JP2006348771A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、メインの燃料噴射の前後にサブ燃料噴射を行う燃料噴射装置において、燃料噴射弁に印加される燃料圧力を変更することなくメイン燃料噴射とサブ燃料噴射の噴射圧を相対的に異ならせることを課題とする。
【解決手段】 本発明は、ニードル弁42を進退駆動することにより燃料噴射孔43を開閉する燃料噴射弁4と、燃料噴射弁4からメインの燃料噴射とは異なる時期にサブの燃料噴射を行わせる制御装置10とを備える燃料噴射装置であって、燃料噴射孔43の近傍に位置する燃料溜まり部44と、前記サブ燃料噴射開始時期の直後から前記メイン燃料噴射期間の途中までの期間において燃料溜まり部44への燃料供給路48を遮断する流量調整弁49とを燃料噴射弁に設けるようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に関する。
圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)等では、メインの燃料噴射の前後にパイロット噴射やアフター噴射等のサブ燃料噴射を行う燃料噴射方法が周知である。このような燃料噴射方法を実行する装置としては、燃料圧力と圧電素子の何れか一方を利用して開弁する燃料噴射弁を備え、メイン燃料噴射時は燃料圧力を利用して燃料噴射弁を開弁させ、パイロット噴射時は圧電素子を利用して燃料噴射弁を開弁させるものが提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。
特許第2600340号公報 特開平8−296530号公報
ところで、サブ燃料噴射はメイン燃料噴射に比べて極少量の燃料を噴射するため、サブ燃料噴射時における燃料噴射弁の開弁時間が短くなる。短時間の開弁時間で噴射された燃料を好適に微粒化させ且つ燃焼室内の所望の位置に分布させるためには、サブ燃料噴射時における噴射圧を高める必要がある。
サブ燃料噴射時における噴射圧を高めるためには、サブ燃料噴射時に燃料噴射弁へ印加される燃料圧力(燃料印加圧と記す)を高くする必要があるが、サブ燃料噴射タイミングとメイン燃料噴射タイミングの間隔が短くなるため(特に、多気筒の内燃機関では一の気筒のサブ燃料噴射タイミングと他の気筒のメイン燃料噴射タイミングが重なる可能性もあるため)、サブ燃料噴射時の燃料印加圧とメイン燃料噴射時の燃料印加圧を異ならせることは困難である。
これに対し、サブ燃料噴射時の燃料印加圧とともにメイン燃料噴射時の燃料印加圧も高める方法が考えられるが、メイン燃料噴射時の燃料印加圧は内燃機関の運転状態(機関回転数、機関負荷、冷却水温度等)に応じた適当な噴射圧となるように定められているため、メイン燃料噴射時の燃料印加圧が不要に高められると却って燃焼状態の悪化を招く可能性もある。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、メインの燃料噴射の前後にサブ燃料噴射を行う燃料噴射装置において、燃料噴射弁に印加される燃料圧力を変更することなくメイン燃料噴射とサブ燃料噴射の噴射圧を相対的に異ならせることができる技術の提供を目的とする。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その最大の特徴は、燃料噴射弁に噴射圧を変更可能な機構を持たせることより、燃料噴射弁に印加される燃料圧力を変更することなくメイン燃料噴射とサブ燃料噴射の噴射圧を変更可能とした点にある。
詳細には、本発明は、ニードル弁を進退駆動することにより燃料噴射孔を開閉する燃料噴射弁と、燃料噴射弁からメインの燃料噴射とは異なる時期にサブの燃料噴射を行わせる制御装置とを備える燃料噴射装置であって、前記燃料噴射孔の近傍に位置する燃料溜まり
部と、前記サブ燃料噴射開始時期の前後から前記メイン燃料噴射開始時期の前後までの所定期間において前記燃料溜まり部へ供給される燃料量を規制する規制部とを燃料噴射弁に設けるようにした。
このように構成された燃料噴射装置では、燃料溜まり部へ供給される燃料量は、サブ燃料噴射開始時期の前後からメイン燃料噴射開始時期の前後までの所定期間において規制されることになる。逆に、メイン燃料噴射開始時期の前後からサブ燃料噴射開始時期の前後までの期間では前記燃料溜まり部へ十分な量の燃料が供給されるようになる。
依って、サブ燃料噴射開始時には前記燃料溜まり部に十分な量の燃料が蓄えられるようになるため、サブ燃料噴射開始時における前記燃料溜まり部内の燃料圧力は十分に高くなる。
ところで、サブ燃料噴射開始時に燃料溜まり部内の燃料圧力が十分に高くなっていても、燃料溜まり部から燃料噴射孔までの距離が長くなると燃料溜まり部の燃料が燃料噴射孔に到達するまでの圧力損失が大きくなるため、サブ燃料噴射の噴射圧を高めることが困難となる。
これに対し、本発明における燃料溜まり部は燃料噴射孔の近傍に配置されるため、燃料溜まり部内に蓄えられた燃料が高圧を保ちつつ燃料噴射孔へ到達可能になる。その結果、サブ燃料噴射の噴射圧を好適に高めることが可能となる。
一方、サブ燃料噴射開始時期の前後からメイン燃料噴射開始時期の前後までの所定期間においては燃料溜まり部へ供給される燃料量が規制されるため、メイン燃料噴射開始時までに前記燃料溜まり部に蓄えられている燃料量はサブ燃料噴射開始時までに前記燃料溜まり部に蓄えられる燃料量よりも少なくなる。これにより、メイン燃料噴射開始時における噴射圧がサブ燃料噴射時の噴射圧よりも低くなる。
従って、本発明の燃料噴射装置によれば、燃料噴射弁に印加される燃料圧力を変更しなくてもメイン燃料噴射の噴射圧とサブ燃料噴射の噴射圧と相違させることが可能になる。その結果、メイン燃料噴射の噴射圧を不要に高めることなくサブ燃料噴射の噴射圧を高めることが可能となる。
本発明において、規制部は、燃料溜まり部へ燃料を供給するための燃料供給路の流量を調整する流量調整弁を具備するようにしてもよい。この場合、上記した所定期間において流量調整弁の開度を減少させることにより、サブ燃料噴射の噴射圧をメイン燃料噴射の噴射圧より高くすることができる。
尚、所定期間の長さおよび/または流量調整弁の開度は、内燃機関の運転状態に応じて変更されるようにしてもよい。この場合、サブ燃料噴射の噴射圧を高く保ちつつメイン燃料噴射の噴射圧を内燃機関の運転状態に応じた噴射圧に制御することが可能となる。
例えば、所定期間のうち少なくともサブ燃料噴射期間とオーバーラップする期間では、流量調整弁の開度が全閉とされるようにしてもよい。
サブ燃料噴射期間中に流量調整弁が開弁していると、燃料溜まり部へ供給される燃料の圧力脈動等によって燃料溜まり部の燃料圧力が変動する可能性がある。サブ燃料噴射期間中に燃料溜まり部の燃料圧力が変動すると、サブ燃料噴射の噴射圧も変動してしまう可能性がある。
これに対し、所定期間のうちの少なくともサブ燃料噴射期間とオーバーラップする期間において流量調整弁が閉弁されると、燃料溜まり部に蓄えられた燃料が圧力脈動等の影響を受け難くなる。その結果、サブ燃料噴射期間中の噴射圧を略均一にすることが可能になる。
本発明によれば、燃料噴射弁からメインの燃料噴射の前後にサブ燃料噴射を行う燃料噴射装置において、燃料噴射弁に印加される燃料圧力を変更することなくメイン燃料噴射とサブ燃料噴射の噴射圧を相対的に異ならせることが可能になる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
図1に示す内燃機関1は、圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)である。内燃機関1は複数の気筒2を具備している。内燃機関1は、各気筒2の燃焼室3へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁4を備えている。
各燃料噴射弁4には燃料供給管5が接続され、燃料供給管5はコモンレール6に接続されている。コモンレール6には、燃料ポンプ8から燃料パイプ7を介して燃料が供給されるようになっている。また、コモンレール6には該コモンレール6内の燃料圧力(以下、レール圧と記す)を検出する燃圧センサ9が取り付けられ、ECU10は燃圧センサ9の出力信号(レール圧)が所望の目標圧力に一致するように燃料ポンプ8を制御するようになっている。
ECU10は、クランクポジションセンサ11、アクセルポジションセンサ12、或いは気筒判別センサ13の出力信号に基づいて、コモンレール6の目標レール圧、燃料噴射弁4の目標開閉タイミング、燃料ポンプ8の目標吐出圧力などを決定するとともに、決定された各種目標値に従って燃料噴射弁4や燃料ポンプ8を制御する。
ところで、内燃機関1のような圧縮着火式内燃機関では、圧縮行程上死点近傍におけるメイン燃料噴射に加え、メイン燃料噴射の前後にパイロット噴射やアフター噴射等のサブ燃料噴射を行う場合がある。
パイロット噴射やアフター噴射等のサブ燃料噴射では少量の燃料を短時間に噴射するため、噴射圧が十分に高まる前にサブ燃料噴射が終了する可能性がある。サブ燃料噴射の噴射圧が低くなると、噴射燃料の微粒化や到達距離が不十分となる可能性がある。噴射燃料の微粒化や到達距離が不十分になると、噴射燃料が燃焼室3における燃料噴射弁4の近傍に停滞し易くなる。
噴射燃料が燃料噴射弁4の近傍に停滞すると、噴射燃料と空気の混合が促進されないため、空気(酸素)が不足した状態で噴射燃料が燃焼する可能性がある。
例えば、パイロット噴射された燃料が燃料噴射弁4の近傍に停滞すると、メイン燃料噴射が行われた時に燃料噴射弁4近傍で燃焼が生起され易い。燃料噴射弁4近傍で燃焼が生起されると、パイロット噴射の噴射燃料に加えてメイン燃料噴射の噴射燃料も空気と混合する前に燃焼してしまう可能性がある。
このようにパイロット噴射及びメイン燃料噴射の噴射燃料が空気不足の状態で燃焼されると、機関出力の低下や排気エミッションの悪化(例えば、スモークの排出量が増加)を
招く虞がある。
また、メイン燃料噴射後の燃焼期間中にアフター噴射が行われる場合においてアフター噴射された燃料が燃料噴射弁4の近傍に停滞すると、アフター噴射の噴射燃料が空気と十分に混合する前に燃焼するため、アフター噴射による効果(例えば、PMの再燃焼など)が得られない上、スモークの排出量が増加する虞がある。
従って、メイン燃料噴射の前後にパイロット噴射やアフター噴射等のサブ燃料噴射を行う場合には、サブ燃料噴射の噴射圧力を高めることが要求される。このような要求に対して、サブ燃料噴射が実行される時に、燃料噴射弁4に印加される燃料の圧力(燃料印加圧)、すなわちコモンレール6内の燃料圧力を高める方法が考えられる。
しかしながら、メイン燃料噴射時期とサブ燃料噴射時期の間隔が短いため、サブ燃料噴射時のレール圧とメイン燃料噴射時のレール圧を独立して制御することは困難である。更に、内燃機関1のような多気筒の内燃機関では、一の気筒のサブ燃料噴射時期と他の気筒のメイン燃料噴射時期がオーバーラップし或いは極めて近似した時期となる可能性があるため、サブ燃料噴射時のレール圧とメイン燃料噴射時のレール圧を独立して制御することは困難となる。
また、サブ燃料噴射時の燃料印加圧とともにメイン燃料噴射時の燃料印加圧も高める方法が考えられるが、メイン燃料噴射時の燃料印加圧は内燃機関1の運転状態(機関回転数、機関負荷、冷却水温度等)に適した噴射圧が得られるように定められるため、メイン燃料噴射時の燃料印加圧が不要に高められると却って燃焼状態の悪化を招く可能性もある。
そこで、本実施例に係る燃料噴射装置では、燃料噴射弁4に噴射圧を変更可能な機構を持たせることより、燃料噴射弁4に印加される燃料圧力(レール圧)を変更することなくメイン燃料噴射とサブ燃料噴射の噴射圧を変更可能にした。
図2は、本実施例における燃料噴射弁4の構成を示す図である。燃料噴射弁4は、円柱状の収容孔41を有するノズルボディ40と、前記収容孔41に軸方向へ摺動自在に収容されるニードル弁42とを備えている。
前記ノズルボディ40の先端部には複数の燃料噴射孔43が形成され、それら燃料噴射孔43は該ノズルボディ40の先端部近傍に形成された燃料溜まり部44と連通している。
前記燃料溜まり部44の内壁面において前記燃料噴射孔43の近傍には、弁座45が設けられ、該弁座45に前記ニードル弁42が着座/離座することにより前記燃料噴射孔43と前記燃料溜まり部44の遮断/連通、言い換えれば前記燃料噴射孔43の閉弁/開弁が切り換えられるようになっている。
前記ノズルボディ40において前記収容孔41と前記燃料溜まり部44との間には、前記ニードル弁42の外径より径大な内径を有する孔46が形成され、この孔46の内壁とニードル弁42の外壁との間の隙間47が燃料通路として機能するようになっている(以下、隙間47を燃料通路47と記す)。
前記燃料通路47には燃料供給路48が連通しており、該燃料供給路48は前記した燃料供給管5と連通している。前記燃料供給路48の途中には流量調整弁49が設けられている。流量調整弁49としては、駆動電流が通電された時に閉弁し、駆動電流が通電されていない時は開弁する機構を例示することができる。
また、前記ノズルボディ40の基端には、前記ニードル弁42を進退駆動させる駆動機構50が取り付けられている。駆動機構50としては、例えば、前記ニードル弁42を先端方向(図2中の下方向)へ付勢するスプリングと、前記ニードル弁42を基端方向(図2中の上方向)へ吸引する電磁力を発生するソレノイドとを備えた機構を例示することができる。
尚、上記した流量調整弁49と駆動機構50は、ECU10によって制御されるようになっている。
このように構成された燃料噴射弁4がメイン燃料噴射のみを行う場合には、ECU10は、流量調整弁49に対する駆動電流の通電を停止して該流量調整弁49を開弁させる。
流量調整弁49が開弁されると、前記コモンレール6に蓄えられた燃料が燃料供給管5を介して燃料供給路48へ流入する。燃料供給路48に流入した燃料は、該燃料供給路48から燃料通路47を経て燃料溜まり部44へ導かれる。
その際、駆動機構50に励磁電流が印加されていなければ、該駆動機構50の付勢力によってニードル弁42が弁座45に着座した状態(閉弁状態)となるため、燃料溜まり部44に蓄えられた燃料が燃料噴射孔43から噴射されることはない。その結果、燃料溜まり部44に燃料が充満して該燃料溜まり部44内の燃料圧力がレール圧と略同等まで高められるようになる。
ECU10が駆動機構50へ励磁電流を印加すると、該駆動機構50の電磁力によってニードル弁42が基端方向へ吸引されるため、ニードル弁42の先端が弁座45から離座した状態(開弁状態)となる。その結果、燃料溜まり部44に蓄えられた高圧の燃料が燃料噴射孔43から噴射されるようになる。
次に、前記した燃料噴射弁4がメイン燃料噴射に加えてサブ燃料噴射を行う場合には、ECU10は、サブ燃料噴射開始直後からメイン燃料噴射期間の途中までの所定期間において流量調整弁49を閉弁させる。
この場合、サブ燃料噴射開始直後からメイン燃料噴射期間の途中まではコモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されないことになる。逆に、メイン燃料噴射期間の途中からサブ燃料噴射開始直後まではコモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されることになる。
この結果、サブ燃料噴射開始時には燃料溜まり部44に十分な量の燃料が蓄えられるとともに該燃料溜まり部44内の燃料圧力が十分に高められるようになる。
ところで、サブ燃料噴射開始時に燃料溜まり部44内の燃料圧力が十分に高くなっていても、燃料溜まり部44から燃料噴射孔43までの距離が長くなると燃料溜まり部44の燃料が燃料噴射孔43に到達するまでの圧力損失が大きくなるため、サブ燃料噴射の噴射圧を高めることが困難となる。
これに対し、本実施例の燃料噴射弁4では、燃料溜まり部44が燃料噴射孔43の極めて近くに配置されるため、燃料溜まり部44に蓄えられた燃料が高圧を保ちつつ燃料噴射孔43へ到達することができる。
また、サブ燃料噴射期間中に流量調整弁49が終始開弁していると、コモンレール6内
の圧力脈動等によって燃料溜まり部44内の燃料圧力が不用意に低下する場合がある。サブ燃料噴射期間中に燃料溜まり部44内の圧力が低下すると、サブ燃料噴射の噴射圧も低下することになる。
これに対し、本実施例では、サブ燃料噴射開始直後に流量調整弁49が閉弁されるため、サブ燃料噴射期間の略全期間において流量調整弁49が閉弁していることになる。これにより、サブ燃料噴射期間中は燃料溜まり部44に蓄えられた燃料がコモンレール6内の圧力脈動等の影響をほとんど受けることがなくなる。
従って、サブ燃料噴射開始時における燃料溜まり部44の燃料圧力が十分に高くなる効果、燃料溜まり部44の燃料が高圧を保ちつつ燃料噴射孔43へ到達可能になる効果、及び、サブ燃料噴射期間中に燃料溜まり部44の燃料がコモンレール6内の圧力脈動等の影響を受け難くなる効果の相乗効果により、パイロット噴射期間中の噴射圧が安定して高くなる。
一方、流量調整弁49はサブ燃料噴射開始直後からメイン燃料噴射期間の途中まで閉弁し続けるため、サブ燃料噴射後の燃料溜まり部44には燃料が補給されないこととなる。その結果、メイン燃料噴射期間の初期(メイン燃料噴射開始から流量調整弁49が開弁されるまで)の噴射圧力は、サブ燃料噴射時の噴射圧より低くなる。
以上述べたような燃料噴射弁4の構成及び流量調整弁49の制御により、燃料噴射弁4に印加される燃料圧力(レール圧)を変更しなくてもサブ燃料噴射の噴射圧をメイン燃料噴射期間の初期における噴射圧より高くすることができる。依って、メイン燃料噴射の噴射圧を不要に高めることなくサブ燃料噴射の噴射圧を高めることが可能となる。
以下、本実施例の燃料噴射制御について図3に沿って説明する。図3は、燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャートである。この燃料噴射制御ルーチンは、サブ燃料噴射としてパイロット噴射を行う場合のルーチンを示している。
燃料噴射制御ルーチンでは、ECU10は、先ずS101において内燃機関1の負荷(アクセルポジションセンサ12の出力信号ACCP)と機関回転数Neを読み込む。
S102では、ECU10は、機関負荷ACCP及び機関回転数Neから定まる機関運転状態がパイロット噴射領域に入っているか否かを判別する。例えば、ECU10は、機関負荷ACCP及び機関回転数Neから特定される燃料噴射量が比較的多くなる時に、機関運転状態がパイロット噴射領域に入っていると判定するようにしてもよい。
前記S102において肯定判定された場合は、ECU10は、S103へ進み、前記S101で入力された機関負荷ACCP及び機関回転数Neをパラメータとして、パイロット噴射開始時期tp1、パイロット噴射終了時期tp2、メイン燃料噴射開始時期tm1、メイン燃料噴射終了時期tm2、流量調整弁閉弁時期te1、流量調整弁開弁時期te2を演算する。
S104では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号t(CA°)がパイロット噴射開始時期tp1と等しいか否かを判別する。前記S104で否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがパイロット噴射開始時期tp1と等しくなるまで前記S104の処理を繰り返し実行する。
前記S104で肯定判定された場合(t=tp1)は、ECU10は、S105へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50に励磁電流を印加してパイロット噴射を開始する。
S106では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tが流量調整弁閉弁時期te1に等しいか否かを判別する。前記S106で否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tが流量調整弁閉弁時期te1と等しくなるまで前記S106の処理を繰り返し実行する。
前記S106で肯定判定された場合(t=te1)は、ECU10は、S107へ進み、流量調整弁49に通電して該流量調整弁49を閉弁させる。
S108では、ECU10は、S108へ進み、クランクポジションセンサ11の出力信号tがパイロット噴射終了時期tp2と等しいか否かを判別する。前記S108で否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがパイロット噴射終了時期tp2と等しくなるまで前記S108の処理を繰り返し実行する。
前記S108において肯定判定された場合(t=tp2)は、ECU10は、S109へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50に対する励磁電流の印加を停止してパイロット噴射を終了する。
S110では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射開始時期tm1と等しいか否かを判別する。前記S110において否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射開始時期tm1と等しくなるまで前記S110の処理を繰り返し実行する。
前記S110において肯定判定された場合(t=tm1)は、ECU10は、S111へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50に再び励磁電流を印加してメイン燃料噴射を開始する。
S112では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tが流量調整弁開弁時期te2と等しいか否かを判別する。前記S112において否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tが流量調整弁開弁時期te2と等しくなるまで前記S112の処理を繰り返し実行する。
前記S112において肯定判定された場合(t=te2)は、ECU10は、S113へ進み、流量調整弁49に対する通電を停止して該流量調整弁49を開弁させる。
S114では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射終了時期tm2と等しいか否かを判別する。前記S114において否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射終了時期tm2と等しくなるまで前記S114の処理を繰り返し実行する。
前記S114において肯定判定された場合は、ECU10は、S115へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50に対する励磁電流の印加を停止してメイン燃料噴射を終了させる。
また、前記したS102において機関運転状態がパイロット噴射領域に入っていないと判定された場合は、ECU10は、S116へ進み、流量調整弁49に対する通電を停止する。
S117では、ECU10は、前記S101で入力された機関負荷ACCP及び機関回転数Neをパラメータとしてメイン燃料噴射開始時期tm1及びメイン燃料噴射終了時期tm2を演算する。
S118では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射開始時期tm1と等しいか否かを判別する。前記S118において否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射開始時期tm1と等しくなるまで前記S118の処理を繰り返し実行する。
前記S118において肯定判定された場合(t=tm1)は、ECU10は、S119へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50へ励磁電流を印加してメイン燃料噴射を開始する。
S120では、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射終了時期tm2と等しいか否かを判別する。前記S120において否定判定された場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ11の出力信号tがメイン燃料噴射終了時期tm2と等しくなるまで前記S120の処理を繰り返し実行する。
前記S120において肯定判定された場合(t=tm2)は、ECU10は、S121へ進み、燃料噴射弁4の駆動機構50に対する励磁電流の印加を停止してメイン燃料噴射を終了させる。
このようにECU10が図3に示すような燃料噴射制御ルーチンを実行すると、図4に示すように、パイロット噴射開始直後(流量調整弁閉弁時期te1)からメイン燃料噴射期間の途中(流量調整弁開弁時期te2)までの所定期間において流量調整弁49が閉弁される。
この場合、上記した所定期間では、コモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されないことになる。逆に、流量調整弁開弁時期te2から流量調整弁閉弁時期te1までの期間では、コモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されることになる。
その結果、パイロット噴射開始時期tp1において、燃料溜まり部44には十分な量の燃料が蓄えられるとともに、燃料溜まり部44内の燃料圧力が十分に高くなる。また、燃料溜まり部44が燃料噴射孔43の直近傍に位置しているため、燃料溜まり部44の燃料が高圧を保ちつつ燃料噴射孔43へ到達可能となる。
従って、本実施例におけるパイロット噴射時の噴射圧(図4中の実線)は、従来のパイロット噴射の噴射圧(図4中の点線)より高くなる。更に、パイロット噴射期間の略全期間において流量調整弁49が閉弁状態になるため、コモンレール6内の圧力脈動等によってパイロット噴射時の噴射圧力が不安定になることも抑制される。
一方、パイロット噴射開始直後(流量調整弁閉弁時期te1)からメイン燃料噴射期間の途中(流量調整弁開弁時期te2)までは燃料溜まり部44へ燃料が供給されないため、メイン燃料噴射開始時期tm1における燃料溜まり部44内の燃料圧力はパイロット噴射開始時期tp1における燃料溜まり部44内の燃料圧力より低くなる。これにより、メイン燃料噴射期間の初期における噴射圧は、パイロット噴射時の噴射圧より低くなる。
以上述べた実施例によれば、燃料噴射弁4に印加される燃料圧力(レール圧)を変更しなくてもパイロット噴射の噴射圧をメイン燃料噴射の噴射圧より高くすることができる。その結果、メイン燃料噴射の噴射圧を不要に高めることなくサブ燃料噴射の噴射圧を高めることが可能となる。
パイロット噴射の噴射圧が高められると、パイロット噴射された燃料が微粒化されつつ燃焼室3の周縁まで到達するようになるため、メイン燃料噴射が行われた時に燃料噴射弁
4近傍で燃焼が生起されることを抑制することができ、以て機関出力の低下や排気エミッションの悪化(スモークの排出量が増加)を抑制することが可能となる。
尚、図3の燃料噴射制御ルーチンではパイロット噴射を行う場合の燃料噴射制御について述べたが、アフター噴射を行う場合には、図5に示すように、流量調整弁閉弁時期te1をアフター噴射開始時期ta1の直後に設定するとともに、流量調整弁開弁時期te2をメイン燃料噴射開始時期tm1より後に設定すればよい。
この場合、アフター噴射開始直後(流量調整弁閉弁時期te1)からメイン燃料噴射期間の途中(流量調整弁開弁時期te2)までの所定期間では、コモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されないことになる。逆に、メイン燃料噴射期間の途中(流量調整弁開弁時期te2)からアフター噴射開始直後(流量調整弁閉弁時期te1)までの期間では、コモンレール6から燃料溜まり部44へ燃料が供給されることになる。
この結果、アフター噴射開始時期ta1において燃料溜まり部44には十分な量の燃料が蓄えられるようになるため、アフター噴射開始時期ta1における燃料溜まり部44内の燃料圧力が十分に高くなる。
アフター噴射開始時期ta1における燃料溜まり部44内の燃料圧力が高くなると、燃料溜まり部44が燃料噴射孔43の近傍に配置されること、及び、アフター噴射期間の略全期間において流量調整弁49が閉弁状態になることの相乗効果により、アフター噴射時の噴射圧(図5中の実線)が従来のアフター噴射時における噴射圧(図5中の点線)より高くなる。
一方、アフター噴射開始直後(流量調整弁閉弁時期te1)からメイン燃料噴射期間途中(流量調整弁開弁時期te2)までは燃料溜まり部44へ燃料が供給されないため、メイン燃料噴射開始時期tm1における燃料溜まり部44内の燃料圧力がアフター噴射開始時期ta1における燃料溜まり部44内の燃料圧力より低くなる。これにより、メイン燃料噴射期間の初期における噴射圧は、アフター噴射時の噴射圧より低くなる。
従って、燃料噴射弁4に印加される燃料圧力(レール圧)を変更しなくてもアフター噴射圧をメイン燃料噴射期間の初期における噴射圧より高くすることができる。その結果、メイン燃料噴射の噴射圧を不要に高めることなくアフター噴射の噴射を高めることが可能になる。
アフター噴射の噴射圧が高められると、アフター噴射された燃料が微粒化されつつ燃焼室3の周縁まで到達するようになるため、アフター噴射された燃料が空気と混合する前に燃焼することを抑制することができ、以てアフター噴射による効果(例えば、PMの再燃焼など)を得ることができるとともにスモークの排出量を減少させることができる。
尚、上記した実施例では、流量調整弁閉弁時期te1がパイロット噴射開始時期tp1又はアフター噴射開始時期ta1の直後に設定される場合について説明したが、パイロット噴射開始時期tp1又はアフター噴射開始時期ta1より前に燃料溜まり部44内の燃料圧力が十分に高まるような場合(例えば、機関回転数が比較的低い場合のようにメイン燃料噴射終了時期tm2からパイロット噴射開始時期tp1又はアフター噴射開始時期ta1までの時間が長くなるような場合)には、流量調整弁閉弁時期te1がパイロット噴射開始時期tp1又はアフター噴射開始時期ta1より前に設定されるようにしてもよい。
流量調整弁閉弁時期te1がパイロット噴射開始時期tp1又はアフター噴射開始時期
ta1より前に設定されれば、パイロット噴射期間又はアフター噴射期間の全期間において流量調整弁49が閉弁状態となるため、パイロット噴射時又はアフター噴射時の噴射圧をより安定して高めることが可能となる。
上記した実施例では、サブ燃料噴射が行われる際に常にサブ燃料噴射の噴射圧を高めるようにしているが、サブ燃料噴射の噴射量が少なくなる場合のようにサブ燃料噴射の噴射圧を高める必要がない場合には、サブ燃料噴射の噴射圧が流量調整弁49を常時開弁させた状態でサブ燃料噴射及びメイン燃料噴射を行うようにしてもよい。
上記した実施例では、サブ燃料噴射とメイン燃料噴射の噴射圧を相違させる例につい述べたが、サブ燃料噴射が複数回行われる場合にはサブ燃料噴射毎に噴射圧を相違させることもできる。
上記した実施例では、燃料噴射孔43近傍のノズルボディ40内に燃料溜まり部44を形成しているが、図6に示すように、燃料溜まり部44を設ける代わりに、ニードル弁42を中空に形成するとともに該ニードル弁42の壁面に中空部400と燃料通路47を連通させる連通路410を複数設けることにより、前記中空部400を燃料溜まり部44として機能させるようにしてもよい。
この場合、前述した実施例と同様の効果が得られる上、ノズルボディ40の外径を小さく抑えることができるため、車載性が向上するという効果を得ることができる。
また、図7に示すように、燃料供給路48の途中にピストン51を備えた加圧機構52を設け、サブ燃料噴射時に流量調整弁49を閉弁させるとともに加圧機構52により燃料供給路48、燃料通路47、及び燃料溜まり部44内の燃料を圧縮することにより、サブ燃料噴射時の噴射圧を更に高めるようにしてもよい。
その際、サブ燃料噴射の噴射量や筒内圧などに応じて加圧機構52による圧縮率を変更することにより、サブ燃料噴射の噴射圧が変更されるようにしてもよい。
本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。 本実施例における燃料噴射弁の概略構成を示す図である。 本実施例における燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャートである。 パイロット噴射とメイン燃料噴射を行う場合の流量調整弁の開閉タイミングと燃料噴射弁の開閉タイミングと噴射圧とを同一時間軸上に示した図である。 メイン燃料噴射とアフター噴射を行う場合の流量調整弁の開閉タイミングと燃料噴射弁の開閉タイミングと噴射圧とを同一時間軸上に示した図である。 燃料噴射弁の他の構成例1を示す図である。 燃料噴射弁の他の構成例2を示す図である。
符号の説明
1・・・・・内燃機関
4・・・・・燃料噴射弁
5・・・・・燃料供給管
10・・・・ECU
40・・・・ノズルボディ
42・・・・ニードル弁
43・・・・燃料噴射孔
44・・・・燃料溜まり部
47・・・・燃料通路
48・・・・燃料供給路
49・・・・流量調整弁
50・・・・駆動機構

Claims (4)

  1. ニードル弁を進退駆動することにより燃料噴射孔を開閉する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁からメインの燃料噴射とは異なる時期にサブの燃料噴射を行わせる制御装置と、を備える燃料噴射装置であって、
    前記燃料噴射弁は、前記燃料噴射孔の近傍に位置する燃料溜まり部と、前記サブ燃料噴射開始時期の前後から前記メイン燃料噴射開始時期の前後までの所定期間において前記燃料溜まり部へ供給される燃料量を規制する規制部を備えることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1において、前記規制部は、前記燃料溜まり部へ燃料を供給するための燃料供給路の流量を調整する流量調整弁を具備し、前記所定期間に前記流量調整弁の開度を減少させることを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項2において、前記規制部は、内燃機関の運転状態に応じて前記所定期間の長さおよび/または前記流量調整弁の開度を変更することを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 請求項2又は3において、前記規制部は、前記所定期間のうち少なくとも前記サブ燃料噴射の実行期間中は前記流量調整弁を閉弁させることを特徴とする燃料噴射装置。
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