JP2006315626A - 車体のフロアパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設されたフレーム部材(20,22,27,28等)に連結され自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル(2等)であって、フレーム部材に囲まれた領域(S1等)の中央部に形成された高剛性部70と、この高剛性部の周りに平らに形成された低剛性部72と、を有し、高剛性部には曲率の連続した曲面の波形状部(70b,70c,70d)が形成されている。
【選択図】 図4(a)
Description
なお、本出願人により、特許文献2に記載のフロアパネル構造が提案されている。
このように構成された本発明においては、高剛性部と低剛性部とが設けられているので、それらの剛性差により、低剛性部に振動エネルギが集中する。そして、低剛性部において、この集中した振動エネルギにより生じる大きな振動ひずみとフロアパネルを構成する材質(鋼板)自体の減衰能により、フロアパネルの振動エネルギが低減される。また、高剛性部がフレーム部材に囲まれた領域の中央部に形成されると共に低剛性部がその周りに形成されているので、低剛性部に振動が効果的に集中して大きく歪み、また、高剛性部に伝達される振動が低剛性部で効果的に遮断され、さらに、フレーム部材を介してフロアパネルに伝達される振動の振動エネルギがフロアパネル全体に分散されずに低減される。これらの結果、フロアパネルからの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
さらに、本発明においては、高剛性部には曲率の連続した曲面の波形状部が形成されているので、高剛性部の高さを大きくとらなくても、高剛性部の剛性を確実に高めることが出来る。従って、フロアパネルの車体下方及び上方に設けられた排気管や補機類等に干渉することなく、或いは、乗員の足の踏み感を悪化させることなく、上述した高剛性部と低剛性部との剛性差を確実に得ることが出来る。これらの結果、フロアパネル形状に高さ方向の制約があっても、車体のフレーム部材から伝わった振動によるフロアパネルからの音響放射を低減させることが出来る。
このように構成された本発明においては、少なくとも2つの曲面部により、高剛性部に波形状部を容易に形成することが出来る。さらに、曲面部は、上方向或いは下方向に突出した曲面で構成されるので、それ自体剛性が高く、その結果、高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来る。
このように構成された本発明においては、低剛性部から互いに反対側の方向に突出する曲面部が形成され、それらの曲面部の高さは互いに同一であるので、高剛性部の高さを大きくとならなくても高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来る。
このように構成された本発明においては、乗員の足の踏み心地が悪化することをより確実に防止することが出来る。
このように構成された本発明においては、上方向に突出された曲面部及び下方向に突出された曲面部をそれぞれ有する波形状部により、高剛性部の高さを大きくとならなくても高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来る。さらに、高剛性部はその全体が低剛性部に対し上方に形成されているので、フロアパネルの下方に配置された排気管等との干渉をより確実に防止することが出来る。
このように構成された本発明においては、乗員の足の踏み心地が悪化することをより確実に防止することが出来る。
このように構成された本発明においては、曲面部間の曲率0となる境界部が平面視で曲線状に延びるので、その境界部に振動エネルギが集中することを防止することが出来る。その結果、フロアパネルの特に高剛性部からの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
このように構成された本発明においては、長方形状に形成された高剛性部の長手方向に波形状部の曲面部が並ぶので、高剛性部の長手方向の剛性をより確実に高めることが出来る。
このように構成された本発明においては、各曲面部に曲率の連続した曲面の副波形状部がそれぞれ形成されているので、各曲面部自体の剛性をそれぞれより高めることが出来る。その結果、高剛性部の長手方向の剛性をより確実に高めることが出来る。
図1は、本発明の実施形態によるフロアパネルを備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、車室の床部分(フロア部分)を構成する複数のフロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16と、これらのフロアパネルが接続された複数のフレーム部材とから構成されている。複数のフレーム部材は、車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム18、サイドシル20、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24、車幅方向に延びるNo.1乃至No.9クロスメンバ26〜34、これらのクロスメンバ間に設けられた車体前後方向に延びるNo.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38である。
一対のフロントサイドフレーム18の後端部は、フロア部分の車体前側の端縁部で車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ27に接合されている。このNo.2クロスメンバ27は、車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル(図示せず)の下方傾斜部に取り付けられ、各フロントサイドフレーム18の車体外側に設けられた閉断面構造の一対のトルクボックスメンバ27aと、各フロントサイドフレーム18の中間に挟まるように配置された閉断面構造のダッシュロアクロスメンバ27bとから構成されている。
このNo.8クロスメンバ33の車体後方側には、フロア部分の車体後側の端縁部で車幅方向に直線状に延びる閉断面構造のNo.9クロスメンバ34が設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24の後端部に接合されている。
第8フロアパネル16は、No.8クロスメンバ33、No.9クロスメンバ34及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、33、34に接合されている。
本発明の実施形態では、フロアパネル2に振動低減構造を設けることにより、フレーム部材からフロアパネル2に伝達された振動によるフロアパネル2からの音響放射を抑制するようにしている。なお、他のフロアパネル4、6、8、10、14、16は、従来のパネルで構成されている。
図2に示すように、実験モデルは、平面視で正方形状に配置した断面矩形の実験用のフレーム部材60に、振動低減構造を有するパネル62を取り付けたものである。パネル62は、厚さ約0.7mmの鋼鈑をプレス成形したものであり、フレーム部材60に囲まれたパネルの大きさは、いずれも、縦横の長さがそれぞれ約300mmの大きさとなっている。このパネル62には、高剛性部64と、この高剛性部64の周囲の全域の平らな低剛性部66とが形成され、低剛性部66に制振材68が貼付けられている。
図3に示すように、振動低減構造を有するパネル62の振動率は、従来のパネルに対し、400Hz以下の周波数の比較的全域に亘って低下し、特に、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズにより250Hz付近に現れるピークの高さが大きく低下している。このように、振動低減構造によりパネルから放射される音響放射が低減されると言える。
このパネル領域S1には、その中央部に高剛性部70が1つ形成されると共にこの高剛性部70の周りの全域に高剛性部70を囲むようにロ字状に延びる低剛性部72が形成されている。なお、この図4(a)においては、高剛性部70の車体上下方向(フロアパネル2の面外方向)への突出度合いに応じた等高線を合わせて示している。本実施形態の高剛性部70は、後述するように曲率の連続した曲面で構成されており、高剛性部70において、その周縁部(低剛性部72との境界部)70aを示す線以外の線は、そのような等高線を示すものである。
先ず、フロアパネル2には、そのパネル領域S1(S2)に、高剛性部70と低剛性部72とが設けられているので、それらの剛性差により、低剛性部72に振動エネルギが集中する。そして、上述したように、低剛性部72において、フロアパネル2の振動エネルギが低減され、フロアパネル2からの音響放射を低減させることが出来る。さらに、低剛性部72には制振材74が設けられているので、上述したように、パネル領域からの音響放射をさらに効果的に低減させることが出来る。
特に、各曲面部70b、70cの突出高さhb、hcは、それぞれ4mmであり、凸曲面部70bの最も上方の部分と、凹曲面部70cの最も下方の部分との上下方向(高さ方向)の相対距離が8mmとなるので、乗員の足の踏み心地を悪化させることを防止しつつ、高剛性部70の剛性を高めることが出来る。
先ず、本実施形態においては、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部80と低剛性部82により、パネル領域の振動エネルギが低減されるので、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。また、制振材84により、さらにパネル領域の振動エネルギが低減される。また、高剛性部80がパネル領域(S1、S2)の中央部に1つだけ形成されると共にその面積が比較的大きくとられ、その周囲の全域に高剛性部80を取り囲むように低剛性部82が形成されているので、低剛性部82に振動が効果的に集中して大きく歪み、また、高剛性部80に伝達される振動が低剛性部82で効果的に遮断され、さらに、フレーム部材20、22、27、28を介してフロアパネル2に伝達される振動の振動エネルギがフロアパネル全体に分散されずに低減される。これらの結果、フロアパネル2からの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
先ず、本実施形態においては、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部90と低剛性部92により、パネル領域の振動エネルギが低減されるので、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。また、制振材94により、さらにパネル領域の振動エネルギが低減される。また、高剛性部90がパネル領域(S1、S2)の中央部に1つだけ形成されると共にその面積が比較的大きくとられ、その周囲の全域に高剛性部90を取り囲むように低剛性部92が形成されているので、低剛性部92に振動が効果的に集中して大きく歪み、また、高剛性部90に伝達される振動が低剛性部92で効果的に遮断され、さらに、フレーム部材20、22、27、28を介してフロアパネル2に伝達される振動の振動エネルギがフロアパネル全体に分散されずに低減される。これらの結果、フロアパネル2からの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
先ず、本実施形態においては、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部100と低剛性部102により、パネル領域の振動エネルギが低減されるので、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。また、制振材104により、さらにパネル領域の振動エネルギが低減される。また、高剛性部100がパネル領域(S1、S2)の中央部に1つだけ形成されると共にその面積が比較的大きくとられ、その周囲の全域に高剛性部100を取り囲むように低剛性部102が形成されているので、低剛性部102に振動が効果的に集中して大きく歪み、また、高剛性部100に伝達される振動が低剛性部102で効果的に遮断され、さらに、フレーム部材20、22、27、28を介してフロアパネル2に伝達される振動の振動エネルギがフロアパネル全体に分散されずに低減される。これらの結果、フロアパネル2からの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
また、図9(b)に示すように、凹曲面部120cの副曲面部120gは、二点鎖線で示す凹状の面からさらに下方に突出した凹形状に形成され、図9(c)に示すように、凹曲面部120cの副曲面部120hは、二点鎖線で示す凹状の面に対し上方向に突出した凸形状に形成されている。このように、凹曲面部120cには、副曲面部120g、120hにより、車幅方向に凹凸が連続する副波形状部が、さらに形成されている。
また、高剛性部120の最も上方の部分と、最も下方の部分との上下方向(高さ方向)の距離が10mmとなるように、各曲面部120b(120e、120f)、120c(120g、120h)が形成されている。
先ず、この第5実施形態においては、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部120と低剛性部122により、パネル領域の振動エネルギが低減されて、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。また、制振材124により、さらにパネル領域の振動エネルギが低減される。また、高剛性部120がパネル領域(S1、S2)の中央部に1つだけ形成されると共にその面積が比較的大きくとられ、その周囲の全域に高剛性部120を取り囲むように低剛性部122が形成されているので、低剛性部122に振動が効果的に集中して大きく歪み、また、高剛性部120に伝達される振動が低剛性部122で効果的に遮断され、さらに、フレーム部材20、22、27、28を介してフロアパネル2に伝達される振動の振動エネルギがフロアパネル全体に分散されずに低減される。これらの結果、フロアパネル2からの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
先ず、図10(a)乃至図10(d)に示すように、長方形状の高剛性部130の長辺方向及び短辺方向にそれぞれ2つづつ、合計4つの曲面部130b、130cを形成しても良い。この図10に示す高剛性部130では、凸曲面部130bが対角線上に位置するように2つ形成され、一方、凹曲面部130cも対角線上に位置するように2つ形成されている。図10(b)乃至図10(d)に示すように、高剛性部130は、第1実施形態と同様に曲率の連続した曲面で構成されている。図10(a)に示すように、各曲面部130b、130c間の境界部130dは、高剛性部120のほぼ中心で交わるように、車体前後方向及び車幅方向にそれぞれ延びている。なお、符号132は低剛性部、符号134は制振材であり、いずれも、第1実施形態と同様に形成されている。
次に、上述した各実施形態が適用されたフロアパネル2は、車幅方向にわたって設けられ、複数のパネル領域(S1、S2)を有しているが、これを、各パネル領域(例えばS1)毎に個別のパネルとし、それらの各パネルの周縁部を各フレームに接合したようなフロアパネルにおいても同様の作用効果が得られる。
次に、例えば、上述したフロアパネル4、6、10のように、フレーム部材で囲まれると共に振動規制部であるビード部(56、58)及び/又は折れ部(54)でもその一部が囲まれたパネル領域S4乃至S7に、上述した実施形態と同様の振動低減構造を設けても、同様の作用効果が得られる。
次に、その形状が矩形状ではないパネル領域、例えば、上述したフロアパネル4、6のパネル領域S4乃至S6に、上述した実施形態と同様の振動低減構造を形成しても同様の作用効果が得られる。この場合、高剛性部を、例えばそのパネル領域の形状に合わせて台形状に形成し、平面視で各曲面部の形状が台形状になるようにしても良い。
2,4,6,8,10,12,14,16 第1乃至第8フロアパネル
S1〜S8 パネル領域
18 フロントサイドフレーム
20 サイドシル
22 フロアサイドフレーム
24 リアサイドフレーム
26〜34 No.1〜No.9クロスメンバ
36〜38 No.1〜No.3トンネルサイドメンバ
40 エンジン
42 フロントサスペンションクロスメンバ
46 リアサスペンションクロスメンバ
70,80,90,100,110,120,130 高剛性部
72,82,92,102,112,122,132 低剛性部
74,84,94,104,114,124,134 制振材
70a,80a,90a,100a,110a,120a,130a 高剛性部の周縁部(低剛性部との境界部)
70b,80b,90b,90c,100b,110b,120b,130b 高剛性部の凸曲面部
70c,80c,100c,110c,120c,130c 高剛性部の凹曲面部
70d,80d,90d,100d,110d,120d,130d 各曲面部間の境界部
120e,120f,120g,120h 高剛性部の曲面部の副曲面部
120m,120n 各副曲面部間の境界部
Claims (9)
- 車体前後方向及び車幅方向に配設されたフレーム部材に連結され自動車のフロアを構成する車体のフロアパネルであって、
上記フレーム部材により囲まれた領域の中央部に形成された高剛性部と、この高剛性部の周りに平らに形成された低剛性部と、を有し、
上記高剛性部には曲率の連続した曲面の波形状部が形成されていることを特徴とする車体のフロアパネル。 - 上記高剛性部の波形状部は上方向或いは下方向に突出した曲面部を少なくとも2つ有する請求項1記載の車体のフロアパネル。
- 上記高剛性部の波形状部は上記低剛性部から上方向に突出した上記曲面部及び上記低剛性部から下方向に突出した上記曲面部をそれぞれ有し、それらの曲面部の高さは互いに同一である請求項2記載の車体のフロアパネル。
- 上記上方向に突出した曲面部及び上記下方向に突出した曲面部の上記低剛性部からの高さはいずれも5mm以下である請求項3記載の車体のフロアパネル。
- 上記高剛性部の波形状部は上方向に突出された上記曲面部及び下方向に突出された上記曲面部をそれぞれ有し、且つ、上記高剛性部はその全体が上記低剛性部に対し上方に形成されている請求項2記載の車体のフロアパネル。
- 上記高剛性部の上記低剛性部から最も突出した部分の高さは10mm以下である請求項5記載の車体のフロアパネル。
- 上記高剛性部の波形状部は、上記少なくとも2つの曲面部の間に曲率0となる境界部を有し、その境界部が平面視で曲線状に延びる請求項2乃至6のいずれか1項記載の車体のフロアパネル。
- 上記高剛性部は長方形状に形成され、
上記高剛性部の波形状部の曲面部は上記長方形状の高剛性部の長辺方向に並ぶように形成されている請求項2乃至7のいずれか1項記載の車体のフロアパネル。 - 上記長方形状の高剛性部に形成された各曲面部には曲率の連続した曲面の副波形状部がそれぞれ形成されている請求項8記載の車体のフロアパネル。
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