JP2006325901A - ゴルフ靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スウィングの際に足の姿勢を固めるスタンス中およびスイング中において、ゴルフ靴への足のホールド力を高め、適切なショットを支援することができるゴルフ靴を提供する。
【解決手段】 下面に多数のスパイク(12)が突設されたアウターソール(14)と該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソール(16)を有するゴルフ靴(10)において、前記アウターソールと前記インナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲するつま先側に位置する接地部(18a)とかかと側に位置する屈曲部(18b)からなる板状の可撓性部材であるスキルバー(18)を備え、該スキルバーは使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することで平板状をなす、ことを特徴とするゴルフ靴。
【選択図】 図1

Description

この発明はゴルフ靴に関し、より詳細にはスウィングの際に足の姿勢を固めるスタンスおよびスイング中において、靴への足のホールド力を高め、適切なショットを支援することができるゴルフ靴に関する。
ゴルフ靴で最も大切なことはスウィングの際に足の姿勢を固めるスタンス姿勢において、距離と方向を正しく見定め、地上に停止しているボールをクラブで安定した一定な動作によってショットすることである。なおスイングでは、ボールを飛ばす方向と平行となるように足場を固めることをスタンスといい、スタンスをとった状態でクラブを地上に下ろす動作をアドレスという。
クラブのスイング動作において、腰や背中等の回転運動による遠心力を利用してボールを真っ直ぐかつ遠くに飛ばすためには、回転運動する胴体の曲げと戻しを効率的に行う必要がある。そのためスイング動作における回転運動の中心軸の安定と効率的な移動は、多くのゴルフプレーヤーにとって最大の課題の一つとなっている。
ゴルフスイングにおいて、スイング中に腰が右や左に大きく動いてしまう現象はスウェーと呼ばれる。スウェーをすると、アドレス時の場所でのボールの正確なインパクトが難しくなるため、ショットが不安定となる。例えばバックスイング時に大きく右にスウェーすると、インパクト時に元の位置に戻すためには大きく左に腰を戻さなければならず、そのためこれがダフリなどの原因ともなっている。
スウェーの発生を回避し安定したスイングをしてやるためには、下半身により正確な体重中心をつかむことが重要であり、それゆえ両側の足裏の内側(土踏まずの周囲)に体重が安定して乗るようにスタンス姿勢をとってスイングをすることが必要となる。そのためゴルフ靴の底面であるアウターソールにはスタンス時に体を地面に固定するためのスパイクが突出して設けられるのが一般的である。
ここで通常の立ち姿勢を取れるように形成された従来のような底面がおおよそ扁平(但しスパイクを除く)に形成されたゴルフ靴は、適切なスタンス姿勢をとる上で必ずしも適したものではなかった。
特に膝と膝との間が開くスタンス姿勢の場合には、従来のゴルフ靴では適切なスタンス姿勢をとることがより困難となり、ボールのインパクトの前に足裏の外側に体重がずれ、不適切な体重移動によりボールの正確な打撃が阻害され、ボールの方向や飛距離のコントロールがうまくいかないことが多かった。
そのため本願出願人は特許文献1に記載の「ゴルフ靴」で、ゴルフ靴の底部の下面内側部に突設されたスパイクの全部または一部が地面と接する接触面の面積を、ゴルフ靴の底部の下面外側部に突設されたスパイクの地面と接する接触面の面積より小さく形成して、グリーン等で前記内側部が前記外側部より相対的に深く食い込むように構成した発明を創案して開示している。この発明によれば、アドレスおよびスイング時に体の体重を足裏の内側に移して自然に保持することで、安定したスイング動作を達成することが容易となる。
特願2004−202013号公報(未公開)
ここで特許文献1に記載のゴルフ靴がその機能を有効に発揮するためには、スタンスの際等に地面を踏みしめた足がしっかりとゴルフ靴にホールドされていることが前提となるが、使用者の不適切なゴルフ靴の着用によってその機能が十分に発揮されないことが懸念されていた。また、従来のゴルフ靴においても足がゴルフ靴にしっかりとホールドされていることは、スイングを安定させる上で極めて重要であるが、従来のゴルフ靴では足をしっかりとホールドしてスイングを安定させることが十分に達成されているとはいえなかった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、スウィングの際に足の姿勢を固めるスタンス中およびスイング中において、ゴルフ靴への足のホールド力を高め、適切なショットを支援することができるゴルフ靴を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載のゴルフ靴は、下面に多数のスパイク(12)が突設されたアウターソール(14)と該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソール(16)を有するゴルフ靴(10)において、前記アウターソールと前記インナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲し、つま先側に位置する接地部(18a)とかかと側に位置する屈曲部(18b)からなる板状の可撓性部材であるスキルバー(18)を備え、該スキルバーは使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することで平板状をなす、ことを特徴とする。
ここで請求項2に記載のように、前記スキルバー(18)は使用者の足裏の大きさと同程度の長手方向長さを有し、前記接地部(18a)と前記屈曲部(18b)との比率が1:1〜2:1で、無荷重状態での接地部と屈曲部との挟角が165°〜175°となるように屈曲する、ものとすることが好ましい。
なお前記スキルバー(18)は、請求項3に記載のように、前記アウターソール(14)の上面に止着されるか、請求項4に記載のように、前記インナーソール(16)の下面に止着される。
ここで請求項5に記載のゴルフ靴は、請求項4に記載のゴルフ靴において、前記インナーソール(16)および前記スキルバー(18)は一体として靴の開口部(22)から外部に取り出し可能である、ものとすることも好ましい。
また請求項6に記載のゴルフ靴では、前記アウターソール(14)と前記インナーソール(16)との間に配置されたクッション性能向上のためのミドルソール(24)を更に有し、前記スキルバー(18)が該ミドルソールの下面または上面に止着される。
また請求項7に記載のゴルフ靴は、靴側部のほぼ中央部分の底部側から足の甲部分に伸びて靴内部空間に突出するクッション性を有するスキルラバー(26)を備えた、ことを特徴とする。
さらに請求項8に記載のゴルフ靴は、靴のかかと部分に配置された気体又は液体である流体を内包する後エアーバック(28a)と、靴側部のほぼ中央部分の底部側から靴の甲部分に伸びて靴内部空間に突出する流体を内包する側エアーバック(28b)と、前記後エアーバックと前記側エアーバックとを導通する流路(28c)とが一体形成されたエアーバックシステム(28)を有し、前記後エアーバックは使用者の体重が作用することで押し潰されて内包する流体を前記流路を通じて排出し、前記側エアーバックは前記流路を通じて送り込まれた流体によりその厚みを増加させる、ことを特徴とする。
また請求項9のゴルフ靴は、請求項8の下面に多数のスパイク(12)が突設されたアウターソール(14)と該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソール(16)を有するゴルフ靴(10)において、前記アウターソールと前記インナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲するつま先側に位置する接地部(18a)とかかと側に位置する屈曲部(18b)からなる板状の可撓性部材であるスキルバー(18)を備え、該スキルバーは使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することで平板状をなし、前記後エアーバック(28a)が前記スキルバーの屈曲部の下側に配置された、ことを特徴とする。
また請求項10のゴルフ靴は、請求項8又は請求項9のゴルフ靴において、前記アウターソール(14)と前記インナーソール(16)との間に配置されたクッション性能向上のためのミドルソール(24)を更に有し、前記後エアーバック(28a)が該ミドルソールのかかと部分に埋め込まれている、ことを特徴とする。
ここで請求項11のゴルフ靴には、前記流路(28c)には後エアーバック(28a)から側エアーバック(28b)に送り込まれた流体の逆流を制限するための流量制御機構(32)が設けられている、ことを特徴とする。
本発明によれば、アウターソールとインナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲する板状の可撓性部材であるスキルバーを備え、このスキルバーが使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用した場合に平板状をなすことで、使用者の足はスキルバーからの付勢力によって垂直方向にゴルフ靴にしっかりとホールドされる一方、使用者はスキルバーが平板状となったことを足裏の感覚によって認識することで、スタンス時に足裏に正しく体重が乗っていることを確認した上でスイング動作を取ることができるようになる。
ここで使用者の足裏の大きさと同程度の長手方向長さを有するスキルバーの接地部と屈曲部との比率を1:1〜2:1、無荷重状態での接地部と屈曲部との挟角が165°〜175°とすることで、スキルバーによるホールド力を有効に発揮させることができるとともに、使用者にスタンス時に足裏に正しく体重が乗っていることを認識させ、また、スタンス時以外の歩行時等にもスキルバーの屈曲が歩行等を阻害することも回避することができる。
なおスキルバーは靴の着用感を悪化させず、かつ、スキルバーの機能を有効に発揮させるために、アウターソールの上面か、インナーソールの下面に止着される。スキルバーがインナーソールに止着される場合、スキルバーとインナーソールを一体として靴の開口部から外部に取り出すことができるようにしてやれば、汚れたインナーソールの洗浄を容易に行うことができるようになる。またかかる構成のインナーソールおよびスキルバーは従来のゴルフ靴に中敷として使用してやることができるため、一般のゴルフ靴にもスキルバーを適用して靴のホールド力を向上させることができる。
またアウターソールとインナーソールとの間にクッション性能向上のためのミドルソールが配置されている場合には、スキルバーをミドルソールの下面や上面に止着してやることも可能である。
また本発明では、靴側部のほぼ中央部分の底部側から足の甲部分に伸びて靴内部空間に突出するクッション性を有するスキルラバーを備えてやることで、足の側部から甲にかけて足をゴルフ靴にしっかりとホールドすることができ、これによりスタンスおよびスイング中において体を安定させて適切なショットを支援してやることができる。
さらに、靴のかかと部分に配置した後エアーバックと、靴側部に配置された靴内部空間に突出する側エアーバックとを流路で導通して一体形成したエアーバックシステムをゴルフ靴に備えてやることで、使用者がスタンス姿勢をとってかかと部分に十分な体重がのると、後エアーバックが押し潰されて内包する流体が流路を通じて側エアーバックに送り込まれ、側エアーバックはその厚みを増加させるため、足側部はゴルフ靴にしっかりとホールドされることとなる。
またアウターソールとインナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げるように屈曲する板状の可撓性部材であるスキルバーのかかと部分(屈曲部)の下側に後エアーバックを配置してやれば、スタンス姿勢をとった使用者の足は、スキルバーからの付勢力によってゴルフ靴に垂直方向にしっかりとホールドされるとともに使用者は足裏に正しく体重が乗っていることを確認することができ、また、側エアーバックがその厚みを増加させることで足側部はゴルフ靴に横方向(幅方向)にしっかりとホールドされる。
またアウターソールとインナーソールとの間にクッション性能向上のためのミドルソールが更に備えられる場合には、後エアーバックをミドルソールのかかと部分に埋め込んでやることで、ミドルソールと後エアーバックとが一体としてクッション材として機能するとともに、後エアーバックが押し潰されることで側エアーバックがその厚みを増加させて足側部をゴルフ靴にしっかりとホールドする。
ここで前記流路に後エアーバックから側エアーバックに送り込まれた流体の逆流を制限するための流量制御機構を設けてやれば、スイング中の使用者の体重移動によりかかと部分への荷重が減少・開放された際にも、厚みを増加させた側エアーバックによる足側部のホールド力が直ちに減少することを回避することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお以下の実施例を説明するための図面には左右のゴルフ靴の片方のみを表し、対をなすもう一方のゴルフ靴についてはこれを省略する。
図1は本実施例のゴルフ靴の構造を示すための側面透視図であり、図2はその平面図、図3はその正面図、図4は図2におけるX−X断面図である。各図に示したようにこのゴルフ靴10は、靴底となるアウターソール14と、アウターソール14の足裏側に配置される中敷であるインナーソール16と、足の側面および上面を覆うこととなる靴表33とからその外形が形成されおり、アウターソール14とインナーソール16との間には後述するスキルバー18が配置されている。
アウターソール14は地面と直接接触する部分であり、従来のゴルフ靴と同様の一定の柔軟性を有する合成樹脂材料からなる。図に示したように、アウターソール14は使用者の足裏の外形をふた廻りほど大きくした1cm程度の厚さの略板形状をしており、その下面には図示しないネジにより着脱自在なスパイク12が突設されている。また図1に示したようにこのアウターソール14はその長手方向約半分の位置において若干(5〜15°)折れ曲がったくの字形状をしており、無負荷状態ではかかと部分のアウターソール下面が、地面から若干浮くように形成されている。
靴の中敷となるインナーソール16は使用者の足裏の外形をひと廻りほど大きくした形状をしており、足裏形状にフィットするような凹凸が形成されたウレタン等の柔軟な材料からなり、履き心地向上のためにその上面が布により被覆されている。このインナーソール16は従来のゴルフシューズに使用されているものと同様のものである。
アウターソール14の上面には使用者の足裏の長手方向長さと同程度の長さを有し、上記アウターソール14と同様にその長手方向約半分の位置において若干(5〜15°)折れ曲がった薄板状のスキルバー18が取り付けられている。図5にスキルバー18のみを示した。このスキルバー18は可撓性部材である金属板や合成樹脂板により形成され、使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲しており、つま先側に位置する接地部18aとかかと側に位置する屈曲部18bからなる。スキルバー18は、リベットや接着剤を用いてアウターソール14の上面に止着されている。このスキルバー18の横幅は足裏の幅とほぼ同じであっても良いし、足裏の幅の半分程度であっても良く、また、部分的にその幅を広狭させても良い。なおスキルバー18の屈曲部18bは、かかとの横幅と同程度であることが好ましい。また、スキルバー18の横幅を広くする場合には、ゴルフ靴10の重量増加をできるだけ避けるために、スキルバー18の耐久性に影響を与えない部分の部材を削ぎ落とす加工やパンチング加工を施すことも好ましい。さらに歩行時における抵抗を少なくするために、スキルバー18の接地部18aのつま先側の厚みを薄く構成してその部分の弾性力を減少させることも好ましい。
なお上記インナーソール16は靴の開口部22から靴内部に挿入されてスキルバー18の上面全体を覆うように配置される。
靴表33は従来のゴルフシューズとほぼ同様のものであり、その材質には従来と同様に布や皮が用いられるが、上述したように本実施例のゴルフシューズではそのかかと部分が地面から若干浮くようになっているため、これに対応するように使用者のかかとを覆う部分の形状が従来のゴルフシューズとは若干だけ異なっている。
さらに本実施例のゴルフ靴10には、靴両側部のほぼ中央部分の底部側から足の甲部分に伸びて靴内部空間に突出するクッション性を有するスポンジを内包したスキルラバー26が備えられている。このスキルラバー26は図1乃至図4に示したように、幅が4cm程度で縦方向長さが8cm程度の略矩形形状をしており、その厚みは、外周部は薄く、中心部が1cm程度となるように形成されて靴内面の一部を構成している。
なお本実施例ではこのスキルラバー26は靴内面側部の左右両方に備えられ、足の甲および足の両側部をホールドしているが、右側又は左側の一方にのみこれを備えることも可能である。また、スキルラバー26の形状は上述した形状に限られず、足の甲および足の側をホールドできるものであれば円形、楕円形、三角形、多角形等種々の形状とすることができる。さらに両側部にスキルラバー26を備える場合にも、内側のスキルラバー26と外側のスキルラバー26とは同じ形状・大きさ・厚みである必要はなく、所望のフィット感を足に付与するために各スキルラバーの形状・大きさ・厚みを適宜変更することができる。また各スキルラバーを2つ以上の分離したクッションの組み合わせにより構成することもできる。
使用者がこのゴルフシューズを着用した場合、スキルバー18およびアウターソール14は一体として、使用者のかかとからの体重をその弾性力によって支えることとなるが、使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することでその屈曲がほぼ解消されて平面状をなすようにすることで、使用者が正しいスタンス姿勢をとった時に靴底の全面が地面と平行となることになる(図6参照)。このとき使用者のかかとはスキルバー18およびアウターソール14からの付勢力を受け、使用者の足は靴の内部で垂直方向にしっかりとホールドされる。また使用者の足はクッション性を有するスキルラバーにより足の側部から甲にかけてゴルフ靴にしっかりとホールドされるため、これによりスタンスおよびスイング中において体を安定させて適切なショットが容易化される。
使用者がこのゴルフ靴10を履く際には、靴上面の靴紐を弛め、足を靴の内部に挿入して足を靴の内部の適切な位置に配置し、体重をかかとにかけることでスキルバー18およびアウターソール14の屈曲を解消させこの状態で靴紐を結わいてやる。このようにして靴を正しく履いてやることで、スキルバー18及びスキルラバー26の機能により足はゴルフ靴10にしっかりとホールドされる。また靴紐の代わりに着脱自在テープ(いわゆるマジックテープ:登録商標)が用いられる場合にも、本実施例のゴルフ靴10の着用は上記とほぼ同様にして行われる。
なお上述した実施例のゴルフ靴ではスキルバー18およびスキルラバー26の両方が用いられているが、これらのうちいずれか一方のみを採用することも勿論可能である。
図7は実施例2のゴルフ靴の構造を示すための側面透視図であり、図8はそのY−Y断面図である。本実施例のゴルフ靴は実施例1のゴルフ靴と同様に、アウターソール14とインナーソール16を有しているが、このアウターソール14とインナーソール16との間にはクッション性能向上のためのミドルソール24が設けられている。なお本実施例において実施例1と同様の構成については、実施例1と同様の符号を用いることで重複した説明を省略する。
アウターソール14の材質等は上述した実施例1のアウターソール14と同様のものであるが、その形状は実施例1とは異なり、折れ曲がることなくそのつま先部分の底面とかかと部分の底面とがスパイク12を除きほぼ面一に形成されている。そのため無負荷状態においても靴底のおおよそ全面が地面に接触することとなる。
ミドルソール24はアウターソール14と同一形状でかかと部分に向かいその厚みを漸増する板状の柔軟な発泡ウレタンからなり、かかと部分を除くその下面はアウターソール14の上面と接着されている。またミドルソール24の上面には実施例1に用いられるスキルバー18と同様の長手方向約半分の位置において若干(5〜15°)折れ曲がった薄板状のスキルバー18が接着剤等により止着されている。すなわち、アウターソール14はスキルバー18を介してミドルソール24と層状に一体的に形成されているが、かかと部分のアウターソール14とミドルソール24とは離反している。
図7および図8に示したようにこのアウターソール14とミドルソール24とが離反してできた空間には後エアーバック28aが配置されている。この後エアーバック28aはアウターソール14とミドルソール24とが離反してできた空間を埋めるような楔形断面形状を有する柔軟な合成樹脂からなり、その内部には気体又は液体である流体が内包されている。
また靴表33には、靴側部のほぼ中央部分の底部側から靴の甲部分に伸びて靴内部空間に突出する流体を内包する側エアーバック28bが設けられており、後エアーバック28aと側エアーバック28bとは、流路28cによって導通されている。
この後エアーバック28a、側エアーバック28b、流路28cは一体形成されてエアーバックシステム28を構成し、後エアーバック28aは使用者の体重がかかることで押し潰され、内包する流体を流路28cを通じて排出し、側エアーバック28bは流路28cを通じて送り込まれた流体によりその厚みを増加させる。すなわち後エアーバック28a、スキルバー18およびミドルソール24はかかとにかかる使用者の体重のクッションとなるとともに、使用者のかかと部分を垂直方向上側に付勢して、足を靴の内部で垂直方向にしっかりとホールドする。一方、側エアーバック28bはその厚みを増すことで、足を側部から靴の内部にしっかりとホールドする。
またこのエアーバックシステムの応用例として後エアーバック28aおよび流路28cを組み込んだミドルソール24の平面概略図を図9に示した。このミドルソール24には柔軟な材料が用いられているため、使用者の体重が負荷されると後エアーバック28aとともに押し潰されるようになっている。かかと下に配置された後エアーバック28aは押し潰されることで内包する流体を側エアバック28bに送り込み、側エアーバックはその厚みを増すことで、足を靴内部で横方向からホールドすることは上記と同様である。
ここで流路28cには後エアーバック28aから側エアーバック28bに送り込まれた流体の逆流を制限するための流量制御機構32が設けられている。この流量制御機構32は、かかと部分への荷重が減少・開放された場合にも直ちに側エアーバック28bの厚みが減少することのないように、側エアーバック28bから後エアーバック28aに向けて流れる流体の流量を制限する逆止弁からなる。すなわちこの逆止弁が後エアーバック28aから側エアーバック28bに向けて流れる流体にはほとんど抵抗を与えることなく通過させる一方、側エアーバック28bから後エアーバック28aに向けて流れる流体にはその単位時間当たり流量を制限(例えば後エアーバック28aへの荷重が開放されてから後エアーバック28aに流体が戻るのに3秒程度を要するように制限)することで、スイング中の使用者の体重移動によりかかと部分への荷重が減少・開放された際にも、厚みを増加させた側エアーバック28bによる足側部のホールド力が直ちに減少することを回避することができる。
なお上述した実施例のゴルフ靴ではスキルバー18およびエアーバックシステム28の両方が用いられているが、これらのうちいずれか一方のみを用いてやることも勿論可能である。
以上説明したように本発明によれば、スキルバーやスキルラバー、エアーバックシステムを採用することで、スウィングの際に足の姿勢を固めるスタンス中およびスイング中において、ゴルフ靴への足のホールド力を高め、適切なショットを支援することができるゴルフ靴が提供される。
本発明はゴルフ靴への足のホールド力を高めることを主目的としたものであるが、ゴルフ靴に限られず足のホールド力を高めることがその機能向上に寄与するものについては広くその他の用途に使用される靴にも適用することができるのは勿論である。
実施例1のゴルフ靴の構造を示すための側面透視図である。 実施例1のゴルフ靴の構造を示すための平面図である。 実施例1のゴルフ靴の構造を示すための正面図である。 図2におけるX−X断面図である。 スキルバーのみを示した斜視図である。 実施例1のゴルフ靴の使用の状態を示した図である。 実施例2のゴルフ靴の構造を示すための側面透視図である。 図7におけるY−Y断面図である。 後エアーバックおよび流路を組み込んだミドルソールの平面概略図である。
符号の説明
10 ゴルフ靴
12 スパイク
14 アウターソール
16 インナーソール
18 スキルバー
18a 接地部
18b 屈曲部
22 開口部
24 ミドルソール
26 スキルラバー
28 エアーバックシステム
28a 後エアーバック
28b 側エアーバック
28c 流路
32 流量制御機構
33 靴表

Claims (11)

  1. 下面に多数のスパイク(12)が突設されたアウターソール(14)と該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソール(16)を有するゴルフ靴(10)において、
    前記アウターソールと前記インナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲し、つま先側に位置する接地部(18a)とかかと側に位置する屈曲部(18b)からなる板状の可撓性部材であるスキルバー(18)を備え、
    該スキルバーは使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することで平板状をなす、ことを特徴とするゴルフ靴。
  2. 前記スキルバー(18)は使用者の足裏の大きさと同程度の長手方向長さを有し、前記接地部(18a)と前記屈曲部(18b)との比率が1:1〜2:1で、無荷重状態での接地部と屈曲部との挟角が165°〜175°となるように屈曲する、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフ靴。
  3. 前記スキルバー(18)は前記アウターソール(14)の上面に止着される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフ靴。
  4. 前記スキルバー(18)は前記インナーソール(16)の下面に止着される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフ靴。
  5. 前記インナーソール(16)および前記スキルバー(18)は一体として靴の開口部(22)から外部に取り出し可能である、ことを特徴とする請求項4に記載のゴルフ靴。
  6. 前記アウターソール(14)と前記インナーソール(16)との間に配置されたクッション性能向上のためのミドルソール(24)を更に有し、
    前記スキルバー(18)が該ミドルソールの下面または上面に止着される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフ靴。
  7. 靴側部のほぼ中央部分の底部側から足の甲部分に伸びて靴内部空間に突出するクッション性を有するスキルラバー(26)を備えた、ことを特徴とするゴルフ靴。
  8. 靴のかかと部分に配置された気体又は液体である流体を内包する後エアーバック(28a)と、靴側部のほぼ中央部分の底部側から靴の甲部分に伸びて靴内部空間に突出する流体を内包する側エアーバック(28b)と、前記後エアーバックと前記側エアーバックとを導通する流路(28c)とが一体形成されたエアーバックシステム(28)を有し、
    前記後エアーバックは使用者の体重が作用することで押し潰されて内包する流体を前記流路を通じて排出し、前記側エアーバックは前記流路を通じて送り込まれた流体によりその厚みを増加させる、ことを特徴とするゴルフ靴。
  9. 下面に多数のスパイク(12)が突設されたアウターソール(14)と該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソール(16)を有するゴルフ靴(10)において、
    前記アウターソールと前記インナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲するつま先側に位置する接地部(18a)とかかと側に位置する屈曲部(18b)からなる板状の可撓性部材であるスキルバー(18)を備え、
    該スキルバーは使用者の体重の1/6〜1/3の荷重が作用することで平板状をなし、
    前記後エアーバック(28a)が前記スキルバーの屈曲部の下側に配置された、ことを特徴とする請求項8に記載のゴルフ靴。
  10. 前記アウターソール(14)と前記インナーソール(16)との間に配置されたクッション性能向上のためのミドルソール(24)を更に有し、
    前記後エアーバック(28a)が該ミドルソールのかかと部分に埋め込まれている、ことを特徴とする請求項8又は9に記載のゴルフ靴。
  11. 前記流路(28c)には後エアーバック(28a)から側エアーバック(28b)に送り込まれた流体の逆流を制限するための流量制御機構(32)が設けられている、ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のゴルフ靴。
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