JP2006320945A - 縦型連続鋳造用黒鉛鋳型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造が簡単であり、鋳塊の引き出し方向において黒鉛筒体から冷却ジャケットへの熱通過率を調整でき、鋳型内のズンプ形状を制御できる連続鋳造用黒鉛鋳型を提供する。
【解決手段】 熱伝導性材料からなり筒状に形成された冷却ジャケット11と、冷却ジャケット11の内周面に配置された黒鉛筒体21とを有し、黒鉛筒体21の一方の開口部が、銅溶湯が注入される注湯口とされ、他方の開口部が、鋳塊が製出される鋳塊製出口とされた銅及び銅合金の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型10であって、
冷却ジャケット11と黒鉛筒体21との間には、黒鉛筒体21の軸線方向に延びる溝22が形成されており、溝22によって、注湯口側における黒鉛筒体21から冷却ジャケット11への熱通過率が、鋳塊製出口側での熱通過率よりも小さくされていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、銅及び銅合金の縦型連続鋳造機に用いられる縦型連続鋳造用黒鉛鋳型に関する。
従来、銅及び銅合金の連続鋳造においては、熱伝導性材料からなり筒状に形成された冷却ジャケットと、この冷却ジャケットの内周面に接するように配置された黒鉛筒体とを有する連続鋳造用黒鉛鋳型が広く使用されている。上記の連続鋳造用黒鉛鋳型では、黒鉛筒体の一方の開口部が銅溶湯を供給する注湯口とされ、他方の開口部が凝固した鋳塊を製出する鋳塊製出口とされている。
また、上記冷却ジャケットは、熱伝導性と強度と加工性との観点から、純銅および銅合金によって構成されており、この冷却ジャケットには冷却水路が備えられ、冷却水路を流通する冷却水によって冷却ジャケットが冷却される構造とされている。また、銅及び銅合金の溶湯と鋳塊とが直接触れる部分には、銅溶湯との反応性が低いとともに固体潤滑性を有する黒鉛材が使用されている。
上記の連続鋳造用黒鉛鋳型では、注湯口から黒鉛筒体の内部に銅または銅合金の溶湯が注入され、冷却水によって冷却ジャケットが冷却されるとともにこの冷却ジャケットの内周面に配置された黒鉛筒体が冷却される。そして、黒鉛筒体の内部に注入された溶湯から熱が奪われ、黒鉛筒体の内周面に接する部分の溶湯から凝固が開始され、鋳型の下方に向かうに従って凝固が内部に進行し、鋳塊製出口から凝固した鋳塊が連続的に製出されるものである。ここで、鋳型内の冷却状態は鋳塊の品質に大きな影響を与える因子であるため、これを制御する必要がある。
鋳型の冷却状態は、鋳型の熱通過率に大きく依存することになる。熱通過率は、単位面積及び単位時間当たりの熱通過量であり、熱の通過し易さを表す指標である。つまり、熱通過率が高い場合には、溶湯(高温側)から冷却水(低温側)への熱通過量が多くなるので、冷却が強くなり凝固が進行することになる。また、熱通過率は、溶湯と黒鉛筒体との間の熱伝達と、冷却水と冷却ジャケットとの間の熱伝達と、溶湯と冷却水の間に位置する黒鉛筒体と冷却ジャケットの熱伝導とによって決定されるものである。
この場合、一般的には、冷却水の水量の調整によって、冷却水と冷却ジャケットとの熱伝達を変化させ、熱通過率を制御しているが、その制御幅は狭いものであった。
そこで、鋳型内の冷却状態を制御するために、特許文献1では、黒鉛筒体と冷却ジャケットとの間に熱伝導率の低い断熱材を配備して熱通過率を低減させたものが提案されている。また、特許文献2では、黒鉛筒体と冷却ジャケットとの間に均一な幅と深さを有する矩形の貫通孔を設けたものが提案されている。これらの連続鋳造用黒鉛鋳型では、鋳型全体の熱通過率を低減したり、冷却が強い部分の熱通過率を抑えたりすることにより、鋳型の冷却状態を調整するものである。
特開平02−151347号公報 特開平06−218497号公報
ところで、特許文献1に記載された連続鋳造用黒鉛鋳型では、黒鉛筒体と冷却ジャケットとの間に断熱材を別途設置しているので、この断熱材を設置するために鋳型の製作に多くの労力と時間が必要となる。
また、特許文献1、2ともに、鋳塊を水平方向に引き出す水平連続鋳造に用いられる鋳型であり、横型連続鋳造の場合、鋳型内には常に溶湯が充填されているため、例えば凝固初期の過冷却により凝固収縮した鋳塊と鋳型との型離れが原因で、シェル破れや再溶解などが生じても溶湯が充填されて欠陥の発生には至らない。よって、凝固初期の冷却状態は特に問題とならず、鋳型内のズンプ位置を適正な位置に確保することのみに留意すればよい。
しかしながら、縦型連続鋳造の場合、凝固初期の冷却が強過ぎると型離れによる再溶解が発生するため、極端な過冷却は避けなければならない。
また、鋳型内を鋳塊の引き出し方向(黒鉛筒体の軸線方向)に沿った断面で見た場合における固相と液相との境界線、いわゆるズンプ線が鋳型の上方に位置し過ぎる場合には、鋳塊断面の周囲部に割れが生じ、ズンプ線が鋳型の下方に位置し過ぎる場合には、鋳塊断面の中央部に割れが生じることが経験的に知られている。
このように、縦型連続鋳造においては、鋳塊引き出し方向(黒鉛筒体の軸線方向)において冷却状態、つまり熱通過量を精度よく調整し、上記のズンプ線の位置や形状を制御することが必要となる。したがって、縦型連続鋳造に使用される連続鋳造用黒鉛鋳型においては、黒鉛筒体の軸線方向でその熱通過率が調整でき、ズンプ形状を制御できる黒鉛鋳型が望まれていた。
また、従来の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型においては、黒鉛筒体と冷却ジャケットとが密着して配置されており、その熱伝導率は高く、特に鋳型の上方側、つまり注湯口側での熱通過量が過剰となった場合には、鋳塊が注湯口側で急激に凝固収縮してエアーギャップが生じ、冷却能が低下することにより、凝固開始直後の鋳塊表面が再溶解していわゆる発汗という現象が起こる。
また、鋳型には鋳塊の凝固収縮を考慮し、鋳型上部から下部にかけてテーパーをつけている。よって、鋳型中間部から下部にかけて凝固が進行するとき、一旦、型離れした鋳塊が再び鋳型に接触するようになる。このとき熱通過量が過剰であるとズンプ線が上方に位置し過ぎるため鋳塊断面周囲部に割れが生じやすくなる。一方、熱通過率を抑制し過ぎると、ズンプ線が下方に位置し過ぎるため鋳塊断面中央部に割れが生じやすくなる。この現象はリン脱酸銅を始め、凝固時に固液共存域を有し、凝固収縮しやすい銅合金で特に顕著である。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、構造が簡単であり、鋳塊の引き出し方向(黒鉛筒体の軸線方向)において黒鉛筒体から冷却ジャケットへの熱通過率を調整でき、鋳型内のズンプ形状を制御できる連続鋳造用黒鉛鋳型を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型は、熱伝導性材料からなり筒状に形成された冷却ジャケットと、該冷却ジャケットの内周面に配置された黒鉛筒体とを有し、該黒鉛筒体の一方の開口部が、銅溶湯が注入される注湯口とされ、他方の開口部が、鋳塊が製出される鋳塊製出口とされた銅及び銅合金の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型であって、前記冷却ジャケットと前記黒鉛筒体との間には、前記黒鉛筒体の軸線方向に延びる溝が形成されており、前記溝によって、前記注湯口側における前記黒鉛筒体から前記冷却ジャケットへの熱通過率が、前記鋳塊製出口側での熱通過率よりも小さくされていることを特徴とする。
上記構成の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型では、冷却ジャケットと黒鉛筒体との間に黒鉛筒体の軸線方向に延びる溝が形成されているので、冷却ジャケットと黒鉛筒体の間に熱伝導率が低い空気層が黒鉛筒体の軸線方向に延びるように形成される。また、この溝によって、注湯口側での熱通過率が鋳塊製出口側での熱通過率より小さくされているので、注湯口側での溶湯の急冷が防止される。
請求項2に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型は、前記溝の断面積が、前記注湯口側から前記鋳塊製出口側に向かうに従い漸次小さくされていることを特徴とする。
上記構成の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型では、溝の断面積が注湯口側から鋳塊製出口側に向かうに従い小さくなるので、熱伝導率の低い空気層が占める割合が鋳塊製出口側に比べて注湯口側が多くなる。
請求項3に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型は、前記溝の数が、前記注湯口側に比べて前記鋳塊製出口側が少なくなるように配置されていることを特徴とする。
上記構成の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型では、溝の数が、注湯口側に比べて鋳塊製出口側が少なくなるように配置されているので、熱伝導率の低い空気層が鋳塊製出口側に比べて注湯口側に多く配置される。
請求項4に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型は、前記溝が、前記黒鉛筒体の外周面に設けられたことを特徴とする。
上記構成の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型では、溝が黒鉛筒体の外周面に設けられているので、冷却ジャケットと黒鉛筒体との間に確実に空気層が形成される。また、黒鉛筒体を加工するので、溝の加工が容易である。
請求項5に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型は、前記溝が、前記冷却ジャケットの内周面に設けられたことを特徴とする。
上記構成の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型では、溝が冷却ジャケットの内周面に設けられているので、冷却ジャケットと黒鉛筒体との間に確実に空気層が形成される。
請求項1にかかる発明によれば、冷却ジャケットと黒鉛筒体の間に熱伝導率が低い空気層が黒鉛筒体の軸線方向に延びるように形成されるので、鋳塊の引き出し方向において熱通過率を調整することができ、ズンプ形状を制御することができる。また、断熱材などの別途独立な部材を使用することなく熱通過率を調整できるので、鋳型製作時の労力と時間を大幅に低減できるとともに、鋳型製作時のばらつきによる鋳塊品質の変動を防止することができる。
請求項2にかかる発明によれば、溝の断面積を調整することにより、熱伝導率の低い空気層が占める割合が、鋳塊製出口側に比べて注湯口側が多くなるので、注湯口側の熱通過率が鋳塊製出口側の熱通過率よりも小さくなり、注湯口側での熱通過量を抑えられ、鋳塊の急激な凝固収縮によるエアーギャップの生成が抑制される。また、エアギャップが発生した場合でも、鋳塊製出口側の熱通過率が確保されているので、鋳塊が再び鋳型に接触した際の熱通過量が不足してズンプ線が下方に位置して鋳塊断面中央部に割れが生じるのを防止できる。
請求項3にかかる発明によれば、溝の数を調整することにより、熱伝導率の低い空気層が鋳塊製出口側に比べて注湯口側に多く配置されるので、注湯口側の熱通過率が鋳塊製出口側の熱通過率よりも小さくなり、注湯口側での熱通過量を抑えられ、鋳塊の急激な凝固収縮によるエアーギャップの生成が抑制される。また、エアギャップが発生した場合でも、鋳塊製出口側の熱通過率が確保されているので、鋳塊が再び鋳型に接触した際の熱通過量が不足してズンプ線が下方に位置して鋳塊断面中央部に割れが生じるのを防止できる。
請求項4にかかる発明によれば、冷却ジャケットと黒鉛筒体との間に確実に空気層が形成されるので、この鋳型の熱通過率を小さく抑えることができる。また、加工の容易な黒鉛筒体に溝の加工を行うので、鋳型の製造コストを大幅に低減することができる。また、鋳造する合金の品種によって溝の配置、サイズ等を変更する場合でも、冷却ジャケットを変更することなく、黒鉛筒体のみを変更するだけで対応が可能なので、鋳型の管理が容易となる。
請求項5にかかる発明によれば、冷却ジャケットと黒鉛筒体との間に確実に空気層が形成されるので、この鋳型の熱通過率を小さく抑えることができる。また、冷却ジャケットに溝を設けており、靱性の低い黒鉛筒体に溝を形成する必要がないので、黒鉛筒体が割れたり破損したりすることを防止できる。また、剛性の高い冷却ジャケットに溝が形成されているので、溝の形状が安定しており、鋳型の使用によって鋳型の熱通過率が変化することを防止できる。
このように、本発明の連続鋳造用黒鉛鋳型によれば、構造が簡単であり、鋳塊の引き出し方向において黒鉛筒体から冷却ジャケットへの熱通過率を調整でき、鋳型内のズンプ形状を制御できる連続鋳造用黒鉛鋳型を提供することができる。
本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。図1、図2に第1の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型を示す。
連続鋳造用黒鉛鋳型10は、略円筒状に形成された冷却ジャケット11と、冷却ジャケット11がなす円筒の内部に配置された黒鉛筒体21とを有し、その上面と下面とが開口された形状とされている。
冷却ジャケット11は、純銅および銅合金等で構成され、軸線Lを中心とした円筒状に形成されており、その円筒の径方向の厚みは、円周方向で一定あるとともに軸線L方向にも一定である。冷却ジャケット11の内周面11Aは平滑な面に形成されており、冷却ジャケット11の外周面側には、冷却水が流通される冷却水路12が形成されている。この冷却水路12の一端には、冷却水が供給される給水口13が形成され、冷却水路12の他端には、冷却ジャケット11の下方から冷却ジャケット11がなす円筒の径方向内側に向けて開口された排水口14が形成されている。
黒鉛筒体21は、軸線Mを中心とした円筒状に形成されている。黒鉛筒体21がなす円筒の径方向の厚みは、円周方向では一定であり、軸線M方向では下方に向かうに従い厚くなるように形成されており、黒鉛筒体21の外周面21Bは軸線Mと平行に延びるように形成され、黒鉛筒体21の内周面21Aは下方に向かうに従い径方向内側に近づくテーパー面とされている。
黒鉛筒体21の外周面21Bには、溝22が、溝22の幅Wと溝22の間隔Pとの比率W:P=1:2となるように、円周方向に等間隔で形成されている。そして、溝22の深さDは、本実施の形態においては、黒鉛筒体21の下方側に向かうに従い浅くなるように形成されている。つまり、溝22が形成された部分の黒鉛筒体21の径方向の厚みは、下方に向かうに従い厚くなるように形成されている。
黒鉛筒体21が、冷却ジャケット11がなす円筒の内部に嵌入され、焼き嵌めすることにより、冷却ジャケット11の内周面11Aと黒鉛筒体21の外周面21Bとが密着され、軸線L、Mが一致するように、つまり同心円状になるようにして冷却ジャケット11と黒鉛筒体21とが配置される。ここで、黒鉛筒体21の外周面21Bに設けられた溝22によって、黒鉛筒体21と冷却ジャケット11との間に空気層31が形成される。そして、黒鉛筒体21の上方の開口部が注湯口32とされ、黒鉛筒体21の下方の開口部が鋳塊製出口33とされている。
上記の連続鋳造用黒鉛鋳型10は、図示しない連続鋳造機に固定され、冷却ジャケット11の冷却水路12の給水口13に図示しない冷却水用配管が接続されている。この給水口13から冷却水路12内に冷却水が供給され、冷却ジャケット11を冷却し、排水口14から排出される。また、黒鉛筒体21の下方の鋳塊製出口33には、図示しない移動底部が挿入されることにより、黒鉛筒体21に底部が形成される。つまり、黒鉛筒体21の内周面21Aと移動底部とによって、円柱状の空間が形成されるのである。
銅溶湯は、連続鋳造用黒鉛鋳型10の上部に設けられた図示しないタンディシュから注湯口32を介して黒鉛筒体21のなす筒体の内部へ供給される。黒鉛筒体21には移動底部が挿入されているので、黒鉛筒体21のなす筒体の内部に供給された溶湯は鋳塊製出口33から漏れることなく黒鉛筒体21の内部に貯留され、黒鉛筒体21の内周面21Aより冷却されて凝固が開始される。
移動底部付近の溶湯が凝固した時点で、移動底部を下方に移動させ鋳塊製出口33より引き出すことにより、黒鉛筒体21のなす筒体内部の下方側には鋳塊が形成され、黒鉛筒体21のなす筒体内部の上方側には溶湯が存在する状態となる。この黒鉛筒体21のなす筒体内部の下方側に形成された鋳塊が移動底部の役割をして、黒鉛筒体21のなす筒体内部の溶湯が鋳塊製出口33から漏れることなく黒鉛筒体21の内部に貯留される。
凝固して得られた鋳塊が鋳塊製出口33より連続的あるいは間欠的に引き出され、冷却ジャケット11の排水口14から排出される冷却水が鋳塊の表面に直接当てられて、鋳塊の冷却が行われる。
上記の連続鋳造用黒鉛鋳型10では、溝22によって黒鉛筒体21と冷却ジャケット11との間に熱伝導率の低い空気層31が形成されているので、この黒鉛鋳型10の熱通過率を小さくすることができ、鋳塊をゆっくりと冷却することができる。
また、注湯口32側の熱通過率が小さくされているので、鋳塊の急激な凝固収縮がなく、エアーギャップの発生が抑制される。また、エアーギャップが発生した場合でも鋳塊製出口33側の熱通過率が高くされているので、ズンプ線が下方に位置し過ぎることが防止され、鋳塊内部割れを防止できる。
また、溝22によって熱通過率が調整され、凝固の開始位置やズンプ形状を精度よく制御できるので、高品質な鋳塊を得ることができる。
また、断熱材等の別途独立の部材を設けることなく黒鉛鋳型10の熱通過率を低減できるので、鋳型10の製作に係る労力と時間を節約できるとともに、鋳型10の製作作業によって、鋳型10の熱通過率がばらつくことを防止できる。
また、黒鉛筒体21の外周面21Bに溝22を形成しただけであるので、空気層31を形成することが簡単にでき、その製作コストを低く抑えることができる。また、各種合金に対応する場合には、黒鉛筒体21の溝22の形状や配置を変更すればよいので、黒鉛筒体21を交換することで対応できる。
さらに、溝22が、溝22の幅Wと間隔Pとの比率W:P=1:2となるように円周方向に配置されているので、円周方向での冷却バランスがとれ、安定して高品質な鋳塊を製出することができる。
また、黒鉛筒体21の内周面21Aが下方に向かうに従い径方向内側に近づく傾斜面とされているので、鋳塊が凝固収縮した場合でも、黒鉛筒体21の内周面21Aと鋳塊との間にエアーギャップが生じにくく、鋳塊内部まで確実に冷却することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3、図4に第2の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型10を示す。
この第2の実施形態においては、黒鉛筒体51の外周面51Bは平滑面とされ、冷却ジャケット41の内周面41Aに溝42が形成されている。この溝42は冷却ジャケット41の下方に向かうに従い浅くなるように形成されている。
そして、この冷却ジャケット41の内周面41Aに黒鉛筒体51の外周面51Bが密着して配置されることにより、空気層61が形成される。
上記の連続鋳造用黒鉛鋳型10では、溝42によって空気層61が形成されているので、鋳型10の熱通過率が調整でき、鋳型10内のズンプ線の位置を適正範囲として鋳塊内部割れを防止できる。
また、溝42が冷却ジャケット41に形成されているので、靱性の低い黒鉛筒体51に溝42を設ける必要がなく、黒鉛筒体51の破損を防止することができる。
なお、本実施の形態においては、黒鉛筒体及び冷却ジャケットを円筒形状として説明したが、これに限定されることはなく、例えば、断面長方形の筒体であって、断面長方形の鋳塊を製出する黒鉛鋳型であってもよい。この場合には、長方形の幅方向(長辺方向)の冷却状態等を考慮して溝を形成し、鋳型の幅方向における熱通過率を調整することが好ましい。
また、冷却ジャケットを純銅及び銅合金で構成したもので説明したが、これに限定されるものではなく、他の熱伝導性材料であっても良い。
また、溝の形状が断面四角形の溝で説明したが、これに限定されるものではなく、他の形状、例えば断面円形の溝や断面多角形の溝などでも良い。
さらに、本実施の形態においては、黒鉛筒体または冷却ジャケットのいずれか一方に溝を形成したもので説明したが、両側に溝が形成されていても良い。
本発明の第1の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型の上面図である。 本発明の第1の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型の断面図である。 本発明の第2の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型の上面図である。 本発明の第2の実施形態である縦型連続鋳造用黒鉛鋳型の断面図である。
符号の説明
10 連続鋳造用黒鉛鋳型
11、41 冷却ジャケット(冷却ジャケット)
21、51 黒鉛筒体
22、42 溝
31、61 空気層

Claims (5)

  1. 熱伝導性材料からなり筒状に形成された冷却ジャケットと、該冷却ジャケットの内周面に配置された黒鉛筒体とを有し、該黒鉛筒体の一方の開口部が、銅溶湯が注入される注湯口とされ、他方の開口部が、鋳塊が製出される鋳塊製出口とされた銅及び銅合金の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型であって、
    前記冷却ジャケットと前記黒鉛筒体との間には、前記黒鉛筒体の軸線方向に延びる溝が形成されており、前記溝によって、前記注湯口側における前記黒鉛筒体から前記冷却ジャケットへの熱通過率が、前記鋳塊製出口側での熱通過率よりも小さくされていることを特徴とする縦型連続鋳造用黒鉛鋳型。
  2. 前記溝の断面積が、前記注湯口側から前記鋳塊製出口側に向かうに従い漸次小さくされていることを特徴とする請求項1に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型。
  3. 前記溝の数が、前記注湯口側に比べて前記鋳塊製出口側が少なくなるように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型。
  4. 前記溝が、前記黒鉛筒体の外周面に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型。
  5. 前記溝が、前記冷却ジャケットの内周面に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の縦型連続鋳造用黒鉛鋳型。
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