussell(上掲)等の多数の科学出版物で見出されうる。多数のタグおよび固相支持体に連結することができるタグ結合剤は、文献に十分に記載されている分子相互作用にもとづいて当業者に既知である。この目的に適当な対としては、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン、抗体のFc領域およびプロテインAまたはプロテインG等が挙げられる。さらに、非常に多数の既知の細胞表面受容体−リガンド対も有用であり、例えば、サイトカイン、細胞接着分子、ウイルス・タンパク質、ステロイド、および種々の毒素/毒液がそれらそれぞれの受容体とともに有用である。これらのタグまたはそれらのコーディング配列の多くが市販されている。
第2のアプローチから派生して、第3のアプローチは、タグ(またはリガンド)をコードするヌクレオチド配列を第1の抗体鎖に融合し、タグ結合剤(または受容体)を第2の抗体鎖に融合することを含む。したがって、2つの抗体鎖は、固体支持体の助けを借りずに、タグとタグ結合剤と(またはリガンドと受容体と)の相互作用を介して結合されうる。
(B.化学的方法)
2つの抗体鎖を、それらの発現および精製に続いて、化学的手段によって結合することも可能である。化学的修飾としては、例えば、タンパク質化学の技術分野で周知の方法によって直接的または結合化合物を介して抗体鎖を互いに結合する目的のための誘導体化が挙げられる。共有結合手段および非共有結合手段両方を、本発明の組換え触媒ポリペプチドとともに用いることが可能である。
2つの抗体鎖を結合するための手順は、該鎖を結合させる部分の化学構造に応じて変わる。ポリペプチドとしては、一方の抗体鎖は、通常、カルボン酸(−COOH)、遊離アミン(−NH)、またはスルフヒドリル基等の種々の官能基を含有し、該官能基は、他方の抗体鎖上の適当な官能基との反応に用いることが可能であり、リンケージを生じる。
または、一方の抗体鎖を誘導体化して、追加の反応性官能基を暴露または結合することができる。誘導体化は、Pierce Chemical Company, Rockford Illinoisから入手可能なもの等の多数のリンカー分子のいずれかの結合を含む。リンカーは、両抗体鎖への共有結合を形成することができる。適当なリンカーは当業者に周知であり、限定はされないが、直鎖状または分岐鎖状炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、またはペプチド・リンカーが挙げられる。抗体鎖はポリペプチドであるので、リンカーは、構成アミノ酸にそれらの側鎖を介して結合することが可能である(例えば、ジスルフィド・リンケージを介してシステインに結合)。リンカーを、末端アミノ酸のアルファ炭素アミノ基およびカルボキシル基に結合することも可能である。
直前のセクションに記載されるように、抗体鎖を、タグおよびタグ結合剤の相互作用を介して結合することができる。タグおよびタグ結合剤を、化学的手段によって抗体鎖に結合することができる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレン硫化物、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート等の合成ポリマーは、適当なタグまたはタグ結合剤を形成することができる。ペプチド、ポリエーテル等の他の通常のリンカーもタグとして働くことができ、約5ないし200個のアミノ酸のポリGly配列等のポリペプチド配列を含む。そのようなフレキシブルなリンカーは当業者に既知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc. Huntsville, Alabamaから入手可能である。これらのリンカーは、任意で、アミド・リンケージ、スルフヒドリル・リンケージ、またはヘテロ機能(heetrofunctional)リンケージを持つ。多くの付加的なタグ/タグ結合剤対がこの目的のために使用可能であり、当業者にはこの開示を再考すれば自明であるだろう。
または、結合相手の一方が最初に固体支持体に固定される場合、タグ/タグ結合剤の相互作用を介して抗体鎖を結合することができる。現在利用可能な種々の方法のいずれかを用いて、タグ結合剤を固体基板に固定する。固体基板を、通常、該基板の全てまたは一部分を化学試薬にさらすことによって誘導体化または官能化する。該化学試薬は、タグ結合剤の一部分に反応しやすい表面に化学基を固定する。例えば、長めの鎖部分への結合に適する基としては、アミン、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシル基が挙げられる。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面等の種々の表面の官能化することができる。そのような固相バイオポリマー・アレイの構築については、文献に十分に記載されている。例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149−2154 (1963)(例えばペプチドの固相合成について記載); Geysen et al., J. Immun. Meth. 102:259−274 (1987)(ピン上の固相構成要素の合成について記載); Frank & Doring, Tetrahedron 44:6031−6040 (1988)(セルロース・ディスク上の種々のペプチド配列の合成について記載); Fodor et al., Science, 251:767−777 (1991); Sheldon et al., Clinical Chemistry 39(4):718−719 (1993);およびKozal et al., Nature Medicine 2(7):753759 (1996) (全て、固体基板へ固定されるバイオポリマーのアレイについて記載)を参照せよ。基板へタグ結合剤を固定するための非化学的アプロ−チとしては、熱、UV照射による架橋等の他の共通的な方法が挙げられる。
(C.細胞方法)
得られる融合細胞が特定の抗体を分泌する不死化細胞株となるように所望の抗体を産生するB細胞を不死化細胞株、通常、骨髄腫細胞株と融合することによって、ハイブリドーマ細胞を生成することができる。同様の原理によって、骨髄腫細胞を、初めに、タンパク質分解軽鎖をコードする核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27のヌクレオチド配列を含む核酸)でトランスフェクションすることができ、軽鎖の発現に対してスクリーニングすることができる。続いて、最も高いレベルのタンパク質分解軽鎖発現を有する骨髄腫細胞を、所望の標的タンパク質特異性を持つ抗体を産生するB細胞と融合することができる。融合細胞は、2種類の抗体を産生する。すなわち、一方は、触媒軽鎖(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含むもの)に実行可能に結合する異種重鎖を含有する異種抗体であり、他方は、親B細胞が分泌するのと同じ抗体である。実行可能に結合した異種重鎖と軽鎖とを、クロマトグラフィー等の従来の方法によって単離することができ、この開示の他のセクションに記載される標的タンパク質結合アッセイおよびエンドペプチダーゼ活性アッセイによって、酵素活性を確認することができる。または、重鎖に対する遺伝子を、標準的な技術によって融合細胞からクローン化して、触媒軽鎖と実行可能に結合した他の哺乳動物細胞株で発現させるために用いることが可能である。いくつかの場合では、異種抗体が2種類の抗体間で最も多量を占める種類である場合、そのような単離は必要ではないだろう。
(VI. 組換え触媒ポリペプチドの生体外(in vitro)酵素活性)
(A.標的タンパク質結合アッセイ)
本発明の組換え触媒ポリペプチドまたはその抗体重鎖による標的タンパク質に特異的に結合する能力を、当業者が熟知している技術を用いる種々の生体外(in vitro)アッセイで実証することができる。これらのアッセイの一般原理および方法論は、患者試料中の標的タンパク質レベルを検出するために設計されたイムノアッセイ(詳細は後のセクションで記載)のそれと同様である。
例えば、抗体軽鎖および重鎖両方を含有する単一ポリペプチド鎖の形態である組換え触媒ポリペプチドのライブラリーで標的タンパク質特異性をスクリーニングするためには、標的タンパク質を固体基板に直接結合させて、アッセイ系に固定することができる。ファージ提示ライブラリー中のもの等の発現系から得られた組換え型ポリペプチドを、例えば125Iで標識することができ、標的タンパク質に捕捉されると容易に検出することができる。例えば125Iで標識された関係のない抗体(すなわち、標的タンパク質に結合しないことが知られているもの)とのシグナル比較から、特定の組換え型ポリペプチドが標的タンパク質に特異的であるかどうかが明らかになる。ファージ提示をこの目的のために直接利用することができる。すなわち、標的タンパク質に特異性を持つ組換え型ポリペプチドを含有するファージを、初めに、すでに固相に固定されている標的タンパク質に結合させる。続いて、それらをストリンジェントな条件下で洗浄(例えば、洗剤、高塩濃度溶液、または低pHで洗浄)し、回収する。回収された画分を、同様の方法で処理された負の対照群ファージとの比較で、多重感染度(MOI)について試験して特異性を決定する。または、スクリーニング・アッセイのために、組換え型ポリペプチドを固定して、標的タンパク質を標識してもよい。特異的な抗体は、上記のアッセイで、バックグラウンドを上回る統計学的に有意なシグナルを示すはずであり、そのようなシグナルは、好ましくは、バックグラウンドを少なくとも2倍上回る。標的タンパク質に対して特異性を持つ組換え触媒ポリペプチドを同定するために用いられる種々の他の方法も利用可能であり、当業者には自明である。
同様の一般的方法が、抗体重鎖とタンパク質分解軽鎖とを結合する前に標的タンパク質特異性に対して個々の抗体重鎖をスクリーニングおよび選択するため、かつタンパク質分解軽鎖と選択された重鎖とを実行可能に結合した後に組み換え型触媒ポリペプチドの結合特異性を確認するために適用可能である。
(B.エンドペプチダーゼ活性アッセイ)
((1)抗体軽鎖によるペプチドの加水分解)
抗体軽鎖がエンドペプチダーゼ活性を含むかどうかを決定するために複数のアッセイが利用可能である。概して、2次的なアミド結合の加水分解を検出することができる任意のアッセイを用いて、エンドペプチダーゼ活性を決定することができる。通常用いられるアッセイは、ペプチドから放出される際検出可能であるレポーター分子に結合させたペプチド類似体を利用する。通常用いられるアッセイは、ペプチド−メチルクマリンアミド(MCA)誘導体を含み、該ペプチド−MCA結合の加水分解が脱離基アミノメチルクマリンを産生してその蛍光が370nmの励起および460nmの発光で測定されるように含む。そのようなアッセイが実行されて、マウス軽鎖のタンパク質分解活性が検出された(Gao, et al, J. Biol. Chem. 269:32389−32393 (1994); Sun et al, J. Mol. Biol. 271:374−385 (1997))。結合が開裂される際にスペクトル特性が変化する分子(例えば、ニトロアニリン複合体)にペプチドを結合させるための他の類似の方法が当該技術分野で公知である。
((2)組換え触媒ポリペプチドによる標的タンパク質の加水分解)
標的タンパク質中の開裂されたペプチド結合を検出することが可能な任意の方法は、本発明で使用するのに適している。ペプチド結合の加水分解は、必然的に、1つより多いポリペプチド産物を産生するので、当該技術分野で公知の複数の標準的なサイズまたは質量分析技術を用いて、ペプチド結合加水分解を同定することができる。これらの技術としては、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動等の電気泳動技術、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびMALDI−TOF等の質量分析法が挙げられる。または、ラジオアイソトープで標識されたタンパク質をTCA中で沈殿させることができ、この際、ペプチド結合の加水分解は、TCA可溶性放射能の量によって示される(Gao, et al, J Biol. Chem. 269: 32389−32393 (1994))。標的タンパク質加水分解を検出するための他の方法は、標識された標的タンパク質を固体支持体に連結し、触媒ポリペプチドへの暴露後の該標的されたタンパク質の放出を測定することを含む。さらに、SmithおよびKohorn(PNAS 88: 5159−5162 (1991))、LawlerおよびSnyder(Anal. Biochem. 269: 133−138 (1999))、Dasmahaptra他(PNAS 89: 4159−4162(1992))、Murray他(Gene 134: 123−128 (1993))、ならびにKim他(Biochem.Biophys.Res.Commun. 296: 419 (2002))は、酵母ツー・ハイブリッド・システムの変形物を用いてタンパク質分解活性を検出するために遺伝的機構について記載している。このシステムを改変して、本発明の組換え型ポリペプチドに対応することが可能である。
((3)プロテアーゼ阻害剤プローブへの組換え型ポリペプチドの結合)
機能性組換え触媒ポリペプチドを、プロテアーゼ阻害剤プローブへ結合するその能力に対してアッセイすることができる。本発明の文脈における「プロテアーゼ阻害剤プローブ(protease inhibitor probe)」とは、プロテアーゼ阻害剤構成要素および検出可能なリガンド構成要素を含むニ機能性分子を指す。プロテアーゼ阻害剤成分は、セリンプロテアーゼを機能的に阻害することができる任意の阻害剤でよい。そのような阻害剤としては、小分子およびその誘導体(ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)またはフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)に類似のホスホン酸塩を含む)と、タンパク質またはペプチド阻害剤(例えば、アプロチニン等)とが挙げられる。好ましくは、阻害剤は、セリンプロテアーゼ三つ組の構成要素のうちの1つに共有結合することができる。最近の研究で、フルオロホスホン酸プローブを用いて、複合プロテオミクス混合物中で加水分解酵素活性を持つタンパク質をプロファイリングすることが可能であることが示された(Liu, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 96: 14694−14699 (1999))。共有結合的に反応性である類似体(ホスホン酸エステル)を用いて、組換え触媒ポリペプチドを同定することも可能である(Paul, et al. J. Biol. Chem. 276: 28314−28320 (2001))。
プロテアーゼ阻害剤プローブに有用な検出可能なリガンド(標識を含む)の例としては、限定はされないが、ビオチン、デイミノビオチン、デチオビオチン、ビシナル・ジオール(例えば、1,2−ジヒドロキシエタン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン等)、ジゴキシゲニン、マルトース、オリゴヒスチジン、グルタチオン、2,4−ジニトロベンゼン、フェニルアルセナート、ssDNA、dsDNA、ポリペプチドのペプチド、金属キレート、糖類、ローダミンまたはフルオロセイン、あるいは抗体を生成させることができる任意のハプテンが挙げられる。検出可能な標識は、分子量、酸化還元電位、電磁特性、結合特性等のために他の類似分子から容易に区別されうる低濃度、通常マイクロモル未満、好ましくはナノモル未満で検出可能な基である。検出可能な標識は、活性タンパク質以外の相補的受容体に非共有結合可能なビオチンまたは蛍光剤またはオリゴヌクレオチド等のハプテン;適当なアイソトープを含む質量タグ;ラジオアイソトープ;金属キレートまたは生物学的試料中で通常見いだされないヘテロ原子を持つ他の基;好ましくは0.1より大きい量子収率を持つ蛍光基または化学発光基;タンパク質に通常存在する基より低い酸化または還元電位をもつ電気活性基;補酵素、有機金属触媒、光増感剤、または電子伝達剤等の触媒;酵素活性剤または阻害剤あるいは補酵素等の触媒活性に作用する基でもよい。
(VII.組換え触媒ポリペプチドによる生体内(in vivo)標的タンパク質切断)
(A.組換え触媒ポリペプチドの投与)
生体内(in vivo)での標的タンパク質の特異的な加水分解のために、本発明の組換え触媒ポリペプチドを哺乳動物被験体に直接投与することができる。このストラテジーを用いて処置または予防することができる疾患および状態としては、正常タンパク質の過剰発現または異常タンパク質の発現を含むもの、あるいは外来タンパク質が疾患または状態の原因に役割を果たすものであり、かつ遺伝するかまたは天然に獲得されうるものが挙げられる。種々の種類の癌、アレルギー反応、ウイルス感染、および細菌感染がいくつかの例である。いくつかの実施形態では、本発明の組換え触媒ポリペプチドを、疾患の特定の症状を軽減するのに有用な他の薬剤と組み合わせることができる。
((1)医薬配合物)
本発明の組換え触媒ポリペプチドを含有する医薬組成物は、医薬的に許容される担体を含むことが可能である。医薬的に許容される担体は、投与される特定の組成物と、組成物を投与するために用いられる特定の方法とによって部分的に決定される。したがって、本発明の医薬組成物の適当な配合物は多種多様である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 19th ed. 1995を参照せよ)。
本発明の組換え触媒ポリペプチドを、単独または他の適当な構成要素との組合せで、エアロゾル配合物中に作製(すなわち、それらは「噴射され(nebulized)」)て、吸入を介してまたは注入に有用な組成物中で投与することができる。エアロゾル配合物を、加圧された許容される噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等)中に入れることができる。
投与に適する配合物は、水溶液、非水溶液、および等張性無菌溶液(酸化防止剤、バッファー、殺菌剤、および配合物を等張にする溶質を含有することができる)、ならびに水性および非水性無菌懸濁物(懸濁剤、可溶化剤、濃縮剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる)を含むことができる。この方法を実施する際、例えば経口、経鼻、局所的、静脈内、腹腔内、またはくも膜下腔内に組成物を投与することができる。化合物の配合物を、アンプルおよびバイアル等の単回投与または複数回投与密閉容器で提供することができる。溶液および懸濁物を、前述の種類の無菌粉末、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。モジュレーターを、調製された食物または薬剤の一部として投与することもできる。
((2)投与および投与量)
本発明の組換え触媒ポリペプチドを含有する組成物の投与は、治療すべき組織に治療化合物を最終的に接触させるために通常用いられる経路のいずれかによってなされるものでありえ、当業者には周知である。上述のように、哺乳動物に組成物を投与するために、種々の方法が利用可能である。投与形態としては、限定はされないが、静脈内、腹腔内、鼻腔内、経皮、局所的、皮下、親を介して、筋肉内、経口、または全身的、および任意の他の手段による注入、摂取、吸入、移植、または吸着を介して組成物を投与することを含む方法を挙げることができる。1つよい多い経路を用いて特定の組成物を投与することができるが、特定の経路は、しばしば、別の経路より即時かつ効果的な反応を与えることができる。
本発明の文脈において、哺乳動物患者に投与される組換え触媒ポリペプチドの投与量は有益な応答を生む、すなわち一定期間にわたって患者中で標的タンパク質のレベルを低減するのに十分な投与量であるべきである。任意の患者に対する最適投与量のレベルは、用いられる特異的な組換え触媒ポリペプチドの効果、ならびに患者の年齢、体重、身体活動、および食事を含む種々の要因と、他の薬剤との考えられる組み合わせと、処置すべき疾患の重度とに依存する。特定の被験体中での特定の化合物またはベクターの投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって、投与量の規模を決定することもできる。
投与される組換え触媒ポリペプチドの有効量を決定する際、医師は、組換え型ポリペプチドの循環血漿量、ポリペプチド毒性、および抗ポリペプチド抗体の産生を評価することが可能である。一般的に、組換え触媒ポリペプチドの線量当量は、通常の被験体に対して約1pg/kgないし10mg/kgである。組み換え型触媒ペプチドの投与は、処置の過程にわたって1回または複数回でありうる。
投与に関しては、本発明の組換え触媒ポリペプチドを、被験体の体重および総合的な健康に適用されるように種々の濃度での該ポリペプチドのLD−50と該ポリペプチドの副作用とによって決定された割合で投与することができる。
(B.組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の投与)
種々のヒト疾患および状態の処置または予防のための組換え触媒ポリペプチドの投与と同様に、該組換え型ポリペプチドをコードする核酸を哺乳動物被験体に直接投与することができる。
((1)遺伝子送達用のベクター)
細胞または生体への送達のために、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸をベクター中に組み込むことができる。そのような目的のために用いられるベクターの例としては、標的細胞中で核酸の発現を導くことが可能な発現プラスミドが挙げられる。他の例としては、ベクターはウイルス・ベクター系であり、この際、標的細胞をトランスフェクトすることが可能なウイルス・ゲノム中に核酸を組み込む。好ましい実施形態では、所望の標的細胞中で遺伝子の発現を導くことができる発現および制御配列に、核酸を実行可能に結合することができる。このようにして、標的細胞中で、適当な条件下で核酸の発現を達成することができる。
((2)遺伝子送達系)
組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の発現に有用なウイルス・ベクター系としては、例えば、天然発生または組換え型ウイルス・ベクター系が挙げられる。特定の用途によって、適当なウイルス・ベクターとしては、複製能をもつウイルス・ベクター、複製欠損型ウイルス・ベクター、および条件付で複製するウイルス・ベクターが挙げられる。例えば、ウイルス・ベクターは、ヒトまたはウシ・アデノウイルス、ワクシニア・ウイルス、ヘルペス・ウイルス、アデノ関連ウイルス、マウス微小ウイルス(MVM)、HIV,シンドビス・ウイルス、およびレトロウイルス(限定はされないが、ラウス肉腫ウイルスを含む)、およびMoMLVのゲノムに由来することができる。通常、所望の組換え触媒ポリペプチドの遺伝子をそのようなベクターに挿入して、通常には、付随するウイルスDNAとともに遺伝子コンストラクトのパッケージングを可能にした後、感受性宿主の感染およびポリペプチドの発現をおこなう。
本明細書で使用するように、「遺伝子送達系(gene delivery system)」とは、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を標的細胞に送達するための任意の手段を指す。本発明のいくつかの実施形態では、取り込み(例えば、被覆小窩の陥入およびエンドソームの内部移行)を促進するために、DNA結合部分等の適当な結合部分を介して該核酸を細胞受容体リガンドに結合する(Wu et al., J. Biol. Chem., 263:14621−14624 (1988)); WO 92/06180)。例えば、核酸を、ポリリジン部分を介して肝細胞のアシアロ糖タンパク質受容体のリガンドであるアシアロオロソムコイドに結合することができる。
同様に、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子コンストラクトをパッキングするために用いられるウイルス・エンベロープを、特異的受容体に特異的な受容体リガンドまたは抗体を添加して特定の細胞中への受容体媒介エンドサイトーシスを可能することによって修飾することができる(例えば、WO 93/20221、WO 93/14188、およびWO 94/06923を参照せよ)。本発明のいくつかの実施形態では、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を含有するDNAコンストラクトを、アデノウイルス粒子等のウイルス・タンパク質に結合してエンドサイトーシスを促進することができる(Curiel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 88:8850−8854 (1991))。他の実施形態では、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を含有する分子複合体は、微小管阻害剤(WO 94/06922)、インフルエンザ・ウイルス赤血球凝集素を模倣する合成ペプチド(Plank et al., J. Biol. Chem., 269:12918−12924 (1994))、およびSV40 T抗原等の核移行シグナル(WO 93/19768)を含むことができる。
組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を標的細胞または生体に導入するために、レトロウイルス・ベクターも有用である。レトロウイルスを遺伝子操作することによって、レトロウイルス・ベクターを生成することができる。レトロウイルスのウイルス・ゲノムはRNAである。感染すると、このゲノムRNAは、DNAコピーに逆転写され、該DNAコピーが、高度な安定性および効率性を持つ形質導入細胞の染色体DNAに組み込まれる。組み込まれたDNAコピーはプロウイルスと呼ばれ、任意の他の遺伝子のように娘細胞に遺伝する。野生型レトロウイルス・ゲノムおよびプロウイルスDNAは、3つの遺伝子、すなわちgag、pol、およびenv遺伝子を有し、それら3つの遺伝子は、2つの長い末端配列(LTR)によってフランクキングしている。gag遺伝子は、内部構造(ヌクレオキャプシド)タンパク質をコードする。pol遺伝子は、RNA依存DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)をコードする。env遺伝子は、ウイルス・エンベロープ糖タンパク質をコードする。5′および3′LTRが働いて、ウイルス粒子RNAの転写およびポリアデニル化を促進する。ゲノムの逆転写に必要な配列(tRNAプライマー結合部位)と、粒子へのウイルスRNAの効率的な封入に必要な配列(Psi部位)とは、5′LTRに隣接している(Mulligan, Experimental Manipulation of Gene Expression, Inouye (ed), pp 155−173 (1983)); Mann et al., Cell, 33:153−159 (1983)); Cone and Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6349−6353 (1984)を参照せよ)。
レトロウイルス・ベクターの設計は、当業者に周知である。要約すると、キャプシド形成(または感染性ウイルス粒子へのレトロウイルスRNAのパッケージング)に必要な配列がウイルス・ゲノムから外れている場合、ゲノムRNAのキャプシド形成を予防するcis作用性欠損が生じる。しかし、得られる突然変異体は、依然として、全てのウイルス粒子タンパク質の合成を導くことが可能である。これらの配列が欠失したレトロウイルス・ゲノムと、染色体に安定的に組み込まれる突然変異ゲノムを含有する細胞株とは当業者に周知であり、該レトロウイルス・ゲノムおよび細胞株を用いて、レトロウイルス・ベクターを構築する。レトロウイルス・ベクターの調製およびその用途については、多数の文献に記載されており、例えば、欧州特許出願EPA 0 178 220;米国特許第4,405,712号; Gilboa, Biotechniques, 4:504−512 (1986); Mann et al.上掲; Cone and Mulligan、上掲; Eglitis et al, Biotechniques, 6:608−614 (1988); Miller et al., Biotechniques, 7:981−990 (1989); Miller (1992)、上掲; Mulligan (1993)、上掲;およびWO 92/0794が挙げられる。
所望のヌクレオチド配列をレトロウイルス・ベクターに組換え的に挿入し、レトロウイルス・キャプシド・タンパク質とともに該ベクターをパッケージング細胞株を用いてパッケージングすることによって、レトロウイルス・ベクター粒子を調製する。得られるレトロウイルス・ベクター粒子は、宿主細胞中では複製ができないが、所望のヌクレオチド配列を含有するプロウイルス配列として宿主細胞ゲノムに組み込まれることができる。結果として、患者は、例えば、DNA配列を、続いて、本発明の組換え触媒ポリペプチドを産生することができるので、標的タンパク質の切断を触媒する。
レトロウイルス・ベクター粒子を調製するために用いられるパッケージング細胞株は、通常、パッケージングに求められる必要なウイルス構造タンパク質を産生するが感染性ウイルス粒子を産生できない組換え型哺乳動物組織培養細胞株である。一方で、用いられる欠損型レトロウイルス・ベクターは、これらの構造遺伝子を持たないが、パッケージングに必要な残りのタンパク質をコードする。パッケージング細胞株を調製するために、パッケージング部位が欠失された所望のレトロウイルスの感染性クローンを構築することができる。このコンストラクトを含む細胞は、全ての構造ウイルス・タンパク質を発現するが、導入されたDNAは、パッケージングされることができない。または、適当なコアおよびエンベロープ・タンパク質をコードする1つ以上の発現プラスミドで細胞株を形質転換することによって、パッケージング細胞株を生成することができる。これらの細胞では、gag、pol、およびenv遺伝子は、同じレトロウイルスまたは異なるレトロウイルスに由来することができる。
本発明に適する多数のパッケージング細胞株は、先行技術でも利用可能である。これらの細胞株の例としては、Crip、GPE86、PA317、およびPG13が挙げられる(Miller et al., J. Virol, 65:2220−2224 (1991)を参照せよ)。他のパッケージング細胞株の例については、Cone and Mulligan、上掲; Danos and Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:6460−6464 (1988); Eglitis et al. (1988)、上掲; and Miller (1990)、上掲に記載されている。
キメラ・エンベロープ・タンパク質を持つレトロウイルス・ベクターを産生することが可能なパッケージング細胞株を用いてもよい。または、PA317およびGPXパッケージング細胞株によって産生されるもの等のアンホトロピックまたはゼノトロピック・エンベロープ・タンパク質を用いて、レトロウイルス・ベクターをパッケージングすることが可能である。
((3)医薬配合物)
医薬目的で用いる際は、核酸導入を含む療法のために用いられるベクターを適当なバッファー中に配合する。該バッファーは、任意の医薬的に許容されるバッファーでありえ、例えば、リン酸緩衝食塩水またはリン酸ナトリウム/硫酸ナトリウム、Trisバッファー、グリシン・バッファー、無菌水、およびGood et al., Biochemistay, 5:467 (1966)に記載されるもの等の当業者に既知の他のバッファーがある。
組成物は、付加的に、安定剤、賦活剤、あるいは他の医薬的に許容される担体または媒体を含むことができる。医薬的に許容される担体は、例えば組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸と任意の関連するベクターとを安定させるために作用する生理学的に許容される化合物を含有することができる。生理学的に許容される化合物としては、例えば、グルコース、スクロース、またはデキストラン等の糖質;アスコルビン酸またはグルタチオン等の酸化防止剤;キレート化剤;低分子量タンパク質あるいは他の安定剤または賦形剤を挙げることができる。他の生理学的に許容される化合物としては、湿潤剤、乳化剤、分散剤、または微生物の増殖または作用を予防するために特に有用な防腐剤が挙げられる。種々の防腐剤が周知であり、例えば、フェノールおよびアスコルビン酸が挙げられる。担体、安定剤、またはアジュバントの例については、Reinington’s Pharmaceutical Sciences(上掲)に見出されうる。
((4)投与および投与量)
当業者に既知の任意の送達方法を用いて、本発明の核酸を含有する配合物を任意の組織または器官に送達することができる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の核酸を、粘膜、局所的、および/または頬側配合物、特に粘膜付着性ゲルおよび局所的ゲル配合物中に配合する。経皮送達のための好例の浸透強化組成物、ポリマー・マトリックス、および粘膜付着性ゲル調製物については、米国特許第5,346,701号に開示されている。
配合物の有効投与量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、および他の投与される医薬品を含む多くの異なる要因によって変わる。したがって、処置投与量を滴定して、安全性および効果を最適化する必要がある。投与されるベクターの有効量を決定する際、医師は、用いられる特定の核酸、診断される疾患状態;患者の年齢、体重、および全体的な状態、循環血漿量、ベクター毒性、疾患の進行、および抗ベクター抗体の産生を評価すべきである。特定のベクターの投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって、投与量の規模を決定することもできる。本発明を実施するためには、一患者当たり約10ngないし1g、100ngないし100mg、1μgないし10mg、または30ないし300μgDNA範囲の投与量が標準的である。投与量は、概ね、体重1キログラム当たり約0.01ないし約50mg、好ましくは体重1キログラム当たり約0.1ないし約5mgあるいは一注入当たり約10ないし1010または1012個の粒子の範囲である。一般的に、ベクター由来の裸核酸の線量当量は、標準的な70kgの患者に対して約1μgないし100μgであり、レトロウイルス粒子を含むベクターの投与量を算出して、組換え触媒ポリペプチドをコードする当量の核酸を生成する。
((5)処置方法)
本発明の遺伝子療法配合物は、通常、細胞に投与される。該細胞を、上皮膜等の組織の一部として、または組織培養物中のもの等の単離細胞として提供することができる。細胞を、生体内(in vivo)、生体外(ex vivo)、または生体外(in vitro)で提供することができる。
配合物を、種々の方法によって目的の組織に生体内(in vivo)または生体外(ex vivo)で導入することができる。いくつかの実施形態では、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を、マイクロインジェクション、リン酸カルシウム沈降、リポソーム融合、または微粒子銃等の方法によって細胞に導入する。さらに別の実施形態では、核酸は、目的の組織によって直接取り込まれる。
いくつかの実施形態では、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸を、患者から外植された細胞または組織に生体外(ex vivo)で投与して、その後、該患者に戻す。治療遺伝子コンストラクトの生体外(ex vivo)投与の例としては、Nolta et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 93:2414−2419 (1996); Koc et al., Seminars in Oncology, 23:46−65 (1996); Raper et al., Annals of Surgery, 223:116−126 (1996); Dalesandro et al., J. Thorac. Cardi. Surg., 11:416−422 (1996);およびMakarov et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:402−406 (1996)が挙げられる。
(C.生体内(in vivo)標的タンパク質低下の検出)
組換え触媒ポリペプチドまたは組換え型ポリペプチドをコードする核酸を含有する治療化合物の投与に続いて、生体内(in vivo)標的タンパク質レベルを投与前と投与後とで比較することによって、治療化合物の効果を評価することができる。
組織試料中のタンパク質レベルを測定する一般的な方法は当業者に周知である。上述のように、種々のイムノアッセイを通常どおりに用いて、対象のタンパク質を検出する。適用可能な技術の一般的概説については、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, 1988で見出されうる。
((1)標的タンパク質に対する抗体)
標的タンパク質と特異的に反応するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するための方法は当業者に既知である(例えば、Coligan、上掲;およびHarlow and Lane、上掲; Stites et al.上掲およびそこに引用される参考文献; Goding、上掲;ならびにKohler and Milstein, Nature, 256:495−497 (1975)を参照せよ)。例えば、ポリクローナル抗体を生成するためには、精製標的タンパク質をアジュバントと混合して、それを用いて動物を免疫する。標的タンパク質に対する高力価の抗体を得る際は、血液を動物から採取して、イムノアッセイのために抗血清を調製する。モノクローナル抗体を生成するためには、標的タンパク質で免疫した動物から得た脾臓細胞を、通常は骨髄腫細胞との融合によって不死化させる(Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol., 6:511−519 (1976)を参照せよ)。単一の不死化細胞から生じたコロニーを、標的タンパク質に対する所望の特異性および親和性を持つ抗体の生成についてスクリーニングする。
((2)イムノアッセイ)
標的タンパク質に特異的な抗体が入手できたら、臨床家が利用可能な定質および定量結果を用いる種々のイムノアッセイ方法によって、患者中の標的タンパク質レベルを測定することができる。処置すべき特定の疾患に応じて、血液、尿、または組織等の患者から得た種々の試料をイムノアッセイで用いて生体内(in vivo)標的タンパク質レベルを検出することができる。一般的な免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の概説については、例えば、Stites、上掲;米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照せよ。
(i.イムノアッセイでの標識)
イムノアッセイは、しばしば、抗体および標的タンパク質によって形成される結合複合体に特異的に結合および標識する標識剤を用いる。標識剤は、それ自体が抗体/標的タンパク質複合体を含む部分のうちの1つでもよく、または抗体/標的タンパク質複合体に特異的に結合する別の抗体等の第3の部分でもよい。標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能である。いくつかの例としては、限定はされないが、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン、テキサス・レッド、ローダミン等)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAで通常用いられる他のもの)、および金コロイドあるいは色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズ等の比色標識がある。
いくつかの場合では、標識剤は、標識を保持する第2の抗体である。または、第2の抗体は、標識を持たない代わりに、該第2の抗体が由来する種の抗体に特異的である標識された第3の抗体によって結合されうる。第2の抗体を、酵素標識ストレプトアビジン等の第3の標識された分子が特異的結合することができるビオチン等の検出可能な部分で修飾することができる。
免疫グロブリンの定常領域に特異的に結合することが可能な他のタンパク質(例えば、プロテインAまたはプロテインG)も標識剤として用いることができる。これらのタンパク質は、連鎖球菌属細菌の細胞壁の正常構成要素である。該タンパク質は、種々の種由来の免疫グロブリン定常領域に強い非免疫原性反応性を示す(一般的には、Kronval, et al. J. Immunol.,111:1401−1406 (1973);およびAkerstrom, et al., J. Immunol., 135:2589−2542 (1985)を参照せよ)。
(ii.イムノアッセイ・フォーマット)
組織試料から標的タンパク質を検出するためのイムノアッセイは、競合的または非競合的である。非競合イムノアッセイは、捕捉された標的タンパク質の量を直接測定するアッセイである。一例の好ましい「サンドイッチ(sandwich)」アッセイでは、標的タンパク質に特異的な抗体を、該抗体が固定される固体基板に直接結合させることができる。その後、該抗体は、試験試料中の標的タンパク質を捕捉する。このように固定された抗体/標的タンパク質複合体に、標識を保持する第2の抗体等の標識剤を結合させる。または、第2の抗体は標識を持たない代わりに、該第2の抗体が由来する種の抗体に特異的である標識された第3の抗体によって結合されうる。第2の抗体を、酵素標識ストレプトアビジン等の第3の標識された分子が特異的結合することができるビオチン等の検出可能な部分で修飾することができる。
競合アッセイでは、試料中に存在する標的タンパク質によって該標的タンパク質に特異的な抗体から退けられた(競合で追い払われた)添加(外来性)標的タンパク質の量を測定することによって、間接的に試料中の標的タンパク質の量を測定する。そのようなアッセイの典型的な例では、抗体を固定して、外来性標的タンパク質を標識する。抗体に結合する外来性標的タンパク質の量は、試料中に存在する標的タンパク質の濃度に反比例するので、試料中の標的タンパク質レベルを、抗体に結合し、かつこのように固定させた外来性標的タンパク質の量にもとづいて決定することができる。
いくつかの場合では、ウエスタン・ブロット(イムノブロット)分析を用いて、患者由来の試料中の標的タンパク質の存在を検出および定量する。該技術は、一般に、分子量にもとづいてゲル電気泳動によって試料タンパク質を分離して、分離されたタンパク質を適当な固体支持体(例えば、ニトロセルロース・フィルタ、ナイロン・フィルタ、または誘導体化ナイロン・フィルタ)に移し、標的タンパク質に特異的に結合する抗体とともに試料をインキュベートすることを含む。これらの抗体を直接標識することが可能であるか、または代わりに、標的タンパク質に対する抗体に特異的に結合する標識された抗体(例えば、標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて引き続き検出することが可能である。
他のアッセイ・フォーマットとしては、リポソーム・イムノアッセイ(LIA)が挙げられ、該LIAでは、特異的な分子(例えば、抗体)に結合して封入試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームが用いられる。その後、放出された化学物質を標準的技術にしたがって検出する(Monroe et al., Amer. Clin. Prod. Rev., 5:34−41 (1986)を参照せよ)。
(VIII.組換え触媒ポリペプチドのライブラリー)
(A.提示ライブラリー)
多数の異なる提示系を用いて、本発明の組換え触媒ポリペプチドのライブラリーを構築することができる。細胞またはウイルス・ベースの系では、組換え型ポリペプチドを、例えば粒子(例えば、ウイルスまたは細胞)表面上で提示して、標的タンパク質に特異的に結合および切断する能力についてスクリーニングすることができる。生体外(in vitro)提示系を用いることもでき、その際、組換え型ポリペプチドを、組換え型ポリペプチドをコードする核酸配列に組換え型ポリペプチドを連結するための機構を提供する因子に結合させる。これらの技術としては、リボソーム提示およびmRNA提示が挙げられる。
いくつかの例、例えばリボソーム提示では、組換え触媒ポリペプチドを、例えばリボソームとの物理的相互作用を介して、コードする核酸に結合させる。他の実施形態では、例えばrRNA提示では、組換え触媒ポリペプチドを、結合基を介して別の分子に結合させることが可能である。結合基は、化学的架橋剤でありえ、例えば、スクシンイミジル−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)が挙げられる。架橋剤は、付加的なアミノ酸配列(群)でもありえ、例えば、ポリアラニン、ポリグリシン、または類似の結合基が挙げられる。Ser等の他のほぼ中性のアミノ酸をリンカー配列で用いることもできる。リンカーとして有用に用いることが可能なアミノ酸配列としては、Maratea et al. Gene 40:39−46 (1985); Murphy et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258−8262 (1986);米国特許第4,935,233号および第4,751,180号に開示されるものが挙げられる。リンカー配列は、一般的に、1ないし約50アミノ酸長、例えば、2、3、4、6、または10アミノ酸長でありえるが、100または200アミノ酸長も可能である。
他の化学的リンカーとしては、糖質リンカー、脂質リンカー、脂肪酸リンカー、ポリエーテル・リンカー(例えば、PEG)等が挙げられる。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc. Huntsville, Alabamaから入手可能である。これらのリンカーは、任意で、アミド・リンケージ、スルフヒドリル・リンケージ、またはヘテロ機能リンケージを有する。
((1)ファージ提示ライブラリー)
ファージ提示ライブラリーの構築には、バクテリオファージの、それらの細胞表面上(すなわち、それらのキャプシド上)にペプチドおよびタンパク質を提示する能力を利用する。しばしば、M13、fd、またはfl等の線状ファージを用いる。線状ファージは、大外殻タンパク質および小外殻タンパク質、例えばpIIIをコードする遺伝子の多重コピーによって囲まれる一本鎖DNAを含有する。外殻タンパク質は、キャプシドの外側表面上に提示される。キャプシド・タンパク質遺伝子とイン・フレームで挿入されたDNA配列を共転写して、ファージ表面上に提示される融合タンパク質またはタンパク質フラグメントを生成する。したがって、ファージ・ライブラリーは、挿入配列の多様性を表すポリペプチドを提示することができる。有意には、これらのポリペプチドを、「天然(natural)」折り畳みコンフォメーション中で提示することができる。その後、ファージ提示ライブラリー上で発現した組換え触媒ポリペプチドは、標的タンパク質に特異的に結合および切断することができる。
ファージ・キャプシド表面上にポリペプチドを提示するためにM13またはfd等の線状ファージを用いる概念は、初めに、Smith, Science 228:1315−1317 (1985)によって導入された。ポリペプチドがファージ表面上に提示されて、多数の潜在的リガンドが同定された(例えば、Cwirla, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378−6382 (1990)を参照せよ)。科学文献および特許文献に記載されているファージ提示ライブラリーを生成するためには多数の系および方法があり、例えば、Sambrook and Russell, Molecule Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Chapter 18, (2001); Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, Academic Press, San Diego, 1996; Crameri, Eur. J. Biochem. 226:53−58 (1994); de Kruif, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3938−3942 (1995); McGregor, Mol. Biotechnol. 6:155−162 (1996); Jacobsson, Biotechniques 20:1070−1076 (1996); Jespers, Gene 173:179−181 (1996); Jacobsson, Microbiol Res. 152:121−128 (1997); Fack, J. Immunol. Methods 206:43−52 (1997); Rossenu, J. Protein Chem. 16:499−503 (1997); Katz, Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:27−45 (1997); Rader, Curr. Opin. Biotechnol. 8:503−508 (1997); Griffiths, Curr. Opin. Biotechnol. 9:102−108 (1998)を参照せよ。
通常、提示すべきタンパク質配列をコードする外来性核酸を、外殻タンパク質遺伝子、例えば、ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに挿入する。得られる融合タンパク質は、キャプシドの表面に提示される。タンパク質VIIIは、タンパク質IIIでは3ないし5個のコピーであるのに対して、一ファージ当たり約2700個のコピーで存在する(Jacobsson、上掲(1996))。ファージミド等の多価発現ベクターを、組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸配列の操作と細菌中のファージ粒子の生成とのために用いることができる(例えば、Felici, J. Mol. Biol. 222:301−310 (1991)を参照せよ)。
しばしば、ファージ・ライブラリーを構築するためにファージミド・ベクターが用いられる。これらのベクターは、一本鎖線状バクテリオファージ(例えば、M13またはfl)のゲノム由来のDNA複製起点を含み、ファージを生成するために他のファージ・タンパク質の供給を必要とする。これは、通常、ヘルパー・ファージによって供給されるが、ファージ粒子中にパッケージングされる時点ではあまり効率的ではない。伝統的なプラスミド・ベクターと同様の方法でファージミドを用いることができるが、該ファージミドを用いて、DNAのクローン化セグメントの一本鎖コピーを含有する線状バクテリオファージ粒子を生成することもできる。
提示されたポリペプチドは、融合タンパク質である必要はない。例えば、組換え触媒ポリペプチドは、非共有結合的相互作用(例えば、Jun/Fos結合等のコイルドコイル結合相互作用)あるいはシステインによって媒介される共有結合的相互作用(付加的な非共有結合的相互作用有りまたは無しで)によって外殻タンパク質に結合することが可能である(例えば、Crameri et al., Eur. J. Biochem. 226:53−58 (1994)を参照せよ)。提示系については、例えば、Morphosysによって記載されており、この際、1つのシステインを一本鎖FまたはFabのC末端に置き、もう1つをg3pのN末端に置く。その2つがペリプラズム中でアセンブルし、融合遺伝子またはタンパク質なしで提示が起こる。
外殻タンパク質は、外来性である必要はない。例えば、DNA結合タンパク質をファージ/ファージミド・ゲノムに組み込むことができる(例えば、McGregor & Robins, Anal. Biochem. 294:108−117 (2001)を参照せよ)。そのようなタンパク質に認識される配列もゲノムに存在する際は、DNA結合タンパク質は、ファージ/ファージミド中に組み込まれるようになる。これは、提示ベクター・タンパク質として働くことができる。いくつかの場合では、ファージ外殻へのDNA結合タンパク質の組み込みが、認識されるDNAシグナルの存在とは無関係に生じうることが明らかになっている。
他のファージを用いることもできる。例えば、T7ベクター、T4ベクター、T2ベクター、またはラムダ・ベクターを用いることができ、この際、成熟ファージ粒子上の提示される産物は、細胞溶解によって放出される。
((2)他の提示ライブラリー)
ファージ提示ライブラリーに加えて、類似のエピトープ提示ライブラリーも用いることができる。例えば、本発明の方法は、酵母表面提示ライブラリー(yeast surface displayed library)を用い(例えばBoder, Nat. Biotechnol. 15:553−557 (1997)を参照せよ)、これは、pYD1酵母発現ベクター等のベクターを用いて構築することができる。他の潜在的な提示系としては、哺乳動物提示ベクターおよび大腸菌(E.coli)ライブラリーが挙げられる。例えば、大腸菌(E.coli)フラジェリン・タンパク質を用いて、蛍光結合リガンド配列を提示することができる。
当業者に既知の生体外(in vitro)提示ライブラリー・フォーマットを用いることもでき、例えば、リボソーム提示ライブラリーおよびmRNA提示ライブラリーがある。これらの生体外(in vitro)選択技術では、無細胞翻訳を用いてタンパク質を生成して、生体外(in vitro)翻訳後にそれらをコードするmRNAと物理的に結合させる。これらのライブラリーを生成するための典型的な方法論では、選択される配列をコードするDNAを生体外(in vitro)で転写して、無細胞系で翻訳する。
リボソーム提示ライブラリー(例えば、Mattheakis et al, Proc. Natl. Acad. Sci USA 91:9022−9026 (1994); Hanes & Pluckthrun, Proc. Natl. Acad. Sci USA 94:4937−4942, (1997)を参照せよ)では、本発明の蛍光結合リガンドをコードするmRNAと該リガンドとを結合するものは、リボソーム自体である。DNAコンストラクトを、停止コドンが転写されるmRNAに含まれないように設計する。したがって、翻訳をおこなうリボソームは、mRNAの末端にとどまり、コードされるタンパク質は放出されない。コードされるタンパク質は、その正確な構造に折り畳まれることができるとともに、リボソームに結合することができる。その後、固定された標的に対する選択のために、mRNA、リボソーム、およびタンパク質の複合体を直接用いる。結合リボソーム複合体からmRNAを、EDTAを用いた複合体の解離によって回収して、RT−PCRによって増幅する。
本明細書でピューロマイシン提示とも呼ばれるmRNA提示技術にもとづく方法およびライブラリーについては、例えば、米国特許第6,261,804号、第6,281,223号、第6,207,446号、および第6,214,553号に記載されている。この技術では、初めに、ピューロマイシンに結合したDNAリンカーをmRNAの3′末端に融合する。その後、本発明の組み換え型触媒ポリペプチド等のポリペプチドは、生体外(in vitro)で翻訳され、リボソームはRNA−DNAジャンクションにとどまる。アミノアシルtRNAを模倣するピューロマイシンは、リボソームA部位に入り、新生ポリペプチドを受容する。したがって、翻訳されたポリペプチドは、それをコードするmRNAに共有結合する。その後、融合分子を精製して、特異的結合およびタンパク質分解活性に対してスクリーニングする。その後、例えばRT−PCRを用いて、所望の酵素活性を持つ組換え型ポリペプチドをコードする核酸配列を得ることができる。
組換え触媒ポリペプチドおよびピューロマイシンへの結合のための配列、例えばDNAリンカーは、当業者に周知の方法によって結合することができ、例えば、米国特許第6,261,804号、第6,281,223号、第6,207,446号、および第6,214553号に記載されている。
他の技術は、ポリペプチドをそれらをコードする遺伝子に共有結合させるウイルス・タンパク質(例えば、プロテインA)を用いることを含む。組み換え型触媒ポリペプチドをプロテインA配列に結合させる融合タンパク質を生成することによって、これらの組換え触媒ポリペプチドをそれらをコードする遺伝子に結合させる機構を提供する。
プラスミド提示系は、lacリプレッサー等のDNA結合タンパク質への提示されるポリペプチドの融合にも依存しうる(例えば、Gates et al., J. MoL Biol. 255:373−386 (1996)を参照せよ)。lacオペレーターもプラスミドに存在する場合、DNA結合タンパク質は該lacオペレーターに結合して、プラスミドとともに共精製されうる。ライブラリーを生成して、DNA結合タンパク質に結合させ、細菌を溶解してスクリーニングすることができる。トランスフェクションまたは増幅によって、所望のプラスミド/ポリペプチドを回収することができる。
(B.ライブラリーのスクリーニング)
本発明のライブラリーをスクリーニングする方法は、組換え触媒ポリペプチドの所望の特性、すなわち、標的タンパク質に特異的に結合および切断するそれらの能力にもとづく。したがって、ライブラリーを、標的タンパク質のタンパク質分解を触媒する能力についてスクリーニングすることが可能であり、先のセクションに記載される酵素活性を検出する種々の生体外(in vitro)アッセイを用いることができる。ファージ提示ベクター等の提示ベクターを用いて構築されたライブラリーでは、その後、選択されたクローン、例えば、ファージを用いて、細菌に感染させる。
組換え触媒ポリペプチドを選択したら、該ポリペプチドをコードする核酸は容易に得られる。その後、この核酸配列を、先のセクションに記載されるような多数の系を用いて発現させて、所望の量の組換え触媒ポリペプチドを得ることが可能である。
(IX.非ヒト・トランスジェニック哺乳動物)
本発明のヒト軽鎖可変領域(V)を含むポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を非ヒト哺乳動物に導入して、ヒトVを発現するトランスジェニック動物を生成することができる。より一般的に見られるトランスジェニック動物モデルとは異なり、本発明のトランスジェニック哺乳動物によって発現されるトランス遺伝子は、体細胞組換え後に、抗体軽鎖可変領域を担う外来性コーディング配列の少なくとも1つの対立遺伝子を置換する必要がない。対立遺伝子排除が原因で、VDNAの外来性体細胞再配列後形態の存在は、V遺伝子座の外来性生殖細胞系遺伝子が体細胞再配列を受けてこの哺乳動物が生成しうる抗体軽鎖の構成に寄与することを阻害する。したがって、特定の抗原にさらされると、該哺乳動物は、ヒトVを持つ(かつ、それ故にタンパク質分解活性を持つ)軽鎖(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28)と、抗原に対する特異性を持つ外来起源の重鎖とを含む異種抗体を生成する。そのような異種抗体は、研究で、かつ生存被験体の特定の状態を処置する上で非常に価値がある。一方で、外来性対立遺伝子の遺伝子座へのトランス遺伝子の組み込みを導く方法は、本発明を実施する目的にも十分に役立つ。
トランスジェニック動物を生成する一般的方法は十分に確立されており、頻繁に実施されている。以下のセクションでは、トランスジェニック非ヒト哺乳動物を生成する周知の技術のいくつかを、限定する目的ではなく説明目的で簡潔に記載する。
(A.破壊:相同組換えのターゲティング)
相同組換えのプロセスを用いて、トランス遺伝子、すなわち、ヒト触媒軽鎖可変領域のコーディング配列を含む核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を、動物細胞の外来性Vコーディング配列の位置に組み込む部位を制御することによって、遺伝子を破壊して、その正常発現を予防することができる。相同組換えについては、Molecular Biology of the Gene, 3rd Ed., W.A. Benjamin, Inc., Menlo Park, CA (1977)中でWatsonによって詳細に記載されている。要約すると、相同組換えは、天然の細胞過程であり、同一または実質的に類似(すなわち、「相同(homologous)」)の配列を有する2つの核酸分子の分離と、初期に存在する分子のそれぞれの一方の領域が他方の初期に存在する分子の領域にライゲートするような該2つの核酸分子のライゲーションとを生じる(Sedivy, Bio−Technol., 6:1192−1196 (1988))。
当業者に周知の多数の種々の「遺伝子ターゲティング(gene targeting)」方法によって、相同組換えを利用する(例えば、Mansour et al., Nature 336:348−352 (1988); Capecchi et al., Trends Genet. 5:70−76 (1989); Capecchi, Science 244:1288−1292 (1989); Capecchi et al., Current Communications in Molecular Biology, pp45−52, Capecchi, M.R. (ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Frohman et al., Cell 56: 145−147 (1989)を参照せよ)。いくつかのアプローチでは、導入されたDNAを組換えを促進する因子(たとえば、トリメチルソラレン、UV光等)で処理することによって2つのDNA分子間の組換え頻度を増加させることをさらに含むが、多くのアプローチは、選択可能なマーカーの種々の組み合わせを用いて形質転換細胞の単離を促進する。そのような選択可能な方法の1つは、ポジティブ/ネガティブ選択(PNS)と称され、Thomas and Cappechi, Cell 51:503−5 12 (1987)によって記載されている。相同組換え事象に対して選択するがPNSを用いない他のストラテジーを使用することも可能である。例えば、細菌薬剤耐性遺伝子等のポジティブ選択遺伝子を用いることが可能である。トランスジェニック動物にとって薬剤耐性が望ましくないいくつかの場合では、薬剤耐性遺伝子を相同組換え後に削除することが可能なトランス遺伝子/ノックアウト・コンストラクト中に、1つ以上の遺伝因子を含むことが可能である。O’Gorman他(Science 251:1351−1355 (1991))は、酵母由来のFLP/FRT組換え酵素系がそのような遺伝因子のセットであると記載している。
同様の一般的方法を用いて、Vをコードする配列の両方の対立遺伝子を置換することができる。しかし、そのような両(dual)組換え事象の頻度は、有意に低めである。単一の対立遺伝子が置換された動物を異種交配して、両方の対立遺伝子が破壊されたホモ接合子を生成することができる。さらに、上述のように、対立遺伝子排除によって、トランスジェニック動物により産生された全ての抗体軽鎖中のヒトVの優性を確認する。したがって、二重の置換は、相同組換えのレベルでは必要ではない。
(B.細胞の形質転換)
本発明のトランスジェニック動物を生成するためには、ヒトVコーディング配列を含むトランス遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を含有するコンストラクトで細胞を形質転換する。この文脈において、用語「形質転換された(transformed)」とは、当業者に周知の任意の方法による標的細胞への外来性DNAの導入として定義される。これらの導入方法としては、限定はされないが、トランスフェクション、マイクロインジェクション、感染(例えば、レトロウイルス・ベースのベクターでの感染)、電気穿孔法、および微粒子銃が挙げられる。用語「形質転換された(transformed)」とは、本明細書では、特に指示のない限り、培養における不死化、密度非依存増殖、有害な形質転換、または類似の獲得状態に付随する細胞挙動および増殖パターンでの変更を示すことを意図しない。
全ての細胞中で特定の遺伝子が置換された動物を生成するためには、所望の種の生殖細胞(精子または卵、すなわち「生殖細胞系(germ line)」)中にトランス遺伝子コンストラクトを導入することが好ましい。下記のように、マイクロインジェクションまたは他の方法によって、遺伝子または他のDNA配列を受精卵の前核に導入することができる。接合子は胚中の全ての細胞の有糸分裂前駆体であるので、前核融合後に、発生中の胚は、導入された遺伝子をその体細胞および生殖細胞の全てで保持することが可能である。トランス遺伝子コンストラクトの標的化挿入は比較的まれな事象であるので、そのようなアプローチを用いる際は大多数の動物を生成およびスクリーニングすることが望ましい。この理由のために、大きな細胞集団および培養細胞系に特有の選択基準と連携することが有利である。しかし、培養細胞の初期集団からトランスジェニック動物を生成するためには、所望のトランス遺伝子コンストラクトを含有する培養細胞が動物全体を生成することができることが好ましい。このことは、一般的に、ある種の発生中の胚環境中に細胞を入れることによって達成される。
少なくとも複数の分化細胞型を生じることが可能な細胞は、「多能性(pluripotent)」細胞と呼ばれる。胚の全ての細胞型を生じることが可能な多能性細胞を、本明細書では、「全能(totipotent)」細胞と称する。例えば、全能マウス細胞株(胚幹または「ES」細胞)は、非常に若い胚(胚盤胞)に由来する細胞の培養によって単離された。そのような細胞は、胚への組み込みの際に、生殖細胞を含む全ての細胞型に分化することが可能であり、該細胞を用いて、外来性の相手を置換するトランス遺伝子を含有する動物を生成することができる。したがって、培養ES細胞を上述のようにトランス遺伝子コンストラクトで形質転換することができ、トランス遺伝子コンストラクトの挿入を介してマウスV遺伝子がヒトV遺伝子に置換された細胞を選択することができる。
細胞形質転換の複数の一般的方法について次に記載する。
((1)マイクロインジェクション法)
マイクロインジェクションは、接合子の形質転換のための1つの好ましい方法である。マウスでは、オス前核は、直径約20マイクロメートルの大きさに及び、DNA溶液1ないし2plの再現性注入を可能にする。遺伝子導入のための標的として接合子を用いることは、大部分の場合、注入されたDNAが第一卵割前に宿主遺伝子に組み込まれるという点で大きな利点がある(Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438−4442 (1985))。結果として、トランスジェニック非ヒト動物の全ての細胞は、組み込まれたトランス遺伝子を保持する。このことは、一般的に、生殖細胞の50%がトランス遺伝子を保有するので、創始者の子孫へのトランス遺伝子の効率的な伝達にも反映される。
この方法によって導入されるヒトV遺伝子(例えば、配列番号の核酸配列1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27を含むもの)は、いずれの種類の自己複製プラスミドまたはウイルスにも組み込む必要がない(Jaenisch, Science 240:1468−1474(1988))。DNA分子が受精卵に注入されたら、卵を、レシピエント・メスの子宮に移植し、動物中で発生させる。動物の細胞の全てが移植受精卵に由来するので、得られる動物の細胞の全て(生殖細胞系細胞を含む)は、導入されたヒトV遺伝子を含有するだろう。事象の約30%で起こるように、ヒトV遺伝子が細胞のゲノムに組み込まれないうちに第1の細胞分裂が起こる場合、得られる動物はキメラ動物となる。
そのような動物を繁殖および同系交配することによって、ヘテロ接合性およびホモ接合性トランスジェニック動物を通常どおりに生成することが可能である。そのようなトランスジェニック動物の形成における不確実性にもかかわらず、動物は、概して、安定であることが判明しており、導入されたヒトV遺伝子を保有および発現する子孫を生成可能であることが判明している。
トランスジェニック動物の生成の成功率は、マウスで最も高い。DNAが注入されメスに移植されたマウス受精卵の約25%がトランスジェニック・マウスとなる。多数の他のトランスジェニック動物もこの方法によって生成されている。これらのトランスジェニック動物としては、ウサギ、ヒツジ、ウシ、およびブタが挙げられる(Jaenisch Science 240:1468−1474 (1988); Hammer et al., J. Animal. Sci. 63:269 (1986); Hammer et al. Nature 315:680 (1985); Wagner et al., Theriogenology 21:29 (1984))。
((2)レトロウイルス法)
レトロウイルス感染は、非ヒト哺乳動物にトランス遺伝子を導入するための別の方法である。発生中の非ヒト胚を生体外(in vitro)で未分化胚芽細胞期まで培養することができる。この期間のあいだは、割球がレトロウイルス感染のための標的でありうる(Jaenich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73:1260−1264 (1976))。割卵の効率的な感染は、酵素処理をして透明帯を除去することによって得られる(Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1986))。トランス遺伝子、すなわちヒトV遺伝子を導入するために用いられるウイルス・ベクター系は、通常、トランス遺伝子を保持する複製欠損型レトロウイルスである(Jahner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6927−6931 (1985); Van der Putten et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:6148−6152 (1985))。トランスフェクションは、ウイルス産生細胞の単層上で割卵を培養することによって容易かつ効率的に得られる(Van der Putten et al.上掲; Stewart et al., EMBO J., 6:383−388 (1987))。または、より後期に感染をおこなうことができる。ウイルスまたはウイルス産生細胞を割腔に注入することができる(Jahner et al., Nature 298:623−628 (1982))。トランスジェニック非ヒト動物を形成した細胞のサブセットでのみ組み込みが起こるので、創始者の大分部はトランス遺伝子に対するモザイクである。さらに、創始者は、概ね子孫中で分離するゲノム中の異なる位置で、トランス遺伝子の種々のレトロウイルス挿入を含有することが可能である。さらに、妊娠中期胚の子宮内レトロウイルス感染によって、低効率ではあるけれども生殖細胞系中にトランス遺伝子を導入することも可能である(Jahner et al.上掲)。
((3)ES細胞移植)
トランス遺伝子導入のための第3の好適な標的細胞は、胚幹細胞(ES)である。ES細胞は、生体外(in vitro)で培養した着床前胚から得て、胚と融合させる(Evans et. al., Nature 292:154−156 (1981); Bradley et al., Nature 309:255−258 (1984); Gossler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:9065−9069 (1986);およびRobertson et al., Nature 322:445−448 (1986))。当業者に周知の多数の手段によって、トランス遺伝子をES細胞に効率的に導入することができる。その後、形質転換されたES細胞を、マウス等の非ヒト動物由来の胚盤胞と組み合わせることができる。ES細胞は、その後、胚をコロニー化し、得られるキメラ動物の生殖細胞系に寄与する(概説については、Jaenisch Science 240:1468−1474 (1988)を参照せよ)。
ヒトV遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を含有するヌクレオチド配列を、導入された分子がその相同領域で組換えを受けることを可能にする任意の方法によって多能性細胞に導入することが可能である。DNAトランスフェクションまたはレトロウイルス媒介形質導入によって、トランス遺伝子をES細胞に効率的に導入することができる。
例えば電気穿孔法によって、核酸を導入することができる(Toneguzzo et al., Nucleic acid Res. 16:55 15−5532 (1988); Quillet et al., J Immunol., 141:17−20 (1988); Machy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8027−−8031 (1988))。トランス遺伝子を含有する核酸の導入を可能にした後、当該技術分野で公知であるように、従来の条件下で細胞を培養する。
トランス遺伝子を含有する核酸を受け取った細胞の回収を促進するためには、トランス遺伝子を含有する核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27を含む核酸)を、検出可能なマーカーをコードする第2の遺伝子と組み合わせて導入することが好ましい。好ましくは、検出可能なマーカー遺伝子をレシピエント細胞中で発現させ、検出可能な表現型を生じる。多数の選択可能なマーカーが当業者に周知である。いくつかの例としては、hprt遺伝子(Littlefield, Science 145:709−710 (1964))、単純ヘルペス・ウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(Giphart−Gassier et al., Mutat, Res., 214:223−232 (1989))、nDtII遺伝子(Thomas et al., Cell 51:503−512 (1987); Mansour et al., Nature−336:348−352 (1988))が挙げられる。検出可能なマーカー遺伝子は、認識可能な細胞欠損を埋め合わせることができる任意の遺伝子でもありうる。
前駆体多能性細胞、最も好ましくはES細胞または等価物中に1つ以上の核酸を導入することによって、本発明のトランスジェニック動物細胞を調製する(Robertson, Current communications in Molecular Biology, pp39−44, Capecchi, M.R. (ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))。用語「前駆体(precursor)」では、多能性細胞が、本発明の教示にしたがって調製される所望の(「トランスフェクトされた(transfected)」)多能性細胞への前駆体であることのみを表すことが意図される。キメラまたはトランスジェニック動物を形成することが当該技術分野で公知の方法(Evans et al., Nature 292:154−156 (1981))で、多能性(前駆体またはトランスフェくトされた)細胞を生体内(in vivo)で培養することが可能である。トランスフェクトされた細胞およびメスの子宮への導入の際に形成された胚の細胞は、本明細書で、それぞれ本発明の細胞および動物の「胚期(embryonic stage)」祖先と呼ばれる。
任意のES細胞を本発明にしたがって用いることが可能である。しかし、ES細胞の初代単離物を用いることが好ましい。そのような単離物を、Robertson, E.J., Current Communications in Molecular Biology, pp. 39−44, Capecchi, M.R. (ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY (1989)に開示されるCCE細胞株等の胚から直接、またはCCE細胞株由来のES細胞のクローン単離から得ることが可能である(Schwartzberg et al., Science 212:799−803 (1989))。Robertson, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E.J. Robertson, Ed., IRL Press, Oxford (1987)の方法にしたがって、そのようなクローン単離を達成することが可能である。そのようなクローン増殖の目的は、動物に分化するより高い効率性を持つES細胞を得ることである。クローン的に選択されたES細胞は、トランスジェニック・マウスを生成する上で、前駆体細胞株CCEより約10倍効果的である。胚にクローン的に由来するES細胞株の例には、ES細胞株AB1(hprt+)またはAB2.1(hprt−)がある。
ES細胞株は、げっ歯類動物、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、魚類、ブタ、ウシ、および霊長目動物等の任意の哺乳動物から派生または単離されうる。げっ歯類動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター等)に由来する細胞が好ましい。ES細胞株は、マウスおよびブタに加えて、他の動物に対して派生した(例えば、PCT公開第WO/90/03432号、PCT公開第94/26884号を参照せよ)。一般的には、これらの細胞株は、分化抑制因子(DIF)を含有する培地中で増殖され、自発的分化および有糸分裂能の喪失を予防されなければならない。白血病抑制因子(LIF)は、DIFとして特に有用である。ES細胞分化の予防に有用な他のDIFとしては、限定はされないが、オンコスタチンM(Gearing and Bruce, The New Biologist 4:61−65 (1992))、可溶性IL−6受容体(sIL−6R)とともにインターロイキン6(IL−6)(Taga et al., Cell 58:573−581 (1989))、および毛様体神経栄養因子(CNTF)(Conover et al., Development 19:559−565 (1993))が挙げられる。他の既知のサイトカインも、単独または他のDIFとの組み合わせで適当なDIFとして機能することが可能である。
(C.体細胞核移植を介したトランスジェニック動物の生成)
この発明のトランスジェニック動物の生成は、これらの動物が体細胞核移植方法を用いて産生されうるためにES細胞の利用可能性に依存しない。例えば、ネイティブなV遺伝子がタンパク質分解軽鎖のヒトV遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)によって置換される種から、体細胞を得ることができる。初めに、該細胞を、外来性V遺伝子の位置にヒトV遺伝子を導入する(例えば、異種組換えを介して)コンストラクトでトランスフェクトする。触媒軽鎖に対して新たに導入されたヒトV遺伝子を保有する細胞を上述のように選択する。その後、そのような形質転換された細胞の核を未受精除核卵に入れる(例えば、顕微手術によって天然の核が除去された卵)。移植が完成すると、レシピエント卵は、精子によって受精された場合、該レシピエント卵がちょうど含有するであろうとおりの完全なセットの遺伝子を含有する。その後、産み月まで卵を育てる宿主細胞(卵を提供したの同じ主の宿主細胞)へ着床される前の期間の間、該卵を培養し、最終的には、1つ以上の置換V遺伝子を含有する核酸コンストラクトを含むトランスジェニック動物の誕生となる。
培養体細胞の核移植後の発生可能なクローン化哺乳動物の生成については、多種多様な種で報告されており、そのような種としては、限定はされないが、仔ウシ(Kato et al., Science 262:2095−2098 (1998))、ヒツジ(Campbell et al., Nature 380:64−66 (1996))、マウス(Wakayama and Yanagimachi, Nat. Genet. 22:127−128 (1999))、ヤギ(Baguisi et al., Nat. Biotechnol. 17:456−461 (1999))、サル(Meng et al., Biol. Reprod. 57:454−459 (1997))、およびブタ(Bishop et al., Nature Biotechnol. 18:1055−1059 (2000))が挙げられる。核移植方法は、トランスジェニック動物のクローンを生成するためにも用いられている。したがって、例えば、体細胞核移植による、ヒト・アンチトロンビンIII遺伝子を保持するトランスジェニック・ヤギの生成が報告されている(Baguisi et al., Nature Bioiechnol. 17:456−461 (1999))。
これらの参考文献および他の参考文献に記載されるような核移植方法を用いて、分化胎児または成体の哺乳動物細胞由来の細胞核を、ドナー核と同じ種の除核哺乳動物卵母細胞に移植する。核を再設定して、クローン化胚の発生を導き、該クローン化胚を、その後、レシピエント・メスに移植して胎児および子孫を生成することができるか、または該クローン胚を用いて、培養内部細胞塊(CICM)細胞を生成することができる。クローン化胚を、受精胚と組み合わせて、キメラ胚、胎児、および/または子孫を生成することもできる。
体細胞核移植は、クローン的増殖させることができる分化細胞源と連携することによってトランスジェニック手順を簡略化することも可能である。これによって、未分化状態で細胞を維持する必要がなくなるので、遺伝子修飾、すなわち、ランダムな組み込みおよび遺伝子ターゲティング両方がより容易に達成される。生体外(in vitro)でこれらの細胞を修飾および選択する能力と核移植を組み合わせることによっても、この手順は、先行トランスジェニック胚技術より効率的である。
核移植技術(nuclear transfer techniqueまたはnuclear transplantation technique)は文献で既知である。特に、Campbell et al., Theriogenology 43:181 (1995); Collas et al., Mol Report Dev. 38:264−267 (1994); Keefer et al., Biol. Reprod. 50:935−939 (1994); Sims et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6143−6147 (1993); WO 94/26884; WO 94/24274, WO 90/03432、米国特許第5,945,577号、第4,944,384号、および第5,057,420号を参照せよ。
分化哺乳動物細胞は、初期胚期を過ぎた細胞である。より詳しくは、分化細胞は、少なくとも胚盤期を過ぎたものである。分化細胞は、外胚葉、中胚葉、または内胚葉に由来してもよい。
本発明で有用な哺乳動物細胞を、周知の方法によって得ることが可能である。該哺乳動物細胞の例としては、上皮細胞、神経細胞、表皮細胞、角化細胞、造血細胞、メラニン形成細胞、軟骨細胞、リンパ球(Bリンパ球およびTリンパ球)、赤血球、マクロファージ、単球、単核球、線維芽細胞、心筋細胞、および他の筋細胞等が挙げられる。さらに、核移植のために用いられる哺乳動物細胞を、異なる器官、例えば、皮膚、肺、脾臓、肝臓、胃、腸、心臓、生殖器、膀胱、腎臓、尿道、および他の泌尿器から得ることが可能である。適当なドナー細胞、すなわち、本発明の被験体に有用な細胞を、全ての体細胞および生殖細胞を含む全身の任意の細胞または器官から得ることが可能である。
線維芽細胞は、発生中の胎児および成体動物から大量に得ることができるので、理想的な細胞型である。線維芽細胞はいくぶん分化されるので、以前はクローニング手順で用いるには不十分な細胞型であるとみなされていた。特に、これらの細胞は、急速な倍加時間で、生体外(in vitro)で容易に増殖されえ、遺伝子ターゲティング手順で用いるためにクローン的に増殖されうる。
体細胞中の触媒軽鎖由来のヒトV遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)での外来性V遺伝子の置換後に、該細胞の核を哺乳動物卵母細胞(例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、モルモット、マウス、ハムスター、ラット、または任意の非ヒト霊長目動物由来の卵母細胞)に移植する。卵母細胞単離方法は当該技術分野で公知である。
一般的に、卵母細胞を、核移植用のレシピエント細胞として用いる前に生体外(in vitro)で成熟させる。このプロセスは、一般的に、哺乳動物卵巣、例えばマウス卵巣から未成熟(前期I)卵母細胞を回収して、卵母細胞が中期II期に達するまで成熟培地中で卵母細胞を成熟させることを含む。この器官は、「成熟期(maturation period)」として知られる。様々な種類の成熟培地が当業者に既知である。さらに、生体内(in vivo)で成熟させた中期IIの卵母細胞も、核移植手順での使用が成功している。
成熟期の後に、卵母細胞を除核する。除核は、米国特許第4,994,384号に記載されるもの等の既知の方法によっておこなうことが可能である。顕微手術を介して、例えば、マイクロピペットを用いて極体および隣接する細胞質を除去することによって除核を達成することもできる。その後、卵母細胞をスクリーニングして、除核が成功しているものを同定することができる。核酸を染色する種々の色素で卵母細胞を染色することによって、スクリーニングを実行することができ、そのような色素の一例には、33342ヘキスト色素がある。
その後、除核された卵母細胞と同じ種の単一哺乳動物細胞を用いて、当該技術分野で公知の方法にしたがって核移植(NT)ユニットを生成する。例えば、米国特許第4,997,384号に開示されるように、電気融合によって細胞を融合することができる。センダイ・ウイルスを融合誘導因子として用いて、融合を達成することもできる(Graham, Inot. Symp. Monogr. 9:19 (1969))。いくつかの場合では、特にドナー核が小さい場合、卵母細胞に核を直接注入することが好ましい。例えば、Collas and Barnes, Mol Reprod. Dev. 38:264−267 (1994)を参照せよ。
融合後すぐに、得られる融合NTユニットを種々の既知の方法によって活性化する。そのような方法は、例えば、基本的に低温度を適用することによって生理温度未満で、または実際にはNTユニットにショックを起こす低温度で、NTユニットを培養することを含む。電気ショックおよび化学的ショック等の既知の活性化方法によって、活性を達成することも可能である。適当な卵母細胞活性化方法は、米国特許第5,496,720号の主題である。
その後、活性化されたNTユニットを、適当な生体外(in vitro)培地中で、CICM細胞および細胞コロニーの生成まで培養することができる。胚の培養および成熟に適する培地は、当該技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,096,822号は、そのような維持培地について記載している。
その後、培養したNTユニットまたはユニット群を好適に洗浄した後、適当なコンフルエントなフィーダー層上の適当な倍地中に入れる。適当なフィーダー層の例としては、線維芽細胞および上皮細胞、例えば、ネズミ科動物(例えば、マウスまたはラット)線維芽細胞由来の線維芽細胞および子宮上皮細胞が挙げられる。NTユニットが、レシピエント・メスへの移植に適した大きさに達するまでか、またはCICM細胞または細胞コロニーを生成するために用いることが可能な細胞を得るのに適した大きさに達するまで、NTユニットをフィーダー層上で培養する。
胚移植と、体細胞核移植のためのレシピエント動物管理とのための方法は、当業者に用いられる標準的な手順である。概説については、Siedel, G. E., Jr., ”Critical review of embryo transfer procedures with cattle”, Fertilization and Embryonic Development in Vitro, page 323, L. Mastroianni, Jr. and J. D. Biggers, ed., Plenum Press, New York, N.Y. (1981)を参照せよ。
ヒト自己免疫疾患が、加水分解抗体の生成に素因を与えることが知られている。さらに、血友病A患者は、第VIII因子に対する阻害剤を産生し、該阻害剤のうちのいくつかは、代償療法中に第VIII因子を切断するタンパク質分解酵素であることが判明している(Lacroix−Desmazes et al, N. Engl. J. Med., 346: 662−667 (2002))。これらの患者中での血友病の経過に対するこれらのタンパク質分解抗体の劇的な臨床効果は、標的タンパク質に特異的な外来性に提供されるタンパク質分解抗体が、原因に決定的な標的タンパク質を触媒的に除去することによって複数の他の疾患の経過にポジティブに影響することができることを示唆する。そのような触媒活性の遺伝的基礎を理解し利用することができれば、治療的使用のための該タンパク質分解抗体の生成が強化されるだろう。しかし、これらのヒト・タンパク質分解抗体の遺伝的基礎は、未だ明らかになってはいない。マウス中のタンパク質分解抗体に関する最近の研究では、血管作用性腸ポリペプチド(VIP)に対して産生される抗体中のタンパク質分解軽鎖が定められた。マウス・タンパク質分解酵素に対する遺伝的基礎は、ヒト・タンパク質分解抗体を機能させることが可能な考えられる機構への洞察を与える。
(V配列の同定)
マウス抗VIPタンパク質分解軽鎖をコードするV領域の配列は、V領域のカッパIIファミリーに属する。さらに、他のエステル分解抗体は、カッパIIファミリーを利用するための偏向を共有しており、このファミリーが触媒に重要なドメインを含有することが示唆される。タンパク質分解抗体に対するヒト遺伝的基礎を決定するため、かつ発生中のヒト治療タンパク質分解抗体の使用を活用するために、ヒト・カッパ・レパートリーを、推定セリンプロテアーゼ三つ組を含有する遺伝子に関して分析した。複数の遺伝子が同定されており、図3に示した。これらの遺伝子は、A30、L14、A17、A1、A18b、A2、A19、A3、A23、L20、B2、A26、A10、およびA14を含む。
(V遺伝子のクローニング)
これらの潜在的な触媒可変領域をコードする遺伝子をクローン化するために、PCRプライマーを設計して、リーダー領域およびイントロンの5′末端および3′組換えシグナル配列にハイブリダイズさせた。以降のクローニング・工程のために、簡便な制限部位を各プライマーの5′末端に付加した。ヒト・ゲノムDNA(Clontech, Palo Alto, CA)100ngを用いて、PCRを実行した。試料を5分間94℃まで加熱してpfuポリメラーゼ(Stratagene, La Jolla, CA)1μlを添加した後に、さらに5分間94℃おこなうことによって、50μlの反応を開始した。30秒間56℃でのアニーリング、30秒間70℃での伸張、および20秒間94℃での変性の40サイクルのPCRを実行した。最終的な伸張を5分間70℃でおこなった。1.5%アガロース・ゲルは、PCR反応10μlを分解し、形成された産物は、予測サイズ300bp近くに泳動すると見られた。オーバーラップ伸張方法を用いて、V領域を、V領域用の5′プライマーと、Jカッパ1の全てを包括する3′プライマーと、VおよびJ領域にオーバーラップする「架橋(bridging)」プライマーとを用いてイン・フレームでヒトJカッパ1に融合した。上記のサイクル条件にしたがってPCRをおこなった。V−Jハイブリッドの構築の成功を、1.5%アガロース・ゲル上に150bp PCR産物を分解することによって、かつDNAシーケンシングによって確認した。
(触媒機能の分析)
ヒト軽鎖の触媒機能を決定するために、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、および27をそれぞれ、ヒトCをコードする配列、例えばカッパC遺伝子に融合し、その後、CMVプロモーターおよびVH4リーダー配列を含有する発現ベクター中にクローン化し、NS0またはSP2/0等の非分泌骨髄腫細胞株にトランスフェクトする。トランスフェクタント由来の上清を除去して、ペプチド−MCA基質(Sigma, St. Louis, MO)に対するタンパク質分解活性に関して解析する。ペプチド−MCAの様々な濃度で、白色96穴プレート中50mM Tris−HCl、100mMグリシン、および0.025%Tween 20(pH7.7)の60μl中で上清をインキュベートする。トランスフェクトされていない細胞由来の上清も解析して、バックグラウンドとして用いる。異なるウェル中同量で測定されたアミノメチルクマリンの異なる濃度の同時分析によって決定される濃度で、アミノメチルクマリン脱離基の蛍光(励起370nm、発光460nm)として、ペプチド−MCA基質の加水分解を決定する。A18bおよびA2cの精製および触媒アッセイの結果を図4に示す。
プロテアーゼ阻害剤プローブに結合するA18bおよびA2cの能力についてもおこなった。A18bおよびA2cを、C末端6−ヒスチジン・タグに融合した大腸菌(E.coli)ペリプラズム中で発現させた。固定化ニッケル・アフィニティ・カラム上で、製造元の指示(Invitrogen, Carlsbad, CA)にしたがい抗体を精製した。ビオチン標識フルオロホスホン酸プローブ(10μM)を、抗体軽鎖100ngに5分間室温で添加し、その後、2xSDS−PAGEローディング・バッファーでクエンチングして、3分間94℃まで過熱した。混合物を15%SDS−PAGEゲル上で泳動させ、ナイロン・メンブレンに移し、3%ウシ血清アルブミンで45分間ブロッキングし、ストレプトアビジン共役アルカリホスファターゼと1時間インキュベートさせた。このメンブレンをNBT/BCIP試薬で現像した。共有結合抗体の同定を図5に示した。
(異種重鎖の作用性結合)
次のように、標準的なファージ提示プロトコールを用いて抗TNFα結合scFvを同定した。すなわち、scFvファージ・ライブラリー(複雑性4x1010)由来の1x1011までのファージを、PBS中で2ラウンド、TNFα 1μg/ウェルに対してパンニングした後、低下させた抗原濃度(TNFα 0.1μ/ウェル)を用いて第3のラウンドをおこなった。以降のパンニングのそれぞれで洗浄ストリンジェンシーを増して、最終的なパンニング条件では、0.5%Tween20/TBSで20回の洗浄である。2ないし10倍過剰のTNFα(10ないし20μg/ml)を用いた溶出によって、抗原特異的ファージを全てのパンニングから回収した。16時間後にTNFαで溶出しなかったファージを、100mMグリシン(pH2.2)でウェルを7分間処理することによって回収し、保存および滴定前に1/10量の1.5M Tris−Cl(pH8.5)で中和した。さらなるパンニング・ラウンドのための高力価ファージ・ストックの増幅および生成の前に、各パンニングに対して回収されたファージの数を滴定によってアッセイした。新たに作製したファージ調製物のみを用いて、パンニングをおこなった。結合特異性に対する負の対照群はインターフェロン−γを含み、これらの対照群と各回で溶出したファージを用いたファージELISAを図7に示す。その後、標準的なPCR反応(上述)を用いて重鎖を重複し、図6に示される発現ベクターに挿入し、それによって、抗TNFα重鎖を持つ触媒トリアドを含有するVを実行可能に結合させた。
VEGF等の所定の抗原に特異的なタンパク質分解抗体を真核細胞中で生成するためには、C遺伝子に融合させた上記でクローン化した軽鎖遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27)を、抗VEGF抗体重鎖をコードする重鎖遺伝子とともに、非分泌骨髄腫細胞NS0に共トランスフェクトする。トランスフェクタント由来のIgGを含有する上清をプロテインAセファロース・カラム上で精製して、溶出させる。特異的なタンパク質分解活性を、HPLCを用いて組換え型ヒトVEGF(例えば、Abcam, Cambridge, United KingdomまたはPanVera, Madison, WIより市販)に対して分析する。HPLCカラム上の異なる加水分解産物の異なる保持時間を表す複数のピークによってVEGFの切断を証明する。VEGFに対する特性は、VEGFが関連のないタンパク質(例えば、BSAまたはリゾチーム)で置換される同一の反応である負の対照群中にそのような複数のピークがないことによって示される。
【配列表】
(A.タンパク質分解V領域のヌクレオチド配列)
Figure 2006501856
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図1は、本発明で具現化された組換え触媒ポリペプチドの一例を示す。完全な抗体分子の典型的な特徴が図示されており、重鎖可変領域(V)、3つの重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3)、軽鎖可変領域(V)、および軽鎖定常領域(C)を有する。上記可変領域の複数の相補性決定領域(CDR)も図示してあり、軽鎖のCDRにはセリンプロテアーゼ二つ組が含まれる。 図2は、組換え型触媒軽鎖のV領域をコードするクローン化遺伝子のアガロース・ゲルを示す。上側のパネルでは、A17V領域をフランキングするDNA配列に特異的なプライマーを用いて、ヒト・ゲノムDNA(「A17」と標識したレーン)からA17DNAが増幅されている。3通りのPCR反応では、Jカッパ1ミニ遺伝子がA17に融合されている(「A17−JK1」と標識)。典型的なJ領域の大きさが約50塩基対である。100塩基対ラダー(ladder)が右側に示されている。下側のパネルは、Al18V領域(「A18b」と標識)をフランキングするプライマーを用いるPCR反応を示す。 図3は、ヒト・カッパ軽鎖レパートリーのアミノ酸配列を示す。セリンプロテアーゼ三つ組を含むこれらの配列は、星印で示されている。上記トリアドのアスパラギン酸またはグルタミン酸成分は、下線が引かれており、かつ太字になっている。セリンとなりうる成分に下線が引かれており、またヒスチジン成分は黒で強調表示されている。位置番号1は、抗原結合部位に構造的に入っていることから、CDRと考えられる。 図4は、生殖細胞系軽鎖の精製および活性を示す。左側:ニッケル樹脂(ProBond, Invitrogen)からなる2本の連続カラムを用いて、生殖細胞系軽鎖Al8bおよびA2cを大腸菌(E.coli)のペリプラズムから精製した。銀染色ゲルは、各タンパク質に対して10mM分画、20mM分画、および3つの300mM分画を含んだ最終イミダゾール溶出分画を示す。右側: 三番目の300mM分画(400μl)を3Lの20mMTrisバッファーに対して透析し、次に37℃で400mMのPFR−MCA基質によりインキュベートした。蛍光の定量を370/465nmで24時間後におこなった。星印は、アッセイ前のタンパク質熱失活を示す。 図5は、プロテアーゼ・トリアド結合プローブを用いたタンパク質分解軽鎖の同定を示す。タンパク質A18bおよびA2c、ならびに制御因子Xaをフルオロホスホン酸塩プローブとインキュベート(各群の中間レーン)、または該プローブとのインキュベーションに先立って熱変性(各群の三番目のレーン)させ、15%SDS−PAGEゲル上で泳動させ、ナイロン・メンブレンに移し、さらに1時間にわたってストレプトアビジン共役アルカリホスファターゼとインキュベートさせる。このメンブレンをNBT/BCIP試薬で現像した。 図6は、タンパク質分解抗体ライブラリー生成のためのファージ提示ベクターを示す。関連した特徴が示されており、該特徴としてシグナル・ペプチド(SP)と、触媒トリアドおよびランダム化されたCDR位置(灰色)を有する不変の軽鎖と、フレキシブルなリンカーと、6ヒスチジン・リンカー(6xHIS)を介して糸状バクテリオファージの遺伝子IIIに融合している重鎖のライブラリーとが含まれる。ベクターもまた、サプレッサー大腸菌(E.coli)株の遺伝子IIIと融合することなくscFvno発現を可能とする遺伝子IIIと6xHISとのあいだにアンバー停止コドンを有する。重鎖または新規の不変軽鎖が容易にライブラリーに挿入しうるように、便利な制限部位が存在する。 図7は、パンニングによって抗TNFファージが濃縮されたファージELISAを示す。TNFαに対するパンニングを複数回行うことで得たファージ・プールを0.5μg/ウエルでTNFαまたはインターフェロンγ(負の対照群抗原)に対する結合について試験した。線状ファージ (fdl) 主外殻タンパク質に対するHRP共役mAb(Amersham)によって、結合ファージを検出した。負の対照群IFNγと比べて引き続いて行われる各々のパンニングによって、各々のパンニングの複雑さが予想通り減少したにもかかわらず、TNFα結合ファージの比率が増加した。

Claims (80)

  1. 標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドであって、異種抗体重鎖に実行可能に結合しているヒト抗体軽鎖を含み、ここで、該軽鎖がセリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、該重鎖が該標的タンパク質に対して所定の特異性を有する、組換え触媒ポリペプチド。
  2. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  3. 前記標的タンパク質が血管内皮増殖因子である、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  4. 前記標的タンパク質がインターフェロンγである、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  5. 前記標的タンパク質がTNFαである、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  6. 前記標的タンパク質がIgEファミリーのメンバーである、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  7. 前記標的タンパク質がEGF受容体ファミリーのメンバーである、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  8. 前記標的タンパク質がCD20である、請求項2に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  9. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  10. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  11. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  12. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  13. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換え触媒ポリペプチド。
  14. 標的タンパク質を切断するための方法であって、該方法は、
    標的タンパク質を、実行可能に異種抗体重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含む組換え触媒ポリペプチドと接触させる工程を包含し、ここで、該軽鎖がセリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、該重鎖が該標的タンパク質に対して所定の特性を有し、該接触の条件が該標的タンパク質を切断するのに適している、方法。
  15. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項14に記載の方法。
  17. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項14に記載の方法。
  18. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  19. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  20. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  21. 標的タンパク質を切断する組換え触媒ポリペプチドの酵素活性を変えるための方法であって、該方法は、抗体重鎖の少なくとも1つのCDRを突然変異させる工程および、該ポリペプチドの酵素活性が変化した突然変異体を決定する工程を包含し、ここで、該組換え触媒ポリペプチドは、実行可能に異種抗体重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含み、該軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、該重鎖は、該標的タンパク質に対して所定の特異性を有する、方法。
  22. エクソヌクレアーゼが前記抗体重鎖のCDRの少なくとも1つを突然変異させる工程で使用される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
  24. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項21に記載の方法。
  25. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項21に記載の方法。
  26. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
  27. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
  28. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
  29. 標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドメンバーのライブラリーであって、該ライブラリーのメンバーは、組換え触媒ポリペプチドを含み、該メンバーのそれぞれは、実行可能に異種抗体重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含み、ここで、該軽鎖がセリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、該重鎖が該標的タンパク質に対して特異性を有し、そして、該メンバーがそれぞれの重鎖において異なるCDRを有する、ライブラリー。
  30. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項29に記載のライブラリー。
  31. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項29に記載のライブラリー。
  32. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項29に記載のライブラリー。
  33. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のライブラリー。
  34. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のライブラリー。
  35. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のライブラリー。
  36. ファージ提示ライブラリーである、請求項29に記載のライブラリー。
  37. リボソーム提示ライブラリーである、請求項29に記載のライブラリー。
  38. mRNA提示ライブラリーである、請求項29に記載のライブラリー。
  39. 異種抗体重鎖に実行可能に結合しているヒト抗体軽鎖を含む組換え触媒ポリペプチドの投与によって、哺乳動物内で標的タンパク質を切断するための方法であって、ここで、該軽鎖は、セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプトダーゼ活性を有し、重鎖は、該標的タンパク質に対して所定の特異性を有し、該組換え触媒ポリペプチドが該哺乳動物中の該標的タンパク質の濃度を低下させるのに十分な量で投与される、方法。
  40. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項39に記載の方法。
  42. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項39に記載の方法。
  43. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の方法。
  44. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の方法。
  45. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の方法。
  46. 標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸であって、実行可能に異種抗体重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含み、該軽鎖がセリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、重鎖は、該標的タンパク質に対して所定の特異性を有する、核酸。
  47. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項46に記載の核酸。
  48. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項46に記載の核酸。
  49. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項46に記載の核酸。
  50. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の核酸。
  51. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の核酸。
  52. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の核酸。
  53. 標的タンパク質を切断するための組換え触媒ポリペプチドをコードする核酸の宿主である細胞であって、実行可能に異種抗体重鎖に結合しているヒト抗体軽鎖を含み、該軽鎖がセリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有し、該重鎖が該標的タンパク質に対して所定の特異性を有する、細胞。
  54. 前記標的タンパク質が成長因子、細胞表面受容体、サイトカイン、および免疫グロブリンからなる群より選択される、請求項53に記載の細胞。
  55. 前記ヒト抗体軽鎖がセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項53に記載の細胞。
  56. 前記組換え触媒ポリペプチドが、前記ヒト抗体軽鎖および前記抗体重鎖を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項53に記載の細胞。
  57. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項53に記載の細胞。
  58. 前記ヒト抗体軽鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項53に記載の細胞。
  59. 前記ヒト抗体軽鎖が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項53に記載の細胞。
  60. セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有する単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  61. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項60に記載の単離されたポリペプチド。
  62. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項60に記載の単離されたポリペプチド。
  63. 前記ポリペプチドがセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項60に記載の単離されたポリペプチド。
  64. セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸であって、該ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、核酸。
  65. 配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項64に記載の核酸。
  66. 配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項64に記載の核酸。
  67. 配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27のヌクレオチド配列を含む、請求項64に記載の核酸。
  68. セリンプロテアーゼ三つ組を有するポリペプチドをコードする、請求項64に記載の核酸。
  69. セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸の宿主である細胞であって、該ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、細胞。
  70. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69に記載の細胞。
  71. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項69に記載の細胞。
  72. 前記核酸が配列番号1、3、または5のヌクレオチド配列を含む、請求項68に記載の細胞。
  73. 前記ポリペプチドがセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項69に記載の細胞。
  74. セリンプロテアーゼ二つ組活性およびエンドペプチダーゼ活性を有するVポリペプチドをコードする核酸を含む導入遺伝子を発現する、トランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  75. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項74に記載の哺乳動物。
  76. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項74に記載の哺乳動物。
  77. 前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28のアミノ酸配列を含む、請求項74に記載の哺乳動物。
  78. 前記核酸が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、または27のヌクレオチド配列を含む、請求項74に記載の哺乳動物。
  79. 前記ポリペプチドがセリンプロテアーゼ三つ組を有する、請求項74に記載の哺乳動物。
  80. げっ歯類動物である、請求項74に記載の哺乳動物。
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