JP2006334784A - 酸素吸収性多層構造体及び包装容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 共役ジエン重合体環化物を有効成分とする酸素吸収層と、脱臭成分を含有する脱臭層とを、必須構成層として有してなる酸素吸収性多層構造体。脱臭成分が吸着剤に担持された塩基性脱臭剤であることが好ましく、塩基性脱臭剤がアミン等であることが好ましい。また、脱臭層が熱可塑性樹脂と脱臭成分とを必須構成成分とするものであることが好ましい。この酸素吸収性多層構造体からなる包装容器。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、この多層構造体からなる包装容器も酸素の透過を十分には阻止できないことから、これらの包装容器を構成する各層中に更にネオデカン酸コバルト等の重金属系酸素捕捉剤等を配合することが行われている。
また、特許文献2には、遷移金属触媒と酸化性有機成分とを含有する酸素吸収性樹脂組成物に、アミン担持多孔質シリカとエチレン−ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物を臭気バリア層として設けた多層構造体が報告されている。
しかしながら、上記の多層構造体等においては、遷移金属塩等の反応により多種多様の臭気成分が発生するので、提案された臭気バリア層で全ての臭気成分を捕捉することはできない。
従って、これまで、酸素吸収と臭気成分の捕捉という両課題を同時に解決する方法は、見出されていない。
本発明において、脱臭成分は吸着剤であることができる。
本発明において、脱臭成分は、また、塩基性脱臭剤であることができる。
本発明において、脱臭成分が、吸着剤に担持された塩基性脱臭剤であることが好ましい。
本発明において、塩基性脱臭剤が、アミノ基含有化合物であることが好ましい。
また、本発明の酸素吸収性多層構造体において、脱臭層が熱可塑性樹脂と脱臭成分とを必須構成成分とするものであることが好ましい。
また、本発明において、共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が10重量%以上であることが好ましい。
本発明の酸素吸収性多層構造体は、更にガスバリア層を有することができる。
更に、本発明によれば、上記酸素吸収性多層構造体からなる包装容器が提供される。
従って、本発明の酸素吸収性多層構造体及びこれからなる包装容器は、特に食品包装等の分野で有用である。
共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体の単独重合体及び共重合体並びに共役ジエン単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体を使用することができる。
共役ジエン単量体は、特に限定されず、その具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体の具体例としては、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレン−イソブチレン共重合体ゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等を挙げることができる。
中でも、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと少なくとも一つの共役ジエン重合体ブロックとを有してなるブロック共重合体が好ましい。
共役ジエン重合体の重合方法は常法に従えばよく、例えば、チタン等を触媒成分として含むチーグラー系重合触媒、アルキルリチウム重合触媒又はラジカル重合触媒等の適宜な触媒を用いて、溶液重合又は乳化重合により行われる。
酸触媒の使用量は、共役ジエン重合体100重量部当たり、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
炭化水素溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されない。その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒の沸点は、70℃以上であることが好ましい。
共役ジエン重合体の重合反応に用いる溶媒と環化反応に用いる溶媒とは、同一であってもよい。この場合は、重合反応が終了した重合反応液に環化反応用の酸触媒を添加して、重合反応に引き続いて環化反応を行うことができる。
炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン重合体の固形分濃度が、通常、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%となる範囲である。
環化反応における反応温度や反応時間は、特に限定されない。反応温度は、通常、50〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
環化反応を行った後、常法により、酸触媒を不活性化し、酸触媒残渣を除去し、次いで炭化水素溶媒を除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物を得ることができる。
共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が低すぎるとガラス転移温度が低くなり接着強度が低下する。逆に、不飽和結合減少率が余りに高すぎる共役ジエン重合体環化物は、その製造が困難であり、脆いものしか得られない。
本発明において、共役ジエン重合体環化物は、1種類を単独で使用してもよく、単量体組成、分子量、不飽和結合減少率、ゲル量等が異なる2種類以上を併用してもよい。
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量が小さすぎると、成形し難く、機械的強度が低くなる恐れがある。共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量が大きすぎると、環化反応の際の溶液粘度が上昇して、取り扱い難くなると共に、成形時の加工性が低下する恐れがある。
但し、酸化防止剤の添加量が多すぎると酸素吸収性を低下させるので、加工時の安定性を考慮しながら、添加量を適宜調節することが肝要である。
アミン系光安定化剤(HALS)としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されるものではないが、オレフィン樹脂;ポリスチレン等の芳香族ビニル樹脂;ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール樹脂;フッ素樹脂;メタクリル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12及びこれらの共重合体等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリウレタン樹脂;等を挙げることができる。これらのうち、オレフィン樹脂が好ましい。
これらの樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン並びにランダム及びブロック状のエチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
脱臭成分としては、公知のものを使用することができる。脱臭成分は、臭気成分を吸着作用によって捕捉する吸着剤であってもよく、また、化学反応等によって臭気成分を無臭成分に変化させる脱臭作用を有する脱臭剤であってもよい。また、吸着作用と脱臭作用とを兼ね備えるものであってもよい。
有機吸着剤の具体例としては、大豆粉、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。
無機吸着剤の具体例としては、天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカゲル、活性炭、添着活性炭、活性白土、活性酸化アルミニウム、クレー、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、二酸化珪素、セピオライト、雲母等の粘度鉱物、等を挙げることができる。
アミド基含有化合物としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、フタルイミド、スクシンイミド、ヒダントイン、バルビツール酸、イソシアヌル酸、α−アミノ−ε−カプロラクタム等を挙げることができる。
尿素結合含有化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アセチル尿素、グアニル尿素、アゾジカルボンアミド等を挙げることができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、下記式(1)で表されるものが好ましい。
H2N−X−SiR1 n(OR2)3−n(1)
(式中、nは0、1又は2を表す。Xは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基を表し、具体的には、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH3)2CH2−、−CH2CH2C(CH3)2−等である。R1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、具体的には、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)CH3等である。R2は炭素数1〜3のアルキル基を表し、具体的には、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)CH3等である。)
その具体例としては、一般式H2N(C2H4NH)nC2H4NH2(但し、nは、0以上の整数である。)で表されるポリアミンを水酸化アルミニウムに担持させたアミン担持水酸化アルミニウム(東亜合成化学社製、商品名「ケスモンNS−231」等として市販されている。)、アミノ基含有シランカップリング剤等をシリカの表面に結合させたアミン担持シリカ、アミノ基含有シランカップリング剤等を多孔質シリカの表面に結合させたアミン担持多孔質シリカ等を挙げることができる。
アミン担持珪酸アルミニウムやアミン担持シリカは、その含水率を0.01〜5重量%とし、担持化合物量を0.02〜10ミリモル/gとするのが好ましい。
シリカ又は多孔質シリカに担持するアミノ基を有するシランカップリング剤の量は、担体1gに対して、0.1〜1ミリモルであるのが好ましく、0.3〜0.8ミリモルであるのがより好ましい。
このとき、脱臭性樹脂層中の脱臭成分の量は、0.1〜5重量%であることが好ましい。
また、均一分散性を確保するために、脱臭成分の平均分散粒径が0.01〜50μmとするのが好ましく、0.01〜20μmがより好ましく、0.1〜5μmが特に好ましい。
ガスバリア層は、酸素吸収性多層構造体の酸素吸収層側に設けても脱臭層側に設けてもよいが、酸素吸収性多層構造体から包装容器を形成したときに、包装容器外面を構成する側に設けることが好ましく、酸素吸収成分の酸素吸収作用に伴って発生する臭気成分の悪影響を阻止するという発明の目的からすると、酸素吸収層−脱臭層−ガスバリア層の順に構成するのが好ましい。
金属としては、一般に気体透過性の低いアルミニウムが用いられる。金属は、箔としてこれを樹脂フィルム等に積層してもよく、蒸着によって樹脂フィルム等上に薄膜を形成してもよい。
無機材料としては、シリカやアルミナ等の金属酸化物が用いられ、これらの金属酸化物を単独で又は併用して、樹脂フィルム等に蒸着して用いられる。
これらのうち、樹脂フィルムに無機酸化物を蒸着した透明蒸着フィルムが好ましく用いられる。
これらの中でも、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア性が良好な点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
また、必要に応じて、ブロッキング防止剤、防曇剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、滑剤、帯電防止剤、補強剤、難燃剤、カップリング剤、発泡剤、離型剤等を添加することができる。
ブロッキング防止剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、でんぷん等を示すことができる。ブロッキング防止剤は、樹脂に練り込んでもよく、樹脂の表面に付着させてもよい。
防曇剤としては、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジラウレート、トリグリセリンモノオレエート等の高級脂肪酸グリセリド;ポリエチレングリコールオレエート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールパルミテート、ポリエチレングリコールステアレート等のポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級脂肪酸アルキルエーテル;等を挙げることができる。
帯電防止剤としては、高級脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタンエステル、ポリエチレングリコールエステル等を挙げることができる。
補強剤としては、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等を挙げることができる。
難燃剤としては、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化物等を挙げることができる。
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、クロム系、アルミニウム系カップリング剤を挙げることができる。
着色剤ないし顔料としては、フタロシアニン系、インジゴ系、キナクリドン系、金属錯塩系等の各種アゾ系顔料;塩基性及び酸性の水溶性染料;アゾ系、アントラキノン系及びペリレン系の油溶性染料;酸化チタン系、酸化鉄系、複合酸化物系等の金属酸化物;クロム酸塩系、硫化物系、ケイ酸塩系、炭酸塩系等のその他の無機顔料を挙げることができる。
発泡剤としては、塩化メチレン、ブタン、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
離型剤としては、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩等を挙げることができる。
保護層に用いる樹脂としては、高密度ポリエチレン等のエチレン重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のプロピレン重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;等を挙げることができる。これらのうち、ポリアミド及びポリエステルが好ましい。
なお、ガスバリア層として、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、無機酸化物蒸着フィルム、塩化ビニリデン被覆フィルム等を使用した場合は、これらのガスバリア層が同時に保護層としても機能する。
支持基材層を構成する材料としてはオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂;ナイロン6やナイロン6−ナイロン66共重合体等のポリアミド樹脂;天然繊維;合成繊維;これらを抄造して得られる紙;が用いられる。
支持基材層は、本発明の酸素吸収性多層プラスチック構造体から容器を構成したときに酸素吸収層の外側となる側に設けるのが好ましい。
本発明の酸素吸収性多層構造体において、密封材層は、熱によって溶融して相互に接着する(ヒートシールされる)ことによって、酸素吸収性多層構造体から形成される包装容器に包装容器外部と遮断された空間を形成する機能を有し、かつ、包装容器内部において酸素吸収層と被包装物との直接接触を防ぎつつ酸素を透過させて酸素吸収層に吸収させる層である。
ヒートシール性樹脂には、必要に応じて、ガスバリア層として用いる樹脂と同様に各種の化合物を添加することができる。
本発明の酸素吸収性多層構造体において、酸素吸収層の厚みに特に制限はないが、通常、3〜100μm、好ましくは5〜80μmである。酸素吸収層の厚みがこの範囲内にあるとき、良好な酸素吸収性を発揮させることができ、また、経済性、材料の可撓性や柔軟性等の容器特性の観点からも好ましい。
また、脱臭層の厚みに特に制限はないが、通常、5〜50μm、好ましくは10〜40μmである。脱臭層の厚みがこの範囲内にあるとき、良好な脱臭性を発揮することができ、また、経済性、材料の可撓性や柔軟性等の容器特性の観点からも好ましい。
更に、ガスバリア層を設けるとき、その厚みに特に制限はないが、通常、5〜45μm、好ましくは10〜40μmである。酸素吸収層の厚みがこの範囲内にあるとき、良好なガスバリア性が得られ、また、経済性、材料の可撓性や柔軟性等の容器特性の観点からも好ましい。
本発明の酸素吸収性多層構造体において、全体の厚みは、用途によっても相違するが、通常、30〜7,000μm、好ましくは50〜5,000μmである。
押出し機としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機を使用することができる。
酸素吸収性多層構造体製造時の多層構造体巻取り速度は、通常、2〜200m/分、好ましくは50〜100m/分である。巻取り速度が低すぎると生産効率が悪くなる恐れがあり、速すぎると多層構造体の冷却を十分に行うことができず、巻取り時に融着する場合がある。
延伸倍率は、特に限定されないが、通常、縦方向(MD)及び横方向(TD)に、それぞれ、1〜5倍、好ましくは、縦横方向に、それぞれ、2.5〜4.5倍である。
延伸は、テンター延伸方式、インフレーション延伸方式、ロール延伸方式等の公知の方法で行うことができる。延伸の順序は、縦横いずれが先でも構わないが、同時が好ましく、チューブラー同時二軸延伸法を採用してもよい。
本発明の酸素吸収性多層構造体から包装容器を形成することができる。包装容器の形態としては、ケーシング、パウチ類、ガゼット付きパウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等の袋状物等を示すことができる。多層構造体がフラットフィルムである場合は、通常の方法により成形して所望の形態の包装材料とすればよく、シームレスチューブの場合は、そのまま、ケーシングや袋状物とすればよい。
なお、各特性は、以下の方法により評価した。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算分子量として求める。
下記(i)及び(ii)の文献に記載された方法を参考にして、プロトンNMR測定により求める。
(i) M.A.Golub and J.Heller,Can.J.Chem.,
第41巻,937(1963).
(ii) Y.Tanaka and H.Sato,J.Polym.Sci:
Poly.Chem.Ed.,第17巻,3027(1979).
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
酸素吸収性多層構造体を100mm×400mmの大きさに裁断し、ヒートシーラーを用いて両端を熱融着し、袋を作成した。この内部の空気を完全に除去した後、改めて100ccの空気を封入して、40℃で10日間放置した後、袋を開封して、下記の基準に従って、5名のパネルメンバーによる袋内部の臭気の評価を行い、その評価点を平均する。評価点の小さい方が、より臭いが少ない。
全く臭いが感じられない・・・・・評価点 0
僅かに臭いが感じられる・・・・・評価点 1
少し酸臭が感じられる・・・・・・評価点 2
酸臭が強い・・・・・・・・・・・評価点 4
酸素吸収性多層構造体を100mm×400mmの大きさに裁断し、両端をヒートシーラーを用いて熱融着し、袋を作成した。この内部の空気を完全に除去した後、改めて100ccの空気(酸素濃度20.7%)を封入して、40℃で10日間放置した後、袋内部の酸素濃度を、酸素濃度計(米国セラマテック社製、商品名「フードチェッカー HS−750」)を用いて測定する。
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角に裁断したポリイソプレン(シス−1,4構造単位73%、トランス−1,4構造単位22%、3,4−構造単位5%、重量平均分子量124,000)300部を、シクロヘキサン700部とともに仕込み、反応器内を窒素置換した。内容物を75℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをシクロヘキサンに完全に溶解した後、水分量150ppm以下のp−トルエンスルホン酸2.7部を15%トルエン溶液で投入し、内温が80℃を超えないように制御しながら、環化反応を行った。7時間反応を継続した後、25%炭酸ナトリウム水溶液4.12部を投入して反応を停止した。80℃で、共沸還流脱水により水を除去した後、孔径2μmのガラス繊維フィルターを用いて系中の触媒残渣を除去した。
この環化ポリイソプレンAKのペレットakから、Tダイ押出機及び二軸延伸試験装置(いずれも東洋精機製作所製)を用いて、幅100mm、厚さ20μmの酸素吸収性フィルムakfを得た。
出口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM−35B」)を用いて低密度ポリエチレン樹脂(日本オレフィン社製、商品名「LC−600A」)98重量部に対して、アミン担持水酸化アルミニウム(東亜合成社製、商品名「ケスモンNS−231」)が2部となるように、粉体フィーダーによりサイドフィードして、スクリュー回転数100ppmで高真空ベントを行いながら、185℃でストランド状に押し出して脱臭剤配合樹脂組成物ペレットbを作製した。
この脱臭剤配合樹脂組成物ペレットbから、製造例1と同様にして、幅100mm、厚さ20μmの脱臭性フィルムbfを得た。
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリオレフィン社製、商品名「LC−600A」)95重量部に、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(日本ゼオン社製、商品名「クインタック3451」)5重量部、及びコバルト量換算で350ppmのコバルト含有率14重量%のネオデカン酸コバルト(大日本インキ化学工業社製、商品名「DICNATE5000」)を、配合して、攪拌乾燥機(ダルトン社製)で予備混練後、ホッパーに投入した。次いで、出口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM−35B」)を用いて、スクリュー回転数100rpmで、真空ベント下、185℃でストランド状に押し出して、遷移金属配合酸素吸収性樹脂組成物Cのペレットcを作製した。
このペレットcから、製造例1と同様にして、幅100mm、厚さ20μmの酸素吸収性フィルムcfを得た。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、商品名「EP−E105B」)から、製造例1と同様にして、幅100mm、厚さ20μmのガスバリアフィルムgfを押出成形した。
脱臭性フィルム、酸素吸収性フィルム及びガスバリアフィルムを表1に示す組み合わせでこの順序で重ね合わせて125℃に設定したホットラミネーター(Gmp Co.Ltd社製、商品名「EXCELAM II 355Q」)を用いてラミネーター接着させて、酸素吸収性多層構造体を得た。
これらの酸素吸収性多層構造体について、一定時間経過後の酸素濃度を測定し、酸素吸収後の臭気を観察した。
結果を、併せて、表1に示す。
共役ジエン重合体環化物に代えて、酸素吸収性成分として、遷移金属含有酸素吸収成分を使用した場合は、酸素吸収性に劣り、酸素吸収後の臭気も強いことが分かる(比較例1)。
また、脱臭成分を用いず、共役ジエン重合体環化物のみを用いた場合は、酸素吸収性には優れるものの、臭気が残ることが分かる(比較例2)。
Claims (9)
- 共役ジエン重合体環化物を有効成分とする酸素吸収層と、脱臭成分を含有する脱臭層とを、必須構成層として有してなる酸素吸収性多層構造体。
- 脱臭成分が、吸着剤である請求項1に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 脱臭成分が、塩基性脱臭剤である請求項1に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 脱臭成分が、吸着剤に担持された塩基性脱臭剤である請求項3に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 塩基性脱臭剤が、アミノ基含有化合物である請求項3又は4に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 脱臭層が熱可塑性樹脂と脱臭成分とを必須構成成分とするものである請求項1に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が10重量%以上である請求項1に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 更にガスバリア層を有する請求項1に記載の酸素吸収性多層構造体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の酸素吸収性多層構造体からなる包装容器。
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