JP2006328100A - 有機りん化合物、難燃剤および難燃性有機高分子組成物 - Google Patents

有機りん化合物、難燃剤および難燃性有機高分子組成物 Download PDF

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【課題】有機りん化合物を主成分とした難燃剤およびこれを含有していて、ハロゲンを全く含有していない高度な難燃性有機高分子組成物を提供する。
【解決手段】式1で表される新規な有機りん化合物、これを主成分とする難燃剤およびこれを含有している難燃性有機高分子組成物。
Figure 2006328100

(式中、Rは置換基を持っていてもよいアニリノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、フェノチアジノ基、ベンズヒドリル基または9−フルオレニル基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は有機りん化合物、難燃剤および難燃性有機高分子組成物に関する。さらに詳細には、新規な有機りん化合物、これを主成分とする難燃剤およびこれを含有していて、ハロゲンを含有していない難燃性有機高分子組成物に関する。
従来、有機高分子化合物の難燃剤としては有機ハロゲン化合物がその大きな難燃効果、適用される有機高分子化合物の範囲の広さ、適用の容易さまたは価格の低廉さなどが魅力的であり、有機ハロゲン化合物は難燃剤として広く有機高分子化合物に適用されてきた。また、有機ハロゲン化合物としては塩素系または臭素系のものが実用されていて、それぞれ多種類の化合物がその目的に応じて難燃剤として多量に使用されてきた。
しかし最近では、有機ハロゲン化合物を難燃剤として含有している有機高分子組成物は火災時に有毒ガスを発生し、人体に対して被害を与える事が問題視されている。さらに、ハロゲン系の難燃剤を含有した高分子組成物はその焼却処分時に焼却炉を腐食する酸性ガスを発生するばかりではなく、環境汚染性の強い有害物質を排出する事などが明らかにされている。故に、難燃剤を使用する業界ではこのようなハロゲン系の難燃剤を使用する事を嫌って、ハロゲン系の難燃剤を他の難燃剤に置換しようとする動きが活発であり、中でも有機りん化合物が最近、特に注目されている。しかし、ハロゲン系の難燃剤が広い範囲の有機高分子化合物に効果的に適用されるのに対して、有機りん化合物が難燃剤として効果的なのはポリフェニレンオキサイド、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂またはセルローズ類などのように燃焼時に比較的に炭化物の生成が容易な有機高分子化合物に限られている。故に、有機りん化合物が難燃剤として有効に機能する事の出来ない多くの有機高分子化合物では依然として、ハロゲン系の難燃剤の他の難燃剤への切り替えが円滑でないのが現状である。
有機ハロゲン化合物系の難燃剤と有機りん化合物系の難燃剤との効果上の差異はそれぞれの難燃化の機構の相違であると理解されている。多くの文献によれば有機ハロゲン化合物系難燃剤の難燃化機構は火炎すなわち、高温の気相中で生成される安定なハロゲンラジカルによる火炎の消火作用であると説明されていて、一般に支持されている。そして、それがより多種類の有機高分子化合物に有効である理由の説明としても良く理解出来るものである。一方、有機りん化合物系難燃剤の難燃化機構は、りん化合物による炭化の促進作用によって燃焼時に表面に生成した炭化物皮膜による火源の熱エネルギーの遮蔽効果であると説明されていて、有機りん化合物系の難燃剤の効果的な有機高分子化合物が比較的に炭化物が生じ易い事実と有機りん化合物自身が炭化物類似の表面皮膜を生成し易いもの程難燃効果がより高い事実とはこの説明を裏付けている。
有機ハロゲン化合物系の難燃剤以外の有機化合物でも難燃化の機構がラジカル的消火作用であると考えられる若干の文献が発見される。例えば、特許文献1および特許文献2では有機りん化合物と共に1,1,2,2−テトラメチル−1,2−ジフェニルエタンが使用されていて、この化合物の火炎中でのラジカル対生成による相乗効果的な難燃性が期待されている。また、特許文献3および特許文献4には9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ベンジル−10−オキサイドの特異的な難燃効果が開示されている。そして、この化合物の特異性は通常の有機りん化合物には見出せないものであって、有機りん化合物が殆ど機能しない非炭化性の有機高分子化合物にも難燃効果が見出されている。この事は、これが火炎中で生成する9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド−10−イルラジカルとベンジルラジカルとのラジカル対による火炎の消火作用であろうと推測する事は困難ではない。そして、この化合物のGCマススペクトログラムによる分析によって、その解裂の主ピークが9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド−10−イルラジカルまたはマイナスイオンの質量数に一致する事実からも裏付けられる。また、非特許文献1にはビ−9−フルオレニルの難燃剤としての記述があり、この難燃効果が火炎中で生成される9−フルオレニルラジカルによる消火作用であると推測する事は同様に困難ではない。しかしながら、目下、ハロゲンラジカル以外のラジカルによる難燃機構を持った難燃剤の文献例または実用例は極めて少なく、これは今後大いに発展させなければならない技術分野であろうと思われている。
特開2003−34749号公報 特開2004−115763号公報 特開2002−275473号公報 特開2004−292495号公報 Lattimer & Kroenko : J. Polymer sci., 26, 1191(1981)
本発明の課題はハロゲンを含有しないで、高度の難燃効果を持っている新規な有機りん化合物、これを主成分とする難燃剤およびこれを含有している難燃性有機高分子組成物を提供する事である。
本発明に従って、一般式1で表される新規な有機りん化合物、これを主成分とする難燃剤およびこれを含有している難燃性有機高分子組成物が提供される。
Figure 2006328100
(式1中、Rは置換基を持っていてもよいアニリノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、フェノチアジノ基、ベンズヒドリル基または9−フルオレニル基を示す。)
ここで、置換基を持っていてもよいアニリノ基とはアニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、エチルアニリノ基、o−アニシジノ基、p−アニシジノ基、o−フェネチジノ基、p−フェネチジノ基または1−ナフチルアミノ基などを指している。
各製造例、実施例、比較例および参考例から明らかなように、本発明に係る難燃剤および難燃性有機高分子化合物はハロゲンを全く含有しないで、優れた難燃効果を持っている事が明らかにされ、かつ、それが工業的な規模で容易に実施される事が証明された。なお、参考例によって、構造式3で表される有機りん化合物は放射線処理によって有機高分子組成物中で架橋構造を形成して、その耐熱性が向上する結果が示された。
一般式1で表される有機りん化合物(以下、一般式1と称する。)の持っている広範囲の有機高分子化合物に対する高度の難燃効果はその化学構造からも予測されるように、火炎中で分裂して生成する安定なラジカル対による消火効果であると考えられる。これはハロゲン化合物の難燃機構と類似している。しかし、ハロゲン分子や過酸化物などのラジカル対への分裂がホモリチック(Homolytic)であり、容易であるのに対して、本発明の有機りん化合物のラジカル対への分裂がヘテロリチック(Heterolytic)であるにも関わらず、その分裂が極めて円滑であるのは分裂によって生成するラジカル対の不対電子が双方に隣接するベンゼン環のπ電子によって安定化されている理由によると考えられる。故に、一般式1はりん原子および分裂の予測される他のラジカル原子すなわちRラジカル原子が共にベンゼン環に結合している事が特徴であり、これが本発明の技術思想でもあり、一般式1の構造を限定している理由でもある。
本発明に係る有機りん化合物を主成分とした難燃剤もまた可塑剤、酸化防止剤または紫外線吸収剤などの高分子添加剤と同様に分子量が小さくて揮発性の大きなものは有機高分子化合物との高温度下での混合または成形工程などで揮発して作業環境を汚染するだけではなく、有機高分子組成物の使用中に徐々に揮発してその添加効果を次第に減ずるので好ましくない。たとえば、1,1,2,2−テトラメチル−1,2−ジフェニルエタンは火炎中で二個のクミルラジカルに分裂する事が知られているがその分子量が238.37と非常に小さく、難燃効果が充分に発揮される程度の量を有機高分子化合物に添加して高温で混合または成形すればその工程中で多く揮発して、著しく作業環境を不快なものにする。逆に、その分子量があまりにも大きくて燃焼時にも揮発する事が少なく、従って、火炎中でのラジカル対の生成が少ない化合物も、その添加効果が充分に発揮されないので好ましくない。一般に有機化合物の揮発性はその分子量だけに依存するものではないが、類似化合物を比較する時にはその分子量を揮発性の目安とする事が出来る。通常、水素結合を形成しない化合物は揮発性が大きく、本発明の目的には分子量が330〜430の範囲内が最も好ましい。水素結合を形成する化合物は揮発性がそれより小さく、分子量が300〜400の範囲内が最も好ましい。ただし、これらの好ましい分子量の範囲は本発明者等の多くの経験から得られた単なる目安に過ぎない。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ベンジル−10−オキサイドは水素結合を形成する事がなく、その分子量が306.3とやや小さく、混合または成形の工程中で揮発してその特有の不快臭を発する事が知られている。
有機化合物がラジカル対に分裂する仕方には先に述べたように、二つの様式がある。その一つは、有機過酸化物または若干のアゾ化合物のようにラジカル対に分裂しやすい化学構造を持った化合物のホモリチックな分裂様式であり、その分裂温度は一般に150℃以下であって、難燃剤として使用するには低すぎる分裂温度である。他の一つは本発明に係る有機りん化合物のように、安定なラジカル対に分裂する事が出来る化学構造を持った化合物のヘテロリチックな分裂様式である。通常、本発明の有機りん化合物のラジカル対へのヘテロリチックな分裂温度は一般に200℃よりも高く、難燃剤として利用するのには好適である。その分裂の仕方は分裂によって生成する二つのラジカル対がより安定な程好ましい。仮に、一般式1におけるRにあたる基がメチル基、ベンジル基、ベンズヒドリル基または9−フルオレニル基として比較した時、これらの分裂によって生成する9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド−10−イルラジカルと対をなすラジカルの安定性はメチル≪ベンジル<ベンズヒドリル<9−フルオレニルの順であり、最も不安定なメチル基の場合はラジカル対への分裂は困難であって、そのラジカル的な難燃効果も殆ど期待されない。一方、ベンズヒドリルラジカルおよび9−フルオレニルラジカルは二つのベンゼン環で安定化されていて、ラジカル対への分裂がより円滑であり、しかもその難燃効果はベンジル基の場合よりも高い。これは、ハロゲンラジカルの安定性がF≪C1<Br<Iの順であり、その難燃効果の大きさもこの順序である事実に相似している。
通常、有機りん化合物は有機高分子化合物の燃焼時に炭化物の生成を促進する作用を持っていて、これは若干の有機高分子化合物の難燃剤として有効である。しかし、一般式1は一種の有機りん化合物であるにも関わらず、他の有機りん化合物とは異なっていて、有機高分子化合物に対する燃焼時の炭化促進作用が殆ど見られない。故に、他の有機りん化合物が有効なポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂またはセルローズ類などの比較的に炭化物生成の容易な有機高分子化合物などには本発明の有機りん化合物と共に他の有機りん化合物を添加すれば、相乗的な効果が見られて、より高い難燃性が与えられる。
他の有機りん化合物の内、分子中に一個のりん原子を持っているものとしてはトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルキシリルホスフェート、フェニルジキシリルホスフェート、ジフェニル−o−キセニルホスフェートまたはジフェニルフェニルホスホネートなどが挙げられ、それらは既に公知であって、その製造方法も知られている。分子中に二個以上のりん原子を持っている有機りん化合物は特開平5−1079号公報、特開平6−306277号公報、特開平8−277344号公報、特開平8−301884号公報、特開平10−45774号公報、特開平11−343382号公報または特開2004−115763号公報などに記述があり、その製造方法も明らかにされている。本発明に相乗効果を与える目的で、特に好適に利用される他の有機りん化合物は分子中に二個のりん原子を持っているものである。
本発明の難燃剤が適用される有機高分子化合物は広範囲にわたっていて、ポリオレフィン類、ポリブタジエン、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレングラフト共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレングラフト共重合体(MBS樹脂)、ポリイソプレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ブタジエン・スチレングラフト重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂ポリマーアロイ、ポリアミド類、ポリウレタン類、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはセルローズ類などが挙げられ、特にポリオレフィン類、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド類、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂・ABS樹脂ポリマーアロイなどのハロゲン系難燃剤以外では効果の比較的に小さい有機高分子化合物への適用は本発明の効果が最も特徴的なものである。
本発明に係る難燃性有機高分子化合物は主としてフィルム、押出し成形品または鋳造品として実用化される。また、PETおよびポリアミド類はフィルムまたは成形品として実用される事もあるが、繊維として織物などに実用される事も多い。難燃性繊維の製造方法としては、PETまたはポリアミド類に難燃剤を溶融混合してから、紡糸する方法と難燃剤を含有していない繊維または織物を一般式1の溶液または水系エマルジョンで処理してから、100℃以上で加熱処理を施して難燃剤を繊維内部に固定し、難燃性の繊維または織物を製造する方法との二つを採用する事が出来る。
通常、一般式1を難燃剤として有機高分子化合物に添加する時、その添加量は0.5ないし25重量%、より好ましくは1ないし20重量%そして最も好ましくは2ないし15重量%である。一般式1と同時に使用される他の有機りん化合物は任意に添加する事も出来るが、必要ならば2ないし15重量%、さらに好ましくは3ないし14重量%そして最も好ましくは5ないし12重量%が添加される。前者の添加量が0.5重量%未満では充分な難燃効果は得られず、25重量%を越えてもそれ以上の効果は得られないばかりでなく、有機高分子組成物の物理的な性質を低下させるので好ましくない。また、後者の添加量が2重量%未満では、前者との充分な相乗効果が期待されず、15重量%を越えても相乗効果のそれ以上の向上は期待されない。
一般式1はその製造方法の点で二つの形式に分けられる。その一つは窒素原子を持った有機りん化合物であって、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドの10位の置換基すなわち、一般式1におけるRが、置換基を持っていてもよいアニリノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基またはフェノチアジノ基であるものが例示される。これらは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ハロゲノ−10−オキサイドと置換基を持っていてもよいアニリン、ジフェニルアミン、カルバゾールまたはフェノチアジンとを塩基の存在下または不存在下に縮合反応を行なわせて製造される。他の一つは窒素原子を持たない有機りん化合物であって、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドの10位の置換基がベンズヒドリル基または9−フレオニル基であるものが例示される。これらは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドとベンズヒドリルハロゲナイドまたは9−ハロゲノフルオレンとを直接に脱ハロゲン化水素縮合反応を行なわせて製造される。ここで、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ハロゲノ−10−オキサイドは9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドとハロゲンとの反応または9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドの前駆体である9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−クロライドの酸化反応によって調製する事が出来る。特に、後者の方法は調製工程が簡略であり工業的には前者より有利である。以上の方法で調製される一般式1としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−アニリノ−10−オキサイド(以下、「10−アニリノ」と称する。)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ジフェニルアミノ−10−オキサイド(以下、「10−ジフェニルアミノ」と称する。)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−カルバゾリル−10−オキサイド(以下、「10−カルバゾリル」と称する。)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−フェノチアジノ−10−オキサイド(以下、「10−フェノチアジノ」と称する。)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ベンズヒドリル−10−オキサイド(以下、「10−ベンズヒドリル」と称する。)または9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−(9−フルオレニル)−10−オキサイド{以下、「10−(9−フルオレニル)」と称する。}が例示される。
一般式1は他の有機りん化合物との相乗的な難燃効果が期待される。中でも、分子中に二個のりん原子を持っている他の有機りん化合物は既に述べた通り、効果的であり、さらに、分子中に二個のりん原子と四個の窒素原子を持っている有機りん化合物はより効果的である。その中には新規な化合物も含まれている。そして、それは次の一般式2で表される。
Figure 2006328100
(式2中、R1、R2、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アリル基またはフェニル基を示し、R1とR2またはR3とR4が結合して環状のピロリジノ基、ピペリジノ基またはモルホリノ基を形成してもよい。また、R5は水素原子またはメチル基を示し、Xはメチレン基、1,1−エチレン基、2,2−プロピリデン基またはスルホニル基を示し、nは0または1を示す。)
これら窒素原子を持っている有機りん化合物は過剰量のオキシ塩化りんと4,4′−ビフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノール−F)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノール−S)、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノール、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタンまたはビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンとを塩化マグネシウムの存在下に縮合反応させてから、過剰量のオキシ塩化りんを除去した後で、有機塩基の存在下でアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたはアニリンとを縮合反応させて調製する事が出来る。ちなみに、R1、R2、R3またはR4の内、多くのアリル基を持っているものは有機高分子化合物に添加後、電子線またはγ線などの放射線処理を施す事によって、重合反応が起きて高分子化合物に架橋構造が形成されるためにその耐熱性を向上させる効果を持っていて有効に利用される。
本発明の適用が好ましい有機高分子化合物は既に記述した通りであり、本発明の適用が最も好ましい有機高分子化合物も既に記述したが、ポリオレフィン類、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド類、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂・ABS樹脂ポリマーアロイなどが挙げられる。ここで、ポリオレフィン類としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンまたはポリメチルペンテンが挙げられる。ABS樹脂はその製造方法および構成モノマーの比率によって多種類のものが製造されている。ポリアミド類はナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン−12、共重合ナイロン、ナイロン−MXD,6またはナイロン−4,6などが例示される。ポリカーボネート樹脂とは、通常、ビスフェノール−Aとホスゲンとの重縮合体を指しているが、ビスフェノール−Aと共に4,4′−ビフェノール、ビスフェノール−Fまたは3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェノール、さらに末端基として、フェノール、p−ターシャリブチルフェノール、p−クミルフェノールまたはp−フェニルフェノールなどが共重合されていてもよい。
これらの有機高分子化合物には、一般式1を主成分とする難燃剤および必要ならば他の有機りん化合物を添加し、さらに可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、発泡剤または無機充填剤などを添加する事が出来る。可塑剤としては、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ジエチレングリコールエステル、トリエチレングリコールエステルまたは高分子量エステル類などのカルボン酸エステル類、りん酸エステル類またはスルホンアミド類が使用される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、硫黄系またはりん系のものが使用される。紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系またはベンゾトリアゾール系のものが使用される。帯電防止剤、着色剤、滑剤、または発泡剤は一般市販のものが使用されてよい。無機充填剤としてはガラス繊維、炭素繊維、無水珪酸、クレイ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化アンチモンなどが使用される。なお、無機充填剤が20重量%以上添加されれば、有機高分子組成物の耐熱性と難燃性が向上する事が知られている。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化スズまたは酸化アンチモンなどは無機難燃剤としての効果も期待される。
次に本発明をさらに明確にするために、具体的な製造例、実施例、比較例および参考例を挙げて説明する。なお、例中、「%」は重量%を「部」は重量部を表すものとする。ただし、以下の製造例および実施例は本発明を限定するものではない。
(製造例1)(「10−アニリノ」の製造)
(製造例1−1)(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ブロモ−10−オキサイドの製造)
かきまぜ機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよびガス吹き込み口の付いた内容積2,000mlの硬質ガラス製五つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド324.3g(1.5モル)およびクロロベンゼン900gを仕込んだ。ガス吹き込み口から窒素ガスを吹き込みながらフラスコを加熱して、内容物の温度を100℃まで上昇させた。内容物が融解したので、強くかきまぜながら内容物の温度を80℃まで冷却した。ここで、滴下ロートから臭素239.7g(1.5モル)をゆっくり滴下した。反応は発熱であり、フラスコを冷却して内容物の温度を70〜80℃に保った。反応により発生した臭化水素は還流冷却器の上部から外に誘導して処理した。滴下終了と同時に反応は終了した。ここで、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ブロモ−10−オキサイドのクロロベンゼン溶液が調製された。
(製造例1−2)(「10−アニリノ」の製造)
かきまぜ機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよびガス吹き込み口の付いた内容積10,000mlの硬質ガラス製五つ口フラスコにアニリン559g(6モル)およびトルエン3,000gを仕込んだ。ガス吹き込み口から窒素ガスを吹き込んで、滴下ロートから製造例1−1で得られ、保温しておいた9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−ブロモ−10−オキサイドのクロロベンゼン溶液を滴下した。滴下は70℃で3時間を要した。滴下終了と同時に縮合反応は完了した。1.50モルの水酸化ナトリウムを含有した水1,000gを加えて、80℃で30分間かきまぜ、30分間静置した。水層を除去して、さらに水1,000gを加え30分間かきまぜ、30分間静置して水層を除去した。この操作をもう一度繰り返してから、還流冷却器の下部に水分離器を取り付けて、フラスコを加熱しトルエンと共沸する水を除去した。これを熱時濾過してから0℃まで冷却して結晶を析出させた。結晶を濾過して、冷却したトルエン600gで洗浄し、乾燥した。融点が211℃の白色結晶430gが得られた。結晶は液体クロマトグラム(LC)分析で純度が99%である事が知られた。この赤外吸収スペクトル(IR)は図1、1H NMRは図2の通りであった。なお、元素分析の結果は炭素が70.41%(理論値:70.36%)、水素が4.58%(理論値:4.592%)、窒素が4.57%(理論値:4.559%)そしてりんが10.10%(理論値:10.08%)であり、これが「10−アニリノ」である事が確認された。
(製造例2)(「10−ジフェニルアミノ」の製造)
かきまぜ機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよびガス吹き込み口の付いた内容積10,000mlの硬質ガラス製五つ口フラスコにトリエチルアミン51g(0.5モル)、ジフェニルアミン271g(1.6モル)およびトルエン4,000gを仕込んだ。ガス吹き込み口から窒素ガスを吹き込みながら強くかきまぜて、内容物の温度を50℃に保った。滴下ロートから製造例1−1と同じ方法で得られた反応混合物を滴下した。滴下に1時間を要した。さらに内容物の温度を60℃にして、25%水酸化ナトリウム水溶液224g(1.4モル)を滴下した。滴下に2時間を要した。さらに2時間熟成して2%の希硫酸2,000gを加えて温度60℃で30分間強くかきまぜた。30分間静置してから水層を除去した。これに、水2,000gを加えて60℃で30分間かきまぜて30分間静置した。水層を除去してから、もう一度同じ操作を繰り返した。有機物層を脱水しながら約2,300gになる迄濃縮した。これを熱時濾過して、濾液を徐々に冷却して結晶を析出させながら0℃まで冷却した。析出した結晶を濾過して、さらに冷却したトルエン600gで洗浄し、乾燥した。融点が147℃の白色結晶520gが得られた。これはLC分析で純度が99%である事が知られた。また、IRは図3、1H NMRは図4の通りであった。なお、元素分析の結果は炭素が75.3%(理論値:75.197%)、水素が4.72%(理論値:4.732%)、窒素が3.65%(理論値:3.655%)そしてりんが8.08%(理論値:8.079%)であり、これらの分析結果から、これが「10−ジフェニルアミノ」である事が確認された。
(製造例3)(「10−ベンズヒドリル」の製造)
かきまぜ機、温度計、ガス吹き込み口および還流冷却器の付いた内容積2,000mlのガラス製四つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド335g(1.55モル)、ベンズヒドリルクロライド304g(1.5モル)およびオルソジクロロベンゼン200gを仕込んだ。ガス吹き込み口から少しずつ窒素ガスを吹き込んだ。フラスコを加熱し、徐々に温度を上げて100℃にした。フラスコ内容物が融解したので、かきまぜ機を動かした。さらに、徐々に内容物の温度を上げた。内容物の温度が140℃に達した頃から還流冷却器上部から塩化水素ガスが流出したので、外部に導いて処理した。さらに、内容物の温度を徐々に上げて170℃に6時間保った。塩化水素ガスの発生が停止し、LC分析の結果、原料のベンズヒドリルクロライドが検出されなくなった。内容物の温度を110℃にして、トルエン900gおよび沸騰水500gを添加した。30分間かきまぜた後、30分静置して水層を除去した。水500gを加えて、80℃で30分間かきまぜてから30分間静置して水層を除去した。この操作をさらに一度繰り返した。これを共沸的に脱水してから、熱時濾過して濾液を徐々に冷却して結晶を析出させた。10℃まで冷却してから濾過し、結晶を冷却したトルエン400gで洗浄した。乾燥した結晶は白色で融点が177℃であり、520gが得られた。LC分析ではこれが99%の純度である事が知られた。これのIRは図5そして1H NMRは図6の通りであり、元素分析の結果はりんが8.11%(理論値:8.100%)、炭素が78.50%(理論値:78.52%)そして水素が5.01%(理論値:5.003%)であった。これらの分析結果から、これが「10−ベンズヒドリル」である事が確認された。
(製造例4)(構造式3で表される有機りん化合物の製造)
Figure 2006328100
(式3中、Yは3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェニレン基を示す。)
かきまぜ機、温度計、還流冷却器およびガス吹き込み口の付いた内容積800mlのガラス製四つ口フラスコに3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノール240.3g(1モル)、オキシ塩化りん613.3g(4モル)および無水塩化マグネシウム2gを仕込んだ。ガス吹き込み口からゆっくり窒素ガスを吹き込んで、かきまぜながらフラスコを加熱した。内容物の温度が107℃になって、オキシ塩化りんが沸騰し始め、還流冷却器上部から塩化水素ガスが流出したので、外部に導いて処理した。反応に従って内容物の温度が上昇したが115℃を越える事はなかった。オキシ塩化りんが沸騰し始めてから約10時間後に塩化水素ガスの発生が止まり反応の完結が知られた。窒素ガスの吹き込みを止め、還流冷却器を蒸留口に切り替えて、2.5kパスカルの減圧下、80℃で過剰量のオキシ塩化りんを蒸留除去した。これをかきまぜ機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよびガス吹き込み口の付いた内容積10,000mlのガラス製四つ口フラスコに移して、トルエン3,000gおよびジメチルホルムアミド(DMF)3,000gを仕込んだ。ガス吹き込み口から窒素ガスを吹き込み、かきまぜながらフラスコを加熱して、内容物の温度を60℃に保った。滴下ロートからジアリルアミン427.5g(4.4モル)を2時間で滴下した。さらに3時間熟成して、滴下ロートからアリルアミン251.2g(4.4モル)を3時間で滴下した。滴下後に内容物の温度を80℃に上げて5時間熟成した。これに2%希硫酸3,000gを加えて70℃で30分かきまぜてから、30分静置した。水層を除去して、さらに水3,000gを加えてから70℃で30分かきまぜてから、30分静置して水層を除去した。この操作をさらに2回繰り返して有機物層からトルエンを除去して2,500mlにまで濃縮した。これを熱時濾過してから、徐々に冷却して10℃にした。析出した結晶を濾過して、冷却したトルエン500gで洗浄し、乾燥した。融点が149℃の白色の結晶570gが得られた。元素分析の結果はりんが9.70%(理論値:9.699%)、炭素が64.01%(理論値:63.936%)、水素が7.61%(理論値:7.574%)そして、窒素が8.77%(理論値:8.77%)であり、これが構造式3で表される有機りん化合物(以下、「構造式3」と称する。)である事が確認された。
(実施例1)
日本国、三井化学社製のポリメチルペンテン(TPX)100部にガラス短繊維30部、クレイ10部および製造例2で得られた「10−ジフェニルアミノ」15部を加えて加熱混合し、押し出し成形機でUL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例1−2)
実施例1で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を製造例3で得られた「10−ベンズヒドリル」15部に代えた以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例2)
市販のポリスチレン100部にガラス短繊維30部、クレイ10部、「10−ジフェニルアミノ」9部および製造例4で得られた「構造式3」6部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験機規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例2−2)
実施例2で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−ベンズヒドリル」9部に代えた以外は実施例2と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例3)
日本国、東レ社製のABS樹脂100部にガラス短繊維30部、クレイ10部および「10−ジフェニルアミノ」15部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例3−2)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−ベンズヒドリル」15部に代えた以外は実施例3と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例3−3)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を製造例1で得られた「10−アニリノ」15部に代えた以外は実施例3と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例4)
市販のポリエチレンテレフタレート(PET)100部にガラス短繊維30部、クレイ10部および「10−ジフェニルアミノ」15部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例4−2)
実施例4で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−ベンズヒドリル」15部に代えた以外は実施例4と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例5)
実施例4で使用したPET100部を市販のポリブチレンテレフタレート(PBT)100部に代えた以外は実施例4と同様にして試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例5−2)
実施例5で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−ベンズヒドリル」15部に代えた以外は実施例5と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例6)
日本国、旭化成社製ナイロン6,6 100部にガラス短繊維30部、クレイ10部および「10−ジフェニルアミノ」15部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例6−2)
実施例6で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−ベンズヒドリル」15部に代えた以外は実施例6と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例6−3)
実施例6で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−アニリノ」15部に代えた以外は実施例6と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例7)
実施例6で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−ジフェニルアミノ」9部と「構造式3」6部とに代えた以外は実施例6と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例7−2)
実施例7で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−ベンズヒドリル」9部に代えた以外は実施例7と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例7−3)
実施例7で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−アニリノ」9部に代えた以外は実施例7と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例8)
市販のポリカーボネート樹脂100部にガラス短繊維30部、クレイ10部、「10−ジフェニルアミノ」9部および「構造式3」6部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例8−2)
実施例8で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−ベンズヒドリル」9部に代えた以外は実施例8と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例9)
市販のABS樹脂・ポリカーボネート樹脂ポリマーアロイ100部にガラス短繊維30部、クレイ10部、「10−ジフェニルアミノ」9部および「構造式3」6部を加えて加熱混合し、UL−94の燃焼試験規格に合致する厚さ1/16インチの試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例9−2)
実施例9で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−ベンズヒドリル」9部に代えた以外は実施例9と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例9−3)
実施例9で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部を「10−アニリノ」9部に代えた以外は実施例9と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例10)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−カルバゾリル」15部に代えた以外は実施例3と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例11)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−フェノチアジノ」15部に代えた以外は実施例3と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(実施例12)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「10−(9−フルオレニル)」15部に代えた以外は実施例3と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例1)
実施例1で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例2)
実施例2で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部および「構造式3」6部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例2と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例3)
実施例3で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例3と同様にして試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例4)
実施例4で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例4と同様にして試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例5)
実施例5で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例5と同様にして試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例6)
実施例6で使用した「10−ジフェニルアミノ」15部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例5と同様にして試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例7)
実施例7で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部と「構造式3」6部をトリフェニルホスフェート15部に代えた以外は実施例7と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例8)
実施例8で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部と「構造式3」6部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例8と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(比較例9)
実施例9で使用した「10−ジフェニルアミノ」9部と「構造式3」6部を「構造式3」15部に代えた以外は実施例9と同様にして、試験片を作成した。燃焼試験の結果を表−1に示す。
(参考例1)
実施例7、実施例7−2および実施例7−3で得られた試験片をコバルト60のγ線で40kGyの照射をした。これらの試験片は280℃に加熱しても溶融する事がなく、未照射の試験片は変形した。また、UL−94の燃焼試験ではいずれもV−0に位置付けされた。
(参考例2)
実施例9、実施例9−2および実施例9−3で得られた試験片をコバルト60のγ線で40kGyの照射をした。これらの試験片は280℃に加熱しても溶融する事がなく、未照射の試験片は溶融した。また、UL−94の燃焼試験ではいずれもV−0に位置付けされた。
Figure 2006328100
製造例1で得られた「10−アニリノ」の赤外吸収スペクトルである。 製造例1で得られた「10−アニリノ」の1H NMRである。 製造例2で得られた「10−ジフェニルアミノ」の赤外吸収スペクトルである。 製造例2で得られた「10−ジフェニルアミノ」の1H NMRである。 製造例3で得られた「10−ベンズヒドリル」の赤外吸収スペクトルである。 製造例3で得られた「10−ベンズヒドリル」の1H NMRである。

Claims (11)

  1. 一般式1で表される有機りん化合物の一種以上を主成分とする事を特徴とする難燃剤。
    Figure 2006328100
    (式1中、Rは置換基を持っていてもよいアニリノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、フェノチアジノ基、ベンズヒドリル基または9−フルオレニル基を示す。)
  2. 一般式1においてRがアニリノ基、ジフェニルアミノ基またはベンズヒドリル基である事を特徴とする有機りん化合物。
  3. 有機高分子化合物が一般式1で表される有機りん化合物を0.5ないし25重量%含有している事を特徴とする難燃性有機高分子組成物。
  4. 有機高分子化合物がポリオレフィン類である請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  5. 有機高分子化合物がポリスチレンである請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  6. 有機高分子化合物がABS樹脂である請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  7. 有機高分子化合物がポリエチレンテレフタレートである請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  8. 有機高分子化合物がポリブチレンテレフタレートである請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  9. 有機高分子化合物がポリアミド類である請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  10. 有機高分子化合物がポリカーボネート樹脂である請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
  11. 有機高分子化合物がポリカーボネート樹脂・ABS樹脂ポリマーアロイである請求項3に記載の難燃性有機高分子組成物。
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