JP2006335811A - 難燃性樹脂組成物およびそれを使用した成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれを使用した成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 絶縁電線の絶縁体やケーブル類の外被または電気絶縁チューブにおいて、機械的特性、加熱変形性、柔軟性、難燃性、端末加工性を満足させて、尚且つ押出成形時にはメヤニ発生を少なくして成形品の外観を安定化させることができるという優れたハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物と、これを適用して成形した電線及び電気絶縁チューブを提供する。
【解決手段】 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー30〜80重量部と、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑エラストマー1〜50重量部と、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂5〜40重量部と、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物1〜30重量部とを配合した合計100重量部に対して、水和金属化合物を150〜300重量部配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物と、この組成物により成形された絶縁電線・ケーブル、電気絶縁チューブに関し、特に、難燃性、加熱変形性、柔軟性、端末加工性、及び押出作業性に優れたハロゲンフリー難燃性樹脂組成物及び絶縁電線・ケーブル、電気絶縁チューブに関する。
燃焼時に塩化水素ガス等の有毒ガスや多量の煤煙を発生させる塩化ビニル樹脂の代替として、ハロゲン元素や鉛、アンチモン等の重金属さらには環境負荷物質も含まれない難燃性樹脂組成物の要求が高まっている。この難燃性樹脂組成物は、ハロゲン元素を含まない樹脂と、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水和金属化合物とからなるものであり、特に絶縁電線の絶縁材料やケーブル類の外被材料または電気絶縁チューブの材料に適用されている。そして、優れた難燃性を有すると共に、引張り強さと伸び(以下、機械的特性という)に優れ、加熱変形性(熱を加え、一定の荷重を加えた場合の形状寸法の変化をみるものをいう)、柔軟性、端末加工性を満足させて、特にメヤニ(押し出し成形時にダイス部に樹脂材から遊離した成分が主体となる堆積物をいう)発生を抑えた押出作業性(以下、押出作業性という)に優れた絶縁電線の絶縁材料やケーブル類の外被材料及び電気絶縁チューブの材料などの用途に好適なハロゲンフリー難燃性樹脂組成物が要求されている。
しかし、難燃性樹脂組成物は難燃性の他に上記機械的特性、加熱変形性、柔軟性、端末加工性および押出作業性の全てをバランス良く満足させる事は困難である。難燃性を維持させる為に多量の水和金属化合物を添加すると、押出成形時の成形品の外観を良好に保つ為に押出速度を低くしなければならないからである。
特に押出作業性については、押出速度が低下する他に押出成形時のスクリュー回転のトルクが増大すると樹脂の発熱も大きくなり、樹脂の熱劣化につながる。また、機械的特性も低下するなどの問題があるため、今までに種々のハロゲンフリー難燃性樹脂組成物が提案されているが、その殆どが実用化には至っていないのが実状である。
ところで、難燃性と機械的特性に優れ、電線・ケーブルの被覆材に適用できるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物と、その樹脂を適用した電線に係る先行技術が、特許文献1および特許文献2等に提案されている。
特許文献1には、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、十分な難燃性を有すると共に、耐摩耗性、引張強さ、引張伸び等の機械的特性、柔軟性及び加工性を兼ね備えた難燃性樹脂組成物とそれを使用した電線に係るものが開示されている。すなわち、プロピレン系樹脂60〜97重量部及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー3〜40重量部の混合割合で混合されてなる混合物合計100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合してなる難燃性樹脂組成物であり、前記不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーは、無水マレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマーであり、金属水和物は水酸化マグネシウムであり、更には前記難燃性樹脂組成物をもって導体外周に絶縁体を被覆した電線が開示されている。
又、特許文献2には、自動車用電線の被覆材料に要求される耐磨耗性、難燃性、引張特性、柔軟性などの特性をバランスよく満足するためのハロゲンフリーオレフィン系樹脂組成物とそれを使用した電線に係るものが開示されている。すなわち、130℃以上の融点および90以下のショアA硬度を有するポリオレフィン熱可塑性エラストマー30〜80質量部と、0.1〜10質量%の酸無水物により変性されたポリピロピレン1〜20質量部と、スチレン系エラストマー5〜50質量部と、プロピレンホモポリマーおよびプロピレン含量が少なくとも50質量%であるプロピレンーエチレンコポリマーから選択され、0.1〜5g/10分のメルトフローレートを有するプロピレンポリマー10〜30質量部を混合されてなる混合物の合計100質量部に金属水酸化物を30〜200質量部配合してなる樹脂組成物であり、前記ポリプロピレンはマレイン酸無水物により変性されたものであり、前記スチレン系エラストマーは、水添スチレンーブタジエン共重合体または水添スチレンーイソプロピレン共重合体からなり、前記スチレン系エラストマーは、0.1〜10質量%の酸無水物により変性されたスチレン系エラストマーからなり、前記プロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレンーエチレンランダム共重合体からなり、前記金属水酸化物は、シランカップリング剤により表面処理された水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム等を適用しており、前記樹脂組成物を被覆材として電線に適用したものである。
特開2002−179857号 特開2002−212378号
しかし、上述した従来のハロゲンフリー難燃性樹脂組成物のうち、特許文献1では樹脂組成物中において分子鎖同志の相互作用に乏しいため耐熱性が欠如し、また、オレフィン系のエラストマーはスチレン系エラストマーに比べて全般に硬度が高く、特にフィラーを充填した際にはそれは顕著となり、柔軟性が不十分である。フィラーとは、アメリカ材料試験協会規格の定義によれば、強度や機能性向上、コスト低減のためプラスチックス(樹脂)やゴム、塗料などに添加される粒子や粉状の物質をいう。
又、特許文献2に於いては、特許文献1と同様な問題の他に、加熱変形性が著しく低下するという問題点を有する。加えて、無機フィラー系難燃剤によって難燃化されたオレフィン系樹脂を主体にしたハロゲンフリー樹脂組成物は、押出成形時にダイス部に樹脂材から遊離した成分が主体となる堆積物、通称メヤニが発生して堆積しやすいことから、押出成形のダイス部に生じ堆積されたメヤニは、時として押出成形品に付着して成形品の外観を悪化させ、場合によっては商品価値が全くなくなる事が起こると言う問題がある。
従って、本発明の目的は、機械的特性、加熱変形性、柔軟性、難燃性、端末加工性を満足させて、尚且つ押出成形時にはメヤニ発生を少なくして成形品の外観を安定化させることができるという優れたハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物と、これを適用して成形した電線・ケーブル及び電気絶縁チューブを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー30〜80重量部と、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー1〜50重量部と、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂5〜40重量部と、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物1〜30重量部とを配合した合計100重量部に対して、水和金属化合物を150〜300重量部配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物を提供する。
上記発明において、前記変性スチレン系熱可塑性エラストマー、前記変性ポリオレフィン樹脂、及び前記多官能化合物から任意に選択する2つの物質は、同一構造を持つ官能基又はその誘導体によって変性され、残りの物質の反応性官能基は前記2つの物質がもつ前記官能基又はその誘導体と反応性を有するものであってもよい。
また、上記発明において、前記変性スチレン系熱可塑性エラストマー及び前記変性ポリオレフィン樹脂は、無水マレイン酸基によって変性されており、かつ前記多官能化合物の官能基がエポキシ基であってもよい。
また、上記発明において、前記変性ポリオレフィン樹脂は、変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。
また、上記発明において、前記水和金属化合物は、水酸化マグネシウムであってもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、導体の外周に絶縁体を有する電線であって、前記絶縁体が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とする電線を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、電線を束ねさらに外周に外被を有するケーブルであって、前記外被が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とするケーブルを提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を有して構成されることを特徴とする電気絶縁チューブを提供する。
本発明によれば、機械的特性、加熱変形性、柔軟性、難燃性、端末加工性を満足させて、尚且つ押出成形時にはメヤニ発生を少なくして成形品の外観を安定化させることができるという優れたハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物と、これを適用して成形した電線・ケーブル及び電気絶縁チューブを提供することができる。
(第1の実施の形態)
本発明の難燃性樹脂組成物と、それを適用した成形品の実施の形態と実施例を以下に説明する。本発明の実施の形態として、難燃性樹脂組成物は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー30〜80重量部と、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー1〜50重量部と、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂5〜40重量部と、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物1〜30重量部とを配合した合計100重量部に対して、水和金属化合物を150〜300重量部配合したものからなっている。
本発明の実施の形態に係る水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、分子量、密度等は特定する必要はないが、ゴム相(ソフトセグメント)Bが拘束相(ハードセグメント)Aによって拘束されているABA型のトリブロック構造を持つ共重合体である。常温でゴム弾性を保持し、フィラー含有時に物性低下を起こさないためである。また、耐熱老化性の点から不飽和結合を持たないことが望ましい。
具体的には、熱可塑性エラストマーとして、ポリスチレンを拘束相として持つスチレン系熱可塑性エラストマーがあり、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が適用できる。
また、耐熱老化性を保てる範囲で水素添加されていないスチレン系熱可塑性エラストマーを用いても良い。そのようなスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)などがある。また、架橋したハードセグメントを持つスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることも可能である。これらの熱可塑性エラストマーを単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態に係る反応性官能基により変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーは、分子量、密度等は特定する必要はないが、ゴム相(ソフトセグメント)Bが拘束相(ハードセグメント)Aによって拘束されているABA型のトリブロック構造を持つ共重合体であり、ゴム相は、未反応の反応性官能基によって変性されている。
具体的には、変性している官能基として、水酸基、カルボキシル基及びその無水二量化物等のカルボニル基、エポキシ基などの3員環から6員環までの環状エーテル類、アミノ基、イソシアネート基などが適用できる。
本発明の実施の形態に係る反応性官能基により変性された変性ポリオレフィン樹脂は、分子量、密度等は特定する必要はないが、直鎖状もしくは主鎖上に分岐がある構造のポリオレフィン樹脂及びその共重合体である。また、その主鎖もしくは分岐に反応性官能基がグラフト共重合もしくはランダム共重合されている。
具体的には、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、エチレン−αオレフィン共重合体などが適用できる。また、加熱変形性の点から変性ポリプロピレンがより好ましい。このポリプロピレン樹脂を変性する官能基としては、上記した変性スチレン系熱可塑性エラストマーと同様、水酸基、カルボキシル基及びその無水二量化物等のカルボニル基、エポキシ基などの3員環から6員環までの環状エーテル類、アミノ基、イソシアネート基などがある。
本発明の実施の形態に係る多官能化合物は、分子量、密度等を特定する必要はなく、分子量1万以下の低分子若しくはオリゴマーや、分子量1万以上の高分子化合物、およびそれらの共重合体を適用できる。好ましくは、加工温度において分解の起こらない高分子量のものが良い。この多官能化合物は未反応の反応性官能基を1分子中に複数持つことを必要とする。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、及び変性ポリオレフィン樹脂と相溶性が高い化合物を用いることが好ましい。
具体的には、水酸基、カルボキシル基及びその無水二量化物等のカルボニル基、エポキシ基などの3員環から6員環までの環状エーテル類、アミノ基、及びイソシアネート基などがある。
本発明の実施の形態に係る水和金属化合物は、その粒径は特定しないが、小さすぎると粒子が二次凝集を起こし、大きすぎると難燃効果が乏しく前記機械的特性の低下も大きくなるので、0.01〜1μm程度の粒径が好適であり、その表面を表面処理剤で処理すると分散をしやすくなるので表面処理することが好ましい。表面処理剤としてはシランカップリング剤、脂肪酸等が好ましい。水和金属化合物は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー30〜80重量部と、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー1〜50重量部と、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂5〜40重量部と、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物1〜30重量部とを配合した合計100重量部に対して、150〜300重量部が好ましい。
具体的には、水和金属化合物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が適用でき、その中でも分解温度が高く含水量の多い水酸化マグネシウムが好ましく、これらは単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
水和金属化合物以外の難燃剤としては、ハロゲンを含まないリン系化合物が適用でき、難燃効果の高いリン化合物としては、赤リン、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類があり、これらは単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。リン化合物には単純に添加するタイプと反応性官能基を持つ反応タイプとがあり、どちらも適用することが出来る。また、ポリリン酸アンモニウムやそれを含む複合難燃剤も使用することができる。
ハロゲンを含まない含窒素化合物は、本発明の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物に添加可能な難燃助剤として適用でき、具体的には、メラミンシアヌレートとそれを含む複合型難燃剤、トリアリルイソシアヌレート等がある。
上記の樹脂以外でハロゲンを含まない樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において実施の形態に係る難燃性樹脂組成物に併用して、その組成の要素とすることが出来る。具体的には、ポリメチルメタクリレート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、ポリスチレン樹脂、アクリルニトリル−ポリスチレン共重合体、ポリアミド46樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及び変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
無機フィラーは、本発明の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物に添加して使用することができる。不燃性のフィラーを充填することにより、樹脂組成物中及び難燃性樹脂組成物中の可燃物の割合を減らして難燃性を高めることが可能となる。具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、低融点ガラス組成物等が上げられ、特に表面処理は分散を向上させるためには効果的であり、上記した難燃剤の項に記載した表面処理剤が適用できる。また、カーボンブラック、炭酸カルシウムは配合することにより耐摩耗性を著しく改良することが出来る。
上記した水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとそれを用いた難燃性樹脂組成物の加工性を向上させるためにハロゲンを含まない加工助剤を用いることが出来る。特に水和金属化合物を多く充填した難燃性樹脂組成物に対して、加工助剤の添加効果は顕著である。又、軟化剤を添加することにより柔軟性が向上した難燃性樹脂組成物を得ることができ、これを使用して成形した電線・ケーブル、電気絶縁チューブ等は柔軟性が改善される。加工助剤には、分子量、密度等は特定されず、適用されるものはパラフィンワックスなど炭化水素系のワックス、ステアリン酸などの高級脂肪酸及びその塩などがあり、単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。軟化剤としては、炭化水素系プロセスオイル、シリコーンオイル及びその変性物が挙げられ、単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
成形工程中に起きる熱劣化を防ぐためには、酸化防止剤の添加が効果的である。酸化防止剤には、一般的なフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、窒素系酸化防止剤、及びこれらの複合型酸化防止剤等を、単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
請求項1の難燃性樹脂組成物が金属と接触して使用される場合、成分樹脂中にある重合触媒残渣などが金属の腐食を招く。これを防ぐ効果的な化合物としてはフェノール系複素環化合物とそれらを用いた複合型重金属不活性化剤がある。重金属不活性化剤は単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
請求項1に示した難燃性樹脂組成物を適用して成形した成形物を屋外で使用する場合、紫外線によって起こる紫外線劣化を防止する為に耐候性処方が望ましい。耐候性処方を行うには光安定化機能を持つ化合物の配合が効果的であり、これらの化合物としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、テトラメチルピペリジンを含む光安定剤などがある。これらは単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(第1の実施の形態の効果)
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを30〜80重量部にすることによりフィラー受容性の向上を図り、30重量部以上にすることで引張り伸びと柔軟性に優れ、一方80重量部以下にすることで加熱変形性に優れたものとすることができる。また、反応性官能基により変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーを1〜50重量部に限定することにより、フィラーや反応性官能基との反応性を調整することができ、1重量部以上にすると良好な反応性が得られ、一方50重量部以下にすることで反応性過多を抑えることができる。また、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂を、5重量部以上にすることでフィラーや反応性官能基との反応性を良好に保つと共に加熱変形性の向上が図られ、一方40重量部以下にすることで前記反応性の過多を防ぎ、柔軟性を保ち、結晶化度を抑えることでフィラー受容性の向上を図ることができる。また、多官能化合物を1〜30重量部に限定することにより、反応性官能基との反応性を調整でき、1重量部以上にすると良好な反応が得られ、一方30重量部以下にすることで反応性過多を防ぎ、前記機械的特性と柔軟性の低下を防ぐことができる。また、水和金属化合物を、150重量部以上とすることで難燃性を向上させ、一方、300重量部以下にすることで前記機械的特性の低下を抑えることができる。
上記の各効果に加えて、第1の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は、3つの樹脂と、1つの化合物を配合しているので加熱変形性が良くなり、更にその配合物の合計100重量部に対して水和金属化合物を150〜300重量部配合しているので難燃性と各種物性のバランスが良好となる効果を有する。また、樹脂組成物中に含まれる各々の反応性官能基が混練中に化学反応を行うため、分子間の相互作用により相溶性が向上し、機械的特性及び耐熱老化性が改善される。また、酸変性された官能基は水和金属化合物との界面接着性に富むためにフィラーを大量に充填しても機械的特性の低下を抑えることができる。
その結果、製品として必要な機械的特性を保ったまま高い難燃性を実現することができる効果を有する。この難燃性樹脂組成物は配合・混練などのコンパウンドを製造する段階で樹脂を改質しているため、電子線照射・シラン架橋などの成形後の後処理を必要としない。また、耐熱性を付与するため分子鎖同士に相互作用を持たせているが、それは樹脂の成形性を損なうものではなく、熱可塑性も半永続的なものであるという効果も有する。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は、第1の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物において、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、変性ポリオレフィン樹脂、及び多官能化合物のうち、任意に選択する2つの物質は、同一構造を持つ官能基もしくはその誘導体によって変性され、残りの物質の反応性官能基は前記2つの物質がもつ官能基と反応性を有するものである。従って、いかなる組み合わせにあっても前記変性スチレン系熱可塑性エラストマーと前記変性ポリオレフィン樹脂は化学反応によってなる良好な界面接着をもつことができるので、相溶性が向上し、機械的特性や加熱変形性が改善される。反応に関わる化合物は3種類あるので、反応性の調整が反応に関わる化合物が2種類である場合よりも容易であり、樹脂組成物の分散構造の制御が行いやすい。
また、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと変性スチレン系熱可塑性エラストマーは分子構造が近いために相溶性がよく、変性スチレン系熱可塑性エラストマーと変性ポリオレフィン樹脂は化学反応によって相溶性が向上しているため、結果として変性ポリオレフィン樹脂は樹脂組成物中に微分散することとなる。そのため、変性ポリオレフィン樹脂が結晶化する場合においても結晶成長の粗大化を抑えることができ、加熱変形性の良好な結晶性の変性ポリオレフィン樹脂の含量が多くても柔軟性を損なうことがない。このことによって加熱変形性と柔軟性の両立を図ることができる
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は、第1の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物において、変性スチレン系熱可塑性エラストマー及び変性ポリオレフィン樹脂が、無水マレイン酸基によって変性されており、かつ多官能化合物の官能基がエポキシ基である構成となっている。この構成によれば、水和金属化合物と良好な界面接着を持ち、かつ異なる樹脂間でも相溶性が良好となる。その結果、機械的特性、加熱変形性、柔軟性、及び難燃性のバランスに優れた難燃性樹脂組成物を作ることができる。また、無水マレイン酸基とエポキシ基は反応性をもつが、本実施の形態に係る樹脂の雰囲気下においては、反応性はきわめて穏やかで制御が容易であり、混練中のスコーチを防止することができる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は、第1の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物において、変性ポリオレフィン樹脂が、変性ポリプロピレン樹脂である構成となっている。この構成によれば、本実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は変性ポリプロピレン樹脂を配合しているので、さらに加熱変形性が向上するとともに適度の硬度を確保し、被覆剥き加工時のヒゲ対策と圧接加工時の被覆の突き破り性が改善される。ここで、ヒゲとは、剥き口での絶縁体の伸びを意味し、圧接加工時の被覆の突き破り性と合わせて端末加工性という。また、圧接加工で、圧接スロットに電線を圧接する場合、鋭利なコンタクト部で電線の被覆を突き破り導体と接触させるが、この際、被覆の突き破り性が悪いと被覆部が耳のように捲れ、最悪の場合にはコンタクトと導体との結線状態に支障をきたす。本実施の形態に係る難燃性樹脂組成物によれば、第1の実施の形態の効果に加え、この圧接加工時の被覆の突き破り性が改善される。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物は、第1の実施の形態に係る難燃性樹脂組成物において、水和金属化合物が、水酸化マグネシウムである構成となっている。この構成によれば、水酸化マグネシウムは分解温度が高いので、第1の実施の形態の効果に加えて、更に難燃性が向上するという効果を有する。
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態は、導体の外周に絶縁体を有する電線であって、前記絶縁体が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とする電線である。あるいは、同様の構成として、電線を束ねさらに外周に外被を有するケーブルであって、前記外被が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とするケーブルである。この電線・ケーブルは、主に、電気、電子及び通信機器用部品、それらの配線あるいはケーブル用、自動車用部品等の産業機器全般に使用されるものである。
第6の実施の形態に係る電線・ケーブルによれば、成形時に、メヤニの発生を抑えられ、また成形後の電子線照射が不要となり作業性に優れると共に製造コストを安く抑える事ができ、経済的である。また、機械的特性、加熱変形性、端末加工性に優れ、電子線照射・シラン架橋などの成形後の後処理を必要としないためにリサイクル性もあり、加えてハロゲンフリー難燃材料としては非常に柔軟性に優れており、配線時の取り回しが容易であり、ケーブルの外装など、感触が重視される用途には塩化ビニル樹脂の代替として好適であるという効果を有する。
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態は、請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されている電気絶縁チューブである。第7の実施の形態に係る電気絶縁チューブによれば、成形時に、メヤニの発生を抑えられ、また成形後の電子線照射が不要となり作業性に優れると共に製造コストを安く抑える事ができ、経済的である。また、機械的特性、加熱変形性、端末加工性に優れ、電子線照射・シラン架橋などの成形後の後処理を必要としないためにリサイクル性もあり、加えてハロゲンフリー難燃材料としては非常に柔軟性に優れており、配線時の取り回しが容易であり、ケーブルの外装などに被せる場合で感触が重視される用途には、塩化ビニル樹脂の代替として好適であるという効果を有する。
(実施例)
本発明に係る実施例として、各樹脂、多官能化合物および水和金属化合物を所定量、常温で混合したものを二軸押出機(32mm L/D=32)で、温度130〜200℃、回転数180rpmで混練・脱揮して、水温で冷却した後に造粒し難燃性樹脂組成物とした。これらの難燃性樹脂組成物の特性について、電線状態において確認するため、押出成形機を用いて、次の2種類の絶縁線を製造した。
(1)導体径1.14mmの外周に、厚さ0.63mmの絶縁被覆を有する絶縁電線を製造した。押出機はスクリュー径40mm(L/D=26)を適用して、押出温度は170〜220℃の温度範囲とし、そのスクリュー回転数は50rpm、引取り速度(以下、線速という)は50〜60m/分で押出成形した。この絶縁線は、端末加工性を除く評価試験に用いた。
(2)端末加工性を確認するためのサンプルとして、導体径0.48mmの外周に厚さ0.26mmの絶縁被覆を有する絶縁電線を製造した。押出機はスクリュー径40mm(L/D=26)を適用し、押出温度は170〜220℃の温度範囲として、スクリュー回転数は30rpm、線速を70〜80m/分で押出成形した。
更に、ケーブルの外被については、外径7.4mmのケーブル芯外周に厚さ1mmの被覆を有するケーブルを製造した。押出機はスクリュー径75mm(L/D=26)を適用して、押出温度は130〜220℃の温度範囲とし、そのスクリュー回転数は30rpm、線速は20〜30m/分で押出成形した。
以上の条件で製造した絶縁電線、ケーブルから、実施例1〜11の試験サンプルを採取して、これらについて、引張り試験、耐老化試験、加熱変形試験、燃焼試験、柔軟性試験、難燃性試験、メヤニ発生量確認、及び端末加工性確認を実施し、表1及び表2にその結果を示す。
(比較例)
また、比較例として、本発明に係る難燃性樹脂組成物と同じ組成で、各樹脂、多官能化合物および水和金属化合物の重量部が異なる樹脂組成物を作製し、実施例と同様に電線状態において確認するため、比較例1〜11の試験サンプルを作製し、これらについて、引張り試験、耐老化試験、加熱変形試験、燃焼試験、柔軟性試験、難燃性試験、メヤニ発生量確認、及び端末加工性確認を実施し、表3及び表4にその結果を示す。
表1乃至表4において、材料を記載した項目の数値は重量部を示し、また、品種の項目では、絶縁と記載したものは絶縁線、外被と記載したものはケーブルの外被について、以下に示す試験及び評価方法を実施したことを示している。
尚、上記の実施例及び比較例の試験サンプルの作製において使用した各樹脂、多官能化合物および水和金属化合物は以下の通りである。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、旭化成工業社製「タフテックH」(商品名)、変性スチレン系熱可塑性エラストマーとして、旭化成工業社製「タフテックM」(商品名)、変性ポリオレフィン樹脂として、日本ポリエチレン社製「アドテックス」(商品名)、1分子中に反応性官能基を複数持つ多官能化合物として、日本油脂社製「モディパーA」(商品名)、水和金属化合物として、協和化学社製「キスマ5」(商品名)、フェノール系酸化防止剤として、旭電化社製「アデカスタブ」(商品名)、プロセスオイルとして、出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」(商品名)を使用した。
(絶縁線の場合の試験及び評価方法)
表1乃至表4において、品種の項目が絶縁線の場合は、以下に示す試験及び評価方法により行った。
引張り試験(JIS C3005)は、絶縁線から導体を引き抜いたものを試験サンプルとして、標線間距離を50mm、引張り速度200mm/分で試験し、強度は10Mpa以上を合格、伸びは200%以上を合格とし、これに満たないものは不合格とした。
耐老化試験(JIS C3005)は、予め試験サンプルを120℃で96時間加熱したものを前記引張り試験と同じ条件で試験し、強度及び伸びについて、下記に示す式により、残率を求め、80%以上を合格、80%未満の残率を不合格とした。
残率=(老化後の値)÷(常態の値)×100
加熱変形試験(JIS C3005)は、試験サンプルを120℃で30分間加熱後、平行板に5Nの加圧を加えて更に30分間加熱して、その肉厚を測定し、加熱前の肉厚に対する加熱後の肉厚の変化量を加熱変形率として算出し、加熱変形率が40%以下を合格、40%を越えた場合を不合格とした。
加熱変形率=(加熱前の肉厚−加熱後の肉厚)÷(加熱前の肉厚)×100
燃焼試験(JIS C3005の傾斜試験)は、サンプルを水平面に対して60゜の角度に傾斜させて単条敷設し、工業用メタンガスを燃料とするブンゼンバーナーを30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後、60秒以内に自己消火したものを合格、60秒を越えたものを不合格とした。
柔軟性試験は、目隠しした被験者10人による手触りによる官能試験を行い、A〜Dの4ランクとし、AからDに向かって柔軟性は悪い評価とし、A:優、B:良で、CとDは不可として判定させた。被験者の得票がもっとも多かったランクのものをそのサンプルの評価とし、最多得票数を得たランクが2つある場合には悪い方のランクをそのサンプルの評価とし(例えば、B=5,C=5の場合、悪い方のCを評価として採用)、最多得票数を得たランクが3つのランクに票が分かれた場合にはその中問の評価をそのサンプルの評価とした(例えば、A=3,B=3,C=3の場合、中間のBランクを評価として採用)。そして、A及びBを合格、C及びDを不合格とした。
メヤニ発生量確認については、絶縁電線を押出被覆する工程において、ダイス部に発生する10分間の堆積物(メヤニ)を採取して、50℃で24h真空乾燥した後、その重量を測定した。採取・乾燥したメヤニの重量と採取時間、及び線速から電線を1km被覆する時に発生するメヤニの量を求め、10mg/km未満を合格、これ以上を不合格とした。
メヤニ発生量(mg/km)=メヤニ採取重量×(1000÷線速)÷10
端末加工性確認については、圧接加工時の被覆の突き破り性を10倍ルーぺで確認し、従来の当社PVC線と同等又は優れている場合を合格、劣っている場合を不合格とした。
(ケーブルの外被の場合の試験及び評価方法)
表1乃至表4において、品種の項目がケーブルの外被の場合は、以下に示す試験及び評価方法により行った。
引張り試験(JIS C3005)は、厚さ0.6mmにバフし、JIS3号ダンベルで打ち抜いたサンプルを作成し、標線間距離20mm、引張り速度200mm/分で試験し、強度は10Mpa以上を合格、伸びは350%以上を合格とし、これに満たないものは不合格とした。
耐老化試験(JIS C3005)は、予め試験サンプルを90℃×96時間加熱したものを前記引張り試験と同じ条件で試験し、強度及び伸びについて、下記に示す式により残率を求め、強度残率は80%以上を合格、伸び残率は65%以上を合格、これ未満の残率を不合格とした。
残率=(老化後の値)÷(常態の値)×100
加熱変形試験(JIS C3005)は、試験サンプルを75℃で30分間加熱後、平行板に10Nの加圧を加えて更に30分間加熱して、その肉厚を測定し、加熱前の肉厚に対する加熱後の肉厚の変化量を加熱変形率として算出し、加熱変形率が10%以下を合格、10%を越えた場合を不合格とした。
加熱変形率=(加熱前の肉厚一加熱後の肉厚)÷(加熱前の肉厚)×100
燃焼試験は、UL1581のVW−1を適用し、60秒以下で自己消火したものを合格、これを超えたものを不合格とした。
柔軟性試験は、絶縁線と同一に評価した。メヤニ発生量確認も、絶縁線と同一に評価した。
表1乃至表4から、実施例1〜11、比較例1〜11について以下のような結果を得た。
実施例1から11は各種の試験にいずれも合格した。反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーと、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィンと、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物との3種類による相互作用が、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーに対して効果的に働き、これに水和金属化合物が効果良く働き、各種のバランスがとれた難燃性樹脂組成物となっている。
一方、比較例1は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの含量が少なすぎる為に、引張り伸びが不足し、柔軟性も劣っている。比較例2は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの含量が多すぎる為に、柔軟性は満足するが、加熱変形率と端末加工性が不合格となっている。比較例3は、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーが含まれていない為に、分子鎖間の相互作用に乏しく、加熱変形率で不合格となっている。比較例4は、反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマーの含量が多すぎる為に、反応性が過多となり、引張り伸びが不合格となっている。比較例5は、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂が含まれていないため加熱変形率が不合格となり、端末加工性も不合格となっている。比較例6は、反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂の含量が多すぎる為に、樹脂組成物がもつフィラー受容性が低くなり、引張り伸びが不合格となり、柔軟性も不合格となっている。加えて、押出成形の際にメヤニの発生が多くなり不合格となっている。比較例7は、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物が含まれていない為に、分子鎖間相互作用に乏しく、加熱変形率が不合格となっている。比較例8は、1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物の含量が多すぎる為に反応性が過多となり、引張り伸びが不合格となっている。加えて、耐熱老化試験中に、前記多官能化合物に大量に残存していた未反応の反応性官能基が反応を進化させるため、耐熱老化試験の伸びが不合格となっている。比較例9及び比較例10は、水和金属化合物の含量が少ない為に、絶縁線の難燃性及び外被の難燃性試験が不合格となっている。そして、比較例11は、水和金属化合物の含量が多すぎる為に、引張り強度と伸びが不合格となっている。

Claims (8)

  1. 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー30〜80重量部と、
    反応性官能基によって変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー1〜50重量部と、
    反応性官能基によって変性された変性ポリオレフィン樹脂5〜40重量部と、
    1分子中に反応性官能基を複数もつ多官能化合物1〜30重量部とを配合した合計100重量部に対して、
    水和金属化合物を150〜300重量部配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記変性スチレン系熱可塑性エラストマー、前記変性ポリオレフィン樹脂、及び前記多官能化合物から任意に選択する2つの物質は、同一構造を持つ官能基又はその誘導体によって変性され、残りの物質の反応性官能基は前記2つの物質がもつ前記官能基又はその誘導体と反応性を有することを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記変性スチレン系熱可塑性エラストマー及び前記変性ポリオレフィン樹脂は、無水マレイン酸基によって変性されており、かつ前記多官能化合物の官能基がエポキシ基であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記変性ポリオレフィン樹脂は、変性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記水和金属化合物は、水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 導体の外周に絶縁体を有する電線であって、前記絶縁体が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とする電線。
  7. 電線を束ねさらに外周に外被を有するケーブルであって、前記外被が請求項1乃至5のいずれかの難燃性樹脂組成物を有して構成されていることを特徴とするケーブル。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を有して構成されることを特徴とする電気絶縁チューブ。
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