JP2006316118A - 難燃性樹脂組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネス - Google Patents

難燃性樹脂組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性、機械的特性、耐低温性に優れた難燃性樹脂組成物を提供すること。また、これを被覆材として用いたノンハロゲン系絶縁電線、このノンハロゲン系絶縁電線を含んだワイヤーハーネスを提供すること。
【解決手段】(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(B)ガラス転移温度が0℃以下のアクリル系重合体を0.1〜10重量部、(C)金属水和物を30〜200重量部少なくとも含有させた組成物とする。また、当該組成物を被覆材に用いたノンハロゲン系絶縁電線とし、この電線をワイヤーハーネスの電線束中に使用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、車両部品、電気・電子機器部品などに用いられる絶縁電線の被覆材として好適な難燃性樹脂組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車部品などの車両部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線の被覆材としては、一般に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物が広く用いられてきた。
しかしながら、この種の塩化ビニル樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有しているため、車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などの燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大気中に放出し、環境汚染の原因になるという問題があった。
そのため、地球環境への負荷を抑制するなどの観点から、近年では、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂に、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加した、いわゆるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物への代替が進められている。
ところが、基本的にオレフィン系樹脂は燃えやすく、また、ノンハロゲン系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に比較して難燃化効果に劣る。したがって、ノンハロゲン系難燃性樹脂組成物では、十分な難燃性を確保するため、金属水和物を多量に添加する必要があり、これに起因して引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性が著しく低下するという問題があった。
そこで、このような問題を改善するため、例えば、特許文献1には、複数のオレフィン系樹脂やゴムなどをベース樹脂として用い、さらに、このベース樹脂中に特定の官能基を特定量含有させることにより、ベース樹脂と金属水和物との親和性を高め、機械的特性を改善する技術が開示されている。
特許第3280099号公報
しかしながら、従来知られるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物を、絶縁電線およびワイヤーハーネスに用いた場合、以下のような問題があった。
すなわち、従来知られるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物では、金属水和物などのノンハロゲン系難燃剤を多量に含んでいる。近年、組成物中の樹脂分を種々改良することにより、ノンハロゲン系難燃剤の添加量を抑制する試みがなされてはいるが、ハロゲン系難燃剤に比較すれば、その添加量が極めて多いことには変わりない。
そのため、組成物中に多量に添加された金属水和物は、均一に分散され難い傾向があり、金属水和物の種類や性状などによっては、その傾向が極めて強くなる場合がある。ときには、凝集してしまう金属水和物さえある。
本発明者による研究によれば、組成物中において金属水和物が均一に分散されていないと、機械的特性が悪くなったり、低温で脆化したりするなど、電線特性が低下するといった問題が発生することが判明した。したがって、この種の問題を改善する必要があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、難燃性、機械的特性、耐低温性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することにある。
また、上記難燃性樹脂組成物を被覆材として用いたノンハロゲン系絶縁電線、このノンハロゲン系絶縁電線を含んだワイヤーハーネスを提供することにある。
これら課題を解決するため、本発明に係る難燃性樹脂組成物は、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(B)ガラス転移温度が0℃以下のアクリル系重合体を0.1〜10重量部、(C)金属水和物を30〜200重量部少なくとも含有してなることを要旨とする。
この場合、上記(B)アクリル系重合体は、その重量平均分子量が1000〜20000の範囲内にあると良い。また、上記(C)金属水和物は、水酸化マグネシウムであると良い。
上記難燃性樹脂組成物は、上記成分以外にも、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、さらに、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.3〜15重量部、(E)イオウ系酸化防止剤を0.1〜25重量部、(F)金属酸化物を0.1〜25重量部含有していると良い。
この場合、上記(E)イオウ系酸化防止剤は、イミダゾール系化合物であると良い。また、上記(F)金属酸化物は、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)およびスズ(Sn)から選択される金属の酸化物1種または2種以上よりなると良い。
一方、本発明に係るノンハロゲン系絶縁電線は、上記難燃性樹脂組成物を被覆材として用いたことを要旨とする。
また、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記ノンハロゲン系絶縁電線を含んでなることを要旨とする。
本発明に係る難燃性樹脂組成物によれば、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(B)ガラス転移温度が0℃以下のアクリル系重合体を0.1〜10重量部、(C)金属水和物を30〜200重量部少なくとも含有しているので、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、難燃性、引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性、耐低温性に優れる。
この際、上記(B)アクリル系重合体の重量平均分子量が1000〜20000の範囲内にある場合には、(C)金属水和物の分散効果に優れるので、上記作用効果に優れ、さらに、加工性にも優れる。
また、上記(C)金属水和物が水酸化マグネシウムである場合には、難燃効果、耐熱効果に優れる点で有利である。この場合、本発明に係る難燃性樹脂組成物では、その水酸化マグネシウムが、比較的分散性に劣るものであっても、(B)アクリル系重合体により組成物中に均一に分散されるので、各種電線特性を損ない難い。
さらに、上記難燃性樹脂組成物が、上記(A)〜(C)成分以外に、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.3〜15重量部、(E)イオウ系酸化防止剤を0.1〜25重量部、(F)金属酸化物を0.1〜25重量部含有している場合には、塩化ビニル樹脂などのハロゲンを含有する材料と接触する形態で使用された場合であっても、著しく材料劣化することがなく、長期にわたって耐熱性を有する。
この際、上記(E)イオウ系酸化防止剤としてイミダゾール系化合物を用いた場合、上記(F)金属酸化物として、酸化亜鉛などの特定の金属の酸化物を用いた場合には、上記作用効果に優れる。
一方、上記難燃性樹脂組成物を被覆材として用いた本発明に係るノンハロゲン系絶縁電線、このノンハロゲン系絶縁電線を電線束中に含んだ本発明に係るワイヤーハーネスによれば、難燃性、引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性、耐低温性に優れる。
さらに、上記難燃性樹脂組成物が上記(D)〜(F)成分を含有しておれば、ノンハロゲン系絶縁電線が、電線束中の塩化ビニル系絶縁電線、あるいは、電線束の外周を覆うハロゲン系ワイヤーハーネス保護材などと接触する形態で使用された場合であっても、その被覆材が著しく劣化することなく、長期にわたって耐熱性が発揮される。
したがって、このノンハロゲン系絶縁電線およびワイヤーハーネスを、例えば、自動車のエンジンルームなど、絶えず高温環境下に曝される部位などに使用した場合には、長期にわたって高い信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<本組成物の構成>
本実施形態に係る難燃性樹脂組成物(以下、「本組成物」ということがある。)は、(A)プロピレン系樹脂、(B)アクリル系重合体、(C)金属水和物を少なくとも含有しており、各(A)〜(C)成分は、それぞれ特定の配合割合とされている。
本組成物において、(A)プロピレン系樹脂は、機械的特性などに優れるなどの観点から、プロピレン単量体の含有率が50重量%以上、好ましくは、70重量%以上あるものを用いると良い。ここで、プロピレン系樹脂は、プロピレン単量体単独からなっていても良いし、必要に応じて、プロピレン単量体以外の他の単量体を1種または2種以上含んでいても良い。また、プロピレン系樹脂は、1種であっても良いし、2種以上の異なるプロピレン系樹脂の組み合わせであっても良い。
上記プロピレン単量体以外の他の単量体としては、例えば、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、非共役ポリエンなどが挙げられる。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1テトラデセンなどが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
また、上記プロピレン系樹脂は、JIS K 6758に準拠して測定(温度230℃、加重2.16kg下で測定)されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜7g/10分、好ましくは、0.1〜5g/10分の範囲内にあると良い。MFRが0.1g/10分未満になると、組成物の流動性が悪くなる傾向が見られる。一方、MFRが7g/10分を越えると、機械的特性などが低下する傾向が見られる。したがって、MFRの選択には、これらに留意すると良い。
本組成物において、(B)アクリル系重合体は、後述する(C)金属水和物を分散させる機能を有している。ここで、アクリル系重合体としては、そのガラス転移温度が0℃以下のものを用いる。
ガラス転移温度が0℃を越えると、耐低温性が損なわれ、脆化しやすくなる傾向が見られるからである。
上記アクリル系重合体は、単独重合体であっても良いし、共重合体であっても良い。また、上記アクリル系重合体は、1種であっても良いし、2種以上の異なるアクリル系重合体の組み合わせであっても良い。
上記アクリル系重合体を構成する単量体成分としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物またはその無水物;2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒロドキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
さらに、上記のほか、必要に応じて、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などの重合性不飽和化合物などを単量体成分として用いることもできる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、上記アクリル系重合体の重量平均分子量は、1000〜20000、好ましくは、1500〜15000、より好ましくは、2000〜10000の範囲内にあると良い。
その重量平均分子量が1000未満になると、当該組成物の使用中に低分子量の重合体が表面に滲み出してくる傾向が見られる。一方、20000を越えると、組成物の加工性が低下する傾向が見られる。したがって、重量平均分子量の選択には、これらに留意すると良い。
また、上記アクリル系重合体には、必要に応じて、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などの各種の官能基が1種または2種以上導入されていても良い。
本組成物において、(C)金属水和物は、難燃剤としての機能を有している。
上記金属水和物としては、具体的には、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水和珪酸マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなど水酸基および/または結晶水を有する化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうち、好ましくは、水酸化マグネシウムを用いると良い。難燃効果、耐熱効果が高いからである。
ここで、水酸化マグネシウムは、一般に、合成品と天然品の2つに大別される。
前者の合成品の水酸化マグネシウムは、例えば、海水または苦汁中に苛性アルカリまたは消石灰のスラリーを添加し、反応させて結晶成長させ、そしてこれを固液分離した後に、洗浄し、表面処理、乾燥などを経て製造されるものである。
一方、後者の天然品の水酸化マグネシウムは、いわゆる、天然ブルーサイト鉱石由来のもので、水酸化マグネシウムを主成分とする天然ブルーサイト鉱石を湿式または乾式粉砕するなどして製造されるものである。
本組成物では、合成品、天然品の何れの水酸化マグネシウムであっても用いることができる。
通常、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を組成物中に単純に高充填しただけでは、組成物の機械的特性、耐低温性などを損ないやすい。
ところが、本組成物では、上記(B)アクリル系重合体を含有しているので、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を比較的多量に添加した場合であっても、その分散効果により、機械的特性、耐低温性などを損ない難い。
上記金属水和物は、その平均粒径(D50)が0.5〜10.0μm、好ましくは、0.6〜5.0μm、より好ましくは、0.7〜2.0μmの範囲内にあると良い。
平均粒径(D50)が0.5μm未満になると、粒子同士の二次凝集が起こりやすく、機械的特性も低下しやすくなる傾向が見られる。一方、平均粒径(D50)が10.0μmを越えると、機械的特性が低下しやすくなり、また、被覆材として用いた場合に、外観荒れなどが生じる傾向が見られる。したがって、平均粒径(D50)の選択には、これらに留意すると良い。
また、上記金属水和物は、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などの表面処理剤により表面処理が施されていても良い。なお、表面処理された金属水和物を用いる場合、予め表面処理剤により表面処理された金属水和物を組成物中に配合しても良いし、未処理状態の金属水和物を表面処理剤とともに組成物中に配合して表面処理を行っても良く、特に限定されるものではない。
本組成物において、上記(A)〜(C)成分の配合割合は、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(B)アクリル系重合体0.1〜10重量部、(C)金属水和物30〜200重量部の範囲内にある。
上記(B)アクリル系重合体の配合割合が0.1重量部未満になると、引張伸びが低下する傾向が見られる。一方、10重量部を越えると、耐摩耗性が低下する傾向が見られる。したがって、配合割合の選択には、これらに留意すると良い。好ましくは、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、(B)アクリル系重合体は0.3〜7重量部の範囲内にあると良い。
また、上記(C)金属水和物の配合割合が30重量部未満になると、十分な難燃性が得られない傾向が見られる。一方、200重量部を越えると、(B)アクリル系重合体を配合しても機械的特性、耐低温性が低下する傾向が見られる。したがって、配合割合の選択には、これらに留意すると良い。好ましくは、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、(C)金属水和物は50〜150重量部の範囲内にあると良い。
本組成物中には、当該組成物の物性を損なわない範囲内で、(A)プロピレン径樹脂、(B)アクリル系重合体以外の他の樹脂成分が、必要に応じて含まれていても良い。他の樹脂成分としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン、ゴムなどが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記ポリオレフィンとしては、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体などが挙げられる。
また、上記ゴムとしては、エチレンプロピレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、イソブチレンゴムなどが挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィン共重合体としては、チーグラー触媒やシングルサイト触媒などを用いる中低圧法およびその他の公知の方法によるものなどを用いることができる。α−オレフィンとしては、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1テトラデセンなどが挙げられる。
上記エチレン−ビニルエステル共重合体に用いられるビニルエステル単量体としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどが挙げられる。
上記エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体に用いられる、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチルなどが挙げられる。
上記エチレンプロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体および第3成分としてジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエンモノマーを加えたものを主成分とするランダム共重合体などが挙げられる。
上記ブタジエン系ゴムとは、ブタジエンを構成要素とする共重合体をいい、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、1,2−ポリブタジエン、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性ブタジエンゴムなどが挙げられる。
上記イソプレンゴムとは、イソプレンを構成要素とする共重合体をいい、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性イソプレンゴムなどが挙げられる。
また、本組成物中には、当該組成物の物性を損なわない範囲内で、(C)金属水和物以外の他の添加剤が必要に応じて含まれていても良い。
他の添加剤としては、具体的には、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、イオウ系など)、金属酸化物(亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉛、スズなどの金属の酸化物)、金属不活性化剤(銅害防止剤)、無機充填剤(硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒化珪素、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボンブラック、雲母、ガラス板、セリサイト、パイロフィライト、アルミフレーク、黒鉛、シラスパルーン、金属パルーン、ガラスパルーン、軽石、ガラス繊維、炭素繊維、ウィスカー、金属繊維、グラファイト繊維、シリコンカーバイト繊維、アスベスト、ワラストナイトなど)、紫外線吸収剤、紫外線隠蔽剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、加工助剤(滑剤、ワックスなど)、着色用顔料などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
なお、上記ポリオレフィン、ゴム、無機充填剤は、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、それぞれ100重量部程度まで含有させることが可能である。その配合割合が上限値を超えると、機械的特性などが低下する傾向が見られるので、この点留意すると良い。
ここで、他の添加剤として、本組成物中に酸化防止剤を含有させる場合、用いる酸化防止剤は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。好ましくは、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(E)イオウ系酸化防止剤とを組み合わせて用い、さらに、(F)金属酸化物も同時に添加すると良い。本組成物中にこれら(D)〜(F)成分を組み合わせて含有させる意義は、次の通りである。
すなわち、例えば、自動車などの車両において絶縁電線を使用する場合、一般に、複数の絶縁電線をひとまとまりに束ねて電線束とし、この電線束の外周に、テープ状、チューブ状またはシート状などの種々の形状からなる保護材を巻回することによりワイヤーハーネスとして使用することが多い。
ワイヤーハーネスを構成する絶縁電線は、被覆材としてノンハロゲン系難燃性樹脂組成物を用いたノンハロゲン系絶縁電線に代替が進んできてはいるものの、これまでの実績などから、被覆材としてポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル樹脂組成物を用いた塩化ビニル系絶縁電線も今だに使用されているのが実情である。
そのため、ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線との混在を完全に避けるのは困難な状況にある。このような状況の下、ノンハロゲン系絶縁電線が塩化ビニル系絶縁電線などと接触した状態で使用されると、電線束中のノンハロゲン系絶縁電線の被覆材が著しく劣化し、耐熱性が低下する。
さらに、将来的に、ワイヤーハーネスを構成する絶縁電線がノンハロゲン系絶縁電線に完全に切り替わったとしても、電線束に巻回されるワイヤーハーネス保護材の基材には、塩化ビニル樹脂組成物などのハロゲン系難燃性樹脂組成物が使用されていることが多い。そのため、ノンハロゲン系絶縁電線がハロゲンを含有する保護材と接触した状態で使用された場合にも、耐熱性が低下する。
この原因は、詳細なメカニズムまでは解明されていないが、ノンハロゲン系絶縁電線が、塩化ビニル系絶縁電線やハロゲンを含有する保護材と接触すると、ノンハロゲン系難燃性樹脂組成物からなる被覆材中の酸化防止剤が著しく消費されるか、あるいは、酸化防止剤そのものが塩化ビニル系絶縁電線や保護材中に移行するためではないかと推測される。
ところが、上記(A)〜(C)成分以外に、さらに、上記(D)〜(F)成分を含有させると、長期にわたって耐熱性を発現できるようになる。
上記作用を効率良く得るため、これら(D)〜(F)成分の配合割合は、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.3〜15重量部、(E)イオウ系酸化防止剤0.1〜25重量部、(F)金属酸化物0.1〜25重量部の範囲内にあると良い。
上記(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合割合が0.3重量部未満になると、十分な耐熱性が得られない傾向が見られる。一方、15重量部を越えると、その配合の効果も飽和し、さらに、当該組成物の使用中に添加剤が表面に滲み出してくる傾向が見られる。したがって、配合割合の選択には、これらに留意すると良い。好ましくは、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤は0.5〜10重量部の範囲内、より好ましくは、0.7〜5重量部の範囲内にあると良い。
また、上記(E)イオウ系酸化防止剤の配合量が0.1重量部未満になると、十分な耐熱性が得られない傾向が見られる。一方、25重量部を越えると、その配合の効果も飽和し、さらに、当該組成物の使用中に添加剤が表面に滲み出してくる傾向が見られる。したがって、配合割合の選択には、これらに留意すると良い。好ましくは、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、(E)イオウ系酸化防止剤は0.5〜20重量部の範囲内、より好ましくは、0.7〜10重量部の範囲内にあると良い。
また、上記(F)金属酸化物の配合量が0.1重量部未満になると、十分な耐熱性が得られない傾向が見られる。一方、25重量部を越えると、その配合の効果も飽和し、機械的特性も低下する傾向が見られる。したがって、配合割合の選択には、これらに留意すると良い。好ましくは、(A)プロピレン系樹脂100重量部に対して、(F)金属酸化物は0.5〜20重量部の範囲内、より好ましくは、0.7〜10重量部の範囲内にあると良い。
上記(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3”,35,5’5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
このうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,35,5’5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールなどである。
また、上記(E)イオウ系酸化防止剤としては、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物、キサントゲン酸塩系化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。なお、上記イミダゾール系化合物はイオウ(S)原子を含んでいる。
上記イミダゾール系化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、4−メルカプトメチルベンズイミダゾール、5−メルカプトメチルベンズイミダゾールなどやこれらの亜鉛塩などが挙げられる。
また、上記チアゾール系化合物としては、2−メルカプトベンズチアゾール、ジ−2−ベンズチアゾ−ルジスルフィド、2−メルカプトベンズチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンズチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンズチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンズチアゾールなどが挙げられる。
また、上記スルフェンアミド系化合物としては、N−シクロヘキシル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミドなどが挙げられる。
また、上記チウラム系化合物としては、テトラメチルチウラムモノスルファイド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。
また、上記ジチオカルバミン酸塩系化合物としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。
また、上記キサントゲン酸塩系化合物としては、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛などが挙げられる。
上記イオウ系酸化防止剤のうち、特に好ましいのは、イミダゾール系化合物であり、より具体的には、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などである。
また、上記(F)金属酸化物としては、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)、スズ(Sn)などの金属の酸化物、前記金属の合金の酸化物などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうち、特に好ましいのは、酸化亜鉛など、亜鉛(Zn)の酸化物である。
また、本組成物では、各種物性を高めるために一般的に用いられる官能基が樹脂成分に対して導入されていても良い。本組成物の基本的特性である難燃性、機械的特性、耐低温性などを妨げるものではないからである。
具体的な官能基としては、カルボン酸基または酸無水基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基などが挙げられる。これらは1種または2種以上導入されていても良い。
また、本組成物は、必要に応じて、架橋されていても良い。架橋手段としては、過酸化物架橋、シラン架橋、電子線架橋などが挙げられ、特に限定されるものではない。
<本組成物の製造方法>
上述した本組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、(A)〜(C)成分と、必要に応じて、他の樹脂成分、他の添加剤などとを任意に配合し、これらを通常のタンブラーなどでドライブレンドしたり、あるいは、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機で溶融混練して均一に分散したりすることにより当該組成物を得ることができる。
<本組成物の作用>
本組成物によれば、上記(A)〜(C)成分を少なくとも含有しているので、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、難燃性、引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性、耐低温性に優れる。機械的特性、耐低温性に優れるのは、主に、(B)アクリル系重合体の分散効果により、(C)金属水和物を組成物中で均一に分散させることができるためである。
また、上記(A)〜(C)成分以外に、上記(D)〜(F)成分がセットで含有されている場合には、塩化ビニル樹脂などのハロゲンを含有する材料と接触する形態で使用された場合であっても、著しく材料劣化することがなく、長期にわたって十分な耐熱性を有する。
この理由は、次のように推測される。すなわち、従来、ゴム系材料では、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤を併用することにより、高温使用時の性能において相乗効果が得られることは知られている。しかしながら、本組成物のような、分子構造の全く異なるプロピレン系樹脂をベース樹脂として用いる場合、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と(E)イオウ系酸化防止剤とを併用しただけでは、ゴム系材料に見られるような相乗効果は全く期待できない。
ところが、プロピレン系樹脂をベース樹脂として用いた場合であっても、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、(E)イオウ系酸化防止剤の存在下の下、さらに、(F)金属酸化物が存在している場合には、明らかに長期にわたって材料が劣化することなく、耐熱性が改善される。
よって詳細なメカニズムまでは不明であるが、本組成物中に(D)〜(F)成分をさらに含有させた場合には、(F)金属酸化物が、(E)イオウ系酸化防止剤の触媒的な役割を果たすことにより、プロピレン系樹脂中においても、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と(E)イオウ系酸化防止剤による相乗効果などが生じ、長期耐熱性を改善する効果が発現されるものと推測される。
次に、本実施形態に係るノンハロゲン系絶縁電線およびワイヤーハーネスについて説明する。
<ノンハロゲン系絶縁電線>
本実施形態に係るノンハロゲン系絶縁電線は、上述した本組成物を被覆材の材料として用いたものである。このノンハロゲン系絶縁電線の構成としては、導体の外周に直接、被覆材が被覆されていても良いし、導体とこの被覆材との間に、他の中間部材、例えば、シールド導体や他の絶縁体などが介在されていても良い。
また、導体は、その導体径や導体の材質など、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、被覆材の厚さについても、特に制限はなく、導体径などを考慮して適宜定めることができる。
上記ノンハロゲン系絶縁電線の製造方法としては、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの通常用いられる混練機を用いて溶融混練した本組成物を、通常の押出成形機などを用いて導体の外周に押出被覆するなどして製造することができ、特に限定されるものではない。
<ワイヤーハーネス>
本実施形態に係るワイヤーハーネスは、上記ノンハロゲン系絶縁電線単独からなる単独電線束が、ワイヤーハーネス保護材により被覆されて形成されていても良いし、上記ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線とを少なくとも含んでなる混在電線束が、ワイヤーハーネス保護材により被覆されて形成されていても良い。
ここで、塩化ビニル系絶縁電線とは、塩化ビニル樹脂組成物を被覆材の材料として用いたものである。塩化ビニル樹脂とは、塩化ビニル単量体を主成分とする樹脂をいい、この樹脂は、塩化ビニルの単独重合体であっても良いし、他の単量体との共重合体であっても良い。具体的な塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニル、エチレン塩化ビニル共重合体、プロピレン塩化ビニル共重合体などが挙げられる。
なお、塩化ビニル系絶縁電線の被覆材以外の構成や電線の製造方法については、上述したノンハロゲン系絶縁電線とほぼ同様であるので説明は省略する。
また、上記単独電線束とは、上記ノンハロゲン系絶縁電線のみがひとまとまりに束ねられた電線束をいう。一方、混在電線束とは、上記ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線とを少なくとも含み、これら絶縁電線が混在状態でひとまとまりに束ねられた電線束をいう。この際、単独電線束および混在電線束に含まれる各電線の本数は、任意に定めることができ、特に限定されるものではない。
また、上記ワイヤーハーネス保護材は、複数本の絶縁電線が束ねられた電線束の外周を覆い、内部の電線束を外部環境などから保護する役割を主に有するものである。
このワイヤーハーネス保護材を構成する基材としては、ノンハロゲン系樹脂組成物、塩化ビニル樹脂組成物または当該塩化ビニル樹脂組成物以外のハロゲン系樹脂組成物などが挙げられる。
ノンハロゲン系樹脂組成物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリオレフィンに、ノンハロゲン系難燃剤などの各種添加剤を添加してなるポリオレフィン系難燃性樹脂組成物や、上述した本組成物などを用いることができる。
また、塩化ビニル樹脂組成物としては、上述した塩化ビニル系絶縁電線材料として説明したものを用いることができる。
また、塩化ビニル樹脂組成物以外のハロゲン系樹脂組成物としては、上記ポリオレフィンにハロゲン系難燃剤などの各種添加剤を添加したものなどが挙げられる。
また、このワイヤーハーネス保護材としては、テープ状に形成された基材の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されたものや、チューブ状、シート状などに形成された基材を有するものなどを、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
ここで、本実施形態に係るワイヤーハーネスとしては、上述した電線束の種類とワイヤーハーネス保護材の種類により、次のような組み合わせのワイヤーハーネスを例示することができる。
すなわち、本実施形態に係るワイヤーハーネスは、ノンハロゲン系絶縁電線単独からなる単独電線束を塩化ビニル系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネス、ノンハロゲン系絶縁電線単独からなる単独電線束をノンハロゲン系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネス、ノンハロゲン系絶縁電線単独からなる単独電線束をハロゲン系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネス、ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線とを少なくとも含んでなる混在電線束を塩化ビニル系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネス、ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線とを少なくとも含んでなる混在電線束をノンハロゲン系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネス、ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線とを少なくとも含んでなる混在電線束をハロゲン系ワイヤーハーネス保護材により被覆したワイヤーハーネスなどを例示することができる。
<ノンハロゲン系絶縁電線およびワイヤーハーネスの作用>
上記ノンハロゲン系絶縁電線、このノンハロゲン系絶縁電線を電線束中に含んだワイヤーハーネスによれば、上記本組成物を絶縁電線の被覆材としているので、難燃性、引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性、耐低温性に優れる。
特に、上記本組成物が上記(D)〜(F)成分を含有している場合には、ノンハロゲン系絶縁電線が、電線束中の塩化ビニル系絶縁電線、あるいは、電線束の外周を覆う塩化ビニル系ワイヤーハーネス保護材や当該塩化ビニル系ワイヤーハーネス保護材以外のハロゲン系ワイヤーハーネス保護材などと接触する形態で使用された場合でも、被覆材が著しく劣化することなく、長期にわたって十分な耐熱性が発揮される。
そのため、上記ノンハロゲン系絶縁電線およびワイヤーハーネスを、自動車のエンジンルームなど、絶えず高温環境下に曝される部位などに使用すれば、安価なコストで、長期にわたり高い信頼性を確保することができる。
以上、本実施形態に係る難燃性樹脂組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネスについて説明したが、上記実施形態は本発明を何ら限定するものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形・改良が可能なものである。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(供試材料および製造元など)
本実施例において使用した供試材料を製造元、商品名、物性値などとともに示す。
(A)プロピレン系樹脂:
(a1)ポリプロピレン[日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP EC−7」、MFR=1.5g/10分]
(a2)ポリプロピレン[日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP BC6DR」、MFR=2.5g/10分]
(B)アクリル系重合体
(b1)東亞合成(株)製、商品名「ARUFON UP−1020」、ガラス転移温度Tg=−80℃、重量平均分子量Mw=2000
(b2)東亞合成(株)製、商品名「ARUFON UP−1010」、ガラス転移温度Tg=−31℃、重量平均分子量Mw=1700
(b1)東亞合成(株)製、商品名「ARUFON UPB−1050」、ガラス転移温度Tg=13℃、重量平均分子量Mw=2200
なお、(b1)は、ガラス転移温度Tgが13℃であるため、本組成物における(B)成分ではないが、比較するうえでの便宜上、(B)成分の欄に記載している。
(C)金属水和物:
(c1)水酸化マグネシウム[神島化学工業(株)製、商品名「マグシーズW−X3」、平均粒径D50=2.5μm]
(c2)水酸化マグネシウム[神島化学工業(株)製、商品名「マグシーズW−H3」、平均粒径D50=2.5μm]
(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:
(d1)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1010」]
(d2)1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス3114」]
(d3)オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1076」]
(d4)3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン[旭電化工業(株)製、商品名「アデカAO−80」]
(E)イオウ系酸化防止剤:
(e1)2−メルカプトベンズイミダゾール[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラックMB」]
(e2)2−メルカプトメチルベンズイミダゾール[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラックMMB」]
(e3)2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラックMBZ」]
(F)金属酸化物:
(f1)酸化亜鉛(亜鉛華)[ハクスイテック(株)製、商品名「酸化亜鉛2種」]
(x1)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)[クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「FG1901X」]
(x2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)[三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名「HPR VR103」]
(x3)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)[旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「タフテックH1053」]
(x4)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)[旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「タフテックM1913」]
(x5)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)[旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「タフテックH1041」]
(y1)2’,3−ビス[[3−[3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックスMD1024」]
なお、(x1)〜(x5)は、ポリオレフィンまたはゴムであり、(y1)は、金属不活性化剤である。
塩化ビニル系絶縁電線およびワイヤーハーネス保護材の材料:
ポリ塩化ビニル樹脂[東ソー(株)製、商品名「4000M3」、重合度1300]
ジイソノニルフタレート(DINP)[大日本インキ化学(株)製、商品名「モノサイザーDINP」]
ジオクチルフタレート(DOP)[大日本インキ化学(株)製、商品名「モノサイザーDOP」]
重質炭酸カルシウム[丸尾カルシウム(株)製、商品名「スーパー#1700」]
カルシウム亜鉛系安定剤[堺化学(株)製、商品名「OW−800」]
スチレンブタジエンゴム[JSR(株)製、商品名「1013N」]
天然ゴム[RSS2号]
酸化亜鉛[ハクスイテック(株)製、商品名「酸化亜鉛2種」]
ロジン系樹脂[荒川化学工業(株)製、商品名「エステルガムH」]
(組成物および絶縁電線の作製)
初めに、二軸混練機を用いて、後述の表に示す各成分を混合温度230℃にて混合した後、ペレタイザーにてペレット状に成形して本実施例に係る組成物と比較例に係る組成物を得た。次いで、得られた各組成物を、50mm押出機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に0.20mm厚で押出被覆し、本実施例に係るノンハロゲン系絶縁電線および比較例に係るノンハロゲン系絶縁電線を作製した。
次いで、ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に対して、可塑剤としてDINP(ジイソノニルフタレート)40重量部、充填剤として重質炭酸カルシウム20重量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5重量部をオープンロールを用いて180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形したポリ塩化ビニル樹脂コンパウンドを、50mm押出機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に0.30mm厚で押出被覆し、塩化ビニル系絶縁電線を作製した。
(ワイヤーハーネスの作製)
次に、得られた本実施例に係るノンハロゲン系絶縁電線、比較例に係るノンハロゲン系絶縁電線および塩化ビニル系絶縁電線を用いて、ワイヤーハーネスを作製した。すなわち、任意の数のノンハロゲン系絶縁電線と、任意の数の塩化ビニル系絶縁電線を混在させた混在電線束を作製し、その外周に、ワイヤーハーネス保護材として、粘着剤付テープを巻き付けることによりワイヤーハーネスを作製した。
この際、粘着剤付テープは、ポリ塩化ビニル樹脂コンパウンドからなる基材の片側表面全体に、粘着剤として0.02mm厚の粘着層を設けたものであり、当該テープの全体厚さは0.13mmとした。ここで、粘着剤付テープ材料として使用したポリ塩化ビニル樹脂コンパウンドは、ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に対して、可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート)60重量部、充填剤として重質炭酸カルシウム20重量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5重量部を配合したものを用いた。また、粘着剤には、スチレンブタジエンゴム70重量部に対して、天然ゴム30重量部と、酸化亜鉛20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを用いた。
(試験方法)
以上のように作製した各絶縁電線について、難燃性試験、引張伸び試験、引張強度試験、耐摩耗性試験、耐低温性試験を行った。また、各絶縁電線の耐熱性を調べるため、耐熱性A試験、耐熱性B試験を行った。以下に各試験方法および評価方法について説明する。
(難燃性試験)
JASO D611−94に準拠して行った。すなわち、絶縁電線を300mmの長さに切り出して試験片とした。次いで、各試験片を鉄製試験箱に入れて水平に支持し、口径10mmのブンゼンバーナーを用いて還元炎の先端を試験片中央部の下側から30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定した。この残炎時間が15秒以内のものを合格とし、15秒を超えるものを不合格とした。
(引張伸び試験、引張強度試験)
JASO D611−94に準拠して行った。すなわち、絶縁電線を150mmの長さに切り出し、導体を取り除いて被覆材のみの管状試験片とした後、その中央部に50mmの間隔で標線を記した。次いで、23±5℃の室温下にて試験片の両端を引張試験機のチャックに取り付けた後、引っ張り速度200mm/分で引っ張り、試験片の破断時の荷重および標線間の距離を測定した。引張伸びについては125%以上のものを合格とし、125%未満のものを不合格とした。一方、引張強度については15.7MPa以上のものを合格とし、15.7MPa未満のものを不合格とした。
(耐摩耗性試験)
JASO D611−94に準拠し、ブレード往復法により行った。すなわち、絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。次いで、25℃の室温下にて、台上に固定した試験片の被覆材の表面を軸方向に10mmの長さにわたってブレードを往復させ、被覆材の摩耗によってブレードが導体に接触するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかける荷重は7Nとし、ブレードは毎分50回の速度で往復させた。次いで、試験片を100mm移動させて、時計方向に90℃回転させ、上記の測定を繰り返した。この測定を同一試験片について合計3回行い、最低値が150回以上のものを合格とし、150回未満のものを不合格とした。
(耐低温性試験)
各絶縁電線1本を−40℃±2℃で4時間冷却した後、自己径巻き付けにより被覆材に亀裂が生じないものを合格とし、亀裂が生じたものを不合格とした。
(耐熱性A試験)
各絶縁電線1本を150℃で72時間熱老化させた後、自己径巻き付けにより被覆材に亀裂が生じず、導体が露出しないものを合格とし、導体が露出したものを不合格とした。なお、後述する表では、合格したもののうち、被覆材の変色が比較的小さかったものを◎、変色が比較的大きかったものを○で表示している。
(耐熱性B試験)
ワイヤーハーネス、すなわち、ノンハロゲン系絶縁電線と塩化ビニル系絶縁電線をそれぞれ任意の数にて混在させた混在電線束の外周に、塩化ビニル系粘着剤付テープを巻き付けたものを150℃で72時間熱老化させた後、混在電線束中より任意のノンハロゲン系絶縁電線を1本取り出し、自己径巻き付けにより被覆材から導体が露出しないものを合格とし、導体が露出したものを不合格とした。なお、後述する表では、合格したもののうち、被覆材の変色が比較的小さかったものを◎、変色が比較的大きかったものを○で表示するとともに、被覆材の表面にひび割れ(導体は露出していない)が生じたものを△で表示している。
以下の表1〜5に組成物の成分配合および評価結果を示す。
Figure 2006316118
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表1によれば、(B)アクリル系重合体の配合割合が、本発明に規定される配合割合にない比較例11および比較例12に係る絶縁電線は、引張伸びまたは耐摩耗性に劣ることが分かる。また、(B)アクリル系重合体の配合割合が、本発明に規定される配合割合とされていても、ガラス転移温度が0℃を越えるアクリル系重合体を用いた比較例13に係る絶縁電線は、耐低温性に劣ることが分かる。
また、表2によれば、(C)金属水和物が、本発明に規定される配合割合にない比較例21および比較例22に係る絶縁電線は、難燃性や、引張伸び、引張強度、耐摩耗性、耐低温性に劣ることが分かる。
これらに対し、表1〜5によれば、本発明の一実施例に係る難燃性樹脂組成物を用いた各絶縁電線は、いずれも、難燃性や、引張伸び、引張強度、耐摩耗性などの機械的特性、耐低温性に優れていることが分かる。
加えて、表1〜5によれば、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、(E)イオウ系酸化防止剤、(F)金属酸化物を上述した配合割合の範囲内で組み合わせて用いた場合、(D)〜(F)成分の配合割合が、上述した上限値または下限値に近くなると、耐熱性が低下する傾向が見られるものの、上述した好ましい範囲内であれば、耐熱性に優れていることが分かる。
したがって、被覆材を形成する組成物中に、さらに(D)〜(F)成分をセットで配合した場合には、塩化ビニル樹脂などのハロゲンを含有する材料と接触する形態で使用された場合であっても被覆材が劣化することがなく、長期にわたって優れた耐熱性を有することが確認できた。

Claims (8)

  1. (A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、(B)ガラス転移温度が0℃以下のアクリル系重合体を0.1〜10重量部、(C)金属水和物を30〜200重量部少なくとも含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記(B)アクリル系重合体は、その重量平均分子量が1000〜20000の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記(C)金属水和物は、水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記(A)プロピレン系樹脂100重量部に対し、さらに、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.3〜15重量部、(E)イオウ系酸化防止剤を0.1〜25重量部、(F)金属酸化物を0.1〜25重量部含有してなることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記(E)イオウ系酸化防止剤は、イミダゾール系化合物であることを特徴とする請求項4に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記(F)金属酸化物は、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)およびスズ(Sn)から選択される金属の酸化物1種または2種以上よりなることを特徴とする請求項4または5に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 請求項1から6の何れかに記載の難燃性樹脂組成物を被覆材として用いたことを特徴とするノンハロゲン系絶縁電線。
  8. 請求項7に記載のノンハロゲン系絶縁電線を含んでなることを特徴とするワイヤーハーネス。
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