JP2006336763A - ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダの内形断面をブレーキディスクの周方向に長い略長円形状に形成した場合でも、シリンダ内の圧力によってシリンダの一端開口部側がブレーキディスクの径方向に容易に変形することのないディスクブレーキを提供する。
【解決手段】アウターキャリパ10に設けた補強部材60により、シリンダ30の一端開口部側をブレーキディスク1の径方向に補強するようにしたので、シリンダ30の内形断面を略長円形状に形成してもシリンダ30の一端開口部がシリンダ30内の圧力によってブレーキディスクの径方向に容易に変形することがなく、シリンダ30とピストン40との間のオイル漏れを確実に防止することができる。
【選択図】図2
【解決手段】アウターキャリパ10に設けた補強部材60により、シリンダ30の一端開口部側をブレーキディスク1の径方向に補強するようにしたので、シリンダ30の内形断面を略長円形状に形成してもシリンダ30の一端開口部がシリンダ30内の圧力によってブレーキディスクの径方向に容易に変形することがなく、シリンダ30とピストン40との間のオイル漏れを確実に防止することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車や航空機の車輪等、回転物を制動するための装置として用いられるディスクブレーキに関するものである。
一般に、この種のディスクブレーキとしては、キャリパに一端側を開口するように設けられたシリンダと、シリンダに挿入されたピストンと、ピストンによってブレーキディスク側に押圧されるパッドとを備え、シリンダ内の油圧によりピストンを駆動してパッドをブレーキディスクに押し付けることにより、ブレーキディスクを制動するようにしたものが知られている。
ところで、前記ディスクブレーキにおいて、制動力を高めるためにはシリンダの内径を大きくして容積を増やす必要があるが、キャリパはタイヤのホイール内に配置されるため、シリンダの内径を大きくすると、シリンダの中心をブレーキディスクの中心側にずらさなければならない。しかし、シリンダの中心とブレーキディスクの中心との距離が短くなると、その分だけ制動力が低下するため、シリンダを大径化しても制動力の十分な向上が得られなかった。
また、シリンダの中心とブレーキディスクの中心との距離を長くするため、シリンダの内径を大きくせずに複数のシリンダをブレーキディスクの周方向に並設したものもあるが、このような構造ではシリンダの数が多い分だけキャリパが大型化し、軽量化が望まれるレース用車両等には不利であった。
そこで、シリンダの内形断面をディスクの周方向に延びる略長円形状に形成することにより、複数のシリンダを設けることなく制動力を増大させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、2、3または4参照。)。
特開平7−27153号公報
特開平2−209633号公報
特開昭58−142037号公報
特開昭61−30732号公報
前述のようにシリンダの内形断面をブレーキディスクの周方向に長い略長円形状に形成すると、複数のシリンダを設けた場合に比べてキャリパをブレーキディスクの周方向に小型化することができ、ブレーキディスクの中心からピストンの中心までの距離も長くすることができるが、このようなシリンダの形状では、シリンダ内の圧力によってシリンダの一端開口部側が長軸方向(ブレーキディスクの周方向)よりも短軸方向(ブレーキディスクの径方向)に変形し易くなり、シリンダとピストンとの間からオイル漏れを生ずるなどの問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シリンダの内形断面をブレーキディスクの周方向に長い略長円形状に形成した場合でも、シリンダ内の圧力によってシリンダの一端開口部側がブレーキディスクの径方向に容易に変形することのないディスクブレーキを提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、キャリパに一端側を開口するように設けられたシリンダと、シリンダに挿入されたピストンと、ピストンによってブレーキディスク側に押圧されるパッドとを備え、シリンダの内形断面をブレーキディスクの周方向に延びる略長円形状に形成したディスクブレーキにおいて、前記キャリパに、シリンダの一端開口部側をブレーキディスクの径方向に補強する補強部材を設けている。
これにより、シリンダは内形断面が略長円形状に形成されているため、その一端開口部側はブレーキディスクの周方向よりも径方向に変形し易いが、シリンダの一端開口部側は補強部材によってブレーキディスクの径方向に補強されることから、シリンダの一端開口部側がシリンダ内の圧力によってブレーキディスクの径方向に容易に変形することがない。
本発明のディスクブレーキによれば、シリンダの内形断面を略長円形状に形成しても、シリンダの一端開口部側がシリンダ内の圧力によってブレーキディスクの径方向に容易に変形することがないので、シリンダとピストンとの間のオイル漏れを確実に防止することができる。
図1乃至図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1はディスクブレーキの平面断面図、図2及び図3はその一部分解斜視図、図4は図1のA−A線矢視方向断面図、図5は補強部材の正面図である。
このディスクブレーキは、ブレーキディスク1の軸方向一端側に配置されるアウターキャリパ10と、ブレーキディスク1の軸方向他端側に配置されるインナーキャリパ20と、各キャリパ10,20にそれぞれ設けられた一対のシリンダ30と、各シリンダ30にそれぞれ挿入された一対のピストン40と、各ピストン40によってそれぞれブレーキディスク1側に押圧される一対のパッド50と、各キャリパ10,20にそれぞれ設けられた一対の補強部材60とを備え、各キャリパ10,20はブレーキディスク1を間にして互いに対向するように配置されている。
アウターキャリパ10は、例えばアルミニウム合金の鋳造品からなり、その一端面(インナーキャリパ20との対向面)には一方のシリンダ30がその一端を開口するように設けられている。アウターキャリパ10の一端面には一方の補強部材60を連結するための複数の連結孔11が設けられ、各連結孔11はシリンダ20の周囲に互いにシリンダ30の周方向に間隔をおいて配置されている。また、シリンダ30の幅方向両端側には一方の補強部材60を固定するためのネジ孔12が設けられている。アウターキャリパ10の幅方向両端側にはインナーキャリパ20が連結される連結部13がそれぞれインナーキャリパ20側に延びるように設けられ、各連結部13の端面には複数のネジ孔14が設けられている。また、アウターキャリパ10内にはブレーキオイルを流通するためのオイル流路15が設けられ、オイル流路15は一方の連結部13の端面からシリンダ30の幅方向一端側に連通するとともに、他方の連結部13の端面からシリンダ30の幅方向他端側に連通している。
インナーキャリパ20は、例えばアルミニウム合金の鋳造品からなり、その一端面(アウターキャリパ10との対向面)には他方のシリンダ30がその一端を開口するように設けられている。インナーキャリパ20の一端面にはアウターキャリパ20と同様、他方の補強部材60を連結するための複数の連結孔(図示せず)と、他方の補強部材60を固定するためのネジ孔(図示せず)が設けられている。インナーキャリパ20の幅方向両端側にはアウターキャリパ10が連結される連結部21がそれぞれアウターキャリパ10側に延びるように設けられ、各連結部21はアウターキャリパ10のネジ孔14に螺合する複数のボルト22によってアウターキャリパ10の各連結部13に連結されている。また、インナーキャリパ20内にはブレーキオイルを流通するためのオイル流路23が設けられ、オイル流路23は一方の連結部21の端面からシリンダ30の幅方向一端側に連通するとともに、他方の連結部21の端面からシリンダ30の幅方向他端側に連通している。即ち、アウターキャリパ10とインナーキャリパ20とを連結すると、それぞれのオイル流路15,23が連結部13,21の端面を介して互いに連通するようになっている。また、インナーキャリパ20にはオイルホース接続用プラグ24とエア抜き用プラグ25が設けられ、各プラグ24,25はそれぞれオイル流路23に連通している。更に、インナーキャリパ20の下端側には、インナーキャリパ20を図示しない車体側のハブキャリアに固定するための取付部26が設けられている。
各シリンダ30は内形断面がブレーキディスク1の周方向に長い略長円形状に形成され、その内周面には断面角形の環状のシール部材31が取付けられている。
各ピストン40はシリンダ30の内形断面と対応形状をなす略長円形状に形成され、その軸方向一端側には互いにブレーキディスク1の周方向に間隔をおいて配置された複数のパッド押圧部41が突設されている。各パッド押圧部41は一端を開口した円筒状に形成され、その内部の中空部分はピストン40の他端近傍まで形成されている。
各パッド50はブレーキディスク1の周方向に長い略四角形状に形成され、互いにブレーキディスク1を間にして対向するように配置されている。パッド50の背面はバックプレート51の前面に固着され、バックプレート51の背面には板状のシム52が取付けられている。各パッド50の上方には幅方向一対のシャフト53が配置され、バックプレート51及びシム52の上部には各シャフト53をそれぞれ挿通する貫通孔51a,52aが設けられている。各シャフト53の両端は各キャリパ10,20に固定され、バックプレート51及びシム52は各シャフト53によってブレーキディスク1の軸方向に移動自在に支持されている。
各補強部材60は鉄等の剛性の高い板状部材からなり、各キャリパ10,20の一端面にそれぞれシリンダ30の一端を覆うように配置されている。各補強部材60にはピストン40の各パッド押圧部41をそれぞれ挿通する複数の挿通孔61が設けられ、各挿通孔61の内周面には環状のシール部材62が取付けられている。一方の補強部材60にはアウターキャリパ10の各連結孔11に対応する複数の貫通孔63が設けられ、各貫通孔63及び各連結孔11にはそれぞれ連結ピン64が挿入されている。即ち、一方の補強部材60は各連結ピン64によってアウターキャリパ10に連結され、ネジ孔12に螺合するネジ65によって幅方向両端側をアウターキャリパ10に固定されている。尚、他方の補強部材60も同様にしてインナーキャリパ20に連結及び固定されている。また、各補強部材60の上端側には各シャフト53をそれぞれ挿通する一対の切り欠き66が設けられている。
以上のように構成されたディスクブレーキにおいては、ブレーキペダルの操作により、図示しないマスタシリンダからオイル流路15,23を経て各シリンダ30内に油圧が付与されると、各ピストン40がそれぞれブレーキディスク1側に移動し、各ピストン40のパッド押圧部41によって各バッド50がブレーキディスク1に押し付けられる。これにより、各バッド50とブレーキディスク1との間に摩擦力が生じ、ブレーキディスク1に対する制動力が発生する。
その際、各シリンダ30は、内形断面が略長円形状に形成されているため、その一端開口部側がブレーキディスク1の周方向よりも径方向に変形し易くなっているが、シリンダ30の一端開口部側は補強部材60によってブレーキディスク1の径方向に補強されることから、シリンダ30の一端開口部側がシリンダ30内の圧力によってブレーキディスク1の径方向に容易に変形することがない。この場合、補強部材60は複数の連結ピン64によってシリンダ30の周囲に連結されているため、図5の一点鎖線矢印に示すようにシリンダ30にブレーキディスク1の径方向の圧力が加わると、補強部材60にも同方向の引張力が加わる。その際、補強部材60においては、ピストン40のパッド押圧部41を挿通する各挿通孔61が互いにシリンダ30の長軸方向に間隔をおいて設けられているため、各挿通孔61の間部分60aによってブレーキディスク1の径方向に対する補強部材60の引張強度が高められる。
このように、本実施形態のディスクブレーキによれば、シリンダ30の内形断面をブレーキディスク1の周方向に延びる略長円形状に形成したので、シリンダ30の容積を増大させることができるとともに、ブレーキディスク1の中心からピストン40の中心までの距離を長くすることができる。従って、シリンダ30の容積の増大によって制動力を効果的に高めることができ、しかも複数のシリンダを設けた場合に比べ、各キャリパ10,20をブレーキディスク1の周方向に小型化することができ、軽量化が望まれるレース用車両やスポーツ指向の乗用車等に用いる場合に極めて有利である。
この場合、各キャリパ10,20にそれぞれ設けた補強部材60により、各シリンダ30の一端開口部側をブレーキディスク1の径方向に補強するようにしたので、シリンダ30の内形断面を略長円形状に形成してもシリンダ30の一端開口部がシリンダ30内の圧力によってブレーキディスク1の径方向に容易に変形することがなく、シリンダ30とピストン40との間のオイル漏れを確実に防止することができる。
また、補強部材60をシリンダ30の一端開口部側に配置される板状部材によって形成するとともに、補強部材60にはピストン40の一端側に突設したパッド押圧部41を挿通する挿通孔61を設けたので、補強部材60をピストン40の移動を妨げることなくシリンダ30の一端開口部側に配置することができ、各キャリパ10,20への補強部材60の組付けを容易に行うことができる。
更に、ピストン40に複数のパッド押圧部41を互いにブレーキディスク1の周方向に間隔をおいて設けたので、各パッド押圧部41によってパッド50をブレーキディスク1の周方向に均一に押圧することができ、パッド50の偏摩耗を少なくすることができる。
この場合、補強部材60には各パッド押圧部41をそれぞれ挿通する複数の挿通孔61を設けたので、各挿通孔61の間部分60aによってブレーキディスク1の径方向に対する補強部材60の引張強度を高めることができ、シリンダ30の内形拡大をより確実に防止することができる。
図6乃至図8は本発明の他の実施形態を示すもので、図6はディスクブレーキの平面断面図、図7は図6のB−B線矢視方向断面図、図8は補強部材の斜視図である。尚、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
本実施形態の各補強部材70は、鉄等の剛性の高い環状部材からなり、シリンダ30の周囲に沿って延びるように各キャリパ10,20にそれぞれ埋設されている。この場合、各補強部材70はキャリパ10,20を鋳造する際に金型内に配置してキャリパ10,20と一体に形成するようにしたり、或いはキャリパ10,20の端面に設けた環状の溝に補強部材70を嵌合するようにしてもよい。
本実施形態によれば、補強部材をシリンダ30の周囲に沿って延びるように環状に形成して各キャリパ10,20にそれぞれ埋設するようにしたので、簡単な構造によってシリンダ30の径方向の変形を防止することができ、製造コストの低減を図ることができる。
尚、前記実施形態では、ブレーキディスク1の軸方向両側に配置した一対のピストン40によって各バッド50をそれぞれ押圧する対向型のディスクブレーキを示したが、本発明はピストンをブレーキディスクの軸方向一方のみに配置した浮動型のディスクブレーキにも適用することができる。また、本発明は自動車用のディスクブレーキのみならず、航空機の車輪等、他の回転物を制動するための装置としても用いることが可能である。
1…ブレーキディスク、10…アウターキャリパ、20…インナーキャリパ、30…シリンダ、40…ピストン、41…パッド押圧部、50…パッド、60…補強部材、61…挿通孔、70…補強部材。
Claims (5)
- キャリパに一端側を開口するように設けられたシリンダと、シリンダに挿入されたピストンと、ピストンによってブレーキディスク側に押圧されるパッドとを備え、シリンダの内形断面をブレーキディスクの周方向に延びる略長円形状に形成したディスクブレーキにおいて、
前記キャリパに、シリンダの一端開口部側をブレーキディスクの径方向に補強する補強部材を設けた
ことを特徴とするディスクブレーキ。 - 前記補強部材をシリンダの一端開口部側に配置される板状部材によって形成するとともに、補強部材にはピストンの一端側に突設したパッド押圧部を挿通する挿通孔を設けた
ことを特徴とする請求項1記載のディスクブレーキ。 - 前記ピストンに複数のパッド押圧部を互いにブレーキディスクの周方向に間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項2記載のディスクブレーキ。 - 前記補強部材に各パッド押圧部をそれぞれ挿通する複数の挿通孔を設けた
ことを特徴とする請求項3記載のディスクブレーキ。 - 前記補強部材をシリンダの周囲に沿って延びるように環状に形成してキャリパに埋設した
ことを特徴とする請求項1記載のディスクブレーキ。
Priority Applications (1)
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JP2005162422A JP2006336763A (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | ディスクブレーキ |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2005162422A Pending JP2006336763A (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | ディスクブレーキ |
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Cited By (1)
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KR20170114524A (ko) * | 2016-04-05 | 2017-10-16 | 자동차부품연구원 | 캘리퍼 장치와 브레이크 장치 및 제조 방법 |
-
2005
- 2005-06-02 JP JP2005162422A patent/JP2006336763A/ja active Pending
Cited By (2)
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KR20170114524A (ko) * | 2016-04-05 | 2017-10-16 | 자동차부품연구원 | 캘리퍼 장치와 브레이크 장치 및 제조 방법 |
KR101883732B1 (ko) | 2016-04-05 | 2018-08-01 | 자동차부품연구원 | 캘리퍼 장치와 브레이크 장치 및 제조 방법 |
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