JP2006331894A - 超電導ケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明超電導ケーブルは、常電導材料からなる芯材(フォーマ11)と、芯材の外側に設けられる超電導内側導体(超電導導体層12)と、この内側導体の外側に設けられる絶縁層13と、絶縁層13の外側に設けられる超電導外側導体(超電導シールド層14)と、この外側導体に流れる事故電流が分流される常電導層(常電導シールド層15)とを有する。ここで、少なくとも前記外側導体には、超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有する。常電導層の断面積は、事故電流が外側導体に流れた際の外側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の外側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択する。
【選択図】図1
Description
図1に示すように、本発明交流超電導ケーブル100は、1心のケーブルコア10と、そのコア10を収納する断熱管20とから構成される。
このコア10は、中心から順に、フォーマ(芯材)11、超電導導体層(内側導体)12、絶縁層13、超電導シールド層(外側導体)14、常電導シールド層(常電導層)15、保護層16を有する。
フォーマ11は、超電導導体層12を保形するための芯となる部材であると共に、事故電流が導体層12に流れた場合に、その分流路として機能することで導体層12の損傷を抑制する機能を有する。ここでは、Cu線にエナメルの絶縁被覆が形成された絶縁素線を撚り合わせ、直径15.2mmの撚り線構造のフォーマとした。このフォーマは、中心側に2.6mmφ×19本の絶縁素線を配し、その外周に1.5mmφ×30本の絶縁素線を配している。
超電導導体層12には、厚さ0.24mm、幅3.8mmのBi2223系Agシーステープ線材を用いた。このテープ線材は、加圧焼成法により製造されて、螺旋状の超電導フィラメントを有するツイスト線材である。より具体的には、次のようにしてテープ線材を得る。まず、Bi2212相が主体の原料粉末を銀パイプに挿入し、これを伸線して単芯のクラッド線とする。次に、複数本のクラッド線を別の銀パイプに挿入し、その銀パイプを伸線して、61芯の多芯線を作製する。得られた多芯線を捻回して軽く伸線した後、圧下率80%にて圧延し(一次圧延)、テープ状の一次圧延線材に加工する。得られた一次圧延線材に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧0.1MPa、酸素分圧8kPa、830℃×30時間の一次熱処理を施し、Bi2223相が生成された一次熱処理線材を得る。この一次熱処理線材を圧下率10%にて再圧延し(二次圧延)、厚さ0.24mm×幅3.8mmの二次圧延線材とする。そして、二次圧延線材に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧30MPa、酸素分圧8kPaの二次熱処理を施して超電導線材とする。得られた超電導線材は、Agの安定化材中に螺旋状の61芯の超電導フィラメントが埋め込まれた構成の線材である。この超電導フィラメントの緻密度はほぼ100%で、実質的に冷媒が入り込むような空隙を有していない。このテープ線材をフォーマ11の上に多層に巻回して導体層12を構成する。ここでは、4層に超電導線材を巻き付ける。各層の巻回方向は、内層側から順にS-S-Z-Zとした。
超電導導体層12の上には絶縁層13が形成される。この絶縁層13は、導体層12に流れる交流に対する電気絶縁の機能を有する。ここでは、ポリプロピレンとクラフト紙が接合されたPPLP(住友電気工業株式会社の登録商標)で絶縁層13を構成した。また、図示していないが、この絶縁層13の内周側には内部半導電層が、外周側には外部半導電層が形成されている。いずれの半導電層もカーボン紙の巻回により形成した。
絶縁層13の外側には、超電導シールド層14を設けた。この超電導シールド層14は、ケーブル運用時、超電導導体層12とほぼ同じ大きさで逆方向の電流が誘導されることで超電導導体層12から生じる磁場を相殺し、外部への磁場の漏洩を防止する。ここでは、超電導導体層12と同様の加圧焼結法で得られた超電導線材で構成した。より具体的には、2層に構成され、各層の巻回方向はS-Sとしている。
続いて、超電導シールド層14の上に常電導シールド層15を形成した。この常電導シールド層15は、短絡事故時などに過大な事故電流が超電導シールド層14に誘導されて超電導シールド層14が損傷することを抑制するために、事故電流の分流路となるものである。ここでは、エナメル被覆した銅線を超電導シールド層14上に螺旋状に巻き付けて構成している。この常電導シールド層15は2層から構成され、幅4mm、厚さ0.25mmのテープ状銅線が用いられている。常電導シールド層15の各層の巻回方向は、内層側から順にS-Zとした。
この常電導シールド層15の外側には絶縁材料で構成される保護層16が設けられている。ここでは、クラフト紙の巻回により保護層16を構成している。この保護層16により、常電導シールド層15の機械的保護と共に、断熱管(内管21)との絶縁をとり、断熱管20への誘導電流の分流を防ぐことができる。
断熱管20は内管21および外管22を具える2重管からなり、内外管21、22の間に真空断熱層が構成される。真空断熱層内には、プラスチックメッシュと金属箔を積層したいわゆるスーパーインシュレーション(商品名)が配置されている。内管21の内側とコア10との間に形成される空間は冷媒の流路となる。また、断熱管20の外周にポリ塩化ビニルの防食層23を形成している。
以上の超電導ケーブルにおいて、液体窒素を冷媒として運転した場合、定格電流の40倍の事故電流が流れた場合の超電導導体層および超電導シールド層の温度上昇幅を試算した。試算結果を以下に示す。
定格電流運転時の冷媒圧力と同圧力における冷媒沸点:2気圧、84K
定格電流運転時の導体層12及びシールド層14の温度T1:77K
事故電流が流れた場合の導体層12及びシールド層14の温度T2:127K
温度上昇幅T2-T1:50K
10 コア
11 フォーマ 12 超電導導体層 13 絶縁層
14 超電導シールド層 15 常電導シールド層 16 保護層
20 断熱管
21 内管 22 外管 23 防食層
Claims (8)
- 常電導材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる超電導内側導体と、この内側導体の外側に設けられる絶縁層と、絶縁層の外側に設けられる超電導外側導体と、この外側導体に流れる事故電流が分流される常電導層とを有する超電導ケーブルであって、
少なくとも前記外側導体には、超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有し、
前記常電導層の断面積は、事故電流が外側導体に流れた際の外側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の外側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択されたことを特徴とする超電導ケーブル。 - さらに内側導体にも超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有し、
前記芯材の断面積は、事故電流が内側導体に流れた際の内側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の内側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択されたことを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブル。 - 前記超電導線材は、加圧焼結法で得られた超電導線材であることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導ケーブル。
- 前記芯材は、Cu、Al、Mgまたはこれらのいずれかを主成分とする合金からなる素線を撚り合せて構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導ケーブル。
- 前記素線の各々が絶縁被覆を有することを特徴とする請求項4に記載の超電導ケーブル。
- 前記常電導層は、Cu、Al、Mgまたはこれらのいずれかを主成分とする合金からなる丸線あるいはテープ線で構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超電導ケーブル。
- 前記丸線あるいはテープ線が絶縁被覆を有することを特徴とする請求項6に記載の超電導ケーブル。
- 前記超電導線材は、安定化材と、この安定化材に内蔵される超電導フィラメントとを具備し、
前記フィラメントが螺旋状に捻られていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超電導ケーブル。
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