JP2006335101A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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晶久 太田
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Abstract

【課題】 路面の凹凸の状況がハンドルの振動や異音となって運転者側へ伝わらないようにすることにより、運転者が爽快の気分で運転できるようにしたパワーステアリング装置を提供するにある。
【解決手段】 ハンドル2から操舵力が伝達される入力軸3と、該入力軸3と同軸状に設けられて該ハンドル2の操舵力に応じて回転力が付与される出力軸5と、これら入力軸3及び出力軸5を収容するケーシング13と、両端に被操舵系が連結されるラック軸6と、前記出力軸5の回転力を前記ラック軸6に伝達する伝達機構7を備えることにより、前記ラック軸6に対して操舵補助力を付与するようにしたパワーステアリング装置1において、前記入力軸3又は出力軸5と、前記ケーシング13との間には、入力軸3及び出力軸5を軸方向の一方向へ付勢する弾性部材14を設けることにより、入力軸3及び出力軸5の軸方向の振動を規制するようにしたことを特徴とするものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、パワーステアリング装置に係り、特に、路面からハンドル側へ伝達される振動や該振動がハンドル側へ異音となって伝達される現象を規制するようにしたパワーステアリング装置に関するものである。
図4乃至図6は従来技術(例えば、特許文献1に示す)の電動パワーステアリング装置を示す。図4は該電動パワーステアリング装置の外観を示す。図5は、図の矢示B―B方向断面図を示す。図6は作用を説明するための図である。
特開2003−291831
電動パワーステアリング装置100は入力軸101と、出力軸102と、電動モータ(図示せず)を備えている。入力軸101の上端側には、ラバーカップリング103やステアリングコラム104等を介してハンドル105が連結されている。又、出力軸102の下端側にはピニオンギヤ106が形成されている。
該ピニオンギヤ106は、ラック軸107のラック108に噛合している。該ラック軸107の両端はジョイント部109を介してタイロッド110に連結されている。該タイロッド110は被操舵側に連結されている。前記出力軸102にはウォームホイール111が設けられている。該ウォームホイール111には電動モータの駆動軸に設けられたウォーム112が噛合している。
前記電動モータは前記入力軸101のハンドルトルクを検出するポテンショメータ113の出力に応じて前記出力軸102を回転駆動させるものである。
そして、運転者がハンドル105を操作すると、該ハンドル105の操舵力に応じて電動モータが出力軸102を回転駆動させる。該出力軸102の回転はピニオンギヤ106とラック108とを介してラック軸107に伝達されて該ラック軸107を軸方向へ駆動させることにより、被操舵系側へ操舵補助力を付与することができる。
前述のように構成された電動パワーステアリング装置100においては、図6に示すように、ラック108とピニオンギヤ106との噛み合い量を大きくさせるために、ラック108とピニオンギヤ106とが斜めに噛合する構造になっている。
このため、路面の凹凸の状況に応じて、ラック軸107が仮に、同6図中、一点鎖線で示すように、水平方向(ラック軸107の軸方向)へ振動した場合、ラック108とピニオンギヤ106との噛合部分において、当該振動によって、同6図中、二点鎖線で示すように、出力軸102及び入力軸101の軸方向の振動が発生するものである。
そして、当該軸方向の振動が出力軸102、及び入力軸101を伝わってハンドル105側へ伝達されることにより、ハンドル105を単に細かく振動させて運転者に不快感を与えるだけでなく、この振動はステアリングコラム104等を通過する際に異音となってハンドル105側へ伝わるものである。この異音は、運転中、運転者にとって耳障りなものであって、運転者の不快感の原因となっていた。
又、車両の走行中において、路面の凹凸の状況に応じて車輪、及びラック軸107が上下方向へ振動すると、この上下振動は電動パワーステアリング装置100の出力軸102、入力軸101、及びラバーカップリング103やステアリングコラム104を介してハンドル105側へ伝達されることにより、前述の問題点が発生していた。
本発明は前記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、路面の凹凸の状況がハンドルの振動や異音となって運転者側へ伝わらないようにすることにより、運転者が爽快の気分で運転できるようにしたパワーステアリング装置を提供するにある。
本発明のパワーステアリング装置は、ハンドルから操舵力が伝達される入力軸と、該入力軸と同軸状に設けられて該ハンドルの操舵力に応じて回転力が付与される出力軸と、これら入力軸及び出力軸を収容するケーシングと、両端に被操舵系が連結されるラック軸と、前記出力軸の回転力を前記ラック軸に伝達する伝達機構を備えることにより、前記ラック軸に対して操舵補助力を付与するようにしたパワーステアリング装置において、前記入力軸又は出力軸と、前記ケーシングとの間には、入力軸及び出力軸を軸方向の一方向へ付勢する弾性部材を設けたことを特徴とするものである。
本発明に係るパワーステアリング装置においては、入力軸及び出力軸は、軸方向の一方向へ常時付勢されているために、反対方向へは移動し難い。つまり、入力軸及び出力軸の軸方向への往復移動、即ち、該軸方向への振動が規制される。このために、路面の状況が、出力軸及び入力軸を介してハンドル側へ振動となって伝達されたり、該振動が異音となってハンドル側へ伝達される現象が規制される。
本発明は、油圧を用いたパワーステアリング装置にも適用できるものであるが、実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合を示す。図1及び図2は本発明の第1実施形態を示す。図1は、電動パワーステアリング装置及びその周辺の外観図である。図2は、図1のA―A線矢示方向断面図である。
図2に示すように、該電動パワーステアリング装置1は、ハンドル2によって操舵される入力軸3と、該入力軸3の操舵力を検出するポテンショメータ4と、該入力軸3と同軸状に設けられ出力軸5と、該ポテンショメータ4の出力に応じて該出力軸5を後述のウォーム32とウォームホイール23とを介して回転駆動させる電動モータ(図示せず)と、該出力軸5の回転をラック軸6に伝達して該ラック軸6を軸方向へ駆動させる伝達機構7とを備え、前記ラック軸6は、図1に示すように、その両端に設けられたタイロッド8,8を介して被操舵系側に連結されている。
図1に示すように、前記ハンドル2と前記入力軸3との間には、ラバーカップリング9とステアリングコラム10等が設けられている。又、前記伝達機構7は、ピニオンギヤ11とラック12によって構成される。
本実施形態の電動パワーステアリング装置1には、ケーシング13と出力軸5との間には、スラストベアリングSと弾性部材としての皿バネ14が設けられている。該皿バネ14は、出力軸5及び入力軸3を図中の上方たるハンドル2側へ向けて軸方向へ付勢するように設けられることにより、出力軸5及び入力軸3の軸方向への振動を規制するものである。
前記ケーシング13は第1ケーシング15と第2ケーシング16と第3ケーシング17とに分割され、該第3ケーシング17には前記皿バネ14を収容する皿バネ収容空間18が設けられている。
次に、前記電動パワーステアリング装置1の具体的な構成について説明する。電動パワーステアリング装置1の入力軸3、出力軸5、及びトーションバー20は同軸状に設けられている。前記入力軸3は中空状に形成されて、トーションバー20が挿入されている。該トーションバー20は、上端側がピン21によって入力軸3に取り付けられ、下端側は該入力軸3内から下方へ突出している。
前記出力軸5には、上面に開口する有底の凹部22が形成されている。該出力軸5の途中にはウォームホイール23が設けられ、下端側には前記ピニオンギヤ11が形成されている。
前記入力軸3及びトーションバー20の下端側は、前記出力軸5の凹部22内に挿入されている。そして、前記トーションバー20の下端側はセレーション24を介して出力軸5に固定されている。
前記入力軸3の下端側の外周と、出力軸5の上端側の外周にはスリーブ25が嵌合されている。該スリーブ25の内周には雌型のヘリカルスプライン26が形成される一方、前記入力軸3の外周には雄型のヘリカルスプライン27が形成されている。スリーブ25のヘリカルスプライン26と入力軸3のヘリカルスプライン27とは噛合している。又、前記スリーブ25には軸方向に向けて長孔状の軸方向溝28が形成されている。該軸方向溝28には、前記出力軸3に圧入されたピン29が挿入されている。
このように形成されることにより、ハンドル2の操舵力によって入力軸3が回転してトーションバー20が捩れることにより、スリーブ25がヘリカルスプライン26、27からなるカム機構の螺旋軌道によって軸方向(上下方向)へ移動することになる。
そして、前記スリーブ25の外周には凹部30が形成され、この凹部30にはポテンショメータ4の検出レバー31が挿入されている。該検出レバー31は該凹部30に挿入されることにより、スリーブ25の軸方向への移動量をポテンショメータ4が検出できるものである。このため、スリーブ25が前述のように軸方向へ移動した場合には、この移動は前記ポテンショメータ4が検出することにより、ハンドル2の操舵力を検出できることになる。
前記電動モータは前記ポテンショメータ4によって検出された前記ハンドル2の操舵力に応じて前記出力軸5を回転駆動するもので、該電動モータの駆動軸に設けられたウォーム32が、出力軸5のウォームホイール23に噛合している。
そして、前記出力軸5のピニオンギヤ11にはラック軸6のラック12が噛合してラック軸6を軸方向へ駆動して、被操舵系に操舵補助力を付与できるようになっている。ラック軸6のラック12は、ラック押付機構33によって、出力軸5のピニオンギヤ11に常時押し付けられるように付勢されている。
前記第1ケーシング15、第2ケーシング16、第3ケーシング17は互いに同軸状に設けられている。第1ケーシング15は上下端が開口した筒状に形成されて、該第1ケーシング15の下端は拡径状に広がっている。第1ケーシング15には入力軸3の下部と出力軸5の上部が収容されている。
該第1ケーシング15の上部には段部34が設けられ、該段部34にはボールベアリング35が下方から当接するようにして取り付けられている。該ボールベアリング35の外輪は第1ケーシング15に取り付けられ、内輪は入力軸3に取り付けられている。該ボールベアリング35によって入力軸3は回転自在に支持されている。
第2ケーシング16は上下端が開口した筒状に形成されると共に、側方には開口部37が設けられている。該開口部37には、前記ラック押付機構33が収容されている。該第2ケーシング16の上端は拡径状に広がって、前記第1ケーシング15の下端に接続されている。第1ケーシング15の下端と、第2ケーシング16の上端とによって拡径状の空間38が形成されて、該空間38内に前記ウォーム32、及びウォームホイール23が収容されて互いに噛合している。
該第2ケーシング16の上部及び下部には段部39,40が設けられている。該段部39には、上方から皿バネ41が当接するようにして設けられている。又、皿バネ41にはボールベアリング42が上方から当接されるようにして設けられている。又、前記出力軸5には段部5aが形成されて、該段部5aに下方から前記ボールベアリング42が当接するようにして設けられている。ボールベアリング42の外輪は第2ケーシング16に取り付けられ、内輪は出力軸5に取付けられている。
又、前記段部40にはボールベアリング43が下方から当接されるようにして取り付けられている。これらボールベアリング35、42、43によって出力軸5を回転自在に支持するものである。
前記第3ケーシング17は上側が開口した有底の筒状に形成されて、内側が前記皿バネ収容空間18になっている。該皿バネ収容空間18の底面はバネ座44になって、前記皿バネ14を支持している。該第3ケーシング17の上端は前記第2ケーシング16の下端側から第2ケーシング16内へ挿入されて前記ボールベアリング43に下側から当接した状態で、第2ケーシング16に取り付けられている。
次に作用について説明する。皿バネ14、41のバネ力によって、出力軸5が軸方向上方へ押し上げられるように付勢されることにより、ボールベアリング35、42、43が段部34、5a、40にそれぞれ押し付けられるようにして付勢されている。
そして、この状態において車両が走行することにより、路面の凹凸の状況に応じて車輪、及びラック軸6が該ラック軸6の軸方向(水平方向)に振動したとする。該ラック軸6の軸方向への振動は、ピニオンギヤ11とラック12との噛合部分において変換されて、出力軸5及び入力軸3を軸方向(上下方向)へ振動させようとする。
しかし、前記車輪、及びラック軸6の軸方向(水平方向)の振動は、出力軸5の軸方向(上下方向)への振動としては伝達されない。つまり、出力軸5及び入力軸3はケーシング13に対して、皿バネ14、41のバネ力に勝る力が発生しない限り下方へ移動できないために、出力軸5及び入力軸3は上下方向へ振動できない。この状態においては、出力軸5のピニオンギヤ11と、ラック軸6のラック12とが噛合した状態のままで、路面の凹凸の状況に応じて、ラック軸6が軸方向(水平方向)振動したとしても、出力軸5は軸方向(上下方向)へは振動しない。
又、前記ラック軸6が路面の凹凸の状況に応じて、仮に、上下方向へ振動したとしても、前記出力軸5及び入力軸3はケーシング13に対して、皿バネ14、41のバネ力に勝る力が発生しない限り下方へ移動できないために、出力軸5及び入力軸3は上下方向へ振動できない。
このように、車両が凹凸の多い路面が走行していたとしても路面の凹凸は出力軸5、及び入力軸3の軸方向(上下方向)の振動となってハンドル2側へ伝達されて運転者に不快感を与えたり、該振動がステアリングコラム10を通過する際に異音となってハンドル2側へ伝わることもないため、車両の走行中に運転者に不快感を与えることがなく、運転者は爽快の気分で運転できる。
尚、以上の実施形態においては、二つの皿バネ14、41を設けた場合について説明したが、これら二つの皿バネ14、41の内の何れか一方を省略しても本発明の作用効果を達成できるものである。
図3は第2実施形態を示す。この第3実施形態の特徴は、第1実施形態において、皿バネ14の代わりにコイルバネ51を設けた点にある。そして、該コイルバネ51と出力軸5との間の摩擦を防止するために、該出力軸5とコイルバネ51との間にボール52を介在させる一方、出力軸5の下端面には、該ボール52を受け止めるための凹部53を設けたものである。
この第2実施形態においては、出力軸5及び入力軸3は、皿バネ41のバネ力、及びコイルバネ51のバネ力によって常時上方へ付勢されているために、上下方向の振動を規制できる上に、該コイルバネ51と出力軸5との間の摩擦をボール52によって抑制できるために、ハンドル2の操舵力に基づき、出力軸5は円滑に作動できて、操舵補助力をラック軸6に有効に伝達できる。
この第2実施形態においては、皿バネ41とコイルバネ51とを設けた場合について説明したが、皿バネ41を省略しても本発明の作用効果を達成できるものである。
前記実施形態においては、入力軸3及び出力軸5を図中の上方たるハンドル2側へ付勢するように弾性部材を設けた場合について説明したが、入力軸3及び出力軸5を図中の下方たるラック軸6側へ付勢するように弾性部材を設けても良い。
電動パワーステアリング装置及びその周辺の外観図である。 図1のA―A線矢示方向断面図である。(第1実施形態) 図1のA―A線矢示方向断面図である。(第2実施形態) 電動パワーステアリング装置及びその周辺の外観図である(従来技術) 図4のB―B線矢示方向断面図である。(従来技術) 作用を説明するためのピニオンギヤとラックとの噛合状態を示す図である。(従来技術)
符号の説明
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
3 入力軸
4 ポテンショメータ
5 出力軸
6 ラック軸
7 伝達機構
13 ケーシング
14 皿バネ(弾性部材)
41 皿バネ(弾性部材)
51 コイルバネ(弾性部材)

Claims (3)

  1. ハンドルから操舵力が伝達される入力軸と、該入力軸と同軸状に設けられて該ハンドルの操舵力に応じた回転力が付与される出力軸と、これら入力軸及び出力軸を収容するケーシングと、両端に被操舵系が連結されるラック軸と、前記出力軸の回転力を前記ラック軸に伝達する伝達機構を備えることにより、前記ラック軸に対して操舵補助力を付与するようにしたパワーステアリング装置において、
    前記入力軸又は出力軸と、前記ケーシングとの間には、入力軸及び出力軸を軸方向の一方向へ付勢する弾性部材を設けたことを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 前記弾性部材は皿バネによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
  3. 前記弾性部材はコイルバネによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
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