JP2006348347A - 電子部品の表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリント配線板等の端子表面や電子部品の端子表面にウイスカのない錫めっきを付与する表面処理方法を提供する。
【解決手段】有機スルホン酸、有機スルホン酸の2価錫塩及び少なくとも2種の非イオン系界面活性剤を含有するめっき液を用いて、電流密度0.5〜20A/dm2、めっき液温度10〜70℃の条件下に、プリント配線板等の電子部品の端子表面を電気めっきしてウイスカ発生防止性めっき層を形成する。
【解決手段】有機スルホン酸、有機スルホン酸の2価錫塩及び少なくとも2種の非イオン系界面活性剤を含有するめっき液を用いて、電流密度0.5〜20A/dm2、めっき液温度10〜70℃の条件下に、プリント配線板等の電子部品の端子表面を電気めっきしてウイスカ発生防止性めっき層を形成する。
Description
本発明はプリント配線板等の電子部品の表面処理方法に関する。
プリント配線板にコネクタその他の回路部品を実装する等の際に、その端子が低融点のはんだを介して電気的に接続されるが、はんだ濡れ性を良好にするため通常錫系のめっき層が付与されている。錫系のめっき層としてSn−Pd合金めっき層が優れた特性をもつことが知られているが、Pb成分がその毒性から使用を制限されてきていることから、Pbフリーのめっき層の使用が種々検討されている。
しかしPbフリーのめっき層は生成結晶内部にひげ様のウイスカ構造が発生しやすくなるという問題点を有する。このウイスカの発生防止手段としてめっき層の組合せや合金組成の変更やめっき後の処理等種々の提案がなされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、まだ十分なウイスカ発生防止手段が確立されているとはいえない。
本発明の目的は、プリント配線板や各種電子部品の端子表面にウイスカの発生・生長を抑制した錫めっきを付与することのできる表面処理方法を提供することにある。
また、更には、コネクタ嵌合端子において、コネクタ嵌合をしてもウイスカの発生しない錫めっき層を有するプリント配線板を提供することにある。
また、更には、コネクタ嵌合端子において、コネクタ嵌合をしてもウイスカの発生しない錫めっき層を有するプリント配線板を提供することにある。
本発明は、第1に、有機スルホン酸、有機スルホン酸の2価錫塩及び少なくとも2種の非イオン系界面活性剤を含有するめっき液を用いて、電流密度が0.5〜20A/dm2、めっき液温度10〜70℃の条件下に、電子部品を電気めっきしてウイスカ発生防止性めっき層を形成せしめることを特徴とする電子部品の表面処理方法である。
本発明は、第2に、電子部品がプリント配線板である上記の方法である。
本発明は、第3に、非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキレングリコールアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも2種の組合せからなる上記の方法である。
本発明は、第3に、非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキレングリコールアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも2種の組合せからなる上記の方法である。
本発明は、第4に、上記の方法で製造したプリント配線板である。
本発明は、第5に、絶縁ベース材と、該絶縁ベース材上に形成された銅箔からなる回路配線パターンと、該回路配線パターン上に形成されていると共に、回路部品搭載あるいは外部基板接続等に用いられる端子の形成部位に開口を有する表面保護絶縁層とを少なくとも有するプリント配線板において、上記端子の表面は錫電気めっき層を有すると共に、該錫電気めっき層は、錫めっき層の析出結晶粒子の大きさが10μm以上であって、析出結晶粒子の大きさ/錫電気めっき層の膜厚の比が1より大きいことを特徴とするプリント配線板である。
本発明は、第5に、絶縁ベース材と、該絶縁ベース材上に形成された銅箔からなる回路配線パターンと、該回路配線パターン上に形成されていると共に、回路部品搭載あるいは外部基板接続等に用いられる端子の形成部位に開口を有する表面保護絶縁層とを少なくとも有するプリント配線板において、上記端子の表面は錫電気めっき層を有すると共に、該錫電気めっき層は、錫めっき層の析出結晶粒子の大きさが10μm以上であって、析出結晶粒子の大きさ/錫電気めっき層の膜厚の比が1より大きいことを特徴とするプリント配線板である。
本発明の表面処理方法によって、プリント配線板における銅等の導電性金属からなる各種電子部品搭載の為の端子や各種電子部品の端子表面に、その表面から一体となった大きい塊状の析出結晶形状をもち、長期間ウイスカ発生のない錫めっき層を形成できる、この錫めっき層は内部応力が極めて小さく、はんだ濡れ性に優れ、プリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板への適応性に優れている。また、更には、プリント配線板のコネクタ嵌合端子において、コネクタ嵌合をしてもウイスカの発生が無いという特徴を有する。
本発明で用いるめっき浴の第1の必須成分である酸成分を構成する有機スルホン酸、一般式:RSO3H(ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す)で表すことができる。この一般式のRのアルキル基、アリール基の炭素数は1〜10が好ましい。有機スルホン酸の好ましい例を挙げると、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の芳香族スルホン酸等がある。これらのうち、一般式のRがアルキル基のものがより好ましい。これらの酸はめっき液に電気伝導性を与え、錫塩のめっき液への溶解、あるいは、めっき用陽極のめっき液への溶解を促進させる。その添加量はめっき液における添加濃度として通常10〜400g/L程度である。
本発明で用いるめっき浴の第2の必須成分である金属塩は、上記有機スルホン酸の2価錫塩である。この塩は、2価錫の塩または酸化物と所望の有機スルホン酸との反応によって容易に調製することができる。この場合有機スルホン酸と反応させる物質は、生成する金属塩の陰イオン汚染を防止するためにも、2価錫の酸化物の方がより好ましい。めっき浴に添加される金属塩は、陰極に析出する金属イオンの源となる。その添加量はめっき液における添加濃度として通常5〜100g/L程度である。
本発明で用いるめっき浴の第3の必須成分は非イオン系界面活性剤であり、これは少なくとも2種が併用される。それらの例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキレングリコールアルキルエーテル等が好ましく、特に、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C16)エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングルコールメチルエーテル、プロプレングリコールフェニルエーテル等が好ましい。これらは適宜の2種以上が併用される。これらの添加量は2種以上の合計で、めっき液における添加濃度として通常0.5〜50g/L、好ましくは1〜30g/Lである。
本発明で用いるめっき浴には、必要に応じ、上記以外の適宜の有機化合物や2価の錫が4価の錫に酸化するのを防止するための酸化防止剤等を加えることができる。
有機化合物の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリオキザール、アルドール、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ベラトルアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、ナフタルアルデヒド、アセチルアセトン、ベンジリデンアセトン、ベンジリデンアセチルアセトン、アセトフェノン、ベンザルアセトン、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。これらのめっき液における濃度は、通常0.01〜20g/L、好ましくは0.1〜10g/Lである。
錫の酸化を抑制する目的で加える酸化防止剤の例としては、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロカテコール等がある。これらのめっき液における濃度は、通常0.1〜20g/L、好ましくは0.2〜10g/Lである。
本発明では上記のめっき液を用いてフレキシブルプリント配線板等に電気めっきを行うが、この際の電流密度は0.5〜20A/dm2、特に2〜5A/dm2が好ましく、めっき液温度は10〜70℃、特に25℃以上、さらには30℃以上が好ましい。
本発明の方法で得られる錫電気めっき層は、析出結晶粒子の大きさが10μm以上であって、析出結晶粒子の大きさ/錫めっき層の膜厚の比が1より大きく、且つ錫めっき層中にウイスカが発生しないという構造特性を有する。錫層の膜厚は用途等によって異なり、特に制限はないが、5μm以上、通常は10μm以上である。析出結晶粒子の大きさは断面の幅方向の大きさであり、大きいほど好ましい。析出結晶粒子の大きさ/膜厚の比は1以上、特に2以上が好ましい。この錫めっき層中にはウイスカは事実上存在せず、またウイスカの発生ないし生長の原因となりうる微細粒子もほとんど存在しない。
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸100g/L、ポリオキシエチレンドデシルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L、アクリル酸0.3g/L、メタクリル酸0.5g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製した。
フレキシブルプリント配線板の表面素材である銅箔上に、上記めっき液を用いて、電流密度2A/dm2、めっき液温度20℃で電気めっきを行い、めっき皮膜中の応力の発生を調べると共に、コネクタ嵌合におけるウイスカの発生の有無及び析出粒子の大きさを評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合において60μmのウイスカ発生が見られた。また析出結晶粒子の大きさは3〜6μmであった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸100g/L、ポリオキシエチレンノドデシルエーテル10g/L、ジプロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度1A/dm2、めっき液温度30℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合において30μmのウイスカ発生が見られた。また析出結晶粒子の大きさは5〜8μmであった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸100g/L、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L、アクリル酸0.3g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度2A/dm2、めっき液温度40℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合において10μmのウイスカ発生が見られた。また析出結晶粒子の大きさは7〜10μmであった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸200g/L、ポリオキシエチレンノドデシルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L、アクリル酸0.3g/L、メタクリル酸0.5g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度2A/dm2、めっき液温度40℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合においてのウイスカ発生も見られなかった。また析出結晶粒子の大きさは9〜12μmであった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸200g/L、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度2A/dm2、めっき液温度50℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合においてのウイスカ発生も見られなかった。また析出結晶粒子の大きさは11〜15μmであった。ウイスカは2ヶ月以上放置後も認められなかった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸200g/L、ポリオキシエチレンノドデシルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L及びハイドロキノン0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度3A/dm2、めっき液温度40℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合においてのウイスカ発生も見られなかった。また析出結晶粒子の大きさは12〜17μmであった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸200g/L、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L及びハイドロキノン0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度3A/dm2、めっき液温度50℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合においてのウイスカ発生も見られなかった。また析出結晶粒子の大きさは15〜21μmであった。ウイスカは2ヶ月以上放置後も認められなかった。
メタンスルホン酸錫(Sn2+として)30g/L、メタンスルホン酸200g/L、ポリオキシエチレンノドデシルエーテル10g/L、プロピレングリコールメチルエーテル1.5g/L、アクリル酸0.3g/L、メタクリル酸0.5g/L及びカテコール0.7g/Lを含有するめっき液を調製し、電流密度2A/dm2、めっき液温度60℃で電気めっきし、実施例1と同様に評価した。
膜厚10μmのめっき皮膜中の応力は殆ど発生しないが、コネクタ嵌合においてのウイスカ発生も見られなかった。また析出結晶粒子の大きさは18〜25μmであった。ウイスカは2ヶ月以上放置後も認められなかった。
Claims (5)
- 有機スルホン酸、有機スルホン酸の2価錫塩及び少なくとも2種の非イオン系界面活性剤を含有するめっき液を用いて、電流密度0.5〜20A/dm2、めっき液温度10〜70℃の条件下に、電子部品を電気めっきしてウイスカ発生防止性めっき層を形成せしめることを特徴とする電子部品の表面処理方法。
- 電子部品がプリント配線板である請求項1記載の方法。
- 非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキレングリコールアルキルエーテルからなる群から選ばれる2種の組合せからなる請求項1又は2記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法で製造したプリント配線板。
- 絶縁ベース材と、該絶縁ベース材上に形成された銅箔からなる回路配線パターンと、該回路配線パターン上に形成されていると共に、回路部品搭載あるいは外部基板接続等に用いられる端子の形成部位に開口を有する表面保護絶縁層とを少なくとも有するプリント配線板において、上記端子の表面は錫電気めっき層を有すると共に、該錫電気めっき層は、錫めっき層の析出結晶粒子の大きさが10μm以上であって、析出結晶粒子の大きさ/錫電気めっき層の膜厚の比が1より大きいことを特徴とするプリント配線板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005176201A JP2006348347A (ja) | 2005-06-16 | 2005-06-16 | 電子部品の表面処理方法 |
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JP2005176201A JP2006348347A (ja) | 2005-06-16 | 2005-06-16 | 電子部品の表面処理方法 |
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Cited By (3)
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WO2019181906A1 (ja) * | 2018-03-20 | 2019-09-26 | 三菱マテリアル株式会社 | 錫又は錫合金めっき液、及びバンプの形成方法 |
JP2019173162A (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-10 | 三菱マテリアル株式会社 | 錫又は錫合金めっき液及び該液を用いたバンプの形成方法 |
US11053600B2 (en) | 2018-03-20 | 2021-07-06 | Mitsubishi Materials Corporation | Tin or tin alloy plating solution and bump forming method |
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2005
- 2005-06-16 JP JP2005176201A patent/JP2006348347A/ja active Pending
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