従来、空調・冷凍・冷蔵装置等の冷凍サイクルにおいて、室外器は凝縮器で冷媒を液化するときに発生する熱で高温になるので、凝縮器を冷却する必要がある。例えば凝縮器に備えた放熱フィンに触れて流れる空気との間で熱交換をすることにより凝縮器の冷却を行う空冷式の機構は、装置構造が簡便なため安価であるが、夏場の外気が高温の時等には、庫内・室内の冷却効率が落ちるという問題がある。そこで、空冷式凝縮器に補助冷却装置を用いることが数多く提案されており、その典型的な装置としては、放熱フィンに直接水を散布し冷却効率を向上させる補助冷却装置が知られている。
散水式の補助冷却装置は、空調室外機の凝縮器の放熱フィンに、細かい粒状又は霧状の水をほぼ均一に散布する1基以上のスプレーノズル部と、このノズル部を作動・停止させる制御部とを備え、室外機が運転されているときに外気温度が例えば35℃前後の高温になった際に、昇温した放熱フィンに対し各スプレーノズル部から余分にドレン水が出ないように水量を調整して水を散布し、この散布した水の蒸発潜熱によって冷媒管に設けられた放熱フィンを冷却するようになっている。この形式の補助冷却装置は、夏季以外の時期では、従来の空冷装置として運転するものであり、運転を長期にわたって続ける間に放熱フィン表面に水垢・スケール等が付着するため、空冷運転時の熱交換効率の低下や放熱フィンの腐食などが発生するのが避けられない。
空冷式凝縮器に用いる補助冷却装置の一例として、本出願人は、既に、凝縮器の放熱フィンの近傍にクーリングマットを配置させ、該クーリングマットに冷却水を流下させて凝縮器の吸込空気を冷却させる方式を提案している(特許文献1参照)。この方式の補助冷却装置は、冷却水を凝縮器の放熱フィンに直接吹き付けるのではなく、凝縮器の放熱フィンに向かって流れる空気を冷却水によって冷却することで凝縮器を間接的に冷却しているので、冷却水による放熱フィンの腐食やスケールの付着を生じることがない。また、この補助冷却装置は、従来の凝縮器に付加することができることから、既設ユニットへの取付けが可能であり、また、着脱・洗浄も簡単である。また、クーリングマットは、廃材を活用することもできるから、資源の有効利用にもなるという利点を備えている。
図9は従来の補助冷却装置が適用された室外機1の一例を示す図であり、図10は従来の冷凍サイクルを用いた装置の一例を模式的に示す概略図である。図10に示す冷凍サイクル10においては、コンプレッサ11、凝縮器2、ドライヤ14、膨張弁13、及び蒸発器12が冷凍サイクルを構成すべく冷媒管7で連結されている。従来周知の冷凍サイクル(図示せず)を構成する凝縮器の近傍、即ち、凝縮器2に付設された冷却ファン3とは一定距離離れた位置に補助冷却装置20が設けられている。補助冷却装置20においては、マット状のクーリングマット21に冷却水を散水するために水道管に連通する給水管31、及び給水管31に冷却水を供給する給水ユニット30を具備している。給水ユニット30は、給水管31に介装され水道水を断水又は通水するための開閉弁となる電磁弁32、電磁弁32の開閉を制御するサーモスタット33、及びサーモスタット33を作動させるために補助冷却装置20への流入空気の温度を計るセンサ34を具備している。
上記の冷凍サイクルに適用された補助冷却装置では、センサ34が流入空気の温度が設定値以上又は以下となったことを感知すると、サーモスタット33が働き、電磁弁32を開閉させる。電磁弁32が開状態になると給水管31を通じて散水手段(図示せず)からクーリングマット21に水道水を供給する。クーリングマット21を流下した水は、貯水槽25に溜められて再使用等に供せられ、凝縮器2に流れ込む空気を冷却しながら循環する。
補助冷却装置に供給する冷却水は、水道水に代えて、蒸発器12にて発生するドレン水を用いてもよく、この場合、ドレン水はドレンパンからポンプにより貯水槽25に供給される。貯水槽25の冷却水はポンプにより再び循環用配水管を経て給水ユニット30により給水管31に供給されると共に、冷却に供された後、再び貯水槽25に流れ込む。貯水槽25にはレジオネラ除菌剤を入れ且つ定期的に交換することにより、冷凍サイクルの衛生環境の向上・維持を図ることが好ましい。なお、貯水槽25の水温はセンサ(図示せず)により常時監視し、設定温度以上になった場合は貯水槽25の冷却水を排水し、同時に新たに例えば水道水を貯水槽25に供給するようにしてもよい。また、貯水槽25の冷却水は上記環境状態の維持のため1回/日強制排水してもよい。
クーリングマット21は、冷却水がその内部の隙間を通って落下する際に、横から吹き込まれる空気流れによって蒸発される。空気流れは、その際に蒸発熱を奪われて冷却されるとともに多量の水分を含む空気となって熱交換部に供給される。クーリングマット21の素材の性状としては、空気通過時の抵抗が少なく、且つ落下する冷却水との熱交換が円滑で、耐久性があるものが好ましい。空気を通し易いマットとして、例えば不織布状の繊維体、例えば、資源の有効利用の観点から廃プラスチックをリサイクルして繊維状に再加工したものを使用することが好ましい。クーリングマット21の形状は凝縮器2における空気吸入面を略カバーする形状が望ましく、厚みについては、その素材・形状にもよるが、数センチ程度のものでよい。また、クーリングマット21は伸縮可能な素材を選択することで設置の際の融通性を持たせることができる。更に、クーリングマット21は、繊維状物の外に、冷却水が伝って落下する素材であれば、例えば連続気泡を有する合成樹脂体など、他の形態のものを採用しても良い。
図9に示す補助冷却装置及びそれを適用した室外機1においては、図10に示す冷凍システムについてした説明と重複する説明については省略する。クーリングマット21は、金具である支持部27によって、室外機1に取り付けられる。クーリングマット21への給水手段である散水樋22は、給水ユニット30の給水管31から供給された冷却水をクーリングマット21の上部分に均等に散水するものである。散水樋22の底部には、多数の散水孔が穿設され、該散水孔から略均一に冷却水を落下させるように形成されている。冷却水は、補助冷却装置20の散水樋22からすだれ状となってクーリングマット21を伝って流下しつつ、凝縮器2に向かって通過する空気を冷却する。給水手段としての散水樋22をクーリングマット21の上方に配置したが、散水管をクーリングマット21内に配置することで、全体の構成を簡略化することもできる。
凝縮器2への吸込み空気を冷却した冷却水は、クーリングマット21の下部から滴下して排水樋23に受けられて集められる。排水手段は、図9に示す例では、排水樋23を含んでおり、その一端部に接続された排水管28を通じて直接に地面又は床面に排水されるが、図10に示したように貯水槽25に回収してもよいことは明らかである。この場合、排水手段と散水手段との間には冷却水を循環させるための循環用配管が設けられ、クーリングマットの給水・排水を円滑に行うとともに、冷却水を有効利用することができる。なお、上記散水樋22及び排水樋23はそれぞれ散水管及び排水管であってもよい。
クーリングマット21を用いて、空気に水分を多く含ませるようにした間接式の補助冷却装置20においては、クーリングマット21を放熱フィンから一定距離離して配置させることで、冷却水の放熱フィンへの影響(腐食、スケールの付着等)を確実に防止することができる。図10に示す冷凍サイクル10には1つの凝縮器2を配置したもので説明したが、図9に示すように、装置本体の両側に2つの凝縮器を配置し、補助冷却装置20,20aもそれぞれの室外機1の両空気流入側に設けて、対称に設けることもできる。また、室外機1と補助冷却装置20の組み合わせを1セットとし、これを複数セット並行に配置してもよい。
補助冷却装置20は、室外機1のサイズ等に対応したクーリングマット21と、クーリングマット21を支持する支持フレームとで構成され、クーリングマット21に対して支持フレームの上部に配置する散水樋22(又は散水管)から冷却用の水を流下させる方式のものである。ところが、一般には、室外機の凝縮器又は装置本体のサイズは機種によって異なっているが普通であり、その場合、装置本体のサイズに合わせて支持フレームを構成して、装置本体と組み合わせて用いることが求められている。また、室外機のモデルチェンジを行う都度、その装置の幅等のサイズや仕様に合わせて、冷却装置のマットを設ける支持フレームを設計する等しているために、装置本体のみならず、クーリングマットを保持する支持フレームの設計変更も、必ず行わなければならないという問題がある。
支持フレームを室外機のサイズや仕様に合わせて製作することのほかに、従来の支持フレームは、アングル材等の形鋼をねじで固定するか、溶接で組み合わせるようにして構成しているために、組み立てに手間を多く必要とするという問題がある。また、フレームを構成する形鋼等をねじで組み立てるようにする場合には、そのアングル材等を複数の機種に対して共通して使用する場合には、多数のねじ孔をあらかじめ設けることが必要となる。例えば、従来フレームのコーナ部において、縦横のフレーム部分の接続構造には、2個の固定金具、8個のねじ及び8個のナットを用いており、固定用の部品や金具の点数が多くなるとともにねじ毎に各フレーム部分に貫通孔を形成する必要がある。また、支持フレームの上部フレーム部分と下部フレーム部分は、部品の共通化のために同じ形状構造を持つものを対称配置して用いられるが、下部フレーム部分に余分な孔を設けておくと、冷却水が漏れ出て床面を汚す問題があるので、使用しない孔にシールを施して孔からの水漏れを防止する必要がある。
特開2004−3806号公報(段落[0014]〜[0023]、図1〜図3)
そこで、冷凍システムの室外機の装置本体に組み合わせて用いる補助冷却装置において、クーリングマットを支持する支持フレームを、室外機のサイズ等に合わせるために、フレームの長さ等を容易に調整可能なものとして構成することが望まれている。
この発明の目的は、クーリングマットを支持フレームで支持して熱交換装置の室外機の装置本体に組み合わせて用いる補助冷却装置において、装置本体の幅等のサイズに合わせて補助冷却装置のサイズを容易に設定でき、支持フレームの組み立て作業も容易に行い得る補助冷却装置を提供することである。また、支持フレームの具体的な構造に基づいて、必要とする金具や固着具の部品点数を低減し且つ形成すべきねじ孔の数を少なくして部品コストや作業コストを低減可能な補助冷却装置を提供することである。
本発明による補助冷却装置は、支持フレーム及び当該支持フレームに支持されており水が流下可能なクーリングマットを備え、熱交換装置の室外機に備わる放熱部へ供給される空気をクーリングマットに通すことで空気を冷却させる補助冷却装置であって、支持フレームを構成する複数のフレーム部材の重なり程度を変更することにより、支持フレームの長さを室外機の寸法に対応させて可変に構成したことを特徴としている。
この補助冷却装置によれば、熱交換装置の室外機に備わる放熱フィンのような放熱部に対して、好ましくは対向配置され、支持フレームに支持されるとともに水が流下されるクーリングマットを備え、クーリングマットを通して放熱部へ供給される空気を冷却させるとともに、当該空気に水分を多量に含ませることができる。そして、支持フレームについては、支持フレームを構成する複数のフレーム部材の重なり程度を変更することで、室外機の寸法に対応させて長さを可変に構成している。それゆえ、熱交換装置の規模に応じて室外機の形式やサイズが異なる場合であっても、クーリングマットについては切り出し長さを変更する、或いはその伸縮性を利用することで対応することができ、クーリングマットを支持する枠製品である支持フレームについては、それを構成する部品それ自体を変更することなく、構成する部品である複数のフレーム部材の重なり程度を変更するのみで、対象とする室外機の寸法に対応させて支持フレームを長さを調整することができる。
この補助冷却装置において、支持フレームは、上下において横に配置される横フレーム部と左右において横フレーム部に対してその両外側に縦に取り付けられ配置される縦フレーム部とを備えており、前記横フレーム部及び縦フレーム部の少なくとも一方は、第1フレーム部材と当該第1フレーム部材の少なくとも一方の端部に対して長手方向位置を可変に固定され且つ他方のフレーム部に取り付けられる第2フレーム部材とを有することができる。上下において横に延びる横フレーム部と左右において縦に延びる縦フレーム部とで、枠状の支持フレームが構成される。第1フレーム部材と第2フレーム部材とを長手方向位置を可変に固定することにより、上下の横フレーム部の左右幅と左右の縦フレーム部の上下幅を変更することができ、室外機のサイズに合わせて、枠状の支持フレームのサイズを変更することができる。
上記補助冷却装置において、第1フレーム部材と第2フレーム部材とのいずれか一方には板片で塞がれた複数の半抜き孔を長手方向に等ピッチで形成し、両部材の他方には長手方向に半抜き孔の数よりも少ない整合位置にそれぞれ取付け孔を形成し、取付け孔と当該取付け孔に対応して選択された半抜き孔の板片を打ち抜くことで形成された打ち抜き孔とに通される固着具によって、両部材を長手方向に選択された位置に固定することが好ましい。打ち抜き孔は、取付け孔に対応した必要な位置の半抜き孔のみの板片を適当な工具で叩くなどして打ち抜くことで容易に形成することができる。シールについては、打ち抜き孔にのみ施せばよく、それ以外の半抜き孔については板片で閉鎖されたままであるのでシールの必要はない。なお、取付け孔については、第1フレーム部材と第2フレーム部材との安定的な固着の観点からすれば、少なくとも2つ形成することが好ましい。固着具は、打ち抜き孔と取付け孔とにボルトを挿通し、挿通したボルトにナットを締めつける形態とすることができるが、これに限られることはなく、プラスチックファスナ等の適宜の固着具を用いることができる。
上記補助冷却装置において、第1フレーム部材と第2フレーム部材とのうち一方の部材に複数の半抜き孔が長手方向に等ピッチで形成し、他方の部材に二つの取付け孔を当該ピッチと同じ間隔で離れて形成することが好ましい。二つの取付け孔の間隔を半抜き孔のピッチと同じにすることにより、取付け孔間の距離は最小となり、それに応じて第1フレーム部材と第2フレーム部材との可変調整幅は最大、即ち、サイズ変更の範囲を最大とすることができる。
取付け孔と抜き打ち孔とに固着具を通す上記補助冷却装置において、固着具は、打ち抜き孔に挿通されるねじと取付け孔に取り付けられ且つねじに螺合するナットとを備えており、ねじと打ち抜き孔との隙間には止水処理を施すことができる。ナットは、たとえば、かしめによって取付け孔に予め取り付けておくことができる。施工現場では、ボルトをナットに締め込むだけで第1フレーム部材と第2フレーム部材とを固定することができ、作業性が極めて良好である。横フレーム部に排水手段が設けられる場合であっても、ねじと打ち抜き孔との隙間に止水処理を施すことで、ねじ接続部に水漏れが生じるのを防止することができる。
上記補助冷却装置において、第1フレーム部材は横フレーム部又は縦フレーム部の長さ方向の中央部に配置される中フレーム部材であり、第2フレーム部材は中フレーム部材の両側において中フレーム部材に重なる態様で配置されている端部フレーム部材であり、半抜き孔は中フレーム部材及び端部フレーム部材の一方に形成され、取付け孔は中フレーム部材及び端部フレーム部材の他方に形成することができる。中フレーム部材の両側に端部フレーム部材を配置した組合せとすることで、フレーム部の調整範囲が中フレーム部材の両側で得られ、大きなサイズ変更に対処することができる。室外機の寸法に対応させて位置決めした端部フレーム部材を、中フレーム部材に対して固着させるとともに、端部フレーム部材の自由側端部に相手側のフレーム部を固定保持させることで支持フレームが構成される。
横フレーム部の端部フレーム部材には、その長手方向に沿って延びる複数条の溝付き突条を形成し、縦フレーム部を、縦フレーム部を貫通して突条の溝の端部開口から溝内にねじ込まれるタップねじによって端部フレーム部材に取り付けることができる。中フレーム部材や端部フレーム部材は断面コ字状のフレームとすることで、固着のために内部にアクセスすることが可能になるとともに、曲げや捩じりに対する剛性を可及的に高めることができる。また、これらのフレーム部材はその長手方向でのアルミニウム材料の押し出し成形によって形成することができ、溝付き突条も一体的に且つ簡単に成形することができる。溝付き突条は、曲げや捩じりに対する剛性を更に高める作用がある。
上記補助冷却装置において、支持フレームには、当該支持フレームによって周囲が支持されるクーリングマットの中間部分の両側を厚さ方向に押える押え部材を取り付けることができる。クーリングマットは、概して繊維製のものであり、周辺部が支持フレームに支持されるだけであるので、湾曲等の変形を受け易い。押え部材でクーリングマットの中間部分の両側を厚さ方向に押えることで、クーリングマットの変形を抑制し、位置決めを図ることができる。
上記補助冷却装置において、上側に配置された横フレーム部の上部にはクーリングマットに向けて水を流下又は散水して供給する給水手段を収容し、下側に配置された横フレーム部の下部にはクーリングマットから滴下する水を受ける排水手段を収容することができる。上側の横フレーム部においては、その断面形状に応じて、上部に給水手段を収容可能な空間部を形成することができ、また下側の横フレーム部においては、その断面形状に応じて、下部にクーリングマットに供給された水が滴下して受け止められる排水手段を収容可能な空間部を形成することができる。更に、下側の横フレーム部については、中フレーム部材と端部フレーム部材の接続部に止水処理を施して、排水を集める手段として用いることも可能である。
この発明による補助冷却装置は上記の前述したように構成されているので、熱交換装置の室外機に備わる放熱部へ送られる空気が通されるクーリングマットを支持する支持フレームについては、支持フレームを構成する複数のフレーム部材の重なりの長さを変更することで、室外機のサイズに対応させて長さ調節させることができる。補助冷却装置のサイズ変更に際しては、支持フレームを構成する複数のフレーム部材それ自体を変更する必要はなく、複数のフレーム部材の重なり程度を変更することによって支持フレームの全体長さを調節可能である。その結果、多数種類の室外機に対しても、フレーム部材の種類を少なくし、縦横の各フレーム部の長さ可変機能を利用することで、支持フレームの構成が簡素化され、支持フレームの組み立て作業や長さ調節作業についての労力や必要時間等の作業性を向上させることができ、部品の在庫管理も簡素化可能な補助冷却装置を得ることができる。複数のフレーム部材同士の固着や上下の横フレーム部と左右の縦フレーム部との固着等において、必要とする金具や固着具の部品点数が低減され、且つ形成すべきねじ孔の数も少なくなり、部品コストや作業コストを低減することもできる。また、支持フレームに支持させたクーリングマットに対して、給水と排水手段を簡素化して設けることが可能である。
以下、添付した図面に基づいて、この発明による補助冷却装置の実施例を説明する。図1はこの発明による補助冷却装置が適用された熱交換装置の室外機の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す室外機の概略上面図である。図1、図2において、図9で説明した装置の構成要素と実質的に同じ構成要素については、同じ符号を付すことによって、再度の説明を省略している。
図1に示す補助冷却装置が適用された室外機1において、図9に示す場合と同様に、二つの補助冷却装置20,20aが、室外機1の互いに反対側を向く側面側にそれぞれ配置されている。熱交換装置の能力が高い場合など、凝縮器(図示せず、図10の冷凍サイクルを参照)での発熱量が多いときには、室外機1に対して補助冷却装置20に加えて、補助冷却装置20と同じか又は異なる構造を有する別の補助冷却装置20aが設けられるが、両補助冷却装置20,20aは通常は同一の機能を有するものが使用される。室外機1は、天井部に設けられている冷却ファン3によって、放熱部を挟む両側面から冷却空気を導入可能にし、凝縮器を冷却した空気を上方に排気する形式であるので、補助冷却装置20aは、室外機1において補助冷却装置20とは反対側の側面に設けられる。
補助冷却装置20,20aは、その重量を室外機1で支持するよりも、荷重支持や安全性の観点から直接に床面に支持させることが好ましい。そこで、補助冷却装置20,20aの各々の重量は、支持棒部材であるアングル材40によって支持される。アングル材40は、例えば、組立家具のパーツとして販売されている部材のように、断面L字形であって予め複数の長孔41が長手方向に並んで形成されている部材とすることができる。アングル材40は、補助冷却装置20,20aのコーナ部にあてがって配置される。アングル材40の長孔41を通して幾つかの蝶ナット42を締め付けることで、補助冷却装置20,20aは各アングル材40にボルト止めされる。室外機1において放熱部が設けられる位置は熱交換容量や各種の形式によって異なるので、室外機1の形式に応じて補助冷却装置20,20aの取付け高さも異なる。長孔41での蝶ナット42による締め付け位置を変えることにより、補助冷却装置20,20aのアングル材40への高さ方向の取付け位置を調整することができる。これにより、室外機1の放熱部に合わせて位置を調整した上での補助冷却装置20,20aの室外機1への固定準備が整う。各アングル材40の下端部には、床面等に対する高さをねじによって微調整可能な足部43が設けられている。
補助冷却装置20,20aを室外機1に固定する固定部材45は、例えば、張力部46に後述するばね部材を介在させたバンド47を備えた結束具の形態とすることができる。固定部材45の両端部は、係止金具48,49で構成されている。固定部材45は、図2に最も良く示すように、室外機1に巻き付けたバンド47の両端部における係止金具48,49を補助冷却装置20に係止することにより、長手方向の張力部46に配置されているばね部材の復元力によって補助冷却装置20を室外機1の側面に押し付けて固定する。別の補助冷却装置20aについても、バンド47をその外側に沿わせて張り渡すことにより、ばね部材の復元力によって室外機1の反対側の側面に押し付けられることで、室外機1に固定される。このように、一つの固定部材45が、補助冷却装置20,20aの室外機1への固定する手段を兼用している。
2つの補助冷却装置20,20aを室外機1に固定する際に、補助冷却装置20,20aと室外機1との間にスペーサ50が設けられる。スペーサ50としては、角パイプが用いられる。スペーサ50は、補助冷却装置20,20aが目詰まりを生じた場合にも放熱部への空気流を確保するために設けられるものであり、補助冷却装置20,20aと室外機1との間に空気の流入を許容する隙間を形成している。角パイプ50の個数・配置については、安定した固定状態を得るため、少なくとも四隅に配置することが好ましい。また、スペーサ50としては、設定する隙間の大きさに応じて既存の製品である角パイプから適宜のサイズのものを選択すればよく、補助冷却装置20,20aの設置現場における作業性を向上することができる。なお、補助冷却装置20,20aの排水樋23からの冷却水は、補助冷却装置20,20aの側方から、排水管29を経て排水される。
図3は図1に示す補助冷却装置の詳細図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。補助冷却装置20は、矩形状のクーリングマット21と、当該マット21を支持するための支持フレーム51とを備えている。支持フレーム51は、上下に配置する横フレーム部60,60aと、それらの両端部で接続される縦フレーム部52,52aとを備えており、全体としてマット21を収容可能な横長の枠体として形成されている。支持フレーム51の一方の縦フレーム部52の上下の両端部には、給水用継手37と排水用継手38とが設けられており、それぞれ給水管31と排水管29に接続している。補助冷却装置20の枠体により囲まれる内部に装着されるクーリングマット21は、従来例と同様、所定の厚さの不織布や繊維を重ねて形成されており、空気が通過可能なマット部材である。補助冷却装置20において、横フレーム部60,60aの間で、クーリングマット21を保持するために、上下方向に所定の間隔をおいてクーリングマット21が湾曲や変形しないようにその側面を厚み方向から規制する押え部材55,55a,55bを配置しており、押え部材55,55a,55bは補助冷却装置20の表裏の両面に位置決めするようにして、側フレーム部52,52aに各々ねじ止め固定されている。
押え部材55〜55bは、市販の棒状部材を使用しても良いが、図3(b)に示すように、クーリングマット21に接する面に対応する板状の部材の上に、外開き状に曲げられた上部材を有する断面L形のアングル材を用いると良い。このようなアングル材を用いると、クーリングマット21内の隙間を流下する水が、補助冷却装置20の外側から流れ出さないように案内でき、冷却用の水を有効に利用することができるとともに、室外機1の周囲に水を飛散させたりすることが避けられる。なお、各押え部材55〜55bは、横フレーム部60,60aの長さを調節する際に、その調整に合わせて長さが可変となるように互いに長手方向にスライド可能で且つ選択した位置で互いに固定される重なり部分を持つ二つのアングル材から構成することが好ましい。
補助冷却装置20において、補助冷却装置20と室外機1との間隔を規定するために、四隅にスペーサ50としての角パイプを介在させて、室外機1に取り付けるようにしている。これにより、クーリングマット21に埃やごみが付着する、或いは繊維の間に入り込んで目詰まりしたときにも、補助冷却装置20と室外機1との間に、スペーサ50によって形成される隙間から流入する冷却用の空気を確保して、冷却能力が低下するのを防止することができる。角パイプ50は、市販製品のものでよく、適宜のサイズのものを選択して用いることができる。角パイプ50の側面を利用することで、補助冷却装置20を安定して室外機1に取り付けることができる。
図3に示す補助冷却装置20において、支持フレーム51は、上下の部分については、その長さを変更可能に構成した横フレーム部60とされている。横フレーム部60は、図4や図5に示すように、第1フレーム部材としての中央部の長い中フレーム部材61と、その両側にそれぞれ第2フレーム部材としての長さの短い端部フレーム部材70,70aをスライド可能に組み合わせて、所望の長さとなるように互いの重なり部をねじ等の固着具で固定して構成される。中フレーム部材61は、支持フレーム51の内側に開口を向けた溝状部材として構成されているもので、その底板部62に多数のねじ孔用の半抜き孔65が等ピッチ間隔で形成されている。半抜き孔65は、図4に一部を拡大して示すように、打ち抜くことなく半プレス状態に設けられている。一方、端部フレーム部材70,70aには、二つの取付け孔72が形成されている。端部フレーム部材70,70aを中フレーム部材61に取り付ける場合には、中フレーム部材61において多数の列状に並んだ半抜き孔65から、適当な工具によって目的とする板片66(取付け孔72,72のピッチ間隔で隣合う半抜き孔65,65の板片66,66)を叩き落として除去する。その結果、取付け孔72,72と二つの打ち抜き孔とをそれぞれ整合させることができ、その状態で固着具としてのねじを挿入する孔が容易に整列する。他の板片66は、半抜き孔65からそれを除去しない限りは孔を設けない板状のものとして使用され、孔をシールして密閉したのと同じ状態となる。
中フレーム部材61に組み合わせる端部フレーム部材70,70aは、中フレーム部材61の一対の側板部63,64の内面に沿ってスライド可能に形成されている部材である。各底板部71の所定の位置には、2つの取付け孔72,72が形成されている。取付け孔72,72に対して底板部71の内側からねじ係止用のナットをかしめや溶接等によって予め固定しておくことができる。ナットは、端部フレーム部材70,70aを中フレーム部材61内でスライドさせる際に、邪魔にならないように取り付けられる。ナットを取り付けた取付け孔72,72は、中フレーム部材61とのねじ固定部を形成している。取付け孔72,72の間隔は、半抜き孔65と同じピッチ間隔に等しく設定されているので、端部フレーム部材70,70aの中フレーム部材61に対する長さ調節範囲を可及的に広く取ることができる。これに合わせて、板片66を打ち落とすべき半抜き孔65は、隣接する二つの仮抜き孔65とされ、その他の半抜き孔65は閉じたままに維持される。ねじによる固定箇所は2箇所あれば、ぐらつき無く確実に固定させることができる。
端部フレーム部材70,70aには、底板部71から両側に垂下している二つの側板部74,74の内側面から、空間部に向けて所定の長さにリブ状の溝付き突条75、76が対向させるように突出させて設けられている。さらに、一方の溝付き突条76の下部には、所定の間隔を介してリブ状の溝付き突条77が設けられている。端部フレーム部材70,70aは、アルミニウムのような柔らかい金属を長手方向への押し出し成形によって製作されるので、各突条75〜77は端部フレーム部材70,70aと一体的に同時成形される。各突条75〜77には、突出させた部分の中を側板部74,74の長さ方向に延びる溝75a〜77aが形成されている。溝75a〜77aは、後述するように、縦フレーム部52のねじによる固定に利用される。3つの突条75〜77のうち、対向して配置されている2つの突条75,76の上方に形成される上部空間73には、クーリングマットへの給水手段である散水パイプ35を配置させるために用いられる。図6に示す例のように、横フレーム部60の両端部で散水パイプ35を支持することで、補助冷却装置20のクーリングマット21に対する給水作用を良好に行わせることができる。
図6に示す例を図7及び図8とともに説明すると、縦フレーム部52,52aを上下の両端部で、横フレーム部60,60aに取り付ける場合の構造と、散水パイプ35を給水系統のジョイントに接続する部分のフレームの構造とが示されている。水平に配置される横フレーム部60において、中フレーム部材61にスライドする端部フレーム部材70,70aの端部には、散水パイプ35の端部を露出させて給水系統と接続するために、端部フレーム部材70,70aの底板部71が切り欠かれた状態に形成されている。端部フレーム部材70,70aの外側端に縦フレーム部52,52aをねじ止め固定するために、この例では、3本の止めねじ54が用いられている。止めねじ54としては、タッピングねじを用いて、端部フレーム部材70,70aの3つの突条75〜77に設けた溝75a〜77aにねじ切りをしながら装着するものであることが好ましく、端部フレーム部材70,70aが特にアルミニウムのような軟質金属又はプラスチックにより構成されている場合は、特にねじ止め作業が容易になる。止めねじ54は4箇所に用いてもよいが、強度上、その本数は3本で充分である。
横フレーム部の例は、支持フレーム51の上側の横フレーム60として用いる場合で説明したが、本発明の補助冷却装置20においては、下側の横フレーム60aとしても構成できる。横フレーム60の場合には、内部に散水パイプ35のような給水手段を収容するが、横フレーム60aの場合では、内部空間を排水樋の配置用として、又は内部空間それ自体を排水案内手段として用いることができる点で構造が異なるが、長さを変更する構造については横フレーム60と同じ構造を適用することができるので、詳細について再度の説明を省略する。なお、横フレームに60aにおいては、ナット72やナット72に整合する打ち抜き孔に関連して任意のシール手段を設けるのに加えて、中フレーム部材61と端部フレーム部材70,70aとの継ぎ目に対して、例えば、シール性を発揮可能な塗装等のシール手段を施すことが好ましい。
端部フレーム部材70,70aに対して縦フレーム部52,52aを固定するために、本実施例では、端部フレーム部材70,70aの空間部に3つの突条75〜77を所定の長さで突出させて設けている。突条部75〜77は、端部フレーム部材70,70aの曲げや捩じりに対して剛性を与えるので、端部フレーム部材70,70aを補強するためにも用いられている。突条部75〜77の突出高さと、その断面形状は、任意に形成することが可能である。なお、突条部75〜77に孔又はスリットを設けないリブのみを、フレームの内部空間に向けて突出させて構成する場合には、端部フレーム部材70,70aの自由側端部で、リブに対して所定の深さの孔をあらかじめ形成しておくと良い。
上側の横フレーム部60を構成する中フレーム部材61と端部フレーム部材70,70aについては、支持するクーリングマット21の厚さ及び上部空間73に収容する散水パイプ35のサイズ等に対応させて、底板部71の幅と側板部74の長さ等を選択し、中フレーム部材61の内部でスライド可能で隙間が生じないよう、端部フレーム部材70,70aの断面サイズを設定する。また、前記2種類の形状とサイズの異なるフレーム部材は、それと組み合わせる側フレーム部52,52aとともに、アルミニウム製とすることができる。アルミニウム製の場合には、表面に酸化被膜が形成されるので、冷却用の水が飛散して付着しても、金属が腐食することを防止できる。
縦フレーム部52,52aについては、図示(図1)の態様では、第1フレーム部材である中フレーム部材53が支持フレーム51の内側に配置され、第2フレーム部材である端部フレーム部材54,54aが支持フレーム51の外側に配置されおり、端部フレーム部材54,54aに半抜き孔が形成され、中フレーム部材52に取付け孔が形成されている。これらの固定構造の詳細については、横フレーム部60の場合と同様であるので、再度の説明を省略する。また、中フレーム部材と端部フレーム部材との配置については横フレーム部60の場合と同様の構成としても構わないことは明らかである。
前述したように、室外機1の放熱部を冷却するために設ける補助冷却装置において、支持フレームの縦フレーム部52,52a及び横フレーム部60,60aを長さを変更可能なものとして設けることによって、室外機1のサイズを変更した場合にも、縦フレーム部52,52a或いは横フレーム部60,60aの長さを容易に変更して対処させることが可能である。また、多数種類の室外機を生産する場合にも、サイズが大きく異ならない機種の間では、縦フレーム部52,52a或いは横フレーム部60,60aを長さ調節することで共通して使用することが可能である。その結果、少数種類のフレーム部材を準備できて、工場での材料の在庫の管理を容易に行うことができる。また、支持フレーム51を組み立てる作業を容易に行い得るようにしたことで、補助冷却装置を設置する際の作業性が改善され、作業内容が簡素化されるとともに、作業時間の短縮を図ることができる。
上記の実施の態様は、横フレーム部60,60aについては、第1フレーム部材としての中フレーム部材61と、第2フレーム部材として中フレーム部材61の両側において配置される二つの端部フレーム部材70,70aとを備えるものとして説明したが、第2フレーム部材である端部フレーム部材はいずれか一つであってもよい。また、第2フレーム部材は第1フレーム部材の内側に配置されているが、縦フレーム部52,52aの場合と同様に、外側に配置してもよい。更に、半抜き孔を形成するフレーム部材は、支持フレーム51の外側と内側のいずれでもよいが、半抜き孔の飛び出しを考慮して第1及び第2フレーム部材を重ねたときのシール性の観点からすると、外側に配置される部材とするのが好ましい。なお、支持フレームの材料については、アルミニウム製としたが、その他、プラスチック等の任意の材料を用いて構成することも可能である。