JP2006348341A - 溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常に超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することができ、これにより、反応ガスの供給量及び攪拌力を操業条件に応じて最適に制御することができる溶鉄精錬用上吹ランスを提供する。
【解決手段】ベル形の内面形状7aを有する筒体7と、筒体7の内部であってスロート部7b近傍に筒体7の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁8とを有するノズル9を備える溶鉄精錬用上吹ランス6である。弁8の中心軸が筒体7の中心軸に一致するとともに、ノズル9の上方に配置されて外部から入力される信号に応じて弁8を移動させるための駆動機構を備える。膨張扇10を用いた自由膨張により超音速ジェットを形成するため、形成される超音速ジェットは雰囲気圧に必ず一致する。
【選択図】 図3
【解決手段】ベル形の内面形状7aを有する筒体7と、筒体7の内部であってスロート部7b近傍に筒体7の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁8とを有するノズル9を備える溶鉄精錬用上吹ランス6である。弁8の中心軸が筒体7の中心軸に一致するとともに、ノズル9の上方に配置されて外部から入力される信号に応じて弁8を移動させるための駆動機構を備える。膨張扇10を用いた自由膨張により超音速ジェットを形成するため、形成される超音速ジェットは雰囲気圧に必ず一致する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法に関し、具体的には、常に超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することができ、これにより、反応ガスの供給量及び攪拌力を操業条件に応じて最適に制御することができる溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法に関する。
溶鉄を収容する精錬炉において酸素等の反応ガスを上吹きする際、一般的には、超音速ノズルであるラバールノズルを単本又は複数本を内蔵した水冷ランスが用いられる。このようなランスに関しては、これまでも様々な提案がなされている。
例えば特許文献1には、ラバールノズルの中心に円錐状又は末広がり状の棒であるスピンドルを配設し、スロート面積を可変にしたノズルが開示されている。このノズルは、ラバールノズルを基本としてそのスロート面積及び出口面積を規定した末広ノズルであり、強制膨張を利用して超音速ジェットを形成するものである。
特許文献2には、ラバールノズルの外側に環状の吹き出し口を設けたノズルが開示されている。このノズルは2重管を用いて反応ガスの流量を調整しようとするものである。
特許文献3や特許文献4には、形状を改善したラバールノズル(末広ノズル)が開示されているとともに、特許文献5には、酸素の他に可燃性ガスを切り替えて流すことができるランスが開示されている。特許文献3〜5により開示されたものは、いずれも、ラバールノズル(末広ノズル)を用いるものであり、スロート面積及びノズル出口面積を規定するものである。
特公昭47−4770号公報
特開平7−305107公報
特開2002−249816号公報
特開2000−345228号公報
特開2003−268434公報
特許文献3や特許文献4には、形状を改善したラバールノズル(末広ノズル)が開示されているとともに、特許文献5には、酸素の他に可燃性ガスを切り替えて流すことができるランスが開示されている。特許文献3〜5により開示されたものは、いずれも、ラバールノズル(末広ノズル)を用いるものであり、スロート面積及びノズル出口面積を規定するものである。
溶鉄の反応では通常、反応の初期、中期及び末期のそれぞれにおいて反応速度及び反応による溶鉄の攪拌現象が大きく異なる。このため、以前から、反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することによって、溶鉄の精錬プロセスでは特に重要とされる、反応ガスの供給量及び溶鉄攪拌力を最適化したいとの要請が存在する。すなわち、反応ガスの流量を制御するためにはスロート面積及びノズル元圧の調節が必要であるのに対し、溶鉄を攪拌する動力エネルギーを制御するためにはノズル元圧の調節が必要である。したがって、操業の自由度を確保するため、反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することが不可欠である。
しかし、特許文献1〜5により開示された発明では、反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御して反応ガスの供給量及び攪拌力を最適化することは、難しい。
特許文献1により開示されたノズルは、スロート面積及び出口面積を規定した末広ノズルであって強制膨張を利用して超音速ジェットを形成するため、ノズルから出た超音速ジェットの圧力が雰囲気圧に必ずしも一致しないために不適正な超音速ジェットとなり、超音速ジェットが早期に減衰してしまう。
特許文献1により開示されたノズルは、スロート面積及び出口面積を規定した末広ノズルであって強制膨張を利用して超音速ジェットを形成するため、ノズルから出た超音速ジェットの圧力が雰囲気圧に必ずしも一致しないために不適正な超音速ジェットとなり、超音速ジェットが早期に減衰してしまう。
特許文献2により開示されたノズルは、流量調整を行うことはできるが、そもそも環状の超音速ジェットを形成するものではない。
特許文献3〜5により開示されたノズルは、いずれも、ラバールノズル(末広ノズル)を用いるためにスロート面積及びノズル出口面積が規定される。このため、流量を変更しようとするとノズル元圧も変動し、これに応じて、出口圧も変化する。このため、反応ガスの流量及びノズル元圧を独立に制御できず、最適な超音速ジェットが得られない。
特許文献3〜5により開示されたノズルは、いずれも、ラバールノズル(末広ノズル)を用いるためにスロート面積及びノズル出口面積が規定される。このため、流量を変更しようとするとノズル元圧も変動し、これに応じて、出口圧も変化する。このため、反応ガスの流量及びノズル元圧を独立に制御できず、最適な超音速ジェットが得られない。
本発明の目的は、溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法を提供することであり、具体的には、常に超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することができ、これにより、反応ガスの供給量及び攪拌力を操業条件に応じて最適に制御することができる溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法を提供することである。
本発明は、ベル形の内面形状を有する筒体と、この筒体の内部であってスロート部近傍にこの筒体の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁とを有するノズルを備えることを特徴とする溶鉄精錬用上吹ランスである。
別の観点からは、本発明は、ベル形の内面形状を有する筒体と、この筒体の内部であってスロート部近傍にこの筒体の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁とを有するノズルを備える溶鉄精錬用上吹ランスから、反応容器に収容された溶鉄に向けて反応ガスを流送して精錬を行う溶鉄精錬方法であって、この反応容器の内部の状態に応じて、弁を昇降させて弁と筒体の内面との隙間の大きさを調整することにより反応ガスの流量又はノズル元圧を独立して制御することによって、スロッピング及び地金上がりの発生を抑制することを特徴とする溶鉄精錬方法である。
この本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス又は溶鉄精錬方法では、弁の中心軸が、筒体の中心軸に一致することが望ましい。
これらの本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス又は溶鉄精錬方法では、溶鉄精錬用上吹ランスが、ノズルの上方に配置されて、外部から入力される信号に応じて前記弁を移動させるための駆動機構を備えることが望ましい。
これらの本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス又は溶鉄精錬方法では、溶鉄精錬用上吹ランスが、ノズルの上方に配置されて、外部から入力される信号に応じて前記弁を移動させるための駆動機構を備えることが望ましい。
本発明により、常に超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することができ、これにより、反応ガスの供給量及び攪拌力を操業条件に応じて最適に制御することができる。このため、溶鉄の精錬に際して、スロッピング及び地金上がりを防止でき、送酸量の増加及び処理時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本実施の形態で用いる溶鉄精錬用上吹ランスにおける特徴的な構造を説明する。
はじめに、本実施の形態で用いる溶鉄精錬用上吹ランスにおける特徴的な構造を説明する。
図1(a)〜図1(d)は、各種の超音速ノズルの形状例を簡略化して示す略式説明図である。超音速ノズルとしては、図1(a)、図1(b)に示すラバールノズル(円錐形ノズル1、ベル形ノズル2)の他に、図1(c)に示すスパイクノズル3や、スパイクノズル3と同じ原理で超音速膨張をするスロート面積可変膨張ノズル4が知られている。本実施の形態ではこのスロート面積可変膨張ノズル4を、溶鉄精錬用上吹ランスに適用する。
一般的に、溶鉄精錬用上吹ランスのノズルからの超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら、反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御するためには、このノズルのスロート面積を可変にすることが有効である。このため、本実施の形態では、図2に示すような、一般に多孔ラバールノズルによって構成される公知のランス5ではなく、図3に示す、環状の噴出孔を有するスロート面積可変膨張ノズル9によって構成されるランス6を用いる。
この本実施の形態の溶鉄精錬用上吹ランス6は、ベル形の内面形状7aを有する筒体7と、この筒体7の内部であってスロート部7bの近傍にこの筒体7の中心軸の方向(図3上図における上下方向)へ移動可能に配置される弁8とを有するスロート面積可変膨張ノズル9を備える。
この弁8の中心軸が筒体7の中心軸に一致するように、弁8は筒体7の内部に配置される。また、ノズル9の上方に配置されて、外部から入力される信号に応じて弁8を筒体7の中心軸の方向(図3上図における上下方向)へ移動させるための駆動機構(図示しない)が設けられている。
スロート面積可変膨張ノズル9の内部中心に配置された弁8の弁体8aと、筒体7の内面7aとの間隙が、ラバールノズルのスロート面積に相当する。そこで、この弁8を筒体7に対して相対的に上昇させ、この隙間を小さくすることにより、スロート面積を小さくすることができる。このように、本実施の形態のスロート面積可変膨張ノズル9では、弁8を筒体7に対して昇降させることにより、スロート面積を容易に変化させることができる。
図1(a)に示す円錐形ノズル1や図1(b)に示すベル形ノズル2では、出口面積が規定され、強制膨張により超音速ジェットを形成するのに対し、本実施の形態のスロート面積可変膨張ノズル9は、図3に示すように、膨張扇10を利用して雰囲気圧に一致するまでの自由膨張により超音速ジェットを形成する。すなわち、スロート面積可変膨張ノズル9は、スロート面積は規定するものの出口面積を規定しないノズルであり、膨張扇10を用いた自由膨張により超音速ジェットを形成するものである。このため、形成される超音速ジェットは雰囲気圧に必ず一致する。このように、スロート面積可変膨張ノズル9は、スロート面積が可変であり、かつ出口が自由であるため、雰囲気圧に最適な超音速ジェットを形成することができる。
次に、このスロート面積可変膨張ノズル9を有する溶鉄精錬用上吹ランス6を用いて、溶鉄の精錬を行う状況を説明する。
溶鉄の精錬に広く用いられている転炉プロセスにおける最も重要な反応の一つは、溶鉄精錬用上吹ランスから超音速ジェットにより酸素を溶鉄に吹き付けることにより、溶鉄に含有される炭素、燐又は珪素を燃焼(酸化)除去することである。これまで、この酸素上吹ランスとして、図2に示す、ラバールノズルを複数個装着したランス5が慣用されている。このラバールノズルは溶鉄表面に広範囲にわたって酸素を行き渡らせるために用いられる。
溶鉄の精錬に広く用いられている転炉プロセスにおける最も重要な反応の一つは、溶鉄精錬用上吹ランスから超音速ジェットにより酸素を溶鉄に吹き付けることにより、溶鉄に含有される炭素、燐又は珪素を燃焼(酸化)除去することである。これまで、この酸素上吹ランスとして、図2に示す、ラバールノズルを複数個装着したランス5が慣用されている。このラバールノズルは溶鉄表面に広範囲にわたって酸素を行き渡らせるために用いられる。
この反応は、初期と中期さらには末期で反応による溶鉄の挙動が異なるため、各段階で酸素流量を一般に変化させる必要がある。具体的には、反応の初期には酸素流量を高めるが、スピッティングを抑えるため送酸圧は低く抑制する。一方、反応の末期になると、地金上がりを防ぎたいので、むしろ、酸素流量を低くし、送酸圧を高めて溶鉄の攪拌を強化する。このような流量変化に併せて、本来、スロート面積を変化させることにより送酸圧力、即ち溶鉄攪拌動力を変化させる必要がある。
しかし、一般のラバールノズルでは送酸量を低くするとこれに伴って送酸圧が低下し、一方、送酸量を高めるには送酸圧を高めなければならず、送酸量又は送酸圧を独立して制御することはできなかった。
スロート面積を可変とした特許文献1に記載されたラバールノズルも、本質的に末広ノズルであるため、ジェットの出口圧力はスロート面積とノズル出口面積及びガス流量に応じて決定される。このため、形成される超音速ジェットの出口圧力を雰囲気圧に一致させることは難しく、不適正な超音速ジェットとなり、その減衰が早まるという問題がある。
これに対し、スロート面積可変膨張ノズル9は、膨張扇10を利用して雰囲気圧に一致するまでの自由膨張により超音速ジェットを形成するため、上述したように、常に、ジェットの出口圧が雰囲気圧に一致する。
図4は、スロート面積可変膨張ノズル9を設計するための基本説明図である。
このスロート面積可変膨張ノズル9の超音速ジェット形成過程は、原理的には、膨張扇10を利用するものである。すなわち、図4に示すようにスロート(最も狭いMach=1となる位置、図4の記号OA)から気体膨張が始まる。角を持つ点Oを中心に膨張扇OBが回転しながら気体が膨張するとともに速度(Mach数)を上げ、気流の方向はOAの方向からOPの方向へと変化する。このOAとOPのなす角θとMach数Mとの間には、(1)式に示す関係がある。
θ=[(γ+1)/(γ−1)]1/2tan−1[{(γ−1)×(M2−1)}/(γ+1)]−tan−1(M2−1) ・・・・・(1)
(1)式において、γはガスの比熱比(−)を示し、MはMach数(−)を示す。
このスロート面積可変膨張ノズル9の超音速ジェット形成過程は、原理的には、膨張扇10を利用するものである。すなわち、図4に示すようにスロート(最も狭いMach=1となる位置、図4の記号OA)から気体膨張が始まる。角を持つ点Oを中心に膨張扇OBが回転しながら気体が膨張するとともに速度(Mach数)を上げ、気流の方向はOAの方向からOPの方向へと変化する。このOAとOPのなす角θとMach数Mとの間には、(1)式に示す関係がある。
θ=[(γ+1)/(γ−1)]1/2tan−1[{(γ−1)×(M2−1)}/(γ+1)]−tan−1(M2−1) ・・・・・(1)
(1)式において、γはガスの比熱比(−)を示し、MはMach数(−)を示す。
また、ジェットの流れの方向OPと膨張線OBとの角度μは、Mach数と(2)式に示す関係にある。
μ=sin−1(1/M) ・・・・・(2)
すなわち、スロート部のようにMach数=1の膨張線は、(2)式に従って流れの方向と直交(μ=90度)する。
μ=sin−1(1/M) ・・・・・(2)
すなわち、スロート部のようにMach数=1の膨張線は、(2)式に従って流れの方向と直交(μ=90度)する。
気体の膨張に伴って、この流れの方向が変化するので、この流れの方向に沿って筒体7の内面7aの形状を決定する。
実際のランス6では、最終的には超音速ジェットの流れ方向を垂線から約15度傾斜した方向に向けるため、スロート部分での図4のOB線の方向を31.4度傾斜した方向に設定すれば、超音速ジェットの流れの方向は加速しながら、丁度、超音速ジェットの流れの圧力が垂線から約15度傾斜方向を向いた時に雰囲気圧と一致し、自由膨張が停止する。ジェットのガスは一般に酸素であり、この酸素ガスジェットが転炉の炉壁にあたると、その炉壁を酸化溶損させるため、ジェットが直接転炉の炉壁に衝突しないように設定する必要があり、このジェットの方向である傾斜角15度はこのように設定された角度である。すなわち、この設定角度は転炉の大きさや転炉に入れる溶鋼の量によっても異なって決められる。
実際のランス6では、最終的には超音速ジェットの流れ方向を垂線から約15度傾斜した方向に向けるため、スロート部分での図4のOB線の方向を31.4度傾斜した方向に設定すれば、超音速ジェットの流れの方向は加速しながら、丁度、超音速ジェットの流れの圧力が垂線から約15度傾斜方向を向いた時に雰囲気圧と一致し、自由膨張が停止する。ジェットのガスは一般に酸素であり、この酸素ガスジェットが転炉の炉壁にあたると、その炉壁を酸化溶損させるため、ジェットが直接転炉の炉壁に衝突しないように設定する必要があり、このジェットの方向である傾斜角15度はこのように設定された角度である。すなわち、この設定角度は転炉の大きさや転炉に入れる溶鋼の量によっても異なって決められる。
以上のように、スロート部から順番に膨張扇10を回転させながら超音速ジェットの流れの方向に沿って、筒体7の内面7aの形状を決定することができる。
このように、気体の膨張は雰囲気圧Patmと、加速された超音速ジェットの圧力が等しくなるまで続くが、その時の最大Mach数Mmaxと雰囲気圧Patmと元圧P0とは、(3)次に示す関係にある。
Mmax=[{2/(γ−1)}×{(P0/Patm)(γ−1)/γ−1}]1/2 ・・・・・(3)
この(3)式により示すように、最大Mach数Mmaxが元圧P0と雰囲気圧Patmとによって決定されることが、自由膨張の特徴である。
このように、気体の膨張は雰囲気圧Patmと、加速された超音速ジェットの圧力が等しくなるまで続くが、その時の最大Mach数Mmaxと雰囲気圧Patmと元圧P0とは、(3)次に示す関係にある。
Mmax=[{2/(γ−1)}×{(P0/Patm)(γ−1)/γ−1}]1/2 ・・・・・(3)
この(3)式により示すように、最大Mach数Mmaxが元圧P0と雰囲気圧Patmとによって決定されることが、自由膨張の特徴である。
質量流量Gは、(4)式に示すように、スロート面積Sと元圧P0とに比例して増加する。
G=S・P0×[γ・g/(R・T0)・{2/(γ+1)}(γ+1)/(γ−1)]1/2 ・・・・・(4)
(4)式において、gは重力加速度を示し、Rは気体常数を示し、T0は元圧での気体温度(K)を示す。
G=S・P0×[γ・g/(R・T0)・{2/(γ+1)}(γ+1)/(γ−1)]1/2 ・・・・・(4)
(4)式において、gは重力加速度を示し、Rは気体常数を示し、T0は元圧での気体温度(K)を示す。
この内面7aの形状の下で、弁8の昇降により流量を変化させることも可能であり、この結果、同じ流量でも元圧P0を上昇させ、かつMach数を上昇させることや、逆に、元圧P0を低下させ、Mach数を下降させることが、可能となる。
溶鉄の精錬反応においては、これまでも、浴の攪拌動力と反応ガス流量との独立な制御がプロセスの効率を向上するには有効であったが、従来のノズルには、このような弁8の昇降のみでスロート面積を変更できるようなものはなく、スロート面積が可変であっても強制膨張であるために出口面積によって決定された超音速ジェットの出口圧となるため、炉内の雰囲気圧とは必ずしも一致しなかった。
しかし、本実施の形態のスロート面積可変膨張ノズル9を有するランス6を用いることにより、膨張扇10を利用する自由膨張により超音速ジェットを形成するため、従来の末広ノズルのような出口面積に相当するものがなく、雰囲気圧に等しくなるまで膨張が継続される。したがって、スロート面積をどのように変化させても必ず超音速ジェットの出口圧は雰囲気圧に一致する。この結果、反応ガス量Gと攪拌エネルギー(元圧P0)とを操業中に単独で変更しながら、形成される超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧と常に一致させることができる。
このように、本実施の形態により、構造的に非常に簡単であって、かつ、ガス流量と元圧とを自由に選択することができる、スロート面積可変膨張ノズル9を有する溶鉄精錬用上吹ランス6が提供される。
したがって、本実施の形態に係る溶鉄精錬用上吹ランス6及び溶鉄精錬方法により、常に超音速ジェットの出口圧を雰囲気圧に一致させながら反応ガスの流量やノズル元圧を独立に制御することができ、これにより、反応ガスの供給量及び攪拌力を操業条件に応じて最適に制御することができる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
(i)実施方法
本発明を、250トン転炉(直径約7.5m)において適用した実施例を説明する。平均的な溶銑成分はC:4.7質量%、Si:0.35質量%であり、スラグ重量は55kg/pig−tである。また、ランス〜浴面間距離は3mである。
(i)実施方法
本発明を、250トン転炉(直径約7.5m)において適用した実施例を説明する。平均的な溶銑成分はC:4.7質量%、Si:0.35質量%であり、スラグ重量は55kg/pig−tである。また、ランス〜浴面間距離は3mである。
図5は、本実施例で用いたスロート面積可変膨張ノズル9の形状を示すグラフである。
この溶銑に、図5に示す軸方向距離及び半径方向距離の形状を有するスロート面積可変膨張ノズル9を備える本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス6を用いて、酸素50.000Nm3/hにて脱炭処理した。図5に示す位置に弁8が存在する際のスロート面積は8.626mm2であり、開度100%である。
この溶銑に、図5に示す軸方向距離及び半径方向距離の形状を有するスロート面積可変膨張ノズル9を備える本発明に係る溶鉄精錬用上吹ランス6を用いて、酸素50.000Nm3/hにて脱炭処理した。図5に示す位置に弁8が存在する際のスロート面積は8.626mm2であり、開度100%である。
弁8は水冷構造であり、操業中に弁8を筒体7に対して相対的かつ機械的に昇降させてこのスロート間隔を調整することによりスロート面積を変化させる。弁8の機械的な上下機構は、ランス6の根元上端部に配置されている。
元圧一定の条件で弁8を下降させると、スロート面積が大きくなり、流量が増加する。逆に弁8を上昇させると流量が減少する。弁8を動かさずに元圧を上昇させると、流量が増え、攪拌動力が増加する。このように、本実施例の溶鉄精錬用上吹ランス6を用いれば、ソフトブローもハードブローも1本で行うことができる。
なお、図5右図には、形成された超音速ジェットの各軸方向距離におけるマッハ数の一例を、グラフで示す。
(ii)実施条件
従来のラバールランス(直径42.8mm、6孔)を用いて脱炭した場合(脱炭初期のスロッピング発生に対応して送酸量を45.000Nm3/hに低下させてスタートし、中期には100%の送酸量(50.000Nm3/h)を確保し、末期には地金上がりのため送酸量を低下させる(45.000Nm3/h))と、スロート面積可変膨張ノズル9を有する溶鉄精錬用上吹ランス6を用いて脱炭の初期から末期まで流量50.000Nm3/h一定で元圧を変化させた場合とを比較した。
(ii)実施条件
従来のラバールランス(直径42.8mm、6孔)を用いて脱炭した場合(脱炭初期のスロッピング発生に対応して送酸量を45.000Nm3/hに低下させてスタートし、中期には100%の送酸量(50.000Nm3/h)を確保し、末期には地金上がりのため送酸量を低下させる(45.000Nm3/h))と、スロート面積可変膨張ノズル9を有する溶鉄精錬用上吹ランス6を用いて脱炭の初期から末期まで流量50.000Nm3/h一定で元圧を変化させた場合とを比較した。
すなわち、スロート面積可変膨張ノズル9を有する溶鉄精錬用上吹ランス6本では、初期には開度100%、元圧8.6kgf/cm2Gにて操業した結果、ソフトブローとなり、スロッピングが抑制された。その後、末期に向かうにつれ、スロート面積を90%、流量50.000Nm3/h、元圧9.6kgf/cm2Gにした結果、ハードブローになり攪拌が強化されたため地金上がりが抑制された。
開度の調整は、弁8を昇降することにより操業中に行った。すなわち、図5の筒体7は水冷構造であり、また弁も水冷構造をなしており、中心軸を同じくして相対的に移動するようになっており、その弁の相対的な移動はランスの上部にて機械的に行われ、操業室から遠隔操作できるようになっている。
なお、この時の底吹きN2流量は11Nm3/hで一定である。
(iii)評価方法
転炉では吹錬時間の短縮が課題であり、送酸量をできるだけ多くすることが効果的である。上記の2つのランスの操業条件はスロッピングの発生及び地金上がりによる操業停止を避け得る最大送酸量から決定されたものである。
(iv)結果及び効果
図6に、従来のランス及び本発明に係るランスを用いた時の操業結果(送酸速度、吹錬時間、スロッピング比率)を、比較してグラフで示す。
(iii)評価方法
転炉では吹錬時間の短縮が課題であり、送酸量をできるだけ多くすることが効果的である。上記の2つのランスの操業条件はスロッピングの発生及び地金上がりによる操業停止を避け得る最大送酸量から決定されたものである。
(iv)結果及び効果
図6に、従来のランス及び本発明に係るランスを用いた時の操業結果(送酸速度、吹錬時間、スロッピング比率)を、比較してグラフで示す。
従来のランスでの平均送酸量が47.000Nm3/hに対し、本発明に係るランスでは弁開度制御により50.000Nm3/hが可能となった。その結果として吹錬時間(処理時間)が16分間から15分間へと短縮した。本発明により、特にスロッピング比率を10%超低下できた。
1 円錐形ノズル
2 ベル形ノズル
3 スパイクノズル
4 スロート面積可変膨張ノズル
5 多孔ラバールノズルによって構成されるランス
6 実施の形態の溶鉄精錬用上吹ランス
7 筒体
7a ベル形の内面形状
7b スロート部
8 弁
8a 弁体
9 スロート面積可変膨張ノズル
10 膨張扇
2 ベル形ノズル
3 スパイクノズル
4 スロート面積可変膨張ノズル
5 多孔ラバールノズルによって構成されるランス
6 実施の形態の溶鉄精錬用上吹ランス
7 筒体
7a ベル形の内面形状
7b スロート部
8 弁
8a 弁体
9 スロート面積可変膨張ノズル
10 膨張扇
Claims (4)
- ベル形の内面形状を有する筒体と、該筒体の内部であってスロート部近傍に該筒体の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁とを有するノズルを備えることを特徴とする溶鉄精錬用上吹ランス。
- 前記弁の中心軸は、前記筒体の中心軸に一致する請求項1に記載された溶鉄精錬用上吹ランス。
- 前記ノズルの上方に配置されて、外部から入力される信号に応じて前記弁を移動させるための駆動機構を備える請求項1又は請求項2に記載された溶鉄精錬用上吹ランス。
- ベル形の内面形状を有する筒体と、該筒体の内部であってスロート部近傍に該筒体の中心軸の方向へ移動可能に配置される弁とを有するノズルを備える溶鉄精錬用上吹ランスから、反応容器に収容された溶鉄に向けて反応ガスを流送して精錬を行う溶鉄精錬方法であって、該反応容器の内部の状態に応じて、前記弁を昇降させて前記弁と前記筒体の内面との隙間の大きさを調整することにより前記反応ガスの流量又はノズル元圧を独立して制御することによって、スロッピング及び地金上がりの発生を抑制することを特徴とする溶鉄精錬方法。
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JP2005175129A JP2006348341A (ja) | 2005-06-15 | 2005-06-15 | 溶鉄精錬用上吹ランス及び溶鉄精錬方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016079422A (ja) * | 2014-10-10 | 2016-05-16 | 新日鐵住金株式会社 | Rh真空脱ガス設備の上吹きランス装置 |
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2005
- 2005-06-15 JP JP2005175129A patent/JP2006348341A/ja active Pending
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