JP2006339451A - 半導体レーザ装置及び半導体増幅装置 - Google Patents

半導体レーザ装置及び半導体増幅装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 均一利得分布を一様に消費し、高次モードの発振を抑制することができる半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】 電流注入により発光する半導体レーザ素子11と、半導体レーザ素子11を介してその同軸上に各々配置され、半導体レーザ素子11から出力された当該軸方向の光を共振させる面11a及び平面ミラー14と、半導体レーザ素子11と同軸上で面11aと平面ミラー14との間に配置され、これらの間で共振する光のビーム形状を変換するシリンドリカルレンズ13とを備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、半導体レーザ装置に係り、特にレーザ加工や波長変換装置に用いられてレーザ光の横モードを制御する半導体レーザ装置及び半導体増幅装置に関するものである。
縦モード及び横モード単一レーザは、レーザ加工及び波長変換装置等に用いられ、その高出力化が要求されている。半導体レーザ(LD;Laser Diode)励起固体レーザは、モード制御性が高く、単一モードを維持したまま高出力化が望める。しかしながら、量産化を考えた場合、部品点数が多くなるため低コスト化が困難になる。一方、LDは、量産性に優れるため低コスト化が期待できるが、モードが不安定になりやすい課題を有している。
従来のLDとしては、MOPA(Master Oscilator Power Amprifier)型や、α−DFB(α-Distributed Feadbuck Braggrefrector)型等の開発がなされているが、両者とも構成が複雑で量産化には多くの課題を残している。一方、ブロードエリア型LDでは、構造が比較的簡単であるため低コスト化が期待でき、製品化に最も近いLDとして注目されている。
ブロードエリア型LDは、活性層を横方向に拡大することによって出力増加による端面破壊等を抑制しているが、横方向のモード制御が実質的に行われないためにモードが不安定になり、多モード発振が起こりやすい。この課題を克服するためには、外部からモードを制御して安定化させる技術が必要となっている。
従来の半導体レーザ装置としては、例えば非特許文献1に記載されるブロードエリアレーザがある。このレーザでは、ブロードエリア型半導体レーザ素子、レンズ及び平面ミラーが、ブロードエリア型半導体レーザ素子のストライプ方向に並べて配置される。また、共振器方向に垂直でレンズと反対側のブロードエリア型半導体レーザ素子端面には反射コーティングが施されており、平面ミラーとの間で共振器を構成する。
この構成において、ブロードエリア型半導体レーザ素子を利得媒体とし、平面ミラーからレーザビームが出力される。レンズでブロードエリア型半導体レーザ素子内のビーム径を調節することによって発振光として基本モードを選択することができる。
W. F. Sharfin et al., "High-power, diffraction-limited, narrow-band, external-cavity diode laser", Appl. Phys. Lett., Vol.54, No.18, 1 May(1989).
従来の半導体レーザ装置は、半導体レーザ素子内のビーム径を外部のレンズで調節することにより比較的基本モードを選択しやすい構成であるが、半導体レーザ素子に入射するビームがガウシアン形状である。このため、ガウシアン形状の中心部は多く利得を消費し、その裾周辺では中心部より利得が残ってしまう結果、ビームが通過した後の利得分布が端部に強くなり、高次モードが発振しやすいという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、半導体レーザ素子内のビームモードを外部から制御可能な外部共振型レーザを構成し、半導体レーザ素子内のビームモードを調節するレンズにおいてガウシアン形状のビームをトップハット形状に変換することで、均一利得分布を一様に消費し、高次モードの発振を抑制することができる半導体レーザ装置及び半導体増幅装置を得ることを目的とする。
この発明に係る半導体レーザ装置は、電流注入により発光する半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子を介してその同軸上に各々配置され、半導体レーザ素子から出力された当該軸方向の光を共振させる反射手段と、半導体レーザ素子と同軸上で反射手段間に配置され、これら反射手段間で共振する光のビーム形状を変換するビーム形状変換手段とを備えるものである。
この発明によれば、電流注入により発光する半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子を介してその同軸上に各々配置され、半導体レーザ素子から出力された当該軸方向の光を共振させる反射手段と、半導体レーザ素子と同軸上で反射手段間に配置され、これら反射手段間で共振する光のビーム形状を変換するビーム形状変換手段とを備えるので、均一利得分布を一様に消費し、高次モードの発振を抑制することができるという効果がある。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による半導体レーザ装置の構成を示す図であり、共振器方向をz軸、z軸に垂直で紙面の上下方向をy軸、z軸及びy軸に垂直な方向をx軸と定義する。本実施の形態1による半導体レーザ装置は、共振器方向であるz軸に沿って半導体レーザ素子11、第1のシリンドリカルレンズ12、第2のシリンドリカルレンズ(ビーム形状変換手段)13及び平面ミラー(反射手段)14がz軸方向に同軸に設置される。
半導体レーザ素子11は、例えば利得をもつ活性層にInGaAs、ガイド層及びクラッド層にAlGaAsを用い、x軸方向(ストライプ方向)に利得領域を拡大したブロードエリア型構造を有する。y軸方向は、活性層とクラッド層とにより構成された導波構造を有する。クラッド層の外側には、電極がz軸方向にほぼ素子長全体に積層され、x軸方向には数百μm広がって積層されている。
z軸と垂直な面(反射手段)11aには、誘導放出したレーザ光をほぼ全て反射するようなコーティングが施されており、面11bにはレーザ光に対して低い反射率となるようなコーティングが施されている。第1のシリンドリカルレンズ12は、y軸方向のビームモードを調節する。また、第2のシリンドリカルレンズ13は、x軸方向のビームモードを調節する。平面ミラー14は、z軸方向に入射するレーザ光強度の一部を反射する。
次に動作について説明する。
先ず、半導体レーザ素子11に電流を注入すると、その組成に対応した波長の光利得を発生する。本素子11では、上述したような形状で活性層上に広く一様に電極が積層されているため、利得領域もその形状に応じて一様に広がる。このようにして半導体レーザ素子11で発生した利得により、レーザ光が半導体レーザ素子11の面11aと平面ミラー14との間で発振する。
ビームモードについて説明する。
y軸方向のビームモードは、半導体レーザ素子11の上記導波構造によりモードフィールド径が約1μm程度の基本モードが確保されるため、第1のシリンドリカルレンズ12でビーム径が調節された後、平面ミラー14から基本モードで出力される。
一方、x軸方向は、利得領域が数百μmと広いため、半導体レーザ素子11単体では基本モードのみを発振することはできない。そこで、本実施の形態2では、通過するビームモード形状をトップハット形状からガウシアン形状に変換する第2のシリンドリカルレンズ13を用いてモード制御を行う。
ここで、第2のシリンドリカルレンズ13での動作を詳しく説明する。
図2は、図1中の第2のシリンドリカルレンズを通過するビームを光線で示す概略図である。図において、ビームは、第2のシリンドリカルレンズ13の第1の面13a側からその第2の面13b側へ進行する。つまり、紙面に向かって左方向から右方向に進行するものとする。また、図示の例では、代表的な3光線LA、LB、LCを示している。
トップハット形状で波面が一様なビーム(光線LA1,LB1,LC1)が第1の面13aに入射すると、スネルの法則により屈折し、第2のシリンドリカルレンズ13の媒質内を通過(光線LA2,LB2,LC2)した後、第2の面13bから再度スネルの法則に従って光線LA3,LB3,LC3として出射する。
第2のシリンドリカルレンズ13の第1の面13a及び第2の面13bは、中心部の光線LBより外側の光線LA及びLCが中心部に傾き、且つ各光線LA,LB,LCの光路長の和が下記式(1)に従って一定となるような形状を有している。
LA1+LA2+LA3=LB1+LB2+LB3=LC1+LC2+LC3
・・・(1)
これにより、第2のシリンドリカルレンズ13を通過したトップハット形状のビームは、波面が揃った状態でガウシアンビームに変換される。反対に、紙面上の向かって右方向からガウシアンビームを入射すると、第2のシリンドリカルレンズ13は、ガウシアンビームをトップハット形状のビームに変換して出力する。
平面ミラー14で反射されたガウシアンビームが、第2のシリンドリカルレンズ13を通過すると、当該ビームはトップハット形状のビームに変換されて半導体レーザ素子11に入射する。このようにして、トップハット形状のビームは、半導体レーザ素子11内の均一な利得分布を消費しながら往復する。このとき、均一な利得分布内を波面が一様なトップハット形状ビームが通過するため、利得の消費もxz平面内では一様で、さらに出力ビームもトップハット形状が維持される。
また、上述したように、第2のシリンドリカルレンズ13は、任意のビーム径を持つトップハット形状ビームに変換することができる。このため、ブロードエリア型半導体レーザ素子の拡大されたストライプ幅にトップハットビーム径を合わせることで、ビームを利得分布全域で一様にカバーできる。これにより、半導体レーザ素子11を出力したトップハット形状のビームは、第2のシリンドリカルレンズ13で再度ガウシアンビームに変換され平面ミラー14に入射し、一部が透過してガウシアンビームとして出力される。
この実施の形態1によれば、第2のシリンドリカルレンズ13によってトップハットビームをガウシアンビームに変換するので、半導体レーザ素子11内の均一な利得を一様に消費することができ、且つ平面ミラー14からの基本モードビームとして出力できる。
また、第2シリンドリカルレンズ13以外の複雑なビームモード調整手段が不要であるので、部品点数を少なく抑えることができ、装置全体の小型化を図ることができ、且つ安価に制作することができる。
なお、上記実施の形態1において平面ミラー14に波長選択性を持たせてもよい。例えば、所望の波長のみを一部反射するボリューム型グレーティング素子を用いた場合、出力波長は単一波長で発振するため波長変換装置等に有効な高品質のビームが得られる。
また、上記実施の形態1の構成では、面11aにコーティングされた反射手段により共振器の一端を担っていたが、面11aのコーティングをレーザ光に対してほぼ全て透過する特性を持たせ、更に外側に別途反射ミラーを配置して共振器を構成してもよい。その場合でも同様に第2のシリンドリカルレンズ13を調節することにより半導体レーザ素子11内の基本モードビーム径を大きくすることができる。
なお、本実施の形態1の構成による共振器内に波長変換素子を新たに設置してもよい。この場合、半導体レーザ素子22で誘導放出されるレーザ波長を基本波とし、波長変換素子で変換された波長を変換波とする。平面ミラー14の反射特性を基本波に対しては全て反射とし、変換波に対しては全て透過とする。また、波長変換素子の半導体レーザ素子側の端面を基本波に対して全て透過し、変換波に対して全て反射するようにコーティングする。これにより、共振器内部波長変換構造となり高効率に変換波を得ることができる。
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2による半導体増幅装置の構成を示す図であり、ファイバで伝送されたレーザ出力を半導体素子で高効率に増幅する装置を例としてあげている。
また、図1と同様に、共振器方向をz軸、z軸に垂直で紙面の上下方向をy軸、z軸及びy軸に垂直な方向をx軸と定義する。
本実施の形態2による半導体増幅装置では、共振器方向であるz軸に沿ってシングルモードファイバ15、球面レンズ16、第3のシリンドリカルレンズ(ビーム形状変換手段)17、第4のシリンドリカルレンズ18、半導体増幅素子19、第1のシリンドリカルレンズ12及び第2のシリンドリカルレンズ(ビーム形状変換手段)13がz軸方向に同軸に設置される。
シングルモードファイバ15は、光源からのレーザ光を本装置まで伝送する。第3のシリンドリカルレンズ17は、球面レンズ16により対称ビームに成形されたレーザ光のx軸方向のビーム形状をガウシアンからトップハットに変換する。第4のシリンドリカルレンズ18は、y軸方向のビームモードを調節する。半導体増幅素子19は、上記実施の形態1で示した半導体レーザ素子11と同様の素子構造を有しているが、端面のコーティングが下記のように異なる。
面19c及び面19dは、半導体増幅素子19の共振方向(z軸方向)に垂直な面であり、レーザ光に対して低い反射率となるようにコーティングされている。その他の構成要素は、図1で示したものと同一或いは同様なものであるので同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に動作について説明する。
シングルモードファイバ15を介して伝送されてきたレーザ光は、基本モードであり、球面レンズ16によって数百μm程度の対称ビームに成形される。第3のシリンドリカルレンズ17では、x軸方向のビーム形状をガウシアンからトップハットに変換する。これにより、第3のシリンドリカルレンズ17からの出力ビームのx軸方向はトップハットビームとなり、さらに半導体増幅素子19のy軸方向のストライプ幅にほぼ等しいビーム径に変換される。
第4のシリンドリカルレンズ18では、y軸方向のビームを、ガウシアン形状を維持したまま、半導体増幅素子19のy軸の導波モードに対応してビーム径を1μm程度のビームに集光して半導体増幅素子19に入射する。電流を注入した半導体増幅素子19では、x−z平面に一様な利得分布を有している。
この半導体増幅素子19に波面の揃ったトップハット形状のレーザ光を種火として面19cから入力することにより、局所的なフィラメント発振が抑制され、且つ均一な波面のトップハットビームが面19dから出力される。このあと、半導体増幅素子19からの出力ビームは、第1のシリンドリカルレンズ12でy軸方向のビームを数百μmまで拡大された後、第2のシリンドリカルレンズ13に入射される。第2のシリンドリカルレンズ13では、上述した通りトップハットビームをガウシアンビームに変換して平面ミラー14に入射し、一部が透過してガウシアンビームとして出力される。
この実施の形態2によれば、半導体増幅素子19に入射する基本モードビームをy軸方向に関してトップハット形状に変換するシリンドリカルレンズを備えたので、均一な利得分布を一様に消費することができ、フィラメント発振を抑制することができる。
また、上記実施の形態2では、第1、第2、第3及び第4のシリンドリカルレンズ12,13,17,18以外に複雑なビーム形状変換手段を要さず、本実施の形態2を適用するにあたりその部品点数を少なく抑えることができ、装置全体の小型化も図られ、且つ安価に制作することが可能である。
なお、上記実施の形態2では、光源としてのレーザ光をシングルモードファイバ15により伝送し、球面レンズ16によりビーム径を拡大した後、第3のシリンドリカルレンズ17に入力する構成例を示したが、基本モード出力のレーザ(例えば、シングルチャネル半導体レーザや、固体レーザ)を直接用いてもよい。
この場合でも、当該基本モード出力のレーザのy軸方向のストライプ幅に対応したビーム径を第3のシリンドリカルレンズ17によってガウシアンビームからトップハットビームに変換することで、半導体増幅素子19においても同じ動作をし、第2のシリンドリカルレンズ13において基本モードのレーザ出力を得ることができる。
この発明の実施の形態1による半導体レーザ装置の構成を示す図である。 図1中の第2のシリンドリカルレンズを通過するビームを光線で示す概略図である。 この発明の実施の形態2による半導体増幅装置の構成を示す図である。
符号の説明
11 半導体レーザ素子、11a,11b 面(反射手段)、12 第1のシリンドリカルレンズ、13 第2のシリンドリカルレンズ(ビーム形状変換手段)、13a,13b 面、14 平面ミラー(反射手段)、15 シングルモードファイバ、16 球面レンズ、17 第3のシリンドリカルレンズ(ビーム形状変換手段)、18 第4のシリンドリカルレンズ、19 半導体増幅素子、19c,19d 面。

Claims (4)

  1. 電流注入により発光する半導体レーザ素子と、
    前記半導体レーザ素子を介してその同軸上に各々配置され、前記半導体レーザ素子から出力された当該軸方向の光を共振させる反射手段と、
    前記半導体レーザ素子と同軸上で前記反射手段間に配置され、これら反射手段間で共振する光のビーム形状を変換するビーム形状変換手段とを備えた半導体レーザ装置。
  2. ビーム形状変換手段は、入力光の位相分布を維持したまま、そのビーム形状をガウシアン形状からトップハット形状に変換する、又はトップハット形状からガウシアン形状に変換することを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
  3. 電流注入により発光する半導体増幅素子と、
    前記半導体増幅素子の同軸上にその入力側及び出力側に各々配置され、入力した光のビーム形状を変換するビーム形状変換手段とを備えた半導体増幅装置。
  4. 入力側のビーム形状変換手段は、入力した光の位相分布を維持したまま、そのビーム形状をガウシアン形状からトップハット形状に、又はトップハット形状からガウシアン形状に変換し、
    出力側のビーム形状変換手段は、入力した光の位相分布を維持したまま、そのビーム形状をトップハット形状からガウシアン形状に、又はガウシアン形状からトップハット形状に変換することを特徴とする請求項3記載の半導体増幅装置。
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