JP2006329584A - 全熱空気交換装置及びその運転制御方法 - Google Patents

全熱空気交換装置及びその運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適切な温度及び湿度調節のために十分な情報を取得し、中間期においても適切に温度及び湿度調節しつつ年間を通じて省エネルギーに抑える。
【解決手段】外気のエンタルピーの予測値を取得する(S21)。取得した予測値とエンタルピーの設定値とを比較して、暖房負荷があるか或いは冷房負荷がある程度大きいかを判定する(S22及び23)。暖房負荷がある又は冷房負荷がある程度大きい場合には全熱交換を行いつつ換気を行う(S26)。暖房負荷がなく、冷房負荷がある程度以下の場合には、外気冷房能力と所定の室内冷房負荷とを比較する(S24)。外気冷房能力が室内冷房負荷より大きい場合には、全熱交換を伴わない換気のみを昼間にのみ行う(S27)。外気冷房能力が室内冷房負荷以下の場合には、全熱交換を伴わない換気のみを、昼間に通常の換気量で、夜間に最大の換気量で行う(S25)。
【選択図】図6

Description

本発明は、換気の際に全熱交換を行う全熱空気交換装置及びその運転制御方法に関する。
空調による消費エネルギーの効率化のため、室内の換気において排気と吸気との間で全熱を交換する全熱交換器が広く使用されている。しかし、全熱交換器による省エネルギー効果が、一般に期待されるほど実現しない場合がある。これは、全熱交換器が使用されることにより、夏季及び冬季において十分な省エネルギーが実現される一方で、春季及び秋季の中間期における消費エネルギーが増大するためである。このような中間期における消費エネルギーの増大は、全熱交換器が、室内外の気温差が激しい中間期においても、夏季及び冬季と同様に吸気及び排気との間で全熱交換を行うことによって生じる。つまり、室内に冷房負荷が存在する場合に、ある程度の冷房能力を有する外気をそのまま取り入れず、排気の全熱を移動させつつ吸気を行う不効率から生じる。
このような不効率を解消するために、装置又は操作者が、全熱交換を行うかどうかを所定の条件に応じて切り替えることが考えられる。特許文献1には、このような切り替えを伴う空気調和機が提案されている。特許文献1の空気調和機は、外気エンタルピーが室内の空気エンタルピーより小さく、室内の空気エンタルピーが設定温度及び湿度の空気エンタルピー以下等の場合には、排気と吸気との間で全熱交換を行わず、空気の交換のみを行うというものである。これによって、冷房能力を有する外気が室内の温度及び湿度調節に有効に利用され、省エネルギーが実現される。
特開平10−274425号公報(請求項14)
しかし、特許文献1の空気調和機によると、夏季及び冬季の違いに応じた温度及び湿度調節は可能であるが、室内外の温度差が激しい中間期において、日々の温度変化に適切に対応した温度及び湿度調節がなされない。また、現時点における外気の温度及び湿度にのみ基づいて換気の運転制御が行われるため、適切な温度及び湿度調節のために十分な情報に基づいて運転制御が行われているとは言い難い。したがって、エネルギーの効率化の面でも不十分である。
本発明の目的は、適切な温度及び湿度調節のために十分な情報を取得しつつ、中間期においても適切な温度及び湿度調節が可能で、より省エネルギーの全熱空気交換装置及びその運転制御方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の全熱空気交換装置は、外気を室内へ流入させつつ前記室内の空気を外部へと流出させて空気交換を行う空気交換手段と、前記室内の空気と外気との間でエンタルピーを交換させるエンタルピー交換手段と、第1及び第2のエンタルピーの設定値を記憶するエンタルピー記憶手段と、室内冷房負荷の設定値を記憶する負荷記憶手段と、外気のエンタルピーの予測値を定期的に取得する予測値取得手段と、前記エンタルピー記憶手段が記憶した前記第1のエンタルピーの設定値と前記予測値取得手段が取得した前記予測値との比較に基づいて、前記エンタルピー交換手段が前記室内の空気と外気との間のエンタルピー交換を行いつつ前記空気交換手段が前記空気交換を行うエンタルピー交換モード、及び、前記エンタルピー交換手段の前記エンタルピー交換を行わず前記空気交換手段が空気交換を行う換気モードのいずれか一方を選択するモード選択手段と、前記モード選択手段が前記換気モードを選択したときに、前記予測値取得手段が取得した前記予測値、前記エンタルピー記憶手段が記憶した前記第2のエンタルピーの設定値及び前記空気交換手段が単位時間当たりに交換できる空気の最大量から導出される外気冷房能力と、前記負荷記憶手段が記憶した前記室内冷房負荷の設定値との比較に基づいて、前記換気モードで交換される空気の単位時間当たりの量及び前記換気モードで空気が交換される時間帯の少なくともいずれか一方を決定する換気決定手段とを備えている。
本発明の全熱空気交換装置によると、外気冷房能力と室内冷房負荷との比較に基づいて空気交換の量及び時間帯の少なくとも一方が調節される。これによって、室内外の気温の変動が激しい春季や秋季などの中間期においても、適切な換気量や換気のタイミングの制御が行われる。また、外気のエンタルピーの予測値に基づいて換気制御がなされるため、適切な温度等の調節のために十分な情報に基づいて換気制御がなされる。このため、中間期においても、適切な温度及び湿度等の調節が確保されるとともに、より省エネルギーでの運転が可能となる。なお、外気のエンタルピーの予測値に従って、エンタルピー交換モードと換気モードとが切り替えられる。これによって、冬季や夏季と中間期との違いに適切に対応したモード選択が行われ、時季の違いに応じた適切な温度及び湿度調節を確保しつつ、省エネルギーで装置が自動運転される。
また、本発明においては、前記換気決定手段が前記空気の単位時間当たりの量及び前記時間帯の両方を決定することが好ましい。
これによると、換気決定手段が空気交換の量及び時間帯の両方を決定するため、より適切な換気量や換気のタイミングの制御が可能である。
また、本発明においては、前記エンタルピー記憶手段が前記第1のエンタルピーの設定値より小さい第3のエンタルピーの設定値をさらに記憶しており、前記モード選択手段が、前記予測値が前記第1のエンタルピーの設定値より大きい場合或いは前記第3のエンタルピーの設定値より小さい場合には前記エンタルピー交換モードを選択し、前記予測値が前記第3のエンタルピーの設定値以上且つ前記第1のエンタルピーの設定値以下の場合には前記換気モードを選択することが好ましい。
これによると、2つのエンタルピーの設定値と外気のエンタルピーの予測値との大小関係によって運転モードが決定される。したがって、冬季、夏季及び中間期の違いが予測値から適切に判断され、これらの違いに対応したモードでの運転が可能となり、適切な温度及び湿度調節の確保並びに省エネルギーでの運転が可能となる。
また、本発明においては、前記換気決定手段が、前記外気冷房能力が前記室内冷房負荷を超えると判断したときには、前記時間帯を一日のうちの所定期間のみに決定し、前記外気冷房能力が前記室内冷房負荷を超えないと判断したときには、前記時間帯を前記一日のうちの所定期間と前記所定期間以外の期間とを含むものに決定することが好ましい。
これによると、外気の冷房能力に基づいて、一日のうちの空気交換が行われる時間帯が決定される。したがって、寒暖の差が激しい中間期においても、適切な換気モードで運転され、適切な温度及び湿度調節の確保並びに省エネルギーでの運転が可能となる。
また、本発明においては、前記一日のうちの所定期間が昼間であることが好ましい。
これによると、外気の冷房能力に基づいて、夜間にも空気交換が行われるかどうかの判断がなされる。したがって、寒暖の差が激しい中間期においても、より適切な換気モードで運転され、より適切な温度及び湿度調節の確保並びに省エネルギーでの運転が可能となる。
また、本発明においては、夜間には前記空気交換手段が単位時間当たりに交換できる最大量の空気を前記換気モードで交換することが好ましい。
これによると、夜間における空気交換による温度及び湿度調節の効果が増大する。したがって、より適切な温度及び湿度調節が可能となる。
また、本発明においては、前記室内の空気の状態を検出する空気検出手段と、前記空気検出手段が検出した空気の状態に基づいて前記空気交換手段が交換する空気の量を調節する空気量調節手段とをさらに備えていることが好ましい。
これによると、室内の空気の状態によって適切な空気交換の量が調節され、換気の効果が確保されるとともに、省エネルギーでの運転が可能となる。
また、本発明においては、前記室内の空気の状態には前記室内の空気が有する炭酸ガスの割合が含まれていることが好ましい。
これによると、空気の状態におけるより詳細な情報に基づいて空気交換の量が調節され、より適切な換気がなされる。
また、本発明においては、前記予測値取得手段がインターネットを介した天気予報データから前記予測値を取得することが好ましい。
これによると、インターネットを経由して、温度及び湿度の予測値に係る確度の高い情報が取得される。
本発明の全熱空気交換装置の運転制御方法は、外気を室内へ流入させつつ前記室内の空気を外部へと流出させて空気交換を行う換気モードと、前記室内の空気と外気との間でエンタルピーを交換させつつ前記空気交換を行うエンタルピー交換モードとを備えている全熱空気交換装置の運転制御方法であって、外気のエンタルピーの予測値を定期的に取得する予測値取得工程と、エンタルピーの第1の所定値と前記予測値取得工程で取得した前記予測値との比較に基づいて前記換気モード及び前記エンタルピー交換モードのいずれか一方を選択するモード選択工程と、前記モード選択工程で前記エンタルピー交換モードを選択したときには、前記全熱空気交換装置に前記エンタルピー交換モードで前記空気交換を行わせるエンタルピー交換工程と、前記モード選択工程で前記換気モードを選択したときには、前記予測値取得工程で取得した前記予測値、エンタルピーの第2の所定値及び前記空気交換モードで単位時間当たりに交換できる空気の最大量から外気冷房能力を導出する能力導出工程と、前記能力導出工程で導出した前記外気冷房能力と室内冷房負荷の所定値との比較に基づいて、前記換気モードで交換される空気の単位時間当たりの量及び前記換気モードで空気が交換される時間帯の少なくともいずれか一方を決定する換気決定工程と、前記換気決定工程で決定した前記空気の単位時間当たりの量及び前記時間帯に基づいて前記全熱空気交換装置に前記換気モードで前記空気交換を行わせる換気工程とを備えている。
本発明の全熱空気交換装置の運転制御方法によると、外気冷房能力と室内冷房負荷との比較に基づいて空気交換の量及び時間帯の少なくとも一方が調節される。これによって、室内外の気温の変動が激しい春季や秋季などの中間期においても、適切な換気量や換気のタイミングの制御が行われる。また、外気のエンタルピーの予測値に基づいて換気制御がなされるため、適切な温度等の調節のために十分な情報に基づいて換気制御がなされる。このため、中間期においても、適切な温度及び湿度等の調節が確保されるとともに、より省エネルギーでの運転が可能となる。なお、外気のエンタルピーの予測値に従って、エンタルピー交換モードと換気モードとが切り替えられる。これによって、冬季や夏季と中間期との違いに適切に対応したモード選択が行われ、時季の違いに応じた適切な温度及び湿度調節を確保しつつ、省エネルギーで装置が運転される。
以下、本発明による全熱空気交換装置の最適な実施形態の一例について説明する。
<装置概略>
本実施形態による全熱空気交換装置の全体の概略について説明する。図1は、全熱空気交換装置1の全体の概略構成を示している。
全熱空気交換装置1は、全熱交換器2、換気器3、ドライブユニット4、センサ部5及びコンピュータ6から構成されている。
全熱交換器2は、円形ローター21を有している。円形ローター21は、円形の中心を通る軸について回動可能に全熱交換器2に設置されている。また、円形ローター21は吸湿性を有している。全熱交換器2において、円形ローター21の上半分に相当する部分では吸気が行われ、下半分に相当する部分では排気が行われる。全熱交換器2は、円形ローター21を回転させつつ吸気及び排気を行う。このとき、円形ローター21の下半分に排気が通過する際、排気及び円形ローター21の間で熱及び湿気が交換される。そして、円形ローター21の熱等を交換した部分が回転して上半分に差し掛かった際、吸気及び円形ローター21との間で熱及び湿気が交換される。これによって、全熱交換器2は、吸気及び排気の間で熱及び湿気によるエンタルピーの交換を行う。
換気器3は、吸気及び排気を同時に行うことにより、室内及び外部との間で空気交換を行うものである。
全熱交換器2及び換気器3は、ドライブユニット4に電気的に接続されている。これによって、全熱交換器2及び換気器3の制御が、ドライブユニット4を介して行われる。なお、全熱交換器2及び換気器3が一体の装置になっており、ドライブユニット4の制御によって、全熱交換を伴う運転と空気交換のみを行う運転とが切り替えられるようになっていてもよい。
ドライブユニット4には、コンピュータ6及びセンサ部5が電気的に接続されている。ドライブユニット4は、後述のように、コンピュータ6からの指示に従って、全熱交換器2、換気器3及びセンサ部5を制御する。
コンピュータ6は、LANやダイアルアップを通じて、インターネット101に接続されている。コンピュータ6は、後述のように、インターネット101を介して、外気の温度及び湿度に係る予報値を定期的に取得し、運転状況の問い合わせを受ける。
<ドライブユニット>
ドライブユニット4について説明する。図2は、ドライブユニット4の構成を示している。
ドライブユニット4は、運転モード切替部41、換気量設定部42及びセンサ入力部43を有している。
運転モード切替部41は、定期的にコンピュータ6から送信される制御情報に従って、全熱交換器2及び換気器3の運転を切り替える。つまり、運転モード切替部41は、送信された制御情報に含まれる運転モード情報を参照する。そして、運転モード情報がエンタルピー交換を行いつつ空気交換を行うエンタルピー交換モードを指示している場合には、全熱交換器2を駆動状態にする。運転モード情報がエンタルピー交換を行わず空気交換のみを行う換気モードを指示している場合には、全熱交換器2を駆動が解除された状態にする。
換気量設定部42は、定期的にコンピュータ6から送信される制御情報に従って、全熱交換器2及び換気器3による換気量を設定する。つまり、換気量設定部42は、送信された制御情報に含まれる換気量に応じて、全熱交換器2及び換気器3による換気量を制御する。
センサ入力部43は、センサ部5から入力される室内の空気及び外気の状態に係るアナログ信号を、これらの情報に係るデジタル信号に変えて、コンピュータ6に送信する。
ドライブユニット4は、図示されないI/F回路、ワンチップマイコン及び全熱交換器2の電源切り替え部等を有している。ワンチップマイコンは、I/F回路を通じて、全熱交換器2、センサ部5からの入力及びコンピュータ6との通信を制御する。このように、ワンチップマイコンの制御によって、上記のような運転モード切替部41による制御等が実現されている。
なお、ドライブユニット4による換気量の制御は、全熱交換器2及び換気器3に設置された強弱切り替えスイッチの制御により行われてもよい。また、ドライブユニット4がタイマーを有しており、タイマーのカウントに応じてドライブユニット4が全熱交換器2及び換気器3を間欠的に駆動状態にするものでもよい。
<センサ>
センサ部5について説明する。図3は、センサ部の構成を示している。
センサ部5は、温度センサ51、湿度センサ52及びCO2センサ53を有している。温度センサ51及び湿度センサ52は、室内又は外気の温度及び湿度を検出する。また、CO2センサ53は、室内の空気に含まれるCO2の濃度を検出する。センサ部5は、これらの温度、湿度及びCO2の濃度に係る信号をドライブユニット4に出力する。
<コンピュータ>
コンピュータ6について説明する。図4は、コンピュータ6の構成を示している。
コンピュータ6は、記憶部61、判定部62、制御部63及び記録ファイル更新部64を有している。
記憶部61は、種々の設定値を記憶するエンタルピー記憶部71、冷房負荷記憶部72及び運転記録記憶部73を有している。エンタルピー記憶部71は、3つの異なるエンタルピーの設定値を記憶している。これらのエンタルピーの設定値は、それぞれ、暖房負荷の基準値、冷房負荷の基準値及び外気冷房能力の基準値である。
冷房負荷記憶部72は、室内の冷房負荷に係る設定値を記憶している。運転記録記憶部73は、運転状況等の各種情報が記録された運転記録ファイルを記憶している。
判定部62は、各制御に先立つ種々の判定を行う。判定部62は、暖房負荷判定部81、冷房負荷判定部82、外気冷房能力判定部83、更新時期判定部84及び問い合わせ判定部85を有している。
更新時期判定部84は、全熱交換器2及び換気器3の制御情報を更新するかどうかを判定する。つまり、更新時期判定部84は、あらかじめ設定された時間等の条件に従って、現時点で制御情報を更新すべきかどうかを判定する。更新すべきであると更新時期判定部84が判定した場合には、後述のように、制御情報決定ルーチンが呼び出される。
問い合わせ判定部85は、インターネット101等を通じた外部からの運転状況の問い合わせがあったかどうかなどを判定する。問い合わせがあったと判定した場合には、問い合わせ判定部85は、運転記録記憶部73が記憶している運転記録ファイルを問い合わせ元に送信する。
暖房負荷判定部81は、例えば翌日の昼間に、暖房負荷があるか否かを判断する。具体的には、暖房負荷判定部81は、まず、予測値取得部91(後述)が取得した予測値から、翌日の昼間における外気のエンタルピーを得る。そして、暖房負荷判定部81は、取得した外気のエンタルピーが、エンタルピー記憶部71が記憶している暖房負荷の基準値より小さいか否かを判定する。基準値より小さいと暖房負荷判定部81が判定した場合が、暖房負荷があるときに相当する。
冷房負荷判定部82は、例えば翌日の昼間において、冷房負荷がある程度大きいか否かを判定する。なお、冷房負荷判定部82による判定は、後述のように、翌日の昼間に暖房負荷がないと暖房負荷判定部81が判定した場合に行われる。
具体的には、冷房負荷判定部82は、まず、予測値取得部91(後述)が取得した予測値から、翌日の昼間における外気のエンタルピーを得る。そして、冷房負荷判定部82は、取得した外気のエンタルピーが、エンタルピー記憶部71が記憶している冷房負荷の基準値を超えるか否かを判定する。そして、基準値を超えると冷房負荷判定部82が判定した場合が、冷房負荷がある程度大きい場合に相当する。
外気冷房能力判定部83は、例えば翌日の昼間において、外気冷房能力が室内冷房負荷より大きいか否かを判定する。なお、外気冷房能力判定部83による判定は、後述のように、翌日の昼間の冷房負荷がある程度より大きくないと冷房負荷判定部82が判定した場合に行われる。
具体的には、外気冷房能力判定部83は、まず、翌日の昼間における外気冷房能力を導出する。外気冷房能力は、予測値取得部91(後述)が取得した予測値と、エンタルピー記憶部71が記憶している外気冷房能力の基準値との差、及び、換気器3が単位時間当たりに吸気できる最大の空気量から導出される。外気冷房能力は、外気が換気器3によって最大限室内に取り込まれた場合に、室内の空気がどれほど冷却されるかを示す指針となるものである。そして、外気冷房能力判定部83は、導出した外気冷房能力が、冷房負荷記憶部72が記憶している室内冷房負荷の設定値を超えるか否かを判定する。これによって、室内の冷房負荷に対する外気冷房能力の程度が判断される。
制御部63は、各種制御を行う予測値取得部91、モード選択部92、換気決定部93換気量調節部94及びドライブユニット通信部95を有している。
予測値取得部91は、インターネット101を介して、例えば現時点から24時間以内の温度及び湿度等の予報値を取得する。予測値取得部91は、これらの予報値を、あらかじめ設定された時間等の条件に従って定期的に取得する。そして、予測値取得部91は、これらの予報値から、外気のエンタルピーの予測値を算出する。なお、コンピュータがあらかじめ作成された一日の外気エンタルピー変化の月間平均データを通年分記憶しており、このデータが外気エンタルピーの予測値として使用されてもよい。また、インターネット101を介してエンタルピーの予報値が直接取得し得る場合には、予測値取得部91がエンタルピーの予報値を直接取得してもよい。
モード選択部92は、全熱交換器2及び換気器3の運転モードを選択する。運転モードには、上記のように、エンタルピー交換モード及び換気モードがある。モード選択部92は、暖房負荷があると暖房負荷判定部81が判定した場合、及び、冷房負荷がある程度大きいと冷房負荷判定部82が判定した場合に、エンタルピー交換モードを選択する。また、モード選択部92は、冷房負荷がある程度より大きくないと冷房負荷判定部82が判定した場合に、換気モードを選択する。
換気決定部93は、冷房負荷がある程度より大きくないと冷房負荷判定部82が判定した場合に、換気器3の換気による単位時間当たりの空気交換の量、及び、換気が行われる時間帯を決定する。具体的には、換気決定部93は、外気冷房能力が室内冷房負荷より大きいと外気冷房能力判定部83が判定した場合には、空気交換の量を通常の量、換気の時間帯を昼間のみと決定する。また、換気決定部93は、外気冷房能力が室内冷房負荷以下であると外気冷房能力判定部83が判定した場合には、換気の時間帯を昼間及び夜間と決定する。そして、この場合には、換気決定部93は、換気の量を昼間は通常の量と決定し、夜間は換気器3が単位時間当たりに換気できる最大限の量と決定する。
このように、外気冷房能力が室内冷房負荷以下の場合には、昼間のみならず夜間にも換気器3による換気が行われる。これにより、外気冷房能力が低いと予想される場合には、あらかじめ夜間に換気が行われることにより、室内が十分に冷却される。一方で、外気冷房能力が室内冷房負荷より大きい場合には、外気による冷却効果にある程度余裕があるため、昼間のみ通常の量の換気が行われる。このように、一日ごとの室内外の気温差が激しい中間期においても、外気エンタルピーの予測値に基づいて、適切な温度等の調節が行われる。
換気量調節部94は、ドライブユニット4から送信された室内の空気の状態に係る信号に基づいて換気量を調節する。例えば、室内の空気の状態に係る信号には、炭酸ガスの割合に係る情報が含まれている。換気量調節部94は、この炭酸ガスの割合に応じて、換気量を調節する。なお、本実施形態においては、「通常の」換気量とは、換気量調節部94が調節した換気量を意味するものとする。
ドライブユニット通信部95は、ドライブユニット4に、全熱交換器2及び換気器3の制御情報に係る信号を送信する。この制御情報には、モード選択部92が選択した運転モード並びに換気決定部93が決定した換気の量及び換気の時間帯に係る情報が含まれている。また、ドライブユニット通信部95は、ドライブユニット4から送信されたセンサ部5の検出情報に係る信号を受信する。
記録ファイル更新部64は、あらかじめ設定された時間等の条件に従って、現時点で運転記録記憶部73が記憶している運転記録ファイルを更新すべきか否かを判定する。更新すべきと判定した場合には、記録ファイル更新部64は、運転状況などの各種情報を収集し、運転記録ファイルを更新する。
<運転制御の流れ>
以下、コンピュータ6による全熱交換器2及び換気器3の運転制御における全体の流れを説明する。図5は、運転制御の全体の流れを示すフローである。
まず、更新時期判定部84が、制御情報を更新する時期に至ったかどうかを判定する(S1)。
更新する時期に至ったと判定した場合には(S1、YES)、後述の、制御情報決定ルーチンが呼び出される(S2)。制御情報決定ルーチンにおいては、運転モードがエンタルピー交換モードか換気モードか、並びに、換気の量及び換気の時間帯が決定される。次に、ドライブユニット通信部95が、決定された運転モード及び換気量等の情報を含む制御情報に係る信号をドライブユニット4に送信する(S3)。そして、S1の処理に戻る。
更新する時期に至っていないと判定した場合には(S1、NO)、問い合わせ判定部85が、インターネット等を通じて、運転状況の問い合わせがあったかどうかを判定する(S4)。
問い合わせがあったと判定した場合には(S4、YES)、問い合わせ判定部85が、運転記録記憶部73が記憶している運転記録ファイルを問い合わせ元に送信する(S5)。そして、S1の処理に戻る。
問い合わせがないと判定した場合には(S4、NO)、記録ファイル更新部64が、運転記録記憶部73が記憶している運転記録ファイルを更新する時期に至ったかどうかを判定する(S6)。至ったと判定した場合には(S6、YES)、記録ファイル更新部64が運転記録ファイルを更新し(S7)、S1の処理に戻る。至っていないと判定した場合には(S6、NO)、そのままS1の処理に戻る。
<制御情報決定ルーチン>
制御情報決定ルーチンについて説明する。図6は、制御情報決定ルーチンにおけるコンピュータ6が行う処理を示している。
まず、予測値取得部91が、インターネットを介して得た外気の温度及び湿度に係る予報値から、外気のエンタルピーの予測値を取得する(S21)。
次に、暖房負荷判定部81が、例えば翌日の昼間に、暖房負荷があるか否かを判定する(S22)。暖房負荷があると判定した場合には(S22、YES)、S26の処理に移る。S26において、モード選択部92がエンタルピー交換モードを選択し、換気決定部93が換気量を通常に、換気時間帯を昼間に決定する。そして、制御情報決定ルーチンを終了する。
暖房負荷がないと暖房負荷判定部81が判定した場合には(S22、NO)、S23の処理に移る。S23において、冷房負荷判定部82が、冷房負荷がある程度大きいか否かを判定する。大きいと判定した場合には(S23、YES)、S26の処理に移る。S26において、モード選択部92がエンタルピー交換モードを選択し、換気決定部93が換気量を通常に、換気時間帯を昼間に決定する。そして、制御情報決定ルーチンを終了する。
冷房負荷がある程度より大きくないと冷房負荷判定部82が判定した場合には(S23、NO)、S24の処理に移る。S24において、外気冷房能力判定部83が、外気冷房能力が室内冷房負荷の設定値より大きいか否かを判定する。大きいと判定した場合には(S24、YES)、モード選択部92が換気モードを選択し、換気決定部93が換気量を通常に、換気時間帯を昼間に決定する(S27)。そして、制御情報決定ルーチンを終了する。
外気冷房能力が室内冷房負荷の設定値より大きくないと外気冷房能力判定部83が判定した場合には(S24、NO)、S25の処理に移る。S25において、モード選択部92が換気モードを選択する。そして、換気決定部93が、換気時間帯を昼間及び夜間に決定し、換気量を昼間は通常に、夜間は換気器3の最大限に決定する(S25)。そして、制御情報決定ルーチンを終了する。
以下、本発明による実施例について説明する。
本実施例に係る実施例1及び2並びに比較例1及び2は、冬季においては室温22℃及び湿度50%の室内条件下で、夏季においては室温26℃及び湿度50%の室内条件下で実施されたものである。
また、本実施例に係る実施例1及び2並びに比較例1及び2は、下表1に示される外気負荷(暖房負荷及び冷房負荷に相当する)及び下表2に示される外気冷房能力の条件下で行われたものである。外気負荷Aは、外気の暖房負荷に対応するもので、冬季における昼間の室内条件値2115kcal/kg/25daysから、昼間における外気エンタルピーの25日間の合計値を引いたものである。外気負荷Bは、外気の冷房負荷に対応するもので、昼間における外気エンタルピーの25日間の合計値から、夏季における昼間の室内条件値2858kcal/kg/25日を引いたものである。外気冷房能力は、基準値3150kcal/kg/25日から外気エンタルピーの25日間の合計値を引いたものである。外気負荷A及びB並びに外気冷房能力の単位は、いずれも、[kcal/kg/25日]である。
また、実施例1及び2並びに比較例1及び2において使用された全熱交換器は、エンタルピー交換モードと換気モードとが切り替え可能な一体型の装置である。
(表1)
Figure 2006329584
(表2)
Figure 2006329584
実施例1においては、外気負荷A及びBの大きさに基づき、1月、2月、12月及び3月、並びに、8月及び7月には、エンタルピー交換モードで、昼間のみ最小換気量にて全熱交換器が運転制御された。これ以外の月においては、換気モードで運転制御された。
また、実施例1においては、外気冷房能力の大きさに基づき、11月、4月及び10月には、換気モードで、昼間のみ換気量の調節を伴いつつ(例えば換気量調節部94が換気量を調節する)全熱交換器が運転制御された。さらに、5月、6月及び9月には、換気モードで、昼間は換気量の調整を伴いつつ、夜間は最大換気量で全熱交換器が運転された。
実施例2は、実施例1の条件において、換気量が変化されず固定のまま行われた。
比較例1においては、1年間を通して最大の換気量の換気モードで運転制御が行われた。比較例2においては、1年間を通してエンタルピー交換モード且つ最大の換気量で運転制御が行われた。
図7は、実施例1及び2、並びに、比較例1及び2による月間の空調使用消費電力([kJ])を示している。図7に示されるように、実施例1及び2の消費電力は、いずれも、ほぼ年間を通じて比較例2より小さい。
実施例1及び2、並びに、比較例1及び2による1年間の空調使用消費電力の合計は、それぞれ、25549、28277、36812及び34780[kJ]である。このように、実施例1及び2のいずれにおいても、年間の消費電力が比較例1及び2より小さい。また、実施例1の消費電力は、実施例2の消費電力より小さい。
<変形例>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上記の実施形態においては、暖房負荷があるか否かを判定した後、冷房負荷に係る判定を行っている。しかし、必ずしも暖房負荷の判定が行われなくてもよい。例えば、夏季及びその前後にのみ使用されるような空調機器に本発明が適用される場合には、暖房負荷の判定が不要だからである。
また、上記の実施形態においては、通常の換気量とは、換気量調節部94が調節した換気量を意味している。しかし、通常の換気量が一定に保持されていてもよい。この場合においても、エンタルピー交換モード及び換気モードの選択、並びに、昼間のみの換気時間帯及び夜間を含む換気時間帯の選択が行われ、且つ、夜間の換気量が最大に設定されることにより、これらの選択肢を有していない全熱交換器と比較して、省エネルギーでの運転が実現される。
さらに、上記の実施形態においては、ドライブユニット4とコンピュータ6とが別のものであるが、一体になっていてもよい。あるいは、ドライブユニット4にコンピュータ6の構成の一部が含まれていてもよい。例えば、記憶部61、判定部62、制御部63及び記録ファイル更新部64のうち、予測値取得部91以外の全ての構成をドライブユニット4が有していてもよい。
本発明の一実施形態による全熱空気交換装置の全体概念図である。 図1に示されるドライブユニットの構成を示すブロック図である 図1に示されるセンサ部の構成を示すブロック図である。 図1に示されるコンピュータの構成を示すブロック図である。 図1に示されるコンピュータによる運転制御の全体の流れを示すフローチャートである。 図1に示されるコンピュータの運転制御において呼び出される制御情報決定ルーチンの流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施例による月別の消費電力を示すグラフである。
符号の説明
1 全熱空気交換装置
2 全熱交換器
3 換気器
4 ドライブユニット
6 コンピュータ
51 温度センサ
52 湿度センサ
53 CO2センサ
71 エンタルピー記憶部
72 冷房負荷記憶部
73 運転記録記憶部
81 暖房負荷判定部
82 冷房負荷判定部
83 外気冷房能力判定部
84 更新時期判定部
91 予測値取得部
92 モード選択部
93 換気決定部
101 インターネット

Claims (10)

  1. 外気を室内へ流入させつつ前記室内の空気を外部へと流出させて空気交換を行う空気交換手段と、
    前記室内の空気と外気との間でエンタルピーを交換させるエンタルピー交換手段と、
    第1及び第2のエンタルピーの設定値を記憶するエンタルピー記憶手段と、
    室内冷房負荷の設定値を記憶する負荷記憶手段と、
    外気のエンタルピーの予測値を定期的に取得する予測値取得手段と、
    前記エンタルピー記憶手段が記憶した前記第1のエンタルピーの設定値と前記予測値取得手段が取得した前記予測値との比較に基づいて、前記エンタルピー交換手段が前記室内の空気と外気との間のエンタルピー交換を行いつつ前記空気交換手段が前記空気交換を行うエンタルピー交換モード、及び、前記エンタルピー交換手段の前記エンタルピー交換を行わず前記空気交換手段が空気交換を行う換気モードのいずれか一方を選択するモード選択手段と、
    前記モード選択手段が前記換気モードを選択したときに、前記予測値取得手段が取得した前記予測値、前記エンタルピー記憶手段が記憶した前記第2のエンタルピーの設定値及び前記空気交換手段が単位時間当たりに交換できる空気の最大量から導出される外気冷房能力と、前記負荷記憶手段が記憶した前記室内冷房負荷の設定値との比較に基づいて、前記換気モードで交換される空気の単位時間当たりの量及び前記換気モードで空気が交換される時間帯の少なくともいずれか一方を決定する換気決定手段とを備えていることを特徴とする全熱空気交換装置。
  2. 前記換気決定手段が前記空気の単位時間当たりの量及び前記時間帯の両方を決定することを特徴とする請求項1に記載の全熱空気交換装置。
  3. 前記エンタルピー記憶手段が前記第1のエンタルピーの設定値より小さい第3のエンタルピーの設定値をさらに記憶しており、
    前記モード選択手段が、前記予測値が前記第1のエンタルピーの設定値より大きい場合或いは前記第3のエンタルピーの設定値より小さい場合には前記エンタルピー交換モードを選択し、前記予測値が前記第3のエンタルピーの設定値以上且つ前記第1のエンタルピーの設定値以下の場合には前記換気モードを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の全熱空気交換装置。
  4. 前記換気決定手段が、
    前記外気冷房能力が前記室内冷房負荷を超えると判断したときには、前記時間帯を一日のうちの所定期間のみに決定し、
    前記外気冷房能力が前記室内冷房負荷を超えないと判断したときには、前記時間帯を前記一日のうちの所定期間と前記所定期間以外の期間とを含むものに決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の全熱空気交換装置。
  5. 前記一日のうちの所定期間が昼間であることを特徴とする請求項4に記載の全熱空気交換装置。
  6. 夜間には前記空気交換手段が単位時間当たりに交換できる最大量の空気を前記換気モードで交換することを特徴とする請求項5に記載の全熱空気交換装置。
  7. 前記室内の空気の状態を検出する空気検出手段と、
    前記空気検出手段が検出した空気の状態に基づいて前記空気交換手段が交換する空気の量を調節する空気量調節手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の全熱空気交換装置。
  8. 前記室内の空気の状態には前記室内の空気が有する炭酸ガスの割合が含まれていることを特徴とする請求項7に記載の全熱空気交換装置。
  9. 前記予測値取得手段がインターネットを介した天気予報データから前記予測値を取得することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の全熱空気交換装置。
  10. 外気を室内へ流入させつつ前記室内の空気を外部へと流出させて空気交換を行う換気モードと、前記室内の空気と外気との間でエンタルピーを交換させつつ前記空気交換を行うエンタルピー交換モードとを備えている全熱空気交換装置の運転制御方法であって、
    外気のエンタルピーの予測値を定期的に取得する予測値取得工程と、
    エンタルピーの第1の所定値と前記予測値取得工程で取得した前記予測値との比較に基づいて前記換気モード及び前記エンタルピー交換モードのいずれか一方を選択するモード選択工程と、
    前記モード選択工程で前記エンタルピー交換モードを選択したときには、前記全熱空気交換装置に前記エンタルピー交換モードで前記空気交換を行わせるエンタルピー交換工程と、
    前記モード選択工程で前記換気モードを選択したときには、前記予測値取得工程で取得した前記予測値、エンタルピーの第2の所定値及び前記空気交換モードで単位時間当たりに交換できる空気の最大量から外気冷房能力を導出する能力導出工程と、
    前記能力導出工程で導出した前記外気冷房能力と室内冷房負荷の所定値との比較に基づいて、前記換気モードで交換される空気の単位時間当たりの量及び前記換気モードで空気が交換される時間帯の少なくともいずれか一方を決定する換気決定工程と、
    前記換気決定工程で決定した前記空気の単位時間当たりの量及び前記時間帯に基づいて前記全熱空気交換装置に前記換気モードで前記空気交換を行わせる換気工程とを備えていることを特徴とする全熱空気交換装置の運転制御方法。
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