JP2006340684A - 微生物の計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 食品をはじめ生物性の夾雑物を含む試料に有効な多重染色法により微生物を計測するようにした方法を提供する。
【解決手段】 試料に第一の試薬を接触させ、上記第一の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物を蛍光染色し、上記試料に第二の試薬を接触させ、上記第二の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物以外の物質を染色し、上記試料に上記第一の試薬を励起する波長の光を照射し、上記第一の試薬の蛍光波長で蛍光を発している輝点を検出し、検出した輝点の情報から微生物の有無や数を求めることを含み、上記第一の試薬が、蛍光を発する試料を含み、溶媒に溶解し、上記第二の試薬が、上記第一の試薬の蛍光を吸収し、上記試料を含む溶媒に溶解し、かつ上記試料中で負に解離する基を有するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料中の微生物の計測方法に関するものである。本発明は、利用分野として、食品、医療、製薬、農業、環境分析など広範に用いることができる。
近年、食中毒の大規模化や、新興感染症の発生など、微生物に起因するリスクが大きな社会問題となっている。これらの問題が解消されない一つの大きな要因は、微生物検査に長い時間がかかる点にある。こうした状況から、微生物検査の迅速化が強く求められるようになっている。
従来、微生物の検査には、培養法が用いられてきた。培養法は、20世紀初頭から、衛生管理の基本となってきたが、微生物の増殖を待つ必要があるため、検出に長時間を要する。食品など各分野で定められた公定法では、微生物の検出までに概ね24時間以上を要している。また、真菌(カビや酵母)では、1週間もの培養が必要である。
こうした培養法の問題を解決する迅速検査技術として、培養を要さない方法が様々に検討されてきた。その代表例は、試薬により微生物を染色し、その着色や蛍光を顕微鏡や自動検出装置を用いて計測する手法である。具体例を以下に挙げる。
A.直接染色法
4’,6−Diamidino−2−phenylindole dihydrochlorideを用いて、微生物の種類によらず、生死に関わらず全ての微生物の遺伝子を染色し、検出する。
Propidium iodideを用いて、微生物の種類によらず、死んだ微生物を蛍光染色し、検出する。
B.生理活性を利用する染色法
微生物に含まれる酵素で分解されると蛍光を発するCarboxyfluorescein diacetate(以下、CFDAと略す)を用いて、酵素活性を持っている微生物を蛍光染色し、検出する。
呼吸活性によって蛍光化する5−cyano−2,3−ditolyl tetrazolium chloride を用いて、呼吸活性を持っている微生物を蛍光染色し、検出する。
C.特定の遺伝子配列を染色する方法
微生物細胞中のDNAやRNAを染色し、検出する方法である。予め、検出対象となる微生物が有する固有の配列に対して、相補的に結合する遺伝子断片(プローブという)を用意し、そのプローブを蛍光色素で標識しておく。この標識プローブを試料に加えることにより、目的の遺伝子、すなわち、目的の微生物を特異的に蛍光染色し、検出する。
D.特定の抗原を染色する方法
微生物が有する抗原を染色し、検出する方法である。予め、検出対象となる微生物が有する固有の抗原に対して、特異的に結合する抗体を用意し、その抗体を蛍光色素で標識しておく。この標識抗体を試料に加えることにより、目的の抗原、すなわち、目的の微生物を特異的に蛍光染色し、検出する。
これらの技術によって、検査時間は数時間以内、速いものでは10分程度と大幅な迅速化が図られた。
ところが、これらの手法を食品など実際の試料に適用するには、まだ大きな問題がある。それは、検出したい微生物以外の物質(以下「夾雑物」と呼ぶ)が、非特異的に試薬によって染色されてしまうことである。非特異的な染色が起こると、検出の際、微生物と夾雑物とが同じ波長の蛍光を発する。微生物と夾雑物との識別は、蛍光輝点のサイズや形状、シグナル強度などを利用すれば、ある程度可能であるが、生物性の夾雑物が多く含まれる試料(食品など)では、実用的なレベルまで微生物と夾雑物を識別するのは困難なことが多い。例えば、惣菜の衛生規範では生菌数で10万個/gが出荷の良否判定の基準となっているが、夾雑物の影響を排して、このレベルまで微生物の検出下限を下げることは難しい。
こうした状況に対して、試料に2種あるいはそれ以上の種類の染色試薬を加え、それらの試薬の特異性を組合せることで、夾雑物の影響を低減し、目的の微生物をより正確に検出する、多重染色と呼ばれる手法が考案されている。
多重染色を用いる先行技術としては、例えば、以下のa〜cが挙げられる。
a: Y. Hansson et. al. ; Journal of Immunological Methods, 100 (1987) pp.261−267
生細胞を蛍光発光させる試薬としてFluorescein diacetateを用い、生細胞から漏れるFluoresceinの蛍光を消光するためにHemoglobinを用いている。試料をこれらの試薬で二重染色し、染色した試料に対して励起光を照射することにより、Fluorescein diacetateで染色された生細胞が発する蛍光発光の強度を蛍光顕微鏡に接続したフォトマルチプライヤーで検出して、蛍光発光強度から生細胞数を算出する方法が記載されている。
b: 米国特許第6,459,805号公報
試料に、生細胞のみに蓄積される蛍光染料と、死細胞に浸透できるが生細胞には排除される消光染料とを添加し、試料の蛍光強度を計測することで生細胞数を計測する方法が記載されている。
具体的には、蛍光染料としてFluorescein diacetateを用い消光染料としてEosin Yを用いる事例と、蛍光染料としてCalcein−AMを用い消光染料としてTrypan Blueを用いる事例とが挙げられている。
c: 特開2002−34594号公報
細胞を含む試料に色素または蛍光性酵素基質を添加して、色素または蛍光を検出又は測定する生細胞の検出方法において、細胞膜を透過できず、かつ、上記色素または蛍光性酵素基質の発光を吸収する吸収体の存在下で検出または測定を行うことを特徴とする方法が記載されている。
具体的には、土壌の懸濁液に、蛍光性酵素基質Carboxyfluorescein diacetate acetoxymethyl ester添加して生細胞を蛍光染色し、生細胞以外の夾雑物が発する非特異的蛍光をCytochrome cで吸収する実施例が紹介されている。
米国特許第6,459,805号公報 特開2002−34594号公報
上述の先行技術は、夾雑物の影響低減を行った事例ではあるが、次の問題点がある。すなわち、これらの先行技術で測定している試料は、a、bはヒト細胞や神経細胞の培養液であり、cは土壌の懸濁液となっている。a〜cの先行技術は夾雑物の影響の小さい試料にしか適用できない手法であり、食品のように、微生物に特性の近い生物性の夾雑物が多量に含まれる試料に対して、実効性のある手段とは言えない。
本発明は、これら従来技術の問題を解決するため、食品をはじめ生物性の夾雑物を含む試料に有効な多重染色法を見出し、それを用いる微生物の計測方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る微生物の計測方法は、試料に第一の試薬を接触させ、上記第一の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物を蛍光染色し、上記試料に第二の試薬を接触させ、上記第二の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物以外の物質を染色し、上記試料に上記第一の試薬を励起する波長の光を照射し、上記第一の試薬の蛍光波長で蛍光を発している輝点を検出し、検出した輝点の情報(数、大きさ、形状、分布)から微生物の有無や数を求めることを含み、
上記第一の試薬が、蛍光を発し、上記試料を含む溶媒に溶解し、上記第二の試薬が、上記第一の試薬の蛍光を吸収し、上記試料を含む溶媒に溶解し、かつ上記試料中で負に解離する基を有することを特徴とする。また、ここで第二の試薬は、脂溶性を有し、かつ分子量は小さいことが好適である。
本発明に係る微生物の計測方法は、その一実施の形態で、上記第一の試薬として、Coumarinおよびその誘導体、並びにCascade Blueからなる群から選択される試薬を用い、上記第二の試薬として、黄色407号、緑色204号、黄色402号、黄色203号、褐色201号、および黄色403号の(1)からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする。
また、本発明に係る微生物の計測方法は、別の実施の形態で、上記第一の試薬として、4’,6−Diamidino−2−phenylindole、Amino−Methoxycoumarin−Acetic−acid、Amino−Chloro−Methoxyacridine、Hoechst 33258、Hoechst 33342、POPO−1、およびBOBO−1からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として、黄色406号、だいだい色402号、だいだい色205号、および赤色203号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする。
本発明に係る微生物の計測方法は、別の実施の形態で、上記第一の試薬として、Fluoresceinおよびその誘導体、Acridine orange 、YOYO−1、TO−PRO−1、TOTO−1、Calcein−AM、SYBR Green I、SYBR GreenII、並びにRhodamine 123 からなる群か
ら選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として、赤色504号、赤色503号、赤色102号、赤色502号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色401号、および赤色227号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする。
本発明に係る微生物の計測方法は、別の実施の形態で、上記第一の試薬として、2−hydroxy−3−naphtoic acid−2’、Cy3、Chromomycin A3、Mithramycin、Tetramethylrhodamine isothiocyanate、および5(6)−carboxytetramethyl−rhodamine−N−hydroxysuccinimide−esterからなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として紫色401号を用いることを特徴とする。
本発明に係る微生物の計測方法は、別の実施の形態で、上記第一の試薬として、5−cyano−2,3−ditolyl tetrazolium chloride、Ethidium bromide、Ethidium homodimer、Texas Red、Propidium iodide、およびNile Red からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として、青色2号、黒色401号、緑色402号、緑色3号、青色205号、青色1号、緑色205号、青色202号、青色203号、および緑色201号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする。
本発明に係る微生物の計測方法は、別の実施の形態で、上記第一の試薬としてLDS751を用い、上記第二の試薬として緑色401号を用いることを特徴とする。
本発明者らは食品をはじめ生物性の夾雑物を含む試料に有効な多重染色法を見出した。本発明によれば、それを用いる微生物の計測方法が提供される。
以下に、本発明に係る微生物の計測方法の詳しい内容、および、実施例を述べる。ただし、本発明の適用範囲は、この記載内容に限定されるものではない。
[本発明の原理]
生きている微生物は、水中では、カルボキシル基などの解離によって細胞表面が負に帯電し、負電荷を帯びた粒子として存在している。このため、負の電荷をもつ物質は、電気的反発のため、生きている微生物に接触しにくい。染色試薬として負の電荷を持つ試薬を使うと、試薬が微生物に接触しにくく、生きている微生物を染色しない。
一方、生きている微生物以外の、生理活性をもたない夾雑物には、通常、負の電荷が局在することはない。このため、負の電荷を持つ試薬でも反発されることなく、夾雑物を染色することができる。微生物も、生理活性を失うと(死ぬと)負の電荷を消失していくため、負電荷を持つ試薬で染色されるようになる。
これらのことを勘案すると、第一の試薬として目的の微生物を蛍光染色できる試薬を用い、第二の試薬として、負電荷を有し、かつ、第一の試薬の蛍光を吸収できる試薬を用いれば、目的の微生物を蛍光染色した状態で、それ以外の夾雑物を第二の試薬で染色することができる。結果的に、目的の微生物と、それ以外の夾雑物とは異なる色調に染め分けられることになる。この第二の試薬による染色をマスク染色と呼ぶ。
さらに死んだ微生物の染色を考慮すると、第二の試薬は、脂溶性を有し、かつ分子量は小さいことが好ましい。
本発明で検出する微生物の種類は、特に限定されない。たとえば、大腸菌、ブドウ球菌、シュードモナス、バチルス、セラチアなどの細菌のほか、酵母などの真菌、クリプトスポリジウムなどの原虫にも適用が可能である。
さらに、本発明の方法は、微生物に限定されず、動物細胞や植物細胞の計測にも適用が可能である。
[試薬]
本発明で用いる第一の試薬には、次の特性が求められる:
・目的の微生物を蛍光染色する。
・試料を含む溶媒に溶解する。
第二の試薬には、次の特性が求められる:
・第一の試薬の蛍光を吸収する。
・試料を含む溶媒に溶解する。
・試料中で負に解離する基を有する。
また、第二の試薬は、次の特性を持つことが好ましい:
・脂溶性基を有する。
・分子量が小さい。
第一の試薬と第二の試薬の組合せについては、第一の試薬が発する蛍光の波長帯域と、第二の試薬の吸収波長帯域とが適合する必要があることから、いくつかのグループに分けられる。そのグループについては、表1〜表6に好適な組合せを例示した。
Figure 2006340684
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Figure 2006340684
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表1は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね390〜430nmの試薬のグループである。
表2は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね430〜490nmの試薬のグループである。
表3は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね500〜530nmの試薬のグループである。
表4は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね560〜580nmの試薬のグループである。
表5は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね600〜650nmの試薬のグループである。
表6は、第一の試薬の蛍光波長帯域と第二の試薬の吸収波長帯域が、概ね710〜720nmの試薬のグループである。
これらの表中で、以下の略称を用いた。AMCA:Amino−Methoxycoumarin−Acetic−acid、DAPI:4’,6−Diamidino−2−phenylindole、ACMA:Amino−Chloro−Methoxyacridine、FLUOS:5(6)−carboxyfluorescein−N−hydroxy succinimide−ester、FITC:Fluorescein isothiocyanate、FDA:Fluorescein diacetate、CFDA:Carboxyfluorescein diacetate、CFDA−AM:Carboxyfluorescein diacetate acetoxymethyl ester、CMFDA:Carboxymethylfluorescein diacetate、HNPP:2−hydroxy−3−naphtoic acid−2’、TRITC:Tetramethyl rhodamine isothiocyanate、CT:5(6)−carboxytetramethyl−rhodamine−N−hydroxysuccinimide−ester、PE:Phycoerythrin、CTC:5−cyano−2,3−ditolyl tetrazolium chloride、7−AAD:7−Aminoactinomycin D
[計測手順]
図1に示した微生物の計測手順を参照しながら、本発明の計測の流れを説明する。
本発明の方法では、まず、試料1に対して、ストマックや試薬処理、遠心分離、ろ過など、微生物と微生物以外の物質(夾雑物)を分離する処理を行う(ステップ2)。つづいて、第一の試薬を接触させる(ステップ3)。第一の試薬は、微生物および残留している夾雑物を蛍光染色する。次に、試料に第二の試薬を接触させる(ステップ4)。第二の試薬は、夾雑物をマスク染色する。
そして、試料に第一の試薬を励起する波長の光を照射し、第一の試薬の蛍光波長で蛍光を発している輝点を検出する(ステップ5)。蛍光輝点の検出は、蛍光顕微鏡を用いて目視で行うことができる。また、蛍光顕微鏡にCCDカメラやCMOSカメラを組み合わせ、画像を取得した後、それを画像処理することで、輝点を検出することも可能である。さらには、本発明者が先の出願で示したような自動検出装置を適用すれば、画像取得から画像処理、輝点検出までの処理を自動化することも可能である。
これらの方法で検出した輝点の情報(数、大きさ、形状、分布)から、微生物の有無や数を求めることができる。
試料の形態としては、固形物を含まない液体試料が計測できるほか、固形物を含む試料であっても、滅菌水を加えて粉砕混合する(ストマック)ことで微生物を液体に抽出し、計測することが可能である。
[実施例1]
以下、本発明の微生物の方法でポテトサラダを計測した例を紹介する。説明中で特にことわらない限り、実験備品は滅菌済みのものを使用した。
試料の調製
ポテトサラダに純粋培養したシュードモナス菌を適当量加え、模擬的に細菌で汚染された試料とした。
ストマック・試薬反応・遠心分離
まず、試料であるポテトサラダを10g秤量し、90mLの滅菌水を加えてストマックを行なった。使用したストマック袋にはメッシュフィルタが備わっており、ストマック液を採取する際、大きなゴミは分離できるようになっている。
ストマック液1mLをマイクロチューブに採取し、そこに20%のTrypsin水溶液250μLと、10%のPolyoxyethylene(10) octylphenyl ether水溶液20μLを加えた。その試料液をボルテックスミキサーで攪拌し、42℃の恒温水槽に1分間浸した。
つづいて、試料液を1万回転で3分間遠心分離し、上澄みを取り除いた。
再分散・ろ過
遠心分離で得られたペレットに、900μLのりん酸生理食塩水を加え、攪拌を行って、ペレットを分散させた。その試料液に、20%のTrypsin水溶液250μLと、10%のPolyoxyethylene(10) octylphenyl ether水溶液20μLを加えた。その試料液をボルテックスミキサーで攪拌し、42℃の恒温水槽に1分間浸した。
つづいて、試料液全量をメンブレンフィルタでろ過し、検出対象となる微生物をメンブレンフィルタ上に捕捉した。メンブレンフィルタとしては、ワットマン製のポリカーボネートブラックメンブレン、ポアサイズ0.4μm、直径25mmを使用した。
蛍光染色・マスク染色
あらかじめ、CFDAを1〜10mg/mLでDMSOに溶解した蛍光染色原液を用意した。その蛍光染色原液をりん酸緩衝液に混合し、蛍光染色液とした。蛍光染色液をメンブレンフィルタ上に滴下し、1〜5分間静置した後、ろ過によって蛍光染色液を吸引除去した。
次に、赤色102号を含むマスク液を用意した。マスク液をメンブレンフィルタ上に滴下し、1〜5分間静置した後、ろ過によって蛍光染色液を吸引除去した。
[メンブレンフィルタのセッティング・蛍光画像取得・画像処理で輝点計数]
ろ過器のファンネルを取り外し、メンブレンフィルタをピンセットでとって、スライドガラスにのせた。これらの操作中は、手指などがメンブレンフィルタの集菌面に触れないように注意し、手指などが集菌面に触れた場合は、全ての操作をやり直した。
メンブレンフィルタは、蛍光顕微鏡と自動分析装置によって観察を行った。
結果・解析
図2において、左側は蛍光顕微鏡によってCFDA蛍光染色後(マスク染色前)の試料を観察した画像、右側はマスク染色後の試料を観察した画像である。マスク染色前の画像では、細菌(シュードモナス菌)と夾雑物との識別は困難である。それに対して、マスク染色後の画像では、夾雑物はマスク試薬によって細菌(緑色)と異なる色(赤色)に染め分けられており、両者は明瞭に識別できる。
[実施例2]
図3は、実施例1と同様の操作で、タマネギ細切りにエンテロバクターを添加し、本発明の方法で微生物を測定した結果である。本実施例では、微生物の検出に自動検出装置を用いており、自動検出装置の測定結果を縦軸に、従来からの培養法の測定結果を横軸にとり、両者の相関をグラフ化した図である。先行技術で挙げたような従来の迅速検査法では、培養法による検出菌数が10〜100万個/g程度より下になると、細菌と夾雑物との識別が困難であった(図には示していない)。それに対して、本発明を用いれば、細菌の定量下限が1万個/g以下まで到達していることが図3から読み取れる。
[従来の多重染色試薬との比較]
先行技術bに紹介されている Trypan Blue は、生乳中に含まれる夾雑物のマスク染色には有効であることが本発明者によって確認されている。しかしながら、上述のような惣菜試料に適用したところ、夾雑物をマスクする力が弱く、微生物の検出感度を下げることはできなかった。
このほか、Propidium iodideは、微生物の種類によらず、死んだ細胞を蛍光染色すると言われているが、惣菜系試料に含まれる夾雑物のマスクには効果が見られなかった。逆に、夾雑物と比べて、生きている細菌に対する親和性の方が高い場合もあった。Propidium iodideは、死んだ細胞を染色する特異性が、必ずしも高くないと考えられる。
本発明を用いれば、生物性の夾雑物を含む試料についても、そこに含まれる微生物を、夾雑物と識別しながら計測することができる。蛍光染色法など従来の迅速法では、例えば惣菜のように、生物性で固形の夾雑物が多く含まれる試料については、実用的な検出感度(例えば惣菜の衛生規範では生菌数で10万個/gが出荷の良否判定の基準となっている)が得られなかったが、本発明によって、1万個/gの生菌検出が実現された。
この効果によって、たとえば、食品の微生物検査を迅速に行うことができ、食品工場における出荷検査の迅速化によって、食中毒のリスクを低減することが可能となる。また、食品製造プロセス(例えば発酵)において、リアルタイムに微生物の動態を把握することができるため、従来よりも精密なプロセス制御が可能となり、製品の品質向上が期待される。このほか、製薬分野では、化学物質が微生物や細胞に与える影響の評価を迅速化、高精度化することで、医薬品開発の効率化を図ることができる。製薬研究のハイスループット化は社会的な要請でもあり、本発明が寄与できる分野である。さらに、院内感染原因菌の検出、土壌中の微生物の測定、水質汚濁に関わる微生物のモニタリングなど、本発明には、多くの用途がある。
本発明による微生物の計測の手順を示すフロー図である。 第二の試薬による微生物と夾雑物との識別効果を示す写真である。 本発明によって夾雑物の影響を低減し、自動検出装置で測定した結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 試料に第一の試薬を接触させ、
    上記第一の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物を蛍光染色し、
    上記試料に第二の試薬を接触させ、
    上記第二の試薬によって上記試料中の検出対象としている微生物以外の物質を染色し、
    上記試料に上記第一の試薬を励起する波長の光を照射し、
    上記第一の試薬の蛍光波長で蛍光を発している輝点を検出し、
    検出した輝点の情報から微生物の有無や数を求めることを含み、
    上記第一の試薬が、蛍光を発し、上記試料を含む溶媒に溶解し、
    上記第二の試薬が、上記第一の試薬の蛍光を吸収し、上記試料を含む溶媒に溶解し、かつ上記試料中で負に解離する基を有することを
    特徴とする微生物の計測方法。
  2. 上記第一の試薬として、Coumarinおよびその誘導体、並びにCascade Blueからなる群から選択される試薬を用い、上記第二の試薬として、黄色407号、緑色204号、黄色402号、黄色203号、褐色201号、および黄色403号の(1)からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
  3. 上記第一の試薬として、4’,6−Diamidino−2−phenylindole、Amino−Methoxycoumarin−Acetic−acid、Amino−Chloro−Methoxyacridine、Hoechst 33258、Hoechst 33342、POPO−1、およびBOBO−1からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、
    上記第二の試薬として、黄色406号、だいだい色402号、だいだい色205号、および赤色203号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
  4. 上記第一の試薬として、Fluoresceinおよびその誘導体、Acridine orange 、YOYO−1、TO−PRO−1、TOTO−1、Calcein−AM、SYBR Green I、SYBR GreenII、並
    びにRhodamine 123 からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として、赤色504号、赤色503号、赤色102号、赤色502号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色401号、および赤色227号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
  5. 上記第一の試薬として、2−hydroxy−3−naphtoic acid−2’、Cy3、Chromomycin A3、Mithramycin、Tetramethylrhodamine isothiocyanate、および5(6)−carboxytetramethyl−rhodamine−N−hydroxysuccinimide−esterからなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として紫色401号を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
  6. 上記第一の試薬として、5−cyano−2,3−ditolyl tetrazolium chloride、Ethidium bromide、Ethidium homodimer、Texas Red、Propidium iodide、およびNile Red からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用い、上記第二の試薬として、青色2号、黒色401号、緑色402号、緑色3号、青色205号、青色1号、緑色205号、青色202号、青色203号、および緑色201号からなる群から選択される少なくとも一の試薬を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
  7. 上記第一の試薬としてLDS751を用い、上記第二の試薬として緑色401号を用いることを特徴とする請求項1記載の微生物の計測方法。
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