JP2006324026A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

プラズマディスプレイパネル Download PDF

Info

Publication number
JP2006324026A
JP2006324026A JP2005143742A JP2005143742A JP2006324026A JP 2006324026 A JP2006324026 A JP 2006324026A JP 2005143742 A JP2005143742 A JP 2005143742A JP 2005143742 A JP2005143742 A JP 2005143742A JP 2006324026 A JP2006324026 A JP 2006324026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seal portion
glass substrate
adhesive material
space
seal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005143742A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Ishio
博明 石尾
Noriyasu Echigo
紀康 越後
Hirofumi Yamakita
裕文 山北
Tomohiro Okumura
智洋 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005143742A priority Critical patent/JP2006324026A/ja
Publication of JP2006324026A publication Critical patent/JP2006324026A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

【課題】シール部から発生する不純物ガスを低減でき、保護膜や誘電体層の性能を低下させることのない信頼性を向上させたPDPを提供する。
【解決手段】対向配置された一対の前面ガラス基板1と背面ガラス基板2を貼り合わせるシール部が、放電空間4側に形成された内側シール部152と、間隔を置いて内側シール部152の外側周囲に形成された外側シール部151とを有する少なくとも2重シールの形をなし、外側シール部151と内側シール部152とにより囲まれたシール部空間5を放電空間4より低い圧力とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体放電からの放射を利用したプラズマディスプレイパネルに関し、特に、長寿命化と信頼性向上のための前面板と背面板との貼り合わせシール構成に係わるものである。
従来、気体放電からの放射を利用した平面表示装置としてプラズマディスプレイパネル(以下PDPと記す)の商品化が図られている。中でも、PDPの多くの商品例としてAC型のPDPが知られている。
図6は、従来の面放電AC型PDPの構成を示す断面図である。
図6の従来のAC型PDPでは、表示画面が見える側に位置する前面板50と、その裏側に配置される背面板60とを対向配置し、その周辺部をシール(封着あるいは接着)している。前面板50のガラス基板1上には放電用の表示電極対10が複数本形成され、さらに、少なくとも表示電極対10を覆って、絶縁作用を有する誘電体層11が被覆される。さらにその上に、保護膜(MgO)12が電子ビーム(EB)蒸着法やスパッタリング成膜法などの真空成膜形成プロセスによって成膜され形成される。
他方、背面板60は、ガラス基板2上にアドレス用電極13をスクリーン印刷法などによりパターン膜として形成し、複数個の放電空間(放電セル)4の境界を仕切る隔壁14が少なくとも形成され、さらに隔壁14の側面とガラス基板2面に蛍光体層(図示省略)が形成されている。
以上のようにして形成された前面板50と背面板60とからなる2枚の基板が、対向されてその周辺部がシールされる。このようなシール工程(以下、封着工程と記す)は以下のようになされる。まず、シール部材料としては、ガラス基板1、2の熱膨張係数に近く、高温雰囲気でのガス放出が少なく、かつ電気絶縁性があり、各種ガスに対するバリアー性が高いガラス粉末からなる低融点ガラスが用いられる。これらを、塗布しやすいようにペースト状にし、前面板50あるいは背面板60の所望の領域に印刷法もしくはディスペンサーなどで塗布して、一重のシール部15を形成する。その後、ペーストを100℃〜150℃で約10分程度乾燥させ、前面板50と背面板60とを位置合わせして対向配置し、350℃〜400℃の温度で仮焼成してペースト内の溶剤含有樹脂バインダを熱分解させ蒸発放散させる。さらにその後、機械的な押圧を作用できるように、例えばクリップなどで前面板50と背面板60とを挟んで固定、420℃〜500℃の高温で10分間程度保持し、シール部15を溶融させてシール封着する。一方、シール部材料の非鉛系材料として、例えば酸化バナジウム系(V)を主成分とした低融点ガラスを用いる例などもある。
なお、背面板60のガラス基板2の排気孔191には、放電空間内排気管16が設けられている。前述の封着工程の後に放電空間内排気管16を通じて放電空間内4を真空排気し、さらに、Ne(ネオン)とXe(キセノン)などの不活性混合ガスを充填する。その後、放電空間内排気管16を溶融し切断することで、PDPが組み立てられている。
以上のような封着工程において、前面板50と背面板60の間に設けられたシール部15を加熱焼成する際に、バインダ樹脂を混合した低融点ガラス中のバインダ樹脂がガス化して有機性不純物ガスとなり、誘電体層11や保護膜12に吸着される。その結果、放電性能や信頼性が低下する。
特に、真空成膜プロセスによって形成されたMgOの保護膜12はこれらの有機性不純物ガスや水(HO)、二酸化炭素(CO)などの不純物ガスを吸着しやすく、水酸化化合物や炭酸化合物を容易に形成するという性質がある。吸着形成されたMgOの水酸化化合物や炭酸化合物は、本来のMgOに比べて2次電子放出効率が低いために放電開始電圧を上昇させてしまい、かつ耐絶縁特性を低下させて10000hr以上の長時間にわたっての高輝度放電を維持できなくなって輝度が低下してしまうという問題がある。
また、上述のように、シール部材料を350℃〜400℃で仮焼成した後、420℃以上の高温でシール部材料を溶融させ、冷却凝固させて封着処理しなければならず、そのためにガラス基板に多大な熱歪が加わり、対向する基板の寸法位置ずれや、シール部の剥離により真空気密が破壊されるような不良が発生する原因となっていた。
これらの課題に対して、シール部材料に流動開始温度が100℃から450℃の熱可塑性樹脂にセラミック微粉末または磁性体粉末を混合配合したシール部材料を用いる技術や、エポキシまたはポリビニルブチラートタイプなどの有機系樹脂材料を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平10−27552号公報 特開2001−28240号公報
しかしながら、流動開始温度が100℃から450℃の熱可塑性樹脂からなる材料に、セラミック微粉末または磁性体粉末を5wt%から60wt%を混合配合したシール部材料を使用することによってシールする方法では以下のような課題を有している。すなわち、シール部を硬化するために、400℃近くまで熱可塑性樹脂を加熱すると、樹脂内部に含まれる不純物成分を含む放出ガスが発生し、放電空間内に拡散するといった課題が発生する。
また、シール部材料として、エポキシまたはポリビニルブチラートタイプなどの有機系樹脂材料を使ってシールを行い、かつシール部材料を熱硬化する際の処理温度を200℃〜300℃とした場合でも、加熱処理の際にシール部材料から発生した不純物成分を含む放出ガスが放電空間内に拡散するといった課題が発生する。
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、低温プロセスでシールしても、シール部材料から発生する不純物成分を含む放出ガスの低減と、放電空間への拡散を抑制し、保護膜や誘電体層の性能を低下させることがなく、信頼性の高いPDPを提供することを目的としている。
上述の課題を解決するために、本発明のPDPは、第一のガラス基板と、第二のガラス基板と、第一のガラス基板と第二のガラス基板とを接合する第一のシール部と、第一のシール部よりガラス基板の中央部側で第一のガラス基板と第二のガラス基板とに接する第二のシール部とを有し、第一のシール部と第二のシール部とで挟まれたシール部空間の圧力を、第二のシール部よりガラス基板の中央部側の放電空間の圧力より低くしている。
このような構成により、第一のシール部と第二のシール部とにより囲まれたシール部空間の圧力が、放電空間内の圧力より低いことにより、シールする際に第一のシール部から放出される不純物ガスを放電空間内に拡散することを防止し、保護膜や誘電体層の性能低下を防止することができる。
さらに、シール部空間は、放電空間よりも1kPa〜60kPaだけ低い圧力であることが望ましく、不純物ガスが放電空間内に拡散することを防止するとともに、放電空間内の放電ガスがシール部空間側に吸引されることもないので、保護膜や誘電体層の性能を低下させることがない。
さらに、シール部空間に、放電空間に封入された放電ガス、または不活性ガスの内のいずれかのガスを封入することが望ましく、放電空間の外周が放電ガスあるいは不活性ガス雰囲気にとり囲まれた形となるので、放電効率や発光効率を維持したまま信頼性をさらに向上させることができる。
さらに、第二のシール部とガラス基板との接着強度が、第一のシール部とガラス基板との接着強度より小さいことが望ましく、このような構成により、ガラス基板との接着強度を第一のシール部で確保し、シール部空間と放電空間との差圧を利用して不純物ガスの放電空間側への拡散を抑制することができる。
さらに、第二のシール部は、ジシアンアミドまたはアミン系硬化剤からなるエポキシ系熱硬化型有機接着材料、シリコン系熱硬化型有機接着材料、アクリレート系紫外線硬化型接着材料、カチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ系樹脂接着材料の内の少なくとも1種を含む有機樹脂系接着材料に、セラミクス系粒子材料などの無機系粒子材料を55重量%〜95重量%含有し、第一のシール部は、エポキシ系熱硬化型有機接着材料、シリコン系熱硬化型有機接着材料、アクリレート系紫外線硬化型接着材料やカチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ系樹脂接着材料の内の少なくとも1種を含む有機樹脂系接着材料であることが望ましい。これにより、第二のシール部が無機系粒子材料を有した有機樹脂接着材料で形成されることにより、高気密となるので、無機系粒子材料を含まない有機樹脂接着材料で形成される第一のシール部より発生する不純物ガスを、高気密の第一のシール部で遮断することができ、放電空間側に広がることを防止することができる。
さらに、第一のシール部と第二のシール部の第一のガラス基板と第二のガラス基板とのシール部側の表面に凹凸形状があることが望ましく、シール部の接着強度を高めることができる。
以上のように、本発明のPDPによれば、2重シールの形をなして形成されたシール部空間の圧力を放電空間より低くすることにより、シール部から発生する不純物ガスが放電空間内に拡散するのを防止し、保護膜や誘電体層の性能低下がなく、安定した放電特性を維持した信頼性の高いPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図である。図6と同じ構成のものは、同じ参照符号を付与し、説明を簡略にするために一部省略している。
前面板50の第一のガラス基板となる前面ガラス基板1上には、放電用の表示電極対10が複数本形成され、その上にPDPの電流制御機能であるメモリ機能を保持させるための鉛系または非鉛系ガラス材料からなる誘電体層11が数μm〜45μmの膜厚で形成されている。さらに、その上には保護膜(MgO)12が0.4μm〜2μmの膜厚で、真空蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法やスパッタリング成膜法などの真空成膜形成プロセスによって成膜形成される。
他方、背面板60の第二のガラス基板となる背面ガラス基板2上には、アドレス用電極13が銀を含む金属材料ペーストを用いて、スクリーン印刷法などによって形成されている。アドレス用電極13は、電極材料からなるターゲットを使った真空成膜法により数100nm〜数μmの成膜により形成されてもよい。そして、図示しないが、アドレス用電極13を覆って誘電体層(図示省略)が形成される。次に、背面ガラス基板2上にXe(キセノン)やNe(ネオン)を混合した放電ガスを充填させた放電空間(放電セル)4の境界を仕切るために、鉛系ガラスまたは非鉛系ガラス材料からなる隔壁14が所定の高さで形成される。隔壁14は主としてサンドブラスト法や印刷法により形成される。さらに、隔壁14の側面と、放電セル底面には蛍光体層(図示省略)が塗布されて形成される。
そして、前面ガラス基板1、背面ガラス基板2の外周端縁に、80℃〜230℃の低温プロセスで仮焼成の必要がない有機系接着材料を有するシール部を塗布形成し、前面板50と背面板60とを対向配置して貼り合わせ封着シールしている。放電空間4は背面板60のガラス基板2に設けられた排気孔191に取り付けられた放電空間内排気管16によって真空排気され、その後、放電のための所定濃度、圧力の放電ガスが充填される。
本発明では、シール部は、放電空間4側に形成された第二のシール部である内側シール部152と、間隔を置いて内側シール部152の外側周囲に形成された第一のシール部である外側シール部151とを有する少なくとも2重シール部の形をなし、内側シール部152と、外側シール部151とにとり囲まれたシール部空間5が、放電空間4より低い圧力の雰囲気になるように構成している。
また、図1に示すように、放電空間4内を真空排気させるための放電空間内排気管16とは別に、シール部空間5内を排気するためのシール部空間内排気管17がガラス基板2に設けられた排気孔192に取り付けられている。
すなわち、前面板50と背面板60の外周端縁部には2重シールのシール部が形成され、2重シールを形成する内側シール部152と外側シール部151との間のシール部空間5の圧力と放電空間4の圧力とを異ならせている。すなわち、内側シール部152と外側シール部151とに囲まれたシール部空間5の圧力をP1、放電空間4の圧力をP2とした場合に、P1<P2となるようにしている。
したがって、外側シール部151、内側シール部152から放出される不純物ガスが内側シール部152によって遮蔽されるとともに、これらの不純物ガスが放電空間4側へ拡散することが防止される。そのため、不純物ガスによる保護膜や誘電体層の性能低下がなく、放電効率や発光効率を維持したままで信頼性を向上させることができる。
シール部空間5は放電空間4よりも1kPa〜60kPa低い圧力差となるように減圧され維持される。これにより、圧力差を大きすぎることも小さすぎることもなく維持させることができ、不純物ガスが放電空間4側に拡散することを防止するとともに、放電空間4内の放電ガスがシール部空間5側に吸引されることもない。
上述したように、放電空間内排気管16と、シール部空間内排気管17とが、排気孔191、192にそれぞれ設けられている。放電空間内排気管16とシール部空間内排気管17とを使用することにより、シール部空間5を放電空間4より低い圧力となるようにそれぞれ減圧排気してPDPを形成することができる。
さらに、シール部空間5が放電空間4よりも、より減圧もしくは真空に保持されることから、外側シール部151、内側シール部152と前面ガラス基板1と背面ガラス基板2との間に、真空もしくは減圧の圧力差による押し付け力が働く。これにより、前面ガラス基板1と背面ガラス基板2とを対向密着させる作用が発生し、前面ガラス基板1、背面ガラス基板2と外側シール部151と内側シール部152との密着性をさらに向上させることができる。
また、図1に示すように、シール部空間内排気管17には、例えばシリコン系ゴム、熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系接合材料や低融点ろう付け金属からなる脱着可能なシール部排気管蓋18が設けられてもよい。このような構成により、放電空間4を封止するのとは別に、再びシール部空間内排気管17からシール部空間5を真空排気することも可能となる。これにより、長時間の放電によってシール部から発生した不純物ガスを、再度除去することが可能となりPDPの信頼性を向上させることができる。
(第二の実施の形態)
第一の実施の形態では、内側シール部152と外側シール部151の構成材料として、80℃〜230℃の低温プロセスで仮焼成の必要がない有機系接着材料を用いるとして説明した。本実施の形態では、これらシール部の構成材料について詳細に説明する。
本発明の第二の実施の形態では、第一のシール部である外側シール部151の材料として、例えば、ジシアンアミドおよびアミン系硬化剤からなるエポキシ系熱硬化型有機接着材料、シリコン系熱硬化型有機接着材料、アクリレート系紫外線硬化型接着材料やカチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ系樹脂接着材料などやこれらを含む紫外線硬化型有機接着材料などを用いた。これらの材料は、紫外線硬化型有機接着材料および熱硬化型有機接着材料のいかんに関わらず、室温でも十分硬化可能であるが、硬化時間を短縮し高速に硬化を促進するためには60℃以上に昇温させることが望ましい。さらに、気密性を保持し、ガラス基板同士を少なくとも10N/mm以上の接着強度で保持させてシールさせるためには、80℃〜230℃で加熱硬化させることがより好ましい。
また、第二のシール部である内側シール部152は放電空間4と近接しているために、熱硬化または紫外線硬化させる際に発生する不純物ガスの影響が大きい。そのため、有機接着材料であるエポキシ樹脂材料とセラミクス系粒子などの無機系粒子材料とを混合したいわゆる複合材料型のシール部材料を用いた。これらの複合型のシール部材料は、硬化後の気密性を確保することが可能であり、不純物ガスや放電ガスがシール部材料を透過することがない。具体的には、粒子直径が200nm〜5μm程度のシリカ系粒子材料(例えば宇部日東化成社製 ハイプレシカUF)を55重量%〜95重量%、より望ましくは60重量%〜90重量%配合させた有機系樹脂材料により内側シール部152を形成した。また、本実施の形態では、セラミクス粒子としてシリカ系が安価で品種が多いことから用いたが、チタニア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア系、ベリリア系であっても同様の効果が得られ、本発明の効果はシリカ系に限ったものではないことが確認された。
また、これらの材料を用いることによって、従来のガラスフリットの場合の焼成温度である420℃〜500℃以上よりも格段に温度の低い80℃〜230℃、より望ましくは100℃〜170℃の低温プロセスでシール封着を可能とすることができる。その結果、シール部材料中のバインダ樹脂を熱分解させるための仮焼成プロセスが省略でき、加熱プロセスの回数を低減することができる。そのため、加熱冷却処理に伴う熱歪を低減し、歩留りの高い信頼性の高い製造方法が可能となった。さらに封着工程の熱処理温度が低いために、外側シール部151、内側シール部152から発生する不純物ガスの発生濃度を、従来の30%から0.5%近くまで低減することが可能となった。
図2は、内側シール部152のシール部材料の、有機樹脂接着材料へのシリカ系粒子材料の混合割合と不純物ガスの発生との関係を示す図である。横軸に有機樹脂接着材料へのシリカ系粒子材料の混合割合をとり、縦軸に発生ガスによるシール部材料の重量減少率をとっている。図2においては、有機樹脂接着材料であるエポキシ系樹脂接着材料として、例えば宇部日東化成社製のハイプレシカUFを用いている。図2に示すように、シリカ系粒子材料の混合配合が増加するにしたがって不純物ガスの発生が少なくなることがわかる。
一方、図3は、有機樹脂接着材料へのシリカ系粒子材料の混合割合とシール部での相対的な接着強度との関係を示す図である。図3に示すように、シリカ系粒子材料の混合割合が大きいほど接着強度が低下し、特に、シリカ系粒子材料の混合割合が95重量%以上では接着力が極端に低下することがわかる。
図2、図3の結果より、シリカ系粒子材料の混合割合を55重量%〜95重量%とすることにより接着面からのガスリークがなく、さらに、不純物ガスの発生の少ないシール部を形成することが可能となる。また、シール部を形成する際のペーストの塗布流動性、均一分散性を考慮すると、より望ましくはシリカ系粒子材料を60重量%〜90重量%とすることにより、不純物ガスの発生を抑え、塗布特性に優れたシール部を形成することが可能となる。したがって、このようなシール部材料を内側シール部152に適用することにより、内側シール部152から発生して放電空間4内における保護膜12や誘電体層11に吸着する不純物ガス量を、従来に比べて50%から70%近く減らすことができる。
なお、シール部は前面ガラス基板1や背面ガラス基板2との熱膨張係数の整合も重要である。上述の有機樹脂接着材料にシリカ系粒子材料を混合することにより、シール部の熱膨張係数を前面ガラス基板1や背面ガラス基板2の熱膨張係数に近づけることができ、加熱冷却過程での熱応力などを低減し、ガラス破壊などを抑制することができる。
また、従来の焼成によるシール方法より、本発明の実施の形態におけるシール方法はより低温のプロセスであるため、熱応力による接合部の剥離、亀裂などを低減し、高歩留りで信頼性の高い製造方法が可能となる。また、生産に使用する冶具の耐熱性緩和による低コスト化を達成できるなどの効果がある。
以上により、本発明の実施の形態によれば、放電空間内での放電性能を低下させることがなく、保護膜からの2次電子放出係数が高く、耐スパッタ性に優れ、高輝度で信頼性の高いPDPを実現することができる。
なお、上記において、シール部空間5は減圧雰囲気に保持するように排気されるとして説明したが、シール部空間5内を排気した後、シール部空間5内には所定の圧力で放電ガスと同様のNeやXe、もしくはAr、Heなどの不活性ガスを充填してもよい。これにより、シール部空間5内を放電ガス雰囲気あるいは不活性ガスとすることにより、放電空間の外周が不活性ガス雰囲気にとり囲まれた形となるので、放電効率や発光効率を維持したまま信頼性をさらに向上させることができる。
また、上記において、予め基板に形成される内側シール部と外側シール部とを2重に限ることはなく、多重に配置して形成しても構わない。シール部として多重に配置させたPDPにおいては、最も内側となるシール部にシリカ系粒子材料などのセラミックス材料を外側となるシール部よりも多く配合した構成とすればよい。
本発明の第二の実施の形態として、第一の実施の形態における内側シール部152と外側シール部151のガラス基板に対する接着強度を変えた結果を表1に示す。表1には内側シール部152と外側シール部151の相対接着強度を異ならせた際に生じるPDPの気密性、不良内容の結果を示している。
Figure 2006324026
表1においては、従来の低融点ガラスでのシール接合時の接着強度を100とし、それぞれ内側シール部152と外側シール部151の接着強度を、材料を変えることによって異ならせ、その時の放電空間ガスのリーク特性などを評価した。
本発明の実施の形態では、前述のように内側シール部152の接着強度が外側シール部151の接着強度よりも小さくなる。表1の結果より、外側シール部151の接着強度が従来の90%であれば、内側シール部152での接着強度がゼロでもガスリークはないことがわかる。内側シール部152の接着強度がゼロの場合は内側シール部152をOリングで構成した場合である。
図4は、本発明の第二の実施の形態におけるPDPの他の実施例を示し、内側シール部として耐熱性と気密性を有するOリングを用いた例である。図4に示すように、内側シール部21として、耐熱性と気密性を有する0リングあるいは固体ガスケットを配置している。Oリングあるいは固体ガスケットの材料としては、耐熱性を有するボリカーボネート系、ポリイミド系、およびフッ素系樹脂、シリコン系樹脂またはアルミ、ステンレス、銅、チタン系金属材料などを使用することができる。内側シール部21は、接着性を有さず気密性を保持する作用を有して前面ガラス基板1、背面ガラス基板2の対向面に接触している。なお、外側シール部151に相当する外側シール部25は、接着硬化性のある有機樹脂系接着材料あるいは無機系材料と有機樹脂系接着材料とを混合して含む複合系接着材料からなるシール部を形成している。この実施例は、表1中のケース1であり、内側シール部21の接着力がゼロであってもガスリークのないPDPを実現していることがわかる。
内側シール部として接着強度がゼロの固体ガスケットあるいはOリングを用いると、シール部を簡単に配置することができ、かつ圧力差によってOリングは圧縮変形し密着するので、信頼性の高い安定したパネルとすることができる。さらに、Oリングは組み立ての際に配置するのみでよいので、シール部空間5の圧力によって自然に圧縮変形し押し付け力が作用する。
また、図4に示すように、Oリングの位置決めによる作業性向上と真空気密性を向上させ信頼性を上げるために、予め前面ガラス基板1または背面ガラス基板2の内側に、突起部20を設けることが望ましい。これにより、Oリングあるいは固体ガスケットを位置決めする作業効率が向上し、基板同士の貼り合わせを高い位置決め精度で容易にすることができる。
(第三の実施の形態)
図5は、本発明の第三の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図である。図1と同じ構成のものは、同じ参照符号を付与し、説明を簡略にするために一部省略している。本実施の形態が第一、第二の実施の形態と異なるのは、シール部が形成される前面ガラス基板1や背面ガラス基板2の表面に表面処理が施されていることである。
本実施の形態においては、シール部が形成される前面ガラス基板1や背面ガラス基板2の表面は、微小な凹凸を形成する表面処理加工あるいは、チタネート系カップリング材、アルミ系カップリング材およびシランカップリング材の内の少なくとも1種を含むカップリング材により表面処理されている。
微小な凹凸を形成する表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理のような表面処理加工が施され、微小な凸凹が形成されてなる表面処理部19が形成される。また、基板表面への凹凸付与は、サンドブラスト処理に限らず、ガラス研磨処理、プラズマ照射表面改質処理、露光マスクとエッチング処理法によっても付与することができる。基板表面に微小な凸凹の表面処理部19が形成されることにより、外側シール部151、内側シール部152の接着強度が向上し信頼性を向上させることができる。
さらに、微少な凹凸付与された表面処理部19の表面に、例えばエポキシ官能基型のシランカップリング材(例えば信越化学社製、KMB−303)を浸積または塗布し、110℃で5分ほど乾燥させて脱水縮合反応を行わせることにより接着強度を高めることができる。シランカップリング材の皮膜と有機樹脂系官能基との化学反応により、疎水性、耐湿性が向上し、さらに接着強度がシランカップリング処理しない場合よりも1.1〜1.8倍向上する。また、使用できるカップリング材としては、チタネート系カップリング材、アルミ系カップリング材およびシランカップリング材の内の少なくとも1種を含むカップリング材などである。
このようにして、基板表面にシランカップリング材処理あるいはサンドブラスト処理を施して表面処理部19を形成することにより、前面ガラス基板1、背面ガラス基板2との接着性を高めてシール性を向上させ、放電ガスのリーク防止効果や不純物ガスの拡散防止効果を高めることができる。
本発明によるPDPによれば、放電ガス空間のシールとシール部材料からの不純物ガスの拡散と発生を抑制し、放電の信頼性を高めたPDPを実現し、小型から大型の薄型画像表示装置などに有用である。
本発明の第一の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図 有機樹脂接着材料へのシリカ系粒子材料の混合割合と不純物ガスの発生との関係を示す図 有機樹脂接着材料へのシリカ系粒子材料の混合割合とシール部での相対的な接着強度との関係を示す図 本発明の第二の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図 本発明の第三の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図 従来のPDPの構成を示す断面図
符号の説明
1 (前面)ガラス基板
2 (背面)ガラス基板
4 放電空間
5 シール部空間
10 表示電極対
11 誘電体層
12 保護膜
14 隔壁
16 放電空間内排気管
17 シール部空間内排気管
18 シール部排気管蓋
19 表面処理部
20 突起部
21,152 内側シール部
25,151 外側シール部
50 前面板
60 背面板
191,192 排気孔

Claims (6)

  1. 第一のガラス基板と、第二のガラス基板と、前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とを接合する第一のシール部と、前記第一のシール部よりガラス基板の中央部側で前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とに接する第二のシール部とを有し、前記第一のシール部と前記第二のシール部とで挟まれたシール部空間の圧力が、前記第二のシール部よりガラス基板の中央部側の放電空間の圧力より低いことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記シール部空間の圧力は、前記放電空間の圧力より1kPa〜60kPa低いことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記シール部空間に、前記放電空間に封入された放電ガス、または不活性ガスが封入されたことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記第二のシール部とガラス基板との接着強度が、前記第一のシール部とガラス基板との接着強度より小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記第二のシール部は、ジシアンアミドまたはアミン系硬化剤からなるエポキシ系熱硬化型有機接着材料、シリコン系熱硬化型有機接着材料、アクリレート系紫外線硬化型接着材料、カチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ系樹脂接着材料の内の少なくとも1種を含む有機樹脂系接着材料に、セラミクス系粒子材料などの無機系粒子材料を55重量%〜95重量%含有し、前記第一のシール部は、エポキシ系熱硬化型有機接着材料、シリコン系熱硬化型有機接着材料、アクリレート系紫外線硬化型接着材料やカチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ系樹脂接着材料の内の少なくとも1種を含む有機樹脂系接着材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記第一のシール部と前記第二のシール部の前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とのシール部側の表面に凹凸形状があることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
JP2005143742A 2005-05-17 2005-05-17 プラズマディスプレイパネル Pending JP2006324026A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005143742A JP2006324026A (ja) 2005-05-17 2005-05-17 プラズマディスプレイパネル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005143742A JP2006324026A (ja) 2005-05-17 2005-05-17 プラズマディスプレイパネル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006324026A true JP2006324026A (ja) 2006-11-30

Family

ID=37543555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005143742A Pending JP2006324026A (ja) 2005-05-17 2005-05-17 プラズマディスプレイパネル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006324026A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008114645A1 (ja) * 2007-03-19 2008-09-25 Ulvac, Inc. プラズマディスプレイパネル
JP2011175761A (ja) * 2010-02-23 2011-09-08 Ulvac Japan Ltd プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008114645A1 (ja) * 2007-03-19 2008-09-25 Ulvac, Inc. プラズマディスプレイパネル
EP2164090A1 (en) * 2007-03-19 2010-03-17 Ulvac, Inc. Plasma display panel
JPWO2008114645A1 (ja) * 2007-03-19 2010-07-01 株式会社アルバック プラズマディスプレイパネル
JP4505548B2 (ja) * 2007-03-19 2010-07-21 株式会社アルバック プラズマディスプレイパネル
EP2164090A4 (en) * 2007-03-19 2010-07-28 Ulvac Inc PLASMA SCOREBOARD
KR101109094B1 (ko) * 2007-03-19 2012-05-30 울박, 인크 플라즈마 디스플레이 패널
JP2011175761A (ja) * 2010-02-23 2011-09-08 Ulvac Japan Ltd プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4323573B2 (ja) フラット・パネル表示装置の製造方法
JP2003242914A (ja) 電界放出表示装置及びその製造方法
US6323590B1 (en) Wall assembly and method for attaching walls for flat panel display
JP2006066079A (ja) 外囲器の製造方法およびその製造装置
KR20070055499A (ko) 플라즈마 디스플레이 패널과 그 제조방법
WO2000045411A1 (fr) Ecran de type a decharge gazeuse et procede de production de ce dernier
JP2002117777A (ja) ガス放電パネルおよびガス放電パネルの製造方法
JP2006324026A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3434416B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの封止構造
JP4139699B2 (ja) 電界放出ディスプレイのキャップシールリング方法及びそのキャップ製造方法
US6356013B1 (en) Wall assembly and method for attaching walls for flat panel display
KR20090039592A (ko) 플라스마 디스플레이 패널 및 그 제조방법
JPWO2008149804A1 (ja) 封着パネルの製造方法および製造装置、並びにプラズマディスプレイパネルの製造方法および製造装置
JPS58155624A (ja) 表示管の製造方法
KR100509599B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 및 이를 이용한플라즈마 디스플레이 패널의 제조방법
JPH10223142A (ja) 電界放射型ディスプレイ及びこの製造方法
JP5325812B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
US20110279030A1 (en) Plasma display panel and manufacturing method thereof
JP2009163980A (ja) 封着パネルの製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法、紫外線硬化性樹脂
JP2002358903A (ja) ガス放電パネル及びその製造装置並びに製造方法
JPH11213923A (ja) 平面型表示装置およびその製造方法
TWI238430B (en) Image display device and method of producing the device
JP2003303554A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP2003151436A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
KR100213939B1 (ko) 디스플레이 패널의 제조방법