JP2006348135A - ポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた塗料、摺動部コーティング塗料バインダー - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた塗料、摺動部コーティング塗料バインダーに関するものである。
ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れているため、各種の基材のコート剤として広く使用され、例えば、エナメル線用ワニス、耐熱塗料などとして使用されている。しかし、この優れた特性を得るためには、通常250℃以上で硬化を行わなければならない。さらに、硬化後に基材を変形加工することがあり、基材の加工により密着性を損なわないために柔軟な構造が必要であるが、従来のポリアミドイミドは硬く基材の加工により密着性が低下する問題が生じる。
本発明は、ポリアミドイミド樹脂が有する耐熱性を保持し、汎用のポリアミドイミド樹脂より柔軟な特性を有し、低温硬化が可能で基材の加工により密着性の低下しにくいポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた塗料、摺動部コーティング塗料バインダーを提供するものである。
本発明は、(1) (a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体、(b)一般式(I)又は一般式(II)で表されるジカルボン酸及び(c)芳香族ポリイソシアネートの混合物を反応させて得られたポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(2) ポリアミドイミド樹脂が、(a)と(b)の配合割合(a)/(b)が当量比で0.99/0.01〜0.5/0.5であり、(a)と(b)のカルボキシル基及び酸無水物基の総数に対する(c)のイソシアネート基の総数の比が0.6〜1.4であり、(b)一般式(I)の式中R1がHであり、R2がシアノ基又はカルボキシル基である混合物を反応させて得られたポリアミドイミド樹脂である上記(1)に記載のポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(3) ポリアミドイミド樹脂が、数平均分子量9,000〜90,000のものである上記(1)または上記(2)に記載のポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(4) ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、さらに多官能エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びメラミン化合物の群より選ばれる少なくとも1種以上を1〜40重量部含有する上記(1)ないし上記(3)のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(5) 上記(1)ないし上記(4)のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を塗料成分としてなる塗料に関する。
また、本発明は、(6) 上記(1)ないし上記(4)のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を用いた摺動部コーティング塗料バインダーに関する。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを使用した塗料を用いれば、低温での硬化が可能で、ポリアミドイミド樹脂組成物及び耐熱性塗料、摺動部コーティング塗料バインダーに好適である。
本発明のポリアミドイミド樹脂の製造に用いられる(a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体としては、例えば一般式(IV)及び(V)で示す化合物を使用することができ、イソシアネート基又はアミノ基と反応する酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体であればよく、特に制限はない。耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
また、これらのほかに必要に応じて、テトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、m−タ−フェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸二無水物等)、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)などを使用することができる。
本発明において、(b)ジカルボン酸としては、一般式(I)で表されるジカルボン酸のみ、又は一般式(II)で表されるジカルボン酸のみを用いてもよいし、両者を併用してもよい。
本発明における(b)一般式(I)で表されるジカルボン酸としては、例えば、日本曹達株式会社製 Nisso−PBシリーズ、宇部興産株式会社製 Hycar−RLPシリーズ(CTBN1300X9等)、Thiokol社製 HC−polymerシリーズ、General Tire社製 Telagenシリーズ、Phillips Petroleum社製 Butaretzシリーズ等が挙げられる。これらは目的に応じて単独又は混合して用いられる。
一般式(I)中、a+b+cは0〜80の整数であり、5〜70の整数とすることが好ましく、10〜60の整数とすることがより好ましい。a+b+cが0では、可とう性が低下する傾向があり、80を超えると耐熱性、反応性が低下する傾向がある。式中、a/bは1/0〜0/1であり、1/0〜0.2/0.8とすることが好ましく、1/0〜0.4/0.6とすることがより好ましく、0.9/0.1〜0.4/0.6とすることが特に好ましい。a/bが1/0となると溶解性が低下する傾向にあり、0/1となると耐熱性が低下する傾向がある。
一般式(1)中(a+b)/cは、1/0〜0/1であり、0.95/0.05〜0.2/0.8とすることが好ましく、0.9/0.1〜0.4/0.6とすることがより好ましい。(a+b)/cが0/1となると耐熱性が低下する傾向にあり、1/0となると溶解性、密着性が低下する傾向にある。
一般式(II)中、d+e+fは0〜80の整数であり、5〜70の整数とすることが好ましく、10〜60の整数とすることがより好ましい。d+e+fが0では、可とう性が低下する傾向があり、80を超えると耐熱性、反応性が低下する傾向がある。式中、d/eは1/0〜0/1であり、1/0〜0.2/0.8とすることが好ましく、1/0〜0.4/0.6とすることがより好ましく、0.9/0.1〜0.4/0.6とすることが特に好ましい。d/eが1/0となると溶解性が低下する傾向にあり、0/1となると耐熱性が低下する傾向がある。式中、(d+e)/fは、1/0〜0/1であり、0.95/0.05〜0.2/0.8とすることが好ましく、0.9/0.1〜0.4/0.6とすることがより好ましい。(d+e)/fが0/1となると耐熱性が低下する傾向にあり、1/0となると溶解性、密着性が低下する傾向にある。
一般式(I)及び(II)中、R1及びR2は、密着性、溶解性、作業性及びコスト等のバランスを考慮すれば、R1が水素、R2がシアノ基及び/又はカルボキシル基であることが特に好ましい。
本発明における(c)芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等を使用することができる。これらを単独でもこれらを組み合わせて使用することもできる。必要に応じてこの一部としてヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
また、経日変化を避けるために必要な場合ブロック剤でイソシアネート基を安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としてはアルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面等のバランスを考慮すれば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明における(a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体、(b)一般式(I)又は(II)で表されるジカルボン酸の配合割合(a)/(b)は、当量比で、0.99/0.01〜0.5/0.5とすることが好ましく、0.95/0.05〜0.8/0.2とすることがより好ましく、0.92/0.08〜0.9/0.1とすることが特に好ましい。0.99/0.01未満では、可とう性及び密着性が低下する傾向があり、0.5/0.5を超えると、耐熱性が低下する傾向がある。
(c)芳香族ポリイソシアネートの配合割合は、(a)と(b)のカルボキシル基及び酸無水物基の総数に対する(c)のイソシアネート基の総数の比が0.6〜1.4となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。0.6未満又は1.4を超えると、樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
(1)本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は、例えば次の製造法で得ることができる。
酸成分(a)及び(b)とイソシアネート成分(c)とを一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
(2)酸成分(b)とイソシアネート成分(c)の過剰量とを反応させて末端にイソシアネート基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分(a)を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
(3)酸成分(a)の過剰量とイソシアネート成分(c)を反応させて末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分(b)とイソシアネート成分(c)を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
酸成分(a)及び(b)とイソシアネート成分(c)とを一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
(2)酸成分(b)とイソシアネート成分(c)の過剰量とを反応させて末端にイソシアネート基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分(a)を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
(3)酸成分(a)の過剰量とイソシアネート成分(c)を反応させて末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分(b)とイソシアネート成分(c)を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
このようにして得られたポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は9,000〜90,000のものであることが好ましい。数平均分子量が9,000未満であると、塗料としたときの造膜性が悪くなる傾向があり、90,000を超えると、塗料として適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が高くなり、塗装時の作業性が劣る傾向がある。このことから、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、9,000〜70,000にすることがより好ましい。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、樹脂合成時にサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより上記範囲に管理される。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、樹脂合成時にサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより上記範囲に管理される。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂とともに、多官能エポキシ樹脂化合物、ポリイソシアネート化合物及びメラミン化合物の群より少なくとも1種類を含有する。配合量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、1〜40重量部とすることが好ましい。この量が1重量部未満となると、密着性向上効果が小さくなり、40重量部を超えると、塗膜の耐熱性が著しく低下する傾向にあり、さらに塗膜強度の低下を示す。多官能エポキシ樹脂化合物、ポリイソシアネート化合物及びメラミン化合物の配合量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し、1〜40重量部とすることがより好ましく、5〜30重量部とすることが特に好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、N−メチル−2−ピロリドン、N,Nジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミド及びγ―ブチロラクトン等の極性溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの溶媒に溶解され、適当な粘度に調整して塗料とことができる。塗料とする場合、一般に固形分は10〜50重量%とされる。
通常のポリアミドイミド樹脂組成物は、乾燥及び硬化のために熱処理され、少なくとも230℃以上で20分の加熱が必要である。これは、低温で硬化させると溶剤が残り、基材を保護する塗膜特性が劣る可能性がある。また、230℃以下の硬化では、塗膜の硬化が不十分で、極性溶媒に溶解又は膨じゅんする可能性がある。本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、160〜220℃で20分〜60分の乾燥・硬化することができる。加熱時間は20分以下であると塗膜に残存溶媒がのこり、基材に塗布された塗膜の特性が劣ることがあり、60分以上では、長期に熱を加えることにより、塗料として固体潤滑剤等を加えたときに副反応を起こすことがあり、塗膜の特性を劣化させることがある。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X13[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]105.0g(0.0モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート15.0g(0.06モル)、N−メチル−2−ピロリドン270.0gを仕込み、120℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸186.4g(0.97モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート235.3g(0.94モル)、N−メチル−2−ピロリドン1355.1gを仕込み130℃で約3時間反応させて、不揮発分25重量%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
(実施例1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X13[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]105.0g(0.0モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート15.0g(0.06モル)、N−メチル−2−ピロリドン270.0gを仕込み、120℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸186.4g(0.97モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート235.3g(0.94モル)、N−メチル−2−ピロリドン1355.1gを仕込み130℃で約3時間反応させて、不揮発分25重量%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
(実施例2)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X9[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]175.0g(0.05モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.0g(0.10モル)、N−メチル−2−ピロリドン234.4gを仕込み、140℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸182.5g(0.95モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート225.3g(0.90モル)、N−メチル−2−ピロリドン677.3gを仕込み130℃で3時間反応させて、不揮発分40重量%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X9[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]175.0g(0.05モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.0g(0.10モル)、N−メチル−2−ピロリドン234.4gを仕込み、140℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸182.5g(0.95モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート225.3g(0.90モル)、N−メチル−2−ピロリドン677.3gを仕込み130℃で3時間反応させて、不揮発分40重量%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
(実施例3)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた3リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X13[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]280.0g(0.08モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート50.1g(0.16モル)、N−メチル−2−ピロリドン495.2gを仕込み、130℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸176.7g(0.92モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート210.2g(0.84モル)、N−メチル−2−ピロリドン580.4gを仕込み130℃で4時間反応させて、不揮発分40重量%のポリアミドイミド溶液を得た。
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた3リットル四つ口フラスコに(b)成分としてのCTBN1300X13[宇部興産株式会社製商品名、一般式(I)のa+b+c=63、a/b=1/0、(a+b)/c=0.83/0.17、R1=H、R2=−CN(わずかに−COOHが結合している)]280.0g(0.08モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート50.1g(0.16モル)、N−メチル−2−ピロリドン495.2gを仕込み、130℃まで昇温し、約3時間反応させる。更に、この反応液に(a)成分としての無水トリメリット酸176.7g(0.92モル)、(c)成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート210.2g(0.84モル)、N−メチル−2−ピロリドン580.4gを仕込み130℃で4時間反応させて、不揮発分40重量%のポリアミドイミド溶液を得た。
(比較例1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(a)成分としての無水トリメリット酸192.1g(1.00モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート255.3g(1.02モル)及びN−メチル−2−ピロリドン1043.9gを仕込み、130℃まで昇温し、4時間反応させて、不揮発分重量30%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(a)成分としての無水トリメリット酸192.1g(1.00モル)、(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート255.3g(1.02モル)及びN−メチル−2−ピロリドン1043.9gを仕込み、130℃まで昇温し、4時間反応させて、不揮発分重量30%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
(比較例2)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(a)成分としての無水トリメリット酸153.7g(0.80モル)、イソフタル酸33.2g(0.2モル)(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.00モル)及びN−メチル−2−ピロリドン1020.1gを仕込み、130℃まで昇温し、4時間反応させて、不揮発分重量30%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに(a)成分としての無水トリメリット酸153.7g(0.80モル)、イソフタル酸33.2g(0.2モル)(c)成分としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.00モル)及びN−メチル−2−ピロリドン1020.1gを仕込み、130℃まで昇温し、4時間反応させて、不揮発分重量30%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
試験例
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたポリアミドイミド樹脂100重量部に対してビスフェノールA型エポキシ樹脂を15加え、180℃で30分加熱処理を行った。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたポリアミドイミド樹脂100重量部に対してビスフェノールA型エポキシ樹脂を15加え、180℃で30分加熱処理を行った。
実施例で示される評価は以下の方法で測定した。
(1)外観:目視により、塗膜の濁り、表面の肌荒れを調べた。
(2)機械的特性:ポリアミドイミド樹脂溶液をガラス板に塗布し、加熱して得られたフィルムを膜厚20μm、幅10mm、チャック間20mmに調整し、引張り速度5mm/minで引張り試験を行い、引張り強度、弾性率及び伸び率の測定を行った。
(3)密着性(クロスカット試験):JIS D0202に準じて試験を行った。
(4)鉛筆硬度:JIS K5400に準拠して測定した。
(5)硬化性:ポリアミドイミド樹脂組成物を20×50mmの鋼板上に膜厚が20μmになるように塗布した後、180℃で30分熱処理をした。これを、N−メチル−2−ピロリドン中に1時間浸漬した後に下記の式より抽出率を求めた。
抽出率=[1−(浸漬後の乾燥塗膜/浸漬前の乾燥塗膜)]×100%
(1)外観:目視により、塗膜の濁り、表面の肌荒れを調べた。
(2)機械的特性:ポリアミドイミド樹脂溶液をガラス板に塗布し、加熱して得られたフィルムを膜厚20μm、幅10mm、チャック間20mmに調整し、引張り速度5mm/minで引張り試験を行い、引張り強度、弾性率及び伸び率の測定を行った。
(3)密着性(クロスカット試験):JIS D0202に準じて試験を行った。
(4)鉛筆硬度:JIS K5400に準拠して測定した。
(5)硬化性:ポリアミドイミド樹脂組成物を20×50mmの鋼板上に膜厚が20μmになるように塗布した後、180℃で30分熱処理をした。これを、N−メチル−2−ピロリドン中に1時間浸漬した後に下記の式より抽出率を求めた。
抽出率=[1−(浸漬後の乾燥塗膜/浸漬前の乾燥塗膜)]×100%
表1に示した結果から、本発明の実施例で得られたポリアミドイミド樹脂組成物は、低温で硬化した場合でも密着性及び抽出率が優れている。塗膜の硬度は実施例2、3が比較例1、2より劣る。また、実施例1、2、3で得られたポリアミドイミド樹脂は、比較例1、2で得られたポリアミドイミド樹脂より機械的特性は引張り強度及び弾性率が低く、伸び率が優れることから柔軟性が優れている。
本発明の耐熱性樹脂組成物及び塗料を用いれば、低温での硬化が可能で、ポリアミドイミド樹脂組成物及び耐熱性塗料、摺動部コーティング塗料バインダーに好適である。
本発明の耐熱性樹脂組成物及び塗料を用いれば、低温での硬化が可能で、ポリアミドイミド樹脂組成物及び耐熱性塗料、摺動部コーティング塗料バインダーに好適である。
Claims (6)
- (a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体、(b)一般式(I)又は一般式(II)で表されるジカルボン酸及び(c)芳香族ポリイソシアネートの混合物を反応させて得られたポリアミドイミド樹脂組成物。
- ポリアミドイミド樹脂が、(a)と(b)の配合割合(a)/(b)が当量比で0.99/0.01〜0.5/0.5であり、(a)と(b)のカルボキシル基及び酸無水物基の総数に対する(c)のイソシアネート基の総数の比が0.6〜1.4であり、(b)一般式(I)の式中R1がHであり、R2がシアノ基又はカルボキシル基である混合物を反応させて得られたポリアミドイミド樹脂である請求項1に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
- ポリアミドイミド樹脂が、数平均分子量9,000〜90,000のものである請求項1または請求項2に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
- ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、さらに多官能エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びメラミン化合物の群より選ばれる少なくとも1種以上を1〜40重量部含有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を塗料成分としてなる塗料。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を用いた摺動部コーティング塗料バインダー。
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JP2011012220A (ja) * | 2009-07-06 | 2011-01-20 | Hitachi Chem Co Ltd | 低温硬化低弾性率ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂組成物、塗料及び摺動部コーティング塗料 |
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JPH1112499A (ja) * | 1997-06-20 | 1999-01-19 | Hitachi Chem Co Ltd | 耐湿熱性変性ポリアミドイミド樹脂ペースト及びこれを用いた電子部品 |
-
2005
- 2005-06-15 JP JP2005174937A patent/JP2006348135A/ja active Pending
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