JP2006321195A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸素、水蒸気に対するガスバリア性に優れ、可撓性、耐湿性、耐熱性を有し、かつ製造が容易なガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 高分子樹脂組成物からなる基材上に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層を積層し、かつ被覆層中にポリアルキレングリコール系界面活性剤が0.01〜5重量%混合されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子樹脂組成物からなる基材上に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層を積層し、かつ被覆層中にポリアルキレングリコール系界面活性剤が0.01〜5重量%混合されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、食品、医薬品等の包装分野に用いられるガスバリア性積層フィルムに関する。
食品、医薬品等に用いられる包装材料は、1)蛋白質、油脂の酸化抑制 2)味、鮮度の保持 3)医薬品の効能維持のために、酸素、水蒸気などのガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。
そのため、従来からポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層したフィルムが包装材料として使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物(単独では、高いガスバリア性を有していない樹脂であっても)のフィルムにAlなどの金属を蒸着したものやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したものも包装材料として一般的に使用され始めている。
ところが、上述のPVA、EVOH系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿下においてガスバリア性の低下が見られる。すなわち、煮沸処理やレトルト処理を行うとガスバリア性が著しく低下してしまう。またPVDC系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性の湿度依存性は小さいが、酸素バリア性で10ml/m2・day・Mpa以下とする様な高度のガスバリア性を実現することは、困難である。また被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
さらに、上述の金属を蒸着したフィルムやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したフィルムは、蒸着物と樹脂フィルムの機械的性質、化学的性質、熱的性質などの物性が非常に異なっていることから、ガスバリア層に用いられる無機物の薄膜が可撓性に欠け、揉みや折り曲げに弱い。また、基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、特に印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。さらに、真空プロセスを用いて形成するため装置が高価であったり、形成工程において局部的に高温となることから、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤の分解、脱ガスにより、蒸着層中に欠陥、ピンホール等を発生することがある。
また、上記問題に対して基材に金属アルコキシドの被膜を形成してなるガスバリア材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このガスバリア材は、ある程度の可撓性を有するとともに、液相コーティング法による製造ができるため、コスト的にも安価とすることができる。
特開昭62−295931号公報
しかしながら、上記ガスバリア材は、基材単体の場合に比べて、ガスバリア性の向上が十分ではなく、高度のガスバリア性は実現できていないのが現状である。
本発明は、酸素、水蒸気に対するガスバリア性に優れ、透明性、可撓性、耐湿性、耐熱性を有し、かつ製造が容易なガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、高分子樹脂組成物からなる基材上に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層を積層し、かつ被覆層中にポリアルキレングリコール系界面活性剤が0.01〜5重量%混合されていることを特徴とする。
この場合において、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層中では、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体からなりメチロールメラミン/ポリビニルアルコール系重合体の重量比が25/75〜90/10であることが好適である。
またこの場合において、積層フィルムの被覆層の上に無機薄膜層を積層してなることを特徴とする。
本発明により、酸素バリア性、水蒸気バリア性、透明性、可撓性、耐湿性が非常に優れ、かつ焼却排ガス中にダイオキシン、塩化水素ガスを含まず、環境保全に対して有効なフィルムを経済的に提供できる。
以下、本発明のガスバリア性積層フィルム及びその製造方法の実施の形態を説明する。
[基材層]
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
本発明における基材層は、機械強度、透明性等、所望の目的に応じて任意の膜厚のものを使用することができる。特に限定されないが、通常は5〜250μmであることが推奨され、包装材料として用いる場合は10〜60μmであることが望ましい。
[基材層]
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
本発明における基材層は、機械強度、透明性等、所望の目的に応じて任意の膜厚のものを使用することができる。特に限定されないが、通常は5〜250μmであることが推奨され、包装材料として用いる場合は10〜60μmであることが望ましい。
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
[被覆層]
この様な基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。被覆層としては、メチロール基の一部または全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とする。
この様な基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。被覆層としては、メチロール基の一部または全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とする。
本発明に使用するメチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミンはトリアジン環に結合している3個のアミノ基の水素原子の少なくとも一部がメチロール基で置換されており、該メチロール基の数は一般に3〜6個であり、該メチロール基の一部または全部がアルキルエーテル化されているものである。アルキルエーテル化メチロールメラミンのアルキル部分は炭素数1〜6個、好ましくは1〜3個有する直鎖状または分岐鎖である。例えばメチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−、またはtert−ブチル等である。具体的に本発明に用いられるメチロールメラミンを例示すれば、ヘキサキスメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル、ヘキサメチロールメラミンテトラメチルエーテル、ペンタメチロールメラミンペンタメチルエーテル、ペンタメチロールメラミンテトラメチルエーテル、ペンタメチロールメラミントリメチルエーテル、テトラメチロールメラミンテトラメチルエーテル、テトラメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミンジメチルエーテル等が挙げられるが、ポリビニルアルコール系重合体との相溶性の点から、トリメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミンジメチルエーテルが好ましく用いられる。なお該メチロールメラミンは2量体などの縮合体を一部含んでも良い。
一方、ポリビニルアルコール系重合体については、その重合度、鹸化度は、目的とするガスバリア性及びコーティング水溶液の粘度などから定められる。重合度については高くなると、水溶液粘度が高いことやゲル化しやすいことから、コーティングが困難となりコーティングの作業性から2600以下が好ましい。鹸化度については、90%未満では高湿下での十分な酸素ガスバリア性が得られず、99.7%を超えると水溶液の調整が困難で、ゲル化しやすく、工業生産には向かない。従って、鹸化度は90〜99.7%が好ましく、さらに好ましくは93〜99%である。
また、本発明に使用するポリビニルアルコール系重合体には、エチレンを含有したポリビニルアルコール系重合体、シラノール基を含有したポリビニルアルコール系重合体など、各種共重合また変性したポリビニルアルコール系重合体も単独使用または併用できる。中でもエチレンを含有したポリビニルアルコール系重合体を1重量%以上含むことが好ましい。エチレンを含有したポリビニルアルコール系重合体を含むことで、塗膜の透明性が改善されるだけでなく、製膜延伸時に塗布する場合には塗膜の延展性を付与できる。エチレンを含有するポリビニルアルコール系重合体が1%未満であれば、透明性が悪く、製膜延伸時に塗布する場合には塗膜が割れる現象がおきてしまう。
本発明においては、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン/ポリビニルアルコール系重合体の重量比は任意に選択できるが、ガスバリア性の点から、好ましくは25/75〜90/10、更に好ましくは30/70〜90/10であり、特に好ましくは40/60〜80/20である。この比が25/70より小さかったり、90/10より大きかったりすると、目的の酸素バリア性、水蒸気バリア性が十分に発現しなくなってしまう。
本発明における被覆層においては、ポリアルキレングリコール系界面活性剤がポリビニルアルコール系重合体に対して0.01〜5重量%混合されていることが必要である。ポリアルキレングリコール系界面活性剤を混合させることで、コート欠点が少ないフィルムが得られ、ガスバリア性も向上する。ポリアルキレングリコール系界面活性剤の混合量が0.01%未満であると、熱可塑性樹脂フィルムへの濡れ性が不十分であり、コート欠点が多いフィルムになる。一方、ポリアルキレングリコール系界面活性剤の混合量が5重量%を越える場合には、被覆層の親水性が高くなり、高湿下での酸素バリアー性が悪くなる弊害がある。
この様なポリアルキレングリコール系界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。中でも、酸素ガスバリア性を低下させない点で、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物が好ましい。またしばしば、これらの親水性を示す指標として、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が用いられるが、HLBはポリビニルアルコール系樹脂との相溶性、増膜性の点から、10〜17のものが好ましい。
この様なポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層の水接触角は、無機薄膜層積層後の水蒸気バリア性発現の点から30度以上であることが好ましい。ポリビニルアルコール系重合体の水接触角が30度未満である場合には、十分な水蒸気バリア性が得られない。水接触角を上げる方法として、反応温度を高くすることが有効である。
本発明に用いられるメチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層は、通常溶媒を用いてコーティングすることで形成される。コーティング液の溶媒としては、溶解性の点から、水100%または水/低級アルコール混合溶媒を用いることが好ましい。低級アルコールとは炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するアルコール性化合物であり、具体例で示せばメタノール、エタノール、エチレングリコール、n−またはiso−プロピルアルコールが挙げられる。特にiso−プロピルアルコールが好ましい。本発明のコーティング液の全固形分濃度は2〜35%、通常5〜30%が好ましい。
また本発明においては、コーティング液中には、生産性を高めるため、または本発明における水接触角を効果的に上げるため、硬化反応を促進する触媒が含まれていても良い。触媒としては、カルボキシル基、スルホン酸基などの様な酸性基を含みそれ自体酸性であるもの及び/または酸のアミン塩、アンモニウム塩の様にアミンやアンモニウムを解離することで酸性になる潜在的なものなどを使用することができる。これにより、反応が促進され、生産性を高めることが可能である。使い方としては、コーティング液中で、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体に配合することで使用される。
具体的に例示すると、ベンゼンスルホン酸、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩、りん酸、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩などの酸性触媒が挙げられる。 具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのアミン塩、アンモニウム塩、ジノニルナフタレンスルホン酸及びそのアミン塩、アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸及びそのアミン塩、アンモニウム塩、りん酸及びそのアミン塩、りん酸二水素アンモニウム、りん酸一水素アンモニウム、キャタリスト500(三井サイアナミド製)キャタリスト600(同)、キャタリスト4040(同)等の酸性触媒を挙げることができる。また、塩化マグネシウムなどの中性触媒も使用することができるが、反応性の点から、酸性触媒であることが好ましい。
更に必要であれば、本被覆層中に、静電防止剤や滑り剤、アンチブロッキング剤などの公知の無機、有機の各種添加剤を加えることは本発明の目的を阻害しない限り任意である。
[被覆方法]
この様に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層が基材上に形成される。被覆層を基材上に形成する方法としては、通常前述した様に水系溶液を基材にコーティングする方法が採られる。コーティングの方法は限定するものではないが、使用するコーティング液の塗布量と粘度により、最適な方法を選択すればよい。バーコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法などを採用すればよい。
この様に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層が基材上に形成される。被覆層を基材上に形成する方法としては、通常前述した様に水系溶液を基材にコーティングする方法が採られる。コーティングの方法は限定するものではないが、使用するコーティング液の塗布量と粘度により、最適な方法を選択すればよい。バーコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法などを採用すればよい。
コーティング時の乾燥、熱処理の条件は塗布厚み、装置の条件にもよるが、乾燥工程を設けずに直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。なお、必要であれば、酸素ガスバリア層を形成させる前に基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
本発明の被覆層の厚みは、基材層によって異なるが、ガスバリア性を発揮させる最小限の厚みがよく、通常は乾燥厚みで1μm以下であることが、透明性、取り扱い性、経済性の点で好ましい。
本発明の被覆層の厚みは、基材層によって異なるが、ガスバリア性を発揮させる最小限の厚みがよく、通常は乾燥厚みで1μm以下であることが、透明性、取り扱い性、経済性の点で好ましい。
[無機薄膜層]
このような被覆層を積層したものに、さらにその上に無機薄膜層を積層することが必要である。アルミニウム、チタンなどの金属、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの酸化物、窒化物、弗化物の単体、或いはそれらの複合物を、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空プロセス、ゾルゲル法などのウェットプロセスにより形成される。中でも、本発明の目的とするガスバリア性、経済性の点から、アルミナ、シリカの複合物を真空蒸着させる方法が好ましい。
このような被覆層を積層したものに、さらにその上に無機薄膜層を積層することが必要である。アルミニウム、チタンなどの金属、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの酸化物、窒化物、弗化物の単体、或いはそれらの複合物を、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空プロセス、ゾルゲル法などのウェットプロセスにより形成される。中でも、本発明の目的とするガスバリア性、経済性の点から、アルミナ、シリカの複合物を真空蒸着させる方法が好ましい。
[ヒートシール性樹脂層]
本発明のガスバリア性積層フィルムは、通常包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成される。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、通常包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成される。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
1)酸素バリア性の測定
作製したフィルムの酸素透過度につき、85%RHの条件で、酸素透過率測定装置(モダンコント ロールズ社製OX−TRAN100)を用いて測定した。
2)水蒸気バリア性の測定
作製したフィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
1)酸素バリア性の測定
作製したフィルムの酸素透過度につき、85%RHの条件で、酸素透過率測定装置(モダンコント ロールズ社製OX−TRAN100)を用いて測定した。
2)水蒸気バリア性の測定
作製したフィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
(実施例1)
[コート液の製造]
水39.6kgを攪拌しながら、無変性のポリビニルアルコール重合体(鹸化度98.5mol%、重合度500)4.86kg、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体(エチレン含量5mol%、鹸化度98.5mol%、重合度500)0.54kgを徐々に投入した。次に90℃まで加熱、完全にポリビニルアルコール重合体を溶解した。その後25℃まで冷却を行い、ポリビニルアルコール重合体の12%水溶液を調製した。次にこのポリビニルアルコール重合体水溶液 45kg、メラミン系化合物 サイメル327(三井サイテック製、77%液)16.4kg、水31.6kg、イソプロピルアルコール7.0kg、りん酸20%水溶液1.8kg、モノエタノールアミン20%水溶液1.12kg(りん酸はポリビニルアルコール重合体とメラミン系化合物の固形分総量に対して2%。モノエタノールアミンはりん酸に対して1/3当量。)ポリアルキレングリコール系界面活性剤 ノイゲンEA110 0.018kg(第一工業製薬製、HLB11、0.5%対被覆層)を順に混合し、固形分濃度18%のコート液を調製した。(メラミン系化合物/ポリビニルアルコール重合体は50/50重量比率)
[被覆フィルムの製造]
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)、シリカ700ppmのPETを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。一方、上記のメラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体 固形分濃度18%液については、液をフィルム表面へ吐出するファウンテンがつながった温調タンクに投入し、攪拌しながら、25℃に制御した。30μ孔のポリプロピレン製カプセルフィルターを通して異物を濾別したクリーンな液を、吐出量 0.028m3/分の条件で、得られた一軸延伸フィルムの片面に、ファウンテンを接面し、液をコートした。その後、14mm直径の平滑なバーを液面につけ、コート液をかきとり、延伸後のコート厚みが0.15μmとなる様にコートを行った。コート速度は150m/分である。コート性に関連するバーの回転数については、フィルムの進行方向と同方向で60rpmとした。次に、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥し、乾燥後の被覆層の水分率を1.0%に調整した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、225℃の温度で熱固定処理を行った。このときのフィルムに吹き付ける熱風の風速は15m/秒、乾燥ゾーンの排気量は480m3/分とした。
その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmのニ軸延伸ポリエステルフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、本発明の被覆層を有するフィルムロールを得た。
[蒸着フィルムの製造]
次にこのフィルムロールを用いて、フィルムの被覆面側に、各種の金属あるいは金属酸化物を蒸着した。
a)アルミニウム蒸着
蒸着源として、8〜10mm程度の大きさの粒子状のアルミニウム(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、電子銃(以下、EB銃という)を用い、エミッション電流を0.5Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、50nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1x10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度をー10℃に調整した。
b)酸化アルミニウム蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl2O3(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、EB銃を用い、エミッション電流を1.3Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
c)酸化ケイ素蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSi(純度99.99%)とSiO2(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化ケイ素薄膜を形成した。蒸着材料は混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、SiとSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を0.8Aとし、SiとSiO2との組成比が1:9となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1x10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
d)複合蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSiO2(純度99.99%)とAl2O3(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、AL2O3とSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、AL2O3とSiO2との組成比が45:55となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
[コート液の製造]
水39.6kgを攪拌しながら、無変性のポリビニルアルコール重合体(鹸化度98.5mol%、重合度500)4.86kg、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体(エチレン含量5mol%、鹸化度98.5mol%、重合度500)0.54kgを徐々に投入した。次に90℃まで加熱、完全にポリビニルアルコール重合体を溶解した。その後25℃まで冷却を行い、ポリビニルアルコール重合体の12%水溶液を調製した。次にこのポリビニルアルコール重合体水溶液 45kg、メラミン系化合物 サイメル327(三井サイテック製、77%液)16.4kg、水31.6kg、イソプロピルアルコール7.0kg、りん酸20%水溶液1.8kg、モノエタノールアミン20%水溶液1.12kg(りん酸はポリビニルアルコール重合体とメラミン系化合物の固形分総量に対して2%。モノエタノールアミンはりん酸に対して1/3当量。)ポリアルキレングリコール系界面活性剤 ノイゲンEA110 0.018kg(第一工業製薬製、HLB11、0.5%対被覆層)を順に混合し、固形分濃度18%のコート液を調製した。(メラミン系化合物/ポリビニルアルコール重合体は50/50重量比率)
[被覆フィルムの製造]
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)、シリカ700ppmのPETを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。一方、上記のメラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体 固形分濃度18%液については、液をフィルム表面へ吐出するファウンテンがつながった温調タンクに投入し、攪拌しながら、25℃に制御した。30μ孔のポリプロピレン製カプセルフィルターを通して異物を濾別したクリーンな液を、吐出量 0.028m3/分の条件で、得られた一軸延伸フィルムの片面に、ファウンテンを接面し、液をコートした。その後、14mm直径の平滑なバーを液面につけ、コート液をかきとり、延伸後のコート厚みが0.15μmとなる様にコートを行った。コート速度は150m/分である。コート性に関連するバーの回転数については、フィルムの進行方向と同方向で60rpmとした。次に、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥し、乾燥後の被覆層の水分率を1.0%に調整した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、225℃の温度で熱固定処理を行った。このときのフィルムに吹き付ける熱風の風速は15m/秒、乾燥ゾーンの排気量は480m3/分とした。
その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmのニ軸延伸ポリエステルフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、本発明の被覆層を有するフィルムロールを得た。
[蒸着フィルムの製造]
次にこのフィルムロールを用いて、フィルムの被覆面側に、各種の金属あるいは金属酸化物を蒸着した。
a)アルミニウム蒸着
蒸着源として、8〜10mm程度の大きさの粒子状のアルミニウム(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、電子銃(以下、EB銃という)を用い、エミッション電流を0.5Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、50nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1x10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度をー10℃に調整した。
b)酸化アルミニウム蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl2O3(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、EB銃を用い、エミッション電流を1.3Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
c)酸化ケイ素蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSi(純度99.99%)とSiO2(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化ケイ素薄膜を形成した。蒸着材料は混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、SiとSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を0.8Aとし、SiとSiO2との組成比が1:9となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1x10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
d)複合蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSiO2(純度99.99%)とAl2O3(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、AL2O3とSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、AL2O3とSiO2との組成比が45:55となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10-2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
[ラミネート]
次に、フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製,TM−590/CAT56)を約3μm塗布し、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績製 L6102 厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
次に、フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製,TM−590/CAT56)を約3μm塗布し、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績製 L6102 厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
[評価]
このフィルム(無蒸着品と蒸着品)につき、85%RH酸素透過度と水蒸気透過度を測定した。結果を表1に示す。
このフィルム(無蒸着品と蒸着品)につき、85%RH酸素透過度と水蒸気透過度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜10、比較例1〜3)
コーティング液及び/または熱処理温度を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
コーティング液及び/または熱処理温度を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
本発明により、酸素バリア性、水蒸気バリア性、透明性、可撓性、耐湿性、耐熱性が非常に優れ、かつ焼却排ガス中にダイオキシン、塩化水素ガスを含まず、近年問題とされている環境保全に対して有効である各種包装用フィルムを提供できる。
Claims (3)
- 高分子樹脂組成物からなる基材上に、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン、ポリビニルアルコール系重合体を必須成分とした被覆層を積層し、かつ被覆層中にポリアルキレングリコール系界面活性剤が0.01〜5重量%混合されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
- 請求項1記載の積層フィルムであって、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメチロールメラミン/ポリビニルアルコール系重合体の重量比が25〜75〜90/10であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム
- 請求項1あるいは2記載の積層フィルムの被覆層の上に無機薄膜層を積層してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005148617A JP2006321195A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | ガスバリア性積層フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005148617A JP2006321195A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | ガスバリア性積層フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006321195A true JP2006321195A (ja) | 2006-11-30 |
Family
ID=37541202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005148617A Pending JP2006321195A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | ガスバリア性積層フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006321195A (ja) |
-
2005
- 2005-05-20 JP JP2005148617A patent/JP2006321195A/ja active Pending
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