JP2006326693A - ブラスト材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブラスト工法の実行時に粉塵を生じにくく、また、跳ね返りによる危害のおそれを抑えることができ、しかも製造時の粉砕工程を不要にでき、大きな塊になりにくいブラスト材を得る。
【解決手段】
凝集防止材と水との混合により成分1Aを形成し、水との混合により発泡してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーと金属粒子を混合して成分1を形成し、前記成分1Aと成分1を前記攪拌機に投入し、前記成分1Aと成分1を攪拌することにより前記イソシアネート末端プレポリマーと水とを反応さて造粒し、前記造粒物を乾燥させることにより、金属粒子からなる芯材11がポリウレタン発泡体からなる被覆層13で覆われ、前記被覆層13には前記凝集防止材15が分散してなるブラスト材10を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブラスト材及びその製造方法に関する。
塗装面や錆発生面から塗膜や錆を除去する方法としてブラスト工法がある。ブラスト工法は、塗装面や錆発生面に、ブラスト用粒子(粒子には粉末も含む。)を空気圧によって吹き付けることにより、塗膜や錆を剥がすものである。ブラスト用粒子としては、鉄などの金属粒子、砂、ガーネット、炭酸水素ナトリウム粒、とうもろこしの乾燥粉末等が用いられている。
また、ブラスト工法には、作業面から剥がれた塗膜や錆などからなる粉塵が周囲に飛散する問題や、ブラスト用粒子が作業面から跳ね返って作業者に危害を与えるおそれの問題がある。そこで、ブラスト用粒子を発泡体で被覆したスポンジ状ブラスト材とすることにより、ブラスト材が作業面に衝突した際に発生する粉塵をブラスト材表面の発泡体の気孔で保持して粉塵の飛散を抑えると共に、ブラスト材の跳ね返りによる危害のおそれをブラスト材表面の発泡体の緩衝作用で低減することが提案されている。
前記スポンジ状ブラスト材の製造方法として、界面活性剤等でブラスト用粒子を分散させた水に、水との混合により反応してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーを添加して攪拌混合し、この攪拌混合による発泡で得られたブラスト用粒子混入ポリウレタン発泡体を乾燥させ、残存している水分を除去し、さらに粒状に粉砕してスポンジ状ブラスト材を得る方法が開示されている。
しかし、従来のスポンジ状ブラスト材は、製造時の粉砕によって粒子径がバラツキやすい問題がある。また、製造時に粉砕工程が必要であるのみならず、粉砕を十分に行う必要があるため、製造費用が嵩み、製造に時間がかかる問題がある。また界面活性剤の選択も難しいことから、これらによってもブラスト材の粒径がバラツキやすい問題がある。
米国特許第5,256,703号
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ブラスト工法の実行時に粉塵を生じにくく、また、跳ね返りによる危害のおそれを抑えることができ、しかも製造時の粉砕工程を不要にでき、大きな塊になりにくいブラスト材及びその製造方法の提供を目的とする。
請求項1の発明は、金属粒子からなる芯材と、前記芯材の表面を覆う発泡体からなる被覆層と、前記被覆層に分散している凝集防止材とからなるブラスト材に係る。
請求項2の発明は、請求項1において、前記被覆層がポリウレタン発泡体からなり、前記凝集防止材がポリウレタン発泡体の粒状物からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、水との混合により反応してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーと金属粒子を混合して成分1とし、これを攪拌機に投入する工程1と、凝集防止材を前記攪拌機に投入する工程2と、水を前記攪拌機に投入する工程3を含み、前記攪拌機で前記成分1と前記凝集防止材と前記水を攪拌して、前記イソシアネート末端プレポリマーと前記水を反応させて発泡させると共に造粒する攪拌造粒工程と、前記攪拌造粒工程で得られた造粒物を乾燥させて前記造粒物中から水分を除去する水分除去工程と、により、前記金属粒子からなる芯材が、前記水と前記イソシアネート末端プレポリマーの反応で形成されたポリウレタン発泡体からなる被覆層で覆われ、前記被覆層には前記凝集防止材が分散してなるブラスト材を得ることを特徴とするブラスト材の製造方法に係る。
請求項4の発明は、請求項3において、前記工程2及び前記工程3に代えて、凝集防止材と水を予め混合して成分1Aとし、前記成分1Aを前記攪拌機に投入する工程1Aを行うことを特徴とする。
本発明のブラスト材によれば、ブラスト工法の実行時における粉塵の発生や、ブラスト材の跳ね返りによって作業者に与える危害のおそれを、金属粒子の表面を覆っている発泡体からなる被覆層によって抑えることができる。さらには、被覆層に分散している凝集防止材をポリウレタン発泡体の粒状物で構成した場合は、ポリウレタン発泡体の粒状物によりブラスト材表面の緩衝効果を向上させることができ、ブラスト材の跳ね返りによる危害のおそれを、一層効果的に抑えることができる。
また、本発明のブラスト材及びその製造方法によれば、凝集防止材の存在により大きな塊になるのを抑えることができるので、粉砕工程を不要にすることができ、しかも粒径のバラツキの少ないブラスト材が得られる。
さらに、請求項3の本発明におけるブラスト材の製造方法によれば、凝集防止材にイソシアネート末端プレポリマーが絡みつきやすくなり、しかもイソシアネート末端プレポリマーが絡みついた凝集防止材間に攪拌による剪断力が働くため、イソシアネート末端プレポリマーと水との反応により得られるポリウレタン発泡体が大きな塊状になりにくく、得られるブラスト材の粒子径のバラツキを一層効果的に抑えることができる。また、請求項4の発明によれば、より均一な精度の高い造粒が可能となる。
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るブラスト材の模式図である。
図1に示すように、本発明のブラスト材10は、金属粒子からなる芯材11と、前記芯材11の表面を覆う発泡体からなる被覆層13と、前記被覆層13に分散している凝集防止材15とからなる。
芯材11を構成する金属粒子は、適宜の金属からなる。特に鉄粒子は安価でしかも塗膜や錆を落とす効果が高いために、本発明における金属粒子として好ましいものである。また、金属粒子は、ブラスト工法における空気圧や、ブラスト工法の対象などにより粒径が決定される。さらに、本発明の金属粒子には、金属粉と称されるものも含まれる。通常は0.2〜2mm程度の粒径のものが金属粒子として用いられる。なお、図示するブラスト材10の一粒は、金属粒子が1個含まれる場合であるが、ブラスト材の各粒子において金属粒子の個数が1個であることを意味するものではなく、ブラスト材の各粒子には金属粒子が複数個含まれるものもある。
被覆層13を構成する発泡体は、芯材11を覆うことができるものであれば、制限なく使用できるが、製造の容易性からポリウレタン発泡体が好ましい。特には、イソシアネート末端プレポリマーと水との反応により形成されたものが製造の容易性から好ましい。
凝集防止材15は、ブラスト材の製造時に、ブロッキングを防止できるものであれば、制限なく使用できる。凝集防止材として、例えば、タルク、ポリエチレンパウダー、ポリウレタン発泡体の粒状物等を挙げることができる。特にポリウレタン発泡体の粒状物は、緩衝性を有するため、前記ブラスト材の跳ね返りによる危害を抑える効果が一層良好なものになる。しかも、ポリウレタン発泡体の粒状物は、従来は埋め立て処分、あるいは焼却処分されていたポリウレタン発泡体の端材を粉砕したものを使用することができるため、ブラスト材を安価にすることができるのみならず、廃棄物の再生利用にもつながる点で有益である。なお、凝集防止材として用いるポリウレタン発泡体の粒状物は、0.5mm〜3.5mmの粒径が好ましく、より好ましくは0.8mm〜2.0mmの粒径である。0.5mmよりも小さいと凝集防止効果が得られにくいのみならず、前記緩衝作用も得難くなり、一方3.5mmよりも大きくなるとブラスト材の粒径が大きくなりすぎて、ブラスト材がブラスト工法に適さないものとなる。
前記ブラスト材の製造方法は、工程1、工程2、工程3、攪拌造粒工程、水分除去工程からなる。
工程1は、水との混合により反応してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーと金属粒子を混合して成分1とし、これを攪拌機に投入する。水との混合により反応してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーは、公知の市販のものを使用することができる。特に、NCO%が5〜30%のもの、より好ましくはNCO%が7〜9%からなる2官能のものが、適度な粘度で攪拌できることから適している。具体的には、ウレタン変成トリレンジイソシアネート(TDI)プレポリマーやウレタン変成4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)プレポリマーを挙げることができる。また、金属粒子は、前記ブラスト材10に関して説明したものと同一である。イソシアネート末端プレポリマーと金属粒子の重量割合は、イソシアネート末端プレポリマーの重量:金属粒子の重量=1:5〜1:20が好ましい。前記範囲よりもイソシアネート末端プレポリマーの量が少ないと、ポリウレタン発泡体からなる被覆層の前記緩衝効果が低下し、逆に前記範囲よりもイソシアネート末端プレポリマーの量が多いと、相対的に金属粒子が不足してブラスト工法実行時に塗膜や錆などを剥がす作用が低下するようになる。また、イソシアネート末端プレポリマーの量と後述の水の量は、イソシアネート末端プレポリマーと水が反応可能な量とされ、イソシアネート末端プレポリマーのNCO%によって適量が異なる。前記イソシアネート末端プレポリマーと金属粒子の混合は公知のミキサー等適宜の混合手段で行われる。また、攪拌機は公知のミキサー等が用いられる。特に、水平方向のみならず上下方向にも攪拌することのできるミキサーが好ましい。
工程2は、凝集防止材を前記攪拌機に投入する。凝集防止材は、前記ブラスト材10に関して説明したものと同一であり、特にポリウレタン発泡体の粒状物が好ましい。
工程3は、水を前記攪拌機に投入する。前記凝集防止材と水の重量割合は、凝集防止材の種類によって適宜決定される。凝集防止材としてポリウレタン発泡体の粒状物を用いる場合には、ポリウレタン発泡体の粒状物の重量:水の重量=4:1〜1:2が好ましい。前記範囲よりもポリウレタン発泡体の粒状物が多くなると、攪拌造粒工程で造粒されにくくなり、逆に前記範囲よりもポリウレタン発泡体の粒状物が少なくなると、攪拌造粒工程で塊化(ブロッキング化)を抑えるのが難しくなり、得られるブラスト材の粒径がバラツキやすくなると共に、ポリウレタン発泡体の粒状物による緩衝作用も得難くなる。
前記工程1、工程2及び工程3の順序は特に限定されず、また工程1と工程2と工程3を同時に行ってもよい。
攪拌造粒工程は、前記攪拌機で前記成分1と前記凝集防止材と前記水を攪拌して、前記イソシアネート末端プレポリマーと前記水を反応させて発泡させると共に造粒する。得られる造粒物は、図1に示したブラスト材10と同様の構成、すなわち、前記金属粒子からなる芯材11が、前記水と前記イソシアネート末端プレポリマーの反応で形成されたポリウレタン発泡体からなる被覆層13で覆われ、前記被覆層13にはポリウレタン発泡体の粒状物からなる前記凝集防止材15が分散した構成からなるが、前記被覆層13のポリウレタン発泡体中には前記水が一部残存している。
水分除去工程は、前記攪拌造粒工程で得られた造粒物を乾燥させて前記造粒物中から水分を除去する。この水分除去工程における乾燥温度は、ポリウレタン発泡体からなる被覆層やポリウレタン発泡体の粒状物が熱で劣化しない温度とされ、通常は70〜120℃とされる。また、前記乾燥は造粒物を乾燥炉に収容して行ったり、乾燥炉に収容することなく温風または熱風を造粒物に吹き付けて行ったりしてもよい。
また、前記工程2及び前記工程3に代えて、前記凝集防止材と前記水を予め混合して成分1Aとし、前記成分1Aを前記攪拌機に投入する工程1Aを行ってもよい。この工程1Aにおける凝集防止材は、前記ブラスト材10に関して説明したものと同一であり、特にポリウレタン発泡体の粒状物が好ましい。さらに、この工程1Aにおける前記凝集防止材と水の重量割合は、凝集防止材の種類によって適宜決定される。凝集防止材としてポリウレタン発泡体の粒状物を用いる場合には、ポリウレタン発泡体の粒状物の重量:水の重量=4:1〜1:2が好ましい。前記範囲よりもポリウレタン発泡体の粒状物が多くなると、攪拌造粒工程で造粒されにくくなり、逆に前記範囲よりもポリウレタン発泡体の粒状物が少なくなると、攪拌造粒工程で塊化(ブロッキング化)を抑えるのが難しくなり、得られるブラスト材の粒径がバラツキやすくなると共に、ポリウレタン発泡体の粒状物による緩衝作用も得難くなる。工程1Aにおける混合は、公知のミキサー等の混合手段で、適宜行われる。
前記工程2及び工程3に代えて工程1Aを行う場合、工程1よりも先に工程1Aを行い、前記成分1Aを攪拌した状態で前記成分1を前記攪拌機に投入する工程1を行うのが好ましい。このようにすれば、成分1Aの凝集防止材が攪拌されている状態でイソシアネート末端プレポリマーが攪拌機に投入されるため、凝集防止材にイソシアネート末端プレポリマーが絡みつきやすくなり、しかもイソシアネート末端プレポリマーが絡みついた凝集防止材間に攪拌による剪断力が働くため、造粒工程においてイソシアネート末端プレポリマーと水との反応により得られるポリウレタン発泡体が大きな塊状になりにくくなり、得られるブラスト材の粒子径のバラツキを一層効果的に抑えることができ、より均一な精度の高い造粒が可能となる。また、前記成分1Aを攪拌した状態で前記成分1を投入する場合、攪拌機内で攪拌されている水とイソシアネート末端プレポリマーが反応して発泡開始直前のクリーム状態となるまでに、成分1の投入を完了する。
ポリウレタン発泡体の端材を、粉砕機(株式会社ホーライ、「FG−2060」)により径0.8〜2.0mmのメッシュで粉砕してポリウレタン発泡体の粒状物にした。このポリウレタン発泡体の粒状物100gと水100gをボールに投入し、ほぼ均一に混ざるように攪拌へらを用いて手作業で適宜混合し、成分1Aを得た。
また、ポリエチレングリコール(分子量1000)1モル、グリセリン1モル、及び市販の2,4−及び2−6−トリレンジイソシアネート(TDI)の80/20混合物5モルからイソシアネート末端プレポリマーを製造した。得られたイソシアネート末端プレポリマーは淡黄色で、比重1.10、25℃で粘度13400cps(ブルックスフィールド粘度計、ロータ4)、イソシアネート基(NCO基)含有量が8重量%であった。このイソシアネート末端プレポリマー25gと鉄粒子(IKKショット株式会社、「スチールグリッドTGE−70」)の350gをボールに投入し、ほぼ均一に混ざるように攪拌へらを用いて手作業で混合し、成分1を得た。
前記成分1Aを高速攪拌機(株式会社カワタ、「スーパーミキサーSMV−5M」)に投入して攪拌を行い、その攪拌状態において前記成分1を約20g/秒で投入し、25秒以内で投入を完了させ、約5分間攪拌を続けて発泡を完了させ、粒状物を形成した。次に、前記粒状物を、90℃に設定した乾燥炉(旭科学製乾燥装置「BIG BATCH OVEN」)に3時間収容して乾燥させ、ブラスト材を得た。このようにして得られたブラスト材は、大きな塊状のものがなく、粒子径のバラツキが少ないものであった。
本発明の一実施形態に係るブラスト材の一粒子の模式図である。
符号の説明
10 ブラスト材
11 金属粒子
13 被覆層
15 凝集防止材

Claims (4)

  1. 金属粒子からなる芯材と、前記芯材の表面を覆う発泡体からなる被覆層と、前記被覆層に分散している凝集防止材とからなるブラスト材。
  2. 前記被覆層がポリウレタン発泡体からなり、前記凝集防止材がポリウレタン発泡体の粒状物からなることを特徴とする請求項1に記載のブラスト材。
  3. 水との混合により反応してポリウレタン発泡体となるイソシアネート末端プレポリマーと金属粒子を混合して成分1とし、これを攪拌機に投入する工程1と、
    凝集防止材を前記攪拌機に投入する工程2と、
    水を前記攪拌機に投入する工程3を含み、
    前記攪拌機で前記成分1と前記凝集防止材と前記水を攪拌して、前記イソシアネート末端プレポリマーと前記水を反応させて発泡させると共に造粒する攪拌造粒工程と、
    前記攪拌造粒工程で得られた造粒物を乾燥させて前記造粒物中から水分を除去する水分除去工程と、
    により、前記金属粒子からなる芯材が、前記水と前記イソシアネート末端プレポリマーの反応で形成されたポリウレタン発泡体からなる被覆層で覆われ、前記被覆層には前記凝集防止材が分散してなるブラスト材を得ることを特徴とするブラスト材の製造方法。
  4. 前記工程2及び前記工程3に代えて、凝集防止材と水を予め混合して成分1Aとし、前記成分1Aを攪拌機に投入する工程1Aを行うことを特徴とする請求項3に記載のブラスト材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008285559A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Hitachi Plant Technologies Ltd スポンジ状ブラスト材、及びその製造方法並びに製造装置
JP2008303340A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Hitachi Plant Technologies Ltd 媒体、及び媒体の製造方法、並びに媒体の製造装置
JP2016500719A (ja) * 2012-10-15 2016-01-14 ザ プロクター アンド ギャンブルカンパニー 研磨粒子を備える液体洗剤組成物

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