JP2006343066A - 保冷装置 - Google Patents
保冷装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006343066A JP2006343066A JP2005171089A JP2005171089A JP2006343066A JP 2006343066 A JP2006343066 A JP 2006343066A JP 2005171089 A JP2005171089 A JP 2005171089A JP 2005171089 A JP2005171089 A JP 2005171089A JP 2006343066 A JP2006343066 A JP 2006343066A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- container
- capsule
- temperature
- cold
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】 構造が単純な保冷装置によって過冷却を簡易かつ低コストで阻止する。
【解決手段】 第一の液体(11)が充填されて密封された第一の容器(10)と、第一の容器(10)内に配置された第二の容器(20)とを具備し、第二の容器(20)には第一の液体(11)よりも凝固温度の高い第二の液体(21)が充填されて密封されており、第二の容器(20)の少なくとも一部分は、第二の液体(21)が少なくとも部分的に通過可能であると共に第一の液体(11)が通過不能である膜(31)から形成されている保冷装置が提供される。第二の容器(20)の一部分の残りの部分のうちの少なくとも一部分は、第二の容器(20)の体積変化を吸収できる弾性膜(32)から形成されていてもよい。なお、好ましい実施形態においては、第一の液体(11)は塩化ナトリウム水溶液であり、第二の液体(21)は純水である。
【選択図】 図1
【解決手段】 第一の液体(11)が充填されて密封された第一の容器(10)と、第一の容器(10)内に配置された第二の容器(20)とを具備し、第二の容器(20)には第一の液体(11)よりも凝固温度の高い第二の液体(21)が充填されて密封されており、第二の容器(20)の少なくとも一部分は、第二の液体(21)が少なくとも部分的に通過可能であると共に第一の液体(11)が通過不能である膜(31)から形成されている保冷装置が提供される。第二の容器(20)の一部分の残りの部分のうちの少なくとも一部分は、第二の容器(20)の体積変化を吸収できる弾性膜(32)から形成されていてもよい。なお、好ましい実施形態においては、第一の液体(11)は塩化ナトリウム水溶液であり、第二の液体(21)は純水である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば食料品などの物質を保冷する保冷装置に関する。
従来、予め冷却された保冷装置を例えばクーラーボックス内に配置することにより、クーラーボックス内の物質、例えば食料品を保冷することが行われている。このような保冷装置においては、保冷装置を予め冷却するのに必要とされるエネルギを低減するために、保冷装置の過冷度を小さくすることが望まれている。
過冷度を小さくするために、保冷装置を構成する水の中に、水の結晶構造に近い物質、例えばヨウ化銀を混入することが知られている。また、特許文献1においては、例えば保冷装置の水の中に他の物質、例えば二リン酸四ナトリウム+水化物やリン酸水素ナトリウムのような成核剤を更に加え、それにより、過冷度を小さくすることが開示されている。同様に、特許文献2においては例えばペンタデカン中に特定の界面活性剤、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロライドを添加することが開示されている。
また、特許文献3〜特許文献6においては、過冷却を少なくすることのできる装置が開示されている。
特開2004−149796号公報
特開2003−261866号公報
特開2002−333292号公報
特開2002−316001号公報
特開2002−147908号公報
特開2001−194079号公報
しかしながら、近年においては環境保護のための種々の規制が存在するので、ヨウ化銀もしくは特許文献1または特許文献2において使用される添加剤などの有害物質を含んだ従来技術の保冷装置を単に廃棄することはできず、また、これら保冷装置の有害物質を処理するためにはかなりのコストが必要とされる。
また、特許文献3〜特許文献6に開示されるような過冷却を少なくする装置はその構造が複雑であるために、コスト高の要因になりうる。
さらに、外部から超音波を当てることにより、同様な目的を果たす装置も存在するが、この場合には超音波発生装置を別途必要とするのでコスト高になる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、構造が単純であって過冷却を簡易かつ低コストで阻止することができる保冷装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために1番目に記載の発明によれば、第一の液体が充填されて密封された第一の容器と、該第一の容器内に配置された第二の容器とを具備し、該第二の容器には前記第一の液体よりも凝固温度の高い第二の液体が充填されて密封されており、前記第二の容器の少なくとも一部分は、前記第二の液体が少なくとも部分的に通過可能であると共に前記第一の液体が通過不能である膜から形成されている保冷装置が提供される。
すなわち1番目の発明においては、第一の液体が凝固可能な温度まで保冷装置が冷却されると、膜を通じて第一の液体内あるいは膜表面に進入して既に凝固した第二の液体が第一の液体中において氷核となり、第一の液体はこの氷核から凝固開始するようになる。その結果、過冷却を生じさせることなしに、第一の液体を凝固させられる。それゆえ、1番目の発明においては、過冷却を簡易に阻止すると共に、冷凍機などによって保冷装置を冷却するのに必要とされるエネルギを低減できる。また、1番目の発明においては、第一の容器内に第二の容器を配置した構成で足りるので、保冷装置の構造を単純にできる上に超音波発生装置などの外的装置が不要であるので、低コストで済む。また、第一および/または第二の容器は袋タイプ、マットタイプ、パッケージタイプなどのあらゆる形態をとりうるものとする。なお、第二の容器の膜は浸透膜またはイオン交換膜であるのが好ましい。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記第二の容器の前記一部分の残りの部分のうちの少なくとも一部分は、前記第二の容器の体積変化を吸収できる弾性膜から形成されている。
すなわち2番目の発明においては、第二の液体の凝固に伴う第二の容器の体積変化を容易に吸収すると共に、第一の容器と第二の容器との間の圧力差によって第二の液体が第一の容器内に必要以上に流出するのを防止できる。弾性膜は例えばゴムなどから形成されるのが好ましい。
すなわち2番目の発明においては、第二の液体の凝固に伴う第二の容器の体積変化を容易に吸収すると共に、第一の容器と第二の容器との間の圧力差によって第二の液体が第一の容器内に必要以上に流出するのを防止できる。弾性膜は例えばゴムなどから形成されるのが好ましい。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記第一の容器には気泡が配置される。
すなわち3番目の発明においては、第一の液体の凝固に伴う第一の容器の体積変化を容易かつ安価に吸収することができる。
すなわち3番目の発明においては、第一の液体の凝固に伴う第一の容器の体積変化を容易かつ安価に吸収することができる。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記第二の液体は、前記第一の液体の氷核となりうる結晶構造を有している。
すなわち4番目の発明においては、第一の液体と第二の液体とのそれぞれの結晶構造が互いに類似していれば十分であるので、比較的簡易な構成により保冷装置を形成することができる。
すなわち4番目の発明においては、第一の液体と第二の液体とのそれぞれの結晶構造が互いに類似していれば十分であるので、比較的簡易な構成により保冷装置を形成することができる。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記第一の液体が金属塩水溶液、好ましくは塩化ナトリウム水溶液であり、前記第二の液体が水または純水であるようにした。
すなわち5番目の発明においては、保冷装置の廃棄時に、第一の液体および第二の液体をそのまま廃棄でき、液体の処理に伴うコストを排除できる。
すなわち5番目の発明においては、保冷装置の廃棄時に、第一の液体および第二の液体をそのまま廃棄でき、液体の処理に伴うコストを排除できる。
各発明によれば、構造が単純であって過冷却を簡易かつ低コストで阻止することができるという共通の効果を奏しうる。
さらに、2番目の発明によれば、第二の液体の凝固に伴う第二の容器の体積変化を容易に吸収すると共に、第二の液体が第一の容器内に必要以上に流出するのを防止できるという効果を奏しうる。
さらに、3番目の発明によれば、第一の液体の凝固に伴う第一の容器の体積変化を容易かつ安価に吸収することができるという効果を奏しうる。
さらに、4番目の発明によれば、比較的簡易な構成により保冷装置を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、5番目の発明によれば、第一の液体および第二の液体をそのまま廃棄できるという効果を奏しうる。
さらに、3番目の発明によれば、第一の液体の凝固に伴う第一の容器の体積変化を容易かつ安価に吸収することができるという効果を奏しうる。
さらに、4番目の発明によれば、比較的簡易な構成により保冷装置を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、5番目の発明によれば、第一の液体および第二の液体をそのまま廃棄できるという効果を奏しうる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づく保冷装置の概念図である。図1に示される保冷装置1は略直方体のケーシング10とこのケーシング10内に配置されたカプセル20とを含んでいる。ケーシング10は比較的硬質の材料、例えばプラスチックから形成されている。このケーシング10は第一液体11によって充填されていて、周知の方法により密封されている。図1に示されるように、密封後のケーシング10内には気泡35が残るようにしてもよい。この場合には、ケーシング10における第一液体11の凝固に基づく第一液体11の体積変化が気泡35によって容易に吸収される。
図1は本発明に基づく保冷装置の概念図である。図1に示される保冷装置1は略直方体のケーシング10とこのケーシング10内に配置されたカプセル20とを含んでいる。ケーシング10は比較的硬質の材料、例えばプラスチックから形成されている。このケーシング10は第一液体11によって充填されていて、周知の方法により密封されている。図1に示されるように、密封後のケーシング10内には気泡35が残るようにしてもよい。この場合には、ケーシング10における第一液体11の凝固に基づく第一液体11の体積変化が気泡35によって容易に吸収される。
図1においては、カプセル20は二つの端面31、32を備えた略円筒形状の部材である。そして、カプセル20には第二液体21が充填されていて、周知な方法で同様に密封されている。カプセル20を形成する材料は、第二液体21を含むカプセル20がケーシング10の第一液体11中を浮遊できるように選択されるのが好ましい。
カプセル20に充填される第二液体21およびケーシング10に充填される第一液体11については、第二液体21の凝固温度は第一液体11の凝固温度よりも高い。これら第一液体11および第二液体21の結晶構造は、第一液体11がその凝固温度に到達したときに既に凝固している第二液体21が第一液体11の氷核となる程度に互いに類似している。或る実施形態においては、ケーシング10内の第一液体11は金属塩水溶液、好ましくは塩化ナトリウム水溶液(15.8wt%)であり、カプセル20内の第二液体21は純水である。しかしながら、結晶構造が前述したように類似していて第二液体21の凝固温度が第一液体11の凝固温度よりも高くなるようなあらゆる二つの液体を第一液体11および第二液体21として採用できるものとする。
また、図1に示されるカプセル20の一方の端面31は膜から形成されており、他方の端面32は弾性膜から形成されている。以下、これら膜および弾性膜をそれぞれ膜31および弾性膜32と適宜呼ぶこととする。膜31は例えば浸透膜またはイオン交換膜から形成されている。この膜31は、カプセル20内の第二液体21を通過させられるものの、ケーシング10内の第一液体11を通過不能にする性質を有している。あるいは、膜31の浸透性は、凝固した第二液体21の分子の一部が膜31からケーシング10内に突出できる程度であってもよい。また、カプセル20の他方の端面を構成する弾性膜32は例えばゴムなどから形成される膜であり、カプセル20内部と外部との間の圧力差により伸縮するようになっている。
なお、図1を参照して説明した実施形態においては、ケーシング10は直方体であってカプセル20が略円筒形状のカプセルになっている。しかしながら、ケーシング10およびカプセル20の形状は図示されるものに限定されず、ケーシング10およびカプセル20が袋タイプ、マットタイプ、パッケージタイプなどの液体を封止可能なあらゆる形状をとりうる。カプセル20の形状が異なる場合には、膜31および弾性膜32はカプセル20の端面を構成するとは限らないが、これら膜31および弾性膜32はカプセル20の一部分を構成するものとする。なお、カプセル20が膜31および弾性膜32のみによって形成されていてもよい。また、図示しない実施形態においては、ケーシング10が膜31および弾性膜32からなる隔離壁により仕切られていて一方の空間に第一液体11が充填されると共に、他方の空間に第二液体21が充填されていてもよい。
本発明に基づく保冷装置1は、従来技術の保冷装置と同様に使用前に予め冷却しておく必要がある。以下、冷却時における従来技術の保冷装置および本発明に基づく保冷装置1の挙動について説明する。
はじめに、従来技術の保冷装置の冷却時の挙動について説明する。従来技術の保冷装置は図1に示される保冷装置1とほぼ同様の構成であるが、従来技術の保冷装置は第二液体21を包含するカプセル20を有していない。なお、従来技術の保冷装置のケーシング内には第一の液体、この場合には塩化ナトリウム水溶液(15.8wt%)が充填されているものとする。図2は従来技術の保冷装置における塩化ナトリウム水溶液の温度と時間との関係を示す図である。図2においては、横軸は保冷装置を冷却開始してからの経過時間(秒)を示している。また、縦軸はケーシング内に配置された図示しない熱電対によって検出される第一液体の温度を示している。なお、図2は塩化ナトリウム水溶液の温度と時間との関係を一つの例としてのみ示すものであり、従来技術において図2に示される関係が常に得られるわけではないことに留意されたい。
図2における実線X1により示されるように、従来技術の保冷装置を冷却速度0.72℃/minで冷却すると、塩化ナトリウム水溶液の温度は時間の経過と共に線形的に低下する。そして、塩化ナトリウム水溶液の温度は該塩化ナトリウム水溶液の凝固温度FP(−12.1℃)を越え、さらに塩化ナトリウム水溶液の凍結温度(共晶温度)EP(−21.2℃)を越えて低下する。次いで、塩化ナトリウム水溶液の温度は直線A1(−30.6℃)において急激に上昇してピークP1を形成して再び低下する。その後、塩化ナトリウム水溶液の温度は直線B1(−40.0℃)において再び同様なピークQ1を形成して再度低下する。
すなわち、従来技術の保冷装置においては直線A1および直線B1がピークの形成開始位置になる。このようなピークの形成開始位置はそれぞれ過冷却によって低下した凝固温度および凍結温度を意味することが分かっている。従って、最初のピークP1によって、従来技術の保冷装置における凝固過冷度FP−A1は{−12.1−(−30.6)}=18.5Kであることが分かる。同様に、後のピークQ1によって、凍結過冷度EP−B1は{−21.2−(−40.0)}=18.8Kであることが分かる。
次いで、本発明に基づく保冷装置1における塩化ナトリウム水溶液および純水の温度と時間との関係を示す図である図3を参照しつつ、本発明に基づく保冷装置1の冷却時の挙動について説明する。図3においては、横軸は保冷装置1を冷却開始してからの経過時間(秒)を示している。また、縦軸はケーシング10およびカプセル20内にそれぞれ配置された図示しない熱電対によって検出される第一液体11すなわち塩化ナトリウム水溶液の温度と、第二液体21すなわち純水の温度とを示している。なお、図3は塩化ナトリウム水溶液および純水の温度と時間との関係を一つの例としてのみ示すものであり、図3に示される関係が常に得られるわけではないことに留意されたい。例えば装置の形状等が異なる場合には異なる関係が得られうる。また、初期には、保冷装置1は平衡状態にあり、カプセル20内の第二液体21は膜31を通じてケーシング10内に流出しないものとする。
図3に示されるように、本発明に基づく保冷装置1を同様に冷却速度0.72℃/minで冷却すると、カプセル20内の第二液体21すなわち純水の温度は破線Y2により示されるように時間の経過と共に低下する。図3においては、純水の温度は塩化ナトリウム水溶液の凝固温度FP付近でピークを形成した後、時間の経過と共に概ね線形的に低下する。
一方、ケーシング10内の第一液体11、この場合には塩化ナトリウム水溶液の温度は実線X2により示されるように、時間の経過と共に線形的に低下する。そして、塩化ナトリウム水溶液の温度は凝固温度FP(−12.1℃)を越えてさらに低下し、直線A2(−17.0℃)において急激に上昇してピークP2を形成した後で再び低下する。次いで、塩化ナトリウム水溶液の温度は塩化ナトリウム水溶液の共晶温度EP(−21.2℃)を越えて低下した後、直線B2(−32.0℃)において再びピークQ2を形成して再度低下する。
従って、本発明に基づく保冷装置1における凝固過冷度FP−A2は、最初のピークP2によって、{−12.1−(−17.0)}=4.9Kであることが分かる。同様に、後のピークQ2によって、凍結過冷度EP−B2は{−21.2−(−32.0)}=10.8Kであることが分かる。このため、従来技術の保冷装置と比較すると、本発明に基づく保冷装置1を使用することによって、凝固過冷度は18.5Kから4.9Kまで低下すると共に、凍結過冷度は18.8Kから10.8Kまで低下したことが分かる。
本発明に基づく保冷装置1を用いることによって凝固過冷度および凍結過冷度が低下するのは、以下のようにして説明される。
前述したように第二液体21の凝固温度は第一液体11の凝固温度よりも高いので、ケーシング10内の第一液体11、この場合には塩化ナトリウム水溶液がその凝固温度(FP)まで低下したときには、カプセル20内の第二液体21、この場合には純水は既に凝固している。そして、カプセル20において凝固した純水は膜31を通じてケーシング10に進入する。あるいは、凝固した純水の分子の少なくとも一部分は膜31からケーシング10内に突出するようになる。膜31を通じてケーシング10に進入した凝固純水または膜31からケーシング10内に突出した凝固純水の分子の一部分は、ケーシング10において第一液体11のための氷核となる。従って、第一液体11はこの氷核から凝固開始し、それにより、第一液体11の凝固が促進されるようになる。このため、本発明においては、過冷却の発生が抑制され、従って、凝固過冷度および凍結過冷度が低下するようになる。
それゆえ、本発明においては、保冷装置1を冷却する際に必要とされるエネルギを低減でき、保冷装置1を冷却する冷却装置、例えば冷凍機の負荷を軽減させられる。また、本発明に基づく保冷装置1はケーシング10およびカプセル20のみを備える構成であるために、特許文献3〜特許文献6に開示されるような装置と比較して構造が極めて単純となる。さらに、本発明の保冷装置1においては、超音波発生装置などの外的装置が不要である。これらのことから本発明の保冷装置1を、従来技術の場合よりも低コストで冷却することができる。
なお、カプセル20内の第二液体21の凝固時には、カプセル20の弾性膜32は第二液体21の凝固に伴うカプセル20の体積変化を容易に吸収する役目を果たしうる。その結果、弾性膜32はカプセル20内外の圧力差によってカプセル20内の第二液体21が必要以上に流出するのを抑制する。
さらに、本発明の前述した実施形態においては、保冷装置1には第一液体11としての塩化ナトリウム水溶液と第二液体21としての純水のみしか充填されておらず、従来技術の保冷装置のように有害物質を使用していない。従って、本発明においては保冷装置1に使用される第一液体11および第二液体21をそのまま廃棄することが可能である。しかしながら、凝固を促進するために、ケーシング10の第一液体11内に氷核生成物質としての添加剤を混入するようにしてもよい。また、純水を使用する代わりに、カプセル20内の第二液体21として、水道水を使用するようにしてもよい。この場合には、凝固過冷度および凍結過冷度をさらに低減することが可能となる。
また、図示しない実施形態においては、複数の保冷装置1からなる四つの壁部を形成し、これら壁部を直方体状に配置してもよい。この場合には、四つの壁部により形成される空間に食料品などの物質を配置することが可能である。
1 保冷装置
10 ケーシング
11 第一液体
20 カプセル
21 第二液体
31 膜
32 弾性膜
35 気泡
FP−A1 従来技術の凝固過冷度
FP−A2 本発明の凝固過冷度
EP−B1 従来技術の凍結過冷度
EP−B2 本発明の凍結過冷度
10 ケーシング
11 第一液体
20 カプセル
21 第二液体
31 膜
32 弾性膜
35 気泡
FP−A1 従来技術の凝固過冷度
FP−A2 本発明の凝固過冷度
EP−B1 従来技術の凍結過冷度
EP−B2 本発明の凍結過冷度
Claims (5)
- 第一の液体(11)が充填されて密封された第一の容器(10)と、
該第一の容器(10)内に配置された第二の容器(20)とを具備し、該第二の容器(20)には前記第一の液体(11)よりも凝固温度の高い第二の液体(21)が充填されて密封されており、
前記第二の容器(20)の少なくとも一部分は、前記第二の液体(21)が少なくとも部分的に通過可能であると共に前記第一の液体(11)が通過不能である膜(31)から形成されている保冷装置。 - 前記第二の容器(20)の前記一部分の残りの部分のうちの少なくとも一部分は、前記第二の容器(20)の体積変化を吸収できる弾性膜(32)から形成されている請求項1に記載の保冷装置。
- 前記第一の容器(10)には気泡(35)が配置される請求項1または2に記載の保冷装置。
- 前記第二の液体(21)は、前記第一の液体(11)の氷核となりうる結晶構造を有している請求項1から3のいずれか一項に記載の保冷装置。
- 前記第一の液体(11)が金属塩水溶液であり、前記第二の液体(21)が水または純水であるようにした請求項1から4のいずれか一項に記載の保冷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005171089A JP2006343066A (ja) | 2005-06-10 | 2005-06-10 | 保冷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005171089A JP2006343066A (ja) | 2005-06-10 | 2005-06-10 | 保冷装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006343066A true JP2006343066A (ja) | 2006-12-21 |
Family
ID=37640156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005171089A Pending JP2006343066A (ja) | 2005-06-10 | 2005-06-10 | 保冷装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006343066A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013050228A (ja) * | 2011-08-30 | 2013-03-14 | Tokyo Institute Of Technology | 蓄冷体 |
JP2015045452A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 国立大学法人東京工業大学 | 蓄冷体 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52149659A (en) * | 1976-06-08 | 1977-12-12 | Mitsubishi Electric Corp | Regerative tank |
JPS54102297A (en) * | 1978-01-30 | 1979-08-11 | Mitsubishi Electric Corp | Regenerator |
JPS63197882A (ja) * | 1987-02-13 | 1988-08-16 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 水化物形潜熱蓄熱材の過冷却状態を崩壊する方法 |
JPH0572350A (ja) * | 1991-09-12 | 1993-03-26 | Niigata Denki Kk | 凍結深度計 |
JP2001336892A (ja) * | 2000-05-30 | 2001-12-07 | Is Engineers:Kk | 蓄熱体及びその氷蓄熱槽 |
JP2002514738A (ja) * | 1998-05-11 | 2002-05-21 | インテグラル・エネルギーテヒニク・ゲーエムベーハー | 反復的凍結および融解用の氷充填蓄冷装置 |
-
2005
- 2005-06-10 JP JP2005171089A patent/JP2006343066A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52149659A (en) * | 1976-06-08 | 1977-12-12 | Mitsubishi Electric Corp | Regerative tank |
JPS54102297A (en) * | 1978-01-30 | 1979-08-11 | Mitsubishi Electric Corp | Regenerator |
JPS63197882A (ja) * | 1987-02-13 | 1988-08-16 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 水化物形潜熱蓄熱材の過冷却状態を崩壊する方法 |
JPH0572350A (ja) * | 1991-09-12 | 1993-03-26 | Niigata Denki Kk | 凍結深度計 |
JP2002514738A (ja) * | 1998-05-11 | 2002-05-21 | インテグラル・エネルギーテヒニク・ゲーエムベーハー | 反復的凍結および融解用の氷充填蓄冷装置 |
JP2001336892A (ja) * | 2000-05-30 | 2001-12-07 | Is Engineers:Kk | 蓄熱体及びその氷蓄熱槽 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013050228A (ja) * | 2011-08-30 | 2013-03-14 | Tokyo Institute Of Technology | 蓄冷体 |
JP2015045452A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 国立大学法人東京工業大学 | 蓄冷体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200248057A1 (en) | Latent heat storage material, cold storage pack, cooling container, logistic packaging container, and cooling unit | |
WO2015079891A1 (ja) | 蓄熱材、及びそれを用いた蓄熱部材、保管容器、輸送・保管容器、建材、建築物 | |
CN105556224A (zh) | 制冷装置及方法 | |
WO2010055621A1 (ja) | 沸騰冷却装置 | |
JP2006343066A (ja) | 保冷装置 | |
JP6864742B2 (ja) | 蓄冷材および蓄冷パック | |
JP6723266B2 (ja) | 蓄熱材、これを用いた冷蔵庫および保冷容器 | |
JP6663508B2 (ja) | 蓄熱材、保冷具、物流梱包容器および保冷ユニット | |
JP6219653B2 (ja) | 保冷具 | |
JP6745287B2 (ja) | 蓄熱材、これを用いた蓄熱パック、恒温容器および輸送用容器 | |
DE102010023564A1 (de) | Kühlvorrichtung | |
JP2017015309A (ja) | 蓄熱材充填容器、及び蓄熱槽 | |
JP2020020497A (ja) | 潜熱蓄熱材組成物 | |
JP2981890B1 (ja) | 蓄熱装置およびその装置における熱管理方法 | |
JP6045944B2 (ja) | 蓄熱材 | |
JP2594801B2 (ja) | 蓄冷剤 | |
JP2009051905A (ja) | 包接水和物を生成する性質を有する水溶液、第四級アンモニウム塩をゲスト化合物とする包接水和物及び当該包接水和物のスラリ並びに、包接水和物の生成方法、包接水和物が生成又は成長する速度を増加させる方法及び包接水和物が生成又は成長する際に起こる過冷却現象を防止又は抑制する方法 | |
JP2009079159A (ja) | 包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 | |
JP3475901B2 (ja) | 水和数の異なる水和物スラリの生成装置 | |
JP6046524B2 (ja) | 蓄熱材 | |
WO2024106296A1 (ja) | 蓄冷材組成物およびその利用 | |
EP3652265A1 (en) | Thermal accumulator | |
JP5590102B2 (ja) | 包接水和物の蓄熱速度の増加方法、包接水和物が生成又は成長する速度の増加方法、包接水和物及び包接水和物のスラリ | |
JP2020134087A (ja) | 蓄冷装置 | |
JP2023117942A (ja) | 過冷却解消装置及び蓄冷体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080605 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101109 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101130 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110329 |