JP2006333609A - 電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】整流子面には、整流子5の周方向に複数の凹部7と凸部8が設けられている。但し、ブラシ9の摺動範囲内に含まれる全ての凸部8の頂上面の幅Aを合計した長さは、ブラシ摺動幅Bの1/3以下に設定されている。
これにより、ブラシ摺動面に対する凸部8での面圧が大きくなるため、ブラシ摺動面が平面状態であっても、無負荷回転状態で連続通電による回転作動を実施することにより、整流子面の凹凸形状に合う様にブラシ摺動面の形状を馴染ませることができる。その結果、ブラシ摺動面に予め精度の高い凹凸形状を加工する必要がないため、加工コストを低減でき、且つ生産性を向上できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、電動機の整流子とブラシとの接触状態(摺動状態)を安定化させる上で、加工コストを低減でき、且つ生産性を向上できる技術を提供することにある。
本発明は、電機子に設けられる整流子と、この整流子の表面上に配置され、電機子の回転によって整流子面上を摺動するブラシとを有し、整流子面には、周方向にそれぞれ一周する凹部と凸部とが設けられ、その凹部と凸部とが、整流子面の周方向と直交する方向に交互に複数箇所設けられている電動機であって、整流子面の周方向と直交する方向でブラシの摺動範囲内に含まれる全ての凸部の頂上面の幅を合計した長さをLとし、整流子面上を摺動するブラシの摺動面において、ブラシの摺動方向に直交する方向のブラシの幅をBとした時に、
L/B≦1/3………………(1)
上記(1)の関係が成立していることを特徴とする。
請求項1に記載した電動機において、整流子面に設けられた凸部の頂上部は、頂上面の面粗度が頂上面以外の部分の面粗度より粗く形成されていることを特徴とする。
この場合、凸部の頂上面の面粗度が粗いことから、ブラシ摺動面の初期摩耗が促進されるため、より短時間で、ブラシ摺動面の馴染みを完了させることができる。
請求項1または2に記載した電動機において、整流子面に設けられた凸部は、整流子面の周方向と直交する方向の幅が、頂上面に向かって次第に狭くなる逆V字形状を有し、頂上面が尖っていることを特徴とする。
この構成によれば、ブラシ摺動面に対する凸部での面圧を最も高くできるので、さらに短時間で、ブラシ摺動面の馴染みを完了させることができる。
請求項1〜3に記載した何れかの電動機において、整流子は、電機子軸の外周に円筒状に構成されていることを特徴とする。
この場合、整流子面が円筒形状となるため、凹部と凸部は、整流子面の軸方向に交互に複数箇所設けられる。
請求項1〜3に記載した何れかの電動機において、整流子は、電機子軸と直交する向きに構成されていることを特徴とする。
この場合、整流子面が電機子軸と直交する円板形状となるため、凹部と凸部は、それぞれ電機子軸を中心とする同心円状に交互に複数箇所設けられる。
請求項1〜5に記載した何れかの電動機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする。
スタータモータは、内燃機関を始動するために大きな始動トルクを発生する必要があるため、短時間に大電流が通電される。従って、連続通電による回転作動を実施した場合に、整流子面に設けられた凸部に大きな通電電流が集中的に流れるため、短時間の連続通電による回転作動(例えば1分程度の無負荷連続通電)を実施することで、整流子面の凹凸形状に対するブラシ摺動面の馴染みを完了させることが可能である。
スタータモータは、図示しない界磁(永久磁石または界磁コイル)の内側に回転自在に支持される電機子1を有し、界磁と電機子1との間に作用する電磁力によって電機子1に回転力を発生する周知の直流電動機である。
電機子1は、電機子軸2と、この電機子軸2の外周に圧入状態でセレーション嵌合する電機子コア3と、この電機子コア3に巻線される電機子コイル4と、電機子軸2の一方の端部に設けられる整流子5とで構成される。
この整流子5の外周には、複数のカーボンブラシ9が配置され、図示しないブラシスプリングにより整流子面に押圧されている。
ここで、整流子面の軸方向において、ブラシ9の摺動範囲内に含まれる全ての凸部8の頂上面の幅Aを合計した長さをL(図2ではブラシ9の摺動範囲内に5本の凸部8が含まれるため、L=5×A)とし、整流子面の軸方向におけるブラシ9の幅(ブラシ摺動幅)をBとした時に、下記(1)の関係が成立している。
L/B≦1/3………………(1)
すなわち、ブラシ9の摺動範囲内に含まれる全ての凸部8の頂上面の幅Aを合計した長さLは、ブラシ摺動幅Bの1/3以下に設定されている。
上記の構成によれば、整流子面が凹凸形状ではなく平滑な場合、つまり整流子面に複数の凹部7と凸部8が形成されていない場合と比較すると、ブラシ9の摺動面が整流子面の形状に馴染む前において、電機子1の回転によって整流子面上を摺動するブラシ9の摺動面に対する凸部8での面圧が3倍以上と高くなる。このため、ブラシ摺動面が未加工(平面状態)であっても、連続通電による回転作動を実施すると、通電電流が凸部8に集中して流れるため、凸部8の形状に倣ってブラシ摺動面が摩耗することにより、整流子面の凹凸形状に合う様に、ブラシ摺動面の形状を馴染ませることができる。
実験データによれば、図3に示す様に、ブラシ9の摺動範囲内に含まれる全ての凸部8の頂上面の幅Aを合計した長さLが、ブラシ摺動幅Bの1/3以下、つまり上記(1)の関係が成立すれば、1分以下の無負荷連続通電時間でブラシ形状の馴染みが完了する。
また、無負荷連続通電時間を1分以下に抑えることができるので、スタータモータが異常加熱することはなく、安全に且つ短時間にブラシ形状の馴染みを完了させることができる。
この実施例2に示す電機子1は、図4に示す様に、整流子5が電機子軸2と略直交する向きに構成されている。具体的には、電機子コア3のスロット3aより軸方向外側に取り出された電機子コイル4の一部が電機子コア3の端面と略平行に配置され、整流子片50として利用されている。
この整流子片50の表面(整流子面)には、軸方向よりカーボンブラシ9が当接して、図示しないブラシスプリングにより整流子面に押圧されている。
整流子面を形成するコイル端部41bの軸方向外側面には、電機子軸2を中心とする同心円状に複数の凹部7と凸部8が形成されている。この凹部7と凸部8は、整流子面の半径方向(図示上下方向)に交互に連続して設けられ、且つ隣合う凸部8と凸部8との間が略等間隔に設けられている。また、凸部8には、図5に示す様に、整流子面の半径方向に所定の幅Aを有する平坦な頂上面が残されている。
L/B≦1/3………………(1)
すなわち、ブラシ9の摺動範囲内に含まれる全ての凸部8の頂上面の幅Aを合計した長さLは、ブラシ摺動幅Bの1/3以下に設定されている。
この実施例2に示す電動機は、整流子5の構成が実施例1と異なるだけで、整流子面に複数の凹部7と凸部8とを設けて、その凹凸形状に対しブラシ形状を馴染ませることは同じである。つまり、実施例1と同様に、上記(1)の関係が成立しているので、ブラシ摺動面に予め特別な加工が無くても、製品出荷前の作動テストにおいて、短時間の連続通電(約1分)による回転作動を実施するだけで、整流子面の凹凸形状に対するブラシ摺動面の馴染みを完了させることができる。その結果、予めブラシ摺動面に精度の高い凹凸形状を加工する必要がないため、加工コストを低減でき、且つ生産性を向上できる。また、無負荷連続通電時間を1分以下に抑えることができるので、スタータモータが異常加熱することはなく、安全に且つ短時間にブラシ形状の馴染みを完了させることができる。
この実施例3では、実施例1に記載した円筒型の整流子5、および実施例2に記載したフェイス型の整流子5において、それぞれ凸部8の形状が、図6及び図7に示す様に、凸部8の先端に向かって次第に狭くなる逆V字形状を有し、凸部8の先端が尖っていることを特徴とする。つまり、実施例1及び実施例2に記載した凸部8の頂上面の幅Aが、限りなく「0」に近い状態である。
この構成によれば、ブラシ摺動面に対する凸部8での面圧をより高くできるので、さらに短時間(1分以下)で、整流子面の凹凸形状に対するブラシ摺動面の馴染みを完了させることができる。
この場合、凸部8の頂上面の面粗度が粗いことから、ブラシ摺動面の初期摩耗が促進されるため、より短時間で、整流子面の凹凸形状に対するブラシ摺動面の馴染みを完了させることができる。
実施例1では、本発明の電動機をスタータモータに適用した一例を説明したが、スタータモータに限定されるものではなく、整流子5とブラシ9を有する電動機に広く適用できる。
実施例2に記載した電動機は、電機子コイル4の一部(上層コイル体41のコイル端部41b)を整流子片50として利用しているが、整流子片50を電機子コイル4とは別部材によって構成することも可能である。
2 電機子軸
5 整流子
7 凹部
8 凸部
9 ブラシ
A 凸部の頂上面の幅
B ブラシ摺動幅
Claims (6)
- 電機子に設けられる整流子と、
この整流子の表面(整流子面と呼ぶ)上に配置され、前記電機子の回転によって前記整流子面上を摺動するブラシとを有し、
前記整流子面には、周方向にそれぞれ一周する凹部と凸部とが設けられ、その凹部と凸部が、前記整流子面の周方向と直交する方向に交互に複数箇所設けられている電動機であって、
前記整流子面の周方向と直交する方向で前記ブラシの摺動範囲内に含まれる全ての前記凸部の頂上面の幅を合計した長さをLとし、
前記整流子面上を摺動する前記ブラシの摺動面において、前記ブラシの摺動方向に直交する方向の前記ブラシの幅をBとした時に、
L/B≦1/3………………(1)
上記(1)の関係が成立していることを特徴とする電動機。 - 請求項1に記載した電動機において、
前記整流子面に設けられた前記凸部の頂上部は、前記頂上面の面粗度が頂上面以外の部分の面粗度より粗く形成されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1または2に記載した電動機において、
前記整流子面に設けられた前記凸部は、前記整流子面の周方向と直交する方向の幅が、前記頂上面に向かって次第に狭くなる逆V字形状を有し、前記頂上面が尖っていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜3に記載した何れかの電動機において、
前記整流子は、電機子軸の外周に円筒状に構成されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜3に記載した何れかの電動機において、
前記整流子は、電機子軸と直交する向きに構成されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜5に記載した何れかの電動機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする電動機。
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