JP2006329184A - エンジンバルブとその製造方法、及びその形状決定方法及びエンジン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェース部13の外周縁に形成されるエッジ部14を曲面状に形成してある。
【選択図】 図1
Description
また、かかるエンジンバルブ、特に排気バルブとして設けられるエンジンバルブは、その傘部が燃焼室等の高温の燃焼排ガスにより比較的高温に加熱される。よって、その傘部に形成されたフェース部が比較的低温のシート部に着座すると、比較的大きな熱応力が発生することにより、クラックが発生することが懸念される。
近年では、エンジンの高効率化やコージェネレーションシステムの長時間運転に伴って、燃焼室の燃焼排ガスの温度が非常に高くなる傾向があるため、上記のようなエンジンバルブの熱応力の増大化に伴うクラック発生の危険性が高くなる。
また、このようにクラックが発生すると、その部位を起点に疲労破壊が進行する場合もある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンバルブの傘部に発生する熱応力を低減することにより、クラックの発生を抑制し、耐久性に優れたエンジンバルブを実現する点にある。
即ち、上記エンジンバルブの特徴構成によれば、上記エッジ部の外側に形成された傘部の外周側面部が燃焼排ガスにより非常に高温となっており、上記エッジ部の内側に形成されるフェース部がシート部に着座することで冷却された場合でも、上記エッジ部が曲面状に形成されていることにより、温度差に起因して発生する熱応力を低減し、そのエッジ部におけるクラックの発生を抑制することができる。
したがって、エンジンバルブの傘部に発生する熱応力を低減することにより、クラックの発生を抑制し、耐久性に優れたエンジンバルブを実現することができる。
即ち、円弧断面を有する曲面状に形成するようエッジ部を比較的容易な方法で加工することができる。
また、前記研磨加工は、SiCやダイヤモンドの砥粒を用いた微細研磨を用いることが望ましい。従来のグラインダーなどによる研磨よりも、表面粗さを低減させることができ、エッジ部に発生する熱応力によるクラックの発生を良好に抑えることができる。
さらに、上記の製造方法により加工されたエンジンバルブは、これまでに説明してきた本発明に係るエンジンバルブと同様の特徴構成を有するため、同様の作用効果を発揮する。
そこで、上記特徴構成によれば、高温の前記傘部の前記フェース部を低温の前記シート部に着座する状態において、例えば上記解析処理により傘部に発生する熱応力を解析して、エッジ部の曲率半径を、そのエッジ部に発生する熱応力がそのエッジ部を構成する材料特性における許容範囲内となるときの最小の曲率半径である下限値以上に決定することで、そのエッジ部におけるクラックの発生を適切に抑制することができ、更には、エッジ部の曲率半径を、そのエッジ部の内側に形成されたフェース部の接触面に発生する熱応力がそのフェース部を構成する材料特性における許容範囲内となるときの最大の曲率半径である上限値以下に決定することにより、フェース部の接触面の幅をある一定以上に確保して、その接触面におけるクラックの発生をも適切に抑制することができる。
即ち、吸気ポート及び排気ポートの少なくとも一方に、上述したように、エンジンバルブの傘部に発生する熱応力を低減することによりエンジンバルブのクラックの発生を抑制し耐久性に優れたエンジンバルブを、上述した特徴構成を有するエンジンバルブを設けて、エンジンの耐久性を向上することができる。
図1に示すように、エンジンの燃焼室1に通じる吸気ポート及び排気ポートのポート2には、エンジンバルブ10が設けられ、そのエンジンバルブ10は、ポート2側から燃焼室1に向けて延出する軸部11と、その軸部11の先端に形成された傘部12とを備える。
即ち、エンジンバルブ10は、軸部11の軸方向の摺動に伴って、フェース部13をシート部21に対して離間させてポート2を燃焼室1に対して開放する開弁状態と、フェース部13の接触面13aをシート部21に密着させてポート2を燃焼室1に対して閉鎖する閉弁状態とに変位するように構成されている。
なお、上記エッジ部14の断面形状については、比較的容易な加工方法により加工するため円弧断面形状としたが、別に、円弧断面形状とせずに、エッジ部14における熱応力が低減するような滑らかな形状としても良い。
次に、この第1半製品エンジンバルブ10’に対して、図3に示すように、旋盤加工などの公知の加工方法により、前記フェース部13の角部14’を、例えば外周側面15に対してフェース部13の半分の相対角度で交差する面に沿って斜めに切削する面取り加工を施して、前記フェース部13の外周縁に面取りされた面取り面14’’を形成した第2半製品エンジンバルブ10’’を作成する。図3に二点鎖線で最終的なエッジ部14の形状を示した。尚、この面取り加工は、簡単且つ高速で施すことができ、また、面取り加工における切削角度や切削深さ等の加工条件については、後述する研磨加工の研磨のし易さ等を考慮して適切に設定する。
次に、この第2半製品エンジンバルブ10’’に対して、図4に示すように、面取り面14’’の両側に形成された角を滑らかな曲面状とする形態で、公知の研磨加工方法により、SiCやダイヤモンドなどの研磨剤を用いて研磨する研磨加工を施して、上記フェース部13の外周縁に曲面状のエッジ部14を形成したエンジンバルブ10を完成することができる。尚、この研磨加工では、前に前記面取り加工を施すことにより、加工しろが比較的少ない状態になっているので、簡単かつ高速で、表面粗さが非常に少ない曲面状のエッジ部14を有するエンジンバルブ10を製造することができる。そして、このように製造したエンジンバルブ10は、これまで説明してきたように、フェース部13の外周縁に形成された曲面状のエッジ部14において、熱応力によるクラックが良好に抑えられる。
また、この解析処理において、傘部12の直径D1を固定した状態で、上記エッジ部14の曲率半径を増減させて、エッジ部14に発生する熱応力と、フェース部13の接触面13aに発生する熱応力を求めると、エッジ部14の曲率半径を大きくするほど、エッジ部14に発生する熱応力は低減するものの、接触面13aに発生する熱応力は、エッジ部14の曲率半径の拡大に伴う接触面13aの幅の縮小に起因して増加する傾向にあることがわかる。
上記エンジンバルブ10の形状決定方法の実施例について以下に説明を加える。
尚、本実施例では、エンジンバルブ10の形状、傘部12及びバルブシート20の温度は、以下のように設定した。
傘部12の直径D1:40mm
傘部12の裏面側におけるフェース部13の内側端の直径D2:30mm
軸部11の直径D3:9mm
フェース部13の幅F:6mm
外周側面15の高さH:4mm
傘部12の温度:650℃
バルブシート20の温度:450℃
一方、エッジ部14の曲率半径Rの比率を75%よりも大きくした場合には、エッジ部14に発生する最大熱応力が材料特性における許容範囲内に低減されるものの、接触面13aに発生する最大熱応力が、例えば曲率半径Rの比率を0%とした場合にエッジ部14に発生する最大熱応力に対して同等又はそれ以上に、大きくなって、接触面13aにおいてクラックが発生する可能性が高いことが確認された。
したがって、エッジ部14及び接触面13aの両方の最大熱応力が材料特性における許容範囲内となるように、エッジ部Rの曲率半径Rの高さHに対する比率は、25%以上且つ75%以下の範囲内に決定することが望ましいことが確認された。
13:フェース部
13a:接触面
Claims (5)
- シート部に着座するテーパー状のフェース部が形成された傘部を有するエンジンバルブであって、
前記フェース部の外周縁に形成されるエッジ部を曲面状に形成してあるエンジンバルブ。 - 前記エッジ部が、円弧断面形状を有する曲面状に形成してある請求項1に記載のエンジンバルブ。
- シート部に着座するテーパー状のフェース部が形成された傘部を有するエンジンバルブの製造方法であって、
前記フェース部の外周縁を面取り加工した後に研磨して、当該外周縁に曲面状のエッジ部を形成するエンジンバルブの製造方法。 - 請求項1に記載のエンジンバルブの形状決定方法であって、
高温の前記傘部の前記フェース部を低温の前記シート部に着座する状態において、前記エッジ部の曲率半径を、前記エッジ部に発生する熱応力が許容範囲内となる下限値以上、且つ、前記フェース部の前記シート部に対する接触面に発生する熱応力が許容範囲内となる上限値以下に決定するエンジンバルブの形状決定方法。 - 燃焼室に通じる吸気ポート及び排気ポートの少なくとも一方のポートに、請求項1又は2に記載のエンジンバルブを備えたエンジン。
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