JP2006335912A - 生理活性物質固定化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タンパク質などの生理活性物質の溶液のpHが該生理活性物質の等電点以上であっても、荷電濃縮を利用して該生理活性物質を固定化できる生理活性物質固定化剤を提供すること。
【解決手段】 生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーからなる生理活性物質固定化剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーからなる生理活性物質固定化剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリマーからなる生理活性物質固定化剤に関する。より詳細には、本発明は、有機又は無機の基板、薄膜又は微粒子などにタンパク質などの生理活性物質を化学的に固定化するための生理活性物質固定化剤に関する。
生理活性物質を測定チップに固定化するための代表的な手法として、生理活性物質のアミノ基と測定チップ上のカルボキシル基とを結合させる方法(アミンカップリング法)が広く用いられている。この場合、測定チップ上に、タンパク質固定化用ポリマーを塗布しておき、当該ポリマーに生理活性物質を結合させることによって、生理活性物質を測定チップに固定化することができる。
タンパク質固定化用ポリマーとしては、カルボキシメチル(−CH2COOH)化されたポリマーが知られている(特許文献1、並びに非特許文献1及び2)。しかしながら、このポリマーは分子中にアニオン性基を有しており、荷電濃縮を利用してタンパク質を固定化するには、タンパク質溶液のpHを等電点以下にする必要があった。このため、酸性タンパク質は低pH領域で固定化する必要があり、このような液性中ではタンパク質の活性低下や死滅を招くという問題があった。さらに、このポリマーにカチオン性基を導入しようとすると、タンパク質を固定化するための反応性基であるカルボキシル基と塩を形成して、ポリマーがゲル化し、タンパク質が固定化できないという問題があった。
本発明は上記した従来技術の問題を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、タンパク質などの生理活性物質の溶液のpHが該生理活性物質の等電点以上であっても、荷電濃縮を利用して該生理活性物質を固定化できる生理活性物質固定化剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーを用いて生理活性物質を基板上に固定化することによって、タンパク質などの生理活性物質の溶液のpHが該生理活性物質の等電点以上であっても、荷電濃縮を利用して生理活性物質を固定化できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーからなる生理活性物質固定化剤が提供される。
好ましくは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基は、ビニルスルホン基、又はジクロロトリアジン基である。
好ましくは、カチオン性基は、第1〜3級アミンの塩類、又は第4級アンモニウム化合物である。
好ましくは、カチオン性基は、第1〜3級アミンの塩類、又は第4級アンモニウム化合物である。
好ましくは、ポリマーはビニル系ポリマーである。
好ましくは、ポリマーは、アクリルアミド類モノマー又は(メタ)アクリルアミド類モノマーを共重合して得られるポリマーである。
好ましくは、ポリマーは、アクリルアミド類モノマー又は(メタ)アクリルアミド類モノマーを共重合して得られるポリマーである。
好ましくは、ポリマーは多糖類又はその誘導体である。
好ましくは、ポリマーはデキストランの誘導体である。
好ましくは、ポリマーは水溶性ポリマーである。
好ましくは、ポリマーの数平均分子量は3000以上である。
好ましくは、ポリマーはデキストランの誘導体である。
好ましくは、ポリマーは水溶性ポリマーである。
好ましくは、ポリマーの数平均分子量は3000以上である。
好ましくは、本発明の生理活性物質固定化剤は、等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を用いて生理活性物質を固定化するために使用する。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の生理活性物質固定化剤を表面に有する基板に生理活性物質を接触させて、生理活性物質を生理活性物質固定化剤に化学的に結合することを含む、生理活性物質の固定化方法が提供される。
好ましくは、等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を用いて、基板に生理活性物質を接触させる。
本発明の生理活性物質固定化剤を用いることにより、タンパク質などの生理活性物質の溶液のpHが該生理活性物質の等電点以上であっても、荷電濃縮を利用して該生理活性物質を固定化することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本発明において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明の生理活性物質固定化剤は、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーからなることを特徴とする。
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基としては、例えば、タンパク質が持つアミノ基、チオール基、水酸基またはカルボキシル基などと反応することができ、かつ下記で説明するカチオン性基とは反応しないものであれば特に限定されない。上記反応性基の具体例としては、以下の表1に記載するものが挙げられる。
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基としては、好ましくは、ビニルスルホン基およびその前駆体、ハロトリアジン基、エポキシ基、カルボン酸活性エステル基、アルデヒド基、イソシアネート基、アセトアセチル基のいずれかである。保存安定性および高pH領域におけるアミノ基との反応性の高さの観点から、より好ましくはビニルスルホン基およびその前駆体、およびジクロロトリアジン基であり、特に好ましくはビニルスルホン基である。
カチオン性基としては、正に荷電しているもので、該反応性基と反応しないものであれば特に限定されないが、具体的には、オニウム類およびその前駆体などが挙げられる。カチオン性基としては具体的には、第1〜3級アミンの塩類、第1〜4級アンモニウム化合物、ピリジニウム塩類、ホスホニウム塩類、オキソニウム塩類、スルホニウム塩類、イミダゾリウム塩類などが挙げられる。これらの中でも、好ましいのは、第1〜3級アミンの塩類、第1〜4級アンモニウム化合物、ピリジニウム塩類、イミダゾリウム塩類であり、より好ましいのは、第1〜3級アミンの塩類、第4級アンモニウム化合物である。
本発明で用いるポリマーは、固定化するタンパク質が水溶液である場合、水溶性ポリマーであることが好ましいが、溶解せずに水中で膨潤するようなポリマーでもよい。また、タンパク質が有機溶剤溶液である場合、非水溶性の疎水的なポリマーでもよい。
また、本発明の用いるポリマーの数平均分子量は好ましくは3000以上であり、より好ましくは1万以上であり、特に好ましくは3万以上である。
本発明で用いることができるポリマーとしては、具体的には、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。これらのポリマーの表面に、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを導入した場合も、等電点以上の生理活性物質を2次元表面に荷電濃縮し、結合することが可能となる。
また、水溶性高分子としては、デキストラン誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメチルビニルエーテル等の合成高分子等が挙げられる。先に記載したポリマーも、カチオン性基の導入率が高い場合は水溶性高分子となる。バイオセンサーへの応用との観点からは、水溶性天然高分子が好ましく、デキストラン誘導体が特に好ましい。
表面に結合された水溶性高分子は3次元ヒドロゲルを形成する。この3次元ヒドロゲルに反応性官能基が導入された場合、生理活性物質を3次元的に固定化することが可能となることが特許文献1に記載されている。3次元的な固定化は2次元表面への固定化と比較して、生理活性物質の結合量が多くなるため、バイオセンサー用途を考えた場合、極めて有利である。このような観点から本発明では、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基を併せ持つ水溶性高分子が結合した表面、すなわち生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基を併せ持つ3次元ヒドロゲルにより、生理活性物質を固定することが好ましい。
また、本発明で用いるポリマーは、合成高分子化合物でもよいし、天然高分子又はその誘導体でもよい。
本発明で用いることができる合成高分子化合物は、銀塩写真用の高分子硬膜剤として公知の化合物を用いることが可能である。カチオン性基と反応性基を併せ持つ高分子硬膜剤である、例えば、特開昭60−61742号公報に記載のP−5、P−13、P−14、P−20は、本発明に好ましく用いることができる。
本発明で用いることができる天然高分子又はその誘導体として、デキストラン、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルデキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルデキストラン、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルデキストラン、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルデキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられ、なかでもデキストラン、ヒドロキシエチルデキストラン、ヒドロキシプロピルデキストラン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、これらの多糖類のヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよく、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜3.0、特に0.5〜1.5が好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、特に10万〜100万の範囲のものが好ましい。
カチオン性基が導入された天然高分子又はその誘導体を得るためには、公知の方法、例えば特開昭57−5701号公報に記載の方法を利用して合成することも可能であり、また、市販のカチオン性多糖類を用いることも可能である。市販のカチオン性多糖類としては、カチオン性セルロール誘導体やカチオン性グアーガム誘導体、カチオン性デキストラン誘導体等を挙げることができる。カチオン性セルロース誘導体の例としては、具体例としては、ポリマーJR−30M、ポリマーJR−400、ポリマーJR−125(以上、ユニオンカーバイド社製)、セルコートL−200、セルコートH−100(以上、ナショナルスターチ社製)、ポイズ C-60H、ポイズ C-80M、ポイズ C-150L(以上、花王社製)、等を挙げることができる。カチオン性グアーガム誘導体の具体例としては、ジャガーC13S、ジャガーC15、ジャガーC17(以上、メイホール社製)等を挙げることができる。カチオン性デキストラン誘導体の具体例としては、CDC、CDC−L、CDC−H、CDC−NK(以上、名糖産業社製)等を挙げることができる。
これらのカチオン性多糖類に、ビニルスルホン基・ジクロロトリアジン基・エポキシ基がごとき反応性基を導入することで、本発明に用いられるポリマー(生理活性物質固定化剤)を合成することが出来る。天然高分子又はその誘導体に対し反応性官能基を導入する方法は、公知の方法を利用することができる。例えば多糖類にアセトアセチル基を導入する場合、多糖類をジメチルホルムアミド等の良溶媒に溶解した後にジケテンガスを添加する方法、多糖類粉末にジケテンガスを添加する方法、多糖類とアセト酢酸エステルを溶液中で反応させエステル交換する方法などが用いられる。他の反応性官能基の導入法に関しては、特願2005−46977号に記載の方法を好ましく用いることができる。
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基を有する高分子の具体例としては、以下の具体的化合物(P−1)等を挙げることが可能である。
本発明によれば、上記したような生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを併せ持つ表面に、(好ましくは、等電点以上のpHを有する)生理活性物質含有液を接触させることを含む、生理活性物質の固定化方法が提供される。本発明の上記固定化方法においては、表面にカチオン性基が導入されていることにより、等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を接触させた場合であっても、静電引力によって生理活性物質が測定チップの表面上に濃縮されるプレコンセントレーション効果を得ることができる。
本発明で用いるポリマーを合成するに際しては、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基又は該反応性基の前駆体を有するモノマーと、カチオン性基を有するモノマーを共重合するか、またはポリマーに生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを後から導入してもよい。
前者の方法としては、例えば、次式で表される方法が挙げられる。この方法は、反応性基の前駆体を有するモノマーを使用した例である。モノマー比率は質量比を示す。
さらに、コモノマーとしては他のポリマーを使用することもできる。ジメチル(メタ)アクリルアミドの(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、マレイン酸ジエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類など共重合するものであれば、任意のモノマーを使用することができる。組成(モル)としては、一般的には、カチオン性基含有モノマー:1〜99%、反応性基含有モノマー0.001〜99%であり、好ましくは、カチオン性基含有モノマー:5〜70%、反応性基含有モノマー1〜50%であり、より好ましくは、カチオン性基含有モノマー:10〜50%、反応性基含有モノマー1〜30%である。
重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、又はカチオン重合の何れでもよく、好ましくはラジカルによる溶液重合またはバルク重合である。重合温度は反応が進行する限り特に限定されないが、着色と副反応抑制の観点から、好ましくは室温〜100℃である。開始剤としては任意のものを使用することができる。重合時間は、コンバージョンが進行する限り特に限定されない。
一方、後者の方法(即ち、ポリマーに生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを後から導入する方法)としては、例えば、次式で表される方法が挙げられる。下記式における楕円は、例えば、デキストランを意味する。
上記のようにして得られたポリマーは、有機または無機素材などの表面に施すことにより、使用できる。例えば、ガラス表面にアミノ基を有するシランカップリング剤を介して化学的に結合したり、金表面にアミノアルカンチオールを介して化学的に結合したり、又はポリマー基板表面にスピンコートにより塗布することができる。
本発明の生理活性物質固定化剤の応用例としては、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金などの微粒子を利用した診断薬、並びにプロテインチップなどが挙げられる。
例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定は、本発明の生理活性物質固定化剤を塗布したバイオセンサーを用いて行うことができる。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
バイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
上記のようにして得られたバイオセンサーにおいては、本発明の生理活性物質固定化剤を介して生理活性物質を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化することができる。即ち、バイオセンサー表面に対し生理活性物質を接触させることにより、バイオセンサーの表面に存在する生理活性物質固定化剤における反応性基と生理活性物質とが共有結合するため、バイオセンサーに生理活性物質を固定化することが可能となる。
本発明の生理活性物質固定化剤を用いて固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
上記のようにして本発明の生理活性物質固定化剤を用いて生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:ビニルスルホン基と第4級アンモニウム基を有するポリマー(P-1)の合成
(モノマー合成)
攪拌機、温度計、および塩化カルシウム管を付した三口フラスコに、蒸留水350mLと亜硫酸ナトリウム56部から成る溶液に、炭酸水素ナトリウム65部を加えて、懸濁液を調製した。この懸濁液に2−クロロエタンスルホニルクロリド65部を4〜10℃の範囲で滴下し、滴下後同温度でさらに75分間攪拌した。その後、この反応液に49%硫酸水溶液を4〜10℃の範囲で滴下し、滴下後同温度でさらに1時間反応させた。得られた反応液を濾過し、結晶を蒸留水100mLで洗浄した。得られた濾液に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド62部とエタノール370mLと蒸留水120mLを70℃に加熱してほぼ均一に溶解した溶液を、冷却した前記濾液に5〜10℃の範囲で滴下し、同温度で2時間攪拌した。得られた反応液を冷蔵庫で一晩放置した。濾過して得られた粘性個体を蒸留水1.5Lで洗浄した後、蒸留水/エタノール=1/1 1Lで再結晶した。得られた結晶を50℃で2時間減圧乾燥して、2−クロロエタンスルホン基を有するモノマー42部(収率:37%)を得た。
攪拌機、温度計、および塩化カルシウム管を付した三口フラスコに、蒸留水350mLと亜硫酸ナトリウム56部から成る溶液に、炭酸水素ナトリウム65部を加えて、懸濁液を調製した。この懸濁液に2−クロロエタンスルホニルクロリド65部を4〜10℃の範囲で滴下し、滴下後同温度でさらに75分間攪拌した。その後、この反応液に49%硫酸水溶液を4〜10℃の範囲で滴下し、滴下後同温度でさらに1時間反応させた。得られた反応液を濾過し、結晶を蒸留水100mLで洗浄した。得られた濾液に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド62部とエタノール370mLと蒸留水120mLを70℃に加熱してほぼ均一に溶解した溶液を、冷却した前記濾液に5〜10℃の範囲で滴下し、同温度で2時間攪拌した。得られた反応液を冷蔵庫で一晩放置した。濾過して得られた粘性個体を蒸留水1.5Lで洗浄した後、蒸留水/エタノール=1/1 1Lで再結晶した。得られた結晶を50℃で2時間減圧乾燥して、2−クロロエタンスルホン基を有するモノマー42部(収率:37%)を得た。
(重合)
2−クロロエタンスルホン基を有するモノマー 1部、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドの75%水溶液4.4部、ジメチルホルムアミド25部、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.08部をフラスコ中に仕込み、2分間窒素パージを行った後、密栓して、65℃で3時間重合を行った。得られたポリマー溶液の温度を15℃に降温し、トリエチルエミン0.36部を加えて30分攪拌した。その後、透析膜でポリマーを精製し、凍結乾燥した。得られたポリマーは2部であった。得られたポリマーP-1のNMRチャートを図1に示す。
2−クロロエタンスルホン基を有するモノマー 1部、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドの75%水溶液4.4部、ジメチルホルムアミド25部、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.08部をフラスコ中に仕込み、2分間窒素パージを行った後、密栓して、65℃で3時間重合を行った。得られたポリマー溶液の温度を15℃に降温し、トリエチルエミン0.36部を加えて30分攪拌した。その後、透析膜でポリマーを精製し、凍結乾燥した。得られたポリマーは2部であった。得られたポリマーP-1のNMRチャートを図1に示す。
実施例2:ビニルスルホン基と第3級アミノ基を塩を有するポリマーの合成
(重合)
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドを、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとp−トルエンスルホン酸の1:1(モル)混合物に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行った。
(重合)
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドを、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとp−トルエンスルホン酸の1:1(モル)混合物に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行った。
実施例3:エポキシ基と第4級アンモニウム基を有するポリマーの合成
(重合)
2−クロロエタンスルホン基を有するモノマーを、グリシジルメタクリレートに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行った。
(重合)
2−クロロエタンスルホン基を有するモノマーを、グリシジルメタクリレートに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行った。
実施例4
アミノ基と反応可能なアセトアセチル基が導入されているポリビニルアルコールであるゴーセファイマーZ200H(日本合成化学製)を用いて、本発明で用いることができるポリマーを合成した。
アミノ基と反応可能なアセトアセチル基が導入されているポリビニルアルコールであるゴーセファイマーZ200H(日本合成化学製)を用いて、本発明で用いることができるポリマーを合成した。
ゴーセファイマーZ200H(2.0g)に脱イオン水(18.0g)を加え、80℃に加熱することで、ゴーセファイマーの10質量%溶液を得た。この溶液9.0gに、1MのN,N-ジメチルエチレンジアミン溶液(pH9.0, NaOHによりpHを調整)1.0gを加え、室温で24時間攪拌することで、アセトアセチル基と3級アミノ基を併せ持つポリマーの合成に成功した。NMR測定より、アセトアセチル基の30%程度がN,N-ジメチルエチレンジアミンと反応していることが確認された。
実施例5
実施例4のN,N-ジメチルエチレンジアミンを、ジラード試薬T(東京化成製)に変更した以外は同様の操作を行うことで、アセトアセチル基と4級アンモニウム基を併せ持つポリマーの合成に成功した。アセトアセチル基の40%程度がジラード試薬Tと反応していることが確認された。
実施例4のN,N-ジメチルエチレンジアミンを、ジラード試薬T(東京化成製)に変更した以外は同様の操作を行うことで、アセトアセチル基と4級アンモニウム基を併せ持つポリマーの合成に成功した。アセトアセチル基の40%程度がジラード試薬Tと反応していることが確認された。
実施例6
実施例4のN,N-ジメチルエチレンジアミンを、ジラード試薬P(東京化成製)に変更した以外は同様の操作を行うことで、アセトアセチル基とピリジニウム基を併せ持つポリマーの合成に成功した。アセトアセチル基の40%程度がジラード試薬Pと反応していることが確認された。
実施例4のN,N-ジメチルエチレンジアミンを、ジラード試薬P(東京化成製)に変更した以外は同様の操作を行うことで、アセトアセチル基とピリジニウム基を併せ持つポリマーの合成に成功した。アセトアセチル基の40%程度がジラード試薬Pと反応していることが確認された。
試験例1:
本試験例は、タンパク質を固定するためのセンサーチップの作製に関するものである。
(1)試料1(比較例)の作成
カルボキシメチルデキストランが結合した表面として、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)を、そのまま用いた。
本試験例は、タンパク質を固定するためのセンサーチップの作製に関するものである。
(1)試料1(比較例)の作成
カルボキシメチルデキストランが結合した表面として、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)を、そのまま用いた。
(2)試料2(実施例)の作成
センサーチップ上に金膜のみが形成されている表面として、Biacore社センサーチップAuを用いて実験を行った。センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの11−アミノウンデカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)混合溶媒中で、40℃16時間反応させた。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。さらに本センサーチップを、ポリマー(P-1)を10質量%溶解した水溶液中で60℃16時間反応させた。表面を5×50mlの水で洗浄することで、試料2を得た。
センサーチップ上に金膜のみが形成されている表面として、Biacore社センサーチップAuを用いて実験を行った。センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの11−アミノウンデカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)混合溶媒中で、40℃16時間反応させた。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。さらに本センサーチップを、ポリマー(P-1)を10質量%溶解した水溶液中で60℃16時間反応させた。表面を5×50mlの水で洗浄することで、試料2を得た。
試験例2
本試験例は、試験例1で得られたセンサーチップに対する等電点以上のpHにおけるタンパク質の荷電濃縮に関するものである。タンパク質としては、CA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。用いたCAは、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、等電点が5.8程度であることを確認した。1mgのCAを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの炭酸バッファー(PIERCE社製、pH9.4)を加えることで、0.1mg/mlのCA溶液(pH9.4, 0.1mg/ml)を調整した。なお、HBS-EPバッファーの組成は、HEPES(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonicAcid)0.01mol/l(pH7.4)、NaCl0.15mol/l、EDTA 0.003mol/l、Surfactant P20 0.005質量%である。
本試験例は、試験例1で得られたセンサーチップに対する等電点以上のpHにおけるタンパク質の荷電濃縮に関するものである。タンパク質としては、CA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。用いたCAは、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、等電点が5.8程度であることを確認した。1mgのCAを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの炭酸バッファー(PIERCE社製、pH9.4)を加えることで、0.1mg/mlのCA溶液(pH9.4, 0.1mg/ml)を調整した。なお、HBS-EPバッファーの組成は、HEPES(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonicAcid)0.01mol/l(pH7.4)、NaCl0.15mol/l、EDTA 0.003mol/l、Surfactant P20 0.005質量%である。
試験例1で作製した試料1及び試料2をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、CA溶液(pH9.4, 0.1mg/ml)を5分間流した後、10mMNaOHを1分間×2回流した場合の荷電濃縮について検討した。得られたセンサーグラムを図2に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1は、CAの等電点以上のpHである9.4では全く荷電濃縮は観察されない。これに対し本発明の生理活性物質固定化剤を用いた試料2では、4500RU程度の荷電濃縮が観察され、アルカリ洗浄後も4000RU程度のCAが残存していることが確認された。すなわち、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを併せ持つ本発明の生理活性物質固定化剤を塗布した表面により、等電点以上のpHにおけるCAの荷電濃縮および固定化が達成されたことが証明された。
試験例3
タンパク質としてペプシン(和光純薬社製)を用いた以外は、試験例2と同様の検討を行った。測定されたペプシンの等電点は4.0程度であった。
1mgのペプシンを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの酢酸バッファー(Biacore社製、pH5.0)を加えることで、0.1mg/mlのペプシン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を調整した。
試験例1で作製した試料1、2をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、ペプシン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を5分間流した後、10mMNaOHを1分間×2回流した場合の荷電濃縮について検討した。得られたセンサーグラムを図3に示す。
タンパク質としてペプシン(和光純薬社製)を用いた以外は、試験例2と同様の検討を行った。測定されたペプシンの等電点は4.0程度であった。
1mgのペプシンを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの酢酸バッファー(Biacore社製、pH5.0)を加えることで、0.1mg/mlのペプシン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を調整した。
試験例1で作製した試料1、2をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、ペプシン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を5分間流した後、10mMNaOHを1分間×2回流した場合の荷電濃縮について検討した。得られたセンサーグラムを図3に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1は、ペプシンの等電点以上のpHである5.0では全く荷電濃縮は観察されない。これに対し本発明の生理活性物質固定化剤を用いた試料2では、1800RU程度の荷電濃縮が観察され、アルカリ洗浄後も600RU程度のペプシンが残存していることが確認された。即ち、本発明の生理活性物質固定化剤を用いることで、ペプシンがごとき酸性タンパク質の荷電濃縮および固定が可能であることが実証された。
Claims (12)
- 生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを一分子中に有するポリマーからなる生理活性物質固定化剤。
- 生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基が、ビニルスルホン基、又はジクロロトリアジン基である、請求項1に記載の生理活性物質固定化剤。
- カチオン性基が、第1〜3級アミンの塩類、又は第4級アンモニウム化合物である、請求項1又は2に記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーがビニル系ポリマーである、請求項1から3の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーが、アクリルアミド類モノマー又は(メタ)アクリルアミド類モノマーを共重合して得られるポリマーである、請求項1から4の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーが多糖類又はその誘導体である、請求項1から3の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーがデキストランの誘導体である、請求項6に記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーが水溶性ポリマーである、請求項1から7の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- ポリマーの数平均分子量が3000以上である、請求項1から8の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- 等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を用いて生理活性物質を固定化するために使用する、請求項1から9の何れかに記載の生理活性物質固定化剤。
- 請求項1から9の何れかに記載の生理活性物質固定化剤を表面に有する基板に生理活性物質を接触させて、生理活性物質を生理活性物質固定化剤に化学的に結合することを含む、生理活性物質の固定化方法。
- 等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を用いて、基板に生理活性物質を接触させる、請求項11に記載の生理活性物質の固定化方法。
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