JP2006327453A - 車両用エアコン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンによって駆動され、通常モードと前記通常モードよりも機能を制限された制限モードとを切り換えて運転されるコンプレッサを有する車両用エアコンの制御装置を、エンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検出部30と、エンジンが所定の高負荷状態にある場合にコンプレッサが通常モードで運転される頻度を他の場合に対して増加させるコンプレッサ制御部10とを備える構成とする。
【選択図】図2
Description
また、車両用のエアコンは、空調対象となる車室内の温度がユーザによる設定温度と略一致するように制御されるオートエアコンと称されるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
さらに、オートエアコンは、車両の走行時に蓄冷運転を行い、アイドル時やアイドルストップ時等には冷凍サイクルの状態を変化させて、蓄冷された冷媒を用いて空調を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献4)。
本発明の課題は、車両の実走行燃費を向上する車両用エアコン制御装置を提供することである。
請求項1の発明は、エンジンによって駆動され、通常モードと前記通常モードよりも機能を制限された制限モードとを切り換えて運転されるコンプレッサを有する車両用エアコンの制御装置において、前記エンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検出部と、前記エンジンが所定の高負荷状態にある場合に前記コンプレッサが前記通常モードで運転される頻度を他の場合に対して増加させるコンプレッサ制御部とを備えることを特徴とする車両用エアコン制御装置である。
(1)一般に、スロットルバルブ等を用いて吸気を絞ることによって出力の調整を行う4ストローク内燃機関は、負荷が低い領域においては排気行程から吸気行程にかけて発生するポンピングロスが増大し、同時に燃焼ガスからシリンダブロック等への伝熱に起因する冷却損失も増加するから熱効率が低下し、燃料消費率が低下する。
これに対し、本発明の場合には、ポンピングロス、冷却損失が少ないことからエンジンの熱効率が高く、燃料消費率が良くなる高負荷状態の場合にコンプレッサが通常モードで運転される頻度を増やしているから、仮に必要な冷房能力(仕事量)が同じであると仮定すると、エンジンの負荷変化に対して制御を行わない場合よりも少ない燃料消費量によってこの冷房能力を発揮することができ、エアコン使用による実走行燃費の悪化を抑制することができる。
さらに、車両の加速時等に積極的にコンプレッサを通常モードで運転し、エンジンの負荷を増加させることによって、エンジンをより熱効率の高い領域で使用することができる。
(2)車両が減速状態にあるときにコンプレッサが通常モードで駆動される頻度を増やしているから、例えばブレーキから熱エネルギとして車外に排出されていた車両の運動エネルギをコンプレッサの駆動力として活用することができ、定速走行時等におけるコンプレッサの駆動負荷を低減し、車両の燃料消費率を向上することができる。
本実施例において、車両は例えば乗用車等の自動車であって、4ストロークのガソリンエンジンを有するものである。このガソリンエンジンは、インテークシステムに設けられたスロットルバルブによって吸気を絞り、インテークポート内の負圧を調整して出力を制御するものである。
なお、このコンプレッサは、エンジンから得た動力によって駆動される状態(通常モード)と、エンジンからの動力を後述するマグネットクラッチによって切断され、その駆動を停止された状態(制限モード)とを随時切換ながら運転されるものである。
エアコン制御装置1は、エアコン(AC)コントロールユニット10と、エアコン(AC)コントロールパネル20と、エンジン制御ユニット(ECU)30と、ボディ統合ユニット40とを備えたシステムとして構成されている。
ACコントロールユニット10は、内気温センサ11、日射センサ12、エバポサーモセンサ13にそれぞれ接続されている。
日射センサ12は、車両が受ける日光の強さを電流の変化に変換するフォトダイオードを備え、その出力をACコントロールユニット10に伝達するものである。日射センサ12は、例えば車両のダッシュボード上面部に備えられている。
エバポサーモセンサ13は、図示しないエアコンユニットのエバポレータを通過する空気の温度を検出し、その温度に応じた信号をACコントロールユニット10に伝達するものである。
マグネットクラッチリレー14は、ACコントロールユニット10から出力される制御信号に応じて、図示しないエンジンのクランクシャフトからコンプレッサへの動力の伝達を断続するマグネットクラッチ15に駆動電力を供給するものである。
吸気管負圧は、インテークシステムのスロットルバルブよりも下流側(エンジン本体側)の領域であるインテークマニホールド内の圧力である。
スロットルポジションは、吸気管路を開閉するスロットルバルブの位置に関する情報であって、例えばスロットルバルブの駆動部にエンコーダ等の位置センサを設けて検出したり、電子制御スロットル(スロットル・バイ・ワイヤ)を採用する車両の場合には、スロットルを駆動するアクチュエータの制御信号に基づいて検出してもよい。
車速は、例えば車両のホイールハブ部等に設けられる車速センサが出力する車速パルス信号に基づいて算出されるものである。
外気温センサ41は、サーミスタを使用して外気温度を感知し、この温度に応じた信号をACコントロールユニット10に伝達するものである。外気温センサ41は、例えば車両前端部のラジエータロアパネルに取り付けられ、その温度容量を高めて急激な温度変化に過敏に反応することを防止するために樹脂成形品のカバーが設けられている。
ライティングスイッチ42は、例えば車室内のステアリングコラム部等に備えられ、ヘッドランプ等の灯火類の点灯・消灯操作を行うものである。
上述したボディ統合ユニット40は、これらの外気温センサ41、ライティングスイッチ42からの入力をACコントロールユニット10に伝達する。
図2は、エアコン制御装置1の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
(ステップS01:パラメータ入力)
ACコントロールユニット10は、下記のパラメータが入力される。
設定温度:Tset
内気温度:Tr
外気温度:TAM
日射量:Ts
夜間照明補正量:Tn
エバポ温度:TE
ここで、設定温度Tsetは、ACコントロールパネル20によってユーザが入力したものである。
内気温度Tr、外気温度TAM、日射量Ts、エバポ温度TEは、それぞれ内気温センサ11、外気温センサ41、日射センサ12、エバポサーモセンサ13がそれぞれ検出したものである。
夜間照明補正量Tnは、ライティングスイッチ42の出力に応じて設定されるものであって、ヘッドランプ等の夜間照明がオンである場合はこの夜間照明オン時間に基づいて定められ、オフである場合はこの夜間照明オフ時間に基づいて定められるものである。
ACコントロールユニット10は、ステップS01において入力された各パラメータに基づいて、車室内に設けられた図示しない吹出口から吹き出す空気の目標温度である必要吹出温度TAOを決定する。
必要吹出温度TAOは、設定温度Tsetがその下限値(例えば18.0℃)、上限値(例えば32.0℃)にある場合は、それぞれTAO=−200(MAX COOL)、TAO=200(MAX HOT)に設定され、それ以外の場合は、下記する式1に基づいて求められる。
TAO
=Kset × Tset − Kr × Tr − Kam × TAM − Ks × Ts
+ Tn + C ・・・(式1)
Kset=設定温度係数 Tset=設定温度(℃)
Kr=内気温度係数 Tr=内気温度(℃)
Kam=外気温度係数 TAM=外気温度(℃)
Ks=日射量係数 Ts=日射量(Kcal/m2・min)
C=定数 Tn=夜間照明補正量
ACコントロールユニット10は、必要吹出温度TAOと外気温度TAMとの関係が、下記の式2を満たすか否かを判断し、満たす場合はステップS12へ進み、満たさない場合はステップS04に進む。
TAO―TAM≧50 ・・・(式2)
ACコントロールユニット10は、エバポサーモセンサ13が検出したエバポレータ温度TEが例えば4℃以上であるか否かを判断し、4℃以上である場合はステップS05に進み、4℃未満である場合はステップS12に進む。
ACコントロールユニット10は、必要吹出温度TAOと外気温度TAMとの関係が、下記の式3を満たすか否かを判断し、満たす場合はステップS06へ進み、満たさない場合はステップS11に進む。
50>TAO−TAM≧45 ・・・(式3)
ACコントロールユニット10は、ECU30から入力される吸気管負圧及びスロットルポジションに基づいて、エンジンの負荷が所定の高負荷状態にあるか否かを判断する。
例えば、ACコントロールユニット10は、吸気管負圧、スロットルポジションの一方又は両方が、予め設定された閾値を超えて、エンジンのトルクがこの閾値における状態よりも大きな状態で運転されている場合に高負荷状態であると判断する。
そして、高負荷状態であると判断された場合はステップS11に進み、高負荷状態でない(低負荷状態)と判断された場合は、ステップS07に進む。
ACコントロールユニット10は、ECU30から入力される車速に基づいて、車両が所定の減速状態にあるか否かを判断する。
例えば、ACコントロールユニット10は、車速が時間経過に対して予め定めた設定値以上の割合で低下している場合に減速状態であると判断する。
そして、減速状態であると判断された場合はステップS11に進み、減速状態でないと判断された場合はステップS08に進む。
ACコントロールユニット10は、車両統合ユニット40を介して外気温センサ42から入力される外気温度TAMが例えば30℃以上であるか否かを判断し、30℃以上である場合はステップS11に進み、30℃未満である場合はステップS09に進む。
ACコントロールユニット10は、ECU30から入力される車速及びスロットルポジションの時間履歴及び図示しないアイドルスイッチのオン入力頻度に基づいて、車両が微低速走行主体の渋滞状態にあるか否かを判断し、渋滞状態にあると判断した場合はステップS11に進み、渋滞状態でないと判断した場合はステップS10に進む。
ACコントロールユニット10は、マグネットクラッチリレー14に制御信号を出力し、マグネットクラッチ15を切断してコンプレッサの駆動を停止するとともに、図示しないブロワ部のモータを停止して車室内への送風を停止する。
ACコントロールユニット10は、マグネットクラッチリレー14に制御信号を出力し、マグネットクラッチ15を接続してコンプレッサの駆動を行うとともに、図示しないブロワ部のモータを運転して車室内への送風を行う。
ACコントロールユニット10は、マグネットクラッチリレー14に制御信号を出力し、マグネットクラッチ15を切断してコンプレッサの駆動を停止するとともに、図示しないブロワ部のモータを停止して車室内への送風を停止する。
図3は、本発明の比較例であるエアコン制御装置を備えた車両の走行時における車速とエアコンフラグの履歴の一例を示すグラフである。この比較例は、実施例の図2におけるステップS06及びステップS07に相当する判断を行わない点で実施例と相違する。
図3の例においては、車両の加速中、定速走行中、減速中、停止(アイドリング)中に関わらず、コンプレッサの駆動、停止を行っており、加減速中にコンプレッサを停止している時間帯や、定速走行中、停止中にコンプレッサを運転している時間帯が存在する。
図4の例においては、コンプレッサの合計駆動時間は図3と略同じであるが、車両の加速中及び減速中に集中してコンプレッサを駆動し、定速走行中及び停止中にはコンプレッサを停止するようにしている。
図5において、横軸はエンジン回転数(rpm)を示し、縦軸はエンジントルクを示し、これが高いほどエンジンの負荷が高いことを意味している。ここでいう燃料消費率は、1kwhの仕事をするのに必要な燃料(ガソリン)の重量(g)を示すものである。
なお、トルクの増加に伴い燃料消費率は最小値をとった後、さらにトルクが増大(高負荷化)すると燃料消費率は増加(悪化)を開始するが、これは全開域近くでは出力を増加するとともに、燃料の気化潜熱による冷却効果を得るために空燃比(A/F)を燃料リッチにしていること、及び、燃焼ガス圧力の増大に伴うピストンリングの張力増大等によって機械損失が増加することによる。但し、実際の一般走行においては、このような燃料リッチ領域を用いることは稀であり、実用上は負荷が高いほど燃料消費率がよいと考えることができる。
一方、エンジン回転数と燃料消費率の関係は、例えば約2500から3000rpm程度の中速域において燃料消費率は最良となり、これよりも高速側では摩擦等による機械損失の増加によって悪化し、また、低速側では燃焼ガスからシリンダブロック、ヘッド等への熱伝導による冷却損失が増えることによって悪化するが、各回転域ごとにそれぞれ燃料消費率とトルク(負荷)との関係に着目すると、上述したように高負荷ほど燃料消費率が良いことがわかる。
表1は、定速時、加速時のそれぞれにおいて、エアコンをオフ又はオンした場合の単位時間あたりの燃料消費量と、エアコンをオンにしたことによる燃料消費量の増加量の一例を示す表である。
(1)エンジンの燃料消費率が向上する高負荷状態の場合にコンプレッサが駆動される頻度を増やしているから、少ない燃料消費量によって同じ冷房能力を得ることができ、エアコンの稼動による燃料消費量の増加を抑制することによって、車両の実走行燃費を向上することができる。特に、例えば7月、8月等の酷暑時を除く中間期においては、必要な冷房能力が比較的低く、エンジンが高負荷状態にある場合及び車両が減速状態にある場合にその大部分を得ることができるから、高い効果を得ることができる。
(2)車両が燃料カットの行われる減速状態にあるときにコンプレッサが駆動される頻度を増やしているから、燃料の消費を伴わずにコンプレッサを駆動することができ、車両の実走行燃費を向上することができる。
(3)エンジンの高負荷時及び車両の減速時は、他の場合よりもコンプレッサの駆動頻度を増やすことによって、内気温度が下がる傾向にあるから、内気温度に走行状態に応じた頻繁な変動が生じ、人間工学的に優れているといわれる温度のゆらぎが発生する。これによって、家庭用(建物用)エアコン等で利用されているファジー制御に類似したゆらぎ効果を得ることができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)実施例は、コンプレッサの機能を制限する場合にコンプレッサの駆動を停止しているが、これに限らず、例えば可変容量式のコンプレッサの場合に、制限モードではその容量(吐出量)を通常モードよりも低減するようにしてもよい。
(2)実施例は、コンプレッサの通常モードにおける駆動頻度を2段階に切り換えるようにしているが、より多段階に切り換えたり、連続的に可変させるようにしてもよい。
(3)コンプレッサの駆動・停止を切り換える条件は、上述したTAO−TAMを用いたものに限らず、他のものであってもよい。例えば、設定温度と室内温度のみの関係に基づいたものであってもよい。
(4)実施例は、車速信号に基づいて減速状態を検出しているが、これに限らず、例えばECUがエンジンの燃料カットを行っているか否かを検出し、燃料カットが行われている場合は減速状態であると判断するようにしてもよい。
10 エアコン(AC)コントロールユニット
11 内気温センサ
12 日射センサ
13 エバポサーモセンサ
14 マグネットクラッチリレー
15 マグネットクラッチ
20 エアコン(AC)コントロール
30 エンジン制御ユニット(ECU)
40 ボディ統合ユニット
41 外気温センサ
42 ライティングスイッチ
Claims (3)
- エンジンによって駆動され、通常モードと前記通常モードよりも機能を制限された制限モードとを切り換えて運転されるコンプレッサを有する車両用エアコンの制御装置において、
前記エンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検出部と、
前記エンジンが所定の高負荷状態にある場合に前記コンプレッサが前記通常モードで運転される頻度を他の場合に対して増加させるコンプレッサ制御部と
を備えることを特徴とする車両用エアコン制御装置。 - エンジンによって駆動され、通常モードと前記通常モードよりも機能を制限された制限モードとを切り換えて運転されるコンプレッサを有する車両用エアコンの制御装置において、
前記エンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検出部と、
前記車両の減速状態を検出する減速状態検出部と、
前記エンジンが所定の高負荷状態にある場合及び前記車両が所定の減速状態にある場合に、前記コンプレッサが前記通常モードで運転される頻度をこれら以外の場合よりも増加させるコンプレッサ制御部と
を備えることを特徴とする車両用エアコン制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用エアコン制御装置において、
前記コンプレッサ制御部は、前記コンプレッサの前記通常モードと前記制限モードとを所定の温度条件に基づいて切り換える機能を有し、前記温度条件を変化させることによって前記通常モードで運転される頻度の変更を行うこと
を特徴とする車両用エアコン制御装置。
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