JP2006342022A - SiOタブレットの製造方法、及びSiOタブレット - Google Patents
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Abstract
【課題】 良質で圧壊の生じるおそれが低いSiOタブレットを量産性高く製造する。
【解決手段】 一次焼成済みのSiOタブレットを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。或いは、SiO粉末を加圧成形した後、大気炉で1000℃未満の温度で一次焼成し、一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。或いは、SiO粉末を加圧成形した後、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で焼成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 一次焼成済みのSiOタブレットを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。或いは、SiO粉末を加圧成形した後、大気炉で1000℃未満の温度で一次焼成し、一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。或いは、SiO粉末を加圧成形した後、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で焼成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、成膜材料としてのSiOタブレットの製造方法、及びSiOタブレットに関する。
基材への成膜方法として、例えば特許文献1に開示されているように、反応性プラズマ蒸着を利用した方法がある。特許文献1に開示の成膜方法では、蒸着材料として、SiO(一酸化珪素)タブレットが用いられている。SiOタブレットは、円筒体からなる水冷銅るつぼに下方から連続的に供給され、先端部がプラズマの熱により昇華する。
一般に、SiOタブレットは、1000℃以下の温度で焼成して生成される。なお、特許文献1では、SiOタブレットは、10MPa以上のプレス圧力、1200〜1350℃の温度条件で、ホットプレスにより生成されている。
国際公開WO2003/010112号パンフレット
しかしながら、1000℃未満の温度で焼成して生成されたSiOタブレットは、るつぼに連続的に供給して突き上げたときに、圧壊を生じることがあった。これに対し、1000℃以上の温度で焼成したのでは、タブレットの強度は向上するものの、SiOの一部が酸化されてしまって、良質なSiOタブレットを得られなかった。一方、特許文献1に開示のようにしてホットプレスによりSiOタブレットを製造したのでは、量産性が悪く、コストの上昇を招くという問題があった。
本発明は、上記した事情に鑑みて為されたものであり、良質で圧壊の生じるおそれが低いSiOタブレットを量産性高く製造することを課題とする。
本発明に係るSiOタブレットの製造方法は、一次焼成済みのSiOタブレットを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する、ことを特徴とする。
この方法では、一次焼成済みのSiOタブレットを1000℃以上の温度で二次焼成することにより、SiOタブレットの強度を高めて、圧壊の生じるおそれを低減することができる。また、二次焼成の温度が1390℃以下であるため、二次焼成の前後におけるSiOタブレットの体積変化を抑制することができる。また、真空或いは不活性ガス雰囲気下において二次焼成するため、酸化を抑制して良質なSiOタブレットを得ることができる。更に、ホットプレスのように二次焼成において加圧することが無いため、量産性を高めることができる。
上記一次焼成済みのSiOタブレットの圧縮強度は、3.5MPa未満であると好ましい。このようにすれば、圧縮強度が3.5MPa未満であって圧壊を生じやすい一般に生成されるSiOタブレットであっても、二次焼成により圧壊を生じないように強度を高めることができる。
本発明に係るSiOタブレットの製造方法は、SiO粉末を加圧成形した後、大気炉で1000℃未満の温度で一次焼成し、一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する、ことを特徴とする。
この方法では、1000℃未満の温度で一次焼成して得た一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上の温度で二次焼成することにより、SiOタブレットの強度を高めて、圧壊の生じるおそれを低減することができる。また、二次焼成の温度が1390℃以下であるため、二次焼成の前後におけるSiOタブレットの体積変化を抑制することができる。また、1000℃未満の温度で一次焼成し、且つ、真空或いは不活性ガス雰囲気下において二次焼成するため、酸化を抑制して良質なSiOタブレットを得ることができる。また、ホットプレスのように一次焼成及び二次焼成において加圧することが無いため、量産性を高めることができる。また、二次焼成のみで焼成することなく、一次焼成と二次焼成との2段階に分けて焼成することにより、焼成時におけるSiOタブレットの割れを抑制して歩留まりを向上させることができる。更に、時間がかかる一次焼成を大気炉で焼成することにより、量産性向上とコスト低減を図ることができる。
本発明に係るSiOタブレットの製造方法は、SiO粉末を加圧成形した後、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で焼成する、ことを特徴とする。
この方法では、SiO粉末を加圧成形したものを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上の温度で焼成することにより、SiOタブレットの強度を高めて、圧壊の生じるおそれを低減することができる。また、焼成の温度が1390℃以下であるため、焼成の前後におけるSiOタブレットの体積変化を抑制することができる。また、真空或いは不活性ガス雰囲気下において焼成するため、酸化を抑制して良質なSiOタブレットを得ることができる。また、ホットプレスのように焼成において加圧することが無いため、量産性を高めることができる。更に、一度に焼成することにより、効率化を図ることができる。
本発明に係るSiOタブレットは、圧縮強度が3.5MPa以上であり、嵩密度が1.2g/cm3以上1.8g/cm3以下である、ことを特徴とする。
このSiOタブレットは、嵩密度が1.2g/cm3以上であり圧縮強度が3.5MPa以上であるため、圧壊の生じるおそれを低減することができる。また、嵩密度が1.8g/cm3以下であるため、熱衝撃による割れや蒸散しにくくなることを抑制することができる。
本発明によれば、良質で圧壊の生じるおそれが低いSiOタブレットを量産性高く製造することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係るSiOタブレットの製造方法及びSiOタブレットについて説明する前に、SiOタブレットを使用する成膜装置の一形態について説明する。図1は、成膜装置の構成を示す側面断面図である。成膜装置1は、いわゆるイオンプレーティング法を用いた成膜装置である。なお、図1には、説明を容易にする為にXYZ直交座標系も示されている。
成膜装置1は、搬送機構3、主陽極4、プラズマ源5、補助陽極6、及び真空容器10を備えている。真空容器10は、成膜対象であるガラス基板等の基板11を搬送するための搬送路10aと、成膜材料Maを拡散させて基板11の表面に付着させる成膜室10bと、プラズマ源5から照射されるプラズマPを真空容器10内へ受け入れるプラズマ口10cと、酸素等の雰囲気ガスを真空容器10内部へ導入するためのガス供給口10d、10eと、成膜室10b内の残余ガスを排気する排気口10fとを有する。
搬送機構3は、真空容器10の搬送路10a内に設置された複数の搬送ローラ31と、基板11を保持する基板保持部材32とを有している。
プラズマ源5は、圧力勾配型であり、その本体部分が成膜室10bの側壁のプラズマ口10cに設けられている。プラズマ源5において生成されたプラズマPは、プラズマ口10cから成膜室10b内へ出射される。
主陽極4は、成膜材料Maを保持するための材料保持部である。主陽極4は、真空容器10の成膜室10b内の下部に設けられている。主陽極4は、プラズマ源5から出射されたプラズマPを成膜材料Maへ導くハース41を有する。ハース41は、接地電位である真空容器10に対して正電位に保たれており、プラズマPを吸引する。このプラズマPが入射するハース41の中央部には、成膜材料Maを装填するための貫通孔が形成されている。そして、成膜材料Maの先端部分が、基板方向に向けて露出している。補助陽極6は、ハース41の周囲に配置され、プラズマPの誘導を補助する。
この成膜装置1では、ハース41にプラズマPが照射されると、ハース41が加熱されることで、成膜材料Maの先端部分が蒸発して成膜材料粒子Mbとなる。さらに成膜材料粒子Mbは、プラズマPによりイオン化され、成膜室10bの上方へ移動し、基板11の表面に付着する。なお、成膜材料Maは、主陽極4の下方から連続的に供給され、常に先端部分がハース41の上端との所定位置を保つように、主陽極4の下方から押し出される。
本実施形態に係るSiOタブレットの製造方法は、上記した成膜材料MaとしてのSiOタブレットを製造する方法である。
本実施形態に係るSiOタブレットの製造方法では、一次焼成済みのSiOタブレットを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。
一次焼成済みのSiOタブレットは、例えば、一般に1000℃未満の温度で生成されたタブレットである。このSiOタブレットは、例えば高さが10mm〜50mmであって、直径が10mm〜40mmである円形断面を有する柱状物である。そして、圧縮強度が3.5MPa未満(市販のものは2MPa程度)である。
ここで、圧縮強度が3.5MPa未満のSiOタブレットは、強度が不足しているため、上記した成膜装置1のハース41を通して突き上げるときに、圧壊を生じることがある。そこで、本実施形態では、この一次焼成済みのSiOタブレットを、上記のように二次焼成する。
二次焼成において、真空或いは不活性ガス雰囲気下としたのは、酸素分圧を1000Pa以下、好ましくは100Pa以下とすることで、SiOタブレットの酸化を十分に抑制するためである。不活性ガスとしては、例えばN2(窒素)やAr(アルゴン)を使用することができる。
焼成温度を1000℃以上としたのは、SiOタブレットの圧縮強度を向上させるためである。また1390℃以下としたのは、二次焼成の前後におけるSiOタブレットの体積変化を抑制するためである。焼成温度は、好ましくは1100℃以上1200℃以下である。また、焼成のための昇温速度は、3℃/分程度が好適である。
二次焼成は、ホットプレスのように特に加圧することなく、1時間程度の時間をかけて焼成するのが好ましい。
このようにして生成されるSiOタブレットは、嵩密度が1.2g/cm3以上であり圧縮強度が3.5MPa以上であるため、圧壊の生じるおそれを低減することができる。また、嵩密度が1.8g/cm3以下であるため、熱衝撃による割れや蒸散しにくくなることを抑制することができる。なお、生成されるSiOタブレットの圧縮強度は、50MPa以下であると好ましい。このようにすれば、SiOタブレットが若干位置ズレしたとき、タブレットが僅かに削れながらも突き上げが維持でき、装置の故障を防止することができる。
以上本実施形態では、一次焼成済みのSiOタブレットを1000℃以上の温度で二次焼成しているため、SiOタブレットの圧縮強度を高めて、圧壊の生じるおそれを低減することができる。これにより、成膜時におけるスムーズな材料供給を連続して行うことが可能となり、長期間の安定した運転が可能になる。
また、二次焼成の温度を1390℃以下としているため、二次焼成の前後におけるSiOタブレットの体積変化を抑制することができる。このようにして、SiOタブレットの収縮による異形化を防止することで、ハース41内への材料供給時におけるSiOタブレットの引っかかりを防止することができ、また単位時間当たりの蒸発量を均一に保つことができる。
また、真空或いは不活性ガス雰囲気下において二次焼成しているため、酸化を抑制して良質なSiOタブレットを得ることができる。
更に、ホットプレスのように二次焼成において加圧することが無いため、量産性を高めることができる。
なお、上記においては、例えば市販された一次焼成物を二次焼成してSiOタブレットを製造する場合について説明したが、SiO粉末からSiOタブレットを製造することもできる。この場合は、SiO粉末を加圧成形した後、大気炉で1000℃未満の温度で一次焼成し、この一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する。
SiO粉末の加圧成形では、6MPa程度の圧力を印加する。また、大気炉での一次焼成は、1時間程度かけて行う。昇温速度は、1℃/分程度が好ましい。二次焼成は、上記で説明したのと同様に行う。
この方法では、1000℃未満の温度で一次焼成するため、一次焼成の段階での酸化を抑制して、良質な一次焼成物を得ることができる。また、一次焼成の前にSiO粉末を加圧成形しており、ホットプレスのように一次焼成において加圧することが無いため、量産性を高めることができる。また、二次焼成のみで焼成することなく、一次焼成と二次焼成との2段階に分けて焼成することにより、焼成時におけるSiOタブレットの割れを抑制して歩留まりを向上させることができる。更に、時間がかかる一次焼成を大気炉で焼成することにより、量産性向上とコスト低減を図ることができる。
また、上記においては、例えば市販された一次焼成物を二次焼成したり、SiO粉末を加圧成形した後一次焼成し、この一次焼成物を二次焼成したりして、二度に亘る焼成を経てSiOタブレットを製造する場合について説明したが、SiO粉末から一度の焼成によりSiOタブレットを製造することもできる。
この場合は、SiO粉末を加圧成形した後、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で焼成する。
SiO粉末の加圧成形では、6MPa程度の圧力を印加する。また、焼成は、1時間程度かけて行う。昇温速度は、1℃/分程度が好ましい。その他の条件は、上記で説明したのと同様である。この方法では、一度の焼成によりSiOタブレットを製造することができるため、製造の効率化を図ることができる。
ここで、一次焼成済みの市販のSiOタブレットについて、上記のように二次焼成して得られるSiOタブレットの圧縮強度、及び二次焼成前後における体積変化について試験を行った。
一次焼成済みのSiOタブレットは、キャノンオプトロン社製(商品名:SiO(A))であり、高さが40mmであって、円形断面の直径が30mmであった。
この一次焼成物を、焼成炉(株式会社モトヤマ社製(商品名:スーパーバーンMS1188))内に設置し、N2ガス雰囲気下(酸素分圧100Pa以下)において、0℃〜1400℃の種々の温度で二次焼成した。図2は、二次焼成後のSiOタブレットの圧縮強度、及び二次焼成前後における体積比を示している。なお、圧縮強度は、株式会社島津製作所社製(商品名:オートグラフAG100KND)の試験機を用い、1mm/分の試験速度で測定した。
図2に示すように、1000℃以上の温度で2次焼成することにより、SiOタブレットの圧縮強度を3.5MPa以上に向上できることが分かる。また、1390℃以下の温度で二次焼成することにより、二次焼成前後における体積比を0.6以上として、収縮による異形化を抑制することができることが分かる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
1…成膜装置、3…搬送機構、4…主陽極、5…プラズマ源、6…補助陽極、10…真空容器、11…基板、41…ハース、Ma…成膜材料、Mb…成膜材料粒子、P…プラズマ。
Claims (5)
- 一次焼成済みのSiOタブレットを、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する、ことを特徴とするSiOタブレットの製造方法。
- 前記一次焼成済みのSiOタブレットの圧縮強度は、3.5MPa未満である、ことを特徴とする請求項1に記載のSiOタブレットの製造方法。
- SiO粉末を加圧成形した後、大気炉で1000℃未満の温度で一次焼成し、
一次焼成物を、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で二次焼成する、ことを特徴とするSiOタブレットの製造方法。 - SiO粉末を加圧成形した後、真空或いは不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上1390℃以下の温度で焼成する、ことを特徴とするSiOタブレットの製造方法。
- 圧縮強度が3.5MPa以上であり、嵩密度が1.2g/cm3以上1.8g/cm3以下である、ことを特徴とするSiOタブレット。
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JP2005169570A JP2006342022A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | SiOタブレットの製造方法、及びSiOタブレット |
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JP2009132979A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Osaka Titanium Technologies Co Ltd | SiO焼結蒸着材料及びその製造方法 |
JP2010235966A (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-21 | Toppan Printing Co Ltd | SiOx成形体、およびガスバリア性フィルム |
JP2011184729A (ja) * | 2010-03-08 | 2011-09-22 | Toppan Printing Co Ltd | 蒸着材料およびその製造方法 |
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2005
- 2005-06-09 JP JP2005169570A patent/JP2006342022A/ja active Pending
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