JP2006351158A - 情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2枚のディスク状基板を貼り合わせた情報記録媒体における基板の接着性を高めるとともに機械的強度を増大させること。
【解決手段】 情報記録層を具える情報記録基板とダミー基板とが接着層により貼り合わされた構造の情報記録媒体において、ダミー基板の接着層側の面に、所定の溝幅Wを有する複数の補強用溝Gが、並列する2列の補強用溝Gの間に溝間隔Pとなるように平坦部Fを設けて形成され、補強用溝Gを埋めた接着剤を硬化させることによってダミー基板の剛性が増大する。
【選択図】 図3

Description

本発明は情報録媒体に関し、より詳しくは、機械的強度に優れた情報記録媒体に関する。
近年、DVD(Digital Versatile Disk)等の各種情報記録媒体は、大容量の情報を記録できるために広く認知され普及している。例えば、DVDは、記録層を具えた第1基板を接着剤により他の第2基板と貼り合わせた構造を有している。ここで、第2の基板は記録層を有しないのでダミー基板と呼ばれている。このようなダミー基板は、情報記録媒体としての厚さ(1.2mm)、剛性等の規格を満たすように、その材料や構造が適宜選択されているが、通常、ポリカーボネート樹脂等の第1基板と同様な光透過性材料を用いて円盤状に形成されている。
ところで、DVDは、情報書き込み速度の高速化が求められ、例えば、DVD−R等の追記型光記録媒体については、書き込み速度が既に16倍速に到達している。また、書換型光記録媒体のDVD−RWについては、1倍速〜2倍速と2倍速〜6倍速との2個の規格が存在する。また、DVD−RAMについては、書き込み速度が2倍速、2倍速〜3倍速及び2倍速〜5倍速の規格に対応する製品が開発されている。さらに、今後も高速化に対応する製品として、6倍速〜16倍速の規格策定が進められている。このような高速化の要求に伴いディスク回転数が、例えば、10,000回以上と高速回転となっているため、回転中にディスクが破損するおそれも高まるという問題が指摘されている。
一般に、ディスクの破損を防止する方法としては、基板の剛性を高め機械的強度を増大させる手法が考えられる。尤も、記録再生光が入射する側に設けられる記録再生層を具えた第1基板の屈折率を変化させることは光学的に好ましくないため、専ら、ダミー基板の機械的強度を高める方法がとられている。このようなダミー基板としては、例えば、強化ガラス、防錆処理を施した金属または強化プラスチック等(特許文献1参照)、あるいは、所定量の炭素繊維及びガラス繊維を配合したポリカーボネート樹脂(特許文献2参照)が挙げられる。
特開昭61−214245号公報 特開平09−320109号公報
しかし、上述した特許文献1に記載されているように、強化ガラスや金属等から形成されたダミー基板とポリカーボネート樹脂等からなる第1基板とを貼り合わせた場合は、それぞれの材料の線膨張係数や熱変形温度が著しく異なるため、貼り合わせた後、一定の時間の経過とともにディスクの反りが大きくなるという問題がある。
また、特許文献2に記載されているように、炭素繊維及びガラス繊維を配合したポリカーボネート樹脂を用いてダミー基板を調製する場合は、量産性が低下するという問題がある。
さらに、高速回転に伴い、記録層を具えた第1基板とダミー基板との接着性を高める必要性も高まっている。
本発明は、このようなDVDにおける課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、2枚のディスク状基板を貼り合わせた情報記録媒体における基板の接着性を高めるとともに機械的強度を増大させることにある。
そこで本発明者等は上述した課題を解決するために鋭意検討した結果、ダミー基板の接着層側に、記録再生用のプリグルーブの幅より100倍以上の大きさで、接着層の接着剤が入り込むような所定の溝を形成したところ、ダミー基板の剛性が増大することを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
即ち、本発明によれば、光照射により情報が記録される少なくとも1個の情報記録層を具える情報記録基板と、情報記録層が内側になるように情報記録基板と接着層を介して貼り合わされるダミー基板と、を有し、ダミー基板は、接着層側の面に形成された複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体が提供される。
本発明が適用される情報記録媒体によれば、ダミー基板に形成された複数個の補強用溝が接着剤により埋められ、これを硬化させることによってダミー基板の剛性が増大し、その結果、情報記録媒体の機械的強度を向上させることができる。
ここで、補強用溝は、所定の溝幅及び溝深さを有し、ダミー基板の接着層側の面に、所定の溝間隔で格子状に配置されていることが好ましい。
また、補強用溝は、所定の溝幅及び溝深さを有し、ダミー基板の接着層側の面に、所定の溝間隔で螺旋状に配置されていることが好ましい。
また、補強用溝は、少なくとも0.05mmの溝幅及び溝深さを有し、これらは、ダミー基板の接着層側の面に、少なくとも0.05mmの溝間隔で並列に配置されていることが好ましい。
また、情報記録媒体としては、情報記録層が相変化材料を含む記録層を有する書換型の情報記録媒体が挙げられる。
書換型の情報記録媒体としては、DVD−RAM規格の物理フォーマットを形成した基板を有する情報記録媒体が好ましい。
次に、本発明によれば、2枚の基板が接着層を介して貼り合わされた情報記録媒体であって、表面に記録再生用のプリグルーブが形成された基板を具備する情報記録基板と、接着層を介してプリグルーブと対向する面側に、情報記録基板と貼り合わせることにより接着層の接着剤により埋められる複数の補強用溝が形成されたダミー基板と、を有することを特徴とする情報記録媒体が提供される。
ここで、補強用溝は、断面が矩形状に形成されていることが好ましい。尚、補強用溝の断面形状は、矩形状に限定されず、必要に応じて適宜変更することができる。
また、本発明によれば、光透過性材料からなる基板上に形成された情報記録層を有する情報記録基板と、情報記録基板と貼り合わされるダミー基板と、を具え、ダミー基板は、情報記録基板と対向する面側に所定の溝間隔で配置され、所定の溝幅及び溝深さをもって連続的または断続的に形成された複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体が提供される。
ここで、補強用溝の具体的な大きさとしては、例えば、溝間隔が、0.05mm〜10mmの範囲であり、溝幅が、0.05mm〜10mmの範囲であり、溝深さが、0.05mm〜0.55mmの範囲であることが好ましい。
また、補強用溝は、ダミー基板の情報記録基板と対向する面側に、格子状または螺旋状に形成されていることが好ましい。
さらに、本発明によれば、情報記録層を有する情報記録基板とダミー基板とが接着層を介して貼り合わされた情報記録媒体であって、ダミー基板は、接着層側の面に形成され、硬化した接着剤が埋められることによりダミー基板の機械的強度を増大させる複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体が提供される。
ここで、情報記録基板とダミー基板とを接着するために使用する接着剤としては、紫外線硬化型接着剤が好ましい。
本発明の情報記録媒体によれば、ディスクの機械的強度が向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について、図面に基づき説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
(情報記録媒体)
図1は、本実施の形態が適用される情報記録媒体を説明するための概略断面図である。図1には、DVD−RAM規格バージョン2.0(以下、Ver.2ということがある。)に基づく物理フォーマットで形成された情報記録媒体100が示されている。図1(a)に示すように、情報記録媒体100は、情報記録層10Rを具えた情報記録基板10と情報記録層を有しないダミー基板20とが、接着層30により接着された構造を有している。尚、図示しないが、ダミー基板20の接着層30側の面には、後述するように、接着層30の接着剤により埋められる所定の形状の補強用溝が形成されている。
次に、情報記録基板10について説明する。図1(b)に示すように、情報記録基板10は、レーザ光Lが入射する基板11と、基板11上に形成された情報記録層10Rを有している。ここで、基板11の表面は、DVD−RAM規格Ver.2に基づく物理フォーマットで形成されている。また、情報記録層10Rは、基板11上に、第1保護層12、第1界面層13、相変化材料を含む記録層14、第2界面層15、第2保護層16、吸収率制御層17、熱拡散層18及びUV保護層19が順次積層された構造を有している。
ここで、基板11は、例えば、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂により形成され、内径(センターホール)15mm、外径120mm、厚さ0.6mmのディスク状に形成されている。また、基板11の表面には、4.7GBのDVD−RAM規格Ver.2に基づく物理フォーマットで、トラックピッチ615nm、溝深さ65nmのトラッキング用のプリグルーブ11aが螺旋状に形成されている。プリグルーブ11aはグルーブとランドとが交互に連続して繋がるように構成されている。また、記録方式は、1周に1回、ランドとグルーブとが自動的に切り替わるランド/グルーブ記録である。さらに、ランドとグルーブとの間にエンボスピットによるヘッダーが形成されている。
即ち、図示しないが、物理フォーマットがDVD−RAM規格Ver.2に基づき形成された基板11のデータ領域は、半径方向に同心円状に35個のゾーン(ゾーン1,ゾーン2,ゾーン3・・・ゾーン33,ゾーン34,ゾーン35)に分割されている。各ゾーン内では回転数が一定となるZCLV(Zone Constant Linear Velocity)方式が採用されている。また、各ゾーンには、ランド/グルーブ記録が行われる複数個のセクターによって区切られ、セクターの先頭部分には、エンボスピットによるヘッダーが形成されている。また、最内周のゾーン1では1トラックあたりのセクターは17個、最外周のゾーン35ではセクターは41個である(DVD−RAM規格Ver.2)。
さらに、セクターは、先頭部分に形成されたヘッダー領域と、ミラー領域、2048バイトの記録領域とに分割され、これらによって1セクターが構成される。さらに、ヘッダー領域は4つの領域(第1領域〜第4領域)に分割され、グルーブとランドの間に存在する。第1領域と第2領域は、ランドトラックから見て、ランドトラックの外周側に配置され、第3領域と第4領域はランドトラックの内周側に配置されている。ビームスポットは、ランド/グルーブのウォブルとヘッダー領域に形成されたエンボスピットよってアドレスを検出する。
記録層14に含まれる相変化材料としては、例えば、SnGeSbTe合金、GeSbTe合金、BiGeTe合金が挙げられる。本実施の形態1においては、SnGeSbTeターゲットをArガス雰囲気中でスパッタし、通常、厚さ7nm〜9nmの膜厚で形成されている。この記録層14にレーザ光Lを照射することにより、相変化材料の原子配列がアモルファス相−結晶相間で可逆的に変化し、このような2つの異なる原子配列の状態により情報が記録される。
第1保護層12及び第2保護層16は記録層14を保護するための層である。第1保護層12は、(ZnS)80(SiO220(mol%)をスパッタリングすることにより、通常、厚さ140nm〜150nmの膜厚で形成されている。第2保護層16は、同様に(ZnS)80(SiO220(mol%)をスパッタリングすることにより厚さ34nmの膜厚で形成されている。
第1界面層13は、第1保護層12と記録層14との間で両層の構成元素が互いに侵入、拡散及び化学反応することを防止するための層である。第1界面層13は、(Cr−Ta−O)をスパッタリングすることにより、通常、厚さ1nm〜5nmの膜厚で形成されている。
第2界面層15は第2保護層16と記録層14との間で両層の構成元素が互いに侵入、拡散及び化学反応することを防止するための層である。第2界面層15は、(Cr−Ta−O)ターゲットをArガス雰囲気中でスパッタし、通常、厚さ1nm〜5nmの膜厚で形成されている。
吸収率制御層17は、レーザ光Lの一部を吸収することにより、記録層14内の結晶部の吸収率を非結晶部の吸収率より大きくするための層である。吸収率制御層17は、Cr90−(Cr−O)10(mol%)をスパッタリングすることにより、通常、厚さ30nm〜40nmの膜厚で形成されている。
熱拡散層18は情報の記録・再生時に発生する熱を逃がすための層である。熱拡散層18は、Al99Ti1(wt.%)をスパッタリングすることにより、通常、厚さ80nm〜200nmの膜厚で形成されている。
UV保護層19は上記の各層を保護するための層である。UV保護層19は、紫外線硬化性樹脂により、通常、厚さ50μm〜300μmの膜厚で形成されている。
次に、図2は、ダミー基板20を説明するための概略断面図である。ダミー基板20は、情報記録基板10と同様な材料により形成され、内径(センターホール)15mm、外径120mm、厚さ0.6mmのディスク状の形状(図示せず)を有している。
図2(a)に示すように、ダミー基板20の接着層30(図1(a))側の面には、所定の形状の複数個の補強用溝Gが形成されている。これらの複数個の補強用溝Gは、接着層30(図1(a))に用いる接着剤により埋められ、これを硬化させることによってダミー基板20の剛性が増大し、情報記録媒体100の機械的強度が向上する。尚、Fは補強用溝が形成されない平坦部である。
補強用溝Gは矩形状の断面を有し、溝幅W(mm)、溝深さD(mm)を有している。また、並列する2列の補強用溝Gの間には、溝間隔P(mm)となるように平坦部Fが形成されている。補強用溝Gの溝幅W(mm)は、通常、0.05mm〜10mm、好ましくは、0.1mm〜1mm、より好ましくは、0.2mm〜0.6mm程度の範囲で調製される。補強用溝Gの溝深さD(mm)は、通常、0.05mm〜0.55mm、好ましくは、0.1mm〜0.5mm程度の範囲で調製される。
また、並列する2列の補強用溝Gの溝間隔P(mm)は、通常、0.1mm〜20mm、好ましくは、0.5mm〜10mm、より好ましくは、0.7mm〜7mm程度の範囲で調製される。
尚、図示しないが、補強用溝Gはダミー基板20の表面に、所定の長さL(mm)を有するように形成されることが好ましい。補強用溝Gの長さL(mm)は、後述する補強用溝Gの配置形態に応じて適宜選択され特に限定されない。例えば、複数の直線状の補強用溝Gが並列に配置される場合は、補強用溝Gの長さL(mm)は、通常、1mm〜120mmの範囲から選択される。また、複数の曲線状の補強用溝Gが同心円状に配置される場合は、補強用溝Gの長さL(mm)は、通常、1mm〜400mmの範囲から選択される。さらに、補強用溝Gは、ダミー基板20の表面に螺旋状に配置することもできる。この場合、所定の溝幅Wを有する補強用溝Gは、ダミー基板20の内周側から外周側に連続的または断続的に形成される。
また、複数の補強用溝Gは、ダミー基板20の接着層30面側に、断続的または連続的に形成されている。なかでも、ダミー基板20の剛性を増大させる観点から、複数の補強用溝Gが連続的に形成されていることが好ましい。
補強用溝Gの形状は、図2(a)に示すような矩形状の断面に限定されず、種々変更することができる。例えば、図2(b)に示すように、補強用溝Gの形状は、溝深さDにおいて、開口部の溝幅Wより底面部の幅が小さい台形状の断面を有する形状にすることができる。また、図2(c)に示すように、補強用溝Gの形状は、溝深さDにおいて、開口部の溝幅Wが底部において消失する三角形状の断面を有する形状にすることができる。さらに、図2(d)に示すように、補強用溝Gの形状は、溝深さDにおいて、曲面を有する形状にする等が挙げられる。
次に、ダミー基板20における複数個の補強用溝Gの配置について説明する。
図3は、補強用溝Gの配置形態を説明するための図である。
図3(a)は、複数の補強用溝Gが並列に配置された形態を説明するための図である。図3(a)に示すように、直線状に形成された補強用溝Gは、所定の溝幅Wを有し、並列する2列の補強用溝Gの間には、溝間隔Pとなるように平坦部Fが形成されている。この場合、補強用溝Gの長さLは最大120mmである。
図3(b)は、複数の補強用溝Gが格子状に配置された形態を説明するための図である。図3(b)に示すように、所定の溝幅Wを有し、直線状に形成された補強用溝Gは、並列する2列の補強用溝Gの間に溝間隔Pとなるように平坦部Fを形成し、補強用溝G同士が直交するように格子状に配置されている。この場合、補強用溝Gの長さLは最大120mmである。
図3(c)は、複数の補強用溝Gがセンターホールを中心にして放射状に配置された形態を説明するための図である。図3(c)に示すように、所定の溝幅Wで長方形状に形成された複数の補強用溝Gは、ダミー基板の半径方向と平行になるようセンターホールを中心にして放射状に配置されている。この場合、補強用溝Gの長さLは最大52mm程度である。尚、補強用溝Gの間の平坦部Fには、必要に応じて、さらに補強用溝Gを形成することができる。
図3(d)は、複数の補強用溝Gがセンターホールを中心にして放射状に配置された第2の形態を説明するための図である。図3(d)に示すように、所定の溝幅Wで長方形状に形成された複数の補強用溝Gは、前述した図3(c)における補強用溝Gの約1/2程度の長さLで形成されている。複数の補強用溝Gは、それぞれスペースBを空けて2個の補強用溝Gが半径方向に縦に並ぶように、センターホールを中心にして放射状に配置されている。この場合、補強用溝Gの長さLは最大25mm程度である。尚、補強用溝Gの間の平坦部Fには、必要に応じて、さらに補強用溝Gを形成することができる。
図4は、補強用溝Gの他の配置形態を説明するための図である。
図4(a)は、複数の補強用溝Gが同心円状に配置された形態を説明するための図である。図4(a)に示すように、所定の溝幅Wを有する補強用溝Gが同心円状に配置されている。並列する2列の補強用溝Gの間には、溝間隔Pとなるように平坦部Fが形成されている。この場合、補強用溝Gの長さLは最大400mm程度である。
図4(b)は、補強用溝Gが同心円状に配置された第2の形態を説明するための図である。図4(b)に示すように、所定の溝幅Wを有する補強用溝Gが同心円状に配置されているが、各補強用溝Gは、円周方向に沿って断続的にスペースBが設けられている。尚、並列する2列の補強用溝Gの間には、それぞれ溝間隔Pとなるように平坦部Fが形成されている。この場合、スペースBと平坦部Fとが同一の平面を形成している。
図4(c)は、同心円状の補強用溝Gと放射状の補強用溝Gとを組み合わせた形態を説明するための図である。図4(c)に示すように、所定の溝幅Wを有する複数の補強用溝Gが同心円状に配置されている。さらに、所定の溝幅Wで長方形状に形成された複数の補強用溝Gが、ダミー基板の半径方向と平行になるようセンターホールを中心にして放射状に配置され、同心円状に配置された補強用溝Gとそれぞれ直交している。同心円状に配置された2列の補強用溝Gの間には、それぞれ溝間隔Pとなるように平坦部Fが形成されている。この場合、同心円状に配置された補強用溝Gと放射状に配置された補強用溝Gとは連通している。
図4(d)は、螺旋状に配置された補強用溝Gを説明するための図である。図4(d)に示すように、補強用溝Gは所定の溝幅Wを有し、センターホールから外周部に向けて、螺旋状に配置されている。ここで螺旋状とは、補強用溝Gが1周する間に中心が徐々に外側に擦れ、1周すると中心が溝間隔Wの分だけ擦れることをいう。螺旋状に配置された補強用溝Gの間には、溝間隔Pとなるように平坦部Fが形成されている。
次に、接着層30について説明する。図1に示すように、情報記録基板10とダミー基板20とは、接着層30により貼り合わされ、情報記録媒体100を構成している。接着層30は、所定の接着剤を情報記録基板10のUV保護層19上面と、ダミー基板20の補強用溝Gが形成された面側とにそれぞれ塗布して形成し、紫外線照射後に加圧して情報記録基板10とダミー基板20とを貼り合わせる。
接着層30の厚さは、特に限定されないが、通常、30μm〜100μm、好ましくは、40μm〜80μmである。尚、接着剤としては、特に限定されないが、通常、紫外線硬化型接着剤が用いられる。
尚、本実施の形態においては、DVD−RAM規格Ver.2に基づく物理フォーマットで形成されている情報記録媒体100について説明したが、これに限定されず、他の物理フォーマットで形成された情報記録媒体にも適用することができる。例えば、相変化材料を含む情報記録層を有する書換型情報記録媒体としては、DVD−RW及びDVD+RW、有機色素化合物を含む情報記録層を有する追記型情報記録媒体としては、DVD−R及びDVD+Rが挙げられる。さらに、再生専用の情報記録媒体であるDVD−ROMにも適用することができる。
また、本実施の形態においては、相変化材料を含む記録層14を有する片面1層型の情報記録媒体100について説明したが、これに限定されず、複数の記録層を有する片面複数層型の情報記録媒体についても適用することができる。
これらの情報記録媒体において、情報記録層を有しないダミー基板の接着層側の面に複数個の補強用溝が形成されていることにより、ダミー基板の剛性が増大し、情報記録媒体としての機械的強度が向上する。
以下に実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本発明は実施例に限定されない。
(1)情報記録媒体の調製
以下の通り、情報記録層を有する情報記録基板と、所定の形状の補強用溝が形成されたダミー基板とをそれぞれ調製し、これらを接着剤により貼り合わせて情報記録媒体を調製した。
情報記録基板は、初めに、射出成型機により、ディスク状のポリカーボネート樹脂製基板を成型した。基板は、中心にセンターホールが空けられ、内径15mm、外径120mm、厚さ0.6mmである。また、基板の表面には、4.7GBのDVD−RAM規格Ver.2に基づく物理フォーマットで、トラックピッチ615nm、溝深さ65nmのトラッキング用のプリグルーブが螺旋状に形成されている。
続いて、基板上に、第1保護層、第1界面層、記録層、第2界面層、第2保護層、吸収率制御層、熱拡散層及びUV保護層を順次積層して情報記録層を形成した。
先ず、基板表面に形成されたトラッキング用のプリグルーブ上に、(ZnS)80(SiO220(mol%)をスパッタリングすることにより厚さ135nmの膜厚で第1保護層を形成した。次に、(Cr−Ta−O)をスパッタリングすることにより厚さ2nmの膜厚で第1界面層を形成した。次に、SnGeSbTeターゲットをArガス雰囲気中でスパッタし、厚さ9nmの記録層を形成した。続いて、(Cr−Ta−O)ターゲットをArガス雰囲気中でスパッタし、厚さ2nmの膜厚で第2界面層を形成した。次に、(ZnS)80(SiO220(mol%)をスパッタリングすることにより厚さ34nmの膜厚で第2保護層を形成した。続いて、Cr90−(Cr−O)10(mol%)をスパッタリングすることにより厚さ35nmの膜厚で吸収率制御層17を形成した。次に、Al99Ti1(wt.%)をスパッタリングすることにより厚さ100nmの膜厚で熱拡散層を形成した。最後に、紫外線硬化性樹脂により厚さ7μmの膜厚でUV保護層を形成した。
次に、射出成型機により、表1に示すように、情報記録基板との接着面側に所定の形状の補強用溝が形成されている10種類のダミー基板を調製した。尚、それぞれのダミー基板は、中心にセンターホールが空けられ、内径15mm、外径120mm、厚さ0.6mmのディスク状の形状を有している。
続いて、情報記録基板のUV保護層上と、ダミー基板の補強用溝が形成されている面側に、それぞれ遅行性紫外線硬化型接着剤を塗布し、接着剤が塗布された面同士を向かい合わせて貼り合わせた後、紫外線照射及び加圧操作を行い、情報記録基板とダミー基板とを貼着して、10種類のDVD−RAM型の情報記録媒体(B〜K)を調製した。
尚、比較のために、補強用溝を有しないダミー基板を調製し、同様に情報記録基板と貼着して、DVD−RAM型の情報記録媒体(A)を調製した。
(2)加湿環境下における基板チルトの変化量測定
予め調製した11種類のDVD−RAM型の情報記録媒体(A〜K)について、所定の測定により初期の基板チルトをそれぞれ測定し、その後、情報記録媒体(A〜K)を70℃、50%RHに調整された恒温層内に96時間放置した後、再び、基板のチルトを測定し、それぞれの測定値に基づき、加湿環境下における基板チルトの変化量を求めた(単位:deg)。基板チルトの変化量は、0.2deg以下であることが好ましい。
(3)高速回転試験による傷成長測定
予め調製した11種類のDVD−RAM型の情報記録媒体(A〜K)について、それぞれのダミー基板の表面(レーベル面側)に、センターホールの縁から外周方向に向かって2mmの傷を入れ、次に、情報記録媒体(A〜K)を所定の評価機にそれぞれ装着し、回転数15,000rpmで15分間回転させた後、再び、ダミー基板の表面の傷の長さを測定した(単位:mm)。
(実施例1〜実施例10、比較例)
予め調製した11種類のDVD−RAM型の情報記録媒体(A〜K)について、それぞれ加湿環境下における基板チルトの変化量測定と、高速回転試験における傷成長測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006351158
表1に示す結果から、ダミー基板と情報記録基板とを貼り合わせたDVD−RAM型の情報記録媒体において、ダミー基板の情報記録基板との接着面側に所定の形状の補強用溝を設けることにより(実施例1〜実施例10)、加湿環境下における基板チルトの変化量が低減することが分かる。さらに、高速回転試験後のダミー基板の表面に入れた傷の成長が抑制される。
これは、ダミー基板に設けた補強用溝が硬化した接着剤により埋められることによってダミー基板の剛性が増大した結果、基板のチルト変化量の低下及び傷成長の抑制効果が得られたと考えられる。
また、このような効果は、補強用溝の溝間隔が小さい程、良好な結果が得られる傾向にある。さらに、螺旋形状の補強用溝と比べ、格子状の補強用溝が良好な結果が得られる傾向にある。
これに対し、補強用溝を設けないダミー基板を用いた場合(比較例)は、加湿環境下における基板チルトの変化量が増大し、また、高速回転試験後のダミー基板の表面に入れた傷の成長が増大することが分かる。
以上説明したように、本発明によれば、ダミー基板の情報記録基板との接着面側に補強用溝を設け、この補強用溝が、硬化した接着剤により埋められることによりダミー基板の剛性が増大し、その結果、高速回転においても機械的強度が高い情報記録媒体が提供される。
本実施の形態が適用される情報記録媒体を説明するための図である。 ダミー基板を説明するための概略断面図である。 補強用溝の配置形態を説明するための図である。 補強用溝の他の配置形態を説明するための図である。
符号の説明
10…情報記録基板、10R…情報記録層、11…基板、11a…プリグルーブ、12…第1保護層、13…第1界面層、14…記録層、15…第2界面層、16…第2保護層、17…吸収率制御層、18…熱拡散層、19…UV保護層、20…ダミー基板、30…接着層、100…情報記録媒体、B…スペース、D…溝深さ(mm)、F…平坦部、G…補強用溝、P…溝間隔(mm)、W…溝幅(mm)

Claims (14)

  1. 光照射により情報が記録される少なくとも1個の情報記録層を具える情報記録基板と、
    前記情報記録層が内側になるように前記情報記録基板と接着層を介して貼り合わされるダミー基板と、を有し、
    前記ダミー基板は、前記接着層側の面に形成された複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記補強用溝は、所定の溝幅及び溝深さを有し、前記ダミー基板の前記接着層側の面に、所定の溝間隔で格子状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記補強用溝は、所定の溝幅及び溝深さを有し、前記ダミー基板の前記接着層側の面に、所定の溝間隔で螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  4. 前記補強用溝は、少なくとも0.05mmの溝幅及び溝深さを有することを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  5. 前記補強用溝は、少なくとも0.05mmの溝間隔で並列に配置されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  6. 前記情報記録層は、相変化材料を含む記録層を有することを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  7. 前記情報記録基板は、DVD−RAM規格の物理フォーマットを形成した基板を有することを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  8. 2枚の基板が接着層を介して貼り合わされた情報記録媒体であって、
    表面に記録再生用のプリグルーブが形成された基板を具備する情報記録基板と、
    前記接着層を介して前記プリグルーブと対向する面側に、前記情報記録基板と貼り合わせることにより当該接着層の接着剤により埋められる複数の補強用溝が形成されたダミー基板と、を有することを特徴とする情報記録媒体。
  9. 前記補強用溝は、断面が矩形状に形成されていることを特徴とする請求項8記載の情報記録媒体。
  10. 光透過性材料からなる基板上に形成された情報記録層を有する情報記録基板と、
    前記情報記録基板と貼り合わされるダミー基板と、を具え、
    前記ダミー基板は、前記情報記録基板と対向する面側に所定の溝間隔で配置され、所定の溝幅及び溝深さをもって連続的または断続的に形成された複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体。
  11. 前記溝間隔が、0.05mm〜10mmの範囲であり、前記溝幅が、0.05mm〜10mmの範囲であり、前記溝深さが、0.05mm〜0.55mmの範囲であることを特徴とする請求項10記載の情報記録媒体。
  12. 前記補強用溝は、前記ダミー基板の前記情報記録基板と対向する面側に、格子状または螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項10記載の情報記録媒体。
  13. 情報記録層を有する情報記録基板とダミー基板とが接着層を介して貼り合わされた情報記録媒体であって、
    前記ダミー基板は、前記接着層側の面に形成され、硬化した接着剤が埋められることにより当該ダミー基板の機械的強度を増大させる複数の補強用溝を有することを特徴とする情報記録媒体。
  14. 前記接着剤は、紫外線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項13記載の情報記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112492459A (zh) * 2020-12-09 2021-03-12 共达电声股份有限公司 一种扬声器

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