JP2006331894A - 超電導ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】 超電導線材のバルーニングの防止とケーブルサイズのコンパクト化とを両立できる超電導ケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明超電導ケーブルは、常電導材料からなる芯材(フォーマ11)と、芯材の外側に設けられる超電導内側導体(超電導導体層12)と、この内側導体の外側に設けられる絶縁層13と、絶縁層13の外側に設けられる超電導外側導体(超電導シールド層14)と、この外側導体に流れる事故電流が分流される常電導層(常電導シールド層15)とを有する。ここで、少なくとも前記外側導体には、超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有する。常電導層の断面積は、事故電流が外側導体に流れた際の外側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の外側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導ケーブルに関するものである。特に、冷媒の気化に伴う超電導線材の膨れ(バルーニング)を抑制し、かつケーブルサイズをコンパクトにできる超電導ケーブルに関するものである。
超電導ケーブルとして、図2に記載の超電導ケーブルが提案されている。この超電導ケーブル100は、3心のケーブルコア10を断熱管20内に収納した構成である(例えば特許文献1)。
各ケーブルコア10は、中心から順にフォーマ11、超電導導体層12、絶縁層13、超電導シールド層14、保護層16を具えている。例えば、フォーマ11は、Cuなどの常電導材料からなる素線を撚り合せた撚り線で構成される。導体層12は、フォーマ11上に超電導線材を多層に螺旋状に巻回して構成される。代表的には、超電導線材には、酸化物超電導材料からなる複数本のフィラメントが銀シースなどの安定化材中に配されたテープ状のものが用いられる。このような超電導線材は、通常パウダーインチューブ(Powder in tube)法により製造され、酸化物である超電導フィラメントは大気圧での焼結により得られている。絶縁層13は絶縁紙を巻回して構成される。シールド層14は、絶縁層13上に導体層12と同様の超電導線材を螺旋状に巻回して構成する。そして、保護層16には絶縁紙などが用いられる。
また、断熱管20は、内管21と外管22とからなる二重管の間に断熱材(図示せず)が配置され、かつ二重管内が真空引きされた構成である。断熱管20の外側には、防食層23が形成されている。そして、内管21とコア10の間に形成される空間に液体窒素などの冷媒を充填・循環し、絶縁層13に冷媒が含浸された状態で使用状態とされる。
一方、上記のような超電導ケーブルにおいては、短絡事故や地絡事故などの際、事故電流が超電導線材に流れ、過度の温度上昇により同線材が損傷することを防止するために、事故電流の分流路を確保する必要がある。そのため、超電導ケーブルの構成材料に常電導材料を組み合わせることが提案されている。例えば、特許文献2では、超電導線材からなる導体の外側に事故電流の分流路となる常電導の金属層を形成することが開示されている。また、特許文献3には、芯材(フォーマ)の構成材料に常電導材料からなる絶縁被覆線材の撚り線構造を用い、事故電流の分流路とすることが開示されている。
特開2001-202837公報(図1) 特開2000-67663公報 特開2001-325838公報
しかし、従来の超電導ケーブルでは、冷媒の気化に伴う超電導線材のバルーニングの防止とケーブルサイズのコンパクト化とを両立することが難しいという問題があった。
上述したように、超電導線材のフィラメントは大気圧による焼結で得られるため、その緻密度は100%ではなく、フィラメントにはある程度の空隙が存在する。ケーブル運転時に超電導線材が液体窒素などの冷媒に浸漬されると、安定化材となる銀シースのピンホールなどからフィラメントの空隙に冷媒が侵入する。この状態で、冷媒の沸点を超える温度上昇が生じると、空隙に侵入した冷媒が気化し、線材が膨れるバルーニングを生じる。バルーニングの発生は、フィラメントのクラックなどにより超電導線材の臨界電流の低下を招く。
このような冷媒の気化を伴う急激なケーブルの温度上昇は、例えば事故電流が超電導線材に流れる場合や、ケーブルのメンテナンス時などに超電導ケーブルを昇温する場合に生じる。
一般に、短絡事故や地絡事故などの事故電流は、定格電流の数十倍程度の大電流となるため、このような大電流が超電導線材に流れると、超電導体は常電導体に転移を起こして発熱する。この発熱が大きく、冷媒の沸点を超える温度上昇を伴う場合には、バルーニングを生じる。
この事故電流による超電導線材の損傷抑制策として、上述したように、芯材(フォーマ)を事故電流の分流路としたり、超電導線材の導体の外側に事故電流の分流路となる常電導層を形成することが提案されている。しかし、事故電流が流れたときの温度上昇を冷媒の沸点以下に抑えようとすれば、事故電流の分流路となるフォーマや常電導層の断面積を大きくする必要がある。その結果、ケーブルの断面積が大きくなり、超電導ケーブル特有のメリットであるコンパクト性を阻害することになる。特に、ケーブルの径が大きくなれば、規定の布設管路に超電導ケーブルが入らなくなることもある。
一方、ケーブルメンテナンス時のケーブルの昇温も、昇温速度が速いと、フィラメントの空隙に入り込んだ冷媒が銀シースのピンホールから抜け切る前に気化を起こし、やはりバルーニングを生じ得る。このとき、ケーブルの昇温速度を緩やかにすればバルーニングの発生を抑制できると考えられるが、その場合はケーブルの昇温に多大な時間を要し、早急なメンテナンス作業を行なうことができない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その主目的は、超電導線材のバルーニングの防止とケーブルサイズのコンパクト化とを両立できる超電導ケーブルを提供することにある。
本発明は、事故電流の分流路となる常電導材料を超電導ケーブルに組み合わせることに加えて、超電導フィラメントに実質的に空隙のない超電導線材を用いることで上記の目的を達成する。
本発明超電導ケーブルは、常電導材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる超電導内側導体と、この内側導体の外側に設けられる絶縁層と、絶縁層の外側に設けられる超電導外側導体と、この外側導体に流れる事故電流が分流される常電導層とを有する。ここで、少なくとも前記外側導体には、超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有する。そして、常電導層の断面積は、事故電流が外側導体に流れた際の外側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の外側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択する。
超電導フィラメントに実質的に空隙が存在しない緻密度を有する超電導線材を用いれば、フィラメント中の空隙に入り込んだ冷媒が気化することで生じるバルーニングを防止することができる。そのため、事故電流が超電導線材に流れることやメンテナンス時の昇温により、線材温度がケーブル運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点を超えてもバルーニングによる臨界電流の低下といった問題が生じることもない。
このように、バルーニングを実質的に生じない超電導線材を用いることにより、超電導線材は、ケーブル運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上に昇温されることを許容される。従来は、バルーニングが起こらないように、芯材あるいは常電導層に十分な断面積を持たせて事故電流を分流させ、超電導線材に流れる事故電流を低減して、上記沸点以上に超電導線材が温度上昇しないようにケーブルを設計している。本発明では、冷媒の沸点以上に超電導線材が昇温されることを許容するため、常電導層の断面積を従来に比べて低減することができ、超電導ケーブルのコンパクト化を図ることができる。ここで、ケーブルの冷媒には、液体ヘリウム、液体水素、液体窒素、液体酸素などが挙げられる。例えば、液体窒素の場合、運転時の冷媒圧力は、2気圧〜6気圧程度であり、その際の冷媒の沸点は84K〜97K程度である。
一方、ケーブル運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点を超えてもバルーニングによる臨界電流の低下が生じないとは言え、超電導ケーブルの実際の運用を考慮すると、事故電流の通電による超電導ケーブルの温度上昇幅が大きければ、元の低温状態に復帰して再度運転を開始するまでの時間が長くなるなどの問題が生じるため、この温度上昇幅は小さい方が好ましい。また、例えば、Bi系超電導線材は常温から液体窒素温度に冷却されると、約0.3%の熱収縮が発生する。一方で事故電流が超電導線材に流れて温度上昇が生じると、超電導線材は熱膨張する。事故電流による線材の温度上昇が大きいと線材が瞬時に熱膨張し、長手方向に伸びることになるが、熱膨張量が大きいとケーブル端末部に当該膨張分が集中し、超電導線材の座屈などの問題が発生することが考えられる。このような問題を抑制するには、この熱膨張率を冷却時の熱収縮率の半分である約0.15%に抑えることが好ましい。そこで、上記熱膨張率を約0.15%に抑えられるよう、超電導線材の温度上昇幅を100K以下にできるような常電導層の断面積を選択することとする。
上記の高緻密度のフィラメントを持つ超電導線材は、少なくとも外側導体に用いる。一般に内側導体に流れる事故電流は、ケーブル構成部材として通常備えられている芯材に分流させることができるため、内側導体は、その温度上昇対策がとりやすい。これに対して、外側導体は、その温度上昇対策として常電導層を付加する必要があるため、この常電導層の断面積を増加させることでコア外径が大きくなるという問題を有する。そのため、少なくとも温度上昇対策の採りにくい外側導体に高緻密度のフィラメントを持つ超電導線材を用いる。
また、内側導体は、その外側に絶縁層が存在し、この絶縁層が電気絶縁だけでなく熱絶縁の機能もある程度は有するため、メンテナンス時に液体窒素の代わりにガス窒素を供給する等してケーブルを昇温すると、内部導体の昇温速度は比較的緩やかになってバルーニングが発生しにくいといえる。しかし、外側導体は、すぐ外側にガス窒素が存在するため、昇温速度が速くなり、線材のバルーニングが発生しやすく、臨界電流の低下などの問題が生じる可能性が高い。そのため、少なくとも外側導体の超電導線材に高緻密度のフィラメントを持つ超電導線材を用いることで、効果的にバルーニングの発生を抑制することができる。
超電導フィラメントに実質的に空隙が存在しない緻密度を有する超電導線材は、例えば加圧焼結法により得ることができる。加圧焼結法は、超電導線材を製造するパウダーインチューブ法において、超電導線材の元となる線材を焼結する際にガスによる加圧を行って、その線材に外圧を等方的に加える方法である。この方法により製造された線材は、ほぼ100%の緻密度を有し、冷媒が入り込むような空隙が実質的に存在しない。
パウダーインチューブ法による超電導線材の製造は、例えば「超電導相の原料粉末の調整→クラッド線(単芯線)の作製→多芯線の作製→一次圧延線材の作製→一次熱処理→二次圧延線材の作製→二次熱処理」という工程により行われる。加圧焼結法は、例えば、二次熱処理を加圧雰囲気下で行う。加圧焼結法による加圧時のガスとしては不活性ガスと酸素の混合ガスが好適である。その際の加圧圧力は15〜50MPaが好適である。不活性ガスと酸素の混合ガスの場合、酸素分圧を7kPa以上21kPa以下とすることが好ましい。この圧力調整により、雰囲気ガスによる外圧を線材に等方的に印加し、超電導フィラメントの緻密度を向上させることができる。不活性ガスには窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンが挙げられる。この熱処理の雰囲気は空気であっても良い。この圧力調整した加圧熱処理は、上記の一次熱処理・二次熱処理を行う場合、これら両熱処理に行っても良いし、二次熱処理のみ行ってもよい。この加圧焼結法については、例えば「ビスマス系超電導線材の開発」山崎浩平など「SEIテクニカルレビュー」 第164号 36-41ページ 2004年3月に示されている。
高緻密度のフィラメントを持つ超電導線材を少なくとも外側導体に用いることは既に述べたが、内側導体にも高緻密度のフィラメントを持つ超電導線材を用いれば、内側・外側導体の双方でバルーニングを防止できてより好ましい。その際、内側導体に流れる事故電流は芯材に分流されるため、この芯材の断面積は、常電導層の場合と同様の理由により、事故電流が内側導体に流れた際の内側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の内側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択する。この構成により、内側導体が冷媒の沸点以上の温度になることが許容され、かつ芯材の径も従来に比して小さくすることができ、ケーブルコアの小径化に寄与することができる。
本発明ケーブルの内側・外側導体に用いる超電導線材は、安定化材中に直線状の超電導フィラメントが配される線材でも良いし、安定化材中に螺旋状に捻られた超電導フィラメントが配されるツイスト線材であってもよい。特にツイスト線材の利用は、交流ケーブルの場合に交流損失の低減に効果的である。ツイスト線材の場合、安定化材とフィラメント間に流れる誘導電流は、フィラメントの捻りピッチ間ごとに分断され、小ループとなって流れ、電流の大きさも制限される。その結果、安定化材のジュール発熱を避けることができ、交流損失の低減を図ることができる。
本発明ケーブルにおいて、事故電流の分流路となる芯材や常電導層は、事故電流分流時の発熱抑制の観点から、導電率の高い材料で構成することが好ましい。例えば、Cu、Al、Mgまたはこれらのいずれかを主成分とする合金が好適に利用できる。そのうち、芯材は、素線を撚り合せて構成することが好ましい。芯材を撚り線構造とすることで、芯材の可とう性を確保することができる。また、常電導層は、丸線やテープ線の形態で利用することが好ましい。より具体的には、外側導体層の内側および外側の少なくとも一方に、これら丸線やテープ線を螺旋状に巻回して常電導層を形成すればよい。このような形態の常電導線材を常電導層に用いることで、常電導層の可とう性が確保しやすい。特に、断面が矩形のテープ線を用いた場合、各テープ線材間の隙間を丸線の場合に比べてより小さくでき、高い占積率を確保できる。
これら芯材や常電導層に用いる常電導の線材の各々は、絶縁被覆を有することが好ましい。超電導ケーブルを交流用途で用いる場合、常電導の線材に磁場が印加されることにより渦電流損失を生じるが、芯材や常電導層を構成する各常電導の線材が電気的に絶縁されていることで、渦電流損失を低減することができる。この絶縁被覆には、エナメルなどのプラスチック被覆が好適に利用できる。
本発明は、単心ケーブルは勿論、多心ケーブルであっても利用できる。また、交流ケーブル・直流ケーブルのいずれであっても本発明を利用することができる。交流ケーブルの場合、外側導体がシールド層となり、ケーブル運用時、内側導体とほぼ同じ大きさで逆方向の電流が誘導されること内側導体から生じる磁場を相殺し、外部への磁場の漏洩を防止する。直流ケーブルの場合、例えば単極送電では内側導体を往路電流流路とし、外側導体を帰路電流流路として用いることができる。
本発明超電導ケーブルによれば、次の効果を奏することができる。
(1)超電導フィラメントに実質的に空隙が存在しない緻密度を有する超電導線材を用いれば、フィラメント中の空隙に入り込んだ冷媒が気化することで生じるバルーニングを防止することができる。
(2)バルーニングを実質的に生じない超電導線材を用いることにより、超電導線材は、ケーブル運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上に昇温されることを許容される。そのため、超電導線材に流れる事故電流の分流路となる芯材や常電導層の断面積を小さくすることができ、ケーブルコアの外径を小さくすることができる。
(3)超電導線材の温度上昇幅を100K以下にできるような常電導層(芯材)の断面積を選択することで、ケーブルを運転するために必要な冷媒温度の調整を早期に行なうことができる。また、このように常電導層(芯材)の断面積を規定することで、超電導線材に分流する事故電流を低減し、その際の超電導線材の熱膨張の程度を小さくして、ケーブル端末部で線材の膨張に伴う座屈が生じることも抑制できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[全体構造]
図1に示すように、本発明交流超電導ケーブル100は、1心のケーブルコア10と、そのコア10を収納する断熱管20とから構成される。
[コア]
このコア10は、中心から順に、フォーマ(芯材)11、超電導導体層(内側導体)12、絶縁層13、超電導シールド層(外側導体)14、常電導シールド層(常電導層)15、保護層16を有する。
<フォーマ>
フォーマ11は、超電導導体層12を保形するための芯となる部材であると共に、事故電流が導体層12に流れた場合に、その分流路として機能することで導体層12の損傷を抑制する機能を有する。ここでは、Cu線にエナメルの絶縁被覆が形成された絶縁素線を撚り合わせ、直径15.2mmの撚り線構造のフォーマとした。このフォーマは、中心側に2.6mmφ×19本の絶縁素線を配し、その外周に1.5mmφ×30本の絶縁素線を配している。
<超電導導体層>
超電導導体層12には、厚さ0.24mm、幅3.8mmのBi2223系Agシーステープ線材を用いた。このテープ線材は、加圧焼成法により製造されて、螺旋状の超電導フィラメントを有するツイスト線材である。より具体的には、次のようにしてテープ線材を得る。まず、Bi2212相が主体の原料粉末を銀パイプに挿入し、これを伸線して単芯のクラッド線とする。次に、複数本のクラッド線を別の銀パイプに挿入し、その銀パイプを伸線して、61芯の多芯線を作製する。得られた多芯線を捻回して軽く伸線した後、圧下率80%にて圧延し(一次圧延)、テープ状の一次圧延線材に加工する。得られた一次圧延線材に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧0.1MPa、酸素分圧8kPa、830℃×30時間の一次熱処理を施し、Bi2223相が生成された一次熱処理線材を得る。この一次熱処理線材を圧下率10%にて再圧延し(二次圧延)、厚さ0.24mm×幅3.8mmの二次圧延線材とする。そして、二次圧延線材に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧30MPa、酸素分圧8kPaの二次熱処理を施して超電導線材とする。得られた超電導線材は、Agの安定化材中に螺旋状の61芯の超電導フィラメントが埋め込まれた構成の線材である。この超電導フィラメントの緻密度はほぼ100%で、実質的に冷媒が入り込むような空隙を有していない。このテープ線材をフォーマ11の上に多層に巻回して導体層12を構成する。ここでは、4層に超電導線材を巻き付ける。各層の巻回方向は、内層側から順にS-S-Z-Zとした。
<絶縁層>
超電導導体層12の上には絶縁層13が形成される。この絶縁層13は、導体層12に流れる交流に対する電気絶縁の機能を有する。ここでは、ポリプロピレンとクラフト紙が接合されたPPLP(住友電気工業株式会社の登録商標)で絶縁層13を構成した。また、図示していないが、この絶縁層13の内周側には内部半導電層が、外周側には外部半導電層が形成されている。いずれの半導電層もカーボン紙の巻回により形成した。
<超電導シールド層>
絶縁層13の外側には、超電導シールド層14を設けた。この超電導シールド層14は、ケーブル運用時、超電導導体層12とほぼ同じ大きさで逆方向の電流が誘導されることで超電導導体層12から生じる磁場を相殺し、外部への磁場の漏洩を防止する。ここでは、超電導導体層12と同様の加圧焼結法で得られた超電導線材で構成した。より具体的には、2層に構成され、各層の巻回方向はS-Sとしている。
<常電導シールド層>
続いて、超電導シールド層14の上に常電導シールド層15を形成した。この常電導シールド層15は、短絡事故時などに過大な事故電流が超電導シールド層14に誘導されて超電導シールド層14が損傷することを抑制するために、事故電流の分流路となるものである。ここでは、エナメル被覆した銅線を超電導シールド層14上に螺旋状に巻き付けて構成している。この常電導シールド層15は2層から構成され、幅4mm、厚さ0.25mmのテープ状銅線が用いられている。常電導シールド層15の各層の巻回方向は、内層側から順にS-Zとした。
<保護層>
この常電導シールド層15の外側には絶縁材料で構成される保護層16が設けられている。ここでは、クラフト紙の巻回により保護層16を構成している。この保護層16により、常電導シールド層15の機械的保護と共に、断熱管(内管21)との絶縁をとり、断熱管20への誘導電流の分流を防ぐことができる。
[断熱管]
断熱管20は内管21および外管22を具える2重管からなり、内外管21、22の間に真空断熱層が構成される。真空断熱層内には、プラスチックメッシュと金属箔を積層したいわゆるスーパーインシュレーション(商品名)が配置されている。内管21の内側とコア10との間に形成される空間は冷媒の流路となる。また、断熱管20の外周にポリ塩化ビニルの防食層23を形成している。
[試算例]
以上の超電導ケーブルにおいて、液体窒素を冷媒として運転した場合、定格電流の40倍の事故電流が流れた場合の超電導導体層および超電導シールド層の温度上昇幅を試算した。試算結果を以下に示す。
定格電流運転時の冷媒圧力と同圧力における冷媒沸点:2気圧、84K
定格電流運転時の導体層12及びシールド層14の温度T1:77K
事故電流が流れた場合の導体層12及びシールド層14の温度T2:127K
温度上昇幅T2-T1:50K
上記の超電導ケーブルによれば、超電導フィラメントに実質的に空隙が存在しない緻密度を有する超電導線材を用いているため、フィラメント中の空隙に入り込んだ冷媒が気化することで生じるバルーニングを防止することができる。
また、事故電流が流れた場合の超電導導体層および超電導シールド層の温度T2は冷媒沸点の84Kを超えているが、バルーニングを実質的に生じない超電導線材を用いることにより、超電導線材は、ケーブル運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上に昇温されることを許容される。
さらに、温度上昇幅T2-T1は50Kであり、100K以下となっている。そのため、事故電流が流れることによる昇温で超電導線材が膨張する程度も低く、ケーブル端末部で線材の膨張に伴う座屈が生じることも抑制できる。その上、超電導線材を再度冷却して超電導ケーブルを運転する場合でも比較的短時間で復帰させることができる。
一方、事故電流が流れた場合の超電導導体層および超電導シールド層の温度T2を定格電流運転時の冷媒圧力における冷媒沸点以下にしようとすれば、芯材の外径は20mm、常電導シールド層におけるテープ状銅線の積層数は6層必要であった。従って、本発明ケーブルは、フォーマや常電導シールド層の断面積を小さくすることができ、ケーブルコアの外径を小さくすることができる。
本発明超電導ケーブルは、交流または直流の電力輸送手段として利用することができる。
本発明超電導ケーブルの横断面図である。 超電導ケーブルの横断面図である。
符号の説明
100 超電導ケーブル
10 コア
11 フォーマ 12 超電導導体層 13 絶縁層
14 超電導シールド層 15 常電導シールド層 16 保護層
20 断熱管
21 内管 22 外管 23 防食層

Claims (8)

  1. 常電導材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる超電導内側導体と、この内側導体の外側に設けられる絶縁層と、絶縁層の外側に設けられる超電導外側導体と、この外側導体に流れる事故電流が分流される常電導層とを有する超電導ケーブルであって、
    少なくとも前記外側導体には、超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有し、
    前記常電導層の断面積は、事故電流が外側導体に流れた際の外側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の外側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択されたことを特徴とする超電導ケーブル。
  2. さらに内側導体にも超電導フィラメントが安定化材中に配された超電導線材が用いられ、この超電導フィラメントは実質的に空隙のない緻密度を有し、
    前記芯材の断面積は、事故電流が内側導体に流れた際の内側導体温度が、超電導ケーブルの運転時の冷媒圧力における冷媒の沸点以上で、その際の内側導体の温度上昇幅が100K以下となるように選択されたことを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブル。
  3. 前記超電導線材は、加圧焼結法で得られた超電導線材であることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導ケーブル。
  4. 前記芯材は、Cu、Al、Mgまたはこれらのいずれかを主成分とする合金からなる素線を撚り合せて構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導ケーブル。
  5. 前記素線の各々が絶縁被覆を有することを特徴とする請求項4に記載の超電導ケーブル。
  6. 前記常電導層は、Cu、Al、Mgまたはこれらのいずれかを主成分とする合金からなる丸線あるいはテープ線で構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超電導ケーブル。
  7. 前記丸線あるいはテープ線が絶縁被覆を有することを特徴とする請求項6に記載の超電導ケーブル。
  8. 前記超電導線材は、安定化材と、この安定化材に内蔵される超電導フィラメントとを具備し、
    前記フィラメントが螺旋状に捻られていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超電導ケーブル。
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