JP2006320045A - 交流電動機駆動システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】n相インバータによりn相界磁付き電動機を駆動するシステムであって、1個のスイッチング素子に対してオン信号を与え、所定期間後にオフ信号を与えるスイッチング動作と、このスイッチング動作の後に電流検出手段によりインバータの直流電流を検出する電流検出動作と、を行い、前記直流電流の検出値に基づいて電動機の回転子位置、回転速度または回転方向のうちの少なくとも一つを推定する手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、前記スイッチング動作におけるスイッチング素子のオン期間を、電動機の既知である回転速度または速度範囲に基づいて決定する。
【選択図】図1
Description
以下、図9〜図13に従って、上記先願発明を説明する。
なお、回転子が逆転する場合は、図11のように無負荷誘起電圧の相順が反転し、電気角に対する電圧位相も異なるが、現れる現象は同様となるため、以下では回転子の正転時についてのみ説明する。
まず、図13に示すようにスイッチング素子Qxのみをオンし、電流が流れた場合を考える。このときの電流は、図13に示すように、スイッチング素子Qx、ダイオードDyまたはDzの少なくとも一方、及び、電動機20の間を循環する一点鎖線のような経路をとり、直流電流idcとしては現れないため電流検出器11によっては検出されない。
すなわち、上述したように1個のスイッチング素子のオン・オフ操作を行って直流電流idcを検出することにより、回転子位置が電気角で30°〜150°の間にあるか、それ以外にあるかを判定することが可能となる。
一方、スイッチング素子Qzのオン・オフによってidcが通流したならば、その状態ではV相の誘起電圧が最も低く、先ほど通過した回転子位置(第1回目の検出位相)は150°であって、回転方向は正転であったと判定することができる。
また、先願発明による回転方向の判定方法では、スイッチング素子Qxのオン・オフ操作によってidcがゼロからゼロでない状態に変化した直後にスイッチング素子Qy,Qzのオンによるidcを検出して回転方向を検出しているため、後述するように、電流が小さい場合や検出遅れのある場合には、回転方向の判定を誤ることがある。
更に、直流電流idcの検出において、ノイズ除去のためのフィルタリングやサンプリングアンドホールドのタイミング等については特に考慮されていない。
なお、特許文献1の従来技術には、いわゆるフリーラン起動方式について特に開示されていない。
前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点に端子が接続されたn相界磁付き電動機を駆動する交流電動機駆動システムであって、
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与え、かつ、所定期間後にオフ信号を与えるスイッチング動作と、このスイッチング動作を行った後に前記電流検出手段により直流電流を検出する電流検出動作と、を行い、
前記直流電流の検出値に基づいて前記電動機の回転子位置、回転速度または回転方向のうちの少なくとも一つを推定する手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング動作におけるスイッチング素子のオン期間を、前記電動機の既知である回転速度または速度範囲に基づいて決定するものである。
前記スイッチング動作及びその後の電流検出動作を行ったときの電流検出値が、規定値より小さい値から増加して規定値を超える時刻、または、規定値より大きい値から減少して規定値を超える時刻を少なくとも2回検出し、
前記各検出時刻に基づいて前記電動機の回転速度を推定する手段を有するものである。
第1のスイッチング素子について前記スイッチング動作及びその後の電流検出動作を行ったときの電流検出値が規定値を超える第1の時刻を検出した後に、前記第1のスイッチング素子以外の第2のスイッチング素子に対し、同様にスイッチング動作及びその後の電流検出動作を行って電流検出値が規定値を超える第2の時刻を検出し、前記第1の時刻及び第2の時刻と前記電動機の回転速度推定値とに基づいて、前記電動機の回転方向を推定する手段を有するものである。
前記電流検出手段の出力信号をローパスフィルタに入力し、このローパスフィルタの出力信号の最大値近傍の時刻で前記電流検出動作を行うものである。
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与えた後に当該スイッチング素子に対してオフ信号を与える時刻以前に前記電流検出手段により検出した直流電流が所定値以上である場合に、前記アーム部と前記電動機との間の配線、または前記電動機内部に地絡があることを判定する手段を備えたものである。
また、回転速度や回転方向の推定を、スイッチング素子のオン・オフ操作によって流れる直流電流が所定のスレッショルド値を超えて変化した二つの時刻の検出のみによって行うので、検出の遅れによる影響を相殺して確実な推定を行うことができる。
更に、直流電流の検出において、前記電流検出手段の出力信号をローパスフィルタを介して制御回路に取り込む場合には、ローパスフィルタの出力に基づいて直流電流が最大になるタイミングでサンプリングアンドホールドを行えば、直流電流を確実に検出することができる。
加えて、1個のスイッチング素子にオン信号を与えただけで所定値以上の直流電流が検出された場合には、アーム部と電動機との間の配線や電動機内部に地絡があると判定することも可能である。
図1は、本実施形態の主要部を示す構成図であり、10はスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qz及び環流ダイオードDu,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzからなる三相電圧形インバータ、20は三相の永久磁石形同期電動機等の界磁付き電動機20、11はインバータ10の直流電流idcを検出するための電流検出器、12は電流検出器11の出力信号のノイズを除去して電流idc’を得るためのローパスフィルタ、13は上記電流idc’を検出する電流検出器、14は、上記電流idc’を用いて、空転時における電動機20の回転子位置や回転速度、回転方向を推定し、フリーラン起動のためにインバータ10の各スイッチング素子に対するオン・オフ信号を生成して出力する制御回路である。
図2は、一例として、電動機20の空転中に図1におけるスイッチング素子Qxのみをオン・オフ操作した場合のスイッチ操作とU相電流及び直流電流等を示している。
なお、直流電流idcの値は、図13,図14において矢印で示した方向を正とすると負の値になり、idc’も負の値となる。この値の符号は問題の本質に影響しないので、以下では、説明の都合上、図2のようにidc’が正であるものとして説明することとする。
そこで、請求項1に記載するように、本実施形態では、図2(b)の如くスイッチング素子Qxのオン期間を長くするようにした。これにより、流れるU相電流Iu、直流電流idcが大きくなり、ローパスフィルタ12を介したidc’も大きくなって検出し易くなるため、直流電流の検出精度を高めることができる。
ここで、スイッチング素子Qxのオン期間をどの程度まで長くするかは、電動機20の既知である空転速度または速度範囲に基づいて決定すればよい。
すなわち、請求項3に記載するように、スイッチング素子Qxのオン期間を所定値に設定した場合に直流電流idcを検出できなければ、電動機20の空転速度が、そのオン期間の条件でidcが検出可能である限界値よりも小さいと判定できることがわかる。
この場合には、電動機20の制御方式を、例えば速度がごく小さい場合に直流励磁による電動機20を停止させるような制御に切り替えることも可能である。
図3は、電気角θと電動機20の各相無負荷誘起電圧eu,ev,ewとの関係、U相下アーム及びW相下アームのスイッチング素子Qx,Qzのオン・オフ操作、各相電流Iu,Iv,Iw、直流電流idc等を示している。なお、hu,hv,hwは、それぞれスイッチング素子Qx,Qy,Qzを一定期間オン・オフしたときに流れる直流電流idcの包絡線である。
図3において、U相下アームのスイッチング素子Qxのオン・オフ操作を繰り返しながらローパスフィルタ12の出力電流idc’を検出するが、その検出に当たってスレッショルド値を設け、idc’の検出値がスレッショルド値を超えたことを検出してその時刻(図3の例では、電気角150°の点を通過する直後の時刻)を記録する。この検出は、idc’の検出値がスレッショルド値より小さい値から増加してスレッショルド値を超えたことを検出しても、あるいは、スレッショルド値より大きい値から減少してスレッショルド値を下回ったことを検出してもよい。
上述した速度検出によって2回目のスレッショルド値の超過を検出した直後に、オン・オフ操作するスイッチング素子を変更(図3の例では、QxからQzへ変更)し、idc’の検出値がスレッショルド値を超えるまでの時間を計測することにより、この時間から回転方向を判定する。
すなわち、図4、図5に示すように、スイッチング素子Qxのオン・オフ操作によってidc’の検出値が2回目にスレッショルド値を超過してから、スイッチング素子Qzのオン・オフ操作によりidc’の検出値が最初にスレッショルド値を超過するまでの時間は、回転方向と無負荷誘起電圧との関係から、正転時には電気角で2/3周期の240°(図4)、逆転時には1/3周期の120°(図5)に相当する時間となる。従って、この時間を計測することにより、電動機20の回転方向を推定することができる。
図6(a)に示すように、直流電流idc、言い換えればローパスフィルタ12を介した電流idc’が小さいと、スイッチング素子の一回のオン・オフ操作の時間が長い場合やスレッショルド値の設定が大きい場合など、条件によっては、idc’の検出値がスレッショルド値を超える時刻の検出に遅れが生じることがある。
しかし、本実施形態によれば、時刻の検出に遅れが生じても、その遅れは回転速度を推定するための2回の検出タイミングでは同等であるため相殺されることになり、検出精度に影響することはないものである。
一方、本実施形態では、スレッショルド値を超えたidc’が一旦減少してから再びスレッショルド値を超過したことを検出し、その間の時間に基づいて回転方向を判定するため、このような誤りは生じない。
電流idc’の検出精度を高めるためには、その最大値を取り込むことが望ましい。ここで、スイッチング素子をオフしてからidc’の値が最大値になるまでの時間はフィルタの時定数によって定まる既知の値であるから、このフィルタ時定数に基づいて直流電流idcをサンプリングアンドホールドするタイミングを決定すれば、常に最大値付近にてidc’を精度よく検出することができる。
前述したように、本実施形態において通常時は、スイッチング素子をオンしただけでは直流電流idcが流れず、その後にそのスイッチング素子をオフして初めて直流電流idcが流れる。ところが、電動機20の動力線に地絡があった場合には、図8に示すように、フリーラン起動のためにスイッチング素子をオンした瞬間に矢印の経路で直流電流idcが流れる。なお、図8において、30は電解コンデンサ、40は順変換器、50は三相交流電源である。
なお、本発明は、一般にn(nは2以上の整数であり、n=2を単相とする。)個のアーム部を備えたn相インバータによりn相界磁付き電動機を駆動する交流電動機駆動システムに適用することが可能である。
11,13:電流検出器
12:ローパスフィルタ
14:制御回路
20:三相界磁付き電動機
30:電解コンデンサ
40:順変換器
50:三相交流電源
Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qz:スイッチング素子
Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz:環流ダイオード
Claims (7)
- 直流電圧部と、少なくとも2個のスイッチング素子の直列接続回路の両端が前記直流電圧部に並列接続されてなるn(nは2以上の整数であり、n=2を単相とする。以下、同じ)個のアーム部と、を備えたn相インバータと、
前記直流電圧部とスイッチング素子群との間を流れる直流電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点に端子が接続されたn相界磁付き電動機を駆動する交流電動機駆動システムであって、
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与え、かつ、所定期間後にオフ信号を与えるスイッチング動作と、このスイッチング動作を行った後に前記電流検出手段により直流電流を検出する電流検出動作と、を行い、
前記直流電流の検出値に基づいて前記電動機の回転子位置、回転速度または回転方向のうちの少なくとも一つを推定する手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング動作におけるスイッチング素子のオン期間を、前記電動機の既知である回転速度または速度範囲に基づいて決定することを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 直流電圧部と、少なくとも2個のスイッチング素子の直列接続回路の両端が前記直流電圧部に並列接続されてなるn(nは2以上の整数であり、n=2を単相とする。以下、同じ)個のアーム部と、を備えたn相インバータと、
前記直流電圧部とスイッチング素子群との間を流れる直流電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点に端子が接続されたn相界磁付き電動機を駆動する交流電動機駆動システムであって、
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与え、かつ、所定期間後にオフ信号を与えるスイッチング動作と、このスイッチング動作を行った後に前記電流検出手段により直流電流を検出する電流検出動作と、を行い、
前記直流電流の検出値に基づいて前記電動機の回転速度、回転方向、または回転子位置のうちの少なくとも一つを推定する手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング動作におけるスイッチング素子のオン期間を所定値に設定して前記電流検出動作を行ったときの直流電流検出値が規定値以下である場合には、前記オン期間を増加させることを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 直流電圧部と、少なくとも2個のスイッチング素子の直列接続回路の両端が前記直流電圧部に並列接続されてなるn(nは2以上の整数であり、n=2を単相とする。以下、同じ)個のアーム部と、を備えたn相インバータと、
前記直流電圧部とスイッチング素子群との間を流れる直流電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点に端子が接続されたn相界磁付き電動機を駆動する交流電動機駆動システムであって、
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与え、かつ、所定期間後にオフ信号を与えるスイッチング動作と、このスイッチング動作を行った後に前記電流検出手段により直流電流を検出する電流検出動作と、を行い、
前記直流電流の検出値に基づいて前記電動機の回転速度、回転方向、または回転子位置のうちの少なくとも一つを推定する手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング動作におけるスイッチング素子のオン期間を所定値に設定して前記電流検出動作を行ったときの直流電流検出値が規定値以下である場合には、前記電動機の回転速度が所定値以下であると判定する手段を有することを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載された交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング動作及びその後の電流検出動作を行ったときの電流検出値が、規定値より小さい値から増加して規定値を超える時刻、または、規定値より大きい値から減少して規定値を超える時刻を少なくとも2回検出し、
前記各検出時刻に基づいて前記電動機の回転速度を推定する手段を有することを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項4に記載された交流電動機駆動システムにおいて、
第1のスイッチング素子について前記スイッチング動作及びその後の電流検出動作を行ったときの電流検出値が規定値を超える第1の時刻を検出した後に、
前記第1のスイッチング素子以外の第2のスイッチング素子に対し、同様にスイッチング動作及びその後の電流検出動作を行って電流検出値が規定値を超える第2の時刻を検出し、
前記第1の時刻及び第2の時刻と前記電動機の回転速度推定値とに基づいて、前記電動機の回転方向を推定する手段を有することを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載された交流電動機駆動システムにおいて、
前記電流検出手段の出力信号をローパスフィルタに入力し、このローパスフィルタの出力信号の最大値近傍の時刻で前記電流検出動作を行うことを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載された交流電動機駆動システムにおいて、
1個のスイッチング素子に対してオン信号を与えた後に当該スイッチング素子に対してオフ信号を与える時刻以前に前記電流検出手段により検出した直流電流が所定値以上である場合に、
前記アーム部と前記電動機との間の配線、または前記電動機内部に地絡があることを判定する手段を備えたことを特徴とする交流電動機駆動システム
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