JP2006339996A - スクリーンスピーカシステム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スクリーンスピーカを接合して大画面を有するスクリーンスピーカの製造に際し、スクリーンスピーカの接合部を目立たないようにして、より鮮明な映像を画面に映し出すこと。
【解決手段】
スクリーンスピーカシステム10を、投影機にて映像を投射されるスクリーン12と、スクリーン12を駆動する駆動体50と、を有するスクリーンスピーカ11を1つのユニットとし、当該スクリーンスピーカ11を複数接合して構成され、当該スクリーンスピーカ11同士の接合部71に存在する隙間または段差にパテ77を充填し、そのパテ77とその周囲のスクリーンスピーカ11の表面に、均一な色および厚みの塗料79を塗布した構成とする。
【選択図】 図14

Description

本発明は、外部から投射された映像を映し出すスクリーンから音を放出するスクリーンスピーカシステムに関する。
従来から、スクリーンの中央に配置されるボイスコイルにセンタースピーカ用の信号を加え、その左右に配置されるボイスコイルに左右チャンネル用の信号を加えて、スクリーンの前方より音を放出させる直接駆動型スクリーンスピーカシステムが存在する。このようなタイプのスクリーンスピーカシステムとしては、例えば、特許文献1に開示されているものが知られている。
近年、より迫力ある映像を提供するために、ホームシアターシステムにおいて、当該映像を映し出すためのスクリーンの大型化が要求されており、上述の直接駆動型スクリーンスピーカシステムにおいても更なる画面の大型化が要求される。
特開2005−64932号公報(図21〜図23)
しかしながら、特許文献1記載のスクリーンスピーカシステムにおいて、スクリーンの大型化を図る場合、スクリーンの材料となるアルミニウム薄板の外形寸法に規制される。例えば、現在市販されているアルミニウム板の外形の最大寸法は、2500mm(長さ)×1250mm(幅)である。そのため、特許文献1記載のスクリーンスピーカシステムの構造では、上記外形寸法以上のものは望めない。
本発明は、かかる問題を解決するために、特許文献1に記載されるスクリーンスピーカを複数台用意して、これらを接合することによって、より大型の画面を備えるスクリーンスピーカシステムを製造することを考えた。このような接合を行う場合、スクリーンスピーカ同士の接合部に発生する隙間あるいは段差が問題となる。
本発明者は、先に、スクリーンスピーカ同士の接合部の隙間あるいは段差をそのまま維持した状態で映像をスクリーン全面に投射した。しかし、隙間あるいは段差に起因して映像に垂直方向あるいは水平方向の暗線が発生し、これが大画面化の大きな障害となることが分かった。
そこで、本発明者は、前述の接合部の隙間あるいは段差の上から、スクリーンと同色系統のテープを貼ってから、映像を投射してみた。しかし、スクリーンの色とテープの色とが少しでも違うと、テープの幅が視認され、余計に接合部が目立つことが分かった。
次に、本発明者は、スクリーンと同じ材質で、且つ同じ表面処理を施したテープを自作し、接合部を覆ってみた。具体的には、スクリーンの材質と同じアルミニウム板を用い、その表面をアルマイト処理してクリア塗装を施した幅10mmのテープを、接合部に貼ってみた。テープの厚みに関しても、薄いもの(約0.1mm)と厚いもの(0.1mm以上)を用意して覆ってみた。
しかし、接合部に発生した僅かな隙間や段差を覆うテープには微妙にうねりが生じ、当該うねりが接合部の存在を余計に際立たせることが分かった。特に、テープが薄くなる程、うねりがより一層発生しやすいことも分かった。さらに、テープが有する厚みが投射先により影を発生させ、正面からよりも前方斜め方向から映像を見たときに、その影が一層視認しやすいこともわかった。また、スクリーンと同じ材質、同じ表面処理を施したテープを用意することは、コストの上昇に繋がるため、現実には実施できないことが分かった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、スクリーンスピーカを接合して大画面を有するスクリーンスピーカを製造するに際し、スクリーンスピーカの接合部を目立たないようにして、より鮮明な映像を楽しめるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、投影機にて映像を投射されるスクリーンと、スクリーンを駆動する駆動体と、を有するスクリーンスピーカを1つのユニットとし、当該スクリーンスピーカを複数接合して構成され、当該スクリーンスピーカ同士の接合部に存在する隙間または段差に充填材を充填し、その充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布しているものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、隙間または段差に充填された充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面とを平滑に研磨しており、その研磨面を含む全スクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布しているものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、隣接するスクリーンスピーカは、接合部となる面に挿通孔を有し、その挿通孔にボルトを挿通し、ナットにより締結して接合されているものである。
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、駆動体のそれぞれを個別に駆動するチャンネルを設けているものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数のスクリーンスピーカから構成される画面に映し出される画像の各部分に対応して音声の分布に応じて、チャンネル信号の切り替えを制御する制御ユニットを備えるものである。
また、本発明の製造方法は、投影機にて映像を投射されるスクリーンと、スクリーンを駆動する駆動部と、を有するスクリーンスピーカを1つのユニットとし、当該スクリーンスピーカを複数接合してなるスクリーンスピーカシステムの製造方法であって、1つの大画面を形成するように複数のスクリーンスピーカをそれぞれ隣接させて接合する接合ステップと、隣接して接合されたスクリーンスピーカの接合部に発生する隙間または段差に充填材を充填する充填ステップと、その充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布する塗布ステップとを有するものである。
本発明によると、スクリーンスピーカを接合して大画面を有するスクリーンスピーカを製造するに際し、スクリーンスピーカの接合部を目立たないようにして、より鮮明な映像を画面に映し出すことが可能となる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステム10について、図1から図19に基づいて説明する。スクリーンスピーカシステム10は、1つのユニットとなるスクリーンスピーカ11を4台接合することにより構成される。まず、スクリーンスピーカ11の構成について説明する。
図1は、スクリーンスピーカ11を示す斜視図であり、図2は、スクリーンスピーカ11からスクリーン12を取り除いた状態を示す斜視図である。また、図3は、スクリーン12を駆動するための駆動体50の近傍を示す図であり、(a)は、駆動体50を分解した状態を示す断面図であり、(b)は、駆動体50を組み立てた状態を示す断面図である。図4は、スクリーンスピーカ11の筐体14を示す斜視図である。図5は、図3中の筐体14を構成する裏板15を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図1、図4、図5において、一端側とは左斜め上方を指し、他端側とは右斜め下方を指す。また、図3において、一端側とは左側を指し、他端側とは右側を指すものとする。また、本実施の形態では、スクリーンを駆動させるための駆動体の一例としては、磁気回路30とボイスコイル52とを有する駆動体50が採用されており、また、ハウジングとしては磁気回路30を保持するための磁気回路ハウジング40が採用されている。
スクリーンスピーカ11は、直接駆動型のスクリーンスピーカであり、図1、図2および図3に示すように、外部からの映像を映し出すスクリーン12と、スクリーン12を保持する筐体14と、スクリーン12を振動させる駆動体50と、駆動体50を構成する磁気回路30を保持する磁気回路ハウジング40と、から主に構成されている。
筐体14は、図4に示すように、3枚の裏板15と、当該3枚の裏板15を囲う枠体16とから構成されている。裏板15は、長方形の形状をした板状部材であり、ラワンを芯材とし、その表面にシナを重ね合わせた厚さ4mmの合板となっており、さらにその表面には厚さ1mmのアルミニウム板が接着されている。したがって、裏板15は、表面にアルミニウム板を有する厚さ5mmの合板となっている。また、枠体16は、長方形の形状をした枠部材となる側枠17と、その側枠17の内側に長方形の短手方向に沿って配置される中桟18とから構成されている。側枠17および中桟18は、アッシュ材を任意の厚さに削りだして3枚積層させた合板からなっている。
側枠17は、図4に示すように、裏板15の外縁に対して上方に配置されており、当該側枠17の長手方向を構成する2つの長手側枠17a,17aと、側枠17の短手方向を構成する2つの短手側枠17b,17bとから構成されている。長手側枠17a,17aの外形寸法は共に、厚さ24mm、幅35mm、長さ1680.0mmである。また、短手側枠17b,17bの外形寸法は共に、厚さ24mm、幅35mm、長さ896.5mmである。さらに、図2に示すように、長手側枠17a,17aおよび短手側枠17b,17bの所定の箇所には、長手方向に沿った12個の貫通孔17cおよび短手方向に沿った4個の貫通孔17dが設けられている。当該貫通孔17c,17dの直径は共に7mmである。なお、図中、長手側枠17aおよび短手側枠17bは、それぞれ17(17a)および17(17b)で示されている。また、図2では、貫通孔17c,17dの一部のみに符号を付している。中桟18は、上述したように、側枠17の内側に短手方向に向かって2本配置され、側枠17の内側の領域を長手方向に沿って等間隔に3分割している。また、中桟18の両端の端面は共に、長手側枠17aに接着剤により接合されており、枠体16の強度を向上させる役割を果たしている(図4参照)。
図6は、筐体14おいて裏板15を枠体16に装着する状態を示す分解斜視図である。また、図7は、図6中の矢示Eで示す部分の拡大図である。図8は、図1中のK−K線で切断した部分の部分断面図である。
また、枠体16は、側枠17の内側に中桟18を取り付けることにより形成され、その後、図6に示すように、当該枠体16の裏側から3枚の裏板15が、中桟によって分割された3つの領域の裏側を塞ぐ形でそれぞれ配置される。図6において矢示Eで指す部分は、側枠17の断面形状を示している。図7に示すように、スクリーン12を筐体14に装着する側である側枠17の表側には、側枠17の内周面17cから外周面17dに向かう途中の所定の位置にかけて溝加工を施した段部17eが長手方向に沿って形成されている。裏板15が取り付けられる側枠17の裏側は、平坦な面となっており特に加工は施されていない。また、長手側枠17aの内側における所定の位置には、中桟18が嵌まり込むための不図示の溝部が形成されている。
スクリーン12は、側枠17に設けられた段部17eに嵌め込む形で取り付けられる。また、裏板15は枠体16の複数の箇所にネジ止めすることによって取り付けられる。以上のようにスクリーン12および裏板15が枠体16に取り付けられた状態におけるスクリーンスピーカ11の外縁部分の断面は、図8に示すような状態となっている。
さらに、図5に示すように、各裏板15の中央には、スクリーンスピーカ11の裏側からスクリーンスピーカ11の内部に、磁気回路30を挿入するための挿入孔15mが、それぞれ設けられている。また、挿入孔15mの外周縁には、磁気回路30を保持する磁気回路ハウジング40を裏板15に固定するための取り付け孔15r(図3参照)が、周方向に沿って45度間隔で8個設けられている。また、各裏板15における下端面15pの近傍には、挿入孔15mの中心を通り、短手方向に向かう中心線に対して左右対称となるように2つの端子用孔15qが設けられている(図5参照)。当該端子用孔15qは、ボイスコイル52電圧を伝達するための入力端子用基板(不図示)を配置するための孔である。すなわち、各裏面15には、2つの端子用孔15qが設けられていることとなる。
本実施の形態では、図2に示すように、筐体14において2つの中桟18により3つの等しい体積に分割された分割部14aのそれぞれに、磁気回路30を保持するための磁気回路ハウジング40が配置されている。
磁気回路30は、図3(a)に示すように、ホルダ31と、マグネット32とから構成されている。ホルダ31は、載置ホルダ31aと、保持ホルダ31bとから構成されている。なお、図中、載置ホルダ31aおよび保持ホルダ31bは、それぞれ、31(31a)および31(31b)で示されている。載置ホルダ31aは、図3(a)に示すように、有底円盤状の底部31cの中央から円柱状の円柱部31dが、図3(a)における下方に突出するように形成されている。また、保持ホルダ31bは、円板の中央に円柱部31dが挿通できる大きさの円孔31eを有する形状となっている。そして、リング状のマグネット32を円柱部31dに挿通させ、その下方から、保持ホルダ31bを載置ホルダ31の円柱部31dに挿通させて、マグネット32を載置ホルダ31aの底部31cに対して係止させる。また、保持ホルダ31bに形成されている円孔31eの内周面と円柱部31dの外周面との間には空隙部30dが形成されている。以上のようにして、磁気回路30は形成される。
図9は、磁気回路ハウジング40を上方から見た場合の斜視図である。
磁気回路ハウジング40は、その内部に磁気回路30を配置させ、当該磁気回路30を筐体14に対して保持するための保持体である。また、磁気回路ハウジング40は、裏板15に設けられた挿入孔15mの上方に位置するように配置し、裏板15の裏側から取り付け孔15rを介してネジ止めすることによって枠体16に対して固定される。裏板15に対してそれぞれ1つずつの磁気回路ハウジング40が配置されるため、合計3つの磁気回路ハウジング40が、筐体14の内部に配置されることとなる。磁気回路ハウジング40の外形は、図9に示すように、正面が正八角形をした正八面体となっている。図9において、上方の面を上面40a、下方の面を下面40bとすると、上面40aの外縁には、正八角形のそれぞれの辺に対応するように計8つの突出部40cが溝により分離されて設けられている。そして、それぞれの突出部40cの内側には、磁気回路ハウジング40の中心軸線M−Mを中心とした円周を形成するようなテーパ部40dが形成されている。
また、磁気回路ハウジング40には、図3(a)および図9に示すように、中心軸線M−Mを中心とした円孔41が設けられている。円孔41は、上面40aから下面40bに向かって順に、小径円孔部41a、小径円孔部41aよりも大径となる中径円孔部41b、中径円孔部41bよりも大径となる大径円孔部41cとから構成されている。大径円孔部41cは、実質的には円周状の突起部41dの内側に形成されており、突起部41dの外側は、全周に亘って削り取られた形となっている。また、削り取られた部分は、段部41eとなっている。段部41eは、図3(a)において、中径円孔部41bと大径円孔部41cとの境界となる境界面41fよりも上方に位置するように形成されている。また、小径円孔部41aと中径円孔部41bとの境界となる部分は、境界面41gとなっている。小径円孔部41aの内周面と境界面41gとが合わさる角部にはテーパ41hが全周に亘って形成されている。
また、段部41eには、裏板15に設けられた取り付け孔15rに対応するように、8個のネジ穴41jが形成されている。さらに、境界面41fにも、ネジ穴41kが周方向に沿って45度おきに8個設けられている。これらネジ穴41kのそれぞれは、それぞれのネジ穴41jに対して、周方向に沿って22.5度ずらして形成されている。
また、図9に示すように、磁気回路ハウジング40は、その正八面体を形成する8つの外周面40fを有している。また、磁気回路ハウジング40は、アルミニウムからできており、八角形の対向する辺の間の距離が150.8mmとなっている。ただし、当該距離は、150.8mmに限定されるものではない。
図3に示すように、スクリーン12の裏面12aには、磁気回路ハウジング40の位置と対応するように、3つのボイスコイル52が配置されている。ボイスコイル52は、スクリーン12を駆動させる駆動体50の一部を構成するもので、所定の寸法のコイルボビン53に、コイル線を巻きつけることにより形成されている。また、図3に示すように、スクリーン12の裏面12aには、入力端子54を固定するための端子フランジ55が取り付けられている。そして、ボイスコイル52が巻回されたコイルボビン53を端子フランジ55に設けられた凹部55aに装着する。以上のようにして、ボイスコイル52は、スクリーン12の裏面12aに配置されている。
また、裏板15に形成された2つの端子用孔15qのそれぞれに入力端子基板が装着(不図示)され、スクリーン12の裏面12aに取り付けたボイスコイル52に入力するための入力信号用のリード線(不図示)が、裏板15の表面に這うように取り付けられている。そして、各リード線(不図示)の一端は、ボイスコイル52の入力端子54接続され、各リード線(不図示)の他端は、入力端子用基板(不図示)に接続されている。
図10は、駆動体50の構成を示す図であり、(a)は、駆動体50を組み立てる前の分解斜視図であり、(b)は、駆動体50を組み立てた状態で、裏板15の裏側から見た場合の斜視図である。
図3(a)に示すように、筐体14に磁気回路ハウジング40を配置させ、かつスクリーン12を筐体14に取り付けた状態で、図3(b)に示すように、裏板15の裏側から、磁気回路30を磁気回路ハウジング40の円孔41に、マグネット32の角部31fが磁気回路ハウジング40の境界面41gに当接するまで挿入される。このようにして、ボイスコイル52は、磁気回路30に形成された空隙部30dの内部に配置される。次に、上記のように磁気回路30が所定の位置に配置された状態で、当該磁気回路30を保持するための中心孔を有する円板状の保持板33を、図3における磁気回路30の上方から磁気回路ハウジング40の大径円孔部41cに嵌め込む。図10に示すように、保持板33には、磁気回路ハウジング40に形成されているネジ穴41kに対応するように円周方向に8個のネジ孔33aが設けられている。このため、当該ネジ孔33aにネジを挿通させて、ネジ穴41kにて保持板33を磁気回路ハウジング40に対してネジ止めできる。以上のようにして、図3(b)に示すように、磁気回路30は筐体14内に収納される。
次に、スクリーンスピーカシステム10の構成について説明する。図11は、スクリーンスピーカシステム10を組み立てる過程を示す図であり、1つのスクリーンスピーカ11を配置した状態を示す図である。図12は、スクリーンスピーカシステム10を組み立てる過程を示す図であり、2つのスクリーンスピーカ11を接合した状態を示す図である。図13は、スクリーンスピーカシステム10を組み立てる過程を示す図であり、3つのスクリーンスピーカ11を接合した状態を示す図である。図14は、スクリーンスピーカシステムの基本ユニット70を示す図である。図15は、基本ユニット70における接合部にパテ77が充填され、且つ、研磨された状態のスクリーン部73を示す正面図である。図16は、スクリーン部73に塗料79を塗布した状態を示す正面図である。図17は、スクリーンスピーカ11の長手側枠17aをボルト61とナット63によって接合した状態を示す側断面図である。図18は、図17中の矢示Pで示す部分の拡大図であり、(a)は、接合部71にパテ77を充填した状態を示す図であり、(b)は、接合部71にパテ77を充填し、且つ、研磨した後、スクリーン部73に塗料79を塗布した状態を示す図である。
上述したように、スクリーンスピーカシステム10は、1つのユニットとなる直接駆動型のスクリーンスピーカ11を、図14に示すように、4台接合することによって構成される。スクリーンスピーカ11の外形寸法は、幅168.09mm、高さ896.5mm、奥行き35mmであり、75インチサイズの直接駆動型スクリーンスピーカである。また、スクリーンスピーカ11の外形寸法は、これに限られるものではなく、他の外形寸法としても良い。
以下、図14において、左下に配置されているスクリーンスピーカ11をスクリーンスピーカ11a、左上に配置されているスクリーンスピーカ11をスクリーンスピーカ11b、右下に配置されているスクリーンスピーカ11をスクリーンスピーカ11c、右上に配置されているスクリーンスピーカ11をスクリーンスピーカ11dとする。スクリーンスピーカ11a〜11dの各長手側枠17aおよび各短手側枠17bには、貫通孔17c,17dが設けられている。そのため、図14に示すように、上下左右にスクリーンスピーカ11a〜11dを配置させ、隣接する長手側枠17a,17aの貫通孔17c,17cおよび隣接する短手側枠17b,17bの貫通孔17d,17dにボルト61を挿通させ、当該ボルト61をナット63にて締結することにより当該上下左右に配置されたスクリーンスピーカ11a〜11dを固定することができる。長手側枠17a,17aがボルト61およびナット63により固定された状態の断面図は図17に示される。図17では、上述したように、隣接する長手側枠17a,17aのそれぞれに形成された貫通孔17c,17cにボルト61が挿通され、当該ボルト61をナット63によって締結することで長手側枠17a,17aが互いに固定されている。以上のようにスクリーンスピーカ11a〜11dを接合することによって外形寸法が150インチとなるスクリーンスピーカシステム10の基本ユニット70が完成する。
基本ユニット70のスクリーン部73には、スクリーンスピーカ11aとスクリーンスピーカ11bの接合部71a、スクリーンスピーカ11cとスクリーンスピーカ11dの接合部71b、スクリーンスピーカ11aとスクリーンスピーカ11cの接合部71cおよびスクリーンスピーカ11bとスクリーンスピーカ11dの接合部71dが形成されている。何らの手段も施さなければ、スクリーン部73の表面には、当該4箇所の接合部71a,71b,71c,71dが、当該スクリーン部73の中心部から十字状に現れる。また、当該状態における接合部71a,71b,71c,71dのそれぞれには、隙間や段差等が発生している。そのため、何らの手段も施さなければ、基本ユニット70のスクリーン部73に投射機から映像を投射した場合、スクリーン部73には、接合部71a,71b,71c,71d(以下、接合部71a,71b,71c,71dをまとめていう場合には単に接合部71という。)の部分に十字状の黒線が明確に現れる。
図15は、基本ユニット70における接合部71に発生した隙間部分や段差部分に充填材となるパテ77を充填したスクリーン部73の概略図である。接合部71に発生した隙間部分や段差部分には、パテ77が充填される。接合部71にパテ77を充填した部分の状態は、図18(a)に示される。当該パテ77が硬化すると、パテ77が充填された部分は、研磨材によって研磨される。本実施の形態では、充填材としてはパテ77が使用されているが、シリコン樹脂等他の材料を充填材として用いても良い。また、研磨材としては、サンドペーパーが使用されているがこれに限られるものではない。上述したように接合部71にパテ77を充填した後、当該部分を研磨することで、接合部71は、スクリーン部73の面と同一平面となる。
スクリーン部73の接合部71が研磨された後、スクリーン部73の表面全体には塗料79が均一に塗布される。ここで均一とは、色および厚みの両面において、ムラがないようにという意味である。図16は、塗料79が塗布された状態のスクリーン部73の概略図である。本実施の形態では、塗料79としては、エスベンやオルガナイト等の有機溶剤系の艶消し白色塗料が使用される。当該塗料79は、エアースプレーガンにてスクリーン部73に吹き付けられる。しかし、塗料79の種類および塗装方法は、前述のものに限られず、目的に応じて、他の塗料および塗装方法を採用しても良い。図18(b)は、塗装後の接合部71近傍の状態を示す部分断面図である。図18(b)に示すように、塗装後には、スクリーン部73からは、接合部71に発生する隙間や段差は完全に消滅する。そのため、塗装後には、あたかも1枚の大きなスクリーンの如く見えるスクリーン部73を有するスクリーンスピーカシステム10が完成する。
次に、スクリーンスピーカシステム10の組立工程について説明する。
スクリーンスピーカシステム10の組み立ては、一般的には、その外形寸法の大きさから運搬等の取り扱いを考慮すると、4つのスクリーンスピーカ11(11a〜11d)を個別の状態で所定の配置場所に搬入してから組み立てられる。
組立作業としては、まず、裏板15が取り外された状態で、1つのユニットとなるスクリーンスピーカ11aを、図11に示すように、左下方に配置する。さらに、図12に示すように、裏板15が取り外されたスクリーンスピーカ11bをスクリーンスピーカ11aの上方に配置する。次に、スクリーンスピーカ11aとスクリーンスピーカ11bを、ボルト61とナット63を有する接合手段60によって接合する。接合方法は、図17に示すように、スクリーンスピーカ11a,11bの裏側から、当該スクリーンスピーカ11a,11bにおいて隣接している長手側枠17a,17aのそれぞれに形成された貫通孔17c,17cにボルト61を挿通し、当該ボルト61をナット63によって締結する。このようにボルト61をナット63によって締結することで、スクリーンスピーカ11aとスクリーンスピーカ11bは接合される。
次に、図13に示すように、スクリーンスピーカ11aの右側に裏板15が取り外された状態のスクリーンスピーカ11cを配置する。上述と同様に、スクリーンスピーカ11a,11cの裏側から、当該スクリーンスピーカ11a,11cにおいて隣接している短手側枠17b,17bをボルト61とナット63によって締結する。このようにして、スクリーンスピーカ11aとスクリーンスピーカ11cが接合される。さらに、スクリーンスピーカ11cの上方に裏板15が取り外された状態のスクリーンスピーカ11dを配置し、上述と同様に、スクリーンスピーカ11cとスクリーンスピーカ11d、スクリーンスピーカ11bとスクリーンスピーカ11dを接合する。次に、4つのスクリーンスピーカ11a〜11dが接合された状態で、各クスクリーンスピーカ11a〜11dに裏板15を取り付ける。以上のようにして、図14に示すように、スクリーンスピーカ11a〜11dが接合され、基本ユニット70が形成される(接合ステップ)。
基本ユニット70のスクリーン部73の表面における接合部71には、隙間や段差等が発生している。そのため、この隙間や段差等をなくす目的で、当該隙間部分や段差部分にパテ77を充填する(充填ステップ)。パテ77が充填された接合部の状態では、図18(a)に示すように、パテ77は、スクリーン部73の表面から突出しているので、当該パテ77が硬化した後、パテ77が塗布された部分を研磨材によって研磨する。研磨は、サンドペーパーを用いて行われる。研磨後の接合部71の面は、スクリーン部73と同一平面となる。但し、研磨せずに、パテ77の表面とスクリーン部73の表面とを同一平面に処理できる場合には、研磨の工程を省くことができる。例えば、パテ77を充填直後に、スクリーン部73におけるパテ77とその周辺領域を平滑部材を用いてぬぐい、余分なパテ77を除去しても良い。その後、パテ77が硬化すると、パテ77とその周辺のスクリーン部73は、同一平面となる。
スクリーン部73の接合部71が研磨された後、スクリーン部73の表面全体には塗料79が均一に塗布される。塗料79はエアースプレーガンによってスクリーン部73に吹き付けられる。塗装完了後には、図18(b)に示すように、スクリーン部73からは、接合部71に発生する隙間や段差は完全に消滅する(塗布ステップ)。以上のような工程を経てスクリーンスピーカシステム10は完成する。
次に、スクリーンスピーカシステム10の駆動システム80について説明する。
図19は、スクリーンスピーカシステム10の駆動システム80の構成を示す図である。
駆動システム80は、主に、スクリーンスピーカシステム10と接続される制御ユニットとしてのメインユニット81と、DVDプレーヤ82と、プロジェクタ83とから構成されている。DVD等の記録媒体に記録された映像信号と音声信号は、メインユニット81を介して、適切な信号に変換される。そして、変換された映像信号と音声信号に基づいて、スクリーンスピーカシステム10に映像が投射されると共に各駆動部50が駆動する。
本実施の形態では、スクリーンスピーカシステム10に映し出される映像を、ビデオカメラを用いて撮影する際に、当該映像に対する適した音声が、スクリーンスピーカシステム10から発せられるように、複数の音声信号をビデオカメラ(不図示)に内蔵されたメモリに記録される。当該ビデオカメラには、音声信号の数に対応可能な複数のマイクが設けられており、撮影される映像の音声は当該マイクを通じてメモリに記録される。また、各マイクに入力される音量は調節可能となっており、各マイクによって記録された音声信号は、異なる音量および音質の音声信号として、音声の分布に応じてメモリに個別に格納される。したがって、ビデオカメラに設けられたマイクの数が多いほど、メモリに格納される音声信号の数も多くなる。また、メモリには、上記音声信号と共に撮影された映像信号も記録される。メモリに記録された音声信号と映像信号は、音響システムによって再生可能となるように、メモリからDVD等の記録媒体に複製される。
メインユニット81は、信号処理部84と、ビデオデコーダ85と、オーディオデコーダ86と、制御部87と、アンプ88と、チャンネル90と、端子部91と、から主に構成されている。
信号処理部84は、DVDプレーヤ82から送信された映像信号と音声信号を、制御部87からの信号に基づいて信号処理を行う部分である。ビデオデコーダ85は、信号処理部84から出力されたエンコード後の映像信号をデコードする部分である。また、オーディオデコーダ86は、音声再生手段として機能し、信号処理部84から出力されたエンコードされた音声信号をデコードし、さらに当該信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する部分である。アンプ88は、オーディオデコーダ86から入力された音声信号を増幅する部分である。チャンネル90は、信号処理部84の切り替え制御に基づいて、駆動体50に音声信号を送信する部分である。端子部91は、複数の駆動体50から各チャンネル90を形成するための配線接続が行われる部分である。また、制御部87は、操作部92の操作に応じて信号処理部84における映像信号若しくは音声信号の信号処理の制御、ビデオデコーダ85若しくはオーディオデコーダ86でのデコード処理の制御およびアンプ88の増幅率の制御を行う部分である。
次に、操作者が操作部92を操作した場合の駆動システム80の動作を説明する。なお、本実施の形態では、図14に示される、スクリーンスピーカシステム10に配置されている12個の駆動体50のうち、駆動体50a,50bは、図19に示すように、端子部91aを介して左上チャンネル90aに接続される。また、駆動体50c,50dは、図19に示すように、端子部91bを介して中上チャンネル90bに接続される。また、駆動体50e,50fは、図19に示すように、端子部91cを介して右上チャンネル90cに接続される。また、駆動体50g,50hは、図19に示すように、端子部91dを介して左下チャンネル90dに接続される。また、駆動体50i,50jは、図19に示すように、端子部91eを介して中下チャンネル90eに接続される。また、駆動体50k,50lは、図19に示すように、端子部91fを介して右下チャンネル90fに接続される。各チャンネル90a,90b,90c,90d,90e,90fの配線は、端子部91a,91b,91c,91d,91e,91fにそれぞれ接続されている。
まず、操作者が、所望のDVDをDVDプレーヤ82にセットし、DVDプレーヤ82の再生を開始する。すると、DVDプレーヤ82から映像信号と音声信号が信号処理部84に送信される。そして、操作者が操作部92によって信号を制御部87に送信すると、制御部87から制御された信号が信号処理部84に入力される。そして、制御部87から入力された制御信号に基づいて、信号処理部84に送信された映像信号と音声信号が、信号処理部84にて適切な信号とに処理される。そして、処理された信号が、信号処理部84からビデオデコーダ85とオーディオデコーダ86に入力される。そして、ビデオデコーダ85では、信号処理部84から出力されたエンコードされた映像信号がデコードされ、プロジェクタ83に送信される。そして、プロジェクタ83からは、映像がスクリーン部73に向かって投射される。オーディオデコーダ86では、信号処理部84から出力されたエンコードされた音声信号がデコードされ、当該信号がデジタル信号からアナログ信号に変換される。そして、変換された信号が、各アンプ88a〜88fに入力され、各アンプ88a〜88fにおいて音声信号が各アンプ88a〜88fの増幅率に基づいて増幅される。そして、各アンプ88a〜88fからの音声信号が、各チャンネル90a〜90fに入力される。各チャンネル90a〜90fは、信号処理部84の切り替え制御に基づいて、端子部91a〜91fに音声信号を送信する。そして、端子部91a〜91fから各チャンネル90a〜90fによって切り替え制御された音声信号が駆動体50a〜50lに送信される。駆動部50a,50b、駆動部50c,50d、駆動部50e,50f、駆動部50g,50h、駆動部50i,50jおよび駆動部50k,50lは、それぞれ対となっており、同じチャンネル90の制御を受ける。また、本実施の形態では、撮影・収音時に4つのマイク(不図示)を用いている。各マイクは、撮影領域に向かって左上、右上、左下および右下の4方向に向けられている。このため、左上に向けられたマイクから主に収音された音声は、駆動体50a,50bから出力するようにしている。また、右上に向けられたマイクから主に収音された音声は、駆動体50e,50fから出力するようにしている。さらに、左下に向けられたマイクから主に収音された音声は、駆動体50g,50hから出力するようにしている。また、右下に向けられたマイクから主に収音された音声は、駆動体50k,50lから出力するようにしている。さらに、駆動体50c,50dは、左上および右上に向けられた両マイクから収音された音声を合成して出力している。また、同様に、駆動体50i,50jは、左下および右下に向けられた両マイクから収音された音声を合成して出力している。
以上のように構成されたスクリーンスピーカシステム10では、75インチの大きさのスクリーンスピーカ11を1つのユニットとして、4つの当該スクリーンスピーカ11(11a〜11d)を接合することにより、150インチの大きさのスクリーンスピーカシステム10が形成されている。このような方法を採用することで、スクリーンスピーカシステム10を形成することにより、スクリーンの材料や各種部材の材料の大きさに制限されることなく、スクリーンスピーカシステム10の大型化を図ることが可能となる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、4つのスクリーンスピーカ11(11a〜11d)を接合することにより、スクリーンスピーカシステム10の大型化を図っている。このため、1つのユニットとなるスクリーンスピーカ11(11a〜11d)の大きさを適宜変更することにより、容易にスクリーンスピーカシステム10の大きさを変えることが可能となる。例えば、スクリーンスピーカ11のユニットの大きさを75インチではなく、100インチとすることにより200インチの大きさのスクリーンスピーカシステム10を得ることができる。したがって、目的に応じて、ユニットの大きさを選択することで、設計に自由度を持たせることが可能となる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、スクリーンスピーカ11を1つのユニットとしているが、スクリーンスピーカ11の分割部14aを1つのユニットとしても良い。このような構成とすることで、ユニットの構成が単純となり、当該ユニットの製造工程を削減できる。また、ユニットの小型化を図ることにより、当該ユニットに配置される駆動体50の数も減少する。したがって、各ユニットにおける音圧等の微調整が容易に行えるため、各ユニットに対する品質精度の低下を防ぐことが可能となる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、接合部71にパテ77からなる充填材を充填し、当該部分を研磨した後、塗装処理を行っている。このような処理を行うことで、映像をスクリーン部73に投射した場合に、接合部71に現れる十字状の線を確実になくすことが可能となる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、ボルト61とナット63を用いて各スクリーンスピーカ11(11a〜11d)を接合している。このため、簡単な構成によって各スクリーンスピーカ11(11a〜11d)を大きな接合強度で接合することが可能となる。したがって、複数のスクリーンスピーカ11を接合することによって大型化を図る場合、安定した強度を維持することが可能となり、スクリーンスピーカシステム10の品質も向上する。
また、スクリーンスピーカシステム10では、4つのスクリーンスピーカ11(11a〜11d)を接合することにより、スクリーンスピーカシステム10の大型化を図っている。また、スクリーンスピーカシステム10には、合計12個の駆動体50が配置されている。そして、2つの駆動体50を、端子部91においてまとめて配線接続し、6つのチャンネル90a〜90fにそれぞれ接続している。したがって、各チャンネル90a〜90fに異なった信号を入力し6組の駆動体50をそれぞれ独立に駆動することが可能となる。また、目的に応じて、チャンネルの数を増やしたり減らしたりすることも可能である。例えば、12個の駆動体50を独立に駆動するために、チャンネル90および端子部91をそれぞれ12個設けても良い。また、収音時のマイクは4つに限定されず、例えば6組の駆動体50用の音声を収音すべく6つとしたり、あるいは駆動体50の数と同数としても良い。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステム10について、説明する。なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステム10の構成および駆動システム80は、共通の構成であり、同じ作用・効果についてもその説明を省略する。また、第1の実施の形態と同一の部材、同一の部分には同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。なお、第2の実施の形態では、DVD等の記録媒体への信号の記録手段のみが異なるため、その相違部分について述べる。
本実施の形態に係るスクリーンスピーカシステム10は、第1の実施の形態の場合と同様に、4つのスクリーンスピーカ11a〜11dを接合することによって構成されている。
また、本実施の形態では、ビデオカメラを用いての撮影時には、音声信号の調節は行われない。撮影後に、メモリ等に記録された映像信号と音声信号を、DVD等の記録媒体に記録する際に、スクリーンスピーカシステム10の各駆動体50から発せられる音声が、スクリーン部73に映し出される映像に対して、より効果的な音響効果を有するためにミキシングが行われる。具体的には、当該ミキシングでは、映像において音の発生源とマッチするように、各駆動体50からの音声出力を調整し、より効果的な出力信号を得ている。そして、ミキシングにより得られた出力信号が、DVD等の記録媒体に記録される。
以上のようにして、得られたDVDを、DVDプレーヤ82で再生することにより、駆動システム80により、記録された映像信号がプロジェクタ83に入力され、音声信号が各チャンネル90a〜90fに入力される。そして、スクリーン部73に映し出される映像の動作に合わせて、ミキシングされた音声信号が各チャンネル90a〜90fを介して各駆動体50に入力される。したがって、スクリーン部73に映し出される映像の動作に合わせた効果的な音声を出力することができる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、合計12個の駆動体50が配置されている。そして、2つの駆動体50を、端子部91において、まとめて配線接続し、それぞれの端子部91に接続された駆動体50を、左上チャンネル90a、中上チャンネル90b、右上チャンネル90c、左下チャンネル90d、中下チャンネル90eおよび右下チャンネル90fに接続している。したがって、映像に対して適した音声を発するようにミキシングされた音声信号が、各チャンネル90a〜90fにそれぞれ入力されて各駆動体50が駆動される。したがって、スクリーン部73に映し出される映像の動作に合わせて効果的な音声を出力することができる。特に、スクリーン部73に映し出された人物あるいは自動車等のオブジェクトの移動に伴って、当該オブジェクトの存在する分割部14aの駆動体50から音声が出力されるため、より優れた音響効果を得ることが可能となる。
また、スクリーンスピーカシステム10では、ミキシングにより映像信号と音声信号を調整しているため、映像を撮影した後に、自由に音質を調整することができる。したがって、スクリーンスピーカシステム10に映し出される映像に対する音声に自由度を与えることが可能となる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の各実施の形態では、4つのスクリーンスピーカ11a〜11dを接合することによりスクリーンスピーカシステム10が構成されているが、これに限られることなく、スクリーンスピーカ11の数を5つ以上としても良いし、3つ以下としても良い。また、スクリーンスピーカ11の大きさを75インチに限ることなく、さらに大きくしても、さらに小さくしても良い。また、異なる大きさのスクリーンスピーカ11を複数組み合わせてスクリーンスピーカシステム10を構成するようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、スクリーンスピーカ11a〜11dをボルト61とナット63によって固定しているが、ワッシャ等の補助金具を介しボルト61とナット63によって固定するようにしても良い。また、ボルト61とナット63に限ることなく、接着や溶接等の他の手段によってスクリーンスピーカ11a〜11dを接合するようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、チャンネル90を6つとしているが、これに限ることなく、5つ以下としても良いし、7つ以上としても良い。また、各チャンネル90a〜90fの数と駆動体50の数とを同一としたり、異ならせるようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、各チャンネル90a〜90fと同じ数のアンプ88a〜88fが配設されているが、これに限ることなく、アンプ88の数をチャンネル90の数より少なくしても良い。また、フィルタ回路やコンデンサをメインユニット81の内部に配置させることで各チャンネル90a〜90fに入力される信号の周波数を調整するようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、分割部14aは、筐体14の内部に3つ設けられているが、これに限らず、2つあるいは、4つ以上としても良い。さらには分割しなくても良い。また、中桟18を側枠17の短手方向および長手方向に複数配置させ、中桟18のみによって囲まれた部分を分割部とするようにしても良い。それに伴い、スクリーンスピーカシステム10に配置される駆動体50の数を13個以上としても良いし、11個以下としても良い。
本発明のスクリーンスピーカは、スクリーンの全面より音を放出するスピーカ等の音響変換装置において利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカからスクリーンを取り除いた状態を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカに使用される駆動体近傍の部分を示す図であり、(a)は、駆動体を分解した状態を示す断面図であり、(b)は、駆動体を組み立てた状態を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカの筐体を示す斜視図である。 図3中の筐体を構成する裏板を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカの筐体おいて裏板を枠体に装着する状態を示す分解斜視図である。 図6中の矢示Eで示す部分の拡大図である。 図1中のK−K線で切断した部分の部分断面図である。 図2に示す、磁気回路ハウジングを上方から見た場合の斜視図である。 駆動体の構成を示す図であり、(a)は、駆動体を組み立てる前の分解斜視図であり、(b)は、駆動体を組み立てた状態で、裏板の裏側から見た場合の斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステムを組み立てる過程を示す図であり、スクリーンスピーカを1つ配置した状態を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステムを組み立てる過程を示す図であり、2つのスクリーンスピーカを接合した状態を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステムを組み立てる過程を示す図であり、3つのスクリーンスピーカを接合した状態を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリーンスピーカシステムの基本ユニットを示す図である。 図14に示す、基本ユニットにおける接合部にパテが充填され、且つ、研磨された状態のスクリーン部を示す正面図である。 図14に示す、スクリーン部に塗料を塗布した状態を示す正面図である。 スクリーンスピーカの長手側枠をボルトとナットによって接合した状態を示す側断面図である。 図17中の矢示Pで示す部分の拡大図であり、(a)は、接合部にパテを充填した状態を示す図であり、(b)は、接合部にパテを充填し、且つ、研磨した後、スクリーン部に塗料を塗布した状態を示す図である。 スクリーンスピーカシステムの駆動システムの構成を示す図である。
符号の説明
10…スクリーンスピーカシステム
11…スクリーンスピ−カ
12…スクリーン
14…筐体
17c…挿通孔
50…駆動体
60…接合手段
61…ボルト
63…ナット
71…接合部
73…スクリーン部(大画面)
77…パテ(充填材)
79…塗料
81…メインユニット(制御ユニット)

Claims (6)

  1. 投影機にて映像を投射されるスクリーンと、上記スクリーンを駆動する駆動体と、を有するスクリーンスピーカを1つのユニットとし、当該スクリーンスピーカを複数接合して構成され、当該スクリーンスピーカ同士の接合部に存在する隙間または段差に充填材を充填し、その充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布していることを特徴とするスクリーンスピーカシステム。
  2. 前記隙間または段差に充填された前記充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面とを平滑に研磨しており、その研磨面を含む全スクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布していることを特徴とする請求項1記載のスクリーンスピーカシステム。
  3. 隣接する前記スクリーンスピーカは、前記接合部となる面に挿通孔を有し、その挿通孔にボルトを挿通し、ナットにより締結して接合されていることを特徴とする請求項1または2記載のスクリーンスピーカシステム。
  4. 前記駆動体のそれぞれを個別に駆動するチャンネルを設けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のスクリーンスピーカシステム。
  5. 複数の前記スクリーンスピーカから構成される画面に映し出される画像の各部分に対応して音声の分布に応じて、前記チャンネル入力信号の切り替えを制御する制御ユニットを備えることを特徴とする請求項4記載のスクリーンスピーカシステム。
  6. 投影機にて映像を投射されるスクリーンと、上記スクリーンを駆動する駆動部と、を有するスクリーンスピーカを1つのユニットとし、当該スクリーンスピーカを複数接合してなるスクリーンスピーカシステムの製造方法であって、
    1つの大画面を形成するように上記複数のスクリーンスピーカをそれぞれ隣接させて接合する接合ステップと、
    上記隣接して接合されたスクリーンスピーカの接合部に発生する隙間または段差に充填材を充填する充填ステップと、
    その充填材とその周囲のスクリーンスピーカの表面に、均一な色および厚みの塗料を塗布する塗布ステップと、
    を有することを特徴とするスクリーンスピーカシステムの製造方法。
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