JP2006341458A - インクジェット記録ヘッド、該ヘッドを用いるインクジェット記録装置および前記ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、該ヘッドを用いるインクジェット記録装置および前記ヘッドの駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のノズルが配列された記録ヘッドにおいて、一部のノズルに不良があるとき、これに隣接するノズルで補完を行う際に、隣接ノズルを正規記録および補完記録用に2回駆動することによる記録速度の低下が生じないようにする。
【解決手段】 1回の時分割駆動において同時駆動されるノズルをグループ毎に選択できるように構成し、不良ノズルが属するグループに対しては、当該吐出不良ノズルのための記録データおよびアドレスの設定をスキップしたデータの転送を行うとともに、所定のタイミングで不良ノズルに隣接するノズルを用いた補完が行われるよう、記録データおよび隣接ノズルを選択するアドレスを含んだデータの転送を行う。
【選択図】 図3

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッド、該ヘッドを用いるインクジェット記録装置および前記ヘッドの駆動方法に関し、特に複数のノズルを配列してなる記録ヘッドを用い、これらのノズルをいくつかのブロックに分割し、ブロック単位で時分割駆動しながら記録を行う記録装置において、一部のノズルに吐出不良があるときの補完を行う場合にも有効なものである。
近年、オフィスや家庭におけるパーソナルコンピュータやワードプロセッサ、ファクシミリ等の普及により、これらの機器の情報出力機器として様々な記録方式の記録装置が開発されている。その中でもインクジェット方式による記録装置は、カラー対応が容易で、動作時の騒音が低く、また多種多様の記録媒体に対して高品位の記録が可能である等の利点がある。
インクジェット記録装置においては、インクを吐出するために様々な方式が採用されている。例えば代表的な例として、インクを吐出するための吐出口近傍のインク路に、電気熱変換素子などの発熱素子を記録素子として設け、この発熱素子が発生する熱エネルギによってインク中に膜沸騰を生じさせ、この膜沸騰による気泡の急激な生成圧力によって、インクを吐出する方法が挙げられる。
ここで、発熱素子の駆動は、一般に、薄膜または厚膜抵抗からなる発熱素子をトランジスタ等のスイッチ素子でオン/オフすることにより行われる。しかし、最近では記録の高速化および高精細化の要求から記録ヘッドには多数の発熱素子が高密度実装されるようになってきており、多数実装された発熱素子のすべてを同時に駆動すると大電流が流れることになる。すると、電流経路の電圧降下(変動)が大きくなったり、大きな電源容量が必要となったりする。また、インクを吐出するノズル間での相互的な流体圧力干渉も大きくなり、均一で安定したインク吐出が妨げられることもある。
そこで、多数の発熱素子を備えた記録装置の場合、発熱素子群を複数のブロックに分けて各ブロックを時分割駆動する方式が採られている。また、記録ヘッド内で空間上隣接する発熱素子が同時または連続して選択されないように、同時駆動する発熱素子を分散させ、すなわち空間上離れた発熱素子をまとめて1つの時分割駆動単位(ブロック)を構成するようにした時分割駆動が採られている。時分割駆動の多くは、駆動回路規模を小さくするためにマトリクス回路構成を採用している。
図14はかかる時分割駆動方式に適用されるマトリクス回路の一例を示す。ここでは記録データに応じて同時駆動され得る発熱素子の最大数(すなわち1時分割駆動単位に含まれる発熱素子数)を6個とし、88回の時分割駆動を行うための構成を例示している。一般に駆動回路は、発熱素子をオン/オフ駆動するスイッチ素子と、このスイッチ素子を駆動するレベルコンバータと、定められた制御方法と記録データとに基づいてオン/オフ信号を発生する論理回路とで構成される。
ここで、CLKはシリアルデータ信号DATAの転送クロック信号である。シリアルデータ信号DATAは、6個の発熱素子に対応する6ビット分の記録データ信号s1〜s6と、1時分割駆動単位に含まれる6個の発熱素子ずつ共通に配線した88本のコモンラインをそれぞれ選択するための7ビットのアドレス信号A0〜A6と、を転送するシリアルデータ信号である。_LATはシリアルデータ信号DATAを順次シフトして記録位置に対応して整列させたデータのラッチ信号、_HEは発熱素子を制御されたパルス幅でオン/オフする信号(ヒート信号)である。
図15は従来のデータ転送フォーマットを示す。シリアルデータ信号DATA上のデータ配列は、はじめに記録データ信号s1〜s6(6ビット)が、続いてコモンラインのアドレス信号A0〜A6(7ビット)が順に並べられた合計13ビットのシリアルデータである。この13ビットのシリアルデータが、1つの時分割駆動単位に含まれる発熱素子に対応した分のデータとなる。シリアルデータDATAを構成するデータはデータ転送信号CLKの立ち上がりと立ち下がりとの両端に適切に同期して転送され、データ転送信号CLKの7サイクルで13ビットのシリアルデータの転送が行われる。この13ビットの転送後、すなわち7サイクルのデータ転送信号CLKの終了後に一旦停止し、次の時分割駆動単位に対応するデータ転送まで待機する。一方、ラッチ信号_LATを有効(ローレベル)にすることによってラッチ回路にデータを格納し、この後、ヒート信号_HEを有効(ローレベル)にすることで、発熱素子には記録データに応じた通電がなされる。
マトリクス回路は、シリアルデータを順次取り込みながらシフトさせる7ビットのシフトレジスタ111および6ビットのシフトレジスタ114と、これらに整列したデータをそれぞれ格納するラッチ112およびラッチ115と、アドレス信号に応じてコモンラインを選択するデコーダ113と、記録データs1〜s6と制御信号_HEとの論理積をとるANDゲート116と、複数の発熱素子およびそれぞれの駆動回路からなる6×88個の駆動セル117と、で構成される。
図16は駆動セル117内の構成を示す。駆動セルは、発熱素子121と、MOSトランジスタ形態のスイッチ素子122と、このスイッチ素子122を駆動するレベルコンバータ123と、記録データSと選択信号Cとの論理積をとるANDゲート124と、で構成される。かかる形態の駆動セル117が、信号s1〜s6用のセグメントラインS1〜S6と、コモンラインC0〜C87とのマトリクス配線上に配置される。
ここで、空間的には全発熱素子121は記録ヘッド上で1次元配列されるものとし(図17について後述)、当該配列において隣接する88個の発熱素子毎にそれぞれセグメントラインS1〜S6に接続される。以下では、1つのセグメントラインに共に接続される記録素子群をグループと称し、符号S1〜S6はセグメントラインのほかグループを表すものとして参照される。また、各グループにおいて位置的に対応する記録素子、すなわち6個の記録素子が1つのコモンラインに共通に接続され、これらが1時分割駆動単位、すなわち同時駆動される1ブロックを構成する。
図14では各駆動セルに対し、セグメントラインの符号およびコモンラインの符号を付して示してある。例えば、セグメントラインS1とコモンラインC0とに接続される駆動セルには符号「S1C0」を付してある。
6ビットの記録データ信号および7ビットのアドレス信号をこの順で含むシリアルデータ信号DATAをデータ転送信号CLKに同期して転送すると、転送終了後にはシフトレジスタ111には7ビットのアドレス信号が、シフトレジスタ114には6ビットの記録データ信号が整列する。そして、ラッチ信号_LATに応じ、シフトレジスタ114において整列している6ビットの記録データ信号がラッチ115に、シフトレジスタ111において整列している7ビットのアドレス信号がラッチ112にラッチされる。記録データはANDゲート116でヒート信号_HEとの論理積を演算され、セグメントラインS1〜S6に出力される。一方、アドレス信号A0〜A7はデコーダ113に入力され、コモンラインC0〜C87のそれぞれを選択するための信号Cが生成される。そして、図16の回路構成により、セグメントライン上の信号Sとコモンライン上の信号CとのAND条件が揃った駆動セルのみ、発熱素子121に通電される。この動作すなわち1時分割駆動単位の動作を88回繰り返すことで、6×88=528ドット分の記録が行われる。
ところで、インクジェット記録方式は、微細なノズルから微少量のインクを例えば滴として吐出させるものであり、記録媒体上でのインク着弾位置のずれ、インク吐出量(インク滴の大きさ)のばらつき、ノズルの目詰まりなどに代表される吐出不良が生じることがある。このような吐出不安定要因の発生頻度はノズル数に比例して高くなるので、高速記録を行うために記録媒体の幅に対応した範囲に亘って数千もの発熱素子を配列し、かつ1パスで記録を行う長尺の記録ヘッドでは、それらの不安定要素を完全に除去ないし予防することが特に難しく、従って欠陥のない画像を形成することが一層困難になる。
それらの吐出不良の原因となるものの一つに、発熱素子と駆動回路とが作り込まれたシリコンチップの基板(以下、ヒータボードという)の不良がある。このヒータボード生産性を高める上で歩留りを向上させることは重要な課題である。ヒータボードは、半導体チップと同様のプロセスを経て製造されることから、製造プロセスにおいて様々なパーティクルによる汚染がある確率で発生し、これに起因する欠陥が発生した場合は不良チップとして選別される。歩留りを向上させるためには、製造プロセスでのパーティクルを抑える工夫に加え、回路面積が大きくなるほどパーティクルと遭遇する確率が増えることから、なるべく回路サイズを小さくする設計に努力が払われている。
しかしながら、発熱素子と駆動回路とが作り込まれたシリコンチップ形態のヒータボードでは、ノズル数のに比例してチップ面積が決まるので、回路面積のシュリンク化による歩留り寄与は小さい。半導体一般論によれば、チップ面積が大きくなるほど指数関数的に歩留りが低下する。従って、例えばA4版記録媒体の幅に対応した範囲に亘って数千もの発熱素子を配列するような長尺ヘッドでは、歩留り高く欠陥のないヒータボードを製造することは困難である。
吐出不良の原因となるものとしては、その他にノズル部の不良がある。ノズル部の不良とは、所望の形状に仕上がっていなかったり、塵埃等が詰まったりすることなどである。
また、ノズル部の不良もなく、ヒーターボードも無欠陥の記録ヘッドが製造されても、使用中に吐出不良が発生することもあり、その発生確率もノズル数が大きくなるほど高くなる。
以上のような様々な要因による吐出不良に対する対策として、吐出不良が生じたノズルの代わりに近傍のノズルを充てて補完する駆動方法が複数提案されている。例えば、特許文献1には、400DPI(ドット/インチ;参考値)を超えるような高解像度のノズル配列で効果が高い補完方法として、吐出不良が生じたノズルの両側に隣接する正常なノズル2つを充てて、吐出不良が生じたノズルのピクセルが空白にならないようにする方法(以下、隣接補完という)が提案されている。この操作は、補完された記録ドットが不吐出ノズルのピクセルの空白部分に広がることを利用している。
図17はこの隣接補完方法の説明図である。
ここで、記録媒体に対し相対的に固定された記録ヘッド131には、矢印で示す記録媒体搬送方向に直交する方向に528個のノズル(#1〜#528)が直線状に配列されているものとし、配列上、88番目ごと(87ノズルおき)に位置するノズルの駆動セルがコモンラインにより共通に結線されて、1時分割駆動単位となっている。すなわち、6ビットの記録データ信号および7ビットのアドレス信号を含む1つのシリアルデータ信号DATAに対して、アドレス信号で指定されるコモンライン(C0〜C87のいずれか)に共通に配線されている6つの駆動セルの発熱素子(空間上は88ノズル分ずつ離隔している)が同時駆動されるものとなる。なお、通常は隣接ノズルが連続して駆動されないようにコモンラインの選択を行ってゆくが、ここでは判り易くするためにコモンラインC0〜C87がこの順で選択されて行くものとして説明する。
Figure 2006341458
1ノズルの選択時間をtDOTとしたとき、時分割駆動単位の数(基本時分割数)は「88」であるので、記録ヘッド131がノズル配列範囲に対応した1ラインの記録を完了するのに基本的に要する走査時間は88tDOTである。隣接補完を行う場合には、1ラインの記録時に不良ノズルに隣接するノズルは、正規の記録のほか、補完記録のためにも駆動されるので、この分1ラインの記録時の駆動回数が増え、走査時間も増える。
図示の例では、同じコモンラインに属していない2つのノズル#2および#526が不吐出となっている。これに対処するため、ある1ラインの記録時(先行走査期間)にこれらの不吐出ノズルに隣接するそれぞれ2個のノズルのうち一方(ノズル#1、#525)で補完記録を行い、次ラインの記録時(後続走査期間)に他方(ノズル#3、#527)で補完記録を行うという隣接補完を行うものとすると、不良ノズルがブロック間で共通のコモンラインに属していないでないので、1ライン走査時間tRASは90tDOTとなる。
先行走査期間において、まず、セグメントラインないしグループS1〜S6のうち、コモンラインC0に属するノズル群を選択する。次に、ノズル#2を除くコモンラインC1に属するノズル群を選択する。ノズル#2は不吐出となっているので、記録データは送らない。これ以降、順次コモンラインを走査して行くが、コモンラインC1の選択から所定のリフィル時間tREFが経過した時点で、ノズル#1による補完記録を介挿する。同様に、正規の記録のためのコモンラインC84の選択がなされる時点からリフィル時間tREF前の時点で、ノズル#525の補完記録を介挿する。
ここで、リフィル時間tREFとは、一つのノズルが吐出動作を行った後に、当該ノズルにインクが充填されて次の吐出の備えるに要する時間であり、この隣接補完の駆動条件として、
最大リフィル時間<1/2基本時分割数
の関係があるものとする。ここでは基本時分割数が「88」であるので、リフィル時間tREFは44tDOTとなる。従って、ノズル#1および#525による補完記録の介挿タイミングは次の通りとなる。
まず、正規の記録のためのコモンラインC84の選択がなされる時点から時分割駆動44回分遡った時点、すなわちコモンラインC0の選択から数えて40回目の時分割駆動時に、ノズル#525による補完記録を行う。このとき、他のブロックのコモンラインC84に属するノズル群に対しては記録データは送らない(nullデータとする)。そして正規記録の走査に戻り、コモンラインC39から順次走査していき、コモンラインC0〜C42の正規走査とコモンラインC84の補完記録のための選択とを加えた時間が経過して、リフィル時間tREFに達したタイミングになるところで、ノズル#1による補完記録を行う。すなわち、本来の順番ではコモンラインC43の選択となるが、ここではコモンラインC0を選択する。そして再び正規記録の走査に戻り。コモンラインC43から順次走査してゆき、コモンラインC87の選択で1ライン分の走査(先行走査期間)が完了する。
後続走査期間においても、先行走査期間と同様に、ノズル#3および#527についてリフィル時間を満足させる順序で補完記録を実行する。
このように、不良ノズルの隣接ノズル2つを1ライン走査毎に交互に切り替えて補完記録を行うことにより、隣接ノズルによって吐出されたインクが記録媒体上で広がることで、不良ノズルについての記録ドット欠落による記録媒体搬送方向上のすじ状の記録不良が目立たなくなる。
特開平10−006488号公報
しかしながら、上記隣接補完を行う従来例では、不良ノズル数に応じて1ラインの記録時の時分割駆動回数が増え、従って走査時間も増えてしまう。すなわち、図17について説明した例では、不良ノズルがなく隣接補完駆動が不要であれば1ライン走査時間が88tDOTで済むにもかかわらず、2つの不良ノズルに対する隣接補完を行うために1ライン走査時間tRASに90tDOTを要することになる。つまり、隣接補完を行うと記録速度が低下し、長尺の記録ヘッドを用いることないしは1パス記録を行うことの特長である高速記録の利点が減殺されてしまうことになる。また、コモンラインが全グループにわたって設けられていることから、不良ノズル数が多くなるほど走査順序の設定が複雑になり、駆動制御を複雑してしまうことになる。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたもので、その目的は、柔軟性のある記録ヘッド駆動制御を実現し、例えば不良ノズルのある記録ヘッドを補完駆動しても記録速度の低下や駆動制御の複雑化を招くことがないようにすることにある。
そのために、本発明は、複数配列されたノズルと、該複数のノズルをそれぞれ駆動するための複数の駆動素子とを具え、前記複数のノズルを前記配列の方向において連続するM個のノズル毎にまとめたN個のグループに分割し、該N個のグループにおいて前記M個のノズルが時分割駆動されるようにするとともに、前記N個のグループ間でノズルの同時駆動単位を定めるように前記複数の駆動素子が配線されてなるインクジェット記録ヘッドであって、
前記同時駆動単位のノズルの駆動を行うために前記駆動素子に供給する記録データを前記N個のグループに対応して保持する記録データ保持手段と、
前記N個のグループに対応して設けられ、前記時分割駆動に際して前記ノズルの選択を行うためのアドレスデータを保持するアドレス保持手段と、
を具えたことを特徴とする。
ここで、前記記録データ保持手段および前記アドレス保持手段は、シリアルに転送されてくる前記記録データおよび前記アドレスを前記ノズルの配列に対応して整列させるためにカスケード接続されてなるシフトレジスタを有するものとすることができる。
また、本発明は、上記のインクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録データと、前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むデータを転送する転送手段を具えたことを特徴とする。
さらに、本発明は、上記インクジェット記録ヘッドを駆動するための駆動方法であって、前記記録データと、前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むデータを転送することを特徴とする。
これらの記録装置または駆動方法において、前記インクジェット記録ヘッドの前記複数のノズルの一部に吐出不良があるとき、当該吐出不良ノズルが属するグループに対しては、当該吐出不良ノズルのための記録データおよびアドレスの設定をスキップしたデータの転送を行うとともに、所定のタイミングで前記吐出不良ノズルに隣接するノズルを用いた補完が行われるよう、前記記録データおよび前記隣接ノズルを選択するアドレスを含んだデータの転送を行うものとすることができる。
また、前記インクジェット記録ヘッドの前記記録データ保持手段および前記アドレス保持手段はカスケード接続されてなるシフトレジスタを有し、該シフトレジスタに対して、前記記録データと前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むシリアル形式のデータを転送するものとすることができる。
本発明によれば、1回の時分割駆動において同時駆動されるノズルをグループ毎に選択できるので、柔軟性のある記録ヘッド駆動制御を実現できる。すなわち、例えば、複数のノズルの一部に吐出不良があるとき、当該吐出不良ノズルが属するグループに対しては、当該吐出不良ノズルのための記録データおよびアドレスの設定をスキップしたデータの転送を行うとともに、所定のタイミングで前記吐出不良ノズルに隣接するノズルを用いた補完が行われるよう、前記記録データおよび前記隣接ノズルを選択するアドレスを含んだデータの転送を行うことで、補完駆動による記録速度の低下を防止することができる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略構成を示す模式的斜視図である。
本実施形態のインクジェット記録装置701は、記録媒体Pの搬送方向X(副走査方向)と直交する方向Y(主走査方向)に延在する記録部702Aおよび702Bを並設してなるフルラインタイプのカラーインクジェット記録装置である。記録部702Aは、それぞれ記録媒体PのY方向幅に対応した範囲にわたってシアンインクの吐出口を配列してなる記録ヘッドとマゼンタインクの吐出口を配列してなる記録ヘッドとを有する。記録部702Bについても、イエローインクおよびブラックインクに関してこれと同様の構成を採る。なお、フルラインタイプの記録ヘッドの構成としては、所定個数の吐出口をもつヘッドチップの組合わせによって上記範囲を満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドで上記範囲を満たす構成のいずれでもよい。
記録部702Aには、シアンインクおよびマゼンタインクをそれぞれ貯留したインクタンク703Cおよび703Mから、また記録部702Bには、イエローインクおよびブラックインクをそれぞれ貯留したインクタンク703Yおよび703Bkから、接続配管704を介してインク供給を受ける。
なお以下の説明において、記録部702Aおよび702Bは、特に区別の必要がない場合には、これらをまとめて記録部702と記述する。また、4つのインクタンク703Y、703M、703Cおよび703Bkについても、特に区別の必要がない場合には、これらをまとめてインクタンク703と記述する。
記録部702は、制御装置709によって作動が制御される移動手段710により、図の上下方向に昇降し得るようになっている。また、記録部702の側方には、記録媒体Pに対する記録動作に先立ち、各吐出口に連通するインク流路内に介在する増粘したインクなどを、吐出口から排出して記録ヘッドの回復処理を行うためのヘッドキャップ707が配置されている。すなわち、記録部702は、回復処理時には記録媒体との対向位置から上昇し、その後、制御装置709によって作動が制御されるキャップ移動手段708によりキャップ707を記録ヘッドの直下に移動させ、インク吐出口から排出される廃インクを受けることができるようになっている。
記録媒体Pを搬送する搬送用ベルト705は、ベルト駆動モータ711に連結された駆動ローラに架け渡され、制御装置709に接続されるモータドライバ712によってその作動が切り替えられる。また、搬送用ベルト705の上流側には、付加的な構成として、搬送用ベルト705を帯電することにより、記録媒体Pを搬送用ベルト705に密着させるための帯電器713を設けることができ、この帯電器713は制御装置709に接続される帯電器ドライバ712によって、その通電のオン/オフが切り換えられる。搬送用ベルト705の上に記録媒体Pを供給するための一対の給送ローラ714,714には、これら一対の給送ローラ714,714を駆動回転させるための給送用モータ715が連結され、この給送用モータ715は、制御装置709に接続されるモータドライバ716によって作動が切り換えられる。従って、記録媒体Pに対する記録動作を行う場合には、帯電器713を作動させると同時に搬送用ベルト705を駆動し、さらに給紙ローラ714,714によって記録媒体Pを搬送用ベルト上に載置し、各記録部702によってカラー画像が記録媒体Pに記録される。
図2は本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の主要部の構成例を示す。図において、801はシステム全体の制御を司るCPUであり、図1の制御装置に対応する。802はCPU801が実行するシステム制御用のプログラムその他の固定データが書き込まれたROMである。803は記録媒体を搬送する搬送部であり、ベルト駆動モータ711およびモータドライバ712や、給送用モータ715およびモータドライバ716などが含まれる。804はヘッドの回復を行う吐出回復部であり、ヘッドキャップ707およびキャップ移動手段708を含む。805は移動部であり、記録部702を搭載して所要の移動を行わせるためのキャリアおよび移動手段710を含む。
807は記録部702に設けられる記録ヘッドへのデータ転送制御を行う回路である。808は記録する画像を吐出データに変換する2値化回路であり、ハーフトーニング処理などを行う。809は記録する画像(例えばコンピュータなど不図示のホスト装置から受容したもの)がカラー画像である場合に、記録ヘッド702のインク色に合わせて色分解する画像処理部である。データ転送回路807は、2値化回路808から供給された画像データに基づき、時分割駆動を行うためにノズルの位置および駆動順序等に適合するフォーマットの信号を記録部702に設けられる記録ヘッドの駆動回路に転送する。
図3は時分割駆動を行うために本実施形態で採用したヘッド駆動回路の一例を示す。この回路は記録ヘッドの基板(ヒータボード)に設けたものとすることができる。この図4においても、上述と同様、記録データに応じて同時駆動され得る発熱素子の最大数(すなわち1時分割駆動単位に含まれる発熱素子数)を6個とし、88回の時分割駆動を行うための構成を例示している。また、本実施形態でも転送クロック信号CLK、シリアルデータ信号DATA、ラッチ信号_LATおよびヒート信号_HEが用いられ、これらの信号はデータ転送回路807から供給される。
本実施形態においても、空間的には全発熱素子121は記録ヘッド上で1次元配列され、当該配列において隣接する88個の発熱素子毎にそれぞれセグメントラインS1〜S6に接続されてグループを形成している。コモン側選択用のシフトレジスタ11はグループ毎に設けられており、それぞれ7ビットのシフトレジスタの形態を有している。6組のシフトレジスタ11のそれぞれに整列したデータは次段の6組のラッチ12のそれぞれに出力される。本例の場合は、図14とは異なり、各グループにおいて位置的に対応する記録素子、すなわち6個の発熱素子ないし駆動セル17は1つのコモンラインに共通に直接的に配線されているものではない。しかしこれらは共通のアドレス信号により選択可能なものであるので、それら6個の記録素子の単位を便宜上、「同じコモンラインに属する」ものとして説明する。
図4は本実施形態のデータ転送フォーマットを示す。シリアルデータ信号DATA上のデータ配列は、はじめに記録データ信号s1〜s6(6ビット)が、続いて各セグメントラインないしグループS1〜S6におけるアドレス信号A0〜A6(7ビット)が6組順に並べられた合計48ビットのシリアルデータである。この48ビットのシリアルデータが、1つの時分割駆動単位に含まれる発熱素子に対応した分のデータとなる。シリアルデータDATAを構成するデータはデータ転送信号CLKの立ち上がりと立ち下がりの両端に適切に同期して転送され、データ転送信号CLKの24サイクルで48ビットのシリアルデータの転送が行われる。この48ビットの転送後、すなわち24サイクルのデータ転送信号CLKの終了後に一旦停止し、次の時分割駆動単位に対応するデータ転送まで待機する。一方、ラッチ信号_LATを有効(ローレベル)にすることによってラッチ回路にデータを格納し、この後、ヒート信号_HEを有効(ローレベル)にすることで、発熱素子には記録データに応じた通電がなされる。
シリアルデータ信号DATAはグループS6に対応する初段のシフトレジスタ11のシリアル入力端に接続される。6組のシフトレジスタは、シリアル出力端と次段のシフトレジスタのシリアル入力端とがカスケード接続されてなり、順次シリアルデータを転送していく。最終段のシフトレジスタ11のシリアル出力端は記録データ用の6ビットのシフトレジスタ14のシリアル入力端に接続されている。従って、6ビットの記録データ信号および7×6=42ビットのアドレス信号をこの順で含むシリアルデータ信号DATAをデータ転送信号CLKに同期して転送すると、転送終了後には各シフトレジスタ11には対応グループにおける7ビットのアドレス信号が、シフトレジスタ14には6ビットの記録データ信号が整列する。
各ラッチ13は、ラッチ信号_LATが有効になったときに、各シフトレジスタ11に整列した各グループ内のアドレス信号を格納する7ビット構成であり、各デコーダ13に出力を行う。各デコーダ13は、入力された7ビットのアドレス信号に基づいてグループ内の駆動セルを選択する信号を出力する。一方、シフトレジスタ14に整列した記録データ信号はラッチ信号_LATが有効になったときにラッチ15に格納され、さらにANDゲート16でヒート信号_HEとの論理積を演算され、セグメントラインS1〜S6に出力される。こうしてセグメント側およびコモン側への信号が設定され、これらのAND条件が揃った駆動セルのみが記録データに応じてオンとなる。この動作すなわち1時分割駆動単位の動作を88回繰り返すことで、6×88=528ドット分の記録が行われる。
図5は本実施形態で行われる隣接補完の説明図である。
ここで、記録ヘッド31の配置やノズル配列については図17と同様とする。また、図17と同様、×印で示す2つのノズル#2および#526(それぞれ駆動セルS1C1およびS6C85に対応)が不吐出状態となっているものとし、それぞれの両側に隣接するノズル#1および#3(それぞれ駆動セルS1C0およびS1C2に対応)と、ノズル#525および#527(それぞれ駆動セルS6C84およびS6C86に対応)とでそれぞれ補完記録を行うものとする。ドットに対応する記号の意味も図17と同様とする。
先行走査期間において、まず、セグメントラインないしグループS1〜S6のそれぞれについてコモンラインC0に属するノズル群を選択する。次に、本来は全セグメントラインについてコモンラインC1を選択する順番であるが、ノズル#2が不良となっているので、ブロックS1についてはコモンラインC1を選択せずにこれをスキップし、コモンラインC2を選択する。このとき、記録データS1についてはコモンラインC2に対応する記録データを設定する。他のグループS2〜S6についてはコモンラインC1を選択し、これ以降、グループS2〜S5においてはコモンラインC2、C3、・・、C87と走査して行く。グループS1については、コモンラインC2を選択した以降、順次走査を行ってゆく中で、コモンラインC0の選択時点からリフィル時間tREF後のタイミングで、ノズル#1を用いる補完記録を行う。前述と同様、基本時分割数が88で、リフィル時間tREFが44tDOTとすると、最初のラインC0の選択から数えて45回目の時分割駆動時にノズル#1による補完記録が行われる。その後、正規記録の走査に戻りコモンラインC45〜C87を順次走査していく。
一方、もう一つの不良ノズル#526があるグループS6では、順次走査していく中でコモンラインC84の選択時点よりリフィル時間tREF前のタイミングでノズル#525を用いる補完記録を行う。リフィル時間tREFが44tDOTであることから、コモンラインC84の選択がなされる時点から時分割駆動44回分遡った時点、かつコモンラインC0の選択から数えて43回目の時分割駆動時に、ノズル#525による補完記録が行われる。本来の順番ではラインC42の選択となるが、ラインC84を選択するのである。その後、正規記録の走査に戻り、コモンラインC42から順次走査して行くが、コモンラインC85選択の順番のときには、ノズル#526は不良であるので、コモンラインC85は選択せずにスキップし、コモンラインC86を選択するようにする。このときの記録データS6は、コモンラインC86に対応する記録データを設定する。以降はコモンラインC87の走査を行う。
図6は先行走査期間における記録動作を説明するためのタイミングチャートである。
データ転送信号CLK、シリアルデータ転送信号DATA、ラッチ信号_LATは、時分割駆動の回数に応じて繰り返される。「記録データラッチ出力」はセグメントラインないしグループS1〜S6に出力するタイミングを示しており、ラッチ信号_LATに同期して切り換わる。「グループS1デコーダ出力」、「グループS2〜S5デコーダ出力」および「グループS6デコーダ出力」は、各グループにおけるコモンライン選択を示しており、ラッチ信号_LATに同期して切り換わる。所望のパルス幅に制御されたヒート信号_HEは、ラッチ信号_LATに同期したタイミングで時分割数繰り返される。
まず、各グループのコモンラインC0に属する駆動セル群の記録データと各グループのコモンラインC0選択アドレスとを転送・ラッチして、それぞれセグメントラインとコモンラインとに設定する。ヒート信号_HEを与えて第1回目の時分割駆動を行う。第2回目では、グループS2〜S6は、コモンラインC1に属する駆動セル群の記録データとアドレスのデータ列とが転送されて駆動が行われるが、グループS1についてはノズル#2(S1C1)が不良ノズルであるのでこれをスキップして、コモンラインC2を選択するアドレスとこれに対応する記録データとが転送され、駆動セルS1C2(ノズル#3)を駆動する。以降、グループS1からS5においては、コモンラインC2、C3、・・・、C87を走査して行くためのアドレスと記録データとが順次転送されて行く。
グループS1はコモンラインC2の選択以降、順次走査していく中でコモンラインC0からリフィル時間tREF後のタイミングで駆動セルS1C0(ノズル#1)を用いる補完駆動が行われる。ここでは、基本時分割数が88であることから、リフィル時間tREFは44tDOTとなり、最初の駆動から数えて45回目の時分割駆動のタイミング(網点で示すAの部分)でコモンラインC0選択アドレスを設定し、駆動セルS1C0(ノズル#1)を補完のために駆動する。その後は正規駆動の走査に戻り、ラインC44からC87まで順次走査して行く。
もう一つの不良ノズル#526があるグループS6では、順次走査していく中でコモンラインC84からリフィル時間tREF前にさかのぼったタイミングで駆動セルS6C84(ノズル#525)用いる補完駆動が行われる。ここではコモンラインC0から数えて4回目の時分割駆動のタイミング(網点で示すBの部分)で補完駆動を行う。本来の順番では駆動セルS6C42の選択となるが、ここでは駆動セルS6C84を選択する。その後、正規駆動の走査に戻り、コモンラインC42〜C87を順次走査して行くが、その過程でコモンラインC85についてはスキップする。
ここまでで先行走査期間が完了するが、不良ノズルに対する補完記録を適切なタイミングで介挿する一方で、本実施形態では不良ノズルに属するラインの選択をスキップしているので、1ライン走査に要した時間は基本走査時間に等しい88tDOTであり、補完動作の介挿によって1ライン走査時間tRASが増加することはない。
後続走査期間においても、先行走査期間と同様に、ノズル#3および#527についてリフィル時間を満足させる順序で補完記録を実行する。この場合、グループS1の走査順序は、C0、C2(正規記録)、C3、・・・、C45、C2(補完記録)、C46、・・・、C87となり、コモンラインC1はスキップされる。また、グループS6の走査順序は、C0、C1、・・・、C42、C86(補完記録)、C43、・・・、C84、C86(正規記録)、C87となり、コモンラインC85はスキップされる。従って、後続走査期間についても、基本走査時間に等しい88tDOTである。
以上は、図17と同様、不良ノズルが2つである場合に行われる処理であるが、不良ノズル数がさらに多い場合を考える。ただし、不良ノズルは2ノズル分以上間隔をおいているものとする。
例えば、一つのグループ内に不良ノズルが3個ある場合を考える。この場合、隣接する補完ノズルの合計は、片側について3個、両側で6個となる。1ライン走査毎に補完ノズルは片側の3個が割り当てられ、これらが2度吐出を行うので、時分割駆動回数が3回増える。しかし不良ノズルの動作はスキップするので、時分割駆動回数は3回減る。その結果、1ライン走査時間の時分割駆動回数の増減は相殺され、88回(基本時分割駆動回数)となる。
すなわち、本実施形態によれば、不良ノズル数の多少によらず時分割駆動回数は基本時分割駆動回数と変わらず、1ライン走査時間は増加せず、基本走査時間に等しい88tDOTのままである。
ここで、基本時分割駆動回数をN、グループ内の不良ノズル数をX、グループ内の補完ノズル数をCとすると、本実施形態の場合、グループ毎の走査時間TBLKは、
BLK=(N−X+C)×tDOT=N×tDOT (∵X=C)
と表され、一定となる。記録ヘッドとしての1ライン走査時間THEADは、時分割駆動回数が最も多いグループの走査時間(TBLKMAXで制約され、
HEAD=(TBLKMAX
となるが、本実施形態では不良ノズル数の多少によらず時分割駆動回数は基本時分割駆動回数と変わらないため、この値はTBLK(一定)である。しかも、この値は、図1に示したように複数の記録ヘッドないし吐出口列を有する場合にも変らず、記録ヘッド間で不良ノズル数が異なる場合にも他の記録ヘッドの状態の影響を受けない。これは、一定の記録媒体搬送速度を維持したまま記録を行うことができるということを意味する。
因みに、従来のマトリクス回路を適用した場合の記録ヘッドとしての1ライン走査時間Tは、
T=(N+ΣC)tDOT
と表される。ΣCは各グループの補完ノズル数の合計であり(ただし、不良ノズルは異なるアドレスである場合)、1ライン走査時間Tは不良ノズルの合計値に従って変化する。しかも、この値は、図1に示したように複数の記録ヘッドないし吐出口列を有する場合において、記録ヘッド間で不良ノズル数が異なるような場合には、不良ノズル数が最も多い記録ヘッドによって制約されるものとなる。これは、1ライン走査時間が最長の記録ヘッドに対応した速度で記録媒体搬送を行わなければならず、従って記録のスループットが一層低下してしまうということを意味するものとなる。
(第2の実施形態)
上記実施形態では、ノズルが記録ヘッド上で1次元配列され、当該配列において不良ノズルに隣接するノズルを用いて補完記録を行う構成について説明した。これに対し、本実施形態では、2つのノズル配列を有し、1列における不良ノズルを他の列のノズルを用いて補完する構成について説明する。
図7は第2の実施形態に係る記録ヘッドおよびその駆動回路を説明するための図である。本例の記録ヘッド56は、所定のピッチでノズルが形成されたノズル列54を2列、インク吐出口に連通するインク供給口55を挟んで並列させてなるものである。各列では互いに、ノズルを半ピッチずらして配置することで、所望の記録解像度を実現している。2列のノズル列は、一方の列がODD駆動回路52、他方の列がEVEN駆動回路53で駆動され、これらの回路は一つの基板(ヒータボード)51内に作り込まれている。ODD駆動回路52およびEVEN駆動回路53の各々は、同時駆動され得る発熱素子の最大数を6個とした第1実施形態で説明した駆動回路(図3)と同様に構成された回路であり、記録ヘッドとして本例では同時駆動され得る発熱素子の最大数を12個とした88回の時分割駆動を行うための構成を実現している。
本実施形態でも転送クロック信号CLK、ラッチ信号_LATおよびヒート信号_HEが用いられ、これらの信号は第1の実施形態で説明したものと同じ機能を果たす。シリアルデータ信号DATA_ODは、ODD駆動回路52のセグメントラインないしグループS1〜S6に対応する6ビットの記録データと、各グループの88本のコモンラインを選択する7ビット×6組のアドレス信号とを転送する。シリアルデータ信号DATA_EVは、EVEN駆動回路53のセグメントラインないしグループS1〜S6に対応する6ビットの記録データと、各グループの88本のコモンラインを選択する7ビット×6組のアドレス信号とを転送する。そして、シリアルデータ信号DATA_ODおよびDATA_EVをCLKに同期して入力し、ラッチ信号_LAT、ヒート信号_HEのタイミングでODD駆動回路52およびEVEN駆動回路53を並列駆動する。これが1回の時分割駆動の動作となり、これを88回繰り返すことで1056ドット/ラインの1ライン記録となる。
次に、このような構成および動作の記録ヘッド56において、一部に不良ノズルがある場合の隣接補完の態様を説明する。なお、リフィル時間tREFは上述と同様、44tDOTとする。
図8は本実施形態で行われる補完の説明図である。
ここで、記録ヘッド56にはノズル#1〜#1056が2列に分けて配設され、ODD駆動回路52によって駆動される列のノズルを奇数番のノズル(#1、#3、・・・、#1055)、EVEN駆動回路53によって駆動される列のノズルを偶数番のノズル(#2、#4、・・・、#1056)とする。また、図3と同様、×印で示すノズルが不良ノズルであり、ここではノズル#3(ODD駆動回路52の駆動セルS1C1(以下、S1C1_ODのように表記する)に対応)と、ノズル#6(駆動セルS1C2_EVに対応)と、ノズル#171(駆動セルS1C85_ODに対応)と、ノズル#887(駆動セルS6C3_ODに対応)との4つが不吐出状態となっているものとする。そして本実施形態では、他方の列にあってそれぞれの両側に隣接するノズル#2および#4(それぞれ駆動セルS1C0_EVおよびS1C1_EVに対応)と、ノズル#5および#7(それぞれ駆動セルS1C2_ODおよびS1C3_ODに対応)、ノズル#170および#172(それぞれ駆動セルS1C84_EVおよびS1C85_EVに対応)と、ノズル#886および#888(それぞれ駆動セルS6C2_EVおよびS6C3_EVに対応)とでそれぞれ補完記録を行うものとする。ドットに対応する記号の意味は上述と同様である。なお、両ノズル列を並列駆動した場合、実際は記録媒体搬送方向上の列間距離に応じて記録位置が異なるが、ここでは駆動タイミングについて説明するので、同タイミングで記録したドットは同じ時分割線上に記している(領域A)。
まず、奇数番ノズル列のグループS1(以下、グループS1_ODのように表記する)の駆動について説明する。先行走査期間において、まずコモンラインC0を選択して記録を行い、本来は次にコモンラインC1を選択する順番であるが、ノズル#3は不良であるので、グループS1_ODではコモンラインC1を選択せずにこれをスキップし、コモンラインC2(ノズル#5用)を選択する。このときの記録データs1_ODはコモンラインC2に対応するものを設定する。続いてコモンラインC3、C4、・・・と走査して行き、コモンラインC2の選択からリフィル時間tREF後のタイミングで、不良ノズル#6のためにノズル#5を用いる補完記録を行う。コモンラインC0の選択から数えて46回目の時分割駆動時である。その後は正規走査に戻り、コモンラインC46から順次走査して行くが、コモンラインC85のノズル#171も不良ノズルであるので、これをスキップしてコモンラインC86、C87と走査する。走査に要した時間は正規記録86ドット分と、補完記録1ドット分とがあるため、87tDOTである。
偶数番ノズル列のグループS1(グループS1_EV)の動作について説明する。先行走査期間において、まずコモンラインC0およびC1を順次選択して記録する。次に、本来はコモンラインC2を選択する順番であるが、ノズル#6は不良であるので、グループS1_EVではコモンラインC2を選択せずにスキップし、コモンラインC3を選択する。この時の記録データs1_EVはコモンラインC3に対応する記録データを設定する。続いてコモンラインC4、C5、・・・と走査して行くが、コモンラインC84からリフィル時間tREF(=44tDOT)前にさかのぼったタイミングで、不良ノズル#171のためにノズル#170を用いる補完記録を行う。コモンラインC0の選択から数えて42回目の時分割駆動時である。すなわち、本来の順番ではコモンラインC42の選択となるが、ここでコモンラインC84を選択するのである。続いて正規走査に戻り、コモンラインC42から走査していき、今度はコモンラインC0選択からリフィル時間tREF後のタイミングとなったところで、不良ノズル#1のためにノズル#2を用いる補完記録を行う。コモンラインC0の選択から数えて45回目の時分割駆動時である。その後は再び正規走査に戻り、コモンラインC44〜C87を順次走査して行き、走査完了する。走査に要した時間は、正規記録87ドット分と、補完記録2ドット分とがあるため、89tDOTである。
次に、奇数番ノズル列のグループS6(以下グループS6_OD)の駆動について説明する。先行走査期間において、まずコモンラインC0、C1、C2と順次選択して記録を行う。本来は次にコモンラインC3を選択する順番であるが、ノズル#887は不良であるので、コモンラインC3を選択せずにこれをスキップし、コモンラインC4(ノズル#889用)を選択する。以降はコモンラインC5、C6、・・C87と走査していく。走査に要した時間は、正規記録87ドット分の87tDOTである。
偶数番ノズル列のグループS6(グループS6_EV)では、先行走査期間において、コモンラインC0、C1、・・と順次選択して記録して行くが、コモンラインC2選択からリフィル時間tREF後のタイミングとなったところで、不良ノズル#887のためにノズル#886を用いる補完記録を行う。コモンラインC0の選択から数えて47回目の時分割駆動時である。続いて正規走査に戻り、コモンラインC46〜C87を順次走査する。走査に要した時間は、正規記録88ドット分と、補完記録1ドット分とがあるため、89tDOTである。
以上説明したグループS1_OD、S6_OD、S1_EVおよびS6_EV以外のグループは、自身のグループ内や対向するグループに不良ノズルがないグループである。従って、スキップや補完記録を行う必要はないので、コモンラインC0、C1、・・・、C87と順次選択して走査する。走査に要する時間は正規記録88ドット分の88tDOTである。
図8は本実施形態の先行走査期間における記録動作を説明するためのタイミングチャートである。
ODD駆動回路52は、まず各グループのコモンラインC0に属する駆動セル群の記録データと各グループのコモンラインC0選択アドレスとを転送・ラッチして、それぞれセグメントラインとコモンラインとに設定する。ヒート信号_HEを与えて第1回目の時分割駆動を行う。第2回目では、グループS2_ODからS6_ODは、コモンラインC1に属する駆動セル群の記録データとアドレスのデータ列とが転送されて駆動が行われるが、グループS1_ODはノズル#3(S1C1_OD)が不良ノズルであるのでこれをスキップして、コモンラインC2を選択するアドレスとこれに対応する記録データとが転送され、駆動セルS1C2_OD(ノズル#5)を駆動する。次に第3回目の時分割駆動時には、グループS1_ODにはコモンラインC3の選択アドレスを、グループS2_OD〜S6_ODにはコモンラインC2の選択アドレスを転送して駆動を行う。4回目の時分割駆動時には、グループS1_ODにはコモンラインC2の選択アドレスを転送し、S2_OD〜S5_ODにはコモンラインC3の選択アドレスを転送して駆動を行うが、グループS6_ODに対しては、ノズル#887(S6C3_OD)が不良ノズルであるのでこれをスキップし、コモンラインC4の選択アドレスとこれに対応する記録データを転送して駆動セルS6C4_OD(ノズル#889)を駆動する。
第5回目の時分割駆動以降、各グループはコモンラインC5、C6、・・・と選択されて行くが、グループS1_ODにおいてはコモンラインC5の選択以降の順次走査して行く途中で、コモンラインC2からリフィル時間tREF後のタイミングで駆動セルS1C2(ノズル#5)を補完駆動する。すなわち、最初の駆動セルS1C0_ODの駆動から数えて46回目の時分割駆動時(網点で示すAの部分)で、コモンラインC2の選択アドレスを設定して駆動セルS1C2(ノズル#5)を補完駆動する。その後、グループS1_ODは正規駆動の走査に戻り、コモンラインC46から順次走査していき、今度はノズル#171(S1C85_OD)が不良ノズルであるのでこれをスキップし、コモンラインC86の選択アドレスとこれに対応する記録データとが転送されてS1C86_OD(ノズル#173)を駆動する。
ここまででODD駆動回路52についての先行走査期間が完了するが、ODD駆動回路52に駆動される各グループの走査時間は、グループS1_ODおよびS6_ODが87tDOT、グループS2_OD〜S5_ODが88tDOT要している。
EVEN駆動回路53は、まず各グループのコモンラインC0に属する駆動セル群の記録データと各グループのコモンラインC0選択アドレスを転送・ラッチして、それぞれセグメントラインとコモンラインとに設定する。ヒート信号_HEを与えて第1回目の時分割駆動を行う。第2回目では、コモンラインC1を選択して駆動する。次に第3回目の時分割駆動時には、グループS2_EV〜S6_EVは、コモンラインC2に属する駆動セル群の記録データと選択アドレスのデータ列とが転送されて駆動が行われるが、グループS1_EVはノズル#6(S1C2_EV)が不良ノズルであるのでこれをスキップして、コモンラインC3の選択アドレスとこれに対応する記録データとが転送されて駆動セルS1C3_EV(ノズル#8)を駆動する。第4回目の時分割駆動以降、グループS1_EVはC4、C5、・・・が、グループS2_EV〜S6_EVはC3、C4・・・がそれぞれ選択され、駆動が行われていく。
グループS1_EVにおいて順次走査していく途中で、コモンラインC84からリフィル時間tREF前にさかのぼったタイミングで駆動セルS1C84(ノズル#170)を用いる補完記録を行う。すなわち、コモンラインC0から数えて42回目の時分割駆動時(網点で示すBの部分)で補完駆動を行う。本来の順番ではコモンラインC42の選択となるが、ここではコモンラインC84を選択する。続いて正規走査に戻り、コモンラインC42から走査していき、今度はコモンラインC0選択からリフィル時間tREF後のタイミングとなったところで駆動セルS1C0_EV(ノズル#2)を用いる補完駆動を行う。コモンラインC0から数えて45回目の時分割駆動時(網点で示すCの部分)である。そして再び正規走査に戻り、コモンラインC44〜C87まで順次走査して行く。この間グループS2_EV〜S5_EVは、C3、C4・・・が順次選択されて行く。
一方、グループS6_EVでは、C3、C4・・・と順次走査して行く途中で、コモンラインC2の選択からリフィル時間tREF後のタイミングとなったところで駆動セルS6C2(ノズル#886)を用いる補完駆動を行う。コモンラインC0から数えて47回目の時分割駆動時である。続いて正規走査に戻り、コモンラインC46〜C87まで順次走査して行く。
ここまででEVEN駆動回路53についての先行走査期間が完了するが、EVEN駆動回路53に駆動される各グループの走査時間は、グループS1_ODおよびS6_ODが89tDOT、グループS2_OD〜S5_ODが88tDOT要している。
後続走査期間においても、ODD駆動回路52およびEVEN駆動回路53は、先行走査期間と同様の補完記録を実行する。
グループS1_ODの走査順序は、C0、C2、C3(正規記録)、・・・、C46、C3(補完記録)、C47、・・・、C87となり、コモンラインC1はスキップされる。グループS6_ODの走査順序は、C0、C1、C2、C4、・・・、C87となり、コモンラインC3はスキップされる。グループ内および対向するグループに不良ノズルのないグループS2_OD〜S5_ODは、コモンラインC0、C1、・・・、C87の順序で走査される。
グループS1_EVの走査順番は、C0、C1(正規記録)、C3、・・・、C42、C85(補完記録)、C43、C44、C1(補完記録)、・・・、C85(正規記録)、C86、C87となり、コモンラインC2はスキップされる。グループS6_EVの走査順番は、C0、C1、C2、C3(正規記録)、・・・、C46、C3(補完記録)、C47、・・・、C87となる。グループ内および対向するグループに不良ノズルのないグループS2_EV〜S5_EVは、C0、C1・・・、C87の順序で走査される。
本実施形態でも、不良ノズルの隣接ノズル2つを1ライン走査毎に交互に切り替えて補完記録を行うことにより、隣接ノズルによって吐出されたインクが記録媒体上で広がることで、不良ノズルについての記録ドット欠落による記録媒体搬送方向上のすじ状の記録不良が目立たなくすることができる。ライン走査に要した時間は、グループ毎に異なり、最小で87回の時分割駆動時間分、最大でも89回の時分割駆動時間分である。
ここで本実施形態のヘッド構成における隣接補完と時分割駆動回数の変化について整理する。ODD駆動回路とEVEN駆動回路とが並列で動作し、ノズルが互いに千鳥状に配列されたヘッド構成の場合、不良ノズルに対して補完駆動するノズルは対向する列上に位置するノズルとなる。
例えば、ODD駆動回路のグループS1_ODに不良ノズルが3個、EVEN駆動回路のグループに不良ノズルが2個あるとき、グループS1_ODを補完駆動するノズルは対向列のグループS1_EVの6ノズルが、逆にグループS1_EVを補完駆動するノズルは対向列のグループS1_ODの4ノズルがそれぞれ充てられる。1走査期間あたりグループS1_ODの時分割駆動回数は、不良3ノズル分がスキップ、補完駆動用の2ノズルは2度駆動(正規および補完)されるので、88−3+2=87となる。グループS1_EVの時分割駆動回数は、不良2ノズル分はスキップ、補完駆動用の3ノズルは2度駆動(正規および補完)されるので、88−2+3=89となる。従って、ヘッド全体としての1ライン走査の時分割駆動回数は結果として89となる。
ここで、基本時分割回数をN、ODD側およびEVEN側の不良ノズル数のうち少ない方の不良ノズル数をXMIN、ODD側およびEVEN側の補完ノズル数のうち多い方の補完ノズル数CMAX、1ノズル選択時間(1時分割駆動時間)をtDOTとすると、対向する1組のグループにおける1走査時間TBLKは、
BLK=(N−XMIN+CMAX)×tDOT
と表される。記録ヘッドとしての1ライン走査時間THEADは、時分割駆動回数が最も多いグループの走査時間(TBLKMAXで制約され、
HEAD=(TBLKMAX
となる。
因みに、従来のマトリクス回路構成を適用した場合、ヘッドの1ライン走査時間Tは、
T=(N+ΣCMAX)tDOT
と表される。ΣCMAXはODD側およびEVEN側の補完ノズル数のうち多い方の各グループに存在する補完ノズル数の合計である(ただし、不良ノズルが異なるアドレスであるとき)。EVEN駆動回路に補完ノズルが3ビットある場合の時分割数は88+3=91となる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、ノズル配列がさらに多く、1列における不良ノズルを他の列のノズルを用いて補完する構成について説明する。
図10は第3の実施形態に係る記録ヘッドおよびその駆動回路を説明するための図、図11は各配列間のノズル配置の位置関係を示す図である。本例の記録ヘッド85は、ノズルを1/4ピッチずつずらした位置関係で並ぶ各1列のノズル列を備えたチップ81(チップA)、チップ82(チップB)、チップ83(チップC)およびチップ84(チップD)を有し、4列のノズル列が同期しながら並列動作するヘッドである。各チップは第1実施形態で説明した駆動回路(図3)と同様に構成された回路を有し、記録ヘッドとして本例では同時駆動され得る発熱素子の最大数を24個とした88回の時分割駆動を行うための構成を実現している。ノズル数は1チップあたり528個、ヘッド全体で2112個である。
本実施形態でも転送クロック信号CLK、ラッチ信号_LATおよびヒート信号_HEが用いられ、これらの信号は第1および第2の実施形態で説明したものと同じ機能を果たす。シリアルデータ信号DATA_A〜DATA_Dは、駆動回路のセグメントラインないしグループS1〜S6に対応する6ビットの記録データと、各グループの88本のコモンラインを選択する7ビット×6組のアドレス信号とを転送する。
1回の時分割駆動は、第2実施形態と同様に、シリアルデータ信号DATA_A〜DATA_Dを各チップの駆動回路に対しクロックCLKに同期して入力し、ラッチ信号_LATおよびヒート信号_HEのタイミングでチップA〜チップDを並列駆動することで行われる。そして、これを88回繰り返すことで2112ドット/ラインの1ライン記録となる。
次に、このような構成および動作の記録ヘッド85において、一部に不良ノズルがある場合の隣接補完の態様を説明する。なお、リフィル時間tREFは上述と同様、44tDOTとする。
図12は図10および図11に示した記録ヘッド85の一部に不良ノズルがある状態を示す説明図である。この図に示すように、×印で示す不良ノズルが計18ヵ所散在しているものとする。そして、これらの他の列において不良ノズルの両側に隣接するノズル36ヶ所で補完記録するものとするが、チップAの不良ノズルを補完駆動するためにはチップDおよびBのノズルを、チップBの不良ノズルを補完駆動するためにチップAおよびCノズルを、チップCの不良ノズルを補完駆動するチップBおよびDのノズルを、チップDの不良ノズルを補完駆動するためにチップCおよびAのノズルを用いるようにする。
グループS1〜S6の各々は、4チップの位置的に対応する各グループを組にして示したものである。本例の補完駆動はこの対応するチップのグループ毎に完結するので(ただし、グループ境界のノズルは2グループにまたがる)、グループ内に存在する不良ノズル数および補完ノズル数に応じて、各チップのグループ毎に時分割駆動回数が異なる。
これは、第2の実施形態で示した走査時間TBLKの式と、ヘッドとしての1ライン走査時間THEADの式とが当てはまることを意味するものである。
表1に各チップ内の各グループの時分割駆動回数を示す。また、表2に従来のマトリクス回路構成を適用した場合の時分割駆動回数を示し、これは第2の実施形態の説明で挙げたT=(N+ΣCMAX)×tDOTを適用した計算結果である。表1において、最大の時分割駆動回数となっているのは、チップDのグループS3の「92」である。従って、ヘッドとしての時分割駆動回数は92となる。因みに、表2の従来回路を適用した場合には、ヘッドとしての最大時分割駆動回数はチップBの「100」である。
Figure 2006341458
Figure 2006341458
(不良ノズルに対する記録補完制御の実施形態)
不良ノズルは、これが予めわかっていれば、その位置を記録装置またはこれを用いる記録システムに設定したり、記録装置または記録ヘッドに付設した記憶手段に記憶させておくことができる。また、使用時における後発的な理由で発生して所定の検出処理により検出されたり、あるいはさらに、所定の吐出回復を行っても吐出不良が解消されないことが検出されたりした場合にも同様に、設定ないし記憶させておくことができる。ただし、いずれも隣接補完を行うことができるよう、2以上の不良ノズルが隣接していないことを条件とする。しかし換言すれば、2以上の不良ノズルが隣接していない限りは、走査時間の大幅な増加を伴うことなく、すなわち記録速度の低下や駆動制御の複雑化を招くことなく、補完を行うことができる。これはまた、記録ヘッドの良品基準を緩和して記録ヘッド製造の歩留まり向上を図ること、ないしは、記録ヘッドの長寿命化に資するものである。
いずれにしても、不良ノズルの有無および位置を認識することで、上述のようなグループ毎の適切なアドレス指定および記録データの設定を行うことにより、次のような手順で補完動作を実施させることが可能となる。
図13はその補完動作を実施させるための処理手順の一例を示し、これは図2に示した制御系を用いて実施することが可能である。
まず、ステップS1では、記録ヘッドのノズル配列の構成に応じた画像データの展開を行う。次にステップS3にて不良ノズルがあるか否かを判定し、否定判定であれば展開した画像データに基づいて記録ヘッドを駆動し、記録処理を行う(ステップS9)。一方、肯定判定であれば、ステップS5にて不良ノズルの位置を認識し、補完に用いるノズルの決定および補完に適した転送データのフォーマッティングを行ってから(ステップS7)、記録処理(ステップS9)を行えばよい。
(その他)
第1〜第3の実施形態においては、隣接補完駆動におけるグループ毎にコモンライン順次の走査を行う場合を説明したが、グループ毎に走査順序が異ならせた分散駆動にも対応可能である。例えば、グループS1の走査順序をC0、C1、C2、・・・、C87とし、の順次走査とし、グループS2の走査順番をC0、C2、C4、・・・、C86、C1、C3、・・・、C87のインタレース走査とすることも可能である。また、将来的な新たなノズル間のクロストーク対策や画像に応じた適応型走査などに対し、ノズル位置、画像設計および走査順序に関わる補正を行うために本発明は柔軟に対応することができる。
また、上述したノズル数、同時駆動され得るノズル数ないしグループ数(セグメントライン数)、およびコモンライン数などはすべて、あくまでも例示のためであって、記録媒体の幅や所望の記録解像度その他の条件によって適宜の数を定め得ることは言うまでもない。また、上述のように、記録ヘッドの構成としては、所定個数の吐出口をもつヘッドチップの組合わせによって記録媒体の幅に対応した範囲を満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドで上記範囲を満たす構成のいずれでもよく、上述の補完制御をいずれの構成で実現することも可能である。
さらに、上例では記録媒体の幅に対応した範囲にわたって吐出口が配置される形態の記録ヘッドおよびこれを用いる記録装置に本発明を適用した場合について述べた。しかし、吐出口の配列方向と異なる方向への記録ヘッドの相対走査(主走査)と、これに直交する方向への記録媒体の相対搬送(副走査)とを繰り返すことにより記録動作を行うシリアルタイプの記録ヘッドおよび記録装置にあっても、記録のスループットを向上する観点から本発明を適用することができる。
加えて、以上では、インク吐出に利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する素子(ヒータ)用いる方式の記録ヘッドについて説明したが、その他の方式、例えば圧電素子を使用して機械的エネルギにより吐出を行う方式による記録ヘッドに対しても本発明を適用できることは言うまでもない。
さらに加えて、インクジェット記録装置において用いられるインクの種類ないし色調(色,濃度)の数は適宜定め得ることは勿論であり、これに応じて適宜の記録ヘッドが用意され得ることは言うまでもない。
本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略構成を示す模式的斜視図である。 図1のインクジェット記録装置の制御系の主要部の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッド駆動回路を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態におけるデータ転送フォーマットを示す説明図である。 第1の実施形態で行われる不良ノズルに対する隣接補完の説明図である。 図5の隣接補完に際し先行走査期間において行われる記録動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る記録ヘッドおよびその駆動回路を説明するための図である。 第2の実施形態で行われる不良ノズルに対する隣接補完の説明図である。 図8の隣接補完に際し先行走査期間において行われる記録動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る記録ヘッドおよびその駆動回路を説明するための図である。 図10の記録ヘッドにおける各ノズル配列間のノズル配置の位置関係を示す図である。 図10および図11に示した記録ヘッドの一部に不良ノズルがある状態を示す説明図である。 不良ノズルに対する補完動作を実施させるための処理手順の一例を示すフローチャートである。 記録ヘッド駆動回路の従来例を示すブロック図である。 従来例におけるデータ転送フォーマットを示す説明図である。 記録ヘッド駆動回路に設けられる記録素子の駆動セルを示す回路図である。 不良ノズルに対する隣接補完の従来例の説明図である。
符号の説明
11、14、111、114 シフトレジスタ
12、15、112、115 ラッチ回路
13、113 デコーダ
16、116 ANDゲート
17、117 駆動セル
31、56、85、131 記録ヘッド
121 発熱素子
122 スイッチ素子
702 記録部
709 制御装置
801 CPU
807 データ転送回路

Claims (8)

  1. 複数配列されたノズルと、該複数のノズルをそれぞれ駆動するための複数の駆動素子とを具え、前記複数のノズルを前記配列の方向において連続するM個のノズル毎にまとめたN個のグループに分割し、該N個のグループにおいて前記M個のノズルが時分割駆動されるようにするとともに、前記N個のグループ間でノズルの同時駆動単位を定めるように前記複数の駆動素子が配線されてなるインクジェット記録ヘッドであって、
    前記同時駆動単位のノズルの駆動を行うために前記駆動素子に供給する記録データを前記N個のグループに対応して保持する記録データ保持手段と、
    前記N個のグループに対応して設けられ、前記時分割駆動に際して前記ノズルの選択を行うためのアドレスデータを保持するアドレス保持手段と、
    を具えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記記録データ保持手段および前記アドレス保持手段は、シリアルに転送されてくる前記記録データおよび前記アドレスを前記ノズルの配列に対応して整列させるためにカスケード接続されてなるシフトレジスタを有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録データと、前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むデータを転送する転送手段を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 前記インクジェット記録ヘッドの前記複数のノズルの一部に吐出不良があるとき、前記転送手段は、当該吐出不良ノズルが属するグループに対しては、当該吐出不良ノズルのための記録データおよびアドレスの設定をスキップしたデータの転送を行うとともに、所定のタイミングで前記吐出不良ノズルに隣接するノズルを用いた補完が行われるよう、前記記録データおよび前記隣接ノズルを選択するアドレスを含んだデータの転送を行うことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記インクジェット記録ヘッドの前記記録データ保持手段および前記アドレス保持手段はカスケード接続されてなるシフトレジスタを有し、該シフトレジスタに対して、前記転送手段は、前記記録データと前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むシリアル形式のデータを転送することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドを駆動するための駆動方法であって、前記記録データと、前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むデータを転送することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  7. 前記インクジェット記録ヘッドの前記複数のノズルの一部に吐出不良があるとき、前記転送手段は、当該吐出不良ノズルが属するグループに対しては、当該吐出不良ノズルのための記録データおよびアドレスの設定をスキップしたデータの転送を行うとともに、所定のタイミングで前記吐出不良ノズルに隣接するノズルを用いた補完が行われるよう、前記記録データおよび前記隣接ノズルを指定するアドレスを含んだデータの転送を行うことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  8. 前記インクジェット記録ヘッドの前記記録データ保持手段および前記アドレス保持手段はカスケード接続されてなるシフトレジスタを有し、該シフトレジスタに対して、前記記録データと前記N個のグループのそれぞれに対する前記アドレスとを含むシリアル形式のデータを転送することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
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