バーティカルトランジスタのゲート長すなわちゲート電極膜厚の測定をインラインで行うためには、‘製造途上のウエハを合理的なスループットでサンプリング検査できること’を前提として、数百nm程度の局所領域を対象とした、測定ばらつきnm以下での微小領域・高精度測定を行うことが課題となる。
現在、堆積膜や熱酸化膜などのインライン膜厚検査には、一般的に検査専用のパイロットウエハを対象として、光ビームを用いた光干渉式膜厚測定器やエリプソメータが用いられている。しかし、極近い将来に、これら技術が益々厳しくなる精度要求に応えられなくなることは、周知の事実である。より高精度な膜厚測定法の将来候補としては、(1)照射光としてUV光を用いるエリプソメータ、(2)X線を測定箇所に照射して反射X線などを測定する手法、(3)レーザ光を測定箇所に照射して弾性波などを測定する手法、(4)中速イオンビームを測定箇所に照射して散乱イオンなどを測定する手法、などが挙げられている。しかし、何れの方法も、数百nm程度の局所領域を対象とした膜厚測定を行うことは極めて困難である。
例えば、ゲート長50nmのバーティカルトランジスタに必要とされるゲート長測定精度(試料起因ばらつきや測定装置の機差など全ての測定ばらつきを含めて)は1nm以下であり、要求される膜厚測定精度を達成できると思われる空間分解能を持つ手法は、原子間力顕微鏡(AFM)、及び透過電子像を形成する透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型透過電子顕微鏡(STEM)だけである。AFMは極端にスループットが落ちるため、現在のところ、TEMあるいはSTEMだけがその可能性を持っている。とは云っても、TEMあるいはSTEMの場合にも、インライン検査の前提である‘製造途上のウエハを合理的なスループットでサンプリング検査できること’ができておらず、実用上の課題となる。
本発明は、このような状況に鑑み、数百nm程度の局所領域における高精度な膜厚測定を可能とするためのTEMあるいはSTEMを用いたインライン検査手段を提供することを目的とする。
TEMあるいはSTEMを用いることが、極微小領域の高精度膜厚測定を実現できる唯一の解である。しかし、スループットを上げることが最大の課題となる。高スループット化を実現するためには、(1)高速で試料作製できること、(2)短時間で試料観測できること、が必須となる。(1)については、‘集束イオンビームのスパッタリング作用を利用して試料を切出す方式’の集束イオンビーム装置(FIB装置)と組み合わせることが最適の選択となる。この場合、実質的なインライン検査の所要時間は、FIB装置の試料作製時間で決まる。そして、FIB装置では、高速での試料作製と短時間での試料観測を可能とするため、予め登録された試料作製用レシピに従って、ウエハ上の指定された複数箇所を対象とし、試料切出し個所を自動で位置決めし、試料を自動で切出し、切出した試料をTEMあるいはSTEMで用いる観測用試料ホルダに自動で搭載するとともに、TEMあるいはSTEMで該試料を観測するためのレシピを作成する。TEMあるいはSTEMでは、短時間での試料観測を可能とするため、FIB装置で作成され、TEMあるいはSTEMに入力された観測用レシピに従って、観測用試料ホルダに搭載された複数の試料を対象とし、観測領域を自動的に位置合わせし、所定の試料画像を取得する。
一方、TEMあるいはSTEMでの膜厚測定をより高精度なものとするため、電子ビームの入射方向と観測膜面との平行性を確認・補正できるような段差付き断面試料、及び観測パターンの所定位置に精度良く形成された観測断面が得られるように、観測パターンが加工断面に垂直な方向に少しずつずらして配置された複数のパターン群から構成された断面観測用試料を用いる。
本発明によると、‘TEM/STEMによる試料観測’を‘FIB装置による試料作製’と組み合せ、FIB装置では、予め登録された試料作製用レシピに従って、ウエハ上の指定された複数箇所を対象とし、試料切出し個所を自動で位置決めし、試料を自動で切出し、切出した試料をTEMあるいはSTEMで用いる観測用試料ホルダに自動で搭載するとともに、その試料をTEMあるいはSTEMで観測するためのレシピを作成する、一方、TEMあるいはSTEMでは、FIB装置で作成されTEMあるいはSTEMに入力された観測用レシピに従って、観測用試料ホルダに搭載された複数の試料を対象とし、観測領域を自動的に位置合わせし、所定の試料画像を取得し観測データを得ることにより、数百nm程度の局所領域を対象として、高精度なインライン膜厚測定を行うことが可能となる。
また、TEMあるいはSTEMを用いれば、高解像な試料画像形成に併せて、極微小領域の組成分析、構造解析、そして電子状態分析を容易に行うことができる。これらの分析・解析情報を組合わせて活用できることから、従来困難とされていたインラインでの積層膜各層の膜厚の測定、パターンの三次元形状の測定、パターン重ね合わせ精度の測定、配線接続部の導通状態の測定、膜形成物質の粒度の測定、膜内微量不純物の組成分布及び所定の参照像と比較しての欠陥測定などが、正確かつ精密に行えるようになる。
そして、これらインライン測定データを統合的に扱うことにより、より高度なプロセス管理及びトランジスタ特性解析が実現される。例えば、ゲート長と同時に、ゲート絶縁膜厚及びソース/ドレイン領域のドーパント濃度プロファイルをインライン測定すれば、しきい値電圧などトランジスタの電気特性を実時間で正確に予測することが可能となる。すなわち、従来は及びもつかなかったような、デバイスの性能/信頼性及び歩留を精密に管理するためのデータがインライン検査で取得可能となる。
また、検査済みの試料を保管しておくことができるため、後日に歩留あるいは信頼度上の問題が発生した場合など、保管庫から取出して現物を再調査することができる。このことは、現物無しでの困難を強いられている不良解析を容易なものとする。
本発明によるウエハの検査方法、集束イオンビーム装置、透過電子ビーム装置は以下の通りである。
(1)半導体装置の製造工程におけるウエハの検査方法において、集束イオンビーム装置に検査対象のウエハを装填する工程と、予め読み込んだ試料作製用レシピに従って前記ウエハ上の試料切出し個所を自動位置決めする工程と、前記ウエハから集束イオンビームによって所定の試料を切り出す工程と、切り出した試料を観測用試料ホルダに搭載する工程と、切り出した試料の前記観測用試料ホルダ上の搭載位置に関する情報と当該試料の検査条件に関する情報とを関連付けて記載した観測用レシピを作成する工程と、透過電子ビーム装置に前記観測用試料ホルダを装填する工程と、透過電子ビーム装置で前記観測用レシピを読み込む工程と、読み込んだ観測用レシピに従って前記観測用試料ホルダ上の試料を自動位置決めする工程と、位置決めした試料から前記観測用レシピに従って所定の観測データを取得する工程とを含むことを特徴とするウエハの検査方法。
集束イオンビーム装置による試料作製工程では、集束イオンビームとして整形ビーム、可変整形ビームあるいはセルプロジェクションビームを適宜用いることで迅速な試料作製が可能になる。セルプロジェクションは、少なくともC字及びスポットから構成することができる。透過電子ビーム装置としては、TEMあるいはSTEMを用いることができる。試料作製工程を実行する集束イオンビーム装置と試料観測工程を実行する透過電子ビーム装置との間における観測用レシピの伝送は、LAN等を経由してオンラインで行うのが好ましい。
(2)(1)記載のウエハの検査方法において、観測用レシピを作成する工程は、観測用試料ホルダに記された符号を読み取る工程と、前記符号をキーとして当該観測用試料ホルダに搭載された試料を観測するための透過電子ビーム装置用レシピを作成することを特徴とするウエハの検査方法。
FIB装置で試料を切り出す際にFIBを用いて試料上に付けられた試料に固有の番号である試料上の符号をキーとして、該試料を観測するための透過電子ビーム装置用レシピを自動的あるいは半自動的に作成するようにしてもよい。
(3)(1)又は(2)記載のウエハの検査方法において、前記観測データを取得する工程では試料の画像データ、組成分析データ、構造解析データ、電子状態分析データのうち少なくとも1つのデータを取得することを特徴とするウエハの検査方法。
取得した観測データは、膜厚測定、パターンの形状寸法測定、パターンの重ね合わせ測定、配線接続部の導通状態測定、粒度測定、ドーパント濃度プロファイル測定、所定の参照像と比較しての欠陥測定のために用いることができる。測定データは、プロセス管理やデバイス特性解析を行うために利用することができる。
(4)ウエハを保持して移動可能な試料ステージと、前記試料ステージを駆動するステージ駆動部と、集束イオンビームを形成する手段と、前記集束イオンビームを前記試料ステージに保持されたウエハ上で走査するための偏向器と、集束イオンビーム照射によって試料から発生した試料信号を検出する検出器と、試料ハンドリング用の試料マニピュレータと、制御部とを含む集束イオンビーム装置において、前記制御部は、予め登録された試料作製用レシピに従って前記ステージ駆動部及び/又は前記偏向器を制御してウエハ上の試料切出し個所を自動位置決めする機能と、前記集束イオンビームを用いて所定の試料を切出す制御を行う機能と、前記試料マニピュレータを制御して切出した試料を観測装置で用いる観測用試料ホルダに搭載する機能と、前記観測用試料ホルダ上の試料搭載位置と当該試料の前記試料作製用レシピに記載されていた情報及びそれをもとにしてメモリから読み出された予め蓄えられていた情報を用いて観測装置で使用する観測用レシピを作成する機能とを有することを特徴とする集束イオンビーム装置。
切出した試料には、その試料を同定するための符号を集束イオンビームで刻印するようにしてもよい。ウエハから切出した試料は一旦試料マニピュレータに固定した後、試料マニピュレータと観測用試料ホルダの一方又は両方を移動して、観測用試料ホルダの所定のアドレス位置に搭載される。試料マニピュレータへの試料の固定には、イオンビームアシスト膜堆積法、あるいはマニピュレータと試料の静電吸着作用を用いることができる。
(5)試料を搭載した観測用試料ホルダを保持して移動可能な試料ステージと、前記試料ステージを駆動するステージ駆動部と、電子ビームを細く絞って試料に照射する手段と、前記電子ビームを偏向するための偏向器と、試料を透過した電子線を検出する透過電子検出器と、制御部とを含む透過電子ビーム装置において、前記制御部は、集束イオンビーム装置で作成された観測用レシピに従い、前記集束イオンビーム装置で作製された観測用試料ホルダ上の試料を対象として観測領域を自動位置決めする制御を行う機能と、所定の観測データを取得するための機能とを有することを特徴とする透過電子ビーム装置。
観測データには、試料画像データ、組成分析データ、構造解析データ、電子状態分析データなどを含むことができる。透過電子ビーム装置は、特性X線分析器、オージェ電子分光器、特性損失電子のエネルギー分析器などを備えることができる。組成分析データは透過電子ビーム装置内に例えば特性X線分析器やエネルギー分光器を備えることによって取得することができ、構造解析データは透過電子の二次元アレイ検出器を備えることによって取得することができ、電子状態分析データは透過電子のエネルギー分光器を備えることによって取得することができる。
取得した観測データに基づいて、膜厚測定、パターンの形状寸法測定、パターン重ね合わせ測定、配線接続部の導通状態測定、粒度測定、ドーパント濃度プロファイル測定、所定の参照像と比較しての欠陥測定などを行うことができる。得られた測定データは、プロセス管理やデバイス特性解析に利用することができる。観測データ、測定データ、プロセス管理データ等は電子データとして出力することができる。出力するプロセス管理データは、例えば検査の合否を記したウエハマップ、あるいは検査不良率、検査不良数、欠陥分類結果としてまとめたデータとすることができる。透過電子ビーム装置は結晶格子像による観測倍率の校正機能を有するのが好ましい。
(6)試料ホルダをロード/アンロードするための手段と、試料観測用レシピを記憶する記憶手段と、試料ホルダを同定するための試料ホルダ同定手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記試料ホルダ同定手段による同定結果に基づき当該試料ホルダに対応した観測用レシピを前記記憶手段から読み出し、当該観測用レシピに基づいて各部を制御して試料の観測を行うことを特徴とする透過電子ビーム装置。
集束イオンビーム装置で作製する断面観測用試料は、観測パターンが加工断面に垂直な方向に少しづつずらして構成された複数のパターン群から構成されるように作成することができる。この断面観測用試料の観測に当たっては、最も寸法の大きなパターンを被検パターンとして採用するなどして最適な観測パターンを選択する。
観測用断面が少なくとも一つの段差を有している断面観測用試料を用いると、透過像から断面と観測ビームがなす入射角を求めることができる。この観測ビームの入射角の情報は、試料の傾斜角を制御して、あるいは偏向器により入射ビームを制御して、ビーム入射角を所定の値に制御するために用いることができる。あるいは、得られた入射角に基づいて計測データを補正することも可能である。
本発明によると、高精度なインライン膜厚測定を行うことが可能となる。
図1に、本発明によるFIB装置の一例の概略構成を示す。FIB装置は制御部31により統括的に制御されている。イオン銃11から引出されたイオンビーム12は、所定のエネルギーに加速された後、収束レンズ13及び対物レンズ14によって集束され、試料室21内のXYステージ22上に搭載されたウエハ23面上に照射される。XYステージ22は、制御部31の制御下にステージ駆動部32によって駆動される。ウエハ23上に照射されたイオンビーム12は、偏向器15によって偏向されウエハ23上を走査される。収束レンズ13の下方にはセルプロジェクション用絞り16が設置されている。一方、イオンビーム12によって照射されたウエハ部分からは二次電子24が放出される。この二次電子24を二次電子検出器25により検出し、信号増幅・処理部33で増幅・A/D変換などの信号処理をした後、メモリ34に蓄える。メモリ34に蓄えられた像信号は、イオンビーム走査と同期して走査しているデイスプレイ35に供給され、デイスプレイ35上には試料像が表示される。この試料像をSIM像という。
試料室21には、ウエハキャリア41に保持されたウエハをXYステージ22に対してロードあるいはアンロードするウエハロード/アンロード部42、FIB装置で切り出したTEMあるいはSTEM観察用試料を保持するホルダをロード/アンロードする観察用試料ホルダロード/アンロード部43、試料マニピュレータ駆動部44、反応性ガス導入部45が設けられている。試料室には、また光学顕微鏡26も設けられている。
制御部31は、読み込まれた試料作製用レシピ37に従って、得られた試料像をもとにTEMあるいはSTEM観測用の試料切り出し位置を設定し、試料像をモニタしながらイオンビーム加工を行う。加工された試料はウエハから切出され、TEMあるいはSTEMによる観測に用いられる。制御部31は、各部を制御して観測用試料の切り出し制御を行うと共に、後述する観測用レシピ88の作成を行う。作成された観測用レシピ88は、一旦メモリ34に記憶され、LAN経由で試料観測用のTEMあるいはSTEM及びデータベースへ出力される。観測用レシピについては後述する。
図2に、本発明によるTEMあるいはSTEMの概略構成を示す。装置は制御部81により統括的に制御されている。電子銃61から放出された電子ビーム62は、所定のエネルギーに加速された後、収束レンズ63によって細く絞られ、XYステージ65に搭載された試料ホルダ66上の試料面に照射される。XYステージ65は制御部81の制御下にステージ駆動部82により駆動される。試料を透過した透過電子71は対物レンズ72を通って透過電子検出器73によって検出され、信号増幅・処理部83で増幅・A/D変換などの信号処理をした後、メモリ84に蓄えられる。メモリ84に蓄えられた像信号は、電子ビーム走査と同期して走査されているデイスプレイ85に供給され、デイスプレイ85上には試料像が表示される。試料を保持している試料ホルダ66は、制御部81の制御下に試料ホルダロード/アンロード部86によりXYステージ65にロードされ、あるいはアンロードされる。
電子ビーム62を一点照射し透過電子71の空間分布信号を得れば、透過電子像が得られる。一方、偏向器64によって照射電子ビームを走査し、透過電子71の時間変化信号を得れば、走査透過電子像が得られる。検出器として、透過電子検出器73の他に、電子ビーム照射によって試料から発生された特性X線74を検出するX線検出器75、あるいは透過電子71をエネルギー分光するエネルギー分光器76等を備える。試料の観測は、FIB装置で作成され、例えばLAN経由で送信されてきた観測用レシピ88に従って実行される。
図3は、本発明による半導体装置製造工程におけるインライン検査の概念を示す図である。ウエハ処理と図示した前後の半導体プロセス処理91,92の途中にインライン検査工程が設けられる。インライン検査工程は、FIB装置における試料作製工程と、TEM/STEMにおける試料検査工程の2工程に大別される。
FIB装置における試料作製工程では、予め登録された試料作製用レシピ37に従って、ウエハ上の指定された複数箇所を対象とし、試料切出し個所を自動で位置決めし、試料を自動で切出し、切出した試料をTEM/STEMで用いる観測用の試料ホルダに自動で搭載するとともに、TEM/STEMにて試料を観測するための観測用レシピ88を作成する。
TEM/STEMにおける試料検査工程では、FIB装置で作製されTEM/STEMに入力された観測用レシピ88に従い、観測用試料ホルダに搭載された複数の試料を対象として、観測領域を自動的に位置合わせし、所定の試料画像を取得することにより、数百nm程度の局所領域を対象として、検査を行う。夫々について、以下に説明する。
最初に、図4及び図5を参照して、FIB装置における試料作製工程について説明する。この工程では、試料切出し、観測用試料作製、及びTEM/STEMによる観測用レシピ88の作成を行う。
図4は、FIB装置で切り出した試料を装填するための観測用試料ホルダを準備するための処理を説明するフローチャートである。まず、ステップ11にて、空の観測用試料ホルダを入れた試料ホルダキャリアが、FIB装置の観察用試料ホルダロード/アンロード部43に装着される。次に、ステップ12において、観測用試料ホルダは、試料ホルダキャリアから取り出され、空であることをロード/アンロード部43に装着された検知器で確認された後、ステップ13に進み、ロード/アンロード部に装着されたホルダ番号読取り器によってホルダに記されたホルダ番号が読み取られる。その後、観察用試料ホルダはステップ14で、FIB装置の試料室21内の所定位置に搬送・装填される。観察用試料ホルダのホルダ番号は、それぞれの観察用試料ホルダに固有のコードであり、個々の観察用試料ホルダを同定するために用いられる。また、観測用試料ホルダの本体自体は繰返し再生使用することが可能である。
なお、図4に示した観測用試料ホルダを準備するための処理は、図5に示した試料作製及び観測用レシピ作成処理の空き時間を利用してステップ30の前までに完了すればよい。
図5は、試料作製処理及び観測用レシピ作成処理の流れを示すフローチャートである。ステップ21において、被検査ウエハを入れたウエハキャリア41が、ウエハロード/アンロード部42に装着される。ステップ22において、被検査ウエハはウエハキャリアから取り出され、続くステップ23でプリアライメント部に搬送されてプリアライメントされる。プリアライメントは、ウエハのオリエンテーションフラットあるいはノッチなどを検出し、これを基準としてウエハの載置方向をFIB装置のXYステージ22の方向に合わせるための操作である。
ウエハがプリアライメントされた後、ステップ24において、ウエハ上に形成されたウエハ番号が、FIB装置に組込まれた図示しないウエハ番号読取り器によって読み取られる。ウエハ番号は各ウエハに固有の符号であり、ウエハ個々あるいはウエハの品名・仕掛かり工程名を同定するために用いられる。ステップ25では、読み取られたウエハ番号をキーにして、予め登録されていたこのウエハに対応する試料作製用レシピ37が読み出される。試料作製用レシピ37は、ウエハからの試料切出し手順、切出し条件、切出し結果出力条件を定めたものであり、一般的にはウエハが属する品種・仕掛かり工程名毎に設定されている。以降の操作は、このレシピ37に従って、自動的あるいは半自動的に行われる。
レシピ読み出し後、ステップ26において、ウエハは試料室21内のXYステージ22上に搬送・装填される。XYステージ22上に装填されたウエハ23は、続くステップ27において、試料室21の上面に装着された光学顕微鏡26とウエハ23上に形成されたアライメントパターンを用いて、アライメントされる。アライメントは、ウエハ23の座標系とXYステージ22の座標系とを合わせるための操作であり、アライメントパターンの光学顕微鏡像が、予め登録されていたアライメントパターン参照用画像と比較され、その視野が参照用画像の視野と丁度重なるようにステージ位置座標が補正される。ステップ28において、アライメントされた後のウエハ23は所定の試料切出し箇所にステージ移動され、SIM像を用いて切出し個所が位置決めされる。
切出し個所の位置決め後、ステップ29に進み、ビーム形状が高速加工に適すように整形された集束イオンビームを照射して所定の大きさ(例えば、数μm角で厚さ数100nm)の切片を切出し、切出した試料を試料マニピュレータに固定する。
図6は、集束イオンビームによるウエハ23からの試料の切り出し工程を説明する図である。試料の切り出しに当たっては、高速での粗加工と高い位置決め精度での仕上加工を両立させるため、例えば、図7に示すようなセルプロジェクション用絞り16を用いる。セルプロジェクション用絞り16はC字型のビーム透過部102を有するC字セル部101と、スポットビーム部105を備える。C字セル部101は、その中心部103が切り出し試料部分となり、中心部103を周辺部と接続する梁状部分104が加工時の試料支持部分となる。
図6(a)に示すように、ビーム絞り16の左側のC字セル部101に集束イオンビームを照射してC字形状のビームを形成し、粗削りした後、絞り16上のビーム照射位置を右側のスポットビーム部105に切換えて細いスポットビームを形成し、図6(b)に示すように仕上げ加工を行う。ウエハの加工部には、ビーム絞り16のC字セル部101の中心部103に対応して観測用試料部106が形成され、梁状部分104に対応して支持部107が形成される。切出し時には、高い加工速度及び平滑な加工断面を得るために、イオンエッチングをアシストするための反応性ガスを反応性ガス導入部45から導入し、イオンビーム照射点近傍を反応性ガス雰囲気にする。例えば、シリコン酸化膜の加工にはフッ素系のガス、金属配線の加工には塩素系のガスを加工箇所近辺に導入する。切片は、観測目的に応じて、断面あるいは平面が選択される。
図6(c)に示すように、ウエハを傾斜して試料切片の下部を切断した後、試料を試料マニピュレータ108に固定する。試料の試料マニピュレータ108への固定は、例えば、タングステン化合物ガスの雰囲気中で、試料上面にマニピュレータ先端部を接触させ、接触部にイオンビームを照射して、タングステン膜109を形成する。試料は、図6(d)に示すようにこのタングステン膜109に支持され、試料マニピュレータ108に固定される。その後、図6(e)に示すように、支持部107を集束イオンビームにより切断して試料110の切り出しが行われる。試料のマニピュレータへの固定は、試料面にマニピュレータ先端部を接触させ、マニピュレータ駆動部44を制御してマニピュレータに電圧を印加し、試料との間に静電気作用を利用した引力を発生させることで、マニピュレータに静電吸着して固定してもよい。
図5に戻って、ステップ30において、試料マニピュレータ108に固定された試料110は、試料マニピュレータ及び/又は観測用試料ホルダの移動により、試料室21内の所定位置に装填された観測用試料ホルダ上に移される。図8は、観測用試料ホルダ66に固定された試料の例を示す概略図である。図8(a)は試料を装填した観測用試料ホルダの上面図、図8(b)はそのA−A′断面図である。図示した観測用試料ホルダ66は、円筒状本体121の一端に金属メッシュ122によって支持されたカーボン薄膜123を備え、金属メッシュ122で定められた各区画にアドレスが割り当てられている。切り出された試料131〜134は、観測用試料ホルダ上の試料作製用レシピ37で指定あるいは試料作製用レシピに基づいてメモリから読み出された予め登録されたアドレス位置に装填される。
一方、ステップ31において、FIB装置の制御部31では、この試料に係る品名、仕掛かり工程名、所属するダイのアドレス番号、観測用試料ホルダ上のアドレス位置、検査内容などの情報を使用して、ホルダ番号をキーとした観測用レシピ88が作成される。観測用レシピ88は、観測用試料ホルダに搭載された試料の観測手順・観測条件・観測結果出力条件を定めたものである。なお、ステップ31における観測用レシピ88の作成前に、FIB装置の試料室21に搬入した観察用試料ホルダのホルダ番号に対するTEM/STEM用レシピがFIB装置のメモリ34に既に存在していれば、それは以前観測した試料に関するレシピであるので、そのレシピデータを消去して観測用レシピの内容を初期化しておく。
ステップ32では、XYステージ上のウエハに関して、試料作製用レシピ37で指定された全ての箇所の試料切り出しと観測用試料ホルダへの搭載が終了したかどうかを判定し、指定された全ての試料の切り出しが終了するまでステップ28からステップ31の処理を反復する。
ステップ33において、試料の搭載を終了した観測用試料ホルダ、及び試料切出しを完了したウエハは、夫々のキャリアに戻される。一方、ステップ31で作成された観測用レシピ88は、検査に用いるTEM/STEMに入力されるため、ステップ34において、通信回線を経由してあるいは記憶媒体を用いて出力される。次のステップ35の判定でウエハキャリア内に未処理の被検査ウエハが残っている場合は、それらのウエハに対してステップ21からの処理を反復する。
図9に、観測用レシピ88の記載項目例を示す。例示した観測用レシピ88には、試料ホルダに関する情報として試料ホルダ番号、試料を切り出したウエハに関する情報として、品名、ロット名、ウエハ番号、ダイのアドレス等の情報が記載されている。また、検査情報として、ホルダ内試料アドレス、検査項目、検査手順、加速電圧、ビーム電流、検出信号、検出結果出力等の情報が記載されている。図示した例では、例えばホルダ内試料アドレスA−1に装着されている試料は、STEMにより加速電圧100kV、ビーム電流1nAにてタイプ3の検査手順にてポリシリコン膜厚を検査すべきこと、検査結果はタイプ2のウエハマップとして出力すべきことが指示されている。図9において、検査手順や検査出力などのタイプは、データが予め登録されているものを呼び出して使用することを意味する。
これらの情報のうち、試料ホルダ番号は図4のステップ14で取得されたものであり、試料を切り出したウエハに関する品名、ロット名、ウエハ番号、ダイのアドレス等の情報は試料作製用レシピ37に記載されていた情報である。検査情報のうちホルダ内試料アドレス、検査項目、検査手順、加速電圧、ビーム電流、検出信号、検出結果出力等の情報は、試料作製用レシピ37に記載されていた情報あるいはそれをもとにしてメモリから読み出された予め登録されていた情報である。このようにしてFIB装置の制御部31は、試料作製用レシピに従って指定されたウエハの指定場所から試料を切り出して観察用試料ホルダに装填すると共に、TEM/STEM側でその試料を特定するために必要な情報すなわちその試料を装填した観察用試料ホルダの情報及びホルダ上のアドレス情報と、試料作製用レシピから受け継いだ当該試料の検査方法に関する情報とを結合して観測用レシピを作成し、LAN経由でTEM/STEM及びデータベースへ出力する。
図10及び図11は、FIB装置における試料の切り出し方の例を説明する図である。ウエハから切り出す試料は、ホールパターンなどに対しては、高精度な測定をするために、パターンの中央で断面を作製することが必要である。集束イオンビームの照射位置精度が多少悪くても、いずれかのパターンの中央近くで断面が作製されるようにするため、図10に示すように、観測パターンが加工断面に垂直な方向に少しずつずらして配置された複数のパターン群から構成される断面観測用試料を用いるとよい。図10(a)は試料切り出し部分140を含むウエハ上面図、図10(b)は断面図である。この試料において、断面に現れる横方向長さ最大の検査パターン142がほぼ中央部で断面が作製されている最適の検査パターンと判定される。
また、TEM/STEMでの膜厚測定をより高精度なものとするためには、電子ビームの入射方向を観測膜面と平行にすることが必要である。電子ビームの入射方向と観測膜面との平行性を確認あるいは補正できるようにするために、図11に示すように、試料150の観測断面151に段差152を形成するとよい。
図11に示す試料150をTEM/STEMで観測したとき、TEM/STEMの電子ビームの入射方向が厚さを測定する膜153の観測膜面に平行でない場合には、図12(b)に示すように膜が段差部152と非段差部とで不連続になった透過像が得られる。この場合には、試料像上で測定した膜厚T2は誤差を含んでいる。一方、TEM/STEMの電子ビームの入射方向が観測膜面に平行な場合には、図12(a)に示すように膜151の上面154及び下面155がそれぞれ段差部152と非段差部とで連続した透過像が得られる。この場合の測定値T1は正確に膜153の膜厚を表す。従って、TEM/STEMのXYステージを傾斜させることによりあるいは電子ビーム62の入射方向を調整することにより、図12(a)に示すようなTEM像あるいはSTEM像が形成されるようにして膜厚測定を行えば、電子ビームの入射方向が観測膜面と平行なことが保証されるため、正確な膜厚測定値を得ることができる。
次に、TEMあるいはSTEMでの検査と検査結果の出力方法について説明する。図13は、TEMあるいはSTEMにおける処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ41において、検査すべき観測用試料ホルダが載せられた試料ホルダキャリアを自動搬送または操作者によって、FIB装置からTEM/STEMに運び、試料ホルダキャリアのロード/アンロード部86に装着する。ステップ42において、ロード/アンロード部86に装着されたホルダ番号読取り器により、観測用試料ホルダに記されたホルダ番号を読み取る。ステップ43では、読み取られたホルダ番号をキーにして、予めFIB装置で作成されTEM/STEMに転送・上書き記憶されていた当該観測用試料ホルダに対応する観測用レシピ88を読み出す。以降の操作は、この観測用レシピ88に従って、自動的あるいは半自動的に行われる。
ステップ44では、測定すべき観測用試料ホルダをホルダキャリアから取り出した後、真空に保持された試料室内にあるXYステージ65上の所定位置に、所定の向きで装填する。続くステップ45において、XYステージ65上に装填された観測用試料ホルダ66は、観測用レシピ88によって指定された最初の試料が位置するアドレスにステージ移動され、観測箇所が位置決めされる。
観測箇所の位置決めに際しては、観測パターンが図10に示すような複数のパターン群から構成されている場合は、例えば横方向の線長が最大となる検査パターンの断面を選ぶことにより、最もパターンの中央付近で断面が形成された検査パターンを観測箇所として選ぶ。また、試料の加工断面に図11に示すような段差が形成されている場合は、電子ビーム62の入射方向あるいはXYステージ65の傾きを調整し、図12(a)に示すように非段差部と段差部のなす膜上面及び膜下面の線が一直線として観察されるようにすることにより、電子ビームと観測膜面とを平行にすることができる。なお、電子ビーム62の入射方向あるいはXYステージ65の傾きを調整する代りに、電子ビーム62と観測膜面とのなす角度を求め、得られた角度を用いて、膜厚の計測データを補正してもよい。
次に、ステップ46に進み、観測用レシピ88の指示に従って、試料に電子ビーム62を照射し、透過電子像形成や特性X線分析を用いた元素分析、電子エネルギー分光器76を用いた透過電子のエネルギー分析などを行う。透過電子像は、通常の透過電子顕微鏡による投影像であってもよいし、走査形透過電子顕微鏡による走査像であってもよい。走査像の方が、焦点位置の僅かな違いによる回折コントラストの変化が無いなど、投影像に比べて像解釈が容易であり、扱い易い。
そして、得られた透過電子像及び/又は元素分析情報などを解析し、所定部の薄膜の膜厚、図14(a)のホールパターンの断面例に示すようなパターンの形状寸法(上面部の直径d1、底部の直径d2、高さh、傾斜角θ)、図14(b)の断面例に示すようなパターン161とパターン162との重ね合わせd3、図14(c)の断面例に示すようなホール163の導通、非導通、図14(d)の断面例に示すような堆積膜の結晶の粒度(164は結晶粒、165は粒界)、図14(e)の断面例に示すようなドーパント層166におけるドーパントの濃度プロファイル167、図14(f)の堆積膜断面例に示すような予め記憶した参照像と比較しての欠陥168の検出(試料像と参照像とを比較して差異部を検出し、その差異部を欠陥168として出力する)など、所定の検査データを得る。観測データの解析は実時間で行ってもよいし、各試料についての透過画像あるいはデータだけを取得・蓄積して、解析はオフラインで行ってもよい。
元素分析や透過電子エネルギー分析から得られる元素情報は、単に組成状態の判定だけではなく、薄膜の膜厚、パターンの形状寸法、ホールの導通・非導通、結晶粒度、ドーパント濃度プロファイルなどを決定するために欠かせない。例えば、SiO2/Si3N4積層膜の膜厚を計測する場合、透過電子像に現れる両者のコントラスト差が小さいため、透過電子像の画像解析からだけでは二つの膜の境界すなわち膜厚を正確に決めることが難しい。しかし、特性X線、オージェ電子あるいは特性エネルギー損失電子などを検出・比較することにより、両者の境界をより精密に求めることが可能になる。
透過電子像や元素濃度プロファイルを予め記憶されていた当該検査箇所の参照像と比較し、それらの差異部として検出される欠陥は、膜厚や形状・寸法の異常の他、ホール埋め込み部やプラグのピンホール、堆積膜のカバレジ不良、積層欠陥のような結晶欠陥などである。検出された欠陥は所定の自動欠陥分類アルゴリズムに従って、分類される。
図13に戻って、観測用試料ホルダ上の全ての試料の検査が、ステップ45からステップ46の処理を繰り返し行うことによって遂行される。ステップ47において、試料ホルダ上の全ての試料の検査が終了したと判定された場合は、ステップ48に進み、当該観測用試料ホルダを試料ホルダキャリアにアンロードする。続いて、ステップ49に進み、ステップ46で得られた測定データをもとに検査結果を作成し、出力する。ステップ50において、試料ホルダキャリア中に未検査の観測用試料ホルダがあると判定されれば、それに対してステップ42からステップ49の処理が繰返し行われる。
ステップ49における検査結果の出力の形態は、試料像や観測データそのままでもよいが、一般には、図15に例を示すように検査の合否を記したウエハマップとしたり、検査不良率、検査不良数あるいは欠陥分類結果などの形で出力する。ウエハマップ上で検査ダイをクリックすればそのダイに対応する試料像や観測の生データを併せて表示するように構成することもできる。なお、ウエハマップやチャートなどの図表だけではなく、所定の報告書形式に加工して出力することもできる。また、通信回線や記憶媒体を経由して上位の検査データ管理システムに出力するのが一般的であるが、印刷物として出力することもできる。
さらに、これらインライン測定データを統合的に扱うことにより、より高度なプロセス管理及びトランジスタ特性解析のためのデータが得られる。例えば、ゲート長と同時に、ゲート絶縁膜厚及びソース/ドレイン領域のドーパント濃度プロファイルをインライン測定することにより、閾値電圧などトランジスタの電気特性を実時間で正確に予測するためのデータを提供できる。これらのデータは、上位の生産管理システムに出力され、デバイスの性能/信頼性及び歩留を精密に管理するために用いられる。
検査を終えた試料ホルダキャリアは、TEMあるいはSTEMと搬送機で結ばれた試料保管庫に送られ、検査済みの試料が観測用試料ホルダに載せられたまま試料保管庫内に格納される。これらの試料は、ウエハ番号、品名・仕掛かり工程名、ホルダ番号などをキーとして在庫管理されており、後日に歩留あるいは信頼度上の問題が発生した場合などに、取出されて再調査される。なお、試料保管庫の配置は、FIB装置とTEM/STEMとの処理時間の整合性を考慮し、図16に示すようにバッファを兼ねて、FIB装置とTEM/STEMの間に配置してもよい。
なお、TEMあるいはSTEMの倍率校正は、結晶格子像を観測することによって行われる。この結果、非常に正確な寸法・形状の計測データが得られる。ウエハキャリア及び試料ホルダキャリアともに、その内部は清浄な雰囲気に保持されている。特に、試料を組成分析するような場合には、使用される試料ホルダキャリアは試料が分子汚染されないように配慮されている。
本実施例では、切出し個所の位置決めを行うためにSIM像を用いたが、高分解能な光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡(SEM)を集束イオンビーム装置に内蔵させ、光学顕微鏡像あるいはSEM像を用いて、位置決めすることも可能である。SIM像の代わりに光学顕微鏡像やSEM像を用いて位置決めすることにより、位置決めに伴なうウエハへの損傷をより軽減することができる。
また、本実施例では、観測用試料ホルダに番号を付し、ホルダ番号を用いてTEM/STEMでの検査を制御するようにしているが、ホルダ番号を用いる代わりに、試料作製に併せて集束イオンビームで試料個々に試料番号を刻印し、その試料番号を用いて観測用レシピ88を作成し、検査作業を制御するようにしてもよい。
本実施例では、一枚のウエハから切出した複数の試料が一つの観測用試料ホルダ上に載置される場合を示したが、一枚のウエハから切出した複数の試料が複数の観測用試料ホルダに跨って載置されてもよいし、一つの観測用試料ホルダに複数のウエハから切出された試料が纏めて載置されてもよい。また、検査内容については、一つの試料に対して複数種類の検査を行うこと、あるいは観測用試料ホルダ内の試料に対して個々に検査内容を変えることも可能である。
本実施例では、FIB装置における試料切出し個所の指定が予め品名・仕掛かり工程名毎に決まっている場合を示したが、レシピ内試料切出し箇所の指定を、欠陥検査装置の欠陥位置座標データや作業者のウエハマップ上での位置座標指定のように、ウエハ毎に異なって上書き記入することもできる。品名・仕掛かり工程名毎に切出し個所を決めておくことに加えて、ウエハ毎に欠陥位置座標データを上書き記入できるようにしておくと、欠陥検査後のレビュー検査などに用いることが可能になる。
本実施例では、試料の試料マニピュレータへの固定に、タングステンの支持膜を用いたが、固定用堆積膜はこれに限られない。
本実施例では、FIB装置及びTEM/STEMが共にスタンドアロンで構成された場合を示したが、FIB装置とTEM/STEMとから成る一台の装置として構成することも可能である。また、一台のFIB装置に複数台のTEM/STEMを接続することも可能である。
なお、観測パターンが加工断面に垂直な方向に少しづつずらして配置された複数のパターン群から構成される断面観測用試料や、観測ビームの入射方向と観測膜面との平行性を確認・補正できるように、段差を加工した断面試料は、TEM/STEMに限られず、SEMや光学顕微鏡などの各種観測装置にも使用できる。
本実施例では、半導体素子製造を例に取上げたが、本発明は、撮像素子や表示素子などの類似素子の製造に適用することも可能である。
11:イオン銃、12:イオンビーム、23:ウエハ、61:電子銃、62:電子ビーム、65:XYステージ、66:試料ホルダ、71:透過電子、73:透過電子検出器、88:観測用レシピ、150:試料、151:観測断面、152:段差、153:膜