JP2006348783A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内燃機関のシリンダヘッドカバー2とボンネット3との間隔を狭くすることなく、更にエンジン本体およびインジェクタ4の高さ方向の寸法を変更することなく、内燃機関のシリンダヘッド1とボンネット3との間隔を狭くすることを課題とする。
【解決手段】 内燃機関のシリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の内部に、インジェクタ内部からインジェクタ外部に流出した余剰燃料、つまりインジェクタ4の後端部に設けられた配管接続部47のリークポート49からリターン配管53の連通路54内に溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路51を形成している。これによって、シリンダヘッドカバー2の板厚方向の図示下端面とインジェクタ4の配管接続部47の図示上端面との間隔を、リターン燃料配管とシリンダヘッドカバーとの間に隙間を形成する必要のある従来の技術と比べて非常に狭くすることができる。【選択図】 図1
【解決手段】 内燃機関のシリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の内部に、インジェクタ内部からインジェクタ外部に流出した余剰燃料、つまりインジェクタ4の後端部に設けられた配管接続部47のリークポート49からリターン配管53の連通路54内に溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路51を形成している。これによって、シリンダヘッドカバー2の板厚方向の図示下端面とインジェクタ4の配管接続部47の図示上端面との間隔を、リターン燃料配管とシリンダヘッドカバーとの間に隙間を形成する必要のある従来の技術と比べて非常に狭くすることができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関のシリンダヘッド上部に取り付けられるヘッドカバーの内部に、燃料噴射装置の構成要素を成す部品から溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路を形成した内燃機関の燃料供給装置に関するものである。
[従来の技術]
従来より、燃料タンクから汲み上げた燃料をポンプで加圧してノズルから内燃機関の気筒の燃焼室内に噴射供給する内燃機関の燃料供給装置として、燃料供給ポンプより吐出した高圧燃料を蓄圧するコモンレールを備え、このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、燃料噴射ノズルと電磁弁とを一体化したインジェクタの先端部(軸線方向の一端部)に形成された噴射孔から内燃機関の気筒内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置が知られている。このような蓄圧式燃料噴射装置においては、インジェクタの後端部(軸線方向の他端部)に、内部にリークポートが形成された配管接続部を設け、この配管接続部のリークポートから溢流する余剰燃料(内燃機関の燃焼室内に噴射されなかった燃料)を燃料タンクに戻すためのリターン燃料配管を設け、インジェクタの配管接続部にリターン燃料配管を液密的に接続したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来より、燃料タンクから汲み上げた燃料をポンプで加圧してノズルから内燃機関の気筒の燃焼室内に噴射供給する内燃機関の燃料供給装置として、燃料供給ポンプより吐出した高圧燃料を蓄圧するコモンレールを備え、このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、燃料噴射ノズルと電磁弁とを一体化したインジェクタの先端部(軸線方向の一端部)に形成された噴射孔から内燃機関の気筒内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置が知られている。このような蓄圧式燃料噴射装置においては、インジェクタの後端部(軸線方向の他端部)に、内部にリークポートが形成された配管接続部を設け、この配管接続部のリークポートから溢流する余剰燃料(内燃機関の燃焼室内に噴射されなかった燃料)を燃料タンクに戻すためのリターン燃料配管を設け、インジェクタの配管接続部にリターン燃料配管を液密的に接続したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来より、自動車等の車両のエンジンルーム内に格納される内燃機関(エンジン本体)は、シリンダブロック、シリンダヘッドおよびヘッドカバー等によって構成されている。このようなエンジン本体に、蓄圧式燃料噴射装置の構成要素の1つであるインジェクタを取り付ける場合には、図5に示したように、先ず内燃機関のシリンダヘッド100のインジェクタ取付孔101内にインジェクタ102を差し込む。そして、クランプおよび締結ボルト等によってインジェクタ102の段差部をガスケット等のシール材を介して取付座面103に押し付けることで、インジェクタ102が内燃機関のシリンダヘッド100に保持固定される。
そして、インジェクタ102の配管接続部104とリターン燃料配管105との接続は、パイプ106を有するユニオン107を介して行うようにしている。これにより、インジェクタ102の配管接続部104内に形成されるリークポート111より溢流した余剰燃料は、ユニオン107内に形成されるリターン燃料通路112、リターン燃料配管105内に形成されるリターン燃料通路113を経由して燃料タンクに戻される。ここで、インジェクタ102の配管接続部104およびリターン燃料配管105は、内燃機関のシリンダヘッド100と、このシリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー108との間に形成される空間内に収容されている。また、シリンダヘッドカバー上部には、ボンネット109が設置されている。
[従来の技術の不具合]
ところが、ボンネット109により覆われるエンジンルーム内にエンジンを搭載した自動車等の車両においては、対人衝突時における歩行者保護の観点、および対物衝突時における乗員保護の観点から、ボンネット109上への衝撃に対する衝撃吸収機能を具備させることが求められている。この衝撃吸収機能は、ボンネット109が衝突による衝撃によって変形することで発揮される。そして、衝撃吸収機能を十分に発揮させるためには、エンジン本体とボンネット109との間隔、特にエンジンのシリンダヘッド100の上部を覆うように取り付けられるシリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔(高さ方向の寸法:Amm)を十分に確保することが必要とされる。これは、シリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔が狭い場合には、ボンネット109上への衝突時にボンネット109が僅かに変形しただけで、シリンダヘッドカバー108に接触することになり、十分な衝撃吸収機能を発揮できなくなるからである。したがって、シリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔は、車両製造メーカが規定している。
ところが、ボンネット109により覆われるエンジンルーム内にエンジンを搭載した自動車等の車両においては、対人衝突時における歩行者保護の観点、および対物衝突時における乗員保護の観点から、ボンネット109上への衝撃に対する衝撃吸収機能を具備させることが求められている。この衝撃吸収機能は、ボンネット109が衝突による衝撃によって変形することで発揮される。そして、衝撃吸収機能を十分に発揮させるためには、エンジン本体とボンネット109との間隔、特にエンジンのシリンダヘッド100の上部を覆うように取り付けられるシリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔(高さ方向の寸法:Amm)を十分に確保することが必要とされる。これは、シリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔が狭い場合には、ボンネット109上への衝突時にボンネット109が僅かに変形しただけで、シリンダヘッドカバー108に接触することになり、十分な衝撃吸収機能を発揮できなくなるからである。したがって、シリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔は、車両製造メーカが規定している。
一方、近年の自動車等の車両においては、車両のスタイルの変更等によって、エンジン本体とボンネット109との間隔を狭くしたいという場合が考えられる。ところが、上述したように、シリンダヘッドカバー108とボンネット109との間隔が予め規定されているので、シリンダヘッド100とシリンダヘッドカバー108との間隔を狭くするしか方法がないが、シリンダヘッド100の上部からは、インジェクタ102の軸線方向の反噴射側端部(図示上方側)が突き出しているので、インジェクタ102の反噴射側端部およびこれに接続するリターン燃料配管105とシリンダヘッドカバー108との間隔(高さ方向の寸法:Bmm)も考慮しないと、シリンダヘッドカバー108とシリンダヘッド100との間隔を簡単に狭くすることはできない。
したがって、車両のスタイルの変更等によって、エンジン本体とボンネット109との間隔を狭くしたいという要望に対して、エンジン本体とボンネット109との間隔(高さ方向の寸法:Cmm)を狭くすることは非常に困難である。このため、エンジン本体とボンネット109との間隔を狭くする場合には、エンジン本体またはインジェクタの高さ方向の寸法(軸線方向の寸法)を短くしなければならず、新たなエンジン本体またはインジェクタを開発する必要があり、コストアップとなる。
特開平10−082356号公報(第1−6頁、図1−図6)
本発明の目的は、ヘッドカバーとボンネットとの間隔を狭くすることなく、更に内燃機関および燃料噴射装置の構成要素を成す部品の高さ方向の寸法を変更することなく、内燃機関とボンネットとの間隔を狭くすることのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関のシリンダヘッド上部に取り付けられるヘッドカバーの内部に、燃料噴射装置の構成要素を成す部品から溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路を形成することにより、燃料噴射装置の構成要素を成す部品とヘッドカバーとの間隔を狭くすることが可能となる。これによって、内燃機関および燃料噴射装置の構成要素を成す部品の高さ方向の寸法を変更することなく、内燃機関のシリンダヘッドとボンネットとの間隔を狭くすることができるので、内燃機関のシリンダヘッドおよび燃料噴射装置の構成要素を成す部品を新規開発する必要がなくなり、コストダウンとなる。また、ヘッドカバーとボンネットとの間隔を狭くすることなく、内燃機関とボンネットとの間隔を狭くすることができるので、ボンネット上への衝撃に対する衝撃吸収機能が低下することはない。
請求項2に記載の発明によれば、燃料噴射装置の構成要素を成す部品を、ヘッドカバーに直接的に接続することにより、燃料噴射装置の構成要素を成す部品とヘッドカバーとの間隔を非常に狭くすることが可能となる。ここで、燃料噴射装置の構成要素を成す部品として、燃料噴射ポンプ、燃料供給ポンプ、燃料配管、コモンレール、内燃機関の燃料噴射弁、燃料噴射ノズル、電磁弁、減圧弁、プレッシャリミッタ等のいずれか1つ以上を採用しても良い。
請求項3に記載の発明によれば、燃料噴射装置の構成要素を成す部品として、内燃機関の燃料噴射弁を採用しても良い。また、請求項4に記載の発明によれば、燃料噴射弁に、内部にリークポートが形成された管状の配管接続部を設けても良い。また、請求項5に記載の発明によれば、ヘッドカバーに、燃料噴射弁の配管接続部に液密的に接続する配管継ぎ手を設けても良い。そして、ヘッドカバーの配管継ぎ手の内部に、燃料噴射弁のリークポートとヘッドカバー内のリターン燃料通路とを連通する連通路を形成しても良い。この場合には、内燃機関の燃料噴射弁のリークポートから溢流した余剰燃料が、ヘッドカバーの配管継ぎ手内に形成される連通路を経てヘッドカバー内のリターン燃料通路に流入する。そして、このリターン燃料通路に流入した余剰燃料は、燃料タンクに戻される。
請求項6に記載の発明によれば、燃料噴射装置の構成要素を成す部品として、内燃機関の各気筒に高圧燃料を噴射供給する複数のインジェクタ、あるいは燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレールを採用しても良い。なお、複数のインジェクタは、内燃機関の各気筒毎に対応して内燃機関のシリンダヘッドに搭載するようにしても良い。また、コモンレールは、蓄圧された高圧燃料を複数のインジェクタに分配供給するように構成しても良い。
ここで、インジェクタを、内燃機関の各気筒に連通する噴射孔を開閉するノズルニードルと、内部に導入される燃料圧力がノズルニードルを噴射孔を閉じる側に作用する制御室と、内部に導入される燃料圧力がノズルニードルを噴射孔を開く側に作用する燃料溜まり室と、コモンレールから制御室内および燃料溜まり室内に高圧燃料を供給するための高圧燃料通路と、制御室およびインジェクタ内部から燃料タンクに燃料を戻すための低圧燃料通路と、この低圧燃料通路を開閉する電磁弁とによって構成しても良い。なお、制御室は、ノズルニードルと一体的に動作するコマンドピストンの背圧制御を行う空間であっても良い。また、ノズルニードルを噴射孔を閉じる側に付勢する弁体付勢手段(ニードル付勢手段)を更に追加しても良い。
本発明を実施するための最良の形態は、ヘッドカバーとボンネットとの間隔を狭くすることなく、更に内燃機関および燃料噴射装置の構成要素を成す部品の高さ方向の寸法を変更することなく、内燃機関のシリンダヘッドとボンネットとの間隔を狭くするという目的を、ヘッドカバーの内部にリターン燃料通路を形成することで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1は内燃機関のインジェクタ周辺構造を示した図で、図2はインジェクタの全体構造を示した図である。
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1は内燃機関のインジェクタ周辺構造を示した図で、図2はインジェクタの全体構造を示した図である。
本実施例の内燃機関の燃料供給装置は、例えば直列4気筒4サイクル・ディーゼルエンジン等の内燃機関用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システムである。ここで、内燃機関(以下エンジンまたはエンジン本体と言う)は、ボンネット上への衝撃に対する衝撃吸収機能を十分に発揮させるために、エンジンのシリンダヘッド1の上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の板厚方向(車両の上下方向)の図示上端面とエンジンルームを覆うボンネット3の板厚方向(車両の上下方向)の図示下端面との間隔(高さ方向の寸法:Amm)が車両メーカによって規定されている。
そして、エンジン本体は、シリンダヘッド1、シリンダブロック(図示せず)およびシリンダヘッドカバー2等によって構成されており、例えば自動車等の車両のエンジンルームに搭載されてエンジンルームとボンネット3との間に格納されている。シリンダヘッド1およびシリンダブロックは、燃焼による熱の影響を受け、振動するので、これらに耐えるようにアルミニウム合金や鋳鉄等によって頑丈に作られている。これらに対し、シリンダヘッドカバー2は、エンジンの力がかからないので、樹脂やマグネシウム等の軽量な材料によって形成されている。
シリンダヘッド1は、吸気バルブ(図示せず)により開閉される吸気ポート(図示せず)、排気バルブ(図示せず)により開閉される排気ポート(図示せず)、およびシリンダブロックのシリンダボア内に摺動自在に支持されるピストン(図示せず)との間に燃焼室が形成されている。また、シリンダヘッド1とシリンダヘッドカバー2との間には、動弁系の部品、例えばカムシャフト、ロッカーアーム、バルブリフター、吸気バルブ、排気バルブ等が収容されている。また、シリンダヘッド1には、燃料噴射装置の構成要素の1つであるインジェクタ(内燃機関用燃料噴射弁)4を取り付けるためのインジェクタ取付孔11が燃焼室とシリンダヘッド上部との間を貫通するように形成されている。
インジェクタ取付孔11は、シリンダヘッド1の図示上端面で開口する径大孔、燃焼室側で開口する径小孔、および径大孔と径小孔との間に設けられる中間孔等を有している。径大孔と中間孔との間には、円環状の第1段差部12が設けられている。また、中間孔と径小孔との間には、円環状の第2段差部13が設けられている。なお、第2段差部13の環状端面は、インジェクタ4の軸線方向の一端側の環状端面(例えばリテーニングナット14の先端面、図示下端面)がガスケットやパッキン等のシール材(図示せず)を介して当接する取付座面として機能する。
一方、内燃機関の燃料供給装置として採用されたコモンレール式燃料噴射システムは、吸入した燃料を加圧して吐出する燃料供給ポンプ(図示せず)と、この燃料供給ポンプより吐出された高圧燃料を一時的に蓄圧するコモンレール(図示せず)と、エンジンの各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給する複数個(本例では4個)のインジェクタ4と、インジェクタ4の燃料噴射ノズル5に一体化されたインジェクタ用電磁弁(以下電磁弁と略す)6をエンジンの運転状態に応じて電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)とを備えている。
燃料供給ポンプは、燃料タンクから燃料を汲み上げるフィードポンプ(低圧供給ポンプ)と、このフィードポンプを経て吸入した燃料を加圧して高圧化するサプライポンプ(高圧供給ポンプ)とによって構成されている。サプライポンプは、燃料の吐出量が可変である周知の構造を備え、ECUからの制御指令に従って、燃料タンクに蓄えられた燃料をフィードポンプを経て吸入し、自身の内部(加圧室)で高圧に加圧して、この高圧化された高圧燃料を燃料配管を介してコモンレール内に圧送供給する。
また、フィードポンプからサプライポンプの加圧室に至る燃料吸入経路の途中には、吸入調量弁として機能する電磁弁が取り付けられている。この電磁弁は、ポンプ駆動回路を介してECUからのポンプ駆動信号によって電子制御されることで、サプライポンプの加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整して燃料の吐出量を制御する電磁式ポンプ流量制御弁として機能する。また、燃料供給ポンプには、内部の燃料温度が高温にならないように、あるいは内部の燃料圧力が異常上昇しないように、リークポートが設けられている。このリークポートから排出または溢流する余剰燃料またはリーク燃料は、リターン燃料配管(図示せず)を介して燃料タンクに戻される。
コモンレールの内部には、燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。また、コモンレールには、内部の燃料圧力を最適値に保つように、リークポートが設けられている。このリークポートから排出または溢流する余剰燃料またはリーク燃料は、リターン燃料配管(図示せず)を介して燃料タンクに戻される。また、コモンレールのリークポートには、コモンレール内の燃料圧力を高圧から低圧に減圧させる減圧弁として機能する電磁弁が取り付けられている。なお、電磁弁の代わりに、コモンレール内の燃料圧力が限界設定圧力を超えた際に開弁してコモンレール内の燃料圧力を限界設定圧力以下に抑えるプレッシャリミッタを取り付けるようにしても良い。
本実施例の複数個のインジェクタ4は、エンジンの各気筒毎に対応して搭載されて、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの電磁式燃料噴射弁であって、燃料噴射ノズル5と電磁弁6との間にオリフィスプレート(チップパッキン)7を挟み込んだ状態で、リテーニングナット8を燃料噴射ノズル5の外周に締め付け固定することで、燃料噴射ノズル5の密着面と電磁弁6の密着面とを所定の締結軸力で密着させることによって一体化されている。これらのインジェクタ4は、シリンダヘッド1の各インジェクタ取付孔11に挿入された後に、クランプおよび締結ボルト等によってシリンダヘッド1に締め付け固定されている。
燃料噴射ノズル5のハウジングは、リテーニングナット14をインジェクタボデー15の外周に締め付け固定することで、インジェクタボデー15の密着面とノズルボデー16の密着面とを所定の締結軸力で密着させることによって一体化されている。リテーニングナット14の外径は、インジェクタ取付孔11の中間孔よりも小さく、また、インジェクタ取付孔11の径小孔よりも大きい。そして、リテーニングナット14の先端面(図示下端面)は、ガスケットやパッキン等のシール材を介して、第2段差部13の取付座面に当接している。
インジェクタボデー15は、軸線方向の一端側の外径がインジェクタ取付孔11の径大孔および中間孔よりも小さく、軸線方向の他端側の外径がインジェクタ取付孔11の径大孔よりも大きい。このため、インジェクタボデー15は、軸線方向の他端側がシリンダヘッド1の図示上端面より図示上方側に突出した状態で、軸線方向の一端側がインジェクタ取付孔11内に保持されている。そして、インジェクタボデー15の内部には、コマンドピストン17およびプレッシャピン18が摺動自在に設けられている。
一方、ノズルボデー16は、軸線方向の一端側の外径がインジェクタ取付孔11の径小孔よりも小さく、軸線方向の他端側の外径がインジェクタ取付孔11の径小孔よりも大きく、中間孔よりも小さい。そして、ノズルボデー16は、軸線方向の一端部が、エンジンの各気筒の燃焼室に露出するように配置されている。そして、ノズルボデー16の内部には、燃料噴射ノズル5の弁体を構成するノズルニードル19が摺動自在に設けられている。また、インジェクタボデー15の内部には、ノズルニードル19を閉弁方向に付勢するスプリング(弁体付勢手段)20が設けられている。
そして、インジェクタボデー15の内部には、燃料配管が接続する配管継ぎ手部(インジェクタ4の燃料入口部)21から延びる高圧燃料通路(インジェクタ4の燃料入口、インレットポート)22が形成されている。この高圧燃料通路22内には、燃料中に混入した異物を捕捉するバーフィルタ23が挿入されている。また、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端は、インジェクタボデー15の内部にて図示上下方向に分岐している。そして、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端で分岐した一方の高圧燃料通路24は、オリフィスプレート7に形成された入口側オリフィス25を介して、インジェクタボデー15の内部にてコマンドピストン17の背面側(図示上端面側)に設けられた制御室26に連通している。
また、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端で分岐した他方の高圧燃料通路27は、ノズルボデー16に形成された高圧燃料通路29を介して燃料溜まり室30に連通している。この燃料溜まり室30は、インジェクタボデー15から内部に導入される燃料の油圧力が、ノズルニードル19の開弁方向に作用する第1圧力室である。そして、更にノズルボデー16の先端部(インジェクタ4の軸線方向の一端部、図示下端部)には、燃料溜まり室30に連通する燃料噴射用のノズル噴孔部(噴射孔:図示せず)が形成されており、ノズルニードル19の円錐形状の先端部がノズルボデー16に形成された弁座に押さえ付けられることで、燃料溜まり室30と噴射孔とが遮断され、当該インジェクタ4が閉弁状態となるように構成されている。
ここで、制御室26は、内部に導入される燃料の油圧力が、ノズルニードル19の閉弁方向に作用する第2圧力室である。また、制御室26は、オリフィスプレート7に形成された出口側オリフィス31を介して、電磁弁側の低圧燃料通路33に連通している。また、本実施例の燃料噴射ノズル5は、制御室26からインジェクタボデー15とコマンドピストン17との摺動隙間を経て溢流した燃料、および燃料溜まり室30からノズルボデー16とノズルニードル19との摺動隙間を経て溢流した余剰燃料(リーク燃料)が、インジェクタボデー15に形成された低圧燃料通路32を介して、電磁弁側の低圧燃料通路33に流れ込むように構成されている。
電磁弁6は、燃料噴射ノズル5のインジェクタボデー15の後端側(図示上端側)の円筒部34内に嵌め込まれるバルブボデー35と、このバルブボデー35と共に内部に電磁弁側の低圧燃料通路33を形成する筒体36と、この筒体36の外周側に保持されて、ソレノイドコイル39への通電により磁化されるステータコア37とを有している。バルブボデー35とステータコア37との間は、アーマチャ42をインジェクタ4の軸線方向に往復移動自在に収容するアーマチャ室38が形成されている。ステータコア37には、円筒状の空間部が設けられており、この空間部にソレノイドコイル39が巻回されている。また、ステータコア37は、筒体36に溶接等により固定されている。また、筒体36の空間部40内には、ボールバルブ41およびアーマチャ42を閉弁方向に付勢するスプリング(弁体付勢手段)43が配設されている。
ソレノイドコイル39は、通電されると周囲に磁束を発生してボールバルブ41およびアーマチャ42を開弁方向に駆動するもので、ボビンの周囲に巻回されたコイル部、およびこのコイル部より取り出された一対の端末リード線等を有している。これらの端末リード線は、電磁弁6の図示上端側に設けられたコネクタ44に保持された一対のターミナル45に電気的に接続されている。
ボールバルブ41は、アーマチャ42の軸状部の先端側に保持される球面体形状の弁体であって、オリフィスプレート7の出口側オリフィス31の開口周縁部(弁座)に対して着座、離座することで、電磁弁側の低圧燃料通路33の燃料入口側(バルブボデー35の図示下端側)に連通する弁孔(出口側オリフィス31)を閉塞、開放する。
アーマチャ42は、ステータコア37およびソレノイドコイル39と共に磁気回路を形成するもので、ソレノイドコイル39が通電されると磁化されて、ステータコア37の先端磁極面側に吸引される。これにより、ボールバルブ41がオリフィスプレート7の弁座より離座して出口側オリフィス31を開く。また、アーマチャ42は、ソレノイドコイル39への通電が停止されると、スプリング43の付勢力(スプリング力)によって閉弁方向に移動してボールバルブ41をオリフィスプレート7の弁座に押し当てる。これにより、ボールバルブ41がオリフィスプレート7の弁座に着座して出口側オリフィス31を閉じる。
ボールバルブ41は、アーマチャ42の軸状部の先端側に保持される球面体形状の弁体であって、オリフィスプレート7の出口側オリフィス31の開口周縁部(弁座)に対して着座、離座することで、電磁弁側の低圧燃料通路33の燃料入口側(バルブボデー35の図示下端側)に連通する弁孔(出口側オリフィス31)を閉塞、開放する。
アーマチャ42は、ステータコア37およびソレノイドコイル39と共に磁気回路を形成するもので、ソレノイドコイル39が通電されると磁化されて、ステータコア37の先端磁極面側に吸引される。これにより、ボールバルブ41がオリフィスプレート7の弁座より離座して出口側オリフィス31を開く。また、アーマチャ42は、ソレノイドコイル39への通電が停止されると、スプリング43の付勢力(スプリング力)によって閉弁方向に移動してボールバルブ41をオリフィスプレート7の弁座に押し当てる。これにより、ボールバルブ41がオリフィスプレート7の弁座に着座して出口側オリフィス31を閉じる。
また、電磁弁6の筒体36、ステータコア37およびソレノイドコイル39よりも図示上端側には、ハウジング46が設けられている。そして、インジェクタ4の軸線方向の他端部(図示上端部)、つまりハウジング46の図示上端部には、一部がコネクタ44内に埋設された円管状の配管接続部(インジェクタ4の燃料出口部)47が設けられている。この配管接続部47の内部には、スプリング43の付勢力(スプリング力)を設定するための円管状の調整部材48が嵌め込まれている。また、配管接続部47は、通路径が調整部材48の内径よりも拡径されている。電磁弁6の後端部、つまり配管接続部47の内部には、低圧燃料通路33の燃料流方向の下流側に連通するリークポート(インジェクタ4のリークポート)49が形成されている。
インジェクタ4のリークポート49は、インジェクタ内部からインジェクタ外部に余剰燃料を排出させるための燃料出口通路(インジェクタ4の燃料出口、アウトレットポート)である。すなわち、リークポート49は、制御室26、燃料溜まり室30等から燃料噴射ノズル5の各摺動隙間を経て低圧燃料通路32内に溢流し、低圧燃料通路33内に流入した燃料や、制御室26から出口側オリフィス31を経て低圧燃料通路33内に流入した燃料を、燃料タンクに戻すための燃料出口通路である。なお、低圧燃料通路32と、アーマチャ室38および筒体36の空間部40を含む電磁弁側の低圧燃料通路33と、配管接続部47のリークポート49は、インジェクタ内部のリターン燃料通路を構成する。
ここで、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、コネクタ44および配管接続部47を電磁弁6の後端部(インジェクタ4の軸線方向の他端部、図示上端部)に設けているので、インジェクタ4をシリンダヘッド1の各インジェクタ取付孔11にそれぞれ取り付ける際にカムシャフトやロッカーアーム等の動弁系部品とインジェクタ4との干渉を避けることができる。
次に、シリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の内部には、図1および図3に示したように、複数個のインジェクタ4の各リークポート49から溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路51が形成されている。このリターン燃料通路51は、複数個のインジェクタ4の各リークポート49の開口端に対向する位置に形成されている。また、リターン燃料通路51は、シリンダヘッドカバー2の板厚方向(図示上下方向)の中央部付近で断面円形状に形成されている。つまり、リターン燃料通路51は、丸孔形状に形成されている。
また、直列4気筒のエンジンの場合には、エンジン本体の気筒(シリンダ)がエンジン本体の長手方向(車両の前後方向または幅方向)に1列に配列されているので、気筒分のインジェクタ4がエンジン本体の長手方向に1列に設置される。この場合には、図1および図3(a)に示したように、シリンダヘッドカバー2の内部に1列でリターン燃料通路51が形成される。このリターン燃料通路51は、全気筒のインジェクタ4の各リークポート49の開口端を繋ぐように直線状(または蛇行状)に形成される。
また、V型6気筒のエンジンの場合には、エンジン本体の気筒(シリンダ)がエンジン本体の長手方向(車両の前後方向または幅方向)にV型に向かい合った配列となるので、気筒分のインジェクタ4がエンジン本体の長手方向に2列に設置される。この場合には、図3(b)に示したように、シリンダヘッドカバー2の内部に2列で直線状(または蛇行状)にリターン燃料通路51が形成される。2つのリターン燃料通路51のうちの1つのリターン燃料通路51は、一列に並んだ3気筒分のインジェクタ4の各リークポート49の開口端を繋ぐように直線状(または蛇行状)に形成される。
そして、リターン燃料通路51の軸線方向(図示左右方向)の一方側の開口端は、プラグ等により塞がれており、また、リターン燃料通路51の軸線方向(図示左右方向)の他方側の開口端は、リターン燃料配管を介して燃料タンクの内部に連通している。そして、シリンダヘッドカバー2の通路壁面には、複数個のインジェクタ4の各リークポート49の軸線方向の延長線上にインジェクタ4と同数の開口部(シリンダヘッドカバー2の開口部、燃料入口、インレットポート)52が所定の間隔で形成されている。シリンダヘッドカバー2の各開口部52には、シリンダヘッドカバー2の配管継ぎ手を構成する円管状のリターン配管53の燃料流方向の下流側端部が設けられている。
複数本のリターン配管53は、金属パイプであって、シリンダヘッドカバー2にインサート成形されている。また、複数本のリターン配管53は、これらの燃料流方向の上流側端部が、リークポート49の開口端内部に差し込まれた状態で、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47に液密的に接続されている。複数本のリターン配管53の燃料流方向の上流側端部の外周と複数個のインジェクタ4の各配管接続部47の内周との間には、リターン配管53と配管接続部47との嵌合部(嵌合隙間)からインジェクタ外部への燃料の漏洩を防止するためのOリング等のシール材(図示せず)が装着されている。そして、複数本のリターン配管53の内部には、複数個のインジェクタ4の各リークポート49の開口端とシリンダヘッドカバー2内のリターン燃料通路51とを連通する連通路54が形成されている。これにより、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47は、シリンダヘッドカバー2に一体化されたリターン配管53に直接的に結合される。
なお、少なくとも隣設する2個のインジェクタ4の配管接続部47を1本のリターン配管53で接続しても良い。この場合には、リターン配管53をY字管またはT字管にする。また、複数本のリターン配管53のうちの少なくとも1本のリターン配管53が、シリンダヘッドカバー2の開口部52に揺動自在に軸支されるようにしても良い。また、複数本のリターン配管53のうちの少なくとも1本のリターン配管53を、ゴムパイプ、樹脂パイプ、金属パイプ等の可撓性を有する材料によって形成して、振動に伴うインジェクタ4とシリンダヘッドカバー2との位置ズレを吸収するようにしても良い。これにより、インジェクタ4の配管接続部47がリターン配管53の燃料流方向の上流側端部より脱落するのを防止できる。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
コモンレールから燃料配管を介して供給される高圧燃料は、インジェクタ4の燃料噴射ノズル5のインジェクタボデー15の配管継ぎ手部21から高圧燃料通路22内に流入する。そして、高圧燃料通路22内に流入した高圧燃料は、バーフィルタ23を通過する際に燃料中に混入した異物が捕捉される。その後、高圧燃料は、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端で二方向に分岐する。そして、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端で分岐した一方の高圧燃料通路24に流入した高圧燃料は、オリフィスプレート7の入口側オリフィス25を介して、コマンドピストン17の背面側の制御室26内に流入する。
また、高圧燃料通路22の燃料流方向の下流端で分岐した他方の高圧燃料通路27に流入した高圧燃料は、ノズルボデー16の高圧燃料通路29を介して、燃料溜まり室30内に流入する。これによって、ノズルニードル19は、制御室26内の燃料圧力によって押し下げる方向(閉弁方向)の力を受けると共に、燃料溜まり室30内の燃料圧力によって押し上げる方向(開弁方向)の力を受けることになる。
ここで、ノズルニードル19の円錐台形状の受圧部(径大部)にて燃料溜まり室30内の燃料圧力を受ける面積よりも、コマンドピストン17の背面、つまりコマンドピストン17にて制御室26内の燃料圧力を受ける面積の方が大きく、しかもスプリング20によってノズルニードル19に、ノズルニードル19を閉弁方向(噴射孔を閉じる側)に付勢する付勢力(スプリング力)が加わっているため、ECUにより電磁弁6のソレノイドコイル39への通電が成されず、電磁弁6のボールバルブ41が閉弁している場合には、全体として図1および図2にて図示下向きの力が勝ることになる。その結果、電磁弁6の閉弁時には、ノズルニードル19の先端部(図示下端部)がノズルボデー16の弁座に押さえ付けられて、当該インジェクタ4は、ノズルニードル19が閉弁した閉弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
一方、ECUにより電磁弁6が開弁駆動されると、つまりECUにより電磁弁6のソレノイドコイル39への通電が成されて、電磁弁6のボールバルブ41が開弁すると、コモンレールから導入されて制御室26内に充満していた高圧燃料が、オリフィスプレート7の出口側オリフィス31および電磁弁側の低圧燃料通路33を介して、配管接続部47のリークポート49内に溢流する。そして、配管接続部47のリークポート49内に溢流した燃料は、リターン配管53の連通路54、シリンダヘッドカバー2内のリターン燃料通路51およびリターン燃料配管を介して、燃料系の低圧側である燃料タンクへ溢流することになる。
したがって、燃料溜まり室30内の燃料圧力による押し上げ方向(開弁方向)の力によってコマンドピストン17、プレッシャピン18およびノズルニードル19が上昇し(リフトを開始し)、ノズルニードル19の先端部がノズルボデー16の弁座から離れる(離間する)。すなわち、電磁弁6が開弁駆動されて、制御室26内の燃料圧力(制御室圧力)が低下し始め、その後、制御室26内の燃料圧力による押し下げ方向(閉弁方向)の力とスプリング20のスプリング力による押し下げ方向(閉弁方向)の力との総和が、燃料溜まり室30内の燃料圧力による押し上げ方向(開弁方向)の力を下回った時に、コマンドピストン17、プレッシャピン18およびノズルニードル19が開弁方向に移動し出す。その結果、当該インジェクタ4は、ノズルニードル19が開弁した開弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射が開始される。
そして、本実施例のインジェクタ4では、制御室26内から低圧燃料通路33、リークポート49、連通路54、リターン燃料通路51を経由して燃料タンクに戻される燃料の流量が、オリフィスプレート7の出口側オリフィス31の開口面積によって制限されているので、電磁弁6を開弁駆動してからノズルニードル19の開弁方向への移動が開始されるまでには、所定の開弁遅延時間(噴射開始遅れ時間:例えば0.4ms)を要することになる。また、ECUにより電磁弁6のソレノイドコイル39への通電が停止されて、電磁弁6のボールバルブ41が閉弁すると、制御室26内の燃料圧力が再び上昇して、ノズルニードル19が閉弁方向に移動し、その結果、当該インジェクタ4は、ノズルニードル19が閉弁した閉弁状態に戻ることになる。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、エンジン本体のシリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の内部に、インジェクタ内部からインジェクタ外部に流出した余剰燃料、つまりインジェクタ4の後端部に設けられた配管接続部47のリークポート49からリターン配管53の連通路54内に溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路51を形成している。これによって、シリンダヘッドカバー2の板厚方向の図示下端面とインジェクタ4の配管接続部47の図示上端面(配管接続部47の環状端面)との間隔を、リターン燃料配管105とシリンダヘッドカバー108との間に隙間(高さ方向の寸法:Bmm)を形成する必要のある従来の技術(図5参照)と比べて非常に狭くすることができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、エンジン本体のシリンダヘッド上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー2の内部に、インジェクタ内部からインジェクタ外部に流出した余剰燃料、つまりインジェクタ4の後端部に設けられた配管接続部47のリークポート49からリターン配管53の連通路54内に溢流した余剰燃料を燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路51を形成している。これによって、シリンダヘッドカバー2の板厚方向の図示下端面とインジェクタ4の配管接続部47の図示上端面(配管接続部47の環状端面)との間隔を、リターン燃料配管105とシリンダヘッドカバー108との間に隙間(高さ方向の寸法:Bmm)を形成する必要のある従来の技術(図5参照)と比べて非常に狭くすることができる。
したがって、エンジン本体(特にシリンダヘッド1)およびインジェクタ4の高さ方向の寸法を変更することなく、シリンダヘッド1とボンネット3との間隔、つまりシリンダヘッド1のインジェクタ取付孔11に設けられた第2段差部13の取付座面(図示上端面)とボンネット3の板厚方向の図示下端面との間隔(高さ方向の寸法:Cmm)を従来の技術(図5参照)と比べて非常に狭くすることができる。その結果、エンジン本体(特にシリンダヘッド1)およびインジェクタ4を新規開発する必要がなくなり、低コストとなる。また、シリンダヘッドカバー2の板厚方向の図示上端面とボンネット3の板厚方向の図示下端面との間隔(高さ方向の寸法:Amm)を従来の技術(図5参照)と比べて狭くすることなく、つまり変更することなく、シリンダヘッド1のインジェクタ取付孔11に設けられた第2段差部13の取付座面とボンネット3の板厚方向の図示下端面との間隔(高さ方向の寸法:Cmm)を狭くすることができるので、ボンネット上への衝撃に対する衝撃吸収機能の低下を防止することができる。
図4は本発明の実施例2を示したもので、図4(a)はヘッドカバーとインジェクタとの接続構造の一例を示した図で、図4(b)はヘッドカバーとインジェクタとの接続構造の他の例を示した図である。
本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、図4(a)に示したように、シリンダヘッドカバー2の各開口部52に円管状の配管継ぎ手55が一体的に形成されている。この配管継ぎ手55の内部には、連通路56が形成されている。また、配管継ぎ手55には、金属材料(あるいは樹脂材料またはゴム系弾性体)によって円管状に形成されたリターン燃料パイプ57が接続されている。このリターン燃料パイプ57の燃料流方向の上流側端部は、インジェクタ4の電磁弁6のリークポート49の開口端の内部に差し込まれた状態で、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47に液密的に接続されている。
また、リターン燃料パイプ57の燃料流方向の下流側端部は、シリンダヘッドカバー2の配管継ぎ手55の連通路56の開口端の内部に差し込まれた状態で、シリンダヘッドカバー2の配管継ぎ手55に液密的に接続されている。そして、リターン燃料パイプ57の内部には、連通路56を介して、インジェクタ4のリークポート49とシリンダヘッドカバー2内のリターン燃料通路51とを連通する連通路58が形成されている。これにより、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47は、シリンダヘッドカバー2に一体化された配管継ぎ手55に間接的に結合される。
リターン燃料パイプ57の燃料流方向の上流側端部の外周とインジェクタ4の配管接続部47の内周との間には、リターン燃料パイプ57と配管接続部47との嵌合部(嵌合隙間)からインジェクタ外部への燃料の漏洩を防止するためのOリング(シール材)59が装着されている。また、リターン燃料パイプ57の燃料流方向の下流側端部の外周とシリンダヘッドカバー2の配管継ぎ手55の内周との間には、リターン燃料パイプ57と配管継ぎ手55との嵌合部(嵌合隙間)からインジェクタ外部への燃料の漏洩を防止するためのOリング(シール材)60が装着されている。なお、Oリング59、60は、リターン燃料パイプ57の外周に形成されたリング溝61、62内に嵌め込まれている。
また、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、図4(b)に示したように、シリンダヘッドカバー2の各開口部52に円管状の配管継ぎ手63が一体的に形成されている。この配管継ぎ手63の内部には、インジェクタ4のリークポート49とシリンダヘッドカバー2内のリターン燃料通路51とを連通する連通路64が形成されている。また、配管継ぎ手63の燃料流方向の上流側端部は、インジェクタ4の電磁弁6のリークポート49の開口端の内部に差し込まれた状態で、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47に液密的に接続されている。これにより、インジェクタ4の電磁弁6の配管接続部47は、シリンダヘッドカバー2に一体化された配管継ぎ手63に直接的に結合される。そして、シリンダヘッドカバー2の配管継ぎ手63の燃料流方向の上流側端部の外周とインジェクタ4の配管接続部47の内周との間には、配管継ぎ手63と配管接続部47との嵌合部(嵌合隙間)からインジェクタ外部への燃料の漏洩を防止するためのOリング(シール材)65が装着されている。なお、Oリング65は、配管継ぎ手63の外周に形成されたリング溝66内に嵌め込まれている。
[変形例]
本実施例では、本発明の内燃機関の燃料供給装置を、サプライポンプから圧送供給された高圧燃料をコモンレール内に蓄圧し、このコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給するコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を説明したが、本発明の内燃機関の燃料供給装置を、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプからインジェクタの内部に直接圧送され、インジェクタからエンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する内燃機関用燃料噴射装置に適用しても良い。
本実施例では、本発明の内燃機関の燃料供給装置を、サプライポンプから圧送供給された高圧燃料をコモンレール内に蓄圧し、このコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給するコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を説明したが、本発明の内燃機関の燃料供給装置を、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプからインジェクタの内部に直接圧送され、インジェクタからエンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する内燃機関用燃料噴射装置に適用しても良い。
なお、燃料噴射装置の構成要素を成す部品として、例えば内燃機関の気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する電磁式燃料噴射弁よりなるインジェクタ4だけでなく、内燃機関の気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する圧電方式の燃料噴射弁よりなるインジェクタを採用しても良い。また、燃料噴射ノズル5と電磁弁6等のアクチュエータとが別体の燃料噴射弁を採用しても良い。また、内燃機関の気筒または吸気ポートまたは吸気バルブに燃料を噴射供給するガソリンエンジン用のフューエルインジェクタを燃料噴射装置の構成要素を成す部品として用いても良い。また、燃料噴射ノズル単体または電磁弁単体を燃料噴射装置の構成要素を成す部品として用いても良い。また、サプライポンプ単体またはフィードポンプ単体を燃料噴射装置の構成要素を成す部品として用いても良い。また、コモンレールまたは燃料配管を燃料噴射装置の構成要素を成す部品として用いても良い。
1 シリンダヘッド
2 シリンダヘッドカバー
3 ボンネット
4 インジェクタ(燃料噴射弁)
5 燃料噴射ノズル
6 電磁弁
11 シリンダヘッドのインジェクタ取付孔
49 インジェクタのリークポート(アウトレットポート)
51 シリンダヘッドカバー内のリターン燃料通路
52 シリンダヘッドカバーの開口部(インレットポート)
53 リターン配管
54 リターン配管の連通路
55 シリンダヘッドカバーの配管継ぎ手
56 配管継ぎ手の連通路
57 リターン燃料パイプ
58 リターン燃料パイプの連通路
63 シリンダヘッドカバーの配管継ぎ手
64 配管継ぎ手の連通路
2 シリンダヘッドカバー
3 ボンネット
4 インジェクタ(燃料噴射弁)
5 燃料噴射ノズル
6 電磁弁
11 シリンダヘッドのインジェクタ取付孔
49 インジェクタのリークポート(アウトレットポート)
51 シリンダヘッドカバー内のリターン燃料通路
52 シリンダヘッドカバーの開口部(インレットポート)
53 リターン配管
54 リターン配管の連通路
55 シリンダヘッドカバーの配管継ぎ手
56 配管継ぎ手の連通路
57 リターン燃料パイプ
58 リターン燃料パイプの連通路
63 シリンダヘッドカバーの配管継ぎ手
64 配管継ぎ手の連通路
Claims (6)
- 内燃機関のシリンダヘッドとボンネットとの間に設置されて、前記シリンダヘッド上部に取り付けられるヘッドカバーと、
燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して前記内燃機関の気筒に噴射する燃料噴射装置と
を備えた内燃機関の燃料供給装置において、
前記ヘッドカバーの内部には、前記燃料噴射装置の構成要素を成す部品から溢流した余剰燃料を前記燃料タンクに戻すためのリターン燃料通路が形成されていることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料噴射装置の構成要素を成す部品は、前記ヘッドカバーに直接的に接続していることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料噴射装置の構成要素を成す部品とは、前記内燃機関の燃料噴射弁であることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項3に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料噴射弁は、内部にリークポートが形成された管状の配管接続部を有していることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項4に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記ヘッドカバーは、前記燃料噴射弁の配管接続部に液密的に接続する配管継ぎ手を有し、
前記配管継ぎ手の内部には、前記燃料噴射弁のリークポートと前記ヘッドカバー内のリターン燃料通路とを連通する連通路が形成されていることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料噴射装置の構成要素を成す部品とは、前記内燃機関の各気筒に高圧燃料を噴射供給する複数のインジェクタ、あるいは燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレールであることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005173524A JP2006348783A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005173524A JP2006348783A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006348783A true JP2006348783A (ja) | 2006-12-28 |
Family
ID=37644902
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005173524A Pending JP2006348783A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006348783A (ja) |
-
2005
- 2005-06-14 JP JP2005173524A patent/JP2006348783A/ja active Pending
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