JP2006330062A - 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台 Download PDF

Info

Publication number
JP2006330062A
JP2006330062A JP2005149457A JP2005149457A JP2006330062A JP 2006330062 A JP2006330062 A JP 2006330062A JP 2005149457 A JP2005149457 A JP 2005149457A JP 2005149457 A JP2005149457 A JP 2005149457A JP 2006330062 A JP2006330062 A JP 2006330062A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drying furnace
transport
cylindrical substrate
drying
transported
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005149457A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Furusawa
靖夫 古澤
Tatsuo Kuwabara
龍雄 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2005149457A priority Critical patent/JP2006330062A/ja
Publication of JP2006330062A publication Critical patent/JP2006330062A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】 高温高湿環境下で搬送台を用いて連続的に塗布後の円筒状基体を乾燥する場合の結露水の影響をなくし、高品質の電子写真感光体を効率よく製造する方法、及びその製造装置の提供である。
【解決手段】 円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を一定間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有し、前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、先に乾燥炉に搬送されている搬送台の後端側の主端面と後に搬送された搬送台の前端側の主端面とを、直接接触させないように前記突き当てを行う電子写真感光体の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗布された塗膜を高温高湿下で乾燥することにより得られる電子写真感光体の製造方法及びその製造装置、並びに搬送台に関する。
従来、電子写真方式を用いた複写機、レーザープリンター、LEDプリンター等に用いられる電子写真感光体(以下、「感光体」という場合がある)において、電荷発生材料として有機化合物を用いた場合、帯電性が悪かったり、繰り返し安定性に欠けたりする等の問題があった。また、特に最近、レーザープリンター用感光体等で、干渉縞の発生を防止するために、種々の手段で導電性の支持体表面を粗面化する方法がとられているが、この場合、粗面化した支持体表面に電荷発生層を塗布する際、はじき、ぶつ等の塗布欠陥が発生したり、支持体からの局所的な電荷の注入により、画像上に黒ポチ、白抜け等が発生したりするなどの問題があった。
これらの問題を解決する手段として、導電性の支持体と電荷発生層との間に下引き層を設けることが、一般的に知られている。該下引き層を形成するための材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル、フェノキシ樹脂、カゼイン、ゼラチン、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が知られている。
しかしながら、これらの樹脂を用いて下引き層を形成する場合、膜厚を厚くして、帯電性や、塗布性、画質欠陥制御性を向上させると、感度の低下、繰り返し使用時の残留電位の増大などを引き起こす。一方、これらの特性を改善すべく、膜厚を薄くした場合には、帯電性や塗布、画像欠陥を十分に抑制できなくなるという問題があった。
これに対し、有機金属化合物を主成分とした下引き層を用いると、感度の低下、残留電位の増加を引き起こすことなく、塗布欠陥や、画質欠陥を抑制できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。但し、有機金属化合物のみを主成分とする下引き層の場合、塗布、乾燥後の膜にクラックが入り易く、膜厚を約0.3μm以上にすることが難しい。一方、前記のように干渉縞防止対策として粗面した導電性支持体上に感光層を作成する場合には、下引き層は、支持体表面の凹凸を十分隠蔽できるだけの膜厚にする必要があるが、上記の有機金属化合物を主成分とする下引き層は、それに対処することができない。
また、有機チタン化合物、シランカップリング剤およびポリビニルアセタール樹脂からなる下引き層が開示され(例えば、特許文献2参照)、実施例において1〜3μmの膜厚のものが示されている。しかしながら、本発明者等の検討によれば、ここに示されているポリビニルアセタール樹脂の配合量では、特に低温低湿下で感度の低下、残留電位の増加等が著しいことが判明した。
本問題を解決するため、電子写真感光体を製造する際、下引き層および感光層の塗膜形成を、ある特定の露点温度範囲を有する雰囲気下で行なうことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、塗膜形成をさらに高い湿度下(85〜95%RH環境)で行い、上記問題の更なる改善を図っている(例えば、特許文献4参照)。
このように、形成された塗膜を高温高湿下で乾燥を行う感光体の製造方法が有効となってきているが、高湿度環境での塗膜形成では、結露水の付着で電子写真感光体の故障を発生させることがある。特に、生産工程では多くの塗膜を形成した円筒状基体を一度に塗布したり乾燥したりするため、歩留まり悪化をまねいていた。
特開昭61−94057号公報 特開平2−59767号公報 特開平6−123990号公報 特開平7−128876号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、高温高湿環境下で搬送台を用いて連続的に塗布後の円筒状基体を乾燥する場合の結露水の影響をなくし、高品質の電子写真感光体を効率よく製造する方法、及びその製造装置の提供を目的とする。
<1> 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面と前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面とを、直接接触させないように前記突き当てを行う電子写真感光体の製造方法である。
<2> 前記突き当て時の前記先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台との接触面積をS1、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面と前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面とが、直接接触した場合の接触面積をa1としたとき、S1及びa1が下記式(1)の関係を満たす<1>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
0.2×a1≧S1>0 ・・・ 式(1)
<3> 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して各々停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、乾燥炉内で先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台とが接触しないように配列させる電子写真感光体の製造方法である。
<4> 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布手段と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を一定間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥手段とを有する電子写真感光体の製造装置であって、
前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面及び前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面の少なくとも一方に、前記突き当て時に他方の搬送台に接触する突出した突き当て部分を有し、該突き当て部分の他方の搬送台との接触面積をS1、主端面を直接接触した場合の接触面積をa1としたとき、S1及びa1が下記式(1)の関係を満たす電子写真感光体の製造装置である。
0.2×a1≧S1>0 ・・・ 式(1)
<5> 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布手段と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して各々停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥手段とを有する電子写真感光体の製造装置であって、
前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、乾燥炉内で先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台とが接触しないようする搬送台停止手段を有する電子写真感光体の製造装置である。
<6> 表面に塗膜が形成された円筒状基体を載置し、搬送する搬送台であって、
搬送方向前後端側の主端面の少なくとも一方に突出した突き当て部分を有し、該突き当て部分が他の平面状部材と接触する接触面積をS2、前記主端面の面積をa2としたとき、S2、a2が下記式(2)の関係を満たす搬送台である。
0.2×a2≧S2>0 ・・・ 式(2)
<7> 前記突出した突き当て部分の形状が、突起形状である<6>に記載の搬送台である。
本発明によれば、高温高湿環境下で搬送台を用いて連続的に塗布後の円筒状基体を乾燥する場合の結露水の影響をなくし、高品質の電子写真感光体を効率よく製造する方法、及びその製造装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の電子写真感光体の製造方法及びその製造装置、それに用いる本発明の搬送台を併せて説明する。
<本発明の第1の電子写真感光体の製造方法及びその製造装置>
本発明の第1の電子写真感光体の製造方法(以下、「第1の製造方法」という場合がある)は、少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面と前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面とを、直接接触させないように前記突き当てを行うことを特徴とする。
本発明は、前述のような高温高湿環境での乾燥工程を必要とする電子写真感光体の製造方法に関するものである。
具体的には、感光層形成液(ここでは、下引き層を含めた各層を形成するための各塗布液をいう)による塗布終了後、高温高湿度を維持している炉、一般的呼称として乾燥炉であるが、その炉内環境で電子写真感光体作製のための塗膜形成が行われるものである。
感光体製造設備では、多本数の塗膜が形成された円筒状基体を同時に処理するのが生産性の面から一般的である。そのため、本発明では乾燥炉内には複数本の円筒状基体が1つの搬送台に載置され、乾燥炉内には該搬送台が複数個(2個以上)配列され、処理される。この時、乾燥工程が相対湿度85%以上での乾燥操作のため、熱容量の高い部分、特に前記搬送台の基板では乾燥炉内での到達温度にローカリティーがあり、露点以下になって結露部分が発生することがある。
また、この現象は、感光体特性上、乾燥処理時間を短く設定しなければならない時、特に顕著である。
この場合、第1の製造方法では、複数の搬送台が所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬入される時、先に搬入されて結露している搬送台の基板の後端側端面(主端面)に、新たに搬入された搬送台の基板の前端側端面(主端面)が突き当たることにより停止させるため、突き当て面同士の接触で面に付着していた結露水が圧搾され飛散し、塗膜形成した円筒状基体に付着し、最終的に画質欠陥を発生させ感光体表面故障となってしまう。このことで歩留まりが悪化し、生産性低下に繋がっている。
ここで、前記主端面とは、搬送台(あるいは搬送台基板)の搬送方向の前後端側の底面と垂直な面(搬送台が直方体であれば前後端側の側面)であって、例えば、通常搬送方向に移動したときに他の平面状部材と対向して接触する面をいう。
前記問題に関しては、本来、結露を防止するため、前記搬送台が乾燥炉に入る前に加熱するのが通常の施策であるが、高湿度の乾燥炉内に入る前に置き台を加熱すると、その後設置される円筒状基体に塗布された塗膜も乾燥炉内に入る前、即ち、低湿度下での高温化が乾燥炉に入る前に施されることになり、良好な特性を有する感光体の作製条件から外れることになる。また、この方法は、設備化のコスト、加熱装置設置場所の確保等、生産設備準備上も不利な点が発生する。
本発明者等は、搬送台の結露水の付着状況を細部にわたり観察することで、乾燥炉内で結露水が発生しても、その結露水が円筒状基体に付着することを安価で防止する方法を見出した。
すなわち、搬送台は先に乾燥炉に搬入されている他の搬送台と主端面同士が突き当たり停止するが、前記結露水の飛び散りは、搬送台の同一面積の主端面同士が1面で面接触する時、各面に付着している結露水が圧搾され飛散する現象であるため、この主端面同士を直接接触させず何らかの方法で接触面積を低減することが有効であることがわかった。
以下、図面を用いて本発明を具体的に説明する。
図1は、感光層形成液を塗布して塗膜が形成された円筒状基体を搬送台に載せ、高温高湿雰囲気に設定された乾燥炉(乾燥手段)に搬送台が搬送され、円筒状基体が乾燥される工程を模式的に示す概略図である。
図示しないが、本発明における塗布工程は、感光層を構成する各層形成液(感光層形成液)を塗布により円筒状基体(あるいは既に形成された層)表面に形成する工程である。感光層としては、単層でもよく、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次有する積層型でもよい。なお、本明細書では、感光体層以外に必要に応じて形成される下引き層などを含めて感光層と称する。
電荷発生層、電荷輸送層などの塗工を行う塗布手段としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法などを実施できる各塗布装置を用いることができる。塗布の環境は特に制限されないが、塗膜形成途中での溶剤蒸発により表層は低温化するため結露防止上、塗布を−5〜10℃の範囲の露点温度を有する雰囲気下で行うことが好ましい。
塗布後の乾燥は、通常、室温での指触乾燥の後に、30℃〜200℃の範囲で5分間〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。この乾燥は、前記各層を積層してから行ってもよいし、各層形成ごとに行ってもよい。
本発明における乾燥は、後述のように高温高湿環境での乾燥であり、前記各層を積層した後の最終乾燥に用いてもよいが、下引き層の乾燥に用いることが好ましい。
塗膜形成された円筒状基体30は、搬送台20に載置される。この場合、載置される円筒状基体の本数は生産の効率上複数本であり、好ましくは2〜50本の範囲で載置される。円筒上基体30の高さ(長手方向長さ)は、特に制限はないが、200〜500mmの範囲であることが好ましい。
円筒状基体30が載置された搬送台20は、高温高湿雰囲気に設定された乾燥炉10に搬送される。本発明における乾燥炉10は、内部の雰囲気が30〜75℃の温度範囲、85〜95%RHの相対湿度範囲に設定されている。特定の下引き層の乾燥等を行う場合には、前記雰囲気は60〜75℃の範囲、85〜90%RHの範囲とすることが好ましい。
本発明における乾燥手段は、乾燥炉10内に前記塗膜が形成された円筒状基体30を載置する搬送台20が2個以上入る設備で、かつ、塗膜形成後の円筒状基体30が載置された搬送台30が、入口シャッター12の自動開閉、コンベアーローラー18を備えたコンベアー16により搬送台20を乾燥炉10に自動搬送して、乾燥炉内で乾燥終了後、出口シャッター14の自動開閉により自動搬出される設備である。また、乾燥炉10においては、図面における上方より温度、湿度がコントロールされた乾燥エアー40がダウンフローにより円筒状基体30に吹き付けられ加熱する機構となっている。
従来においては、例えば下引き層が塗布された円筒状基体30が搬送台20に6本設置された(A)の位置から乾燥炉10内に自動搬入され、(B)の位置まで移動する。なお、搬送台20の乾燥炉10への搬送のタイミングとしては、乾燥炉10内で十分に乾燥された最前の搬送台が乾燥炉10を出るときに搬送されることが好ましい。
次いで搬送台20は、(B)の位置から先に乾燥炉10に搬送され停止している搬送台22に、自らの前端側の突き当て面(主端面)20Aを搬送台22の後端側の突き当て面(主端面)22Aに突き当てて停止する。そのとき、搬送台20は十分に温度が上昇しきっていないためほとんど結露水が付着している。したがって、突き当て面20A、22Aで2個の搬送台が突き当てられた時、結露水が面圧搾飛散し、塗膜形成中の円筒状基体30にある確率で付着し、歩留まり悪化を起こす。
本発明においては、前記搬送台20、22の突き当て面20A、22A同士を直接接触させないようにすることで、上記問題を解決することができる。具体的には、後述する前記主端面の少なくとも一方に突出した突き当て部分を有する本発明の搬送台を用いて突き当てを行うことにより、全面に結露水が付着した主端面同士の接触による面圧搾飛散を低減させることができる。
図2、図3は搬送台の構成を示す概略図である。図2は従来の搬送台であり、図3は本発明の搬送台の一例を示すものである。また、図2(A)、図3(A)は搬送台を図1における上方から見た図であり、図2(B)、図3(B)は搬送台を搬送方向から見た図である。
搬送台は図2、図3ともに、基本的に基板24、24’および円筒状基体を支持する支持体26、26’を有してなる。基板24、24’の形状は特に限定されないが、複数本の円筒状基体を無駄なく載置し乾燥炉内に効率よく配置する観点からは、板状の直方体であることが好ましい。この場合、任意の面積で角の面取りまたはR加工を施しても構わない。
また、前記乾燥炉内ではダウンフローにより温風が吹きつけられるため、乾燥の効率を上げるためにも基板24、24’には複数の通風孔が設けられていることが好ましい。
基板24、24’の材質としては、環境温度に追随しやすいように熱容量が小さく、しかも強度や耐腐食性、耐熱性に優れた材料であることが好ましく、例えばアルミ合金、アルミ表面処理品、チタン合金などを用いることが好ましい。
支持体26、26’の形状も特に制限されないが、円筒状基体の内径より0.5〜1mm程度小径の円柱状であることが、円筒状基体の載置、搬送の安定性の観点から好ましい。材質も特に制限されず、基板と同一であっても異なっていてもよい。図2においては、円柱状の支持体26、26’の6個が、矢印で示す搬送方向と垂直方向に3個ずつ2列に設けられている。この支持体26、26’の個数、配置の仕方も特に制限されない。
前記従来の製造方法では、搬送台同士を突き当て面で突き当てて搬送台を停止させるが、この突き当て面は従来の搬送台である図2における主端面24Aである。本発明の製造方法では、図3に示すように、主端面24’Aに突出した突き当て部分28を設けて、前記のように突き当て時に主端面24A同士を直接接触させないようにする。このようにして突き当て時の接触面積を低減することで、結露水の飛散を少なくすることができる。
この場合、接触突き当て面積が広ければ広い程結露水の飛散量が増加する。本発明者等が検討した結果、搬送台の主端面同士が直接接触したときの接触面積をa1、突き当て部分28を介して接触したときの接触面積をS1としたとき、下記式(1)の関係を満たすように搬送台同士を接触させることが好ましいことが判明した。
0.2×a1≧S1>0 ・・・ 式(1)
S1をa1の0.2倍を超える程度にすると、接触時の結露水の飛散を抑えることができなくなり円筒状基体への欠陥を発生させる場合がある。一方、S1を0とすることは、突き当てを行う以上不可能である。
S1は0.1×a1≧S1>0とすることが好ましく、0.05×a1≧S1>0とすることがより好ましい。
なお、前記a1は接触し合う搬送台同士の基板が同一形状であり、主端面同士がぴったり重なって接触するときは主端面の面積と同一となる。また、前記S1は、接触する部分が複数の場合には、それらの接触する部分の各面積の和である。
上記本発明の電子写真感光体の製造方法を実施するためには、図3に例示した本発明の搬送台を用いることが好ましい。
本発明の搬送台は、矢印で示した搬送方向前後端側の主端面の少なくとも一方に突出した突き当て部分を有し、該突き当て部分が他の平面状部材と接触する接触面積をS2、前記主端面の面積をa2としたとき、S2、a2が下記式(2)の関係を満たすことが必要とされる。
0.2×a2≧S2>0 ・・・ 式(2)
図3では、突出した直方体状の突き当て部分28が搬送台の前後端側に2つずつ設けられているが、この突き当て部分28は少なくとも前後端側の一方に設けられていれば良く、また数も必ずしも複数でなくてもよい。
図3においては、基板24’の主端面24’Aの面積がa2であり、突き当て部分28の他の平面状部材と接触面28Aの面積の和がS2である。なお、S2は0.1×a2≧S2>0とすることが好ましく、0.05×a2≧S2>0とすることがより好ましい。
突き当て部分28の形状は特に制限されるものではないが、前記のように、本発明の製造方法では、接触突き当て面積を狭くすればするほど結露水の飛散量を低減することができる。したがって、突き当て部分28の形状は、図4に示すように、突起形状であることが好ましい。突き当て部分の形状をこのような突起形状とすることにより、突き当て時に搬送台同士を面ではなく線で接触させることができ、結露水の飛散を極力少なくすることができる。
突き当て部分28の長さ(搬送方向に突き出た長さ)についても特に制限はないが、突き当て時、突き当て後に対向する搬送台上の円筒上基体があまり近づき過ぎるのも好ましくない。このため、前記突き当て部分28の長さをX、搬送台の主端面から円筒上基体面までの長さをYとしたとき、X+Yが10〜20mmの範囲となるようにXを設定することが好ましい。
また、突き当て部分28の材質は、耐熱性、耐磨耗性、耐腐食性等を有するものであれば特に制限されないが、ステンレス、アルミ合金、アルミ表面処理品、チタン合金などを用いることが好ましい。
<本発明の第2の電子写真感光体の製造方法及びその製造装置>
本発明の第2の電子写真感光体の製造方法(以下、「第2の製造方法」という場合がある)は、少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を一定間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して各々停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、乾燥炉内で先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台とが接触しないように配列させることを特徴とする。
前記第1の製造方法は、乾燥炉内で搬送台同士を突き当てて停止させると結露水の飛散が発生するため、これに対して最適な突き当て条件を見出したものであるが、第2の本発明では、前記搬送台同士の突き当てを行わずに乾燥炉内で搬送台を停止させるものである。したがって、当然に搬送台の接触による結露水の飛散は全く発生せず、電子写真感光体の製造の歩留まりを上げるためにはより好ましい製造方法である。
第2の製造方法について、同様に図を用いて説明する。
図5は、図1と同様に円筒上基体が載置された搬送台が搬送され、円筒状基体が乾燥される工程を模式的に示す概略図である。図に示す工程、装置において、搬送台を搬送するコンベアー16や乾燥炉10等の構成は、前記第1の製造方法(第1の製造装置)と同様である。また、図示しない塗布工程、塗布装置も同様である。なお、搬送台は前記本発明の搬送台を用いる必要はなく、図2に示したような従来の搬送台を用いればよい。
円筒状基体30が載置された搬送台60は、図5における(A)の位置から高温高湿雰囲気に設定された乾燥炉10の(B)の位置に搬送される。なお、このときの搬送台60の搬送タイミングも、乾燥炉内の最前の搬送台64が乾燥炉10を出るときに搬送されることが好ましい。
このときの搬送台60の停止は、コンベアー16の図面における下側から上下に移動するストッパー(停止手段)51が上側に移動することによって行われる。なお、搬送台60の搬送方向前方には、先に乾燥炉10に搬送された搬送台62がストッパー52により停止している。したがって、上記状態を保持することにより、複数の搬送台を互いに接触させることなく乾燥炉内に搬送、停止させ、配列させることができるため、前記搬送台に付着した結露水による問題が生じることはない。
なお、このような第2の製造方法においても、ストッパー51と先に搬送された搬送台62の後端とは一定以上の間隔を取ることが好ましく、該間隔は10mm以上とすることが好ましい。また、ストッパー51が上昇するタイミングは搬送台60がストッパー51の位置に達する前に上昇していれば問題はないが、搬送台60が搬送される前にストッパー51が搬送台62を停止させていた場合には、ストッパー51が下降し搬送台62移動し終えた直後に上昇することが好ましい。そのタイミングは、光センサーによる搬送台の位置検知やタイマーによる制御等により行うことができる。
次に、本発明により製造される電子写真感光体の構成について説明する。
本発明により製造される電子写真感光体は、導電性の円筒状基体及び感光層(下引き層を含む)からなるものであるが、感光層は、単層構造のものであっても、また、電荷発生層と電荷輸送層とが機能分離した積層構造のものでもよい。
以下、電荷輸送層を表面層とする積層型感光体の構成を主として取り上げ、本発明により製造される感光体を説明する。
本発明に用いられる円筒状基体は、特に制限はないが、電子写真感光体の導電性基材に用いられるものとしては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄等の金属基体が有効である。基体表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削などの処理が行われていても構わない。また、前記粗面化処理前に脱脂処理が行われていてもよい。
上記導電性の円筒状基体上には、先ず、下引き層が形成される。下引き層を形成するためには、有機金属化合物、シランカップリング剤を含有し、必要に応じて結着樹脂を含有する下引き層形成用塗布液を使用する。有機化合物としては、金属の原子価により次のようなものが用いられる。
IV価の金属を有する化合物としては、ジルコニウム化合物として、テトラアセチルアセトナトジルコニウム、ジブトキシビスアセチルアセトナトジルコニウム、トリブトキシアセチルアセトナトジルコニウム、テトラキスエチルアセトアセタトジルコニウム、ブトキシトリスエチルアセトアセタトジルコニウム、トリブトキシモノエチルアセトアセタトジルコニウム、ジブトキシビスエチルラクタトジルコニウム、ビスアセチルアセトナトビスエチルアセトアセタトジルコニウム、モノアセチルアセトナトトリスエチルアセトアセタトジルコニウム、ビスアセチルアセトナトビスエチルラクタトジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニムn−プロポキシド等のジルコニウムアルコキシド等が挙げられる。
チタニウム化合物としては、下記一般式(I)で表されるチタンオルソエステル、下記一般式(II)で表されるポリオルソチタン酸エステルおよび下記一般式(III )で表されるチタンキレート化合物が挙げられる。
Figure 2006330062
Figure 2006330062
上記式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、クレジル基、ステアリル基、ヘキシル基、ノニル基およびセチル基を表す。
Ti(L)n 4-n (III )
上記式(III)中、Lは、キレート基を表し、Xはエステル残基を表し、nは1〜4の整数を示す。キレート基を形成する配位子種としては、オクチレングリコール、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸、アセト酢酸エステル等のケトエステル及びジアセトナルコール等のケトアルコール等が挙げられる。また、エステル残基は、アルコキシ基等のチタン酸エステルの残基が挙げられる。
また、チタンキレート化合物の具体的としては、例えば、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタネート、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミン)チタネート、ジヒドロキシ・ビス(ラクティクアシド)チタネートジ、テトラオクチレングリコールチタネート、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセト酢酸エチル)チタネート等が挙げられる。
III 価の金属を有する化合物としては、アルミニウムイソプロポキシド、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシド等のアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ビスエチルアセトアセタトモノアセチルアセトナトアルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムn−ブトキシド等のインジウムアルコキシド;アンチモンメトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンn−ブトキシド等のアンチモンアルコキシド;ボロンメトキシド、ボロンn−ブトキシド等のボロンアルコキシド等が挙げられる。
II価の金属を有する化合物としては、ビス(アセチルアセトナト)マンガン、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)錫等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、結着樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられる。
溶剤としては、公知のものであるならば如何なるものでも使用できる。下引き層形成用塗布液は、上記有機金属化合物、シランカップリング剤および必要に応じて結着樹脂を混合した後、適当な溶剤で稀釈することによって調製される。その際、有機金属化合物、シランカップリング剤および結着樹脂は、それぞれ1種でもよく、あるいは2種以上混合して用いてもよい。また、有機金属化合物に対するシランカップリング剤の量は、5〜95重量%の範囲で任意に設定することができる。また、結着樹脂を含有させる場合、有機金属化合物とシランカップリング剤の合計量に対する結着樹脂の量は、5〜25重量%の範囲で設定することが好ましい。
上記下引き層形成用塗布液は、円筒状基体上に、例えば、スプレー塗布法、浸漬塗布法等によって塗布し、乾燥するが、塗布は0〜10℃の範囲の露点温度を有する雰囲気下で行い、形成された塗膜を50〜75℃の温度範囲で相対湿度が85〜95%RHの雰囲気下で乾燥を行うことが好ましい。塗布および乾燥に際しての雰囲気の露点温度が上記の範囲よりも高くなると、ブラッシング(溶剤が蒸発する際、熱を奪うため、塗膜層の表面温度が低下し、空気中の水分が結露して表面に吸着し、膜が凹凸になる、または穴があいてしまい膜が白化する現象)してしまうことがある。また、上記の範囲よりも低くなると最終製品である電子写真感光体の残留電位が高くなり、かつ繰り返し特性も悪化する場合がある。
また、下引き層の膜厚は0.1〜30μmの範囲で任意に設定されるが、特に0.5〜1μmの範囲が好ましい。
上記のようにして形成された下引き層の上に、続いて感光層が形成される。感光層が電荷発生層と電荷輸送層とよりなる場合、その積層順序はいずれが先に形成されてもよい。電荷発生層および電荷輸送層は、電荷発生材料と結着樹脂とを適当な溶剤に分散溶解させた電荷発生層形成用塗布液、および電荷輸送材料と結着樹脂を適当な溶剤に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液をそれぞれ調製し、上記下引き層の上に塗布し、乾燥することによって形成する。
電荷発生材料としては、例えばクロロダイアンブルー等のアゾ染料、アントアントロン、ピレンキノン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料、アズレニウム塩、スクエアリウム顔料、キナクリドン顔料等を用いることができる。
また、電荷輸送材料としては、例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、または、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環を有する化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物、エナミン化合物、スチルベン化合物等が用いられる。
また、前記電荷発生層、電荷輸送層の結着樹脂としては、成膜性のある樹脂ならば如何なるものであってもよく、例えば、ポリエステル、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等が用いられる。溶剤としては、公知のものであるならば如何なるものでも使用できる。
上記のように、下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液を用いて積層塗布する際、形成された下引き層塗膜を乾燥する雰囲気として、上記の乾燥温度と相対湿度範囲を有するエアーを用いることにより、形成される電子写真感光体は、優れた電子写真特性を有するものになる。すなわち、その電子写真感光体は、繰り返し使用時の残留電位の増加などを引き起こすことがなく、高温高湿から低温低湿に至るまで安定した帯電性と低い残留で電位を示すものとなる。
前記下引き層を85〜95%RHの湿度下で搬送台を用いて乾燥する場合、前述、円筒状基体の搬送台の基板に結露水が存在する可能性が大きく、搬送台の接触時に飛散する結露水が基体に付着し、画質上の欠陥を発生させ、歩留まり悪化を招くが、前述の本発明により問題を解決できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、下記において「部」とあるのは特に断りのない限り「質量部」を意味する。
<実施例1>
(電子写真感光体の作製)
−下引き層の形成−
・トリブトキシアセチルアセトナトジルコニウム((C5 7 2 )Zr(OC4 9 3 、オルガチックスZC540、松本交商製)20部
・γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2部
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S 積水化学(株)製)1.5部
・n−ブチルアルコール 70部
上記成分からなる溶液を混合し、直径84mm、長さ340mm、厚さ1mmのサイズのアルミニウムパイプ(円筒状基体)上に浸漬塗布した後、65℃、90%RHで10分間乾燥させて、膜厚0.9μmの下引き層を形成した。
なおこの時の乾燥には、図1に示した乾燥炉を使用し、図4に示した搬送台(基板:アルミニウム製、500mm×300mm、厚さ10mm、主端面面積a1:5000mm2)を用いて、前記塗膜を形成したアルミニウムパイプを6本載置し突き当てを線接触として行った。なお、突き当て部分としては、3角柱構造(突起形状、材質:アルミニウム)のもの(長さX:10mm)を基板に2箇所付加したものを用いた。この場合、突き当て時の接触面積S1は約250mm2であった。
より詳細には、乾燥炉10内には搬送台が複数個入るように配列し、10分間隔で乾燥炉入口側から乾燥前の搬送台を1台搬送し、乾燥炉出口側から同様の速度で乾燥後の搬送台を1台搬出する操作を繰り返した。また、乾燥炉中の異なる搬送台の端部同士で対向する円筒状基体面間の距離は約30mmとした。
−電荷発生層の形成−
・X型無金属フタロシアニン 5部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、ユニオンカーバイド社製)5部
・酢酸n−ブチル 200部
次に、上記の成分を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散して得られた分散液を、前記の下引き層上に浸漬塗布し、5℃の露点下で、100℃で10分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ビフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’ジアミン4部と、ポリ(4,4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート)樹脂6部とを、テトラヒドロフラン35部とトルエン55部との混合溶媒に溶解した溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、5℃の露点下で、135℃で1時間乾燥させて、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
上記電子写真感光体の作製を繰り返し、合計1000本の電子写真感光体を作製した。
(評価)
作製した1000本の電子写真感光体について、結露水飛散による不良品率を目視検査により確認した。結露水飛散による水滴が付着した下引き層の表面は、シミ状になることが判明しており、また、目視検査で判別できる欠陥は電子写真感光体使用時の画像欠陥となり、不良品となることも判明している。上記結露水飛散による欠陥発生率及び評価を表1に示す。なお、評価基準は以下のようにして判断した。
○:欠陥発生率が0.1%以下。
△:欠陥発生率が0.1%を超えるが0.3%以下。
×:欠陥発生率が0.3%を超える。
××:ほとんどの円筒状基体に何らかの欠陥が発生。
<実施例2>
実施例1の電子写真感光体の作製において、搬送台として図3に示す基板の主端面に直方体状の突き当て部分を有するものを用いた以外は同様にして電子写真感光体の作製を行った。
具体的には、実施例1と同様の基板に、接触面積28Aが500mm2(50mm×10mm)、アルミニウム製の突き当て部分(長さX:10mm)を2箇所付加した搬送台を用いた。したがって、このときはS1=0.2×a1であった。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1の電子写真感光体の作製において、図2に示すような突き当て部分を有さない基板のみの搬送台を用い、乾燥炉として図5に示すストッパーにより搬送台を停止させる機構を設けたものを用いた以外は実施例1と同一条件で電子写真感光体を作製した。なお、乾燥炉内の全てのストッパーは10分間隔ごとに下降し、光センサーによる信号により搬送台が通過後上昇するように制御した。
より詳細には、乾燥炉10内には搬送台が複数個入るように配列し、10分間隔で乾燥炉入口側から乾燥前の搬送台を1台搬入し、乾燥炉出口側から同様の速度で乾燥後の搬送台を1台搬出する操作を繰り返した。また、ストッパー同士の間隔は350mmとし、乾燥炉中の異なる搬送台の端部同士で対向する円筒状基体面間の距離は約30mmとした。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例2の電子写真感光体写真の作製において、突き当て部分の接触面積S1を250mm2(25mm×10mm)とした以外は同様にして電子写真感光体の作製を行った。このときS1=0.1×a1であった。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例2の電子写真感光体写真の作製において、突き当て部分の接触面積S1を625mm2(62.5mm×10mm)とした以外は同様にして電子写真感光体の作製を行った。このときS1=0.25×a1であった。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例1の電子写真感光体の作製において、下引き層乾燥時の相対湿度を95%RHとした以外は実施例1とすべて同一条件で電子写真感光体を作製した。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
実施例1の電子写真感光体の作製において、下引き層乾燥時の相対湿度を85%RHとした以外は実施例1とすべて同一条件で電子写真感光体を作製した。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1の電子写真感光体の作製において、搬送台として図2(I)に示した突き当て部分を有さない基板のみのものを使用した以外は実施例1とすべて同一条件で電子写真感光体を作製した。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1の電子写真感光体の作製において、下引き層乾燥時の相対湿度を97%RHとした以外は実施例1とすべて同一条件で電子写真感光体を作製した。
作製した1000本の電子写真感光体について、実施例1と同様の検査を行った。この場合、結露は搬送台にだけではなく、円筒状基体下面にも発生しており、評価に値するものではなかった(すべて、シミ状欠陥発生)。
Figure 2006330062
表に示すように、実施例の本発明の電子写真感光体の製造方法、製造装置により感光体を作製した場合には、結露水による欠陥発生率を従来(比較例1)に比べ非常に低く抑えることができることがわかる。
本発明の電子写真感光体の製造装置における乾燥手段の一例を示す概略断面図である。 従来の搬送台の構成を示す概略図であり、(A)は平面図、(B)は搬送方向から見た正面図である。 本発明の搬送台の一例を示す概略図であり、(A)は平面図、(B)は搬送方向から見た正面図である。 本発明の搬送台の他の一例を示す概略図であり、(A)は平面図、(B)は搬送方向から見た正面図である。 本発明の電子写真製造装置における他の乾燥手段の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10 乾燥炉
12 入口シャッター
14 出口シャッター
16 コンベアー
18 コンベアーローラー
20、22、60、62 搬送台
24、24’ 基板
26、26’ 支持体
28、29 突き当て部分
30 円筒状基体
40 乾燥エアー
51 52 ストッパー

Claims (7)

  1. 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面と前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面とを、直接接触させないように前記突き当てを行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記突き当て時の前記先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台との接触面積をS1、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面と前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面とが、直接接触した場合の接触面積をa1としたとき、S1及びa1が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
    0.2×a1≧S1>0 ・・・ 式(1)
  3. 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布工程と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を一定間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して各々停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、乾燥炉内で先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台とが接触しないように配列させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  4. 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布手段と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を一定間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して、先に乾燥炉に搬送され停止している搬送台に後に乾燥炉に搬送された搬送台を突き当てて停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥手段とを有する電子写真感光体の製造装置であって、
    前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、前記先に乾燥炉に搬送されている搬送台の搬送方向後端側の主端面及び前記後に搬送された搬送台の搬送方向前端側の主端面の少なくとも一方に、前記突き当て時に他方の搬送台に接触する突出した突き当て部分を有し、該突き当て部分の他方の搬送台との接触面積をS1、直接接触した場合の接触面積をa1としたとき、S1及びa1が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
    0.2×a1≧S1>0 ・・・ 式(1)
  5. 少なくとも、円筒状基体上に感光層形成液を塗布する塗布手段と、塗膜が形成された前記円筒状基体を載置した複数の搬送台を所定の時間間隔で連続的に乾燥炉内に搬送して各々停止させ、前記複数の搬送台を配列して前記円筒状基体を乾燥する乾燥手段とを有する電子写真感光体の製造装置であって、
    前記乾燥炉内の温度が30〜75℃の範囲、相対湿度が85〜95%RHの範囲であり、乾燥炉内で先に搬送された搬送台と後に搬送された搬送台とが接触しないようする搬送台停止手段を有することを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
  6. 表面に塗膜が形成された円筒状基体を載置し、搬送する搬送台であって、
    搬送方向前後端側の主端面の少なくとも一方に突出した突き当て部分を有し、該突き当て部分が他の平面状部材と接触する接触面積をS2、前記主端面の面積をa2としたとき、S2、a2が下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする搬送台。
    0.2×a2≧S2>0 ・・・ 式(2)
  7. 前記突出した突き当て部分の形状が、突起形状であることを特徴とする請求項6に記載の搬送台。
JP2005149457A 2005-05-23 2005-05-23 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台 Pending JP2006330062A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005149457A JP2006330062A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005149457A JP2006330062A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006330062A true JP2006330062A (ja) 2006-12-07

Family

ID=37551848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005149457A Pending JP2006330062A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006330062A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009025459A (ja) * 2007-07-18 2009-02-05 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法
CN106482306A (zh) * 2016-12-13 2017-03-08 福建工程学院 一种照片档案出库控制系统及控制方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009025459A (ja) * 2007-07-18 2009-02-05 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法
CN106482306A (zh) * 2016-12-13 2017-03-08 福建工程学院 一种照片档案出库控制系统及控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2765407B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP5451253B2 (ja) 電子写真感光体の製造装置および電子写真感光体の製造方法
CN1309486C (zh) 用于基板预处理的方法和装置
CN101078893B (zh) 电子照相感光体及其制造方法、处理盒和成像装置
US20120225381A1 (en) Method for producing electrophotographic photosensitive member
JP2006330062A (ja) 電子写真感光体の製造方法及び製造装置、並びに搬送台
JP3847356B2 (ja) 電子写真感光体及び画像形成方法
JP2018109665A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2847934B2 (ja) 電子写真感光体
JP2009116079A (ja) ワーク搬送用パレット及び電子写真感光体の製造方法
JP3154263B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2008289982A (ja) 塗布装置、塗布方法及び電子写真感光体
JP4387930B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JPH06102691A (ja) 電子写真感光体
TWI643040B (zh) 電子照片感光體及使用此之畫像形成裝置
JP2007275865A (ja) 塗布装置、及びこれを用いた塗布方法
JPH0368471A (ja) 浸漬塗布装置
JP3980389B2 (ja) 継目無し可撓性無端状金属シート体の製造方法
JPH06273963A (ja) 電子写真用感光体
JPH0815885A (ja) 電子写真感光体およびその製造方法
JP3042167B2 (ja) 電子写真感光体下端の塗膜拭取り装置
JPH09258461A (ja) 積層型電子写真感光体の製造方法
JPH08220786A (ja) 電子写真感光体の製造方法および浸漬塗布装置
JP2006065149A (ja) 電子写真感光体の製造方法、及び製造装置
JP2006162670A5 (ja)